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  • 特開-化粧シートおよび化粧部材 図1
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024098187
(43)【公開日】2024-07-23
(54)【発明の名称】化粧シートおよび化粧部材
(51)【国際特許分類】
   B32B 27/00 20060101AFI20240716BHJP
   B32B 7/022 20190101ALI20240716BHJP
   E04F 13/07 20060101ALI20240716BHJP
   E04F 13/18 20060101ALI20240716BHJP
【FI】
B32B27/00 E
B32B27/00 B
B32B7/022
E04F13/07 B
E04F13/18 A
【審査請求】未請求
【請求項の数】5
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023001476
(22)【出願日】2023-01-10
(71)【出願人】
【識別番号】000003193
【氏名又は名称】TOPPANホールディングス株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100149548
【弁理士】
【氏名又は名称】松沼 泰史
(74)【代理人】
【識別番号】100139686
【弁理士】
【氏名又は名称】鈴木 史朗
(74)【代理人】
【識別番号】100169764
【弁理士】
【氏名又は名称】清水 雄一郎
(74)【代理人】
【識別番号】100147267
【弁理士】
【氏名又は名称】大槻 真紀子
(72)【発明者】
【氏名】田島 春佳
(72)【発明者】
【氏名】西澤 梓馬
(72)【発明者】
【氏名】小原 龍
【テーマコード(参考)】
2E110
4F100
【Fターム(参考)】
2E110AA70
2E110AB04
2E110AB05
2E110AB23
2E110AB46
2E110BA05
2E110BB03
2E110BB04
2E110GA22W
2E110GA32Y
2E110GB03Y
2E110GB06Y
2E110GB43Y
4F100AB04
4F100AB04A
4F100AB10
4F100AB10A
4F100AK01
4F100AK01B
4F100AK03
4F100AK03A
4F100AK42
4F100AK42B
4F100AT00A
4F100BA02
4F100BA03
4F100BA07
4F100DH00
4F100DH00A
4F100GB07
4F100GB81
4F100HB00
4F100HB00C
4F100HB31
4F100HB31C
4F100JB16
4F100JB16B
4F100JK15
4F100JK15B
(57)【要約】
【課題】人の指が滑りにくい化粧シートおよび化粧部材を提供する。
【解決手段】化粧シート10は、原反層1と、前記原反層1の上側UPに設けられた熱可塑性樹脂層4と、を備え、前記熱可塑性樹脂層4の前記上側UPの面4sは、静止摩擦係数が2.0以上、最大高さRzが3.0μm以下、算術平均粗さRaが0.3μm以下である。化粧部材100は、化粧シート10と、前記化粧シート10の下側LOに設けられた基材20と、を備える。
【選択図】図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
原反層と、
前記原反層の上側に設けられた熱可塑性樹脂層と、
を備え、
前記熱可塑性樹脂層の前記上側の面は、
静止摩擦係数が2.0以上、
最大高さRzが3.0μm以下、
算術平均粗さRaが0.3μm以下である、
化粧シート。
【請求項2】
前記熱可塑性樹脂層は、ポリエチレンテレフタレートを含む、
請求項1に記載の化粧シート。
【請求項3】
前記原反層は、ポリオレフィン系樹脂を含む、
請求項2に記載の化粧シート。
【請求項4】
前記原反層の前記上側に絵柄を印刷して形成された絵柄模様層をさらに備える、
請求項3に記載の化粧シート。
【請求項5】
請求項1から請求項4のいずれか一項に記載の化粧シートと、
前記化粧シートの下側に設けられた基材と、
を備える、
