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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024098156
(43)【公開日】2024-07-22
(54)【発明の名称】PET装置及び医用情報処理方法
(51)【国際特許分類】
   G01T 1/161 20060101AFI20240712BHJP
【FI】
G01T1/161 A
【審査請求】未請求
【請求項の数】13
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2024001430
(22)【出願日】2024-01-09
(31)【優先権主張番号】63/479,052
(32)【優先日】2023-01-09
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(31)【優先権主張番号】18/336,741
(32)【優先日】2023-06-16
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
【公序良俗違反の表示】
(特許庁注:以下のものは登録商標)
1.SOLARIS
2.VERILOG
(71)【出願人】
【識別番号】503459637
【氏名又は名称】カリフォルニア大学
【氏名又は名称原語表記】The Regents of the University of California
【住所又は居所原語表記】1111 Franklin Street,8th Floor Oakland,California 94607-5200,USA
(71)【出願人】
【識別番号】594164542
【氏名又は名称】キヤノンメディカルシステムズ株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110001771
【氏名又は名称】弁理士法人虎ノ門知的財産事務所
(72)【発明者】
【氏名】ウエンユエン チー
(72)【発明者】
【氏名】リ ヤン
(72)【発明者】
【氏名】ジェフリー コルサマー
(72)【発明者】
【氏名】エヴレン アズマ
(72)【発明者】
【氏名】ジンイ チ
(72)【発明者】
【氏名】ティアンティアン リー
【テーマコード(参考)】
4C188
【Fターム(参考)】
4C188EE02
4C188FF07
4C188GG18
4C188GG19
4C188JJ02
4C188KK15
4C188KK24
4C188KK35
4C188LL10
(57)【要約】
【課題】データ駆動型呼吸ゲーティングにおいて心臓信号を除去すること。
【解決手段】実施形態のPET装置は、イメージングスキャン中に検出された放射線を表すリストモードデータを取得し、前記リストモードデータから、第1の長さの時間間隔ごとに、前記第1の長さよりも長い第2の長さの時間幅の分割データを生成し、前記分割データに基づいて呼吸波形を決定し、前記呼吸波形と前記リストモードデータとに基づいて画像を再構成する処理部を備える。
【選択図】図6B
【特許請求の範囲】
【請求項1】
イメージングスキャン中に検出された放射線を表すリストモードデータを取得し、
前記リストモードデータから、第1の長さの時間間隔ごとに、前記第1の長さよりも長い第2の長さの時間幅の分割データを生成し、
前記分割データに基づいて呼吸波形を決定し、
前記呼吸波形と前記リストモードデータとに基づいて画像を再構成する処理部
を備える、ポジトロン放射断層撮影(Positron Emission Tomography:PET)装置。
【請求項2】
前記処理部は、前記第2の長さを心周期長に応じて設定する、請求項1に記載のPET装置。
【請求項3】
前記リストモードデータは、撮像する被検体の準周期的な動きによって影響を受けたデータであり、
前記処理部は、
前記第1の長さを有する第1のフレーム長を決定し、前記リストモードデータを第1のフレーム長の第1の非重複フレームに分割し、前記第1の非重複フレームを処理して心周期長を決定し、
前記決定された心周期長に基づいて、前記第1のフレーム長よりも長い、前記第2の長さを有する第2のフレーム長を決定し、
前記第1のフレーム長を有する前記第1の非重複フレームに基づいて、前記リストモードデータを前記第2のフレーム長を有する重複フレームに再ビン化することで前記分割データを生成し、
前記分割データに主成分分析(Principal Component Analysis:PCA)処理を適用して、前記呼吸波形を決定し、
前記呼吸波形を使用して心臓波形を決定し、
前記呼吸波形および前記心臓波形を使用して、前記リストモードデータに基づいて画像を再構成する、請求項1に記載のPET装置。
【請求項4】
前記処理部は、前記第1の非重複フレームに前記PCA処理を適用して第1の波形を決定し、前記第1の波形のピークを決定し、前記第1の波形のピークの周波数に基づいて前記心周期長を決定し、当該心周期長に基づいて前記第2のフレーム長を決定する、請求項3に記載のPET装置。
【請求項5】
前記第1の波形のピークの周波数は心拍数である、請求項4に記載のPET装置。
【請求項6】
前記第2のフレーム長は、前記呼吸波形のピークの周波数よりも小さい値である、請求項3に記載のPET装置。
【請求項7】
前記第2のフレーム長は、1秒である、請求項6に記載のPET装置。
【請求項8】
前記処理部は、前記第1のフレーム長を0.4秒よりも小さい値に設定する、請求項4に記載のPET装置。
【請求項9】
前記処理部は、前記呼吸波形および前記心臓波形を使用して処理された前記リストモードデータに基づいて、前記呼吸波形に基づいて呼吸ゲートを適用し、前記心臓波形を除去することによって、前記画像を再構成する、請求項3に記載のPET装置。
【請求項10】
心電図(ECG)デバイスを更に備え、
前記処理部は、前記ECGデバイスを介して前記被検体の前記心周期長を測定することによって前記第2のフレーム長を決定する、請求項3に記載のPET装置。
