(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024098329
(43)【公開日】2024-07-23
(54)【発明の名称】X線撮影装置および被写体保持機構
(51)【国際特許分類】
G01N 23/046 20180101AFI20240716BHJP
【FI】
G01N23/046
【審査請求】未請求
【請求項の数】15
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023001773
(22)【出願日】2023-01-10
(71)【出願人】
【識別番号】000001993
【氏名又は名称】株式会社島津製作所
(74)【代理人】
【識別番号】100104433
【弁理士】
【氏名又は名称】宮園 博一
(72)【発明者】
【氏名】早川 昌志
【テーマコード(参考)】
2G001
【Fターム(参考)】
2G001AA01
2G001BA11
2G001CA01
2G001DA09
2G001JA08
2G001LA11
2G001PA12
2G001QA02
(57)【要約】
【課題】被写体を回転させながら撮影する際に、重量が大きい被写体を安定して保持することが可能な被写体保持機構を備えたX線撮影装置を提供する。
【解決手段】このX線撮影装置100は、X線照射部1と、X線検出器2と、被写体保持機構3とを備え、被写体保持機構3は、一対の把持部材13と、一対の第1締結部材14と、保持部材15と、を含む被写体把持機構10と、被写体把持機構10を回転軸線81周りに回転させる回転機構11と、を含み、保持部材15は、一対の把持部材13のうちの一方の固定位置を調整する第1固定位置調整部15aと、他方の固定位置を調整する第2固定位置調整部15bとを含み、一対の把持部材13のうちの一方は、第1固定位置調整部15aによって調整された位置において保持部材15に固定され、一対の把持部材13のうちの他方は、第2固定位置調整部15bによって調整された位置において保持部材に固定される。
【選択図】
図5
【特許請求の範囲】
【請求項1】
X線を照射して被写体を撮影するX線撮影装置であって、
X線を照射するX線照射部と、
上下方向において前記X線照射部と対向するように配置され、前記X線照射部から照射されたX線を検出するX線検出器と、
前記X線照射部と前記X線検出器との間に配置され、被写体を回転可能に保持する被写体保持機構と、を備え、
前記被写体保持機構は、
被写体を把持する一対の把持部材と、前記一対の把持部材を締結する一対の第1締結部材と、前記一対の把持部材を保持する保持部材と、を含む被写体把持機構と、
前記一対の把持部材および前記保持部材を含む前記被写体把持機構をX線の照射軸線と交差する方向の回転軸線周りに回転させる回転機構と、を含み、
前記保持部材は、前記回転軸線に対する半径方向において、前記一対の把持部材のうちの一方の固定位置を調整する第1固定位置調整部と、前記一対の把持部材のうちの他方の固定位置を調整する第2固定位置調整部とを含み、
前記一対の把持部材のうちの一方は、前記保持部材のうちの、前記第1固定位置調整部によって調整された位置において前記保持部材に固定され、前記一対の把持部材のうちの他方は、前記保持部材のうちの、前記第2固定位置調整部によって調整された位置において前記保持部材に固定される、X線撮影装置。
【請求項2】
前記被写体保持機構は、前記一対の把持部材と前記保持部材とを締結する一対の第2締結部材をさらに含み、
前記第1固定位置調整部は、前記一対の第2締結部材の一方が挿通され、前記回転軸線に対する半径方向に延びる第1の長孔であり、
前記第2固定位置調整部は、前記一対の第2締結部材の他方が挿通され、前記回転軸線に対する半径方向に延びる第2の長孔である、請求項1に記載のX線撮影装置。
【請求項3】
前記第1の長孔の前記回転軸線に対する半径方向に延びる長さと、前記第2の長孔の前記回転軸線に対する半径方向に延びる長さとは、互いに異なる、請求項2に記載のX線撮影装置。
【請求項4】
前記一対の把持部材の各々は、前記回転軸線が延びる方向に貫通するとともに、前記一対の第1締結部材が並ぶ方向において、前記一対の第1締結部材の間の位置に設けられ、前記一対の第2締結部材が係合する係合部を含む、請求項3に記載のX線撮影装置。
【請求項5】
前記一対の把持部材の各々は、被写体を把持する把持部分を含み、
前記一対の把持部材の前記把持部分は、凹状形状を有しており、
前記一対の把持部材は、前記一対の第1締結部材が並ぶ方向において、前記一対の第1締結部材の間の位置に前記把持部分が配置されるように被写体を把持するように構成されている、請求項4に記載のX線撮影装置。
【請求項6】
前記一対の把持部材は、前記把持部分の形状が異なる複数種類の把持部材を含み、
前記一対の把持部材を含む前記被写体把持機構は、前記回転機構に対して着脱可能に構成されている、請求項5に記載のX線撮影装置。
【請求項7】
前記一対の把持部材を保持する前記保持部材は、前記回転機構の前記回転軸線に対する半径方向の被写体の位置を調整可能に構成されている、請求項1に記載のX線撮影装置。
【請求項8】
前記一対の把持部材の各々は、前記一対の第1締結部材が並ぶ方向から見て、前記第1締結部材の一端と他端とを結ぶ線分に対して、対称的な形状を有している、請求項1に記載のX線撮影装置。
【請求項9】
前記一対の把持部材の各々は、前記一対の第1締結部材によって固定される一対の固定部分を含み、
前記一対の固定部分は、前記一対の第1締結部材が並ぶ方向において、前記一対の把持部材の両端部に設けられ、
前記一対の固定部分の各々は、前記回転軸線が延びる方向の一方側の端部の前記回転軸線に対する半径方向における厚みと、他方側の端部の前記回転軸線に対する半径方向における厚みとが互いに等しい、請求項8に記載のX線撮影装置。
【請求項10】
前記被写体保持機構は、前記被写体把持機構と前記回転機構との間に設けられ、X線の照射軸線と交差する面内において前記被写体把持機構の位置調整を行う位置調整機構をさらに含む、請求項1に記載のX線撮影装置。
【請求項11】
被写体が載置される被写体載置部をさらに備え、
前記被写体保持機構は、前記被写体載置部に着脱可能に構成されている、請求項1に記載のX線撮影装置。
【請求項12】
前記被写体載置部は、第1開口部を含み、
前記被写体保持機構は、第2開口部が設けられ、前記第1開口部に着脱可能なベース部材をさらに含み、
前記ベース部材は、前記回転機構および前記被写体把持機構を保持するように構成されている、請求項11に記載のX線撮影装置。
【請求項13】
前記X線照射部は、前記X線検出器よりも下方側に設けられ、
前記X線照射部と前記被写体保持機構との間の位置に設けられ、平面視において前記第2開口部の面積の大きさよりも大きい面積を有し、被写体が落下することを抑制するための落下抑制部材をさらに備える、請求項12に記載のX線撮影装置。
【請求項14】
前記X線照射部は、前記X線検出器よりも下方側に設けられ、
前記X線照射部と前記被写体保持機構との間において、前記X線照射部を覆うように設けられた接触抑制部材をさらに備える、請求項1に記載のX線撮影装置。
【請求項15】
上下方向にX線を照射して被写体を撮影するX線撮影装置に着脱可能に設けられ、被写体を回転可能に保持する被写体保持機構であって、
被写体を把持する一対の把持部材と、前記一対の把持部材を締結する一対の締結部材と、前記一対の把持部材を保持する保持部材と、を含む被写体把持機構と、
前記一対の把持部材および前記保持部材を含む前記被写体把持機構をX線の照射軸線と交差する方向の回転軸線周りに回転させる回転機構と、を備え、
前記保持部材は、前記回転軸線に対する半径方向において、前記一対の把持部材のうちの一方の固定位置を調整する第1固定位置調整部と、前記一対の把持部材のうちの他方の固定位置を調整する第2固定位置調整部とを含み、
前記一対の把持部材のうちの一方は、前記保持部材のうちの、前記第1固定位置調整部によって調整された位置において前記保持部材に固定され、前記一対の把持部材のうちの他方は、前記保持部材のうちの、前記第2固定位置調整部によって調整された位置において前記保持部材に固定される、被写体保持機構。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、X線撮影装置および被写体保持機構に関し、特に、上下方向にX線を照射するX線撮影装置および被写体保持機構に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、上下方向にX線を照射するX線撮影装置が知られている(たとえば、特許文献1参照)。
【0003】
上記特許文献1には、対象物を載置するステージと、ステージを間に挟んで互いに対向するように配置された放射線照射手段および放射線検出手段と、を備える放射線撮影装置が開示されている。上記特許文献1に開示されている放射線照射手段および放射線検出手段は、上下方向に配置されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
ここで、上記特許文献1には開示されていないが、上下方向に放射線照射手段(X線照射部)および放射線検出手段(X線検出器)を配置した状態で、被写体をX線の照射軸線と交差する回転軸線周りに回転させて撮影することにより、被写体の3次元画像の撮影を可能にする回転機構が知られている。このような回転機構は、被写体を把持する把持機構を含む被写体保持機構によって被写体を保持した状態において、被写体を回転させる。このような被写体保持機構において、被写体の重量が大きい場合、被写体を安定して保持することが困難であるという不都合がある。そこで、被写体を回転させながら撮影する際に、重量が大きい被写体を安定して保持することが可能なX線撮影装置が望まれている。
【0006】
この発明は、上記のような課題を解決するためになされたものであり、この発明の1つの目的は、被写体を回転させながら撮影する際に、重量が大きい被写体を安定して保持することが可能な被写体保持機構を備えたX線撮影装置および被写体保持機構を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上記目的を達成するために、この発明の第1の局面におけるX線撮影装置は、X線を照射して被写体を撮影するX線撮影装置であって、X線を照射するX線照射部と、上下方向においてX線照射部と対向するように配置され、X線照射部から照射されたX線を検出するX線検出器と、X線照射部とX線検出器との間に配置され、被写体を回転可能に保持する被写体保持機構と、を備え、被写体保持機構は、被写体を把持する一対の把持部材と、一対の把持部材を締結する一対の第1締結部材と、一対の把持部材を保持する保持部材と、を含む被写体把持機構と、一対の把持部材および保持部材を含む被写体把持機構をX線の照射軸線と交差する方向の回転軸線周りに回転させる回転機構と、を含み、保持部材は、回転軸線に対する半径方向において、一対の把持部材のうちの一方の固定位置を調整する第1固定位置調整部と、一対の把持部材のうちの他方の固定位置を調整する第2固定位置調整部とを含み、一対の把持部材のうちの一方は、保持部材のうちの、第1固定位置調整部によって調整された位置において保持部材に固定され、一対の把持部材のうちの他方は、保持部材のうちの、第2固定位置調整部によって調整された位置において保持部材に固定される。
【0008】
また、この発明の第2の局面における被写体保持機構は、上下方向にX線を照射して被写体を撮影するX線撮影装置に着脱可能に設けられ、被写体を回転可能に保持する被写体保持機構であって、被写体を把持する一対の把持部材と、一対の把持部材を締結する一対の締結部材と、一対の把持部材を保持する保持部材と、を含む被写体把持機構と、一対の把持部材および保持部材を含む被写体把持機構をX線の照射軸線と交差する方向の回転軸線周りに回転させる回転機構と、を備え、保持部材は、回転軸線に対する半径方向において、一対の把持部材のうちの一方の固定位置を調整する第1固定位置調整部と、一対の把持部材のうちの他方の固定位置を調整する第2固定位置調整部とを含み、一対の把持部材のうちの一方は、保持部材のうちの、第1固定位置調整部によって調整された位置において保持部材に固定され、一対の把持部材のうちの他方は、保持部材のうちの、第2固定位置調整部によって調整された位置において保持部材に固定される。
