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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024098342
(43)【公開日】2024-07-23
(54)【発明の名称】スイッチ回路
(51)【国際特許分類】
   H03K 17/00 20060101AFI20240716BHJP
【FI】
H03K17/00 J
【審査請求】未請求
【請求項の数】4
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023001797
(22)【出願日】2023-01-10
(71)【出願人】
【識別番号】000241500
【氏名又は名称】トヨタ紡織株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110000578
【氏名又は名称】名古屋国際弁理士法人
(72)【発明者】
【氏名】宮地 玲奈
(72)【発明者】
【氏名】花田 直也
【テーマコード(参考)】
5J055
【Fターム(参考)】
5J055AX37
5J055AX52
5J055AX53
5J055AX64
5J055BX16
5J055CX20
5J055CX28
5J055DX12
5J055DX60
5J055EX02
5J055EX07
5J055EX31
5J055EX32
5J055EY17
5J055EY21
5J055EZ43
5J055EZ63
5J055GX01
5J055GX02
(57)【要約】
【課題】スイッチ素子に大きな電流を流すことができるスイッチ回路を提供する。
【解決手段】本開示の一態様は、負荷と、スイッチ素子と、制御回路と、供給ラインと、スイッチ素子を供給ラインの並列部と並列に接続するスイッチラインと、スイッチラインから制御回路に電流を入力する入力ラインと、並列部に設けられた第1FET及び第2FETと、スイッチラインにおいて入力ラインと並列に設けられた第3FETとを備えるスイッチ回路である。第2FETは、第1FETのボディーダイオードの順方向とは逆方向を順方向とするボディーダイオードを有する。第3FETは、スイッチ素子を介して負荷に電流が供給される方向を順方向とするボディーダイオードを有する。
【選択図】図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
負荷と、
第1スイッチ素子と、
制御回路と、
電源から前記負荷に電流を供給する供給ラインと、
前記第1スイッチ素子を前記供給ラインの一部である並列部と並列に接続する第1スイッチラインと、
前記第1スイッチラインから前記制御回路に電流を入力する第1入力ラインと、
前記並列部に設けられた第1FET及び第2FETと、
前記第1スイッチラインにおいて前記第1入力ラインと並列に設けられた第3FETと、
を備え、
前記第1FETは、前記負荷に電流が供給される方向を順方向とする第1ボディーダイオードを有し、
前記第2FETは、前記第1ボディーダイオードの順方向とは逆方向を順方向とする第2ボディーダイオードを有し、
前記第3FETは、前記第1スイッチ素子を介して前記負荷に電流が供給される方向を順方向とする第3ボディーダイオードを有し、
前記制御回路は、
前記第1入力ラインからの電流入力がない状態では、前記第1FET及び前記第2FETをオンとし、かつ、前記第3FETをオフとし、
前記第1入力ラインからの電流入力がある状態では、前記第1FET及び前記第2FETをオフとし、かつ、前記第3FETをオンとするように構成される、スイッチ回路。
【請求項2】
請求項1に記載のスイッチ回路であって、
第2スイッチ素子と、
前記第2スイッチ素子を前記並列部と並列に接続する第2スイッチラインと、
前記第2スイッチラインから前記制御回路に電流を入力する第2入力ラインと、
前記第2スイッチラインにおいて前記第2入力ラインと並列に設けられた第4FETと、
をさらに備え、
前記第4FETは、前記第2スイッチ素子を介して前記負荷に電流が供給される方向を順方向とする第4ボディーダイオードを有し、
前記制御回路は、
前記第1入力ライン及び前記第2入力ラインの双方からの電流入力がない状態では、前記第1FET及び前記第2FETをオンとし、かつ、前記第3FET及び前記第4FETをオフとし、
前記第2入力ラインからの電流入力がある状態では、前記第1FET、前記第2FET及び前記第3FETをオフとし、かつ、前記第4FETをオンとするように構成される、スイッチ回路。
【請求項3】
請求項2に記載のスイッチ回路であって、
前記供給ラインにおいて前記第1スイッチライン及び前記第2スイッチラインの接続点と前記負荷との間に設けられた電流切替回路をさらに備え、
