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  • 特開-車両の制御装置 図1
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024098320
(43)【公開日】2024-07-23
(54)【発明の名称】車両の制御装置
(51)【国際特許分類】
   B60T 7/04 20060101AFI20240716BHJP
   B60T 8/00 20060101ALI20240716BHJP
   G05G 1/30 20080401ALI20240716BHJP
   B60K 26/02 20060101ALI20240716BHJP
   B60W 50/10 20120101ALI20240716BHJP
【FI】
B60T7/04 A
B60T8/00 Z
G05G1/30 E
B60K26/02
B60W50/10
【審査請求】未請求
【請求項の数】5
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023001756
(22)【出願日】2023-01-10
(71)【出願人】
【識別番号】000002082
【氏名又は名称】スズキ株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110001520
【氏名又は名称】弁理士法人日誠国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】森下 智史
【テーマコード(参考)】
3D037
3D124
3D241
3D246
3J070
【Fターム(参考)】
3D037EB02
3D037EB16
3D124AA35
3D124BB01
3D124BB07
3D124CC31
3D124DD30
3D124DD62
3D241BA51
3D241BB01
3D241BB06
3D241DA14Z
3D246DA01
3D246HA03A
3D246HA05A
3D246HA08A
3D246JB03
3D246JB04
3D246JB05
3D246JB32
3D246JB33
3D246JB43
3D246LA02A
3D246LA02B
3J070AA32
3J070BA51
3J070CB02
3J070CC71
3J070DA01
3J070EA11
(57)【要約】
【課題】ワンペダル機能を備える車両の減速中にアクセルペダルが踏み込まれた時でも、ドライバの加速意思どおりに違和感なく加速に移行することができる車両の制御装置を提供すること。
【解決手段】アクセルペダル90の操作量に基づいて加減速を行なう車両1の制御装置において、アクセルペダル90の操作量が少ない方から順に、減速操作を受け付ける減速領域、減速操作も加速操作も受け付けない不感帯領域、加速操作を受け付ける加速領域が連続的に設定され、減速領域におけるアクセルペダル90の操作量の変化速度が正の数である所定速度以上である場合、アクセルペダル90の操作量の変化速度が所定速度未満である場合よりも制動力を小さくする制動力抑制制御を実行する制御部11を備える。
【選択図】図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
一つの操作ペダルの操作量に基づいて加減速を行なう車両の制御装置であって、
前記操作量が少ない方から順に、減速領域、不感帯領域、加速領域が連続的に設定され、前記減速領域は、減速操作を受け付ける領域であり前記操作量が少ないほど減速度が大きくなるように制御され、前記加速領域は、加速操作を受け付ける領域であり前記操作量が多いほど加速度が大きくなるように制御され、前記不感帯領域は、減速操作も加速操作も受け付けない領域であり、
前記減速領域における前記操作量の変化速度が正の数である所定速度以上である場合、前記操作量の変化速度が前記所定速度未満である場合よりも制動力を小さくする制動力抑制制御を実行する制御部を備える車両の制御装置。
【請求項2】
前記制御部は、前記制動力抑制制御を実行開始後、前記減速領域における前記操作量の変化速度が正の数であり、かつ前記所定速度未満になっても前記制動力抑制制御を継続して実行する請求項1に記載の車両の制御装置。
【請求項3】
前記制御部は、前記制動力抑制制御を実行開始後、所定時間が経過したときに前記制動力抑制制御の実行を終了する請求項1に記載の車両の制御装置。
【請求項4】
前記制御部は、前記制動力抑制制御を実行開始後、車速の増加を検知したときに前記制動力抑制制御の実行を終了する請求項1に記載の車両の制御装置。
【請求項5】
前記制御部は、前記制動力抑制制御を実行開始後、前記減速領域における前記操作量の変化速度が負の数であると判定されたときに前記制動力抑制制御の実行を終了する請求項1に記載の車両の制御装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、車両の制御装置に関する。
