(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024098233
(43)【公開日】2024-07-23
(54)【発明の名称】眼科装置、眼科装置の制御方法、眼科撮影方法、プログラム、及び記録媒体
(51)【国際特許分類】
A61B 3/14 20060101AFI20240716BHJP
A61B 3/12 20060101ALI20240716BHJP
G02B 7/28 20210101ALI20240716BHJP
G03B 17/48 20210101ALI20240716BHJP
G03B 17/18 20210101ALI20240716BHJP
【FI】
A61B3/14
A61B3/12
G02B7/28 N
G03B17/48
G03B17/18
【審査請求】未請求
【請求項の数】28
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023001586
(22)【出願日】2023-01-10
(71)【出願人】
【識別番号】000220343
【氏名又は名称】株式会社トプコン
(74)【代理人】
【識別番号】100124626
【弁理士】
【氏名又は名称】榎並 智和
(72)【発明者】
【氏名】山部 将
(72)【発明者】
【氏名】藤井 宏太
(72)【発明者】
【氏名】松井 拓也
【テーマコード(参考)】
2H102
2H104
2H151
4C316
【Fターム(参考)】
2H102AA33
2H102AA34
2H102BB01
2H104AA05
2H151GA03
2H151GA07
2H151GA13
2H151GA14
2H151GA15
4C316AA09
4C316AB11
4C316AB12
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4C316FA08
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4C316FB06
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4C316FY02
4C316FY04
4C316FY05
4C316FY06
4C316FZ01
4C316FZ03
(57)【要約】
【課題】眼底のスリットスキャンを実行する眼科装置における光学系のフォーカス状態の情報を提示するための新規な技術を提供する。
【解決手段】実施形態の眼科装置は、撮影ユニットとプロセッサとを含む。撮影ユニットは被検眼の眼底を撮影する。プロセッサは、被検眼の眼底に対するスリット光の投射位置を移動しつつ撮影を行う第1の撮影を撮影ユニットに実行させる。また、プロセッサは、被検眼の眼底に対する撮影ユニットのフォーカス状態を検知するための画像を生成する第2の撮影を撮影ユニットに実行させる。更に、プロセッサは、第2の撮影で生成された画像に基づいて、撮影ユニットのフォーカス状態を示すフォーカス情報を生成し、このフォーカス情報に基づく表示情報を表示装置に表示させる。
【選択図】
図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
被検眼の眼底を撮影する撮影ユニットと、
プロセッサと
を含み、
前記プロセッサは、
前記眼底に対するスリット光の投射位置を移動しつつ撮影を行う第1の撮影を前記撮影ユニットに実行させる第1の撮影制御と、
前記眼底に対する前記撮影ユニットのフォーカス状態を検知するための画像を生成する第2の撮影を前記撮影ユニットに実行させる第2の撮影制御と、
前記第2の撮影によって生成された前記画像に基づいて、前記撮影ユニットの前記フォーカス状態を示すフォーカス情報を生成するフォーカス情報生成処理と、
前記フォーカス情報に基づく表示情報を表示装置に表示させる表示制御と
を実行する、
眼科装置。
【請求項2】
前記プロセッサは、前記第1の撮影制御において、前記眼底に対する前記スリット光の投射位置の一連の移動と一連の撮影とを同期的に且つ反復的に行って時系列画像を生成するように前記撮影ユニットを制御する、
請求項1の眼科装置。
【請求項3】
前記プロセッサは、前記第2の撮影制御、前記フォーカス情報生成処理、及び前記表示制御を含む一連の処理を反復的に実行する、
請求項2の眼科装置。
【請求項4】
前記プロセッサは、前記一連の処理のうちの少なくとも前記第2の撮影制御を前記第1の撮影制御と並行して実行する、
請求項3の眼科装置。
【請求項5】
前記プロセッサは、前記一連の処理のうちの少なくとも前記第2の撮影制御及びフォーカス情報生成処理を前記第1の撮影制御と並行して実行する、
請求項4の眼科装置。
【請求項6】
前記プロセッサは、前記一連の処理を前記第1の撮影制御と並行して実行する、
請求項5の眼科装置。
【請求項7】
前記プロセッサは、前記表示制御において、前記時系列画像及び前記表示情報を前記表示装置に表示させる、
請求項6の眼科装置。
【請求項8】
前記プロセッサは、前記第1の撮影制御と前記一連の処理とを同期的に実行する、
請求項6の眼科装置。
【請求項9】
前記プロセッサは、前記一連の移動及び前記一連の撮影と前記第2の撮影とを交互に行うように前記第1の撮影制御と前記第2の撮影制御とを同期的に実行する、
請求項8の眼科装置。
【請求項10】
前記プロセッサは、前記第1の撮影制御と前記第2の撮影制御との同期的な実行と並行して前記時系列画像及び前記表示情報を前記表示装置に表示させるように前記表示制御を実行する、
請求項9の眼科装置。
【請求項11】
前記フォーカス情報は、前記撮影ユニットのフォーカスが前記眼底に合っているか否かを示す情報、前記撮影ユニットのフォーカスのズレ方向を示す情報、及び、前記撮影ユニットのフォーカスのズレ量を示す情報のうちの少なくとも1つを含む、
請求項1の眼科装置。
【請求項12】
前記撮影ユニットのフォーカス調整を行うためのフォーカス調整ユニットを更に含む、
請求項1の眼科装置。
【請求項13】
前記撮影ユニットは、撮像装置を含み、
前記プロセッサは、更に、
前記眼底にスリット光を投射するために前記撮影ユニットを制御するスリット光投射制御と、
前記スリット光投射制御により投射された前記スリット光の戻り光を検出した前記撮像装置からの出力に基づいてフォーカス調整条件を決定する条件決定処理と、
前記条件決定処理により決定された前記フォーカス調整条件に基づいて前記フォーカス調整ユニットを制御するフォーカス調整制御と
を実行する、
請求項12の眼科装置。
【請求項14】
前記プロセッサは、前記条件決定処理を実行する条件決定部を含み、
前記条件決定部は、前記撮像装置により生成された画像中のスリット光像の位置に基づいて前記フォーカス調整条件を決定する、
請求項13の眼科装置。
【請求項15】
前記条件決定部は、前記スリット光像の少なくとも一部の画像領域の輝度プロファイルであって、前記撮影ユニットによるスリット光の投射位置の移動方向に対応する第1の方向に沿った前記輝度プロファイルに基づいて、前記スリット光像の前記位置を決定する、
請求項14の眼科装置。
【請求項16】
前記条件決定部は、前記画像領域を構成するピクセル群の輝度を前記第1の方向に直交する第2の方向に加算することによって前記輝度プロファイルを生成する、
請求項15の眼科装置。
【請求項17】
前記撮影ユニットは、
前記被検眼の前記眼底に前記スリット光を投射する第1の光学系と、
前記被検眼の前記眼底からの前記スリット光の戻り光を前記撮像装置に導く第2の光学系と
を含み、
前記フォーカス調整ユニットは、
前記第1の光学系の焦点位置を調整するための第1のフォーカス調整ユニットと、
前記第2の光学系の焦点位置を調整するための第2のフォーカス調整ユニットと
を含み、
前記条件決定部は、前記第1のフォーカス調整ユニットを制御するための第1のフォーカス調整条件と前記第2のフォーカス調整ユニットを制御するための第2のフォーカス調整条件とを前記フォーカス調整条件として決定する、
請求項14の眼科装置。
【請求項18】
前記第1の光学系は、
光源と、
前記光源により発せられた光からスリット光を生成するためのスリット絞りと
を含み、
前記スリット絞りにより生成された前記スリット光を前記眼底に投射し、
前記第2の光学系は、フォーカスレンズを含み、
前記第1のフォーカス調整ユニットは、前記第1の光学系の光軸に沿う方向に前記スリット絞りを移動するための第1の移動機構を含み、
前記第2のフォーカス調整ユニットは、前記第2の光学系の光軸に沿う方向に前記フォーカスレンズを移動するための第2の移動機構を含み、
前記条件決定部は、前記第1の移動機構を制御するための第1の移動制御条件を前記第1のフォーカス調整条件として決定し、前記第2の移動機構を制御するための第2の移動制御条件を前記第2のフォーカス調整条件として決定する、
請求項17の眼科装置。
【請求項19】
前記第1の移動制御条件は、前記スリット絞りの移動方向及び移動距離を示す情報を含み、
前記第2の移動制御条件は、前記フォーカスレンズの移動方向及び移動距離を示す情報を含む、
請求項18の眼科装置。
【請求項20】
前記第1の光学系は、
光源と、
前記被検眼の虹彩に対して光学的に略共役な位置に配置され、前記光源により発せられた光を通過させる開口部が形成された虹彩絞りと、
前記虹彩絞りの前記開口部を通過した前記光を屈折するレンズと、
前記レンズにより屈折された前記光からスリット光を生成するためのスリット絞りと
を含み、
前記スリット絞りにより生成された前記スリット光を前記眼底に投射し、
前記第2の光学系は、フォーカスレンズを含み、
前記第1のフォーカス調整ユニットは、前記第1の光学系の光軸に沿う方向に前記光源、前記虹彩絞り、前記レンズ、及び前記スリット絞りを一体的に移動するための第3の移動機構を含み、
前記第2のフォーカス調整ユニットは、前記第2の光学系の光軸に沿う方向に前記フォーカスレンズを移動するための第4の移動機構を含み、
前記条件決定部は、前記第3の移動機構を制御するための第3の移動制御条件を前記第1のフォーカス調整条件として決定し、前記第4の移動機構を制御するための第4の移動制御条件を前記第2のフォーカス調整条件として決定する、
請求項17の眼科装置。
【請求項21】
前記第3の移動制御条件は、前記光源、前記虹彩絞り、前記レンズ、及び前記スリット絞りの移動方向及び移動距離を示す情報を含み、
前記第4の移動制御条件は、前記フォーカスレンズの移動方向及び移動距離を示す情報を含む、
請求項20の眼科装置。
【請求項22】
前記プロセッサは、前記スリット光投射制御において、前記眼底に投射される前記スリット光を前記撮影ユニットの光軸に対して所定距離だけ離隔した位置から発するように前記撮影ユニットを制御し、
前記条件決定部は、前記スリット光像の前記位置と、前記撮影ユニットの焦点距離と、前記所定距離とに基づいて前記フォーカス調整条件を決定する、
請求項14の眼科装置。
【請求項23】
前記撮影ユニットは、前記被検眼に導かれるスリット光を偏向することによって前記眼底に対する前記スリット光の投射位置を移動する光スキャナーを含み、
前記プロセッサは、前記スリット光投射制御を実行する投射制御部を含み、
前記投射制御部は、前記光スキャナーによるスリット光の偏向方向が固定された状態で前記眼底にスリット光を投射するように前記撮影ユニットを制御し、
前記条件決定部は、前記偏向方向が固定された状態で前記眼底に投射された前記スリット光に対応するスリット光像の位置に基づいて前記フォーカス調整条件を決定する、
請求項14の眼科装置。
【請求項24】
前記プロセッサは、前記スリット光投射制御を実行する投射制御部を含み、
前記投射制御部は、前記眼底における投射位置が異なる第1のスリット光及び第2のスリット光を出力するように前記撮影ユニットを制御し、
前記条件決定部は、前記第1のスリット光に対応する第1のスリット光像と前記第2のスリット光に対応する第2のスリット光像との相対位置に基づいて前記フォーカス調整条件を決定する、
請求項14の眼科装置。
【請求項25】
被検眼の眼底を撮影する撮影ユニットと、プロセッサと、メモリとを含む眼科装置を制御する方法であって、
前記プロセッサに、
前記眼底に対するスリット光の投射位置を移動しつつ撮影を行う第1の撮影を前記撮影ユニットに実行させる第1の撮影制御ステップと、
前記眼底に対する前記撮影ユニットのフォーカス状態を検知するための画像を生成する第2の撮影を前記撮影ユニットに実行させる第2の撮影制御ステップと、
前記第2の撮影によって生成された前記画像に基づいて、前記撮影ユニットの前記フォーカス状態を示すフォーカス情報を生成するフォーカス情報生成ステップと、
前記フォーカス情報に基づく表示情報を表示装置に表示させる表示制御ステップと
を実行させる、
方法。
【請求項26】
被検眼の眼底を撮影する方法であって、
前記眼底に対するスリット光の投射位置を移動しつつ撮影を行う第1の撮影を実行し、
前記眼底に対するフォーカス状態を検知するための画像を生成する第2の撮影を実行し、
前記第2の撮影によって生成された前記画像に基づいて前記フォーカス状態を示すフォーカス情報を生成し、
前記フォーカス情報に基づく表示情報を表示する、
方法。
【請求項27】
被検眼の眼底を撮影する撮影ユニットと、プロセッサと、メモリとを含む眼科装置に実行させるためのプログラムであって、
前記プログラムは、前記プロセッサに、
前記眼底に対するスリット光の投射位置を移動しつつ撮影を行う第1の撮影を前記撮影ユニットに実行させる第1の撮影制御ステップと、
前記眼底に対する前記撮影ユニットのフォーカス状態を検知するための画像を生成する第2の撮影を前記撮影ユニットに実行させる第2の撮影制御ステップと、
前記第2の撮影によって生成された前記画像に基づいて、前記撮影ユニットの前記フォーカス状態を示すフォーカス情報を生成するフォーカス情報生成ステップと、
前記フォーカス情報に基づく表示情報を表示装置に表示させる表示制御ステップと
を実行させる、
プログラム。
【請求項28】
請求項27のプログラムが記録された、コンピュータ可読な非一時的記録媒体。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
この発明は、眼科装置、眼科装置の制御方法、眼科撮影方法、プログラム、及び記録媒体に関する。
【背景技術】
【0002】
被検眼の眼底を撮影するための眼科装置としては、眼底カメラや走査型レーザー検眼鏡(SLO)が知られている。特許文献1には、スリット光を用いて眼底を照明し、その戻り光をローリングシャッター型の撮像装置(CMOS)で検出することによって眼底画像を生成するように構成された眼科装置が開示されている。この眼科装置は、眼底に対するスリット光の投射位置の移動と、撮像装置による戻り光の検出(撮影)とを同期的に繰り返し実行することによって、簡素な構成で眼底画像を取得することが可能である。このような撮影手法(モダリティ)はスリットスキャンなどと呼ばれる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
この発明の1つの目的は、眼底のスリットスキャンを実行する眼科装置における光学系のフォーカス状態の情報を提示するための新規な技術を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0005】
実施形態の1つの態様は、被検眼の眼底を撮影する撮影ユニットと、プロセッサとを含み、前記プロセッサは、前記眼底に対するスリット光の投射位置を移動しつつ撮影を行う第1の撮影を前記撮影ユニットに実行させる第1の撮影制御と、前記眼底に対する前記撮影ユニットのフォーカス状態を検知するための画像を生成する第2の撮影を前記撮影ユニットに実行させる第2の撮影制御と、前記第2の撮影によって生成された前記画像に基づいて、前記撮影ユニットの前記フォーカス状態を示すフォーカス情報を生成するフォーカス情報生成処理と、前記フォーカス情報に基づく表示情報を表示装置に表示させる表示制御とを実行する、眼科装置である。
【0006】
実施形態の別の態様は、被検眼の眼底を撮影する撮影ユニットと、プロセッサと、メモリとを含む眼科装置を制御する方法であって、前記プロセッサに、前記眼底に対するスリット光の投射位置を移動しつつ撮影を行う第1の撮影を前記撮影ユニットに実行させる第1の撮影制御ステップと、前記眼底に対する前記撮影ユニットのフォーカス状態を検知するための画像を生成する第2の撮影を前記撮影ユニットに実行させる第2の撮影制御ステップと、前記第2の撮影によって生成された前記画像に基づいて、前記撮影ユニットの前記フォーカス状態を示すフォーカス情報を生成するフォーカス情報生成ステップと、前記フォーカス情報に基づく表示情報を表示装置に表示させる表示制御ステップとを実行させる、方法である。
【0007】
実施形態の更に別の態様は、被検眼の眼底を撮影する方法であって、前記眼底に対するスリット光の投射位置を移動しつつ撮影を行う第1の撮影を実行し、前記眼底に対するフォーカス状態を検知するための画像を生成する第2の撮影を実行し、前記第2の撮影によって生成された前記画像に基づいて前記フォーカス状態を示すフォーカス情報を生成し、前記フォーカス情報に基づく表示情報を表示する、方法である。
【0008】
実施形態の更に別の態様は、被検眼の眼底を撮影する撮影ユニットと、プロセッサと、メモリとを含む眼科装置に実行させるためのプログラムであって、前記プログラムは、前記プロセッサに、前記眼底に対するスリット光の投射位置を移動しつつ撮影を行う第1の撮影を前記撮影ユニットに実行させる第1の撮影制御ステップと、前記眼底に対する前記撮影ユニットのフォーカス状態を検知するための画像を生成する第2の撮影を前記撮影ユニットに実行させる第2の撮影制御ステップと、前記第2の撮影によって生成された前記画像に基づいて、前記撮影ユニットの前記フォーカス状態を示すフォーカス情報を生成するフォーカス情報生成ステップと、前記フォーカス情報に基づく表示情報を表示装置に表示させる表示制御ステップとを実行させる、プログラムである。
【0009】
実施形態の更に別の態様は、いずれかの態様に係るプログラムが記録された、コンピュータ可読な非一時的記録媒体である。
【発明の効果】
【0010】
この発明によれば、眼底のスリットスキャンを実行する眼科装置における光学系のフォーカス状態の情報を提示するための新規な技術を提供することが可能である。
【図面の簡単な説明】
【0011】
【
図1】実施形態に係る眼科装置の構成の非限定的な例について説明するための概略図である。
【
図2】実施形態に係る眼科装置の構成の非限定的な例について説明するための概略図である。
【
図3】実施形態に係る眼科装置の構成の非限定的な例について説明するための概略図である。
【
図4】実施形態に係る眼科装置の構成の非限定的な例について説明するための概略図である。
【
図5】実施形態に係る眼科装置の動作の非限定的な例について説明するための概略図である。
【
図6】実施形態に係る眼科装置の構成の非限定的な例について説明するための概略図である。
【
図7】実施形態に係る眼科装置が形成する光路の非限定的な例について説明するための概略図である。
【
図8】実施形態に係る眼科装置が実行するフォーカス調整の非限定的な例について説明するための概略図である。
【
図9】実施形態に係る眼科装置が実行するフォーカス調整の非限定的な例について説明するための概略図である。
【
図10】実施形態に係る眼科装置が実行するフォーカス調整の非限定的な例について説明するための概略図である。
【
図11】実施形態に係る眼科装置が実行するフォーカス調整の非限定的な例について説明するための概略図である。
【
図12A】実施形態に係る眼科装置が実行するフォーカス調整の非限定的な例について説明するための概略図である。
【
図12B】実施形態に係る眼科装置が実行するフォーカス調整の非限定的な例について説明するための概略図である。
【
図12C】実施形態に係る眼科装置が実行するフォーカス調整の非限定的な例について説明するための概略図である。
【
図12D】実施形態に係る眼科装置が実行するフォーカス調整の非限定的な例について説明するための概略図である。
【
図13A】実施形態に係る眼科装置が実行するフォーカス調整の非限定的な例について説明するための概略図である。
【
図13B】実施形態に係る眼科装置が実行するフォーカス調整の非限定的な例について説明するための概略図である。
【
図14】実施形態に係る眼科装置が実行する動作の非限定的な例について説明するためのフローチャートである。
【
図15】実施形態に係る眼科装置が実行する動作の非限定的な例について説明するための概略図である。
【
図16】実施形態に係る眼科装置が実行する動作の非限定的な例について説明するための概略図である。
【
図17】実施形態に係る眼科装置が実行する動作の非限定的な例について説明するための概略図である。
【
図18】実施形態に係る眼科装置が実行する動作の非限定的な例について説明するためのフローチャートである。
【
図19】実施形態に係る眼科装置が実行する動作の非限定的な例について説明するための概略図である。
【
図20】実施形態に係る眼科装置が実行する動作の非限定的な例について説明するためのフローチャートである。
【
図21】実施形態に係る眼科装置の構成の非限定的な例について説明するための概略図である。
【
図22】実施形態に係る眼科装置が実行する動作の非限定的な例について説明するための概略図である。
【
図23A】実施形態に係る眼科装置が実行する動作の非限定的な例について説明するための概略図である。
【
図23B】実施形態に係る眼科装置が実行する動作の非限定的な例について説明するための概略図である。
【
図23C】実施形態に係る眼科装置が実行する動作の非限定的な例について説明するための概略図である。
【
図24】実施形態に係る眼科装置の構成の非限定的な例について説明するための概略図である。
【
図25】実施形態に係る眼科装置の構成の非限定的な例について説明するための概略図である。
【
図26】実施形態に係る眼科装置の構成の非限定的な例について説明するための概略図である。
【
図27】実施形態に係る眼科装置により提供される表示情報の非限定的な例について説明するための概略図である。
【
図28】実施形態に係る眼科装置により提供される表示情報の非限定的な例について説明するための概略図である。
【
図29】実施形態に係る眼科装置の構成の非限定的な例について説明するための概略図である。
【
図30】実施形態に係る眼科装置が実行する動作の非限定的な例について説明するためのフローチャートである。
【
図31】実施形態に係る眼科装置が実行する動作の非限定的な例について説明するためのフローチャートである。
【
図32】実施形態に係る眼科装置が実行する動作の非限定的な例について説明するためのフローチャートである。
【
図33】実施形態に係る眼科装置が実行する動作の非限定的な例について説明するためのフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0012】
本開示に係る実施形態のいくつかの非限定的な態様について、図面を参照しながら詳細に説明する。
【0013】
本開示に係るいずれかの態様に任意の公知技術を組み合わせることができる。例えば、本明細書で引用する文献に開示されている任意の事項を、本開示に係るいずれかの態様に組み合わせることができる。また、本開示に関連する技術分野における任意の公知技術を、本開示に係るいずれかの態様に組み合わせることができる。例えば、本開示に関連する技術又は当該技術に応用可能な技術について本願の出願人により開示された任意の技術事項(特許出願、論文などにおいて開示された事項)を、本開示に係るいずれかの態様に組み合わせることができる。
【0014】
本開示に記載された様々な態様のうちのいずれか2つ以上の態様を、少なくとも部分的に組み合わせることが可能である。
【0015】
本開示において説明される要素の機能の少なくとも一部は、回路構成(circuitry)又は処理回路構成(processing circuitry)を用いて実装される。回路構成又は処理回路構成は、開示された機能の少なくとも一部を実行するように構成及び/又はプログラムされた、汎用プロセッサ、専用プロセッサ、集積回路、CPU(Central Processing Unit)、GPU(Graphics Processing Unit)、ASIC(Application Specific Integrated Circuit)、プログラマブル論理デバイス(例えば、SPLD(Simple Programmable Logic Device)、CPLD(Complex Programmable Logic Device)、FPGA(Field Programmable Gate Array)、従来の回路構成、及びそれらの任意の組み合わせのいずれかを含む。プロセッサは、トランジスタ及び/又は他の回路構成を含む、処理回路構成又は回路構成とみなされる。本開示において、回路構成、ユニット、手段、又はこれらに類する用語は、開示された機能の少なくとも一部を実行するハードウェア、又は、開示された機能の少なくとも一部を実行するようにプログラムされたハードウェアである。ハードウェアは、本明細書に開示されたハードウェアであってよく、或いは、記載された機能の少なくとも一部を実行するようにプログラム及び/又は構成された既知のハードウェアであってもよい。ハードウェアが或るタイプの回路構成とみなされ得るプロセッサである場合、回路構成、ユニット、手段、又はこれらに類する用語は、ハードウェアとソフトウェアとの組み合わせであり、このソフトウェアはハードウェア及び/又はプロセッサを構成するために使用される。
【0016】
いくつかの実施形態に係る眼科装置は、撮影ユニットと、フォーカス調整ユニットと、プロセッサとを含む。撮影ユニットは、被検眼の眼底に対するスリット光の投射位置を移動しつつ撮像装置で撮影を行うように構成されている。この撮像装置は、ローリングシャッター型の撮像装置、又はそれと同様の機能を有する撮像装置であってよい。後者の例として、グローバルシャッター型のイメージセンサーと、機械的なスリット絞りとを組み合わせた撮像装置がある。別の実施形態に係る撮像装置についても同様である。本開示に係る眼科装置により実行される撮影をスリットスキャンと呼ぶことがある。フォーカス調整ユニットは、撮影ユニットのフォーカス調整を行うように構成されている。プロセッサは、スリット光投射制御、条件決定処理、及びフォーカス調整制御を実行するように構成されている。スリット光投射制御において、プロセッサは、被検眼の眼底にスリット光を投射するように撮影ユニットの制御を行う。条件決定処理において、プロセッサは、スリット光投射制御により被検眼の眼底に投射されたスリット光の戻り光を検出した撮像装置からの出力に基づいてフォーカス調整条件を決定する。フォーカス調整制御において、プロセッサは、条件決定処理により決定されたフォーカス調整条件に基づいてフォーカス調整ユニットの制御を行う。