前記第2スイッチ素子は、前記第1スイッチ素子と同時に閉じないように構成され、
前記制御回路は、
前記第1入力ラインからの電流入力がある状態では、前記負荷に対し第1方向に電流が流れるように前記電流切替回路を制御し、
前記第2入力ラインからの電流入力がある状態では、前記負荷に対し前記第1方向とは逆の第2方向に電流が流れるように前記電流切替回路を制御するように構成される、スイッチ回路。
【請求項4】
請求項1から請求項3のいずれか1項に記載のスイッチ回路であって、
乗物用シートに配置される、スイッチ回路。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、スイッチ回路に関する。
【背景技術】
【0002】
モータ等の負荷に電流を供給するスイッチ回路では、スイッチ素子に微小の電流が流れることで、スイッチ素子を保護していた絶縁膜が除去される(特許文献1参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開昭50-27058号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
従来のスイッチ回路では、スイッチ素子に大きな電流が流れると回路の損失が大きくなる。そのため、スイッチ素子を介して負荷に電流を供給する場合、電流の大きさに制限が生じ得る。
【0005】
本開示の一局面は、スイッチ素子に大きな電流を流すことができるスイッチ回路を提供することを目的としている。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本開示の一態様は、負荷(11)と、第1スイッチ素子(21)と、制御回路(31)と、電源(100)から負荷(11)に電流を供給する供給ライン(41)と、第1スイッチ素子(21)を供給ライン(41)の一部である並列部(41A)と並列に接続する第1スイッチライン(42)と、第1スイッチライン(42)から制御回路(31)に電流を入力する第1入力ライン(43)と、並列部(41A)に設けられた第1FET(51)及び第2FET(52)と、第1スイッチライン(42)において第1入力ライン(43)と並列に設けられた第3FET(53)と、を備えるスイッチ回路(1)である。
【0007】
第1FET(51)は、負荷(11)に電流が供給される方向を順方向とする第1ボディーダイオード(51A)を有する。第2FET(52)は、第1ボディーダイオード(51A)の順方向とは逆方向を順方向とする第2ボディーダイオード(52A)を有する。第3FET(53)は、第1スイッチ素子(21)を介して負荷(11)に電流が供給される方向を順方向とする第3ボディーダイオード(53A)を有する。
【0008】
制御回路(31)は、第1入力ライン(43)からの電流入力がない状態では、第1FET(51)及び第2FET(52)をオンとし、かつ、第3FET(53)をオフとし、第1入力ライン(43)からの電流入力がある状態では、第1FET(51)及び第2FET(52)をオフとし、かつ、第3FET(53)をオンとするように構成される。
【0009】
このような構成によれば、第1スイッチ素子(21)が閉じた際に、第1FET(51)及び第2FET(52)がオフとなることで、並列部(41A)には電流が流れず、第1スイッチ素子(21)が設けられた第1スイッチライン(42)から負荷(11)に電流が供給される。これにより、並列部(41A)において電源(100)からの電流が遮断されるため、第1スイッチ素子(21)に大きな電流を流すことができる。また、並列部(41A)から第1入力ライン(43)への電流の回り込みが抑制されるため、制御回路(31)が第1スイッチ素子(21)の開閉を検出することができる。
【0010】
また、第1スイッチ素子(21)が開いている場合は、第3FET(53)がオフとなることで、第1スイッチライン(42)には電流が流れず、並列部(41A)から負荷(11)に電流が供給される。これにより、並列部(41A)から第1入力ライン(43)への電流の回り込みが抑制されるため、制御回路(31)が第1スイッチ素子(21)の開閉を検出することができる。
【0011】
本開示の一態様は、第2スイッチ素子(22)と、第2スイッチ素子(22)を並列部(41A)と並列に接続する第2スイッチライン(44)と、第2スイッチライン(44)から制御回路(31)に電流を入力する第2入力ライン(45)と、第2スイッチライン(44)において第2入力ライン(45)と並列に設けられた第4FET(54)と、をさらに備えてもよい。第4FET(54)は、第2スイッチ素子(22)を介して負荷(11)に電流が供給される方向を順方向とする第4ボディーダイオード(54A)を有してもよい。
【0012】