【請求項11】
前記第2のフレーム長を有する前記重複フレームが、前記第1のフレーム長だけ重複する、請求項3に記載のPET装置。
【請求項12】
前記処理部は、前記第2のフレーム長を有する重複フレームへの再ビン化の処理として、前記リストモードデータをサイノグラムに再ビン化する、請求項3に記載のPET装置。
【請求項13】
イメージングスキャン中に検出された放射線を表すリストモードデータを取得し、
前記リストモードデータから、第1の長さの時間間隔ごとに、前記第1の長さよりも長い第2の長さの時間幅の分割データを生成し、
前記分割データに基づいて呼吸波形を決定する
ことを含む、医用情報処理方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本明細書及び図面に開示の実施形態は、PET装置及び医用情報処理方法に関する。
【背景技術】
【0002】
本開示は、PETイメージングにおける動きに関連した不正確さを排除し、画質を改善する手段としての、ポジトロン放射断層撮影(Positron Emission Tomography:PET)システムにおけるリストモードデータゲーティングに関する。
【0003】
本明細書で提供される背景技術の記載は、本開示の文脈を一般的に提示する目的のためのものである。本背景技術セクションに記載されている範囲での現在記名されている発明者の研究、ならびに出願時に先行技術として認められないことのある記載の態様は、本開示に対する先行技術として明示的にも暗示的にも認められていない。
【0004】
患者の動きは、ポジトロン放射断層撮影(PET)画像におけるボケおよびアーチファクトの主な原因である。PETデータ収集中の呼吸の動きおよび心臓の動きは、画像をぼやけさせることによって定量化性能を低下させ、病変体積の過大評価および病変活性の過小評価につながり得る。PET画像の質を向上させるために、ゲーティング法が使用されてきた。通常、これらの方法は、例えば呼吸波形、心電図(ECG)などの生体信号を検出するために外部デバイスを使用する必要がある。
【0005】
状況によっては、動きが発生した可能性のある取得データをゲーティングすることによって、動き補正に対処することができる。ゲーティングとは、データを、動きが無視できるほどの範囲内で別々のチャンク(ゲート)に分割することである。これは、患者の随意的または不随意的な動きの間に発生することがあり、例えば、呼吸または心拍による動きを含むことがある。
【0006】
一部のPETシステムでは、ゲーティングは、PETスキャン中に患者に動きセンサを取り付けることによって行われる。このような外部の動きセンサを使用すると、スキャン中に動き情報を正常に記録する必要があるため、PETスキャンがより面倒になる。また、動きが正しく記録されていなかったり、スキャンと適切に同期していなかったりすると、動き補正が妨げられることが多い。
【0007】
近年、PETの生データから、または再構成画像から生体信号を抽出するためのデータ駆動型アプローチが開発されている。例えば、データ駆動型アルゴリズムは、まずPET収集を小さい時間フレームに分割することができ、次に主成分分析(Principal Component Analysis:PCA)または独立成分分析(Independent Component Analysis:ICA)をフレームに適用することができる。生体信号は、全フレームにわたるデータの変動に基づいて抽出することができる。
【0008】
例えば、呼吸の動きがある場合、通常、主変動は呼吸の動きによって引き起こされ得る。したがって、呼吸信号はPCAの第1の成分によってモデル化することができる。呼吸の動きが推定されると、PETデータはビン化され、複数のゲート(動きを可視化するため)または単一のゲート(動きを低減した単一の画像を生成するため)に再構成され得る。しかし、収集時に心拍がある場合、PCAからの信号には心臓信号も含まれ得る。
【0009】
したがって、心臓ゲーティングまたは呼吸ゲーティングのいずれかの、より良いゲーティングを行うために、2つの信号を分離する方法が望まれている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0010】
【特許文献1】特開2012-187350号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0011】
本明細書及び図面に開示の実施形態が解決しようとする課題の一つは、データ駆動型呼吸ゲーティングにおいて心臓信号を除去することである。ただし、本明細書及び図面に開示の実施形態により解決しようとする課題は上記課題に限られない。後述する実施形態に示す各構成による各効果に対応する課題を他の課題として位置づけることもできる。
【課題を解決するための手段】
【0012】
実施形態のPET装置は、イメージングスキャン中に検出された放射線を表すリストモードデータを取得し、前記リストモードデータから、第1の長さの時間間隔ごとに、前記第1の長さよりも長い第2の長さの時間幅の分割データを生成し、前記分割データに基づいて呼吸波形を決定し、前記呼吸波形と前記リストモードデータとに基づいて画像を再構成する処理部を備える。
【図面の簡単な説明】
【0013】
図1図1は、実施形態に係る呼吸ゲーティングの有無に応じた全身PETスキャンの概略図である。
図2A図2Aは、実施形態に係るリストモード収集におけるゲーティングのためのPETシステムの概略図である。
図2B図2Bは、実施形態に係るPETイベントストリームをビンに分類する処理の概略図である。
図3図3は、実施形態に係る呼吸の動きのためのデータ駆動型ゲーティングの概略図である。
図4図4は、実施形態に係る心拍信号を識別および除去する方法のフローチャートの非限定的な例を示す図である。
図5図5は、実施形態に係る補助デバイスを用いて心拍信号を識別および除去する方法のフローチャートの非限定的な例を示す図である。
図6A図6Aは、実施形態に係るデータ駆動型ゲーティングのデータ分割の概略図である。
