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特開2024-98299車両制御装置、車両制御方法、及び、プログラム
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024098299
(43)【公開日】2024-07-23
(54)【発明の名称】車両制御装置、車両制御方法、及び、プログラム
(51)【国際特許分類】
   B60R 25/04 20130101AFI20240716BHJP
   B60R 25/24 20130101ALI20240716BHJP
【FI】
B60R25/04
B60R25/24 ZHV
【審査請求】有
【請求項の数】8
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023001715
(22)【出願日】2023-01-10
(71)【出願人】
【識別番号】000005326
【氏名又は名称】本田技研工業株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110001081
【氏名又は名称】弁理士法人クシブチ国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】河野 悟司
(72)【発明者】
【氏名】小宮 延明
(57)【要約】
【課題】車両に搭載された装置を始動させる前に処理を要する構成において、装置が始動するまでの時間を短縮し、応答性の向上を図る。
【解決手段】車両の駆動に関与する駆動系装置、及び、駆動系装置を制御する駆動制御部の少なくともいずれかに対する電力供給を切離するスイッチ部と、スイッチ部を制御するスイッチ制御部と、車両における特定のイベントが発生したことを検知するイベント検知部と、を備え、スイッチ部は、電力供給を行うオン状態と、電力供給を停止するオフ状態とを切り替え可能であり、スイッチ制御部は、制御装置からオン制御信号を受信したことを契機としてスイッチ部をオン状態に切り替えさせ、特定のイベントが発生した場合にはオン制御信号を受信することなくスイッチ部をオン状態に切り替えさせる、車両制御装置。
【選択図】図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
車両の駆動に関与する駆動系装置、及び、前記駆動系装置を制御する駆動制御部の少なくともいずれかに対する電力供給を切離するスイッチ部と、
前記スイッチ部を制御するスイッチ制御部と、
前記車両における特定のイベントが発生したことを検知するイベント検知部と、を備え、
前記スイッチ部は、電力供給を行うオン状態と、電力供給を停止するオフ状態とを切り替え可能であり、
前記スイッチ制御部は、制御装置からオン制御信号を受信したことを契機として前記スイッチ部をオン状態に切り替えさせ、前記特定のイベントが発生した場合には前記オン制御信号を受信することなく前記スイッチ部をオン状態に切り替えさせる、車両制御装置。
【請求項2】
前記スイッチ制御部は、前記特定のイベントが発生した場合に、前記スイッチ制御部の起動とともに前記スイッチ部をオン状態に切り替えさせる、請求項1に記載の車両制御装置。
【請求項3】
前記スイッチ制御部は、前記特定のイベントの結果に対応して前記スイッチ部をオフ状態に切り替え可能である、請求項1に記載の車両制御装置。
【請求項4】
前記特定のイベントは、前記駆動系装置を始動させるための認証処理である、請求項1に記載の車両制御装置。
【請求項5】
前記スイッチ部、及び、前記スイッチ制御部とは別に、前記スイッチ制御部と直接接続されていない認証部を備え、前記認証部により前記認証処理を行う、請求項4に記載の車両制御装置。
【請求項6】
前記スイッチ制御部と前記イベント検知部とは第1の通信線を介してCAN通信を実行し、前記イベント検知部と前記認証部とは第2の通信線を介してCAN通信を実行する、請求項5に記載の車両制御装置。
【請求項7】
車両の駆動に関与する駆動系装置、及び、前記駆動系装置を制御する駆動制御部の少なくともいずれかに対する電力供給を切離するスイッチ部を備え、前記スイッチ部を、電力供給を行うオン状態と、電力供給を停止するオフ状態とに切り替えさせる制御部を用いる車両制御方法であって、
制御部により、制御装置からオン制御信号を受信したことを契機として前記スイッチ部をオン状態に切り替えさせ、前記車両において特定のイベントが発生した場合には前記オン制御信号を受信することなく前記スイッチ部をオン状態に切り替えさせる、車両制御方法。
【請求項8】
車両の駆動に関与する駆動系装置、及び、前記駆動系装置を制御する駆動制御部の少なくともいずれかに対する電力供給を切離するスイッチ部を制御するコンピュータにより実行されるプログラムであって、
前記コンピュータを、
前記スイッチ部を、電力供給を行うオン状態と、電力供給を停止するオフ状態とに切り替えさせるスイッチ制御部として機能させ、
前記スイッチ制御部は、制御装置からオン制御信号を受信したことを契機として前記スイッチ部をオン状態に切り替えさせ、前記車両において特定のイベントが発生した場合には前記オン制御信号を受信することなく前記スイッチ部をオン状態に切り替えさせる、プログラム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、車両制御装置、車両制御方法、及び、プログラムに関する。
【背景技術】
【0002】
