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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024098259
(43)【公開日】2024-07-23
(54)【発明の名称】臓器評価システム及び臓器評価方法
(51)【国際特許分類】
   A61B 5/026 20060101AFI20240716BHJP
【FI】
A61B5/026 140
【審査請求】未請求
【請求項の数】10
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023001648
(22)【出願日】2023-01-10
(71)【出願人】
【識別番号】504150450
【氏名又は名称】国立大学法人神戸大学
(71)【出願人】
【識別番号】510241915
【氏名又は名称】エバ・ジャパン 株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100120868
【弁理士】
【氏名又は名称】安彦 元
(72)【発明者】
【氏名】浦出 剛史
(72)【発明者】
【氏名】福本 巧
(72)【発明者】
【氏名】野呂 直樹
(72)【発明者】
【氏名】高良 洋平
【テーマコード(参考)】
4C017
【Fターム(参考)】
4C017AA11
4C017AC27
4C017BC07
4C017BD06
(57)【要約】
【課題】患者に負担をかけることなく、臓器の血流を評価することが可能な臓器評価システム及び臓器評価方法を提供する。
【解決手段】臓器評価システムは、手術中のユーザの臓器を含む画像を取得する取得手段と、前記取得手段により取得された画像に基づくスペクトル画像を取得するスペクトル取得手段と、前記スペクトル取得手段により取得されたスペクトル画像に基づき、前記臓器の血流を評価する評価手段とを備えることを特徴とする。
【選択図】図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
ユーザの臓器を含む画像を取得する取得手段と、
前記取得手段により取得された画像に基づくスペクトル画像を取得するスペクトル取得手段と、
前記スペクトル取得手段により取得されたスペクトル画像に基づき、前記臓器の血流に関する血流情報を評価する評価手段とを備えること
を特徴とする臓器評価システム。
【請求項2】
前記評価手段は、前記スペクトル取得手段により取得されたスペクトル画像に基づき、所定の波長範囲に含まれる特定波長を正規化波長とし、所定の波長範囲に含まれる特定波長を評価波長として選択し、前記正規化波長と前記評価波長との間において、前記正規化波長と前記評価波長との分光強度の差に基づいて前記血流情報を評価すること
を特徴とする請求項1に記載の臓器評価システム。
【請求項3】
前記評価手段は、450nm~800nmの波長帯に含まれる特定波長を第1正規化波長とし、550nm~950nmの波長帯に含まれる特定波長を第1評価波長として選択すること
を特徴とする請求項2に記載の臓器評価システム。
【請求項4】
前記評価手段は、予め取得された参照用スペクトル画像と血流情報の評価とからなるデータセットを学習データとして用い、入力を前記参照用スペクトル画像とし、出力を前記血流情報の評価として、機械学習により生成された評価モデルを用いて、前記スペクトル取得手段により取得されたスペクトル画像に基づき、前記血流情報を評価すること
を特徴とする請求項1に記載の臓器評価システム。
【請求項5】
前記スペクトル取得手段は、取得した前記スペクトル画像から、予め取得された臓器を示す基準波長との差分が閾値以下となる波長を抽出し、抽出した前記波長を示す前記スペクトル画像を取得すること
を特徴とする請求項1に記載の臓器評価システム。
【請求項6】
前記スペクトル取得手段は、予め取得された参照用スペクトル画像と臓器を示すスペクトル画像とからなるデータセットを学習データとして用い、入力を参照用スペクトル画像とし、出力を前記臓器を示すスペクトル画像として、機械学習により生成された抽出モデルを用いて、取得した前記スペクトル画像に基づいて、前記臓器を示すスペクトル画像を取得すること
を特徴とする請求項1に記載の臓器評価システム。
【請求項7】
前記取得手段は、前記臓器に照射される光を含む光源画像をさらに取得し、
前記スペクトル取得手段は、前記取得手段により取得された前記光源画像に対する前記画像の相対反射率に基づくスペクトル画像を取得すること
を特徴とする請求項1に記載の臓器評価システム。
【請求項8】
前記取得手段は、前記光源画像を撮像したときの撮像条件を示す撮像条件情報を取得し、取得した撮像条件情報に応じて、前記画像を補正すること
を特徴とする請求項7に記載の臓器評価システム。
【請求項9】
前記評価手段により評価された血流情報に基づいて、前記臓器に灌流する血液の量を算出する血流算出手段をさらに備えること
を特徴とする請求項1に記載の臓器評価システム。
【請求項10】
臓器を含む画像を取得する取得ステップと
前記取得ステップにより取得された画像に基づく、スペクトル画像を取得するスペクトル取得ステップと、
前記スペクトル取得ステップにより取得されたスペクトル画像に基づき、前記血流情報を評価する評価ステップとをコンピュータに実行させること
を特徴とする臓器評価方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、臓器評価システム及び臓器評価方法に関する。
【背景技術】
【0002】
従来より、手術中において、臓器の血流に応じて、患者にかかる負担が大きく変化する。例えば、臓器の血流が少なく、虚血となった場合、患者に大きな負担がかかる。また、臓器の血流に応じて、血液を灌流する必要がある。このため、例えば特許文献1に記載されているような臓器に流れる血流に関する血流情報を測定することが可能な技術が必要とされている。
