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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024098352
(43)【公開日】2024-07-23
(54)【発明の名称】券処理装置および券処理システム
(51)【国際特許分類】
   G07B 5/00 20060101AFI20240716BHJP
【FI】
G07B5/00 Z
G07B5/00 D
G07B5/00 A
【審査請求】未請求
【請求項の数】9
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023001814
(22)【出願日】2023-01-10
(71)【出願人】
【識別番号】000003078
【氏名又は名称】株式会社東芝
(71)【出願人】
【識別番号】598076591
【氏名又は名称】東芝インフラシステムズ株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110003708
【氏名又は名称】弁理士法人鈴榮特許綜合事務所
(72)【発明者】
【氏名】繁道 雅志
【テーマコード(参考)】
3E026
【Fターム(参考)】
3E026AA03
3E026AA05
3E026CA06
(57)【要約】
【課題】 現金不足が発生した場合に現金の出金が可能な機器を案内できる券処理装置および券処理システムを提供する。
【解決手段】 実施形態によれば、券処理装置は、券処理部と現金処理部と制御部とを有する。券処理部は、券を処理する。現金処理部は、現金の入出金を行う。制御部は、券処理部によって処理する券に対する払戻額を現金処理部が現金で出金できない場合、払戻額の現金を出金可能な他の券処理装置の案内を表示装置に表示する。
【選択図】図2
【特許請求の範囲】
【請求項1】
券を処理する券処理部と、
現金の入出金を行う現金処理部と、
前記券処理部によって処理する券に対する払戻額を前記現金処理部が現金で出金できない場合、前記払戻額の現金を出金可能な他の券処理装置の案内を表示装置に表示する制御部と、
を有する券処理装置。
【請求項2】
さらに、他の券処理装置と通信する通信部を有し、
前記制御部は、前記通信部により他の券処理装置から取得する情報に基づいて特定する前記払戻額の現金を出金可能な他の券処理装置の案内を表示装置に表示する、
請求項1に記載の券処理装置。
【請求項3】
前記制御部は、前記通信部により他の券処理装置に対して前記払戻額の現金が出金可能か否かを問い合わせを送信し、前記問い合わせに対する応答に基づいて特定する前記払戻額の現金を出金可能な他の券処理装置の案内を表示装置に表示する、
請求項2に記載の券処理装置。
【請求項4】
前記制御部は、前記通信部により他の券処理装置に対して出金可能な現金を示す現金情報を取得し、他の券処理装置から取得した現金情報に基づいて特定する前記払戻額の現金を出金可能な他の券処理装置の案内を表示装置に表示する、
請求項2に記載の券処理装置。
【請求項5】
さらに、各駅務機器と通信するサーバと通信する通信部を有し、
前記制御部は、前記通信部により前記サーバから取得する情報に基づいて特定する前記払戻額の現金を出金可能な他の券処理装置の案内を表示装置に表示する、
請求項1に記載の券処理装置。
【請求項6】
前記制御部は、前記通信部により前記サーバに対して前記払戻額の現金を出金可能な他の券処理装置を示す情報を問い合わせ、前記問い合わせに対する前記サーバからの応答に基づいて特定する前記払戻額の現金を出金可能な他の券処理装置の案内を表示装置に表示する、
請求項5に記載の券処理装置。
【請求項7】
前記制御部は、前記通信部により前記サーバから他の券処理装置が出金可能な現金を示す現金情報を取得し、前記サーバから取得した他の券処理装置の現金情報に基づいて特定する前記払戻額の現金を出金可能な他の券処理装置の案内を表示装置に表示する、
請求項5に記載の券処理装置。
【請求項8】
複数の券処理装置が通信接続される券処理システムであって、
前記券処理装置は、
他の券処理装置と通信する通信部と、
券を処理する券処理部と、
現金の入出金を行う現金処理部と、