制御回路(31)は、第1入力ライン(43)及び第2入力ライン(45)の双方からの電流入力がない状態では、第1FET(51)及び第2FET(52)をオンとし、かつ、第3FET(53)及び第4FET(54)をオフとし、第2入力ライン(45)からの電流入力がある状態では、第1FET(51)、第2FET(52)及び第3FET(53)をオフとし、かつ、第4FET(54)をオンとするように構成されてもよい。
【0013】
このような構成によれば、第1スイッチ素子(21)及び第2スイッチ素子(22)それぞれに大きな電流を流すことができる。また、制御回路(31)が第1スイッチ素子(21)及び第2スイッチ素子(22)それぞれの開閉を検出することができる。
【0014】
本開示の一態様は、供給ライン(41)において第1スイッチライン(42)及び第2スイッチライン(44)の接続点と負荷(11)との間に設けられた電流切替回路(61)をさらに備えてもよい。第2スイッチ素子(22)は、第1スイッチ素子(21)と同時に閉じないように構成されてもよい。制御回路(31)は、第1入力ライン(43)からの電流入力がある状態では、負荷(11)に対し第1方向に電流が流れるように電流切替回路(61)を制御し、第2入力ライン(45)からの電流入力がある状態では、負荷(11)に対し第1方向とは逆の第2方向に電流が流れるように電流切替回路(61)を制御するように構成されてもよい。
【0015】
このような構成によれば、第1スイッチ素子(21)及び第2スイッチ素子(22)の選択操作によって、負荷(11)に供給される電流の方向を変えることができる。
【0016】
本開示の一態様は、乗物用シート(200)に配置されてもよい。このような構成によれば、第1スイッチ素子(21)の絶縁膜を除去しつつ、乗物用シート(200)の変形を行う負荷(11)に必要な電流を供給することができる。
【0017】
なお、上記各括弧内の符号は、後述する実施形態に記載の具体的構成等との対応関係を示す一例であり、本開示は上記括弧内の符号に示された具体的構成等に限定されるものではない。
【図面の簡単な説明】
【0018】
図1図1は、実施形態におけるスイッチ回路の模式的な回路図である。
図2図2は、実施形態における乗物用シートを示す模式的な斜視図である。
図3図3は、図1のスイッチ回路において第1スイッチ素子を閉じた状態を示す模式的な回路図である。
図4図4は、図1のスイッチ回路において第1スイッチ素子を開いた直後の状態を示す模式的な回路図である。
図5図5は、図1のスイッチ回路において第2スイッチ素子を閉じた状態を示す模式的な回路図である。
【発明を実施するための形態】
【0019】
以下、本開示が適用された実施形態について、図面を用いて説明する。
[1.第1実施形態]
[1-1.構成]
図1に示すスイッチ回路1は、負荷11と、第1スイッチ素子21と、第2スイッチ素子22と、制御回路31と、供給ライン41と、第1スイッチライン42と、第1入力ライン43と、第2スイッチライン44と、第2入力ライン45と、第1FET51と、第2FET52と、第3FET53と、第4FET54と、電流切替回路61とを備える。
【0020】
スイッチ回路1は、図2に示す乗物用シート200に配置される。乗物用シート200は、自動車、鉄道車両、船舶、航空機等の乗物に設置される。スイッチ回路1は、例えば、乗物用シート200のスライド装置201又はリクライニング装置202を駆動させる用途に使用される。
【0021】
<負荷>
図1に示す負荷11は、例えばスライド装置201又はリクライニング装置202を変位させるモータである。負荷11には、乗物用シート200が設置された乗物が備える電源100から電流が供給される。
【0022】
<第1スイッチ素子>
第1スイッチ素子21は、閉じた状態で負荷11に第1方向に電流を流すように構成されている。
【0023】
第1スイッチ素子21の接点は、閉状態で電源100に接続され、開状態でアースされる。第1スイッチ素子21は、例えば、乗物用シート200を前方にスライドさせるための物理的なスイッチと連動して開閉する。
【0024】
<第2スイッチ素子>
第2スイッチ素子22は、閉じた状態で負荷11に第1方向とは逆の第2方向に電流を流すように構成されている。
【0025】
第2スイッチ素子22の接点は、閉状態で電源100に接続され、開状態でアースされる。第2スイッチ素子22は、例えば、乗物用シート200を後方にスライドさせるための物理的なスイッチと連動して開閉する。
【0026】
第2スイッチ素子22は、物理的な構造(例えばロック機構)によって、第1スイッチ素子21と同時に閉じないように構成されている。したがって、第2スイッチ素子22は、第1スイッチ素子21が開いている状態でのみ、閉じることができる。