【発明の効果】
【0009】
上記第1の局面におけるX線撮影装置、および、上記第2の局面における被写体保持機構では、上記のように、被写体を把持する一対の把持部材と、一対の把持部材を締結する一対の第1締結部材と、一対の把持部材を保持する保持部材とを含む被写体把持機構を備える。また、一対の把持部材と保持部材とを含む被写体把持機構を回転させる回転機構を備える。また、保持部材は、回転軸線に対する半径方向において、一対の把持部材のうちの一方の固定位置を調整する第1固定位置調整部と、一対の把持部材のうちの他方の固定位置を調整する第2固定位置調整部とを含む。また、一対の把持部材のうちの一方は、保持部材のうちの、第1固定位置調整部によって調整された位置において保持部材に固定され、一対の把持部材のうちの他方は、保持部材のうちの、第2固定位置調整部によって調整された位置において保持部材に固定される。ここで、一対の把持部材は、被写体を把持した状態で保持部材に保持され、保持部材とともに回転機構によって回転される。被写体の重量が大きいと、回転機構によって回転される際に、被写体を安定して保持することが困難な場合がある。そこで、上記のように構成することにより、一対の把持部材は、被写体を把持した状態において、一方が第1固定位置調整部によって調整された位置において保持部材に固定され、他方が第2固定位置調整部によって調整された位置において保持部材に固定される。すなわち、被写体を把持した状態の一対の把持部材の各々が、保持部材に固定される。そのため、たとえば、一対の把持部材のいずれか一方のみが保持部材に固定される構成と比較して、被写体の重量が大きい場合でも、被写体を安定して保持することができる。その結果、被写体を回転させながら撮影する際に、重量の大きい被写体を安定して保持することができる。
【図面の簡単な説明】
【0010】
【
図1】一実施形態によるX線撮影装置の全体構成を示した模式図である。
【
図2】一実施形態によるX線撮影装置の構成、および、被写体保持機構の配置を説明するための模式図である。
【
図3】一実施形態によるX線撮影装置の被写体載置部の構成を説明するための模式図である。
【
図4】一実施形態によるX線撮影装置の被写体保持機構の構成を説明するための模式図である。
【
図5】一実施形態による被写体把持機構が位置調整機構に保持される構成を説明するための模式図である。
【
図6】一実施形態による一対の把持部材の構成および一対の第1締結部材の構成を説明するための図である。
【
図7】一実施形態による把持部材を、一対の第1締結部材が並ぶ方向から見た場合の模式図である。
【
図8】一実施形態による保持部材の構成を説明するための模式図である。
【
図9】一実施形態による被写体把持機構が被写体を把持する前の初期状態を説明するための模式図である。
【
図10】一実施形態による一対の把持部材のうちの一方をスライド移動した状態を説明するための模式図である。
【
図11】一実施形態による一対の把持部材の間に被写体を配置した状態を説明するための模式図である。
【
図12】一実施形態による一対の把持部材によって被写体を把持した状態を説明するための模式図である。
【
図13】一実施形態による被写体把持機構において、一対の把持部材の固定位置を調整する前の状態を示した模式図である。
【
図14】一実施形態による被写体把持機構において、一対の把持部材の固定位置を調整した後の状態を示した模式図である。
【
図15】一実施形態による第1把持部材を説明するための模式図(A)、および、第2把持部材を説明するための模式図(B)である。
【
図16】一実施形態による第1保持部材を説明するための模式図(A)、および、第2保持部材を説明するための模式図(B)である。
【
図17】比較例による被写体把持機構の構成を説明するための模式図である。
【
図18】比較例による被写体把持機構の把持部材の構成を説明するための模式図である。
【発明を実施するための形態】
【0011】
以下、本発明を具体化した実施形態を図面に基づいて説明する。
【0012】
まず、
図1および
図2を参照して、本発明の一実施形態によるX線撮影装置100の全体構成について説明する。
【0013】
図1に示すように、X線撮影装置100は、X線照射部1と、X線検出器2と、被写体保持機構3と、を備える。また、X線撮影装置100は、被写体載置部4と、落下抑制部材5と、接触抑制部材6と、コンピュータ7と、表示部8と、入力受付部9と、を備える。被写体保持機構3は、被写体把持機構10と、回転機構11と、位置調整機構12と、を含む。被写体把持機構10、回転機構11、および、位置調整機構12の詳細な構成については、後述する。
【0014】
図2は、X線撮影装置100の側面図である。
図2に示すように、X線撮影装置100は、X線を照射して被写体90を撮影するX線撮影装置である。具体的には、X線撮影装置100は、上下方向にX線を照射して被写体90を撮影するX線撮影装置である。被写体90は、たとえば、電子部品、基板、モータなどである。なお、本明細書において、上下方向を、Z方向とする。Z方向のうち、上方向をZ1方向、下方向をZ2方向とする。また、Z方向と直交する面内において互いに直交する2方向を、X方向およびY方向とする。X方向のうち、一方側の方向をX1方向、他方側の方向をX2方向とする。また、Y方向のうち一方側の方向をY2方向、他方側の方向をY2方向とする。
【0015】
X線照射部1は、照射軸線80の方向に向けてX線を照射するように構成されている。X線照射部1は、高電圧が印加されることにより、X線を発生させるように構成されている。本実施形態では、X線照射部1は、X線検出器2よりも下方側に設けられている。したがって、本実施形態では、X線照射部1は、上方向(Z1方向)に向けてX線を照射する。
【0016】
X線検出器2は、X線照射部1から照射されたX線を検出するように構成されている。
図2に示すように、X線検出器2は、上下方向(Z方向)においてX線照射部1と対向するように配置されている。また、X線検出器2は、検出されたX線を電気信号に変換するように構成されている。X線検出器2は、たとえば、FPD(Flat Panel Detector)である。X線検出器2は、複数の変換素子(図示せず)と複数の変換素子上に配置された画素電極(図示せず)とにより構成されている。X線検出器2の検出信号(画像信号)は、後述する画像処理部7bに送られる。
【0017】
被写体保持機構3は、被写体90を回転可能に保持するように構成されている。被写体保持機構3は、X線照射部1とX線検出器2との間に配置される。具体的には、被写体保持機構3は、X線の照射軸線80上の位置で、かつ、X線照射部1とX線検出器2との間の位置に配置される。また、被写体保持機構3は、被写体90を保持した状態で、被写体載置部4に載置される。すなわち、被写体90は、被写体保持機構3に保持された状態で、X線照射部1とX線検出器2との間に配置される。
【0018】
被写体載置部4は、被写体90が載置される。本実施形態では、被写体載置部4は、被写体90を保持した被写体保持機構3が載置されることにより、被写体90が載置される。なお、被写体載置部4に対して被写体保持機構3を装着しない場合には、X線の透過率が高い板状部材が被写体載置部4に載置され、板状部材の上に被写体90が載置される。被写体載置部4の詳細な構成については、後述する。
【0019】
落下抑制部材5は、被写体90が落下することを抑制するための部材である。本実施形態では、落下抑制部材5は、X線照射部1と被写体保持機構3との間の位置に設けられている。すなわち、落下抑制部材5は、X線照射部1よりもさらに下方(Z1方向側)に被写体90が落下することを抑制するための部材である。本実施形態では、落下抑制部材5は、本体部分5aと、縁部5bとを有する。また、落下抑制部材5は、平面視において、本体部分5aの内側に開口部(図示せず)が設けられた枠状形状を有する。本実施形態では、本体部分5aの内側に、X線照射部1が配置される。また、縁部5bは、X線検出器2の方向(Z1方向)に向けて突出している。これにより、たとえば、被写体90が落下抑制部材5に落下した場合でも、落下抑制部材5よりもさらに下方に落下することを抑制することができる。
【0020】
また、本実施形態では、接触抑制部材6は、X線照射部1と被写体保持機構3との間において、X線照射部1を覆うように設けられている。具体的には、接触抑制部材6は、X線照射部1のうちの、照射面1aの全体を覆うように構成されている。すなわち、接触抑制部材6は、被写体保持機構3に保持された被写体90が、撮影中にX線照射部1に接触することを抑制するように構成されている。また、接触抑制部材6は、被写体保持機構3から落下した被写体90が、X線照射部1に接触することを抑制するように構成されている。また、接触抑制部材6は、X線照射部1の照射面1aと対向する位置に、開口部(図示せず)が設けられている。なお、接触抑制部材6は、開口部が設けられていなくてもよい。この場合、接触抑制部材6のうち、X線照射部1からX線が照射される部分を、X線の透過率が高い部材により構成すればよい。
【0021】
(被写体載置部)
次に、
図3を参照して、被写体載置部4の構成について説明する。
図3は、被写体載置部4をZ1方向から見た模式図である。
図3に示すように、被写体載置部4は、上面視において、矩形形状を有する。
図3では、一辺が長さ40の辺である正方形形状を有する被写体載置部4を図示している。なお、被写体載置部4は、正方形形状以外の矩形形状を有していてもよい。
【0022】
また、被写体載置部4は、本体部4aを有し、上面視において、枠状形状を有している。また、被写体載置部4は、本体部4aの内側に設けられた第1開口部4bを含む。具体的には、第1開口部4bは、一辺が長さ41の辺である正方形形状を有する。なお、第1開口部4bは、正方形形状以外の矩形形状を有していてもよい。
【0023】
本実施形態では、被写体載置部4は、第1開口部4bにおいて、被写体保持機構3(
図4参照)を装着可能に構成されている。具体的には、被写体載置部4は、被写体保持機構3が第1開口部4bの内側の位置となるように、本体部4aにおいて被写体保持機構3を保持する。また、被写体載置部4に対して被写体保持機構3を装着しない場合には、ユーザによって、第1開口部4bがX線の透過率が高い板状部材によって覆われ、板状部材の上に被写体90(
図2参照)が載置されるように構成されている。X線の透過率が高い板状部材は、たとえば、板状形状を有するFRP(Fiber Reinforced Plastics:繊維強化プラスチック)である。
【0024】
(被写体把持機構、回転機構、および、位置調整機構)
次に、
図4を参照して、被写体保持機構3が含む被写体把持機構10、回転機構11、および、位置調整機構12の構成について説明する。
図4は、被写体保持機構3をZ1方向から見た模式図である。
【0025】
図4に示すように、被写体保持機構3は、被写体把持機構10と、回転機構11と、位置調整機構12とに加えて、ベース部材17をさらに含む。
図4に示すように、ベース部材17は、回転機構11および被写体把持機構10を保持するように構成されている。具体的には、ベース部材17は、回転機構11を保持する。また、回転機構11は、位置調整機構12を保持する。また、位置調整機構12は、被写体把持機構10を保持する。すなわち、ベース部材17は、回転機構11、位置調整機構12、および、被写体把持機構10を保持するように構成されている。
【0026】
