(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024098324
(43)【公開日】2024-07-23
(54)【発明の名称】均平作業方法、均平作業システム及び情報処理装置
(51)【国際特許分類】
G06Q 50/02 20240101AFI20240716BHJP
A01B 63/114 20060101ALI20240716BHJP
【FI】
G06Q50/02
A01B63/114
【審査請求】未請求
【請求項の数】6
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023001760
(22)【出願日】2023-01-10
(71)【出願人】
【識別番号】504150461
【氏名又は名称】国立大学法人鳥取大学
(71)【出願人】
【識別番号】000220343
【氏名又は名称】株式会社トプコン
(74)【代理人】
【識別番号】100187322
【弁理士】
【氏名又は名称】前川 直輝
(74)【代理人】
【識別番号】100213702
【弁理士】
【氏名又は名称】渡邉 芳則
(72)【発明者】
【氏名】森本 英嗣
(72)【発明者】
【氏名】阿出川 俊和
(72)【発明者】
【氏名】秋山 秀吾
【テーマコード(参考)】
2B304
5L049
5L050
【Fターム(参考)】
2B304KA12
2B304KA13
2B304LA02
2B304LA03
2B304LC04
2B304MA04
2B304MB01
2B304MB04
2B304PB06
2B304QA22
2B304RB01
5L049CC01
5L050CC01
(57)【要約】
【課題】作物収量を向上させる均平作業方法、均平作業システム及び情報処理装置を提供すること。
【解決手段】均平作業方法は、情報処理装置が、農作業装置から、圃場における作土高又は作土深に関する第一作土情報、及び、第一作土情報に対して圃場における位置を対応させた農作結果情報を取得する工程と、情報処理装置が、農作結果情報のムラである生育ムラ又は収量ムラを抑制するように、農作結果情報と相関を有する第一作土情報のパラメータを用いて、過去の作物の農作結果が相対的に良好であった位置の農作結果を抑制する第一処理、及び、過去の作物の農作結果が相対的に良好でなかった位置の農作結果を促進する第二処理の一方又は両方を実行することにより、第一作土情報から次回の第二作土情報を求める工程と、を含む。
【選択図】
図7
【特許請求の範囲】
【請求項1】
情報処理装置を備えた均平作業システムにおける均平作業方法であって、
前記情報処理装置が、農作業装置から、圃場における作土高又は作土深に関する第一作土情報、及び、前記第一作土情報に対して圃場における位置を対応させた農作結果情報を取得する工程と、
前記情報処理装置が、前記農作結果情報のムラである生育ムラ又は収量ムラを抑制するように、前記農作結果情報と相関を有する前記第一作土情報のパラメータを用いて、過去の作物の農作結果が相対的に良好であった位置の農作結果を抑制する第一処理、及び、過去の作物の農作結果が相対的に良好でなかった位置の農作結果を促進する第二処理の一方又は両方を実行することにより、前記第一作土情報から次回の第二作土情報を求める工程と、
を含む均平作業方法。
【請求項2】
前記情報処理装置は、前記第一処理及び前記第二処理を、前記相関の高いパラメータが前記作土高である場合は前記作土高の調整により実行し、前記相関の高いパラメータが前記作土深である場合は前記作土深の調整により実行し、
前記情報処理装置が、前記第二作土情報の作土を得るために、農作業装置の代掻き条件を求める工程をさらに含む、
請求項1に記載の均平作業方法。
【請求項3】
前記均平作業システムは表示部を備え、
前記情報処理装置が、前記第一作土情報、前記農作結果情報、前記第二作土情報及び前記代掻き条件を、各々高低マップにより前記表示部に表示させる工程を含む、
請求項2に記載の均平作業方法。
【請求項4】
前記農作結果情報は、生育情報又は収量情報を含み、
前記作土高、前記作土深、前記生育情報及び前記収量情報は、それぞれ、田植え装置の田植え時、施肥装置の施肥時、及びコンバインが作物の収穫時に、各装置に搭載されたセンサを用いて取得した情報であり、
前記代掻き条件は、均平作業装置の設定条件として利用される、
請求項2又は請求項3に記載の均平作業方法。
【請求項5】
農作業装置から、圃場における作土高又は作土深に関する第一作土情報、及び、前記第一作土情報に対して圃場における位置を対応させた農作結果情報を取得し、
前記農作結果情報のムラである生育ムラ又は収量ムラを抑制するように、前記農作結果情報と相関を有する前記第一作土情報のパラメータを用いて、過去の作物の農作結果が相対的に良好であった位置の農作結果を抑制する第一処理、及び、過去の作物の農作結果が相対的に良好でなかった位置の農作結果を促進する第二処理の一方又は両方を実行することにより、前記第一作土情報から次回の第二作土情報を求める、
情報処理装置を備える均平作業システム。
【請求項6】
農作業装置から、圃場における作土高又は作土深に関する第一作土情報、及び、前記第一作土情報に対して圃場における位置を対応させた農作結果情報を取得し、
前記農作結果情報のムラである生育ムラ又は収量ムラを抑制するように、前記農作結果情報と相関を有する前記第一作土情報のパラメータを用いて、過去の作物の農作結果が相対的に良好であった位置の農作結果を抑制する第一処理、及び、過去の作物の農作結果が相対的に良好でなかった位置の農作結果を促進する第二処理の一方又は両方を実行することにより、前記第一作土情報から次回の第二作土情報を求める、
情報処理装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、均平作業方法、均平作業システム及び均平作業装置に関する。
