(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024098167
(43)【公開日】2024-07-23
(54)【発明の名称】光電変換モジュールの解体方法及び解体用器具
(51)【国際特許分類】
B09B 3/30 20220101AFI20240716BHJP
H02S 30/10 20140101ALI20240716BHJP
【FI】
B09B3/30 ZAB
H02S30/10
【審査請求】未請求
【請求項の数】4
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023001441
(22)【出願日】2023-01-10
【国等の委託研究の成果に係る記載事項】(出願人による申告)令和2年度、国立研究開発法人新エネルギー・産業技術総合開発機構「太陽光発電主力電源化推進技術開発/太陽光発電の長期安定電源化技術開発」共同研究、産業技術力強化法第17条の適用を受ける特許出願
(71)【出願人】
【識別番号】513009668
【氏名又は名称】ソーラーフロンティア株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100187218
【弁理士】
【氏名又は名称】堀 宏光
(72)【発明者】
【氏名】佐藤 宏
【テーマコード(参考)】
4D004
5F151
5F251
【Fターム(参考)】
4D004AA22
4D004CA02
4D004CA07
4D004CA12
5F151JA04
5F151JA09
5F151JA27
5F251JA04
5F251JA09
5F251JA27
(57)【要約】
【課題】より簡易な解体用器具や光電変換モジュールの解体方法を提供する。
【解決手段】光電変換モジュールは、パネル100と、パネル100の側部に沿って延びた中空部225を有する筒状部221を有するフレーム220と、を有する。光電変換モジュールの解体方法は、中空部に解体用器具600を挿入し、解体用器具600で筒状部221に外力を加えて、フレーム220をパネル100から外すことを含む。
【選択図】
図11
【特許請求の範囲】
【請求項1】
パネルと、前記パネルの側部に沿って延びた中空部を有する筒状部を有するフレームと、を有する光電変換モジュールの解体方法であって、
前記中空部に解体用器具を挿入し、前記解体用器具で前記筒状部に外力を加えて、前記フレームを前記パネルから外すことを含む、光電変換モジュールの解体方法。
【請求項2】
前記フレームは、前記パネルを受け入れるパネル受け入れ部を有し、
前記外力は、前記パネルに平行で、前記パネルの中心から前記解体用器具が挿入されている箇所に向かう方向に加えられる、請求項1に記載の光電変換モジュールの解体方法。
【請求項3】
少なくとも前記フレームの長さの1/2以下の長さだけ、前記解体用器具を前記フレームの前記中空部に挿入した状態で、前記解体用器具から前記筒状部に外力を加える、請求項1又は2に記載の光電変換モジュールの解体方法。
【請求項4】
請求項1から3のいずれか1項に記載の光電変換モジュールの解体方法に用いられる解体用器具。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、光電変換モジュールの解体方法及び解体用器具に関する。
【背景技術】
【0002】
二酸化炭素の排出量の削減の施策に伴い、再生可能エネルギーの一つである、太陽電池モジュールのような光電変換モジュールの普及の増加が見込まれている。現在、光電変換モジュールは、廃棄の際に解体されてリサイクルされることが検討されている。
【0003】
光電変換モジュールは、一般的に、光エネルギーと電気エネルギーを相互に変換する平板状の光電変換パネルと、光電変換パネルの外周端部に設けられたフレームと、を含む(下記の特許文献1も参照)。フレームは、光電変換パネルの外周端部が嵌合される嵌合部を有する。光電変換パネルの外周部が嵌め込まれたフレームの嵌合部内に熱可塑性樹脂系の接着材(シール材)が充填されることによって、光電変換パネルは、フレームに強固に接着されている。
【0004】
特許文献1は、光電変換モジュールの解体時に、光電変換モジュールからフレームを取り外すリサイクル装置を開示している。特許文献1では、リサイクル装置は、フレームの形状に応じて当該フレームを挟むアームを有する。アームによりフレームを挟んだ状態で、アームを移動させてフレームが光電変換パネルから取り外される。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
