(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024098208
(43)【公開日】2024-07-23
(54)【発明の名称】液体吐出装置の駆動方法
(51)【国際特許分類】
B41J 2/195 20060101AFI20240716BHJP
B41J 2/015 20060101ALI20240716BHJP
B41J 2/14 20060101ALI20240716BHJP
B41J 2/01 20060101ALI20240716BHJP
【FI】
B41J2/195
B41J2/015
B41J2/14 301
B41J2/14 613
B41J2/01 401
【審査請求】未請求
【請求項の数】10
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023001524
(22)【出願日】2023-01-10
(71)【出願人】
【識別番号】000002369
【氏名又は名称】セイコーエプソン株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100179475
【弁理士】
【氏名又は名称】仲井 智至
(74)【代理人】
【識別番号】100216253
【弁理士】
【氏名又は名称】松岡 宏紀
(74)【代理人】
【識別番号】100225901
【弁理士】
【氏名又は名称】今村 真之
(72)【発明者】
【氏名】松林 友大
(72)【発明者】
【氏名】山岸 健
(72)【発明者】
【氏名】山縣 俊幸
(72)【発明者】
【氏名】名和 研人
【テーマコード(参考)】
2C056
2C057
【Fターム(参考)】
2C056EB03
2C056EB08
2C056EB29
2C056EB30
2C056EC03
2C056EC08
2C056EC38
2C056FA04
2C056FA10
2C056FA13
2C056HA05
2C057AF99
2C057AG14
2C057AG33
2C057AG44
2C057AL03
2C057AL14
2C057AL24
2C057AM03
2C057AM16
2C057AN02
2C057AN05
2C057AP02
2C057AQ06
2C057BA04
2C057BA14
2C057DB03
2C057DB04
2C057DD06
(57)【要約】
【課題】液体吐出ヘッドの圧力室内の液体の温度を高精度に検出する。
【解決手段】ノズルと圧力室と圧電素子と駆動配線と抵抗体とを含む液体吐出ヘッドを備える液体吐出装置の駆動方法であって、圧電素子は、第1電極と、第2電極と、第1電極と第2電極との間に配置される圧電体と、を有し、抵抗体は、第1電極、第2電極および駆動配線のうちのいずれかと同一材料で構成されており、ノズルから吐出される液体により記録媒体に第1画像を印刷する第1印刷処理の実行後、かつ、ノズルから吐出される液体により記録媒体に第2画像を印刷する第2印刷処理の実行前に、記録媒体に向けて液体を吐出させない非印刷処理を実行し、非印刷処理の実行期間中に、駆動配線に印加される電位状態をノズルから液体を吐出させない状態で、抵抗体の電位を検出する。
【選択図】
図9
【特許請求の範囲】
【請求項1】
ノズルと、
前記ノズルに連通する圧力室と、
前記圧力室内の液体に圧力を付与する圧電素子と、
前記圧電素子に接続される駆動配線と、
前記圧力室内の液体の温度を計測するための抵抗体と、を含む液体吐出ヘッドを備える液体吐出装置の駆動方法であって、
前記圧電素子は、
第1電極と、
第2電極と、
前記第1電極と前記第2電極との間に配置される圧電体と、を有し、
前記抵抗体は、前記第1電極、前記第2電極および前記駆動配線のうちのいずれかと同一材料で構成されており、
前記ノズルから吐出される液体により記録媒体に第1画像を印刷する第1印刷処理の実行後、かつ、前記ノズルから吐出される液体により記録媒体に第2画像を印刷する第2印刷処理の実行前に、記録媒体に向けて液体を吐出させない非印刷処理を実行し、
前記非印刷処理の実行期間中に、前記駆動配線に印加される電位状態を前記ノズルから液体を吐出させない状態で、前記抵抗体の電位を検出する、
ことを特徴とする液体吐出装置の駆動方法。
【請求項2】
前記抵抗体は、前記圧電体に接触する部分を有する、
ことを特徴とする請求項1に記載の液体吐出装置の駆動方法。
【請求項3】
前記抵抗体の電位を検出する期間にわたり、前記駆動配線に電位を印加しない、
ことを特徴とする請求項1に記載の液体吐出装置の駆動方法。
【請求項4】
前記抵抗体の電位を検出する期間にわたり、前記駆動配線に一定の電位を印加する、
ことを特徴とする請求項1に記載の液体吐出装置の駆動方法。
【請求項5】
前記抵抗体の電位を検出する期間にわたり、前記ノズルから液体を吐出させないように変化する電位を前記駆動配線に印加する、
ことを特徴とする請求項1に記載の液体吐出装置の駆動方法。
【請求項6】
前記非印刷処理の実行期間中において、前記抵抗体の電位を検出する期間とは別の期間にわたり、前記ノズルから液体を吐出させずに前記ノズル内の液体を撹拌するように変化する電位を前記駆動配線に印加する、
ことを特徴とする請求項1に記載の液体吐出装置の駆動方法。
【請求項7】
前記第1印刷処理の実行期間中では、前記液体吐出ヘッドが第1方向に移動し、
前記第2印刷処理の実行期間中では、前記液体吐出ヘッドが前記第1方向とは反対方向の第2方向に移動し、
前記非印刷処理の実行期間中では、記録媒体が前記第1方向または前記第2方向に交差する第3方向に移動する、
ことを特徴とする請求項1に記載の液体吐出装置の駆動方法。
【請求項8】
前記液体吐出ヘッドは、記録媒体の幅方向での全域にわたり設けられており、
前記第2印刷処理で印刷される記録媒体のページは、前記第1印刷処理で印刷される記録媒体のページと異なる、
ことを特徴とする請求項1に記載の液体吐出装置の駆動方法。
【請求項9】
前記非印刷処理で前記抵抗体の電位を検出した結果に基づいて、前記第2印刷処理で前記圧電素子に供給される駆動信号を補正する、
ことを特徴とする請求項1に記載の液体吐出装置の駆動方法。
【請求項10】
前記ノズルに対向する記録媒体を支持する支持部は、ヒーターにより設定温度に加熱され、
前記非印刷処理で前記抵抗体の電位を検出した結果に基づいて、前記第2印刷処理における前記設定温度を補正する、
ことを特徴とする請求項1に記載の液体吐出装置の駆動方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、液体吐出装置の駆動方法に関する。
【背景技術】
【0002】
インクジェットプリンターに代表される液体吐出装置は、一般に、インク等の液体を吐出する液体吐出ヘッドを備える。
【0003】
例えば、特許文献1に記載の液体吐出ヘッドは、液体を吐出するノズルと、ノズルに連通する圧力室と、圧力室内の液体に圧力変動を生じさせる圧電素子と、圧力室の温度を検出するための抵抗配線と、を備える。ここで、当該抵抗配線は、圧電素子の電極または当該電極に接続される配線と同一材料で構成される。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
従来では、特許文献1に記載の液体吐出ヘッドを用いて圧力室内の液体の温度を検出する場合、圧電素子を駆動するための駆動信号からのノイズが検出信号に重畳してしまい、この結果、検出精度の低下を招くという課題があった。