図6B図6Bは、実施形態に係るデータ駆動型ゲーティングのデータ分割の概略図である。
図7図7は、実施形態に係る心臓信号を除去する別の例を示す図である。
図8図8は、実施形態に係るフレームの重複の有無によるゲーティングの効果を説明する一連の再構成画像を示す図である。
図9A図9Aは、実施形態に係るPETスキャナ装置の透視図である。
図9B図9Bは、実施形態に係るPETスキャナ装置および関連ハードウェアの概略図である。
【発明を実施するための形態】
【0014】
以下の開示は、提供される主題の異なる特徴を実施するための、多くの異なる実施形態、すなわち実施例を提供するものである。本開示を単純化するため、構成要素および配置の具体例を以下で説明する。もちろん、これらは単なる例であり、限定することを意図したものではない。
【0015】
例えば、本明細書に記載された異なるステップの説明の順序は、分かりやすくするために提示されている。一般に、これらのステップは、任意の適切な順序で実行することができる。さらに、本明細書の異なる特徴、技術、構成などのそれぞれが、本開示の異なる場所で議論されることがあるが、概念のそれぞれは、互いに独立して、または互いに組み合わせて実行することができることが意図されている。したがって、本開示は、多くの異なる方法で具現化し、熟考することができる。
【0016】
さらに、本明細書で使用する場合、「1つの(a、an)」などの単語は、特に明記しない限り、一般的に「1つ以上」の意味を持つ。
【0017】
以上の教示を考慮すれば、多数の修正形態および変形形態が可能である。したがって、添付の特許請求の範囲内で、本明細書に具体的に記載されている以外の方法で開示を実施することができることを理解されたい。
【0018】
以下の実施形態は呼吸ゲーティングの文脈で説明されているが、限定的な意味ではないことに留意されたい。当業者であれば、例えば心臓ゲーティングなどの他のゲーティング用途にも、説明した概念および原理を拡張することができることを認識するであろう。
【0019】
図1は、本開示の実施形態による、呼吸ゲーティングの有無に応じた全身PETスキャンの概略図を示す。一実施形態では、図1の左(円内)において、肺の腫瘤が位置する強調部分の約2~3分のスキャンに基づいて、肺の腫瘤を検出することができる。図1の右側(円内)では、レトロスペクティブ呼吸ゲーティングを適用することができる。カウント数は少なくなるが、呼吸性ゲーティングを使用すると鮮明な画像を得ることができる。これにより、患者の病期診断の変更または改善につながる可能性がある。ゲーティングは、データ収集とゲートを同期させ、最終的な画像再構成のためにデータをレトロスペクティブに分類することによって実行することができる。
【0020】
図2Aは、実施形態に係るリストモード収集におけるゲーティングのためのPETシステムの概観の概略図を示す。一実施形態では、呼吸ゲーティングシステムをイメージング装置に同期させることができ、これにはタイミング同期またはクロック同期を含めることができる。同期データ収集中、PETイベントストリームは呼吸ゲーティングまたは周期データと共に生成することができる。このように、呼吸周期の所定の部分が発生したときにイメージング装置のビームをアクティブにすることができ、これをターゲットゲートとすることができる。したがって、PETイベントストリーム全体の一部を、呼吸周期の所定の部分(例えば、ビームがアクティブな状態、ゲートがオン/アクティブな状態など)の間に発生したイベントに対してフィルタリングすることができる。
【0021】
図2Bは、本開示の実施形態による、PETイベントストリームをビンに分類する処理の概略図を示す。一実施形態では、完全な呼吸周期を複数のビンに分割することができる。例えば、図示されているように、1つの完全な呼吸周期を3つのビンに分割することができ、その3つのビンは、呼吸ゲーティングシステムからの出力に基づいて、図2Aに示されている分割された部分に対応することができる。各周期のイベントは、対応する3つのビンのいずれかに分割され、データ処理に使用される全ての周期にわたって集計され得る。したがって、3つの「合計」ビンを合わせて、全周期にあわたる平均データを表すことができる。分割されたビンデータは、画像再構成を生成するために個別に使用することができる。例えば、第1のビンのデータに対して再構成を生成し、第2のビンのデータに対して別の再構成を生成し、第3のビンのデータに対してさらに別の再構成を生成することができる。3つのボリュームを有するシネ画像を生成することもでき、「ビン2」のデータはターゲットゲートイベントに対応することができるため、必要であれば、「ビン2」のデータのみを使用することもできる。
【0022】
図3は、本開示の実施形態による、呼吸の動きのためのデータ駆動型ゲーティングの概略図を示す。一実施形態では、データ駆動型呼吸ゲーティングにおいて、取得したPETデータを小さいフレームに分割し、PCAを使用してフレーム間の分散を測定することにより、呼吸信号を検出することができる。例えば、呼吸波形の周期は3秒~5秒である。したがって、呼吸の動きを捉えるために、サンプリングレートは少なくとも5Hz以上とすることができる。注目すべきは、呼吸ゲーティング測定のために外部デバイスをイメージング装置に付属させる必要はないことである。簡単に言えば、リストモードのデータは、短いフレームに再編成(regrouped)または再組織化(reorganized)することができる。短いフレームは、サイノグラムまたは画像に形成され得る。サイノグラムまたは画像は、特徴ベクトルに再編することができる。ベクトルに対してPCAを実行して、短いフレーム間の動き信号を捉えることができる。その後、局所的な最大値を分析することによって、呼吸トリガを決定することができる。
【0023】