【背景技術】
【0002】
従来から、圃場を耕起させるための装置が提案されている。例えば、特許文献1に、作業者が駆動装置を用いて作業機を上下動させることで土壌面の均平作業を行う均平作業装置が開示されている。この均平作業装置は、土壌基準面に対応する基準高さを予め設定する基準高さ設定手段と、位置検出装置で受信する高さ情報と前記基準高さとの差分を算出し、この差分に応じて作業機の上下移動量を決定する移動量決定手段と、移動量決定手段で決定した上下移動量に必要な駆動装置の目標動作量を決定する駆動装置動作量決定手段と、駆動装置動作量決定手段で決定した目標動作量だけ駆動装置を動作させる駆動装置動作指示手段とを有する。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
圃場の作物は、コンバイン等の収穫装置を用いて収穫される。特許文献1の技術のように、予め設定した土壌基準面に合わせた均平作業を行うことができたとしても、生育状態にムラが生じることがある。従って、圃場内における収量にもムラが生じ、圃場全体の作物収量を向上させることが難しい場合がある。
【0005】
本開示は、作物収量を向上させる均平作業方法、均平作業システム及び情報処理装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上記した目的を達成するために、本開示に係る均平作業方法は、情報処理装置を備えた均平作業システムにおける均平作業方法であって、前記情報処理装置が、農作業装置から、圃場における作土高又は作土深に関する第一作土情報、及び、前記第一作土情報に対して圃場における位置を対応させた農作結果情報を取得する工程と、前記情報処理装置が、前記農作結果情報のムラである生育ムラ又は収量ムラを抑制するように、前記農作結果情報と相関を有する前記第一作土情報のパラメータを用いて、過去の作物の農作結果が相対的に良好であった位置の農作結果を抑制する第一処理、及び、過去の作物の農作結果が相対的に良好でなかった位置の農作結果を促進する第二処理の一方又は両方を実行することにより、前記第一作土情報から次回の第二作土情報を求める工程と、を含む。
【0007】
上記した目的を達成するために、本開示に係る均平作業システムは、農作業装置から、圃場における作土高又は作土深に関する第一作土情報、及び、前記第一作土情報に対して圃場における位置を対応させた農作結果情報を取得し、前記農作結果情報のムラである生育ムラ又は収量ムラを抑制するように、前記農作結果情報と相関を有する前記第一作土情報のパラメータを用いて、過去の作物の農作結果が相対的に良好であった位置の農作結果を抑制する第一処理、及び、過去の作物の農作結果が相対的に良好でなかった位置の農作結果を促進する第二処理の一方又は両方を実行することにより、前記第一作土情報から次回の第二作土情報を求める、情報処理装置を備える。
【0008】
上記した目的を達成するために、本開示に係る情報処理装置は、農作業装置から、圃場における作土高又は作土深に関する第一作土情報、及び、前記第一作土情報に対して圃場における位置を対応させた農作結果情報を取得し、前記農作結果情報のムラである生育ムラ又は収量ムラを抑制するように、前記農作結果情報と相関を有する前記第一作土情報のパラメータを用いて、過去の作物の農作結果が相対的に良好であった位置の農作結果を抑制する第一処理、及び、過去の作物の農作結果が相対的に良好でなかった位置の農作結果を促進する第二処理の一方又は両方を実行することにより、前記第一作土情報から次回の第二作土情報を求める。
【発明の効果】
【0009】
上記手段を用いる本開示に係る均平作業方法、均平作業システム及び情報処理装置は、作物収量を向上させることができる。
【図面の簡単な説明】
【0010】
【
図1】本開示の実施形態に係る均平作業システムの構成図である。
【
図7】均平作業システムの動作のフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0011】
以下、本開示の実施形態を図面に基づき説明する。
図1は、均平作業システム1の構成図である。均平作業システム1は、農作業装置として、均平作業装置2、田植え装置3、施肥装置4及び収穫装置5を備える。また、均平作業システム1は、情報処理装置6を備える。
【0012】
本実施形態の均平作業装置2は、例えばトラクタが用いられる。均平作業装置2は、制御部21、通信部22、操作部23、表示部24、位置取得部25、代掻き駆動部26及び記憶部27を備える。
【0013】
通信部22は、均平作業装置2が、無線により外部装置と情報の送受信を行う機能を有する。本実施形態の通信部22は、主に、通信部62を介して情報処理装置6と通信を行う。操作部23は、均平作業装置2の代掻き駆動部26への動作指示や、均平作業装置2への情報入力を受け付ける機能を有する。
【0014】
表示部24は、情報処理装置6から取得した後述する第一作土情報651(作土情報)、農作結果情報(生育情報653、収量情報654)、第二作土情報652(作土情報)及び代掻き条件655を、それぞれ圃場100の平面地図上に高低マップ(又は、ヒートマップ)により表した第一作土情報マップ81、生育情報マップ82(農作結果情報マップ)、第二作土情報マップ83及び代掻き条件マップ84を表示する機能を有する。また表示部24は、施肥マップ又は単に圃場100の地形を表すマップを表示してもよい。なお、均平作業装置2は、第一作土情報651、農作結果情報(653,654)、第二作土情報652及び代掻き条件655の一部又は全部を表示部24に表示させる構成としてもよい。
【0015】