近年、交通参加者の中でも脆弱な立場にある人々にも配慮した持続可能な輸送システムへのアクセスを提供する取り組みが活発化している。この実現に向けて、車両のセキュリティと操作性との両立に関する研究開発を通して、交通の安全性や利便性をより一層改善する研究開発に注力している。例えば、特許文献1には、車両のキーに記憶させた識別コードを照合し、車両のエンジンの始動を制御するECU及びIPDMを、識別コードの照合結果に基づき動作させる装置が開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2005-335635号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
特許文献1に開示されたように、車両に搭載された装置を始動させる前に照合や認証等の処理を要する場合、処理が完了した後に、装置を始動させるためのプロセスが行われる。このため、ユーザが操作を行ってから装置が始動するまでの時間が長く、応答性が低いという課題があった。
本発明はかかる背景に鑑みてなされたものであり、車両に搭載された装置を始動させる前に処理を要する構成において、装置が始動するまでの時間を短縮し、応答性の向上を図ることを目的としたものである。そして、延いては持続可能な輸送システムの発展に寄与するものである。
【課題を解決するための手段】
【0005】
上記目的を達成するための一態様は、車両の駆動に関与する駆動系装置、及び、前記駆動系装置を制御する駆動制御部の少なくともいずれかに対する電力供給を切離するスイッチ部と、前記スイッチ部を制御するスイッチ制御部と、前記車両における特定のイベントが発生したことを検知するイベント検知部と、を備え、前記スイッチ部は、電力供給を行うオン状態と、電力供給を停止するオフ状態とを切り替え可能であり、前記スイッチ制御部は、制御装置からオン制御信号を受信したことを契機として前記スイッチ部をオン状態に切り替えさせ、前記特定のイベントが発生した場合には前記オン制御信号を受信することなく前記スイッチ部をオン状態に切り替えさせる、車両制御装置である。
【発明の効果】
【0006】
上記方法によれば、車両の駆動に関与する駆動系装置、及び、駆動系装置を制御する駆動制御部の少なくともいずれかに対する電力供給を速やかに開始できる。これにより、車両を速やかに駆動可能な状態とすることができ、応答性の向上を図ることができる。
【図面の簡単な説明】
【0007】
図1】車両制御装置のブロック図。
図2】車両制御装置の動作例を示すシーケンス図。
図3】車両制御装置の動作例を示すシーケンス図。
図4】車両制御装置の別の動作例を示すシーケンス図。
【発明を実施するための形態】
【0008】
[1.車両制御装置の構成]
図1は、車両制御装置1を示す図である。
車両制御装置1は、車両に搭載される機能部を制御する複数のECU(Electronic Control Unit)50により構成される。車両制御装置1は、車両の機能部を制御することにより、車両の走行及び各種の機能を実現する。
【0009】
車両制御装置1を搭載する車両の具体的な態様は限定されない。この車両は、四輪自動車であってもよいし、自動二輪車やその他の移動体であってもよい。この車両は、駆動源として内燃機関を用いる車両であってもよいし、駆動源としてモータを用いる電動車両であってもよく、内燃機関とモータとを用いるハイブリッド車であってもよい。本実施形態では、四輪自動車である車両Vを例として説明する。
【0010】
車両制御装置1は、車両Vの全般的な制御および情報処理を行うセントラルECU2を備えている。セントラルECU2は、通信線B1~B4を含む通信ラインに接続される。セントラルECU2は、これらの通信ライン間における通信データの授受を管理するゲートウェイの機能を実現する。セントラルECU2は、本開示においてマスタ制御部の一例に対応し、セントラルECU2によってプログラムが書き込まれる各ECUは、車両制御部の一例に対応する。車両制御部は、例えば、ゾーンA-ECU11、ゾーンB-ECU13、及び、図1に示す各ECU50を含む。
【0011】
図1及び後述する図2には、セントラルECU2、ゾーンA-ECU11、及び、ゾーンB-ECU13に接続される各種のECUを、ECU50として記載する。なお、図1及び図2は、車両Vが搭載するECU50の一部を模式化して示しており、セントラルECU2、ゾーンA-ECU11、及びゾーンB-ECU13に接続されるECU50の数や接続関係は車両Vの仕様によって異なる。
【0012】
セントラルECU2には、通信線B1によりゾーンA-ECU11が接続され、通信線B2によりゾーンB-ECU13が接続される。ゾーンA-ECU11及びゾーンB-ECU13には、後述するように、さらに複数のECU50が接続される。ゾーンA-ECU11は、セントラルECU2と、ゾーンA-ECU11に接続されたECU50との間の通信データの授受を管理する。ゾーンB-ECU13は、セントラルECU2と、ゾーンB-ECU13に接続されたECU50との間の通信データの授受を管理する。通信線B1は第1の通信線の一例に対応し、通信線B2は第2の通信線の一例に対応する。
【0013】
図1には、ゾーンA-ECU11に接続されるECUの一例として、エンジンECU50A、及び、モータECU50Bを示す。これらを駆動制御部55と総称する。また、車両制御装置1は、車両Vが搭載する装置であって、車両Vの駆動に関与する駆動系装置60に接続される。駆動系装置60の一例として、図1にはエンジン61、始動モータ62、燃料ポンプ63、及び、走行用モータ64を示す。駆動系装置60は駆動制御部55による制御の対象である。
【0014】
エンジンECU50Aは、エンジン61、始動モータ62、及び、燃料ポンプ63に接続される。モータECU50Bは、走行用モータ64に接続される。エンジン61及び走行用モータ64は車両Vの駆動源である。車両Vは、走行用モータ64を動作させるための電力を発電する不図示の発電装置を備え、エンジン61により発電装置を駆動する構成であってもよい。
