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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024098308
(43)【公開日】2024-07-23
(54)【発明の名称】画像形成装置および画像形成方法
(51)【国際特許分類】
   G03G 21/00 20060101AFI20240716BHJP
   G03G 15/16 20060101ALI20240716BHJP
【FI】
G03G21/00 510
G03G21/00 370
G03G21/00 318
G03G15/16 103
【審査請求】未請求
【請求項の数】11
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023001737
(22)【出願日】2023-01-10
(71)【出願人】
【識別番号】000001270
【氏名又は名称】コニカミノルタ株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110000925
【氏名又は名称】弁理士法人信友国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】齋藤 裕行
(72)【発明者】
【氏名】向林 祐
(72)【発明者】
【氏名】柏倉 邦章
(72)【発明者】
【氏名】田中 秀明
(72)【発明者】
【氏名】波多野 北斗
【テーマコード(参考)】
2H134
2H200
2H270
【Fターム(参考)】
2H134GA01
2H134GB02
2H134GB05
2H134GB10
2H134HD11
2H134HD18
2H134KB13
2H134KH01
2H200FA02
2H200FA09
2H200GA23
2H200GA45
2H200GA60
2H200GB12
2H200HA02
2H200HB12
2H200HB22
2H200JA02
2H200JA29
2H200PA14
2H200PA22
2H200PB05
2H270KA22
2H270KA28
2H270LA03
2H270LA05
2H270LA64
2H270LA80
2H270LD05
2H270LD09
2H270MA24
2H270MA28
2H270MA31
2H270MB52
2H270MC48
2H270MH09
2H270NE07
2H270RA10
2H270ZC03
2H270ZC04
(57)【要約】
【課題】劣化したキャリアによる感光体の損傷を防止することにより、感光体寿命の長期化を図ることが可能な画像形成装置を提供する。
【解決手段】感光体と、キャリアにトナーを保持させた2成分系の現像剤を前記感光体に供給する現像装置と、前記現像装置内における前記キャリアの劣化状態を検出するための検出手段と、前記感光体に付着したトナーによるトナー画像の画像形成条件を調整するための調整手段と、前記検出手段で検出した前記キャリアの劣化状態に基づいて、前記調整手段による画像形成条件を調整する制御部とを備えた画像形成装置である。
【選択図】図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
感光体と、
キャリアにトナーを保持させた2成分系の現像剤を前記感光体に供給する現像装置と、
前記現像装置内における前記キャリアの劣化状態を検出するための検出手段と、
前記感光体に付着したトナーによるトナー画像の画像形成条件を調整するための調整手段と、
前記検出手段で検出した前記キャリアの劣化状態に基づいて、前記調整手段による画像形成条件を調整する制御部とを備えた
画像形成装置。
【請求項2】
前記検出手段は、前記現像装置の駆動トルクまたは駆動電流を検出する手段、および前記キャリアの帯電量または前記トナーの帯電量を検出する手段のうちの少なくとも何れかであり、
前記制御部は、前記検出手段での検出結果に基づいて前記キャリアの劣化状態を推定して前記画像形成条件を調整する
請求項1に記載の画像形成装置。
【請求項3】
前記現像装置は、前記現像剤を収容する収容部と、前記収容部内において前記現像剤を攪拌して搬送する搬送部材と、前記収容部内の前記現像剤を前記感光体に供給する現像ローラーとを有し、
前記制御部は、前記搬送部材および現像ローラーのうち、少なくとも前記現像ローラーの駆動トルクまたは駆動電流から前記キャリアの劣化状態を推定して前記画像形成条件を調整する
請求項2に記載の画像形成装置。
【請求項4】
前記検出手段は、
前記現像装置から前記感光体に現像剤を供給した状態において、前記感光体にトナーを付着させた場合に前記現像装置から前記感光体に移動する電荷に基づいて前記トナーの帯電量を検出し、
前記現像装置から前記感光体に現像剤を供給した状態において、前記感光体にトナーを付着させない場合に前記現像装置から前記感光体に移動する電荷に基づいて前記キャリアの帯電量を検出する
請求項2に記載の画像形成装置。
【請求項5】
前記検出手段は、前記感光体と前記現像装置との間に流れる電流検出する電流計である
請求項4に記載の画像形成装置。
【請求項6】