位置取得部25は、例えば、GPS(Global Positioning System)受信機又はGNSS(global navigation satellite system)受信機が用いられる。なお、位置取得部25は、プリズム等の再帰反射部材を備えてもよい。この場合、位置取得部25は、外部の測量装置により再帰反射部材の位置を測量し、通信部22を介して測量装置から再帰反射部材の位置を取得して、均平作業装置2の位置を求めてもよい。位置取得部25は、均平作業装置2の水平位置及び鉛直位置を、例えば座標値によって取得する。
【0016】
代掻き駆動部26は、代掻きを行うためのドライブハロー等の作業機を駆動させる機能を有する。記憶部27は、代掻き条件271、並びにその他の図示しない情報及びプログラム等を記憶する。
【0017】
田植え装置3は、制御部31、通信部32、操作部33、表示部34、位置取得部35、作土センサ36、駆動部37及び記憶部38を備える。通信部32は、田植え装置3が、無線により外部装置と情報の送受信を行う機能を有する。本実施形態の通信部32は、主に、通信部62を介して情報処理装置6と通信を行う。操作部33は、田植え装置3の駆動部37への動作指示や、田植え装置3への情報入力を受け付ける機能を有する。
【0018】
表示部34は、前述した均平作業装置2の表示部24と同様に、情報処理装置6から取得した後述する第一作土情報651(作土情報)、農作結果情報(生育情報653、収量情報654)、第二作土情報652(作土情報)及び代掻き条件655を、それぞれ圃場100の平面地図上に高低マップ(又は、ヒートマップ)により表した第一作土情報マップ81、生育情報マップ82(農作結果情報マップ)、第二作土情報マップ83及び代掻き条件マップ84を表示する機能を有する。また表示部24は、施肥マップ又は単に圃場100の地形を表すマップを表示してもよい。なお、田植え装置3は、第一作土情報651、農作結果情報(653,654)、第二作土情報652及び代掻き条件655の一部又は全部を表示部34に表示させる構成としてもよい。
【0019】
また、位置取得部35も、前述した均平作業装置2の位置取得部25と同様に、GPS受信機又はGNSS受信機が用いられる。なお、位置取得部35は、プリズム等の再帰反射部材を備えてもよい。この場合、位置取得部35は、外部の測量装置により再帰反射部材の位置を測量し、通信部32を介して測量装置から再帰反射部材の位置を取得して、田植え装置3の位置を求めてもよい。位置取得部35は、田植え装置3の水平位置及び鉛直位置を、例えば座標値によって取得する。
【0020】
作土センサ36は、圃場100における作土に関する情報を取得するためのセンサである。作土センサ36は、例えば、超音波センサが用いられる。ここで、圃場100における土壌7について説明する。
図2は、圃場100における土壌7の層構造を示す断面模式図である。土壌7は、地表側から、作土7A及び心土7Bを有する。また、水田においては、作土7Aの上層に、湛水71の層が設けられる。作土7Aは、主に、耕起されて作物Cの根が貫入しやすく調整された土層である。心土7Bは、作土7Aより下層に位置し、作土7Aよりもち密な土層である。本実施形態では、作土7Aの表面7A1の鉛直方向における位置(例えば、鉛直方向の座標値)を作土高とする。また、作土7Aの深さを作土深とする。作土センサ36は、例えば、土壌7に対し超音波361を送信して反射波を受信する迄の時間から作土センサ36から表面7A1(田面)までの距離d1を計測する。田植え装置3の車輪301の下端と作土センサ36までの高さ方向の距離d2は田植え装置3の設計情報により既知であるから、田植え装置3の現在位置の心土7Bの上端(作土7Aの下端)と作土センサ36までの距離d2は既知である。従って、制御部31は、作土センサ36が検出した距離d1を用いて、d2-d1により作土深を求めることができる。
【0021】
なお、田植え装置3の位置取得部35は、田植え装置3の現在位置と共に、田植え装置3の設計情報により作土センサ36の現在の高さ方向の位置(座標値)を計測し、計測した作土センサ36の高さ方向の位置から距離d1を減ずることにより、作土高を求めることもできる。
【0022】
記憶部38は、第一作土情報381、並びにその他の図示しない情報及びプログラム等を記憶する。第一作土情報381は、圃場100における作土高若しくは作土深又はその他の作土に関する情報であり、圃場100の各位置と作土高又は作土深とを対応させた情報を含む。第一作土情報381は、圃場100の各位置(座標)に対する作土高及び作土深の一方又は両方を、対応させた情報である。
【0023】
施肥装置4は、制御部41、通信部42、操作部43、表示部44、位置取得部45、生育センサ46、駆動部47及び記憶部48を備える。施肥装置4は、圃場100に対して元肥又は追肥の散布作業に利用される、トラクタ又はドローンなどの装置である。通信部42は、施肥装置4が、無線により外部装置と情報の送受信を行う機能を有する。本実施形態の通信部42は、主に、通信部62を介して情報処理装置6と通信を行う。操作部43は、施肥装置4の駆動部37への動作指示や、施肥装置4への情報入力を受け付ける機能を有する。
【0024】
表示部44は、前述した均平作業装置2の表示部24と同様に、情報処理装置6から取得した後述する第一作土情報651(作土情報)、農作結果情報(生育情報653、収量情報654)、第二作土情報652(作土情報)及び代掻き条件655を、それぞれ圃場100の平面地図上に高低マップ(又は、ヒートマップ)により表した第一作土情報マップ81、生育情報マップ82(農作結果情報マップ)、第二作土情報マップ83及び代掻き条件マップ84を表示する機能を有する。また表示部44は、施肥マップ又は単に圃場100の地形を表すマップを表示してもよい。なお、施肥装置4は、第一作土情報651、農作結果情報(653,654)、第二作土情報652及び代掻き条件655の一部又は全部を表示部44に表示させる構成としてもよい。
【0025】