【0015】
始動モータ62はエンジン61を始動させるためのモータである。始動モータ62は、いわゆるセルモータであってもよいし、回生発電を行う機能を有するモータ/ジェネレータであってもよい。燃料ポンプ63は車両Vの燃料タンクからエンジン61に燃料を供給する。車両Vが駆動源としての走行用モータ64を搭載しない場合、車両制御装置1はモータECU50Bを具備しない。車両Vがエンジン61を搭載しない場合、車両制御装置1はエンジンECU50Aを具備しない。
【0016】
エンジンECU50Aは、エンジン61への燃料供給の制御、エンジン61における点火時期の制御、始動モータ62の制御、及び、各種のセンサの検出値の取得等を行う。各種のセンサは、例えば、O2センサ、ノックセンサ、カム角センサ、クランク角センサ、吸気温度センサ、排気温度センサ、水温センサ、油温センサ等が挙げられる。
【0017】
モータECU50Bは、走行用モータ64の回転数を制御する。走行用モータ64は、モータに駆動電流を出力するインバータ回路を含み、各種のセンサを含んでもよい。モータECU50Bは、走行用モータ64に電力を供給する走行用バッテリに対する充電制御、放電制御、及び、充電量の残量管理を行ってもよい。
【0018】
車両Vは、始動用バッテリあるいは補機類バッテリと呼ばれるバッテリを備える。また、車両Vが走行用モータ64を搭載する電動車両である場合、車両Vは走行用バッテリを搭載する。始動用バッテリおよび走行用バッテリは、例えば、リチウムイオン二次電池、リチウムポリマー電池、ニッケル水素電池、全固体電池、鉛蓄電池、或いは、その他の二次電池で構成され、キャパシタであってもよい。モータECU50Bは、車両Vの走行エネルギーにより回生電力を発電する回生機構を制御してもよい。
【0019】
図1には、ゾーンB-ECU13に接続されるECUの一例として、キー通信ECU50C、ドア制御ECU50D、及び、操作部ECU50Eを示す。
【0020】
キー通信ECU50Cは、車両Vが備える通信部71を制御する。通信部71は、車両Vのユーザが所持する電子キー4との間で無線通信を実行する通信装置である。電子キー4は、無線通信機能と、電子キー4に固有の識別情報や後述する認証処理で使用される認証情報とを有する。電子キー4は、例えばFOBキーである。
【0021】
通信部71は、車両Vの車外に位置する電子キー4と通信する車外通信装置、及び、車両Vの車室内に位置する電子キー4と通信する車内通信装置を備えてもよい。キー通信ECU50Cは、電子キー4と通信を実行することにより、車外から車両制御装置1へのユーザアクセスを処理し、いわゆるスマートエントリの動作を実現する。
【0022】
キー通信ECU50Cは、車両Vの車外における所定範囲内で電子キー4を検知した場合、電子キー4が有する識別情報と、予め車両制御装置1に設定された識別情報とを照合する。キー通信ECU50Cは、照合に成功した場合、ゾーンB-ECU13に対してロック解除またはロック施錠を要求する。
【0023】
ゾーンB-ECU13は、キー通信ECU50Cからロック解除が要求された場合、ドア制御ECU50Dにロック機構72を制御させ、車両Vのドアロックを解除させる制御を行う。また、ゾーンB-ECU13は、キー通信ECU50Cから施錠が要求された場合、ドア制御ECU50Dに、ロック機構72を施錠させる制御を行う。
【0024】
ゾーンB-ECU13は、ユーザにより駆動系装置60を始動させることを要求する操作が行われた場合に、認証処理を実行する。認証処理の契機(トリガ)となる操作は、例えば、ユーザが駆動系装置60の始動を要求する操作であり、具体的にはSSSW(Start Stop SWitch)73の操作である。
【0025】
ゾーンB-ECU13は、認証処理を開始すると、通信部71によって電子キー4と通信を実行させ、電子キー4が有する認証情報を取得する。ゾーンB-ECU13は、電子キー4から取得した認証情報を、認証用にゾーンB-ECU13が生成する情報と照合することにより、電子キー4が車両Vに適合するか否かを判定する。ゾーンB-ECU13は、電子キー4が車両Vに適合する場合には認証成功と判定し、電子キー4が車両Vに適合しない場合には認証失敗と判定する。ゾーンB-ECU13は、セントラルECU2に対して、認証成功または認証失敗を示す認証結果を通知する。
【0026】
セントラルECU2は、ゾーンB-ECU13から通知される認証結果に基づき、ゾーンA-ECU11に対して要求を送信する。具体的には、セントラルECU2は、認証結果が認証成功を示す場合には、ゾーンA-ECU11に対して駆動系装置60を始動させる要求を送信する。この場合、ゾーンA-ECU11は駆動制御部55及び駆動系装置60を動作可能な状態に移行させて、駆動系装置60を始動させる。また、セントラルECU2は、認証結果が認証失敗を示す場合には、ゾーンA-ECU11に対して駆動系装置60を始動させないことの要求を送信する。この場合、ゾーンA-ECU11は駆動制御部55及び駆動系装置60を停止させ、或いは、始動させない制御を行う。
【0027】
認証処理において、ゾーンB-ECU13及び電子キー4は、認証情報を予め決められたアルゴリズムにより生成することにより、動的な認証情報を用いてもよい。また、電子キー4が有する固定的な認証情報を用いてもよい。
【0028】
ドア制御ECU50Dは、車両Vが有するロック機構72を制御する。ロック機構72は、車両Vのドア、リアゲート、フード等の開閉部をロックする機構と、この機構を動作させるアクチュエータとを含み、ドア制御ECU50Dの制御に従ってドアロックの施錠あるいはロック解除を行う。ロック機構72は、車両Vが有するドア、リアゲート、フードの開閉を検知するセンサを含んでもよい。