【0017】
いくつかの実施形態に係る眼科装置において、プロセッサは、条件決定処理を実行する条件決定部を含んでいてよい。条件決定部は、撮影ユニットの撮像装置により生成された画像中のスリット光像の位置に基づいてフォーカス調整条件を決定するように構成されている。
【0018】
このような実施形態のいくつかの態様において、条件決定部は、撮影ユニットによるスリット光の投射位置の移動方向に対応する第1の方向に沿ったスリット光像の少なくとも一部の画像領域の輝度プロファイルに基づいて、撮影ユニットの撮像装置により生成された画像におけるスリット光像の位置を決定するように構成されていてよい。
【0019】
更に、いくつかの態様において、条件決定部は、当該スリット光像の当該画像領域を構成するピクセル群の輝度を第1の方向に直交する第2の方向に加算することによって輝度プロファイルを生成するように構成されていてよい。
【0020】
いくつかの実施形態に係る眼科装置において、撮影ユニットは、第1の光学系と第2の光学系とを含んでいてよい。第1の光学系は、被検眼の眼底にスリット光を投射するように構成されている。第2の光学系は、被検眼の眼底からのスリット光の戻り光を撮像装置に導くように構成されている。この場合、フォーカス調整ユニットは、第1の光学系の焦点位置を調整するための第1のフォーカス調整ユニットと、第2の光学系の焦点位置を調整するための第2のフォーカス調整ユニットとを含んでいてよく、且つ、条件決定部は、第1のフォーカス調整ユニットを制御するための第1のフォーカス調整条件と第2のフォーカス調整ユニットを制御するための第2のフォーカス調整条件とをフォーカス調整条件として決定するように構成されていてよい。
【0021】
このような実施形態のいくつかの態様において、第1の光学系は、光源と、この光源により発せられた光からスリット光を生成するためのスリット絞りとを含み、スリット絞りにより生成されたスリット光を被検眼の眼底に投射するように構成されていてよい。また、第2の光学系は、フォーカスレンズを含んでいてよい。更に、第1のフォーカス調整ユニットは、第1の光学系の光軸に沿う方向にスリット絞りを移動するための第1の移動機構を含んでいてよく、第2のフォーカス調整ユニットは、第2の光学系の光軸に沿う方向にフォーカスレンズを移動するための第2の移動機構を含んでいてよい。更に、条件決定部は、第1の移動機構を制御するための第1の移動制御条件を第1のフォーカス調整条件として決定し、第2の移動機構を制御するための第2の移動制御条件を第2のフォーカス調整条件として決定するように構成されていてよい。
【0022】
加えて、いくつかの態様において、第1の移動制御条件は、スリット絞りの移動方向及び移動距離を示す情報を含んでいてよく、第2の移動制御条件は、フォーカスレンズの移動方向及び移動距離を示す情報を含んでいてよい。
【0023】
撮影ユニットが第1の光学系と第2の光学系とを含み、且つ、フォーカス調整ユニットが第1のフォーカス調整ユニットと第2のフォーカス調整ユニットとを含み、且つ、条件決定部が第1のフォーカス調整条件と第2のフォーカス調整条件とを決定するように構成された実施形態の別のいくつかの態様において、第1の光学系は、光源と、被検眼の虹彩に対して光学的に略共役な位置に配置され、光源により発せられた光を通過させる開口部が形成された虹彩絞りと、虹彩絞りの開口部を通過した光を屈折するレンズと、レンズにより屈折された光からスリット光を生成するためのスリット絞りとを含み、スリット絞りにより生成されたスリット光を眼底に投射するように構成されていてよい。また、第2の光学系は、フォーカスレンズを含んでいてよい。更に、第1のフォーカス調整ユニットは、第1の光学系の光軸に沿う方向に光源、虹彩絞り、レンズ、及びスリット絞りを一体的に移動するための第3の移動機構を含んでいてよく、第2のフォーカス調整ユニットは、第2の光学系の光軸に沿う方向にフォーカスレンズを移動するための第4の移動機構を含んでいてよい。更に、条件決定部は、第3の移動機構を制御するための第3の移動制御条件を第1のフォーカス調整条件として決定し、第4の移動機構を制御するための第4の移動制御条件を第2のフォーカス調整条件として決定するように構成されていてよい。
【0024】
加えて、いくつかの態様において、第3の移動制御条件は、光源、虹彩絞り、レンズ、及びスリット絞りの一体的な移動のための移動方向及び移動距離を示す情報を含んでいてよく、第4の移動制御条件は、フォーカスレンズの移動方向及び移動距離を示す情報を含んでいてよい。
【0025】
いくつかの実施形態に係る眼科装置において、プロセッサは、スリット光投射制御において、被検眼の眼底に投射されるスリット光を撮影ユニットの光軸に対して所定距離だけ離隔した位置から発するように撮影ユニットの制御を行うように構成されている。この場合、条件決定部は、当該所定距離と、撮影ユニットの撮像装置により生成された画像におけるスリット光像の位置と、撮影ユニットの焦点距離とに基づいてフォーカス調整条件を決定するように構成される。
【0026】
いくつかの実施形態に係る眼科装置において、撮影ユニットは、被検眼に導かれるスリット光を偏向することによって被検眼の眼底に対するスリット光の投射位置を移動する光スキャナーを含んでいる。この場合、プロセッサは、スリット光投射制御を実行する投射制御部を含み、投射制御部は、光スキャナーによるスリット光の偏向方向が固定された状態で眼底にスリット光を投射するように撮影ユニットを制御するように構成される。更に、条件決定部は、光スキャナーによるスリット光の偏向方向が固定された状態で被検眼の眼底に投射されたスリット光に対応するスリット光像の位置に基づいてフォーカス調整条件を決定するように構成される。
【0027】
いくつかの実施形態に係る眼科装置において、プロセッサは、スリット光投射制御を実行する投射制御部を含み、投射制御部は、被検眼の眼底における投射位置が異なる第1のスリット光及び第2のスリット光を出力するように撮影ユニットを制御するように構成されている。この場合、条件決定部は、第1のスリット光に対応する第1のスリット光像と第2のスリット光に対応する第2のスリット光像との相対位置に基づいてフォーカス調整条件を決定するように構成される。
【0028】
いくつかの実施形態に係る眼科装置において、撮影ユニットは、被検眼の眼底に対するスリット光の投射位置の一連の移動を繰り返しつつ撮像装置による一連の撮影を繰り返し行うことによって時系列画像を取得するように構成されている。この場合、プロセッサは、スリット光投射制御、条件決定処理、及びフォーカス調整制御に加えて、第1の撮影制御、第2の撮影制御、及びフォーカス情報生成処理を実行するように構成される。第1の撮影制御において、プロセッサは、被検眼の眼底の時系列画像を取得するように撮影ユニットの制御を行う。第2の撮影制御において、プロセッサは、被検眼の眼底に対する撮影ユニットのフォーカス状態を検知するための撮影を実行するように撮影ユニットの制御を行う。フォーカス情報生成処理において、プロセッサは、第2の撮影制御により実行された撮影で撮影ユニットにより取得された画像に基づいて被検眼の眼底に対する撮影ユニットのフォーカス状態を示すフォーカス情報を生成する。このような実施形態のいくつかの態様において、プロセッサは、第1の撮影制御と第2の撮影制御とを交互に実行するように構成されていてよい。更に、いくつかの態様において、プロセッサは、第1の撮影制御、第2の撮影制御、及びフォーカス情報生成処理と並行して、フォーカス情報に基づく表示情報を表示装置に表示させる表示制御を更に実行するように構成されていてよい。
【0029】
いくつかの実施形態に係る眼科装置は、撮影ユニットとプロセッサとを含んでいる。撮影ユニットは、被検眼の眼底に対するスリット光の投射位置の一連の移動を繰り返しつつ撮像装置による一連の撮影を繰り返し行うことによって時系列画像を取得することが可能である。プロセッサは、第1の撮影制御、第2の撮影制御、フォーカス情報生成処理、及び表示制御を実行するように構成されている。第1の撮影制御において、プロセッサは、被検眼の眼底の時系列画像を取得するように撮影ユニットの制御を行う。第2の撮影制御において、プロセッサは、被検眼の眼底に対する撮影ユニットのフォーカス状態を検知するための撮影を実行するように撮影ユニットの制御を行う。フォーカス情報生成処理において、プロセッサは、第2の撮影制御により実行された撮影で撮影ユニットにより取得された画像に基づいて被検眼の眼底に対する撮影ユニットのフォーカス状態を示すフォーカス情報を生成する。表示制御において、プロセッサは、フォーカス情報生成処理により生成されたフォーカス情報に基づく表示情報を表示装置に表示させる。
【0030】
いくつかの実施形態に係る方法は、眼科装置を制御する方法である。この眼科装置は、撮影ユニット、フォーカス調整ユニット、プロセッサ、及びメモリを含む。撮影ユニットは、被検眼の眼底に対するスリット光の投射位置を移動しつつ撮像装置で撮影を行うように構成されている。フォーカス調整ユニットは、撮影ユニットのフォーカス調整を行うように構成されている。本実施形態に係る方法は、プロセッサに次のステップを実行させるように構成されている:被検眼の眼底にスリット光を投射するために撮影ユニットを制御する第1の制御ステップ;第1の制御ステップにより被検眼の眼底に投射されたスリット光の戻り光を検出した撮像装置からの出力に基づいてフォーカス調整条件を決定する条件決定ステップ;条件決定ステップにより決定されたフォーカス調整条件に基づいてフォーカス調整ユニットを制御する第2の制御ステップ。
【0031】
いくつかの実施形態に係る方法は、眼科装置を制御する方法である。この眼科装置は、撮影ユニット、プロセッサ、及びメモリを含む。撮影ユニットは、被検眼の眼底に対するスリット光の投射位置を移動しつつ撮像装置で撮影を行うように構成されている。本実施形態に係る方法は、プロセッサに次のステップを並行して実行させるように構成されている:眼底に対するスリット光の投射位置の一連の移動を繰り返しつつ撮像装置による一連の撮影を繰り返し行うことによって時系列画像を取得するように撮影ユニットを制御する第1の撮影制御ステップ;被検眼の眼底に対する撮影ユニットのフォーカス状態を検知するための撮影を撮影ユニットに実行させる第2の撮影制御ステップ;第2の撮影制御ステップにより実行された撮影で取得された画像に基づいて被検眼の眼底に対する撮影ユニットのフォーカス状態を示すフォーカス情報を生成するフォーカス情報生成ステップ;フォーカス情報生成ステップにより生成されたフォーカス情報に基づく表示情報を表示装置に表示させる表示制御ステップ。
【0032】
いくつかの実施形態に係る方法は、被検眼の眼底に対するスリット光の投射位置を移動しつつ撮像装置で撮影を行う方法である。本実施形態に係る方法は次のステップを実行するように構成されている:被検眼の眼底にスリット光を投射し、眼底に投射されたスリット光の戻り光を撮像装置で検出するステップ;被検眼の眼底からのスリット光の戻り光を検出した撮像装置からの出力に基づいてフォーカス調整条件を決定するステップ;フォーカス調整条件に基づいてフォーカス調整を実行するステップ;フォーカス調整が実行された後に、被検眼の眼底に対するスリット光の投射位置を移動しつつ撮像装置で撮影を行うステップ。
【0033】
いくつかの実施形態に係る方法は、被検眼の眼底に対するスリット光の投射位置を移動しつつ撮像装置で撮影を行う方法である。本実施形態に係る方法は次のステップを並行して実行するように構成されている:被検眼の眼底に対するスリット光の投射位置の一連の移動を繰り返しつつ撮像装置による一連の撮影を繰り返し行うことによって時系列画像を取得するステップ;被検眼の眼底に対するフォーカス状態を検知するための撮影を行って画像を取得するステップ;フォーカス状態を検知するための撮影で取得された画像に基づいてフォーカス状態を示すフォーカス情報を生成するステップ;フォーカス情報に基づく表示情報を表示するするステップ。
【0034】
いくつかの実施形態に係るプログラムは、眼科装置に実行させるためのプログラムである。この眼科装置は、被検眼の眼底に対するスリット光の投射位置を移動しつつ撮像装置で撮影を行う撮影ユニットと、撮影ユニットのフォーカス調整を行うためのフォーカス調整ユニットと、プロセッサと、メモリとを含んでいる。本実施形態に係るプログラムは、プロセッサに次のステップを実行させるように構成されている:被検眼の眼底にスリット光を投射するために撮影ユニットを制御する第1の制御ステップ;第1の制御ステップにより被検眼の眼底に投射されたスリット光の戻り光を検出した撮像装置からの出力に基づいてフォーカス調整条件を決定する条件決定ステップ;条件決定ステップにより決定されたフォーカス調整条件に基づいてフォーカス調整ユニットを制御する第2の制御ステップ。いくつかの実施形態に係る記録媒体は、本実施形態に係るプログラムが記録された、コンピュータ可読な非一時的記録媒体である。
【0035】
いくつかの実施形態に係るプログラムは、眼科装置に実行させるためのプログラムである。この眼科装置は、被検眼の眼底に対するスリット光の投射位置を移動しつつ撮像装置で撮影を行う撮影ユニットと、プロセッサと、メモリとを含んでいる。本実施形態に係るプログラムは、プロセッサに次のステップを並行して実行させるように構成されている:被検眼の眼底に対するスリット光の投射位置の一連の移動を繰り返しつつ撮像装置による一連の撮影を繰り返し行うことによって時系列画像を取得するように撮影ユニットを制御する第1の撮影制御ステップ;被検眼の眼底に対する撮影ユニットのフォーカス状態を検知するための撮影を撮影ユニットに実行させる第2の撮影制御ステップ;第2の撮影制御ステップにより実行された撮影で取得された画像に基づいてフォーカス状態を示すフォーカス情報を生成するフォーカス情報生成ステップ;フォーカス情報生成ステップにより生成されたフォーカス情報に基づく表示情報を表示装置に表示させる表示制御ステップ。いくつかの実施形態に係る記録媒体は、本実施形態に係るプログラムが記録された、コンピュータ可読な非一時的記録媒体である。
【0036】
いくつかの実施形態に係るプログラムは、プロセッサとメモリとを含むコンピュータに、被検眼の眼底に対するスリット光の投射位置を移動しつつ撮像装置で撮影を行うための処理を実行させる。本実施形態に係るプログラムは、プロセッサに次のステップを実行させるように構成されている:被検眼の眼底にスリット光を投射し、被検眼の眼底に投射されたスリット光の戻り光を撮像装置で検出するための制御を行うステップ;被検眼の眼底に投射されたスリット光の戻り光を検出した撮像装置からの出力に基づいてフォーカス調整条件を決定するステップ;フォーカス調整条件に基づいてフォーカス調整を実行するステップ;フォーカス調整が実行された後に、被検眼の眼底に対するスリット光の投射位置を移動しつつ撮像装置で撮影を行うための制御を行うステップ。いくつかの実施形態に係る記録媒体は、本実施形態に係るプログラムが記録された、コンピュータ可読な非一時的記録媒体である。
【0037】
いくつかの実施形態に係るプログラムは、プロセッサとメモリとを含むコンピュータに、被検眼の眼底に対するスリット光の投射位置を移動しつつ撮像装置で撮影を行うための処理を実行させる。本実施形態に係るプログラムは、プロセッサに次のステップを並行して実行させるように構成されている:被検眼の眼底に対するスリット光の投射位置の一連の移動を繰り返しつつ撮像装置による一連の撮影を繰り返し行うことによって時系列画像を取得するステップ;被検眼の眼底に対するフォーカス状態を検知するための撮影を行って画像を取得するステップ;フォーカス状態を検知するための撮影で取得された画像に基づいてフォーカス状態を示すフォーカス情報を生成するステップ;フォーカス情報に基づく表示情報を表示するステップ。いくつかの実施形態に係る記録媒体は、本実施形態に係るプログラムが記録された、コンピュータ可読な非一時的記録媒体である。
【0038】
<第1の実施形態>
第1の実施形態に係る眼科装置の構成の非限定的な例を
図1に示す。本例の眼科装置1は、スリットスキャン方式のモダリティを用いて生体眼の眼底を画像化する眼科イメージング機能を有する。眼科装置1は、撮影ユニット2、フォーカス調整ユニット3、プロセッサ4、メモリ5、及びユーザーインターフェイス6を含む。眼科装置1に含まれるハードウェア要素は、特に言及しない限り、既存のスリットスキャン型の眼科イメージング装置のハードウェア要素と同様であってよい。
【0039】
撮影ユニット2は、被検眼の眼底に対するスリット光の投射位置を移動しつつローリングシャッター型のイメージセンサー(撮像装置)で撮影を行うことによってスリットスキャンを実行可能に構成されている。換言すると、撮影ユニット2は、スリット状の照明光(スリット光)の照射位置(照射範囲)を移動させながら被検眼の眼底を照明し、1次元的に又は2次元的に受光素子が配列されたイメージセンサーを用いて眼底からの戻り光を受光するように構成されている。プロセッサ4の制御の下に、戻り光の受光結果は、スリット光の照射位置の移動タイミングに同期して、スリット光の照射位置に対応した戻り光の受光位置にある受光素子から信号(データ)が読み出される。イメージセンサーからの信号読み出しはローリングシャッター方式で行われる。撮影ユニット2の具体的な構成については、その非限定的な例を後述する。
【0040】
前述したように、ローリングシャッター型のイメージセンサーの代わりに、グローバルシャッター型のイメージセンサーとスリット絞りとを組み合わせた撮像ユニット(撮像装置)を用いることによって、ローリングシャッター型のイメージセンサーと同様の撮影動作を行うことができる。
【0041】
フォーカス調整ユニット3は、撮影ユニット2のフォーカス調整(ピント合わせ)を行うための構成を含んでいる。第1の実施形態のフォーカス調整は、既存のフォーカス調整技術を用いて実行されてよい。例えば、被写体(被検眼の眼底)とイメージセンサーとの間に配置されているレンズの焦点距離(焦点の位置)を変化させることによって、及び/又は、レンズとイメージセンサーとの間の距離を変化させることよって、フォーカス調整を行うことができる。
【0042】
プロセッサ4は、メモリ5及び/又は他の記憶装置に記憶されているプログラムにしたがって処理を実行することにより第1の実施形態に係る機能を実現する。
【0043】
メモリ5は、各種のコンピュータプログラムや各種のデータを記憶している。例えば、メモリ5には、眼科装置1に所定の動作を実行させるための制御プログラム及び/又は制御データや、眼科装置1に所定の演算処理を実行させるための演算プログラム及び/又は演算データが格納されている。メモリ5に格納されるプログラムやデータはこれらに限定されない。また、メモリ5には、眼科装置1により取得されたデータが保存される。例えば、眼科装置1により生成されたデータや、眼科装置1が外部から取得したデータがメモリ5に保存される。典型的な実施形態において、メモリ5は、不揮発性メモリと揮発性メモリとを含んでいる。
【0044】
ユーザーインターフェイス6は、眼科装置1とそのユーザーとの間で情報をやりとりするための要素(ハードウェア要素、ソフトウェア要素、プロトコル)である。ユーザーインターフェイス6は、例えば、ユーザーから眼科装置1に情報を提供するための手段である入力部(操作部)と、眼科装置1からユーザーに情報を提供するための手段である出力部とを含んでいる。入力部のハードウェア要素の非限定的な例として、操作パネル、マウス、キーボード、トラックボール、スイッチ、ボタン、ダイアル、スキャナー、光学文字認識(OCR)デバイス、マイクロフォン、カメラ(ビデオカメラ)などがある。出力部のハードウェア要素の非限定的な例として、ディスプレイ、プリンタ、スピーカーなどがある。ユーザーインターフェイス6は、タッチスクリーンのように入力機能と出力機能とが一体化されたデバイスを含んでいてもよい。
【0045】
図示は省略するが、眼科装置1は、既存の同種の眼科装置と同様に、被検眼Eに対する撮影ユニット2のアライメント(位置合わせ)を行うための要素を備えている。眼科装置1により実行されるアライメントの方法は任意であってよく、例えば、特開2013-248376号公報に記載された2つ以上の前眼部カメラを用いて被検眼Eの位置を求めるステレオアライメントであってよいし、被検眼Eの正面画像(例えば前眼部Eaの観察画像)を解析して被検眼Eの位置を求める方法でもよいし、前眼部Ea(角膜)にアライメント指標を投影して被検眼Eの位置を求める方法でもよい。眼科装置1は、アライメントの手法に応じたハードウェア要素及びソフトウェア要素を備えている。図示は省略するが、眼科装置1は、既存の同種の眼科装置と同様に、撮影ユニット2を3次元的に移動するための移動機構を備えている。
【0046】
撮影ユニット2の構成の非限定的な例を
図2に示す。
図2は側面図である。
図2において、光学系の光軸(対物レンズ46の光軸)に沿った方向をZ方向(前後方向、作動距離方向)とし、Z方向に直交する1つの方向(本例では左右方向、水平方向)をX方向とし、Z方向及びY方向の双方に垂直な方向(本例では上下方向、鉛直方向)をY方向とする。
【0047】
本例の撮影ユニット2は、光源10、照明光学系20、光スキャナー30、撮影光学系40、及び撮像装置50を含んでいる。照明光学系20は、光源10から発せられた光からスリット光を生成して被検眼Eの眼底Efに投射する。光源10を照明光学系20の要素とみなしてもよい。光スキャナー30は、照明光学系20により眼底Efに投射されるスリット光の位置(投射位置)を移動する。光スキャナー30を照明光学系20の要素とみなしてもよい。撮影光学系40は、照明光学系20により眼底Efに投射されたスリット光の戻り光を撮像装置50に導く。撮像装置50を撮影光学系40の要素とみなしてもよい。
【0048】
光源10は、可視領域の光を発生する可視光源(例えば、白色光を発生する白色光源)を含んでいてよい。光源10は、赤外領域(近赤外領域)の光を発生する赤外光源(近赤外光源)を含んでいてもよい。光源10は、異なる波長帯の光を切り替えて出力することが可能であってもよい。光源10は、任意の種類の光源を含んでいてよく、例えば、発光ダイオード(LED)、レーザーダイオード(LD)、ハロゲンランプ、及びキセノンランプのうちの1つ以上を含んでいてよい。被検眼Eに対する撮影ユニット2のアライメントが適切な状態において、光源10は、眼底Ef及び虹彩のそれぞれに対して光学的に非共役な位置に配置される。いくつかの態様では、プロセッサ4の制御の下に、光源10は、スリットスキャンのために可視光を出力し、フォーカス調整のために近赤外光又は可視光を出力する。
【0049】
照明光学系20は、光源10により発せられた光からスリット状の照明光(スリット光)を生成して被検眼Eの眼底Efに投射する。本例において、照明光学系20は、虹彩絞り21、スリット開口絞り(スリット)22、リレーレンズ23、光スキャナー30、リレーレンズ31、ホールミラー45、及び対物レンズ46を含む。リレーレンズ23は1つ以上のレンズを含み、リレーレンズ31は1つ以上のレンズを含み、対物レンズ46は1つ以上のレンズを含む。
【0050】
撮影光学系40は、照明光学系20(及び光スキャナー30)により被検眼Eの眼底Efに投射された照明光(スリット光)の戻り光を撮像装置50に導く。本例において、撮影光学系40は、対物レンズ46、ホールミラー45、フォーカスレンズ47、及び結像レンズ48を含む。フォーカスレンズ47は1つ以上のレンズを含み、結像レンズ48は1つ以上のレンズを含む。
【0051】
光源10から出力された光(具体的には、この光の一部)は、虹彩絞り21に形成された開口部、スリット開口絞り22に形成された開口部、及びリレーレンズ23を通過して光スキャナー30に導かれる。
【0052】
被検眼Eに対する撮影ユニット2のアライメントが適切な状態において、虹彩絞り21(具体的には、虹彩絞り21に形成された開口部)は、被検眼Eの虹彩(瞳孔)に対して光学的に略共役な位置に配置される。
【0053】
虹彩絞り21には、照明光学系20の光軸から離隔した位置に1つ以上の開口部が形成されている。例えば、
図3に例示する非限定的な虹彩絞り21には、照明光学系20の光軸Oを中心とした円周方向に沿って所定の寸法(所定の長さ及び所定の幅)を有する2つの開口部21A及び21Bが形成されている。
【0054】
虹彩絞り21の開口部は、被検眼Eの瞳孔における照明光の入射状態(入射位置、入射形状)を規定する。例えば、開口部21A及び21Bが形成された虹彩絞り21が用いられる場合には、被検眼Eの瞳孔中心に略一致するように照明光学系20の光軸O(対物レンズ46の光軸)が配置された状態において(つまり、アライメントが適切な状態において)、瞳孔中心から偏心した位置(具体的には、瞳孔中心に対して点対称に配置された2つの位置)を通じて照明光(スリット光)を眼底Efに導くことができる。
【0055】
いくつかの態様では、光源10からの光を偏向する光学素子を光源10と虹彩絞り21との間に設けることによって、虹彩絞り21の開口部とスリット開口絞り22の開口部(スリット)とを結ぶ方向における光量分布を最適化してもよい。また、光源10と虹彩絞り21の開口部との間の相対位置を変更可能に構成することによって、虹彩絞り21の開口部を通過する光の光量分布を可変にしてもよい。
【0056】
被検眼Eに対する撮影ユニット2のアライメントが適切な状態において、スリット開口絞り22(具体的には、スリット開口絞り22に形成された開口部(スリット))は、被検眼Eの眼底Efと光学的に略共役な位置に配置される。
【0057】
スリット開口絞り22には、後述するイメージセンサー51からローリングシャッター方式で信号読み出しが行われるライン方向(ロウ(row)方向)に対応した方向を長手方向とする開口部(スリット)が形成されている。例えば、
図4に例示する非限定的なスリット開口絞り22には、照明光学系20の光軸Oを含む領域に所定の寸法(所定の長さ及び所定の幅)を有する開口部(スリット)22Aが形成されている。