前記制御部は、前記現像装置に対して前記現像剤を交換した場合に前記検出手段で検出した初期値と、所定の期間を経過した場合に前記検出手段で検出した測定値とに基づいて、前記所定の期間を経過した場合においける前記キャリアの劣化状態を推定する
請求項1に記載の画像形成装置。
【請求項7】
前記制御部は、前記検出手段で検出した前記キャリアの劣化状態と、前記調整手段による画像形成条件の調整のための補正係数とを予め関連付けした参照テーブルを保持し、前記検出手段によって検出した前記キャリアの劣化状態に基づいて、前記参照テーブルから前記補正係数を抽出する
請求項1に記載の画像形成装置。
【請求項8】
前記制御部は、前記画像形成条件として、前記感光体に着したトナーを除去するためのクリーニングブレードの前記感光体に対する当接圧力を調整する
請求項1に記載の画像形成装置。
【請求項9】
前記制御部は、前記画像形成条件として、前記感光体に対する潤滑剤の塗布条件を調整する
請求項1に記載の画像形成装置。
【請求項10】
前記制御部は、前記画像形成条件として、前記感光体上のトナー像を転写する際の転写圧力および転写電圧の少なくとも何れかである
請求項1に記載の画像形成装置。
【請求項11】
感光体と、キャリアにトナーを保持させた2成分系の現像剤を前記感光体に供給する現像装置と、前記感光体に付着したトナーによるトナー画像の画像形成条件を調整するための調整手段とを備えた画像形成装置による画像形成方法であって、
検出手段が前記現像装置内における前記キャリアの劣化状態を検出し、
制御部が前記検出手段で検出した前記キャリアの劣化状態に基づいて前記調整手段による画像形成条件を調整する
画像形成方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、画像形成装置および画像形成方法に関する。
【背景技術】
【0002】
電子写真方式の画像形成装置においては、クリーニングブレードによって感光体ドラム表面の残留トナーを除去している。また、クリーニングブレードの当接による感光体ドラムの劣化を防止するために、感光体ドラムの表面に潤滑剤を塗布する構成のものがある。このような画像形成装置に関する技術として、下記特許文献1に開示の技術がある。この特許文献1には、「画像形成装置は、…トナー像の転写後の感光体ドラムの表面に潤滑剤を塗布する潤滑剤塗布手段と、現像領域における現像ローラと感光体ドラムとの間の電流値を検知する電流検知装置とを備えている。また、画像形成装置に備えられた制御部は、所定の判定用画像のトナー像を形成する時に電流検知装置によって検知された電流値と基準電流値との差分に基づいて潤滑剤塗布手段が有するカムの回転角度を調整する。」と記載されている。また、電流値が基準電流値よりも大きいか小さいかにより、カムを所定角度だけそれぞれの方向に回転させ、これにより、像担持体の表面上の実際の潤滑剤の量を一定にすることができ、常に安定して高画質の画像を形成することができるとしている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2007-298761号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
ところで、トナーにキャリアを混合した二成分系の現像剤を用いる場合、コート層の薄膜化により劣化したキャリアが感光体ドラムに付着し、転写部において感光体ドラムの表面に押し付けられることにより、感光体ドラムの表面を荒らす現象が発生する。このように、劣化したキャリアの付着も感光体ドラムの劣化要因となっている。
【0005】
しかしながら、上述した特許文献1の構成は、潤滑剤の量を一定にすることを目的として、潤滑剤塗布手段が有するカムを所定角度だけそれぞれの方向に回転させる構成であり、劣化したキャリアによる感光体の損傷が考慮されていなかった。
【0006】
そこで本発明は、劣化したキャリアによる感光体の損傷を防止することにより、感光体寿命の長期化を図ることが可能な画像形成装置および画像形成方法を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上記課題を解決するための本発明は、感光体と、キャリアにトナーを保持させた2成分系の現像剤を前記感光体に供給する現像装置と、前記現像装置内における前記キャリアの劣化状態を検出するための検出手段と、前記感光体に付着したトナーによるトナー画像の画像形成条件を調整するための調整手段と、前記検出手段で検出した前記キャリアの劣化状態に基づいて、前記調整手段による画像形成条件を調整する制御部とを備えた画像形成装置である。
【発明の効果】
【0008】
本発明により、そこで本発明は、劣化したキャリアによる感光体の損傷を防止することにより、感光体寿命の長期化を図ることが可能な画像形成装置および画像形成方法を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0009】
図1】実施形態に係る画像形成装置の要部を示す構成図である。
図2】現像剤におけるキャリアのコート層膜厚と、感光体へのキャリア付着数との関係を示すグラフである。
図3】画像形成装置による印字耐久試験における印字枚数と現像ローラー駆動トルクおよび感光体へのキャリア付着数との関係を示すグラフである。
図4】画像形成装置による印字耐久試験における印字枚数とトナー帯電量および感光体へのキャリア付着数との関係を示すグラフである。