前記券処理部が処理する券に対する払戻額を前記現金処理部が現金で出金できない場合には前記通信部により他の券処理装置から取得する情報に基づいて特定される前記払戻額の現金を出金可能な他の券処理装置の案内を表示装置に表示し、前記他の券処理装置から出金可能な現金に関する問い合わせを受けた場合には前記払戻額の現金を出金可能であるか否かを示す情報を前記問い合わせ元の券処理装置へ応答する制御部と、を有する、
券処理システム。
【請求項9】
サーバと複数の券処理装置とが有する券処理システムであって、
前記券処理装置は、
前記サーバと通信する通信部と、
券を処理する券処理部と、
現金の入出金を行う現金処理部と、
前記券処理部によって処理する券に対する払戻額を前記現金処理部が現金で出金できない場合には前記通信部により前記サーバから取得する情報に基づいて特定する前記払戻額の現金を出金可能な他の券処理装置の案内を表示装置に表示し、前記サーバから出金可能な現金に関する問い合わせを受けた場合には前記払戻額の現金を出金可能であるか否かを示す情報を前記サーバへ応答する制御部と、を有し、
前記サーバは、
前記複数の券処理装置と通信する第2の通信部と、
1つの券処理装置から他の券処理装置における出金可能な現金に関する問い合わせを受けた場合、他の券処理装置が前記払戻額の現金を出金可能であるか否かを示す情報を前記問い合わせ元の券処理装置へ応答する第2の制御部と、を有する、
券処理システム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明の実施形態は、券処理装置および券処理システムに関する。
【背景技術】
【0002】
自動券売機および自動定期券発行機などの券処理装置には、利用者自身の操作によって乗車券(切符)あるいは定期券など券の払戻を実行する機能を有するものがある。一般に乗車券などの券は、購入したときと同じ決済方法によって払戻が行われる。たとえば、クレジットカードによる決済で購入した券は、クレジットカードによって払戻額が返金され、現金が購入した券は、現金によって払戻額が返金される。
【0003】
現金による払戻処理を実行する券処理装置は、払戻額の現金が搭載されていない場合、払戻不可となる。従来の券処理装置は、払戻不可となった場合には払戻が不可であることが案内される。利用者は、払戻不可となった場合、係員がいる窓口で払戻手続きを行ったり、払戻可能な券処理装置を自身で探して払戻を行ったりすることになる。このため、券処理装置が現金不足で払戻不可となった場合、係員が介在することなく、現金の払戻が可能な機器を案内することにより駅業務の省力化および利便性の向上を図れるものが要望されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2013-73538号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
上記の課題を解決するために、現金不足が発生した場合に現金の出金が可能な機器を案内できる券処理装置および券処理システムを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
実施形態によれば、券処理装置は、券処理部と現金処理部と制御部とを有する。券処理部は、券を処理する。現金処理部は、現金の入出金を行う。制御部は、券処理部によって処理する券に対する払戻額を現金処理部が現金で出金できない場合、払戻額の現金を出金可能な他の券処理装置の案内を表示装置に表示する。
【図面の簡単な説明】
【0007】
図1図1は、第1の実施形態に係る券処理システムとしての駅務システムの構成例を示すブロック図である。
図2図2は、第1の実施形態に係る券処理装置としての自動券売機の構成例を示すブロック図である。
図3図3は、第1の実施形態に係る券処理装置としての自動券売機による払戻処理の第1の動作例を説明するためのフローチャートである。
図4図4は、第1の実施形態に係る券処理装置としての自動券売機による払戻処理の第2の動作例を説明するためのフローチャートである。
図5図5は、第1の実施形態に係る券処理装置が接客用表示部に表示する案内画面の表示例を示す図である。
図6図6は、第1の実施形態に係る券処理装置が接客用表示部に表示する案内画面の表示例を示す図である。
図7図7は、第2の実施形態に係る券処理システムとしての駅務システムの構成例を示すブロック図である。
図8図8は、第2の実施形態に係る駅務システムにおけるサーバの構成例を示すブロック図である。
図9図9は、第2の実施形態に係る券処理装置としての自動券売機による払戻処理の第3の動作例を説明するためのフローチャートである。