【背景技術】
【0002】
特許文献1には、車両の速度とアクセルペダルの位置により加速、減速、コースティングのいずれかを決定するアクセルペダルマップによりワンペダル駆動機能を使用して車両の加速を制御するシステムが記載されている。
【0003】
このシステムにおいて、アクセルペダルが完全にリリースされたことが検出されると、アクセルペダルマップをアダプティブアクセルペダルマップに変更し、車両が減速しているときに、アダプティブアクセルペダルマップは車両の速度の低下に応じて補正される。
【0004】
特許文献1には、さらに、車両が減速しており、かつ、車両の速度がゼロに達する前に、車両を再加速するためにアクセルペダルが踏みこまれたことが検出されると、補正されたアダプティブアクセルペダルマップに従って、車両をさらに減速することなく、車両は制御されて再加速する点が記載されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開2022-84565号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
しかしながら、特許文献1に記載されたシステムでは、アクセルペダル踏込み開始以前の状況によってアクセルペダルの位置による加速範囲が異なるため、踏み込んだアクセルペダルの角度が同じでも、車両の駆動力や加速度合が異なることになる。このため、ドライバが違和感を覚えるおそれがあるという課題があった。
【0007】
そこで、本発明は、ワンペダル機能を備える車両の減速中にアクセルペダルが踏み込まれた時でも、ドライバの加速意思どおりに違和感なく加速に移行することができる車両の制御装置を提供することを目的としている。
【課題を解決するための手段】
【0008】
上記課題を解決するため本発明は、一つの操作ペダルの操作量に基づいて加減速を行なう車両の制御装置であって、前記操作量が少ない方から順に、減速領域、不感帯領域、加速領域が連続的に設定され、前記減速領域は、減速操作を受け付ける領域であり前記操作量が少ないほど減速度が大きくなるように制御され、前記加速領域は、加速操作を受け付ける領域であり前記操作量が多いほど加速度が大きくなるように制御され、前記不感帯領域は、減速操作も加速操作も受け付けない領域であり、前記減速領域における前記操作量の変化速度が正の数である所定速度以上である場合、前記操作量の変化速度が前記所定速度未満である場合よりも制動力を小さくする制動力抑制制御を実行する制御部を備えるものである。
【発明の効果】
【0009】
このように、本発明によれば、ワンペダル機能を備える車両の減速中にアクセルペダルが踏み込まれた時でも、ドライバの加速意思どおりに違和感なく加速に移行することができる。
【図面の簡単な説明】
【0010】
図1図1は、本発明の一実施例に係る車両の制御装置の概略構成図である。
図2図2は、本発明の一実施例に係る車両の制御装置のアクセルペダルの操作量による減速領域、加速領域、不感帯領域の設定例を示す図である。
図3図3は、本発明の一実施例に係る車両の制御装置のワンペダル制御処理の手順を示すフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0011】
本発明の一実施の形態に係る車両の制御装置は、一つの操作ペダルの操作量に基づいて加減速を行なう車両の制御装置であって、操作量が少ない方から順に、減速領域、不感帯領域、加速領域が連続的に設定され、減速領域は、減速操作を受け付ける領域であり操作量が少ないほど減速度が大きくなるように制御され、加速領域は、加速操作を受け付ける領域であり操作量が多いほど加速度が大きくなるように制御され、不感帯領域は、減速操作も加速操作も受け付けない領域であり、減速領域における操作量の変化速度が正の数である所定速度以上である場合、操作量の変化速度が所定速度未満である場合よりも制動力を小さくする制動力抑制制御を実行する制御部を備えるよう構成されている。
【0012】
これにより、本発明の一実施の形態に係る車両の制御装置は、ワンペダル機能を備える車両の減速中にアクセルペダルが踏み込まれた時でも、ドライバの加速意思どおりに違和感なく加速に移行することができる。
【実施例0013】
以下、図面を参照して、本発明の実施例に係る車両の制御装置について詳細に説明する。
【0014】
図1において、本発明の一実施例に係る車両の制御装置を搭載した車両1は、エンジン2と、発電モータ3と、駆動モータ4と、ディファレンシャル5と、駆動輪6と、発電モータインバータ7と、駆動モータインバータ8と、バッテリ9と、ECU(Electronic Control Unit)10と、を含んで構成される。
【0015】
エンジン2には、複数の気筒が形成されている。本実施例において、エンジン2は、各気筒に対して、吸気行程、圧縮行程、膨張行程および排気行程からなる一連の4行程を行なうように構成されている。
【0016】
