(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024098335
(43)【公開日】2024-07-23
(54)【発明の名称】口腔周囲筋の機能を改善するためのトレーニング方法
(51)【国際特許分類】
A63B 23/03 20060101AFI20240716BHJP
【FI】
A63B23/03
【審査請求】未請求
【請求項の数】8
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023001783
(22)【出願日】2023-01-10
(71)【出願人】
【識別番号】505340722
【氏名又は名称】鈴木 芳和
(74)【代理人】
【識別番号】100108833
【弁理士】
【氏名又は名称】早川 裕司
(74)【代理人】
【識別番号】100162156
【弁理士】
【氏名又は名称】村雨 圭介
(72)【発明者】
【氏名】クリストファー ジョン ファレル
(57)【要約】
【課題】睡眠時の呼吸障害、正常ではない歯並び、顎関節症などの原因となりうる口腔周囲筋の機能を改善するためのトレーニング方法を提供する
【解決手段】マウスピースを用いて口腔周囲筋の機能を改善するためのトレーニング方法であって、前記マウスピースは、平面視で一方に膨出するアーチ形状を有する本体部と、前記本体部から他方に延出する舌タグ部と、平面視で前記本体部の両端に形成された顎スプリング部と、を備える。当該トレーニング方法は、呼吸のステップと、舌のステップと、嚥下のステップと、口唇及び頬のステップとを含む。
【選択図】
図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
マウスピースを用いて口腔周囲筋の機能を改善するためのトレーニング方法であって、
前記マウスピースは、
平面視で一方に膨出するアーチ形状を有する本体部と、
前記本体部から他方に延出する舌タグ部と、
平面視で前記本体部の両端に形成された顎スプリング部と、
を備え、
呼吸のステップと、舌のステップと、嚥下のステップと、口唇及び頬のステップとを含み、
前記呼吸のステップは、鼻呼吸を行うことを含み、
前記舌のステップは、舌を正しい位置に置くことを含み、
前記嚥下のステップは、正しい嚥下を行うことを含み、
前記口唇及び頬のステップは、口輪筋を使うことを含む、
トレーニング方法。
【請求項2】
前記呼吸のステップは、
正しい鼻呼吸を行うことと、
歩行の間で鼻呼吸を行うことと、
鼻づまりを解消することと、
を含む、請求項1に記載のトレーニング方法。
【請求項3】
前記舌のステップは、
舌全体を口蓋に置くことと、
舌を鳴らすことと、
舌を伸ばすことと、
を含む、請求項1に記載のトレーニング方法。
【請求項4】
前記舌のステップは、
舌先を突き出すことと、
舌を横に開くことと、
舌の上下運動を行うことと、
をさらに含む、請求項3に記載のトレーニング方法。
【請求項5】
前記嚥下のステップは、
正しい飲み方を行うことと、
口を引っ張って飲むことと、
前記マウスピースを口腔内に装着して水を飲むことと、
を含む、請求項1に記載のトレーニング方法。
【請求項6】
前記嚥下のステップは、
前記マウスピースを口腔内に装着せずに水を飲むことと、
舌の上に水を溜めることと、
をさらに含む、請求項5に記載のトレーニング方法。
【請求項7】
前記口唇及び頬のステップは、
前記マウスピースの付属部材を装着して口輪筋を使うことと、
口唇を鳴らすことと、
口を膨らますことと、
を含む、請求項1に記載のトレーニング方法。
【請求項8】
前記呼吸のステップ、前記舌のステップ、前記嚥下のステップ、及び前記口唇及び頬のステップは、この順に実施される、請求項1に記載のトレーニング方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、口唇、舌、及び顎などの口腔周囲筋の機能を改善するためのトレーニング方法に関する。
【背景技術】
【0002】
睡眠時無呼吸症候群(Sleep Apnea Syndrome:SAS)に対に対する社会的な関心が高まっている。無呼吸低呼吸指数(Apnea Hypopnea Index:AHI)は、睡眠1時間あたりの「無呼吸」と「低呼吸」の合計回数を示し、この指数に応じてSASの重症度が分類される。最近の研究によると、口唇、舌、及び顎などの口腔周囲筋の機能を改善することにより、AHIが、成人で約50%、小児で約60%低下することが分かっている。
【0003】
また、従来、子供(3~15歳)の正常ではない歯並びの原因は、遺伝的要因にあるといわれている。遺伝的要因の例は、歯のサイズや顎のサイズである。しかし、最近の研究によると、正常ではない歯並びの原因は、遺伝的要因だけではなく、環境的要因にもあることが分かっている。環境的要因の例は、口唇、舌、及び顎などの口腔周囲筋の機能不全である。口腔周囲筋の機能不全は、上下の顎の発達不足を引き起こし、その結果、歯並びに歪みが生じたり、顎関節や咀嚼筋に痛みが生じたりすることがある。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
本発明は、上記の問題点に鑑みてなされたものであり、睡眠時の呼吸障害、正常ではない歯並び、顎関節症などの原因となりうる口腔周囲筋の機能を改善するためのトレーニング方法を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0005】