特許文献1において、リサイクル装置のアームは、フレームを挟み込むため、フレームの形状に応じた形状を有する必要がある。したがって、リサイクル装置のアームの設計が複雑化することがある。
【0007】
したがって、光電変換パネルからフレームを引き剥がすため、より簡易な解体用器具や光電変換モジュールの解体方法が望まれる。
【課題を解決するための手段】
【0008】
一態様に係る光電変換モジュールの解体方法は、パネルと、前記パネルの側部に沿って延びた中空部を有する筒状部を有するフレームと、を有する光電変換モジュールの解体方法に関する。当該解体方法は、前記中空部に解体用器具を挿入し、前記解体用器具で前記筒状部に外力を加えて、前記フレームを前記パネルから外すことを含む。
【0009】
一態様に係る解体用器具は、上記の光電変換モジュールの解体方法に用いられる器具である。
【発明の効果】
【0010】
上記態様によれば、より簡易な解体用器具や光電変換モジュールの解体方法を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0011】
【
図1】
図1は、一実施形態に係る光電変換モジュールの斜視図である。
【
図2】
図2は、
図1の2A-2A線に沿った光電変換モジュールの断面図である。
【
図3】
図3は、光電変換モジュールに含まれる第1フレームの斜視図である。
【
図4】
図4は、
図1の4A-4A線に沿った光電変換モジュールの断面図である。
【
図5】
図5は、光電変換モジュールに含まれる第2フレームの斜視図である。
【
図7】
図7は、第1実施形態に係る解体用器具の模式図である。
【
図8】
図8は、締結部材が外された状態における
図1の領域6Aの拡大図である。
【
図9】
図9は、解体用器具の挿入部が挿入された状態における第2フレームの断面を示す模式的断面図である。
【
図11】
図11は、解体用器具の挿入部が挿入された状態における第1フレームを示す模式的斜視図である。
【
図12】
図12は、第2実施形態に係る解体用器具の模式図である。
【
図13】
図13は、第2実施形態に係る解体方法におけるフレーム分離ステップの一状態を示す模式的斜視図である。
【発明を実施するための形態】
【0012】
以下、図面を参照して、実施形態について説明する。以下の図面において、同一又は類似の部分には、同一又は類似の符号を付している。ただし、図面は模式的なものであり、各寸法の比率等は現実のものとは異なることがあることに留意すべきである。
【0013】
[光電変換モジュール]
図1は、一態様に係る光電変換モジュールの斜視図である。
図2は、
図1の2A-2A線に沿った光電変換モジュールの断面図である。
図3は、光電変換モジュールに含まれる第1フレームの斜視図である。
図4は、
図1の4A-4A線に沿った光電変換モジュールの断面図である。
図5は、光電変換モジュールに含まれる第2フレームの斜視図である。
図6は、
図1の領域6Aの拡大図である。
【0014】
光電変換モジュール10は、例えば、光エネルギーを電気エネルギーに変換する太陽電池モジュールであってよい。このような太陽電池モジュールは、例えば、建造物の屋根や壁面のような屋外に設置されていてよい。
【0015】
光電変換モジュール10は、平板状のパネル100と、フレーム構造体200と、を有する。パネル100は、光エネルギーと電気エネルギーを相互に変換する光電変換素子を含んでいてよい。本実施形態では、パネル100は、パネル100の表面に直交する方向(高さ方向)から見て、略四角形状である。なお、高さ方向は、図のZ方向に相当する。
【0016】
フレーム構造体200は、パネル100の周囲に取り付けられており、パネル100の側部に沿って設けられている。フレーム構造体200は、少なくとも、互いに連結された第1フレーム220と第2フレーム230を有していてよい。第1フレーム220及び第2フレーム230は、それぞれパネル100の縁辺に沿って設けられている。本実施形態では、第1フレーム220は、パネル100の第1縁辺に沿った第1方向(以下、「横方向」と称することもある。)に延びている。なお、横方向は、図のX方向に相当する。
【0017】
第2フレーム230は、パネル100の上記第1縁辺に隣接する第2縁辺に沿った第2方向(以下、「縦方向」と称することもある。)に延びていてよい。ここで、第1方向(横方向)と第2方向(縦方向)は、互いに交差する方向であればよく、好ましくは互いに直交する方向であってよい。なお、本実施形態において、縦方向は、図のY方向に相当する。
