(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024098197
(43)【公開日】2024-07-23
(54)【発明の名称】図面連携システム及び図面連携方法
(51)【国際特許分類】
G06T 19/00 20110101AFI20240716BHJP
G01C 15/00 20060101ALI20240716BHJP
G01C 11/02 20060101ALI20240716BHJP
【FI】
G06T19/00 A
G01C15/00 103E
G01C11/02
【審査請求】有
【請求項の数】4
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023001506
(22)【出願日】2023-01-10
(11)【特許番号】
(45)【特許公報発行日】2023-04-03
(71)【出願人】
【識別番号】521224642
【氏名又は名称】株式会社マプリィ
(74)【代理人】
【識別番号】100170025
【弁理士】
【氏名又は名称】福島 一
(72)【発明者】
【氏名】山口 圭司
【テーマコード(参考)】
5B050
【Fターム(参考)】
5B050BA09
5B050BA13
5B050BA17
5B050CA07
5B050DA01
5B050DA10
5B050EA05
5B050EA07
5B050EA18
5B050EA19
5B050EA28
5B050FA02
5B050FA09
5B050GA08
(57)【要約】 (修正有)
【課題】測定した点群と画像を図面上に簡単に関連付ける図面連携システム及び図面連携方法を提供する。
【解決手段】図面連携システム1において、携帯端末装置の選択受付制御部101は、地理座標系で表現され、対象物が登録された図面ファイルの選択を受け付ける。点群取得制御部102は、点群座標系における前記対象物の点群の三次元座標を取得する。画像取得制御部103は、対象物が写された撮影画像を取得する。位置取得制御部104は、前記携帯端末装置の位置通信装置を用いて、地理座標系における前記携帯端末装置の現地点の三次元座標を取得する。点描画制御部105は、図面ファイル内に携帯端末装置の現地点を測定点として描画する。関連付け制御部106は、図面ファイルにおける携帯端末装置の測定点に、取得した対象物の点群と撮影画像とを関連付けて記憶させる。
【選択図】
図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
三次元レーザースキャナーとカメラと連携する携帯端末装置を備えた図面連携システムであって、
地理座標系で表現され、対象物が登録された図面ファイルの選択を受け付ける選択受付制御部と、
前記三次元レーザースキャナーで前記対象物をスキャンすることで、点群座標系における前記対象物の点群の三次元座標を取得する点群取得制御部と、
前記カメラで前記対象物を撮影することで、当該対象物が写された撮影画像を取得する画像取得制御部と、
前記対象物の点群と撮影画像とが取得される際に、前記携帯端末装置の位置通信装置を用いて、地理座標系における前記携帯端末装置の現地点の三次元座標を取得する位置取得制御部と、
前記図面ファイルの地理座標系と、前記取得された携帯端末装置の現地点の三次元座標とに基づいて、当該図面ファイル内に当該携帯端末装置の現地点を測定点として描画する点描画制御部と、
前記図面ファイルにおける携帯端末装置の測定点に、前記取得された対象物の点群と撮影画像とを関連付けて記憶させる関連付け制御部と、
を備える図面連携システム。
【請求項2】
前記図面ファイルに描画された測定点を選択可能に表示し、特定の測定点が選択されると、当該特定の測定点に関連付けられた点群と撮影画像とを表示させる表示制御部
を更に備える、
請求項1に記載の図面連携システム。
【請求項3】
前記表示制御部は、前記図面ファイルに複数描画された測定点のうち、所定数の測定点を指定して、前記指定した各測定点毎に関連付けられた撮影画像を並べて表示し、前記指定した測定点を他の測定点に順次変更することで、前記表示する撮影画像を順次変更して表示する、
請求項2に記載の図面連携システム。
【請求項4】
三次元レーザースキャナーとカメラと連携する携帯端末装置を備えた図面連携システムの図面連携方法であって、
地理座標系で表現され、対象物が登録された図面ファイルの選択を受け付ける選択受付制御工程と、
前記三次元レーザースキャナーで前記対象物をスキャンすることで、点群座標系における前記対象物の点群の三次元座標を取得する点群取得制御工程と、
前記カメラで前記対象物を撮影することで、当該対象物が写された撮影画像を取得する画像取得制御工程と、
前記対象物の点群と撮影画像とが取得される際に、前記携帯端末装置の位置通信装置を用いて、地理座標系における前記携帯端末装置の現地点の三次元座標を取得する位置取得制御工程と、
前記図面ファイルの地理座標系と、前記取得された携帯端末装置の現地点の三次元座標とに基づいて、当該図面ファイル内に当該携帯端末装置の現地点を測定点として描画する点描画制御工程と、
前記図面ファイルにおける携帯端末装置の測定点に、前記取得された対象物の点群と撮影画像とを関連付けて記憶させる関連付け制御工程と、
を備える図面連携方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、図面連携システム及び図面連携方法に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、三次元測量機(トータルステーション)を用いた測量技術の他に、写真測量技術やレーザー測量技術が存在しているが、近年、点群を取得する三次元レーザースキャナーの発達に伴い、この三次元レーザースキャナーとカメラとを用いた測量技術が登場している。
【0003】