化粧部材。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、化粧シートおよび化粧部材に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、住宅等の建築物の内装材や造作材、建具等の建築資材、家具什器類、住設機器又は家電製品等の表面化粧に用いられる化粧シートがある。特に、表面にPET(ポリエチレンテレフタレート)等の樹脂層を有し、耐熱、耐薬品性および耐摩耗性に優れる化粧シートがある。また、人の手によって開閉操作がされるキッチン扉等の表面材は、人の指に対して滑りにくいことが求められる。
【0003】
表面に樹脂層を有する化粧シートとして、特許文献1に記載のある化粧シートがある。特許文献1に記載のある化粧シートは、透明熱可塑性樹脂層、絵柄層、着色透明熱可塑性樹脂層を順に積層してなる。また、着色透明熱可塑性樹脂層の裏側に、絵柄層と同調した凹陥模様が設けられ、表面に高い艶や塗装感を有するとともに意匠の深み感や立体感を表現する。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開平8-197698号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、特許文献1に記載のある化粧シートは、表面が人の指に対して滑りやすい虞がある。
【0006】
上記事情を踏まえ、本発明は、人の指が滑りにくい化粧シートおよび化粧部材を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上記課題を解決するために、この発明は以下の手段を提案している。
本発明の化粧シートは、原反層と、前記原反層の上側に設けられた熱可塑性樹脂層と、を備え、前記熱可塑性樹脂層の前記上側の面は、静止摩擦係数が2.0以上、最大高さRzが3.0μm以下、算術平均粗さRaが0.3μm以下である。
【0008】
上記化粧シートでは、前記熱可塑性樹脂層は、ポリエチレンテレフタレートを含んでもよい。
【0009】
上記化粧シートでは、前記原反層は、ポリオレフィン系樹脂を含んでもよい。
【0010】
上記化粧シートでは、前記原反層の前記上側に絵柄を印刷して形成された絵柄模様層をさらに備えてもよい。
【0011】
本発明の化粧部材は、上記のいずれかの化粧シートと、前記化粧シートの下側に設けられた基材と、を備える。
【発明の効果】
【0012】
本発明の化粧シートおよび化粧部材によれば、人の指が滑りにくい化粧シートおよび化粧部材を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0013】
図1】本実施形態に係る化粧部材を模式的に示す断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0014】
本発明の一実施形態について、図面を参照して説明する。
【0015】
図1は、本実施形態に係る化粧部材100を模式的に示す断面図である。
本実施形態では、図1に示すように、化粧部材100の厚さ方向を「上下方向V」、化粧部材100の基材20が設けられた側を上下方向Vにおける「下側LO」、下側LOと反対側を上下方向Vにおける「上側UP」と定義する。
【0016】
化粧部材100は、化粧シート10と、基材20とを備える。
基材20は、化粧シート10の下側LOに設けられている。基材20としては、パーチクルボード又は中密度繊維板(MDF)等を採用できる。また、基材20として、アルミニウム又はステンレス等の金属系の板状の部材、ポリエチレン等の樹脂からなる芯材の両側にアルミニウム等の金属を貼り付けた複合板を採用してもよい。
【0017】
化粧シート10は、原反層1と、絵柄模様層2と、接着剤層3と、熱可塑性樹脂層4と、プライマ層5と、を備える。
原反層1は、後述するプライマ層5の上側UPに設けられた層である。原反層1は、印刷を施すことができる公知の材質からなるシート状の層である。
【0018】
原反層1として、ポリエチレン、ポリプロピレン等のポリオレフィン系樹脂を採用できる。また、原反層1として、薄葉紙又はチタン紙等の繊維質シートを採用してもよい。原反層1として、ポリオレフィン系樹脂を採用するのが望ましい。原反層1としてポリオレフィン系樹脂を採用することで、チタン紙等の繊維質シートと比べて、後述する熱可塑性樹脂層4の上側UPの面4sの表面粗さ等の表面性状パラメータを任意の粗さに設定しやすい。また、化粧シート10に十分な剛性を持たせることができる。