しかし、同一画像内で心拍が発生している場合、心拍と呼吸の両方の動きが波形に現れ、PCAでは心拍と呼吸周期の違いを認識できない可能性がある。心拍信号は所望の呼吸波形を乱す可能性があり、位相ゲーティングと振幅ゲーティングの両方が心拍信号によって混乱する可能性がある。2つの動きを区別する1つの方法として、心拍は呼吸の動きよりも速いまたは頻繁であるため、周波数領域での波形の周波数選択を含めることができる。しかし、この方法では、余分な周波数領域処理が必要になり得る。
【0024】
そこで、本実施形態では、以下で説明する処理により、データ駆動型呼吸ゲーティングにおいて心臓信号を除去することを可能とする。例えば、実施形態に係る処理では、各フレームが心拍周期全体を含むことができるように、各小さいフレームのフレーム長を長くする。これにより、心拍信号に起因するフレーム間の差を抑制することができる。また、フレーム間のステップを短いままにすることで、フレームが呼吸波形を捉えることができることである。なお、フレーム長については、時間窓(time window)とも記載する。
【0025】
即ち、実施形態に係る処理では、リストモードデータから、第1の長さの時間間隔(ステップ)ごとに、第1の長さよりも長い第2の長さの時間幅(フレーム長)の分割データを生成し、前記分割データに基づいて呼吸波形を決定する。かかる処理により、データ駆動型呼吸ゲーティングにおいて心臓信号を除去することができる。即ち、外部の動きセンサ等を用いることなくゲーティングを実現することによって、PET撮影を簡便化するとともに、患者の動きの影響を排除して高品質の画像を再構成することが可能となる。
【0026】
以下、図4を用いて実施形態に係る処理を説明する。図4は、実施形態に係る心拍信号を識別および除去する医用情報処理方法400のフローチャートの非限定的な例を示す。
【0027】
一実施形態では、ステップ405で、PETイメージング装置で患者等の被検体をスキャンすることにより、イメージングスキャン中に検出された放射線を表すリストモードデータを取得する。当該リストモードデータは、心拍および呼吸の動きの両方を含むゲートベッドのリストモードデータである。
【0028】
リストモードデータは、撮像する被検体の準周期的な動きによって影響を受けたデータである。即ち、心拍および呼吸は周期的な動きであるが、これら両方の影響を受けることにより、リストモードデータは、単なる周期的な動きではなく、周期的な動きに似た準周期的な動きによって影響を受けたデータとなる。
【0029】
一実施形態では、ステップ410で、取得されたリストモードデータを、重複のない短いフレームに分割することができる。ステップ410で分割されたフレームは、第1の非重複フレームの一例である。また、第1の非重複フレームのフレーム長については、第1のフレーム長とも記載する。即ち、ステップ410では、第1の長さを有する第1のフレーム長を決定し、リストモードデータを第1のフレーム長の第1の非重複フレームに分割する。例えば、短いフレームは0.1秒である。例えば、患者の通常の呼吸周期が3秒続くシナリオを考えてみる。1回のデータ収集セッションで、約30回の呼吸周期を捉えることができる。したがって、その結果として生じる90秒の時間に及ぶリストモードデータは、それぞれ0.1秒の、900の短いフレームに分割される。
【0030】
一実施形態では、ステップ415で、各短いフレームのデータを処理することができる。例えば、データは、サイノグラム、または飛行時間(Time Of Flight:TOF)プロット、または再構成などに再ビン化することができる。データの一部またはチャンクから動きを抽出するために、他の方法を使用することができることが理解されよう。
【0031】
一実施形態では、ステップ420で、マルチフレームデータにPCAを適用することができる。
【0032】
一実施形態では、ステップ425で、波形を抽出することができ、局所的な最大値を分析することによってトリガを決定または特定することができる。トリガは、呼吸または心臓の動きの周期の注目点を指すことができる。例えば、各周期のピークを、決定されたトリガ(複数可)とすることができる。したがって、2つのトリガの間に、呼吸の動きの1周期または心拍の1周期が起こり得る。
【0033】
一実施形態では、ステップ430で、特定されたトリガの頻度を決定することができる。例えば、ステップ410で分割された第1の非重複フレームに対してPCA処理を適用することで、心臓の動きを示す第1の波形を決定し、第1の波形のピークを決定し、第1の波形のピークの周波数に基づいて、心周期長を決定することができる。
【0034】
一実施形態では、ステップ435で、リストモードデータは、短いステップサイズおよび重複のある長いフレーム長で再ビン化することができる。ステップ435で再ビン化されたデータについては重複データとも記載する。重複データは、第1の長さの時間間隔ごとに生成される、第1の長さよりも長い第2の長さの時間幅の分割データの一例である。
【0035】
また、当該重複フレームのフレーム長については、第2のフレーム長とも記載する。第2のフレーム長は、例えば、各フレームが心拍の全周期を含むようなトリガの頻度に基づくことができる。第2のフレーム長は、1秒、もしくは0.8秒、もしくは0.6秒、もしくは0.4秒などの設定値、または呼吸周期の時間よりも小さい任意の値とすることができる。
【0036】
一実施形態では、ステップ440で、各長いフレームのデータを処理することができる。例えば、前述したように、データは、サイノグラム、または飛行時間(TOF)プロット、または再構成に再ビン化することができる。
【0037】
一実施形態では、ステップ445で、マルチフレームデータを生成するためにリストモードデータを再度ビン化した後、PCAを再度適用することができる。
【0038】
一実施形態では、ステップ450で、呼吸波形などの新たな波形を決定することができ、局所的な最大値を分析することによってトリガを決定または特定することができる。注目すべきは、新たな波形は心拍を伴わなくてもよいということである。
【0039】
一実施形態では、ステップ455で、呼吸波形を結合波形から除去して、心臓波形を決定することができる。結合波形は、ステップ425で生成された波形とすることができる。