例えば、特開2021-43217号公報(特許文献1)には、トータルステーションユニットと、レーザースキャナユニットと、演算制御部とを具備する測量システムが開示されている。トータルステーションユニットは、水平回転可能な托架部と、托架部に鉛直回転可能に設けられた望遠鏡部と、托架部の水平角を検出する水平角検出器と、望遠鏡部の鉛直角を検出する鉛直角検出器と、望遠鏡部に収納されたトータルステーション測距部と、トータルステーション演算制御部とを具備する。レーザースキャナユニットは、托架部の上面に設けられ、レーザー光線を鉛直方向に回転照射して点群データを取得する様構成される。トータルステーションユニットが撮像部を具備し、撮像部が測定対象物を含む画像を取得し、測定対象物の特定点が画像から抽出される。演算制御部は、托架部の水平回転とレーザースキャナユニットによるレーザー光線の回転照射の協働により、測定対象物全体の点群データを取得する。演算制御部は、画像に点群データを重合させ、測定対象物と点群データとの関連付けを行い、トータルステーションユニットにより特定点を測定する。演算制御部は、特定点のトータルステーションユニットの測距結果とレーザースキャナユニットの測距結果とを比較し、比較結果に基づき、点群データを補正し、補正後の点群データと画像とを再度重合させ、測設作業用の3次元データを有する画像を作成する様構成している。これにより、点群データの取得とトータルステーションによる測定を1つの測量装置で実行でき、設備コストの低減が図れ、更にトータルステーションによる測定に基づき点群データを補正するので、点群データの測定精度が向上し、更に3次元データ付の画像により測設作業が容易となるとしている。
【0004】
一方、本出願人は、特許第7143001号公報(特許文献2)に示すように、三次元レーザースキャナーとカメラとを利用した発明を既に出願し、権利化している。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開2022-027111号公報
【特許文献2】特許第7143001号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
建設分野、土木分野、森林分野、測量分野、防災分野等の様々な分野において、三次元レーザースキャナーにより得られる点群の三次元座標を収集して活用するニーズが高まってきている。
【0007】
ここで、上述の分野での三次元座標系は、現実空間における地理座標系であり、地理座標系は、通常、GNSS(Global Navigation Satellite System、全球測位衛星システム)を用いて表現される。
【0008】
ところで、上述の分野では、建築物、構造物等の対象物の定期的な点検や変状調査が各種行われている。対象物の点検や変状調査では、対象物をカメラで写真撮影して、点検状況や変状の調査結果を図面に書き込んで、野帳(帳票等)として作成して保存していく。この野帳作成では、上述のような先端装置があるにもかかわらず、未だに、現場での手書きでの対応や図化というアナログな作業が行われており、測定者又は作業者の手間や時間が膨大に掛かっているという課題がある。
【0009】
ここで、特許文献1に記載の技術では、画像に点群データを重合させ、測定対象物と点群データとの関連付けを行うものの、既存の図面に対する処理ではなく、上述の課題を解決することが出来ない。特許文献2に記載の技術も同様である。
【0010】
そこで、本発明は、前記課題を解決するためになされたものであり、測定した点群と画像を図面上に簡単に関連付けることが可能な図面連携システム及び図面連携方法を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0011】
本発明に係る測定システムは、三次元レーザースキャナーとカメラと連携する携帯端末装置を備えた図面連携システムであって、選択受付制御部と、点群取得制御部と、画像取得制御部と、位置取得制御部と、点描画制御部と、関連付け制御部と、を備える。選択受付制御部は、地理座標系で表現され、対象物が登録された図面ファイルの選択を受け付ける。点群取得制御部は、前記三次元レーザースキャナーで前記対象物をスキャンすることで、点群座標系における前記対象物の点群の三次元座標を取得する。画像取得制御部は、前記カメラで前記対象物を撮影することで、当該対象物が写された撮影画像を取得する。位置取得制御部は、前記対象物の点群と撮影画像とが取得される際に、前記携帯端末装置の位置通信装置を用いて、地理座標系における前記携帯端末装置の現地点の三次元座標を取得する。点描画制御部は、前記図面ファイルの地理座標系と、前記取得された携帯端末装置の現地点の三次元座標とに基づいて、当該図面ファイル内に当該携帯端末装置の現地点を測定点として描画する。関連付け制御部は、前記図面ファイルにおける携帯端末装置の測定点に、前記取得された対象物の点群と撮影画像とを関連付けて記憶させる。
【0012】
本発明に係る図面連携方法は、三次元レーザースキャナーとカメラと連携する携帯端末装置を備えた図面連携システムの図面連携方法であって、選択受付制御工程と、点群取得制御工程と、画像取得制御工程と、位置取得制御工程と、点描画制御工程と、関連付け制御工程と、を備える。図面連携方法の各制御工程は、図面連携システムの各制御部に対応する。
【発明の効果】
【0013】
本発明によれば、測定した点群と画像を図面上に簡単に関連付けることが可能となる。
【図面の簡単な説明】
【0014】
【
図1】本発明の実施形態に係る図面連携システムの一例を示す概略図である。
【
図2】本発明の実施形態に係る図面連携方法の実行手順を示すためのフローチャートである。
【
図3】読取モード画面の一例を示す図(
図3A)と、図面ファイルの平面図と正面図の一例を示す図(
図3B)と、である。
【
図4】三次元レーザースキャナーで点群を取得するとともに、カメラで撮影画像を取得する場合の一例を示す図(
図4A)と、点群と撮影画像との対応関係の一例を示す図(
図4B)と、である。
【
図5】携帯端末装置の位置通信装置により携帯端末装置の現地点の三次元座標を取得する場合の一例を示す図(
図5A)と、携帯端末装置にRTK受信機を組み合わせる場合の一例を示す図(
図5B)と、である。
【
図6】平面図への測定点の描画と点群と撮影画像との関連付けの一例を示す図(
図6A)と、正面図への測定点の描画と点群と撮影画像との関連付けの一例を示す図(
図6B)と、である。
【
図7】三次元レーザースキャナーで点群を取得するとともに、カメラで撮影画像を取得する場合の一例を示す図(
図7A)と、平面図と正面図とへの測定点の描画と点群と撮影画像との関連付けの一例を示す図(
図7B)と、である。
【
図8】閲覧モード画面の一例を示す図(
図8A)と、測定点を含む図面ファイルの平面図と正面図の一例を示す図(
図8B)と、である。
【
図9】平面図の測定点に関連付けられた撮影画像の表示の一例を示す図(
図9A)と、選択された測定点に関連付けられた点群と撮影画像との表示の一例を示す図(
図9B)と、である。
【
図10】建物の平面図の測定点に関連付けられた撮影画像の表示の一例を示す図(
図10A)と、建物の正面図の測定点に関連付けられた撮影画像の表示の一例を示す図(