【0029】
操作部ECU50Eは、ユーザが車両Vに対する操作を行うための各種スイッチに接続され、これらのスイッチに対する操作を検出する。例えば、操作部ECU50Eは、SSSW73に接続され、SSSW73の操作を検出する。
【0030】
なお、図1では、車両Vに搭載される各種のECU50、及び、ECU50により制御される機器の一例を示している。本開示の適用対象の車両Vが備えるECU50は図1に示したものに限定されず、図1に示す通りに接続されることも限定されない。また、エンジンECU50A、モータECU50B、キー通信ECU50C、ドア制御ECU50D、操作部ECU50E、及び、車両制御装置1が備えるその他のECUを区別しない場合、ECU50と記載する。
【0031】
セントラルECU2、ゾーンA-ECU11、及びゾーンB-ECU13には、図1に示したECU50のほか、各種のECUが接続される。例えば、セントラルECU2には、車両Vを自動的に駐車位置に駐車させる制御、或いは、運転者が車両Vを駐車させる場合の支援機能を実行する運転支援ECUが接続されてもよい。運転支援ECUの制御対象の機能部は、例えば、車両Vが搭載する各種のカメラ、モニタ、タッチパネル、ステアリング装置、ブレーキ機構、アクセル装置を含む。また、例えば、セントラルECU2には、V2X(Vehicle to Everything)通信装置、TCU(Telematics Control Unit)、IVI(In-Vehicle Infotainment)制御ECU等が接続されてもよい。V2X通信装置は、不図示の通信アンテナや通信回路を備え、無線通信機能を有する通信装置であり、セントラルECU2の制御に従って車々間通信及び又は路車間通信を行う。TCUは、不図示の通信アンテナや通信回路を備え、LTE(Long Term Evolution)、5G(第5世代移動通信方式)等のセルラー通信方式により無線データ通信を実行する無線通信装置である。IVI制御ECUは、カーナビゲーションシステム、リアカメラを含む各種のカメラ、オーディオプレイヤー、モニタ、タッチパネル、キーやスイッチ等の操作子、スピーカ、マイクロホン等の車載機器を制御する。
【0032】
ゾーンA-ECU11には、例えば、車両Vの走行用バッテリを制御するECU、変速機構を制御するECUが接続されてもよい。また、車両Vの走行を安定させるために加速や制動を制御するVSA(Vehicle Stability Asist)機能を実行するECU等が接続されてもよい。
ゾーンB-ECU13には、例えば、車両Vが搭載する灯火装置を制御するライト制御ECUが接続されてもよい。
【0033】
セントラルECU2、ゾーンA-ECU11、ゾーンB-ECU13、及び、ECU50を、車両制御装置1を構成する制御部と呼び、これらの制御部が制御する対象の機器を、車両Vの機能部と呼ぶ。
【0034】
通信線B1~B4は、セントラルECU2、ゾーンA-ECU11、ゾーンB-ECU13、及び各種のECU50を接続する。通信線B1~B4は、様々な通信規格に準拠した複数の通信伝送路により構成され、通信線B1~B4が、それぞれ、異なる通信規格に準拠したデータ伝送路であってもよい。すなわち、通信線B1~B4を構成するケーブルの具体的な構成、伝送帯域、及び、通信規格は任意に選択される。
【0035】
通信線B1~B4に適用可能な通信規格としては、例えば、CAN(Controller Area Network)、Ethernet(登録商標)、USB(Universal Serial Bus)、LIN(Local Interconnect Network)、LVDS(Low Voltage Differential Signaling)が挙げられるが、他の規格であってもよい。CANの規格としては、CAN FD(CAN Flexible Data rate)を含む高速通信が可能な通信プロトコルを採用してもよいし、低速のCAN通信を採用してもよい。
【0036】
セントラルECU2、ゾーンA-ECU11及びゾーンB-ECU13は、異なる通信方式におけるプロトコルの変換や調停を行う機能を有する。このため、車両制御装置1において通信方式を混在させて採用できるので、セントラルECU2、ゾーンA-ECU11、ゾーンB-ECU13及び他のECU50のそれぞれが必要とする通信速度等に応じて、適切な通信方式を選択できる。
【0037】
本実施形態では、通信線B1~B4がCAN通信を実行する通信伝送路であり、セントラルECU2とゾーンA-ECU11との間、及び、セントラルECU2とゾーンB-ECU13との間では、通信線B1、B2を介してCAN通信が実行される。また、ゾーンA-ECU11とECU50との間、及び、ゾーンB-ECU13とECU50との間においても、通信線B3、B4を介してCAN通信が実行される。
【0038】
ゾーンA-ECU11は、処理部110、及び、リレー115を有する。処理部110は、ゾーンA-ECU11に接続されるECU50の制御、及び、セントラルECU2及びECU50との通信の制御を実行する。また、処理部110は、リレー115を制御する。処理部110とリレー115は別の基板に実装されてもよいし、リレー115が処理部110と同じ基板に実装されてもよい。
【0039】
