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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024098243
(43)【公開日】2024-07-23
(54)【発明の名称】流体開閉弁
(51)【国際特許分類】
   F16K 37/00 20060101AFI20240716BHJP
【FI】
F16K37/00 B
【審査請求】未請求
【請求項の数】8
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023001621
(22)【出願日】2023-01-10
(71)【出願人】
【識別番号】000208064
【氏名又は名称】大洋技研工業株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100119585
【弁理士】
【氏名又は名称】東田 潔
(74)【代理人】
【識別番号】100096998
【弁理士】
【氏名又は名称】碓氷 裕彦
(72)【発明者】
【氏名】邵 煕鵬
(72)【発明者】
【氏名】森 克巳
【テーマコード(参考)】
3H065
【Fターム(参考)】
3H065AA01
3H065BA01
3H065BA06
3H065BB06
3H065BC03
(57)【要約】
【課題】流体開閉弁が低圧で閉じているのか、所定圧で開いているのか、及び、高圧で閉じているのかを使用者が容易に判断できるようにする。
【解決手段】低圧でダイヤフラムが第1位置にある時、低圧表示部が所定圧表示部より第2方向に露出し、使用者は低圧状態で流体開閉弁が閉じていることを直感できる。また、所定圧でダイヤフラムが第3位置にある時、低圧表示部は所定圧表示部に覆われ、所定圧表示部が最も目につきやすくなる。これにより、使用者は所定圧状態で流体開閉弁が開いていることを把握できる。更に、高圧でダイヤフラムが第2位置にある状態では、高圧表示部は所定圧表示部より第2方向に飛び出ることとなる。その為、ダイヤフラムの第2位置にある際に、高圧表示部が目立ち、使用者は高圧状態で流体開閉弁が閉じていることを確認できる。
【選択図】図4
【特許請求の範囲】
【請求項1】
ダイヤフラム室、このダイヤフラム室に流体を流入する流入通路、前記ダイヤフラム室から流体を流出する流出通路を備えるバルブ本体と、
前記ダイヤフラム室と略円形のダイヤフラムを挟んで配置され大気連通口を介して内部が大気圧に保たれる定圧室を形成するバルブカバーと、
前記ダイヤフラム室に配置され、前記ダイヤフラムの前記ダイヤフラム室側への変位方向である第1方向及び前記ダイヤフラムの前記定圧室側への変位方向である第2方向に移動可能で、前記ダイヤフラムが前記第1方向の端側である第1位置と前記第2方向の端側である第2位置にある際に前記流入通路と前記流出通路を遮断し、前記第1方向及び前記第2方向の中間部位である第3位置にある際に前記流入通路と前記流出通路とを連通させる弁体機構と、
前記バルブカバーの前記大気連通口に対して前記第1方向及び前記第2方向に移動可能に配置され、前記ダイヤフラムの前記第1位置から前記第2位置まで変位する高圧表示部と、
前記バルブカバーの前記大気連通口に対して前記第1方向及び前記第2方向に移動可能に配置され、前記ダイヤフラムの前記第1位置から前記第3位置まで変位する所定圧表示部と、
前記バルブカバーの前記大気連通口に固定配置され、前記ダイヤフラムが前記第1位置にある時前記所定圧表示部より前記第2方向に露出し、前記ダイヤフラムが前記第3位置にある時前記所定圧表示部により覆われる低圧表示部を有する固定部材と、
を備えることを特徴とする流体開閉弁。
【請求項2】
前記所定圧表示部には貫通穴が形成されており、前記低圧表示部はこの貫通穴を貫通可能に配置され、前記ダイヤフラムが前記第1位置にある時前記低圧表示部は前記貫通穴より突出し、前記ダイヤフラムが前記第3位置にある時前記低圧表示部は前記貫通穴内に埋没する
ことを特徴とする請求項1に記載の流体開閉弁。
【請求項3】
前記低圧表示部及び前記貫通穴は、前記ダイヤフラムの中心軸を中心に略点対称となる位置に複数配置されている
ことを特徴とする請求項2に記載の流体開閉弁。
【請求項4】
前記固定部材には、前記所定圧表示部の前記第1位置から前記第3位置までの前記第1方向及び前記第2方向の移動を許容し、前記所定圧表示部の前記第3位置から前記第2位置までの前記第2方向の移動を阻止する係止機構が形成されている
ことを特徴とする請求項1に記載の流体開閉弁。
【請求項5】
前記所定圧表示部を前記第2方向に付勢する所定圧表示部バネを更に備える
ことを特徴とする請求項4に記載の流体開閉弁。
【請求項6】
前記ダイヤフラムを前記第1方向に付勢するダイヤフラム付勢バネを更に備える
ことを特徴とする請求項1に記載の流体開閉弁。
【請求項7】
前記高圧表示部と前記所定圧表示部と前記低圧表示部とは、互いに異なる色に着色されている
ことを特徴とする請求項1に記載の流体開閉弁。
【請求項8】