上記目的を達成するため、本発明は、マウスピースを用いて口腔周囲筋の機能を改善するためのトレーニング方法であって、前記マウスピースは、平面視で一方に膨出するアーチ形状を有する本体部と、前記本体部から他方に延出する舌タグ部と、平面視で前記本体部の両端に形成された顎スプリング部と、備え、呼吸のステップと、舌のステップと、嚥下のステップと、口唇及び頬のステップとを含み、前記呼吸のステップは、鼻呼吸を行うことを含み、前記舌のステップは、舌を正しい位置に置くことを含み、前記嚥下のステップは、正しい嚥下を行うことを含み、前記口唇及び頬のステップは、口輪筋を使うことを含む、トレーニング方法を提供する(発明1)。
【0006】
かかる発明(発明1)によれば、睡眠時の呼吸障害、正常ではない歯並び、顎関節症などの原因となりうる口腔周囲筋の機能を改善することができる。
【0007】
上記発明(発明1)において、前記呼吸のステップは、正しい鼻呼吸を行うことと、歩行の間で鼻呼吸を行うことと、鼻づまりを解消することと、を含んでいてもよい(発明2)。
【0008】
かかる発明(発明2)によれば、鼻呼吸を習得しやすくなる。
【0009】
上記発明(発明1,2)において、前記舌のステップは、舌全体を口蓋に置くことと、舌を鳴らすことと、舌を伸ばすことと、を含んでいてもよい(発明3)。
【0010】
かかる発明(発明3)によれば、舌の正しい位置を習得しやすくなる。
【0011】
上記発明(発明3)において、前記舌のステップは、舌先を突き出すことと、舌を横に開くことと、舌の上下運動を行うことと、をさらに含んでいてもよい(発明4)。
【0012】
かかる発明(発明4)によれば、舌の正しい位置をより習得しやすくなる。
【0013】
上記発明(発明1-4)において、前記嚥下のステップは、正しい飲み方を行うことと、口を引っ張って飲むことと、前記マウスピースを口腔内に装着して水を飲むことと、を含んでいてもよい(発明5)。
【0014】
かかる発明(発明5)によれば、正しい嚥下を習得しやすくなる。
【0015】
上記発明(発明5)において、前記嚥下のステップは、前記マウスピースを口腔内に装着せずに水を飲むことと、舌の上に水を溜めることと、をさらに含んでいてもよい(発明6)。
【0016】
かかる発明(発明6)によれば、正しい嚥下をより習得しやすくなる。
【0017】
上記発明(発明1-6)において、前記口唇及び頬のステップは、前記マウスピースの付属部材を装着して口輪筋を使うことと、口唇を鳴らすことと、口を膨らますことと、を含んでいてもよい(発明7)。
【0018】
かかる発明(発明7)によれば、口唇閉鎖の不全を改善しやすくなる。
【0019】
上記発明(発明1-7)において、前記呼吸のステップ、前記舌のステップ、前記嚥下のステップ、及び前記口唇及び頬のステップは、この順に実施されることが好ましい(発明8)。
【0020】
かかる発明(発明8)によれば、口腔周囲筋の機能の改善をよりスムーズに進行させることができる。
【発明の効果】
【0021】
本発明によれば、睡眠時の呼吸障害、正常ではない歯並び、顎関節症などの原因となりうる口腔周囲筋の機能を改善することができる。
【図面の簡単な説明】
【0022】
【
図1】本発明の実施形態に係るトレーニング方法で用いられるマウスピースを示す概略図であって、(a)は正面斜視図、(b)は背面斜視図である。
【
図2】
図1のマウスピースの付属部材を示す概略斜視図である。
【
図3】本発明の実施形態に係るトレーニング方法の一例を示すフロー図である。
【発明を実施するための形態】
【0023】
以下、本発明の実施形態を図面に基づいて説明する。本発明は、以下に説明する実施形態にのみ限定されるものではなく、記載された実施形態はあくまでも本発明の技術的特徴を説明するための例示にすぎない。また、各図面に示す形状や寸法はあくまでも本発明の内容の理解を容易にするために示したものであり、実際の形状や寸法を正しく反映したものではない。
【0024】
〔マウスピース〕
図1は、本発明の実施形態に係るトレーニング方法で用いられるマウスピース10を示す概略図であって、(a)は正面斜視図、(b)は背面斜視図である。マウスピース10は、本体部1、舌タグ部2、及び顎スプリング部3を備える。当該トレーニング方法は、マウスピース10を用いて行う。「当該トレーニング方法は、マウスピース10を用いて行う」とは、一定期間マウスピース10を口腔内に装着した後に、マウスピース10を口腔内に装着せずにトレーニングを行うことと、一定期間マウスピース10を口腔内に装着した後に、マウスピース10を口腔内に装着してトレーニングを行うこととを含む意味である。「一定期間」は、典型的には、就寝中である。
【0025】
本体部1は、平面視で一方に膨出するアーチ形状を有する。本体部1は、膨出する方向とは逆の方向において、アーチ形状に沿って設けられた突出部11を有する。突出部11は、本体部1のアーチ形状の内側に向かって張り出すように設けられている。装着した際、本体部1の突出部11は、上側の歯列と下側の歯列との間に配置される。
【0026】
舌タグ部2は、本体部1から膨出する方向とは逆の方向に延出するように設けられている。装着した際、舌タグ部2に舌先が当てられる。
【0027】
顎スプリング部3は、平面視で本体部1の両端に形成されている。装着した際、顎スプリング部3は、上顎と下顎との間に配置される。