【0019】
絵柄模様層2は、原反層1の上側UPに設けられた層である。絵柄模様層2は、例えば、木目、石目又は砂目等の絵柄の印刷を原反層1の上側UPに施すことで形成されている。絵柄模様層2の印刷方法としては、例えば、グラビア印刷、オフセット印刷、フレキソ印刷、シルクスクリーン印刷又はインクジェット印刷等の公知の印刷方法を採用できる。絵柄模様層2には、採用する印刷方法に適した公知の印刷インキ(例えば、ウレタンインキ)を採用できる。また、化粧シート10が絵柄を有する必要が無い場合、化粧シート10は、絵柄模様層2を備えなくてもよい。
【0020】
接着剤層3は、絵柄模様層2の上側UPに設けられた層である。接着剤層3は、絵柄模様層2と、後述する熱可塑性樹脂層4との密着性を向上させる目的で設けられた層である。接着剤層3として、ポリエチレン系、アクリル系、ポリエステル系、エポキシ系等の公知の接着性樹脂を採用できる。接着剤層3には、絵柄模様層2の絵柄を透視できる程度に透明又は半透明な材質を採用するのが望ましい。また、接着剤層3を形成する接着剤の形態としては、フィルム等の固体、液体又は粉体等の形態を適宜とることができる。
【0021】
接着剤層3を形成する方法として、グラビア印刷、オフセット印刷、フレキソ印刷、シルクスクリーン印刷又はインクジェット印刷等の公知の印刷方法や、公知のコーティング装置を用いた形成方法を採用できる。また、接着剤層3は、溶融押出成形法で形成されてもよい。また、接着剤層3を設けなくても絵柄模様層2と熱可塑性樹脂層4とが十分な密着性を有する場合、化粧シート10は、接着剤層3を備えなくてもよい。
【0022】
熱可塑性樹脂層4は、接着剤層3の上側UPに設けられた層である。熱可塑性樹脂層4は、化粧シート10の上側UPの面に設けられていればよく、例えば、化粧シート10が絵柄模様層2および接着剤層3を備えない場合、熱可塑性樹脂層4は、原反層1の上側UPに設けられる。
【0023】
熱可塑性樹脂層4として、エチルセルロース、硝酸セルロース、酢酸セルロース、エチルヒドロキシセルロース、セルロースアセテートプロピオネート等のセルロース誘導体、ポリエチレン、エチレン酢酸ビニル共重合体、エチレンビニルアルコール共重合体等のポリエチレン系樹脂、ポリプロピレン樹脂、ポリスチレン、ポリα-メチルスチレン、ABS樹脂等のスチレン系樹脂、ポリメタクリル酸メチル、ポリアクリル酸エチル、ポリアクリル酸ブチル等のアクリル系樹脂、ポリ塩化ビニル、ポリ酢酸ビニル、塩化ビニル酢酸ビニル共重合体、ポリビニルアルコール、ポリビニルブチラール、ポリビニルアセタール等のビニル系樹脂、ポリエチレンテレフタレート樹脂、ポリカーボネート樹脂、線状ポリウレタン樹脂、ポリアミド樹脂、ナイロン6、ナイロン66、フッ化ビニリデン、4-フッ化エチレン、3-フッ化塩化エチレン等のフッ素樹脂、4-メチルペンテン-1樹脂、ポリサルフォン樹脂、ポリフェニルオキシド樹脂、ロジン、ロジン変性マレイン酸樹脂、ロジン変性フェノール樹脂、重合ロジン等のロジンエステル樹脂、クマロン樹脂、ビニルトルエン樹脂等の天然または合成樹脂を採用できる。
【0024】
熱可塑性樹脂層4として、温度および湿度に対して、寸法安定性が高い材質を採用するのが望ましい。例えば、熱変形温度80℃以上の熱可塑性樹脂として、ポリエチレンテレフタレート樹脂、ポリプロピレン樹脂、ポリメタクリル酸メチル、ポリカーボネート樹脂、ポリアミド樹脂、ナイロン66、フッ化ビニリデン、4-フッ化エチレン、3-フッ化塩化エチレン、4-メチルペンテン-1樹脂、ポリサルフォン樹脂、ポリフェニルオキシド樹脂等を採用できる。
【0025】
熱可塑性樹脂層4を積層する方法として、ドライラミネート、ウェットラミネーション、ノンソルベントラミネーション、ワックスラミネーション又はサーマルラミネーション等の公知のラミネート法を採用できる。また、熱可塑性樹脂層4は、公知のコーティング装置を用いて積層されてもよい。
【0026】
ここで、熱可塑性樹脂層4の上側UPの面4sの表面性状パラメータ等について説明する。熱可塑性樹脂層4の上側UPの面4sは、静止摩擦係数が2.0以上、最大高さRzが3.0μm以下、算術平均粗さRaが0.3μm以下である。
【0027】
