(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024098162
(43)【公開日】2024-07-23
(54)【発明の名称】運転支援システム
(51)【国際特許分類】
H04N 7/18 20060101AFI20240716BHJP
B61L 25/02 20060101ALI20240716BHJP
【FI】
H04N7/18 J
B61L25/02 Z
【審査請求】未請求
【請求項の数】3
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023001423
(22)【出願日】2023-01-10
(71)【出願人】
【識別番号】000003078
【氏名又は名称】株式会社東芝
(71)【出願人】
【識別番号】598076591
【氏名又は名称】東芝インフラシステムズ株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100111121
【弁理士】
【氏名又は名称】原 拓実
(74)【代理人】
【識別番号】100200218
【弁理士】
【氏名又は名称】沼尾 吉照
(72)【発明者】
【氏名】西村 康太郎
【テーマコード(参考)】
5C054
5H161
【Fターム(参考)】
5C054CA04
5C054CC02
5C054EA01
5C054EA05
5C054FC12
5C054GB01
5C054HA30
5H161AA01
5H161DD20
5H161FF07
5H161GG04
5H161GG13
5H161GG23
(57)【要約】
【課題】 カメラで撮影された映像を解析して乗客が乗降しようとしているかの判断する
とき、検知領域の設定によっては過検知や誤検知が発生することがある。
【解決手段】 列車のドア閉操作を支援する運転支援システムは、列車のドアおよび駅ホ
ームを撮像するカメラと、カメラで撮像された映像に対してドアを含む第1の検知領域お
よび第2の検知領域を設定する検知領域設定手段と、第1の検知領域に複数の乗客が存在
するか否かに基づき、ドア閉操作の可否を判断する第1の判断手段と、ドア閉操作が行わ
れたとき、ドア方向に移動する乗客が第2の検知領域に存在するか否かに基づき、ドア開
動作の可否を判断する第2の判断手段を有する。
【選択図】
図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
列車のドア閉操作を支援する運転支援システムであって、
列車のドアおよび駅ホームを撮像するカメラと、
カメラで撮像された映像に対してドアを含む第1の検知領域および第2の検知領域を設
定する検知領域設定手段と、
第1の検知領域に複数の乗客が存在するか否かに基づき、ドア閉操作の可否を判断する
第1の判断手段と、
ドア閉操作が行われたとき、ドア方向に移動する乗客が第2の検知領域に存在するか否
かに基づき、ドア開動作の可否を判断する第2の判断手段と、を有する運転支援システム
。
【請求項2】
検知領域設定手段は、列車の停車駅に関する情報を取得して、その情報を用いて停車駅
毎に第1の検知領域および第2の検知領域を設定する請求項1記載の運転支援システム。
【請求項3】
第2の判断手段は、ドア閉操作が行われて、ドアが閉まるとき、第2の検知領域を狭め
ていく請求項1記載の運転支援システム
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明の実施形態は、駅ホームの安全確認を行う運転支援システムに関する。
【背景技術】
【0002】
列車の乗務員や駅係員などが、列車に乗り降りする乗客を確認できるように、映像表示
システムが実用化されている。映像表示システムには、駅ホームに設置されたカメラまた
は列車に搭載されたカメラの映像を駅ホームのモニタに表示するものや列車内のモニタに
表示させるものがある。
このようなモニタ表示システムには、列車出発時の安全確認を容易にするために、各ド
アの周辺を撮像して乗客の動きベクトルを求め、乗降者が存在するドアを区別することで
乗務員が効率的に乗客の様子を目視での確認を支援するものがある。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかし、各ドアの周辺を撮像するとき、各駅によって撮像範囲が異なることがある。
そのため、検知領域の設定によっては乗客が乗降しようとしているかの判断を正しく行
うことができず、過検知や誤検知が発生することがある。
【0005】
本発明は上記に鑑みてなされたものであり、乗降を判断する検知領域を設定して、乗降
者の過検知や誤検知を抑制する運転支援システムを提供する
【課題を解決するための手段】
【0006】
実施形態の運転支援システムは、列車のドアおよび駅ホームを撮像するカメラと、カメ
ラで撮像された映像に対してドアを含む第1の検知領域および第2の検知領域を設定する
検知領域設定手段と、第1の検知領域に複数の乗客が存在するか否かに基づき、ドア閉操
作の可否を判断する第1の判断手段と、ドア閉操作が行われたとき、ドア方向に移動する
乗客が第2の検知領域に存在するか否かに基づき、ドア開動作の可否を判断する第2の判
断手段を有する。
【図面の簡単な説明】
【0007】
【
図1】
図1は、第1の実施形態に係る運転支援システムの構成図ある。
【
図2】
図2は、カメラにより撮像された駅ホームの様子を示す図である。
【
図3】
図3は、解析記録装置におけるドア閉時の検知フローを示す図である。
【
図4】
図4は、検知領域に複数人の集団が検知されている様子を示す図である。
【
図5】
図5は、検知領域にドアに向かう乗客が検知されている様子を示す図である。
【
図6】
図6は、狭くなった検知領域にドアに向かう乗客が検知されている様子を示す図である。
【
図7】
図7は、停車駅における検知領域の設定フローを示す図である。
【
図8】
