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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024098309
(43)【公開日】2024-07-23
(54)【発明の名称】端子圧着装置
(51)【国際特許分類】
   H01R 43/048 20060101AFI20240716BHJP
【FI】
H01R43/048 Z
【審査請求】未請求
【請求項の数】6
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023001741
(22)【出願日】2023-01-10
(71)【出願人】
【識別番号】000115142
【氏名又は名称】ユニオンマシナリ株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100092897
【弁理士】
【氏名又は名称】大西 正悟
(74)【代理人】
【識別番号】100157417
【弁理士】
【氏名又は名称】並木 敏章
(74)【代理人】
【識別番号】100218095
【弁理士】
【氏名又は名称】山崎 一夫
(72)【発明者】
【氏名】椿 誠一郎
(72)【発明者】
【氏名】石黒 裕幸
(72)【発明者】
【氏名】冨川 健太
【テーマコード(参考)】
5E063
【Fターム(参考)】
5E063CA05
5E063CD22
5E063CD25
5E063XA07
5E063XA12
5E063XA20
(57)【要約】
【課題】端子圧着装置におけるアプリケータの高さ位置を低く抑えることができる端子圧着装置を提供する。
【解決手段】ピストンロッドを有する油圧シリンダ26と、ピストンロッドの伸縮に連動して上下方向に移動可能なクリンパおよび圧着端子が載置されるアンビルを備え、圧着端子を導線に圧着するアプリケータと、クリンパの下死点を定めるストッパ32と、ストッパ32の上下方向の位置を調整するストッパ調整機構40と、アプリケータ、油圧シリンダ26、ストッパ32およびストッパ調整機構40が取り付けられる平板形状の基台プレート24と、を備え、アプリケータ、油圧シリンダ26およびストッパ32を基台プレート24の平面上に設け、ストッパ調整機構40を基台プレート24の側面に設けた。
【選択図】図3
【特許請求の範囲】
【請求項1】
伸縮可能なピストンロッドを有する圧着用シリンダと、
前記ピストンロッドの伸縮に連動して上下方向に移動可能な上刃および圧着端子が載置される下刃を備え、前記上刃が下降して前記下刃に載置された前記圧着端子に圧力を加えることによって前記圧着端子を導線に圧着するアプリケータと、
前記上刃の下死点を定めるストッパと、
前記ストッパの上下方向の位置を調整するストッパ調整機構と、
前記アプリケータ、前記圧着用シリンダ、前記ストッパおよび前記ストッパ調整機構が取り付けられる平板形状の基台部と、を備え、
前記アプリケータ、前記圧着用シリンダおよび前記ストッパを前記基台部の平面上に設け、前記ストッパ調整機構を前記基台部の側面に設けたことを特徴とする端子圧着装置。
【請求項2】
前記基台部の平面にネジ穴を形成し、
前記ストッパは略円柱形状であり、同心円状に平歯車を取り付けるとともに、先端部に前記基台部のネジ穴に螺合するネジを形成し、
前記ストッパ調整機構は、
前記平歯車と噛合するスプライン軸と、
前記スプライン軸の端部に取り付けられたウォームホイールおよび前記ウォームホイールと噛合するウォームシャフトからなるウォームギヤと、
前記ウォームシャフトを回転駆動するモータと、を備え、
前記スプライン軸は、軸方向が上下方向となり、かつ、当該スプライン軸と前記平歯車とが噛合する位置が前記基台部の周縁部よりも外側になるように設けられていることを特徴とする請求項1に記載の端子圧着装置。
【請求項3】
前記基台部の平面にネジ穴を形成し、
前記ストッパは略円柱形状であり、同心円状に平歯車を取り付けるとともに、先端部に前記基台部のネジ穴に螺合するネジを形成し、
前記ストッパ調整機構は、
前記平歯車と噛合するスプライン軸と、
前記スプライン軸の端部に取り付けられたウォームホイールおよび前記ウォームホイールと噛合するウォームシャフトからなるウォームギヤと、
前記ウォームシャフトを回転駆動するモータと、を備え、
前記スプライン軸は、軸方向が上下方向となり、かつ、当該スプライン軸の下端が前記基台部よりも高い位置となるように設けられ、前記平歯車と前記スプライン軸とが噛合する位置が前記基台部の周縁部よりも内側になるように設けられていることを特徴とする請求項1に記載の端子圧着装置。
【請求項4】
前記アプリケータは、前記基台部の上方に設けられた支持部に取り付けられており、
前記アプリケータの下刃は前後方向に移動可能に設けられており、
伸縮自在なピストンロッドを有し、当該ピストンロッドを伸長させることで前記下刃を前記上刃に対向する位置から前記アプリケータの前方へ押し出す下刃押出用シリンダを備え、
前記下刃押出用シリンダを前記支持部に取り付けたことを特徴とする請求項1に記載の端子圧着装置。
【請求項5】
前記アプリケータは、
前記上刃が取り付けられ、前記圧着用シリンダのピストンロッドの伸縮に連動して上下方向へ移動するシャンクと、
前記シャンクの上下方向への移動をガイドするガイド部材と、
前記シャンクの上部に設けられ、水平方向に揺動可能なシャンク保持部材と、を有し、
前記シャンク保持部材の先端部は、前記ガイド部材の上部に当接する第1の位置と、前記ガイド部材の上部に当接しない第2の位置との間で揺動可能であり、前記シャンク保持部材の先端部が前記第1の位置へ揺動すると前記シャンクの下方向への移動が阻止され、前記第2の位置へ揺動すると前記シャンクの上下方向への移動が可能となることを特徴とする請求項1に記載の端子圧着装置。
【請求項6】
前記アプリケータを包含するように設けられ、前記アプリケータにアクセス可能な開口部を有するケースと、
所定の方向に摺動することで前記開口部を開閉するシャッタと、
前記開口部から前記ケースの内部に侵入する障害物を検知する障害物検知装置と、を備え、
前記シャッタには、前記開口部を閉めた状態で前記下刃に載置された前記圧着端子にセットされた導線を通過させる導線用開口部が形成されており、
前記障害物検知装置は、