図10図10は、第2の実施形態に係る券処理装置としての自動券売機による払戻処理の第4の動作例を説明するためのフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0008】
以下、実施形態について図面を参照して説明する。
(第1の実施形態)
図1は、第1の実施形態に係る券処理装置としての自動券売機1および定期券発行機5を含む種々の駅務機器で構成される駅務システムの構成例を示す図である。
本実施形態に係る駅務システムは、鉄道などの交通機関における種々の駅務処理を行う種々の駅務機器から構成されるシステムである。駅務システムは、乗車券、定期券、特急券、精算券、および、カード(たとえば、プリペイドカードあるいはポストペイカード等)などの乗車券媒体により鉄道などの交通機関の利用を可能とするものである。
【0009】
駅務システムは、図1に示すように、自動券売機1(1A、1B、…、1N)、自動改札機2(2A、2B、…、2N)、係員処理機3、および、定期券発行機5などにより構成される。たとえば、図1に示すような自動券売機1、自動改札機2、係員処理機3、および定期券発行機5などの駅務機器は、各駅に設置される。
【0010】
自動改札機2は、利用者が所持する乗車券媒体(券)に記憶されている情報に基づいて当該利用者に対して通行を制御(改札処理)するものである。自動改札機2は、たとえば、駅の改札口などに設置される。自動改札機2は、利用者が提示する磁気券あるいはICカードなどの乗車券媒体に記憶されている情報に基づいて当該利用者の通行(入場あるいは出場)の可否を判定し、その判定結果に基づいて当該利用者の通行を制御する。
【0011】
自動券売機1および定期券発行機5などの駅務機器は、乗車券媒体(券)の発券処理、および、利用者が所持する乗車券媒体に対する払戻処理などの駅務処理を行う機能を有する券処理装置である。また、自動券売機1および定期券発行機5は、利用者の操作に応じて処理を行う利用者用の券処理装置である。
【0012】
本実施形態に係る券処理装置は、少なくとも現金による乗車券媒体に対する払戻処理を利用者の操作によって実施する機能を有する機器であれば良い。また、自動券売機1および定期券発行機5などの利用者用の券処理装置は、現金による券の払戻処理が現金不足によって不可となった場合に現金による券の払戻が可能な他の券処理装置を案内する機能を有するものである。
【0013】
自動券売機1は、たとえば、各駅などに設置される。自動券売機1は、利用者自身により操作される券処理装置としての機能を有する。たとえば、自動券売機1は、利用者から受領した現金に応じて、乗車券、回数券あるいは特急券などの乗車券媒体を発券する。また、自動券売機1は、利用者から受領した金額に応じて、電子マネーとして利用可能な金額情報を書込んだカード(たとえば、ICカード)を新規に発券したり、利用者が所持しているカードに記録されている電子マネーとして利用可能な金額情報を更新したりする機能を具備しても良い。
【0014】
さらに、自動券売機1は、利用者が所持する乗車券媒体に対して払戻を実行する。本実施形態において、自動券売機1は、発券時の決済方法に応じた決済方法で乗車券媒体に対する払戻を行う。たとえば、自動券売機1は、現金決済によって発券された乗車券媒体を現金で払戻、クレジットカード決済によって発券された乗車券媒体をクレジットカードにて払戻する。
【0015】
定期券発行機5は、たとえば、各駅などに設置される。定期券発行機5は、利用者自身により操作される券処理装置としての機能を有する。定期券発行機5は、利用者から金額を受領して、定期券情報を書込んだ乗車券媒体(たとえば、ICカードまたは磁気券)を新規に発券したり、定期券として利用されている乗車券媒体に記録されている定期券情報を更新したりする機能を有する。
【0016】
また、定期券発行機5は、利用者が所持する乗車券媒体に対して払戻を実行する。たとえば、定期券発行機5は、現金決済によって発券された定期券又は乗車券などの乗車券媒体を現金で払戻、クレジットカード決済によって発券された定期券又は乗車券などの乗車券媒体をクレジットカードにて払戻する。
【0017】
係員処理機3は、駅の係員により操作される駅務機器であり、係員の操作に応じて処理を行う係員用の処理装置である。係員処理機3は、たとえば、各駅の係員窓口内に設置される。係員処理機3は、利用者からの申し出に応じて利用者が提示する乗車券媒体に対する各種の処理を実行する機能を有する。たとえば、係員処理機3は、利用者からの申し出を受けた係員の操作によって、乗車券、あるいは、定期券など乗車券媒体に対する払戻を実行する機能を有する。