【0058】
スリット開口絞り22に形成された開口部(スリット)は、被検眼Eの眼底Efにおけるスリット光の投射像の形状を規定する。スリット開口絞り22に形成されたスリットの長手方向をスリット長方向と呼ぶことがある。また、スリット開口絞り22に形成されたスリットの短手方向をスリット幅方向と呼ぶことがある。
【0059】
スリット開口絞り22は、移動機構22Mにより、照明光学系20の光軸に沿う方向に移動可能である。移動機構22Mは、プロセッサ4の制御の下に動作する。プロセッサ4は、被検眼Eの状態(例えば、屈折力(屈折度、視度)、眼底形状など)に応じて移動機構22Mを制御するように構成されてよい。
【0060】
虹彩絞り21の開口部を通過した光は、スリット開口絞り22の開口部を通過することによってスリット状の照明光(スリット光)に変換される。スリット光は、リレーレンズ23を介して光スキャナー30に導かれ、光スキャナー30により偏向され、リレーレンズ31を介してホールミラー45に導かれる。
【0061】
ホールミラー45は、既存の眼底カメラなどに用いられる光学部材であり、照明光学系20の光路と撮影光学系40の光路とを結合する光路結合部材として機能する。ホールミラー45の中心位置には開口部(又は、光透過部)が形成されている。例えば、この開口部の外縁は円形である。照明光学系20の光軸と撮影光学系40の光軸とは、ホールミラー45の開口部において交差している。ホールミラー45の開口部の周囲には反射部(ミラー部)が形成されている。
【0062】
リレーレンズ31を介してホールミラー45に導かれたスリット光は、反射部により反射され、対物レンズ46により屈折されて被検眼Eに入射する。被検眼Eに入射したスリット光は、眼底Efに投射される。
【0063】
いくつかの態様において、眼底Efにおけるスリット光の投射像(投射領域)の形状は略スリット形状であり、このスリット形状の投射像の長手方向はX方向に略一致している。この場合、光スキャナー30は、眼底Efにおけるスリット光の投射像をY方向に移動させるように、虹彩絞り21及びスリット開口絞り22によって生成されたスリット光を偏向する。なお、眼底Erにおけるスリット光の投射像の長手方向の向きはX方向に限定されず、光スキャナー30による投射像の移動方向はY方向に限定されない。
【0064】
被検眼Eに対する撮影ユニット2のアライメントが適切な状態において、光スキャナー30は、被検眼Eの虹彩と光学的に略共役な位置に配置される。これにより、被検眼Eの瞳孔内の位置(又は瞳孔の近傍位置)をピボット(スキャン軸、偏向中心軸)としてスリット光をY方向に偏向することができ、眼底Efの所定のスキャン範囲を仮想的に分割して形成される複数のスリット状の部分領域に対して逐次にスリット光を投射することが可能になる。つまり、眼底Efのスリットスキャンを行うことが可能になる。
【0065】
眼底Efに投射されたスリット光の反射光は、被検眼Efの瞳孔を介して被検眼Eから出射し、撮影ユニット2に入射する。被検眼Eから撮影ユニット2に入射した光(戻り光)は、対物レンズ46を介してホールミラー45に導かれる。この戻り光は、ホールミラー45の開口部を通過し(又は、光透過部を透過し)、フォーカスレンズ47及び結像レンズ48を介して撮像装置50に導かれて検出される。
【0066】
光スキャナー30は、例えば、スリット光を1次元的又は2次元的に偏向することが可能である。1次元偏向用の光スキャナー30は、所定の方向を基準とした所定の偏向角度範囲においてスリット光を偏向する。この偏向角度範囲は、眼底Efにおけるスリット光の移動方向(例えば、Y方向)に対応した方向において定義されている。2次元偏向用の光スキャナー30は、例えば、互いに異なる偏向方向を提供する2つの光スキャナーを組み合わせたものである。光スキャナー30に使用される光偏向デバイスの種類は任意であってよく、例えばガルバノスキャナーであってよい。
【0067】
フォーカスレンズ47は、移動機構47Mにより、撮影光学系40の光軸に沿う方向に移動可能である。移動機構47Mは、プロセッサ4の制御の下に動作する。プロセッサ4は、被検眼Eの状態(例えば、屈折力、眼底形状など)に応じて移動機構47Mを制御するように構成されてよい。
【0068】
撮像装置50は、撮影光学系40によって導かれてきた戻り光を検出するイメージセンサー51を含んでいる。撮像装置50は、プロセッサ4の制御の下に、戻り光を検出したイメージセンサー51から信号読み出しを行うことができる。
【0069】
イメージセンサー51は、ピクセル化された受光器としての機能を実現する。被検眼Eに対する撮影ユニット2のアライメントが適切な状態において、イメージセンサー51の受光面(検出面、撮像面)は、被検眼Eの眼底Efに対して光学的に略共役な位置に配置される。イメージセンサー51が光電変換により生成した信号は、プロセッサ4の制御の下に、ローリングシャッター方式で読み出される。
【0070】
いくつかの態様において、イメージセンサー51はCMOSイメージセンサーを含む。この場合、イメージセンサー51においては、ロウ(row)方向に配列されたピクセル群が複数個設けられており、これら複数のピクセル群がカラム(column)方向に配列されている。より具体的には、イメージセンサー51は、2次元的に配列された複数のピクセルと、複数の垂直信号線と、水平信号線とを含む。各ピクセルは、フォトダイオードと、キャパシタとを含む。垂直信号線は、ロウ方向(水平方向)に直交するカラム方向(垂直方向)に配列されたピクセル群ごとに設けられている。各垂直信号線は、戻り光の検出結果に対応した電荷が蓄積されたピクセル群に対して選択的に電気的に接続される。水平信号線は、複数の垂直信号線に対して選択的に電気的に接続される。各ピクセルは、戻り光の検出結果に対応した電荷を蓄積し、蓄積された電荷は、例えばロウ方向のピクセル群ごとに順次に読み出される。例えば、ロウ方向のラインごとに、各ピクセルに蓄積された電荷に対応した電圧が垂直信号線に供給される。複数の垂直信号線は、選択的に水平信号線に対して電気的に接続される。上記したロウ方向のラインごとの読み出し動作を垂直方向に順次に行うことで、2次元的に配列された複数のピクセルから検出結果を読み出すことができる。
【0071】
このようなイメージセンサー51からの検出結果の読み出しをローリングシャッター方式で行うことにより、ロウ方向に延びる所望の仮想的な開口形状に対応した受光像が取得される。この制御は公知であり、例えば米国特許第7831106号明細書などに開示されている。
【0072】
眼科装置1により実行されるスリットスキャンについて説明する。
図5は、眼底Efにおけるスリット光の投射像の位置(投射範囲)IPと、イメージセンサー51の受光面SRにおける仮想的な開口範囲OPとを模式的に表す。
【0073】
眼科装置1は、光スキャナー30を用いてスリット光を偏向することにより、眼底Efにおけるスリット光の投射範囲IPをスリット長方向(例えば、X方向、ロウ方向、水平方向)に対して垂直な方向(例えば、Y方向、カラム方向、垂直方向)に移動させる。
【0074】
プロセッサ4によるイメージセンサー51からの信号読み出しにおいては、信号読み出しの対象となるピクセル群をライン単位で逐次に切り替えることによって、仮想的な開口範囲OPが逐次に設定される。開口範囲OPは、例えば、スリット光の戻り光が受光面SRに投射される範囲IP´と一致するように、又は、この範囲IP´よりも広い範囲になるように設定される。プロセッサ4は、スリット光の投射範囲IPを移動するための制御と、開口範囲OPを移動するための制御とを並行的に実行する。例えば、プロセッサ4は、これらの制御を同期的に実行する。このようなスリットスキャンによれば、不要な散乱光の影響を受けることなく、簡素な構成によって、高いコントラストを有する高品質の眼底画像を取得することが可能である。
【0075】
いくつかの実施形態では、光スキャナー30とホールミラー45との間に、有害反射光を除去するための黒点を設けることができる。黒点は、対物レンズ46によるスリット光の反射に起因する中心ゴーストの位置に対して光学的に略共役な位置に配置される。
【0076】
既存の同種の眼科装置では、眼底Efに投射されるフォーカス調整用指標(スプリット指標)を生成するフォーカス指標投影光学系が光スキャナーとホールミラーとの間に設けられ、更に、フォーカス指標投影光学系を移動するための機構が設けられている。既存の同種の眼科装置は、フォーカス指標光学系から出力された光(フォーカス指標光)を眼底Efに投射し、その眼底反射光を撮影光学系及び撮像装置によって検出し、取得された画像におけるスプリット指標の位置をシャイネルの原理にしたがって特定し、特定されたスプリット指標の位置に基づきフォーカス指標投影光学系と撮影光学系のフォーカスレンズとをそれぞれの光軸に沿う方向に移動することによってフォーカス調整を実行する。このように、フォーカス指標投影光学系及びこの移動機構は、既存の同種の眼科装置に設けられている、フォーカス調整のための専用のハードウェア要素である。
【0077】
これに対し、第1の実施形態の眼科装置1は、フォーカス専用ハードウェア要素として既存の同種の眼科装置に設けられているフォーカス指標投影光学系及びそれを移動する機構を備えていない。代わりに、眼科装置1は、後述する新規な技術でフォーカス調整を実行する。この新規な技術は、既存の同種の眼科装置にも設けられているハードウェア要素を新規な方法で利用するものである。いくつかの態様に係る新規な技術ではフォーカス専用ハードウェア要素は不要であり、別のいくつかの態様ではフォーカス指標投影光学系及びその移動機構のような複雑且つ大規模なフォーカス専用ハードウェア要素は不要である。
【0078】
プロセッサ4は、様々な制御処理や様々な演算処理を実行するように構成されている。例えば、プロセッサ4は、少なくとも、スリット光投射制御、条件決定処理、及びフォーカス調整制御を実行するように構成されている。スリット光投射制御、条件決定処理、及びフォーカス調整制御は、フォーカス調整(特に、オートフォーカス)のための一連の処理に含まれている。眼科装置1は、この一連の処理を実行するように構成されることによって(すなわち、新規なソフトウェア要素を備えた構成を採用することによって)、フォーカス専用ハードウェア要素を用いずに、又は、複雑且つ大規模なフォーカス専用ハードウェア要素を用いずに、フォーカス調整を実行することが可能である。
【0079】
プロセッサ4の構成の非限定的な例を
図6に示す。本例のプロセッサ4は、投射制御部401、条件決定部402、及びフォーカス調整制御部403を含んでいる。
【0080】
スリット光投射制御は、フォーカス調整のためのスリット光を被検眼Eの眼底Efに投射するために実行される撮影ユニット2の制御処理であり、投射制御部401によって実行される。スリット光投射制御の態様は任意であってよく、そのいくつかの非限定的な例を後に説明する。
【0081】
条件決定処理は、スリット光投射制御により眼底Efに投射されたスリット光の戻り光を検出した撮像装置50からの出力に基づいてフォーカス調整条件を決定するために実行される演算処理であり、条件決定部402によって実行される。条件決定処理の態様は任意であってよく、そのいくつかの非限定的な例を後に説明する。
【0082】
フォーカス調整制御は、条件決定処理により決定されたフォーカス調整条件に基づいて撮影ユニット2のフォーカス状態を調整するために実行されるフォーカス調整ユニット3の制御処理であり、フォーカス調整制御部403によって実行される。フォーカス調整制御の態様は任意であってよく、そのいくつかの非限定的な例を後に説明する。
【0083】
図2に示す例においては、フォーカス調整ユニット3は、撮影ユニット2の要素のうち、スリット開口絞り22を移動する移動機構22Mと、フォーカスレンズ47を移動する移動機構47Mとを含む。
【0084】
この場合、条件決定処理は、照明光学系20のフォーカス調整を行うための(つまり、照明光学系20の焦点位置を調整するための)移動機構22Mの制御条件と、撮影光学系40のフォーカス調整を行うための(つまり、撮影光学系40の焦点位置を調整するための)移動機構47Mの制御条件とを決定するように実行される。移動機構22Mの制御条件は、スリット開口絞り22を移動する方向及び量(距離)を示す情報を含む。移動機構47Mの制御条件は、フォーカスレンズ47を移動する方向及び量(距離)を示す情報を含む。これらの制御条件は、対象要素の移動方向及び移動量に対応した別の情報を含んでいてもよく、例えば、移動機構22M(移動機構47M)に送信される制御信号の内容(例えば、制御パルスの個数)を示す情報を含んでいてよい。
【0085】
更に、フォーカス調整制御は、条件決定処理により決定された移動機構22Mの制御条件に基づき移動機構22Mを制御し、且つ、移動機構47Mの制御条件に基づき移動機構47Mを制御するように実行される。
【0086】
いくつかの態様では、ここに説明したようにフォーカスレンズ47を移動することによって撮影光学系40のフォーカス調整を行っているが、別のいくつかの態様では撮像装置50(イメージセンサー51)を移動することによって撮影光学系40のフォーカス調整を行ってもよい。後者の態様では、撮像装置50(イメージセンサー51)を移動するための移動機構が設けられ、条件決定処理はこの移動機構の制御条件を決定し、フォーカス調整制御はこの制御条件に基づき当該移動機構を制御することによって撮像装置50(イメージセンサー51)を移動する。
【0087】
いくつかの態様では、投射制御部401は、まず、光スキャナー30によるスリット光の偏向方向を所定の方向に固定する。つまり、投射制御部401は、光スキャナー30の反射面(ミラー面)の向きを所定の向きに固定する。
【0088】
このように光スキャナー30の動作(ミラー面の向きを変える動作)を停止した状態で、投射制御部401は、スリット光を眼底Efに投射するように撮影ユニット2を制御する。撮影ユニット2は、撮影光学系40及び撮像装置50により、光スキャナー30の動作を停止した状態で眼底Efに投射されたスリット光を検出する。これにより得られた画像は条件決定部402に入力される。
【0089】
条件決定部402は、この画像を解析することによってフォーカス調整条件を決定する。より具体的には、条件決定部402は、光スキャナー30の動作を停止した状態で取得された画像を解析することにより、光スキャナー30の動作を停止した状態で眼底Efに投射されたスリット光の像(つまり、このスリット光に対応するスリット光像)の位置を特定する処理と、特定されたスリット光像の位置に基づいてフォーカス調整条件を決定する処理とを実行する。条件決定部402が実行するこれらの処理については、その非限定的な例を後述する。
【0090】
いくつかの態様では、投射制御部401は、被検眼Eの眼底Efに投射される位置が異なる少なくとも2つのスリット光を出力するように撮影ユニット2を制御する。ここでは2つのスリット光(第1のスリット光及び第2のスリット光)を用いる場合について説明するが、3つ以上のスリット光を用いる場合についても同様の要領で実行できることは、当業者であれば理解することができるであろう。第1のスリット光及び第2のスリット光は、例えば、順次に又は同時に出力される。
【0091】
被検眼Eの眼底Efにおける投射位置が異なる第1のスリット光及び第2のスリット光を生成する方法は任意である。いくつかの態様では、
図3に示す2つの開口部21A及び21B(第1の開口部21A及び第2の開口部21Bと呼ぶ)を有する虹彩絞り21を利用することができる。なお、これらの態様は、例えば、光スキャナー30によるスリット光の偏向方向が所定の方向に固定された状態(つまり、光スキャナー30のミラー面の向きが所定の向きに固定された状態)で実行されてよい。
【0092】
例えば、第1の開口部21Aを通過した光に基づき生成されるスリット光を第1のスリット光として使用し、第2の開口部21Bを通過した光に基づき生成されるスリット光を第2のスリット光として使用することによって、被検眼Eの眼底Efにおける投射位置が異なる第1のスリット光及び第2のスリット光を生成することができる。
【0093】
そのために採用可能な1つの構成例では、第1の開口部21Aを遮閉及び開放するための第1のシャッターと、第2の開口部21Bを遮閉及び開放するための第2のシャッターとが設けられており、投射制御部401の制御の下に第1の開口部21A及び第2の開口部21Bを交互に遮閉/開放することによって、被検眼Eの眼底Efにおける投射位置が異なる第1のスリット光と第2のスリット光とを逐次に生成することができる。例えば、第1の開口部21Aを開状態とし且つ第2の開口部21Bを閉状態とすることによって第1のスリット光を選択的に生成することができ、第1の開口部21Aを閉状態とし且つ第2の開口部21Bを開状態とすることによって第2のスリット光を選択的に生成することができる。また、双方の開口部21A及び21Bを開放することによって第1のスリット光と第2のスリット光とを同時に生成することができる。
【0094】
本態様で使用される第1のシャッター及び第2のシャッターは、既存の同種の眼科装置に設けられているフォーカス専用ハードウェア要素(フォーカス指標投影光学系及びその移動機構)と比較して、極めてシンプルで小規模なデバイスである。
【0095】
別の構成例では、光源10が、第1の開口部21Aのみを通過する光を発する第1の光源と、第2の開口部21Bのみを通過する光を発する第2の光源とを含んでおり、投射制御部401の制御の下に第1の光源と第2の光源とを交互に点灯させることによって、被検眼Eの眼底Efにおける投射位置が異なる第1のスリット光と第2のスリット光とを逐次に生成することができる。例えば、第1の光源を点灯状態とし且つ第2の光源を消灯状態とすることによって第1のスリット光を選択的に生成することができ、第1の光源を消灯状態とし且つ第2の光源を点灯状態とすることによって第2のスリット光を選択的に生成することができる。また、第1の光源及び第2の光源の双方を点灯することによって第1のスリット光と第2のスリット光とを同時に生成することができる。
【0096】
本態様で使用される第1の光源及び第2の光源は、既存の同種の眼科装置に設けられているフォーカス専用ハードウェア要素(フォーカス指標投影光学系及びその移動機構)と比較して、極めてシンプルで小規模なデバイスである。
【0097】
第1のスリット光及び第2のスリット光を生成するための別のいくつかの態様では、光スキャナー30を利用することができる。本態様では、投射制御部401は、光スキャナー30のミラー面を第1の向きに配置することによって第1のスリット光を生成し、第2の向きに配置することによって第2のスリット光を生成することによって、被検眼Eの眼底Efにおける投射位置が異なる第1のスリット光及び第2のスリット光を生成することができる。本態様では、ハードウェア要素の追加を行うことなく第1のスリット光及び第2のスリット光を生成することができる。
【0098】
以上に説明したいずれかの方法又は別の方法により、投射制御部401は、被検眼Eの眼底Efに投射される位置が異なる第1のスリット光及び第2のスリット光を撮影ユニット2に出力させる。
【0099】
撮影ユニット2は、撮影光学系40及び撮像装置50により、被検眼Eの眼底Efにおける第1のスリット光の投影像(第1のスリット光像)が描出されている第1の画像と、被検眼Eの眼底Efにおける第2のスリット光の投影像(第2のスリット光像)が描出されている第2の画像とを取得する。第1のスリット光及び第2のスリット光が逐次に生成された場合、つまり、被検眼Eの眼底Efに対する第1のスリット光の投射と第2のスリット光の投射とが別々に行われた場合、第1の画像と第2の画像とは別々の画像である。また、第1のスリット光及び第2のスリット光が同時に生成された場合、つまり、被検眼Eの眼底Efに対する第1のスリット光の投射と第2のスリット光の投射とが同時に行われた場合には、第1の画像と第2の画像とは同じ画像である。
【0100】
条件決定部402は、第1の画像から第1のスリット光像を検出し、第1の画像における第1のスリット光像の位置を示す第1の位置情報を求める。同様に、条件決定部402は、第2の画像から第2のスリット光像を検出し、第2の画像における第2のスリット光像の位置を示す第2の位置情報を求める。例えば、第1の位置情報は、第1の画像に定義されている座標系(例えば、ピクセル位置を表現する座標系)で表される1つ以上の座標であり、第2の位置情報は、第2の画像に定義されている座標系(例えば、ピクセル位置を表現する座標系)で表される1つ以上の座標である。
【0101】
条件決定部402は、第1のスリット光像と第2のスリット光像との相対位置に基づいてフォーカス調整条件を決定する。より具体的には、条件決定部402は、第1の位置情報に示された第1のスリット光像の座標(第1の座標)と、第2の位置情報に示された第2のスリット光像の座標(第2の座標)との差を求め、この座標の差に基づいてフォーカス調整条件を決定することができる。
【0102】
次に、第1の実施形態に係るフォーカス調整の原理及びいくつかの非限定的な具体例について説明する。
【0103】
そのために、まず、フォーカス調整で使用されるスリット光を被検眼Eの眼底Efに投射する照明光学系20の光路について説明する。
図7は、
図2~
図4に示す光学系によって形成される光路の非限定的な例を表す。
図7の上段は平面図であり、下段は側面図である。また、
図7の各光路は、虹彩絞り21の2つの開口部21A及び21Bを物点位置とした場合の光路である。
【0104】
光源10により出力された光は、虹彩絞り21を照明する。虹彩絞り21の第1の開口部21Aを通過した光(第1の光)の一部がスリット開口絞り22のスリット22Aを通過することによって第1のスリット光が生成される。同様に、虹彩絞り21の第2の開口部21Bを通過した光(第2の光)の一部がスリット開口絞り22のスリット22Aを通過することによって第2のスリット光が生成される。
【0105】
ここで、第1の開口部21Aを通過する第1の光は、例えば、前述した第1のシャッターが開状態であるときに第1の開口部21Aを通過した光、又は、前述した第1の光源から発せられて第1の開口部21Aを通過した光であってよい。同様に、第2の開口部21Bを通過する第2の光は、例えば、前述した第2のシャッターが開状態であるときに第2の開口部21Bを通過した光、又は、前述した第2の光源から発せられて第2の開口部21Bを通過した光であってよい。
【0106】
照明光学系20において、虹彩絞り21(第1の開口部21A及び第2の開口部21B)と、光スキャナー30と、ホールミラー45とは、互いに光学的に略共役な位置関係で配置されている。アライメントが適切な状態において、照明光学系20のこれらの要素は、前眼部Ea(例えば、瞳孔)に対して光学的に略共役な位置に配置される。
【0107】
虹彩絞り21及びスリット開口絞り22により生成された第1のスリット光は、リレーレンズ23によりリレーされて光スキャナー30のミラー面において結像するとともに、このミラー面によって偏向される。光スキャナー30により偏向された第1のスリット光は、リレーレンズ31によりリレーされてホールミラー45の反射部(ミラー部)において結像するとともに、この反射部によって偏向される。ホールミラー45により偏向された第1のスリット光は、対物レンズ46により収束光に変換されて被検眼Eに入射し、前眼部Ea(例えば、瞳孔)において一旦結像し、眼底Efに投射される。第1のスリット光が眼底Efに投射されている状態において撮影光学系40及び撮像装置50を用いた撮影を行うことにより、第1のスリット光に対応する第1のスリット光像が描出されている画像(前述した第1の画像)が得られる。
【0108】
同様に、虹彩絞り21及びスリット開口絞り22により生成された第2のスリット光が眼底Efに投射されている状態において撮影光学系40及び撮像装置50を用いた撮影を行うことにより、第2のスリット光に対応する第2のスリット光像が描出されている画像(前述した第2の画像)が得られる。
【0109】
照明光学系20のピントが眼底Efに合っている場合、
図8に示すように、第1のスリット光L1及び第2のスリット光L2は、眼底Efの略同じ位置に投射される。換言すると、照明光学系20のピントが眼底Efに合っている場合、第1のスリット光L1と第2のスリット光L2との交差位置Cは眼底Ef上に配置される。
【0110】
一方、照明光学系20のピントが眼底Efに合っていない場合には、
図9に示すように、第1のスリット光L1が投射される眼底Ef上の位置と、第2のスリット光L2が投射される眼底Ef上の位置とが異なる。換言すると、照明光学系20のピントが眼底Efに合っていない場合、第1のスリット光L1と第2のスリット光L2との交差位置Cは、眼底Efから離隔した位置に配置される。
【0111】
なお、
図9の上段の図は、第1のスリット光L1と第2のスリット光L2との交差位置Cが眼底Efよりも前側(前眼部Ea側)に配置されている状態、つまり、眼底Efに対していわゆる「前ピン」の状態を表している。下段の図は、第1のスリット光L1と第2のスリット光L2との交差位置Cが眼底Efよりも後側に配置されている状態、つまり、眼底Efに対していわゆる「後ピン」の状態を表している。
【0112】
図8に示すように照明光学系20のピントが眼底Efに合っている場合、第1のスリット光L1と第2のスリット光L2とが眼底Efの略同じ位置に投射される。その場合に取得される眼底画像の例を
図10に示す。
図10の眼底画像には、第1のスリット光L1の眼底投影像である第1のスリット光像G1と、第2のスリット光L2の眼底投影像である第2のスリット光像G2とが、略同じ位置に描出されている。
【0113】
一方、
図9に示すように照明光学系20のピントが眼底Efに合っていない場合、第1のスリット光L1と第2のスリット光L2とが眼底Efの互いに異なる位置に投射される。その場合に取得される眼底画像の例を
図11に示す。
【0114】
図11の左側の眼底画像は、
図9の上段の場合のような「前ピン」の場合に得られる画像である。この眼底画像には、第1のスリット光L1の眼底投影像である第1のスリット光像G1と、第2のスリット光L2の眼底投影像である第2のスリット光像G2とが互いに異なる位置に描出されている。より具体的には、この眼底画像のフレームの上下方向における中心位置よりも下側に第1のスリット光像G1が描出されており、且つ、上側に第2のスリット光像G2が描出されている。