複数の発光器が上下方向に一直線上に配置された投光部と、
複数の受光器が前記複数の発光器に対向するように上下方向に一直線上に配置された受光部と、
前記複数の受光器のうちいずれかが、対向する発光器からの光を受光できなかった場合に障害物を検知する検知部と、を備え、
前記複数の発光器および前記複数の受光器のうち、前記導線用開口部を通過する導線の位置に対応する位置に配置された発光器および受光器を無効にすることを特徴とする請求項1に記載の端子圧着装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、電線に端子を圧着する端子圧着装置に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、導線に端子を圧着する端子圧着装置の中には、例えば、特許文献1に開示されているように、クリンパおよびアンビルを備えたアプリケータを有し、モータによってクランクシャフトを回転駆動し、このクランクシャフトの回転運動をクリンパの上下運動に変換してクリンパとアンビルとの間にセットされた圧着端子と導線とを圧着するものがある。具体的な構成としては、モータによって回転駆動されるクランクシャフトの偏心位置にコネクティングロッドの一方端をピンによって連結し、コネクティングロッドの他方端をピンによってラムに連結している。ラムは、ベアリングを介してスプライン軸の一方端と連結し、スプライン軸の他方端には雄ねじが形成されており、アプリケータの挿入溝が形成されたシャンクホルダの雌ねじと螺合する。このような構成により、クランクシャフトが回転するとコネクティングロッドによってラムの上下運動に変換され、この結果シャンクホルダに取り付けられアプリケータが上下動することで、クリンパとアンビルとの間にセットされた圧着端子と導線とが圧着される。
【0003】
また、特許文献1の端子圧着装置においては、外周にギヤが形成されたスプライン軸受がスプライン軸の軸方向にスライド自在に取り付けられており、スプライン軸受のギヤが、サーボモータの回転軸に取り付けられたギヤと噛合している。これにより、サーボモータを回転させると、スプライン軸受と共にスプライン軸も回転することから、スプライン軸の他方端に形成されている雄ねじが、シャンクホルダに形成されている雌ねじに対して回転する。この結果、スプライン軸とシャンクホルダとの距離が変動し、アプリケータのクリンプのハイト調整が可能となる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開平8-31540号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
ところで、特許文献1の端子圧着装置は、クランクシャフトを回転駆動するためのモータ、フライホイールおよびギヤ付きのシャフトなどアプリケータの駆動機構や、スプライン軸受を回転駆動するサーボモータなどのハイト調整機構が、端子圧着装置の上部に設けられているため、端子圧着装置の重心が高くなり、端子圧着装置の設置安定性が低下することになる。これを解消するために、例えば上述したアプリケータの駆動機構やハイト調整機構をできるだけ端子圧着装置の下部(より床面に近い位置)に設けることが考えられるが、このように構成した場合、アプリケータの駆動機構やハイト調整機構を下部に設けた分だけアプリケータの設置位置が高くなるため、圧着作業の作業性が低下する虞がある。
【0006】
本発明は、このような問題に鑑みてなされたものであり、アプリケータの駆動機構やハイト調整機構を端子圧着装置の下部に設けたとしても、端子圧着装置におけるアプリケータの高さ位置を低く抑えることができる端子圧着装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
このような目的達成のため、本発明に係る端子圧着装置は、伸縮可能なピストンロッド
を有する圧着用シリンダ(例えば、実施形態における油圧シリンダ26)と、前記ピストンロッドの伸縮に連動して上下方向に移動可能な上刃(例えば、実施形態におけるクリンパ120)および圧着端子が載置される下刃(例えば、実施形態におけるアンビル130)を備え、前記上刃が下降して前記下刃に載置された前記圧着端子に圧力を加えることによって前記圧着端子を導線に圧着するアプリケータ(例えば、実施形態におけるアプリケータ100)と、前記上刃の下死点を定めるストッパ(例えば、実施形態におけるストッパ32)と、前記ストッパの上下方向の位置を調整するストッパ調整機構(例えば、実施形態におけるストッパ調整機構40)と、前記アプリケータ、前記圧着用シリンダ、前記ストッパおよび前記ストッパ調整機構が取り付けられる平板形状の基台部(例えば、実施形態における基台プレート24)と、を備え、前記アプリケータ、前記圧着用シリンダおよび前記ストッパを前記基台部の平面上に設け、前記ストッパ調整機構を前記基台部の側面に設けたことを特徴とする。
【0008】
上述の端子圧着装置において、前記基台部の平面にネジ穴(例えば、実施形態における雌ねじ36a)を形成し、前記ストッパは略円柱形状であり、同心円状に平歯車(例えば、実施形態におけるスパーギヤ34)を取り付けるとともに、先端部に前記基台部のネジ穴に螺合するネジ(例えば、実施形態における雄ねじ32a)を形成し、前記ストッパ調整機構は、前記平歯車と噛合するスプライン軸(例えば、実施形態におけるスプライン軸41)と、前記スプライン軸の端部に取り付けられたウォームホイールおよび前記ウォームホイールと噛合するウォームシャフトからなるウォームギヤ(例えば、実施形態におけるウォームギヤ42)と、前記ウォームシャフトを回転駆動するモータ(例えば、実施形態におけるモータ43)と、を備え、前記スプライン軸は、軸方向が上下方向となり、かつ、当該スプライン軸と前記平歯車とが噛合する位置が前記基台部の周縁部よりも外側になるように設けられていることが好ましい。
【0009】