また、位置取得部45も、前述した均平作業装置2の位置取得部25と同様に、GPS受信機又はGNSS受信機が用いられる。なお、位置取得部45は、プリズム等の再帰反射部材を備えてもよい。この場合、位置取得部45は、外部の測量装置により再帰反射部材の位置を測量し、通信部32を介して測量装置から再帰反射部材の位置を取得して、施肥装置4の位置を求めてもよい。位置取得部45は、施肥装置4の水平位置及び鉛直位置を、例えば座標値によって取得する。
【0026】
生育センサ46は、圃場100における作物C(
図2参照)の生育の状態を検出するセンサである。生育センサ46は、例えば、レーザ光を出射した反射された光の吸収スペクトルを検出するレーザ吸収分光法により、作物C(主に葉)に含まれる窒素含有量を測定する。生育センサ46は、マルチスペクトルカメラを備えてもよい。
【0027】
記憶部48は、生育情報481、並びにその他の図示しない情報及びプログラム等を記憶する。生育情報481は、生育センサ46が検出した窒素含有量を圃場100の位置毎に数値化して対応させた作物Cの生育状態を表す農作結果情報である。
【0028】
収穫装置5は、例えばコンバイン又はハーベスタ等が用いられる。収穫装置5は、制御部51、通信部52、操作部53、表示部54、位置取得部55、収量センサ56、駆動部57及び記憶部58を備える。
【0029】
通信部52は、収穫装置5が、無線により外部装置と情報の送受信を行う機能を有する。本実施形態の通信部52は、主に、通信部62を介して情報処理装置6と通信を行う。
【0030】
操作部53は、収穫装置5への動作指示や、情報入力を受け付ける機能を有する。
【0031】
表示部54は、第一作土情報マップ81、生育情報マップ82、第二作土情報マップ83及び代掻き条件マップ84を表示する機能を有する。また表示部54は、施肥マップ又は単に圃場100のマップを表示してもよい。なお、収穫装置5は、第一作土情報381,651、農作結果情報(481,581,651,652)、第二作土情報652及び代掻き条件655の一部又は全部を表示部54に表示させる構成としてもよい。
【0032】
位置取得部55は、例えば、GPS受信機又はGNSS受信機が用いられる。なお、位置取得部55は、位置取得部25と同様に、プリズム等の再帰反射部材を備えて均平作業装置2の位置を外部の測量装置により求めてもよい。位置取得部55は、収穫装置5の水平位置及び鉛直位置を取得する。
【0033】
収量センサ56は、収穫装置5が収穫した作物Cの収量を検出するセンサである。収量センサ56は、圃場100における各位置の作物収量を収量情報581として取得するセンサである。作物収量は、単位面積当たりに収穫した作物Cの分量(例えば、体積又は重量)である。収穫装置5が脱穀装置を有している場合、収量センサ56は、収穫した作物Cを脱穀して作物Cの収穫対象器官の分量を測定することにより、収量を求めることができる。収穫対象器官は、例えば、牧草類では地上部全体(葉、茎、子実等)、穀物類では子実、いも類では地下部(茎、根等)である。また、飼育作物等のように収穫対象器官が作物C(植物体)の大部分を占める場合は、収穫した作物C全体の分量を、収量とすることができる。
【0034】
記憶部58は、収量情報581及びその他の図示しない情報並びにプログラム等を記憶する。収量情報581は、収穫した作物Cの分量を収量情報として、圃場100の各位置(座標)に対応させた農作結果情報である。
【0035】
情報処理装置6は、例えば、パーソナルコンピュータ、スマートフォン、タブレット端末、PDA(Personal Digital Assistant)、等の可搬性又は非可搬性の装置又は端末を用いることができる。情報処理装置6は、制御部61、通信部62、操作部63、表示部64及び記憶部65を有する。通信部62は、情報処理装置6が、無線により外部装置と情報の送受信を行う機能を有する。本実施形態の通信部62は、主に、通信部22、通信部32、通信部42又は通信部52を介してそれぞれ均平作業装置2、田植え装置3、施肥装置4又は収穫装置5と通信を行う。
【0036】
操作部63は、情報処理装置6への動作指示や、情報入力を受け付ける機能を有する。
【0037】
表示部64は、第一作土情報マップ81、生育情報マップ82、第二作土情報マップ83及び代掻き条件マップ84を表示する機能を有する。また表示部64は、施肥マップ又は単に圃場100のマップを表示してもよい。なお、情報処理装置6は、第一作土情報381,651、農作結果情報(481,581,653,654)、第二作土情報652及び代掻き条件655の一部又は全部を表示部64に表示させる構成としてもよい。
【0038】
記憶部65は、第一作土情報651、第二作土情報652、生育情報653(農作結果情報)、収量情報654(農作結果情報)、代掻き条件655及びその他の図示しない情報並びにプログラム等を記憶する。情報処理装置6は、田植え装置3から第一作土情報381を受信して記憶部65に第一作土情報651として記憶する。情報処理装置6は、施肥装置4から生育情報481を受信して記憶部65に生育情報653として記憶する。また、情報処理装置6は、収穫装置5から収量情報581を受信して、記憶部65に収量情報654として記憶する。
【0039】
なお、制御部21,31,41,51,51、図示しないが各記憶部27,38,48,58,65に記憶されるプログラムに含まれるコード又は命令によって実現する機能、及び/又は方法を実行する。制御部21,31,41,51,51は、例として、中央処理装置(CPU)、MPU、GPU、マイクロプロセッサ、プロセッサコア、マルチプロセッサ、ASIC、FPGA等を含み、集積回路等に形成された論理回路や専用回路によって各実施形態に開示される各処理を実現してもよい。また、これらの回路は、1又は複数の集積回路により実現されてよく、各実施形態に示す複数の処理を1つの集積回路により実現されることとしてもよい。また、図示しないが、記憶部27,38,48,58,65から読み出したプログラムを一時的に記憶し、制御部21,31,41,51,51に対して作業領域を提供する主記憶部を備えてもよい。