前記弁体機構は、前記第1方向及び前記第2方向に前記ダイヤフラムと共に移動するカム構造体と、前記第1方向及び前記第2方向とは直交する方向であって前記流入通路に形成された弁座から前記ダイヤフラム室に向かう方向である第3方向及び前記流入通路の前記ダイヤフラム室から前記弁座に向かう方向である第4方向に移動して、前記弁座を開閉する弁体部材とを備え、
前記カム構造体は、前記第1位置と前記第2位置が、前記第3位置より前記第3方向に変移した形状であり、
前記弁体部材は、前記弁座と当接離脱する弁本体と、前記カム構造体と当接して前記カム構造体の前記第1方向及び前記第2方向の移動を前記第3方向及び第4方向の変位に代えて前記弁本体に伝える弁ロットとを備える
ことを特徴とする請求項1に記載の流体開閉弁。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本件の開示は流体の圧力に応じて流路の開閉を切り替える開閉弁に関し、例えば、ガス配管の開閉等に用いることができる。
【背景技術】
【0002】
流体の開閉弁として、流体の圧力に応じて流体圧が低圧側所定圧より低い状態では流路を閉じ、低圧側所定圧と高圧側所定圧との間の作動圧の状態では流路を開き、流体圧が高圧側所定圧より高くなると流路を閉じる開閉弁が用いられる場合がある。特許文献1記載の流体開閉弁では、閉、開、閉の3つの状態を切り替えて維持するために、圧力に応じて変移するダイヤフラムを用いている。そして、ダイヤフラムの変位は大気連通口に配置されたキャップに伝達される。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】中国特許公告CN213745105U号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
ただ、キャップはダイヤフラムの変位に応じて移動するものの、キャップ自体によりダイヤフラムの位置、即ち、流体開閉弁の開閉位置を直感的に表示することはない。その為、使用者にとって、流体開閉弁の位置が定常の開状態であるのか、異常時の閉状態であるのかを直ちに判断することが困難であった。
【0005】
本件開示は、上記点に鑑み、流体開閉弁が低圧で閉じているのか、所定圧で開いているのか、及び、高圧で閉じているのかを使用者が容易に判断できるようにすることを課題としている。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本開示の一つは、ダイヤフラム室このダイヤフラム室に流体を流入する流入通路ダイヤフラム室から流体を流出する流出通路を備えるバルブ本体と、ダイヤフラム室と略円形のダイヤフラムを挟んで配置され大気連通口を介して内部が大気圧に保たれる定圧室を形成するバルブカバーとを有する流体開閉弁である。本開示の一つは、ダイヤフラム室に配置され、ダイヤフラムのダイヤフラム室側への変位方向である第1方向及びダイヤフラムの定圧室側への変位方向である第2方向に移動可能で、ダイヤフラムが第1方向の端側である第1位置と第2方向の端側である第2位置にある際に流入通路と流出通路を遮断し、第1方向及び第2方向の中間部位である第3位置にある際に流入通路と流出通路とを連通させる弁体機構も有している。
【0007】
また、本開示の一つは、バルブカバーの大気連通口に対して第1方向及び第2方向に移動可能に配置され、ダイヤフラムの第1位置から第2位置まで変位する高圧表示部と、バルブカバーの大気連通口に対して第1方向及び第2方向に移動可能に配置され、ダイヤフラムの第1位置から第3位置まで変位する所定圧表示部と、バルブカバーの大気連通口に固定配置され、ダイヤフラムが第1位置にある時所定圧表示部より第2方向に露出し、ダイヤフラムが第3位置にある時所定圧表示部により覆われる低圧表示部を有する固定部材も備えている。
【0008】
本開示の一つによれば、ダイヤフラムが第1位置にある時、低圧表示部が所定圧表示部より第2方向に露出しているので、低圧表示部を見ることで、使用者は低圧状態で流体開閉弁が閉じていることを直感できる。また、ダイヤフラムが第3位置にある時、低圧表示部は所定圧表示部に覆われ、所定圧表示部が最も目につきやすくなる。これにより、使用者は、所定圧状態で流体開閉弁が開いていることを把握できる。更に、高圧表示部はダイヤフラムの第2位置まで移動できるのに対し、所定圧表示部はダイヤフラムの第3位置迄しか移動できない。その為、ダイヤフラムが第2位置にある状態では、高圧表示部は所定圧表示部より第2方向に飛び出ることとなる。その為、ダイヤフラムの第2位置にある際に、高圧表示部が目立ち、使用者は高圧状態で流体開閉弁が閉じていることを確認できる。
【0009】
本開示の他は、所定圧表示部には貫通穴が形成されており、低圧表示部はこの貫通穴を貫通可能に配置されている。そして、ダイヤフラムが第1位置にある時低圧表示部は貫通穴より突出し、ダイヤフラムが第3位置にある時低圧表示部は貫通穴内に埋没する。
【0010】