【0018】
次に、実施形態に係る券処理装置としての自動券売機1の構成について説明する。
図2は、実施形態に係わる券処理装置としての自動券売機1の構成例を示すブロック図である。
図2に示す自動券売機1は、鉄道の各駅などに設置され、乗車券、回数券、特急券、ありは座席指定券などの券を発券する。たとえば、自動券売機1は、鉄道の各駅などに設置される自動改札機などの駅務器機で処理される乗車券を利用者自身の操作に応じて発券するものが想定される。
【0019】
自動券売機1は、図2に示すように、制御部10、接客用表示部11、係員用表示部12、運賃メモリ13、データメモリ14、通信部15、カード処理部16、紙幣処理部17、硬貨処理部18および券処理部19を有する。
【0020】
制御部10は、当該自動券売機1全体の制御を司るものである。制御部10は、プロセッサ10a、メモリ10b、および、各種のインターフェースなどを有する。プロセッサ10aは、プログラムを実行するCPUなどである。メモリ10bは、RAM、ROM、および、書換え可能な不揮発性メモリ(たとえば、EEPORM、FROM等)などを含む。制御部10は、プロセッサ10aがメモリ10bに記憶したプログラムを実行することにより種々の機能を実現する。たとえば、制御部10は、自動券売機1内の各部にインターフェースを介して接続され、自動券売機1内の各部を制御する。また、制御部10は、プロセッサ10aがメモリ10bに記憶したプログラムを実行することにより種々の演算処理を実行する。
【0021】
接客用表示部11は、利用者に対して種々の案内などを表示する表示装置である。接客用表示部11は、操作部としてのタッチパネル11aを内蔵する液晶表示装置などにより構成される。たとえば、接客用表示部11は、乗車券の発券又は払戻などを選択するためのボタンなどを表示する。制御部10は、発券ボタンがタッチされた場合には利用者が選択する券の発券処理を実行し、払戻ボタンがタッチされた場合には利用者が提示する乗車券媒体(券)に対する払戻処理を実行するようになっている。
【0022】
係員用表示部12は、係員に対して種々の案内などを表示する表示装置である。係員用表示部12は、操作手段としてのタッチパネル12aを内蔵する液晶表示装置などにより構成される。係員用表示部12には、係員による操作を受け付けるための種々のキーが表示され、それらのキーの表示部位をタッチすることにより係員による種々の操作を受け付けるようになっている。
【0023】
また、制御部10は、表示部11および表示部12を制御する機能を有している。すなわち、表示部11あるいは表示部12に表示する内容は、制御部10が制御する。また、表示部11のタッチパネル11aあるいは表示部12のタッチパネル12aへの入力は、制御部10が検出するようになっている。
【0024】
運賃メモリ13は、運賃データなどを記憶する。制御部10は、運賃メモリ13に記憶されている運賃データに基づいて乗車券の料金などを算出する機能を有する。
データメモリ14は、各種のデータを記憶する。たとえば、データメモリ14は、紙幣処理部17および硬貨処理部18などを含む現金処理部が払い出し可能な現金情報を記憶する。また、データメモリ14は、当該自動券売機に代わって現金による払戻処理が可能な他の券処理装置としての他の自動券売機および定期券発行機(たとえば、当該自動券売機1と同じコーナーに設置される券処理装置)を示す情報を記憶するようにしても良い。
【0025】
通信部15は、他の駅務機器(たとえば、他の自動券売機1、係員処理機3あるいは定期券発行機5)とのデータ通信を行うための外部通信ユニットである。たとえば、通信部15は、ネットワークインターフェースである。
【0026】
カード処理部16は、カード口16aに接続されている。カード処理部16は、カード口16aに挿入されたカードを処理し、処理済みのカードをカード口16aから排出する。カード処理部16は、取り扱うカードとして記憶媒体の種類に応じた処理ユニットを有している。たとえば、非接触式のICカードを取り扱う場合、カード処理部16には、非接触式のICカードとの通信を行うためのリーダライタが具備される。また、磁気情報が記憶される磁気カードを取り扱う場合、カード処理部16には、磁気情報の読取りおよび書込みを行うための磁気ヘッドなどが具備される。たとえば、カード処理部16が取り扱うカードの形態としては、たとえば、ストアードフェア(SF)カード、定期券、クレジットカードあるいは電子マネーカードなどの機能を有するカードが想定される。