【0027】
<制御回路>
制御回路31は、信号電流の入力を受けて、スイッチ回路1に含まれる複数のFET(電界効果型トランジスタ)のオンとオフとをそれぞれ切り替えるように構成されたインターフェース回路である。制御回路31は、各FETのゲートに接続されている。
【0028】
制御回路31には、第1入力ライン43と、第2入力ライン45と、各FETのゲートにそれぞれ接続された複数の出力ラインとが接続されている。制御回路31としては、例えば公知のマイクロコンピュータが使用できる。制御回路31の具体的な制御については後述する。
【0029】
<供給ライン>
供給ライン41は、電源100から負荷11に電流を供給する。具体的には、供給ライン41は、電源100と負荷11とを電流切替回路61を介して接続している。
【0030】
また、供給ライン41は、第1スイッチライン42と、第2スイッチライン44とが並列に接続された並列部41Aを有する。並列部41Aは、電流切替回路61よりも電源100に近い側(つまり上流)に設けられている。
【0031】
<第1スイッチライン>
第1スイッチライン42は、第1スイッチ素子21を供給ライン41の並列部41Aと並列に接続している。第1スイッチライン42には、電源100に近い側から順に、第1スイッチ素子21及び第3FET53が設けられている。
【0032】
<第1入力ライン>
第1入力ライン43は、第1スイッチライン42から制御回路31に電流を入力する。第1入力ライン43の一端は、第1スイッチライン42において第1スイッチ素子21と第3FET53との間に接続されている。第1スイッチ素子21が閉じると、第1入力ライン43から制御回路31に電流が入力される。
【0033】
<第2スイッチライン>
第2スイッチライン44は、第2スイッチ素子22を供給ライン41の並列部41Aと並列に接続している。第2スイッチライン44には、電源100に近い側から順に、第2スイッチ素子22及び第4FET54が設けられている。
【0034】
<第2入力ライン>
第2入力ライン45は、第2スイッチライン44から制御回路31に電流を入力する。第2入力ライン45の一端は、第2スイッチライン44において第2スイッチ素子22と第4FET54との間に接続されている。第2スイッチ素子22が閉じると、第2入力ライン45から制御回路31に電流が入力される。
【0035】
<FET>
第1FET51及び第2FET52は、供給ライン41の並列部41Aに設けられた汎用の電界効果型トランジスタである。第1FET51及び第2FET52は、第1スイッチ素子21及び第2スイッチ素子22それぞれと並列に接続されている。
【0036】
第1FET51は、制御回路31からの電流入力によってオンとオフが切り替わる。第1FET51は、電源100から負荷11に電流が供給される方向を順方向とする第1ボディーダイオード51Aを有する。なお、ボディーダイオードとは、バックゲートに配置されたダイオードである。
【0037】
第2FET52は、第1FET51と共に、制御回路31からの電流入力によってオンとオフが切り替わる。第2FET52は、第1ボディーダイオード51Aの順方向とは逆方向(つまり電源100に向かう逆流方向)を順方向とする第2ボディーダイオード52Aを有する。
【0038】
第1FET51と第2FET52とは、制御回路31によって同時にオン又はオフに切り替えられる。つまり、制御回路31は、第1FET51及び第2FET52が共にオフの状態と、第1FET51及び第2FET52が共にオンの状態とを切り替える。
【0039】
第1FET51及び第2FET52が共にオフの状態では、第1FET51には、負荷11に向かって電流が流れるが、電源100に向かう逆流方向の電流は流れない。一方、第2FET52には、負荷11に向かう電流が流れない。結果として、並列部41Aには電流が流れない。
【0040】
第1FET51及び第2FET52が共にオンの状態では、第1FET51及び第2FET52それぞれにおいて、負荷11に向かって電流が流れる。結果として、並列部41Aに電流が流れる。
【0041】
第3FET53は、第1スイッチライン42において第1入力ライン43と並列に設けられた汎用の電界効果型トランジスタである。具体的には、第3FET53は、第1スイッチライン42において、第1スイッチ素子21及び第1入力ライン43の接続点P2よりも負荷11に近い側に設けられている。
【0042】
第3FET53は、第1スイッチ素子21を介して負荷11に電流が供給される方向を順方向とする第3ボディーダイオード53Aを有する。第3FET53は、制御回路31によってオン又はオフに切り替えられる。第3FET53がオフの状態では、第1スイッチライン42において第1スイッチ素子21から電源100に向かう逆流方向の電流は流れない。