本開示の他によれば、ダイヤフラムが第1位置にある時低圧表示部は貫通穴より突出しているので、突出した低圧表示部を見ることで、使用者は低圧状態で流体開閉弁が閉じていることを直感できる。また、ダイヤフラムが第3位置にある時低圧表示部は貫通穴内に埋没するので、低圧表示部を見ることができない。その為、使用者は、所定圧状態で流体開閉弁が開いていることを把握できる。
【0011】
本開示の他は、低圧表示部及び貫通穴は、ダイヤフラムの中心軸を中心に略点対称となる位置に複数配置されている。複数配置されているので、使用者が低圧状態で流体開閉弁が閉じているのか、所定圧状態で流体開閉弁が開いているのかを確実に把握できる。特に、ダイヤフラムの中心軸を中心に略点対称となる位置に配置されているので、使用者にとって把握しやすい。
【0012】
本開示の更に他は、固定部材には、所定圧表示部の第1位置から第3位置までの第1方向及び第2方向の移動を許容し、所定圧表示部の第3位置から第2位置までの第2方向の移動を阻止する係止機構が形成されている。これにより、所定圧表示部が第3位置から更に第2方向に移動するのを防ぐことができる。換言すれば、高圧表示部のみが第2方向に移動し、高圧時に高圧表示部を所定圧表示部より飛び出させることができる。
【0013】
本開示の更に他は、所定圧表示部を第2方向に付勢する所定圧表示部バネを更に備えている。これにより、所定圧表示部を高圧表示部と共に第2方向に第3位置まで変位させることができる。
【0014】
更なる本開示は、ダイヤフラムを第1方向に付勢するダイヤフラム付勢バネを更に備えている。ダイヤフラム付勢バネは必須ではないが、ダイヤフラム付勢バネを加えることでダイヤフラムの挙動を安定させることができる。
【0015】
本開示の更なる開示は、高圧表示部と所定圧表示部と低圧表示部とは、互いに異なる色に着色されている。高圧表示部、所定圧表示部及び低圧表示部の色を変えることで、使用者にとって、高圧で流体開閉弁が閉じているのか、所定圧で流体開閉弁が開いているのか、若しくは低圧で流体開閉弁が閉じているのかを一層容易に判断することが可能である。
【0016】
本開示の更なる開示では、弁体機構は、第1方向及び第2方向にダイヤフラムと共に移動するカム構造体と、第1方向及び第2方向とは直交する方向であって流入通路に形成された弁座からダイヤフラム室に向かう方向である第3方向及び流入通路のダイヤフラム室から弁座に向かう方向である第4方向に移動して弁座を開閉する弁体部材とを備えている。且つ、カム構造体は、第1位置と第2位置が、第3位置より第3方向に変移した形状であり、弁体部材は、弁座と当接離脱する弁本体と、カム構造体と当接してカム構造体の第1方向及び第2方向の移動を第3方向及び第4方向の変位に代えて弁本体に伝える弁ロットとを備えている。
【0017】
この開示によれば、弁体機構により、高圧状態で流体開閉弁を確実に閉じることができる。そして、所定圧状態では、流体開閉弁をスムーズに開くことができ、併せて、低圧状態でも流体開閉弁を確実に閉じることができる。
【図面の簡単な説明】
【0018】
図1図1は、流体開閉弁の低圧閉弁状態(第1位置)の断面図である。
図2図2は、流体開閉弁の所定圧開弁状態(第3位置)の断面図である。
図3図3は、流体開閉弁の高圧閉弁状態(第2位置)の断面図である。
図4図4は、図1図示流体開閉弁の高圧表示部、所定圧表示部及び低圧表示部を示す斜視図である。
図5図5は、図2図示流体開閉弁の高圧表示部、所定圧表示部及び低圧表示部を示す斜視図である。
図6図6は、図3図示流体開閉弁の高圧表示部、所定圧表示部及び低圧表示部を示す斜視図である。
図7図7は、流体開閉弁の他の例の高圧表示部、所定圧表示部及び低圧表示部を示す斜視図である。
図8図8は、流体開閉弁の他の例のバルブカバー部分を示す断面図である。
図9図9は、流体開閉弁の他の例の低圧閉弁状態(第1位置)の断面図である。
図10図10は、流体開閉弁の他の例の所定圧開弁状態(第3位置)の断面図である。
図11図11は、流体開閉弁の他の例の高圧閉弁状態(第2位置)の断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0019】
図1ないし図3において、1は流体開閉弁である。100はバルブ本体で、アルミニウム若しくはアルミニウム合金のダイキャストにより成形されている。このバルブ本体100には最大径が50~60ミリメートル程度の円筒形のダイヤフラム室110が形成されている。また、バルブ本体100には、このダイヤフラム室110に流体を流入する流入通路120も形成されている。なお、流体として本例ではガスを用いている。そして、流入通路120はガス会社等からのガス同入管に連結している。流入通路120の内径は5~10ミリメートル程度である。
【0020】
バルブ本体100には、この流入通路120のダイヤフラム室110とは反対側面に弁座130が形成されている。また、バルブ本体100には、ダイヤフラム室110から流体を流出する流出通路140も形成されている。流出通路140の内径も5~10ミリメートル程度である。そして、流出通路140の下流には、ポリアセタールPOMやナイロン等の樹脂製の流出管(図示せず)が配置されている。なお、流出管には、家庭用のガスコンロ等のガス機器と流体開閉弁1とを繋ぐガス配管が接続される。