【0018】
パネル100は、
図1に示す態様では略長方形状であり、一対の第1フレーム220がパネル100の一対の長辺に沿って設けられている。同様に、一対の第2フレーム230がパネル100の一対の短辺に沿って設けられている。
【0019】
第1フレーム220は、中空部225を有する筒状部221と、第1パネル受け入れ部226を有していてよい(
図2及び
図3参照)。筒状部221及び第1パネル受け入れ部226は、横方向に延びている。
【0020】
筒状部221は、光電変換モジュールの外側と内側に向けられた一対の第1側壁部222と、光電変換モジュールの下部に位置する下壁部223と、パネル100を保持する上壁部224と、を有していてよい。中空部225は、一対の第1側壁部222と、下壁部223と、上壁部224とによって囲まれた空間である。具体的には、中空部225は、第1フレーム220が延びている方向に直交する断面において、一対の第1側壁部222と、下壁部223と、上壁部224とによって取り囲まれている。一対の第1側壁部222、下壁部223及び上壁部224は、一体に形成されていてよく、横方向に延びている。これにより、中空部225は、第1フレーム220が延びている方向(横方向)に沿って延びている。
【0021】
第1パネル受け入れ部226は、パネル100を受け入れ可能な略C字状の凹部を有していてよい。第1パネル受け入れ部226は、上記の上壁部224と、第1フランジ227との間に形成されていてよい。第1フランジ227は、一対の第1側壁部222のうちの一方の上部から、パネル100の内側の方に向かって、上壁部224に沿って突出していてよい。これにより、パネル100を受け入れ可能な略C字状の凹部が形成される(
図2参照)。一対の第1側壁部222と第1フランジ227は、一体に形成されていてよく、横方向に延びていてよい。
【0022】
第1パネル受け入れ部226の内部には、第1接着材229が充填されていてよい。これにより、第1パネル受け入れ部226は、パネル100の端部を受け入れた状態で、パネル100を保持することができる。これにより、パネル100は、第1フレーム220に接着されている。
【0023】
第1接着材229は、横方向において第1パネル受け入れ部226全体に設けられていてもよく、横方向における第1パネル受け入れ部226の一部の領域のみに設けられていてもよい。第1接着材229は、熱可塑性樹脂を含む接着材であってよい。このような接着材として、例えばシリコーン系の接着材やブチルゴム系の接着材などが挙げられる。
【0024】
第1フレーム220の横方向における両端部は、第2フレーム230の端部と当接する(
図1及び
図6参照)。第1フレーム220は、横方向における両端部付近に、ボルトのような締結部材240が挿通可能な第1孔部242を有していてよい。本実施形態では、第1孔部242は、高さ方向に2つ並んでいる。この代わりに、第1孔部242は、高さ方向に1つだけ設けられていても良い。
【0025】
第2フレーム230は、中空部235を有する筒状部231と、第2パネル受け入れ部236を有していてよい(
図2及び
図3参照)。筒状部231及び第2パネル受け入れ部236は、縦方向に延びている。
【0026】
筒状部231は、光電変換モジュールの外側と内側に向けられた一対の第2側壁部232と、光電変換モジュールの下部に位置する下壁部233と、パネル100を保持する上壁部234と、を有していてよい。中空部235は、一対の第2側壁部232と、下壁部233と、上壁部234とによって囲まれた空間である。具体的には、中空部235は、第2フレーム230が延びている方向に直交する断面において、一対の第2側壁部232と、下壁部233と、上壁部234とによって取り囲まれている。一対の第2側壁部232、下壁部233及び上壁部234は、一体に形成されていてよく、縦方向に延びている。これにより、中空部235は、第2フレーム230が延びている方向(縦方向)に沿って延びている。
【0027】
第2パネル受け入れ部236は、パネル100を受け入れ可能な略C字状の凹部を有していてよい。第2パネル受け入れ部236は、上記の上壁部234と、第2フランジ237との間に形成されていてよい。第2フランジ237は、一対の第2側壁部232のうちの一方の上部から、パネル100の内側の方に向かって、上壁部234に沿って突出していてよい。これにより、パネル100を受け入れ可能な略C字状の凹部が形成される(