前述の端子圧着装置において、前記基台部の平面にネジ穴(例えば、実施形態における雌ねじ36a)を形成し、前記ストッパは略円柱形状であり、同心円状に平歯車(例えば、実施形態におけるスパーギヤ34)を取り付けるとともに、先端部に前記基台部のネジ穴に螺合するネジ(例えば、実施形態における雄ねじ32a)を形成し、前記ストッパ調整機構は、前記平歯車と噛合するスプライン軸(例えば、実施形態におけるスプライン軸41)と、前記スプライン軸の端部に取り付けられたウォームホイールおよび前記ウォームホイールと噛合するウォームシャフトからなるウォームギヤ(例えば、実施形態におけるウォームギヤ42)と、前記ウォームシャフトを回転駆動するモータ(例えば、実施形態におけるモータ43)と、を備え、前記スプライン軸は、軸方向が上下方向となり、かつ、当該スプライン軸の下端が前記基台部よりも高い位置となるように設けられ、前記平歯車と前記スプライン軸とが噛合する位置が前記基台部の周縁部よりも内側になるように設けられていることが好ましい。
【0010】
前述の端子圧着装置において、前記アプリケータは、前記基台部の上方に設けられた支持部(例えば、実施形態における支持プレート12)に取り付けられており、前記アプリケータの下刃は前後方向に移動可能に設けられており、伸縮自在なピストンロッドを有し、当該ピストンロッドを伸長させることで前記下刃を前記上刃に対向する位置から前記アプリケータの前方へ押し出す下刃押出用シリンダ(例えば、実施形態におけるエアシリンダ50)を備え、前記下刃押出用シリンダを前記支持部に取り付けることが好ましい。
【0011】
前述の端子圧着装置において、前記アプリケータは、前記上刃が取り付けられ、前記圧着用シリンダのピストンロッドの伸縮に連動して上下方向へ移動するシャンク(例えば、実施形態におけるシャンク110)と、前記シャンクの上下方向への移動をガイドするガイド部材(例えば、実施形態におけるガイド部101)と、前記シャンクの上部に設けられ、水平方向に揺動可能なシャンク保持部材(例えば、実施形態におけるスライダ112
およびシャンクストッパ113)と、を有し、前記シャンク保持部材の先端部は、前記ガイド部材の上部に当接する第1の位置と、前記ガイド部材の上部に当接しない第2の位置との間で揺動可能であり、前記シャンク保持部材の先端部が前記第1の位置へ揺動すると前記シャンクの下方向への移動が阻止され、前記第2の位置へ揺動すると前記シャンクの上下方向への移動が可能となることが好ましい。
【0012】
前述の端子圧着装置において、前記アプリケータを包含するように設けられ、前記アプリケータにアクセス可能な開口部を有するケース(例えば、実施形態におけるケース11)と、所定の方向に摺動することで前記開口部を開閉するシャッタ(例えば、実施形態におけるシャッタ14)と、前記開口部から前記ケースの内部に侵入する障害物を検知する障害物検知装置(例えば、実施形態におけるライトカーテン17)と、を備え、前記シャッタには、前記開口部を閉めた状態で前記下刃に載置された前記圧着端子にセットされた導線を通過させる導線用開口部(例えば、実施形態における導線用開口部14a)が形成されており、前記障害物検知装置は、複数の発光器が上下方向に一直線上に配置された投光部(例えば、実施形態における投光部17FL)と、複数の受光器が前記複数の発光器に対向するように上下方向に一直線上に配置された受光部(例えば、実施形態における受光部17LR)と、前記複数の受光器のうちいずれかが、対向する発光器からの光を受光できなかった場合に障害物を検知する検知部と、を備え、前記複数の発光器および前記複数の受光器のうち、前記導線用開口部を通過する導線の位置に対応する位置に配置された発光器および受光器を無効にすることが好ましい。
【発明の効果】
【0013】
本発明によれば、ピストンロッドを有する圧着用シリンダと、ピストンロッドの伸縮によって圧着端子を導線に圧着するアプリケータと、上刃の下死点を定めるストッパと、ストッパの上下方向の位置を調整するストッパ調整機構と、平板形状の基台部と、を備え、アプリケータ、圧着用シリンダおよびストッパを基台部の平面上に設け、ストッパ調整機構を基台部の側面に設けたので、ストッパ調整機構を基台部の平面上に設けた場合よりもアプリケータの設置位置を低く抑えることができる。これにより、アプリケータに圧着端子および導線をセットする位置が高くならず、圧着作業の作業性を低下させるのを避けることができる。
【0014】
また、上述の端子圧着装置において、アプリケータは、基台部の上方に設けられた支持部に取り付けられ、アプリケータの下刃は前後方向に移動可能に設けられており、ピストンロッドを伸長させることで下刃を上刃に対向する位置からアプリケータの前方へ押し出す下刃押出用シリンダを備えるとともに当該下刃押出用シリンダを支持部に取り付けているので、使用しているアプリケータを別のアプリケータに交換した場合でも、上述した下刃押出用シリンダを用いて圧着端子を圧着した導線と共に下刃をアプリケータの前方へ押し出すことができる。
【0015】
また、上述の端子圧着装置において、アプリケータは、上刃が取り付けられたシャンクと、シャンクの上下方向への移動をガイドするガイド部材と、シャンクの上部に設けられ、水平方向に揺動可能なシャンク保持部材と、を有し、シャンク保持部材の先端部は、ガイド部材の上部に当接する第1の位置と、ガイド部材の上部に当接しない第2の位置との間で揺動可能であり、シャンク保持部材の先端部が第1の位置へ揺動するとシャンクの下方向への移動が阻止され、第2の位置へ揺動すると前記シャンクの上下方向への移動が可能となることが好ましい。これにより、シャンク保持部材を第1の位置まで水平方向に揺動させることでシャンクが落下せずに保持することができるので、アプリケータを交換する際にシャンクが落下して上刃が下刃に強く衝突し、双方の刃を破損させる虞を無くすことができる。
【0016】
また、上述の端子圧着装置において、アプリケータを包含し開口部を有するケースと、開口部を開閉するシャッタと、開口部からケースの内部に侵入する障害物を検知する障害物検知装置と、を備え、シャッタには導線を通過させる導線開口部が形成されており、障害物検知装置を構成する複数の発光器および複数の受光器のうち、導線開口部を通過する導線の位置に配置された発光器および受光器を無効にすることが好ましい。これにより、障害物検知装置は、シャッタを通過する導線に影響されることなく開口部からケースの内部に侵入する障害物を検知することができるので、シャッタおよび障害物検知装置により圧着作業の安全性をより厳重に確保することができる。
【図面の簡単な説明】
【0017】
図1】本実施形態に係る端子圧着装置の外観を示す斜視図である。
図2】上記端子圧着装置のケースおよび下部パネルを取り除いた状態の外観を示す斜視図である。