図10B)と、である。
【
図11】建物の図面ファイルの平面図において、選択された測定点に関連付けられた点群と撮影画像との表示の一例を示す図である。
【
図12】橋梁の平面図の測定点に関連付けられた撮影画像の表示と、選択された測定点に関連付けられた点群と撮影画像との表示の一例を示す図である。
【
図13】橋梁の空中写真の測定点に関連付けられた撮影画像の表示と、選択された測定点に関連付けられた点群と撮影画像との表示と、動画の表示の一例を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0015】
以下に、添付図面を参照して、本発明の実施形態について説明し、本発明の理解に供する。尚、以下の実施形態は、本発明を具体化した一例であって、本発明の技術的範囲を限定する性格のものではない。
【0016】
本発明に係る図面連携システム1は、
図1に示すように、携帯端末装置10と、三次元レーザースキャナー11と、カメラ12と、位置通信装置13とから基本的に構成される。
図1では、三次元レーザースキャナー11とカメラ12のそれぞれは、携帯端末装置10に付属の形態であるが、携帯端末装置10に無線又は有線で接続されて連携する構成であっても構わない。
【0017】
ここで、携帯端末装置10は、画面を表示する表示部と、ユーザの操作により所定の指示キーの入力を受け付ける受付部(入力部)と、データを記憶させる記憶部と、各部を制御する制御部と、データを出力する出力部と、通信部と、を備えている。携帯端末装置10は、例えば、タブレット型端末装置、携帯用のノートパソコン、タッチパネル付きの携帯端末装置(スマートフォン)等を挙げることが出来る。
【0018】
又、三次元レーザースキャナー11は、レーザー照射部と、散乱光検出部と、点群算出部と、を備える。ここで、レーザー照射部は、対象物にパルス状のレーザーを発光する。散乱光検出部は、対象物に照射したレーザーに対する散乱光を検出する。点群算出部は、検出された散乱光に基づいて、三次元レーザースキャナー11から対象物までの距離や対象物の表面における散乱光が散乱した位置の点群の三次元データを算出する。ここで、三次元レーザースキャナー11は、携帯端末装置10に付属される場合、例えば、Lidar(Light Detection and Ranging、Laser Imaging Detection and Ranging)センサーを挙げることが出来る。三次元レーザースキャナー11で取得される三次元点群データは、点群に含まれる複数の点の三次元座標の集合体である。又、三次元レーザースキャナー11は、携帯端末装置10に接続される場合、携帯端末装置10と独立した単体の三次元レーザースキャナーを挙げることが出来る。
【0019】
又、カメラ12は、可視光カメラを基本とし、デジタル写真を撮影することが出来れば、どのような種類のカメラでも良い。
図1では、三次元レーザースキャナー11とカメラ12とは同等の方向を向いて携帯端末装置10に付属されている。そのため、三次元レーザースキャナー11とカメラ12とを所定の対象物に向けると、三次元レーザースキャナー11とカメラ12とが同一の対象物に対する三次元点群データと二次元画像の撮影画像とを得ることが出来る。尚、撮影画像は、静止画でも動画でも構わない。又、カメラ12は、携帯端末装置10に接続される場合、携帯端末装置10と独立した単体のカメラ12を挙げることが出来る。ここで、近年では、カメラ12を搭載した無人飛行機が普及しているため、本発明では、単体のカメラ12の他に、携帯端末装置10と無線通信可能なカメラ12付き無人飛行機を挙げても構わない。
【0020】
又、位置通信装置13に特に限定は無いが、例えば、携帯端末装置に付属のGPS機能でも良いし、アンテナを備えた移動局でも良い。位置通信装置13は、地理座標系における装置13自身の位置座標を算出することが出来る。ここで、地理座標系とは、所定の位置を基準とした三次元座標系であり、建設分野、土木分野、森林分野、測量分野、防災分野等の様々な分野で利用されている。
【0021】
さて、携帯端末装置10は、図示しないCPU、ROM、RAM、HDD、SSD等を内蔵しており、CPUは、例えば、RAMを作業領域として利用し、ROM、HDD、SSD等に記憶されているプログラムを実行する。又、後述する各制御部についても、CPUがプログラムを実行することで当該各制御部を実現する。
【0022】
次に、
図1-
図9を参照しながら、本発明の実施形態に係る構成及び実行手順について説明する。先ず、測定者が、三次元レーザースキャナー11とカメラ12と連携する携帯端末装置10を操作し、所定のアプリケーションを起動させて、図面ファイルの読取モードを選択する。すると、携帯端末装置10の選択受付制御部101は、地理座標系で表現され、対象物が登録された図面ファイルの選択を受け付ける(
図2:S101)。
【0023】
ここで、選択受付制御部101の受付方法に特に限定は無いが、例えば、選択受付制御部101は、読取モード画面を携帯端末装置10の表示部に表示させる。読取モード画面300には、
図3Aに示すように、図面ファイルの読取モードを示すモードタイトル301と、図面ファイルを示す図面タイトル302とが表示されている。図面タイトル302は、測定者により選択可能である。そこで、測定者は、点群及び画像の収集を要する対象物(例えば、建物)を示す図面ファイルの特定の図面タイトル302a(例えば、「AAA」)を探して選択すると、選択受付制御部101は、測定者から当該特定の図面タイトル302a(「AAA」)の図面ファイルの選択を受け付ける。
【0024】
そして、選択受付制御部101は、選択を受け付けた図面ファイルを携帯端末装置10の表示部に表示させる。ここで、
図3Bに示すように、図面ファイル303には、対象物Oを平面視から見た平面図と、対象物Oを正面視から見た正面図とが含まれており、平面
図303aと、正面
図303bとがそれぞれ表示される。
【0025】
平面
図303aと、正面
図303bとのそれぞれは、地理座標系で表現されており、地理座標系における対象物Oが予め登録されている。地理座標系は、所定の公共基準点を原点として、例えば、平面視において、横軸をx軸とし、縦軸をyとし、正面視において、横軸をx軸とし、縦軸をz軸とする座標系である。地理座標系における対象物Oの各部の三次元座標は、平面
図303aと、正面
図303bとのそれぞれに登録されている。測定者は、表示された図面ファイル303を見ながら、対象物Oを確認することが出来る。