リレー115は、電磁リレーであってもよいし、半導体デバイスで構成されてもよい。例えば、MOSFET(Metal Oxide Semiconductor Field Effect Transistor)やIGBT(Insulated Gate Bipolar Transistor)等のスイッチ素子をリレー115として用いることができる。また、リレー115は、スイッチ素子、保護回路、及びエネルギー吸収回路を含むIPD(Intelligent Power Device)を用いてもよい。
【0040】
リレー115は、車両Vの主たる電源である+B電源に接続される。リレー115は、駆動制御部55に電源P1を出力する電源ライン、及び、駆動系装置60に電源P2を出力する電源ラインに接続され、これらと+B電源とを切離する。リレー115は、処理部110の制御によりオンおよびオフに切り替わる。リレー115は、オンの状態で、駆動制御部55の電源P1、及び、駆動系装置60の電源P2を出力する。従って、処理部110は、リレー115のオン状態とオフ状態とを切り替えさせることによって、駆動制御部55及び駆動系装置60を始動させる制御、及び、駆動制御部55及び駆動系装置60を停止させる制御を行うことができる。
【0041】
リレー115は本開示のスイッチ部の一例に対応する。ゾーンA-ECU11はスイッチ制御部の一例に対応し、セントラルECU2はイベント検知部の一例に対応し、ゾーンB-ECU13は認証部の一例に対応する。
【0042】
処理部110は、プロセッサ121、及び、メモリ123を備える。
プロセッサ121は、例えば、CPU(Central Processing Unit)、MCU(Micro Controller Unit)、MPU(Micro Processor Unit)により構成されるコンピュータである。メモリ123は、書き換え可能な不揮発性の記憶装置であり、プロセッサ121が実行するプログラム、及び、プロセッサ121により処理されるデータを記憶する。メモリ123は、例えば、フラッシュROM(Read Only Memory)やSSD(Solid State Disk)等の半導体記憶デバイス、或いは、磁気的記憶デバイスで構成される。メモリ123は、プログラム及びデータを一時的に記憶するためのワークエリアを形成するRAM(Random Access Memory)を備えてもよい。処理部110は、プロセッサ121、及びメモリ123を一体に備える集積回路(IC)で構成されてもよい。メモリ123は、例えば、プロセッサ121がゾーンA-ECU11の機能を実現するための制御プログラムを記憶する。
【0043】
[2.車両制御装置の動作]
図2及び図3は、車両制御装置1の動作例を示すシーケンス図である。図2及び図3は、車両Vが停止している状態において、ユーザが電子キー4を使用して駆動系装置60を始動させる場合の車両制御装置1の動作を示す。車両Vが停止している状態とは、駆動系装置60が動作しておらず、駆動系装置60に電力供給を開始することを要する状態である。この状態は、例えば、車両Vに電子キー4を持つユーザが乗車しておらず、車両Vが駐車している状態に相当する。この状態において車両制御装置1は動作を停止しており、セントラルECU2、ゾーンA-ECU11、及びゾーンB-ECU13は、停止しているか、或いは、通常動作時よりも消費電力が小さい省電力状態である。車両制御装置1の通常動作時とは、例えば車両Vの走行中の状態である。
【0044】
車両制御装置1は、ゾーンA-ECU11がリレー115をオフからオンに切り替える際に、車両制御装置1において特定のイベントが発生したことをセントラルECU2が検知した場合と、検知していない場合とで異なる動作を行う。以下では、図2及び図3を参照して、ゾーンB-ECU13による認証処理が、特定のイベントとして設定された場合の動作を、一例として説明する。
【0045】
図2及び図3に示す動作は、本開示の車両制御方法の一例であり、この車両制御方法を実現するためにプロセッサ121が実行する制御プログラムは、本開示のプログラムの一例に対応する。
【0046】
図2において、ステップS11~S17はゾーンB-ECU13の動作であり、ステップS21~S24はセントラルECU2の動作であり、ステップS31~S32はゾーンA-ECU11の動作である。
【0047】
通信部71が車両Vの外部において、車両Vに適合する電子キー4を検知すると、キー通信ECU50CからゾーンB-ECU13に対して、車両Vのドアロックの解除を求めるロック解除要求が入力される。ゾーンB-ECU13は、ロック解除要求を受信し(ステップS11)、これを契機として起動する(ステップS12)。
【0048】
ゾーンB-ECU13は、ロック機構72を制御して車両Vのドアロックを解除させる(ステップS13)。
【0049】
その後、ユーザがSSSW73を操作して、駆動系装置60の始動を要求すると、操作部ECU50EがSSSW73の操作を検出する。操作部ECU50EはゾーンB-ECU13に対して、SSSW73が操作されたことを通知する。
【0050】
ゾーンB-ECU13は、SSSW73の操作を示す通知を受信し(ステップS14)、認証処理を実行する(ステップS16)。認証処理において、ゾーンB-ECU13は、キー通信ECU50Cを制御して、通信部71により車両Vの車内に位置する電子キー4を検出させ、電子キー4から認証情報を取得させる。ゾーンB-ECU13は、電子キー4から取得された認証情報に基づき、電子キー4が、車両Vを動作させるための正規の電子キー4であるか否かを判定する。
【0051】
ゾーンB-ECU13は、認証処理を開始する際に、認証処理の開始を示す認証開始通知を、セントラルECU2に送信する(ステップS15)。
【0052】