図3】上記端子圧着装置の本体部内部の構成を示す斜視図である。
図4】上記端子圧着装置の支持プレートの上面に取り付けられる構成を示す斜視図である。
図5】上記端子圧着装置のアプリケータの下刃を前方へ押し出すエアシリンダの作動を説明するための説明図であり、(A)は下刃が前方へ押し出された状態を示す図であり、(B)は下刃が上刃と対向する位置にセットされた状態を示す図であり、(C)はエアシリンダによって下刃が前方に押し出される状態を示す図である。
図6】上記端子圧着装置のストッパ調整機構の作動状態を説明するための説明図であり、(A)はストッパを最も低い位置に設定した状態を示す図であり、(B)はストッパを最も高い位置に設定した状態を示す図である。
図7】上記ストッパ調整機構の構成およびその変形例について説明するための説明図である。
図8】上記端子圧着装置のアプリケータの外観を示す斜視図である。
図9】上記のアプリケータのシャンク落下防止機構の外観を示す斜視図である。
図10】上記シャンク落下防止機構の作動を説明するための説明図である。
図11】上記端子圧着装置のシャッタの周辺の構成を示す斜視図である。
図12】上記端子圧着装置のセーフティライトカーテンの作動状態を説明するための説明図である。
【発明を実施するための形態】
【0018】
以下、図面を参照して本発明の好ましい実施形態について説明する。図1は本発明の一実施形態に係る端子圧着装置1の外観を示す斜視図である。ここで、図1を参照する説明において、前後方向、左右方向および上下方向について言及するときは、図1に示す矢印の向きに従う。また、左右方向を「横方向」、上下方向を「縦方向」ともいう。
【0019】
図1に示す端子圧着装置1は、上部が圧着端子を導線に圧着させる圧着作業部10となっており、下部が圧着端子を導線に圧着させるための駆動源が設けられている本体部20となっている。圧着作業部10は、透明なアクリル板で構成されたケース11により囲まれた空間になっており、ケース11の内部にはアプリケータ100が収容されている。アプリケータ100は圧着端子を導線に圧着するものであり、略矩形の平板形状を有する支持プレート12の上面に取り付けられている。ケース11の正面には開口部13が形成されており、作業者は開口部13を介してアプリケータ100の後述する下刃(以下、「アンビル」ともいう。)に圧着端子や導線をセットしたり、圧着端子が圧着された導線を取り出したりする。開口部13には、上下方向にスライドして開口部13を開閉するシャッタ14が設けられている。
【0020】
シャッタ14には、アプリケータ100によって導線に圧着端子を圧着している間もシ
ャッタ14を閉めた状態にするために、導線を通すための切り欠き(図11および図12に示す導線用開口部14a)が形成されている。ケース11の正面右上にはタッチパネル15が設けられており、タッチパネル15に表示されたメニュー画面を操作することで、後述する油圧シリンダ26の下死点の位置を調整することができる。タッチパネル15の上方には、端子圧着装置1の作動中に開口部13からケース11内に何らかの障害物が侵入したことが検知されると点灯する警告灯16が設けられている。
【0021】
本体部20の正面上部には押しボタン式の操作スイッチ21が設けられている。操作スイッチ21には非常停止スイッチ21a、第1シャッタ下降スイッチ21b、油噴霧スイッチ21c、圧着スイッチ21dおよび第2シャッタ下降スイッチ21eで構成されている。非常停止スイッチ21aは作動中の端子圧着装置1を強制的に停止させる際に操作するスイッチである。第1シャッタ下降スイッチ21bおよび第2シャッタ下降スイッチ21eは、シャッタ14を下降させる際に操作するスイッチであり、いずれか一方のスイッチが操作されただけではシャッタ14は下降せず、双方のスイッチが同時期に操作された場合にシャッタ14が下降するようになっている。また、第1シャッタ下降スイッチ21bおよび第2シャッタ下降スイッチ21eは、互いに離れた位置に設けられており、作業者が一方の手で第1シャッタ下降スイッチ21bを操作した場合は、他方の手で第2シャッタ下降スイッチ21eを操作しなければならないようになっている。これにより、シャッタ14が下降するときには作業者の両手が安全な位置にあることになるため、下降してきたシャッタ14に作業者の手が挟まれることがないようにしている。油噴霧スイッチ21cは、アプリケータ100が圧着作動を行う前に、後述するクリンパ120に油を噴き付けるためのスイッチである。圧着スイッチ21dは端子圧着装置1により圧着端子を導線に圧着する際に操作するスイッチである。本体部20の正面下側には下部パネル23が着脱自在に取り付けられており、下部パネル23の奥にはアプリケータ100を駆動するための各種装置が設置されている。
【0022】
次に図2図4を参照して端子圧着装置1の主要部の概略構成について説明する。図2図1に示した端子圧着装置1から、ケース11および下部パネル23を取り外した状態を示す斜視図である。図3は本体部20の内部に設けられた主要部分の構成を拡大して図示した斜視図である。図4は支持プレート12に取り付けられたアプリケータ100を後側から見たときの状態を示す斜視図である。ただし、図4ではスライドシャフト28の図示を省略し、その位置を破線で示している。図2図4を参照する説明において、前後方向、左右方向および上下方向について言及するときは、図1に示した各方向に準じる。また、図2図4において同一の構成については同じ符号を付している。
【0023】
支持プレート12は、略矩形の平板形状を有し、端子圧着装置1の支持フレームに13に固定されている。支持プレート12の下面、略中央には、油圧によって下方へ伸長するピストンロッド(図示略)を有する油圧シリンダ26が固定されている。このピストンロッドの先端には略矩形の平板形状を有する下部スライドプレート27が取り付けられており、ピストンロッドの伸縮に応じて下部スライドプレート27が上下動するようになっている。図2においてはピストンロッドが最も収縮している状態(すなわち下部スライドプレート27が最も上昇している状態)を示している。図3に示すように、下部スライドプレート27の四隅には、4本のスライドシャフト28が固定されており、これらスライドシャフト28は支持プレート12の四隅に形成されている貫通孔を貫通している。支持プレート12の各貫通孔には各々転がり軸受が取り付けられており、これら転がり軸受の内側を通ってスライドシャフト28の上端部が支持プレート12から突出している。
