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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024098307
(43)【公開日】2024-07-23
(54)【発明の名称】玩具用装置及び玩具
(51)【国際特許分類】
   A63H 29/02 20060101AFI20240716BHJP
   A63H 5/00 20060101ALI20240716BHJP
   A63H 33/00 20060101ALI20240716BHJP
   A63H 29/00 20060101ALI20240716BHJP
【FI】
A63H29/02 A
A63H5/00 J
A63H33/00 P
A63H29/00 Z
【審査請求】未請求
【請求項の数】6
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023001732
(22)【出願日】2023-01-10
(71)【出願人】
【識別番号】000102108
【氏名又は名称】イワヤ株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100092565
【弁理士】
【氏名又は名称】樺澤 聡
(74)【代理人】
【識別番号】100112449
【弁理士】
【氏名又は名称】山田 哲也
(72)【発明者】
【氏名】中野 殖夫
(72)【発明者】
【氏名】虻川 久美子
【テーマコード(参考)】
2C150
【Fターム(参考)】
2C150AA05
2C150CA02
2C150DF04
2C150DF37
2C150EB36
(57)【要約】
【課題】興味性の向上を図ることができる玩具用装置を提供する。
【解決手段】玩具用装置3は、ぜんまいばね41を有した駆動手段11を備える。また、玩具用装置3は、駆動手段11からの動力に基づいて回転して玩具本体を振動させる錘体12と、駆動手段11からの動力に基づいて回転する回転体13とを備える。さらに、玩具用装置3は、回転体13の回転に基づいて音を発する笛16を有する発音手段15を備える。
【選択図】図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
駆動手段と、
前記駆動手段からの動力に基づいて回転する回転体と、
前記回転体の回転に基づいて音を発する笛を有する発音手段と
を備えることを特徴とする玩具用装置。
【請求項2】
駆動手段と、
前記駆動手段からの動力に基づいて回転して玩具本体を振動させる振動体と、
前記駆動手段からの動力に基づいて回転する回転体と、
前記回転体の回転に基づいて音を発する笛を有する発音手段と
を備えることを特徴とする玩具用装置。
【請求項3】
前記発音手段は、
前記笛に空気を供給する鞴と、
前記回転体の回転に基づいて作動して前記鞴を動作させる作動部材と、
前記作動部材を前記回転体側に向けて付勢する付勢部材とを有する
ことを特徴とする請求項1又は2記載の玩具用装置。
【請求項4】
前記回転体は、前記作動部材側に向かって突出する回転側突出部を有し、
前記作動部材は、前記回転体側に向かって突出する作動側突出部を有し、
前記回転側突出部は、
前記回転体の回転方向に沿った直線に対して第1傾斜角度を持って傾斜した回転方向前側の第1傾斜面と、
前記直線に対して前記第1傾斜角度よりも大きな第2傾斜角度を持って傾斜した回転方向後側の第2傾斜面とを有し、
前記駆動手段からの動力に基づく前記回転体の回転時において、
前記回転側突出部の前記第1傾斜面が前記作動側突出部と接触する際には、前記作動部材が前記付勢部材の付勢力に抗して作動して前記鞴が伸び動作し、
前記回転側突出部の前記第2傾斜面が前記作動側突出部と接触する際には、前記作動部材が前記付勢部材の付勢力に基づいて作動して前記鞴が縮み動作する
ことを特徴とする請求項3記載の玩具用装置。
【請求項5】
前記回転体は、この回転体の回転方向に沿って不等間隔をおいて並ぶ複数の前記回転側突出部を有する