【0043】
第4FET54は、第2スイッチライン44において第2入力ライン45と並列に設けられた汎用の電界効果型トランジスタである。具体的には、第4FET54は、第2スイッチライン44において、第2スイッチ素子22及び第2入力ライン45の接続点P3よりも負荷11に近い側に設けられている。
【0044】
第4FET54は、第2スイッチ素子22を介して負荷11に電流が供給される方向を順方向とする第4ボディーダイオード54Aを有する。第4FET54は、制御回路31によってオン又はオフに切り替えられる。第4FET54がオフの状態では、第2スイッチライン44において第2スイッチ素子22から電源100に向かう逆流方向の電流は流れない。
【0045】
<電流切替回路>
電流切替回路61は、供給ライン41において第1スイッチライン42及び第2スイッチライン44の接続点P1と負荷11との間に設けられている。
【0046】
電流切替回路61は、第1ライン61Aと、第2ライン61Bと、第3ライン61Cと、第4ライン61Dと、第5ライン61Eと、第1切替FET61Fと、第2切替FET61Gと、第3切替FET61Hと、第4切替FET61Iとを有する。
【0047】
第1ライン61Aは、第1スイッチ素子21が閉じた状態で、第1方向で電流を負荷11が設けられた第2ライン61Bに供給する。第1ライン61Aには、第1切替FET61Fが設けられている。
【0048】
第3ライン61Cは、第2ライン61B及び第4ライン61Dと直列に接続されると共に、第2ライン61Bをグランドに接続している。第3ライン61Cには、第2切替FET61Gが設けられている。
【0049】
第4ライン61Dは、第2スイッチ素子22が閉じた状態で、第2方向で電流を負荷11が設けられた第2ライン61Bに供給する。第4ライン61Dは、第1ライン61Aと並列に接続されている。また、第4ライン61Dには、第3切替FET61Hが設けられている。
【0050】
第5ライン61Eは、第1ライン61A及び第2ライン61Bと直列に接続されると共に、第2ライン61Bをグランドに接続している。第5ライン61Eは、第3ライン61Cと並列に接続されている。また、第5ライン61Eには、第4切替FET61Iが設けられている。
【0051】
第2スイッチ素子22が開いている状態では、制御回路31によって、第1切替FET61F及び第2切替FET61Gがオンにされると共に、第3切替FET61H及び第4切替FET61Iがオフにされる。そのため、電流が第1ライン61A、第2ライン61B、及び第3ライン61Cの順に流れる。
【0052】
第2スイッチ素子22が閉じている状態では、制御回路31によって、第1切替FET61F及び第2切替FET61Gがオフにされると共に、第3切替FET61H及び第4切替FET61Iがオンにされる。そのため、電流が第4ライン61D、第2ライン61B、及び第5ライン61Eの順に流れる。
【0053】
<制御回路による制御>
図1に示すように、第1スイッチ素子21及び第2スイッチ素子22の双方が開いている状態、つまり、第1入力ライン43及び第2入力ライン45の双方からの電流入力がない状態では、制御回路31は、第1FET51及び第2FET52をオンとし、かつ、第3FET53及び第4FET54をオフとする。
【0054】
この状態では、電源100から供給される電流は、第1FET51及び第2FET52が設けられた並列部41Aを通過して負荷11に流れる。このとき、第3FET53及び第4FET54によって、供給ライン41から第1スイッチライン42及び第2スイッチライン44に電流が回り込むことが抑制される(図1の破線参照)。これにより、回路におけるショートの発生、ひいては素子の破損を抑制できる。
【0055】
図3に示すように、第1スイッチ素子21が閉じた状態、つまり、第1入力ライン43からの電流入力がある状態では、制御回路31は、第1FET51及び第2FET52をオフとし、かつ、第3FET53をオン、第4FET54をオフとする。また、第1入力ライン43からの電流入力がある状態では、制御回路31は、負荷11に対し第1方向に電流が流れるように電流切替回路61を制御する。
【0056】
この状態では、電源100から供給される電流は、第1スイッチ素子21が設けられた第1スイッチライン42を通過して負荷11に流れる。このとき、第4FET54によって、第1スイッチライン42から第2スイッチライン44に電流が回り込むことが抑制される(図3の破線参照)。また、第1FET51によって並列部41Aでの電流の逆流が抑制される。
【0057】
閉じた状態の第1スイッチ素子21を開くとき、仮に第2FET52が存在しないと、図4に破線で示すように、第3FET53がオフに切り替わるまでの間、並列部41Aから第1スイッチ素子21に電流が回り込む。
