(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024098173
(43)【公開日】2024-07-23
(54)【発明の名称】バランス機能を付与した船舶
(51)【国際特許分類】
B63B 39/00 20060101AFI20240716BHJP
【FI】
B63B39/00
【審査請求】未請求
【請求項の数】1
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023001453
(22)【出願日】2023-01-10
(71)【出願人】
【識別番号】000229162
【氏名又は名称】日本ソリッド株式会社
(72)【発明者】
【氏名】波多野 倫
(57)【要約】
【課題】
船舶のバランス保持、防舷材、錨等の機能を有する平衡保持材を装着した船舶。
【解決手段】
外径の異なるエアタイヤを任意を順に可撓性筒状体に挿通して外部エアタイヤ重層体を設け、前記可撓性筒状体の内部にエアタイヤおよび/またはノーパンクタイヤを任意の順序で挿入して内部タイヤ重層体を設け、かつ前記外部エアタイヤ重層体の両端部に、前記外部エアタイヤ重層体に直交するように輪状体を設けてなる平衡保持材を、少なくとも船舶の右舷および左舷側に吊着してなるバランス機能を付与した船舶。
【選択図】
図5
【特許請求の範囲】
【請求項1】
外径の異なるエアタイヤを任意の順に可撓性筒状体に挿通してサイドウォール部を接するように連接して外部エアタイヤ重層体を設け、前記可撓性筒状体の内部に、エアタイヤおよび/またはノーパンクタイヤを任意の順序で挿入してサイドウォール部を接するように連接して内部タイヤ重層体を設け、かつ前記外部エアタイヤ重層体の両端部に、前記外部エアタイヤ重層体に直交するように輪状体を設け、前記両端部の輪状体を、内部タイヤ重層体の中空部を通した連結手段によって固定して、外部エアタイヤ重層体と内部タイヤ重層体を、それぞれ一体に連設してなる平衡保持材を少なくとも船舶の右舷側および左舷側に吊着したことを特徴とするバランス機能を付与した船舶。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、船舶に関し、さらに詳しくは、平衡機能、錨機能、防舷機能を有する平衡保持材を付与した船舶に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、本発明の平衡保持材に類似したものとしては、例えば緩衝材を取り付けた壁面構造体であって、弾力性のある中空構造の輪状体、螺旋状態および管状体のうち少なくとも1種からなる緩衝部材を、その側面が互いに接するようにして、複数個連結して外側筒状集合体を形成し、外側筒状集合体の両端部の外側に各々1個または2個以上の別の輪状体を外側筒状集合体と交差する方向に配置し、外側筒状集合体の両端部の外側に配置した該別の輪状体に、外側筒状集合体および外側筒状集合体内に挿入した中空構造の輪状体を連結手段で一体に連結固定した構造を有し、外側筒状集合体の円筒面上の少なくとも1個所を壁面に接触させた状態にして壁面に取り付けたことを特徴とする緩衝材を取り付けた壁面構造体(特許文献1)。弾力性のある輪状体をその側面に互いに接触させてまたは多少の間隔をあけて複数個配列して形成した筒状集合体、および該筒状集合体の長手方向の筒状空所内に挿入した該筒状空所の内径とほぼ一致する外径を有する連続した別の筒状体または棒状体を備え、かつ前記筒状集合体の両端部の外側に各々1個または2個以上の別の輪状体を筒状集合体と交差する方向に配置し、筒状集合体の両端部の外側に配置した該別の輪状体に、筒状集合体および筒状集合体内に挿入した該別の筒状体または棒状体を連結手段で一体に連結固定した構造を有していることを特徴とする緩衝材(特許文献2)。タイヤを互にサイド部が接するように積み重ね、その積み重ねられた各々隣接するタイヤのビート部とビート部とを挟持するように固定板を複数箇所に設けて固定することによってタイヤ筒状体を形成させ、該タイヤ筒状体に形成された、筒状中空部を構成するタイヤのビードトー部に接するようにタイヤ筒状体形状補強体を設け、該タイヤ筒状体形成補強体の中空筒状部内に連結具の挿通する穴を有する緩衝材を設け、さらにストッパータイヤの断面∪字状の溝部に該タイヤより小さい口径のタイヤを嵌入させて構成した係止用タイヤを、その係止用タイヤのクラウン部を前記筒状体のサイド部に接するように設け、そして該係止用タイヤの中空部と緩衝材の穴に連結具を通して緊縮固定することを特徴とするタイヤ構造体(特許文献3)等が知られている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特許第3334083号公報
【特許文献2】特許3364756号公報
【特許文献3】特許第4811722号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
本発明は、船舶のローリングやピッチングを抑制すると共に、その他の機能すなわち、錨機能および防舷機能等の多機能を有する部材を得るべく、種々研究を重ねた結果本発明を完成するに至った。
【課題を解決するための手段】