【0028】
マウスピース10は、弾性を有する樹脂材料によって形成されている。弾性を有する樹脂材料は、例えば、医療用シリコンである。
【0029】
〔マウスピースを用いたトレーニング方法〕
当該トレーニング方法は、呼吸のステップと、舌のステップと、嚥下のステップと、口唇及び頬のステップとを含む。以下、各ステップについて説明する。
【0030】
[呼吸のステップ]
呼吸のステップは、鼻呼吸を行うことを含む。鼻呼吸は、口を閉じた状態で行う。鼻呼吸ができるようになったら、別のステップに進んでもよい。呼吸のステップは、例えば、3ヶ月間継続することが好ましい。
【0031】
呼吸のステップは、正しい鼻呼吸を行うことと、歩行の間で鼻呼吸を行うことと、鼻づまりを解消することと、を含んでいてもよい。これら3つのサブステップは、この順に実施することが好ましい。これら3つのサブステップを含むことにより、鼻呼吸が習得しやすくなる。なお、これら3つのサブステップは、マウスピース10を口腔内に装着せずに行う。
【0032】
(正しい鼻呼吸を行うサブステップ)
正しい鼻呼吸を行うサブステップにより、正しい呼吸法として、横隔膜呼吸を常に行うことできるようになる。横隔膜呼吸を行う場合には、肩や胸ではなく、腹部を使うことを意識することが好ましい。例えば、横隔膜を使った呼吸が感じられることを当該サブステップの目標としてもよい。
【0033】
正しい鼻呼吸を行うサブステップは、寝て鼻呼吸を行うことと、立って鼻呼吸を行うことと、座って鼻呼吸を行うことと、を含んでいてもよい。これら3つの動作は全部実施することが好ましい。立って鼻呼吸を行うこと及び座って鼻呼吸を行うことが難しい場合には、寝て鼻呼吸を行うことから始めることが好ましい。寝て鼻呼吸を行うと、自然と横隔膜を使った呼吸が促される。寝て鼻呼吸を行うことにより横隔膜を使った呼吸を感じされるようになったら、立って鼻呼吸を行うこと及び座って鼻呼吸を行うことを行ってもよい。これら3つの動作はそれぞれ、毎日2回、2分ずつ行うことが好ましい。
【0034】
寝て鼻呼吸を行うことにより、横隔膜の位置を覚えることができる。息を吸うときにみぞおちが膨らみ、息を吐くときにみぞおちがへこむことを意識するとよい。例えば、腹の中に風船があることをイメージするとよい。
【0035】
立って鼻呼吸を行うこと及び座って鼻呼吸を行うことにより、空気が腹部に入るスペースを確保することができるとともに、正しい姿勢で横隔膜の動きを感じることができる。立って鼻呼吸を行うこと及び座って鼻呼吸を行うことは、少し背中がカーブするような正しい姿勢で行うとよい。詳細には、両足に体重をのせ、肩を楽に後ろに落とし、顎を床と平行にし、両手を身体側に降ろすことで、正しい姿勢をとることができる。前屈みになりすぎると、腹部に空気が入るスペースが狭くなり、横隔膜の動きを感じ取りにくくなる。例えば、吸い込んだ空気が肺の一番下に全て入ることを意識するとよい。
【0036】
正しい鼻呼吸を行うサブステップは、トレーニングを行う人間のタイミングで鼻から呼吸すること、胸及び肩が上下に移動しないこと、軽い呼吸を行っていること、呼吸の音が聞こえないこと、などに留意して行うことが好ましい(留意事項)。
【0037】
(歩行の間で鼻呼吸を行うサブステップ)
歩行の間で鼻呼吸を行うサブステップにより、トレーニングを行う人間が自分で呼吸をコントロールできるようになる。当該サブステップにより、特に、軽い呼吸を習得することが好ましい。例えば、当該サブステップの実施後の就寝において、口腔内に装着したマウスピース10が一晩中外れないこと、当該サブステップにおいて60秒以上歩行できることを当該サブステップの目標としてもよい。
【0038】
歩行の間で鼻呼吸を行うサブステップは、鼻呼吸を30秒行って呼吸を整えることと、鼻から息を吐ききった後に、鼻を上からつまんで歩行を開始することと、息が苦しくなる前に歩行を停止し、鼻からゆっくり呼吸をすることと、を含んでいてもよい。これら3つの動作を1セットとして、6セット繰り返すことが好ましい。例えば、一日2回、6セット実施してもよい。
【0039】
歩行の間で鼻呼吸を行うサブステップを行う際には、ゆっくりとした呼吸を行っているか、息を吐き出してから呼吸を行っているか、口を閉じた状態で鼻呼吸を行っているか、正しい姿勢がとれているか、などに留意する。頭を持ち上げることにより、下が口蓋に上がりやすくなるとともに、背筋が伸びた正しい姿勢をとりやすくなる。鼻をつまむ際に、鼻を下からではなく上からつまむことにより、口元が見えなくなることを回避できる。また、正しい姿勢を取りやすくなる。
【0040】
歩行の間で鼻呼吸を行うサブステップは、軽い運動をしながら行うことが好ましい。軽い運動をすることにより、体内の二酸化炭素の濃度を上昇させ、血液中のヘモグロビンから酸素を解離させやすくなる。体内の細胞に十分な酸素が行き渡ることで、楽に正しい鼻呼吸を行うことができるようになる。
【0041】
歩行の間で鼻呼吸を行うサブステップは、トレーニングを行う人間のタイミングで鼻から呼吸すること、歩行のしすぎにより息切れしないこと、荒い呼吸を行わないこと、口を開かないこと、などに留意して行うことが好ましい(留意事項)。
【0042】
(鼻づまりを解消するサブステップ)