セントラルECU2は、ゾーンB-ECU13から認証開始通知を受信することにより、認証処理が開始されたことを検知して、起動する(ステップS21)。ここで、セントラルECU2は、特定のイベントである認証処理が開始されたことを検知する。セントラルECU2の起動とは、セントラルECU2が停止している状態または低消費電力状態から、通常動作状態に移行することである。
【0053】
セントラルECU2は、特定のイベントが発生したことに対応して、ゾーンA-ECU11に対して制御信号を送信する(ステップS22)。ステップS22でセントラルECU2が送信する制御信号は、ゾーンA-ECU11がリレー115をオンに切り替える契機となる信号であればよく、その内容は限定されない。本実施形態では、セントラルECU2は、SSSW73によって駆動系装置60の始動が指示されたことに対応して、駆動系装置60の始動を示す制御信号である始動指示を送信する(ステップS22)。
【0054】
ゾーンA-ECU11は、セントラルECU2から始動指示を受信したことを契機として起動する(ステップS31)。続いて、ゾーンA-ECU11は、ゾーンA-ECU11の起動とともにリレー115をオンに切り替えさせ(ステップS32)、これにより駆動系装置60が始動する。すなわち、ステップS32でリレー115がオンに切り替わることによって、電源P1及び電源P2の出力が開始される。これに伴い、駆動制御部55が駆動系装置60を制御可能な状態となり、駆動系装置60は始動可能な状態となる。そして、ゾーンA-ECU11は、ステップS22の始動指示に従って、駆動制御部55に、駆動系装置60を始動するための制御を実行させる。
【0055】
図2は、ゾーンB-ECU13が電子キー4の認証に成功した場合の動作を示している。ゾーンB-ECU13は、ステップS16の認証に成功したことを示す認証結果通知を、セントラルECU2に出力する(ステップS17)。
【0056】
セントラルECU2は、ゾーンB-ECU13から認証結果通知を受信して、認証の結果を参照する(ステップS23)。セントラルECU2は、認証に成功したことに基づき、オン制御信号をゾーンA-ECU11に送信する(ステップS24)。オン制御信号は、リレー115をオンにして駆動系装置60を動作させることを指示する制御信号である。ゾーンA-ECU11は、セントラルECU2からオン制御信号を受信したときに、すでに駆動系装置60を始動させているため、そのまま動作を継続する。
【0057】
図3は、ゾーンB-ECU13が電子キー4の認証に失敗した場合の動作を示している。ステップS11~S16、S21~S22、S31~S32は図2と共通であるため、説明を省略する。
【0058】
ゾーンB-ECU13は、ステップS16の認証に失敗した場合、認証失敗を示す認証結果通知を、セントラルECU2に出力する(ステップS18)。
セントラルECU2は、ゾーンB-ECU13から認証結果通知を受信し、認証の結果を参照する(ステップS23)。セントラルECU2は、認証に失敗したことに基づき、駆動制御部55及び駆動系装置60を停止させるため、シャットダウン指示をゾーンA-ECU11に送信する(ステップS25)。
【0059】
ゾーンA-ECU11は、セントラルECU2からシャットダウン指示を受信し、リレー115をオフに切り替えさせる(ステップS33)。これにより、駆動制御部55への電源P1の供給、及び、駆動系装置60への電源P2の供給が停止し、駆動制御部55及び駆動系装置60が動作を停止する。さらに、ゾーンA-ECU11は、ゾーンA-ECU11の動作を停止する(ステップS34)。ステップS33~S34により、車両Vは駆動系装置60を始動できなくなり、走行できない状態となる。
【0060】
このように、本実施形態の車両制御装置1は、ユーザの始動要求に応じてゾーンB-ECU13によって認証処理(ステップS16)を行う。車両制御装置1は、認証処理を開始する際に、セントラルECU2を介してゾーンA-ECU11に通知を実行し、リレー115をオンに切り替える。このため、認証処理の結果を待たずに駆動系装置60が始動し、或いは、始動可能な状態となるので、ユーザによる始動要求から駆動系装置60が始動するまでの応答性が非常に高いという利点がある。
【0061】
図4は、図2及び図3とは別の車両制御装置1の動作例を示すシーケンス図であり、認証処理が特定のイベントとして設定されていない場合の車両制御装置1の動作を示す。この動作は図2及び図3に対する比較例である。図4において、図2及び図3と共通する動作については同じステップ番号を付し、その一部の説明を省略する。
【0062】
図4のステップS21において、セントラルECU2は、ゾーンB-ECU13から認証開始通知を受信することにより、認証処理が開始されたことを検知する(ステップS21)。ここで、セントラルECU2は起動するが、認証処理が特定のイベントでない場合には、ゾーンB-ECU13の認証処理が完了するまで待機する。
【0063】
セントラルECU2は、ゾーンB-ECU13が認証処理を完了した後に、ゾーンB-ECU13から認証結果通知を受信して、認証の結果を参照する(ステップS23)。セントラルECU2は、認証に成功したことに基づき、オン制御信号をゾーンA-ECU11に送信する(ステップS24)。
【0064】
この場合、ゾーンA-ECU11は、セントラルECU2からオン制御信号を受信したことを契機として起動し(ステップS31)、リレー115をオンに切り替えさせる(ステップS32)。
【0065】
図4の動作例においてリレー115がオンに切り替えられるタイミングは、ステップS17の認証結果通知、及び、ステップS24のオン制御信号の後である。このタイミングは、ユーザが始動要求を行ってから相当の時間が経過した後である。具体的には、ゾーンA-ECU11がリレー115をオンに切り替える契機が発生するまでには、ゾーンB-ECU13からセントラルECU2へ通知を送信すること、及び、セントラルECU2がゾーンA-ECU11に指示を送信することが必要である。この一連の通信は、通信線B1と通信線B2を経由するCAN通信であるから、通信遅延が発生する。