【0026】
ここで、表示された図面ファイル303が測定者の意図に合わない場合は、測定者は、キャンセルキーを選択することで、選択受付制御部101は、選択を受け付けた図面ファイル303を消去し、再度、読取モード画面300を表示することで、測定者に意図に合う図面ファイルを選択させることが出来る。
【0027】
又、表示された図面ファイル303について、地理座標系で表現されていなかったり、対象物Oが登録されていなかったり、地理座標系における対象物Oの各部の三次元座標が登録されていなかったりする場合は、測定者が、図面ファイル303を見ながら、地理座標系を図面ファイル303に登録したり、対象物Oを登録したり、対象物Oの各部に地理座標系における三次元座標を登録したりすることが出来る。これにより、どのような図面ファイル303であっても、本発明に適用させることが出来る。又、上述では、図面ファイル303は、平面
図303aと、正面
図303bとで構成されていたが、これに限らず、例えば、平面図のみでも、正面図のみでも良いし、更に、立体図や側面図、断面図、分解図など、他の図面と組み合わせても構わない。
【0028】
一方、表示された図面ファイル303が測定者の意図に合う場合は、測定者は、OKキーを選択することで、選択受付制御部101は、選択を受け付けた図面ファイル303を確定する。これにより、点群及び画像を収集するための対象物Oが表示された図面ファイル303を確定することが出来る。
【0029】
さて、選択受付制御部101の受付が完了すると、次に、測定者は、現場における対象物Oの周辺に訪れ、三次元レーザースキャナー11を所定の方向から対象物Oに向けて、携帯端末装置10にスタートキーを入力する。すると、携帯端末装置10の点群取得制御部102は、スタートキーの入力を受け付けて、三次元レーザースキャナー11で対象物Oをスキャンすることで、点群座標系における対象物Oの点群Pの三次元座標を取得する(
図2:S102)。
【0030】
ここで、点群取得制御部102の取得方法に特に限定は無いが、例えば、
図4Aに示すように、測定者が、三次元レーザースキャナー11のレーザー照射部を、所定の方向(例えば、左方向)から対象物Oの一部(例えば、下方壁面)に向けて、スタートキーを入力すると、点群取得制御部102は、スタートキーの入力を受けて、三次元レーザースキャナー11のレーザーの照射を開始する。照射されたレーザーは、三次元レーザースキャナー11に対向する対象物Oの一部で反射して散乱光として散乱する。そして、三次元レーザースキャナー11の散乱光検出部は、散乱光を検出し、三次元レーザースキャナー11の点群算出部は、散乱光が散乱した位置の点群Pの三次元座標(三次元点群データ)を取得する。ここで、点群Pの三次元座標は、散乱光が三次元レーザースキャナー11に戻ってきた位置の点を含み、散乱光が三次元レーザースキャナー11に戻ってこなかった位置の点は含まれない。又、点群Pの三次元座標に含まれる所定の点P01の三次元座標(xp01、yp01、zp01)は、三次元レーザースキャナー11の点群基準位置P00(例えば、三次元レーザースキャナー11のレーザー照射部)の三次元座標(xp00、yp00、zp00)を基準(原点)とした三次元座標系(点群座標系)で構成される。
【0031】
さて、点群取得制御部102の点群Pの取得が完了すると、次に、携帯端末装置10の画像取得制御部103は、カメラ12で対象物Oを撮影することで、当該対象物Oが写された撮影画像Iを取得する(
図2:S103)。
【0032】
ここで、画像取得制御部103の取得方法に特に限定は無いが、例えば、
図4Aに示すように、測定者は、三次元レーザースキャナー11とともに、カメラ12を対象物Oに向けることで、画像取得制御部103は、対象物Oの一部を撮影して、対象物Oの一部を示した撮影画像I0(二次元画像)を取得する。尚、ここでは、撮影画像I0は、静止画として説明するが、動画でも構わない。
【0033】
ここで、三次元レーザースキャナー11とカメラ12とのそれぞれは、携帯端末装置10に付属であり、三次元レーザースキャナー11とカメラ12とは、同等の方向を向いているため、三次元レーザースキャナー11により取得された点群P0には、カメラ12により取得された撮影画像I0に含まれる対象物Oが含まれることになる。
【0034】
尚、本発明では、三次元レーザースキャナー11とカメラ12とは、携帯端末装置10と独立した単体でも構わないため、例えば、三次元レーザースキャナー11は、対象物Oの一方の方向を向いて、点群Pを取得し、カメラ12付き無人飛行機が、対象物Oの他方の方向を向いて、撮影画像Iを取得しても構わない。
【0035】
さて、対象物Oの点群Pと撮影画像Iとの関係について、携帯端末装置10に付属の三次元レーザースキャナー11とカメラ12とが同等の方向を向いている場合には、
図4Bに示すように、点群座標系における点群P0のうち、任意の点P01の三次元座標(xp01、yp01、zp01)と、カメラ座標系における撮影画像I0内の点群のうち、対応点Q01の二次元座標(vq01、uq01)とは、三次元レーザースキャナー11とカメラ12の撮影位置や姿勢情報、カメラ12の焦点距離、キャリブレーションマトリックスなどの変換情報に基づいて対応付けても良い。
【0036】
ここで、点群座標系は、三次元レーザースキャナー11の点群基準位置P00を原点として、例えば、横軸をx軸とし、縦軸をy軸とし、奥行軸(視野軸)をz軸とする。z軸は、三次元レーザースキャナー11から対象物Oに向かった方向の軸を意味する。又、カメラ座標系は、撮影画像I0における所定の点Oを原点として、横軸をv軸とし、縦軸をu軸とする。撮影画像I0は、カメラ12の中心から対象物Oに向かってz軸方向に焦点距離fだけ離れた位置に、z軸に対して垂直に位置する。ここで、x軸方向は、例えば、点群座標系の横方向(左右方向)であり、z軸方向は、点群座標系の奥行方向(前後方向)であり、y軸方向は、点群座標系の上下方向(垂直方向)である。
【0037】
このように、対象物Oの点群P0の任意の点P01と撮影画像I0の対応点Q01とは、点群座標系とカメラ座標系において対応付けることが可能である。そのため、例えば、携帯端末装置10が、変換情報を用いて、点群座標系の点群Pの任意の点Pの三次元座標(xp、yp、zp)を、カメラ座標系の撮影画像I内の点群の対応点Qの二次元座標(vq、uq)に変換し、変換後の点群Pの点Pの対応点Qの二次元座標(vq、uq)を撮影画像I内に表示させることで、撮影画像I内の対象物Oに点群Pを重ね合わせることが出来る。これにより、測定者は、撮影画像Iを確認しながら、点群Pの特定の点Pを指定したり、点群Pの特定の点Pから撮影画像Iの対応点Qに所定の表示をさせたりすることが可能である。この場合、例えば、測定者が、コメントやメモを点群Pや撮影画像Iに残す場合である。