【課題を解決するための手段】
【0006】
以上の課題を解決するために、本開示の好適な態様に係る液体吐出装置の駆動方法は、ノズルと、前記ノズルに連通する圧力室と、前記圧力室内の液体に圧力を付与する圧電素子と、前記圧電素子に接続される駆動配線と、前記圧力室内の液体の温度を計測するための抵抗体と、を備える液体吐出装置の駆動方法であって、前記圧電素子は、第1電極と、第2電極と、前記第1電極と前記第2電極との間に配置される圧電体と、を有し、前記抵抗体は、前記第1電極、前記第2電極および前記駆動配線のうちのいずれかと同一材料で構成されており、前記ノズルから吐出される液体により記録媒体に第1画像を印刷する第1印刷処理の実行後、かつ、前記ノズルから吐出される液体により記録媒体に第2画像を印刷する第2印刷処理の実行前に、記録媒体に向けて液体を吐出させない非印刷処理を実行し、前記非印刷処理の実行期間中に、前記駆動配線に印加される電位状態を前記ノズルから液体を吐出させない状態で、前記抵抗体の電位を検出する。
【図面の簡単な説明】
【0007】
【
図1】第1実施形態に係る液体吐出装置の構成例を示す模式図である。
【
図2】第1実施形態に係る液体吐出装置の電気的な構成を示すブロック図である。
【
図3】第1実施形態に係るヘッドチップの分解斜視図である。
【
図4】第1実施形態に係るヘッドチップの断面図である。
【
図5】第1実施形態に係るヘッドチップの平面図である。
【
図8】圧電素子に供給される供給駆動信号と抵抗体の電位に基づく検出信号とのそれぞれの経時変化を示す図である。
【
図9】第1実施形態における第1印刷処理、第2印刷処理、非印刷処理および電位検出の実行期間の関係を示す図である。
【
図10】第2実施形態における第1印刷処理、第2印刷処理、非印刷処理および電位検出の実行期間の関係を示す図である。
【
図11】第3実施形態に係る液体吐出装置の構成例を示す模式図である。
【発明を実施するための形態】
【0008】
以下、添付図面を参照しながら本開示に係る好適な実施形態を説明する。なお、図面において各部の寸法および縮尺は実際と適宜に異なり、理解を容易にするために模式的に示している部分もある。また、本開示の範囲は、以下の説明において特に本開示を限定する旨の記載がない限り、これらの形態に限られない。
【0009】
以下の説明は、位置または方向等を特定するための便宜上、互いに交差するX軸、Y軸およびZ軸を適宜に用いて行う。また、以下では、X軸に沿う一方向がX1方向であり、X1方向と反対の方向がX2方向である。同様に、Y軸に沿って互いに反対の方向がY1方向およびY2方向である。また、Z軸に沿って互いに反対の方向がZ1方向およびZ2方向である。
【0010】
ここで、典型的には、Z軸が鉛直な軸であり、Z2方向が鉛直方向での下方向に相当する。ただし、Z軸は、鉛直な軸でなくともよい。また、X軸、Y軸およびZ軸は、典型的には互いに直交するが、これに限定されず、例えば、80°以上100°以下の範囲内の角度で交差すればよい。
【0011】
A:第1実施形態
A1:液体吐出装置の全体構成
図1は、第1実施形態に係る液体吐出装置100の構成例を示す模式図である。液体吐出装置100は、「液体」の一例であるインクを液滴として記録媒体Mに向けて吐出するインクジェット方式の印刷装置である。記録媒体Mは、例えば、印刷用紙である。なお、記録媒体Mは、印刷用紙に限定されず、例えば、樹脂フィルムまたは布帛等の任意の材質の印刷対象であってもよい。
【0012】
液体吐出装置100は、
図1に示すように、液体容器10と制御モジュール20と搬送機構30と移動機構40と液体吐出ヘッド50と支持部60とヒーター70とを有する。
【0013】
液体容器10は、インクを貯留する。液体容器10の具体的な態様としては、例えば、液体吐出装置100に着脱可能なカートリッジ、可撓性のフィルムで構成される袋状のインクパック、および、インクを補充可能なインクタンクが挙げられる。なお、液体容器10に貯留されるインクの種類は任意である。
【0014】
制御モジュール20は、液体吐出装置100の各要素の動作を制御する。ここで、制御モジュール20は、液体吐出ヘッド50を駆動するための駆動信号Comと、液体吐出ヘッド50の駆動を制御するための制御信号SIと、を出力する。また、制御モジュール20には、液体吐出ヘッド50の温度を示す検出信号Dtが入力される。制御モジュール20は、検出信号Dtに基づいて、駆動信号Comを補正したり、ヒーター70の設定温度を調整したりする。制御モジュール20の詳細については、後に
図2に基づいて説明する。
【0015】
搬送機構30は、制御モジュール20による制御のもとで、記録媒体MをY軸に沿って搬送する。
図1に示す例では、搬送機構30により記録媒体Mの搬送方向がY1方向である。
【0016】
移動機構40は、制御モジュール20による制御のもとで、液体吐出ヘッド50をX軸に沿って往復させる。移動機構40は、液体吐出ヘッド50を収容するキャリッジと称される略箱型の搬送体41と、搬送体41が固定される無端の搬送ベルト42と、を有する。なお、搬送体41に搭載される液体吐出ヘッド50の数は、1個に限定されず、複数個でもよい。また、搬送体41には、液体吐出ヘッド50のほかに、前述の液体容器10が搭載されてもよい。
【0017】
液体吐出ヘッド50は、制御モジュール20による制御のもと、液体容器10から供給されるインクを複数のノズルのそれぞれから記録媒体Mに吐出する。この吐出が搬送機構30による記録媒体Mの搬送と移動機構40による液体吐出ヘッド50の往復移動とに並行して行われることにより、記録媒体Mの表面にインクによる画像が形成される。
【0018】
図1に示す例では、液体吐出ヘッド50が複数のヘッドチップ51を備える。ヘッドチップ51は、インクを吐出する複数のノズルNを有する。ヘッドチップ51の構成例については、後に
図3から
図7に基づいて説明する。なお、液体吐出ヘッド50の有するヘッドチップ51の数は、
図1に示す例に限定されず、1個以上3個以下であってもよいし、5個以上でもよい。
【0019】
支持部60は、液体吐出ヘッド50から吐出されるインクの着弾を受ける状態の記録媒体Mを支持する台であり、プラテンとも称される。このような支持部60は、印刷時の液体吐出ヘッド50の複数のノズルNに対向する記録媒体Mを支持する。
【0020】
ヒーター70は、制御モジュール20による制御のもと、支持部60を設定温度に加熱する。この加熱により、記録媒体M上のインクの乾燥を促進させることができる。この結果、記録媒体M上のインクが所望位置に留められるので、画質を向上させることができる。
【0021】
A2:液体吐出装置の電気的な構成
図2は、第1実施形態に係る液体吐出装置100の電気的な構成を示すブロック図である。
図2に示すように、液体吐出ヘッド50は、複数のヘッドチップ51と、複数の駆動回路52と、検出回路53と、を有する。
【0022】
複数のヘッドチップ51のそれぞれは、複数の圧電素子560と抵抗体80とを有する。
【0023】
ヘッドチップ51の有する複数の圧電素子560のそれぞれは、供給駆動信号Vinの供給を受けて逆圧電効果により駆動する。抵抗体80は、温度変化に応じて抵抗値の変化する特性を有する。なお、ヘッドチップ51の詳細については、後に
図3から
図7に基づいて説明する。