【0040】
また、記憶部27,38,48,58,65は、必要とする各種プログラムや各種データを記憶する機能を有する。記憶部27,38,48,58,65は、HDD、SSD、フラッシュメモリなど各種の記憶媒体により構成することができる。
【0041】
また、操作部23,33,43,53,63は、例えば、ハンドル、レバー、スイッチ、又はタッチパネル等により構成される。タッチパネルを操作部23,33,43,53,63として利用する場合、タッチパネルは表示部24,34,44,54,64の機能を備えることもできる。
【0042】
図3に示す第一作土情報マップ81は、圃場100内の各位置における作土深を、色彩により表した高低マップである。第一作土情報マップ81は、第一作土情報651を単位位置810毎に地図データ(例えば、平面図又は鳥観図)に重ねて表される。本実施形態の単位位置810は、所定の面積の領域により表される。単位位置810を示す領域の大きさは、各種センサ(作土センサ36、生育センサ46、収量センサ56、位置取得部25,35,45,55)の分解能や、表示部24,34,44,54に表示する際の縮尺等に応じて、任意に設定することができる。
【0043】
第一作土情報マップ81において、単位位置810毎の作土深は、大きさ(深さ)の程度に対応する色で表現されるが、
図3ではハッチング又は濃淡により示している。また
図3では、ハッチングのパターン8a~8jに対応する色を凡例に示している。作土深の大きさ(深さ)は、パターン8a,8b,8c,8d,8e,8f,8g,8h,8i,8jの順に深くなる。各パターン8a~8jは、例えば、数cmの幅(間隔)毎に割り当てられる。
【0044】
図4に示す生育情報マップ82は、圃場100内の各位置における生育情報481,653を、色彩により表した高低マップである。第一作土情報マップ81と同様、生育情報マップ82は、生育情報481,653を単位位置810毎に地図データ(例えば、平面図又は鳥観図)に重ねて表される。単位位置810における作物Cの生育の程度(例えば、丈H2の大きさ)に対応する色は、
図4ではハッチングにより示している。また
図4では、ハッチングのパターン8a~8jに対応する色を凡例に示している。生育の程度は、パターン8a,8b,8c,8d,8e,8f,8g,8h,8i,8jの順に相対的に良好ではない状態から良好であることを示している。
【0045】
図5に示す第二作土情報マップ83は、第一作土情報381,651を基に調整した第二作土情報652を表示したマップである。第二作土情報652は、圃場100で生産した作物Cの農作結果に応じて、次回の作物Cの農作結果(例えば、生育又は作物収量)のムラが抑制されるように調整される。
【0046】
第二作土情報マップ83は、圃場100内の各位置における作土深を、色彩により表した高低マップである。第一作土情報マップ81と同様、第二作土情報マップ83は、第二作土情報652を単位位置810毎に地図データ(例えば、平面図又は鳥観図)に重ねて表される。第二作土情報マップ83においても、作土深の大きさ(深さ)は、パターン8a,8b,8c,8d,8e,8f,8g,8h,8i,8jの順に深くなる。各パターン8a~8jは、例えば、数cmの幅(間隔)毎に割り当てられる。
【0047】
本実施形態では、第一作土情報マップ81、生育情報マップ82、第二作土情報マップ83及び代掻き条件マップ84における各単位位置810は、それぞれ1対1で対応している。なお、第一作土情報マップ81、生育情報マップ82、第二作土情報マップ83及び代掻き条件マップ84における各単位位置810は、異なる大きさにより形成してもよい。
【0048】
代掻き条件マップ84は、圃場100内の各位置における代掻き条件655を、色彩により表した高低マップである。代掻き条件マップ84は、代掻き条件655を、単位位置810毎に地図データ(例えば、平面図又は鳥観図)に重ねて表される。代掻き条件マップ84において、代掻きの深さは、パターン8a,8b,8c,8d,8e,8f,8g,8h,8i,8jの順に深くなる。各パターン8a~8jは、例えば、数cmの幅(間隔)毎に割り当てられる。代掻き条件655は、第二作土情報652を基に作成されるため、
図6では同一のパターンのハッチングにより示される。
【0049】
次に、均平作業方法について説明する。
図7は、均平作業システム1の動作のフローチャートである。なお、
図7のフローチャートの各工程における動作は、均平作業装置2、田植え装置3、施肥装置4、収穫装置5及び情報処理装置6の各制御部21,31,41,51,61により実行される。
【0050】
ステップS21で、均平作業装置2は、ユーザ又はプログラムにより設定した圃場100の代掻き条件271に従って、代掻き作業(均平作業)を行う。
【0051】
ステップS31で、田植え装置3は、代掻きが行われた圃場100において、田植え作業を行う。田植え装置3は、ステップS31で田植え作業を行いながら、各単位位置810の第一作土情報381を取得し(ステップS32)、第一作土情報381を情報処理装置6に送信する(ステップS33)。なお、田植え装置3が第一作土情報381を送信するタイミングは、単位位置810毎又は複数の単位位置810毎としてもよいし、予め設定した周期毎としてもよい。
【0052】
ステップS41で、施肥装置4は、田植えが行われた圃場100において、追肥作業(追肥の散布作業)を行う、なお、