【0024】
スライドシャフト28の上端には略矩形の平板形状を有する上部スライドプレート29が固定されており、上部スライドプレート29の下面には、アプリケータ100と連結するラムボルト30が取り付けられている。ラムボルト30はアプリケータ100のシャン
ク110と係合し、これにより上部スライドプレート29の上下動に伴ってシャンク110およびシャンク110に取り付けられた上刃(以下、「クリンパ」ともいう。)120が上下動し、アンビル130にセットされた圧着端子が導線に圧着される。
【0025】
支持プレート12の下面、四隅には円柱形状の4本の固定シャフト25(図2では手前左側の固定シャフト25のみ図示。)の上端部が固定され、これら固定シャフト25の下端部には略矩形平板形状の基台プレート24が固定されている。すなわち、基台プレート24は、固定シャフト25によって支持プレート12からぶら下がるように固定されている。また、前述した4本のスライドシャフト28は、その下端部が下部スライドプレート27を貫いて突出しており、基台プレート24には、下部スライドプレート27から突出するスライドシャフト28の下端部が挿入される転がり軸受31が取り付けられている。油圧シリンダ26が伸縮すると下部スライドプレート27とともに下部スライドプレート27に固定されているスライドシャフト28も、支持プレート12に設けられた転がり軸受および基台プレート24に設けられた転がり軸受の内側を通ってスムーズに上下動することができる。
【0026】
このような構成により、油圧シリンダ26の伸縮によって下部スライドプレート27が上下動し、これに連動して支持プレート12を貫通してスライドシャフト28の上端部に固定された上部スライドプレート29が上下動する。これに合わせて上部スライドプレート29に取り付けられたラムボルト30に連結しているアプリケータ100も上下動して、クリンパ120およびアンビル130によって導線に圧着端子が圧着される。また、図4に示すように、支持プレート12の上面においてアプリケータ100の後側にエアシリンダ50が取り付けられている。エアシリンダ50は、アンビル130が取り付けられたアンビルユニット131を前方へ押し出すものである。これにより、アプリケータ100によって導線に圧着端子が圧着されると、アンビル130にセットされている圧着済みの導線が前方に押し出され、作業者が圧着済みの導線を取り出し易くなるようにしている。
【0027】
図2および図3に戻り、基台プレート24の上面、ほぼ中央には油圧シリンダ26の下死点(延いてはクリンパ120の下死点)を規定するストッパ32が取り付けられており、下部スライドプレート27にはストッパ32を検知するストッパセンサ33が取り付けられている。ストッパ32は略円柱形状を有し、ストッパ32と同心円状にスパーギヤ(以下、「平歯車」ともいう。)34が固定されている。スパーギヤ34は、スプライン軸41、ウォームギヤ42(図7参照。)およびモータ43を有して構成されたストッパ調整機構40のうちスプライン軸41と噛合する。なお、図2および図3においてはウォームギヤ42のうちウォームシャフト42aのみを図示している。スプライン軸41は回転軸が上下方向に沿っており、回転軸の下端部にはウォームギヤ42を構成するウォームホイール42b(図7参照。)が取り付けられている。ウォームホイール42bは、同じくウォームギヤ42を構成するウォームシャフト42aと噛合し、ウォームシャフト42aはモータ43の駆動軸に結合しており、モータ43によって回転駆動される。
【0028】
本体部20の内部において、左側面には油圧シリンダ26の上死点(延いてはクリンパ120の上死点)および圧着端子に付与する圧力を切り替える位置(以下、「圧力切替位置」ともいう。)を検出するためのセンサが取り付けられるセンサ設置板45が取り付けられている。図3に示すように、センサ設置板45には上下方向に1本の縦溝Gが設けられており、この縦溝Gに沿って、上死点を検出するための上死点センサ46aおよび圧力切替センサ46bの取付位置を変更できるように構成されている。上死点センサ46aおよび圧力切替センサ46bは、各々、下部スライドプレート27に取り付けられたセンサドグ47の接近を感知する近接センサである。
【0029】
(端子圧着装置の作動)
次に、図1図5を参照して上述した構成の端子圧着装置1の作動について説明する。図5は支持プレート12に設置されたアプリケータ100を上から見下ろした状態を示す平面図である。ただし、アプリケータ100についてはアンビル130に関わる構成のみを図示している。図5(A)において、アンビル130はアンビルユニット131に取り付けられ、アンビルユニット131はアプリケータ100の基台であるベース部102の上で前後方向へ摺動可能に設けられている。したがって、作業者はアンビルユニット131の前端部に設けられている把持部132を持って手動でアンビルユニット131を手前側に引き出したり、奥側へ押し込んだりすることができる。
【0030】
上述した構成の端子圧着装置1によって導線に圧着端子の圧着を行う場合、まず図5(A)に示すように、作業者はアンビルユニット131を手前側に引き出し、アンビル130に圧着端子CTをセットする。次に作業者は、図5(B)に示すように、アンビル130がクリンパ120に対向する位置までアンビルユニット131を奥側へ押し込んで、図1に示した第1シャッタ下降スイッチ21bおよび第2シャッタ下降スイッチ21eを操作すると、図1に示したシャッタ14が下降した後、端子圧着装置1が一時停止状態となる。その後、作業者はシャッタ14に形成された導線用開口部14a(図11参照。)から導線を挿入して、導線の先端がアンビル130にセットした圧着端子CTの位置に到達するまで差し込む。
【0031】