【0027】
紙幣処理部17および硬貨処理部18は、現金処理部として機能する。
紙幣処理部17は、紙幣口17aに接続されている。紙幣処理部17は、紙幣口17aに挿入された紙幣を処理したり、紙幣処理部17内で処理された釣銭としての紙幣などの紙幣口17aより放出したりするようなっている。紙幣処理部17は、紙幣の券種を判定したり、紙幣の真偽を検査したりする機能を有している。
【0028】
硬貨処理部18は、硬貨投入口18aおよび硬貨放出口18bに接続されている。すなわち、硬貨処理部18は、硬貨投入口18aに挿入された硬貨を処理したり、図示しない貯留部に貯留された硬貨を釣銭として硬貨放出口18bから放出したりするようなっている。硬貨処理部18は、投入された硬貨の種類を判定したり、硬貨を検査したり、検査済みの硬貨を図示しない貯留部に貯留したり、貯留部から制御部10により指示された金額の硬貨を放出したりする機能を有している。
【0029】
券処理部19は、券口19aに接続されている。券処理部19は、乗車券媒体の発券および払戻する乗車券媒体の処理を実行する。たとえば、券処理部19は、券紙挿入部、姿勢制御部、カッター部、印字部、回収部、搬送部、パンチ部、エンコード部、保留部、放出口部(いずれも図示しない)などを有する。
【0030】
発券処理を実行する場合、券処理部19では、ロール紙状の媒体(たとえば、磁気記録媒体)を所定のサイズにカットし、カットした券紙に券面印刷および磁気情報の記録などを施して乗車券として券口19aから放出する。また、払戻処理を実行する場合、券処理部19は、利用者が券口19aに投入する乗車券媒体に記録されている情報を読み取り、読み取った情報に基づく払戻が完了した乗車券媒体を回収部により回収し、読み取った情報に基づく払戻が不可であった乗車券媒体を券口19aから放出する。
なお、定期券発行機5は、たとえば、図2に示すような構成を有することにより券処理装置として機能するものとする。
【0031】
次に、第1の実施形態に係る券処理装置としての自動券売機1の動作について説明する。
図3は、第1の実施形態に係る券処理装置としての自動券売機1における乗車券媒体に対する払戻処理の第1の動作例を説明するためのフローチャートである。
自動券売機1の制御部10は、利用者の操作に応じて発券処理あるいは払戻処理などの処理を行う。すなわち、制御部10は、利用者により乗車券媒体に対する払戻が指示されたことを検知する(ST11)。
【0032】
たとえば、利用者は、自身の所持する乗車券媒体の払戻を行う場合、接客用表示部11に表示される乗車券媒体に対する払戻処理を指示する払戻ボタンをタッチパネル11aにより指示する。制御部10は、タッチパネル11aにより払戻ボタンが指示されたことを検知することにより、乗車券媒体に対する払戻が指示されたことを検知する。
【0033】
制御部10は、乗車券媒体に対する払戻が指示されたことを検知すると、接客用表示部11に払戻の対象となる乗車券媒体(払戻券)の提示を案内する案内画面を表示する。制御部10は、払戻券の提示を案内するとともに、利用者が提示する払戻券に記録されている情報を券処理部19により読み取る(ST12)。
【0034】
たとえば、制御部10は、払戻券を券口19aに投入する旨の案内を表示部11に表示し、券口19aへの券の投入を受け付ける。利用者が券口19aに払戻対象とする乗車券媒体を投入すると、券処理部19は、券口19aに投入された乗車券媒体を取り込み、投入された乗車券媒体に記憶されている情報を読み取る。
【0035】
制御部10は、券処理部19によって払戻券に記録されている情報を読み取ると、読み取った情報に基づいて当該払戻券に対して払い戻すべき金額(払戻額)を算出する(ST13)。
【0036】
さらに、制御部10は、当該払戻券から読み取った情報に基づいて当該払戻券に対する払戻額の払戻方法を特定する。たとえば、制御部10は、払戻券から読み取る情報に基づいて当該券の発券時の決済方法を特定し、発券時の決済方法に応じた払戻を特定する。この場合、制御部10は、現金による決済で発券した払戻券については現金での払戻とし、クレジットカードによる決済で発券した払戻券についてはクレジットカードでの払戻とする。