図5】画像形成装置による印字耐久試験における印字枚数とトナー帯電量およびキャリア帯電量との関係を示すグラフである。
図6】実施形態に係る画像形成装置の制御部の機能構成図である。
図7】実施形態に係る画像形成装置の制御部が保持する補正係数の参照テーブルである。
図8】実施形態に係る画像形成方法を示すフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0010】
以下、本発明の画像形成装置および画像形成方法の実施の形態を図面に基づいて詳細に説明する。
【0011】
≪画像形成装置≫
図1は、実施形態に係る画像形成装置1の要部を示す構成図であって、電子写真方式の画像形成装置1の要部を示す図である。図1に示す画像形成装置1は、現像剤2として、トナー2aをキャリア2bに保持させた二成分系のものを用いる装置であり、画像形成部10、転写部20、および制御部30を有する。また特に、画像形成部10は、キャリア状態値の検出手段17を備える。キャリア状態値とは、以降において詳細に説明するように、キャリアの劣化状態の程度をあらわす数値である。以下、画像形成装置1を構成する画像形成部10、転写部20、および制御部30を順に説明する。
【0012】
<画像形成部10>
画像形成部10は、トナー像を形成するためのものである。ここでは1つの画像形成部10のみを図示したが、画像形成装置1は、例えばイエロ(Y)、マゼンタ(M)、シアン(C)、ブラック(K)の各色のトナー像を形成するための複数の画像形成部10を有する。各画像形成部10は、それぞれが感光体11を有する。感光体11は、駆動モーターによって回転するドラム状のものである。各画像形成部10は、このようなドラム状の感光体11の周囲に、感光体11の回転方向に沿って、現像装置12、クリーニング部13、潤滑剤塗布部14、帯電部15、露光部16がこの順に配置されている。また、この画像形成部10は、キャリア状態値の検出手段17を備える。これらは次のようである。
【0013】
[感光体11]
感光体11は、駆動モーターによって回転するドラム状のものであり、ドラム状の側周表面がトナー像を担持する像担持面11aとなっている。このような感光体11は、ドラム状の両側底面に側板11bを有する。各側板11bは、それ自体は回転せず、ドラム状の感光体11を軸方向の両側において回転自在に支持する。
【0014】
[現像装置12]
現像装置12は、感光体11の回転方向において、以降に説明する転写部20に感光体11が押圧される一次転写部10aの上流で、かつ露光部16の下流に配置され、感光体11の像担持面11aにトナー2aを供給する。このような現像装置12は、収容部12a、収容部12a内に設けられた現像ローラー12b、および複数の搬送部材12cを備えている。
【0015】
収容部12aは、トナー2aをキャリア2bに保持させた現像剤2を収容する筐体である。このような収容部12aは、両側底面が閉じられた断面U字管状の部分を有し、感光体11の側周表面に断面U字管状の側壁開口を対向させた状態で、感光体11に沿って配置される。
【0016】
また現像ローラー12bは、収容部12aの側壁開口において感光体11と平行に設けられたものであり、感光体11の側周表面に近接して配置されている。また現像ローラー12bは、ローラー駆動部(図示省略)を有し、感光体11と逆方向に回転可能に設けられている。この現像ローラー12bは、磁界を発生させる複数の磁極が内設され、キャリア2bの磁性によって現像剤2を表面に吸着させ、吸着させた現像剤2を回転によって収容部12aの側壁開口に運搬する構成となっている。
【0017】
搬送部材12cは、螺旋形状のスクリュー部材であり、搬送駆動部(図示省略)を有し、収容部12a内において回転可能に設けられている。この搬送部材12cは、収容部12a内の現像剤2、および収容部12a内に供給されたトナー2aを撹拌することにより、摩擦帯電によってトナー2aに電荷(例えば負の電荷)を与える。また、摩擦帯電させたトナー2aを現像剤2のキャリア2bに対して吸着させる。
【0018】
以上のような現像装置12は、現像ローラー12bによって感光体11に現像剤2を供給し、以降に説明する露光部16での露光によって感光体11の像担持面11aに形成された静電潜像に、負に帯電したトナー2aを吸着させてトナー像を形成する。
【0019】
[クリーニング部13]
クリーニング部13は、感光体11の回転方向において、以降に説明する一次転写部10aの下流で、かつ潤滑剤塗布部14の上流に配置され、一次転写部10aで転写されずに感光体11の表面に残された残留トナー2aaを除去する。このようなクリーニング部13は、例えばばね荷重方式のものであって、クリーニングブレード13a、支持アーム13b、ブレード押圧バネ13c、およびブレード駆動部13aaを有する。
【0020】
クリーニングブレード13aは、感光体11の像担持面11aに当接する状態で、像担持面11aに沿って配置された長尺部材であって、一次転写部10aの下流側において像担持面11a上に残留する残留トナー2aaを、像担持面11a上から掻き取る。このようなクリーニングブレード13aは、ウレタンゴムなどの弾性材で構成され、感光体11の回転方向に対して逆方向を向いている。