次に作業者が圧着スイッチ21dを操作すると、図2に示した油圧シリンダ26が作動してシリンダロッドが伸長し、下部スライドプレート27および上部スライドプレート29が下降していくとともに、ラムボルト30に結合しているシャンク110およびクリンパ120も下降していく。やがて図3に示した圧力切替センサ46bがセンサドグ47を検知すると、油圧シリンダ26のシリンダロッドが低速高圧下降に切り替わり、シリンダロッドの下降速度を減速してシャンク110に高圧力を付加する。この状態でさらにシリンダロッドが下降して下死点に到達すると、ストッパセンサ33がストッパ32を検知して、予め設定されている加圧保持時間の間、油圧シリンダ26はクリンパ120とアンビル130とにより、導線に対して圧着端子CTをかしめた状態を維持する。これにより、導線に圧着端子CTが圧着され、油圧シリンダ26のシリンダロッドは収縮を開始する。
【0032】
そしてシリンダロッドが収縮すると、下部スライドプレート27および上部スライドプレート29が上昇していくとともに、ラムボルト30に結合しているシャンク110およびクリンパ120も上昇していく。また、これに伴いシャッタ14も上昇して開口部13が徐々に開放されていく。やがて図3に示した上死点センサ46aがセンサドグ47を検知すると油圧シリンダ26の作動が停止し、エアシリンダ50のピストンロッド51が伸長して、図5(C)に示すように、アンビルユニット131が前方へ押し出され、圧着端子CTが圧着された導線が開口部13の近くまで移動する。
【0033】
このように、圧着端子が圧着された導線が、エアシリンダ50により作業者の手元近くまで押し出されるため、アンビル130から導線を取り出すのが容易となる。また、図4に示したように、エアシリンダ50は支持プレート12に取り付けられており、かつ、図5に示すようにエアシリンダ50のピストンロッドがアンビルユニット131と結合していないため、アプリケータ100を別のアプリケータに交換する場合でも、エアシリンダ50をそのまま流用することができるとともに、アプリケータ100の交換作業が容易となる。
【0034】
(ストッパ調整機構の作動)
次に図6を参照してストッパ調整機構40の作動状態について説明する。図6は基台プレート24、下部スライドプレート27、ストッパ32およびストッパ調整機構40などを端子圧着装置1の後側から見たときの図である。また図6において、特にストッパ32
および基台プレート24については断面を図示している。また、図6(A)はストッパ32の高さ位置を最も低くした状態を示しており、図6(B)はストッパ32の高さ位置を最も高くした状態を示している。
【0035】
図6に示すように、ストッパ32の上部にはスパーギヤ34が固定されている。またストッパ32の下端部には雄ねじ32aが形成されている。基台プレート24の略中央には円形の貫通孔35が設けられており、貫通孔35には略円筒形のストッパ保持部材36が取り付けられている。ストッパ保持部材36の内周面には雌ねじ36aが形成されており、ストッパ32の下端部に形成された雄ねじ32aと噛合している。
【0036】
このような構造のストッパ32およびストッパ調整機構40において、例えば図6(A)の状態から、図3に示したモータ43が正転してウォームシャフト42aを回転駆動した結果、スプライン軸41が時計回りに回転したとする。この場合、スパーギヤ34は反時計回りに回転してストッパ32の雄ねじ32aはストッパ保持部材36の雌ねじ36aに対して緩む方向に回転することから、ストッパ32の上端部は上方へ移動することになる。これに対して図6(B)の状態からモータ43が逆転してスプライン軸41が反時計回りに回転したとすると、スパーギヤ34は時計回りに回転してストッパ32の雄ねじ32aが締まる方向に回転することから、ストッパ32の上端部は下方へ移動することになる。
【0037】
モータ43の駆動制御は、図1に示したタッチパネル15からの操作に応じて行われる。例えば、図1に示したタッチパネル15に表示されたメニュー画面のうち、「ハイト調整」のボタン画像をタッチすると、タッチパネル15に「高」という文字のボタン画像と「低」という文字のボタン画像とが表示され、「高」のボタン画像をタッチするとモータ43が正転(すなわち、ストッパ32が上昇)し、「低」のボタン画像をタッチするとモータ43が逆転(すなわち、ストッパ32が下降)する。
【0038】
(ストッパ調整機構の構成および変形例)
次に図7を参照して、ストッパ調整機構40の構成とその変形例について説明する。図7(A)は、本実施形態のストッパ調整機構40の構成を模式的に示す図であり、左側の図は基台プレート24、ストッパ32およびストッパ調整機構40(以下、「ストッパ調整機構に関わる構成」ともいう。)を右側面から見たときの側面図を示し、右側の図はストッパ調整機構に関わる構成の平面図であり、この平面図の左側が端子圧着装置1の前方となっている。また、図7(B)は、図7(A)に示したストッパ調整機構に関わる構成の変形例について、図7(A)と同様の側面図および平面図を示している。なお、これらの図において、図3および図6で示した各構成と同じものについては同一の符号を付し、その詳しい説明を省略する。
【0039】
図7(A)に示すストッパ調整機構に関わる構成では、スパーギヤ34とスプライン軸41とが基台プレート24の周縁部よりも外側で噛合している。このような構成においては、スパーギヤ34の直径を大きくしてモータの減速比を大きくすることができるため、低トルクのモータを用いてストッパの上昇/下降を行うことができる。なお、スパーギヤ34とスプライン軸41とが噛合する位置は、図7(B)に示すように、基台プレート24の周縁部の内側にしてもよい。この場合、スプライン軸41’の下端部を少なくとも基台プレート24よりも高い位置する必要があるが、スパーギヤ34’の直径を小さくすることができるため、基台プレート24の奥行寸法を小さくして端子圧着装置1の小型化に貢献することができる可能性がある。
【0040】
図7(A),(B)に示したストッパ調整機構は、いずれの場合も基台プレート24の側面、より詳細には前方の側面に取り付けられている。これにより、基台プレート24の
上面にストッパ調整機構を取り付けるためのスペースを確保する必要が無いため、基台プレート24を大型化させず、または、基台プレート24の下面にストッパ調整機構を取り付けるためのスペースが不要となるため、ストッパ調整機構の設置によって基台プレート24や支持プレート12の位置が高くなり、その結果、アプリケータ100の位置が高くなることが無いので、圧着作業の作業性を低下させてしまう虞が無い。
【0041】
(アプリケータの構成)