鼻づまりを解消するサブステップにより、楽に鼻呼吸を行うことができるようになる。当該サブステップにより、特に、鼻呼吸の正しいテクニックを習得することが好ましい。当該サブステップは、トレーニングを行う人間が、鼻づまり、鼻炎、アレルギー、風邪をひいたときなどのタイミングに適宜行うサブステップである。
【0043】
鼻づまりを解消するサブステップは、鼻呼吸を30秒行って呼吸を整えることと、鼻から息を吐き切った後に、鼻を上からつまむことと、鼻をつまんだまま頭を左右にゆっくりと揺らすことと、息が苦しくなる前に頭を揺らすのを止めて、鼻から呼吸をすることと、を含んでいてもよい。これら4つの動作を1セットとして、6セット繰り返すことが好ましい。例えば、一日2回、6セット実施してもよい。
【0044】
鼻づまりを解消するサブステップは、座った姿勢で行うことが好ましい。
【0045】
鼻づまりを解消するサブステップは、口を閉じたままで行うこと、頭を激しく揺らさないこと、鼻呼吸を続けること、セット間の30秒を短縮しないこと、などに留意して行うことが好ましい(留意事項)。
【0046】
[舌のステップ]
舌のステップは、舌を正しい位置に置くことを含む。舌の正しい位置を覚えたら、別のステップに進んでもよい。舌のステップは、例えば、4ヶ月間継続することが好ましい。
【0047】
舌のステップは、舌全体を口蓋に置くことと、舌を鳴らすことと、舌を伸ばすことと、を含んでいてもよい。これら3つのサブステップは、この順に実施することが好ましい。これら3つのサブステップを含むことにより、舌の正しい位置が習得しやすくなる。なお、これら3つのサブステップは、マウスピース10を口腔内に装着せずに行う。
【0048】
(舌全体を口蓋に置くサブステップ)
舌全体を口蓋に置くサブステップにより、舌全体を口蓋に置くことができるようになる。当該サブステップにより、舌の正しい位置を覚えることが好ましい。例えば、舌全体を口蓋に置いた状態を1分以上維持できることを当該サブステップの目標としてもよい。
【0049】
舌全体を口蓋に置くサブステップは、前歯の後ろにある「スポット」に舌を置くことと、舌全体を口蓋に置くことと、上下の歯をわずかに(1~2mmの間隔)離して口を閉じることと、舌がスポットから離れないようにしてその状態を維持することと、を含んでいてもよい。これら4つの動作は、この順に実施することが好ましい。各動作ズは、口を閉じて行うことが好ましい。
【0050】
マウスピース10を口腔内に装着している際に、舌タグ部2に舌先を当てることにより、マウスピース10を口腔内に装着していない際に、スポットに舌を置くことができるようになる。スポットに舌を置くときに、舌先が上の歯の直接触れないように留意する。舌全体を口蓋に置くときに、オトガイ筋が動いてしまう場合には、人差し指を顎に置くとよい。口を開ける大きさは指1~2本分が好ましい。舌に力が入りすぎないように留意する。口を閉じるときに、完全に上下の歯が接触すると、歯ぎしりにつながる可能性がある。舌がスポットから離れない状態は、少なくとも1分間維持することが好ましい。
【0051】
舌全体を口蓋に置くサブステップは、舌先が上の歯に直接触れないようにすること、舌先が後方に行きすぎないようにすること、上下の歯を近づけたときに舌が下の歯に触れないようにすること、口を大きく開けすぎないようにすること、舌が震えたり、表情筋に力が入っていたりしないこと、などに留意して行うことが好ましい(留意事項)。
【0052】
(舌を鳴らすサブステップ)
舌を鳴らすサブステップにより、舌の力を強化できる。当該サブステップにより、安静時に舌全体を口蓋に平らに置くことを理解することが好ましい。例えば、下顎を動かさないで、30回連続で舌を鳴らすこと、安静時に舌が正しい位置に置かれており、楽に口が閉じられていること、を当該サブステップの目標としてもよい。
【0053】
舌を鳴らすサブステップは、口を開けて、舌をスポットに置くことと、舌全体を口蓋まで上げることと、口を開けたまま、舌全体を下に落として大きな音を出すことと、を含んでいてもよい。これら3つの動作は、この順に実施することが好ましい。
【0054】
舌をスポットに置く際には、楽に舌をスポットに置くことができているかを確認する。舌全体を口蓋まで上げる際には、オトガイ筋を動かさず、舌の力だけで持ち上げるよう注意することが好ましい。舌全体を下に落として大きな音(クリック音)を出す際には、舌を鳴らす前に、舌が口蓋に平らになっているかを確認する。クリック音は大きく、力強く鳴らす。クリックしたとき、下顎が動いていないかを確認する。これらの各動作はゆっくり丁寧に行うことが好ましい。例えば、大きな音を出す直前で動作を一旦停止することにより、安静時の口蓋おける舌全体の位置を認識できる。
【0055】
舌を鳴らすサブステップは、口を開けすぎていないこと、下顎は動かさずに開けたまま行うこと、舌を単独で動かすこと、急いでやりすぎないこと、口を開けたり、閉じたりしないこと、などに留意して行うことが好ましい(留意事項)。
【0056】
(舌を伸ばすサブステップ)
舌を伸ばすサブステップは、舌を安静時の位置(口蓋)で少なくとも60秒維持できることを確認してから行うことがより好ましい。当該サブステップにより、舌の筋肉をストレッチすることによって、自然に舌全体を口蓋に置くことができるようになる。例えば、舌が震えることなく1分間維持できることを当該サブステップの目標としてもよい。
【0057】
舌を伸ばすサブステップは、舌をスポットに置くことと、舌全体を口蓋まで上げることと、口をできるだけ大きく開けることと、そのままの状態で1分間維持することと、を含んでいてもよい。これら4つの動作は、この順に実施することが好ましい。