【0021】
支持アーム13bは、ここでの図示を省略した支持部材を介してクリーニングブレード13aの両端を支持する部材であって、感光体11の軸方向の両側に設けられている。各支持アーム13bは、一端側を支点13bbにして回動する長尺部材であって、長尺部材の長手方向の中間部において、クリーニングブレード13aを支持する構成である。
【0022】
ブレード押圧バネ13cは、感光体11の側板11bと、支持アーム13bにおける支点13bbと逆側の先端部との間にかけ渡した状態で設けられた引張コイルバネであって、感光体11の両側に設けられている。これらのブレード押圧バネ13cは、支持アーム13bの支点13bbと逆側の先端部を感光体11側に引っ張ることで、支持アーム13bに支持されたクリーニングブレード13aを感光体11の像担持面11aに押圧する。
【0023】
ブレード駆動部13aaは、感光体11の像担持面11aに対するクリーニングブレード13aの当接力を、画像形成条件として調整するための調整手段である。このようなブレード駆動部13aaは、以降に説明する制御部30からの指示により、例えばカムの位置を移動させて支持アーム13bを回動させる。これにより、感光体11の像担持面11aに対するクリーニングブレード13aの当接力を調整する。
【0024】
[潤滑剤塗布部14]
潤滑剤塗布部14は、感光体11の回転方向において、クリーニング部13の下流で、かつ帯電部15の上流に配置され、感光体11の像担持面11aに潤滑剤を塗布する。このような潤滑剤塗布部14は、ロールブラシ14a、潤滑剤供給体14b、付勢バネ14c、およびブラシ駆動部14aaを有する。
【0025】
ロールブラシ14aは、感光体11と並列に配置され、感光体11の側周面に当接する状態で配置されている。このロールブラシ14aは、ブラシ駆動部14aaによって感光体11と同方向に回転し、潤滑剤供給体14bから掻き取った潤滑剤を感光体11の像担持面11aに塗布する。このようなロールブラシ14aは、ロール形状の側周を構成するブラシ部分の材質が導電性のアクリル繊維で構成され、繊維としての抵抗値、繊維太さ、および繊維密度が適宜のものであることとする。
【0026】
なお、ロールブラシ14aのブラシ駆動部14aaは、以降に説明する制御部30からの指示により、ロールブラシ14aを所定の速度で回転させることで、像担持面11aに対する潤滑剤の塗布量を調整する。潤滑剤の塗布量は、画像形成条件のうちの一つとして調整される。したがって、ブラシ駆動部14aaは、画像形成条件を調整するための調整手段の一つである。
【0027】
潤滑剤供給体14bは、ロールブラシ14aと並列に配置され、ロールブラシ14aの側周面に当接する状態で配置されている。このような潤滑剤供給体14bは、例えば固形潤滑剤であるか、または液体潤滑剤である。固定潤滑剤からなる潤滑剤供給体14bは、付勢バネ14cによりロールブラシ14a側に付勢され、ロールブラシ14aによって削り取られることでロールブラシ14aに潤滑剤を供給する。このような固定潤滑剤からなる潤滑剤供給体14bは、具体的には、ステアリン酸亜鉛の粉体を溶融整形したものである。
【0028】
付勢バネ14cは、潤滑剤供給体14bをロールブラシ14a側に付勢する圧縮コイルバネであることとする。
【0029】
[帯電部15]
帯電部15は、感光体11の回転方向において、潤滑剤塗布部14の下流で、次に説明する露光部16の上流に配置され、感光体11の像担持面11aを一様に帯電させる。
【0030】
[露光部16]
露光部16は、感光体11の回転方向において、帯電部15の下流で、現像装置12の上流に配置され、帯電部15で帯電した感光体の側周面に、レーザ光の露光走査によって静電潜像を形成する。なお、露光部16による露光走査は、ここでの図示を省略した画像読取部で読み取られた画像データ、または外部装置から受信した画像データに基づいて行われる。
【0031】
[キャリア状態値の検出手段17]
キャリア状態値の検出手段17は、現像剤2におけるキャリアの劣化状態の程度を表すキャリア状態値を検出するための手段である。ここで、キャリアの劣化とは、収容部12a内においての撹拌や搬送によってキャリア2bのコート層が摩耗して薄くなり、感光体11の像担持面11aに付着し易くなることを言う。像担持面11aに転写されたキャリア2bは、感光体の像担持面を荒らす要因となる。
【0032】
図2は、現像剤におけるキャリアのコート層膜厚と、感光体へのキャリア付着数との関係を示すグラフである。キャリアの付着数は、所定条件での印刷中に感光体の回転を停止し、像担持面の所定面積に付着しているキャリアの個数を数えることで得た値である。図2に示すように、コート層膜厚が薄くなると、感光体へのキャリア付着数が増加することがわかる。
【0033】
図1に示す画像形成装置1は、このようなキャリア2bの劣化状態を示すキャリア状態値の検出手段17として、現像ローラー駆動トルク検出器17aと、帯電量検出器17b を備える。
【0034】
-現像ローラー駆動トルク検出器17a(図1)について-