図4に示すように、ベース部材17は、本体部17aを含む。また、ベース部材17は、本体部17aの内側に、第2開口部17bが設けられている。すなわち、ベース部材17は、上面視において、枠状形状を有する。
図4では、ベース部材17が、長辺が長さ42であり、短辺が長さ43である枠状形状を有する例を示している。
【0027】
また、第2開口部17bは、上面視において、矩形形状を有する。
図4では、第2開口部17bは、長辺が長さ44であり、短辺が長さ45である長方形形状を有する。また、本体部17aは、回転機構11が載置されるように構成されている。
【0028】
回転機構11は、ベース部材17の本体部17aに設けられている。また、本実施形態では、回転機構11は、第1接続部材18を回転させるように構成されている。第1接続部材18は、位置調整機構12と接続されている。第1接続部材18は、柱状形状を有している。回転機構11は、第1接続部材18を回転軸線81の周りに回転させることにより、位置調整機構12を回転軸線81の周りに回転させるように構成されている。
図4では、回転機構11は、ベース部材17の本体部17aのうち、Y2方向側の本体部17aにおいて、回転軸線81がY1方向を向くように設けられる例を示している。
【0029】
位置調整機構12は、第1接続部材18と接続され、第1接続部材18とともに回転軸線81の周りに回転可能に、回転機構11に保持されている。また、位置調整機構12は、被写体把持機構10と回転機構11との間に設けられている。すなわち、位置調整機構12は、被写体把持機構10および回転機構11の両方と接続している。具体的には、位置調整機構12は、被写体把持機構固定部12aを含む。被写体把持機構固定部12aは、位置調整機構12のうちの、被写体把持機構10が固定される部分である。本実施形態では、被写体把持機構固定部12aは、第2接続部材19によって、被写体把持機構10を保持する。したがって、回転機構11は、一対の把持部材13および保持部材15(
図5参照)を含む被写体把持機構10をX線の照射軸線80(
図2参照)と交差する方向(Y方向)の回転軸線81周りに回転させるように構成されている。
【0030】
また、第2接続部材19は、柱状形状を有している。第1接続部材18および第2接続部材19の各々は、回転機構11によって一体的に回転されるように構成されている。すなわち、第1接続部材18および第2接続部材19の各々は、位置調整機構12および被写体把持機構10を回転軸線81周りに回転させる際の回転軸となる。
【0031】
また、位置調整機構12は、被写体把持機構10の位置調整を行うように構成されている。具体的には、位置調整機構12は、X線の照射軸線80と交差する面内(XY面内)において被写体把持機構10の位置調整を行うように構成されている。本実施形態では、位置調整機構12は、被写体把持機構固定部12aの位置を調整することにより、被写体把持機構10の位置を調整するように構成されている。位置調整機構12は、たとえば、直動機構12b(
図1参照)を含む。直動機構12bは、X方向の直動機構と、Y方向の直動機構とを含み、被写体把持機構10をX方向およびY方向に移動可能に構成されている。X方向の直動機構およびY方向の直動機構の各々は、ステッピングモータと、センサとを含む。X方向の直動機構およびY方向の直動機構の各々は、後述する制御部7a(
図1参照)の制御の下、被写体把持機構10をX方向およびY方向に移動させる。本実施形態では、位置調整機構12は、被写体90の回転中心を回転軸線81に合わせる際の微調整を行うように構成されている。
【0032】
被写体把持機構10は、被写体90を把持するように構成されている。本実施形態では、被写体把持機構10は、被写体90を把持した状態で、回転機構11によって、回転軸線81の周りに回転されるように構成されている。具体的には、被写体把持機構10は、回転機構11に接続された位置調整機構12に接続されている。したがって、被写体把持機構10は、位置調整機構12とともに、回転機構11によって回転軸線81の周りに回転される。また、一対の把持部材13(
図5参照)を含む被写体把持機構10は、回転機構11に対して着脱可能に構成されている。被写体把持機構10の詳細な構成については、後述する。
【0033】
図4に示すように、ベース部材17は、被写体把持機構10が第2開口部17bの内側に配置されるように、回転機構11、被写体把持機構10、および、位置調整機構12を保持するように構成されている。これにより、回転機構11によって被写体90を回転軸線81の回りの回転方向に回転させることができる。
【0034】
また、
図4に示すように、本実施形態では、ベース部材17の長辺の長さ42は、被写体載置部4(
図3参照)の一辺の長さ40(
図3参照)よりも小さく、かつ、第1開口部4b(
図3参照)の一辺の長さ41(
図3参照)よりも大きい。したがって、ベース部材17は、第1開口部4b(
図3参照)に着脱可能に構成されている。言い換えると、被写体保持機構3は、被写体載置部4(
図3参照)に着脱可能に構成されている。
【0035】
また、
図4に示すように、落下抑制部材5は、平面視において第2開口部17bの面積の大きさよりも大きい面積を有している。具体的には、落下抑制部材5の長辺(Y方向の辺)の長さ46は、第2開口部17bの長辺の長さ44よりも大きい。また、落下抑制部材5の短辺(X方向の辺)の長さ47は、第2開口部17bの短辺の長さ45よりも大きい。したがって、落下抑制部材5の平面視における面積は、第2開口部17bの面積よりも大きい。また、落下抑制部材5は、平面視において、落下抑制部材5の縁部5bの内側に第2開口部17bが収まるように構成されている。
【0036】
再び
図1を参照する。
図1に示すように、コンピュータ7は、制御部7aと、画像処理部7bと、ROM(Read Only Memory)およびRAM(Random Access Memory)などのメモリと、記憶部7cとを含む。
【0037】
制御部7aは、X線撮影装置100の各部を制御するように構成されている。また、制御部7aは、後述する被写体検知センサ24から信号が入力された場合には、回転機構11、および、位置調整機構12のうちの、動作している機構の動作を停止する制御を行うように構成されている。これにより、被写体90がX線照射部1に接触することを抑制することができる。制御部7aは、たとえば、CPU(Central Processing Unit)、または、回路(Circuitly)などにより構成される。
【0038】
画像処理部7bは、X線照射部1から照射され、X線検出器2によって検出されたX線に基づいて、X線画像を生成するように構成されている。また、画像処理部7bは、回転機構11によって回転軸線81(
図3参照)の周りに被写体90を回転させながら撮影された複数のX線画像に基づいて、3次元のX線画像を生成(再構成)する。画像処理部7bは、たとえば、CPU、GPU(Graphics Processing Unit)、または、画像処理用に構成されたFPGA(Field-Programmable Gate Array)、回路(Circuitly)などにより構成される。
【0039】
記憶部7cは、制御部7aが実行する各種プログラムを記憶するように構成されている。また、記憶部7cは、画像処理部7bが生成したX線画像を記憶するように構成されている。記憶部7cは、HDD(Hard Disk Drive)、または、SSD(Solid State Drive)などの不揮発性の記憶装置を含む。
【0040】
表示部8は、画像処理部7bが生成したX線画像を表示するように構成されている。表示部8は、たとえば、液晶モニタ、または、有機EL(Electro Luminescence)モニタなどの表示装置を含む。
【0041】
入力受付部9は、ユーザの操作入力を受け付けるように構成されている。入力受付部9は、たとえば、ユーザによる撮影条件などの選択操作の入力を受け付ける。入力受付部9は、たとえば、キーボードやマウスなどの入力デバイスを含む。撮影条件は、たとえば、X線照射部1に対する管電圧、および、管電圧の値、回転機構11によって回転させながら撮影する際の撮影角度などを含む。
【0042】
また、X線撮影装置100は、防護箱23を備える。防護箱23は、内部にX線照射部1、X線検出器2、被写体保持機構3、被写体載置部4、落下抑制部材5、および、接触抑制部材6を収容する。防護箱23は、X線照射部1から照射されたX線が、防護箱23の外部に漏洩することを防止するために設けられている。防護箱23は、たとえば、フレームと、フレームに設けられる壁部とを有する筐体である。また、防護箱23は、壁部の内面に、重金属の板状部材が張り付けられている。重金属の板状部材は、たとえば、鉛板である。
【0043】
また、
図1に示すように、X線撮影装置100は、被写体検知センサ24を含む。被写体検知センサ24は、被写体90がX線照射部1に接近した際に、検知信号を制御部7aに出力するように構成されている。被写体検知センサ24は、たとえば、光学式のセンサを含む。
【0044】
X線撮影装置100は、入力受付部9によって受け付けたユーザによる撮影条件などに基づいて、被写体90(
図2参照)を撮影する。また、本実施形態では、X線撮影装置100は被写体保持機構3によって回転軸線81(
図4参照)周りに被写体90を回転させながら撮影することにより、CT(Computed Tomography)撮影を行うように構成されている。
【0045】
(被写体把持機構)
次に、
図5を参照して被写体把持機構10の構成について説明する。
図5に示すように、本実施形態では、被写体把持機構10は、径90a(
図11参照)の大きい被写体90(
図11参照)であっても保持可能なように構成されている。具体的には、被写体把持機構10は、被写体90を把持する一対の把持部材13と、一対の把持部材13を締結する一対の第1締結部材14(
図6参照)と、一対の把持部材13を保持する保持部材15と、を含む。なお、本明細書では、被写体把持機構10において、一対の第1締結部材14が延びる方向を、S方向とする。S方向のうち、一方側をS1方向、他方側を、S2方向とする。また、S方向と直交する面内において、互いに直交する2方向の各々を、T方向およびU方向とする。T方向のうち、一方側をT1方向、他方側をT2方向とする。また、U方向のうち、一方側をU1方向、他方側をU2方向とする。
【0046】
一対の第1締結部材14は、一対の把持部材13の間の距離60を調整可能に構成されている。一対の第1締結部材14の各々は、第1部分140と、第2部分141とヘッダ部142とを含む。第1部分140は、第2部分141とヘッダ部142とを接続する軸部分である。また、第2部分141は、ねじ溝が設けられている。第1締結部材14は、ヘッダ部142が回転されることにより、後述する固定部分21(
図6参照)に係合し、一対の把持部材13を固定するように構成されている。また、第1締結部材14は、ヘッダ部142が回転されることにより、固定部分21に係合する第2部分141の挿入量が変化する。これにより、第1締結部材14は、一対の把持部材13の間の距離60を調整可能に構成されている。
【0047】
一対の把持部材13は、一対の第1締結部材14の各々によって、一対の把持部材13の間の距離60が調整されることにより、被写体90(
図11参照)を保持するように構成されている。また、一対の把持部材13は、被写体90を把持した状態で、保持部材15に固定される。
【0048】
また、
図5に示すように、保持部材15は、回転軸線81に対する半径方向において、一対の把持部材13のうちの一方の固定位置を調整する第1固定位置調整部15aと、一対の把持部材13のうちの他方の固定位置を調整する第2固定位置調整部15bとを含む。
図5では、第1固定位置調整部15aおよび第2固定位置調整部15bは、一対の把持部材13の各々の、S方向における固定位置を調整可能に構成されている。