【0058】
これに対し、第2FET52が並列部41Aに設けられることで、第3FET53がオフとなり、第1FET51及び第2FET52がオンになるまで並列部41Aには電流が流れない。つまり、第2FET52により、第1スイッチ素子21を開いたときの回路におけるショートの発生が抑制される。
【0059】
図5に示すように、第2スイッチ素子22が閉じた状態、つまり、第2入力ライン45からの電流入力がある状態では、制御回路31は、第1FET51及び第2FET52をオフとし、かつ、第4FET54をオン、第3FET53をオフとする。また、第2入力ライン45からの電流入力がある状態では、制御回路31は、負荷11に対し第2方向に電流が流れるように電流切替回路61を制御する。
【0060】
この状態では、電源100から供給される電流は、第2スイッチ素子22が設けられた第2スイッチライン44を通過して負荷11に流れる。このとき、第3FET53によって、第2スイッチライン44から第1スイッチライン42に電流が回り込むことが抑制される(図5の破線参照)。
【0061】
閉じた状態の第2スイッチ素子22を開くときは、第1スイッチ素子21を開くときと同様に、オフとなっている第2FET52によって並列部41Aへの電流の流れ込みが抑制される。
【0062】
[1-2.効果]
以上詳述した実施形態によれば、以下の効果が得られる。
(1a)第1スイッチ素子21が閉じた際に、第1FET51及び第2FET52がオフとなることで、並列部41Aには電流が流れず、第1スイッチ素子21が設けられた第1スイッチライン42から負荷11に電流が供給される。これにより、並列部41Aにおいて電源100からの電流が遮断されるため、第1スイッチ素子21に大きな電流を流すことができる。また、並列部41Aから第1入力ライン43への電流の回り込みが抑制されるため、制御回路31が第1スイッチ素子21の開閉を検出することができる。
【0063】
(1b)第1スイッチ素子21が開いている場合は、第3FET53がオフとなることで、第1スイッチライン42には電流が流れず、並列部41Aから負荷11に電流が供給される。これにより、並列部41Aから第1入力ライン43への電流の回り込みが抑制されるため、制御回路31が第1スイッチ素子21の開閉を検出することができる。
【0064】
(1c)第1スイッチライン42及び第2スイッチライン44それぞれにFETが設けられることで、第1スイッチ素子21及び第2スイッチ素子22それぞれに大きな電流を流すことができる。また、制御回路31が第1スイッチ素子21及び第2スイッチ素子22それぞれの開閉を検出することができる。
【0065】
(1d)第1スイッチ素子21及び第2スイッチ素子22の選択操作によって、負荷11に供給される電流の方向を変えることができる。
(1e)第1スイッチ素子21及び第2スイッチ素子22の絶縁膜を除去しつつ、乗物用シート200の変形を行う負荷11に必要な電流を供給することができる。
【0066】
[2.他の実施形態]
以上、本開示の実施形態について説明したが、本開示は、上記実施形態に限定されることなく、種々の形態を採り得ることは言うまでもない。
【0067】
(2a)上記実施形態のスイッチ回路は、必ずしも第2スイッチ素子を備えなくてもよい。つまり、スイッチ回路は、1つのみのスイッチ素子を備えてもよい。
(2b)上記実施形態のスイッチ回路は、シート以外の物品にも使用可能である。
【0068】
(2c)上記実施形態における1つの構成要素が有する機能を複数の構成要素として分散させたり、複数の構成要素が有する機能を1つの構成要素に統合したりしてもよい。また、上記実施形態の構成の一部を省略してもよい。また、上記実施形態の構成の少なくとも一部を、他の上記実施形態の構成に対して付加、置換等してもよい。なお、特許請求の範囲に記載の文言から特定される技術思想に含まれるあらゆる態様が本開示の実施形態である。
【符号の説明】
【0069】
1…スイッチ回路、11…負荷、21…第1スイッチ素子、22…第2スイッチ素子、
31…制御回路、41…供給ライン、41A…並列部、42…第1スイッチライン、
43…第1入力ライン、44…第2スイッチライン、45…第2入力ライン、
51…第1FET、51A…第1ボディーダイオード、52…第2FET、
52A…第2ボディーダイオード、53…第3FET、
53A…第3ボディーダイオード、54…第4FET、
54A…第4ボディーダイオード、61…電流切替回路、61A…第1ライン、
61B…第2ライン、61C…第3ライン、61D…第4ライン、
61E…第5ライン、61F…第1切替FET、61G…第2切替FET、
61H…第3切替FET、61I…第4切替FET、100…電源。
図1
図2
図3
図4
図5