【0058】
舌を伸ばすサブステップは、オトガイ筋に力を入れず、舌の力で行うことが好ましい。また、口唇筋、頬筋、及び頤筋の力が抜けていることを確認しながら行うことが好ましい。
【0059】
舌を伸ばすサブステップにおいて、口を開けたときに舌の伸びを感じることが好ましい。
【0060】
舌を伸ばすサブステップは、安静時の位置とは異なる位置に舌が置かれていないこと、舌が震えていないこと、舌が下に落ちたり、横にスライドしたりしないこと、などに留意して行うことが好ましい(留意事項)。
【0061】
舌のステップは、舌先を突き出すことと、舌を横に開くことと、舌の上下運動を行うことと、をさらに含んでいてもよい。これら3つのサブステップは、この順に実施することが好ましい。これら3つのサブステップを含むことにより、舌の正しい位置がより習得しやすくなる。これら3つのサブステップは、上述した3つサブステップを習得した後に行うことが好ましい。なお、これら3つのサブステップも、マウスピース10を口腔内に装着せずに行う。
【0062】
(舌先を突き出すサブステップ)
舌先を突き出すサブステップにより、内舌筋を安定させ、強化することができる。例えば、舌をサーフボードのような形にした状態で60秒維持できることを当該サブステップの目標としてもよい。
【0063】
舌先を突き出すサブステップは、舌をスポットに置くことと、舌を口蓋に上げて、舌の後ろの方から降ろし、徐々に口蓋から離すことと、舌をスポットから離し、口を大きく開き、舌先を突き出すことと、を含んでいてもよい。これら3つの動作は、この順に実施することが好ましい。
【0064】
舌をスポットに置く際には、楽に舌をスポットに置くことができているかを確認することが好ましい。舌先を突き出す際には、舌先を突き出しすぎないようにする。舌に力がついてきたら、口の外に舌を突き出してもよい。舌先の突き出しは、10秒維持することから始め、徐々に時間を延ばすことが好ましい。3つの動作の終了時には、一旦、舌をスポットに戻す。舌筋が疲れて舌が震え始めたら場合にも、舌をスポットに戻す。口はできるだけ広くし、舌をサーフボードのような形にして舌をコントロールする。舌はわずかにカーブしてもよい。
【0065】
舌先を突き出すサブステップは、舌が臼歯及び口角に触れないこと、舌の後ろの方が下の歯から離れていること、極端に舌が動いていないこと、などに留意して行うことが好ましい(留意事項)。
【0066】
(舌を横に開くサブステップ)
舌を横に開くサブステップは、舌先を突き出すサブステップが確実にできるようになってから行うことが好ましい。舌を横に開くサブステップにより、内舌筋及び外舌筋を鍛えることができる。内舌筋は、舌の形を整えるのに役立つ。外舌筋は、舌の動きを滑らかにするのに役立つ。例えば、舌が震えたり、口唇周り及び頬が動いたりすることなく、15回以上連続して行うことを当該サブステップの目標としてもよい。
【0067】
舌を横に開くサブステップは、舌をスポットに置くことと、舌の後ろの方を徐々に口蓋から離すことと、口を大きく開き、舌先を思い切り突き出すことと、舌を横に開き、分厚くすることと、を含んでいてもよい。これら4つの動作は、この順に実施することが好ましい。
【0068】
舌をスポットに置く際には、楽に舌をスポットに置くことができているかを確認することが好ましい。舌を横に開き、舌を分厚くする際には、舌が口の外に出た状態を保つことが好ましい。舌先を思い切り突き出すことと舌を分厚くすることとは、それぞれ2秒間維持することが好ましい。このセットを5~15回ゆっくり繰り返すことが好ましい。4つの動作の終了時には、終了時には、一旦、舌をスポットに戻す。
【0069】
舌を横に開くサブステップは、舌先を突き出すサブステップの延長のサブステップととらえることができる。舌先を突き出すサブステップの後に、舌を横に開くサブステップを行うことにより、舌筋をより効果的に鍛えることができ、舌筋をコントロールできるようになる。
【0070】
舌を横に開くサブステップは、舌の後ろの方が下の歯から離れていること、急いでやりすぎず、動作をコントロールすること、舌が震えたり、口唇周り及び頬が動いたりしないこと、舌を動かすとき、口唇と舌とが触れないこと、などに留意して行うことが好ましい(留意事項)。
【0071】
(舌の上下運動を行うサブステップ)
舌の上下運動を行うサブステップは、舌を横に開くサブステップが確実にでき、かつ、舌の正しい位置を習得できるようになってから行うことが好ましい。舌の上下運動を行うサブステップにより、舌をコントロールできることが望ましい。当該サブステップにより、嚥下する際に、舌がどのような動きをしているかを確認することが好ましい。例えば、下顎を動かさず、15回以上連続して行うことを当該サブステップの目標としてもよい。
【0072】
舌の上下運動を行うサブステップは、舌をスポットに置くことと、舌を口蓋に吸い上げて2秒間維持することと、舌の後ろの方を徐々に口蓋から離して2秒間維持することと、を含んでいてもよい。これら3つの動作は、この順に実施することが好ましい。
【0073】
舌をスポットに置く際には、楽に舌をスポットに置くことができているかを確認することが好ましい。舌を口蓋に吸い上げて2秒間維持することと、舌の後ろの方を徐々に口蓋から離して2秒間維持することとを、10~15回行うことが好ましい。舌の上下運動を行うサブステップは、嚥下のステップの準備段階にも相当するため、1つ1つ丁寧に行うことが好ましい。