【0049】
一対の把持部材13のうちの一方は、保持部材15のうちの、第1固定位置調整部15aによって調整された位置において保持部材15に固定される。また、一対の把持部材13のうちの他方は、保持部材15のうちの、第2固定位置調整部15bによって調整された位置において保持部材15に固定される。すなわち、一対の把持部材13は、第1固定位置調整部15aおよび第2固定位置調整部15bによって、一対の把持部材13の間の距離60を調整された後、保持部材15に固定される。一対の把持部材13の固定位置を調整する構成の詳細については、後述する。
【0050】
また、
図5に示すように、被写体保持機構3(
図4参照)は、一対の把持部材13と保持部材15とを締結する一対の第2締結部材16を含む。また、一対の第2締結部材16は、たとえば、ねじ部材である。また、一対の把持部材13の各々は、回転軸線81が延びる方向(U方向)に貫通し、一対の第2締結部材16が係合する係合部22を含む。係合部22は、ねじ溝が形成された、いわゆる、雌ねじである。
【0051】
(把持部材および第1締結部材)
図6に示すように、被写体把持機構10は、一対の把持部材13(
図5参照)と、一対の第1締結部材14(
図5参照)と、を含む。具体的には、被写体把持機構10は、一対の把持部材13として、把持部材13aおよび把持部材13bを含む。また、被写体把持機構10は、一対の第1締結部材14として、第1締結部材14aおよび第1締結部材14bを含む。
【0052】
また、
図6に示すように、一対の把持部材13の各々(把持部材13aおよび把持部材13b)は、U方向から見て、T方向に延びる棒状形状を有している。一対の把持部材13の各々は、互いに対向するように設けられており、被写体90(
図11参照)を把持するように構成されている。一対の把持部材13の各々は、被写体90を把持する把持部分20を含む。また、一対の把持部材13の各々は、一対の第1締結部材14によって固定される一対の固定部分21を含む。固定部分21は、一対の把持部材13の各々が延びる方向(T方向)の両端部に設けられている。一対の把持部材13の各々は、一対の第1締結部材14によって固定部分21が固定されることにより、被写体90を把持するように構成されている。
【0053】
図6に示すように、一対の固定部分21は、一対の第1締結部材14が並ぶ方向において、一対の把持部材13の両端部に設けられている。具体的には、把持部材13aは、T2方向側に設けられた固定部分21aと、T1方向側に設けられた固定部分21bとを含む。また、把持部材13bは、T2方向側に設けられた固定部分21cと、T1方向側に設けられた固定部分21dとを含む。
【0054】
一対の固定部分21は、一対の第1締結部材14によって固定される。具体的には、一対の固定部分21は、互いに対向する固定部分21同士が、第1締結部材14によって固定される。互いに対向する固定部分21のうちの一方側には、第1締結部材14が挿通される貫通孔が設けられている。また、互いに対向する固定部分21の他方側には、第1締結部材14の第2部分141(
図5参照)が係合する係合部が設けられている。
図6に示す固定部分21のうち、固定部分21aおよび固定部分21dが、貫通孔である。また、固定部分21bおよび固定部分21cが、係合部である。したがって、
図6では、把持部材13aの固定部分21aと、把持部材13bの固定部分21cとが、第1締結部材14aによって固定される。また、把持部材13aの固定部分21bと、把持部材13bの固定部分21dとが、第1締結部材14bによって固定される。
【0055】
把持部分20は、被写体90(
図11参照)を把持する。把持部分20は、一対の把持部材13が被写体90を把持する際に、被写体90と接触する部分である。すなわち、把持部分20は、一対の把持部材13のうち、一対の把持部材13の各々が対向する側の面に設けられている。
図6では、把持部分20のうちの、把持部材13aに設けられた把持部分を、把持部分20aとする。また、
図6では、把持部分20のうちの、把持部材13aに設けられた把持部分を、把持部分20bとする。
【0056】
また、
図6に示すように、一対の把持部材13の把持部分20(把持部分20aおよび把持部分20b)は、凹状形状を有している。一対の把持部材13は、一対の第1締結部材14が並ぶ方向(T方向)において、一対の第1締結部材14の間の位置に把持部分20が配置されるように被写体90を把持するように構成されている。すなわち、把持部分20は、T方向において、一対の第1締結部材14の間の位置に設けられている。
【0057】
また、一対の把持部材13の各々は、固定部分21の間の位置において、把持部分20とは反対側に向けて突出する突出部25を含む。突出部25は、把持部材13のうち、S方向において、把持部分20と反対側に設けられている。また、突出部25は、固定部分21から、把持部分20とは反対側の方向に向けて、厚み62の分だけ突出している。また、第1締結部材14が延びる方向(S方向)における固定部分21の厚み61は、把持部材13のうちの、固定部分21から突出する突出部25の厚み(突出量)62よりも小さい。
【0058】
また、
図6に示すように、係合部22の各々(係合部22aおよび係合部22b)は、一対の第1締結部材14が並ぶ方向(T方向)において、一対の第1締結部材14の間の位置に設けられている。なお、係合部22は、把持部材13のうちの、突出部25に設けられている。また、係合部22は、U方向において、把持部材13(突出部25)を貫通する貫通孔である。
【0059】
把持部材13aは、第2締結部材16a(
図13参照)が係合する係合部22aを含む。また、把持部材13bは、第2締結部材16b(
図13参照)が係合する係合部22bを含む。係合部22aおよび係合部22bは、たとえば、ねじ溝が設けられた、いわゆる、雌ねじである。
【0060】
図7は、T2方向から見た側面視における一対の把持部材13、一対の第1締結部材14、および、固定部分21を示す模式図である。なお、T1方向から見た場合も、T2方向から見た構成と同様の構成であるため、T2方向から見た
図7を用いて、一対の把持部材13、一対の第1締結部材14、および、固定部分21の各々について説明する。
図7に示すように、一対の把持部材13の各々は、一対の第1締結部材14が並ぶ方向(T方向)から見て、第1締結部材14の一端14cと他端14dとを結ぶ線分82に対して、対称的な形状を有している。
【0061】
すなわち、一対の把持部材13の各々は、U方向における一方側の端部13gから線分82までの長さ63と、U方向における他方側の端部13hから線分82までの長さ63とが、互いに等しい。
【0062】
また、
図7に示すように、一対の固定部分21の各々は、回転軸線81(
図4参照)が延びる方向の一方側の端部121aの回転軸線81に対する半径方向における厚み65と、他方側の端部121bの回転軸線81に対する半径方向における厚み66とが互いに等しい。なお、本明細書において、厚みが互いに等しいとは、厚みが完全に一致することのみならず、わずかな厚みの差を許容する概念である。すなわち、厚み65と厚み66との差が、許容範囲内であれば、互いの厚みが等しいものとみなす。
【0063】
(保持部材)
次に、
図8を参照して、本実施形態による保持部材15の構成について説明する。
図8に示すように、保持部材15は、U方向から見て、長方形形状を有し、S方向に沿って延びる柱状部材である。保持部材15は、第1固定位置調整部15aと、第2固定位置調整部15bと、貫通孔15cと、第2締結部材16(
図5参照)が当接する当接面15dと、を含む。
【0064】
図8に示すように、第1固定位置調整部15aと、第2固定位置調整部15bとは、貫通孔15cを介して、互いに対向する位置に設けられている。
図8は、第1固定位置調整部15aおよび第2固定位置調整部15bが、S方向に延びるように保持部材15を図示している。したがって、
図8に示す状態では、第1固定位置調整部15aは、貫通孔15cよりもS1方向側に設けられている。また、第2固定位置調整部15bは、貫通孔15cよりもS2方向側に設けられている。
【0065】
なお、貫通孔15cは、第2接続部材19(
図4参照)が挿通され、固定される。すなわち、貫通孔15cの中心が、回転軸線81(
図4参照)となる。したがって、保持部材15は、回転機構11(
図4参照)によって、貫通孔15cを中心に回転される。
【0066】
本実施形態では、第1固定位置調整部15aは、一対の第2締結部材16(
図5参照)の一方(第2締結部材16a(
図13参照))が挿通され、回転軸線81に対する半径方向に延びる第1の長孔15eである。また、第2固定位置調整部15bは、一対の第2締結部材16の他方(第2締結部材16b(
図13参照))が挿通され、回転軸線81に対する半径方向に延びる第2の長孔15fである。したがって、第1の長孔15eおよび第2の長孔15fに対して、一対の第2締結部材16の各々が挿通された状態で、当接面15dに一対の第2締結部材16の各々が当接することにより、一対の把持部材13(
図6参照)が保持部材15に保持される。
【0067】
第1の長孔15eの回転軸線81に対する半径方向に延びる長さ67と、第2の長孔15fの回転軸線81に対する半径方向に延びる長さ68とは、互いに異なる。
図8では、第1の長孔15eの長さ67が、第2の長孔15fの長さ68よりも大きい例を示している。
【0068】
第1固定位置調整部15aおよび第2固定位置調整部15bが、それぞれ、第1の長孔15eおよび第2の長孔15fであるため、回転軸線81に対する半径方向における一対の把持部材13(
図5参照)の固定位置を調整することができる。すなわち、保持部材15は、回転機構11(
図4参照)の回転軸線81に対する半径方向の被写体90の位置を調整可能に構成されている。保持部材15が回転機構11の回転軸線81に対する半径方向の被写体90の位置を調整する構成の詳細については、後述する。
【0069】
(被写体把持機構による被写体の把持)
次に、
図9~
図12を参照して、ユーザが、被写体把持機構10(
図9参照)に対して被写体90(
図11参照)を把持させる構成について説明する。
【0070】
図9は、被写体把持機構10が被写体90(
図11参照)を把持する前の初期状態の一例を示している。
図9に示す例は、一対の第1締結部材14(第1締結部材14aおよび第1締結部材14b)が最も縮められている状態である。すなわち、
図9に示す例は、一対の把持部材13(把持部材13aおよび把持部材13b)の間の距離60が、最も小さい状態である。
【0071】
図10は、把持部材13aをS1方向にスライド移動させた状態を示している。ユーザが第2締結部材16a(
図13参照)を緩めた後、一対の第1締結部材14の各々を緩めることにより、把持部材13aが第1の長孔15e(
図8参照)に沿ってS方向にスライド移動可能になる。すなわち、把持部材13aは、ユーザによって第1締結部材14aおよび第1締結部材14bが緩められることにより、第1の長孔15eに沿ってS1方向にスライド移動可能に構成されている。なお、第1締結部材14aおよび第1締結部材14bを緩めるとは、第1締結部材14aおよび第1締結部材14bが固定部分21から外れる方向に、各第1締結部材14を回転させることを意味する。
【0072】
また、
図10に示す例は、一対の第1締結部材14(第1締結部材14aおよび第1締結部材14b)を緩めた後、ユーザが、把持部材13aを第1の長孔15eに沿ってS1方向にスライド移動させた後の状態である。把持部材13aを第1の長孔15eに沿ってS1方向にスライド移動させる際、一対の把持部材13の間の距離60aが、被写体90の径90a(