【0003】
特許文献1では、血管壁の近くにパルスを与えるためのアクチュエータとパルスの到達を感知するためのセンサとを用いて、臓器の血流情報を測定するシステムが開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特表2021ー504000公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、特許文献1に開示されている臓器の血流情報を測定するシステムでは、血管壁の近くにパルスを与えることを前提としている。このため、臓器の血流情報を測定するためには、患者に負担がかかることが問題とされていた。
【0006】
そこで本発明は、上述した問題点を解決するために導出されたものであり、その目的とするところは、患者に負担をかけることなく、臓器の血流情報を評価することが可能な臓器評価システム及び臓器評価方法を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0007】
第1発明に係る臓器評価システムは、ユーザの臓器を含む画像を取得する取得手段と、前記取得手段により取得された画像に基づくスペクトル画像を取得するスペクトル取得手段と、前記スペクトル取得手段により取得されたスペクトル画像に基づき、前記血流情報を評価する評価手段とを備えることを特徴とする。
【0008】
第2発明に係る臓器評価システムは、第1発明において、前記評価手段は、前記スペクトル取得手段により取得されたスペクトル画像に基づき、所定の波長範囲に含まれる特定波長を正規化波長とし、所定の波長範囲に含まれる特定波長を評価波長として選択し、前記正規化波長と前記評価波長との間において、前記正規化波長と前記評価波長との分光強度の差に基づいて前記血流情報を評価することを特徴とする。
【0009】
第3発明に係る臓器評価システムは、第2発明において、前記評価手段は、450nm~800nmの波長帯に含まれる特定波長を第1正規化波長とし、550nm~950nmの波長帯に含まれる特定波長を第1評価波長として選択することを特徴とする。
【0010】
第4発明に係る臓器評価システムは、第1発明において、前記評価手段は、予め取得された参照用スペクトル画像と血流情報の評価とからなるデータセットを学習データとして用い、入力を前記参照用スペクトル画像とし、出力を前記血流情報の評価として、機械学習により生成された評価モデルを用いて、前記スペクトル取得手段により取得されたスペクトル画像に基づき、前記血流情報を評価することを特徴とする。
【0011】
第5発明に係る臓器評価システムは、第1発明において、前記スペクトル取得手段は、取得した前記スペクトル画像から、予め取得された臓器を示す基準波長との差分が閾値以下となる波長を抽出し、抽出した前記波長を示す前記スペクトル画像を取得することを特徴とする。
【0012】
第6発明に係る臓器評価システムは、第1発明において、前記スペクトル取得手段は、予め取得された参照用スペクトル画像と臓器を示すスペクトル画像とからなるデータセットを学習データとして用い、入力を参照用スペクトル画像とし、出力を前記臓器を示すスペクトル画像として、機械学習により生成された抽出モデルを用いて、取得した前記スペクトル画像に基づいて、前記臓器を示すスペクトル画像を取得することを特徴とする。
【0013】
第7発明に係る臓器評価システムは、第1発明において、前記取得手段は、前記臓器に照射される光を含む光源画像をさらに取得し、前記スペクトル取得手段は、前記取得手段により取得された前記光源画像に対する前記画像の相対反射率に基づくスペクトル画像を取得することを特徴とする。
【0014】
第8発明に係る臓器評価システムは、第7発明において、前記取得手段は、前記光源画像を撮像したときの撮像条件を示す撮像条件情報を取得し、取得した撮像条件情報に応じて、前記画像を補正することを特徴とする。
【0015】
第9発明に係る臓器評価システムは、第1発明において、前記評価手段により評価された血流情報に基づいて、前記臓器に灌流する血液の量を算出する血流算出手段をさらに備えることを特徴とする。
【0016】
第10発明に係る臓器評価方法は、臓器を含む画像を取得する取得ステップと前記取得ステップにより取得された画像に基づく、スペクトル画像を取得するスペクトル取得ステップと、前記スペクトル取得ステップにより取得されたスペクトル画像に基づき、前記血流情報を評価する評価ステップとをコンピュータに実行させることを特徴とする。
【発明の効果】
【0017】
第1発明~第10発明によれば、臓器評価システム及び臓器評価方法は、スペクトル画像に基づき、臓器の血流情報を評価する。これにより、非接触で患者の臓器の血流情報を評価することが可能であるため、患者に負担をかけることなく臓器の血流情報を評価できる。
【0018】
特に、第2発明によれば、正規化波長と評価波長との分光強度の差に基づいて臓器の血流情報を評価する。これにより、撮像されたスペクトル画像の特徴を分離することができる。このため、より高精度に臓器の血流情報を評価することができる。
【0019】
特に、第3発明によれば、450nm~800nmの波長帯に含まれる特定波長を第1正規化波長とし、550nm~950nmの波長帯に含まれる特定波長を第1評価波長として選択する。これにより、第1正規化波長と第1評価波長とをそれぞれ適した波長帯の波長を利用できるため、より正確に評価することが可能となる。
【0020】
特に、第4発明によれば、評価モデルを用いて、スペクトル画像に基づき、臓器の血流情報を評価する。これにより、機械学習により高精度に臓器の血流情報を評価することが可能となる。
【0021】
特に、第5発明によれば、画像から、予め取得された臓器の波長を示す基準波長との差分が閾値以下となる波長を抽出し、抽出した波長を示すスペクトル画像を取得する。これにより、スペクトル画像に含まれる臓器のみを抽出し、その他のノイズを排除することが可能となるため、より高精度に臓器の血流情報の評価が可能となる。