次に図8を参照して、アプリケータ100の構成について説明する。図8は、アプリケータ100の外観を示す斜視図である。図8を参照する説明において、前後方向、左右方向および上下方向について言及するときは、図8に示す矢印の向きに従う。また、図8において、図2図4および図5と同じ構成について同一の符号を付している。
【0042】
図8に示すように、シャンク110の上部には、ラムボルト30の係合部30aと着脱自在に係合する係合ブロック111(左係合ブロック111Lおよび右係合ブロック111R)が取り付けられている。これにより油圧シリンダ26(図2参照。)の作動によってラムボルト30が上下方向に往復移動すると、シャンク110も上下方向に往復移動することになる。ガイド部101は、シャンク110とは別体のパーツであり、支持プレート12に固定されるベース部102に取り付けられ、シャンク110の上下動をガイドする。右係合ブロック111Rの下側には、ラムボルト30からシャンク110が取り外されたときにシャンク110が下方に落下するのを防止するためのスライダ112およびシャンクストッパ113が設けられている。
【0043】
シャンク110にはクリンパ120が取り付けられており、シャンク110の上下動によって、アンビル130にセットされた圧着端子を導線に圧着する。アンビル130はアンビルユニット131に取り付けられており、アンビルユニット131はベース部102上において前後方向に摺動可能になっている。前述したように、アンビルユニット131は導線に対して圧着端子が圧着されるとエアシリンダ50によって前方に押し出される。また、圧着作業を行う場合、作業者は前方に押し出されているアンビルユニット131上のアンビル130に圧着端子をセットし、把持部132を持ってアンビル130がクリンパ120に対向する位置まで後方に向かってアンビルユニット131を押し込む。
【0044】
(スライダ112およびシャンクストッパ113の形状)
次に図9を参照して上述したスライダ112およびシャンクストッパ113の形状について説明する。ここで、図9(A-1)はスライダ112の形状を示す斜視図であり、図9(A-2)は図9(A-1)におけるA―A’断面を示す図である。また、図9(B)はシャンクストッパ113の形状を示す斜視図である。
【0045】
スライダ112は、図9(A-1)に示すように略直方体の部材であり、図8において右係合ブロック111Rから露出している露出面112aの反対側の面がラムボルト30と接触する接触面112bになっている。また、露出面112aを正面とした場合、左右の側面は、右係合ブロック111Rの下でスライダ112が摺動する方向と平行な面となっており、露出面112aの右側の側面を右摺動面112cといい、左側の側面を左摺動面112dという。左摺動面112dには切欠き112eが設けられており、切欠き112eの露出面112a側から接触面112bに向かって傾斜面112fが形成され、さらに傾斜面112fから接触面112bに向かってスライダ112の摺動方向と平行な平行面112gが形成されている。
【0046】
露出面112aにはねじ穴SHが形成されており、このねじ穴SHには図9(A-2)に示すように固定ネジ140が挿入され、固定ねじ140の先端がシャンク110にねじ止めされる。また、ねじ穴SHの内部には段差STが形成されており、この段差STと固
定ネジ140の頭部先端側との間にコイル圧縮ばね141が取り付けられている。なお、スライダ112は、コイル圧縮ばね141の弾性力に抗して図9(A-2)中、右方向へ移動可能になっている。
【0047】
シャンクストッパ113は、図9(B)に示すように長尺棒状の揺動部材114と、「く」の字状に折曲された板ばね115と、略直方体の形状を有しガイド部101に当接する当接部材116とで構成されている。揺動部材114の一方の端部には、図9(A)に示した傾斜面112fおよび平行面112gと接する斜面部114aが形成されている。また、揺動部材114の長手方向の側面には板ばね115が取り付けられ、揺動部材114の他方の端部の下面には、当接部材116が取り付けられている。
【0048】
(スライダ112およびシャンクストッパ113の動き)
次に図10を参照して、係合ブロック111とラムボルト30の係合部30aとが係合する際のスライダ112およびシャンクストッパ113の動きについて説明する。ここで、図10は、アプリケータ100の係合ブロック111の周辺を上方から見下ろした状態を示す平面図であり、右係合ブロック111Rの図示を省略し、シャンク110の上部に形成された摺動溝(スライダ112が摺動する溝)117が見える状態を示している。また、図10(A)は係合ブロック111と係合部30aとが係合する直前の状態を示しており、図10(B)は係合ブロック111と係合部30aとが係合した状態を示している。さらに、図10を参照する説明において、前後方向および左右方向について言及するときは、図10に示す矢印の向きに従う。
【0049】
図10(A)に示すように、係合ブロック111と係合部30aとが係合する前の状態では、スライダ112の傾斜面112f(図9(A-1)参照。)とシャンクストッパ113の揺動部材114に形成された斜面部114a(図9(B)参照。)とが接しており、揺動部材114の長手方向は左右方向に沿った状態になっている。このとき、シャンクストッパ113の当接部材116は、アプリケータ100のガイド部101と当接しており、これによりシャンク110の上下動が阻止され、シャンク110の落下が阻止される。
【0050】
図10(A)の状態からアプリケータ100を後方へ押し込んでいくと、やがてスライダ112の接触面112b(図9(A-1)参照。)がラムボルト30の係合部30aと接触し、以下、アプリケータ100を後方へ押し込むにつれてラムボルト30によりコイル圧縮ばね141(図9(A-2)参照。)の弾性力に抗してスライダ112は右方向へ押し出されていく。これにより、揺動部材114の傾斜部114aが徐々にスライダ112の傾斜面112fに沿って右方向へ押しやられることで、揺動部材114が板ばね115の弾性力に抗して摺動溝117の傾斜面117aに沿って図10(A)中、矢印の方向(水平方向)へ揺動していく。
【0051】