【0115】
また、
図11の右側の眼底画像は、
図9の下段の場合のような「後ピン」の場合に得られる画像である。この眼底画像には、第1のスリット光L1の眼底投影像である第1のスリット光像G1と、第2のスリット光L2の眼底投影像である第2のスリット光像G2とが互いに異なる位置に描出されている。より具体的には、この眼底画像のフレームの上下方向における中心位置よりも上側に第1のスリット光像G1が描出されており、且つ、下側に第2のスリット光像G2が描出されている。
【0116】
このように、第1の実施形態によれば、既存の同種の眼科装置のような(複雑且つ大規模な)フォーカス専用ハードウェア要素を用いることなく、既存のスリットスキャン方式の眼底撮影モダリティが備えているハードウェア要素を利用することによって、被検眼Eの眼底Efに対する撮影ユニット2のピントが合っているか否かを判定することが可能である。
【0117】
更に、第1の実施形態によれば、眼底Efに対する撮影ユニット2のピントがずれている方向を特定することが可能である(つまり、フォーカス状態が前ピンであるか後ピンであるかを判別することが可能である)。
【0118】
加えて、詳細については後述するが、第1の実施形態によれば、眼底Efに対して撮影ユニット2のピントがずれている量を求めることも可能である。
【0119】
このような第1の実施形態によれば、既存の同種の眼科装置のような(複雑且つ大規模な)フォーカス専用ハードウェア要素を用いることなく、既存のスリットスキャン方式の眼底撮影モダリティが備えているハードウェア要素を利用することによって、被検眼Eの眼底Efに対する撮影ユニット2のオートフォーカスを行うことも可能である。
【0120】
詳細については後述するが、いくつかの態様では、第1のスリット光L1と第2のスリット光とを別々に眼底Efに投射することによって第1のスリット光像G1が描出された第1の画像と第2のスリット光像G2が描出された第2の画像とを取得し、これら2つの画像を比較することによってフォーカス状態に関するパラメータ(例えば、ピントのズレ方向及び/又はズレ量)を特定することができる。
【0121】
別のいくつかの態様では、特性(例えば、波長、強度(光量))が異なる第1のスリット光L1と第2のスリット光L2とを同時に眼底Efに投射することによって1つの画像を取得し、この画像における第1のスリット光像G1と第2のスリット光像G2との相対位置に基づいてフォーカス状態に関するパラメータ(例えば、ピントのズレ方向及び/又はズレ量)を特定することができる。なお、第1のスリット光L1と第2のスリット光とを別々に眼底Efに投射する場合において、特性が異なる第1のスリット光L1と第2のスリット光L2とを眼底Efに投射してもよい。
【0122】
条件決定部402は、
図8~
図11を参照して説明した上記原理に基づいてフォーカス調整条件を決定する。条件決定部402は、スリット光投射制御により被検眼Eの眼底Efに投射されたスリット光(例えば、第1のスリット光L1、第2のスリット光L2)の戻り光を検出した撮像装置50からの出力(例えば、第1の画像、第2の画像)に基づいてフォーカス調整条件を決定するように構成される。
【0123】
いくつかの態様では、条件決定部402は、スリット光投射制御により被検眼Eの眼底Efに投射されたスリット光(例えば、第1のスリット光L1、第2のスリット光L2)の戻り光を検出した撮像装置50により生成された画像(例えば、第1の画像、第2の画像)中のスリット光像(例えば、第1のスリット光像G1、第2のスリット光像G2)の位置に基づいてフォーカス調整条件を決定するように構成されてよい。
【0124】
眼底画像中のスリット光像の位置を求める方法は任意である。いくつかの態様の条件決定部402は、撮影ユニット2によるスリット光の投射位置の移動方向に対応する第1の方向に沿ったスリット光像の少なくとも一部の画像領域の輝度プロファイルに基づいてスリット光像の位置を決定する。
【0125】
いくつかの態様において、スリット開口絞り22のスリット22Aのスリット長方向はX方向に対応しており、スリット光の投射位置の移動方向(スキャン方向)はY方向である。撮影ユニット2により取得される眼底画像においてX方向に対応する方向を同じくX方向と呼び、Y方向に対応する方向も同じくY方向と呼ぶことにする。眼底画像に描出されるスリット光像の長手方向はX方向である。
【0126】
条件決定部402は、まず、スリット光像の輝度プロファイルを生成する。この輝度プロファイルは、スリット光像の全体に対して定義されてもよいし、スリット光像の一部の画像領域に対して定義されてもよい。また、条件決定部402は、輝度プロファイルを生成するための準備として、眼底画像の少なくとも一部にセグメンテーションを適用して眼底画像中のスリット光像を特定することによって、輝度プロファイル生成処理を適用する範囲を決定してもよい。条件決定部402により生成される輝度プロファイルは、スキャン方向(実空間におけるY方向)に対応した第1の方向(眼底画像におけるY方向)における輝度の分布を表す。
【0127】
図12Aに示す眼底画像からに描出されているスリット光像Gの輝度プロファイルを生成する場合について説明する。
図12Aにおいて、X方向(+X方向)は右方向であり、Y方向(+Y方向)は下方向であるとする。
【0128】
条件決定部402は、まず、輝度プロファイルを生成するための解析領域Hを眼底画像に対して設定する(
図12Bを参照)。前述したように、セグメンテーションを利用して解析領域Hを設定してもよいし、既定の位置に解析領域Hを設定してもよい。
【0129】
例示的な解析領域Hには、複数のピクセルがX方向及びY方向に(つまり、2次元的に)配列されている。換言すると、解析領域Hには、Y方向に沿ったピクセル列が複数個含まれており、これら複数のピクセル列がX方向に配列されている。条件決定部402は、解析領域Hに2次元的に配列されている複数のピクセルの輝度値をX方向に加算することによって、Y方向に沿った輝度プロファイルを生成することができる。
【0130】
別のいくつかの態様では、Y方向に沿った線状の解析領域(1次元的な解析領域)を設定し、この1次元的な解析領域の輝度プロファイルを生成してもよい。この方法は簡便であるというメリットはあるものの、1次元的な解析領域にノイズが混入している場合にはその影響が輝度プロファイルにそのまま反映されるというデメリットがある。したがって、2次元的な解析領域(H)を用いる方法には、ノイズの影響を小さくすることができるという利点がある。また、2次元的な解析領域(H)を用いる方法によれば、スリット光像Gの輝度と他の画像領域の輝度との違い(一般的に、前者は大きく、後者は小さい)を強調することができるため、輝度プロファイルの品質(例えば、精度、確度、再現性)の向上を図ることが可能になる。
【0131】
スリット光像Gの輝度プロファイルの例を
図12Cに示す。いくつかの態様において、条件決定部402は、輝度プロファイルPの最大値(MAX)と最小値(MIN)とを求め、それらの中間(真ん中)の値THを求める:TH=(MAX-MIN)/2。条件決定部402は、輝度プロファイルPと直線「輝度=TH」との交点を求める。このような交点は2つ存在する。2つの交点のY座標をY1及びY2とする。条件決定部402は、特定された2つの交点のY座標Y1及びY2の中間(真ん中)の値Y(G)を求める:Y(G)=abs(Y1-Y2)/2。ここで、abs(α)は値αの絶対値を表す。本態様では、このようにして得られた値Y(G)が、スリット光像Gの位置(代表位置、重心位置)として採用される(
図12Dを参照)。
【0132】
スリット光像の位置を求める方法は上記方法に限定されない。例えば、上記方法では、輝度プロファイルの最大値(MAX)と最小値(MIN)との中間の値TH(TH=(MAX-MIN)/2)を求めているが、より一般に、演算式「TH=(MAX-MIN)/R」を用いることができる。ここで、Rは、予め設定された実数、又は、輝度プロファイル(又はそれと同等の情報)に基づき設定された実数であってよい。
【0133】
また、いくつかの態様では、輝度プロファイルの曲線下面積(AUC)を考慮することによってスリット光像の位置を求めてもよい。例えば、輝度プロファイル全体の曲線下面積をAとしたとき、曲線下面積Aを所定の比率に分割するY座標を求め、このY座標をスリット光像の位置(代表位置、重心位置)として採用することができる。具体例として、輝度プロファイル全体の曲線下面積Aを1:1に分割するY座標をスリット光像として求めることができる。
【0134】
別のいくつかの態様では、値THは固定値であってもよい。この固定値THを決定する方法は任意である。例えば、固定値THは、臨床的に収集された多数のデータに統計演算を適用することによって求められてもよいし、模型眼を利用した測定で得られたデータに基づき求められてもよいし、レイトレーシングなどのシミュレーションを利用して求められてもよいし、これらの任意の組み合わせによって求められてもよいし、別の手法を用いて求められてもよい。
【0135】
条件決定部402は、このようにして取得されたスリット光像の位置情報に基づいてフォーカス調整条件を決定する。
【0136】
まず、スリット光像の位置(Y座標)からフォーカス調整条件(スリット開口絞り22の位置の調整量、フォーカスレンズ47の位置の調整量)を決定するために実行される処理の原理について、
図13A及び
図13Bを更に参照しつつ説明する。
【0137】
図13Aは、照明光学系により被検眼Eの眼底Efに投射される光の経路を表している。符号100は被検眼Eの光軸E0上にある所定のターゲット100を示す。符号110はターゲット100と被検眼Eとの間にある光学系を示し、この光学系110の焦点距離をFとする。被検眼Eの眼軸長をLとし、屈折力をDとする。
【0138】
ターゲット100から照射された光(平行光)120が光学系110を経由して被検眼Eに投射される場合を考える。被検眼Eに入射する光120の高さ(光軸E0からの距離)をhとする。被検眼Eに入射した光120は、眼球光学系(角膜、水晶体など)により屈折され、眼底Efの位置130に投射される。
【0139】
ここで、
図2~
図4に示す光学系において、光120の高さhは、被検眼Eの瞳孔に対して光学的に略共役に配置される虹彩絞り21の2つの開口部21A及び21Bの間の距離の半分の値となる。
【0140】
被検眼Eが正視(0ディオプター)である場合、眼底Efにおける光120の投射位置130は眼底Efの中心(つまり、光軸E0上)に配置される。これに対し、被検眼Eが正視でない場合、眼底Efにおける光120の投射位置130は、光軸E0から距離Δだけ偏位した位置となる(偏位量Δ>0)。
【0141】
被検眼Eの屈折力Dに相当する眼底Efに対する共役点を符号140で示す。被検眼Eからこの共役点140までの距離をL´で示す。ここで、L´=1000/Dである。そうすると、
図13Aから分かるようにΔ/L=h/L´であるから、Δ=L×h/L´となる。前述したように光120の高さhは虹彩絞り21により決定される固定値であるから、眼底Efにおける光120の投射位置130の被検眼Eの光軸E0に対する偏位量Δは、被検眼Eの屈折力D(つまり、被検眼Eと共役点140との間の距離L´)、及び、被検眼Eの眼軸長Lに依存して変化する。なお、ターゲット100の形状がリング状や弧状である場合においても同様に、眼底Efにおける光120の投射位置130が被検眼Eの光軸E0に対して偏位する量はΔで表される。
【0142】
図13Bは、被検眼Eの光軸E0に対してΔだけ偏位した眼底Ef上の位置に投影されたターゲット像(ターゲット100の投影像)を光軸E0と同軸に配置された撮影光学系で撮影する場合における光の経路を表している。符号160は撮像面(撮像装置50の撮像面)を示し、符号150は被検眼Eと撮像面160との間にある光学系を示す。この光学系150の焦点距離は、
図13Aの光学系110のそれと同じくFとする。
【0143】
被検眼Eが正視である場合、眼底Efの投射位置130から出射した光170は、光学系150を経由し、撮像面160と光軸E0とが交差する位置において結像する。これに対し、被検眼Eが正視でない場合には、撮像面160における光170の結像位置は、光軸E0から距離Δ´だけ偏位した位置となる(偏位量Δ´>0)。このとき、光軸E0に沿った方向(Z方向)における結像位置も偏位する。
【0144】
図13Bから分かるようにΔ/L=Δ´/Fであるから、Δ´=F×Δ/Lとなる。上記のようにΔ=L×h/L´であるから、Δ´=F×h/L´となる。更に、L´=1000/Dであるから、Δ´=F×h×D/1000となる。
【0145】
したがって、特定の経線における被検眼Eの屈折力Dは次式により表される:D=(1000×Δ´)/(F×h)。ここで、Fは撮影光学系の焦点距離であり、hは虹彩絞り21の2つの開口部21A及び21Bの間の距離の半分の値であり、ともに既知である。よって、撮像面160における光170の偏位量Δ´を取得することで、特定の経線における被検眼Eの屈折力Dが得られる。
【0146】
第1の実施形態に係る眼科装置1と同種の既存の眼科装置は、被検眼の屈折力と、フォーカス調整用光学素子(前述したフォーカス指標投影光学系、及びフォーカスレンズ)の調整量(移動距離)との間の関係を表す情報を予め有しており、この情報を参照することによって被検眼の屈折力に応じたフォーカス調整を行っている。
【0147】
同様に、いくつかの態様の眼科装置1は、被検眼の屈折力と、フォーカス調整用光学素子(
図2~
図4に示す光学系においてはスリット開口絞り22及びフォーカスレンズ47)の調整量(移動距離)との間の関係を表す情報を予め有している。眼科装置1は、この情報を参照することによって、撮像装置50により生成された画像中のスリット光像の位置に基づいてフォーカス調整条件を決定することができる。このフォーカス調整条件は、スリット開口絞り22の移動方向及び移動量(又は、これらに対応する情報)と、フォーカスレンズ47の移動方向及び移動量(又は、これらに対応する情報)とを含んでいる。
【0148】
別のいくつかの態様の眼科装置1は、2つのスリット光像の相対位置(Y方向における間隔)と、フォーカス調整用光学素子の調整量との間の関係を表す情報を予め有している。この場合、眼科装置1は、この情報を参照することによって、撮像装置50により生成された画像中のスリット光像の位置に基づいてフォーカス調整条件を決定することができる。
【0149】
より一般に、第1の実施形態に係る眼科装置1は、スリット光が投射されている眼底Efを撮影して生成された情報(典型的には、画像)から取得可能な任意の情報に基づいてフォーカス調整条件を決定するように構成されていてよい。
【0150】
フォーカス調整制御部403は、例えば上記のいずれかの要領で条件決定部402により決定されたフォーカス調整条件に基づいてフォーカス調整ユニット3の制御(フォーカス調整制御)を実行する。本例のフォーカス調整制御は、フォーカス調整条件に含まれるスリット開口絞り22の移動方向及び移動量(又は、これらに対応する情報)に基づいて移動機構22Mを制御する処理と、フォーカス調整条件に含まれるフォーカスレンズ47の移動方向及び移動量(又は、これらに対応する情報)に基づいて移動機構47Mを制御する処理とを含んでいる。
【0151】
いくつかの態様では、スリット開口絞り22とフォーカスレンズ47とを単一の移動機構で駆動するように構成されていてよい。この場合、条件決定部402は、1つのフォーカス調整条件を決定するように構成されていてよく、且つ、フォーカス調整制御部403は、この1つのフォーカス調整条件に基づいてこの単一の移動機構を制御するように構成されていてよい。
【0152】
上記の例示的な態様では、眼科装置1は、スリット光投射制御において、被検眼Eの眼底Efに投射されるスリット光を撮影ユニット2の光軸(アライメントが適切な状態では、撮影ユニット2の光軸Oは被検眼Eの光軸E0に略一致される)に対して所定距離(高さh)だけ離隔した位置(虹彩絞り21の開口部21A又は21B)から発するように撮影ユニット2の制御を行う。
【0153】
更に、眼科装置1は、条件決定処理において、この所定距離(高さh)と、撮影ユニット2の撮像装置50により生成された画像におけるスリット光像の位置(偏位量Δ´)と、撮影ユニット2の焦点距離(F)とに基づいてフォーカス調整条件(スリット開口絞り22の移動方向及び移動量又はこれらに対応する情報、並びに、フォーカス調整条件に含まれるフォーカスレンズ47の移動方向及び移動量又はこれらに対応する情報)を決定する。
【0154】
そして、眼科装置1は、条件決定処理により得られたフォーカス調整条件に基づいてフォーカス調整ユニット3(移動機構22M及び移動機構47M)の制御を行う。
【0155】
第1の実施形態に係る眼科装置1が実行する動作について、いくつかの非限定的な例を説明する。眼科装置1が実行するオートフォーカスのための動作の1つの例を
図14に示す。
【0156】
オートフォーカス動作の前に、眼科装置1は、被検眼Eの眼底Efに対する撮影ユニット2のアライメントを実行する(S1)。アライメントの完了後、眼科装置1は、オートフォーカスを開始する(S2)。なお、ステップS1で達成された適切なアライメント状態を維持するためにトラッキングを行ってもよい。トラッキングとは、被検眼Eの動きに合わせて装置光学系を移動することによって、被検眼Eと撮影ユニット2との間の適切な位置関係(適切なアライメント状態)を維持する動作である。
【0157】
本動作例のオートフォーカスでは、まず、投射制御部401が、光スキャナー30のミラー面を所定のニュートラル位置(0度位置)に配置する(S3)。0度位置は、例えば、光スキャナー30のミラー面の可動範囲の中心位置である。本動作例のオートフォーカスは、光スキャナー30のミラー面の向きを固定した状態で、つまり、光スキャナー30の動作を停止した状態で、実行される。
【0158】
次に、投射制御部401は、虹彩絞り21の2つの開口部21A及び21Bのうちの一方(例えば、第1の開口部21A)のみから照明光を出力するように光源10及び/又は照明光学系20を制御する。第1の開口部21Aから出射された照明光の一部は、スリット開口絞り22のスリット22Aを通過してスリット光(第1のスリット光)に変換される。第1のスリット光は、リレーレンズ23によりリレーされ、停止状態の光スキャナー30により偏向され、リレーレンズ31によりリレーされ、ホールミラー45のミラー部により偏向され、対物レンズ46により屈折されて被検眼Eに入射し、眼底Efに投射される。撮影光学系40及び撮像装置50は、第1のスリット光が投射されている状態の眼底Efを撮影して画像を生成する(第1の撮影:S4)。
【0159】
ステップS4の第1の撮影で得られた画像を第1の画像と呼ぶ。第1の画像の2つの例を
図15に示す。
図15の左側の眼底画像200Aは、フォーカス状態が前ピンであるときに得られる画像の例であり、眼底画像200AのY方向の中心位置よりも下方の位置にスリット光像G1(第1のスリット光像G1)が描出されている。また、
図15の右側の眼底画像200Bは、フォーカス状態が後ピンであるときに得られる画像の例であり、眼底画像200BのY方向の中心位置よりも上方の位置にスリット光像G1(第1のスリット光像G1)が描出されている。
【0160】
次に、投射制御部401は、虹彩絞り21の2つの開口部21A及び21Bのうちの他方(例えば、第2の開口部21B)のみから照明光を出力するように光源10及び/又は照明光学系20を制御する。第2の開口部21Bから出射された照明光の一部は、スリット開口絞り22のスリット22Aを通過してスリット光(第2のスリット光)に変換される。第2のスリット光は、第1のスリット光と同じ経路を通じて眼底Efに投射される。撮影光学系40及び撮像装置50は、第2のスリット光が投射されている状態の眼底Efを撮影して画像を生成する(第2の撮影:S5)。
【0161】
ステップS5の第2の撮影で得られた画像を第2の画像と呼ぶ。第2の画像の2つの例を
図16に示す。
図16の左側の眼底画像210Aは、フォーカス状態が前ピンであるときに得られる画像の例であり、眼底画像210AのY方向の中心位置よりも上方の位置にスリット光像G2(第2のスリット光像G2)が描出されている。また、
図16の右側の眼底画像210Bは、フォーカス状態が後ピンであるときに得られる画像の例であり、眼底画像210BのY方向の中心位置よりも下方の位置にスリット光像G2(第2のスリット光像G2)が描出されている。
【0162】
本動作例では第1の撮影の後に第2の撮影を実行しているが、別の動作例では第2の撮影の後に第1の撮影を実行してもよい。また、オートフォーカスのために実行される撮影の回数は2回(第1の撮影及び第2の撮影)に限定されず、3回以上であってもよい。3回以上の撮影を行う場合においても本動作例と同様の処理によってオートフォーカスを実行できることは、当業者であれば理解することができるであろう。また、後述のように、オートフォーカスのために実行される撮影の回数は1回のみであってもよい。
【0163】
ステップS4で取得された第1の画像及びステップS5で取得された第2の画像は、条件決定部402に入力される。
【0164】
条件決定部402は、随意的な処理として、第1の画像と第2の画像との間のレジストレーション(位置合わせ)を実行してもよい。このレジストレーションは、例えば、第1の画像中の特徴点を検出する処理と、第2の画像中の特徴点を検出する処理と、第1の画像中の特徴点と第2の画像中の特徴点とを基準として第1の画像と第2の画像との間の位置ズレ量を求める処理と、この位置ズレ量を打ち消すように第1の画像と第2の画像との間の相対位置を調整する処理とを含む。レジストレーションの基準として用いられる特徴点は、予め決定された眼底Efのランドマークであり、例えば、視神経乳頭、黄斑、血管などの組織であってもよいし、病変部、治療痕などであってもよい。このようなレジストレーションが施された第1の画像及び第2の画像に対して条件決定処理を適用することができる。なお、第1の画像と第2の画像との間の位置ズレ量を求める処理までを実行し、この位置ズレ量を条件決定処理に反映させるようにしてもよい。
【0165】
以下、条件決定部402が実行する処理の具体例として、フォーカス状態が前ピンである場合について説明する。フォーカス状態が後ピンである場合においても同様の処理を実行することができる。
【0166】
図17を更に参照する。
図17の左側の眼底画像200Aは、フォーカス状態が前ピンである場合にステップS4の第1の撮影で取得された画像の例であり、左側の眼底画像210Aは、フォーカス状態が前ピンである場合にステップS5の第2の撮影で取得された画像の例である。
【0167】
条件決定部402は、ステップS4の第1の撮影で取得された眼底画像200Aを解析して第1のスリット光像G1を検出し、検出された第1のスリット光像G1の位置(Y(G1))を求める(S6)。同様に、条件決定部402は、ステップS5の第2の撮影で取得された眼底画像210Aを解析して第2のスリット光像G2を検出し、検出された第2のスリット光像G2の位置(Y(G2))を求める(S7)。
【0168】
次に、条件決定部402は、ステップS6で求められた第1のスリット光像G1の位置と、ステップS7で求められた第2のスリット光像G2の位置との間の相対位置に基づいて、被検眼Eの屈折力を推定する(S8)。
【0169】
次に、条件決定部402は、ステップS8で求められた被検眼Eの屈折力の推定値に基づいて、スリット開口絞り22の移動条件(移動方向及び移動量)と、フォーカスレンズ47の移動条件(移動方向及び移動量)とを決定する(S9)。
【0170】
ステップS9で決定される移動条件に含まれる移動方向は、第1のスリット光像G1と第2のスリット光像G2との位置関係に基づき決定される。本例では、第1のスリット光像G1が第2のスリット光像G2よりも下方に位置しているから、眼底Efよりも前側(前眼部Ea側)に焦点が位置している(つまり、前ピンである)と判定される。一方、第1のスリット光像G1が第2のスリット光像G2よりも上方に位置している場合には、眼底Efよりも後側に焦点が位置している(つまり、後ピンである)と判定される。なお、前述したように、2つのスリット光像の位置関係と焦点のズレ方向との間の関係は、撮影ユニット2の光学系の構成により決定される既知の情報である。
【0171】
また、ステップS9で決定される移動条件に含まれる移動量は、眼屈折力(視度)とフォーカス調整用光学素子(本動作例ではスリット開口絞り22及びフォーカスレンズ47)の移動量との間の関係が記録された情報に基づき決定される。この情報は、予め作成され、例えばメモリ5に格納されている。
【0172】
条件決定部402により決定されたフォーカス調整条件(本動作例では、ステップS9で決定されたスリット開口絞り22の移動条件及びフォーカスレンズ47の移動条件)は、フォーカス調整制御部403に送られる。
【0173】
フォーカス調整制御部403は、ステップS9で決定されたフォーカス調整条件に基づいてフォーカス調整ユニット3の制御を行う(S10)。本動作例では、フォーカス調整制御部403は、ステップS9で決定されたスリット開口絞り22の移動条件に基づき移動機構22Mを制御することによって、この移動条件に示された移動方向にこの移動条件に示された移動量だけスリット開口絞り22を移動するとともに、フォーカスレンズ47の移動条件に基づき移動機構47Mを制御することによって、この移動条件に示された移動方向にこの移動条件に示された移動量だけフォーカスレンズ47を移動する。
【0174】
以上に説明した工程により、被検眼Eの屈折力に対応した撮影ユニット2(照明光学系20及び撮影光学系40)の自動的なフォーカス調整が達成される。すなわち、照明光学系20の焦点及び撮影光学系40の焦点の双方が、被検眼Eの眼底Ef(又は、その近傍)に自動で配置される。このオートフォーカスが完了したら(S11)、眼科装置1は、眼底Efの撮影(スリットスキャン)を行うことができる。
【0175】
第1の実施形態に係る眼科装置1が実行するオートフォーカスのための動作の別の例を
図18に示す。
【0176】