【0022】
特に、第6発明によれば、抽出モデルを用いて、スペクトル画像に基づいて、臓器を示すスペクトル画像を取得する。これにより、スペクトル画像に含まれる臓器のみを抽出し、その他のノイズを排除することが可能となるため、より高精度に臓器の血流情報の評価が可能となる。
【0023】
特に、第7発明によれば、光源画像に対する画像の相対反射率に基づくスペクトル画像を取得する。これにより、光源画像を基準としてスペクトル画像を取得するため、ノイズを排除した画像を用いることが可能となる。
【0024】
特に、第8発明によれば、撮像条件情報を取得し、取得した撮像条件情報に応じて、画像を補正する。これにより、撮影時の光量等の条件を補正することが可能となり、ノイズを排除した画像を用いることが可能となる。
【0025】
特に、第9発明によれば、血流情報に基づいて、臓器に灌流する血液の量を算出する。これにより、手術中においても患者に負担をかけることなく、適切な量の血液の灌流の判断が可能となる。
【図面の簡単な説明】
【0026】
図1図1は、本実施形態における臓器評価システムの構成の一例を示す模式図である。
図2図2(a)は、本実施形態における臓器評価装置の構成の一例を示す模式図であり、図2(b)は、本実施形態における臓器評価装置の機能の一例を示す模式図である。
図3図3は、本実施形態における臓器評価システムの動作のフローチャートの一例を示す図である。
図4図4(a)は、本実施形態における虚血中の臓器の画像の一例を示す図である。図4(b)は、本実施形態における虚血中の臓器のスペクトル画像の一例を示す図である。図4(c)は、本実施形態における灌流後の臓器の画像の一例を示す図である。図4(d)は、本実施形態における灌流後の臓器のスペクトル画像の一例を示す図である。
図5図5は、本実施形態における抽出モデルの一例を示す図である。
図6図6は、波長毎のスペクトル強度の一例を示すグラフである。
図7図7は、本実施形態における評価モデルの一例を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0027】
以下、本発明を適用した実施形態における臓器評価システムの一例について、図面を用いて説明する。
【0028】
図1は、臓器評価システム100の構成の一例を示す模式図である。臓器評価システム100は、例えば図1に示すように、臓器評価装置1と、サーバ3と、撮像装置5と照明器具6とを有するユーザ端末2とが公共通信網4を介して接続される。また、臓器評価システム100は、公共通信網4を介することなく接続された、臓器評価装置1と撮像装置5とのみを備えていてもよい。
【0029】
サーバ3は、臓器評価装置1及びユーザ端末2から送信された画像等の各種データを記憶する記憶媒体である。また、サーバ3は、必要に応じて記憶した各種データを臓器評価装置1及びユーザ端末2に送信する。サーバ3は、例えば臓器評価装置1の備える機能のうち、少なくとも一部の機能を備えてもよく、例えば臓器評価装置1の代わりに少なくとも一部の処理を行ってもよい。
【0030】
公共通信網4は、例えば臓器評価装置1が通信回路を介して接続されるインターネット網等である。公共通信網4は、いわゆる光ファイバ通信網で構成されてもよい。また、公共通信網4は、有線通信網のほか、無線通信網等の公知の通信技術で実現してもよい。ユーザ端末2は、例えば臓器評価システム100を用いたサービスのユーザ等が保有し、公共通信網4を介して臓器評価装置1と接続される。ユーザ端末2は、例えばデータベースを生成する電子機器を示してもよい。ユーザ端末2は、例えばパーソナルコンピュータや、タブレット端末等の電子機器が用いられる。ユーザ端末2は、例えば臓器評価装置1の備える機能のうち、少なくとも一部の機能を備えてもよい。ユーザ端末2は、ユーザに臓器7の血流情報の評価結果を提示できる図示しないディスプレイ、又はスピーカを備えていてもよい。
【0031】
照明器具6は、撮像装置5によるユーザの臓器7を含む画像を撮像する際に、臓器7を照らす任意の照明器具である。照明器具6は、任意の波長の光を照射してもよい。照明器具6は、ハロゲンライト、又はファイバー光源であってもよい。また、照明器具6は、ハロゲンライト及びファイバー光源の二つの光源を用いてもよい。
【0032】
撮像装置5は、ユーザの臓器7を撮像して画像及びスペクトル画像を生成する公知のカメラである。撮像装置5として、例えばRGBカメラ、マルチスペクトルカメラ、ターゲットスペクトルカメラ、ハイパースペクトルカメラ等が用いられてもよい。また、撮像装置5は、特定波長の光の強度を示すモノクロが画像を撮像するカメラであってもよい。撮像装置5は、例えば特定波長の光の強度を測定する受光センサであってもよい。撮像装置5は、例えば動画を撮影するビデオカメラであってもよく、臓器評価装置1に内蔵されてもよい。撮像装置5がスペクトルビデオカメラの場合は、例えば撮像された動画の一部からスペクトル画像が抽出されてもよい。撮像装置5は、撮像した画像をユーザ端末2に出力する。また、撮像装置5は、ユーザ端末2を介することなく、公共通信網4を介して、臓器評価装置1に撮像した画像を出力してもよい。
【0033】
臓器7は、例えばユーザの肝臓、胆嚢、膵臓等の臓器である。また、ユーザは、人間に限らず、牛や豚、犬等の動物であってもよい。
【0034】
臓器評価装置1は、ユーザ端末2から出力された画像及びスペクトル画像に基づいて、それぞれ処理を行う。臓器評価装置1は、例えばパーソナルコンピュータ(PC)等の電子機器が用いられるほか、例えばスマートフォン、タブレット型端末、ウェアラブル端末、IoT(Internet of Things)デバイス等の電子機器、Raspberry Pi(登録商標)等のシングルボードコンピュータが用いられてもよく、例えば撮像装置5が内蔵されてもよい。