【0066】
さらに、電源P1、P2の供給開始後に駆動制御部55及び駆動系装置60を始動させるために、比較的長い時間を要する。例えば、エンジンECU50AやモータECU50Bが起動シーケンスを実行するための時間、電源P2の供給開始から燃料ポンプ63の燃圧が安定するまでの時間、走行用モータ64のインバータ回路の起動シーケンスに必要な時間は、比較的長い。このように、上記の例では、ユーザがSSSW73を操作してから、車両Vが走行可能になるまでの時間が長くなるため、応答性がよくないとの印象を与える可能性がある。
【0067】
これに対し、本実施形態では、認証処理を開始したことに対応して電源P1、P2の供給が開始される。このため、SSSW73による始動要求の後、速やかに駆動系装置60を始動させて、車両Vを走行可能な状態にすることができる。このため、優れた応答性を実現できる。
【0068】
また、認証に失敗した場合には、ゾーンA-ECU11がリレー115をオフにするので、駆動系装置60が動作できなくなる。このため、車両Vに適合する電子キー4が無い状態で車両Vを走行させることを防止でき、セキュリティを確保できる。
【0069】
図2図4との動作の相違は、セントラルECU2が、特定のイベントの発生を検知して始動指示(ステップS22)を送信すること、及び、始動指示に基づきゾーンA-ECU11がリレー115をオンにすること(ステップS32)である。つまり、セントラルECU2が特定のイベントを検知する機能と、ゾーンA-ECU11にリレー115をオンにさせる始動指示とを、セントラルECU2に実装することにより、図2及び図3の動作を実現できる。
【0070】
上記の例では、特定のイベントの一例としてゾーンB-ECU13による認証処理を挙げて説明した。本開示の車両制御装置1における制御方法を適用可能なイベントは、認証処理に限定されない。例えば、特定のイベントは、車両制御装置1の故障検知処理とすることができる。
【0071】
故障検知処理は、車両制御装置1が、車両制御装置1を構成する機能部の故障を検知するための自己診断機能を実行することである。車両制御装置1は、SSSW73の操作等に応じて故障検知処理と駆動系装置60の始動とを行う場合において、故障検知処理を開始する際にリレー115をオンにする。この場合、車両制御装置1は、故障検知処理により故障が発見されない場合は駆動系装置60の動作を継続し、故障が発見された場合はリレー115をオフに切り替える。これにより、故障検知処理が完了することを待たずに駆動系装置60を始動させることができ、応答性の向上を図ることができる。
【0072】
[3.他の実施形態]
上記実施形態は本発明を適用した一具体例を示すものであり、発明が適用される形態を限定するものではない。
【0073】
例えば、上記実施形態では、電源P1及び電源P2をリレー115が+Bに切離し、リレー115がオンに切り替わることにより駆動制御部55が動作可能となる構成を説明した。また、駆動系装置60の電源P2をリレー115が+Bに切離し、リレー115がオンに切り替わることにより駆動制御部55が動作可能となる構成を説明した。リレー115が切離する電源の構成は限定されず、例えば、リレー115が電源P2のみを切離する構成であってもよい。この場合、ゾーンA-ECU11が、駆動制御部55を構成するEC50を起動および停止させればよい。また、車両制御装置1が、駆動系装置60の電源P2を切離する不図示のリレーを、リレー115とは別に設けてもよい。この場合、リレー115は電源P1を切離するスイッチ部として機能する。この構成においては、ゾーンA-ECU11がリレー115をオンに切り替えるタイミングにおいて、電源P2の供給が開始されていれば、上記実施形態と同様の効果を得ることができる。
【0074】
例えば、上記実施形態で説明した認証処理は一例である。電子キー4に代えて、スマートフォン等の電子機器と車両制御装置1とが通信を実行して認証処理を行ってもよい。或いは、ICチップを搭載したICカードを車両制御装置1が読み取って認証処理を行ってもよい。また、車両Vに搭載されるカメラの撮像画像に基づいて車両制御装置1がユーザの顔等を認証することにより、認証処理を行ってもよい。また、車両制御装置1が、指紋リーダ等の生体認証装置を利用して認証処理を行ってもよい。
【0075】
また、例えば、上記実施形態では駆動系装置60を始動させる要求に対応する動作を説明したが、本開示の制御方法は、駆動系装置60に限らず、車両Vが備える機能部あるいは駆動部を動作させる場合に適用可能である。例えば、車両Vが搭載するホーンを鳴動させる場合に適用してもよい。
【0076】
また、上記実施形態で示した車両制御装置1の構成は一例であり、車両制御装置1が備えるECUの種類、ECUの数、ECUの制御対象の装置の構成は種々に変更可能である。また、図2図4に示したステップ単位は、車両制御装置1の動作の理解を容易にするために、主な処理内容に応じて分割したものであり、処理単位の分割の仕方や名称によって、限定されることはない。処理内容に応じて、さらに多くのステップ単位に分割してもよい。1つのステップ単位がさらに多くの処理を含むように分割してもよい。そのステップの順番は、適宜に入れ替えてもよい。
【0077】
[4.上記実施形態によりサポートされる構成]
上記実施形態は、以下の構成をサポートする。
【0078】