図7には示していないが、施肥装置4は、田植え作業の前に、任意に元肥の散布作業を行ってもよい。施肥装置4は、ステップS41で追肥作業を行いながら、各単位位置810の生育情報481を取得し(ステップS42)、生育情報481を情報処理装置6に送信する(ステップS43)。施肥装置4が生育情報481を送信するタイミングは、単位位置810毎又は複数の単位位置810毎としてもよいし、予め設定した周期毎としてもよい。
【0053】
圃場100の作物Cが収穫に適すると、ステップS51で、収穫装置5は、収穫作業を行う。収穫装置5は、ステップS51で収穫作業を行いながら、各単位位置810の収量情報581を取得し(ステップS52)、収量情報581を情報処理装置6に送信する(ステップS53)。なお、収穫装置5が収量情報581を送信するタイミングは、単位位置810毎又は複数の単位位置810毎としてもよいし、予め設定した周期毎としてもよい。
【0054】
ステップS33、ステップS43及びステップS53までの処理により、情報処理装置6は、田植え装置3、施肥装置4及び収穫装置5(農作業装置)から、それぞれ第一作土情報381、及び、第一作土情報381に対して圃場100における位置を対応させた生育情報481(農作結果情報)及び収量情報581を取得する。情報処理装置6は、田植え装置3及び施肥装置4から取得した第一作土情報381及び生育情報481を、第一作土情報651及び生育情報653として記憶部65に記憶する。また、情報処理装置6は、第二作土情報652を作物収量を用いて求める場合は、収穫装置5から収量情報581を取得して、収量情報654として記憶部65に記憶する。
【0055】
第一作土情報651(作土高、作土深)、生育情報653及び収量情報654は、それぞれ、田植え装置3の田植え時、施肥装置4の施肥時(追肥のとき)、及び収穫装置5が作物Cの収穫時に、各装置(田植え装置3、施肥装置4及び収穫装置5)に搭載されたセンサ(作土センサ36、生育センサ46、収量センサ56及び位置取得部35,45,55)を用いて取得した情報である。
【0056】
ステップS61で、情報処理装置6は、農作結果情報のムラを抑制するように、第一作土情報651から次回の作土情報である第二作土情報652を求める。本実施形態の農作結果情報のムラは、圃場100内の生育ムラ又は収量ムラである。第二作土情報652は、農作結果情報と相関を有する第一作土情報651のパラメータを用いて、過去の作物の農作結果が相対的に良好であった位置の農作結果を抑制する第一処理、及び、過去の作物の農作結果が相対的に良好でなかった位置の農作結果を促進する第二処理の一方又は両方を実行することにより、求められる。
【0057】
具体的に、
図4の生育情報マップ82の単位位置811は、パターン8jで表示されており、生育結果は圃場100全体の作物Cに対して相対的に良好であることを示している。一方、生育情報マップ82の単位位置812は、パターン8bで示されており、生育結果は圃場100全体の作物Cに対して相対的に良好でないことを示している。また、生育情報マップ82の単位位置813は、パターン8hで示されており、生育結果は圃場100全体の作物Cに対して相対的に良好であり、且つ、単位位置811よりは生育結果が良好ではないことを示している。さらに、生育情報マップ82の単位位置814は、パターン8dで示されており、生育結果は圃場100全体の作物Cに対して相対的に平均程度に良好であり、且つ、単位位置812よりは生育結果が良好であることを示している。このように、生育情報マップ82によると、作物Cの農作結果(生育結果)は、圃場100全体においてムラが生じることがある。
【0058】
情報処理装置6は、農作結果情報と相関を有する第一作土情報651のパラメータを用いて、次回(又は将来)の農作結果のムラを抑制するため第二作土情報652を求める。本実施形態において、第一作土情報651と生育情報653とは比較的高い相関を有する。
図3の第一作土情報マップ81と
図4の生育情報マップ82に示されるように、作土深は、生育情報653と相関の高いパラメータである。すなわち、作物Cの生育は、概ね作土深が深いほど良好となる。相関の程度は、例えば、情報処理装置6により第一作土情報651と生育情報653との相関係数を算出し、相関係数の高低により評価することができる。
【0059】
情報処理装置6は、相関の高いパラメータが作土深である場合、上記した第一処理及び第二処理を作土深の調整により実行する。例えば、単位位置811の作物Cの生育結果は、圃場100全体の作物Cに対して相対的に良好であるため、農作結果を抑制する第一処理として、次回の均平作業において前回の第一作土情報651よりも作土深が浅くなるように第二作土情報652を設定する。従って、
図3の第一作土情報651の単位位置811よりも、
図5の第二作土情報マップ83の単位位置811の方が、作土深が浅く設定されている。
【0060】
また、例えば、単位位置812の作物Cの生育結果(農作結果)は、圃場100全体の作物Cに対して相対的に良好ではないため、農作結果を促進する第二処理として、次回の均平作業において前回の第一作土情報651よりも作土深が深くなるように第二作土情報652を設定する。従って、
図3の第一作土情報651の単位位置811よりも、
図5の第二作土情報マップ83の単位位置811の方が、作土深が深く設定されている。
【0061】
また、単位位置813は第一作土情報651において単位位置811と同じ作土深であるが(
図3参照)、単位位置813における作物Cの生育結果(農作結果)は単位位置811における作物Cよりも良好ではない。そのため、第二作土情報マップ83に示されるように、単位位置811及び単位位置813の作土深は、第一作土情報651が同じであっても生育情報653の差分(例えば、丈H2の大きさの差分)を反映して、異なる情報で設定される。
図5の例では、単位位置811の第二作土情報652(作土深)は、単位位置813と比較すると作物Cの生育を抑制するように設定される。換言すると、単位位置813の第二作土情報652(作土深)は、単位位置811と比較すると作物Cの生育を促進するように設定される。