【0024】
駆動回路52は、複数のヘッドチップ51に対応してヘッドチップ51ごとに設けられ、制御モジュール20による制御のもと、対応するヘッドチップ51の圧電素子560を駆動する。具体的には、駆動回路52は、制御モジュール20による制御のもと、ヘッドチップ51の有する複数の圧電素子560のそれぞれについて、制御モジュール20から出力される駆動信号Comを供給駆動信号Vinとして供給するか否かを切り替える。
【0025】
検出回路53は、複数のヘッドチップ51のそれぞれの温度を検出するための回路である。具体的には、検出回路53は、各ヘッドチップ51の抵抗体80に電流Idを供給する回路と、各ヘッドチップ51の抵抗体80に印加される電圧に応じた電位Vdを検出する回路と、を有し、電位Vdに応じた検出信号Dtを出力する。
【0026】
電流Idは、抵抗体80の両端等の所定の2つの位置間に流れる所定の定電流である。電位Vdは、オフセット電位VBS等の定電位を基準電位とした抵抗体80の電位である。電位Vdは、抵抗体80の抵抗値に応じて変化する。前述のように抵抗体80の抵抗値が温度変化に応じて変化することから、電位Vdは、温度変化に応じて変化する。したがって、電位Vdに応じた検出信号Dtは、ヘッドチップ51の温度、より具体的には、ヘッドチップ51の後述の圧力室C内のインクの温度を示す信号である。検出信号Dtの示す温度は、ヘッドチップ51ごとに圧力室C内のインクの温度であってもよいし、複数のヘッドチップ51の圧力室C内のインクの温度の平均値、中央値または最頻値等の統計値であってもよい。
【0027】
図2に示すように、制御モジュール20は、制御回路21と記憶回路22と電源回路23と駆動信号生成回路24とを有する。
【0028】
制御回路21は、液体吐出装置100の各部の動作を制御する機能と、各種データを処理する機能と、を有する。
【0029】
制御回路21は、例えば、1個以上のCPU(Central Processing Unit)等のプロセッサーを含む。なお、制御回路21は、CPUに代えて、または、CPUに加えて、FPGA(field-programmable gate array)等のプログラマブルロジックデバイスを含んでもよい。また、制御回路21は、複数のプロセッサーで構成される場合、例えば、駆動回路52の動作制御と検出回路53の動作制御とが別々のプロセッサーで行われてもよい。また、制御回路21が複数のプロセッサーで構成される場合、当該複数のプロセッサーが互いに異なる基板等に実装されてもよい。
【0030】
記憶回路22は、制御回路21が実行する各種プログラムと、制御回路21が処理する印刷データ等の各種データと、を記憶する。記憶回路22は、例えば、RAM(Random Access Memory)等の揮発性のメモリーとROM(Read Only Memory)、EEPROM(Electrically Erasable Programmable Read-Only Memory)またはPROM(Programmable ROM)等の不揮発性メモリーとの一方または両方の半導体メモリーを含む。印刷データは、パーソナルコンピューターまたはデジタルカメラ等の外部装置から供給される。なお、記憶回路22の一部または全部は、制御回路21の一部として構成されてもよい。
【0031】
電源回路23は、図示しない商用電源から電力の供給を受け、所定の各種電位を生成する。生成した各種電位は、液体吐出装置100の各部に適宜に供給される。例えば、電源回路23は、電源電位VHVとオフセット電位VBSとを生成する。オフセット電位VBSは、液体吐出ヘッド50に供給される。また、電源電位VHVは、駆動信号生成回路24に供給される。
【0032】
駆動信号生成回路24は、各圧電素子560を駆動するための駆動信号Comを生成する回路である。具体的には、駆動信号生成回路24は、例えば、DA変換回路と増幅回路とを有する。駆動信号生成回路24では、当該DA変換回路が制御回路21からの波形指定信号dComをデジタル信号からアナログ信号に変換し、当該増幅回路が電源回路23からの電源電位VHVを用いて当該アナログ信号を増幅することで駆動信号Comを生成する。ここで、駆動信号Comに含まれる波形のうち、圧電素子560に実際に供給される波形の信号が前述の供給駆動信号Vinである。波形指定信号dComは、駆動信号Comの波形を規定するためのデジタル信号である。
【0033】
以上の制御モジュール20では、制御回路21が、記憶回路22に記憶されるプログラムを実行することで、液体吐出装置100の各部の動作を制御する。ここで、制御回路21は、当該プログラムの実行により、液体吐出装置100の各部の動作を制御するための信号として、制御信号Sk1と制御信号Sk2と制御信号Sk3と制御信号SIと波形指定信号dComとを生成する。
【0034】
制御信号Sk1は、搬送機構30の駆動を制御するための信号である。制御信号Sk2は、移動機構40の駆動を制御するための信号である。制御信号Sk3は、ヒーター70の駆動を制御するための信号である。制御信号SIは、圧電素子560の動作状態を指定するためのデジタルの信号である。なお、制御信号SIには、圧電素子560の駆動タイミングを規定するためのタイミング信号が含まれてもよい。当該タイミング信号は、例えば、前述の搬送体41の位置を検出するエンコーダーの出力に基づいて生成される。
【0035】
また、制御回路21は、記憶回路22に記憶されるプログラムを実行することで、補正部21aとして機能する。
【0036】
補正部21aは、検出信号Dtに基づいて、波形指定信号dComおよび制御信号Sk3のうちの一方または両方を調整する。この調整により、補正部21aは、駆動信号Comを補正したり、ヒーター70の設定温度を補正したりする。
【0037】
A3:ヘッド
図3は、第1実施形態に係るヘッドチップ51の分解斜視図である。
図4は、第1実施形態に係るヘッドチップ51の断面図である。なお、
図4は、
図3中のA-A線断面図である。
【0038】
図3および
図4に示すように、ヘッドチップ51は、Y軸に沿う方向に配列される複数のノズルNを有する。
【0039】
ヘッドチップ51の有する複数のノズルNは、X軸に沿う方向に互いに間隔をあけて並ぶ第1ノズル列Ln1と第2ノズル列Ln2とに区分される。第1ノズル列Ln1および第2ノズル列Ln2のそれぞれは、Y軸に沿う方向に直線状に配列される複数のノズルNの集合である。
【0040】
ヘッドチップ51は、X軸に沿う方向で互いに略対称な構成である。ただし、第1ノズル列Ln1の複数のノズルNと第2ノズル列Ln2の複数のノズルNとのY軸に沿う方向での位置は、互いに一致してもよいし異なってもよい。
図3および
図4では、第1ノズル列Ln1の複数のノズルNと第2ノズル列Ln2の複数のノズルNとのY軸に沿う方向での位置が互いに一致する構成が例示される。
【0041】
図3および
図4に示すように、ヘッドチップ51は、流路基板510と、圧力室基板520と、ノズル基板530と、吸振体540と、振動板550と、複数の圧電素子560と、保護基板570と、ケース580と、配線基板590と、を有する。
【0042】
