(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024098193
(43)【公開日】2024-07-23
(54)【発明の名称】排液器
(51)【国際特許分類】
A61F 9/007 20060101AFI20240716BHJP
【FI】
A61F9/007 130C
【審査請求】未請求
【請求項の数】10
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023001487
(22)【出願日】2023-01-10
(71)【出願人】
【識別番号】509114376
【氏名又は名称】株式会社Frontier Vision
(74)【代理人】
【識別番号】100114764
【弁理士】
【氏名又は名称】小林 正樹
(74)【代理人】
【識別番号】100178124
【弁理士】
【氏名又は名称】篠原 英樹
(72)【発明者】
【氏名】飽浦 淳介
(72)【発明者】
【氏名】竹内 大介
(57)【要約】
【課題】瞼裂内に貯留する液体を瞼裂外に効率的に排出することができる排液器を提供することを目的とする。
【解決手段】眼科手術時に瞼裂K内に貯留する液体Eを瞼裂K外に排出する排液器である。撥水性の素材により網状に構成された排液器本体10を少なくとも備える。排液器本体10は、先端部10aが瞼裂K内に位置し、かつ基端部10cが瞼裂K外に位置して眼瞼Mを跨ぐ態様で配置される。これによれば、瞼裂K内に貯溜する液体Eが、先端部10aで吸引されたあと、基端部10cに向かって排液器本体10の網状に構成された表面上を平面方向に伝いながらスムーズに流れるため、瞼裂K内に貯留する液体Eを瞼裂K外に効率的に排出することができる。
【選択図】
図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
眼科手術時に瞼裂内に貯留する液体を瞼裂外に排出する排液器であって、
撥水性の素材により網状に構成された排液器本体を少なくとも備え、
先端部が瞼裂内に位置し、かつ基端部が瞼裂外に位置して眼瞼を跨ぐ態様で配置されることを特徴とする排液器。
【請求項2】
前記排液器本体は、撥水性の糸を用いた織編物から構成される請求項1に記載の排液器。
【請求項3】
前記排液器本体は、撥水性の合成繊維の糸を用いた織編物から構成される請求項2に記載の排液器。
【請求項4】
前記排液器本体は、ナイロンおよび/またはポリエステルの糸を用いた織編物から構成される請求項3に記載の排液器。
【請求項5】
前記排液器本体は、先端部から基端部に向けて長さ方向に延びる経糸と、該縦糸に交差する幅方向に延びる緯糸とから構成され、
長さ方向に沿って延び、かつ経糸および緯糸の間隔よりも大きい幅を有する溝部が表面の幅方向に沿って複数形成されている請求項1に記載の排液器。
【請求項6】
前記排液器本体は、糸密度が10~50本/インチの織編物から構成される請求項2に記載の排液器。
【請求項7】
前記排液器本体は、上側または下側のいずれか一方の表面が樹脂製のシート部材により被覆されている請求項1に記載の排液器。
【請求項8】
前記排液器本体は、厚さ1mm~2mmのシート状に形成されている請求項1に記載の排液器。
【請求項9】
前記排液器本体は、先端部が幅方向に沿って凹状に形成されている請求項1に記載の排液器。
【請求項10】
請求項1から請求項9のいずれかに記載の排液器が接続されたことを特徴とする開瞼器。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、白内障などの眼科手術時において、瞼裂内に貯留して手術の妨げとなる液体を瞼裂外に排出するための排液器に関する。
【背景技術】
【0002】
一般的に、白内障手術や他の眼科手術の時に、角膜の透明性維持のためにシリンジから液体が瞼裂内に供給されたり、手術機械から眼球内に多量に液体が供給される。ここで瞼裂内や眼球内に供給された液体が瞼裂内に貯留すると、術者の視認性を低下させ術中合併症発生の原因になったり、貯留した液体中に細菌が混入して術後細菌性眼内炎の原因になったりする虞がある。特に、奥目の人の場合は上述のような液体の貯留が起きやすい。
【0003】