図11参照)よりも大きくなるように、把持部材13aをスライド移動させる。すなわち、被写体把持機構10は、一対の把持部材13の間の距離60aが被写体90の径90aよりも大きくなるように、ユーザによって第1締結部材14および第2締結部材16aが緩められ、把持部材13aがS1方向にスライド移動されることにより、被写体90を一対の把持部材13の間に配置可能に構成されている。
【0073】
そして、ユーザは、
図11に示すように、一対の把持部材13の間の位置に、被写体90を配置する。具体的には、ユーザは、把持部材13bの把持部分20bに被写体90を配置する。なお、一対の把持部材13の間の距離60aは、被写体90の径90aよりも大きいため、把持部材13aの把持部分20aには、被写体90は当接していない。
【0074】
その後、
図12に示すように、ユーザは、把持部材13aの把持部分20aが被写体90に当接するように第1の長孔15eに沿って把持部材13aをS2方向にスライド移動させる。具体的には、ユーザは、第1締結部材14aおよび第1締結部材14bを締めることにより、把持部材13aをS2方向にスライド移動させる。これにより、被写体把持機構10は、被写体90を把持する。なお、第1締結部材14aおよび第1締結部材14bを締めるとは、第1締結部材14aおよび第1締結部材14bが固定部分21に係合する量が多くなる方向に、各第1締結部材14を回転させることを意味する。
【0075】
また、
図9~
図12に示す作業は、ユーザによって、被写体把持機構10がX線撮影装置100(
図1参照)から取り外された状態で行われる。すなわち、被写体把持機構10に対して被写体90を把持させる作業は、X線撮影装置100の外部で行われる。
【0076】
(被写体把持機構のS方向の位置調整)
次に、
図13および
図14を参照して、被写体把持機構10が被写体90を把持した状態において、S方向の位置を調整する構成について説明する。なお、
図13および
図14は、
図6における200-200線に沿った断面図である。
【0077】
図13に示す例は、S方向の位置を調整する前の被写体把持機構10である。
図13では、被写体把持機構10が、被写体90を把持した状態である。この状態において、ユーザは、第2締結部材16aおよび第2締結部材16bを緩める。これにより、被写体把持機構10は、把持部材13aおよび把持部材13bを、被写体90とともに、S方向にスライド移動可能な状態となる。すなわち、被写体把持機構10は、一対の把持部材13(
図5参照)によって被写体90を把持した状態で、第1の長孔15eおよび第2の長孔15fに沿って、S方向にスライド移動可能な状態となる。
【0078】
図14に示す例は、ユーザによって、把持部材13aおよび把持部材13bが、一対的にS2方向にスライド移動された状態を示している。この状態において、ユーザによって第2締結部材16が締められることにより、保持部材15における一対の把持部材13の固定位置の調整が完了する。なお、
図14に示す一対の把持部材13のS方向における固定位置の調整は、位置調整機構12(
図4参照)における位置の調整範囲内に、被写体90の中心90bを配置するために行われる。
【0079】
なお、
図13および
図14に示す作業は、ユーザによって、X線撮影装置100(
図1参照)の外部で行われる。その後、ユーザによって、X線撮影装置100に対して被写体把持機構10が取り付けられる。具体的には、被写体把持機構10は、第2接続部材19(
図4参照)を介して、被写体把持機構固定部12a(
図4参照)に取り付けられる。なお、位置調整機構12は、X方向およびY方向の位置を調整可能に構成されている。したがって、被写体把持機構10を位置調整機構12に取り付ける際には、S方向が、X方向またはY方向に沿うように取り付ける。本実施形態では、被写体把持機構10は、S方向がX方向に沿うように、位置調整機構12に取り付けられる。
【0080】
その後、ユーザが入力受付部9(
図2参照)を操作することにより、位置調整機構12によって、被写体90の中心90bと、回転軸線81(
図4参照)との位置合わせを行う。そして、回転機構11(
図4参照)によって、被写体90を回転軸線81の周りに回転させながら、複数の回転角度において被写体90の撮影が行われる。これにより、被写体90を回転させる際の回転中心(回転軸線81)と、被写体90の中心90bとを一致させることが可能となるので、回転角度毎に被写体90の位置合わせを行うことなく、3次元のX線画像を生成(再構成)することができる。
【0081】
(第1把持持部材および第2把持部材)
本実施形態では、一対の把持部材13(
図5参照)は、把持部分20(
図6参照)の形状が異なる複数種類の把持部材を含む。具体的には、
図15(A)および
図15(B)に示すように、一対の把持部材13は、一対の第1把持部材130(
図15(A)参照)と、一対の第2把持部材131(
図15(B)参照)とを含む。
【0082】
図15(A)に示す一対の第1把持部材130は、一対の把持部材13(
図5参照)と同様の構成であるため、一対の把持部材13と同様の符号を付し、詳細な説明は省略する。
【0083】
図15(B)に示す一対の第2把持部材131の各々は、凹状形状を有する把持部分132と、固定部分133と、係合部134とを含む。固定部分133は、一対の第2把持部材131の各々の両端部に設けられている。また、係合部134は、固定部分133の間の位置に設けられている。また、固定部分133は、第3締結部材143によって固定される。第3締結部材143は、第2把持部材131の間の距離60bの調整量が、第1締結部材14(
図5参照)による把持部材13(
図5参照)の間の距離60(
図5参照)の調整量よりも大きい点を除いて、第1締結部材14と同様の構成であるため、詳細な説明は省略する。
【0084】
把持部分132のS方向に対する突出量31は、把持部分20のS方向に対する突出量30よりも小さい。そのため、第2把持部材131は、板状形状を有する被写体90を把持するのに適している。また、第1把持部材130(把持部材13)は、筒状形状を有する被写体90を把持するのに適している。
【0085】
(第1保持部材および第2保持部材)
また、本実施形態では、保持部材15(
図8参照)は、少なくとも、第1固定位置調整部15a(
図8参照)の長さが異なる複数種類の保持部材を含む。具体的には、
図16(A)および
図16(B)に示すように、保持部材15は、第1保持部材150(
図16(A)参照)と、第2保持部材151(
図16(B)参照)とを含む。
【0086】
図16(A)に示す第1保持部材150は、保持部材15(
図8参照)と同様の構成であるため、保持部材15と同様の符号を付し、詳細な説明は省略する。
【0087】
図16(B)に示す第2保持部材151は、第3固定位置調整部151aと、第4固定位置調整部151bと、貫通孔151cと、当接面151dと、を含む。貫通孔151cは、第2接続部材19(
図4参照)が挿通され、固定される。また、当接面151dは、第2締結部材16(
図6参照)が当接する面である。
【0088】
第3固定位置調整部151aは、第2締結部材16a(
図13参照)が挿通され、回転軸線81(
図4参照)に対する半径方向に延びる第3の長孔151eである。また、第4固定位置調整部151bは、第2締結部材16b(
図13参照)が挿通され、回転軸線81に対する半径方向に延びる第4の長孔151fである。
【0089】
第3の長孔151eの長さ69は、第1の長孔15eの長さ67よりも大きい。すなわち、第3固定位置調整部151aは、第1固定位置調整部15aと比較して、より広い範囲で、把持部材13a(
図6参照)の固定位置の調整を行うことができる。
【0090】
また、第4の長孔151fの長さ70は、第2の長孔15fの長さ68と略等しい大きさである。すなわち、第4固定位置調整部151bは、第2固定位置調整部15bと同程度の範囲で、把持部材13b(
図6参照)の固定位置の調整を行うことができる。
【0091】
(本実施形態の効果)
本実施形態では、以下のような効果を得ることができる。
【0092】
本実施形態では、上記のように、X線撮影装置100は、X線を照射して被写体90を撮影するX線撮影装置であって、X線を照射するX線照射部1と、上下方向(Z方向)においてX線照射部1と対向するように配置され、X線照射部1から照射されたX線を検出するX線検出器2と、X線照射部1とX線検出器2との間に配置され、被写体90を回転可能に保持する被写体保持機構3と、を備え、被写体保持機構3は、被写体90を把持する一対の把持部材13と、一対の把持部材13を締結する一対の第1締結部材14と、一対の把持部材13を保持する保持部材15と、を含む被写体把持機構10と、一対の把持部材13および保持部材15を含む被写体把持機構10をX線の照射軸線80と交差する方向の回転軸線81周りに回転させる回転機構11と、を含み、保持部材15は、回転軸線81に対する半径方向において、一対の把持部材13のうちの一方(把持部材13a)の固定位置を調整する第1固定位置調整部15aと、一対の把持部材13のうちの他方(把持部材13b)の固定位置を調整する第2固定位置調整部15bとを含み、一対の把持部材13のうちの一方は、保持部材15のうちの、第1固定位置調整部15aによって調整された位置において保持部材15に固定され、一対の把持部材13のうちの他方は、保持部材15のうちの、第2固定位置調整部15bによって調整された位置において保持部材15に固定される。
【0093】
ここで、一対の把持部材13は、被写体90を把持した状態で保持部材15に保持され、保持部材15とともに回転機構11によって回転される。被写体90の重量が大きいと、回転機構11によって回転される際に、被写体90を安定して保持することが困難な場合がある。そこで、上記のように構成することにより、一対の把持部材13は、被写体90を把持した状態において、一方(把持部材13a)が第1固定位置調整部15aによって調整された位置において保持部材15に固定され、他方(把持部材13b)が第2固定位置調整部15bによって調整された位置において保持部材15に固定される。すなわち、被写体90を把持した状態の一対の把持部材13の各々が、保持部材15に固定される。そのため、たとえば、一対の把持部材13のいずれか一方のみが保持部材15に固定される構成と比較して、被写体90の重量が大きい場合でも、被写体90を安定して保持することができる。その結果、被写体90を回転させながら撮影する際に、重量の大きい被写体90を安定して保持することができる。
【0094】
また、本発明では、上記のように、被写体保持機構3は、上下方向(Z方向)にX線を照射して被写体90を撮影するX線撮影装置100に着脱可能に設けられ、被写体90を回転可能に保持する被写体保持機構3であって、被写体90を把持する一対の把持部材13と、一対の把持部材13を締結する一対の締結部材と、一対の把持部材13を保持する保持部材15と、を含む被写体把持機構10と、一対の把持部材13および保持部材15を含む被写体把持機構10をX線の照射軸線80と交差する方向の回転軸線81周りに回転させる回転機構11と、を含み、保持部材15は、回転軸線81に対する半径方向において、一対の把持部材13のうちの一方の固定位置を調整する第1固定位置調整部15aと、一対の把持部材13のうちの他方の固定位置を調整する第2固定位置調整部15bとを含み、一対の把持部材13のうちの一方は、保持部材15のうちの、第1固定位置調整部15aによって調整された位置において保持部材15に固定され、一対の把持部材13のうちの他方は、保持部材15のうちの、第2固定位置調整部15bによって調整された位置において保持部材15に固定される。
【0095】
これにより、上記X線撮影装置100と同様に、被写体90を回転させながら撮影する際に、重量の大きい被写体90を安定して保持することが可能な被写体保持機構3を提供することができる。
【0096】
ここで、
図17および
図18に記載した比較例による被写体把持機構70の構成と、上記実施形態による被写体保持機構3の構成とを比較することにより、上記実施形態によるX線撮影装置100および被写体保持機構3によるさらなる効果について説明する。