【0035】
臓器評価装置1は、例えば撮像装置5から出力された臓器7を含む画像を取得し、取得した画像に基づく、スペクトル画像を取得し、取得したスペクトル画像に基づき、臓器7の血流情報を評価する。
【0036】
次に図2を参照して、本実施形態における臓器評価装置1の一例を説明する。図2(a)は、本実施形態における臓器評価装置1の構成の一例を示す模式図であり、図2(b)は、本実施形態における臓器評価装置1の機能の一例を示す模式図である。
【0037】
臓器評価装置1は、例えば図2(a)に示すように、筐体10と、CPU(Central Processing Unit)101と、ROM(Read Only Memory)102と、RAM(Random Access Memory)103と、保存部104と、I/F105~107とを備える。CPU101と、ROM102と、RAM103と、保存部104と、I/F105~107とは、内部バス110により接続される。
【0038】
CPU101は、臓器評価装置1全体を制御する。ROM102は、CPU101の動作コードを格納する。RAM103は、CPU101の動作時に使用される作業領域である。保存部104は、画像やスペクトル画像、抽出モデル及び評価モデル等の各種情報が保存される。保存部104は、例えばHDD(Hard Disk Drive)の他、SSD(Solid State Drive)やSDカード、miniSDカード等のデータ保存装置が用いられる。なお、例えば臓器評価装置1は、図示しないGPU(Graphics Processing Unit)を有してもよい。
【0039】
I/F105は、公共通信網4を介して各種情報の送受信を行うためのインターフェースである。I/F106は、入力部108との情報の送受信を行うためのインターフェースである。入力部108として、例えばキーボードが用いられ、臓器評価装置1を利用するユーザ等は、入力部108を介して、各種情報又は臓器評価装置1の制御コマンド等を入力する。I/F107は、表示部109との各種情報の送受信を行うためのインターフェースである。表示部109は、保存部104に保存された評価結果等の各種情報、または臓器評価装置1の処理状況等を出力する。表示部109として、ディスプレイが用いられ、例えばタッチパネル式でもよい。
【0040】
保存部104は、例えば撮像装置5から取得した画像及びスペクトル画像が記憶されるほか、スペクトル画像等に関連する情報、血流情報の評価に用いられるアルゴリズム、抽出モデル及び評価モデル等が記憶される。
【0041】
表示部109は、各種情報を表示する。表示部109は、例えば評価結果、画像等を表示する。
【0042】
図2(b)は、臓器評価装置1の機能の一例を示す模式図である。臓器評価装置1は、取得部11と、画像処理部12と、評価部13と、記憶部14と、出力部15と、変換部16と、抽出部17と、診断部18とを備える。なお、図2(b)に示した取得部11と、画像処理部12と、評価部13と、記憶部14と、出力部15と、変換部16と、抽出部17と、診断部18は、CPU101が、RAM103を作業領域として、保存部104等に保存されたプログラムを実行することにより実現され、例えば人工知能により制御されてもよい。
【0043】
取得部11は、画像及びスペクトル画像を取得する。取得部11は、撮像装置5が撮像した画像を、ユーザ端末2を介して取得する他、例えば臓器評価装置1に内蔵された撮像装置5から、画像及びスペクトル画像を取得するようにしてもよい。また、サーバ3等から公共通信網4を介して画像及びスペクトル画像を取得してもよい。なお、取得部11が各種情報を取得する頻度、及び周期は、任意である。また、取得部11は、ユーザの状態に関する状態情報を取得してもよい。状態情報は、例えばユーザの体調を示す情報である。また、取得部11は、ユーザに関するユーザ情報を取得してもよい。ユーザ情報は、例えばユーザの年齢や性別、持病等を示す情報である。
【0044】
画像処理部12は、取得部11により取得された画像に補正等の処理を行う。
【0045】
変換部16は、画像処理部12により処理された画像に基づいて、スペクトル画像を取得する。かかる場合、例えば変換部16は、画像を、画像に含まれるスペクトルを示すスペクトル画像に変換する。
【0046】
抽出部17は、変換部16により取得されたスペクトル画像から、臓器7を示すスペクトル画像を抽出する。
【0047】
評価部13は、抽出部17により抽出されたスペクトル画像に基づき、血流情報を評価する。
【0048】
診断部18は、評価部13により評価された血流情報に基づき、ユーザの健康状態を診断する。
【0049】
記憶部14は、保存部104に保存された各種情報を必要に応じて取り出す。記憶部14は、取得部11と、画像処理部12と、評価部13と、変換部16と、抽出部17と、診断部18とにより取得又は出力された各種情報を、保存部104に保存する。
【0050】
出力部15は、各種情報を出力する。出力部15は、I/F107を介して表示部109に評価結果を送信する。
【0051】
次に、本実施形態における臓器評価システム100の動作の一例について説明する。図3は、本実施形態における臓器評価システム100の動作の一例を示すフローチャートである。
【0052】
まず、ステップS110において、取得部11は、臓器7を含む画像を取得する。かかる場合、例えば撮像装置5により撮像された画像を公共通信網4を介して取得してもよい。また、撮像装置5により、画像を撮像するとき、照明器具6を用いて臓器7に光を照射してもよいがこの限りではなく、照明器具6を用いることなく画像を撮像してもよい。また、例えばサーバ3に記憶されている臓器7を含む画像を、公共通信網4を介して取得してもよい。取得部11は、撮像装置5により撮像された画像を、I/F105を介して取得してもよい。取得部11は、例えば記憶部14を介して、画像を保存部104に保存する。臓器7を含む画像は、例えば図4(a)に示すような、臓器7を含む画像である。また、ステップS110において、撮像装置5は、手術中の臓器を撮像してもよい。手術は、例えば開腹手術、腹腔鏡手術等である。かかる場合、開腹手術においては、照明装置6として、ハロゲンライトを用いて、腹腔鏡手術においては、照明装置6として、ファイバー光源を用いてもよい。