そこで、上述した瞼裂内での液体の貯留防止の方法として、吸水性を有するスポンジに液体をしみこませて排出する方法が知られている。具体的には、特許文献1に示すように、繊維形成物もしくはスポンジ状形成物のいずれか又は両者の複合体により形成され、手術部位で発生する液状物質を吸収する1ないしそれ以上の接触吸収部と、繊維形成物もしくはスポンジ状形成物のいずれか又は両者の複合体により、その一方の端部側において前記接触吸収部と一体的に形成されるとともに、前記液状物質を該接触吸収部から吸収しつつこれを自身の他端側へ導く液誘導部と、その液誘導部の前記他端側に接続され、かつ前記液誘導部よりも広幅に形成されるとともに、該液誘導部により導かれた前記液状物質を吸収・保持する吸収本体部と、を含むことを特徴とする手術用液吸収具が知られている。ところが、この方法では液体を吸収することによって排出するため、排液能力が非常に弱く、多量の液体が供給されるような超音波白内障手術などの現代の手術に対応することができなかった。
【0004】
そこで、毛細管現象を利用して液体を吸引した後、瞼裂外に排出する方法が提案されている。具体的には、特許文献2に示すように、目尻近傍の眼瞼皮膚上の載置面と所定の間隔を持って載置される板状の本体を備え、前記本体は防水性素材により形成されると共に裏面は濡れ性を有し、前記本体には瞼裂の縁部から内側に突出する突出部が設けられ、前記本体を前記載置面に載置した際に、前記突出部の裏面に瞼裂内の液体を付着させて前記本体と前記載置面との間隔内に前記液体を引き出し、前記引き出された液体を前記間隔を通過させて前記本体の外部に排出可能としたことを特徴とする眼科手術用排液器が知られている。これによれば、液体が、本体裏面の濡れ性によって本体の裏面と載置面との間隙に引き出され、毛細管現象により本体の端部まで運ばれて瞼裂外に排出することができる。
【0005】
また、特許文献3に示すように、眼瞼縁又は医療用ドレープに掛止すべく鈎状に曲折して形成され、前記瞼裂内の液体又は前記瞼裂内から溢れ出た液体に接触して、該液体の流路の始点を形成するフック部と、前記フック部から延設され、前記フック部により導かれた液体を排出する紡錘形状のボディ部とを備え、前記ボディ部は、軸に直角をなす面で切断した横断面が略多角形状であることを特徴とする排液器が知られている。これによれば、掛止されたフック部の先端部分から導いた液体を複数の凹部及び凸部を有するボディ部表面に伝わせて瞼裂外に排出することができる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【特許文献1】特開平8-317939号公報
【特許文献2】再公表2009-31319号公報
【特許文献3】特開2012-176145号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
しかしながら、手術機械から瞼裂内に供給される液体が多量であるため、特許文献2および特許文献3の排液器をもってしても、供給される液体に見合った十分な排出量を得ることが困難であった。
【0008】
本発明は、上述の問題に鑑みてなされたものであり、瞼裂内に貯留する液体を瞼裂外に効率的に排出することができる排液器を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0009】
本発明は、上記目的を達成するために、眼科手術時に瞼裂内に貯留する液体を瞼裂外に排出する排液器であって、撥水性の素材により網状に構成された排液器本体を少なくとも備え、先端部が瞼裂内に位置し、かつ基端部が瞼裂外に位置して眼瞼を跨ぐ態様で配置されることを特徴とする。
【0010】
これによれば、瞼裂内に貯溜する液体が、先端部で吸引されたあと、基端部に向かって排液器本体の網状に構成された表面上を平面方向に伝いながらスムーズに流れるため、瞼裂内に貯留する液体を瞼裂外に効率的に排出することができる。
【0011】
また、前記排液器本体は、撥水性の糸を用いた織編物から構成されてもよい。これによれば、瞼裂内に貯溜する液体が、排液器本体の表面上を平面方向に伝いながら流れ易くなる。
【0012】