(構成1)車両の駆動に関与する駆動系装置、及び、前記駆動系装置を制御する駆動制御部の少なくともいずれかに対する電力供給を切離するスイッチ部と、前記スイッチ部を制御するスイッチ制御部と、前記車両における特定のイベントが発生したことを検知するイベント検知部と、を備え、前記スイッチ部は、電力供給を行うオン状態と、電力供給を停止するオフ状態とを切り替え可能であり、前記スイッチ制御部は、制御装置からオン制御信号を受信したことを契機として前記スイッチ部をオン状態に切り替えさせ、前記特定のイベントが発生した場合には前記オン制御信号を受信することなく前記スイッチ部をオン状態に切り替えさせる、車両制御装置。
構成1の車両制御装置によれば、車両の駆動に関与する駆動系装置、及び、駆動系装置を制御する駆動制御部の少なくともいずれかに対する電力供給を速やかに開始できる。これにより、車両を速やかに駆動可能な状態とすることができ、応答性の向上を図ることができる。
【0079】
(構成2)前記スイッチ制御部は、前記特定のイベントが発生した場合に、前記スイッチ制御部の起動とともに前記スイッチ部をオン状態に切り替えさせる、構成1に記載の車両制御装置。
構成2の車両制御装置によれば、特定のイベントが発生した場合に、より速やかにスイッチ部をオン状態に切り替えることができ、応答性のより一層の向上を図ることができる。
【0080】
(構成3)前記スイッチ制御部は、前記特定のイベントの結果に対応して前記スイッチ部をオフ状態に切り替え可能である、構成1または構成2に記載の車両制御装置。
構成3の車両制御装置によれば、特定のイベントの結果に基づき、駆動系装置を停止させ、或いは、駆動系装置の始動を中断させることができる。このため、車両を駆動させることが適切でない場合等には、駆動系装置の動作を止めることができる。従って、特定のイベントの結果を駆動系装置の動作に反映させることを可能とし、かつ、応答性の向上を図ることができる。
【0081】
(構成4)前記特定のイベントは、前記駆動系装置を始動させるための認証処理である、構成1から構成3のいずれかに記載の車両制御装置。
構成4の車両制御装置によれば、車両を駆動させる前に認証処理を行う構成において、認証処理の完了を待たずにスイッチ部をオン状態に切り替えることによって、車両を速やかに駆動可能な状態とすることができる。
【0082】
(構成5)前記スイッチ部、及び、前記スイッチ制御部とは別に、前記スイッチ制御部と直接接続されていない認証部を備え、前記認証部により前記認証処理を行う、構成4に記載の車両制御装置。
構成5の車両制御装置によれば、認証部の認証結果をスイッチ制御部が通信等により取得する必要があり、通信遅延等の影響により応答性が低下しやすい構成において、応答性の向上を図ることができる。
【0083】
(構成6)前記スイッチ制御部と前記イベント検知部とは第1の通信線を介してCAN通信を実行し、前記イベント検知部と前記認証部とは第2の通信線を介してCAN通信を実行する、構成5に記載の車両制御装置。
構成6の車両制御装置によれば、認証結果をCAN通信により伝送する構成において、応答性の向上を図ることができる。
【0084】
(構成7)車両の駆動に関与する駆動系装置、及び、前記駆動系装置を制御する駆動制御部の少なくともいずれかに対する電力供給を切離するスイッチ部を備え、前記スイッチ部を、電力供給を行うオン状態と、電力供給を停止するオフ状態とに切り替えさせる制御部を用いる車両制御方法であって、制御部により、制御装置からオン制御信号を受信したことを契機として前記スイッチ部をオン状態に切り替えさせ、前記車両において特定のイベントが発生した場合には前記オン制御信号を受信することなく前記スイッチ部をオン状態に切り替えさせる、車両制御方法。
構成7の車両制御方法によれば、車両の駆動に関与する駆動系装置、及び、駆動系装置を制御する駆動制御部の少なくともいずれかに対する電力供給を速やかに開始できる。これにより、車両を速やかに駆動可能な状態とすることができ、応答性の向上を図ることができる。
【0085】
(構成8)車両の駆動に関与する駆動系装置、及び、前記駆動系装置を制御する駆動制御部の少なくともいずれかに対する電力供給を切離するスイッチ部を制御するコンピュータにより実行されるプログラムであって、前記コンピュータを、前記スイッチ部を、電力供給を行うオン状態と、電力供給を停止するオフ状態とに切り替えさせるスイッチ制御部として機能させ、前記スイッチ制御部は、制御装置からオン制御信号を受信したことを契機として前記スイッチ部をオン状態に切り替えさせ、前記車両において特定のイベントが発生した場合には前記オン制御信号を受信することなく前記スイッチ部をオン状態に切り替えさせる、プログラム。
構成8のプログラムによれば、車両の駆動に関与する駆動系装置、及び、駆動系装置を制御する駆動制御部の少なくともいずれかに対する電力供給を速やかに開始できる。これにより、車両を速やかに駆動可能な状態とすることができ、応答性の向上を図ることができる。
【符号の説明】
【0086】
1…車両制御装置、2…セントラルECU(イベント検知部)、4…電子キー、11…ゾーンA-ECU(スイッチ制御部)、13…ゾーンB-ECU(認証部)、50…ECU、50A…エンジンECU、50B…モータECU、50C…キー通信ECU、50D…ドア制御ECU、50E…操作部ECU、55…駆動制御部、60…駆動系装置、61…エンジン、62…始動モータ、63…燃料ポンプ、64…走行用モータ、71…通信部、72…ロック機構、73…SSSW、110…処理部、115…リレー(スイッチ部)、121…プロセッサ(コンピュータ)、123…メモリ、B1…通信線(第1の通信線)、B2…通信線(第2の通信線)、B3、B4…通信線、P1、P2…電源、V…車両。
図1
図2
図3
図4