ことを特徴とする請求項4記載の玩具用装置。
【請求項6】
玩具本体と、
前記玩具本体内に収納された請求項1又は2記載の玩具用装置と
を備えることを特徴とする玩具。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、興趣性の向上を図ることができる玩具用装置及び玩具に関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来、例えば下記の特許文献1に記載された玩具用装置が知られている。
【0003】
この従来の玩具用装置(玩具用振動装置)は、例えばぜんまいばね及び複数の歯車等で構成された駆動手段と、この駆動手段からの動力で回転して玩具本体を振動させる振動体(重錘)とを備えたものである。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】実公平6-33992号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
そして、玩具に用いられる玩具用装置においては、より一層の興趣性の向上が求められている。
【0006】
本発明は、このような点に鑑みなされたもので、興趣性の向上を図ることができる玩具用装置及び玩具を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明に係る玩具用装置は、駆動手段と、前記駆動手段からの動力に基づいて回転する回転体と、前記回転体の回転に基づいて音を発する笛を有する発音手段とを備えるものである。
【0008】
また、本発明に係る玩具用装置は、駆動手段と、前記駆動手段からの動力に基づいて回転して玩具本体を振動させる振動体と、前記駆動手段からの動力に基づいて回転する回転体と、前記回転体の回転に基づいて音を発する笛を有する発音手段とを備えるものである。
【発明の効果】
【0009】
本発明によれば、興趣性の向上を図ることができる。
【図面の簡単な説明】
【0010】
図1】本発明の一実施の形態に係る玩具用装置の分解斜視図(上方視)である。
図2】同上玩具用装置の分解斜視図(下方視)である。
図3】同上玩具用装置の駆動手段の内部機構等を示す分解斜視図(上方視)である。
図4】同上玩具用装置の駆動手段の内部機構等を示す分解斜視図(下方視)である。
図5】(a)及び(b)は同上玩具用装置の発音手段の動作を示す図である。
図6】(a)ないし(e)は同上発音手段の動作(カムによるレバーの作動)を説明するための説明図である。
図7】同上玩具用装置を備えた玩具の一例を示す側面図である。
【発明を実施するための形態】
【0011】
本発明の一実施の形態について図1ないし図7を参照して説明する。
【0012】
図7において、1は玩具で、この玩具1は、例えば動物である小鳥のぬいぐるみ玩具である。
【0013】
そして、玩具1は、例えばクッション材等で構成され、小鳥を模したぬいぐるみ製の玩具本体2と、この玩具本体2内に少なくとも一部、すなわち例えば略全体が収納され、少なくとも玩具本体2を振動させるとともに音を発するユニット状の玩具用装置3とを備えている。
【0014】
なお、この玩具1に用いられた玩具用装置3が発する音、すなわち当該玩具用装置3を収納した玩具本体2内から聞こえる音は、小鳥を模した玩具本体2に対応するものであって、小鳥の自然な鳴き声を模した音(例えば「ピッピッピッ」等という自然な鳴き声に近似した音)である。
【0015】
玩具本体2は、図7に示すように、小鳥の胴体の形状に形成された本体部6を備え、この本体部6は、装置収納空間7を内部に有している。そして、本体部6の装置収納空間7には、玩具用装置3の略全体が収納されている。なお、玩具用装置3のうち操作体10の一部のみが本体部6から後方に導出されて当該玩具本体2外に位置している。
【0016】