また、前記排液器本体は、撥水性の合成繊維の糸を用いた織編物から構成されてもよい。これによれば、排液器本体の表面の撥水性を簡単かつ確実を向上させることができる。
【0013】
また、前記排液器本体は、ナイロンおよび/またはポリエステルの糸を用いた織編物から構成されてもよい。これによれば、安価にして排液器本体の表面の撥水性を簡単かつ確実に向上させることができる。
【0014】
また、前記排液器本体は、先端部から基端部に向けて長さ方向に延びる経糸と、該縦糸に交差する幅方向に延びる緯糸とから構成され、長さ方向に沿って延び、かつ経糸および緯糸の間隔よりも大きい幅を有する溝部が表面の幅方向に沿って複数形成されてもよい。これによれば、瞼裂内に貯溜する液体が、排液器本体の表面上の各溝部を伝って大量に流れるため、瞼裂内に貯留する液体を瞼裂外により一層効率的に排出することができる。
【0015】
また、前記排液器本体は、糸密度が10~50本/インチの織編物から構成されてもよい。これによれば、排液器本体は、糸密度が10本/インチ以上の織編物から構成されるため、糸同士の隙間に所定量の液体が保持され、保持された液体の表面張力により顔面に吸着されて安定的に設置することができる。また、排液器本体は、糸密度が50本/インチ以下の織編物から構成されるため、液体が排液器本体の表面を伝って流れ易くなるとともに、脆弱になり過ぎてハンドリングが困難になったり、破損するのを防止することができる。
【0016】
また、前記排液器本体は、上側または下側のいずれか一方の表面が樹脂製のシート部材により被覆されてもよい。これによれば、樹脂製のシート部材により排液器本体が必要以上に撓んだり、解れたりすることが防止され、排液器本体の形状を維持することができる。
【0017】
また、前記排液器本体は、厚さ1mm~2mmのシート状に形成されてもよい。これによれば、瞼裂内に貯留する液体が排液器本体の主に上側の表面上を平面方向に伝って流れるため、瞼裂内に貯留する液体を瞼裂外により一層効率的に排出することができる。また、排液器本体がシート状に形成されることにより眼瞼の前後方向に嵩張らないため、手術を行う術者の手術器具操作の邪魔にならず、手術時の負担を軽減することができる。
【0018】
また、前記排液器本体は、先端部が幅方向に沿って凹状に形成されてもよい。これによれば、排液器本体の先端部が外眼角部(目尻)の眼瞼縁部に沿うため、眼瞼内に貯留する液体を先端部の凹状(例えば、V字状、U字状、コ字状)の内側に誘導することにより速やかに吸引することができる。
【0019】
また、本発明は、上記に記載の排液器が接続されたことを特徴とする開瞼器である。これによれば、開瞼器により眼瞼を開くと同時に排液器を設置することができ、手術時における器具の取り扱いを容易にすることが可能となる。
【発明の効果】
【0020】
本発明によれば、瞼裂内に貯溜する液体が、先端部で吸引されたあと、基端部に向かって排液器本体の網状に構成された表面上を平面方向に伝いながらスムーズに流れるため、瞼裂内に貯留する液体を瞼裂外に効率的に排出することができる。
【図面の簡単な説明】
【0021】
【
図1】本発明の第1の実施形態に係る排液器の(a)平面図および(b)側面図である。
【
図2】
図1の排液器のI-I線断面を示す拡大模式図である。
【
図3】
図1の排液器の使用状態を示す平面図である。
【
図4】
図1の排液器の使用状態を示す側面図である。
【
図5】第2の実施形態に係る排液器の拡大斜視図である。
【
図6】第3の実施形態に係る排液器の(a)底面および(b)II-II線断面図を示す図である。
【
図7】排液器を接続した開瞼器を示す平面図である。
【発明を実施するための形態】
【0022】
<第1の実施形態>
次に、本発明に係る排液器の第1の実施形態について
図1~
図4を参照しつつ説明する。なお、本明細書において、「長さ方向」とは、
図1(a)における左右方向をいい、「幅方向」とは、
図1(a)における上下方向をいい、「厚さ方向」とは、
図1(b)における上下方向をいう。また、「上側」とは厚さ方向の上側(手術患者の前側)をいい、「下側」とは厚さ方向の下側(手術患者の後側)をいう。
【0023】