【0021】
バルブ本体100のダイヤフラム室110と対向して、アルミニウム若しくはアルミニウム合金製のバルブカバー300が配置されている。このバルブカバー300とバルブ本体100とによって、ニトリルゴム製で円形のダイヤフラム310の外周が挟持される。従って、ダイヤフラム室110はダイヤフラム310により閉じられる。また、バルブカバー300はダイヤフラム310によりダイヤフラム室110から仕切られる。バルブカバー300の内部は、ダイヤフラム310との間で定圧室320が形成されている。定圧室320は円筒状の大気連通口330を介して大気と連通し、従って、定圧室320は大気圧となっている。
【0022】
ダイヤフラム310は円形であるが、真円形である必要は無く、バルブカバー300の形状等に応じて多少の変形は許容される。ダイヤフラム310の内周部には、金属製のロット340が配置されている。ロット340はステンレス、鉄、アルミニウム若しくはアルミニウム合金等で形成されている。そして、ロット340は、直径5ミリメートル程度、長さ30ミリメートル程度の円柱形状である。
【0023】
ダイヤフラム310の内周部には、ポリアセタールPOMやナイロン等の樹脂製で、円盤状をした保持板350が配置されている。そして、ダイヤフラム310の内周部はこの保持板350と共に、ロット340に形成された鍔部341とナット342とにより挟持されている。ロット340の上方部分はバルブカバー300の大気連通口330によって摺動支持されている。即ち、ロット340はその下方部がダイヤフラム310の内周部により保持され、上方部は大気連通口330により保持されている。
【0024】
ロット340の上部には、肩部343が形成されており、この肩部343に高圧表示部360が係止している。高圧表示部360は、ポリアセタールPOMやナイロン等の樹脂製で、概略円筒状をし、円筒状の中間部内周に、円盤状の連結部361が掲載されている。高圧表示部360のうちこの連結部361がロット340の肩部343に係止され、その状態でサークリップ344によって締め付け固定されている。なお、連結部361には、大気連通口330と外部とを連通する連通口362が複数形成されている。
【0025】
高圧表示部360の第2方向端部の開口部には、円盤状の高圧表示板363が配置されている。この高圧表示板363もポリアセタールPOMやナイロン等の樹脂製である。高圧表示板363には、高圧表示板係止部364が形成されている。そして、この高圧表示板係止部364のスナップフィットで、高圧表示部360内周の高圧表示部係止部365に係合している。従って、高圧表示板363は高圧表示部360に一部をなし、高圧表示部360と共に移動可能である。
【0026】
高圧表示部360の外周には、高圧表示部360の外径よりやや大きい内径を持つ円筒状をした所定圧表示部380が配置されている。この所定圧表示部380もポリアセタールPOMやナイロン等の樹脂製である。所定圧表示部380の外周には所定圧係止部381が形成され、この所定圧係止部381とバルブカバー300の上面との間に所定圧表示部バネ382が配置されている。即ち、バルブカバー300の上面にはバネ受けが形成され、このバネ受けと所定圧係止部381との間に介在する所定圧表示部バネ382によって、所定圧表示部380はバルブカバー300より第2方向に付勢されている。これにより、高圧表示部360が第2方向に変位する際には、所定圧表示部380も同様に第2方向に変位する。
【0027】
所定圧表示部380の外周には、所定圧表示部380の外径よりやや大きい内径を持つ円筒状をした固定部材390が配置されている。この固定部材390もポリアセタールPOMやナイロン等の樹脂製である。そして、固定部材390の内周には、所定圧係止部381と係合する固定部材係止部391が形成されている。所定圧表示部380が第2方向に所定距離移動すると、所定圧係止部381が固定部材係止部391と係合し、所定圧表示部380がそれ以上第2方向に移動するのを阻止する。なお、固定部材390はバルブカバー300の上面に嵌合して固定されている。従って、固定部材390は第1方向や第2方向に移動することは無い。
【0028】
所定圧表示部380の第2方向端部は外周に広がって所定圧表示鍔部384が形成されている。そして、この所定圧表示鍔部384には、ダイヤフラム310の中心軸を中心として周方向に等間隔離れた貫通穴383が4カ所形成されている(図7図示)。そして、固定部材390の第2方向端部には、この貫通穴383を貫通するように低圧表示部392が形成されている。
【0029】
定圧室320には、ダイヤフラム310をダイヤフラム室110側に押圧するダイヤフラム付勢バネ370が配置されている。このダイヤフラム付勢バネ370は、バネ鋼製で、一端は保持板350に当接し、他端はバルブカバー300に形成された当接面301に当接している。
【0030】