図14の動作例では2つのスリット光像の相対位置からフォーカス調整条件を決定しているが、2つのスリット光像の一方を検出できない場合が想定される。例えば、被検眼Eが小瞳孔眼である場合、第1のスリット光及び第2のスリット光の一方が虹彩にケラレてスリット光像が形成されないことが考えられる。また、被検眼Eが白内障眼である場合、第1のスリット光及び第2のスリット光の一方が水晶体混濁部により遮断されてスリット光像が形成されないことや、水晶体混濁部により減弱(減衰)されてスリット光像が不明瞭になることがある。本動作例は、このような問題が生じた場合に適用可能なオートフォーカスを提供するものである。
【0177】
ステップS21~S27は、それぞれ、
図14のステップS1~S7と同様の要領で実行される。なお、本動作例のステップS26及びS27では、スリット光像の位置が検出される場合だけでなく、スリット光像が検出されない場合も想定されている。
【0178】
ステップS26において第1のスリット光像の位置が検出されなかった場合、又は、ステップS27において第2のスリット光像の位置が検出されなかった場合(S28:No)、処理はステップS29に移行する。つまり、ステップS26において第1のスリット像の位置の検出に失敗したが、ステップS27において第2のスリット光像の位置の検出に成功した場合、処理はステップS29に移行する。また、ステップS26において第1のスリット像の位置の検出に成功したが、ステップS27において第2のスリット光像の位置の検出に失敗した場合、処理はステップS29に移行する。
【0179】
これに対し、ステップS26において第1のスリット光像の位置の検出に成功し、且つ、ステップS27においても第2のスリット光像の位置の検出に成功した場合(S28:Yes)、処理はステップS30に移行する。
【0180】
なお、図示は省略されているが、ステップS26において第1のスリット光像の位置の検出に失敗し、且つ、ステップS27においても第2のスリット光像の位置の検出に失敗した場合、例えば、眼科装置1はユーザーインターフェイス6によってエラー情報又は警告情報を出力することができる。この場合、眼科装置1は、フォーカス調整(及び、その前工程であるアライメント)を最初からやり直すことができる(つまり、処理をステップS21又はS23に戻すことができる)。或いは、眼科装置1は、オートフォーカスモードからマニュアルフォーカスモードに切り替えることができる。マニュアルフォーカスモードでは、ユーザーは、ユーザーインターフェイス6を用いて、眼底Efの観察画像を参照しながら手動でフォーカス調整を実行する。
【0181】
第1のスリット光像の位置検出及び第2のスリット光像の位置検出の一方のみ成功した場合(S28:No)、条件決定部402は、検出された一方のスリット光像の位置と、所定の基準位置との間の相対位置に基づいて、被検眼Eの屈折力を推定する(S29)。
【0182】
ステップS29で参照される基準位置を決定する方法は任意である。例えば、この基準位置は、模型眼を利用した測定で得られたデータに基づき求められてもよいし、レイトレーシングなどのシミュレーションを利用して求められてもよいし、健常眼(小瞳孔眼や白内障眼のように本実施形態のオートフォーカスを阻害する可能性のある事情を有しない眼)の測定で得られたデータに基づき求められてもよいし、これらの任意の組み合わせによって求められてもよいし、別の手法を用いて求められてもよい。模型眼を利用する方法では、例えば、ステップS23~S27を実施することによって双方のスリット光像が一致する位置を求め、この位置を基準位置とすることができる。別の方法についても同様の要領で基準位置を決定することが可能である。
【0183】
例えば、
図15の左側の眼底画像200Aのスリット光像G1が検出された場合、条件決定部402は、
図19に示すように、このスリット光像G1の位置(Y(G1))を求め、求められたスリット光像G1の位置(Y(G1))の基準位置(Y0)に対する相対位置(ΔY)に基づいて被検眼Eの屈折力を推定する。
【0184】
第1のスリット光像の位置検出及び第2のスリット光像の位置検出の双方が成功した場合(S28:No)、条件決定部402は、
図14のステップS8と同様の要領で、被検眼Eの屈折力を推定する(S30)。
【0185】
次に、条件決定部402は、ステップS29又はS30で求められた被検眼Eの屈折力の推定値に基づいて、スリット開口絞り22の移動条件(移動方向及び移動量)と、フォーカスレンズ47の移動条件(移動方向及び移動量)とを決定する(S31)。ここで、移動方向はスリット光像と基準位置との位置関係に基づき決定される。移動量の決定方法は
図14のステップS9と同様であってよい。
【0186】
次に、フォーカス調整制御部403は、ステップS31で決定されたフォーカス調整条件に基づいてフォーカス調整ユニット3の制御を行う(S32)。この処理は、
図14のステップS10と同様の要領で実行される。本動作例のオートフォーカスは以上で完了となる(S33)。
【0187】
図14の動作例及び
図18の動作例では、オートフォーカスのために2回の撮影(第1の撮影及び第2の撮影)を実行しているが、
図18の動作例の変形では、1回の撮影でオートフォーカスを行うことが可能である。本変形において、眼科装置1は、例えば、虹彩絞り21の2つの開口部21A及び21Bの一方のみから照明光を出力して撮影を行い、この撮影で取得された眼底画像に描出されているスリット光像の位置を求め、このスリット光像の位置と所定の基準位置との相対位置に基づき被検眼の屈折力の推定値を求め、この推定値からフォーカス調整条件を決定し、このフォーカス調整条件に基づきフォーカス調整ユニット3を制御する。本変形で用いられる基準位置は、
図18の動作例における基準位置と同様であってよい。
【0188】
第1の実施形態に係る眼科装置1が実行するオートフォーカスのための動作の更に別の例を
図20に示す。
【0189】
図14の動作例及び
図18の動作例では、被検眼Eの眼底Efの所定位置(眼底中心、画像フレームの中心)に焦点が合うようにフォーカス調整を実行している。これに対し、本動作例では、眼底Efの任意の位置に焦点が合うようにフォーカス調整を行うことが可能である。それにより、眼底Efの注目部位が明瞭に描出された画像を取得することが可能になる。注目部位は、例えば、視神経乳頭、黄斑、血管などの組織であってもよいし、病変部、治療痕などであってもよい。
【0190】
本動作例において、眼科装置1は、まず、被検眼Eの観察画像(ライブ動画像、ライブ映像、時系列画像)の生成及び表示を開始する(S41)。観察画像の生成は、任意の方法で実行されてよく、例えば、アライメントのための手段(例えば、ステレオアライメントのための2つの前眼部カメラ、正面画像を生成するためのカメラ)により、又は反復的なスリットスキャンにより実行される。観察画像の表示は、ユーザーインターフェイス6(ディスプレイ)を用いて実行される。眼科装置1は、ステップS41で取得される観察画像に基づいてアライメントを実行する(S42)。
【0191】
いくつかの態様において、ユーザーは、ステップS42のアライメントの完了後に、表示されている観察画像における所望の位置(注目部位の位置、注目位置)をユーザーインターフェイス6(入力部)を用いて指定する(S43)。例えば、ユーザーは、タッチスクリーンに表示されている観察画像における所望の位置にタッチする。或いは、ユーザーは、ディスプレイに表示されている観察画像における所望の位置をポインティングデバイスを用いて指定する。
【0192】
別のいくつかの態様では、プロセッサ4が観察画像を解析して注目位置を決定してもよい。更に別のいくつかの態様では、ユーザー又はプロセッサ4が過去に取得された眼底Efの画像に対して注目位置を指定し、プロセッサ4が当該画像と観察画像との間のレジストレーションを実行して当該注目位置に対応する観察画像中の位置を特定してもよい。この場合、観察画像における当該特定位置がステップS43の注目位置として用いられる。更に別の態様では、アライメントの前に生成された観察画像に対してユーザー又はプロセッサ4が注目位置を指定し、指定された注目位置を基準としたアライメントをプロセッサ4が実行してもよい。
【0193】
眼科装置1は、ステップS43で指定された眼底Efの注目位置に対するオートフォーカスを開始する(S44)。
【0194】
本動作例のオートフォーカスでは、まず、投射制御部401が、ステップS43で指定された眼底Efの注目位置に対応する向きにミラー面を向けるように光スキャナー30を制御する(S45)。光スキャナー30のミラー面の向きは当該向きに固定される。スリットスキャンのための動作(
図5など)から分かるように、撮影ユニット2により取得される画像における位置(Y座標)と光スキャナー30のミラー面の向きとの間には既知の関係がある。ステップS45の処理は、この関係を参照して実行される。
【0195】
ステップS43で指定された眼底Efの注目位置に対応する向きに光スキャナー30のミラー面の向きが固定された状態で、投射制御部401は、第1の撮影及び第2の撮影を実行するように撮影ユニット2を制御する(S46、S47)。
【0196】
本動作例のステップS48~S53の処理は、それぞれ、
図14の動作例のステップS6~11の処理と同様の要領で実行される。なお、いくつかの態様では、ステップS48~S53の処理の代わりに、
図18の動作例のステップS26~S33の処理を実行してもよい。
【0197】
第1の実施形態に係る眼科装置1のいくつかの特徴及びいくつかの効果について説明する。
【0198】
眼科装置1は、撮影ユニット2と、フォーカス調整ユニット3と、プロセッサ4とを備えている。撮影ユニット2は、被検眼Eの眼底Efに対するスリット光の投射位置を移動しつつローリングシャッター型の撮像装置50(又は、グローバルシャッター型のイメージセンサーとスリット絞りとの組み合わせた撮像ユニットのような、ローリングシャッター型の撮像装置と同様の機能を有する撮像装置)で撮影を行うように構成されている。フォーカス調整ユニット3は、撮影ユニット2のフォーカス調整を行うための構成を備えている。プロセッサ4は、スリット光投射制御と、条件決定処理と、フォーカス調整制御とを実行するように構成されている。スリット光投射制御において、プロセッサ4は、眼底Efにスリット光を投射するように撮影ユニット2の制御を行う。条件決定処理において、プロセッサ4は、スリット光投射制御により眼底Efに投射されたスリット光の戻り光を検出した撮像装置50からの出力に基づいてフォーカス調整条件を決定する。フォーカス調整制御において、プロセッサ4は、条件決定処理により決定されたフォーカス調整条件に基づいてフォーカス調整ユニット3の制御を行う。
【0199】
このように構成された第1の実施形態に係る眼科装置1によれば、スリットスキャン(スリット光の投射位置の移動とローリングシャッター型の撮像装置50での繰り返し撮影とを組み合わせたモダリティ)を実行する撮影ユニット2を用いて眼底Efにスリット光を投射し、且つ、このスリット光が投射されている眼底Efを撮影して得られた情報を利用してフォーカス条件を設定してオートフォーカスを行うことが可能である。したがって、眼科装置1によれば、既存の同種の眼科装置が有するようなフォーカス専用ハードウェア要素を設けることなくフォーカス調整を行うことができる。少なくとも、眼科装置1によれば、既存の同種の眼科装置が有するような複雑且つ大規模なフォーカス専用ハードウェア要素を設けることなくフォーカス調整を行うことができる。これにより、眼科装置の小型化、眼科装置の構成の簡略化、眼科装置の製造コストの低減などを図ることが可能になる。
【0200】
第1の実施形態に係る眼科装置1を実施するための態様において採用することが可能ないくつかの特徴について以下に説明する。なお、これらの特徴はいずれも非限定的な例である。これらの特徴のうちの2つ以上を少なくとも部分的に組み合わせることができる。また、これらの特徴のうちの1つ以上の特徴と、別の事項(本開示に記載されている事項、公知の事項など)とを、少なくとも部分的に組み合わせることができる。
【0201】
いくつかの態様において、プロセッサ4は、条件決定処理を実行する条件決定部402を含んでいてよい。条件決定部402は、スリット光投射制御により眼底Efに投射されたスリット光の戻り光を検出した撮像装置50により生成された画像中のスリット光像の位置に基づいてフォーカス調整条件を決定するように構成されていてよい。
【0202】
いくつかの態様において、条件決定部402は、更に、スリット光投射制御により眼底Efに投射されたスリット光の戻り光を検出した撮像装置50により生成された画像中のスリット光像の少なくとも一部の画像領域の輝度プロファイルであって、スリットスキャンにおけるスリット光の投射位置の移動方向に対応する第1の方向(スキャン方向、Y方向、スリット幅方向)に沿った輝度プロファイルを生成する処理と、この輝度プロファイルに基づいてこのスリット光像の位置を決定する処理とを実行するように構成されていてよい。
【0203】
いくつかの態様において、条件決定部402は、更に、スリット光投射制御により眼底Efに投射されたスリット光の戻り光を検出した撮像装置50により生成された画像中のスリット光像の少なくとも一部の画像領域を構成するピクセル群の輝度を上記第1の方向に直交する第2の方向(X方向、スリット長方向)に加算することによって輝度プロファイルを生成するように構成されていてよい。
【0204】
いくつかの態様において、撮影ユニット2は、被検眼Eの眼底Efにスリット光を投射する照明光学系20(第1の光学系)と、眼底Efからのスリット光の戻り光を撮像装置50に導く撮影光学系40(第2の光学系)とを含んでいてよい。更に、フォーカス調整ユニット3は、照明光学系20の焦点位置を調整するための第1のフォーカス調整ユニットと、撮影光学系40の焦点位置を調整するための第2のフォーカス調整ユニットとを含んでいてよい。この場合、条件決定部402は、フォーカス調整条件として、第1のフォーカス調整ユニットを制御するための条件(第1のフォーカス調整条件)と、第2のフォーカス調整ユニットを制御するための条件(第2のフォーカス調整条件)とを決定するように構成されていてよい。
【0205】
いくつかの態様において、照明光学系20は、光源10と、光源10により発せられた光からスリット光を生成するためのスリット開口絞り22(スリット絞り)とを含んでいてよく、スリット開口絞り22により生成されたスリット光を被検眼Eの眼底Efに投射するように構成されていてよい。更に、撮影光学系40は、フォーカスレンズ47(フォーカスレンズ)を含んでいてよい。加えて、第1のフォーカス調整ユニットは、照明光学系20の光軸に沿う方向にスリット開口絞り22を移動するための移動機構22M(第1の移動機構)を含んでいてよく、第2のフォーカス調整ユニットは、撮影光学系40の光軸に沿う方向にフォーカスレンズ47を移動するための移動機構47M(第2の移動機構)を含んでいてよい。この場合、条件決定部402は、移動機構22Mを制御するための条件(第1の移動制御条件)を第1のフォーカス調整条件として決定し、移動機構47Mを制御するための条件(第2の移動制御条件)を第2のフォーカス調整条件として決定するように構成されていてよい。
【0206】
いくつかの態様において、移動機構22Mを制御するための第1の移動制御条件は、スリット開口絞り22の移動方向及び移動距離を示す情報を含んでいてよく、且つ、移動機構47Mを制御するための第2の移動制御条件は、フォーカスレンズ47の移動方向及び移動距離を示す情報を含んでいてよい。移動方向を示す情報は、移動方向と等価な任意の情報であってもよく、例えば、移動方向に対応する制御信号の内容(例えば、制御パルスの正/負)であってもよい。同様に、移動距離を示す情報は、移動距離と等価な任意の情報であってもよく、例えば、移動距離に対応する制御信号の内容(例えば、制御パルスのパルス数)であってもよい。
【0207】
いくつかの態様において、プロセッサ4(投射制御部401)は、スリット光投射制御において、被検眼Eの眼底Efに投射されるスリット光を撮影ユニット2の光軸に対して所定距離(高さh)だけ離隔した位置から発するように撮影ユニット2を制御するように構成されていてよい。この場合、条件決定部402は、スリット光投射制御により眼底Efに投射されたスリット光の戻り光を検出した撮像装置50により生成された画像中のスリット光像の位置(距離Δ´)と、撮影ユニット2の焦点距離(F)と、高さhとに基づいてフォーカス調整条件を決定してもよい。
【0208】
いくつかの態様において、撮影ユニット2は、被検眼Eに導かれるスリット光を偏向することによって眼底Efに対するスリット光の投射位置を移動する光スキャナー30(光スキャナー)を含んでいてよい。更に、プロセッサ4は、スリット光投射制御を実行する投射制御部401(投射制御部)を含んでいてよい。投射制御部401は、光スキャナー30によるスリット光の偏向方向が固定された状態で眼底Efにスリット光を投射するように撮影ユニット2を制御するように構成されていてよい。加えて、条件決定部402は、スリット光投射制御を実行する投射制御部401を含んでいてよい。更に、投射制御部401は、光スキャナー30による偏向方向が固定された状態で眼底Efに投射されたスリット光に対応するスリット光像の位置に基づいてフォーカス調整条件を決定するように構成されていてよい。
【0209】
いくつかの態様において、プロセッサ4は、スリット光投射制御を実行する投射制御部401(投射制御部)を含んでいてよい。投射制御部401は、被検眼Eの眼底Efにおける投射位置が異なる第1のスリット光及び第2のスリット光を出力するように撮影ユニットを制御するように構成されていてよい。第1のスリット光の投射及び第2のスリット光の投射は、例えば、順次に又は同時に行われてよい。更に、条件決定部402は、第1のスリット光に対応する第1のスリット光像と第2のスリット光に対応する第2のスリット光像との相対位置に基づいてフォーカス調整条件を決定するように構成されていてよい。
【0210】
<第2の実施形態>
第2の実施形態に係る眼科装置について説明する。第1の実施形態に係る眼科装置1と同様に、第2の実施形態に係る眼科装置は、スリットスキャン方式のモダリティを用いて生体眼の眼底を画像化する眼科イメージング機能を有し、例えば、撮影ユニット2、フォーカス調整ユニット3、プロセッサ4、メモリ5、及びユーザーインターフェイス6を含んでいる。第1の実施形態に係る任意の事項を第2の実施形態に係る眼科装置に適用することができる。以下、第1の実施形態に係る事項を適宜に参照しつつ第2の実施形態について説明を行う。
【0211】
第2の実施形態に係る眼科装置は、
図6に示すプロセッサ4の代わりに、
図21に示すプロセッサ4Aを備えている。プロセッサ4Aは非限定的な例である。プロセッサ4Aは、第1の処理モジュール400Aと、第2の処理モジュール400Bとを含んでいる。
【0212】
第1の処理モジュール400Aは、フォーカス調整(特に、オートフォーカス)を行うための処理を実行するものであり、投射制御部401、条件決定部402、及びフォーカス調整制御部403を含んでいる。投射制御部401、条件決定部402、及びフォーカス調整制御部403は、それぞれ、第1の実施形態における対応要素と同様の構成を備えており、それらに関する事項(構成、機能、動作など)については第1の実施形態を参照されたい。
【0213】
第2の処理モジュール400Bは、スリットスキャンを用いて被検眼Eの眼底Efの観察画像(ライブ動画像、ライブ映像、時系列画像)を取得しているときのフォーカス状態をモニターするための処理を実行する。第2の処理モジュール400Bは、撮影制御部404と、フォーカス情報生成部405とを含んでいる。
【0214】
撮影制御部404は、撮影ユニット2に眼底Efの観察画像を取得させるための制御(第1の撮影制御)と、撮影ユニット2のフォーカス状態を検知するための撮影ユニット2の制御(第2の撮影制御)とを、並行して実行する。第1の撮影制御と第2の撮影制御との並行的な実行の態様は任意であってよく、例えば、同時的な実行、同期的な実行、交互的な(交替的な)実行、切替的な実行などであってよい。
【0215】
第1の撮影制御において、撮影制御部404は、被検眼Eの眼底Efに対するスリット光の投射位置の一連の移動を繰り返しつつ撮像装置50による一連の撮影を繰り返し行うことによって時系列画像を取得するように撮影ユニット2を制御する。第1の撮影制御は、例えば、
図5に示すスリットスキャンを繰り返し行うものである。これにより、このスリットスキャンの繰り返しに対応する複数の画像(時系列画像)が取得され、ユーザーインターフェイス6のディスプレイにこの時系列画像をリアルタイム表示することにより眼底Efの観察画像が提供される。
【0216】
第1の撮影制御の非限定的な例について
図22を参照しつつ説明する。なお、
図22に示す態様には、後述する第2の撮影制御は組み合わされておらず、第1の撮影制御のみが表されている。なお、
図22に示す態様は、スリットスキャンを用いた眼底観察の既存技術の1つの例である。第2の実施形態に係る処理については後述する。
【0217】
図22に示す第1の撮影制御は、光スキャナー30の動作と、スリット光(第1のスリット光及び第2のスリット光)の出力との同期的且つ反復的な制御を含んでいる。なお、図示は省略するが、撮像装置50(イメージセンサー51)からローリングシャッター方式で信号を読み出す制御の反復、撮像装置50により逐次に取得される画像(時系列画像)をリアルタイム表示する制御の反復なども、
図22に示す制御に同期して実行される。
【0218】
本例の第1の撮影制御では、撮影制御部404は、第1の期間T1において、光スキャナー30のミラー面の向きを所定の角度範囲にわたって移動させる。
図22において、光スキャナー30の動作を示す鋸刃状パルス(三角波パルス)の最上端はスキャン開始角度であり、最下端はスキャン終了角度である。ここで、スキャン開始角度は、1回のスリットスキャンにおけるミラー面の向きの初期角度(初期方向)であり、スキャン終了角度は、1回のスリットスキャンにおけるミラー面の向きの終末角度(終末方向)である。すなわち、スキャン開始角度及びスキャン終了角度により定義される角度範囲が、1回のスリットスキャンにおいてミラー面の向きが変化する角度範囲である。
【0219】
撮影制御部404は、第1の期間T1において、ミラー面の向きをスキャン開始角度からスキャン終了角度まで変化させるための光スキャナー30の制御と同期して、光源10に光(赤外光、近赤外光)を出力させるための制御を実行する。より具体的には、撮影制御部404は、光スキャナー30のミラー面がスキャン開始角度から変化し始めるタイミングで光源10からの光出力を開始し、且つ、光スキャナー30のミラー面がスキャン終了角度に到達したタイミングで光源10からの光出力を停止するように、光スキャナー30と光源10との同期制御を実行する。これにより、第1のスリット光及び第2のスリット光を用いた1回のスリットスキャンが実行される(
図5を参照)。第1の期間T1に実行された1回のスリットスキャンにより、第1の期間T1に対応する1枚の画像K1が生成される。
【0220】
第1の期間T1におけるスリットスキャンが完了したら、撮影制御部404は、第2の期間T2におけるスリットスキャンの準備を実行する。具体的には、撮影制御部404は、第1の期間T1の終了時にスキャン終了角度を向いているミラー面をスキャン開始角度に戻すように光スキャナー30を制御する。ミラー面がスキャン開始角度に移動されたら、撮影制御部404は、第2の期間T2におけるスリットスキャンを実行するように撮影ユニット2を制御する。この制御は、第1の期間T1におけるスリットスキャンと同様の要領で実行される。これにより、第2の期間T2に対応する1枚の画像K2が生成される。
【0221】
このような制御を各期間Tn(nは、N以下の正の整数)において実行することにより、N個の期間T1~TNに対応するN個の画像K1~KNが得られる。この画像群K1~KNは時系列画像である。前述したように、この時系列画像は、ユーザーインターフェイス6のディスプレイにリアルタイム表示される。すなわち、プロセッサ4Aは、各期間Tnの画像Knが生成されたタイミングで、この画像Knを、その直前の画像K(n-1)に替えてディスプレイに表示する。これにより、逐次に取得される時系列画像(画像K1~KN)がライブ画像(観察画像)としてユーザーに提供される。以上で、第1の撮影制御の説明を終える。
【0222】
次に、第2の撮影制御について説明する。第2の撮影制御において、撮影制御部404は、被検眼Eの眼底Efに対する撮影ユニット2のフォーカス状態を検知するための撮影を実行するように撮影ユニット2を制御する。第2の撮影制御は、第1の撮影制御とは異なる制御を実行するものであり、既存の同種の眼科装置には実装されていない新規な制御である。もちろん、第1の撮影制御と第2の撮影制御とを組み合わせて実行することも新規である。
【0223】
図23A、
図23B、及び
図23Cは、第1の撮影制御と第2の撮影制御との組み合わせの非限定的な例を示す。本例では、1回の第1の撮影制御と1回の第2の撮影制御とが交互に実行される。一般に、1回以上の第1の撮影制御と1回以上の第2の撮影制御とが交互に実行されてよい。
図23Aは撮影ユニット2のピントが眼底Efに合っている場合を示し、
図23Bは撮影ユニット2のフォーカス状態が後ピンである場合を示し、
図23Cは撮影ユニット2のフォーカス状態が前ピンである場合を示す。
【0224】
撮影制御部404は、期間U1において、
図22の第1の期間T1に実行された1回のスリットスキャン(つまり、1回の第1の撮影制御)を実行する。これにより、期間U1に対応する画像K1が取得される。
【0225】
期間U1のスリットスキャンが完了したら、撮影制御部404は、光スキャナー30のミラー面の向きをスキャン終了角度からニュートラル位置(0度位置)に移動し、第2の撮影制御を開始する。この第2の撮影制御では、撮影制御部404は、期間V11において第1のスリット光を用いた撮影を撮影ユニット2に実行させ、且つ、期間V12において第2のスリット光を用いた撮影を撮影ユニット2に実行させる。第1のスリット光を用いた撮影及び第2のスリット光を用いた撮影は、第1の実施形態と同じ手法で実行されてよい。
【0226】
図23Aに示す画像M11(1)、
図23Bに示す画像M11(2)、及び、