【0005】
すなわち、本発明は、外径の異なるエアタイヤを任意の順に可撓性筒状体に挿通してサイドウォール部を接するように連接して外部エアタイヤ重層体を設け、前記可撓性筒状体の内部に、エアタイヤおよび/またはノーパンクタイヤを任意の順序で挿入してサイドウォール部を接するように連接して内部タイヤ重層体を設け、かつ前記外部エアタイヤ重層体の両端部に、前記外部エアタイヤ重層体を直交するように輪状体を設け、前記両端部の輪状体を、内部タイヤ重層体の中空部を通した連結手段によって固定し、外部エアタイヤ重層体と内部タイヤ重層体を、それぞれ一体に連接してなる平衡保持材を少なくとも船舶の右舷側および左舷側に、吊着したことを特徴とするバランス機能を付与した船舶に関する。
【発明の効果】
【0006】
本発明の平衡保持材を船舶に装着することによって船舶のローリング等の揺れを抑制すると共に、錨機能や防舷機能を付与することができるので特に小型漁舟等は操業性が向上し、漁獲量が増大すると共に船体の保護も同時に行うことができる。
【図面の簡単な説明】
【0007】
【
図6】本発明の平衡保持材を船舶に装着した状態を示す側面図。
【
図7】本発明の平衡保持材を船舶のバランスを取るための状態を示した船舶の側面図。
【発明を実施するための形態】
【0008】
まず船舶に装着する平衡保持材Bについて説明する。
図1は、本発明の可撓性筒状体1の一例を示す斜視図である。可撓性筒状体1は、ゴム、軟質合成樹脂等の可撓性素材から調製されている。可撓性筒状体1の形状も
図1に示す円筒状の他、三角筒状、四角筒状、五角筒状、六角筒状等の多角筒状のものが使用できる。
可撓性筒状体1の長さLは外部エアタイヤ重層体2および内部タイヤ重層体3の重層する長さによって適宜決定される。
【0009】
図2は、一部断面部状態にして表わした平衡保持材Bの一例を示す側面図である。円筒状の可撓性筒状体1に大きい外径のエアタイヤ2の中空部を挿通し、次いで小さい外径のエアタイヤ3を前記大きい外径のエアタイヤ2のサイドウォール部に接するように挿通する。このように大きい外径のエアタイヤ2と小さい外径のエアタイヤ3を順次挿通することによって外部エアタイヤ重層体4を構成することができる。外部エアタイヤ重層体4は、前記したように大きい外径のエアタイヤ2と小さい外径のエアタイヤ3とを交互に挿通して構成する場合を示したが、それ以外に種々の組合せで外部エアタイヤ重層体4を構成することができる。
【0010】
外部エアタイヤ重層体4を装着した可撓性筒状体1の内部に、ノーパンクタイヤ5を挿入し、次いでエアタイヤ6をサイドウォール部を接するように三個重ねるように挿入し、次いで同様にしてノーパンクタイヤ5を挿入して内部タイヤ重層体7を構成する。この内部タイヤ重層体7はエアタイヤ6とノーパンクタイヤ5を適宜挿入順序を変えることによって第3図に示すような内部タイヤ重層体7とする以外に種々の組合せの内部タイヤ重層体7を構成することができる。
本発明は、内部タイヤ重層体7にノーパンクタイヤ5を使用することによって衝撃吸収エネルギーの増大を計ると共に、衝突後における平衡保持材Bの復元保形性を保つことができる。
【0011】
可撓性筒状体1の外部に外部エアタイヤ重層体4を設け、前記可撓性筒状体1の内部に内部タイヤ重層体
7を設けた平衡保持材本体8の両端部に、前記外部エアタイヤ重層体4に直交するように例えばタイヤのような輪状体9を設け、該二個の輪状体9を内部タイヤ重層体
7の中空部を通した例えばチェーン10等の連結手段によって一体に連結することによって平衡保持材Bを構成することができる。なお輪状体9は強度を持たせるために、例えばエアタイヤの中に該エアタイヤより外径の小さい、タイヤ等を入れることによって構成することもできる。
また本発明の内部タイヤ重層体
7は、
図4に示すように中央部に、例えばエアタイヤを変形させた状態11で使用することもできる。
【0012】
さらに本発明の平衡保持材Bの重量の調整は、内部タイヤ重層体8のエアタイヤ6とノーパンクタイヤ5の組合せを調整することによって所望の重量の平衡保持材Bを得ることができる。
【0013】
次に本発明の平衡保持材Bを船舶に装着する方法について説明する。
図5に示すように平衡保持材Bの両端部に有する輪状体9に、例えばロープ、チェーン、ワイヤー等の紐状体12を設ける。このようにした平衡保持材Bを、
図6に示すように紐状体12を船舶に懸吊する。この懸吊手段、船舶のバランスを取る時には
図7に示すように平衡保持材Bを鉛直方向に保持するために船舶に懸吊した一方の紐状体12を開放することによって目的が達成される。またこの状態においても防舷の機能もはたすことができる。
【0014】
また本発明の平衡保持材Bは右舷、左舷、船首、および船尾の適宜の個所に任意の数だけ設けることができ、これらを適宜鉛直方向に吊着することによってバランス効果を得ることができる。
【0015】
さらに本発明の平衡保持材Bを水底に沈めることによって、平衡保持材Bの凹凸部が、水底の土砂、岩等を拘持するので錨としての役割を果たすことができる。
【符号の説明】
【0016】
1・・・・可撓性筒状体
2・・・・外部タイヤ重層体
3・・・・内部タイヤ重層体
9・・・・輪状体
10・・・・チェーン