図8は、駅ホームに設置されたカメラにて撮像する様子を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0008】
以下、実施の形態について図面を参照して説明する。
図1は、第1の実施形態に係る運転支援システムの構成図である。
運転支援システムは、カメラ1と解析記録装置2と伝送装置3と表示器4とを有する。
【0009】
カメラ1は、列車の車体側面に設置され、列車が駅に停車しているときに、駅ホームを
撮像する。
解析記録装置2は、カメラ1で撮像された映像が入力され、映像を蓄積すると共に、後
述する解析処理を行い、乗降する乗客の状態を検知する。
伝送装置3は、解析記録装置2の情報を表示器4に伝送する。
表示器4は、運転台に設置されており、解析記録装置2で検知された乗客の状態を表示
する。
【0010】
図2は、カメラにより撮像された駅ホームの様子を示す図である。
図2では、カメラ1は、列車のドアを含む車両側面と駅ホームを撮像しており、駅ホー
ムには白線の列車寄りに1名の乗客と白線の外側に1名の乗客が写っている。
このように、カメラ1は、駅に停車しているときに、列車のドア付近の様子を撮像する
ことが可能となっている
【0011】
図3は、解析記録装置におけるドア閉時の検知フローを示す図である。
解析記録装置2は、列車が駅間を走行している間もしくは駅に到着後発車ベルが鳴動す
る前に検知領域を設定する(S001)。検知領域は、停車する駅において開閉するドア
の駅ホームであり、例えば白線や点字ブロックを内側と外側を含む領域である。
解析記録装置2は、駅に停車して発車ベルが鳴動する前までは待機中となる(S002
)。なお、待機中においても、カメラ1により撮像された映像および検知領域内における
検知情報を表示器に表示しても良い。
【0012】
解析記録装置2は、発車ベルが押下されると、ドア閉を行うことが可能かを判定する。
解析記録装置2は、カメラ1により撮像された映像のうち、停車駅に応じて設定された第
1の検知領域内にいる乗客群を検知する(S003)。このドア閉の判断は、乗務員によ
るドア閉操作を支援するために行われる。よって、乗客の降車および乗車の区切れを検知
することでドア閉操作を安全に行うことができると判断する。
【0013】
図4に示すように、ドア付近の第1の検知領域E010に複数人の集団が検知されてい
るときは、乗客が乗降している途中であると判断して、ドア閉操作を許可しない。ドア付
近の第1の検知領域E010に複数人の集団が検知されなくなると、乗客の乗降が完了し
たと判断して、ドア開操作を許可する信号を通知する。
【0014】
解析記録装置2は、ドア閉が押下されると、ドア閉が安全に完了することが可能かを判
定する。解析記録装置2は、カメラ1により撮像された映像のうち、停車駅に応じて設定
された第2の検知領域にいる乗客を検知する(S004)。この段階においては、ドア閉
操作が行われており、ドアは閉まる途中である。よって、駆け込み乗車等によるドアに向
かう乗客の接近がないかを判断する。
【0015】
図5に示すように、ドアに向かって所定の速度以上で移動しており、かつ第2の検知領
域E020である例えば白線の内側に乗客が検知されたときは、乗車しようとする乗客が
存在すると判断してドア開を通知する。ドアに向かって所定の速度以上で移動しており、
かつ第2の検知領域E020である例えば白線の内側に乗客が検知されないときは、ドア
閉を継続され、徐々にドアが閉まっていく。
また、ドア閉が安全に完了することが可能かの判定は、ドア閉が完了するまで行われる
。このときの第2の検知領域E021は、
図6に示すように、徐々に検知領域を狭くする
。これにより、過検知や誤検知を抑制することが可能となり、ドア閉の途中で、ドア開に
なることを低減することが可能となり、安全性が向上する。
【0016】
解析記録装置2は、駆け込み乗車等によるドアに向かう乗客の接近が検知されると、ド
ア開となる(S005)。ドア開状態となると、上記S003に戻りドア閉の判断を繰り
返し実行する。
解析記録装置2は、ドア閉が完了すると、S001に戻り、次の停車駅における検知領
域の設定を行う。
【0017】
図7は、次の停車駅における検知領域の設定フローを示す図である。
解析記録装置2は、停車駅を出発するまでは停車中の駅における検知領域を維持して(
S011)、駅を出発すると、次の停車駅における検知領域の設定を開始する(S012
)。解析記録装置2は、駅データ毎の検知領域データから停車駅に対応するデータを抽出
して(S013)、検知領域を設定する(S014)。
例えば、車両情報制御システム(TCMS:Train Control Monitoring System)から
次の停車駅に関する情報を取得して、駅データ毎の検知領域データへアクセスし照合され
たデータを領域設定データとして利用する。これにより、停車駅毎に応じた検知領域設定
を自動で設定することが可能となる。
【0018】
以上のように、本実施形態によれば、駅毎に検知領域を設定することで、乗降者の過検
知や誤検知を抑制することができる。また、既存の車両情報制御システムと連携して停車
駅の情報を取得することにより、各駅における検知領域を自動で設定することができる。
また、ドア閉が行われている途中での検知領域は、徐々に狭くなるように設定すること
で、さらに過検知や誤検知を抑制することができる。
【0019】
以上、本発明の実施形態を説明したが、この実施形態は、例として提示したものであり
、発明の範囲を限定することは意図していない。これら新規な実施形態は、その他の様々
な形態で実施されることが可能であり、発明の要旨を逸脱しない範囲で、種々の省略、置
き換え、変更を行うことができる。これら実施形態やその変形は、発明の範囲や要旨に含
まれるとともに、特許請求の範囲に記載された発明とその均等の範囲に含まれる。
例えば、
図8のように駅ホームに設置されたカメラにて撮像した映像により判断を行う
こともできる。
【符号の説明】
【0020】
1…カメラ
2…解析記録装置
3…伝送装置
4…表示器