図2参照)。一対の第2側壁部232と第2フランジ237は、一体に形成されていてよく、縦方向に延びていてよい。
【0028】
第2パネル受け入れ部236の内部には、第2接着材239が充填されていてよい。これにより、第2パネル受け入れ部236は、パネル100の端部を受け入れた状態で、パネル100を保持することができる。これにより、パネル100は、第2フレーム230に接着されている。
【0029】
第2接着材239は、縦方向において第2パネル受け入れ部236全体に設けられていてもよく、縦方向における第2パネル受け入れ部236の一部の領域のみに設けられていてもよい。第2接着材239は、熱可塑性樹脂を含む接着材であってよい。このような接着材として、例えばシリコーン系の接着材やブチルゴム系の接着材などが挙げられる。
【0030】
第2フレーム230の両端部は、第1フレーム220と当接していてよい(
図1及び
図6参照)。第2フレーム230は、ボルトのような締結部材240が挿通可能な第2孔部244を有していてよい。第2孔部244は、断面視でC字型の壁部238によって囲まれている。本実施形態では、C字型の壁部238は、中空部235に形成されている。具体的には、C字型の壁部238は、中空部235を有する筒状部231に形成されていてよい。C字型の壁部238は、第2フレーム230の延在方向に沿って延びている。したがって、C字型の壁部238は、略円筒状の形状を有する。
【0031】
第2フレーム230の第2孔部244は、第1フレーム220の第1孔部242と位置合わせされている。ボルトのような締結部材240は、第1フレーム220の第1孔部242と第2フレーム230の第2孔部244の両方を通る。これにより、第1フレーム220と第2フレーム230が、互いに締結される。
【0032】
光電変換パネル100は、一般に、光電変換を行う素子を封止する不図示の封止材を有する。このような封止材は、例えばエチレンビニルアセテート(EVA)やオレフィン系材料のような樹脂材料によって構成されている。
【0033】
光電変換モジュールの構成について図面を参照しつつ説明した。光電変換モジュールの構成は、上述した構成に限らず、以下の解体方法が適用できる限り、種々変更可能であることに留意されたい。
【0034】
(第1実施形態)
[解体用器具]
次に、
図7を参照し、第1実施形態に係る解体用器具について説明する。
図7は、第1実施形態に係る解体用器具の模式図である。本実施形態に係る解体用器具600は、持ち手610と、挿入部620と、を有する。
【0035】
持ち手610は、作業者によって掴むことができる形状を有していてよい。この代わりに、解体用器具600が自動化又は半自動化された装置であれば、解体用器具600は、持ち手610を備えていなくてもよい。
【0036】
挿入部620は、第1フレーム220の中空部225と第2フレーム230の中空部235のうちの少なくとも一方、好ましくは両方に挿入可能な形状を有する。このため、挿入部620は、一方向に長く伸びた棒状の形状を有していてよい。挿入部620の長さL3は、後述するフレーム分離ステップにおいて中空部225,235に挿入される長さよりも長ければよい。これにより、持ち手610、すなわち作業者から解体用器具600に加えられる力の力点が、フレーム220,230よりも十分に外側に位置する。したがって、フレーム220,230を取り外す力が、てこの原理により挿入部620からフレーム220,230へ伝わり易くなる。
【0037】
解体用器具600の挿入部620は、第1フレーム220及び第2フレーム230を構成する材料の剛性よりも高い剛性を有することが好ましい。これにより、解体用器具600の挿入部620が曲がることなく、解体用器具600から第1フレーム220及び第2フレーム230に十分に外力を加えることができる。
【0038】
[光電変換モジュールの解体方法]
次に、
図8から
図11を参照し、光電変換モジュールの解体方法について説明する。
図8は、締結部材が外された状態における
図1の領域6Aの拡大図である。
図9は、解体用器具の挿入部が挿入された状態における第2フレームの断面を示す模式的断面図である。
図10は、
図9に続くステップを示す模式的断面図である。
図11は、解体用器具の挿入部が挿入された状態における第1フレームを示す模式的斜視図である。
【0039】