図3は、画像形成装置による印字耐久試験における印字枚数と現像ローラー駆動トルク[S1]および感光体へのキャリア付着数との関係を示すグラフである。図3に示すように、印字枚数の増加に伴う現像ローラー駆動トルク[S1]は、キャリア付着数と相関性があり、キャリア付着数に置き換えられることがわかる。また、感光体へのキャリア付着数は、図2に示したように、キャリアにおけるコート層の膜厚、すなわちキャリアの劣化の程度に対応する。このことから、現像ローラー駆動トルク[S1]は、キャリアの劣化状態の程度を表すキャリア状態値として用いられることがわかる。
【0035】
そこで図1に示す画像形成装置1は、キャリア状態値の検出手段17として現像ローラー駆動トルク検出器17aを備えることとする。なお、現像ローラーを駆動させる際の駆動電流も、現像ローラーを駆動させる際の駆動トルクと同様に、キャリア付着数の増加パターンと相関性がある。このため、現像ローラー駆動トルク検出器17aに換えて、現像ローラー駆動電流検出器を用いてもよい。
【0036】
ここで、キャリアの劣化によって現像ローラー駆動トルク[S1](または駆動電流)が上昇する理由は、次のようである。すなわち、現像ローラー12bを駆動する駆動トルクは、現像剤2を一定の量に規制するための規制板(図示省略)に現像剤2を圧縮させる圧縮嵩密度の状態になる。現像ローラー12bへ現像剤供給量を規制する規制極周辺では現像剤2が集中し、現像剤2は圧接嵩密度状態になる。圧接嵩密度は硬め嵩密度やタップ嵩密度ともいう。これにより、現像剤2が規制板を通過する際に、大きなストレスが加わるようになり、キャリア減耗して劣化するのである。劣化キャリアは摩耗により接触面積が増えてだんだんせん断力も増える。
【0037】
さらに、現像ローラー12bの駆動トルク(または駆動電流)と同様に、搬送部材12cの駆動トルク(または駆動電流)も、キャリア付着数の増加パターンと相関性があり、キャリア付着数に置き換えられることができる。このため、キャリア状態値の検出手段17として、搬送部材駆動トルク検出器(または駆動電流検出器)を用いてもよい。搬送部材12cの駆動トルク(または駆動電流)が、キャリア付着数の増加パターンと相関性を有する理由は、印字率の影響により、搬送部材12cを駆動する電流値が変動するためである。つまり、キャリアの劣化はキャリア表面にトナーの微粉が付着するトナースペントの影響や、キャリア表面が摩耗すると現像剤の嵩が変わってくる。これにより、現像剤を攪拌搬送する部分は緩み嵩密度という状態になる。これは、現像層内の現像剤の嵩が下がり、現像剤が補充され、嵩が増え、トルクが増えるためである。ただし、このような印字率の影響は短期的に変化する。したがって、搬送部材駆動トルク検出器(または駆動電流検出器)は、現像ローラー駆動トルク検出器17aの補助として用いることが好ましい。
【0038】
-帯電量検出器17b (図1)について-
図4は、画像形成装置による印字耐久試験における印字枚数とトナー帯電量[S2]および感光体へのキャリア付着数との関係を示すグラフである。トナー帯電量[S2]は、所定量のトナーを現像によって現像ローラー12bから感光体11の静電潜像に移動させた際に(図1参照)、トナーの電荷が移動して流れる電流によって示される。なお、現像ローラーに印加する印加電圧と、感光体11の像担持面を帯電させる際の表面電位を一定条件にして、その際に現像されるトナーの量を計測することで、キャリアの劣化を推定する方法も、これと同様である。
【0039】
図4に示すように、トナー帯電量[S2]は、印字枚数の増加に伴って減少することがわかる。これは、キャリア付着数の増加パターンとは逆である。このことから、トナー帯電量[S2]は、キャリアの劣化状態の程度を表すキャリア状態値として用いられることがわかる。
【0040】
なお、トナー自身の外添剤が劣化することで、トナーの帯電性が低下する場合もあるが、現像装置12内のトナー2aは、印字率にかかわらず一定量が入れ替わるようになっている。したがって、トナーの電荷量は一時的に変動があるものの安定している。このことから、トナーの帯電量が小さくなる要因は、キャリアの劣化に起因すると判断できる。
【0041】
図5は、画像形成装置による印字耐久試験における印字枚数とトナー帯電量[S2]およびキャリア帯電量[S3]との関係を示すグラフである。キャリア帯電量[S3]は、白地現像処理を実施した際に、キャリアが現像ローラー12bから感光体11に移動することで、キャリアの電荷が移動して流れる電流によって示される。なお、図5のトナー帯電量[S2]は、ベタ現像によって得られた値である。図5に示すように、キャリア帯電量[S3]は、印字枚数の増加に伴って増加することがわかる。これは、トナー帯電量[S2]の減少パターンとは逆である。このことから、キャリア帯電量[S3]も、キャリアの劣化状態の程度をあらわすキャリア状態値として用いられることがわかる。
【0042】
図1に戻り、以上のようなキャリア状態値として用いられるトナー帯電量[S2]およびキャリア帯電量[S3]を検出するための帯電量検出器17bとしては、感光体11と現像ローラー12bとの間の電流値を検知する電流計が用いられる。帯電量検出器17bにより、キャリア状態値としてのトナー帯電量[S2]を検出する場合には、所定量のトナー2aを現像した場合の電流値を帯電量検出器17bによって検出すればよい。一方、帯電量検出器17bにより、キャリア状態値としてのキャリア帯電量[S3]を検出する場合いは、感光体11の非画像部の電流値、または白地現像処理を実施した場合の電流値を帯電量検出器17bによって検出すればよい。