ロット340の下方にはカム構造体400が配置されている。カム構造体400はポリアセタールPOMやナイロン等の樹脂製で、ロット340の下部に形成された係合穴345にカム構造体400の係止ピン401が嵌り合っている。本例では、ダイヤフラム310、ロット340及びカム構造体400は、ダイヤフラム室110と定圧室320との圧力差に応じて図1ないし図3の上下方向に変移する。ただ、図における流体開閉弁1の配置状態は一例であり、ロット340等は必ずしも上下動するものには限られない。そこで、図における下方向を第1方向と呼び、上方向を第2方向とする。第1方向は、ダイヤフラム310等がダイヤフラム室110側へ変位する方向である。また、第2方向は、ダイヤフラム310等が定圧室320側へ変位する方向である。
【0031】
また、第1方向及び第2方向と直交する左右方向であって、右方向を第3方向とし、左方向を第4方向とする。第3方向は、流入通路120の弁座130からダイヤフラム室110に向かう流体の流れ方向でもあり、弁座130を閉じる方向でもある。そして、第4方向は流入通路120のダイヤフラム室110から弁座130に向かう方向でもあり、弁座130を開く方向でもある。
【0032】
カム構造体400の第1方向(下側)の端部には、第1カム面410が形成されている。第1カム面410は第1方向及び第2方向(上下方向)にほぼ平坦となっている。また、カム構造体400の第2方向(上側)の端部には、第2カム面420が形成されている。第2カム面420も第1方向及び第2方向(上下方向)にほぼ平坦となっている。そして、第1カム面410と第2カム面420とは、第3方向及び第4方向(左右方向)にほぼ同じ位置に形成されている。
【0033】
カム構造体400の第1方向及び第2方向(上下方向)の中間部位には、第3カム面430が形成されている。この第3カム面430も第1方向及び第2方向(上下方向)にほぼ平坦となっている。そして、第3カム面430は、第1カム面410及び第2カム面420に比較して、第4方向(左方向)に位置している。換言すれば、第1カム面410及び第2カム面420の方が、第3カム面430より弁座130から離脱する方向(第3方向)に位置している。
【0034】
カム構造体400の第3カム面430と第1カム面410との間は第1方向(下方向)に向かうにつれて第3方向(右方向)に傾斜する傾斜面(第1傾斜面440)となっている。また、第2カム面420と第3カム面430との間は第1方向(下方向)に向かうにつれて第4方向(左方向)に傾斜する傾斜面(第2傾斜面450)となっている。
【0035】
カム構造体400の第1ないし第3カム面410、420、430の形成された面とは逆の第3方向(右方向)の構造体底面460は、第1方向及び第2方向(上下方向)に平坦となっている。そして、この構造体底面460は、バルブ本体100に形成された支持面150によって支持されている。即ち、カム構造体400は、支持面150に沿って第1方向及び第2方向(上下方向)に摺動する。その為、この支持面150は、カム構造体400の第1方向及び第2方向(上下方向)の移動を支持するカムガイドでもある。ただ、カム構造体400の第1方向及び第2方向(上下方向)の移動はロット340によっても支持されている。上述の通り、ロット340の移動は下方部がダイヤフラム310の内周部により保持され、上方部は大気連通口330により保持されているので、ダイヤフラム310と大気連通口330も、カム構造体400の第1方向及び第2方向(上下方向)の移動を支持するカムガイドである。
【0036】
カム構造体400と接するように弁体部材500が配置されている。弁体部材500は、ポリアセタールPOMやナイロン等の樹脂製で、弁座130と当接、離脱する弁本体510とカム構造体400と接する弁ロット520を一体成形している。本例では、カム構造体400と弁体部材500により、弁体機構550が構成される。
【0037】
弁ロット520は、バルブ本体100に形成された保持通路160によって、第3方向及び第4方向(左右方向)の移動が可能な状態で保持されている。弁ロット520の先端521は球形状をしており、カム構造体400の第1カム面410、第1傾斜面440、第3カム面430、第2傾斜面450及び第2カム面420に沿ってスムーズに移動できるようになっている。
【0038】
弁本体510の弁座130と当接する面には、ゴム製のシール材511が接着されており、弁本体510が弁座130に着座した際、流入通路120を確実に閉じるようにしている。また、弁本体510は、弁付勢バネ530の付勢力によって弁座130側に押圧されており、この弁付勢バネ530によっても、弁本体510が弁座130に着座した際のシールを確実にしている。
【0039】
流入通路120の弁体部材500の上流部には、流量調整弁600が配置されている。上記の弁付勢バネ530の一端は、この流量調整弁600の通路絞り部610に係止されている。弁付勢バネ530の他端は、弁本体510に当接している。
【0040】