図23Cに示す画像M11(3)は、期間V11に実行された第1のスリット光を用いた撮影で取得された画像の3つの例を表しており、それぞれ、ピントが合っている状態に得られた画像、後ピンの状態で得られた画像、及び前ピンの状態で得られた画像である。これらの画像に描出されているスリット光像を破線で示す。
【0227】
同様に、
図23Aに示す画像M12(1)、
図23Bに示す画像M12(2)、及び、
図23Cに示す画像M12(3)は、期間V12に実行された第2のスリット光を用いた撮影で取得された画像の3つの例を表しており、それぞれ、ピントが合っている状態に得られた画像、後ピンの状態で得られた画像、及び前ピンの状態で得られた画像である。これらの画像に描出されているスリット光像を破線で示す。
【0228】
図23Aの画像M11(1)にはY方向の略中心位置にスリット光像が描出されており、画像M12(1)にもY方向の略中心位置にスリット光像が描出されている。第1の実施形態で説明したように、
図23Aの2つの画像M11(1)及びM12(1)の2つのスリット光像の位置関係は、撮影ユニット2のピントが眼底Efに略合致していることを示している。
【0229】
これに対し、
図23Bの2つの画像M11(2)及びM12(2)の2つのスリット光像の位置関係は、撮影ユニット2のピントが眼底Efに合致していないこと、より詳しくは、撮影ユニット2のフォーカス状態が眼底Efに対して後ピンであることを示している。また、
図23Cの2つの画像M11(3)及びM12(3)の2つのスリット光像の位置関係は、撮影ユニット2のピントが眼底Efに合致していないこと、より詳しくは、撮影ユニット2のフォーカス状態が眼底Efに対して前ピンであることを示している。
【0230】
フォーカス情報生成部405は、2つの期間V11及びV12に取得された2つの画像に基づいて、これらの期間V11及びV12における撮影ユニット2のフォーカス状態を示す情報(フォーカス情報)を生成することができる。フォーカス情報は、例えば、撮影ユニット2のフォーカス(ピント)が眼底Efに合っているか否かを示す情報、撮影ユニット2のピントのズレ方向を示す情報(つまり、撮影ユニット2のフォーカス状態が眼底Efに対して後ピン又は前ピンであることを示す情報)、撮影ユニット2のピントのズレ量を示す情報などを含んでいてよい。
【0231】
プロセッサ4Aは、生成されたフォーカス情報に基づく表示情報をユーザーインターフェイス6のディスプレイに表示してもよい。
【0232】
期間V12のスリットスキャンが完了したら、撮影制御部404は、光スキャナー30のミラー面の向きをニュートラル位置(0度位置)からスキャン開始角度に移動し、第2回目の第1の撮影制御(スリットスキャン)を開始する。これにより、期間U2に対応する1枚の画像K2が生成される。
【0233】
期間U2のスリットスキャンが完了したら、撮影制御部404は、光スキャナー30のミラー面の向きをスキャン終了角度からニュートラル位置(0度位置)に移動し、第2回目の第2の撮影制御を開始する。この第2の撮影制御により、2つの期間V21及びV22に対応する2つの画像が得られる。例えば、
図23Aの2つの画像M21(1)及びM22(1)、
図23Bの2つの画像M21(2)及びM22(2)、又は、
図23Cの2つの画像M21(3)及びM22(3)が得られる。
【0234】
フォーカス情報生成部405は、2つの期間V21及びV22に取得された2つの画像に基づいて、これらの期間V21及びV22における撮影ユニット2のフォーカス状態を示す情報(フォーカス情報)を生成することができる。プロセッサ4Aは、生成されたフォーカス情報に基づく表示情報をユーザーインターフェイス6のディスプレイに表示してもよい。
【0235】
以上に説明した要領で、第2の実施形態の眼科装置は、第1の撮影制御と第2の撮影制御とを交互に実行する。これにより、スリットスキャンを用いた眼底Efの観察画像(時系列画像K1、K2、K3、・・・)の生成と並行して、眼底Efに対する撮影ユニット2のフォーカス状態をモニターすることが可能になる。
【0236】
第2の実施形態に係る眼科装置のいくつかの特徴及びいくつかの効果について説明する。
【0237】
第2の実施形態の眼科装置の撮影ユニット2は、被検眼Eの眼底Efに対するスリット光の投射位置の一連の移動を繰り返しつつ撮像装置50による一連の撮影を繰り返し行うことによって時系列画像を取得することができる。つまり、撮影ユニット2は、スリットスキャンを繰り返し実行して時系列画像(観察画像)を生成することができる。第2の実施形態のプロセッサ4Aは、第1の実施形態に係る眼科装置1により実行されるスリット光投射制御、条件決定処理、及びフォーカス調整制御を実行するための構成に加えて、第1の撮影制御、第2の撮影制御、及びフォーカス情報生成処理を並行して実行するための構成を備えている。第1の撮影制御では、プロセッサ4Aは、撮影ユニット2に眼底Efの時系列画像を取得させるための制御を実行する。第2の撮影制御では、プロセッサ4Aは、眼底Efに対する撮影ユニット2のフォーカス状態を検知するための撮影を撮影ユニット2に実行させる。フォーカス情報生成処理では、プロセッサ4Aは、第2の撮影制御により実行された撮影で取得された画像に基づいて、撮影ユニット2のフォーカス状態を示すフォーカス情報を生成する。
【0238】
このように構成された第2の実施形態に係る眼科装置によれば、第1の実施形態と同様に、眼科装置の小型化、眼科装置の構成の簡略化、眼科装置の製造コストの低減などを図ることが可能になることに加えて、スリットスキャンを用いた観察画像生成と並行して撮影ユニットのフォーカス状態をモニターすることが可能になる。
【0239】
いくつかの態様において、プロセッサ4Aは、1回以上の第1の撮影制御と、1回以上の第2の撮影制御とを交互に実行するように構成されていてよい。
【0240】
いくつかの態様において、プロセッサ4Aは、第1の撮影制御、第2の撮影制御、及びフォーカス情報生成処理と並行して表示制御を更に実行するように構成されていてよい。表示制御では、プロセッサ4Aは、フォーカス情報に基づく表示情報をユーザーインターフェイス6のディスプレイ(表示装置)に表示させる。これにより、眼科装置の小型化、眼科装置の構成の簡略化、眼科装置の製造コストの低減などを図ることが可能になることに加えて、スリットスキャンを用いた観察画像生成と並行して撮影ユニットのフォーカス状態をモニターしてリアルタイムでユーザーに提供することが可能になる。なお、第5の実施形態において表示制御の非限定的な例を説明する。
【0241】
<第3の実施形態>
第3の実施形態に係る眼科装置について説明する。第1の実施形態に係る眼科装置1及び第2の実施形態に係る眼科装置と同様に、第3の実施形態に係る眼科装置は、スリットスキャン方式のモダリティを用いて生体眼の眼底を画像化する眼科イメージング機能を有し、例えば、撮影ユニット2、フォーカス調整ユニット3、プロセッサ4、メモリ5、及びユーザーインターフェイス6を含んでいる。第1の実施形態に係る任意の事項及び第2の実施形態に係る任意の事項を第3の実施形態に係る眼科装置に適用することができる。以下、第1の実施形態に係る事項及び第2の実施形態に係る事項を適宜に参照しつつ第3の実施形態について説明を行う。
【0242】
第3の実施形態に係る眼科装置は、
図6に示すプロセッサ4の代わりに、
図24に示すプロセッサ4Bを備えている。プロセッサ4Bは非限定的な例である。プロセッサ4Bは、第2の実施形態のプロセッサ4Aの第2の処理モジュール400Bと同様に、撮影制御部404と、フォーカス情報生成部405とを含んでいる。すなわち、第3の実施形態に係る眼科装置は、第2の実施形態に係る眼科装置のプロセッサ4Aから第1の処理モジュール400Aを除いたものである。
【0243】
このように構成された第3の実施形態に係る眼科装置によれば、第2の実施形態と同様に、スリットスキャンを用いた観察画像生成と並行して撮影ユニットのフォーカス状態をモニターすることが可能である。なお、フォーカス状態をモニターするための表示制御の非限定的な例を第5の実施形態で説明する。
【0244】
<第4の実施形態>
第1~第3の実施形態に係る眼科装置と同様に、第4の実施形態に係る眼科装置は、スリットスキャン方式のモダリティを用いて生体眼の眼底を画像化する眼科イメージング機能を有し、例えば、撮影ユニット2、フォーカス調整ユニット3、プロセッサ4、メモリ5、及びユーザーインターフェイス6を含んでいる。第1の実施形態に係る任意の事項、第2の実施形態に係る任意の事項、及び第3の実施形態に係る任意の事項を、第4の実施形態に係る眼科装置に適用することができる。以下、第1の実施形態に係る事項~第3の実施形態に係る事項を適宜に参照しつつ第4の実施形態について説明を行う。
【0245】
第4の実施形態に係る眼科装置は、
図2に示す撮影ユニット2の代わりに、
図25に示す撮影ユニット2Aを備えている。撮影ユニット2Aは非限定的な例である。撮影ユニット2Aは、被検眼Eの眼底Efに対するスリット光の投射位置を移動しつつローリングシャッター型のイメージセンサー(撮像装置)で撮影を行うことによってスリットスキャンを実行可能に構成されている。なお、ローリングシャッター型のイメージセンサーの代わりに、グローバルシャッター型のイメージセンサーとスリット絞りとを組み合わせた撮像ユニット(撮像装置)を採用してもよい。
【0246】
本実施形態の撮影ユニット2Aは、光源10、照明光学系20A、光スキャナー30、撮影光学系40、及び撮像装置50を含んでいる。光源10、光スキャナー30、撮影光学系40、及び撮像装置50は、それぞれ、第1の実施形態の撮影ユニット2の対応要素と同一であってよい。光源10及び/又は光スキャナー30を照明光学系20Aの要素とみなしてもよく、撮像装置50を撮影光学系40の要素とみなしてもよい。
【0247】
本実施形態の照明光学系20Aは、第1の実施形態の照明光学系20の代わりに設けられる。
図25に示す例において、照明光学系20Aは、第1の実施形態と同様の虹彩絞り21、スリット開口絞り22、及びリレーレンズ23に加えて、虹彩絞り21とスリット開口絞り22との間に配置されたレンズ24を含んでいる。
【0248】
更に、本実施形態の撮影ユニット2Aは、移動機構25Mを含む。移動機構25Mは、光源10、虹彩絞り21、レンズ24、及びスリット開口絞り22を含む可動ユニット25を、照明光学系20の光軸に沿う方向に移動する。移動機構25Mは、プロセッサ4の制御の下に動作する。プロセッサ4は、被検眼Eの状態(例えば、屈折力(屈折度、視度)、眼底形状など)に応じて移動機構25Mを制御するように構成されてよい。
【0249】
本実施形態のプロセッサ4は、第1の実施形態のプロセッサ4と同様に、投射制御部401、条件決定部402、及びフォーカス調整制御部403を含んでいる(
図6を参照)。本実施形態の条件決定部402は、第1の実施形態と同様の条件決定処理を実行する。すなわち、条件決定部402は、投射制御部401により実行されるスリット光投射制御により眼底Efに投射されたスリット光の戻り光を検出した撮像装置50からの出力に基づいてフォーカス調整条件を決定するための演算処理を実行する。本実施形態の条件決定処理は、第1の実施形態と同様の要領で実行されてよい。
【0250】
本実施形態において、照明光学系20A(第1の光学系)は、光源10(光源)と、被検眼Eの虹彩に対して光学的に略共役な位置に配置され、光源10により発せられた光を通過させる開口部が形成された虹彩絞り21(虹彩絞り)と、虹彩絞り21の開口部を通過した光を屈折するレンズ24(レンズ)と、レンズ24により屈折された光からスリット光を生成するためのスリット開口絞り22(スリット絞り)とを含んでおり、スリット開口絞り22により生成されたスリット光を被検眼Eの眼底Efに投射するように構成されている。更に、撮影光学系40(第2の光学系)は、フォーカスレンズ47(フォーカスレンズ)を含んでいる。加えて、照明光学系20Aの焦点位置を調整するための第1のフォーカス調整ユニットは、照明光学系20Aの光軸に沿う方向に可動ユニット25を移動するための移動機構25M(第3の移動機構)を含む。つまり、第1のフォーカス調整ユニットは、照明光学系20Aの光軸に沿う方向に光源10、虹彩絞り21、レンズ24、及びスリット開口絞り22を一体的に移動するための移動機構25Mを含む。また、撮影光学系40の焦点位置を調整するための第2のフォーカス調整ユニットは、撮影光学系40の光軸に沿う方向にフォーカスレンズ47を移動するための移動機構47M(第4の移動機構)を含む。そして、条件決定部402は、移動機構25Mを制御するための条件(第3の移動制御条件、第1のフォーカス調整条件)を決定し、移動機構47Mを制御するための条件(第4の移動制御条件、第2のフォーカス調整条件)を決定する。
【0251】
このように構成された第4の実施形態に係る眼科装置によれば、第1の実施形態と同様に、眼科装置の小型化、眼科装置の構成の簡略化、眼科装置の製造コストの低減などを図ることができるとともに、第1の実施形態に係る眼科装置の代替的態様を提供することが可能である。
【0252】
<第5の実施形態>
第1~第4の実施形態に係る眼科装置と同様に、第5の実施形態に係る眼科装置は、スリットスキャン方式のモダリティを用いて生体眼の眼底を画像化する眼科イメージング機能を有し、例えば、撮影ユニット2、フォーカス調整ユニット3、プロセッサ4、メモリ5、及びユーザーインターフェイス6を含んでいる。第1の実施形態に係る任意の事項、第2の実施形態に係る任意の事項、第3の実施形態に係る任意の事項、及び第4の実施形態に係る任意の事項を、第5の実施形態に係る眼科装置に適用することができる。以下、第1の実施形態に係る事項~第4の実施形態に係る事項を適宜に参照しつつ第5の実施形態について説明を行う。
【0253】
第5の実施形態に係る眼科装置は、
図6に示すプロセッサ4の代わりに、
図26に示すプロセッサ4Cを備えている。プロセッサ4Cは非限定的な例である。プロセッサ4Cは、第1の処理モジュール400Aと、第2の処理モジュール400Cとを含んでいる。
【0254】
第1の処理モジュール400Aは、フォーカス調整(特に、オートフォーカス)を行うための処理を実行するものであり、第2の実施形態の第1の処理モジュール400A(
図21)と同様に、投射制御部401、条件決定部402、及びフォーカス調整制御部403を含んでいる。
【0255】
第2の処理モジュール400Cは、スリットスキャンを用いて被検眼Eの眼底Efの観察画像(ライブ動画像、ライブ映像、時系列画像)を取得しているときのフォーカス状態をモニターするための表示情報を生成し表示するものであり、第2の実施形態の第2の処理モジュール400B(
図21)と同様の撮影制御部404及びフォーカス情報生成部405に加えて、表示制御部406を含んでいる。
【0256】
表示制御部406は、フォーカス情報生成部405により生成されたフォーカス情報(撮影ユニット2のフォーカス状態を示す情報)に基づく表示情報をユーザーインターフェイス6のディスプレイに表示するための制御である。表示情報は、少なくともフォーカス情報に基づき生成される任意の情報であってよく、例えば、撮影ユニット2のピントが眼底Efに合っているか否かを示す情報、撮影ユニット2のピントのズレ方向を示す情報(つまり、撮影ユニット2のフォーカス状態が眼底Efに対して後ピン又は前ピンであることを示す情報)、撮影ユニット2のピントのズレ量を示す情報などを含んでいてよい。表示情報の態様は任意であってよく、例えば、医用画像、シェーマ、イラストレーション、コンピュータグラフィクス画像、文字列、グラフ、ダイアグラムなど、任意の幾何学的表現や任意の視覚的表現であってよい。
【0257】
表示情報の非限定的な例を
図27及び
図28に示す。
図27に示す表示画面500は、表示制御部406によってユーザーインターフェイス6のディスプレイに表示される。表示画面500には、撮影ユニット2により生成された眼底Efの画像が表示される画像表示部510が設けられている。画像表示部510に表示される画像は、例えば、撮影制御部404により実行される第1の撮影制御の下に撮影ユニット2により取得される観察画像である。第1の撮影制御は、撮影ユニット2に眼底Efの観察画像を取得させるための制御であり、その詳細については第2の実施形態を参照されたい。
【0258】
更に、表示画面500には、フォーカス調整操作を行うためのグラフィカルユーザーインターフェース(GUI)であるフォーカス調整操作部520と、撮影ユニット2のピントのズレ方向及びズレ量を提示するグラフィカルユーザーインターフェースであるフォーカス状態インディケーター530とが設けられている。
【0259】
フォーカス調整操作部520は、撮影ユニット2(照明光学系20、撮影光学系40)のディオプター値の範囲を示す目盛(スケール)と、この目盛における現在のディオプター値を示すポインターとが設けられている。
【0260】
図27に示す非限定的な例のスケールは、マイナス20ディオプターからプラス20ディオプターの範囲を示す数直線であり、この数直線には5ディオプターごとに数値が示されている。
【0261】
図27に示す非限定的な例のポインターは、逆三角形(くさび形)のウィジェットであり、その下向きの頂点がスケール上の一点を指し示している。ポインターにより指し示されている点が撮影ユニット2の現在のディオプター値に相当する。
【0262】
ユーザーは、例えばポインティングデバイス又はタッチ操作により、スケールに沿ってポインターを移動することができる。ユーザーがポインターを移動すると、プロセッサ4C(例えば、フォーカス調整制御部403又は撮影制御部404)は、移動されたポインターが指し示すディオプター値(目標値)に基づいてフォーカス調整ユニット3(例えば、移動機構22M又は移動機構25M、及び、移動機構47M)の制御を実行することにより、撮影ユニット2のディオプター値を目標値に変更する。
【0263】
フォーカス調整操作部(スケール、ポインターなど)の態様は上記の例に限定されず、任意であってよい。例えば、
図27のスケール及びポインターに加えて、撮影ユニット2のピントを眼底Efに合わせるためにポインターを移動すべき方向(及び移動すべき量)を示す情報(移動支援情報)を提示してもよい。この移動支援情報は、例えば、フォーカス情報生成部405により生成されたフォーカス情報に基づき生成される。前述したように、フォーカス情報は、撮影制御部404により実行される第2の撮影制御の下に撮影ユニット2により取得された画像に基づき生成される。ここで、第2の撮影制御は、撮影ユニット2のフォーカス状態を検知するための制御であり、その詳細については第2の実施形態を参照されたい。
【0264】
別の例では、フォーカス調整操作部は、撮影ユニット2の現在のディオプター値が提示される窓状ウィジェットと、この窓状ウィジェットに提示されるディオプター値を変更するために操作されるウィジェットとを含んでいてよい。
【0265】
フォーカス状態インディケーター530は、撮影ユニット2のピントのズレ方向及びズレ量を提示する。表示制御部406は、撮影制御部404により実行される第2の撮影制御の下に撮影ユニット2により取得された画像からフォーカス情報生成部405によって生成されたフォーカス情報に基づいて、フォーカス状態インディケーター530の表示制御を実行する。
【0266】
図28に示すように、フォーカス状態インディケーター530は、上下方向の中央位置に設けられた基準ライン531と、表示位置が上下方向に変化する移動ウィジェット532とを含んでいる。基準ライン531は、撮影ユニット2のピントが合っている状態に対応する上下方向の位置を示している。基準ライン531よりも上側の位置は「前ピン」に相当し、下側の位置は「後ピン」に相当する。また、基準ライン531からの距離はピントのズレ量を表し、基準ライン531からの距離が大きくなるほどピントのズレ量も大きくなる。
【0267】
表示制御部406は、フォーカス情報生成部405により生成されたフォーカス情報に基づき撮影ユニット2のピントの評価を実行し、この評価の結果に基づき移動ウィジェット532の表示位置を決定する。撮影ユニット2のピントの評価の内容は任意であってよく、例えば、撮影ユニット2のピントが眼底Efに合致しているか否かの判定、眼底Efに対するピントのズレ方向(前ピンか後ピンか)の判定、眼底Efに対するピントのズレ量の推定などを含んでいる。
【0268】
撮影ユニット2のピントが眼底Efに合致していると判定された場合、表示制御部406は、移動ウィジェット532を基準ライン531上に表示させる(
図28(B)を参照)。
【0269】
撮影ユニット2のピントが眼底Efに対して第1のディオプター値に相当する分だけ前ピンであると判定された場合、表示制御部406は、基準ライン531よりも上側の位置であって、第1のディオプター値に相当する距離だけ基準ライン531から離れた位置に、移動ウィジェット532を表示させる(
図28(A)を参照)。
【0270】
撮影ユニット2のピントが眼底Efに対して第2のディオプター値に相当する分だけ後ピンであると判定された場合、表示制御部406は、基準ライン531よりも下側の位置であって、第2のディオプター値に相当する距離だけ基準ライン531から離れた位置に、移動ウィジェット532を表示させる(
図28(C)を参照)。
【0271】
図28に示すように、撮影ユニット2のピントが眼底Efに合致しているか否かに応じて移動ウィジェット532の態様を変更することができる。例えば、表示制御部406は、撮影ユニット2のピントが眼底Efに合致しているときには移動ウィジェット532を第1の色(例えば、青色)で表示させ、撮影ユニット2のピントが眼底Efに合致していないときには移動ウィジェット532を第2の色(例えば、赤色)で表示させることができる。別の例では、表示制御部406は、撮影ユニット2のピントのズレ方向(前ピン又は後ピン)に応じた色で移動ウィジェット532を表示させることができる。更に別の態様では、表示制御部406は、撮影ユニット2のピントのズレ量の大きさに応じた色で移動ウィジェット532を表示させることができる。撮影ユニット2のフォーカス状態に応じて変更される移動ウィジェット532の表示態様は表示色に限定されず、例えば、形状、輝度、模様、点滅パターンなど、任意の態様であってよい。また、表示制御部406は、撮影ユニット2のフォーカス状態に応じた情報(文字列情報、画像情報など)を移動ウィジェット532とは別に表示させてもよい。撮影ユニット2のフォーカス状態に応じてフォーカス状態インディケーター530(例えば、移動ウィジェット532)の表示態様を変更するように構成することで、ユーザーは、撮影ユニット2のフォーカス状態を容易に把握することが可能になる。
【0272】
表示制御部406は、移動ウィジェット532の表示態様と、フォーカス調整操作部520の表示態様とを同期させることができる。例えば、
図27に示すように、移動ウィジェット532の表示色と、フォーカス調整操作部520のポインターの表示色とを一致させることができる。なお、
図27は、撮影ユニット2のフォーカス状態がマイナス3ディオプター(-3D)であるときに眼底Efに対してピントが合っていることを表している。同期される表示態様は表示色に限定されず、例えば、形状、輝度、模様、点滅パターンなど、任意の態様であってよい。2つ以上のオブジェクト間の表示態様の同期は、これらオブジェクトを同一の態様で表示することに限定されない。
【0273】
このような表示画面500を表示可能な眼科装置によれば、ユーザーは、画像表示部510に表示されている画像によって眼底Efを観察しつつ、フォーカス状態インディケーター530によって撮影ユニット2のフォーカス状態をリアルタイムで把握することができるとともに、フォーカス調整操作部520を用いて撮影ユニット2のフォーカス調整を行うことが可能である。
【0274】
<第6の実施形態>
実施形態に係る眼科装置のいくつかの非限定的な態様について以上に説明したが、本開示に係る実施形態のカテゴリーは眼科装置に限定されない。眼科装置以外の実施形態のカテゴリーとして、眼科装置を制御する方法、眼底を撮影する方法、プログラム、記録媒体などがある。これらのカテゴリーの実施形態が前述した眼科装置の実施形態によって為し得るものであることは、当業者であれば理解することができるであろう。
【0275】
これらのカテゴリーの実施形態によっても、眼科装置の実施形態と同様に、既存の同種の眼科装置(つまり、スリットスキャン方式のモダリティを用いて生体眼の眼底を画像化する眼科イメージング機能を有する眼科装置)が有するようなフォーカス専用ハードウェア要素を設けることなくフォーカス調整を行うこと、既存の同種の眼科装置が有するような複雑且つ大規模なフォーカス専用ハードウェア要素を設けることなくフォーカス調整を行うこと、スリットスキャンを用いた観察画像生成と並行して撮影ユニットのフォーカス状態をモニターすること、などの効果を奏することが可能になる。
【0276】
以下、これらのカテゴリーのいくつかの非限定的な実施形態について説明する。これらのカテゴリーのいずれかの実施形態に対して、本開示において眼科装置に関して説明した任意の事項や、任意の公知技術を組み合わせることが可能である。
【0277】
いくつかの実施形態に係る、眼科装置を制御する方法は、撮影ユニットとフォーカス調整ユニットとプロセッサとメモリとを含む眼科装置を制御する新規な方法を提供する。ここで、撮影ユニットは、被検眼の眼底に対するスリット光の投射位置を移動しつつローリングシャッター型の撮像装置(又は、グローバルシャッター型のイメージセンサーとスリット絞りとを組み合わせた撮影ユニットのような、ローリングシャッター型の撮像装置と同様の機能を有する撮像装置)で撮影を行うように構成されている。また、フォーカス調整ユニットは、撮影ユニットのフォーカス調整を行うための構成を有している。本実施形態に係る方法は、プロセッサに、第1の制御ステップと、条件決定ステップと、第2の制御ステップとを実行させる。第1の制御ステップでは、プロセッサは、被検眼の眼底にスリット光を投射するための撮影ユニットの制御を実行する。条件決定ステップでは、プロセッサは、第1の制御ステップにより被検眼の眼底に投射されたスリット光の戻り光を検出した撮像装置からの出力に基づいてフォーカス調整条件を決定する。第2の制御ステップにおいて、プロセッサは、条件決定ステップにより決定されたフォーカス調整条件に基づいてフォーカス調整ユニットの制御を実行する。
【0278】