【0040】
一実施形態では、ステップ460で、心臓波形および呼吸波形が特定および考慮されたデータに基づいて、画像を生成または再構成することができる。例えば、呼吸波形が取得され、対応するトリガが決定されると、呼吸ゲーティングを行うことができる。位相ゲーティング、振幅ゲーティングなど、他の方法も使用できることが理解されよう。
【0041】
一実施形態では、医用情報処理方法400は、心周期長などのトリガの頻度を決定することなく、ステップ405からステップ435に進むことができる。代わりに、1秒など、フレーム長に設定された値を使用することができる。
【0042】
例えば、ステップ435で生成される重複フレームの第2のフレーム長は、心周期長に応じて設定される。第2のフレーム長は、ステップ410~425等の処理により決定された心周期長に応じて設定されてもよいし、プリセットされた心周期長に応じて設定されてもよい。
【0043】
追加的または代替的に、図5は、本開示の実施形態による、補助デバイスを用いて心拍信号を識別および除去する医用情報処理方法401のフローチャートの非限定的な例を示す。
【0044】
一実施形態では、ステップ470で、PETイメージング装置で患者等の被検体をスキャンすることにより、心拍および呼吸の動きの両方を含むゲートベッドのリストモードデータを取得することができる。
【0045】
一実施形態では、ステップ475で、前の説明と同様に、リストモードデータは、短いステップサイズおよび所定の重複のある長いフレーム長で再ビン化することができる。フレーム長は、各フレームが心拍の全周期を含むようなトリガの頻度に基づくことができる。心拍数または心周期は、例えばEKG信号、または心臓測定デバイスからの他の入力によって提供され得る。
【0046】
一実施形態では、ステップ480で、前の説明と同様に、各長いフレームのデータを処理することができる。例えば、データは、サイノグラム、または飛行時間(TOF)プロット、または再構成に再ビン化することができる。
【0047】
一実施形態では、ステップ485で、前の説明と同様に、マルチフレームデータにPCAを適用することができる。
【0048】
一実施形態では、ステップ490で、前の説明と同様に、呼吸波形を結合波形から除去して、心臓波形を決定することができる。
【0049】
一実施形態では、ステップ495で、前の説明と同様に、心臓波形および呼吸波形が、特定および考慮されたデータに基づいて、画像を生成または再構成することができる。
【0050】
図6Aは、本開示の実施形態による、データ駆動型ゲーティングのデータ分割の概略図を示す。図6Bは、本開示の実施形態による、データ駆動型ゲーティングのデータ分割の概略図を示す。一実施形態では、図6Aのデータ分割方法は、重複のない0.2秒のステップサイズを有することができ、一般的なデータ分割方法を表すことができる。しかし、本明細書で図6Bを参照して説明するデータ分割方法では、フレームの長さを1秒など長くし、フレーム間に重複があり得ると同時に、ステップサイズは依然として0.2秒とすることができる。重複は、心臓信号を特定および除去するのに役立ち得る。
【0051】
この目的のために、図7は、本開示の実施形態による、データ駆動型の信号、および心臓信号の除去を示す図である。滑らかでないトレースとは、データ駆動型ゲーティングのフレーム長が例えば0.2秒、ステップサイズが例えば0.2秒の、フレーム間の重複がないトレースであり、よって多くのピークをもたらし、最終的には多くのトリガをもたらす。より滑らかなトレースとは、データ駆動型ゲーティングのフレーム長が例えば1秒、ステップサイズが例えば0.2秒の、フレーム間の重複を導入したトレースであり、よってより少ないピークをもたらし、最終的にはより少ないトリガをもたらす。
【0052】
一実施形態では、各フレームが心拍周期全体をカバーするように、フレーム長を長くすることができる。下のグラフは、上のグラフからのデータに、より長いフレーム長および重複フレームを適用し、ピークの少ない滑らかなトレースを得ることで、呼吸周期を捉えたものを示す。
【0053】
図8は、本開示の実施形態による、フレームの重複の有無によるゲーティングの効果を説明する一連の再構成画像を示す図である。一実施形態では、図8は、非ゲート、安西ゲート(Anzai-gated)、1秒ゲート、および0.2秒ゲートのデータからの再構成画像を示す。図示のように、0.2秒のデータ駆動型ゲーティングのフレーム長が、矢印で示すように、呼吸の動きのブレを依然として含んでいることは明らかである。それに対して、安西ゲーティングおよび1秒のデータ駆動型ゲーティングのフレーム長の再構成画像は、動きのブレが少ない。これは、非ゲートの再構成画像と比較すると特に明らかである。注目すべきは、データ駆動型ゲーティングのフレーム長を1秒にすることによって、呼吸周期を測定する専用の補助デバイス(安西ゲート)を使用した再構成画像と非常によく似た再構成画像が得られ、こうして重複のある長いフレーム長の有効性が実証された。
【0054】
図9Aおよび図9Bは、医用情報処理方法400および401を実施することができるPETスキャナ1100の非限定的な例を示す図である。PETスキャナ1100は、それぞれが矩形の検出器モジュールとして構成された多数のガンマ線検出器(Gamma-Ray Detector:GRD)(例えば、GRD1、GRD2~GRDN)を含む。一実施態様によれば、検出器リングは40個のGRDを含む。別の実施態様では、48個のGRDがあり、より多くのGRDの数を使用して、PETスキャナ1100のためのより大きなボアサイズを生成する。
【0055】
各GRDは、ガンマ線を吸収してシンチレーション光子を放出する個々の検出器結晶の2次元アレイを含むことができる。シンチレーション光子は、同様にGRD内に配置された光電子増倍管(Photomultiplier Tube:PMT)の2次元アレイによって検出することができる。光導体は、検出器結晶のアレイとPMTの間に配置することができる。