流量調整弁600は、通路絞り部610と対向してボール弁620が配置され、このボール弁620と通路絞り部610との間には、ボール弁620を通路絞り部610から引き離す方向に付勢するボール弁付勢バネ630が配置されている。ボール弁620及びボール弁付勢バネ630は流量調整弁ハウジング640内に配置されている。流量調整弁ハウジング640には通路穴641が多数形成されており、流量調整弁ハウジング640によって、流入通路120が絞られることは無い。なお、通路絞り部610、ボール弁620及び流量調整弁ハウジング640はいずれもポリアセタールPOMやナイロン等の樹脂製である。そして、通路絞り部610と流量調整弁ハウジング640とは接着されている。
【0041】
流出通路140には、通路の開閉を切り替える流体切替弁700が配置されている。流体切替弁700は、バルブ部材710とシール部材720とを備える。図1ないし図3に示すように、直線的に配置された流出通路140を横切るようにバルブ室705が形成されている。そして、このバルブ室705にバルブ部材710とシール部材720とが配置されている。
【0042】
バルブ部材710は、ポリアセタールPOMやナイロン等の樹脂製で、バルブ室705内で回動する。バルブ部材710及びシール部材720には連通通路730が形成されており、回動に伴い連通通路730が流出通路弁座141と対向すると、ダイヤフラム室110と流出通路140とが連通する。回動に伴い、シール部材720が流出通路弁座141と対向すると、ダイヤフラム室110と流出通路140との間が遮断される。なお、バルブ部材710及びシール部材720は、バルブ室705に対して偏芯して配置されている。それにより、回動によりシール部材720が流出通路弁座141と対向する位置では、シール部材720は流出通路弁座141に対して押し付けられ、シールを確実にすることができる。
【0043】
次に、上記構成の流体開閉弁1の作動を説明する。通常の作動時には、流体切替弁700は図1ないし図3の状態で、流出通路140を開いている。図1の状態は、流体開閉弁1がガス管と接続される前の状態及びガス管と接続されてもガスの圧力が大気圧より1キロパスカル未満高い状態である。図1の状態では、ダイヤフラム付勢バネ370により、ダイヤフラム310はダイヤフラム室110側(第1方向)に変移して第1位置にある。その為、弁ロット520の先端521は第2カム面420と当接している。
【0044】
弁体部材500の状態は、弁付勢バネ530の押圧力で保持している。その為、流体開閉弁1が配管と接続される前で、単体で輸送されている状態であっても、ロット340や弁体部材500等が移動することは、ダイヤフラム付勢バネ370や弁付勢バネ530の付勢力で、効果的に抑制されている。
【0045】
流体開閉弁1がガス配管と接続され、ダイヤフラム室110の圧力が大気圧より1キロパスカル程度以上上回ると、ダイヤフラム310は、ダイヤフラム付勢バネ370の付勢力に抗して定圧室320側(第2方向)に変移する。この変移に伴いカム構造体400も第2方向に移動する。このカム構造体400の移動に応じて、弁ロット520の先端521は第2傾斜面450と当接して、弁本体510を弁座130から引き離す方向(第4方向)に移動する。
【0046】
図2は、弁ロット520の先端521が第2傾斜面450を通過して第3カム面430と当接している状態である。図2の状態では、ダイヤフラム310は中間位置である第3位置にある。この状態で、弁本体510のシール材511は弁座130から離脱しており、流入通路120は開いている。また、この状態でガスの流量は、流量調整弁600によって調整される。
【0047】
流量調整弁600のボール弁620は、ボール弁付勢バネ630によって流量調整弁ハウジング640側に押圧されている。その為、通常は、通路絞り部610は絞られていなく、所定量のガスを流すことができる。ただ、ガスの流量が所定量を超えると、ボール弁620がボール弁付勢バネ630の付勢力に抗して通路絞り部610側に変位する。そして、ボール弁620と通路絞り部610とによりガスの流路を絞って、ガスの流量を制限する。このボール弁620と通路絞り部610とボール弁付勢バネ630との協働により、ガスの流量を所定量に調整している。特に本実施態様では、流量調整弁600の挙動は下流の流体開閉弁1と連動している。ダイヤフラム310の移動に応じて第1位置の状態から第3位置の状態に切り替わるとガスの流れは流量0から一気に上昇することとなる。また、第3位置の状態でもガス流量が急激に増加する可能性がある。そのような場合でも、流量調整弁600を備えることにより、下流に配置された流体開閉弁1の挙動を安定化させることができる。
【0048】
第3カム面430は所定の距離があるので、ダイヤフラム室110内の圧力が大気圧より1キロパスカル以上上昇して、カム構造体400が第1方向に移動しても、図2に示す状態を維持することができる。この状態は、ダイヤフラム室110内のガス圧が定圧室320内の大気圧より0.8~8キロパスカル程度高い状態である。
【0049】
即ち、ガスの所定の作動圧は大気圧より0.8~8キロパスカル程度高い圧力である。低圧側所定圧である0.8キロパスカルを下回ると、弁ロット520の先端521は第2傾斜面450を超えて第1カム面410と接する。これにより、図1に示す第1位置の状態に復帰する。