別のいくつかの実施形態に係る、眼科装置を制御する方法は、撮影ユニットとプロセッサとメモリとを含む眼科装置を制御する新規な方法を提供する。ここで、撮影ユニットは、被検眼の眼底に対するスリット光の投射位置を移動しつつローリングシャッター型の撮像装置(又は、グローバルシャッター型のイメージセンサーとスリット絞りとを組み合わせた撮影ユニットのような、ローリングシャッター型の撮像装置と同様の機能を有する撮像装置)で撮影を行うように構成されている。本実施形態に係る方法は、プロセッサに、第1の撮影制御ステップと、第2の撮影制御ステップと、フォーカス情報生成ステップと、表示制御ステップとを並行して実行させる。第1の撮影制御ステップでは、プロセッサは、被検眼の眼底に対するスリット光の投射位置の一連の移動を繰り返しつつ撮像装置による一連の撮影を繰り返し行うことによって時系列画像を取得するように撮影ユニットを制御する。第2の制御ステップでは、プロセッサは、被検眼の眼底に対する撮影ユニットのフォーカス状態を検知するための撮影を撮影ユニットに実行させる。フォーカス情報生成ステップでは、プロセッサは、第2の撮影制御ステップにより実行された撮影で取得された画像に基づいてフォーカス状態を示すフォーカス情報を生成する。表示制御ステップでは、プロセッサは、フォーカス情報生成ステップにより生成されたフォーカス情報に基づく表示情報を表示装置に表示させる。
【0279】
いくつかの実施形態に係る、眼底を撮影する方法は、被検眼の眼底に対するスリット光の投射位置を移動しつつローリングシャッター型の撮像装置(又は、グローバルシャッター型のイメージセンサーとスリット絞りとを組み合わせた撮影ユニットのような、ローリングシャッター型の撮像装置と同様の機能を有する撮像装置)で撮影を行う新規な方法を提供する。本方法は、次のステップを含んでいる:被検眼の眼底にスリット光を投射し、眼底に投射されたスリット光の戻り光を撮像装置で検出するステップ;この戻り光を検出した撮像装置からの出力に基づいてフォーカス調整条件を決定するステップ;このフォーカス調整条件に基づいてフォーカス調整を実行するステップ;このフォーカス調整が実行された後に、被検眼の眼底に対するスリット光の投射位置を移動しつつ撮像装置で撮影を行うステップ。
【0280】
別のいくつかの実施形態に係る、眼底を撮影する方法は、被検眼の眼底に対するスリット光の投射位置を移動しつつローリングシャッター型の撮像装置(又は、グローバルシャッター型のイメージセンサーとスリット絞りとを組み合わせた撮影ユニットのような、ローリングシャッター型の撮像装置と同様の機能を有する撮像装置)で撮影を行う新規な方法を提供する。本方法は、並行して実行される次のステップを含んでいる:被検眼の眼底に対するスリット光の投射位置の一連の移動を繰り返しつつ撮像装置による一連の撮影を繰り返し行うことによって時系列画像を取得するステップ;被検眼の眼底に対するフォーカス状態を検知するための撮影を行って画像を取得するステップ;フォーカス状態を検知するための撮影で取得された画像に基づいてフォーカス状態を示すフォーカス情報を生成するステップ;このフォーカス情報に基づく表示情報を表示するステップ。
【0281】
いくつかの実施形態に係るプログラムは、眼科装置に実行させるための新規なプログラムである。この眼科装置は、撮影ユニットと、フォーカス調整ユニットと、プロセッサと、メモリとを含んでいる。撮影ユニットは、被検眼の眼底に対するスリット光の投射位置を移動しつつローリングシャッター型の撮像装置(又は、グローバルシャッター型のイメージセンサーとスリット絞りとを組み合わせた撮影ユニットのような、ローリングシャッター型の撮像装置と同様の機能を有する撮像装置)で撮影を行うように構成されている。フォーカス調整ユニットは、撮影ユニットのフォーカス調整を行うための構成を有している。本実施形態に係るプログラムは、眼科装置のプロセッサに、第1の制御ステップと、条件決定ステップと、第2の制御ステップとを実行させる。第1の制御ステップでは、プロセッサは、本実施形態に係るプログラムの下に、被検眼の眼底にスリット光を投射するための撮影ユニットの制御を実行する。条件決定ステップでは、プロセッサは、本実施形態に係るプログラムの下に、第1の制御ステップにより被検眼の眼底に投射されたスリット光の戻り光を検出した撮像装置からの出力に基づいてフォーカス調整条件を決定する。第2の制御ステップでは、プロセッサは、本実施形態に係るプログラムの下に、条件決定ステップにより決定されたフォーカス調整条件に基づいてフォーカス調整ユニットの制御を実行する。
【0282】
別のいくつかの実施形態に係るプログラムは、眼科装置に実行させるための新規なプログラムである。この眼科装置は、撮影ユニットと、プロセッサと、メモリとを含んでいる。撮影ユニットは、被検眼の眼底に対するスリット光の投射位置を移動しつつローリングシャッター型の撮像装置(又は、グローバルシャッター型のイメージセンサーとスリット絞りとを組み合わせた撮影ユニットのような、ローリングシャッター型の撮像装置と同様の機能を有する撮像装置)で撮影を行うように構成されている。本実施形態に係るプログラムは、眼科装置のプロセッサに、第1の撮影制御ステップと、第2の撮影制御ステップと、フォーカス情報生成ステップと、表示制御ステップとを、並行して実行させる。第1の撮影制御ステップでは、プロセッサは、本実施形態に係るプログラムの下に、被検眼の眼底に対するスリット光の投射位置の一連の移動を繰り返しつつ撮像装置による一連の撮影を繰り返し行うことによって時系列画像を取得するように撮影ユニットの制御を実行する。第2の撮影制御ステップでは、プロセッサは、本実施形態に係るプログラムの下に、被検眼の眼底に対する撮影ユニットのフォーカス状態を検知するための撮影を撮影ユニットに実行させる。フォーカス情報生成ステップでは、プロセッサは、本実施形態に係るプログラムの下に、第2の撮影制御ステップにより実行された撮影で取得された画像に基づいてフォーカス状態を示すフォーカス情報を生成する。表示制御ステップでは、プロセッサは、本実施形態に係るプログラムの下に、フォーカス情報生成ステップにより生成されたフォーカス情報に基づく表示情報を表示装置に表示させる。
【0283】
更に別のいくつかの実施形態に係るプログラムは、被検眼の眼底に対するスリット光の投射位置を移動しつつローリングシャッター型の撮像装置(又は、グローバルシャッター型のイメージセンサーとスリット絞りとを組み合わせた撮影ユニットのような、ローリングシャッター型の撮像装置と同様の機能を有する撮像装置)で撮影を行うための処理を、プロセッサとメモリとを含むコンピュータに実行させるための新規なプログラムである。本実施形態に係るプログラムは、コンピュータのプロセッサに、次のステップを実行させる:被検眼の眼底にスリット光を投射し、眼底に投射されたスリット光の戻り光を撮像装置で検出するための制御を行うステップ;この戻り光を検出した撮像装置からの出力に基づいてフォーカス調整条件を決定するステップ;このフォーカス調整条件に基づいてフォーカス調整を実行するステップ;このフォーカス調整が実行された後に、被検眼の眼底に対するスリット光の投射位置を移動しつつ撮像装置で撮影を行うための制御を行うステップ。
【0284】
更に別のいくつかの実施形態に係るプログラムは、被検眼の眼底に対するスリット光の投射位置を移動しつつローリングシャッター型の撮像装置(又は、グローバルシャッター型のイメージセンサーとスリット絞りとを組み合わせた撮影ユニットのような、ローリングシャッター型の撮像装置と同様の機能を有する撮像装置)で撮影を行うための処理を、プロセッサとメモリとを含むコンピュータに実行させるための新規なプログラムである。本実施形態に係るプログラムは、コンピュータのプロセッサに、次のステップを並行して実行させる:被検眼の眼底に対するスリット光の投射位置の一連の移動を繰り返しつつ撮像装置による一連の撮影を繰り返し行うことによって時系列画像を取得するステップ;被検眼の眼底に対するフォーカス状態を検知するための撮影を行って画像を取得するステップ;フォーカス状態を検知するための撮影で取得された画像に基づいてフォーカス状態を示すフォーカス情報を生成するステップ;フォーカス情報に基づく表示情報を表示するステップ。
【0285】
いくつかの実施形態に係る記録媒体は、いずれかの実施形態に係るプログラムが記録された、コンピュータ可読な非一時的記録媒体である。実施形態に係る記録媒体として使用可能な、コンピュータ可読な非一時的記録媒体は、任意の形態の記録媒体であってよく、例えば、磁気ディスク、光ディスク、光磁気ディスク、及び半導体メモリのいずれかであってよい。
【0286】
<第7の実施形態>
第5の実施形態では、スリットスキャンを用いて眼底の観察画像をユーザーに提供しながらフォーカス状態を示す表示情報の提供も実行するように構成された眼科装置について説明したが、実施形態はこれに限定されない。第7の実施形態では、表示情報を提供するための様々な非限定的な態様について説明する。
【0287】
第1~第5の実施形態に係る眼科装置と同様に、第7の実施形態に係る眼科装置は、スリットスキャン方式のモダリティを用いて生体眼の眼底を画像化する眼科イメージング機能を有し、例えば、撮影ユニット2、フォーカス調整ユニット3、プロセッサ4、メモリ5、及びユーザーインターフェイス6を含んでいる。第1の実施形態に係る任意の事項、第2の実施形態に係る任意の事項、第3の実施形態に係る任意の事項、第4の実施形態に係る任意の事項、及び第5の実施形態に係る任意の事項を、第7の実施形態に係る眼科装置に適用することができる。以下、第1の実施形態に係る事項~第5の実施形態に係る事項を適宜に参照しつつ第7の実施形態について説明を行う。
【0288】
第7の実施形態に係る眼科装置は、例えば、第5の実施形態と同様に、
図26のプロセッサ4Cを備えている。本実施形態のプロセッサ4Cは、第1の撮影制御、第2の撮影制御、フォーカス情報生成処理、及び表示制御を実行するように構成されている。各処理の非限定的な例については第5の実施形態を参照されたい。
【0289】
或いは、第7の実施形態に係る眼科装置は、
図26のプロセッサ4Cの代わりに、
図29に示すプロセッサ4Dを備えていてもよい。プロセッサ4Dは、プロセッサ4Cの第2の処理モジュール400Cと同様に、撮影制御部404、フォーカス情報生成部405、及び表示制御部406を含んでいる。換言すると、
図29のプロセッサ4Dは、
図26のプロセッサ4Cの第2の処理モジュール400Cと同様の構成を有するものである。更に換言すると、
図29のプロセッサ4Dは、
図26のプロセッサ4Cから第1の処理モジュール400Aを除いたものと同様の構成を有する。このようなプロセッサ4Dによっても、プロセッサ4Cと同様に、第1の撮影制御、第2の撮影制御、フォーカス情報生成処理、及び表示制御を実行することができる。なお、以下の説明から分かるように、プロセッサ4C及びプロセッサ4Dのどちらが適用される場合においても、本実施形態の眼科装置は同様の処理を実行することができる。
【0290】
第5の実施形態では、第1の撮影制御、第2の撮影制御、フォーカス情報生成処理、及び表示制御を並行して実行しているが、本実施形態では、これらの処理を並行して実行しなくてもよい。例えば、本実施形態では、第1の撮影制御、第2の撮影制御、フォーカス情報生成処理、及び表示制御を少なくとも部分的に並行して実行してもよいし、これらの処理のうちの2つ以上の処理を少なくとも部分的に並行して実行してもよいし、これらの処理をそれぞれ別々に(非並行的に)実行してもよい。すなわち、本実施形態では、一般に、これらの処理の実行における時間的な制限や限定は無く、又は、任意の時間的な制限や限定の下にこれらの処理を実行してもよい。
【0291】
本実施形態の撮影制御部404は、被検眼Eの眼底Efに対するスリット光の投射位置を移動しつつ撮影を行うように撮影ユニット2の制御を実行する。この撮影を第1の撮影と呼ぶ。この第1の撮影のために実行される制御は、前述した第1の撮影制御に相当する。第1の撮影及び第1の撮影制御のいくつかの非限定的な例については、前述した実施形態を参照されたい。
【0292】
第1の撮影は、任意の態様のスリットスキャンであってよく、その1つの例として、第5の実施形態において説明したスリットスキャン、つまり、時系列画像(観察画像、ライブ動画像、ライブ映像)を取得するための反復的なスリットスキャンがある。すなわち、本実施形態において実施されるスリットスキャンは、第5の実施形態の反復的スリットスキャンに限定されず、例えば、1枚の画像を取得するための1回のスリットスキャンであってもよい。
【0293】
本実施形態の撮影制御部404は、更に、被検眼Eの眼底Efに対する撮影ユニット2のフォーカス状態を検知するための画像を生成する第2の撮影を撮影ユニット2に実行させる。この第2の撮影のために実行される制御は、前述した第2の撮影制御に相当する。第2の撮影及び第2の撮影制御のいくつかの非限定的な例については、前述した実施形態を参照されたい。
【0294】
本実施形態のフォーカス情報生成部405は、撮影制御部404により実行された第2の撮影制御の下に被検眼Eの眼底Efに適用された第2の撮影によって生成された画像に基づいて、撮影ユニット2のフォーカス状態を示すフォーカス情報を生成する。この処理は、前述したフォーカス情報生成処理に相当する。フォーカス情報及びフォーカス情報生成処理のいくつかの非限定的な例については、前述した実施形態を参照されたい。
【0295】
フォーカス情報の種類は任意であってよい。例えば、フォーカス情報は、撮影ユニット2のフォーカスが眼底Efに合っているか否かを示す情報、撮影ユニット2のフォーカスのズレ方向を示す情報、及び、撮影ユニット2のフォーカスのズレ量を示す情報のうちの少なくとも1つを含んでいてよい。
【0296】
本実施形態の表示制御部406は、フォーカス情報生成部405により生成されたフォーカス情報に基づく表示情報を表示装置に表示させる。この制御は、前述した表示制御に相当する。表示制御のいくつかの非限定的な例については、前述した実施形態を参照されたい。
【0297】
以上に説明したように、本実施形態に係る眼科装置は、被検眼Eの眼底Efを撮影する撮影ユニット2と、プロセッサ4(例えば、プロセッサ4C又は4D)とを含んでおり、プロセッサ4は、第1の撮影制御、第2の撮影制御、フォーカス情報生成処理、及び表示制御と実行するように構成されている。第1の撮影制御において、プロセッサ4は、眼底Efに対するスリット光の投射位置を移動しつつ撮影を行う第1の撮影を撮影ユニット2に実行させる第1の撮影制御と、眼底Efに対する撮影ユニット2のフォーカス状態を検知するための画像を生成する第2の撮影を撮影ユニット2に実行させる第2の撮影制御と、第2の撮影によって生成された画像に基づいて撮影ユニット2のフォーカス状態を示すフォーカス情報を生成するフォーカス情報生成処理と、フォーカス情報生成処理により生成されたフォーカス情報に基づく表示情報を表示装置に表示させる表示制御とを実行する。
【0298】
本実施形態の眼科装置のプロセッサ4C(4D)の動作の非限定的な例を
図30に示す。本例において、プロセッサ4Cは、まず、アライメント制御(S61)及びオートフォーカス制御(S62)を実行する。アライメント及びオートフォーカスは、前述した実施形態と同じ要領で実行されてよい。
【0299】
撮影開始の指示を受けて(S63)、プロセッサ4Cの撮影制御部404は、第1の撮影制御(S64)及び第2の撮影制御(S65)を実行する。
【0300】
前述したように、第1の撮影制御と第2の撮影制御との実行態様は任意であってよい。例えば、第1の撮影制御と第2の撮影制御とを並行して実行する場合には第1の撮影制御に基づくスリットスキャンの実施中におけるフォーカス情報を取得することができ、第1の撮影制御の前に第2の撮影制御を実行する場合には第1の撮影制御に基づくスリットスキャンの実施前におけるフォーカス情報を取得することができ、第1の撮影制御の前に第2の撮影制御を実行する場合には第1の撮影制御に基づくスリットスキャンの実施後におけるフォーカス情報を取得することができる。
【0301】
第2の撮影制御(S65)の後に、又は、第2の撮影制御(S65)と並行して、プロセッサ4Cのフォーカス情報生成部405は、フォーカス情報生成処理(S66)を実行することによって、ステップS65で生成された画像から、ステップS65が実行された時刻における撮影ユニット2のフォーカス状態を示すフォーカス情報を生成する。
【0302】
フォーカス情報生成処理(S66)の後に、又は、フォーカス情報生成処理(S66)と並行して、プロセッサ4Cの表示制御部406は、表示制御(S67)を実行することによって、ステップS66で生成されたフォーカス情報に基づく表示情報をユーザーインターフェイス6のディスプレイに表示させる。
【0303】
このような本実施形態の眼科装置によれば、スリットスキャンを実行する光学系のフォーカス状態の情報を提示することが可能である。これにより、ユーザーは、第2の撮影制御(S65)が実行された時刻又は期間における眼底Efに対する撮影ユニット2のフォーカス状態を把握することができる。例えば、ユーザーは、スリットスキャンの実施前、実施中、及び実施後のいずれか1つ以上の時刻又は期間における眼底Efに対する撮影ユニット2のフォーカス状態を把握することができる。
【0304】
本実施形態のいくつかの態様のプロセッサ4C(撮影制御部404)は、第1の撮影制御において、被検眼Eの眼底Efに対するスリット光の投射位置の一連の移動と一連の撮影とを同期的に且つ反復的に行って時系列画像を生成するように撮影ユニット2を制御することができる。
【0305】
本態様によれば、被検眼Eの眼底Efの時系列画像を取得することができるので、ユーザーは眼底Efの動画像を観察することが可能である。また、本態様によれば、時系列画像の取得時、取得前、及び取得後のうちの少なくとも1つ以上の時刻又は期間における撮影ユニット2のフォーカス状態の情報を提示することが可能である。
【0306】
本態様の眼科装置のプロセッサ4C(4D)の動作の非限定的な例を
図31に示す。
図31の動作例は、
図30の動作例の1つの非限定的な例である。
【0307】
図30の動作例と同様に、プロセッサ4Cは、アライメント制御(S71)及びオートフォーカス制御(S72)を実行する。撮影開始の指示を受けて(S73)、プロセッサ4Cの撮影制御部404は、時系列画像を取得するための第1の撮影制御(S74)と、第2の撮影制御(S75)とを実行する。
【0308】
本動作例の第1の撮影制御では、撮影制御部404は、被検眼Eの眼底Efに対するスリット光の投射位置を所定のパターンで移動させる(一連の移動)ための照明光学系20の制御と、所定の時間間隔での複数回の撮影(一連の撮影)を行うための撮影光学系40の制御とを、同期的に且つ反復的に実行する。一連の移動と一連の撮影とを同期的に実行することで、眼底Efに1回のスリットスキャンが適用される。更に、この同期的な一連の移動と一連の撮影とを繰り返し実行することで、眼底Efに反復的スリットスキャンが適用される。これにより、眼底Efの時系列画像が生成される。
【0309】
本動作例では、第1の撮影制御に基づく反復的スリットスキャンが実行されているときに第2の撮影制御を実行しているが、第2の撮影制御を実行するタイミングは任意であってよく、反復的スリットスキャンの前及び/又は後であってもよい。また、第2の撮影制御を実行する回数は1回以上の任意の回数であってよい。
【0310】
第2の撮影制御(S75)の後に、又は、第2の撮影制御(S75)と並行して、プロセッサ4Cのフォーカス情報生成部405は、フォーカス情報生成処理(S76)を実行することによって、ステップS75で生成された画像から、ステップS75が実行された時刻における撮影ユニット2のフォーカス状態を示すフォーカス情報を生成する。
【0311】
フォーカス情報生成処理(S76)の後に、又は、フォーカス情報生成処理(S76)と並行して、プロセッサ4Cの表示制御部406は、表示制御(S77)を実行することによって、ステップS76で生成されたフォーカス情報に基づく表示情報をユーザーインターフェイス6のディスプレイに表示させる。
【0312】
このような本態様の眼科装置によれば、被検眼Eの眼底Efの時系列画像を取得するために反復的スリットスキャンを実行している撮影ユニット2のフォーカス状態の情報を提示することが可能である。これにより、ユーザーは、眼底観察のための時系列画像の取得時における眼底Efに対する撮影ユニット2のフォーカス状態を把握することができる。
【0313】
本実施形態のいくつかの態様のプロセッサ4Cは、被検眼Eの眼底Efに反復的スリットスキャンを適用するための第1の撮影制御を実行するとともに、第2の撮影制御、フォーカス情報生成処理、及び表示制御を含む一連の処理を反復的に実行することができる。
【0314】
本態様によれば、所望の複数の時刻又は所望の期間における撮影ユニット2のフォーカス状態の情報を提示することが可能である。
【0315】
本態様の眼科装置のプロセッサ4C(4D)の動作の非限定的な例を
図32に示す。
図32の動作例は、
図31の動作例の1つの非限定的な例である。
【0316】
図31の動作例と同様に、プロセッサ4Cは、アライメント制御(S81)及びオートフォーカス制御(S82)を実行し、撮影開始の指示を受け(S83)、時系列画像を取得するための第1の撮影制御(S84)を開始する。
【0317】
第1の撮影制御(S84)が開始された後、プロセッサ4Cは、撮影制御部404によって第2の撮影制御(S85)を実行し、フォーカス情報生成部405によってフォーカス情報生成処理(S86)を実行し、表示制御部406によって表示制御(S87)を実行する。フォーカス情報生成処理(S86)は、第2の撮影制御(S85)に基づき生成された画像から、第2の撮影制御(S85)が実行された時刻における撮影ユニット2のフォーカス状態を示すフォーカス情報を生成する。また、表示制御(S87)は、フォーカス情報生成処理(S86)で生成されたフォーカス情報に基づく表示情報をユーザーインターフェイス6のディスプレイに表示させる。
【0318】
第2の撮影制御(S85)、フォーカス情報生成処理(S86)、及び表示制御(S87)からなる一連の処理は、ステップS88で「Yes(フォーカス状態のモニターは完了)」となるまで反復される。ステップS88の判断は、例えば、ユーザー又はプロセッサ4Cによって実行される。プロセッサ4Cによる判断は、任意の情報に基づき実行されてよく、例えば、撮影時間、スリットスキャンの反復回数、時系列画像に描出されている眼底Efの像の状態などに基づき実行されてよい。
【0319】
このような本態様の眼科装置によれば、被検眼Eの眼底Efの時系列画像を取得するために反復的スリットスキャンを実行している撮影ユニット2のフォーカス状態の情報を提示することができる。そして、ユーザーは、眼底観察のための時系列画像が取得されたときのフォーカス状態を把握することができる。
【0320】
本実施形態のいくつかの態様のプロセッサ4Cは、被検眼Eの眼底Efに反復的スリットスキャンを適用するための第1の撮影制御を実行するとともに、第2の撮影制御、フォーカス情報生成処理、及び表示制御を含む一連の処理を反復的に実行し、更に、この一連の処理のうちの少なくとも第2の撮影制御を第1の撮影制御と並行して実行することができる。
【0321】
換言すると、本態様のプロセッサ4Cは、反復的スリットスキャンのための第1の撮影制御と並行して第2の撮影制御を実行すること、反復的スリットスキャンのための第1の撮影制御と並行して第2の撮影制御とフォーカス情報生成処理とを実行すること、又は、反復的スリットスキャンのための第1の撮影制御と並行して第2の撮影制御とフォーカス情報生成処理と表示制御とを実行すること、ができる。
【0322】
反復的スリットスキャンのための第1の撮影制御と並行して第2の撮影制御を実行する態様によれば、眼底Efの時系列画像を取得するための反復的スリットスキャンを実行しているときの撮影ユニット2のフォーカス状態をリアルタイムで検知することが可能である。本態様によれば、例えば、反復的スリットスキャンのための第1の撮影制御と並行して実行された第2の撮影制御で得られた画像をメモリ5に記録しておき、第1の撮影制御の後にフォーカス情報生成処理及び表示制御を実行することができる。また、第1の撮影制御の後にフォーカス情報生成処理を実行してフォーカス情報を生成し、このフォーカス情報を第1の撮影制御で得られた時系列画像に関連付けることができる。これにより、この時系列画像を再生するときに、撮影時のフォーカス状態の情報をユーザーに提供することができる。
【0323】
反復的スリットスキャンのための第1の撮影制御と並行して第2の撮影制御とフォーカス情報生成処理とを実行する態様によれば、眼底Efの時系列画像を取得するための反復的スリットスキャンを実行しているときの撮影ユニット2のフォーカス状態をリアルタイムで検知することができるとともに、フォーカス情報の生成もリアルタイムで実行することが可能である。本態様によれば、例えば、反復的スリットスキャンのための第1の撮影制御と並行して実行された第2の撮影制御及びフォーカス情報生成処理で得られたフォーカス情報をメモリ5に記録しておき、第1の撮影制御の後に表示制御を実行することができる。また、反復的スリットスキャンのための第1の撮影制御と並行して実行されたフォーカス情報生成処理で生成されたフォーカス情報を第1の撮影制御で得られた時系列画像に関連付けることができる。これにより、この時系列画像を再生するときに、撮影時のフォーカス状態の情報をユーザーに提供することができる。
【0324】
反復的スリットスキャンのための第1の撮影制御と並行して第2の撮影制御とフォーカス情報生成処理と表示制御とを実行する態様によれば、眼底Efの時系列画像を取得するための反復的スリットスキャンを実行しているときの撮影ユニット2のフォーカス状態のリアルタイム検知とフォーカス情報のリアルタイム生成とに加えて、フォーカス情報に基づく情報表示もリアルタイムで実行することが可能である。本態様によれば、眼底Efの反復的スリットスキャンを実行しながらリアルタイムでフォーカス状態の情報を提示することができる。また、反復的スリットスキャンのための第1の撮影制御と並行して実行された第2の撮影制御、フォーカス情報生成処理及び表示制御で得られた表示情報(又は、フォーカス情報)を第1の撮影制御で得られた時系列画像に関連付けることができる。これにより、この時系列画像を再生するときに、撮影時のフォーカス状態の情報をユーザーに提供することができる。