発電モータ3は、回転軸がエンジン2の出力軸に接続されている。これにより、発電モータ3は、エンジン2の駆動力によって電力を発生する。発電モータ3は、発電した電力をバッテリ9に供給する。
【0017】
駆動モータ4は、回転軸がディファレンシャル5を介して左右の駆動輪6に接続されている。これにより、駆動モータ4は、駆動モータインバータ8を介してバッテリ9から供給される電力によって駆動輪6を駆動する電動機としての機能と、ディファレンシャル5から入力される逆駆動力によって発電を行う発電機としての機能とを有する。
【0018】
発電モータインバータ7は、ECU10の制御により、発電モータ3によって生成された三相の交流電力を直流電力に変換してバッテリ9を充電する。
【0019】
駆動モータインバータ8は、ECU10の制御により、バッテリ9から供給された直流電力を三相の交流電力に変換して駆動モータ4に供給する。駆動モータインバータ8は、ECU10の制御により、駆動モータ4によって生成された三相の交流電力を直流電力に変換してバッテリ9を充電する。
【0020】
バッテリ9は、例えばリチウムイオン電池などの二次電池によって構成されている。バッテリ9は、発電モータ3及び駆動モータ4に接続されており、発電モータ3の発電電力又は駆動モータ4の発電電力(回生電力)によって充電される。
【0021】
車両1は、運転者により操作される操作ペダルとしてのアクセルペダル90を備えている。アクセルペダル90の踏み込み量は、ペダル角度センサ91によって検出される。ペダル角度センサ91は、ECU10に接続されており、アクセルペダル90が踏み込まれず解放された状態を基準のゼロ度とし、アクセルペダル90が解放された状態と、踏み込まれたアクセルペダル90との角度をアクセルペダル90の操作量として検出し、当該角度に応じた信号をECU10に送信するようになっている。
【0022】
ECU10は、CPU(Central Processing Unit)と、RAM(Random Access Memory)と、ROM(Read Only Memory)と、バックアップ用のデータなどを保存するフラッシュメモリと、入力ポートと、出力ポートとを備えたコンピュータユニットによって構成されている。
【0023】
コンピュータユニットのROMには、各種定数や各種マップ等とともに、当該コンピュータユニットをECU10として機能させるためのプログラムが格納されている。すなわち、CPUがRAMを作業領域としてROMに格納されたプログラムを実行することにより、コンピュータユニットは、本実施例におけるECU10として機能する。
【0024】
ECU10の入力ポートには、前述のペダル角度センサ91に加えて、車速センサ92を含む各種センサ類が接続されている。
車速センサ92は、車両1の速度を検出する。
【0025】
ECU10の出力ポートには、前述のエンジン2、発電モータインバータ7、駆動モータインバータ8を含む各種制御対象類が接続されている。
【0026】
本実施例において、ECU10は、アクセルペダル90の操作量に基づいて車両1の加減速を行なう。
【0027】
アクセルペダル90の操作量は、操作量の少ない方から順に、減速領域、不感帯領域、加速領域が連続的に設定されている。
【0028】
ECU10は、アクセルペダル90の操作量が減速領域にある場合、アクセルペダル90の操作を減速操作として受け付け、アクセルペダル90の操作量が少ないほど減速度が大きくなるように制御する。
【0029】
ECU10は、アクセルペダル90の操作量が減速領域にある場合、駆動モータインバータ8を制御して駆動モータ4に強回生による制動力を出力させる。ECU10は、アクセルペダル90の操作量が少ないほど制動力が大きくなるように駆動モータ4による強回生の制動力を制御する。
【0030】
ECU10は、アクセルペダル90の操作量が加速領域にある場合、アクセルペダル90の操作を加速操作として受け付け、アクセルペダル90の操作量が多いほど加速度が大きくなるように制御する。
【0031】
ECU10は、アクセルペダル90の操作量が不感帯領域にある場合、アクセルペダル90の操作を減速操作としても加速操作としても受け付けない。
【0032】
ECU10は、例えば、ペダル角度センサ91の検出結果から、アクセルペダル90が踏み込まれず解放された状態を基準のゼロ度とし、アクセルペダル90が解放された状態と、踏み込まれたアクセルペダル90との角度によりアクセルペダル90の操作量を検出する。アクセルペダル90の操作量は、角度が大きくなるほど多く、小さくなるほど少ないとされる。アクセルペダル90の操作方向は、アクセルペダル90が踏み込まれ角度が増える方向が正の方向で、アクセルペダル90が戻され角度が減る方向が負の方向とされる。
【0033】
ECU10は、所定の単位時間ごとにペダル角度センサ91の検出結果を記憶し、アクセルペダル90の操作量の単位時間当たりの変化量である変化速度を検出する。アクセルペダル90の変化速度は、アクセルペダル90が踏み込まれる方向への速度が正の数で表され、アクセルペダル90が戻される方向への速度が負の数で表される。