流路基板510および圧力室基板520は、この順でZ1方向に積層されており、複数のノズルNにインクを供給するための流路を形成する。流路基板510および圧力室基板520からなる積層体よりもZ1方向に位置する領域には、振動板550と複数の圧電素子560と保護基板570とケース580と配線基板590と駆動回路52とが設置される。他方、当該積層体よりもZ2方向に位置する領域には、ノズル基板530と吸振体540とが設置される。ヘッドチップ51の各要素は、概略的にはY方向に長尺な板状部材であり、例えば接着剤により、互いに接合される。以下、ヘッドチップ51の各要素を順に説明する。
【0043】
ノズル基板530は、第1ノズル列Ln1および第2ノズル列Ln2のそれぞれの複数のノズルNが設けられた板状部材である。複数のノズルNのそれぞれは、インクを通過させる貫通孔である。ここで、ノズル基板530のZ2方向を向く面がノズル面FNである。ノズル基板530は、例えば、ドライエッチングまたはウェットエッチング等の加工技術を用いる半導体製造技術によりシリコン単結晶基板を加工することにより製造される。ただし、ノズル基板530の製造には、他の公知の方法および材料が適宜に用いられてもよい。また、ノズルの断面形状は、典型的には円形状であるが、これに限定されず、例えば、多角形または楕円形等の非円形状であってもよい。
【0044】
流路基板510には、第1ノズル列Ln1および第2ノズル列Ln2のそれぞれについて、空間R1と複数の供給流路Raと複数の連通流路Naとが設けられる。空間R1は、Z軸に沿う方向でみた平面視で、Y軸に沿う方向に延びる長尺状の開口である。供給流路Raおよび連通流路Naのそれぞれは、ノズルNごとに形成された貫通孔である。各供給流路Raは、空間R1に連通する。
【0045】
圧力室基板520は、第1ノズル列Ln1および第2ノズル列Ln2のそれぞれについて、キャビティと称される複数の圧力室Cが設けられた板状部材である。複数の圧力室Cは、Y軸に沿う方向に配列される。各圧力室Cは、ノズルNごとに形成され、平面視でX軸に沿う方向に延びる長尺状の空間である。
【0046】
流路基板510および圧力室基板520それぞれは、前述のノズル基板530と同様に、例えば、半導体製造技術によりシリコン単結晶基板を加工することにより製造される。ただし、流路基板510および圧力室基板520のそれぞれの製造には、他の公知の方法および材料が適宜に用いられてもよい。
【0047】
圧力室Cは、流路基板510と振動板550との間に位置する。第1ノズル列Ln1および第2ノズル列Ln2のそれぞれについて、複数の圧力室CがY軸に沿う方向に配列される。また、圧力室Cは、連通流路Naおよび供給流路Raのそれぞれに連通する。したがって、圧力室Cは、連通流路Naを介してノズルNに連通し、かつ、供給流路Raを介して空間R1に連通する。
【0048】
圧力室基板520のZ1方向を向く面には、振動板550が配置される。振動板550は、弾性的に振動可能な板状部材である。振動板550の詳細については、後に
図5から
図7に基づいて説明する。
【0049】
振動板550のZ1方向を向く面には、第1ノズル列Ln1および第2ノズル列Ln2のそれぞれについて、互いにノズルNに対応する複数の圧電素子560が配置される。各圧電素子560は、駆動信号Comに応じた供給駆動信号Vinの供給により変形する受動素子であり、圧力室C内のインクに圧力変動を生じさせる。各圧電素子560は、平面視でX軸に沿う方向に延びる長尺状をなす。複数の圧電素子560は、複数の圧力室Cに対応するようにY軸に沿う方向に配列される。圧電素子560は、平面視で圧力室Cに重なる。圧電素子560の詳細については、後に
図5から
図7に基づいて説明する。
【0050】
保護基板570は、振動板550のZ1方向を向く面に設置される板状部材であり、複数の圧電素子560を保護するとともに振動板550の機械的な強度を補強する。ここで、保護基板570と振動板550との間の空間Sには、複数の圧電素子560が収容される。保護基板570は、例えば、樹脂材料で構成される。
【0051】
ケース580は、複数の圧力室Cに供給されるインクを貯留するためのケースである。ケース580は、例えば、樹脂材料で構成される。ケース580には、第1ノズル列Ln1および第2ノズル列Ln2のそれぞれについて、空間R2が設けられる。空間R2は、前述の空間R1に連通する空間であり、空間R1とともに、複数の圧力室Cに供給されるインクを貯留するリザーバーRとして機能する。ケース580には、各リザーバーRにインクを供給するための導入口HLが設けられる。各リザーバーR内のインクは、各供給流路Raを介して圧力室Cに供給される。
【0052】
吸振体540は、コンプライアンス基板とも称され、リザーバーRの壁面を構成する可撓性の樹脂フィルムであり、リザーバーR内のインクの圧力変動を吸収する。なお、吸振体540は、金属製の可撓性を有する薄板であってもよい。吸振体540のZ1方向を向く面は、流路基板510に接着剤等により接合される。
【0053】
配線基板590は、振動板550のZ1方向を向く面に実装されており、制御モジュール20とヘッドチップ51とを電気的に接続するための実装部品である。配線基板590は、例えば、COF(Chip On Film)、FPC(Flexible Printed Circuit)またはFFC(Flexible Flat Cable)等の可撓性の配線基板である。本実施形態の配線基板590には、前述の駆動回路52が実装される。なお、配線基板590は、リジッド基板でもよい。この場合、当該リジッド基板上または当該リジッド基板に接続されるフレキシブル基板上に駆動回路52が実装される。
【0054】
図5は、第1実施形態に係るヘッドチップ51の平面図である。
図6は、
図5中のB-B線断面図である。
図7は、
図5中のC-C線断面図である。なお、これらの図では、説明の便宜上、ヘッドチップ51を構成する要素のうち、振動板550上において配線基板590に電気的に接続される要素およびその関連要素が代表的に示される。
【0055】
ヘッドチップ51は、
図5から
図7に示すように、前述の構成要素のほかに、個別駆動配線91と共通駆動配線92と検出用配線93と抵抗体80とを有する。ここで、個別駆動配線91および共通駆動配線92のそれぞれは、「駆動配線」の一例である。
【0056】
以下、まず、これらの配線および抵抗体80の説明に先立ち、振動板550および圧電素子560について説明する。
【0057】
図6および
図7に示すように、振動板550は、弾性膜551と絶縁膜552とを有し、これらがこの順でZ1方向に積層される。
【0058】
弾性膜551は、例えば、酸化シリコン(SiO2)で構成されており、シリコン単結晶基板の一方の面を熱酸化することにより形成される。絶縁膜552は、例えば、酸化ジルコニウム(ZrO2)で構成されており、スパッタ法によりジルコニウムの層を形成し、当該層を熱酸化することにより形成される。
【0059】
なお、振動板550は、前述の弾性膜551および絶縁膜552の積層による構成に限定されず、例えば、単層で構成されてもよいし、3層以上で構成されてもよい。また、振動板550を構成する各層の材料は、前述の材料に限定されず、例えば、シリコンまたは窒化ケイ素等であってもよい。
【0060】
以上の振動板550のZ1方向を向く面には、複数の圧電素子560が配置される。
図6および
図7に示すように、各圧電素子560は、第1電極561と圧電体562と第2電極563とを有し、この順でこれらがZ1方向に積層される。
【0061】