熱可塑性樹脂層4の上側UPの面4sの静止摩擦係数を2.0以上とすることで、人の指に対して滑りにくい化粧シート10を実現できる。熱可塑性樹脂層4の上側UPの面4sの静止摩擦係数は、熱可塑性樹脂層4の材質や、熱可塑性樹脂層4の上側UPの面4sが有する凹凸形状における表面粗さ等によって変化する。
【0028】
例えば、熱可塑性樹脂層4の上側UPの面4sが凹凸形状を有し、熱可塑性樹脂層4の上側UPの面4sを人の指で擦ったとき、凹凸形状と指との引っ掛かり具合によって静止摩擦係数が変化する。熱可塑性樹脂層4の上側UPの面4sが有する凹凸形状と指との引っ掛かり具合は、熱可塑性樹脂層4の上側UPの面4sの表面粗さ等によって変化する。
【0029】
ここで、熱可塑性樹脂層4の上側UPの面4sの表面粗さが大きいと、指に凹凸感が伝わり、触感が劣る虞がある。ここで、熱可塑性樹脂層4の上側UPの面4sは、最大高さRzが3.0μm以下、算術平均粗さRaが0.3μm以下であるため、触感の低下を抑制し、内装材や家具等に用いられる化粧シートとして十分な触感を有することができる。
【0030】
プライマ層5は、原反層1の下側LOに設けられた層である。プライマ層5は、化粧シート10と基材20とを接着するとき、化粧シート10の原反層1と、基材20との密着性を向上させる目的で設けられた層である。
【0031】
プライマ層5として、ポリエステル系樹脂、ウレタン系樹脂又はアクリル系樹脂等を採用できる。プライマ層5を積層する方法として、グラビア印刷、オフセット印刷、フレキソ印刷、シルクスクリーン印刷又はインクジェット印刷等の公知の印刷方法や、公知のコーティング装置を用いた形成方法を採用できる。また、プライマ層5は、溶融押出成形法で形成されてもよい。
【0032】
プライマ層5を設けなくても化粧シート10と基材20とが十分な密着性を有する場合、化粧シート10は、プライマ層5を備えなくてもよい。
【0033】
本実施形態の化粧シート10および化粧部材100によれば、原反層1の上側UPに設けられた熱可塑性樹脂層4において、熱可塑性樹脂層4の上側UPの面4sは、静止摩擦係数が2.0以上、最大高さRzが3.0μm以下、算術平均粗さRaが0.3μm以下である。
【0034】
その結果、人の指が滑りにくい化粧シート10および化粧部材100を提供することができる。
【0035】
以上、本発明の一実施形態について図面を参照して詳述したが、具体的な構成はこの実施形態に限られるものではなく、本発明の要旨を逸脱しない範囲の設計変更等も含まれる。また、上述の一実施形態および以下で示す変形例において示した構成要素は適宜に組み合わせて構成することが可能である。
【0036】
(変形例1)
上記実施形態において、化粧シート10は、熱可塑性樹脂層4の上側UPの面4sにコーティング剤等の塗布を施されていないが、化粧シートの態様はこれに限定されない。化粧シートは、熱可塑性樹脂層の上側の面にコーティング剤等の塗布を施されてもよい。
【0037】
化粧シートにおいて、人が触る表面の静止摩擦係数が2.0以上、最大高さRzが3.0μm以下、算術平均粗さRaが0.3μm以下であればよく、例えば、熱可塑性樹脂層の上側の面にハードコート剤を塗布することで、表面の静止摩擦係数が2.0以上、最大高さRzが3.0μm以下、算術平均粗さRaが0.3μm以下である化粧シートを実現してもよい。
【0038】
以下実施例により、本発明を詳細に説明する。本発明は以下の実施例に限定されるものではない。
【0039】
(実施例1)
原反層1として厚さ100μmのポリオレフィンシートを用いて、原反層1の上側UPにグラビア印刷によってウレタンインキ(東洋インキ株式会社製)を印刷し、絵柄模様層2を形成した。
【0040】
絵柄模様層2の上側UPに、熱可塑性樹脂層4として、上側UPの面4sの算術平均粗さRaが0.1μm以下、かつ、上側UPの面4sにハードコート剤を塗布した厚さ75μmのポリエチレンテレフタレートシートをドライラミネートによって貼り付けて、実施例1の化粧シート10を得た。
【0041】
(実施例2)
絵柄模様層2の上側UPに、熱可塑性樹脂層4として、上側UPの面4sの算術平均粗さRaが0.3μm以下、かつ、上側UPの面4sにハードコート剤を塗布した厚さ75μmのポリエチレンテレフタレートシートをドライラミネートにより貼り合わせた以外は実施例1と同様の方法により、実施例2の化粧シートを得た。