そして、係合ブロック111に対してアプリケータ100が所定位置まで押し込まれると、揺動部材114の傾斜部114aがスライダ112の平行面112g(図9(A)参照。)に当接して、図10(B)に示すように、シャンクストッパ113の当接部材116がガイド部101から外れる位置まで揺動する。これにより、シャンク110の上下動が可能となる。
【0052】
ラムボルト30からアプリケータ100を取り外す場合は、アプリケータ100を前方へ引き出す。これにより、係合部30aに対して係合ブロック111(図8参照。)が前方へ徐々に移動していき、コイル圧縮ばね141の弾性力によりスライダ112が左方向へ摺動していく。また、これに伴って揺動部材114に取り付けられた板ばね115の弾性力により、当接部材116がガイド部101に近づくように揺動部材114が揺動する
。そして、係合部30aがスライダ112の接触面112bから離れると、図10(A)の状態となり、シャンクストッパ113の当接部材116がガイド部101と当接して、シャンク110の落下が阻止される。
【0053】
このように、スライダ112およびシャンクストッパ113によって揺動部材114を揺動させて当接部材116をガイド部101に当接する位置まで揺動させることにより、シャンク110をラムボルト30から取り外したときに、シャンク110を落下させずに保持することができる。これにより、アプリケータ100を交換する際にシャンク110が落下してクリンパ120がアンビル130に強く衝突し、互いの部材を破損させる虞を無くすことができる。
【0054】
(安全対策)
本実施形態においては、図1に示した開口部13にシャッタ14を設置し、端子圧着装置1において圧着作業が実施されている間はシャッタ14を閉鎖することで安全対策を施しているが、シャッタ14のみならず、開口部13にセーフティライトカーテン(以下、「ライトカーテン」という。)を設置することで二重の安全対策を施している。以下、図11および図12を参照してライトカーテンの設置位置およびその作動について説明する。なお、図11および図12において、図1図2および図5等に示した各構成と同じものについては同一の符号を付し、その詳しい説明を省略する。
【0055】
図11および図12(A)に示すように、シャッタ14(図12においてドットパターンで示される部分)には導線LWを通すための切り欠きである導線用開口部14aが形成されている。また、開口部13の左右の側縁部の近傍には、ライトカーテン17が設置されている。ライトカーテン17の設置位置(例えば圧着が行われるクリンパ120およびアンビル130からの距離)は、例えばISO13855やJIS B 9715などの標準規格に基づいて決定される。
【0056】
ライトカーテン17は、各々、検出光を複数の発光器が上下方向に一直線上に配置された投光部17FLと、投光部17FLの各発光器に対向する位置に、複数の受光器が上下方向に一直線上に配置された受光部17LRとによって構成されている。本実施形態では、開口部13の左側縁部に投光器17FLが設置され、右側縁部に受光器17LRが設置されている。これにより、投光器17FLの複数の発光器から各々出射される検出光は、開口部13を挟んで左から右へ水平方向に出射されることになる。また、端子圧着装置1において、各発光器から出射された検出光が対向する受光器によって受光されなかった場合は障害物を検知したと判断される。そして、障害物が検知された場合は直ちに油圧シリンダ26の作動を停止し、図1に示した警告灯16を点灯するとともに警報音を発生する。
【0057】
前述したように本実施形態では、圧着端子CTがセットされたアンビル130がクリンパ120に対向する位置にある状態で、作業者が第1シャッタ下降スイッチ21bおよび第2シャッタ下降スイッチ21eの双方を操作すると、シャッタ14が下降するが、このとき更にライトカーテン17が作動する。このとき、図12(B)に示すように、投光部17FLから出射される複数の検出光DL(図12(B)においては、シャッタ14よりも粗いドットパターンの線条で示されている)のうち、導線LWを横切る位置にある発光器については検出光DLの出力が停止される。また、この発光器に対応する位置にある受光器による検出光DLの検出結果については無視される。このため、当該位置に何らかの障害物が存在していたとしても、その障害物は検出されない。
【0058】
そして、作業者がシャッタ14に形成されている導線用開口部14aから導線LWをケース11の内部に差し込んで、導線LWの先端をアンビル130にセットされた圧着端子
CTに到達させてから、圧着スイッチ21dを操作する。これにより油圧シリンダ26が作動してシャンク110が下降し、クリンパ120とアンビル130によって圧着端子CTの圧着が行われる。圧着が完了すると、シャッタ14が上昇してライトカーテン17の作動が停止する。すなわち、投光部17FLは検出光DLの出射を終了し、受光部17LRは検出光DLの検出を終了する。
【0059】
上述したように、圧着端子の圧着を行う際に、シャッタ14を閉鎖状態にするとともに、ライトカーテン17を作動させることでより厳重な安全対策を施すことができ、さらにライトカーテン17の作動中も導線LWが存在する位置にある発光器および受光器が無効化されるので、端子圧着装置1の作動を停止させることなく、アンビル120にセットされた圧着端子CTに対して導線LWを差し込むことができる。
【0060】
以上、本発明の好ましい実施形態について説明したが、本発明は、上記実施形態に限定されるものではなく、本発明の要旨を逸脱しない範囲において適宜変更可能である。例えば、上記実施形態では、作業者によって逐一圧着端子をアンビルにセットしていたが、1列に連続して形成された圧着端子を1つずつ、順次アンビルに自動供給するようにしてもよい。
【符号の説明】
【0061】
1 端子圧着装置
11 ケース
13 開口部
14 シャッタ
14a 導線開口部
17 ライトカーテン
17FL 投光部
17LR 受光部
24 基台プレート
26 油圧シリンダ
32 ストッパ
34、34’ スパーギヤ
40 ストッパ調整機構
41、41’ スプライン軸
42 ウォームギヤ
43 モータ
50 エアシリンダ
100 アプリケータ
110 シャンク
101 ガイド部
112 スライダ
113 シャンクストッパ
120 上刃(クリンパ)
130 下刃(アンビル)
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11
図12