【0074】
舌の上下運動を行うサブステップは、口を開けすぎないこと、下顎を動かさないこと、舌がスポットから外れないこと、などに留意して行うことが好ましい(留意事項)。
【0075】
[嚥下のステップ]
嚥下のステップは、正しい嚥下を行うことを含む。嚥下のステップは、鑑の前で行う。正しい嚥下を覚えたら、別のステップに進んでもよい。嚥下のステップは、例えば、3ヶ月間継続することが好ましい。
【0076】
嚥下のステップは、正しい飲み方を行うことと、口を引っ張って飲むことと、マウスピース10を口腔内に装着して水を飲むことと、を含んでいてもよい。これら3つのサブステップは、この順に実施することが好ましい。これら3つのサブステップを含むことにより、正しい嚥下が習得しやすくなる。なお、これら3つのサブステップのうち、マウスピース10を口腔内に装着して水を飲むサブステップ以外は、マウスピース10を口腔内に装着せずに行う。
【0077】
(正しい飲み方を行うサブステップ)
正しい飲み方を行うサブステップにより、正しい嚥下を覚えることができる。当該サブステップは、鏡で嚥下の方向を確認しながら行うことが好ましい。当該サブステップでは、トレーニングを行う人間が自ら、飲み込みを感じることが好ましい。例えば、正しい嚥下を5~10回、又は、2分間行うことを当該サブステップの目標としてもよい。
【0078】
正しい飲み方を行うサブステップは、舌をスポットに置くことと、上下の歯をわずかに離したまま口を閉じることと、上下の歯を接触させて、舌の波打たせるような動きにより唾液を飲み込むことと、唾液を飲み込んだ後に舌をスポットに戻すことと、を含んでいてもよい。これら4つの動作は、この順に実施することが好ましい。4つの動作の終了時には、一旦、舌をスポットに戻す。
【0079】
舌をスポットに置く際には、楽に舌をスポットに置くことができているかを確認することが好ましい。
【0080】
正しい飲み方を行うサブステップは、うなずきの動作をしていないこと、舌がスポットから離れないこと、瞬きをしないこと、嚥下の後に口唇を舐めないこと、などに留意して行うことが好ましい(留意事項)。
【0081】
(口を引っ張って飲むサブステップ)
口を引っ張って飲むサブステップは、正しい飲み方を行うサブステップが習得できていることを確認してから行うことが好ましい。口を引っ張って飲むサブステップにより、自ら飲み込みを感じることができる。当該サブステップにおいて、口を引っ張ることによって、頬及び口唇の筋肉がどのように動くのかを確認することができる。例えば、後述する留意事項の内容をすべてクリアすることを当該サブステップの目標としてもよい。
【0082】
口を引っ張って飲むサブステップは、舌をスポットに置くことと、上下の歯の間をわずかに開けることと、口を引っ張ることと、上下の歯を接触させて、舌の波打たせるような動きにより唾液を飲み込むことと、を含んでいてもよい。これら4つの動作は、この順に実施することが好ましい。4つの動作の終了時には、一旦、舌をスポットに戻す。
【0083】
舌をスポットに置く際には、楽に舌をスポットに置くことができているかを確認することが好ましい。口を引っ張って飲むサブステップは、嚥下の際に口の中で何が起こっているかを確認しながら行うことが好ましい。
【0084】
口を引っ張って飲むサブステップは、自分の頬を痛くない程度に引っ張ること、瞬き、うなずきの動作がないこと、歯と歯の間から泡の唾液が出ていないこと、舌の突き出しがないこと、などに留意して行うことが好ましい(留意事項)。
【0085】
(マウスピースを口腔内に装着して水を飲むサブステップ)
マウスピース10を口腔内に装着して水を飲むサブステップは、口を引っ張って飲むサブステップが習得できていることを確認してから行うことが好ましい。マウスピース10を口腔内に装着して水を飲むサブステップによれば、液体の嚥下の方法を覚えることができる。当該サブステップでは、マウスピース10を口腔内に装着して、舌の動きを感じながら、正しい嚥下を覚えることが好ましい。例えば、口唇、オトガイ、頬の過剰な動きがないことを当該サブステップの目標としてもよい。当該サブステップは、水が入った紙コップを用いて行う。
【0086】
マウスピース10を口腔内に装着して水を飲むサブステップは、マウスピース10を口腔内に装着することと、舌先を舌タグ部2に当てることと、マウスピース10の空気孔4から水を入れ、水を集めて舌の中央に持って行くことと、舌先を舌タグ部2から離さないように、舌を口蓋に上げて、後ろへ引くことと、を含んでいてもよい。飲み込みの後も、舌先はタグ部2に当てたままにしておく。これら4つの動作は、この順に実施することが好ましい。
【0087】
舌先を舌タグ部2に当てる際には、楽に舌先を舌タグ部2に当てることができているかを確認することが好ましい。水を集めて舌の中央に持って行く際には、舌をカップ状にすることを意識するとよい。口に含む水は少量でよい。舌を後ろへ引くことによって、舌の波打たせるような動きにより水が飲み込まれる。マウスピース10を口腔内に装着したままで水を飲むことにより、液体の嚥下の仕方を覚えることができる。マウスピース10の装着によって、正しい嚥下が導かれる。
【0088】