【0056】
あるいは、シンチレーション光子は、シリコン光電子増倍管(SiPM)のアレイによって検出することができ、個々の検出器結晶のそれぞれは、対応するSiPMを有することができる。
【0057】
各光検出器(例えば、PMTまたはSiPM)は、シンチレーションイベントがいつ発生するかを示すアナログ信号、および検出イベントを生成するガンマ線のエネルギーを生成することができる。さらに、1つの検出器結晶から放出される光子は、2つ以上の光検出器によって検出することができ、各光検出器で生成されるアナログ信号に基づいて、検出イベントに対応する検出器結晶を、例えば、アンガーロジックおよび結晶復号を使用して判定することができる。
【0058】
図9Bは、被検体OBJから放出されるガンマ線を検出するように配置されたガンマ線(ガンマ線)光子計数検出器(GRD)を有するPETスキャナシステムの概略図を示す。GRDは、各ガンマ線の検出に対応するタイミング、位置、およびエネルギーを測定することができる。一実施形態では、図9Aおよび図9Bに示すように、ガンマ線検出器はリング状に配置される。検出器結晶は、2次元アレイ状に配置された個々のシンチレータ素子を有するシンチレータ結晶であり得、シンチレータ素子は、任意の既知のシンチレータ材料であり得る。PMTは、各シンチレータ素子からの光が複数のPMTによって検出されて、シンチレーションイベントのアンガー算術および結晶復号を可能にするように、配置することができる。
【0059】
図9Bは、PETスキャナ1100の配置の一例を示し、ここでは画像化されるべき被検体OBJが台1116上に置かれており、GRDモジュールGRD1からGRDNが被検体OBJおよび台1116の周囲に円周方向に配置されている。GRDは、ガントリ1140に固定接続されている環状の構成要素1120に固定接続することができる。ガントリ1140は、PET撮影装置の多くの部品を収容する。PET撮影装置のガントリ1140はまた、被検体OBJおよび台1116が通過することができる開いた開口部を含み、対消滅イベントにより被検体OBJから反対方向に放出されるガンマ線をGRDによって検出することができ、タイミングおよびエネルギー情報を使用してガンマ線の同時計数を判定することができる。
【0060】
図9Bでは、ガンマ線検出データを取得、保存、処理、および分配するための回路およびハードウェアも示されている。この回路およびハードウェアには、プロセッサ1170、ネットワークコントローラ1174、メモリ1178、およびデータ収集システム(Data Acquisition System:DAS)1176が含まれる。PET撮像装置はまた、GRDからDAS1176、プロセッサ1170、メモリ1178、およびネットワークコントローラ1174へと検出測定結果をルーティングするデータチャネルも含む。DAS1176は、検出器からの検出データの収集、デジタル化、およびルーティングを制御することができる。一実施形態では、DAS1176は、ベッド1116の動きを制御する。プロセッサ1170は、本明細書で説明するように、検出データからの画像の再構成、検出データの前再構成処理、および画像データの後再構成処理を含む機能を実行する。
【0061】
プロセッサ1170は、上述した医用情報処理方法400および/または401の様々なステップならびにその変形形態を実行するように構成することができる。プロセッサ1170は、処理部の一例である。例えば、プロセッサ1170は、イメージングスキャン中に検出された放射線を表すリストモードデータを取得し、リストモードデータから、第1の長さの時間間隔ごとに、第1の長さよりも長い第2の長さの時間幅の分割データを生成し、分割データに基づいて呼吸波形を決定し、呼吸波形とリストモードデータとに基づいて画像を再構成する。
【0062】
プロセッサ1170は、特定用途向け集積回路(Application Specific Integrated Circuit:ASIC)、フィールドプログラマブルゲートアレイ(Field Programmable Gate Array:FPGA)、または他の複合プログラマブル論理デバイス(Complex Programmable Logic Device:CPLD)のような、個々の論理ゲートとして実装可能なCPUを含むことができる。FPGAまたはCPLDの実装は、VHDL、Verilog、またはその他のハードウェア記述言語でコード化されてよく、そのコードはFPGAもしくはCPLD内の電子メモリに直接記憶されてもよく、または個別の電子メモリとして記憶されてもよい。さらに、メモリは、ROM、EPROM、EEPROM、またはフラッシュメモリなどの不揮発性であってもよい。メモリはまた、静的または動的RAMなど揮発性であり得、FPGAまたはCPLDとメモリとの間の相互作用だけでなく電子メモリを管理するための、マイクロコントローラまたはマイクロプロセッサなどのプロセッサを提供してもよい。
【0063】
あるいは、プロセッサ1170内のCPUは、方法100および/または方法200の様々なステップを実行するコンピュータ可読命令のセットを含むコンピュータプログラムを実行することができ、このコンピュータプログラムは、上述の非一時的電子メモリおよび/もしくはハードディスクドライブ、CD、DVD、フラッシュドライブ、またはその他の任意の既知の記憶媒体のいずれかに記憶されている。さらに、コンピュータ可読命令は、米国インテル社製のXenonプロセッサまたは米国AMD社製のOpteronプロセッサなどのプロセッサ、ならびにMicrosoft VISTA、UNIX(登録商標)、Solaris、LINUX(登録商標)、Apple、MAC-OSおよび当業者に知られている他のオペレーティングシステムなどのオペレーティングシステムと共に実行するユーティリティアプリケーション、バックグラウンドデーモン、もしくはオペレーティングシステムの構成要素、またはそれらの組み合わせとして提供されてもよい。さらに、CPUは、命令を実行するために並行して協同的に動作する、複数のプロセッサとして実装することができる。