【0062】
また、単位位置814は第一作土情報651において単位位置812と同じ作土深であるが(
図3参照)、単位位置814における作物Cの生育結果(農作結果)は単位位置812における作物Cよりも良好である。そのため、第二作土情報マップ83に示されるように、単位位置812及び単位位置814の作土深も、第一作土情報651が同じであっても生育情報653の差分(例えば、丈H2の大きさの差分)を反映して、異なる情報で設定される。
図5の例では、単位位置812の第二作土情報652(作土深)は、単位位置814と比較すると作物Cの生育を促進するように設定される。換言すると、単位位置814の第二作土情報652(作土深)は、単位位置812と比較すると作物Cの生育を抑制するように設定される。
【0063】
従って、第一作土情報651が同じ単位位置810において作物Cの農作結果が異なる場合であっても、単位位置810毎の農作結果のムラ(生育ムラ)を抑制した第二作土情報652を求めることができる。なお、第一処理及び第二処理は、いずれか一方を実施してもよいし、両方を実施してもよい。
【0064】
また、情報処理装置6は、相関の高いパラメータが作土高である場合、第一処理及び第二処理を作土高の調整により実行することができる。この場合、第一作土情報651、第二作土情報652、第一作土情報マップ81及び第二作土情報マップ83は、圃場100の各位置における作土高を表す情報である。さらに、第一処理及び第二処理は、第一作土情報651の複数のパラメータ(例えば、作土深及び作土高)を用いて第二作土情報652を求めるように実行してもよい。
【0065】
さらに、情報処理装置6は、生育情報653の代わりに収量情報654を用いて、収量情報654の収量ムラが低減されるように、第二作土情報652を求めてもよい。また、情報処理装置6は、第一処理及び第二処理のいずれを実施するか否かを、生育情報653若しくは収量情報654又はこれらの組み合わせにより決定することができる。
【0066】
ステップS62で、情報処理装置6は、第二作土情報の作土7Aを得るために、均平作業装置2の代掻き条件655を求める。代掻き条件655は、トラクタ等の均平作業装置2の設定条件として利用される設定情報である。従って、代掻き条件655は、均平作業装置2が代掻きを実施することにより、ステップS61で求めた第二作土情報652の作土7Aで分布する圃場100が得られるように設定される。例えば、均平作業装置2がドライブハローを有するトラクタである場合、代掻き条件655は作土深を調整するドライブハロー角度を単位位置810毎に設定した情報とすることができる。
【0067】
なお、代掻き条件655は、生育情報653と相関の高いパラメータが作土高である場合、農作結果情報のムラを抑制した作土高で分布する圃場100が得られるように設定されるドライブハロー角度である。
【0068】
ステップS63で、情報処理装置6は、求めた代掻き条件655を、均平作業装置2に送信する。
【0069】
ステップS22で、均平作業装置2は、情報処理装置6から取得した代掻き条件655を取得して、代掻き条件271として記憶部27に記憶する。
【0070】
ステップS23で、均平作業装置2は、代掻き条件271を参照して、圃場100における代掻き作業を実施する。
【0071】
なお、
図7のフローチャートにおいて、均平作業装置2、田植え装置3、施肥装置4、収穫装置5及び情報処理装置6は、農作結果情報(生育情報653又は収量情報654)、第一作土情報651、代掻き条件655及び第二作土情報652を、各々高低マップ(第一作土情報651、代掻き条件655及び第二作土情報652)によりいずれかの表示部24,34,44,54,64に表示させる工程を含んでもよい。表示部24,34,44,54,64への表示は、いずれかの装置(2~6)が作業者の表示指示を受け付けたことにより任意のタイミングで行うことができる。
【0072】
以上のように、本実施形態では、情報処理装置6を備えた均平作業システム1における均平作業方法であって、情報処理装置6が、農作業装置(3~5)から、圃場100における作土高又は作土深に関する第一作土情報381,651、及び、第一作土情報381,651に対して圃場100における位置を対応させた農作結果情報(481,581)を取得する工程と、情報処理装置6が、農作結果情報(481,581)のムラである生育ムラ又は収量ムラを抑制するように、農作結果情報(481,581)と相関を有する第一作土情報381,651のパラメータを用いて、過去の作物Cの農作結果が相対的に良好であった位置の農作結果を抑制する第一処理、及び、過去の作物の農作結果が相対的に良好でなかった位置の農作結果を促進する第二処理の一方又は両方を実行することにより、第一作土情報381,651から次回の第二作土情報652を求める工程と、を含む均平作業方法並びに当該均平作業方法を実行する均平作業システム1及び情報処理装置6について説明した。
【0073】
このような構成を有することにより、圃場100における作物Cの生育の状態が良好なタイミングで作物Cを一斉に収穫すると、作物Cの生育ムラ又は収量ムラ等の農作結果情報のムラが抑制されているため、作物収量を向上させることができる。
【0074】
また、基準の高さに合うように均平作業を行なう場合、その作業に過去(例えば、前作)の生育情報を加味した作土マップ(作土深マップ又は作土高マップ)を作成して、均平作業時に読み込ませて自動的に均平作業を行わせることができる。従って、目視で代掻きの条件を判断又は調整する等の作業者の負担の軽減することができる。
【0075】
以上で本開示の実施形態の説明を終えるが、本開示の態様はこの実施形態に限定されるものではない。
【0076】