第1電極561は、圧電素子560ごとに互いに離間して配置される個別電極である。第1電極561には、駆動信号Comに応じた供給駆動信号Vinが供給される。第2電極563は、複数の圧電素子560にわたり連続するようにY軸に沿う方向に延びる帯状の共通電極である。第2電極563には、例えば、定電位が供給される。これらの電極の金属材料としては、例えば、白金(Pt)、アルミニウム(Al)、ニッケル(Ni)、金(Au)、銅(Cu)等の金属材料が挙げられ、これらのうち、1種を単独でまたは2種以上を合金または積層等の態様で組み合わせて用いることができる。
【0062】
圧電体562は、チタン酸ジルコン酸鉛(Pb(Zr,Ti)O
3)等の圧電材料で構成される。
図5に示す例では、圧電体562は、複数の圧電素子560にわたり連続するようにY軸に沿う方向に延びる帯状をなす。ここで、圧電体562には、互いに隣り合う各圧力室Cの間隙に平面視で対応する領域に、圧電体562を貫通する貫通孔562aがX軸に沿う方向に延びて設けられる。なお、圧電体562が圧電素子560ごとに個別に設けられてもよい。
【0063】
本実施形態の圧電素子560は、
図7に示すように、前述の第1電極561と圧電体562と第2電極563とのほか、配線部564を有する。配線部564は、圧電素子560ごとに個別に設けられ、第2電極563よりも配線基板590に近い位置で、第2電極563に対して間隔を隔てて、圧電体562と第1電極561とに跨るように配置される。配線部564は、第2電極563と同一の成膜工程により一括形成されることが好ましい。この場合、ヘッドチップ51の製造工程を簡単化することができ、この結果、ヘッドチップ51の低コスト化を図ることができる。
【0064】
このような圧電素子560では、第1電極561と第2電極563との間に電圧が印加されることにより、圧電体562が逆圧電効果により変形する。この変形に連動して振動板550が振動すると、圧力室C内の圧力が変動することにより、インクがノズルNから吐出される。
【0065】
以上の圧電素子560は、
図5に示すように、個別駆動配線91および共通駆動配線92を介して配線基板590に電気的に接続される。
【0066】
個別駆動配線91は、圧電素子560ごとに個別に設けられ、対応する圧電素子560の第1電極561に電気的に接続される。一方、共通駆動配線92は、複数の圧電素子560に共通して設けられ、第2電極563に電気的に接続される。
【0067】
個別駆動配線91および共通駆動配線92は、互いに間隔を隔てて配置される。ここで、個別駆動配線91および共通駆動配線92は、同一の成膜工程により一括形成されることが好ましい。この場合、ヘッドチップ51の製造工程を簡単化することができ、この結果、ヘッドチップ51の低コスト化を図ることができる。
【0068】
個別駆動配線91および共通駆動配線92のそれぞれの構成材料としては、導電性を有する材料であればよく、特に限定されないが、例えば、金(Au)、銅(Cu)、チタン(Ti)、タングステン(W)、ニッケル(Ni)、クロム(Cr)、白金(Pt)、アルミニウム(Al)等の金属が挙げられる。中でも、個別駆動配線91および共通駆動配線92の構成材料としては、金(Au)が好適に用いられる。なお、個別駆動配線91および共通駆動配線92は、第1電極561、第2電極563および振動板550との密着性を向上するための密着層を有していてもよい。
【0069】
本実施形態では、個別駆動配線91は、
図7に示すように、配線部564を介して第1電極561に接続されており、圧電素子560ごとに、配線部564上から配線基板590に向かう方向に振動板550上まで引き出される。
【0070】
一方、共通駆動配線92は、
図5に示すように、第2電極563のY1方向およびY2方向の両端部において、第2電極563上から配線基板590に向かう方向に振動板550上まで引き出される。ここで、共通駆動配線92は、Y軸に沿う方向に延びる1対の部分92a、92bを有する。共通駆動配線92の部分92aは、Z軸に沿う方向にみて圧力室CのX軸に沿う方向での両端のうち配線基板590から遠いほうの端に重なる。一方、共通駆動配線92の部分92bは、Z軸に沿う方向にみて圧力室CのX軸に沿う方向での両端のうち配線基板590に近いほうの端に重なる。以上から理解されるように、部分92a、92bのそれぞれは、Y軸に沿う方向に並ぶ複数の圧力室Cにわたり、Y軸に沿う方向に延びる。
【0071】
抵抗体80は、圧力室C内のインクの温度を検出するための抵抗配線であり、温度変化に応じて抵抗値の変化する特性を有する。したがって、抵抗体80は、電気抵抗値が温度依存性を有する材料で構成される。ただし、抵抗体80は、第1電極561、第2電極563、個別駆動配線91および共通駆動配線92のうちのいずれかと同一材料で構成される。具体的には、抵抗体80を構成する材料としては、例えば、金(Au)、白金(Pt)、イリジウム(Ir)、アルミニウム(Al)、銅(Cu)、チタン(Ti)、タングステン(W)、ニッケル(Ni)、クロム(Cr)等の金属が挙げられる。これらのうち、白金(Pt)は、他の金属に比べて、温度変化による抵抗値変化が大きく、かつ、高精度な温度検出が可能であることから、抵抗体80を構成する材料として好適に採用される。
【0072】
図5に示すように、抵抗体80は、前述の個別駆動配線91および共通駆動配線92に対して間隔を隔てて配置される。
図5に示す例では、抵抗体80は、Z軸に沿う方向にみて圧力室Cに重ならない位置に配置される。このため、振動板550の変形の影響を受けずに、抵抗体80を用いて圧力室Cの温度を検出することができる。なお、抵抗体80は、Z軸に沿う方向にみて圧力室Cに重なる位置に配置されてもよい。この場合、抵抗体80を用いた温度検出には、必要に応じて、振動板550の変形を考慮した補正処理が用いられる。
【0073】
図5に示す例では、抵抗体80は、Z軸に沿う方向にみて、第1ノズル列Ln1に対応する複数の圧力室Cと第2ノズル列Ln2に対応する複数の圧力室Cとの全体を囲むように延びる形状をなす。ここで、
図5および
図7に示すように、抵抗体80は、第1ノズル列Ln1および第2ノズル列Ln2のノズル列ごとに、Y軸に沿う方向に延びる複数の部分81を有する。この複数の部分81は、X軸に沿う方向に互いに間隔を隔てて並ぶ。そして、複数の部分81のうちの互いに隣り合う2つの部分81の一端同士は、交互に連結される。これにより、抵抗体80は、蛇行した形状をなす部分を有する。このため、当該部分を有しない構成に比べて、抵抗体80の長さを長くすることができる。この結果、抵抗体80の温度変化に対する抵抗値の変化が大きくなるので、抵抗体80を用いた温度検出の精度を高めることができる。なお、抵抗体80の平面視形状は、
図5に示す例に限定されず、任意である。
【0074】
図7に示す例では、抵抗体80が振動板550と圧電体562と間に配置されており、振動板550および圧電体562のそれぞれに接する。このような構成では、抵抗体80が圧電体562のZ1方向を向く面上に配置される構成に比べて、抵抗体80を用いた温度検出の精度を高めやすいという利点がある。なお、抵抗体80の配置は、ヘッドチップ51の一部となる位置であればよく、
図7に示す配置に限定されない。例えば、抵抗体80は、抵抗体80が圧電体562のZ1方向を向く面上に配置されてもよいし、振動板550と圧電体562と間に配置されずに振動板550上に配置されてもよい。