マウスピース10を口腔内に装着して水を飲むサブステップは、開始時及び終了時に舌先が舌タグ部2から離れていないこと、舌タグ部2を舌で押さないこと(口の横から水が出てくることがある)、水を多く含むのではなく、少量で行うこと、舌をマウスピース10に押し付けないこと(口から水が出てしまうことがある)、瞬き、うなずきの動作がないこと、などに留意して行うことが好ましい(留意事項)。
【0089】
嚥下のステップは、マウスピース10を口腔内に装着せずに水を飲むことと、舌の上に水を溜めることと、をさらに含んでいてもよい。これら2つのサブステップは、この順に実施することが好ましい。これら2つのサブステップを含むことにより、正しい嚥下がより習得しやすくなる。これら2つのサブステップは、上述した3つサブステップを習得した後に行うことが好ましい。なお、これら2つのサブステップは、マウスピース10を口腔内に装着せずに行う。
【0090】
(マウスピースを口腔内に装着せずに水を飲むサブステップ)
マウスピース10を口腔内に装着せずに水を飲むサブステップは、マウスピース10を口腔内に装着して水を飲むサブステップが習得できていることを確認してから行うことが好ましい。マウスピース10を口腔内に装着せずに水を飲むサブステップにより、正しい嚥下の方法を習得することができる。例えば、後述する留意事項の内容をすべてクリアすることを当該サブステップの目標としてもよい。当該サブステップは、水が入った紙コップを用いて行う。
【0091】
マウスピース10を口腔内に装着せずに水を飲むサブステップは、舌をスポットに置くことと、舌を口蓋に持ち上げて、舌を後ろから離すことと、舌の真ん中に水が集まるようにし、舌をスポットから離さないように、舌を口蓋に上げて、上下の歯を少し接触させて、舌の波打つような動きで水を飲み込むことと、を含んでいてもよい。飲み込みの後も、舌はスポットに置いたままにしておく。
【0092】
舌をスポットに置く際には、楽に舌をスポットに置くことができているかを確認することが好ましい。マウスピース10を口腔内に装着せずに水を飲むサブステップは、顎が地面と平行になるように正しい姿勢で行うことが好ましい。水の飲み込み時には、上下の歯がわずかに接触する。
【0093】
マウスピース10を口腔内に装着せずに水を飲むサブステップは、開始時及び終了時に舌がスポットから離れていないこと、オトガイ筋、頬、口唇を動かさないこと、舌の突き出しがないこと、水を多く飲むのではなく、少量で行うこと、瞬き、うなずきの動作がないこと、などに留意して行うことが好ましい(留意事項)。
【0094】
(舌の上に水を溜めるサブステップ)
舌の上に水を溜めるサブステップは、マウスピース10を口腔内に装着せずに水を飲むサブステップが習得できていることを確認してから行うことが好ましい。舌の上に水を溜めるサブステップは、舌のステップ及び嚥下のステップのまとめのサブステップといえる。当該サブステップにより、舌全体を口蓋に置くサブステップ、舌の上下運動を行うサブステップ、正しい飲み方を行うサブステップなどのこれまでのサブステップをしっかりできるようになるが好ましい。当該サブステップにより、舌の上に貯めた水を舌と口蓋との間に密封することができる。例えば、後述する留意事項の内容をすべてクリアすることを当該サブステップの目標としてもよい。当該サブステップは、水が入った紙コップを用いて行う。
【0095】
舌の上に水を溜めるサブステップは、舌をスポットに置くことと、上下の歯の間をわずかに開けて口を閉じることと、水を少量含んで、舌の真ん中に水を集め、口蓋に上げて密封することと、頭を右、左、前、後へと傾け、正しい飲み方を行うサブステップを行うことと、を含んでいてもよい。これら4つの動作は、この順に実施することが好ましい。飲み込みの後も、舌はスポットに置いたままにしておく。
【0096】
舌をスポットに置く際には、楽に舌をスポットに置くことができているかを確認することが好ましい。正しい飲み方を行うサブステップを行う際に、例えば、頭を左に傾けたときに、少し水がこぼれる場合は、左側の舌の力が弱いと判断される。舌の上に水を溜めるサブステップを行う際には、顎が地面と水平になるような正しい姿勢で行い、水を少し含んで口唇を閉じることが好ましい。水の飲み込み時には、上下の歯がわずかに接触する。
【0097】
舌の上に水を溜めるサブステップは、口を引っ張って飲むサブステップと組み合わせて実施されてもよい。すなわち、正しい飲み方を行うサブステップを、口を引っ張って行ってもよい。このとき、歯の隙間から水が出た場合には、正しい嚥下を習得できていないこと判断される。
【0098】
舌の上に水を溜めるサブステップは、開始時及び終了時に舌がスポットから離れていないこと、オトガイ筋、頬、口唇が動いていないこと、舌の突き出しがないこと、水を多く飲むのではなく、少量で行うこと、瞬き、うなずきの動作がないこと、舌の下から水を含んでいないこと、などに留意して行うことが好ましい(留意事項)。
【0099】
[口唇及び頬のステップ]
口唇及び頬のステップは、口唇閉鎖の不全を改善することを含む。口唇及び頬のステップは、例えば、2ヶ月間継続することが好ましい。
【0100】
口唇及び頬のステップは、マウスピース10の付属部材20を装着して口輪筋を使うことと、口唇を鳴らすことと、口を膨らますことと、を含んでいてもよい。これら3つのサブステップは、この順に実施することが好ましい。これら3つのサブステップを含むことにより、口唇閉鎖の不全が改善されやすくなる。なお、これら3つのサブステップのうち、マウスピース10の付属部材20を装着して口輪筋を使うサブステップ以外は、マウスピース10又は付属部材20を口腔内に装着せずに行う。