玩具用装置(玩具用振動発音装置)3は、図1ないし図5にも示すように、使用者が引き操作する操作体10と、この操作体10の引き操作の解除により動力を出力する駆動手段11と、この駆動手段11からの動力に基づいて偏心回転して玩具本体2の全体を振動させる振動体である錘体12と、駆動手段11からの動力に基づいて回転する回転体13と、この回転体13の回転に基づいて音(例えば小鳥の自然な鳴き声を模した音)を発する笛16を有する発音手段15とを備えている。
【0017】
そして、発音手段15は、笛16に空気を供給する伸縮可能な鞴17と、回転体13の回転に基づいて作動、すなわち例えば回動して鞴を17を伸縮動作させる作動部材(回動部材)18と、この作動部材18を回転体13側に向けて付勢する付勢部材である圧縮コイルばね19とを有している。なお以下では、図1に示す矢印方向を前後、左右及び上下の方向として説明する。
【0018】
玩具用装置3は、左右のケース構成部材22からなる箱状のケース体21を備え、このケース体21内に駆動手段11、錘体12、回転体13及び発音手段15が収納されている。
【0019】
操作体10は、ケース体21内に収納した駆動手段11の巻取部材(リール)40に一端部が接続された操作紐である引紐31と、この引紐31の他端部に取り付けられ、使用者が引き操作の際に指を引っ掛かることが可能な指引掛用の環状部材32とを有している。
【0020】
引紐31は、ケース体21の挿通筒部23に挿通されており、その引紐31の駆動手段11側の部分がケース体21内に収納されて位置し、かつ、残りの部分がケース体21外に位置し、その先端に環状部材32が取り付けられている。また、ケース体21の挿通筒部23の外周側には、紐口リング33が嵌着されている。なお、操作体10のうち環状部材32及び引紐31の一部が玩具本体2外に位置している(図7参照)。
【0021】
駆動手段(駆動部)11は、操作体10の引き操作で弾性変形する弾性部材であるぜんまいばね(動力源)41を有したもので、操作体10の引き操作の解除によってそのぜんまいばね41の弾性復元力に基づく動力を出力するぜんまいユニットである。
【0022】
そして、ぜんまいばね41を内蔵した駆動手段11は、上下のケース構成部材42からなる箱状の駆動ケース43を有しており、この駆動ケース43内には、ぜんまいばね41のほか、第1歯車51、第2歯車52、第3歯車53、第4歯車54、歯車ケース55及び巻取部材(リール)40が収納され、この巻取部材40に引紐31が巻き戻し可能に巻き取られている。
【0023】
ぜんまいばね41は、その一端部が第1回転軸56に固着され、その他端部が駆動ケース43のばね取付部50に取り付けられている。巻取部材40及び第1歯車51も、同じく第1回転軸56に固着されている。他方、第2歯車52及び第3歯車53は第2回転軸57に固着され、第4歯車54は第3回転軸58に固着されている。そして、第1歯車51と第2歯車52とが互いに噛み合い、かつ、第3歯車53と第4歯車54とが互いに噛み合っている。
【0024】
また、第1回転軸56は、駆動ケース43の第1保持孔61によって回転可能に保持されている。同様に、第2回転軸57は、駆動ケース43の第2保持孔62によって回転可能に保持され、また、第3回転軸58は駆動ケース43の第3保持孔63によって回転可能に保持されている。
【0025】
第3回転軸58は、駆動ケース43の上面から上方に突出し、この突出した部分に錘体12が固着されている。この錘体12は、例えば略T字状の鉄板等の金属板からなるもので、第1板部64と、この第1板部64の一端部に連設された第2板部65とを有している。第1板部64の他端部には挿通孔66が形成され、この挿通孔66に第3回転軸58が挿通固定されている。
【0026】
また、第1回転軸56は、駆動ケース43の下面から下方に突出し、この突出した部分には回転体13を一方向である回転方向aにのみ回転させるための回転部材(ラチェット爪)71が固着されている。
【0027】