【0075】
ここで、本実施形態の抵抗体80は、第1電極561に対して間隔を隔てて配置されるが、第1電極561と同一の成膜工程により一括形成されることが好ましい。この場合、ヘッドチップ51の製造工程を簡単化することができ、この結果、ヘッドチップ51の低コスト化を図ることができる。
【0076】
以上の抵抗体80は、検出用配線93を介して配線基板590に電気的に接続される。検出用配線93は、抵抗体80の一端に接続される検出用配線93aと、抵抗体80の他端に接続される検出用配線93bと、を有する。検出用配線93a、93bは、配線基板590を介して、検出回路53に電気的に接続される。このため、検出用配線93a、93bを介して、検出回路53から抵抗体80に電流Idを供給したり検出回路53で抵抗体80の電位Vdを検出したりすることができる。
【0077】
検出用配線93aおよび検出用配線93bを含む検出用配線93は、個別駆動配線91および共通駆動配線92に対して間隔を隔てて配置されるが、個別駆動配線91および共通駆動配線92と同一の成膜工程により一括形成されることが好ましい。この場合、ヘッドチップ51の製造工程を簡単化することができ、この結果、ヘッドチップ51の低コスト化を図ることができる。
【0078】
検出用配線93を構成する材料としては、導電性を有する材料であればよく、特に限定されないが、例えば、金(Au)、銅(Cu)、チタン(Ti)、タングステン(W)、ニッケル(Ni)、クロム(Cr)、白金(Pt)、アルミニウム(Al)等の金属が挙げられる。中でも、検出用配線93の構成材料を個別駆動配線91および共通駆動配線92の構成材料と同一とする観点から、検出用配線93の構成材料としては、金(Au)が好ましい。この場合、と同じ材料である。なお、検出用配線93は、個別駆動配線91および共通駆動配線92と同様、抵抗体80または振動板550との密着性を向上するための密着層を有していてもよい。
【0079】
A4:印刷処理および検出処理
図8は、圧電素子560に供給される供給駆動信号Vinと抵抗体80の電位Vdに基づく検出信号Dtとのそれぞれの経時変化を示す図である。
図8中、横軸は、時間tであり、上段の縦軸は、供給駆動信号Vinであり、下段の縦軸は、検出信号Dtである。
【0080】
図8に示すように、印刷処理の実行期間Tの供給駆動信号Vinには、駆動信号ComのパルスPDが含まれる。パルスPDは、ノズルNからインクを吐出させる程度に圧力室C内のインクに圧力変動を生じさせるように圧電素子560を駆動する電位パルスである。なお、パルスPDの波形は、ノズルNからインクを吐出させる程度に圧力室C内のインクに圧力変動を生じさせることができればよく、
図8に示す例に限定されず、任意である。
【0081】
ここで、印刷処理の実行期間Tでは、検出信号DtにパルスPDに起因するノイズが混入する。これは、抵抗体80が液体吐出ヘッド50内において圧電素子560に極めて近い位置に配置されることに起因する。したがって、印刷処理の実行期間T中では、抵抗体80を用いた温度検出の精度低下を招いてしまう。
【0082】
そこで、本実施形態では、印刷処理の実行期間Tとは異なる期間中に、抵抗体80を用いた温度検出が行われる。以下、この点を詳細に説明する。
【0083】
図9は、第1実施形態における第1印刷処理、第2印刷処理、非印刷処理および電位検出の実行期間の関係を示す図である。
図9中、横軸は、時間tであり、上段の縦軸は、供給駆動信号Vinであり、下段の縦軸は、検出信号Dtである。
【0084】
第1印刷処理は、ノズルNから吐出されるインクにより記録媒体Mに第1画像を印刷する。第2印刷処理は、ノズルNから吐出されるインクにより記録媒体Mに第2画像を印刷する。
【0085】
本実施形態では、前述のように液体吐出装置100がシリアル型であることから、液体吐出ヘッド50をX1方向およびX2方向に複数回往復移動させながら、記録媒体Mに目的の画像が印刷される。ここで、液体吐出ヘッド50の往路および復路のそれぞれにおいて、当該目的の画像を適宜に分割した画像が記録媒体Mに印刷される。
【0086】
ここで、液体吐出ヘッド50の往路での印刷が「第1印刷処理」の一例であり、液体吐出ヘッド50の往路で記録媒体Mに印刷される画像が「第1画像」の一例である。また、液体吐出ヘッド50の復路での印刷が「第2印刷処理」の一例であり、液体吐出ヘッド50の復路で記録媒体Mに印刷される画像が「第2画像」の一例である。
【0087】
このように、第1印刷処理の実行期間T1中では、液体吐出ヘッド50がX1方向に移動する。第2印刷処理の実行期間T2中では、液体吐出ヘッド50がX1方向とは反対方向のX2方向に移動する。
【0088】
図9に示す例では、第1印刷処理の実行後に第2印刷処理が実行される。ここで、第1印刷処理の実行期間T1と第2印刷処理の実行期間T2との間には、記録媒体Mに向けて液体を吐出させない非印刷処理が実行される。この非印刷処理の実行期間TN中では、記録媒体MがX1方向またはX2方向に交差するY1方向に移動する。すなわち、非印刷処理の実行期間TN中では、シリアル型の液体吐出装置100の印刷動作中の一動作である紙送り動作または改行動作が行われる。また、液体吐出ヘッド50のX軸方向に沿った移動の方向転換動作が行われる。
【0089】
第1印刷処理の実行期間T1と第2印刷処理の実行期間T2とのそれぞれの期間中には、供給駆動信号VinにパルスPDが含まれており、ノズルNからインクが吐出されるように圧電素子560が駆動する。なお、実行期間T1、T2の供給駆動信号Vinに含まれるパルスPDの数は、
図9に示す例に限定されず、任意である。
【0090】
非印刷処理の実行期間TN中には、期間T3にわたり、抵抗体80の電位を検出する検出処理が行われる。この検出処理は、個別駆動配線91および共通駆動配線92に印加される電位状態がノズルNから液体を吐出させない状態において実施される。このため、前述のような検出信号Dtへのノイズの混入が防止される。
【0091】
ここで、期間T3にわたり、個別駆動配線91および共通駆動配線92に駆動信号Comよりも電位変化の小さい電位が印加される。
図9に示す例では、期間T3にわたり、個別駆動配線91および共通駆動配線92に電位が印加されない。例えば、駆動回路52が、制御モジュール20の制御のもと、駆動信号Comの信号線と、供給駆動信号Vinの信号線とを接続しない状態に切り替える。または、期間T3にわたり、個別駆動配線91および共通駆動配線92に一定の電位が印加される。例えば、駆動回路52が、制御モジュール20の制御のもと、駆動信号ComのパルスPDを含む期間において、駆動信号Comの信号線と、供給駆動信号Vinの信号線とを接続しない状態とし、駆動信号ComのパルスPDを含まない電位が一定に維持される期間において、駆動信号Comの信号線と、供給駆動信号Vinの信号線とを接続状態とするように切り替える。または、駆動回路52が、制御モジュール20の制御のもと、駆動信号Com以外の一定の電位を維持する駆動信号Comの信号線と、供給駆動信号Vinの信号線とを接続した状態に切り替える。なお、期間T3は、非印刷処理の実行期間TN中であればよく、
図9に示す例に限定されず、任意である。また、期間T3にわたり個別駆動配線91および共通駆動配線92に印加される電位は、駆動信号Comよりも電位変化の小さい電位であればよく、