【0043】
<転写部20>
転写部20は、無端ベルトとして構成された中間転写ベルト21と、中間転写ベルト21に内接された複数のローラー22(ここでは2つのみ図示)と、一次転写ローラー23とを備えている。
【0044】
このうち中間転写ベルト21は、複数のローラー22に掛け渡され、画像形成部10の各感光体11と逆方向に回転し、複数の感光体11(ここでは1つのみ図示)の全てに順次接触する状態で配置されている。複数のローラー22は、感光体11と平行に配置され、中間転写ベルト21を感光体11と逆方向に回転させる。
【0045】
一次転写ローラー23は、各感光体11との間に中間転写ベルト21を挟持するニップ部を構成し、このニップ部を一次転写部10aとしている。各一次転写ローラー23は、トナー2aと反対の極性の電圧が印加され、これにより感光体11上に付着した各色のトナー2aを中間転写ベルト21上に順次に転写させてカラー画像を形成する。
【0046】
このような一次転写ローラー23は、感光体11に対する押圧力を変更させる圧力可変駆動部23aaを有する。圧力可変駆動部23aaは、例えば、一次転写ローラー23を付勢するバネ等の付勢部材と、付勢部材の付勢力を変更するための駆動部とを備えて構成され、駆動部により付勢部材の付勢力を変更することで、一次転写ローラー23が中間転写ベルト21を介して感光体11を押圧する力を変更する構成である。
【0047】
圧力可変駆動部23aaは、例えば一次転写ローラー23を感光体11側に付勢するカムと、カムによる付勢力を変更するための駆動部とを備えて構成されたものであってもよい。この場合、圧力可変駆動部23aaは、駆動部によりカムによる付勢力を変更することで、一次転写ローラー23が中間転写ベルト21を介して感光体11を押圧する力を変更することができる。
【0048】
このような圧力可変駆動部23aaは、以降に説明する制御部30からの指示により、感光体11の像担持面11aに対する一次転写ローラー23の押圧力(転写圧力)を、画像形成条件のうちの一つとして調整する調整手段である。
【0049】
また一次転写ローラー23は、各一次転写ローラー23は、トナー2aと反対の極性の電圧を転写転圧とし、この転写電圧が画像形成条件のうちの一つとして調整されるものであってもよい。
【0050】
また転写部20は、ここでの図示を省略した二次転写ローラー、除電ローラー、およびクリーニング部を有する。二次転写ローラーは、中間転写ベルト21の外周側において、複数のローラー22のうちの一つに対向して配置され、ここでの図示を省略した記録媒体搬送部から搬送された記録媒体のニップ部を構成する。このニップ部において、中間転写ベルト21の外周面上に形成されたトナー画像が、記録媒体に対して転写される。なお、トナー画像が転写された記録媒体は、ここでの図示を省略した定着部に送られ、定着部においてトナー画像を定着させた後に外部に排出される。
【0051】
除電ローラーは、記録媒体にトナー画像を転写した後の中間転写ベルト21の電荷を除去する。さらに、クリーニング部は、除電ローラーを通過した後で、かつ画像形成部10に到達する前の中間転写ベルト21上に残留するトナーを除去する。
【0052】
<制御部30>
制御部30は、画像データに基づいて、上述した各部の駆動を制御する。また特にこの制御部30は、感光体11の像担持面11aへの負荷を低減するための画像形成条件の補正制御を実施する。このような制御部30は、計算機によって構成されている。計算機は、いわゆるコンピューターとして用いられるハードウェアである。計算機は、CPU(Central Processing Unit)、RAM(Random Access Memory)、およびROM(Read Only Memory)やHDD(hard disk drive)のような不揮発性の記憶部、さらにはネットワークインターフェースを備えていてもよい。
【0053】
このような計算機によって構成された制御部30は、記録媒体Sにトナー画像を形成するための画像形成プログラムを不揮発性の記憶部に保存する。また、特にこの制御部30は、画像形成の実施に際し、キャリア状態値の検出手段17からの情報に基づいて、感光体11の像担持面11aへの負荷を低減するための画像形成条件の補正プログラムを不揮発性の記憶部に保存する。
【0054】
図6は、実施形態に係る画像形成装置1が有する制御部30の構成を説明するブロック図である。この図に示すように、制御部30は、画像形成制御部30aを有し、画像形成装置1における画像形成を制御する。また制御部30は、キャリア状態値の検出手段17に接続され、これらの検出手段17からの情報に基づいて、ブレード駆動部13aa、ブラシ駆動部14aa、および圧力可変駆動部23aaのうちの少なくとも1つを制御する。このような制御部30は、画像形成条件の補正プログラムを実行する各機能部として、参照テーブル記憶部31、初期値取得部32、測定値取得部33、変化率算出部34、および補正処理部35を有する。図6に示すこれらの各機能部の構成を、図1およびその他の図を参照して説明する。
【0055】
[参照テーブル記憶部31(図6)]