【0325】
本実施形態のいくつかの態様のプロセッサ4Cは、被検眼Eの眼底Efに反復的スリットスキャンを適用するための第1の撮影制御と並行して、第2の撮影制御、フォーカス情報生成処理、及び表示制御を含む一連の処理を反復的に実行し、更に、当該反復的スリットスキャンで生成された時系列画像と当該一連の処理で生成された表示情報とをユーザーインターフェイス6のディスプレイに表示させるように当該表示制御を実行することができる。
【0326】
本態様によれば、眼底Efの時系列画像を取得するための反復的スリットスキャンを実行しながら、この時系列画像とフォーカス状態の情報とをリアルタイムで表示することが可能である。これにより、ユーザーは、撮影ユニット2のフォーカス状態を把握しながらリアルタイム眼底観察を行うことができる。
【0327】
本態様の眼科装置のプロセッサ4C(4D)の動作の非限定的な例を
図33に示す。
図33の動作例は、
図32の動作例の1つの非限定的な例である。
【0328】
図32の動作例と同様に、プロセッサ4Cは、アライメント制御(S91)及びオートフォーカス制御(S92)を実行し、撮影開始の指示を受け(S93)、時系列画像を取得するための第1の撮影制御及び時系列画像の表示(S94)を開始する。これにより、本態様の眼科装置は、被検眼Eの眼底Efに反復的スリットスキャンを適用しつつ、この反復的スリットスキャンで取得される時系列画像(観察画像)をユーザーインターフェイス6のディスプレイにリアルタイムで表示する。
【0329】
第1の撮影制御及び時系列画像の表示制御(S94)が開始された後、プロセッサ4Cは、撮影制御部404によって第2の撮影制御(S95)を実行し、フォーカス情報生成部405によってフォーカス情報生成処理(S96)を実行し、表示制御部406によって表示制御(S97)を実行する。フォーカス情報生成処理(S96)は、第2の撮影制御(S95)に基づき生成された画像から、第2の撮影制御(S95)が実行された時刻における撮影ユニット2のフォーカス状態を示すフォーカス情報を生成する。また、表示制御(S97)は、フォーカス情報生成処理(S96)で生成されたフォーカス情報に基づく表示情報を、ステップS94で表示が開始された時系列画像とともに、ユーザーインターフェイス6のディスプレイに表示させる。
【0330】
第2の撮影制御(S95)、フォーカス情報生成処理(S96)、及び表示制御(S97)からなる一連の処理は、ステップS98で「Yes(フォーカス状態のモニターは完了)」となるまで反復される。
【0331】
このような本態様の眼科装置によれば、被検眼Eの眼底Efの時系列画像を取得するために反復的スリットスキャンを実行している撮影ユニット2のフォーカス状態の情報を、この反復的スリットスキャンで取得されている時系列画像とともに、リアルタイムで提示することができる。ユーザーは、眼底Efの観察画像をリアルタイムで観察しつつ、眼底Efに対する撮影ユニット2のフォーカス状態をリアルタイムで把握することが可能である。
【0332】
本実施形態のいくつかの態様のプロセッサ4Cは、被検眼Eの眼底Efに反復的スリットスキャンを適用するための第1の撮影制御と並行して、第2の撮影制御、フォーカス情報生成処理、及び表示制御を含む一連の処理を反復的に実行し、更に、当該第1の撮影制御と当該一連の処理とを同期的に実行することができる。前述した
図23A、
図23B、及び
図23Cに示す態様は、本態様の1つの非限定的な例である。
【0333】
本態様によれば、眼底Efの時系列画像を取得するための反復的スリットスキャンを実行しながら、この反復的スリットスキャンに同期させてフォーカス状態を検知することができる。例えば、本態様の眼科装置は、眼底Efに反復的スリットスキャンを適用しながら、この反復的スリットスキャンに対応した所定の時間間隔でフォーカス状態の検知を行うことができる。
【0334】
非限定的な例として、プロセッサ4Cは、被検眼Eの眼底Efに対するスリット光の投射位置の一連の移動と一連の撮影との同期的な実行(つまり、1回のスリットスキャン)と、撮影ユニット2のフォーカス状態を検知するための画像を生成する第2の撮影とを交互に行うように、第1の撮影制御と第2の撮影制御とを同期的に実行することができる。本例により、前述した
図23A、
図23B、及び
図23Cに示す態様を実現することができる。
【0335】
更に、プロセッサ4Cは、1回のスリットスキャンと第2の撮影とを交互に行うための第1の撮影制御と第2の撮影制御との同期的な実行と並行して、当該スリットスキャンの繰り返しにより得られる時系列画像と、当該第2の撮影に基づき生成される表示情報とを、ユーザーインターフェイス6のディスプレイに表示させるように、表示制御を実行することができる。これにより、ユーザーは、撮影ユニット2のフォーカス状態を把握しながらリアルタイム眼底観察を行うことができる。
【0336】
本実施形態及びそのいくつかの非限定的な態様は、以下に説明する特徴を有していてよい。
【0337】
本実施形態に係る眼科装置は、撮影ユニット(例えば、撮影ユニット2)と、プロセッサ(例えば、プロセッサ4、4C又は4D)とを含む。撮影ユニットは、被検眼の眼底を撮影するように構成されている。プロセッサは、第1の撮影制御、第2の撮影制御、フォーカス情報生成処理、及び表示制御を実行するように構成されている。第1の撮影制御において、プロセッサは、被検眼の眼底に対するスリット光の投射位置を移動しつつ撮影を行う第1の撮影を撮影ユニットに実行させる。第2の撮影制御において、プロセッサは、被検眼の眼底に対する撮影ユニットのフォーカス状態を検知するための画像を生成する第2の撮影を撮影ユニットに実行させる。フォーカス情報生成処理において、プロセッサは、第2の撮影によって生成された画像に基づいて、撮影ユニットのフォーカス状態を示すフォーカス情報を生成する。表示制御において、プロセッサは、フォーカス情報生成処理によって生成されたフォーカス情報に基づく表示情報を表示装置(例えば、ユーザーインターフェイス6のディスプレイ)に表示させる。
【0338】
本実施形態のいくつかの非限定的な態様において、プロセッサは、第1の撮影制御において、被検眼の眼底に対するスリット光の投射位置の一連の移動と一連の撮影とを同期的に且つ反復的に行って時系列画像を生成するように撮影ユニットを制御するように構成されていてよい。これにより、本態様の眼科装置は、スリットスキャンによる撮影を眼底に繰り返し適用して時系列画像(観察画像、動画像)を生成することができる。
【0339】
本実施形態のいくつかの非限定的な態様において、プロセッサは、第2の撮影制御、フォーカス情報生成処理、及び表示制御を含む一連の処理を反復的に実行するように構成されていてよい。これにより、本態様の眼科装置は、撮影ユニットのフォーカス状態を検知するための撮影(第2の撮影)、その検知結果に基づくフォーカス情報の生成、及び、このフォーカス情報に基づく情報の表示を含む一連の処理を繰り返し実行することができる。
【0340】
本実施形態のいくつかの非限定的な態様において、プロセッサは、第2の撮影制御、フォーカス情報生成処理、及び表示制御を含む一連の処理のうちの少なくとも第2の撮影制御を、第1の撮影制御と並行して実行するように構成されていてよい。これにより、本態様の眼科装置は、時系列画像を取得するための反復的スリットスキャン(反復的な第1の撮影)を眼底に適用しながら、フォーカス状態を検知するための眼底撮影(第2の撮影)を実行することができる。
【0341】
本実施形態のいくつかの非限定的な態様において、プロセッサは、第2の撮影制御、フォーカス情報生成処理、及び表示制御を含む一連の処理のうちの少なくとも第2の撮影制御及びフォーカス情報生成処理を、第1の撮影制御と並行して実行するように構成されていてよい。これにより、本態様の眼科装置は、時系列画像を取得するための反復的スリットスキャン(反復的な第1の撮影)を眼底に適用しながら、フォーカス状態を検知するための眼底撮影(第2の撮影)とフォーカス情報の生成とを実行することができる。
【0342】
本実施形態のいくつかの非限定的な態様において、プロセッサは、第2の撮影制御、フォーカス情報生成処理、及び表示制御を含む一連の処理を、第1の撮影制御と並行して実行するように構成されていてよい。これにより、本態様の眼科装置は、時系列画像を取得するための反復的スリットスキャン(反復的な第1の撮影)を眼底に適用しながら、フォーカス状態を検知するための眼底撮影(第2の撮影)とフォーカス情報の生成とフォーカス状態の情報の表示とを実行することができる。すなわち、本態様の眼科装置は、時系列画像を取得するための反復的スリットスキャン(反復的な第1の撮影)を眼底に適用しながら、フォーカス状態の情報をリアルタイムで提示することができる。
【0343】
本実施形態のいくつかの非限定的な態様において、プロセッサは、第2の撮影制御、フォーカス情報生成処理、及び表示制御を含む一連の処理を第1の撮影制御と並行して実行するとともに、この表示制御において、時系列画像及び表示情報を表示装置に表示させるように構成されていてよい。これにより、本態様の眼科装置は、時系列画像を取得するための反復的スリットスキャン(反復的な第1の撮影)を眼底に適用しながら、フォーカス状態を検知するための眼底撮影(第2の撮影)と、フォーカス情報の生成と、フォーカス状態の情報の表示と、反復的スリットスキャンで取得されている時系列画像の表示とを実行することができる。すなわち、本態様の眼科装置は、時系列画像を取得するための反復的スリットスキャン(反復的な第1の撮影)を眼底に適用しながら、眼底の時系列画像と撮影ユニットのフォーカス状態の情報との双方をリアルタイムで提示することができる。
【0344】
本実施形態のいくつかの非限定的な態様において、プロセッサは、第2の撮影制御、フォーカス情報生成処理、及び表示制御を含む一連の処理を第1の撮影制御と並行して実行するとともに、第1の撮影制御とこの一連の処理とを同期的に実行するように構成されていてよい。これにより、本態様の眼科装置は、時系列画像を取得するための反復的スリットスキャン(反復的な第1の撮影)を眼底に適用しながら、フォーカス状態を検知するための眼底撮影(第2の撮影)と、フォーカス情報の生成と、フォーカス状態の情報の表示とを、この反復的スリットスキャンに同期した所定のタイミングで実行することができる。すなわち、本態様の眼科装置は、時系列画像を取得するための反復的スリットスキャン(反復的な第1の撮影)を眼底に適用しながら、この反復的スリットスキャンの動作タイミングに応じた所定のタイミングでフォーカス状態の情報をリアルタイムで提示することができる。
【0345】
本実施形態のいくつかの非限定的な態様において、プロセッサは、第2の撮影制御、フォーカス情報生成処理、及び表示制御を含む一連の処理を第1の撮影制御と並行して実行するとともに、第1の撮影制御とこの一連の処理とを同期的に実行するように構成されている場合において、更に、時系列画像を生成するために第1の撮影制御として実行される被検眼の眼底に対するスリット光の投射位置の一連の移動と一連の撮影との同期的な組み合わせと、第2の撮影とを交互に行うように、第1の撮影制御と第2の撮影制御とを同期的に実行するように構成されていてよい。これにより、本態様の眼科装置は、眼底の時系列画像を生成するための反復的スリットスキャン(反復的な第1の撮影)と、撮影ユニットのフォーカス状態を検知するための眼底撮影(第2の撮影)とを交互に行うことができる。したがって、反復的スリットスキャン実行中におけるフォーカス状態を所望の時間間隔(例えば、細かい時間間隔)でユーザーに提示することが可能である。
【0346】
本実施形態のいくつかの非限定的な態様において、プロセッサは、第2の撮影制御、フォーカス情報生成処理、及び表示制御を含む一連の処理を第1の撮影制御と並行して実行するとともに、第1の撮影制御とこの一連の処理とを同期的に実行するように構成されている場合であって、更に、時系列画像を生成するために第1の撮影制御として実行される被検眼の眼底に対するスリット光の投射位置の一連の移動と一連の撮影との同期的な組み合わせと、第2の撮影とを交互に行うように、第1の撮影制御と第2の撮影制御とを同期的に実行するように構成されている場合において、第1の撮影制御と第2の撮影制御との同期的な実行と並行して時系列画像及び表示情報を表示装置に表示させるように表示制御を実行するように構成されていてよい。これにより、本態様の眼科装置は、時系列画像を取得するための反復的スリットスキャン(反復的な第1の撮影)を眼底に適用しながら、フォーカス状態を検知するための眼底撮影(第2の撮影)と、フォーカス情報の生成と、フォーカス状態の情報の表示とを反復的スリットスキャンに同期して実行しつつ、反復的スリットスキャンで取得されている時系列画像の表示を実行することができる。すなわち、本態様の眼科装置は、反復的スリットスキャン(反復的な第1の撮影)を眼底に適用しながら、眼底の時系列画像をリアルタイムで表示しつつ、撮影ユニットのフォーカス状態の情報をリアルタイム且つ所望の時間間隔でユーザーに提示することが可能である。
【0347】
本実施形態のいくつかの非限定的な態様において、フォーカス情報生成処理によって生成されるフォーカス情報は、撮影ユニットのフォーカスが被検眼の眼底に合っているか否かを示す情報、撮影ユニットのフォーカスのズレ方向を示す情報、及び、撮影ユニットのフォーカスのズレ量を示す情報のうちの少なくとも1つを含んでいてよい。
【0348】
本実施形態に係る眼科装置は、別の実施形態に係る任意の事項を備えていてもよい。別の実施形態で説明された事項を含む本実施形態に係る眼科装置のいくつかの非限定的な例を以下に説明する。本実施形態に係る眼科装置に組み合わされる事項の詳細(具体例、変形例、作用、効果など)については、対応する実施形態を参照されたい。
【0349】
本実施形態のいくつかの非限定的な態様に係る眼科装置は、撮影ユニットのフォーカス調整を行うためのフォーカス調整ユニット(3)を含んでいてもよい。
【0350】
本実施形態のいくつかの非限定的な態様において、撮影ユニットは撮像装置(50)を含んでいてよく、プロセッサは、スリット光投射制御、条件決定制御、及びフォーカス調整制御を更に実行するように構成されていてよい。スリット光投射制御において、プロセッサは、被検眼の眼底にスリット光を投射するために撮影ユニットを制御する。条件決定処理において、プロセッサは、スリット光投射制御により眼底に投射されたスリット光の戻り光を検出した撮像装置からの出力に基づいてフォーカス調整条件を決定する。フォーカス調整制御において、プロセッサは、条件決定処理により決定されたフォーカス調整条件に基づいてフォーカス調整ユニットを制御する。
【0351】
本実施形態のいくつかの非限定的な態様において、プロセッサは、条件決定処理を実行する条件決定部(402)を含んでいてよい。条件決定部は、撮影ユニットの撮像装置により生成された画像中のスリット光像の位置に基づいてフォーカス調整条件を決定するように構成されていてよい。
【0352】
本実施形態のいくつかの非限定的な態様において、条件決定部は、撮影ユニットの撮像装置により生成された画像中のスリット光像の少なくとも一部の画像領域の輝度プロファイルであって、撮影ユニットによるスリット光の投射位置の移動方向に対応する第1の方向に沿った輝度プロファイルに基づいて、スリット光像の位置を決定するように構成されていてよい。
【0353】
本実施形態のいくつかの非限定的な態様において、条件決定部は、撮影ユニットの撮像装置により生成された画像中のスリット光像の少なくとも一部の画像領域を構成するピクセル群の輝度を、撮影ユニットによるスリット光の投射位置の移動方向に対応する第1の方向に直交する第2の方向に加算することによって、輝度プロファイルを生成するように構成されていてよい。
【0354】
本実施形態のいくつかの非限定的な態様において、撮影ユニットは、被検眼の眼底にスリット光を投射するように構成された第1の光学系(20、20A)と、第1の光学系により被検眼の眼底に投射されたスリット光の戻り光を撮像装置に導く第2の光学系(40)とを含んでいてよい。更に、フォーカス調整ユニットは、第1の光学系の焦点位置を調整するための第1のフォーカス調整ユニット(22M、25M)と、第2の光学系の焦点位置を調整するための第2のフォーカス調整ユニット(47M)とを含んでいてよい。加えて、条件決定部は、第1のフォーカス調整ユニットを制御するための第1のフォーカス調整条件と第2のフォーカス調整ユニットを制御するための第2のフォーカス調整条件とを含むフォーカス調整条件を決定するように構成されていてよい。
【0355】
本実施形態のいくつかの非限定的な態様において、第1の光学系(20)は、光源(10)と、光源により発せられた光からスリット光を生成するためのスリット絞り(22)とを含んでいてよく、スリット絞りにより生成されたスリット光を被検眼の眼底に投射するように構成されていてよい。第2の光学系はフォーカスレンズ(47)を含んでいてよい。更に、第1のフォーカス調整ユニットは、第1の光学系の光軸に沿う方向にスリット絞りを移動するための第1の移動機構(22M)を含んでいてよく、且つ、第2のフォーカス調整ユニットは、第2の光学系の光軸に沿う方向にフォーカスレンズを移動するための第2の移動機構(47M)を含んでいてよい。加えて、条件決定部は、第1の移動機構を制御するための第1の移動制御条件を第1のフォーカス調整条件として決定し、且つ、第2の移動機構を制御するための第2の移動制御条件を第2のフォーカス調整条件として決定するように構成されていてよい。
【0356】
本実施形態のいくつかの非限定的な態様において、第1の移動制御条件は、スリット絞りの移動方向及び移動距離を示す情報を含んでいてよく、第2の移動制御条件は、フォーカスレンズの移動方向及び移動距離を示す情報を含んでいてよい。
【0357】
本実施形態のいくつかの非限定的な態様において、第1の光学系(20A)は、光源(10)、虹彩絞り(21)、レンズ(24)、及びスリット絞り(22)を含んでいてよい。虹彩絞りは、被検眼の虹彩に対して光学的に略共役な位置に配置され、光源により発せられた光を通過させる開口部が形成されている。レンズは、虹彩絞りの開口部を通過した光を屈折する。スリット絞りは、レンズにより屈折された光からスリット光を生成する。第1の光学系は、スリット絞りにより生成されたスリット光を被検眼の眼底に投射する。第2の光学系は、フォーカスレンズ(47)を含んでいてよい。更に、第1のフォーカス調整ユニットは、第1の光学系の光軸に沿う方向に光源、虹彩絞り、レンズ、及びスリット絞りを一体的に移動するための第3の移動機構(25M)を含んでいてよく、且つ、第2のフォーカス調整ユニットは、第2の光学系の光軸に沿う方向にフォーカスレンズを移動するための第4の移動機構(47M)を含んでいてよい。加えて、条件決定部は、第1のフォーカス調整ユニットの第3の移動機構を制御するための第3の移動制御条件を第1のフォーカス調整条件として決定し、且つ、第2のフォーカス調整ユニットの第4の移動機構を制御するための第4の移動制御条件を第2のフォーカス調整条件として決定するように構成されていてよい。
【0358】
本実施形態のいくつかの非限定的な態様において、第3の移動制御条件は、光源、虹彩絞り、レンズ、及びスリット絞りの移動方向及び移動距離を示す情報を含んでいてよく、且つ、第4の移動制御条件は、フォーカスレンズの移動方向及び移動距離を示す情報を含んでいてよい。
【0359】
本実施形態のいくつかの非限定的な態様において、プロセッサは、スリット光投射制御において、被検眼の眼底に投射されるスリット光を撮影ユニットの光軸に対して所定距離だけ離隔した位置から発するように撮影ユニットを制御するように構成されていてよい。更に、条件決定部は、撮影ユニットの撮像装置により生成された画像中のスリット光像の位置と、撮影ユニットの焦点距離と、上記所定距離(撮影ユニットの光軸とスリット光の出力位置との間の距離)とに基づいて、フォーカス調整条件を決定するように構成されていてよい。
【0360】
本実施形態のいくつかの非限定的な態様において、撮影ユニットは、被検眼に導かれるスリット光を偏向することによって眼底に対するスリット光の投射位置を移動する光スキャナー(30)を含んでいてよい。更に、プロセッサは、スリット光投射制御を実行する投射制御部(401)を含んでいてよい。投射制御部は、光スキャナーによるスリット光の偏向方向が固定された状態で被検眼の眼底にスリット光を投射するように撮影ユニットを制御するように構成されていてよい。加えて、条件決定部は、光スキャナーによるスリット光の偏向方向が固定された状態で被検眼の眼底に投射されたスリット光に対応する、撮影ユニットの撮像装置により生成された画像中のスリット光像の位置に基づいて、フォーカス調整条件を決定するように構成されていてよい。
【0361】
本実施形態のいくつかの非限定的な態様において、プロセッサは、スリット光投射制御を実行する投射制御部を含んでいてよい。投射制御部は、被検眼の眼底におけるスリット光の投射位置が異なる第1のスリット光及び第2のスリット光を出力するように撮影ユニットを制御するように構成されていてよい。更に、条件決定部は、第1のスリット光に対応する第1のスリット光像と第2のスリット光に対応する第2のスリット光像との相対位置に基づいてフォーカス調整条件を決定するように構成されていてよい。
【0362】
本実施形態に係る眼科装置のいくつかの非限定的な態様について以上に説明したが、本実施形態のカテゴリーは眼科装置に限定されない。眼科装置以外の本実施形態のカテゴリーとして、眼科装置を制御する方法、眼底を撮影する方法、プログラム、記録媒体などがある。これらのカテゴリーの実施形態が本実施形態に係る眼科装置によって為し得るものであることは、当業者であれば理解することができるであろう。
【0363】
これらのカテゴリーの実施形態によっても、本実施形態に係る眼科装置と同様に、スリットスキャンを実行する光学系のフォーカス状態の情報を提示するための新規な技術を提供することが可能である。
【0364】
以下、これらのカテゴリーのいくつかの非限定的な実施形態について説明する。これらのカテゴリーのいずれかの実施形態に対して、本実施形態に係る眼科装置に関して説明した任意の事項や、別の実施形態で説明した任意の事項や、任意の公知技術を組み合わせることが可能である。
【0365】
いくつかの実施形態に係る、眼科装置を制御する方法は、撮影ユニットとプロセッサとメモリとを含む眼科装置を制御する新規な方法を提供する。ここで、撮影ユニットは、被検眼の眼底を撮影するように構成されている。本実施形態に係る方法は、プロセッサに、第1の撮影制御ステップと、第2の撮影制御ステップと、フォーカス情報生成ステップと、表示制御ステップとを実行させる。第1の撮影制御ステップでは、プロセッサは、被検眼の眼底に対するスリット光の投射位置を移動しつつ撮影を行う第1の撮影を実行するように撮影ユニットを制御する。第2の撮影制御ステップでは、プロセッサは、被検眼の眼底に対する撮影ユニットのフォーカス状態を検知するための画像を生成する第2の撮影を実行するように撮影ユニットを制御する。フォーカス情報生成ステップでは、プロセッサは、第2の撮影制御ステップに基づく第2の撮影によって撮影ユニットにより生成された画像に基づいて、撮影ユニットのフォーカス状態を示すフォーカス情報を生成する。表示制御ステップでは、プロセッサは、フォーカス情報生成ステップで生成されたフォーカス情報に基づく表示情報を表示装置(ユーザーインターフェイス6のディスプレイ)に表示させる。
【0366】
いくつかの実施形態に係る、眼底を撮影する方法は、次のステップを含んでいる:被検眼の眼底に対するスリット光の投射位置を移動しつつ撮影を行う第1の撮影を実行するステップ;被検眼の眼底に対するフォーカス状態を検知するための画像を生成する第2の撮影を実行するステップ;第2の撮影によって生成された画像に基づいてフォーカス状態を示すフォーカス情報を生成するステップ;生成されたフォーカス情報に基づく表示情報を表示するするステップ。
【0367】
いくつかの実施形態に係るプログラムは、眼科装置に実行させるための新規なプログラムである。この眼科装置は、撮影ユニットと、プロセッサと、メモリとを含んでいる。撮影ユニットは、被検眼の眼底を撮影するように構成されている。本実施形態に係るプログラムは、眼科装置のプロセッサに、第1の撮影制御ステップと、第2の撮影制御ステップと、フォーカス情報生成ステップと、表示制御ステップとを実行させる。第1の撮影制御ステップでは、プロセッサは、本実施形態に係るプログラムにしたがって、被検眼の眼底に対するスリット光の投射位置を移動しつつ撮影を行う第1の撮影を実行するように撮影ユニットを制御する。第2の撮影制御ステップでは、プロセッサは、本実施形態に係るプログラムにしたがって、被検眼の眼底に対する撮影ユニットのフォーカス状態を検知するための画像を生成する第2の撮影を実行するように撮影ユニットを制御する。フォーカス情報生成ステップでは、プロセッサは、本実施形態に係るプログラムにしたがって、第2の撮影制御ステップに基づく第2の撮影によって撮影ユニットにより生成された画像に基づいて、撮影ユニットのフォーカス状態を示すフォーカス情報を生成する。表示制御ステップでは、プロセッサは、本実施形態に係るプログラムにしたがって、フォーカス情報生成ステップで生成されたフォーカス情報に基づく表示情報を表示装置(ユーザーインターフェイス6のディスプレイ)に表示させる。
【0368】
いくつかの実施形態に係る記録媒体は、いずれかの実施形態に係るプログラムが記録された、コンピュータ可読な非一時的記録媒体である。本実施形態に係る記録媒体として使用可能な、コンピュータ可読な非一時的記録媒体は、任意の形態の記録媒体であってよく、例えば、磁気ディスク、光ディスク、光磁気ディスク、及び半導体メモリのいずれかであってよい。
【0369】
本開示は、いくつかの実施形態及びそのいくつかの例示的な態様を提示するものである。これらの実施形態及び態様は、本発明の例示に過ぎない。したがって、本発明の要旨の範囲内における任意の変形(省略、置換、付加など)を、本開示において提示された実施形態や態様に適用することが可能である。
【符号の説明】
【0370】
1 眼科装置
2 撮影ユニット
4 プロセッサ
404 撮影制御部
405 フォーカス情報生成部
406 表示制御部