【0038】
さて、画像取得制御部103の撮影画像Iの取得が完了すると、次に、携帯端末装置10の位置取得制御部104は、対象物Oの点群P0と撮影画像I0とが取得される際に、携帯端末装置10の位置通信装置13を用いて、地理座標系における携帯端末装置10の現地点R0の三次元座標(xr0、yr0、zr0)を取得する(
図2:S104)。
【0039】
ここで、位置取得制御部103の取得方法に特に限定は無い。例えば、
図5Aに示すように、位置取得制御部103は、携帯端末装置10に付属(内蔵)の位置通信装置13を介して、現場で、地理座標系における携帯端末装置10の現地点R0の三次元座標(xr0、yr0、zr0)を取得する。
【0040】
ここで、
図5Bに示すように、位置通信装置13が、携帯端末装置10に付属のGPS受信装置(1周波GNSS受信機)である場合、位置取得制御部103が取得する携帯端末装置10の現地点R0の三次元座標(xr0、yr0、zr0)の精度(測定限界)は、一般的に、10m程度になる。そこで、携帯端末装置10にRTK受信機40を取り付けて、位置通信装置13が、RTK受信機40の2周波マルチGNSS受信機である場合は、位置取得制御部103が取得する携帯端末装置10の現地点R0の三次元座標(xr0、yr0、zr0)の精度は、数cm程度になり、携帯端末装置10の現地点R0の三次元座標(xr0、yr0、zr0)の精度が極めて向上する。この場合、図面ファイル303に対象物Oの点群P0と撮影画像I0とを関連付ける携帯端末装置10の現地点R0の三次元座標(xr0、yr0、zr0)の精度も向上するため、野帳作成の精度を向上させることが出来る。
【0041】
尚、ここでの2周波マルチGNSS受信機による地理座標系における携帯端末装置10の現地点R0の三次元座標(xr0、yr0、zr0)(GNSS情報)は、タッチパネル付きの携帯端末装置10(スマートフォン)やタブレット型端末装置10に内蔵の受信機により取得されても良いし、上述のように2周波マルチGNSS受信機40を携帯端末装置10に別途装着して、この2周波マルチGNSS受信機40により取得されても構わない。
【0042】
又、上述では、先ず、対象物Oの点群Pの三次元座標(xp、yp、zp)を取得し(
図2:S102)、次に、対象物Oが写された撮影画像Iを取得し(
図2:S103)、最後に、携帯端末装置10の現地点R0の三次元座標(xr0、yr0、zr0)を取得した(
図2:S104)が、これらの取得の順番に特に限定は無く、例えば、先ず、対象物Oが写された撮影画像Iを取得し(
図2:S103)、次に、対象物の点群Pの三次元座標(xp、yp、zp)を取得し、最後に、携帯端末装置10の現地点R0の三次元座標(xr0、yr0、zr0)を取得しても構わない(
図2:S104)。又、先に、携帯端末装置10の現地点R0の三次元座標(xr0、yr0、zr0)を取得し(
図2:S104)、次に、対象物Oが写された撮影画像Iを取得し(
図2:S103)、最後に、対象物Oの点群Pの三次元座標(xp、yp、zp)を取得しても構わない(
図2:S102)。
【0043】
又、上述では、携帯端末装置10が、現場で、ネットワークと接続可能な環境の場合、位置取得制御部104は、現場で、地理座標系における携帯端末装置10の現地点R0の三次元座標(xr0、yr0、zr0)を取得したが、これに限定されない。例えば、携帯端末装置10が、現場で、ネットワークと接続不可の環境の場合、位置取得制御部104は、携帯端末装置10の位置通信装置13を用いて、現場で、地理座標系における携帯端末装置10の現地点R0の三次元座標(xr0、yr0、zr0)を取得することが出来ない。そのため、例えば、位置取得制御部104は、携帯端末装置10の位置通信装置13を用いて、現場で、測位に関するオフラインの情報を取得し、その後、携帯端末装置10がネットワークと接続可能な環境になり、位置取得制御部104が、オフラインの情報に基づいて、点群Pと撮影画像Iとを取得した際の地理座標系における携帯端末装置10の現地点R0の三次元座標(xr0、yr0、zr0)を取得しても構わない。測位に関するオフラインの情報は、GNSS受信機の観測データ(RAWデータ)や国土地理院の電子基準点の観測データを挙げることが出来る。このような位置情報(三次元座標)の取得方法をスタティック測位(位置情報の修正)と称する。スタティック測位では、例えば、携帯端末装置10がネットワークと接続不可の山奥や森林内等の環境の場合、特に有効である。位置取得制御部104は、スタティック測位により、地理座標系における携帯端末装置10の現地点R0の三次元座標(xr0、yr0、zr0)を取得し、その現地点R0の三次元座標(xr0、yr0、zr0)を用いて、後述の測定点Dの描画や点群Pと撮影画像Iとの関連付けを行うことが出来る。
【0044】
さて、位置取得制御部104の現時点R0の三次元座標(xr0、yr0、zr0)の取得が完了すると、次に、携帯端末装置10の点描画制御部105は、図面ファイル303の対象物Oの三次元座標と、取得された携帯端末装置10の現地点R0の三次元座標(xr0、yr0、zr0)とに基づいて、当該図面ファイル303内に、当該携帯端末装置10の現地点R0を測定点D0として描画する(
図2:S105)。
【0045】
ここで、点描画制御部105の描画方法に特に限定は無い。例えば、
図6Aに示すように、点描画制御部105は、平面
図303aを参照し、平面
図303aにおける対象物Oの地理座標系のx軸とy軸との座標上に、携帯端末装置10の現地点R0のx座標(xr0)とy座標(yr0)とを測定点D0として描画する(プロットする)。又、
図6Bに示すように、点描画制御部105は、正面
図303bを参照し、正面
図303bにおける対象物Oの地理座標系のx軸とz軸との座標上に、携帯端末装置10の現地点R0のx座標(xr0)とz座標(zr0)とを測定点D0として描画する。これにより、測定者が点群P0と撮影画像I0とを取得した携帯端末装置10の現地点R0を図面ファイル303に容易に反映させることが可能となる。
【0046】
ところで、上述では、携帯端末装置10が、現場で、ネットワークと接続可能な環境の場合、位置取得制御部104が、現場で、携帯端末装置10の現地点R0の三次元座標(xr0、yr0、zr0)を取得し(