参照テーブル記憶部31は、キャリア状態値の変化量と、画像形成条件の補正値とを対応付けした参照テーブルを保持する。ここで、キャリア状態値とは、先に説明したように、キャリア2bの劣化の程度を表す値であって、感光体11に対するキャリア2bの付着のし易さを表す値である。
【0056】
図7は、実施形態に係る画像形成装置の制御部が保持する参照テーブル[T1]~[T3]であって、参照テーブル記憶部31が保持する参照テーブル[T1]~[T3]の一例を示す図である。図7に示すように、参照テーブル[T1]~[T3]におけるキャリア状態値とは、現像ローラー駆動トルク[S1]、トナー帯電量[S2]、およびキャリア帯電量[S3]の各値の少なくとも何れか1つ(ここでは全て)であって、現像剤におけるキャリアの劣化状態を示す値である。
【0057】
これらの各参照テーブル[T1]~[T3]は、各キャリア状態値が、初期値から所定の変化率を超えて変化したか否かで場合分けされ、それぞれの場合分けの組み合わせに対して、各画像形成条件を変更するための補正係数を付与している。ここで、キャリア状態値の初期値とは、現像剤2を交換した際に測定したキャリア状態値であることとする。
【0058】
画像形成条件(1)は、クリーニングブレードの当接力であり、ブレード駆動部13aaにおけるカムの位置についての補正係数である。画像形成条件(2)は、潤滑剤の塗布量であり、ブラシ駆動部14aaによる塗布ブラシの回転数についての補正係数である。画像形成条件(3)は一次転写ローラーの押圧力であり、圧力可変駆動部23aaによる感光体11に対する一次転写ローラー23の押圧力である。
【0059】
これらの各画像形成条件(1)~(3)の補正係数は、各キャリア状態値[S1]~[S3]の変化率の各組み合わせにおいて、各画像形成条件(1)~(3)の値を変更した予備実験を行うことで求めた値である。この予備実験において、現像ローラー駆動トルク[S1]が現像剤初期の状態より5%以上増加した時、トナー帯電量[S2]が現像剤期の状態より10%低下した時、キャリア帯電量[S3]が現像剤初期の状態より50%以上増加した時に、各画像形成条件(1)~(3)の補正係数が最適となるように、キャリア状態値[S1]~[S3]の変化率の各組み合わせについて、各画像形成条件(1)~(3)の値を抽出し、抽出した値から各画像形成条件(1)~(3)の補正係数を求めた。たとえば、各キャリア状態値[S1]~[S3]組合せにおいて各画像形成条件を変化させた画像形成を予備実験として実施し、最も良好な画像が形成された場合の画像形成条件となるように、補正係数を設定する。
【0060】
なお、図6に示した参照テーブル記憶部31は、参照テーブル[T1]~[T3]のうちの少なくとも1つを保持していればよい。
【0061】
また、図7においては、画像形成条件(1)~(3)毎の参照テーブル[T1]~[T3]を示したが、参照テーブル記憶部31は、画像形成条件(1)~(3)の何れか2つ、または全てを1つにまとめた参照テーブルを保持していてもよい。例えば、画像形成条件(1)~(3)の全てを1つにまとめた参照テーブルを保持する場合、キャリア状態値[S1]~[S3]の変化率の各組み合わせにおいて、各画像形成条件(1)~(3)の値を組み合わせて変更した予備実験を行う。これにより、各画像形成条件(1)~(3)の補正係数を求める。
【0062】
[初期値取得部32(図6)]
初期値取得部32は、現像剤2を交換した際に測定したキャリア状態値を、キャリア状態値の初期値として取得し、保存する。
【0063】
[測定値取得部33]
測定値取得部33は、所定枚数の印刷(画像形成)を実施した際に測定した各キャリア状態値を、キャリア状態値の測定値として取得し、保存する。
【0064】
[変化率算出部34]
変化率算出部34は、初期値取得部32に保存されたキャリア状態値の初期値と、測定値取得部33に保存された各キャリア状態値の測定値から、各キャリア状態値の変化量を算出する。ここで算出する変化量は、初期値に対する各キャリア状態値の変化率であることとする。変化率算出部34は、
【0065】
[補正処理部35]
補正処理部35は、変化率算出部34で算出した各キャリア状態値の変化率と、参照テーブル記憶部31に保存された参照テーブルとに基づいて、各画像形成条件(1)~(3)の補正係数を抽出する。また補正処理部35は、抽出した補正係数に基づいて、ブレード駆動部13aa、ブラシ駆動部14aa、および圧力可変駆動部23aaの少なくとの1つによる画像形成条件を補正する。なお、補正処理部35による補正処理の詳細は、以降の画像形成方法において詳細に説明する。
【0066】
≪画像形成方法≫
次に、以上のような画像形成装置1において実施される画像形成方法を説明する。図8は、実施形態に係る画像形成方法を示すフローチャートであって、画像形成装置1の制御部30が有する画像形成条件の補正プログラムによって実施される画像形成条件の補正の手順を示している。以下、図8のフローチャートに沿って、先の図1図6、および図7を参照しつつ、実施形態の画像形成方法を説明する。
【0067】
<ステップS101>
ステップS101において、補正処理部35は、現像装置12における現像剤2が交換されたか否かの判断を実施する。この判断は、画像形成装置1における現像剤2の交換作業が実施された否かによって判断する。補正処理部35は、現像剤2が交換された(YES)と判断した場合に、次のステップS102に進み、それ以外の場合には判断を繰り返す。