【0101】
(マウスピースの付属部材を装着して口輪筋を使うサブステップ)
マウスピース10の付属部材20を装着して口輪筋を使うサブステップにより、オトガイ筋の緊張など、口唇閉鎖の不全を改善することができる。当該サブステップでは、オトガイ筋ではなく、口輪筋を使うことを覚えることが好ましい。
【0102】
図2は、付属部材20の概略斜視図である。付属部材20は、本体部7、ストラップ部8、及び口唇プレート部9を備える。本体部7は、棒形状を有し、ストラップ部8と口唇プレート部9とを接続する部分である。ストラップ部8は、本体部7の一端に位置している。ストラップ部8の形状は、特に、制限されない。例えば、
図2に示す例では、ストラップ部8は、先端が球状の挿入部81と、挿入部81を係合可能なリング状の係合部82とを備えている。口唇プレート部9は、本体部7の他端側に位置している。口唇プレート部9は、平面形状を有している。付属部材20を使用する際、口唇プレート部9は、上口唇と下口唇との間に配置される。口唇プレート部9は、本体部7の他端に位置する第1口唇プレート部91と、第1口唇プレート部91よりもストラップ部8側に位置する第2口唇プレート部92とを含む。
【0103】
付属部材20は、弾性を有する樹脂材料によって形成されている。弾性を有する樹脂材料は、例えば、医療用シリコンである。
【0104】
マウスピース10の付属部材20を装着して口輪筋を使うサブステップは、付属部材20の第1口唇プレート部91を上口唇と下口唇とによって挟み込み、舌先をスポットに当てることと、付属部材20を、垂直方向、斜め上方向、斜め下方向の各方向へ30秒ずつ引っ張ることと、を含んでいてもよい。これら2つの動作は、この順に実施することが好ましい。
【0105】
マウスピース10の付属部材20を装着して口輪筋を使うサブステップでは、短時間で引っ張る方向を変えないことが好ましい。
【0106】
マウスピース10の付属部材20を装着して口輪筋を使うサブステップは、舌全体を口蓋に当てないこと、第1口唇プレート部91を歯に吸い付けないこと、口輪筋以外の筋肉を動かさないようにすること、などに留意して行うことが好ましい(留意事項)。
【0107】
(口唇を鳴らすサブステップ)
口唇を鳴らすサブステップにより、上下の口唇を均等に巻き込むことができるようになる。当該サブステップにより、口輪筋を強化できることが好ましい。例えば、後述する留意事項の内容をすべてクリアすることを当該サブステップの目標としてもよい。
【0108】
口唇を鳴らすサブステップは、上下の口唇を同じバランスで内側に巻き込むことと、力強く口唇を開けて「ポンッ」と大きな音を出すことと、を含んでいてもよい。これら2つの動作は、この順に実施することが好ましい。これら2つの動作を少なくとも20回以上繰り返すことが好ましい。
【0109】
口唇を鳴らすサブステップを繰り返すことにより、口輪筋を強化し、大きな音を出すことができるようになる。大きな音を出すためには、口を大きく開けるとよい。口輪筋が弱いと、大きな音が出にくい。
【0110】
口唇を鳴らすサブステップは、「チュッ」と小さな音が出ないこと、に留意して行うことが好ましい(留意事項)。なお、このサブステップでは、舌をスポットに置くことを意識する必要はない。
【0111】
(口を膨らますサブステップ)
口を膨らますサブステップにより、歯を押してしまう筋肉の力を和らげることができる。当該サブステップにより、オトガイ筋を含む口輪筋のストレッチをすることが好ましい。例えば、後述する留意事項の内容をすべてクリアすることを当該サブステップの目標としてもよい。
【0112】
口を膨らますサブステップは、舌をスポットに置くことと、上下の歯を軽く離して、口唇を閉じることと、口唇をすぼめて尖らせることと、口唇や頬周りに空気を入れることと、を含んでいてもよい。これら4つの動作は、この順に実施することが好ましい。これら4つの動作は、口唇や頬周りの筋肉が疲れるまで繰り返すことが好ましい。オトガイ筋に緊張が生じた場合には、マッサージを行うとよい。
【0113】
口を膨らますサブステップは、内側から空気を膨らませること、口唇は内側に巻き込まないこと、などに留意して行うことが好ましい(留意事項)。
【0114】
図3は、本発明の実施形態に係るトレーニング方法の一例を示すフロー図である。当該トレーニング方法は、呼吸のステップ(ST1)、舌のステップ(ST2)、嚥下のステップ(ST3)、及び口唇及び頬のステップ(ST4)を含む。
図3に示すように、呼吸のステップ(ST1)、舌のステップ(ST2)、嚥下のステップ(ST3)、及び口唇及び頬のステップ(ST4)は、この順に実施されることが好ましい。呼吸のステップ(ST1)、舌のステップ(ST2)、嚥下のステップ(ST3)、及び口唇及び頬のステップ(ST4)の詳細は、上述した通りである。
【0115】
以上、本発明に係るトレーニング方法について図面を用いて説明してきたが、本発明は上記実施形態に限定されることはなく、種々の変更実施が可能である。
【符号の説明】
【0116】
10 マウスピース
1 本体
11 突出部
2 口唇タグ部
3 顎スプリング部
4 空気孔
20 付属部材
7 本体
8 ストラップ部
81 挿入部
82 係合部
9 口唇プレート部
91 第1口唇プレート部
92 第2口唇プレート部