【0053】
また、ステップS110において、取得部11は、ユーザの状態に関する状態情報と、ユーザの状態毎にそれぞれ異なる臓器7を含む画像をそれぞれ取得してもよい。状態情報は、ユーザの状態に関する情報であり、例えばユーザの健康、病気、疾患、疾患の経過、体調等に関する情報である。また、臓器7が虚血中、臓器7に血液を灌流した後等の臓器7の状態に関する情報であってもよい。かかる場合、例えばステップS110において、図4(a)に示す虚血の臓器7を含む画像と、図4(b)に示す血液を灌流後の臓器7を含む画像とをそれぞれ取得してもよい。
【0054】
また、ステップS110において、取得部11は、2以上の時点におけるユーザのそれぞれ異なる臓器7を含む画像をそれぞれ取得してもよい。かかる場合、例えばステップS110において、ある時点におけるユーザの臓器7を含む画像と、日時が異なる時点におけるユーザの臓器7を含む画像とをそれぞれ取得してもよい。
【0055】
また、ステップS110において、取得部11は、ユーザに関するユーザ情報を取得してもよい。ユーザ情報は、ユーザに関する情報であり、例えばユーザの状態情報、年齢、性別、持病等に関する情報である。
【0056】
次に、ステップS120において、画像処理部12は、ステップS110において、取得部11により取得された画像に補正等の処理を行う。画像処理部12は、例えば画像を平滑化する。かかる場合、まず画像処理部12は、例えばミディアンフィルタ、ガウシアンフィルタ、移動平均、Savitzky-Golay法等を用いて、画像を平滑化する。また、画像処理部12は、例えば画像を平滑化し、平滑化された画像と平滑化される前の画像に基づいて、ラプラシアンフィルタ(2階微分)、アンシャープ方式等を用いて、画像を先鋭化してもよい。かかる場合、画像処理部12は、例えば平滑化された画像と平滑化される前の画像との差分を算出し、差分を大きくするように画像を先鋭化する。平滑化は、画像をぼかすことであり、例えば画像の画素値の変化を小さくする処理である。先鋭化は、例えば画像の画素値の変化を大きくする処理である。
【0057】
次に、ステップS130において、変換部16は、画像処理部12より処理された画像に基づく、スペクトル画像を取得する。ステップS130において、変換部16は、例えば図4(b)に示すようなスペクトル画像を取得する。変換部16は、例えば臓器7に照射される光を含む光源画像に対する画像の相対反射率に基づくスペクトル画像を取得する。臓器7に照射される光は、ステップS110において、画像を撮像するときに臓器7に照射した光、又は同等の波長の光である。また、ステップS130において、変換部16は、例えば白板を撮像した白板画像に対する画像の相対反射率に基づくスペクトル画像を取得する。白板は、一定の反射率を要する基準板である。これにより照明光源の変動によらず、血流情報およびその他構成物の相対反射率を算出し、比較することができる。
【0058】
また、ステップS130において、変換部16は、ステップS110において取得部11が取得したそれぞれの画像をそれぞれスペクトル画像に変換してもよい。例えば、ステップS110により取得した図4(a)に示す虚血の臓器7を含む画像と、図4(b)に示す血液を灌流後の臓器7を含む画像とをそれぞれ、図4(c)、図4(d)に示すようなスペクトル画像に変換してもよい。
【0059】
また、ステップS130において、変換部16は、光源画像又は白板画像を撮像するときの条件である撮像条件と、臓器7を撮像するときの撮像条件とに基づいて、画像を補正してもよい。撮像条件は、例えば撮像するときのゲイン、露光時間、明るさ等である。例えば、変換部16は、光源画像又は白板画像を撮像するときの照明器具6の光強度と、ステップS110において取得した画像を撮像するときの照明器具6の光強度の差に基づいて、画像のゲイン及び露光時間を補正する。
【0060】
次に、ステップS140において、抽出部17は、ステップS130において取得したスペクトル画像から臓器7に含まれる血液である臓器7を示す図4(c)に示すようなスペクトル画像を抽出する。例えば抽出部17は、スペクトル画像から、予め取得された臓器7の波長を示す基準波長との差分が閾値以下となる波長を抽出し、抽出した波長を示すスペクトル画像を取得する。例えば抽出部17は、SAM(Spectral Angle Mapper)法等を用いて、予め取得された臓器7の波長を示す基準波長と近似するスペクトルを抽出する。基準波長は、例えば450nm~950nmの波長範囲内から選択した任意の波長である。これにより、画像に含まれる臓器7のみを抽出し、ノイズを排除することが可能となる。また、抽出部17は、ステップS130において取得したスペクトル画像から、後述するNDSI(normalized difference spectral index、正規化分光反射指数)の数値に基づいて、スペクトル画像からノイズを除去してもよい。かかる場合、例えば波長が850nmの場合の相対反射率をI850、波長が750nmの場合の相対反射率をI750とした場合のI850/I750のNDSIが10以上となる箇所をノイズとして除去してもよい。また、650nmの波長の相対反射率が5%以下又は65%以上である場合、その個所をノイズとして除去してもよい。ノイズは、例えば評価対象となる臓器7以外のもの、又は影部分、ハレーション等を含む。
【0061】