【0042】
(比較例1)
絵柄模様層の上側に熱可塑性樹脂層4を設けずに、ポリプロピレンクリア層、表面保護層および熱硬化樹脂層を設けた以外は実施例1と同様の方法により、比較例1の化粧シートを得た。
【0043】
比較例1におけるポリプロピレンクリア層は、絵柄模様層の上側に、ポリプロピレン樹脂(サンアロマー株式会社製)を厚さ70μmになるように押し出し機によって積層して形成した。また、樹脂を押し出すと同時に、ポリプロピレンクリア層の上側の面の算術平均粗さRaが1μm以下となるように、エンボス版を用いてポリプロピレンクリア層の上側の面に凹凸部を形成した。
【0044】
比較例1における表面保護層は、ポリプロピレンクリア層の上側の面に、熱硬化性樹脂(DIC株式会社製のアクリルウレタン樹脂)を塗布量が4.0~5.0g/mとなるように塗布して形成した。
【0045】
比較例1における熱硬化樹脂層は、表面保護層の上側の面に、熱硬化性樹脂(東洋インキ株式会社製のシリコーン変性アクリルウレタン樹脂)を塗布量が2.5~3.5g/mとなるように塗布し、40℃にて硬化させて形成した。こうして、比較例1の化粧シートを得た。
【0046】
(比較例2)
ポリプロピレンクリア層の厚さを90μm、ポリプロピレンクリア層の上側の面の算術平均粗さRaを2μm以上とした以外は比較例1と同様の方法により、比較例2の化粧シートを得た。
【0047】
(比較例3)
ポリプロピレンクリア層の上側の面の算術平均粗さRaを1μm以上2μm以下とした以外は比較例1と同様の方法により、比較例3の化粧シートを得た。
【0048】
(比較例4)
ポリプロピレンクリア層の厚さを80μm、表面保護層の塗布量を2.5~3.5g/mとし、熱硬化樹脂層にDIC株式会社製の熱硬化性樹脂を用いた以外は比較例1と同様の方法により、比較例4の化粧シートを得た。
【0049】
(実験1)
実施例1-2および比較例1-4の化粧シートに触感評価試験を実施した。触感評価試験では、10人の試験員で化粧シートの上側の面の触感における官能試験を実施し、指に対する滑りやすさについて評価した。触感評価試験では、試験員が化粧シートの上側の面に指を触れた状態で手を動かし、実施例1-2および比較例1-4の化粧シートの中で最も指が滑りやすい物を1点、次点を2点とし、指が滑りやすい順で点数をつけ、10人の試験員がつけた合計点数を評価した。
評価基準は3段階とし、評価〇以上を合格とした。
〇:合計点数が41点以上。
△:合計点数が11点以上40点以下。
×:合計点数が10点以下。
【0050】
(実験2)
実施例1-2および比較例1-4の化粧シートに摩擦係数測定試験を実施した。摩擦係数測定試験では、トライボギア触感計(新東科学株式会社製:TYPE33)を使用して、化粧シートの上側の面における人の指に対する最大摩擦荷重から静止摩擦係数を算出した。
【0051】
(実験3)
実施例1-2および比較例1-4の化粧シートに最大高さ測定試験を実施した。最大高さ測定試験では、レーザー顕微鏡(オリンパス株式会社製:LEXT OLS4100)を使用して最大高さRzを算出した。具体的には、化粧シートの上側の面における凹凸部において、凹凸部の粗さ曲線を抜き出し、基準線から凸部(粗さ曲線の山の頂点)までの最大値と、基準線から凹部(粗さ曲線の谷の底の点)までの最大値とを加算した値から算出した。
【0052】
(実験4)
実施例1-2および比較例1-4の化粧シートに算術平均粗さ測定試験を実施した。算術平均粗さ測定試験では、レーザー顕微鏡(オリンパス株式会社製:LEXT OLS4100)を使用して算術平均粗さRaを算出した。具体的には、化粧シートの上側の面における凹凸部において、凹凸部の粗さ曲線を抜き出し、基準長さにおける凹凸状態(粗さ)の平均値を算出した。
【0053】
(実験結果)
実験1-4の結果を表1に示す。表1に示す実験1の結果において、括弧内の数値は触感評価における合計点数を示す。実験1において、静止摩擦係数が2.0以上、最大高さRzが3.0μm以下、算術平均粗さRaが0.3μm以下である実施例1-2は、良好な結果を示した。
【0054】
【表1】
【符号の説明】
【0055】
100 化粧部材
10 化粧シート
1 原反層
2 絵柄模様層
3 接着剤層
4 熱可塑性樹脂層
5 プライマ層
4s 熱可塑性樹脂層の上側の面
20 基材
V 上下方向
UP 上側
LO 下側
図1