図9に示す例に限定されず、任意である。
【0092】
以上のように抵抗体80の電位が検出回路53により検出される。検出回路53は、抵抗体80の電位Vdに基づく検出信号Dtを出力する。そして、補正部21aは、検出信号Dtに基づいて、駆動信号Comを補正したり、ヒーター70の設定温度を調整したりする。
【0093】
以上のように、液体吐出ヘッド50は、ノズルNと、圧力室Cと、圧電素子560と、「駆動配線」の一例である個別駆動配線91および共通駆動配線92と、抵抗体80と、を含む。圧力室Cは、ノズルNに連通する。圧電素子560は、圧力室C内の液体に圧力を付与する。個別駆動配線91および共通駆動配線92は、圧電素子560に接続される。抵抗体80は、圧力室C内の液体の温度を計測するための抵抗体である。
【0094】
ここで、圧電素子560は、第1電極561と、第2電極563と、第1電極561と第2電極563との間に配置される圧電体562と、を有する。そして、抵抗体80は、第1電極561、第2電極563、個別駆動配線91および共通駆動配線92のうちのいずれかと同一材料で構成される。
【0095】
以上の液体吐出ヘッド50の温度検出方法は、第1印刷処理の実行後、かつ、第2印刷処理の実行前に、非印刷処理を実行し、非印刷処理の実行期間TN中に、個別駆動配線91および共通駆動配線92に印加される電位状態をノズルNから液体を吐出させない状態において、抵抗体80の電位Vdを検出する。ここで、第1印刷処理は、ノズルNから吐出される液体により記録媒体Mに第1画像を印刷する処理である。第2印刷処理は、ノズルNから吐出される液体により記録媒体Mに第2画像を印刷する処理である。非印刷処理は、記録媒体Mに向けて液体を吐出させない処理である。
【0096】
以上の温度検出方法では、個別駆動配線91および共通駆動配線92に印加される電位状態をノズルNから液体を吐出させない状態において、抵抗体80の電位が検出されるので、抵抗体80が液体吐出ヘッド50内に設けられていても、圧電素子560をノズルNからインクを吐出させるように駆動する駆動信号Comに応じた供給駆動信号Vinの影響を受けずに、抵抗体80の電位を高精度に検出することができる。この結果、当該電位に基づいて圧力室C内の液体の温度を高精度に検出することができる。ここで、抵抗体80の電位の検出が、ノズルNからのインクの吐出動作をせずに記録媒体Mを搬送する紙送り動作や液体吐出ヘッド50の走査方向を転換する動作を実施する非印刷処理の実行期間TN中に行われるので、第1印刷処理または第2印刷処理の実行期間T1、T2中に温度測定のためにノズルNからインクを吐出させない期間を設けて抵抗体80の電位を検出する場合に比べて、印刷処理のスループットの低下を防止することができる。
【0097】
本実施形態では、前述のように、抵抗体80は、圧電体562に接触する部分を有する。このため、抵抗体80が圧電体562に接触しない構成に比べて、抵抗体80と圧力室Cとの間の距離を短くすることができる。この結果、抵抗体80の電位に基づいて圧力室C内の液体の温度を高精度に検出することができる。また、このような構成では、圧電素子560を駆動すると、抵抗体80の電位に基づく検出信号Dtに駆動信号Comに応じた供給駆動信号Vinによるノイズが混入しやすいので、本実施形態に開示するように、供給駆動信号VinがノズルNからインクが吐出されない電位状態で抵抗体80の電位に基づく検出信号Dtを検出することによる効果が顕著となる。
【0098】
また、前述のように、本実施形態の温度検出方法は、抵抗体80の電位Vdを検出する期間T3にわたり、個別駆動配線91および共通駆動配線92に電位を印加しない。このため、圧電素子560を駆動する駆動信号Comに応じた供給駆動信号Vinの影響を受けずに、抵抗体80の電位を高精度に検出することができる。
【0099】
ここで、前述のように、本実施形態の温度検出方法は、抵抗体80の電位Vdを検出する期間T3にわたり、個別駆動配線91および共通駆動配線92に一定の電位を印加する。このため、圧電素子560を駆動する駆動信号Comに応じた供給駆動信号Vinの影響を受けずに、抵抗体80の電位を高精度に検出することができる。
【0100】
また、前述のように、本実施形態の温度検出方法は、抵抗体80の電位Vdを検出する期間T3にわたり、ノズルNから液体を吐出させないように変化する電位を個別駆動配線91および共通駆動配線92に印加する。このため、圧電素子560を駆動する駆動信号Comに応じた供給駆動信号Vinの影響を受けずに、抵抗体80の電位を高精度に検出することができる。
【0101】
さらに、前述のように、第1印刷処理の実行期間T1中では、液体吐出ヘッド50がX1方向に移動する。第2印刷処理の実行期間T2中では、液体吐出ヘッド50がX1方向とは反対方向のX2方向に移動する。非印刷処理の実行期間TN中では、記録媒体MがX1方向またはX2方向に交差するY1方向に移動する。ここで、X1方向が「第1方向」の一例であり、X2方向が「第2方向」の一例であり、Y1方向が「第3方向」の一例である。このように、シリアル型の液体吐出装置100において、多パス印刷でのパス間を非印刷処理として利用することにより抵抗体80の電位検出を行うことができ、この結果、本開示による効果を享受することができる。
【0102】
また、前述のように、本実施形態の温度検出方法は、非印刷処理で抵抗体80の電位Vdを検出した結果に基づいて、第2印刷処理で圧電素子560に供給される駆動信号Comを補正する。このため、第1印刷処理期間中に圧力室C内の液体の温度変化が生じても第2印刷処理の直前の非印刷処理期間で検出した温度に応じて適切に補正された駆動信号Comを第2印刷処理の実行時に圧電素子560に供給することができる。
【0103】
さらに、前述のように、ノズルNに対向する記録媒体Mを支持する支持部60は、ヒーター70により設定温度に加熱される。そのうえで、本実施形態の温度検出方法は、非印刷処理で抵抗体80の電位Vdを検出した結果に基づいて、第2印刷処理における当該設定温度を補正する。このため、圧力室C内の液体の温度変化に応じて適切な温度で第2印刷処理の実行時に支持部60を加熱することができる。
【0104】
B:第2実施形態
以下、本開示の第2実施形態について説明する。以下に例示する形態において作用および機能が第1実施形態と同様である要素については、第1実施形態の説明で使用した符号を流用して各々の詳細な説明を適宜に省略する。
【0105】
図10は、第2実施形態における第1印刷処理、第2印刷処理、非印刷処理および電位検出の実行期間の関係を示す図である。第2実施形態は、非印刷処理の実行期間TN中に検出処理の他に微振動処理を加えたこと以外は、前述の第1実施形態と同様である。
【0106】
本実施形態の非印刷処理の実行期間TN中には、ノズルNからインクを吐出させずにノズルN内のインクのメニスカスを微振動させる微振動処理が行われる。これにより、ノズルN内のインクの増粘等が防止される。しかし、圧力室C内の液体の温度を計測するため抵抗体80の電位Vdを検出する期間T3は、検出信号Dtにノイズを混入させないように微振動処理を実行しない。本実施形態の非印刷処理の実行期間TN中では、期間T3にわたる検出処理の後、期間T4にわたり微振動処理が行われる。期間T4の供給駆動信号Vinには、パルスPVが含まれる。パルスPVは、ノズルNからインクを吐出させない強さの圧力変動を圧力室Cに生じさせるように圧電素子560を駆動させる電位パルスである。パルスPVが圧電素子560に供給されることにより、ノズルNからインクを吐出させずに、ノズルN内のインクのメニスカスを微振動させる。この微振動により、ノズルN内のインクが撹拌されるので、ノズルNと連通流路Naとの間でインクの置換が円滑に行われる。このため、ノズルN内のインクの増粘等が防止される。なお、期間T3、T4の長さ等は、