光電変換モジュールの解体方法は、必要に応じて実行する前処理ステップと、必要に応じて実行する加熱ステップと、フレーム分離ステップと、を有していてよい。光電変換モジュールの構成については前述したとおりである。
【0040】
(前処理ステップ)
まず、解体すべき光電変換モジュールを準備する。光電変換モジュールに備えられた端子ボックスのような付属品は、必要に応じて、予め取り外しておいてよい。また、第1フレーム220と第2フレーム230を互いに連結する締結部材240は、
図8に示すように、後述するステップを実行する前に、取り外しておくことが好ましい。
【0041】
(加熱ステップ)
加熱ステップは、必要に応じて実施すればよい。加熱ステップでは、パネル100とフレーム220,230とを互いに接着する接着材229,239の少なくとも一部を50℃~150℃以下の温度に加熱する。
【0042】
接着材229,239を例えば50℃以上に加熱することによって、接着材229,239の接着力が低下する。したがって、後述するフレーム分離ステップにおいて、小さい外力でフレーム220,230をパネル100から分離することができる。
【0043】
(フレーム分離ステップ)
本実施形態では、フレーム分離ステップにおいて、まず第2フレーム230をパネル100から取り外し、それから第1フレーム220をパネル100から取り外す。
【0044】
まず、第1フレーム220と第2フレーム230の端部どうしを引き離すように引っ張り、第1フレーム220と第2フレーム230の境界部分に隙間を形成する。これにより、第2フレーム230の中空部235の端部を露出させる。前述したように締結部材240を予め取り外し、及び/又は第1フレーム220又は第2フレーム230の加熱によって接着材229,239の接着力を低下させておくことによって、第1フレーム220と第2フレーム230の端部どうしを引き離すように引っ張り易くすることができる。
【0045】
次に、第2フレーム230の端部に露出した中空部235の端から、中空部235内に解体用器具600の挿入部620を挿入する。
図9では、第2フレーム230の中空部235内に解体用器具600の挿入部620が挿入された様子が示されている。なお、
図9及び
図10は、第2フレーム230が延びている方向に直交する断面を示している。
【0046】
次に、
図10に示すように、解体用器具600から第2フレーム230の筒状部231に外力を加えることによって、第2フレーム230をパネル100から外す。ここで、解体用器具600の挿入部620は、筒状部231に取り囲まれているため、解体用器具600からの外力は、第2フレーム230の筒状部231に効果的に加え易くなる。したがって、第2フレーム230をパネル100から外し易くなる。
【0047】
解体用器具600から第2フレーム230の筒状部231に加えられる外力は、パネル100に平行で、パネル100の中心から解体用器具が挿入されている箇所に向かう方向(横方向)に加えられることが好ましい。これにより、第2フレーム230はパネル100に沿って横方向に引き剥がされるため、パネル100が曲がるような力が働きにくく、パネル100の割れを抑制することができる。
【0048】
第2フレーム230がパネル100から取り外されたら、次に、第1フレーム220をパネル100から取り外す。第1フレーム220の取り外しも、第2フレーム230と同様に実施することができる。
【0049】
第2フレーム230がパネル100から既に取り外されているため、第1フレーム220の中空部225の端部は既に露出している。第1フレーム220の端部に露出した中空部225の端から、中空部225内に解体用器具600の挿入部620を挿入する。
図11では、第1フレーム220の中空部225内に解体用器具600の挿入部620が挿入された様子が示されている。
【0050】
次に、解体用器具600から第1フレーム220の筒状部221に外力を加えることによって、第1フレーム220をパネル100から外す。解体用器具600から第1フレーム220の筒状部221に加えられる外力は、パネル100に平行で、パネル100の中心から解体用器具が挿入されている箇所に向かう方向(縦方向)に加えられることが好ましい。これにより、パネル100が曲がるような力が働きにくく、パネル100の割れを抑制することができる。
【0051】
上記のフレーム分離ステップにより、第1フレーム220と第2フレーム230の両方をパネル100から取り外すことができる。
【0052】