【0097】
(比較例)
図17に示すように、被写体把持機構70は、一対の把持部材71と、一対の第1締結部材72と、保持部材73と、一対の第2締結部材74とを含む。なお、
図17では、一対の把持部材71と被写体90とを視覚的に区別しやすくするために、便宜的に、被写体90に対してハッチングを付している。なお、本明細書では、比較例による被写体把持機構70において、一対の第1締結部材72が延びる方向を、P方向とする。P方向のうち、一方側をP1方向、他方側を、P2方向とする。また、P方向と直交する面内において、互いに直交する2方向の各々を、Q方向およびR方向とする。Q方向のうち、一方側をQ1方向、他方側をQ2方向とする。また、R方向のうち、一方側をR1方向、他方側をR2方向とする。
【0098】
一対の把持部材71は、Q方向から見て、反時計回りに90度回転したL字状形状を有している。一対の把持部材71は、被写体90を把持した状態で、一対の第1締結部材72が締結されることにより、被写体90を保持する。
【0099】
具体的には、一対の把持部材71は、把持部分71aによって被写体90を把持する。また、一対の把持部材71は、P方向に延びる非保持部分71bを有している。非保持部分71bは、第2締結部材74が挿入される貫通孔(図示せず)が設けられており、第2締結部材74によって保持部材73に固定される。
【0100】
図17に示すように、R方向における把持部材71の一方側(R1方向側)の端部71cから第1締結部材72までの長さ50は、R方向における第1締結部材72から把持部材71の他方側(R2方向側)の端部71dまでの長さ51よりも大きい。また、把持部材71の一方側の端部71cのP方向側の厚み52と、把持部材71の他方側の端部71dのP方向側の厚み53とは、互いに異なる。
図17に示す例では、厚み53が、厚み52よりも大きい。すなわち、比較例による把持部材71は、Q方向から見て(側面視において)、非対称的な形状を有している。
【0101】
また、
図17に示すように、比較例による把持部材71では、把持部分71aの端部71cから第1締結部材72までの長さ50が、第1締結部材72から把持部分71aの端部71dまでの長さ51よりも大きい。そのため、
図17に示すように、被写体90を一対の第1締結部材72よりも、R1方向側で把持した場合、矢印75に示すように一対の把持部材71の端部71cの各々が、互いに離間する方向の回転モーメントが生じる場合がある。矢印75に示す方向の回転モーメントが生じた場合、被写体90を安定して保持することが困難になる。
【0102】
また、
図18に示すように、保持部材73には、P方向に延び、U字状形状を有する溝部71eが設けられている。把持部材71は、第2締結部材74(
図17参照)が溝部71eに挿通された状態で締結されることにより、保持部材73(
図17参照)に対して固定される。その際に、溝部71eの長さ54の分だけ、把持部材71をP方向に移動させることが可能である。これにより、把持部材71のP方向の位置の調整を行うことができる。
【0103】
しかしながら、比較例による把持部材71は、溝部71eの長さ54分だけしかP方向に移動することができないため、一対の把持部材71の各々の可動距離が小さくなる。この場合、一対の把持部材71の間の距離55を大きくすることが困難になり、径90a(
図11参照)の大きい被写体90(
図11参照)を把持することができなくなる。
【0104】
本実施形態によるX線撮影装置100が備える被写体保持機構3では、
図9および
図10に示すように、一対の把持部材13の一方(把持部材13a)が、第1固定位置調整部15aに沿って、S方向に移動することができる。また、一対の把持部材13の他方(把持部材13b)が、第2固定位置調整部15bに沿って、S方向に移動することができる。したがって、一対の把持部材13の各々のS方向における可動距離を大きくすることができる。そのため、本実施形態によるX線撮影装置100が備える被写体保持機構3では、一対の把持部材13の間の距離60を大きくすることが可能になるので、径90aの大きい被写体90であっても、保持することができる。その結果、重量が大きく、径90aが大きい被写体90であっても、安定して保持することができる。
【0105】
また、上記実施形態では、以下のように構成したことによって、下記のような更なる効果が得られる。
【0106】
すなわち、本実施形態では、上記のように、被写体保持機構3は、一対の把持部材13と保持部材15とを締結する一対の第2締結部材16をさらに含み、第1固定位置調整部15aは、一対の第2締結部材16の一方(第2締結部材16a)が挿通され、回転軸線81に対する半径方向に延びる第1の長孔15eであり、第2固定位置調整部15bは、一対の第2締結部材16の他方(第2締結部材16b)が挿通され、回転軸線81に対する半径方向に延びる第2の長孔15fである。これにより、第1の長孔15eによって一対の把持部材13の一方(把持部材13a)の固定位置を調整することが可能となるので、一対の把持部材13の一方の固定位置を調整する際の可動距離を大きくすることができる。また、第2の長孔15fによって一対の把持部材13の他方(把持部材13b)の固定位置を調整することが可能となるので、一対の把持部材13の他方の固定位置を調整する際の可動距離を大きくすることができる。したがって、一対の把持部材13の各々の可動距離を大きくすることが可能となるので、径90aの大きい被写体90であっても、容易に把持することができる。また、被写体90を把持した状態の一対の把持部材13を、第1の長孔15eおよび第2の長孔15fに沿って一体的に容易にスライド移動させることができる。その結果、一対の把持部材13によって被写体90を把持した状態であっても、一対の把持部材13の固定位置を容易に調整することができる。
【0107】
また、本実施形態では、上記のように、第1の長孔15eの回転軸線81に対する半径方向に延びる長さ67と、第2の長孔15fの回転軸線81に対する半径方向に延びる長さ68とは、互いに異なる。ここで、一対の把持部材13によって被写体90を把持する際には、一対の把持部材13の間の距離60を被写体90の径90aよりも大きくする。この際、一対の把持部材13のいずれかをスライド移動させればよく、一対の把持部材13の両方をスライド移動させる必要はない。また、たとえば、第1の長孔15eの回転軸線81に対する半径方向に延びる長さ67と、第2の長孔15fの回転軸線81に対する半径方向に延びる長さ68とが等しく、かつ、各長孔の長さが大きい構成の場合、保持部材15の全体の長さ(全長)が大きくなり、被写体把持機構10が大型化する。そこで、上記のように構成することにより、第1の長孔15eおよび第2の長孔15fのうちの長さが大きいほうの長孔に沿って一対の把持部材13のいずれか一方をスライド移動させることにより、一対の把持部材13の間の距離60を被写体90の径90aよりも大きくすることができる。また、第1の長孔15eの長さ67と、第2の長孔15fの長さ68とが等しく、かつ、各長孔の長さが大きい構成と比較して、第1の長孔15eの回転軸線81に対する半径方向に延びる長さ67、および、第2の長孔15fの回転軸線81に対する半径方向に延びる長さ68のうちの、いずれか一方の長さを小さくすることができる。したがって、回転軸線81に対する半径方向における保持部材15の全体の長さ(全長)を小さくすることができる。その結果、回転軸線81に対する半径方向における保持部材15の長さが大きくなることに起因して、被写体把持機構10が大型化することを抑制することができる。
【0108】
また、本実施形態では、上記のように、一対の把持部材13の各々は、回転軸線81が延びる方向(U方向)に貫通するとともに、一対の第1締結部材14が並ぶ方向(T方向)において、一対の第1締結部材14の間の位置に設けられ、一対の第2締結部材16が係合する係合部22を含む。これにより、係合部22が、一対の第1締結部材14の間の位置に設けられているため、係合部22が一対の第1締結部材14の間の位置に配置されていない構成と比較して、一対の把持部材13を回転軸線81の周りに回転させる際の回転半径を小さくすることができる。その結果、被写体90を回転軸線81の周りに回転させる際の回転半径を小さくすることが可能となるので、被写体保持機構3が大型化することを抑制することができる。
【0109】
また、本実施形態では、上記のように、一対の把持部材13の各々は、被写体90を把持する把持部分20を含み、一対の把持部材13の把持部分20は、凹状形状を有しており、一対の把持部材13は、一対の第1締結部材14が並ぶ方向(T方向)において、一対の第1締結部材14の間の位置に把持部分20が配置されるように被写体90を把持するように構成されている。ここで、把持部分20が、T方向において、一対の第1締結部材14の間の位置に配置されない場合、一対の第1締結部材14は、把持部材13のうちの、T方向におけるいずれか一方側の位置において、一対の把持部材13を締結することになる。この場合、一対の把持部材13のT方向における一方側にのみ締結力が付与される。そのため、一対の把持部材13の各々に対して、一対の把持部材13のT方向における他方側の端部が、互いに離間する方向の回転モーメントが発生する。この場合、被写体90を安定して保持することが困難になる。そこで、上記のように、一対の第1締結部材14の間の位置に把持部分20が配置されるように被写体90を把持することにより、一対の把持部材13の各々の、T方向における両端部側に対して、第1締結部材14による締結力を付与することができる。その結果、一対の第1締結部材14が並ぶ方向(T方向)において、一対の第1締結部材14の外側において被写体90を把持する構成と比較して、一対の把持部材13の各々のT方向におけるいずれかの端部が、互いに離間する方向の回転モーメントが発生することを抑制することができる。その結果、被写体90を安定して保持することができる。
【0110】
また、本実施形態では、上記のように、一対の把持部材13は、把持部分20の形状が異なる複数種類の把持部材を含み、一対の把持部材13を含む被写体把持機構10は、回転機構11に対して着脱可能に構成されている。これにより、被写体90の大きさに応じて、把持部分20の形状が異なる把持部材に交換することができる。その結果、一対の把持部材13が1種類しか含まれない構成と比較して、大きさの異なる複数種類の被写体90を安定して保持することができる。また、被写体把持機構10が回転機構11に対して着脱可能なので、被写体把持機構10を回転機構11から取り外した状態で、被写体90を把持することができる。すなわち、ユーザは、X線撮影装置100の外部において、被写体把持機構10に対して被写体90を把持させることができる。その結果、ユーザは、被写体把持機構10が回転機構11に対して着脱不可の構成と比較して、被写体90を被写体把持機構10に対して容易に把持させることができる。
【0111】
また、本実施形態では、上記のように、一対の把持部材13を保持する保持部材15は、回転機構11の回転軸線81に対する半径方向の被写体90の位置を調整可能に構成されている。これにより、回転機構11の回転軸線81に対して、被写体90の回転中心の位置を調整することができる。したがって、被写体90の回転中心の位置を回転軸線81に合わせることにより、被写体90を回転軸線81の回りに回転させながら撮影した画像に基づいて3次元の画像を再構成する際に、回転角度毎における被写体90の位置合わせを行うことなく、3次元の画像を再構成することができる。その結果、3次元の画像を再構成する際の処理の負荷を軽減することができる。
【0112】