また、ステップS140において、抽出部17は、予め取得された参照用スペクトル画像と臓器7のスペクトルを示す臓器スペクトル画像とからなるデータセットを学習データとして用い、入力を参照用スペクトル画像とし、出力を臓器7示すスペクトル画像として、機械学習により生成された抽出モデルを用いて、ステップS130により取得されたスペクトル画像に基づいて、臓器スペクトル画像を抽出してもよい。臓器スペクトル画像は、例えば、図4(c)、図4(d)に示すような画像である。
【0062】
抽出モデルの生成方法として、例えばニューラルネットワークをモデルとした機械学習を用いて、抽出モデルを生成してもよい。抽出モデルは、例えばCNN(Convolution Neural Network) 等のニューラルネットワークをモデルとした機械学習を用いて生成されるほか、任意のモデルが用いられてもよい。また、抽出モデルの生成方法として、例えば線形判別、サポートベクターマシン、k-近傍法、ランダムフォレスト、ディープラーニング等を用いて、抽出モデルを生成してもよい。
【0063】
かかる場合、抽出モデルには、例えば図5のように、入力データである参照用スペクトル画像と出力データである臓器7のスペクトルを示す臓器スペクトル画像との間における連関度を有する連関性が記憶される。連関度は、入力データと出力データとの繋がりの度合いを示しており、例えば連関度が高いほど各データの繋がりが強いと判断することができる。連関度は、例えば百分率等の3値以上又は3段階以上で示されるほか、2値又は2段階で示されてもよい。また、参照用スペクトル画像は、予め取得した学習データに用いるための臓器7を含むスペクトル画像である。また、臓器スペクトル画像は、ステップS140と同様の方法で取得したスペクトル画像であってもよい。臓器スペクトル画像は、例えば臓器7を含むスペクトル画像から、SAM法等を用いて、予め取得された臓器7の波長を示す基準波長と近似する臓器7のスペクトルを抽出したスペクトル画像であってもよい。
【0064】
例えば連関性は、複数の入力データ、対、複数の出力データの間における繋がりの度合いにより構築される。連関性は、機械学習の過程で適宜更新され、例えば複数の入力データ、及び複数の出力データに基づいて最適化された関数を用いた分類器を示す。なお、連関性は、例えば各データの間における繋がりの度合いを示す複数の連関度を有してもよい。連関度は、例えばデータベースがニューラルネットワークで構築される場合、重み変数に対応させることができる。連関性は、例えば図5に示すように、複数の入力データと、複数の出力データとの間における繋がりの度合いを示してもよい。この場合、連関性を用いることで、図5の「参照用スペクトル画像A」~「参照用スペクトル画像C」のそれぞれの入力データに対し、「臓器スペクトル画像A」~「臓器スペクトル画像C」の複数の出力データとの関係の度合いを紐づけて記憶させることができる。このため、例えば連関性を介して、1つの出力データに対して、複数の入力データを紐づけることができる。これにより、入力データに対して多角的な出力データの選択を実現することができる。
【0065】
連関性は、例えば各入力データと、各出力データとをそれぞれ紐づける複数の連関度を有する。連関度は、例えば百分率、10段階、又は5段階等の3段階以上で示され、例えば線の特徴(例えば太さ等)で示される。例えば、入力データに含まれる「参照用スペクトル画像A」は、出力データに含まれる「臓器スペクトル画像A」との間の連関度AA「73%」を示し、出力データに含まれる「臓器スペクトル画像B」との間の連関度AB「12%」を示す。すなわち、「連関度」は、各データ間における繋がりの度合いを示しており、例えば連関度が高いほど、各データの繋がりが強いことを示す。
【0066】
このような図5に示す3段階以上の連関度を予め取得しておく。つまり実際の解の判別を行う上で、入力データと、出力データとの何れが採用、評価されたか、過去のデータセットを蓄積しておき、これらを分析、解析することで図5に示す連関度を作り上げておく。
【0067】
例えば、過去において「参照用スペクトル画像B」という入力データに対して、「臓器スペクトル画像B」が最も適合性が高いと判断され、評価されたものとする。このようなデータセットを集めて分析することにより、入力データと出力データとの連関度が強くなる。
【0068】
この分析、解析は人工知能により行うようにしてもよい。かかる場合には、例え「参照用スペクトル画像B」という入力データに対して、「臓器スペクトル画像B」が推定される事例が多い場合には、この「参照用スペクトル画像B」と「臓器スペクトル画像B」とにつながる連関度をより高く設定する。
【0069】
また、この連関度は、人工知能におけるニューラルネットワークのノードで構成されるものであってもよい。即ち、このニューラルネットワークのノードが出力に対する重み付け係数が、上述した連関度に対応することとなる。またニューラルネットワークに限らず、人工知能を構成するあらゆる意思決定因子で構成されるものであってもよい。
【0070】
また、抽出モデルは、入力データと出力データとの間に少なくとも1以上の隠れ層が設けられ、機械学習させるようにしてもよい。入力データ又は隠れ層データの何れか一方又は両方において上述した連関度が設定され、これが各データの重み付けとなり、これに基づいて出力の選択が行われる。そして、この連関度がある閾値を超えた場合に、その出力を選択するようにしてもよい。
【0071】
このような連関度が、人工知能でいうところの学習済みデータとなる。このような学習済みデータを作った後に、実際にこれから新たにスペクトル画像から臓器スペクトル画像の推定を行うこととなる。かかる場合には、ステップS130により取得されたスペクトル画像に対する臓器スペクトル画像を新たに取得する。推定の際には、例えば予め取得した図5に示す連関度を参照する。例えば、新たに取得したスペクトル画像が「参照用スペクトル画像A」と同一かこれに類似するものである場合には、連関度を介して「臓器スペクトル画像A」との間の連関度AA「73%」、「臓器スペクトル画像B」との間の連関度AB「12%」で関連付けられている。この場合には、連関度の最も高い「臓器スペクトル画像A」を最適解として選択する。但し、最も連関度の高いものを最適解として選択することは必須ではなく、連関度は低いものの連関性そのものは認められる「臓器スペクトル画像B」を最適解として選択するようにしてもよい。また、これ以外に矢印が繋がっていない出力解を選択してもよいことは勿論であり、連関度に基づくものであれば、その他いかなる優先順位で選択されるものであってもよい。