【0068】
<ステップS102>
ステップS102において、初期値取得部32は、キャリア状態値の検出手段17である現像ローラー駆動トルク検出器17aでの測定値と、帯電量検出器17bでの測定値とをキャリア状態値の初期値として取得し、保存する。
【0069】
ここで、現像剤2の交換作業が実施された場合、画像形成制御部30aは、第1の所定条件での印刷(画像形成)を実施する。初期値取得部32は、その際に現像ローラー駆動トルク検出器17aで検出された値を、現像ローラー駆動トルク[S1]の初期値として取得して保存する。また初期値取得部32は、その際に帯電量検出器17bで検出された値を、トナー帯電量[S2]の初期値として取得して保存する。
【0070】
また、現像剤2の交換作業が実施された場合、画像形成制御部30aは、第2の所定条件として白地現像処理での印刷(画像形成)を実施する。初期値取得部32は、その際に帯電量検出器17bで検出された値を、キャリア帯電量[S3]の初期値として取得して保存する。
【0071】
<ステップS103>
ステップS103において、補正処理部35は、ステップS101において現像剤2が交換された(YES)と判断した以降に、予め設定した所定枚数が印刷されたか否かの判断を実施する。この判断は、画像形成装置1における画像形成プログラムにおいてカウントされている印刷枚数のカウント値に基づいて実施される。補正処理部35は、所定枚数が印刷された(YES)と判断した場合に、次のステップS104に進み、それ以外の場合には判断を繰り返す。
【0072】
<ステップS104>
ステップS104において、測定値取得部33は、キャリア状態値の検出手段17である現像ローラー駆動トルク検出器17aでの測定値と、帯電量検出器17bでの測定値とをキャリア状態値の測定値として取得し、保存する。
【0073】
ここで、印刷枚数のカウント値が所定枚数に達した場合に、画像形成制御部30aは、第1の所定条件での印刷(画像形成)を実施する。測定値取得部33は、その際に現像ローラー駆動トルク検出器17aで検出された値を、現像ローラー駆動トルク[S1]の測定値として取得して保存する。また測定値取得部33は、その際に帯電量検出器17bで検出された値を、トナー帯電量[S2]の測定値として取得して保存する。
【0074】
また、印刷枚数のカウント値が所定枚数に達した場合に、画像形成制御部30aは、第2の所定条件として白地現像処理での印刷(画像形成)を実施する。測定値取得部33は、その際に帯電量検出器17bで検出された値を、キャリア帯電量[S3]の測定値として取得して保存する。
【0075】
<ステップS105>
ステップS105において、変化率算出部34は、初期値取得部32に保存された各キャリア状態値の初期値と、測定値取得部33に保存された各キャリア状態値の測定値から、各キャリア状態値の変化率を算出する。
【0076】
<ステップS106>
ステップS106において、補正処理部35は、変化率算出部34で算出した各キャリア状態値の変化量と、参照テーブル記憶部31に保持された参照テーブル(図7参照)とに基づいて、画像形成条件の補正係数を抽出する。
【0077】
例えば、参照テーブル記憶部31に、参照テーブル[T1]が保持されていて、変化率算出部34がキャリア状態値の変化率として、現像ローラー駆動トルク[S1]の変化量+10%、トナー帯電量[S2]の変化量-2%、キャリア帯電量[S3]の変化量55%と算出した場合、補正処理部35は、画像形成条件(1)の補正係数を抽出する。
【0078】
<ステップS107>
ステップS107において、補正処理部35は、ステップS106で抽出した補正係数に基づいて、画像形成条件を補正する。例えば、ステップS106において抽出した補正係数が画像形成条件(1)の補正係数である場合、補正処理部35は、補正係数に基づくブレード駆動部13aaの制御により、画像形成条件(1)としてクリーニングブレードの当接力を補正する。
【0079】
≪実施形態の効果≫
以上説明した実施形態によれば、二成分件の現像剤2を構成するキャリア2bのコート層膜厚の減少をキャリア2bの劣化状態として検出し、検出結果に基づいて画像形成条件を調整することにより、感光体11の像担持面11aに対する負荷を軽減することができる。これにより、劣化したキャリア2bが、感光体11の像担持面11aかかる負荷によって像担持面11aに押し付けられて損傷を加えることを防止でき、感光体寿命の長期化を図ることが可能となる。
【符号の説明】
【0080】
1…画像形成装置
2…現像剤
2a…トナー
2aa…残留トナー
2b…キャリア
11…感光体
12…現像装置
12a…収容部
12b…現像ローラー
12c…搬送部材
13a…クリーニングブレード
13aa…ブレード駆動部(画像形成条件の調整手段)
14aa…ブラシ駆動部(画像形成条件の調整手段)
17…キャリア状態値の検出手段
17a…現像ローラー駆動トルク検出器
17b…帯電量検出器
23aa…圧力可変駆動部(画像形成条件の調整手段)
30…制御部
[T1]、[T2],[T3]…参照テーブル
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8