【0037】
なお、制御部10は、払戻額の払戻方法が複数から選択可能である場合には払戻方法を利用者に選択させるようにしても良い。たとえば、券処理装置としての自動券売機1は、現金による決済で発券した払戻券を現金又は電子マネーのいずれかで払戻できるようにしても良い。この場合、制御部10は、選択可能な払戻方法を接客用表示部11に表示し、表示した払戻方法から利用者がタッチパネル11aで選択する方法を払戻方法として特定するようにすれば良い。
【0038】
制御部10は、利用者が提示した払戻券に対する払戻方法を特定すると、現金の払戻であるか否かを判断する(ST14)。払戻券に対する払戻方法が現金以外である場合(ST14、NO)、制御部10は、特定した現金以外の払戻方法による払戻処理を実行する(ST15)。たとえば、制御部10は、払戻方法がクレジットカードである場合、払戻券に対する払戻額をクレジットカードで払い戻す払戻処理を実行する。
【0039】
払戻券に対する払戻方法が現金である場合(ST14、YES)、制御部10は、算出した払戻額の現金が払い出し可能であるか否かによって払戻用の現金が不足しているか否かを判断する(ST16)。制御部10は、払戻用の現金が不足していない場合(ST16、NO)、現金による払戻処理を実行する(ST17)。たとえば、制御部10は、券処理部19によって当該払戻券を回収し、紙幣処理部17および硬貨処理部18を含む現金処理部により払戻額の現金を放出することにより現金による払戻処理を実行する。
【0040】
払戻用の現金が不足している場合(ST16、YES)、制御部10は、当該自動券売機1以外で現金による乗車券媒体の払戻機能を有する機器(券処理装置)を選出する(ST18)。制御部10は、当該自動券売機1と同じコーナー(改札口周辺)に設置されている他の自動券売機1および定期券発行機5などの券処理装置のうち現金による払戻機能を備える機器を選出する。たとえば、データメモリ14に現金による払戻機能を備える機器を示す情報を記憶しておき、制御部10は、データメモリ14に記憶されている情報から現金による払戻機能を備える機器を選出するようにしても良い。
【0041】
制御部10は、現金による乗車券媒体の払戻機能を有する機器を選出すると、通信部15により選出した各機器と通信し、各機器に当該払戻券に対する払戻額の現金が払い出し可能か否かを問い合わせる(ST19)。制御部10は、各機器に対する問い合わせに対する応答を受信し、各機器に対する問い合わせに対する応答に基づいて当該払戻券に対する現金による払戻可能な機器を特定する。
【0042】
制御部10は、各機器からの応答によって当該払戻券の払戻額を現金で出金可能な他の機器(券処理装置)が存在するか否かを判断する(ST20)。払戻額を現金で出金可能な他の機器がない場合(ST20、NO)、制御部10は、現金不足のために現金での払戻が不可である旨の案内、あるいは、係員対応による現金の払戻を案内する案内画面を接客用表示部11に表示する(ST21)。制御部10は、払戻不可の案内を接客用表示部11に表示すると、利用者が提示した払戻券を返却し(ST25)、当該自動券売機1における一連の処理を終了する。
【0043】
払戻額を現金で出金可能な他の機器(券処理装置)がある場合(ST20、YES)、制御部10は、払戻額を現金で出金可能な機器を接客用表示部11に表示する(ST22)。たとえば、制御部10は、払戻額を現金で出金可能な他の機器(券処理装置)などを利用者が選択可能なアイコン(ボタン)などとして接客用表示部11に一覧表示するものとする。
【0044】
図4は、接客用表示部11に表示する払戻券に対する現金での払戻が可能な他の機器(券処理装置)を一覧表示する案内画面を表示例である。
図4に示す表示例において、制御部10は、当該払戻券に対する払戻額を現金で出金可能な各機器(券処理装置)を表示したアイコン(機器ボタン)A1、A2と係員窓口と表示したアイコン(係員窓口ボタン)A3と取消と表示したアイコン(取消ボタン)A4とを接客用表示部11に表示する。
【0045】
制御部10は、いずれかの機器ボタンA1、A2がタッチパネル11aにより選択された場合、選択された機器ボタンに対する機器に関する案内を接客用表示部11に表示する。また、制御部10は、係員窓口ボタンA3がタッチパネル11aにより指示された場合、係員窓口に関する案内を接客用表示部11に表示する。また、制御部10は、取消ボタンA4がタッチパネル11aにより選択された場合、当該自動券売機1における一連の処理を終了する。