また、本実施形態では、上記のように、一対の把持部材13の各々は、一対の第1締結部材14が並ぶ方向(T方向)から見て、第1締結部材14の一端14cと他端14dとを結ぶ線分82に対して、対称的な形状を有している。ここで、たとえば、一対の把持部材13の各々が、線分82に対して非対称的な形状を有している場合、一対の把持部材13の各々の形状の非対称性に起因して、回転機構11によって一対の把持部材13の回転させる際の回転軌道が不規則になる。この場合、回転機構11によって被写体90を安定して回転させることが困難になる。そこで、上記のように構成することにより、一対の把持部材13の各々が線分82に対して対称的な形状を有しているので、一対の把持部材13が被写体90を把持した状態で、回転機構11によって一対の把持部材13を回転軸線81の周りに回転させる際に、回転軌道が不規則になることを抑制することができる。その結果、一対の把持部材13が被写体90を把持した状態で、回転機構11によって一対の把持部材13を回転軸線81の周りに回転させる際に、被写体90を安定して回転させることができる。
【0113】
また、本実施形態では、上記のように、一対の把持部材13の各々は、一対の第1締結部材14によって固定される一対の固定部分21を含み、一対の固定部分21は、一対の第1締結部材14が並ぶ方向(T方向)において、一対の把持部材13の両端部に設けられ、一対の固定部分21の各々は、回転軸線81が延びる方向(U方向)の一方側の端部121aの回転軸線81に対する半径方向における厚み65と、他方側の端部121bの回転軸線81に対する半径方向における厚み66とが互いに等しい。これにより、固定部分21の一方側の端部121aの厚み65と他方側の端部121bの厚み66とが互いに等しいため、固定部分21の一方側の端部121aと他方側の端部121bとの重量差を小さくすることができる。その結果、一対の把持部材13が被写体90を把持した状態で、回転機構11によって一対の把持部材13を回転軸線81の周りに回転させる際に、安定して回転させることができる。
【0114】
また、本実施形態では、上記のように、被写体保持機構3は、被写体把持機構10と回転機構11との間に設けられ、X線の照射軸線80と交差する面内において被写体把持機構10の位置調整を行う位置調整機構12をさらに含む。ここで、たとえば、被写体90を拡大して撮影する場合、回転機構11の回転軸線81に対する被写体90の回転中心の位置調整において、微調整が必要となる。そこで、上記のように構成することにより、位置調整機構12によって、回転機構11の回転軸線81に対する被写体90の回転中心の微調整を行うことができる。その結果、たとえば、被写体90を拡大して撮影するなど、ユーザが手動で位置調整を行うことが困難な場合でもあって、容易に被写体90の位置調整を行うことができる。
【0115】
また、本実施形態では、上記のように、被写体90が載置される被写体載置部4をさらに備え、被写体保持機構3は、被写体載置部4に着脱可能に構成されている。これにより、既存のX線撮影装置100が備える被写体載置部4に対して、被写体保持機構3をオプションとして装着することができる。その結果、3次元の画像を撮影することができないX線撮影装置に対して、被写体保持機構3を装着することにより、3次元の画像を撮影することが可能となるので、ユーザの利便性(ユーザビリティ)を向上させることができる。
【0116】
また、本実施形態では、上記のように、被写体載置部4は、第1開口部4bを含み、被写体保持機構3は、第2開口部17bが設けられ、第1開口部4bに着脱可能なベース部材17をさらに含み、ベース部材17は、回転機構11および被写体把持機構10を保持するように構成されている。これにより、ベース部材17を被写体載置部4の第1開口部4bに装着することにより、被写体把持機構10および回転機構11を、X線撮影装置100に対して容易に装着することができる。また、被写体90の3次元撮影を行わない場合には、ベース部材17を取り外すことにより、被写体把持機構10および回転機構11を容易に取り外すことができる。
【0117】
また、本実施形態では、上記のように、X線照射部1は、X線検出器2よりも下方側に設けられ、X線照射部1と被写体保持機構3との間の位置に設けられ、平面視において第2開口部17bの面積の大きさよりも大きい面積を有し、被写体90が落下することを抑制するための落下抑制部材5をさらに備える。これにより、被写体保持機構3によって保持されている被写体90が、X線照射部1に向けて落下することを抑制することができる。その結果、被写体保持機構3によって保持されている被写体90が落下してX線照射部1に当接することを抑制することができる。
【0118】
また、本実施形態では、上記のように、X線照射部1は、X線検出器2よりも下方側に設けられ、X線照射部1と被写体保持機構3との間において、X線照射部1を覆うように設けられた接触抑制部材6をさらに備える。これにより、被写体保持機構3によって保持された被写体90を回転させながら撮影する際に、被写体90がX線照射部1に接触することを抑制することができる。
【0119】
[変形例]
なお、今回開示された実施形態は、すべての点で例示であって制限的なものではないと考えられるべきである。本発明の範囲は、上記した実施形態の説明ではなく特許請求の範囲によって示され、さらに特許請求の範囲と均等の意味および範囲内でのすべての変更(変形例)が含まれる。
【0120】
たとえば、上記実施形態では、第1固定位置調整部15aが第1の長孔15eであり、第2固定位置調整部15bが第2の長孔15fである構成の例を示したが、本発明はこれに限られない。たとえば、第1固定位置調整部15aおよび第2固定位置調整部15bの各々は、長孔でなくてもよい。把持部材13の固定位置を調整可能であれば、第1固定位置調整部15aおよび第2固定位置調整部15bは、どのように構成されていてもよい。たとえば、第1固定位置調整部15aおよび第2固定位置調整部15bは、第2締結部材16が挿通可能な複数のねじ孔が、回転軸線81に対する半径方向に並べて設けられる構成であってもよい。しかしながら、第1固定位置調整部15aおよび第2固定位置調整部15bが、回転軸線81に対する半径方向に並べて設けられた複数のねじ孔を有する構成の場合、一対の把持部材13の固定位置を微調整することが困難になる。したがって、第1固定位置調整部15aおよび第2固定位置調整部15bの各々は、長孔であることが好ましい。
【0121】
また、上記実施形態では、第1の長孔15eの長さ67と、第2の長孔15fの長さ68とが、互いに異なる構成の例を示したが、本発明はこれに限られない。第1の長孔15eの長さ67と、第2の長孔15fの長さ68とは、互いに等しくてもよい。
【0122】
また、上記実施形態では、第1の長孔15eの長さ67が、第2の長孔15fの長さ68よりも大きい構成の例を示したが、本発明はこれに限られない。たとえば、第1の長孔15eの長さ67が、第2の長孔15fの長さ68よりも小さくてもよい。
【0123】
また、上記実施形態では、係合部22が、一対の第1締結部材14が並ぶ方向(T方向)において、一対の第1締結部材14の間の位置に設けられる構成の例を示したが、本発明はこれに限られない。たとえば、係合部22は、T方向において、一対の第1締結部材14の間の位置以外の位置に設けられていてもよい。しかしながら、係合部22が、T方向において、一対の第1締結部材14の間の位置以外の位置に設けられている場合、回転軸線81に対して被写体90の中心90bの位置を合わせることが困難になる場合がある。したがって、係合部22は、一対の第1締結部材14の間の位置に設けられることが好ましい。
【0124】
また、上記実施形態では、把持部分20が、凹状形状を有する構成の例を示したが、本発明はこれに限られない。被写体90を把持することが可能であれば、把持部分20は、凹状形状以外の形状を有していてもよい。
【0125】
また、上記実施形態では、一対の把持部材13が、一対の第1締結部材14が並ぶ方向(T方向)において、一対の第1締結部材14の間の位置に把持部分20が配置されるように被写体90を把持する構成の例を示したが、本発明はこれに限られない。たとえば、一対の把持部材13は、T方向において、一対の第1締結部材14の間の位置以外の位置に把持部分20が配置されるように構成されていてもよい。しかしながら、T方向において、一対の第1締結部材14の間の位置以外の位置に把持部分20が配置される構成の場合、一対の把持部材13の各々のT方向の一方側の端部(または、他方側の端部)が互いに離間する方向に回転モーメントが生じ、被写体90を安定して把持することが困難になる場合がある。したがって、一対の把持部材13は、T方向において、一対の第1締結部材14の間の位置以外の位置に把持部分20が配置されるように構成することが好ましい。
【0126】
また、上記実施形態では、一対の把持部材13が、把持部分20の形状が異なる複数の把持部材13を含む構成の例を示したが、本発明はこれに限られない。たとえば、一対の把持部材13は、1種類の把持部材であってもよい。しかしながら、一対の把持部材13が1種類の把持部材の場合、様々な形状を有する複数の被写体90を安定して保持することが困難な場合がある。したがって、一対の把持部材13は、把持部分20の形状が異なる複数の把持部材13を含むことが好ましい。
【0127】
また、上記実施形態では、一対の把持部材13が、複数の把持部材13として、第1把持部材130と、第2把持部材131との、2つの把持部材13を含む構成の例を示したが、本発明はこれに限られない。たとえば、一対の把持部材13は、把持部分20の形状が互いに異なる3つ以上の把持部材13を含んでいてもよい。
【0128】
また、上記実施形態では、保持部材15が、第1保持部材150と第2保持部材151とを含む構成の例を示したが、本発明はこれに限られない。たとえば、保持部材15は、第1保持部材150および第2保持部材151のどちらか一方のみを含んでいてもよい。しかしながら、保持部材15が第1保持部材150および第2保持部材151のどちらか一方のみを含む構成の場合、被写体90の径90aによって、一対の把持部材13によって把持することが困難な場合が生じ得る。したがって、保持部材15は、第1保持部材150と第2保持部材151とを含むことが好ましい。
【0129】
また、上記実施形態では、保持部材15が、第1保持部材150と第2保持部材151との、2種類の保持部材を含む構成の例を示したが、本発明はこれに限られない。たとえば、保持部材15は、固定位置調整部(長孔)の長さが異なる3種類以上の保持部材を含んでいてもよい。
【0130】
また、上記実施形態では、保持部材15が、回転機構11の回転軸線81に対する半径方向の被写体90の位置を調整可能に構成されている例を示したが、本発明はこれに限られない。たとえば、保持部材15は、回転機構11の回転軸線81に対する半径方向の被写体90の位置を調整可能に構成されていなくてもよい。しかしながら、保持部材15が回転機構11の回転軸線81に対する半径方向の被写体90の位置を調整可能に構成されていない場合、回転軸線81と被写体90の回転中心とを一致させることが困難になる。この場合、被写体90を回転軸線81の回りに回転させながら撮影した画像に基づいて3次元の画像を再構成する際に、回転角度毎における被写体90の位置合わせを行う必要があり、3次元の画像の再構成の処理負荷が増加する。したがって、保持部材15は、回転機構11の回転軸線81に対する被写体90の位置を調整可能に構成されていることが好ましい。
【0131】
また、上記実施形態では、一対の把持部材13の各々が、一対の第1締結部材14が並ぶ方向(T方向)から見て、第1締結部材14の一端14cと他端14dとを結ぶ線分82に対して、対称的な形状を有している構成の例を示したが、本発明はこれに限られない。一対の把持部材13の各々は、線分82に対して対称的な形状を有していなくてもよい。しかしながら、一対の把持部材13の各々が、線分82に対して対称的な形状を有していない場合、一対の把持部材13の各々の、回転軸線81が延びる方向(U方向)における一端が互いに離間する方向に回動するモーメントが生じる場合がある。この場合、一対の把持部材13によって被写体90を安定して把持することが困難になる。したがって、一対の把持部材13の各々は、一対の第1締結部材14が並ぶ方向から見て、第1締結部材14の一端14cと他端14dとを結ぶ線分82に対して、対称的な形状を有していることが好ましい。