本排液器1は、顔面Fの眼瞼Mに設置され、白内障などの眼科手術時に瞼裂K内に貯留する液体Eを瞼裂K外に排出する器具であって、長さ40~50mm、幅5~10mm、厚さ1~2mmの大きさで、上側の表面11と下側の表面12を有するシート状に形成された排液器本体10からなる。
【0024】
前記排液器本体10は、全体が撥水性の素材により網状に構成されており、特に本実施形態では撥水性の糸を用いた織編物から構成される。具体的には、排液器本体10は、
図2に示すように、主にボディタオルで使用される織編物であって、先端部10aから基端部10cに向けて長さ方向に延びる経糸100と、幅方向に延びる緯糸200とから構成され、幅方向に並ぶ経糸100に対して、長さ方向に並ぶ緯糸200が上下に互い違いに交差している。なお、織編物とは、いわゆる糸が織られた織物または糸が編まれた編物のいずれかを示す。
【0025】
また、前記排液器本体10は、撥水性の糸としてナイロン、ポリエステル、アクリル、ポリウレタン、ポリエチレン、ポリプロピレンなどの撥水性の合成繊維が用いられ、特にナイロンとポリエステが安価であるため、好適に用いられる。これによれば、排液器本体10の表面11、12の撥水性を簡単かつ確実に向上させることができる。
【0026】
また、前記排液器本体10は、糸密度が10~50本/インチの織編物から構成される。これによれば、排液器本体10は、糸密度が10本/インチ以上の織編物から構成されるため、糸同士の隙間に所定量の液体が保持され、保持された液体Eの表面張力により顔面に吸着されて安定的に設置することができる。また、排液器本体10は、糸密度が50本/インチ以下の織編物から構成されるため、後述するように液体Eが排液器本体10の表面を伝って流れ易くなるとともに、脆弱になり過ぎてハンドリングが困難になったり、破損するのを防止することができる。
【0027】
また、前記排液器本体10は、
図1(a)に示すように、先端部10aが幅方向に沿って凹状に形成されている。具体的には、先端部10aは、幅方向端部から幅方向中央に向かうに従って中間部10bから先端縁までの長さが連続的または段階的に短くなるようにV字状に形成されている。これによれば、排液器本体10の先端部10aが外眼角部(目尻)の眼瞼縁部Nに沿うため、瞼裂K内に貯留する液体Eを先端部10aの凹状の内側に誘導することにより速やかに吸引することができる。なお、この先端部10aは、V字状以外のU字状、コ字状に形成されてもよいし、眼瞼Mに安定して配置されるように、眼瞼縁Nに引っ掛かる形状、例えば鉤状に形成されてもよい。
【0028】
また、前記排液器本体10は、顔面Fの眼瞼Kに設置される際、
図3および
図4に示すように、先端部10aが瞼裂K内に位置し、かつ基端部10cが瞼裂K外に位置して、中間部10bにおいて目尻部分の眼瞼Mを跨ぐ態様で配置される。また、前記排液器本体10は、
図4に示すように、顔面Fの眼瞼Mに設置される際、中間部10bが先端部10aより高い位置に配置される一方、基端部10cが先端部10aより低い位置に配置される。なお、
図3および
図4において、30は開瞼器、Kは瞼裂、Lは結膜部、Mは眼瞼、Nは眼瞼縁部、Oは角膜、Fは顔面を示す。
【0029】
而して、眼科手術の際、瞼裂K内に貯溜する液体Eは、先端部10aで吸引されたあと、基端部10cに向かって排液器本体10の網状に構成された表面11、12上を平面方向に伝いながらスムーズに流れるため、瞼裂K内に貯留する液体Eを瞼裂K外に効率的に排出することができる。
【0030】
特に本実施形態では排液器本体10がシート状に形成されているため、 瞼裂内に貯留する液体Eが排液器本体10の主に上側の表面11上を平面方向に伝って流れるため、瞼裂K内に貯留する液体Eを瞼裂K外により一層効率的に排出することができる。また、排液器本体10がシート状に形成されることにより眼瞼Mの前後方向に嵩張らないため、手術を行う術者の手術器具操作の邪魔にならず、手術時の負担を軽減することができる。
【0031】