フレーム分離ステップにおいて、少なくともフレーム220,230の長さの1/2以下の長さだけ、解体用器具の挿入部620をフレーム220,230の中空部225,235に挿入した状態で、解体用器具600から筒状部221,231に外力を加えることが好ましい。より好ましくは、少なくともフレーム220,230の長さの1/3以下の長さだけ、解体用器具の挿入部620をフレーム220,230の中空部225,235に挿入した状態で、解体用器具600から筒状部221,231に外力を加える。これにより、挿入部620からパネル100に負荷がかかりすぎることを抑制し、パネル100の割れを抑止することができる。挿入部620は、例えば、500mm以下、400mm以下、又は300mm以下の長さだけ中空部225,235に挿入されてもよい。
【0053】
フレーム分離ステップにおいて、挿入部620は、例えば30mm以上、40mm以上、又は50mm以上、フレーム220,230の中空部225,235に挿入されることが好ましい。これにより、フレーム220,230を取り外す作業中に、解体用器具600の挿入部620がフレーム220,230の中空部225,235から外れる可能性を低減することができる。
【0054】
上記実施形態では、フレーム分離ステップにおいて、まず第2フレーム230をパネル100から取り外し、それから第1フレーム220をパネル100から取り外した。この代わりに、まず第1フレーム220をパネル100から取り外し、それから第2フレーム230をパネル100から取り外してもよい。
【0055】
(第2実施形態)
次に、第2実施形態に係る解体用器具及び解体方法について
図12及び
図13を参照して説明する。
図12は、第2実施形態に係る解体用器具の模式図である。
図13は、第2実施形態に係る解体方法におけるフレーム分離ステップの一状態を示す模式的斜視図である。
【0056】
第2実施形態において、第1実施形態と同様の構成については同じ符号が付されている。また、第1実施形態と同様の構成については、その説明を省略することがあることに留意されたい。
【0057】
第2実施形態に係る解体用器具600は、一対の持ち手610と、挿入部620と、を有する。第2実施形態では、一対の持ち手610は、挿入部620の両端部に設けられている。第2実施形態では、挿入部620の長さL5は、第1フレーム220の長さL1と第2フレーム230の長さL2のうちの一方、好ましくは両方よりも長いことが好ましい。これにより、解体用器具の挿入部620が第1フレーム220及び/又は第2フレーム230の中空部225,235に挿入された状態において、一対の持ち手610の両方が、第1フレーム220及び/又は第2フレーム230よりも外側に突出した状態になる(
図13参照)。
【0058】
これにより、作業者は、光電変換モジュールの解体方法のフレーム分離ステップにおいて、一対の持ち手610の両方を掴んだ状態で、解体用器具でフレーム220,230の筒状部221,231に外力を加えて、フレーム220,230をパネル100から外すことができる。この場合、一対の持ち手610のそれぞれは、同一の作業者によって掴まれてもよく、別々の作業者によって掴まれてもよい。すなわち、フレーム分離ステップは、一人の作業者によって行われてもよく、二人の作業者によって行われてもよい。
【0059】
第2実施形態では、解体用器具の挿入部610が、中空部225,235全体にわたって挿入されるため、フレーム220,230を引き剥がすときにフレーム220,230が曲がることを抑制することができる。これにより、フレーム220,230をパネル100から引き剥がし易くなったり、フレーム220,230の分離中にパネル100が割れることをより抑制することができる。
【0060】
第2実施形態に係る光電変換モジュールの解体方法について、前述した内容以外の内容については、第1実施形態と同様に実施できることに留意されたい。
【0061】
上述したように、実施形態を通じて本発明の内容を開示したが、この開示の一部をなす論述及び図面は、本発明を限定するものであると理解すべきではない。この開示から当業者には様々な代替の実施形態、実施例及び運用技術が明らかとなる。したがって、本発明の技術的範囲は、上述の説明から妥当な特許請求の範囲に係る発明特定事項によってのみ定められるものである。
【符号の説明】
【0062】
10 光電変換モジュール
100 パネル
220 第1フレーム
221 筒状部
225 中空部
230 第2フレーム
231 筒状部
235 中空部
600 解体用器具
620 挿入部