図2:S104)、点描画制御部105が、現場で、図面ファイル303内に、当該携帯端末装置10の現地点R0を測定点D0として描画したが(
図2:S105)、全てを現場で行う必要は無い。即ち、例えば、携帯端末装置10がネットワークと接続不可の環境の場合、スタティック測位により、測定者が、現場を動き回って、位置取得制御部104は、携帯端末装置10の位置通信装置13を用いて、現場で、測位に関するオフラインの情報を取得する。その後、測定者が、事務所に戻ってきて、携帯端末装置10がネットワークと接続可能な環境になった場合、位置取得制御部104が、オフラインの情報に基づいて、点群Pと撮影画像Iとを取得した際の地理座標系における携帯端末装置10の現地点R0の三次元座標(xr0、yr0、zr0)を取得し(
図2:S104)、そして、点描画制御部105が、事務所で、図面ファイル303内に、当該携帯端末装置10の現地点R0を測定点D0として描画しても良い(
図2:S105)。
【0047】
さて、点描画制御部105の測定点D0の描画が完了すると、次に、携帯端末装置10の関連付け制御部106は、図面ファイル303における携帯端末装置の測定点D0に、点群P0と撮影画像I0とを関連付けて記憶させる(
図2:S106)。
【0048】
ここで、関連付け制御部106の関連付け方法に特に限定は無いが、例えば、
図6Aに示すように、関連付け制御部106は、平面
図303aに描画した測定点D0に点群P0と撮影画像I0とを関連付けて記憶させる。又、
図6Bに示すように、関連付け制御部106は、正面
図303bに描画した測定点D0に点群P0と撮影画像I0とを関連付けて記憶させる。これにより、図面ファイル303のうち、点群P0と撮影画像I0とを取得した測定点D0に当該点群P0と当該撮影画像I0とを自動的に関連付けることが出来るため、測定作業後に、図面ファイル303から測定点D0を見つけて、その測定点D0に点群P0と撮影画像I0とを関連付ける作業が不要となり、野帳作成や内業を省略することが出来る。又、本発明では、測定者が現場で点群P0と撮影画像I0とを取得すれば、図面ファイル303におけるその測定点D0に自動的に関連付けられるため、測定者への負担が軽減され、効率の良い定期的な点検や変状調査が可能となる。
【0049】
ここで、関連付け制御部106は、点群P0と撮影画像I0とを関連付けた図面ファイル303を携帯端末装置10の表示部に表示させて、測定者からコメントやメモの入力を受け付けても良いし、図面ファイル303における対象物Oの地理座標系に誤りがあれば、測定者から誤りの修正を受け付けても構わない。
【0050】
又、関連付け制御部106が、点群P0を携帯端末装置の測定点D0に関連付けた際に、当該点群P0の点群座標系における原点の点群基準位置P00の三次元座標(xp00、yp00、zp00)を、携帯端末装置10の測定点D0(現地点R0)の三次元座標(xr0、yr0、zr0)に変更することで、点群P0の点群座標系を地理座標系に変換しても構わない。これにより、図面ファイル303の点群P0を地理座標系で扱うことが出来るため、測定作業後の点群P0や撮影画像I0の取り扱いを容易とし、CAD表示等の他の処理に転用することが出来る。
【0051】
さて、関連付け制御部106の関連付けが完了すると、選択受付制御部101は、点群Pと撮影画像Iとの取得の継続を示す継続キーと、完了を示す完了キーとを表示部に表示して、次の地点で点群Pと撮影画像Iとの取得を継続するか否かを問い合わせる(
図2:S107)。
【0052】
ここで、測定者が、次の地点で点群Pと撮影画像Iとの取得を継続する場合、継続キーを選択すると(
図2:S107YES)、選択受付制御部101が、継続キーの選択を受け付けて、点群取得制御部102は、スタートキーを携帯端末装置10の表示部に表示する。そこで、測定者が、
図7Aに示すように、先ほどの地点R0から少し移動したところで、三次元レーザースキャナー11を対象物Oに向けて、スタートキーを選択すると、点群取得制御部102は、スタートキーの選択を受け付けて、S102に移行し、当該三次元レーザースキャナー11で対象物Oをスキャンすることで、点群座標系における対象物Oの点群P1の三次元座標を取得する(
図2:S102)。
【0053】
次に、画像取得制御部103が、その状態で、カメラ12で対象物Oを撮影することで、当該対象物Oが写された撮影画像I1を取得し(
図2:S103)、位置取得制御部104は、対象物Oの点群P1と撮影画像I1とが取得された際に、携帯端末装置10の位置通信装置13を用いて、地理座標系における携帯端末装置10の現地点R1の三次元座標(xr1、yr1、zr1)を取得する(
図2:S104)。
【0054】
更に、
図7Bに示すように、点描画制御部105は、図面ファイル303の地理座標系と、取得された携帯端末装置10の現地点R1の三次元座標(xr1、yr1、zr1)とに基づいて、当該図面ファイル303内に当該携帯端末装置10の現地点R1を測定点D1として描画する(
図2:S105)。ここでは、平面
図303aと正面
図303bとのそれぞれに、先ほどの測定点D0に加えて、新たな測定点D1が描画される。そして、関連付け制御部106は、図面ファイル303における携帯端末装置の新たな測定点D1に、新たに取得された点群P1と撮影画像I1とを関連付けて記憶させる(
図2:S106)。
【0055】
このように、測定者が点群Pと撮影画像Iとの取得を繰り返すことで、図面ファイル303には、携帯端末装置10の測定点Dに、取得された点群Pと撮影画像Iとが自動的に関連付けて記憶されるため、測定者は定期的な点検や変状調査を円滑に進めることが出来る。
【0056】
一方、測定者が、対象物Oに対して点群Pと撮影画像Iとの取得を継続しない場合、つまり、対象物Oにおける点群Pと撮影画像Iとの取得を完了した場合、完了キーを選択すると(
図2:S107NO)、選択受付制御部101が、完了キーの選択を受け付けて、処理を完了する。これにより、現場における対象物Oの点群Pと撮影画像Iとの取得が完了する。
【0057】
さて、測定者が、携帯端末装置10を操作して、上述のアプリケーションを起動させて、図面ファイルの閲覧モードを選択する。すると、携帯端末装置10の表示制御部101は、測定者から、点群Pと撮影画像Iとが関連付けられた図面ファイルの選択を受け付ける(
図2:S201)。
【0058】
ここで、表示制御部107の受付方法に特に限定は無いが、例えば、表示制御部107は、閲覧モード画面を携帯端末装置10の表示部に表示させる。閲覧モード画面800は、