【0064】
メモリ1178は、ハードディスクドライブ、CD-ROMドライブ、DVDドライブ、フラッシュドライブ、RAM、ROM、または当該技術分野において知られているその他の電子記憶装置であり得る。
【0065】
米国インテル社製のインテルイーサネット(登録商標)PROネットワークインタフェースカードなどのネットワークコントローラ1174により、PET撮像装置の様々な部分間でインタフェースすることができる。さらに、ネットワークコントローラ1174はまた、外部ネットワークとインタフェースすることもできる。理解できるように、この外部ネットワークは、インターネットなどの公共ネットワーク、またはLANもしくはWANネットワークなどのプライベートネットワーク、またはこれらの任意の組み合わせであり得、PSTNもしくはSDNサブネットワークを含むこともできる。外部ネットワークはまた、イーサネットのネットワークのように有線とすることができ、またはEDGE、11Gおよび4G無線セルラーシステムを含むセルラーネットワークなどの無線とすることもできる。無線ネットワークはまた、WiFi、Bluetooth(登録商標)、または任意の他の既知の無線通信形式とすることもできる。
【0066】
本明細書には多くの具体的な実装の詳細が記載されているが、これらは、特許請求され得るものの範囲に対する制限として解釈されるべきではなく、むしろ、特定の実施形態に特有であり得る特徴の説明として解釈されるべきである。
【0067】
別個の実施形態の文脈で本明細書に記載されている特定の特徴は、単一の実施形態において組み合わせて実施することもできる。その逆に、単一の実施形態の文脈で記載されている様々な特徴もまた、複数の実施形態で別々に、または任意の適切なサブコンビネーションで実施することもできる。さらに、特徴が特定の組み合わせで作用するものとして上述され、さらには当初はそのようなものとして主張されている場合もあるが、いくつかの実例においては、主張された組み合わせの1つ以上の特徴をその組み合わせから削除することもできる。また、主張された組み合わせをサブコンビネーション、またはサブコンビネーションの変形態様に向けることもできる。
【0068】
先行の説明では、処理システムの特定の形状、ならびに、そこで使用される様々な構成要素およびプロセスの説明など、具体的な内容を記載してきた。しかし、本明細書の技術は、これらの特定の詳細から逸脱した他の実施形態で実施されてもよく、そのような詳細は説明のためのものであり、限定するものではないことを理解すべきである。本明細書で開示する実施形態は、添付図面を参照して説明されている。同様に、説明の目的のために、具体的な数字、材料、および構成が、完全な理解を提供するために記載されている。それにもかかわらず、実施形態は、そのような具体的な詳細がなくても実施され得る。実質的に同じ機能構造を有する構成要素は、同様の参照文字によって表されており、したがって、冗長な説明は省略することがある。
【0069】
様々な技術が、様々な実施形態の理解を助けるために複数の個別の動作として説明されてきた。記載の順序は、必ずしもこれらの動作が順序に依存することを意味するように解釈されるべきではない。実際に、これらの動作は、提示された順序で実行する必要はない。説明された動作は、説明された実施形態とは異なる順序で実行されてもよい。追加の実施形態では、様々な追加の動作を実行してもよく、および/または説明された動作を省略してもよい。
【0070】
以上の実施形態に関し、発明の一側面及び選択的な特徴として以下の付記を開示する。
(付記1)
イメージングスキャン中に検出された放射線を表すリストモードデータを取得し、
前記リストモードデータから、第1の長さの時間間隔ごとに、前記第1の長さよりも長い第2の長さの時間幅の分割データを生成し、
前記分割データに基づいて呼吸波形を決定し、
前記呼吸波形と前記リストモードデータとに基づいて画像を再構成する処理部
を備える、ポジトロン放射断層撮影(Positron Emission Tomography:PET)装置。
(付記2)
前記処理部は、前記第2の長さを心周期長に応じて設定してもよい。
(付記3)
前記リストモードデータは、撮像する被検体の準周期的な動きによって影響を受けたデータであり、
前記処理部は、
前記第1の長さを有する第1のフレーム長を決定し、前記リストモードデータを第1のフレーム長の第1の非重複フレームに分割し、前記第1の非重複フレームを処理して心周期長を決定し、
前記決定された心周期長に基づいて、前記第1のフレーム長よりも長い、前記第2の長さを有する第2のフレーム長を決定し、
前記第1のフレーム長を有する前記非重複フレームに基づいて、前記リストモードデータを前記第2のフレーム長を有する重複フレームに再ビン化することで前記分割データを生成し、
前記分割データに主成分分析(Principal Component Analysis:PCA)処理を適用して、前記呼吸波形を決定し、
前記呼吸波形を使用して心臓波形を決定し、
前記呼吸波形および前記心臓波形を使用して、前記リストモードデータに基づいて画像を再構成してもよい。
(付記4)
処理部は、前記第1の非重複フレームに前記PCA処理を適用して第1の波形を決定し、前記第1の波形のピークを決定し、前記第1の波形のピークの周波数に基づいて前記心周期長を決定し、当該心周期長に基づいて前記第2のフレーム長を決定してもよい。
(付記5)
前記第1の波形のピークの周波数は心拍数であってもよい。
(付記6)
前記第2のフレーム長は、前記呼吸波形のピークの周波数よりも小さい値であってもよい。
(付記7)
前記第2のフレーム長は、1秒であってもよい。
(付記8)
前記処理部は、前記第1のフレーム長を0.4秒よりも小さい値に設定してもよい。
(付記9)
処理部は、前記呼吸波形および前記心臓波形を使用して処理された前記リストモードデータに基づいて、前記呼吸波形に基づいて呼吸ゲートを適用し、前記心臓波形を除去することによって、前記画像を再構成してもよい。
(付記10)