図10に示す例に限定されず、任意である。
【0107】
図10に示す例では、期間T4が期間T3と重複しない。このため、期間T4が期間T3と重複する態様に比べて、抵抗体80を用いた温度検出を高精度に行うことができる。なお、期間T4が期間T3と重複してもよい。この場合、期間T4が期間T3と重複しない場合と比較して温度検出精度は劣るものの、パルスPVの電位変化がパルスPDの電位変化よりも小さいので、実行期間T1、T2中に抵抗体80の電位を検出する場合に比べて、抵抗体80を用いた温度検出を高精度に行うことができる。
【0108】
ここで、前述のように期間T4が期間T3の後であるが、インクの吐出直後の所定期間のノズルNでは、インクのメニスカスが残留振動により振動するので、インクが撹拌される。このため、期間T3においてノズルN内のインクのメニスカスを振動させるために圧電素子560の駆動が別途行われなくても、ノズルN内のインクの増粘等が防止される。なお、期間T4は、期間T3よりも前であってもよい。または、期間T3の前後に期間T4が2回あってもよい。
【0109】
以上の第2実施形態によっても、液体吐出ヘッド50の圧力室C内の液体の温度を高精度に検出することができる。本実施形態の温度検出方法は、前述のように、非印刷処理の実行期間TN中において、抵抗体80の電位Vdを検出する期間T3とは別の期間T4にわたり、ノズルNから液体を吐出させずにノズルN内の液体を撹拌するように変化する電位を個別駆動配線91および共通駆動配線92に印加する。このため、非印刷処理の実行期間TNを有効利用するとともに、抵抗体80の電位の検出精度を低下させることなく、ノズルN内の液体を撹拌することができる。
【0110】
C:第3実施形態
以下、本開示の第3実施形態について説明する。以下に例示する形態において作用および機能が第1実施形態と同様である要素については、第1実施形態の説明で使用した符号を流用して各々の詳細な説明を適宜に省略する。
【0111】
図11は、第3実施形態に係る液体吐出装置100Aの構成例を示す模式図である。液体吐出装置100Aは、移動機構40が省略されるとともに、液体吐出ヘッド50に代えて複数の液体吐出ヘッド50Aを備えること以外は、前述の第1実施形態の液体吐出装置100と同様に構成される。
【0112】
液体吐出装置100Aは、ライン型のプリンターである。液体吐出装置100Aの有する複数の液体吐出ヘッド50Aは、X軸の方向における記録媒体Mの全範囲にわたり複数のノズルNが分布するように配置される。したがって、液体吐出ヘッド50Aは、記録媒体Mの幅方向での全域にわたり設けられる。各液体吐出ヘッド50Aは、ヘッドチップ51の第1ノズル列Ln1および第2ノズル列Ln2の配列方向が記録媒体Mの搬送方向に対して傾斜すること以外は、第1実施形態の液体吐出ヘッド50と同様に構成される。
【0113】
本実施形態では、前述のように液体吐出装置100がライン型であることから、搬送機構30が記録媒体MをY1方向に搬送させながら、複数の液体吐出ヘッド50Aが記録媒体Mに向けてインクを吐出する。
【0114】
ここで、複数ページの印刷を行う場合、当該複数ページから選択される2つのページのうち、先行のページの印刷が「第1印刷処理」の一例であり、後行のページの印刷が「第2印刷処理」の一例である。また、当該先行のページの印刷画像が「第1画像」の一例であり、当該後行のページの印刷画像が「第2画像」の一例である。なお、当該2つの複数ページは、ロール紙等の1つの記録媒体Mの領域であってもよいし、個別の記録媒体Mの領域であってもよい。
【0115】
そして、第1印刷処理の実行後、かつ、第2印刷処理の実行前の期間において、記録媒体Mに向けて液体を吐出させない非印刷処理が実行される。本実施形態では、非印刷処理の実行期間TN中では、ライン型の液体吐出装置100Aの印刷動作中の一動作である紙送り動作が行われる。
【0116】
以上の第3実施形態によっても、液体吐出ヘッド50Aの圧力室C内の液体の温度を高精度に検出することができる。本実施形態では、前述のように、液体吐出ヘッド50Aが記録媒体Mの幅方向での全域にわたり設けられており、第2印刷処理で印刷される記録媒体Mのページは、第1印刷処理で印刷される記録媒体Mのページと異なる。このように、ライン型の液体吐出装置100Aにおいて、複数ページ印刷でのページ間を非印刷処理として利用することにより抵抗体80の電位検出を行うことができ、この結果、本開示による効果を享受することができる。
【0117】
D:変形例
以上に例示される各形態は、多様に変形され得る。前述の各形態に適用され得る具体的な変形の態様を以下に例示する。以下の例示から任意に選択される態様は、互いに矛盾しない範囲で適宜に併合され得る。
【0118】
D1:変形例1
前述の形態で例示した液体吐出装置100は、印刷に専用される機器のほか、ファクシミリ装置やコピー機等の各種の機器に採用されてもよく、本開示の用途は特に限定されない。もっとも、液体吐出装置の用途は印刷に限定されない。例えば、色材の溶液を吐出する液体吐出装置は、液晶表示パネル等の表示装置のカラーフィルターを形成する製造装置として利用される。また、導電材料の溶液を噴出する液体吐出装置は、配線基板の配線や電極を形成する製造装置として利用される。また、生体に関する有機物の溶液を噴出する液体吐出装置は、例えばバイオチップを製造する製造装置として利用される。
【符号の説明】
【0119】
10…液体容器、20…制御モジュール、21…制御回路、21a…補正部、22…記憶回路、23…電源回路、24…駆動信号生成回路、30…搬送機構、40…移動機構、41…搬送体、42…搬送ベルト、50…液体吐出ヘッド、50A…液体吐出ヘッド、51…ヘッドチップ、52…駆動回路、53…検出回路、60…支持部、70…ヒーター、80…抵抗体、81…部分、91…個別駆動配線、92…共通駆動配線、92a…部分、92b…部分、93…検出用配線、93a…検出用配線、93b…検出用配線、100…液体吐出装置、100A…液体吐出装置、510…流路基板、520…圧力室基板、530…ノズル基板、540…吸振体、550…振動板、551…弾性膜、552…絶縁膜、560…圧電素子、561…第1電極、562…圧電体、562a…貫通孔、563…第2電極、564…配線部、570…保護基板、580…ケース、590…配線基板、C…圧力室、Com…駆動信号、Dt…検出信号、FN…ノズル面、HL…導入口、Id…電流、Ln1…第1ノズル列、Ln2…第2ノズル列、M…記録媒体、N…ノズル、Na…連通流路、PD…パルス、PV…パルス、R…リザーバー、R1…空間、R2…空間、Ra…供給流路、S…空間、SI…制御信号、Sk1…制御信号、Sk2…制御信号、Sk3…制御信号、T…実行期間、T1…実行期間、T2…実行期間、T3…期間、T4…期間、TN…実行期間、VBS…オフセット電位、VHV…電源電位、Vd…電位、Vin…供給駆動信号、dCom…波形指定信号、t…時間。