【0132】
また、上記実施形態では、一対の固定部分21の各々が、回転軸線81が延びる方向(U方向)の一方側の端部121aの回転軸線81に対する半径方向における厚み65と、他方側の端部121bの回転軸線81に対する半径方向における厚み66とが互いに等しい構成の例を示したが、本発明はこれに限られない。たとえば、一対の固定部分21の各々の一方側の端部121aの回転軸線81に対する半径方向における厚み65と、他方側の端部121bの回転軸線81に対する半径方向における厚み66とは、互いに等しくなくてもよい。しかしながら、一対の固定部分21の各々の一方側の端部121aの回転軸線81に対する半径方向における厚み65と、他方側の端部121bの回転軸線81に対する半径方向における厚み66とが互いに等しくない場合、一方側の端部121aと他方側の端部121bとの重量差が大きくなる。この場合、一対の把持部材13が被写体90を把持した状態で、一対の把持部材13を回転機構11によって回転軸線81の周りに回転させる際に、固定部分21の重量差によって、回転が不安定になる可能性がある。したがって、一対の固定部分21の各々は、回転軸線81が延びる方向の一方側の端部121aの回転軸線81に対する半径方向における厚み65と、他方側の端部121bの回転軸線81に対する半径方向における厚み66とが互いに等しくなるように構成されることが好ましい。
【0133】
また、上記実施形態では、被写体保持機構3が、位置調整機構12を含む構成の例を示したが、本発明はこれに限られない。たとえば、被写体保持機構3は、位置調整機構12を備えていなくてもよい。しかしながら、被写体保持機構3が位置調整機構12を備えていない場合、回転機構11の回転軸線81に対する被写体90の位置の微調整を行うことが困難になる。したがって、被写体保持機構3は、位置調整機構12を含んでいることが好ましい。
【0134】
また、上記実施形態では、被写体保持機構3が、被写体載置部4に着脱可能に構成される例を示したが、本発明はこれに限られない。たとえば、被写体保持機構3は、X線照射部1とX線検出器2との間に着脱可能に配置されれば、被写体載置部4以外の部材に対して着脱可能に構成されていてもよい。
【0135】
また、上記実施形態では、X線撮影装置100が、落下抑制部材5を備える構成の例を示したが、本発明はこれに限られない。たとえば、X線撮影装置100は、落下抑制部材5を備えていなくてもよい。しかしながら、X線撮影装置100が落下抑制部材5を備えていない場合、被写体保持機構3から落下した被写体90がX線照射部1に当接する恐れがある。したがって、X線撮影装置100は、落下抑制部材5を備えていることが好ましい。
【0136】
また、上記実施形態では、X線撮影装置100が、接触抑制部材6を備える構成の例を示したが、本発明はこれに限られない。たとえば、X線撮影装置100は、接触抑制部材6を備えていなくてもよい。しかしながら、X線撮影装置100が接触抑制部材6を備えていない場合、被写体保持機構3によって保持された被写体90を回転させながら撮影する際に、被写体90がX線照射部1に接触する恐れがある。したがって、X線撮影装置100は、接触抑制部材6を備えていることが好ましい。
【0137】
また、上記実施形態では、被写体検知センサ24が、光学式の検知センサを含む構成の例を示したが、本発明はこれに限られない。たとえば、被写体検知センサ24は、超音波式の検知センサであってもよい。X線照射部1に対する被写体90の接近を検知することが可能であれば、被写体検知センサ24は、どのような方式の検知センサであってもよい。
【0138】
また、上記実施形態では、一対の把持部材13によって被写体90を把持する際に、一対の把持部材13の一方(把持部材13a)をスライド移動させる構成の例を示したが、本発明はこれに限られない。たとえば、一対の把持部材13によって被写体90を把持する際に、一対の把持部材13の他方(把持部材13b)をスライド移動させてもよい。
【0139】
[態様]
上記した例示的な実施形態は、以下の態様の具体例であることが当業者により理解される。
【0140】
(項目1)
X線を照射して被写体を撮影するX線撮影装置であって、
X線を照射するX線照射部と、
上下方向において前記X線照射部と対向するように配置され、前記X線照射部から照射されたX線を検出するX線検出器と、
前記X線照射部と前記X線検出器との間に配置され、被写体を回転可能に保持する被写体保持機構と、を備え、
前記被写体保持機構は、
被写体を把持する一対の把持部材と、前記一対の把持部材を締結する一対の第1締結部材と、前記一対の把持部材を保持する保持部材と、を含む被写体把持機構と、
前記一対の把持部材および前記保持部材を含む前記被写体把持機構をX線の照射軸線と交差する方向の回転軸線周りに回転させる回転機構と、を含み、
前記保持部材は、前記回転軸線に対する半径方向において、前記一対の把持部材のうちの一方の固定位置を調整する第1固定位置調整部と、前記一対の把持部材のうちの他方の固定位置を調整する第2固定位置調整部とを含み、
前記一対の把持部材のうちの一方は、前記保持部材のうちの、前記第1固定位置調整部によって調整された位置において前記保持部材に固定され、前記一対の把持部材のうちの他方は、前記保持部材のうちの、前記第2固定位置調整部によって調整された位置において前記保持部材に固定される、X線撮影装置。
【0141】
(項目2)
前記被写体保持機構は、前記一対の把持部材と前記保持部材とを締結する一対の第2締結部材をさらに含み、
前記第1固定位置調整部は、前記一対の第2締結部材の一方が挿通され、前記回転軸線に対する半径方向に延びる第1の長孔であり、
前記第2固定位置調整部は、前記一対の第2締結部材の他方が挿通され、前記回転軸線に対する半径方向に延びる第2の長孔である、項目1に記載のX線撮影装置。
【0142】
(項目3)
前記第1の長孔の前記回転軸線に対する半径方向に延びる長さと、前記第2の長孔の前記回転軸線に対する半径方向に延びる長さとは、互いに異なる、項目2に記載のX線撮影装置。
【0143】
(項目4)
前記一対の把持部材の各々は、前記回転軸線が延びる方向に貫通するとともに、前記一対の第1締結部材が並ぶ方向において、前記一対の第1締結部材の間の位置に設けられ、前記一対の第2締結部材が係合する係合部を含む、項目3に記載のX線撮影装置。
【0144】
(項目5)
前記一対の把持部材の各々は、被写体を把持する把持部分を含み、
前記一対の把持部材の前記把持部分は、凹状形状を有しており、
前記一対の把持部材は、前記一対の第1締結部材が並ぶ方向において、前記一対の第1締結部材の間の位置に前記把持部分が配置されるように被写体を把持するように構成されている、項目4に記載のX線撮影装置。
【0145】
(項目6)
前記一対の把持部材は、前記把持部分の形状が異なる複数種類の把持部材を含み、
前記一対の把持部材を含む前記被写体把持機構は、前記回転機構に対して着脱可能に構成されている、項目5に記載のX線撮影装置。
【0146】
(項目7)
前記一対の把持部材を保持する前記保持部材は、前記回転機構の前記回転軸線に対する半径方向の被写体の位置を調整可能に構成されている、項目1に記載のX線撮影装置。
【0147】
(項目8)
前記一対の把持部材の各々は、前記一対の第1締結部材が並ぶ方向から見て、前記第1締結部材の一端と他端とを結ぶ線分に対して、対称的な形状を有している、項目1に記載のX線撮影装置。
【0148】
(項目9)
前記一対の把持部材の各々は、前記一対の第1締結部材によって固定される一対の固定部分を含み、
前記一対の固定部分は、前記一対の第1締結部材が並ぶ方向において、前記一対の把持部材の両端部に設けられ、
前記一対の固定部分の各々は、前記回転軸線が延びる方向の一方側の端部の前記回転軸線に対する半径方向における厚みと、他方側の端部の前記回転軸線に対する半径方向における厚みとが互いに等しい、項目8に記載のX線撮影装置。
【0149】
(項目10)
前記被写体保持機構は、前記被写体把持機構と前記回転機構との間に設けられ、X線の照射軸線と交差する面内において前記被写体把持機構の位置調整を行う位置調整機構をさらに含む、項目1に記載のX線撮影装置。
【0150】
(項目11)
被写体が載置される被写体載置部をさらに備え、
前記被写体保持機構は、前記被写体載置部に着脱可能に構成されている、項目1に記載のX線撮影装置。
【0151】
(項目12)
前記被写体載置部は、第1開口部を含み、
前記被写体保持機構は、第2開口部が設けられ、前記第1開口部に着脱可能なベース部材をさらに含み、
前記ベース部材は、前記回転機構および前記被写体把持機構を保持するように構成されている、項目11に記載のX線撮影装置。
【0152】
(項目13)
前記X線照射部は、前記X線検出器よりも下方側に設けられ、
前記X線照射部と前記被写体保持機構との間の位置に設けられ、平面視において前記第2開口部の面積の大きさよりも大きい面積を有し、被写体が落下することを抑制するための落下抑制部材をさらに備える、項目12に記載のX線撮影装置。
【0153】
(項目14)
前記X線照射部は、前記X線検出器よりも下方側に設けられ、
前記X線照射部と前記被写体保持機構との間において、前記X線照射部を覆うように設けられた接触抑制部材をさらに備える、項目1に記載のX線撮影装置。
【0154】
(項目15)
上下方向にX線を照射して被写体を撮影するX線撮影装置に着脱可能に設けられ、被写体を回転可能に保持する被写体保持機構であって、
被写体を把持する一対の把持部材と、前記一対の把持部材を締結する一対の締結部材と、前記一対の把持部材を保持する保持部材と、を含む被写体把持機構と、
前記一対の把持部材および前記保持部材を含む前記被写体把持機構をX線の照射軸線と交差する方向の回転軸線周りに回転させる回転機構と、を備え、
前記保持部材は、前記回転軸線に対する半径方向において、前記一対の把持部材のうちの一方の固定位置を調整する第1固定位置調整部と、前記一対の把持部材のうちの他方の固定位置を調整する第2固定位置調整部とを含み、
前記一対の把持部材のうちの一方は、前記保持部材のうちの、前記第1固定位置調整部によって調整された位置において前記保持部材に固定され、前記一対の把持部材のうちの他方は、前記保持部材のうちの、前記第2固定位置調整部によって調整された位置において前記保持部材に固定される、被写体保持機構。
【符号の説明】
【0155】
1 X線照射部
2 X線検出器
3 被写体保持機構
4 被写体載置部
4b 第1開口部
5 落下抑制部材
6 接触抑制部材
10 被写体把持機構
11 回転機構
12 位置調整機構
13、13a、13b、131 把持部材(一対の把持部材)
14、14a、14b、143 第1締結部材(一対の第1締結部材)
15 保持部材
15a 第1固定位置調整部
15b 第2固定位置調整部
15e 第1の長孔
15f 第2の長孔
16、16a、16b 第2締結部材(一対の第2締結部材)
20、20a、20b 把持部分
21、21a、21b、21c、21d 固定部分
22、22a、22b 係合部
65 厚み(回転軸線が延びる方向の一方側の端部の回転軸線に対する半径方向における厚み)
66 厚み(回転軸線が延びる方向の他方側の端部の回転軸線に対する半径方向における厚み)
80 照射軸線
81 回転軸線
82 線分(第1締結部材の一端と他端とを結ぶ線分)
90 被写体
100 X線撮影装置
121a 端部(固定部分の回転軸線が延びる方向の一方側の端部)
121b 端部(固定部分の回転軸線が延びる方向の他方側の端部)