図8Aに示すように、図面ファイルの閲覧モードを示すモードタイトル801と、図面ファイルを示す図面タイトル802とが表示されている。図面タイトル802は、測定者に選択可能である。ここで、先ほど点群Pと撮影画像Iとを関連付けた図面ファイルの図面タイトル802a(「AAA」)を探して選択すると、表示制御部107は、測定者から選択された図面タイトル802a(「AAA」)の図面ファイルの選択を受け付ける。
【0059】
そして、表示制御部107は、選択を受け付けた図面ファイルを携帯端末装置10の表示部に表示させる(
図2:S202)。
図8Bに示すように、図面ファイル303には、平面
図303aと、正面
図303bとが含まれているため、平面
図303aと、正面
図303bとがそれぞれ表示される。
【0060】
ここで、表示制御部107は、図面ファイル303(平面
図303a、正面
図303b)に描画された測定点Dを選択可能に表示させる。これにより、測定者は、図面ファイル303内の測定点Dを確認することで、どこの測定点Dで点群Pと撮影画像Iとを取得したかを一見して確認することが出来る。
【0061】
さて、表示制御部107の表示方法に特に限定は無いが、例えば、
図9Aに示すように、表示制御部107は、図面ファイル303(平面
図303a)に複数描画された測定点Dのうち、所定数の測定点D0、D1、D2を指定して、指定した各測定点D0、D1、D2毎に関連付けられた撮影画像Iを並べて表示している。又、表示制御部107は、指定した測定点D0、D1、D2を他の測定点D3に順次変更することで、表示する撮影画像Iを順次変更して表示する。これにより、測定者は、図面ファイル303の測定点Dを選択しなくても、表示制御部107が、測定点Dの指定を変更して、各測定点D毎の撮影画像Iの表示を自動的に変更するため、測定者は、確認を要する測定点Dの撮影画像Iを簡単に確認することが出来る。更に、表示制御部107は、図面ファイル303における測定点Dと撮影画像Iとを線Lで接続して表示することで、測定点Dと撮影画像Iとの関連性を一見して理解することが出来る。
【0062】
尚、上述では、表示制御部107は、測定点Dに関連付けられた撮影画像Iを表示しているが、これに限らず、例えば、表示制御部107は、測定点Dに関連付けられた点群Pを表示しても良いし、測定点Dに関連付けられた点群P及び撮影画像Iの両方を、サムネイルのような小さなサイズの画像で表示しても構わない。
【0063】
さて、表示制御部107の図面ファイル303の測定点Dの表示を完了すると、測定者が、図面ファイル303の測定点Dを見ながら、確認を要する特定の測定点D0を見つけ、当該特定の測定点D0を選択する。すると、表示制御部107は、測定者からの特定の測定点D0の選択を受け付け(
図2:S203)、
図9Bに示すように、当該特定の測定点D0に関連付けられた点群P0及び撮影画像I0を表示させる(
図2:S204)。これにより、測定者は、確認を要する測定点Dの点群P及び撮影画像Iを簡単に確認することが出来る。
【0064】
ここで、測定者が特定の測定点Dを選択することで、表示制御部107は、選択された特定の測定点Dに関連付けられた点群P0及び撮影画像I0を表示させたが、上述のように、表示制御部107が、図面ファイル303において、各測定点D0、D1、D2毎に関連付けられた撮影画像Iを並べて表示する場合、各測定点D毎の撮影画像Iを選択可能に表示して、測定者が特定の撮影画像Iを選択した場合、当該特定の撮影画像Iの測定点Dに関連付けられた点群P0及び撮影画像I0を表示させても良い。これにより、測定者は、直感的に必要な点群Pと撮影画像Iとを確認することが可能となる。尚、選択可能な撮影画像Iを、選択可能な点群Pに代えても構わない。
【0065】
又、表示させた点群P0及び撮影画像I0について、例えば、測定者が、データのダウンロードを示すダウンロードキーを選択すると、表示制御部107は、表示させた点群P0及び撮影画像I0をダウンロードし、測定者は、他の処理で必要な点群P0及び撮影画像I0を簡単に取得することが出来る。
【0066】
さて、表示制御部107が、特定の測定点D0の点群P0及び撮影画像I0の表示を完了すると、次の測定点Dの点群P及び撮影画像Iの表示について継続を示す継続キーと、完了を示す完了キーとを表示部に表示して、次の測定点Dの点群P及び撮影画像Iの表示を継続するか否かを問い合わせる(
図2:S205)。
【0067】
ここで、測定者が、次の測定点Dで点群Pと撮影画像Iとの表示を継続する場合、継続キーを選択して(
図2:S205NO)、次の測定点Dを選択すると、表示制御部107は、測定者からの次の測定点Dの選択を受け付け(
図2:S203)、当該次の測定点Dに関連付けられた点群P及び撮影画像Iを表示させる(
図2:S204)。これにより、測定者は、確認を要する測定点Dの点群P及び撮影画像Iの表示や取得を簡単に継続することが出来る。
【0068】
一方、測定者が、次の測定点Dで点群Pと撮影画像Iとの表示を継続しない場合、つまり、測定点Dにおける点群Pと撮影画像Iとの表示を完了した場合、完了キーを選択すると(
図2:S205YES)、表示制御部107が、完了キーの選択を受け付けて、処理を完了する。これにより、測定者による図面ファイル303の対象物Oの定期的な点検や変状調査を完了し、他の処理に移ることが出来る。
【0069】
このように、本発明では、定期点検の維持管理データの収集及び確認の効率化を実現することが出来る。即ち、本発明では、従来における手書きの野帳作成から図面化までのアナログ的な作業を、三次元レーザースキャナー11とカメラ12とを組み合わせて、測定点D(測定地点)への関連付けとデータ整理を自動的に行うことが出来るため、測定者の負担を顕著に軽減し、且つ、作業の手間や時間を低減し、省人化や効率化に極めて有効となる。
【0070】
上述では、携帯端末装置10に付属の三次元レーザースキャナー11とカメラ12を例に説明したが、これに限らず、カメラ12は、例えば、カメラ12付属の無人飛行機を採用することが出来る。具体的には、点検や調査時のカメラ12付属の無人飛行機と、三次元レーザースキャナー11付属の携帯端末装置10を活用して、点群P及び撮影画像Iを取得して、図面ファイルの測定点Dに点群P及び撮影画像Iを関連付けて記憶させる。撮影画像Iは、静止画、動画を含む。このような構成は、既存の二次元の図面ファイルと、三次元の点群Pと、無人飛行機の取得の二次元の撮影画像Iとをデータ的に統合することが可能となるため、現場における野帳作成と内業時のデータ整理作業の負担を顕著に軽減することが出来る。