このように液体Eがスムーズに流れる理由として、以下の複数の理由が考えらえる。まず、排液器本体10は、撥水性の素材よって構成されているため、液体Eは排液器本体10の表面11、12に弾かれながらスムーズに流れることができる。また、排液器本体10は、特に織編物から構成されることによって表面積が大きくなり、液体Eを伝わせる面積が大きいため、大量の液体Eが排液器本体10の表面11、12を伝ってスムーズに流れることができる。また、排液器本体10は、主に経糸100同士の間に複数の細かい流路ができるため、各流路において毛細管現象により大量の流体Eがスムーズに流れることができる。さらに、中間部10bが先端部10aより高い位置に配置される一方、基端部10cが先端部10aより低い位置に配置されるため、サイフォン原理等により液体Eがスムーズに流れることができる。
【0032】
<第2の実施形態>
次に、本発明に係る排液器の第2の実施形態について
図5を参照しつつ説明する。なお、以下では上記の実施形態と異なる構成についてのみ説明することとし、同一の構成については説明を省略して同一の符号を付すこととする。
【0033】
本実施形態において、前記記排液器本体10は、先端部10aから基端部10cに向けて長さ方向に延び、かつ経糸100および緯糸200の間隔よりも大きい幅を有する溝部13、14が表面11、12の幅方向に沿って複数形成されている。
【0034】
具体的には、前記排液器本体10は、幅方向に交互に折曲されることにより、上側の表面11と下側の表面12において第1の溝部13と第2の溝部14が交互に複数形成され、上側の表面11において第1の溝部13が幅方向に沿って複数形成されるとともに、下側の表面12おいて第2の溝部14が幅方向に沿って複数形成されている。これら排液路は、一方端部が排液器本体10の先端部10aにおいて長さ方向に開放された状態となる一方、他方端部が排液器本体10の基端部10cにおいて長さ方向に開放された状態となっている。
【0035】
これによれば、瞼裂K内に貯溜する液体Eが、排液器本体10の表面上の各溝部を伝って大量に流れるため、瞼裂K内に貯留する液体Eを瞼裂K外により一層効率的に排出することができる。
【0036】
<第3の実施形態>
次に、本発明に係る排液器の第3の実施形態について
図6を参照しつつ説明する。
【0037】
本実施形態において、前記排液器本体10は、先端部10aから基端部10cにかけて上側の表面11が樹脂フィルムからなるシート部材20により被覆されている。樹脂の素材として、ポリエチレン、ポリプロピレン、ポリエステル、ポリスチレン、ナイロンなどが挙げられる。これによれば、樹脂製のシート部材20により排液器本体10が必要以上に撓んだり、解れたりすることが防止され、排液器本体10の形状を維持することができる。
【0038】
なお、以上の実施形態において、前記排液器本体10は、撥水性の経糸100および緯糸200からなる織編物としたが、地緯糸を含むなどその他の構成の織編物あってもよい。
【0039】
また、前記排液器本体10は、ナイロンやポリエステルの単一素材の繊維の糸を用いた織編物から構成されるものとしたが、複数の素材の繊維の糸を用いた織編物から構成されてもよい。
【0040】
また、前記排液器本体10は、織編物以外の網状に構成されるものであってもよい。
【0041】
また、前記排液器1は、全体が排液器本体10からなるものとしたが、先端部10aや基端部10cなどが別の素材により構成されるものとしてもよい。但し、少なくとも液体Eが伝って流れる中間部10bは織編物などの網状に構成されるのが好ましい。
【0042】
また、前記排液器本体10は、単体で眼瞼Kに設置するものとしたが、
図7に示すように、開瞼器30に接続した状態で眼瞼Kに設置してもよい。これによれば、開瞼器30により眼瞼Mを開くと同時に排液器1を眼瞼Mに設置することができ、手術時における器具の取り扱いを容易にすることが可能となる。
【0043】
以上、図面を参照して本発明の実施形態を説明したが、本発明は、図示した実施形態のものに限定されない。図示された実施形態に対して、本発明と同一の範囲内において、あるいは均等の範囲内において、種々の修正や変形を加えることが可能である。
【符号の説明】
【0044】
1…排液器
10…排液器本体
10a…先端部
10b…中間部
10c…基端部
11…上側の表面
12…下側の表面
13…第1の溝部
14…第2の溝部
20…シート部材
30…開瞼器
100…経糸
200…緯糸
K…瞼裂
L…結膜部
M…眼瞼
N…眼瞼縁部
O…角膜
F…顔面
E…液体