なお、本実施形態では、収量センサ56により取得された収量情報581を収穫装置5から受信することにより、情報処理装置6が収量情報654を取得する構成について説明した。しかし、作物Cの収量情報を収穫装置5とは異なる装置により求めて、情報処理装置6が取得する構成としてもよい。例えば、収穫した作物Cを収穫装置5から異なる装置であるトラック(運搬装置)に移載した後、作物Cを積んだトラックの重量を計量計で測定する。また、トラック単体の重量も計量計で測定する。収量は、作物Cを積んだトラックの重量から、トラック単体の重量を減ずることにより、求められる。
【0077】
本実施形態では、第一作土情報381が圃場100の各位置における作土深を示す情報であるとして第一作土情報マップ81を描画した例について説明したが、第一作土情報381が圃場100の各位置における作土高であった場合は第一作土情報マップ81を作土高に基づいて描画してもよい。
【0078】
また操作部23,33,43,53,63は、スイッチ、ボタン又はダイアルなど、任意の操作デバイスや入力デバイスを含んでもよい。
【0079】
なお、ステップS41~ステップS43の処理は複数回行われてもよい。この場合、情報処理装置6は、施肥装置4から取得した複数の生育情報481に基づいて第二作土情報652を算出してもよいし、最新の生育情報481に基づいて第二作土情報652を算出してもよい。
【0080】
以上説明した本開示の構成を例示すると、以下のとおりである。
[1]
情報処理装置を備えた均平作業システムにおける均平作業方法であって、
前記情報処理装置が、農作業装置から、圃場における作土高又は作土深に関する第一作土情報、及び、前記第一作土情報に対して圃場における位置を対応させた農作結果情報を取得する工程と、
前記情報処理装置が、前記農作結果情報のムラである生育ムラ又は収量ムラを抑制するように、前記農作結果情報と相関を有する前記第一作土情報のパラメータを用いて、過去の作物の農作結果が相対的に良好であった位置の農作結果を抑制する第一処理、及び、過去の作物の農作結果が相対的に良好でなかった位置の農作結果を促進する第二処理の一方又は両方を実行することにより、前記第一作土情報から次回の第二作土情報を求める工程と、
を含む均平作業方法。
[2]
前記情報処理装置は、前記第一処理及び前記第二処理を、前記相関の高いパラメータが前記作土高である場合は前記作土高の調整により実行し、前記相関の高いパラメータが前記作土深である場合は前記作土深の調整により実行し、
前記情報処理装置が、前記第二作土情報の作土を得るために、農作業装置の代掻き条件を求める工程をさらに含む、
[1]に記載の均平作業方法。
[3]
前記均平作業システムは表示部を備え、
前記情報処理装置が、前記第一作土情報、前記農作結果情報、前記第二作土情報及び前記代掻き条件を、各々高低マップにより前記表示部に表示させる工程を含む、
[2]に記載の均平作業方法。
[4]
前記農作結果情報は、生育情報又は収量情報を含み、
前記作土高、前記作土深、前記生育情報及び前記収量情報は、それぞれ、田植え装置の田植え時、施肥装置の施肥時、及びコンバインが作物の収穫時に、各装置に搭載されたセンサを用いて取得した情報であり、
前記代掻き条件は、均平作業装置の設定条件として利用される、
[2]又は[3]に記載の均平作業方法。
[5]
農作業装置から、圃場における作土高又は作土深に関する第一作土情報、及び、前記第一作土情報に対して圃場における位置を対応させた農作結果情報を取得し、
前記農作結果情報のムラである生育ムラ又は収量ムラを抑制するように、前記農作結果情報と相関を有する前記第一作土情報のパラメータを用いて、過去の作物の農作結果が相対的に良好であった位置の農作結果を抑制する第一処理、及び、過去の作物の農作結果が相対的に良好でなかった位置の農作結果を促進する第二処理の一方又は両方を実行することにより、前記第一作土情報から次回の第二作土情報を求める、
情報処理装置を備える均平作業システム。
[6]
農作業装置から、圃場における作土高又は作土深に関する第一作土情報、及び、前記第一作土情報に対して圃場における位置を対応させた農作結果情報を取得し、
前記農作結果情報のムラである生育ムラ又は収量ムラを抑制するように、前記農作結果情報と相関を有する前記第一作土情報のパラメータを用いて、過去の作物の農作結果が相対的に良好であった位置の農作結果を抑制する第一処理、及び、過去の作物の農作結果が相対的に良好でなかった位置の農作結果を促進する第二処理の一方又は両方を実行することにより、前記第一作土情報から次回の第二作土情報を求める、
情報処理装置。
【符号の説明】
【0081】
1 均平作業システム
2 均平作業装置
3 田植え装置
4 施肥装置
5 収穫装置
6 情報処理装置
7 土壌
7A 作土
7A1 表面
7B 心土
71 湛水
8a~8j パターン
21 制御部
22 通信部
23 操作部
24 表示部
25 位置取得部
26 代掻き駆動部
27 記憶部
31 制御部
32 通信部
33 操作部
34 表示部
35 位置取得部
36 作土センサ
37 駆動部
38 記憶部
41 制御部
42 通信部
43 操作部
44 表示部
45 位置取得部
46 生育センサ
47 駆動部
48 記憶部
51 制御部
52 通信部
53 操作部
54 表示部
55 位置取得部
56 収量センサ
57 駆動部
58 記憶部
61 制御部
62 通信部
63 操作部
64 表示部
65 記憶部
81 第一作土情報マップ
82 生育情報マップ
83 第二作土情報マップ
84 代掻き条件マップ
100 圃場
271 代掻き条件
301 車輪
361 超音波
381 第一作土情報
481 生育情報
581 収量情報
651 第一作土情報
652 第二作土情報
653 生育情報
654 収量情報
655 代掻き条件
810~814 単位位置
C 作物