【0071】
又、カメラ12付属の無人飛行機と携帯端末装置10とが連携することで、無人飛行機が撮影した撮影画像Iと測定点Dとの関連付けを図面ファイルで行うことで、データの可視化が可能であり、且つ、地理座標系におけるデータの統合で、点検や調査の発注者と、受注者(測定者)との間のデータの受け渡しや現場速報も実現することが可能となる。
【0072】
近年、カメラ12付属の無人飛行機によるインフラ(対象物)の点検(例えば、橋梁点検)の促進が急速に進んでいるものの、無人飛行機によるインフラの外観点検に加えて、インフラの近接点検(視診)も必要性が指摘されている。本発明では、このようなインフラ点検においても、既存の二次元の図面ファイルと、三次元の点群Pと、無人飛行機の取得の二次元の撮影画像Iとをデータ的に統合することが可能であり、インフラDXの実現に大きく寄与すると考える。
【0073】
さて、本発明に係る実施例について説明する。先ず、
図1-
図2に示す図面連携システム1及び図面連携方法を携帯端末装置10に具現化し、図面ファイルへ測定点の描画と点群及び撮影画像の関連付けを行った。先ず、対象物Oとして一軒家の建物を想定し、
図10に示すように、図面ファイル1000として、平面
図1000aと正面
図1000bとを用意した。平面
図1000aと正面
図1000bとは、地理座標系で表現され、建物の対象物Oが登録されている。平面
図1000aと正面
図1000bとにおける建物の対象物の角部には、地理座標系における三次元座標値が登録されている。
【0074】
次に、測定者は、三次元レーザースキャナー11とカメラ12とを付属する携帯端末装置10を用意し、この図面ファイル1000を選択すると、選択受付制御部101は、この図面ファイル1000の選択を受け付けた(
図2:S101)。測定者は、スタートキーを携帯端末装置10に入力すると、点群取得制御部102は、点群座標系における対象物Oの点群Pの三次元座標を取得し(
図2:S102)、画像取得制御部103は、対象物Oが写された撮影画像Iを取得した(
図2:S103)。又、位置取得制御部104は、携帯端末装置10の位置通信装置13を用いて、地理座標系における携帯端末装置10の現地点Rの三次元座標を取得し(
図2:S104)、点描画制御部105は、図面ファイル1000の対象物Oの三次元座標と、取得された携帯端末装置10の現地点Rの三次元座標とに基づいて、当該図面ファイル1000内に、当該携帯端末装置10の現地点Rを測定点Dとして描画した(
図2:S105)。又、関連付け制御部106は、図面ファイル1000における携帯端末装置の測定点Dに、点群Pと撮影画像Iとを関連付けて記憶させた(
図2:S106)。
【0075】
そして、測定者は、このような作業を繰り返すことで、複数の測定点Dを図面ファイル1000に描画した。
図10に示すように、図面ファイル1000の平面
図1000aと正面
図1000bとには、複数の測定点Dが示されている。又、表示制御部107は、図面ファイル1000に描画された測定点Dを選択可能に表示している。更に、表示制御部107は、図面ファイル1000に複数描画された測定点Dのうち、所定数(例えば、6つ)の測定点Dを指定して、指定した各測定点D毎に関連付けられた撮影画像Iを並べて表示し、指定した測定点Dを他の測定点Dに順次変更することで、表示する撮影画像Iを順次変更して表示している。
図10では、表示制御部107が、図面ファイル1000における測定点Dと撮影画像Iとを線Lで接続して表示することで、どの測定点Dの撮影画像Iかを一見して理解出来るようにしている。
【0076】
ところで、このような図面ファイル1000に対して測定点Dと点群Pと撮影画像Iとの関連付けを手作業で行おうとすると、1日以上を要すると考えられるが、本発明では、点群及び撮影画像の収集の際に、測定点の描画と点群P及び撮影画像Iの関連付けを自動的に行うため、上述の作業時間を省略することが可能であり、測定者に対する負担を顕著に軽減出来ることが分かった。
【0077】
ここで、表示制御部107は、図面ファイル1000(平面
図1000a)において測定点Dと撮影画像Iとを選択可能に表示し、測定者が、特定の測定点D又は撮影画像Iを選択すると、
図11に示すように、表示制御部107は、選択された測定点Dに関連付けられた点群P及び撮影画像Iを表示する。これにより、測定者は、測定点Dの点群P及び撮影画像Iを容易に確認することが出来る。
【0078】
これは、一軒家の建物に限らず、例えば、上述した橋梁に適用することが可能である。例えば、
図12に示すように、橋梁の点検において、図面ファイル1200に対して測定点Dが描画され、測定点Dと撮影画像Iとが選択可能に表示される。特定の測定点Dが選択されることで、その測定点Dに関連付けられた点群P及び撮影画像Iが表示される。又、
図13に示すように、図面ファイル1300を空中写真とし、この空中写真1300に対して測定点Dが描画され、測定点Dと撮影画像Iとが選択可能に表示される。特定の測定点Dが選択されることで、その測定点Dに関連付けられた点群P及び撮影画像Iが表示される。又、測定点Dに動画としての撮影画像Iが関連付けられている場合は、その動画Iの再生が可能である。
【0079】
尚、本発明の実施形態では、携帯端末装置10が各制御部を備えるよう構成したが、当該各部を実現するプログラムを記憶媒体に記憶させ、当該記憶媒体を提供するよう構成しても構わない。当該構成では、プログラムを装置に読み出させ、当該装置が各制御部を実現する。その場合、記録媒体から読み出されたプログラム自体が本発明の作用効果を奏する。さらに、各制御部が実行する工程をハードディスクに記憶させる方法として提供することも可能である。
【産業上の利用可能性】
【0080】
以上のように、本発明に係る図面連携システム及び図面連携方法は、建設分野、土木分野、森林分野、測量分野、防災分野等、地理座標系における図面ファイルや点群、撮影画像を活用するあらゆる分野に有用であり、測定した点群と画像を図面上に簡単に関連付けることが可能な図面連携システム及び図面連携方法として有効である。
【符号の説明】
【0081】
1 図面連携システム
10 携帯端末装置
11 三次元レーザースキャナー
12 カメラ
13 位置通信装置
101 選択受付制御部
102 点群取得制御部
103 画像取得制御部
104 位置取得制御部
105 点描画制御部
106 関連付け制御部
107 表示制御部