処理部は、ECGデバイスを介して前記被検体の前記心周期長を測定することによって前記第2のフレーム長を決定してもよい。
(付記11)
第2のフレーム長を有する重複フレームが、第1のフレーム長だけ重複してもよい。
(付記12)
処理部は、前記第2のフレーム長を有する重複フレームへの再ビン化の処理として、前記リストモードデータをサイノグラムに再ビン化してもよい。
(付記13)
イメージングスキャン中に検出された放射線を表すリストモードデータを取得し、
前記リストモードデータから、第1の長さの時間間隔ごとに、前記第1の長さよりも長い第2の長さの時間幅の分割データを生成し、
前記分割データに基づいて呼吸波形を決定する
ことを含む、医用情報処理方法。
(付記14)
前記医用情報処理方法において、前記第2の長さは、心周期長に応じて設定されてもよい。
(付記15)
前記医用情報処理方法は、
前記第1の長さを有する第1のフレーム長を決定し、撮像する被検体の準周期的な動きによって影響を受けた前記リストモードデータを第1のフレーム長の第1の非重複フレームに分割し、前記第1の非重複フレームを処理して心周期長を決定し、
前記決定された心周期長に基づいて、前記第1のフレーム長よりも長い、前記第2の長さを有する第2のフレーム長を決定し、
前記第1のフレーム長を有する前記非重複フレームに基づいて、前記リストモードデータを前記第2のフレーム長を有する重複フレームに再ビン化することで前記分割データを生成し、
前記分割データに主成分分析(Principal Component Analysis:PCA)処理を適用して、前記呼吸波形を決定し、
前記呼吸波形を使用して心臓波形を決定し、
前記呼吸波形および前記心臓波形を使用して、前記リストモードデータに基づいて画像を再構成することを含んでもよい。
(付記16)
前記医用情報処理方法は、前記第1の非重複フレームに前記PCA処理を適用して第1の波形を決定し、前記第1の波形のピークを決定し、前記第1の波形のピークの周波数に基づいて前記心周期長を決定し、当該心周期長に基づいて前記第2のフレーム長を決定することを含んでもよい。
(付記17)
前記医用情報処理方法において、前記第1の波形のピークの周波数は心拍数であってもよい。
(付記18)
前記医用情報処理方法において、前記第2のフレーム長は、前記呼吸波形のピークの周波数よりも小さい値であってもよい。
(付記19)
前記医用情報処理方法において、第2のフレーム長は、1秒であってもよい。
(付記20)
前記医用情報処理方法において、第1のフレーム長は、0.4秒よりも小さい値であってもよい。
(付記21)
前記医用情報処理方法は、前記呼吸波形および前記心臓波形を使用して処理された前記リストモードデータに基づいて、前記呼吸波形に基づいて呼吸ゲートを適用し、前記心臓波形を除去することによって、前記画像を再構成することを含んでもよい。
(付記22)
前記医用情報処理方法は、ECGデバイスを介して前記被検体の前記心周期長を測定することによって前記第2のフレーム長を決定することを含んでもよい。
(付記23)
前記医用情報処理方法において、第2のフレーム長を有する重複フレームが、第1のフレーム長だけ重複してもよい。
(付記24)
イメージングスキャン中に検出された放射線を表すリストモードデータを取得し、
前記リストモードデータから、第1の長さの時間間隔ごとに、前記第1の長さよりも長い第2の長さの時間幅の分割データを生成し、
前記分割データに基づいて呼吸波形を決定する
各処理をコンピュータに実行させるプログラムを記憶した非一時的コンピュータ可読記憶媒体。
(付記25)
前記プログラムは、
前記第1の長さを有する第1のフレーム長を決定し、撮像する被検体の準周期的な動きによって影響を受けた前記リストモードデータを第1のフレーム長の第1の非重複フレームに分割し、前記第1の非重複フレームを処理して心周期長を決定し、
前記決定された心周期長に基づいて、前記第1のフレーム長よりも長い、前記第2の長さを有する第2のフレーム長を決定し、
前記第1のフレーム長を有する前記非重複フレームに基づいて、前記リストモードデータを前記第2のフレーム長を有する重複フレームに再ビン化することで前記分割データを生成し、
前記分割データに主成分分析(Principal Component Analysis:PCA)処理を適用して、前記呼吸波形を決定し、
前記呼吸波形を使用して心臓波形を決定し、
前記呼吸波形および前記心臓波形を使用して、前記リストモードデータに基づいて画像を再構成する処理をコンピュータに実行させてもよい。
(付記26)
リストモードデータを受信し、リストモードデータを第1のデータと第2のデータとに分割し、第1および第2のデータの時間窓は心拍に基づいて決定され、第1および第2のデータに基づいて呼吸波形を推定するように構成された処理回路を備える、ポジトロン放射断層撮影(PET)スキャナ。
(付記27)
第1および第2のデータの時間窓は、心拍の1周期に基づいて決定されてもよい。
(付記28)
第1および第2のデータの時間窓は、心拍の1周期を含んでもよい。
(付記29)
第1および第2のデータの時間窓は、約1秒であってもよい。
(付記30)
第1および第2のデータの時間窓は、少なくとも一部が互いに重複していてもよい。
【0071】
以上説明した少なくとも1つの実施形態によれば、データ駆動型呼吸ゲーティングにおいて心臓信号を除去することができる。
【0072】
本発明のいくつかの実施形態を説明したが、これらの実施形態は、例として提示したものであり、発明の範囲を限定することは意図していない。これら実施形態は、その他の様々な形態で実施されることが可能であり、発明の要旨を逸脱しない範囲で、種々の省略、置き換え、変更を行なうことができる。これら実施形態やその変形は、発明の範囲や要旨に含まれると同様に、特許請求の範囲に記載された発明とその均等の範囲に含まれるものである。
【符号の説明】
【0073】
1100:PETスキャナ
1170:プロセッサ
図1
図2A
図2B
図3
図4
図5
図6A
図6B
図7
図8
図9A
図9B