【0046】
払戻可能な他の機器が利用者により選択されなかった場合(ST23、NO)、制御部10は、現金による払戻の中止(取消)を案内する案内画面を接客用表示部11に表示する(ST21)。制御部10は、現金による払戻中止の案内を表示すると、利用者が提示した払戻券を返却し(ST25)、当該自動券売機1による一連の処理を終了する。
【0047】
たとえば、制御部10は、図4に示す表示例における取消ボタンA4がタッチパネル11aにより選択された場合、現金による払戻の取消を案内する案内画面を表示し、払戻券を返却して一連の処理を終了する。また、制御部10は、図4に示す表示例における係員窓口ボタンA3がタッチパネル11aにより指示された場合、係員対応によって現金での払戻が可能な係員窓口を案内する案内画面を接客用表示部11に表示し、払戻券を返却して一連の処理を終了する。
【0048】
現金で払戻可能ないずれかの機器が利用者により選択された場合(ST23、YES)、制御部10は、選択された機器を案内する案内画面を接客用表示部11に表示する(ST24)。
たとえば、制御部10は、図4に示す機器ボタンA1又はA2が指示された場合、選択された機器ボタンに対応する機器を案内する案内画面を接客用表示部11に表示する。
【0049】
図5は、図4に示す表示例において機器ボタンA2が選択された場合に接客用表示部11に表示される案内画面の表示例である。
図5に示す表示例は、当該自動券売機1が設置されているコーナー(改札口周辺)において選択された機器(他の券処理装置)の場所を示す案内画面の例である。
【0050】
図5に示す表示例では、当該自動券売機1が設置されたコーナー(改札口周辺)を示す案内図を表示し、当該案内図において操作中の自動券売機1と選択された機器(自動券売機)との位置関係を案内する画面を表示する。図5に示すような案内画面を表示することにより、操作中の自動券売機1は、当該自動券売機1と選択された機器(自動券売機1)との位置関係を案内図によって明示でき、当該自動券売機1に代わって現金での払戻券に対する払戻が可能な他の券処理装置としての自動券売機1を利用者に分かり易く案内することができる。
【0051】
制御部10は、選択された機器を案内する案内画面を接客用表示部11に表示すると、利用者が提示した払戻券を返却し(ST25)、当該自動券売機1における一連の処理を終了する。
【0052】
次に、第1の実施形態に係る券処理装置としての自動券売機1による第2の動作例について説明する。
上述した第1の動作例において、現金不足であった券処理装置としての自動券売機1は、他の券処理装置としての機器に払戻額を現金で払い出し可能であるか否かを問い合わせるようにしたが、第2の動作例に係る自動券売機1は、他の券処理装置としての機器から払い出し可能な現金額(紙幣および硬貨の数)を示す現金情報を取得するようにする。このような第2の動作例では、自動券売機1は、他の機器の現金情報に基づいて払戻額を現金で払い出し可能な他の機器を特定するようにすれば良い。
【0053】
図6は、第1の実施形態に係る券処理装置としての自動券売機1における乗車券媒体に対する払戻処理の第2の動作例を説明するためのフローチャートである。
自動券売機1の制御部10は、利用者の操作に応じて発券処理あるいは払戻処理などの処理を行う。制御部10は、利用者が所持する乗車券媒体に対する払戻が指示されたことを検知する(ST11)。
【0054】
制御部10は、乗車券媒体の払戻が指示されたことを検知すると、接客用表示部11に払戻の対象となる乗車券媒体(払戻券)の提示を案内する案内画面を表し、利用者が提示する払戻券に記録されている情報を券処理部19により読み取る(ST12)。
【0055】
制御部10は、券処理部19によって払戻券に記録されている情報を読み取ると、読み取った情報に基づいて払戻する金額(払戻額)を算出する(ST13)。
【0056】
さらに、制御部10は、払戻券から読み取った情報から払戻方法を特定し、当該払戻券に対する払戻が現金による払戻であるか否かを判断する(ST14)。払戻券に対する払戻が現金以外である場合(ST14、NO)、制御部10は、特定した現金以外の払戻方法による払戻処理を実行する(ST15)。
【0057】