【0050】
ダイヤフラム室110内のガス圧が定圧室320内の大気圧より8キロパスカル程度以上高くなって、高圧側所定圧より高くなると、弁ロット520の先端521は第1傾斜面440を超えて第1カム面410と対向する。図3は、ガス圧が高圧側所定圧より高くなり、ダイヤフラム310が第2位置にある状態である。
【0051】
図1ないし図3に示すように、第1傾斜面440の傾斜角度は、第2傾斜面450の傾斜角度より急勾配となっている。これにより、ガス圧が高圧側所定圧より高くなると直ちに第1カム面410に移動できるようにしている。また、第1カム面410側に一旦移動すると、第3カム面430側に復帰するのを困難としている。逆に、第2傾斜面450の傾斜角度は緩斜面であるので、図2に示すガス圧が所定の作動圧である状態と、図1に示すガス圧が低圧側所定圧より低くなった状態との切り替えは、比較的容易に行える。
【0052】
図3に示すように、ガス圧が高圧側所定圧より高くなって、流体開閉弁1が閉じている状態では、流体切替弁700で流出通路140を閉じるのが望ましい。流体切替弁700の切り替え動作は、作業者がバルブ部材710に形成された操作部を手動で回動させることで行う。
【0053】
ガス圧の異常状態が解消して流体開閉弁1が機能復帰すれば、流体切替弁700も流出通路140を開く。作業者が操作部を90度回動させ、シール部材720は流出通路弁座から離れて、ガスが流れる状態に復帰する。
【0054】
流体開閉弁1は、以上の動作を行うが、本開示によれば使用者は流体開閉弁1がどの状態にあるのかを視覚的に把握することができる。流体開閉弁1の状態としては、まず、ダイヤフラム室110内の圧力が低く第1方向の端側にある第1位置である状態がある。これは、図1に示される流体開閉弁1が閉弁している状態である。また、ダイヤフラム室110内の圧力が高く第2方向の端側にある第2位置にある状態もある。この第2位置では、図3に示すように流体開閉弁1が閉弁状態となっている。そして、ダイヤフラム室110内の圧力が所定圧で、第1位置と第2位置との中間部位である第3位置にある状態もある。この第3位置は、図2に示すように流体開閉弁1が開弁状態である。
【0055】
図1に示す第1位置では、高圧表示部360も所定圧表示部380も共に第1方向に最も変位した状態である。その為、バルブカバー300に対して位置変動しない固定部材390の低圧表示部392は、所定圧表示部380の貫通穴383から第2方向に飛び出している。この状態を図4の斜視図で示すが、使用者には貫通穴383から飛び出した低圧表示部392が目に付くこととなる。特に、本例では低圧表示部392は黄色に着色され、所定圧表示部380及び高圧表示板363はバルブカバー300と同様のグレーに着色されているので、低圧表示部392が飛び出ていることが、使用者に強く印象付けられる。そして、低圧表示部392が飛び出ていることから、所定圧表示部380が第1方向に嵌り込んでいる状態が直感的に理解できる。これにより、ダイヤフラム310が第1方向に変位した第1位置であることが容易に把握できる。この第1位置は流体開閉弁1の閉弁状態で、利用開始前の輸送時やガス管に取り付けた直後の状態である。
【0056】
一方、図2に示す第3位置では、所定圧表示部380及び高圧表示部360は第2方向に移動している。より具体的には、高圧表示部360はロット340の移動と共に第2方向に移動する。そして、所定圧表示部380は所定圧表示部バネ382に付勢されて、高圧表示部360と共に第2方向に変位する。この所定圧表示部380及び高圧表示部360の第2方向への移動量は、ダイヤフラム室110内の圧力変動に応じて変化する。ただ、ガスの通常の使用状態では、概ね所定圧係止部381が固定部材係止部391と係合する位置である。
【0057】
その為、図5に示すように、低圧表示部392は所定圧表示部380の貫通穴383内に嵌り込むこととなる。その結果、黄色に着色された低圧表示部392は目立たなくなる。図4ないし図6の白黒表示では、所定圧表示部380と高圧表示板363が異なる明度となっているが、実際には、所定圧表示部380と高圧表示板363はバルブカバー300と同系のグレーに着色されている。その為、使用者には流体開閉弁1が定常状態であることが、直感的に視認できる。第3位置は、流体開閉弁1が開弁状態であり、定常的にガスが使用できている状態である。
【0058】
ダイヤフラム室110内の圧力が異常上昇し、図3に示す第2位置となると高圧表示部360はロット340の変位を受けて第2方向に更に移動する。一方、所定圧表示部380は、所定圧係止部381が固定部材係止部391と係合しているので、固定部材390によって第2方向の移動が規制される。その結果、図6に示すように、使用者には高圧表示部360が所定圧表示部380から飛び出ているように視認される。上述の通り高圧表示板363はグレーに着色されているが、高圧表示部360は赤色に着色されている。従って、第2位置では赤色に着色された高圧表示部360の円筒状部が所定圧表示部380から飛び出るので、使用者の注目を引きやすくなっている。これにより、使用者は流体開閉弁1が第2方向に変位していることを直感できる。第2位置は、流体開閉弁1が異常状態となって閉弁している状態である。