【0034】
ECU10は、例えば、図2に示すように減速領域、不感帯領域、加速領域を設定する。
【0035】
ECU10は、減速領域におけるアクセルペダル90の操作量の単位時間当たりの変化量である変化速度が、正の数である所定速度以上である場合、アクセルペダル90の操作量の変化速度が所定速度未満である場合よりも駆動モータ4による強回生の制動力を小さくする制動力抑制制御を実行する制御部11を備える。
【0036】
制御部11は、制動力抑制制御を実行開始後、減速領域におけるアクセルペダル90の操作量の変化速度が、正の数でかつ所定速度未満になっても制動力抑制制御を継続して実行する。
【0037】
制御部11は、制動力抑制制御を実行開始後、所定時間が経過したときに制動力抑制制御の実行を終了する。
【0038】
制御部11は、制動力抑制制御を実行開始後、車両1の車速の増加を検知したときに制動力抑制制御の実行を終了する。
【0039】
制御部11は、制動力抑制制御を実行開始後、減速領域におけるアクセルペダル90の操作量の変化速度が、負の数であると判定されたときに制動力抑制制御の実行を終了する。
【0040】
なお、制動力抑制制御の実行を開始する際には、減速度の急変を避けるために、制動力を徐々に変えることが望ましい。
【0041】
また、制動力抑制制御の実行を終了して通常の制動制御を行なう際には、減速度の急変を避けるために、制動力を徐々に変えることが望ましい。
【0042】
以上のように構成された本実施例に係る車両の制御装置によるワンペダル制御処理について、図3を参照して説明する。なお、以下に説明するワンペダル制御処理は、ECU10が動作を開始すると開始され、予め設定された時間間隔で実行される。
【0043】
ステップS1において、ECU10は、アクセルペダル90の操作量が減速領域にあるか否かを判定する。
【0044】
減速領域にあると判定した場合には、ECU10は、ステップS2の処理を実行する。減速領域にないと判定した場合には、ECU10は、ステップS8の処理を実行する。
【0045】
ステップS2において、ECU10は、アクセルペダル90の操作量の変化速度が所定速度以上であるか否かを判定する。
【0046】
操作量の変化速度が所定速度以上であると判定した場合には、ECU10は、ステップS3の処理を実行する。操作量の変化速度が所定速度以上でないと判定した場合には、ECU10は、ステップS4の処理を実行する。
【0047】
ステップS3において、ECU10は、制動力抑制制御を実行する。ステップS3の処理を実行した後、ECU10は、ワンペダル制御処理を終了する。
【0048】
ステップS4において、ECU10は、制動力抑制制御を実行中かつ車速増加であるか否かを判定する。
【0049】
制動力抑制制御を実行中かつ車速増加であると判定した場合には、ECU10は、ステップS7の処理を実行する。制動力抑制制御を実行中かつ車速増加でないと判定した場合には、ECU10は、ステップS5の処理を実行する。
【0050】
ステップS5において、ECU10は、制動力抑制制御を実行中かつ所定時間経過であるか否かを判定する。
【0051】
制動力抑制制御を実行中かつ所定時間経過であると判定した場合には、ECU10は、ステップS7の処理を実行する。制動力抑制制御を実行中かつ所定時間経過でないと判定した場合には、ECU10は、ステップS6の処理を実行する。
【0052】
ステップS6において、ECU10は、制動力抑制制御を実行中かつアクセルペダル90の操作量の変化速度が負の数であるか否かを判定する。
【0053】
制動力抑制制御を実行中かつアクセルペダル90の操作量の変化速度が負の数であると判定した場合には、ECU10は、ステップS7の処理を実行する。制動力抑制制御を実行中かつアクセルペダル90の操作量の変化速度が負の数でないと判定した場合には、ECU10は、ステップS3の処理を実行する。
【0054】
ステップS7において、ECU10は、通常の制動制御を実行する。ステップS7の処理を実行した後、ECU10は、ワンペダル制御処理を終了する。
【0055】
ステップS8において、ECU10は、アクセルペダル90の操作量が加速領域にあるか否かを判定する。
【0056】
加速領域にあると判定した場合には、ECU10は、ステップS9の処理を実行する。加速領域にないと判定した場合には、ECU10は、ワンペダル制御処理を終了する。
【0057】
ステップS9において、ECU10は、加速制御を実行する。ステップS9の処理を実行した後、ECU10は、ワンペダル制御処理を終了する。
【0058】
このように、本実施例では、制御部11は、減速領域におけるアクセルペダル90の操作量の単位時間当たりの変化量である変化速度が、正の数である所定速度以上である場合、アクセルペダル90の操作量の変化速度が所定速度未満である場合よりも駆動モータ4による強回生の制動力を小さくする制動力抑制制御を実行する。