【0072】
このような連関度を参照することにより、スペクトル画像が、入力データと同一又は類似である場合のほか、非類似である場合においても、入力データに適した出力データを定量的に選択することができる。
【0073】
次に、ステップS150において、評価部13は、ステップS140により抽出された臓器スペクトル画像に基づいて、臓器7の血流情報を評価する。血流情報は、臓器7に血流に関する情報であり、例えば血流の量を示す情報である。また、血流情報は、臓器7が虚血、うっ血、正常であるかどうかを示す情報であってもよい。また、血流情報は、臓器7の血流のレベルを示す血色レベルであってもよい。例えば評価部13は、臓器スペクトル画像に基づき、所定の波長範囲に含まれる特定波長を正規化波長とし、所定の波長範囲に含まれる特定波長を評価波長として選択し、正規化波長と評価波長との間において、正規化波長と評価波長との分光強度の差に基づいて臓器7の血流情報を評価する。正規化波長は、例えば光のムラや影等、条件が異なっていた場合においても、それらの影響を軽減して、血流情報を評価するために正規化される対象となる波長である。評価波長は、正規化波長を正規化するための評価用の波長である。
【0074】
図6は、スペクトル画像が示す複数のスペクトルグラフである。図6は、縦軸を光の強度、横軸を波長[nm]とするグラフである。複数のスペクトルグラフの実線、破線は、それぞれ虚血状態から回復した又は血流情報を灌流後の臓器7の画像のスペクトル、虚血状態の臓器7の画像のスペクトルに対応する。評価部13は、例えば450nm~750nmの波長帯に含まれる特定波長を第1正規化波長とし、550~950nmの波長帯に含まれる特定波長を第1評価波長として選択する。評価部13は、例えば540nmを第1正規化波長とし、800nmを第1評価波長としてもよい。
【0075】
評価部13は、このようなスペクトルグラフに含まれる波長を特定波長とし、正規化波長、及び評価波長として選択する。評価部13は、各スペクトルグラフ間のスペクトル強度の差分値が最も大きくなる波長を特定波長としてもよい。また、評価部13は、各スペクトルグラフ上で凸のピークが形成されている特異点を特定波長として特定するようにしてもよい。また、評価部13は、回帰分析、総当たり解析、機械学習等を用いた学習済みモデルを用いた解析により、特定波長を選択してもよい。
【0076】
ここで、例えば正規化波長及び評価波長は、1点で特定してもよいし、複数を特定してもよい。また、これらの正規化波長及び評価波長を中心とした波長範囲を設定するようにしてもよい。波長範囲は、例えば正規化波長及び評価波長の差が±10nmとなる波長幅等のように、予め設定した所定の波長範囲で構成されてもよい。このため、仮に正規化波長が780nmであり、波長範囲が±10nmであれば、実際にスペクトルデータを評価する範囲は、770~790nmとなる。かかる場合、正規化波長及び評価波長の決め方としては、例えば各波長の範囲の中心の波長を特定波長としてもよい。
【0077】
次に、評価部13は、選択された正規化波長と評価波長との間において、正規化波長と評価波長との分光強度の差により血流情報を示す血色レベルを算出し、血流情報を評価する。
【0078】
評価部13は、例えば正規化波長と評価波長との分光強度の差によるスペクトル変化により血色レベルを算出する。かかる場合、正規化波長と評価波長との分光強度の和で正規化することにより、例えば光のムラや影等、条件が異なっていた場合においても、それらの影響を軽減して、血色レベルを比較可能にすることができる。これらの血色レベルの算出は、例えば公知のスペクトル計測手法、スペクトル解析技法(例えば「NDSI:normalized difference spectral index、正規化分光反射指数」)等により次式により求める。「Iλ」は、例えば「λnm」の分光強度となり、正規化波長は「λ2」、評価波長は「λ1」として求められる。
【数1】
【0079】
評価部13は、例えばスペクトル画像の正規化分光反射指数に基づいて、部位ごとのピクセルの分布から血色レベルを付与する。また、血色レベルとして、例えば面積当たりの血流情報に合わせ、レベル1~5等の具体的な血流情報の程度を示すようにしてもよい。かかる場合、例えば波長が635nmの場合の強度I635、波長が840nmの場合の強度I840とした場合のI840/I635のNDSIが10未満の場合血色レベルを1とし、NDSIが10~16の場合血色レベルを2とし、NDSIが16~22の場合血色レベルを3とし、NDSIが22以上の場合血色レベルを4としてもよい。
【0080】
評価部13は、例えば保存部104に保存された出力用フォーマット等の形式データを用いて、評価結果を生成する。評価部13は、例えば記憶部14を介して、評価結果を保存部104に保存する。
【0081】
また、ステップS150において、評価部13は、ステップS110により取得された複数の画像に基づくそれぞれのスペクトル画像の比較に基づき、臓器7の血流情報を評価してもよい。かかる場合、例えばステップS110により図4(a)に示す虚血の臓器7を含む画像と、図4(b)に示す血液を灌流後の臓器7を含む画像をそれぞれ取得した場合のそれぞれの正規化分光反射指数を算出し、それぞれの正規化分光反射指数に基づいて、臓器7の血流情報を評価してもよい。かかる場合、例えばそれぞれの正規化分光反射指数の平均に基づいて、臓器7の血流情報を評価してもよい。