この回転部材71は、弾性変形可能な円弧板状の複数(例えば2つ)の弾性変形部72を有し、この各弾性変形部72の先端部には、ぜんまいばね41の弾性復元力に基づく第1回転軸56の一方向への回転時にのみ回転体13の歯部75と係合する係合爪73が形成されている。また、回転部材71は、回転体13の孔部76に挿入された筒状部74を有し、この筒状部74の内周側に第1回転軸56の下端部が嵌入固定されている。
【0028】
そして、回転部材71が第1回転軸56とともに一方向(回転方向a)に回転する場合には、係合爪73と歯部75との係合により回転体13も当該第1回転軸56と一緒に回転方向aに回転するが、回転部材71が第1回転軸56とともに他方向(回転方向aとは反対の方向)に回転する場合には、弾性変形部72の弾性変形により係合爪73と歯部75とが係合しないため、回転体13は回転しない。なお、回転体13の歯部75と回転部材71とで、回転体13を回転方向aにのみ回転させるためのラチェット機構70が構成されている。
【0029】
回転体(円板カム)13は、孔部76が中心側に形成された円板部77を有し、この円板部77の下面には、作動部材18側である下方側に向かって突出する複数の回転側突出部78が一体的に設けられている。
【0030】
つまり、回転体13は、この回転体13の回転方向aに沿って不等間隔をおいて並ぶ複数、すなわち例えば3つ回転側突出部78を有している。各回転側突出部78は、ケース体21に対して作動部材18を回動(作動)させるための突起部である。そして、互いに隣り合う両回転側突出部78間の間隔(距離)、すなわち図6(a)に示す3つの距離A,B,Cはいずれも異なっている。このため、笛16が発する音の間隔は当該距離に応じて異なる。
【0031】
また、当該図6(a)に示すように、各回転側突出部78は、回転体13の回転方向aに沿った直線Lに対して第1傾斜角度αを持って傾斜した傾斜状の回転方向前側の第1傾斜面81と、その直線Lに対して第1傾斜角度αよりも大きな第2傾斜角度βを持って傾斜した傾斜状の回転方向後側の第2傾斜面82と、これら両面81,82同士を繋ぐ連絡面83とを有している。
【0032】
なお、第1傾斜面81は回転方向aの前方側を向いた面であり、第2傾斜面82は回転方向aの後方側を向いた面である。また、傾斜状の両傾斜面81,82は、必ずしも平面である必要はなく、湾曲面であってもよい。さらに、図示した例では、第1傾斜角度αは例えば30度であり、第2傾斜角度βは例えば60度であるが、これには限定されず、他の傾斜角度でもよい。
【0033】
発音手段15は、上述したように、笛16と、鞴17と、作動部材18と、圧縮コイルばね19とを有したものである。
【0034】
作動部材(レバー)18は、ケース体21に左右方向の回動中心軸線Xを中心として上下方向に回動可能に取り付けられている。この作動部材18は、屈曲板状の回動板部86を有し、この回動板部86が圧縮コイルばね19によって上方側に常時付勢されている。
【0035】
なお、圧縮コイルばね19は、作動部材18の回動板部86とケース体21のばね受部25との間に圧縮した状態で配置されており、その結果、作動部材18は、回転体13側に常時付勢されて当該回転体13に押し付けられている。
【0036】
回動板部86の一端部には左右方向に沿った真っ直ぐな丸軸状の支軸部87が一体的に設けられ、この支軸部87がケース体21によって回動可能に支持(保持)されている。なお、支軸部87の軸芯を通る線が回動中心軸線Xである。
【0037】
回動板部86の他端部には、屈曲した丸軸状の連結軸部88が一体的に設けられ、この連結軸部88が鞴17の連結板部96の挿通孔97に挿通されている。また、回動板部86の他端部には、鞴17の伸縮部95の下面(当接受面)に当接する当接部89が一体的に設けられている。
【0038】
回動板部86の上面には、回転体13側である上方側に向かって突出する1つの作動側突出部90が一体的に設けられている。つまり、作動部材18は、回転体13の回転時にこの回転体13の回転側突出部(一方側突起)78と断続的に接触、換言するとその回転側突出部78に対して接離する1つの作動側突出部(他方側突起)90を有している。
【0039】