【0059】
なお、上述したのは、本開示の望ましい例であるが、本開示は種々の態様がある。図4ないし図6の例では、低圧表示部392は4本のピンとしていたが、図7に示すように、3本のピンとしても良い。低圧表示部392の数は3本、4本に限らず適宜設定できる。1本としても良い。ただ、複数の方が使用者の視認性が高まる。そして、低圧表示部392を複数とする場合には、ダイヤフラム310の中心軸に対して点対称となるように配置するのが、バランスが良い。
【0060】
低圧表示部392の形状は、図4ないし図6のように円柱状のピンとするのが、視認性を高める上で望ましい。ただ、低圧表示部392の形状は円柱状に限定されるものではない。四角柱状等他の形状としても良い。また、所定圧表示部380の貫通穴383も低圧表示部392が貫通できればよく、必ずしも穴である必要は無い。溝形状とすることも可能である。
【0061】
低圧表示部392を黄色に着色し、高圧表示板363を除いて高圧表示部360を赤色に着色することは、使用者に対して流体開閉弁1の状態を直感的に視認させることができ、望ましい。ただ、着色は黄色や赤色に限らず、他の色としても良い。また、必要に応じて、低圧表示部392と高圧表示部360の色を所定圧表示部380の色と同色とすることも可能である。
【0062】
上述の例では、定圧室320内にダイヤフラム付勢バネ370を配置していた。ダイヤフラム310の挙動を安定させることができて望ましい。ただ、ダイヤフラム310はダイヤフラム室110内の圧力と定圧室320内の圧力との差圧で変位できればよく、必ずしもダイヤフラム付勢バネ370は必須ではない。図8に示すように、ダイヤフラム付勢バネ370を廃止することも可能である。なお、図8は流体開閉弁1の第3位置を示している。
【0063】
上述の実施態様では、カム構造体400とロット340とを別部材としていたが、一体に形成しても良い。そして、一体形成する場合には、ロット340も廃止することができる。その場合には、カム構造体400を直接ダイヤフラム310に固定することとなる。また、ロット340を廃止した場合には、支持面150によってカム構造体400のカムガイドがなされることとなる。
【0064】
上述の例では、弁体機構550をカム構造体400と弁体部材500とで構成したが、他の弁体機構も勿論採用可能である。例えば磁石800を用いて、ダイヤフラム310が第1位置のある時は閉弁とし(図9図示)、第3位置にある時は開弁状態としても良い(図10図示)。そして、ダイヤフラム310が第2位置になると、磁石800が離れ、再度閉弁状態となるようにしても良い(図11図示)。なお、図9ないし図11は弁体機構550の概要を説明しており、本開示の所定圧表示部380等の記載は省略している。
【0065】
換言すれば、図9ないし図11は、本開示の高圧表示部360、所定圧表示部380及び低圧表示部392を備えていないので、使用者は単にキャップ810の位置変化しか認識することができない。その為、ダイヤフラム310が第3位置にあって流体開閉弁1が定常に開弁状態であるのか、ダイヤフラム310が第2位置にあって流体開閉弁1が異常な閉弁状態であるのかを直感的に把握することができない。
【0066】
上述の実施態様では、流体開閉弁1が流出管200、流量調整弁600、及び流体切替弁700を備えていた。流出管200はガス配管の取り回し方向を変えることができて有用である。流量調整弁600は、ガスの流量を一定量に制限できて有用である。また、流体切替弁700もガスの流れを遮断することができて有用である。ただ、これらの機能は本開示の流体開閉弁1にとって必須ではなく、必要に応じて廃止することも可能である。
【0067】
上述の実施態様では、樹脂材料としてポリアセタールPOMやナイロンを例示したが、他の材料としてもよい。また、樹脂材料に代えて亜鉛、鉄やアルミニウム合金等の金属製としてもよい。また、上記の実施態様で示した寸法は一例であり、他の大きさとすることは勿論可能である。
【0068】
上述の実施態様では、流体としてガスを用いた例を示した。ガスの圧力に応じて弁座130と当接離脱して流入通路120を開閉する使用方法は望ましい用途である。ただ、本開示の流体開閉弁は他の気体の開閉弁として用いることも可能であり、液体の開閉弁として用いることも可能である。
【符号の説明】
【0069】
1・・・流体開閉弁
100・・・バルブ本体
110・・・ダイヤフラム室
120・・・流入通路
140・・・流出通路
300・・・バルブカバー
310・・・ダイヤフラム
360・・・高圧表示部
380・・・所定圧表示部
390・・・固定部材
392・・・低圧表示部
400・・・カム構造体
500・・・弁体部材
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11