【0059】
これにより、減速領域におけるアクセルペダル90の操作量の変化速度が所定速度以上である場合、アクセルペダル90の操作量の変化速度が所定速度未満である場合よりも制動力を小さくするように制御され、ドライバの加速意思どおりに違和感なく加速に移行することができる。
【0060】
また、制御部11は、制動力抑制制御を実行開始後、減速領域におけるアクセルペダル90の操作量の変化速度が、正の数でかつ所定速度未満になっても制動力抑制制御を継続して実行する。
【0061】
これにより、制動力抑制制御を実行開始後、減速領域におけるアクセルペダル90の操作量の変化速度が、正の数でかつ所定速度未満になっても制動力抑制制御が継続して実行されるため、ドライバの加速意思どおりに違和感なく加速に移行することができる。
【0062】
また、制動力抑制制御を実行開始後、減速領域におけるアクセルペダル90の操作量の変化速度が、正の数でかつ所定速度未満になっても制動力抑制制御が継続して実行されるため、減速度の頻繁な変化を抑制することができる。
【0063】
ドライバが車両1を加速する意図でアクセルペダル90を減速領域から加速領域へ踏み込んだ場合、アクセルペダル90の操作量が減速領域において加速領域(不感帯領域)に近づいたとき、ドライバが加速領域における加速度が大きくなり過ぎないようにアクセルペダル90の踏込み速度(操作量の変化速度)を減少させる可能性がある。ドライバがアクセルペダル90の踏込み速度(操作量の変化速度)を減少させた場合であっても、制動力抑制制御を継続して実行するため、ドライバの加速意思どおりに違和感なく加速に移行することができる。
【0064】
また、制御部11は、制動力抑制制御を実行開始後、所定時間が経過したときに制動力抑制制御の実行を終了する。
【0065】
これにより、制動力抑制制御を実行開始後、所定時間が経過したときに制動力抑制制御の実行が終了されるため、ドライバが車両1の加速を取り止めた場合であっても、通常の制動力設定に復帰させることができる。
【0066】
また、制御部11は、制動力抑制制御を実行開始後、車両1の車速の増加を検知したときに制動力抑制制御の実行を終了する。
【0067】
これにより、制動力抑制制御を実行開始後、車両1の車速の増加を検知したときに制動力抑制制御の実行が終了されるため、ドライバが意図する加速が開始されたときに通常の制動力設定に復帰させることができる。
【0068】
アクセルペダル90が減速領域から加速領域に向かって踏込み開始された時の車速よりも車速が増加した場合、ドライバの加速意思が満たされたものと考えられる。
【0069】
また、制動力抑制制御を実行中に、車両1が下り坂を走行する状態になり、車両1が加速する場合であっても、ドライバの意図する加速が開始されたときに通常の制動力設定に復帰させることができる。この場合、アクセルペダル90の操作量が減速領域にあったとしても、車両1が加速されれば通常の制動力設定に復帰され、ドライバは通常の減速操作を実行可能になる。
【0070】
また、制御部11は、制動力抑制制御を実行開始後、減速領域におけるアクセルペダル90の操作量の変化速度が、負の数であると判定されたときに制動力抑制制御の実行を終了する。
【0071】
これにより、制動力抑制制御を実行開始後、減速領域におけるアクセルペダル90の操作量の変化速度が、負の数であると判定されたときに制動力抑制制御の実行が終了されるため、ドライバが車両1の加速を取り止めた場合であっても、通常の制動力設定に復帰させることができる。
【0072】
減速領域におけるアクセルペダル90の操作量の変化速度が負の数であるというのは、減速領域において、アクセルペダル90がいったん加速領域に向かって踏み込まれた後、上方(ペダルオフ方向)へ戻されたことを意味する。この場合、ドライバが車両1の加速を取り止めたと考えられるので、通常の制動力設定に復帰させる。
【0073】
なお、本実施例においては、シリーズハイブリッドの車両1の例を示したが、モータを駆動源とし、一つのペダルの操作量に基づいて加減速を行なう車両であれば、電動車両などにも適用可能である。
【0074】
本実施例では、各種センサ情報に基づきECU10が各種の判定や算出を行なう例について説明したが、これに限らず、車両1が外部サーバ等の車外装置と通信可能な通信部を備え、該通信部から送信された各種センサの検出情報に基づき車外装置によって各種の判定や算出が行なわれ、その判定結果や算出結果を通信部で受信して、その受信した判定結果や算出結果を用いて各種制御を行なってもよい。
【0075】
本発明の実施例を開示したが、当業者によっては本発明の範囲を逸脱することなく変更が加えられうることは明白である。すべてのこのような修正及び等価物が次の請求項に含まれることが意図されている。
【符号の説明】
【0076】
1 車両
4 駆動モータ
8 駆動モータインバータ
10 ECU
11 制御部
90 アクセルペダル(操作ペダル)
91 ペダル角度センサ
92 車速センサ
図1
図2
図3