そして、作動側突出部90は、例えば回動板部86の上面に対して傾斜状の傾斜面91と、回動板部86の上面に対して垂直状の垂直面92と、これら両面91,92同士を繋ぐ連絡面93とを有している。
【0040】
鞴17は、作動部材18の下方回動(一方向への回動)に基づく伸び動作により笛16の開口部100から伸縮部95内に空気を取り込み、かつ、作動部材18の上方回動(他方向への回動)に基づく縮み動作によりその取り込んだ空気を伸縮部95外に排出して笛16に供給するものである。
【0041】
そして、鞴17は、作動部材18の回動に応じて伸縮する蛇腹状の伸縮部95を有し、この伸縮部95の上面には円筒状の筒状部98が突設され、この筒状部98の内周側に笛16の下端部が嵌入固定されている。また、伸縮部95の下面には連結板部96が突設され、この連結板部96に作動部材18の先端側が連結されている。
【0042】
笛16は、鞴17の縮み動作により当該鞴17から供給される空気(気流)によって音を発するものであり、その鞴17の上端側に連結されている。
【0043】
そして、笛16は、空気が通過する開口部100が形成された笛本体101と、この笛本体101の上端部に装着され、ケース体21の当接板部26に当接した笛蓋102とを有している。
【0044】
笛本体101は、円筒状の笛本体部103を有し、この笛本体部103の外周面には取付板部104が突設され、この取付板部104がケース体21の笛取付部27に固定的に取り付けられている。つまり、この笛取付部27には溝状の凹部分28が形成され、この凹部分28に笛本体101の取付板部104が嵌入固定されている。なお、笛16は、ケース体21の当接板部26と鞴17との間に挟持された状態で配置されている。
【0045】
次に、上記玩具1の玩具用装置3の作用等を説明する。
【0046】
使用者が環状部材32を持って操作体10を引き操作すると、第1回転軸56が回転することにより駆動手段11のぜんまいばね41が巻かれて弾性変形し、当該ぜんまいばね41は第1回転軸56に巻き付いた状態(動力が蓄えられた状態)となる。なおこの際、第1回転軸56は回転体13に対して空回りするため、回転体13は回転せず、発音手段15も動作しない。
【0047】
そして、使用者が環状部材32から手を離して操作体10の引き操作を解除すると、ぜんまいばね41が元の形状に復帰するため、そのぜんまいばね41の弾性復元力に基づく動力が駆動手段11から出力される。
【0048】
すると、錘体12が駆動手段11からの動力に基づいて偏心回転し、その結果、玩具本体2の全体が玩具用装置3とともに振動する。
【0049】
また同時に、回転体13が駆動手段11からの動力に基づいて第1回転軸56とともに回転方向aへ回転し、その結果、発音手段15が発音動作することにより、笛16が所望の音、すなわち例えば小鳥の自然な鳴き声を模した音を発する。つまり発音手段15の笛16から所望の音が発生し、使用者がその音を聞く。
【0050】
具体的には、駆動手段11からの動力に基づく回転体13の回転方向aへの回転時において、回転体13の回転側突出部78の第1傾斜面81が作動部材18の作動側突出部90と接触(当接係合)した際には、作動部材18が第1傾斜面81に押される形で圧縮コイルばね19の付勢力に抗して回動中心軸線Xを中心として下方に回動し、この下方回動により鞴17が伸び動作して空気を笛16の開口部100から取り込む(図5(a)、図6(a)ないし(c)を参照)。
【0051】
また、当該駆動手段11からの動力に基づく回転体13の回転方向aへの回転時において、回転体13の回転側突出部78の第2傾斜面82が作動部材18の作動側突出部90と接触(当接係合)した際には、作動部材18が圧縮コイルばね19に押される形で当該圧縮コイルばね19の付勢力に基づいて回動中心軸線Xを中心として上方に回動し、この上方回動により鞴17が縮み動作して空気を笛16に供給する(図5(b)、図6(c)ないし(e)を参照)。そして、当該鞴17から笛16に空気が供給されると、笛16がその空気の流れで音を発する。
【0052】