【0082】
また、ステップS150において、評価部13は、ステップS110により2以上の時点におけるユーザのそれぞれ異なる臓器7を含む画像を取得した場合、ステップS130により変換されたスペクトル画像の正規化分光反射指数に基づいて臓器7の血流情報を評価してもよい。
【0083】
また、ステップS150において、評価部13は、ステップS110によりユーザの状態毎にそれぞれ異なる臓器7を含む画像を取得した場合、ステップS130により変換されたスペクトル画像の正規化分光反射指数に基づいて臓器7の血流情報を評価してもよい。
【0084】
また、ステップS150において、評価部13は、予め取得された参照用スペクトル画像と血流情報の評価とからなるデータセットを学習データとして用い、入力を参照用スペクトル画像とし、出力を血流情報の評価として、機械学習により生成された評価モデルを用いて、スペクトル画像に基づき、臓器7に含まれる血流情報を評価してもよい。参照用スペクトル画像は、評価モデルの学習データとして用いるスペクトル画像であり、例えば予め取得された臓器7を示すスペクトル画像であるが、これに限らず、臓器7を示すスペクトルを含む任意の画像を用いてもよい。血流情報の評価は、例えば血流情報を示すスペクトルである血流情報スペクトルを示すスペクトル画像である。また、血流情報の評価は、例えば血色レベルであってもよい。また、血流情報の評価は、ステップS150と同様の方法で取得した血流情報の評価の結果又は血流情報を示すスペクトル画像であってもよい。つまり血流情報の評価は、スペクトル画像に基づき、所定の波長範囲に含まれる特定波長を正規化波長とし、所定の波長範囲に含まれる特定波長を評価波長として選択し、正規化波長と評価波長との間において、正規化波長と評価波長との分光強度の差により血色レベルを算出し、算出した血色レベルに基づいて、取得された血流情報を示す情報であってもよい。
【0085】
評価モデルの生成方法として、例えばニューラルネットワークをモデルとした機械学習を用いて、評価モデルを生成してもよい。評価モデルは、例えばCNN(Convolution Neural Network) 等のニューラルネットワークをモデルとした機械学習を用いて生成されるほか、任意のモデルが用いられてもよい。
【0086】
かかる場合、評価モデルには、例えば図7のように、入力データである参照用スペクトル画像と出力データである血流情報の評価との間における連関度を有する連関性が記憶される。
【0087】
また、評価モデルは、入力データと出力データとの間に少なくとも1以上の隠れ層が設けられ、機械学習させるようにしてもよい。入力データ又は隠れ層データの何れか一方又は両方において上述した連関度が設定され、これが各データの重み付けとなり、これに基づいて出力の選択が行われる。そして、この連関度がある閾値を超えた場合に、その出力を選択するようにしてもよい。
【0088】
このような学習済みデータを作った後に、実際にこれから新たにスペクトル画像から血流情報の評価の推定を行うこととなる。かかる場合には、ステップS140において抽出したスペクトル画像に対する血流情報の評価を新たに取得する。
【0089】
このような連関度を参照することにより、スペクトル画像が、入力データと同一又は類似である場合のほか、非類似である場合においても、入力データに適した出力データを定量的に選択することができる。
【0090】
次に、ステップS160において、診断部18は、ステップS150により評価された血流情報に基づき、ユーザの健康状態を診断する。かかる場合、例えば血流情報と健康状態とが紐づけられた対応表を予め取得しておき、ステップS160において、対応表を参照し、ステップS150により評価された血流情報に基づき、ユーザの健康状態を診断してもよい。また、ステップS160において、診断部18は、ステップS150により評価した血流情報に基づき、ユーザの臓器7に対する処置を決定してもよい。かかる場合、例えば予め設定された血流情報と処置に関する情報とが紐づけられた対応表を用いて、血流情報に対する処置を決定してもよい。臓器7に対する処置は、例えば臓器7の手術の方法であったり、臓器7に灌流する血液の量であってもよい。
【0091】
次に、出力部15により評価結果及び診断結果が出力される。出力部15は、評価結果及び診断結果を表示部109等に出力する。また、出力部15は、公共通信網4を介して、評価結果及び診断結果をユーザ端末2に出力してもよい。
【0092】
これにより、本実施形態における臓器評価装置1の動作が終了する。これにより、非接触で患者の臓器7の血流情報を評価することが可能であるため、患者に負担をかけることなく臓器7の血流情報を評価できる。
【0093】
本発明の実施形態を説明したが、この実施形態は例として提示したものであり、発明の範囲を限定することは意図していない。これら新規な実施形態は、その他の様々な形態で実施されることが可能であり、発明の要旨を逸脱しない範囲で、種々の省略、置き換え、変更を行うことができる。これら実施形態やその変形は、発明の範囲や要旨に含まれるとともに、特許請求の範囲に記載された発明とその均等の範囲に含まれる。
【符号の説明】
【0094】
1 :臓器評価装置
2 :ユーザ端末
3 :サーバ
4 :公共通信網
5 :撮像装置
6 :照明器具
7 :臓器
10 :筐体
11 :取得部
12 :画像処理部
13 :評価部
14 :記憶部
15 :出力部
16 :変換部
17 :抽出部
18 :診断部
100 :臓器評価システム
101 :CPU
102 :ROM
103 :RAM
104 :保存部
105 :I/F
106 :I/F
107 :I/F
108 :入力部
109 :表示部
110 :内部バス
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7