このとき、第2傾斜面82の第2傾斜角度βが第1傾斜面81の第1傾斜角度αよりも大きな値に設定されているため、圧縮コイルばね19の付勢力に基づく作動部材18の上方回動の速度は、第1傾斜面81との接触の際の下方回動の速度に比べて速く、これにより、作動部材18は鞴17を所望の力で押することができ、当該鞴17を素早く縮み動作させることが可能である。その結果、笛16の開口部100からは所望の音が生じて、玩具1から小鳥の自然な鳴き声が聞こえる。
【0053】
そして、このような玩具1の玩具用装置3によれば、駆動手段11からの動力(例えばぜんまいばねの弾性復元力による動力)に基づいて回転して玩具本体2を振動させる錘体12と、駆動手段11からの動力に基づいて回転する回転体13と、この回転体13の回転に基づいて音を発する笛16を有する発音手段15とを備えるため、簡易な構成であるにも拘わらず、興趣性の向上を図ることができる。
【0054】
特に、発音手段15は笛16を有するものであるから、例えば発する音が異なる複数種の笛16を設計して用意しておくことで、複数種の笛16の中から玩具本体2の小鳥の種類(例えばインコ、文鳥等)に対応したものを適宜選択でき、よって、笛16を変えるだけで各種の玩具本体2に容易かつ適切に対応できる。
【0055】
また、駆動手段11からの動力に基づく回転体13の回転時において、回転側突出部78の緩い傾きの第1傾斜面(傾斜角度αの傾斜面)81が作動側突出部90と接触する際には作動部材18が圧縮コイルばね19の付勢力に抗して作動して鞴17が伸び動作し、かつ、回転側突出部78の急な傾きの第2傾斜面(傾斜角度βの傾斜面)82が作動側突出部と接触する際には作動部材18が圧縮コイルばね19の付勢力に基づいて作動して鞴17が縮み動作するため、この作動部材18は、所望の力で鞴17を素早く縮み動作させることができ、よって、笛16から所望の音を適切に発することができる。
【0056】
さらに、回転体13は、この回転体13の回転方向aに沿って互いに不等間隔(例えば互いに異なる距離A,B,C)をおいて並ぶ複数の回転側突出部78を有するため、例えばクランク軸等を用いた構成とは異なり、笛16が発する音の間隔も一定の間隔ではなく、対応する小鳥の自然な鳴き声を模した音を効果的に実現でき、よって、興趣性の向上をより一層適切に図ることができる。
【0057】
また、この回転体13に関しても、笛16と同様、例えば不等間隔が異なる複数種の回転体13を設計して用意しておくことで、複数種の回転体13の中から玩具本体2の小鳥の種類に対応したものを適宜選択でき、よって回転体13の交換のみで各種の玩具本体2に容易かつ適切に対応できる。
【0058】
なお、上記実施の形態では、玩具用装置の回転体が複数、すなわち例えば3つの回転側突出部を有する構成について説明したが、回転側突出部の数は任意であり、例えば2つでもよく4つ以上でもよく、また、その回転側突出部と係脱可能に係合する作動側突出部の数も任意である。
【0059】
また、発音手段の作動部材は、回動によって鞴を動作させるものには限定されず、例えば回動以外の作動(例えば上下動等)で鞴を動作させるものでもよい。
【0060】
さらに、発音手段の付勢部材は、圧縮コイルばねが好ましいが、これには限定されず、他の弾性体を用いてもよい。
【0061】
また、玩具用装置は、振動体の回転で玩具本体を振動させながら笛を利用して音を発する玩具用振動発音装置には限定されず、少なくとも音を発するものであればよく、例えば振動体を備えない玩具用発音装置でもよい。
【符号の説明】
【0062】
1 玩具
2 玩具本体
3 玩具用装置
11 駆動手段
12 振動体である錘体
13 回転体
15 発音手段
16 笛
17 鞴
18 作動部材
19 付勢部材である圧縮コイルばね
78 回転側突出部
81 第1傾斜面
82 第2傾斜面
90 作動側突出部
a 回転方向
L 直線
α 第1傾斜角度
β 第2傾斜角度
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7