払戻券に対する払戻が現金である場合(ST14、YES)、制御部10は、算出した払戻額の現金が払い出し可能な否かによって払戻用の現金が不足しているか否かを判断する(ST16)。払戻用の現金が不足していない場合(ST16、NO)、制御部10は、券処理部19により当該払戻券を回収し、紙幣処理部17および硬貨処理部18を含む現金処理部により払戻額の現金を放出することにより現金による払戻処理を実行する(ST17)。
【0058】
払戻用の現金が不足している場合(ST16、YES)、制御部10は、当該自動券売機1以外で現金による乗車券媒体の払戻機能を有する機器(券処理装置)を選出する(ST18)。
【0059】
制御部10は、現金による乗車券媒体の払戻機能を有する機器を選出すると、通信部15により選出した各機器と通信し、各機器が払い出し可能な現金を示す現金情報を取得する(ST31)。制御部10は、各機器から取得する現金情報に基づいて当該払戻券に対する現金による払戻可能な機器を特定する。
【0060】
たとえば、制御部10は、現金情報として、各機器が払い出し可能な各紙幣の枚数および各硬貨の個数などを示す情報を取得する。制御部10は、払戻額を払い出すために必要な紙幣の枚数および硬貨の個数を算出し、払戻に必要な紙幣の枚数および硬貨の枚数を有する現金情報を特定する。これにより、制御部10は、払戻に必要な現金を有する現金情報の機器を当該払戻券に対する現金による払戻可能な機器として特定する。
【0061】
制御部10は、各機器から取得する現金情報に基づいて、当該払戻券の払戻額を現金で出金可能な他の機器(券処理装置)が存在するか否かを判断する(ST20)。払戻額を現金で出金可能な他の機器がない場合(ST20、NO)、制御部10は、現金不足のために現金での払戻が不可である旨の案内、あるいは、係員対応による現金の払戻を案内する案内画面を接客用表示部11に表示する(ST21)。払戻不可の案内を接客用表示部11に表示した後、制御部10は、利用者が提示した払戻券を返却し(ST25)、一連の処理を終了する。
【0062】
払戻額を現金で出金可能な他の機器(券処理装置)がある場合(ST20、YES)、制御部10は、払戻額を現金で出金可能な機器を接客用表示部11に表示する(ST22)。たとえば、制御部10は、図4に示すように、払戻額を現金で出金可能な他の機器(券処理装置)などを利用者が選択可能なアイコンなどを接客用表示部11に表示する。
【0063】
なお、第2の動作例では各機器の現金情報を取得するため、制御部10は、払戻額を現金で出金可能な他の機器(券処理装置)が複数存在する場合、各機器が出金可能な金額(現金情報)に応じた案内を行うようにしても良い。たとえば、制御部10は、出金可能な現金の残高(紙幣および硬貨の量)が多い順番に、払戻額を現金で出金可能な各機器を案内するようにしても良い。
【0064】
払戻可能な他の機器を利用者が選択しなかった場合(ST23、NO)、制御部10は、現金による払戻の不可を案内する案内画面を接客用表示部11に表示し(ST21)、利用者が提示した払戻券を返却し(ST25)、当該自動券売機1による一連の処理を終了する。
【0065】
現金で払戻可能ないずれかの機器を利用者が選択した場合(ST23、YES)、制御部10は、選択された機器を案内する案内画面を接客用表示部11に表示する(ST24)。制御部10は、選択された機器を案内する案内画面を接客用表示部11に表示すると、利用者が提示した払戻券を返却し(ST25)、当該自動券売機1における一連の処理を終了する。
【0066】
なお、上述した第1および第2の動作例において、現金で払戻可能な他の機器が選択された場合、制御部10は、利用者が選択した機器に対して当該利用者が提示した払戻券の払戻に関する情報を通知するようにしても良い。これにより、利用者が現金による払戻を実行する機器として選択した機器(他の券処理装置)では、待機画面などにおいて事前に現金による払戻が可能な状態であることを示す案内を接客用表示部に表示したり、当該払戻券に対する現金による払戻処理の準備(たとえば、払戻額の現金の確保など)を行ったりするようにしても良い。
【0067】
上記のような第1の実施形態によれば、券処理装置は、利用者が提示する券に対する払戻額を現金で出金できない場合、通信可能な他の券処理装置から取得する情報に基づいて払戻額の現金を出金可能な他の券処理装置を特定し、払戻額の現金を出金可能な他の券処理装置を示す案内を接客用表示部に表示する。
【0068】
これにより、第1の実施形態によれば、券処理装置が利用者により提示された券の払戻額を現金で出金できない場合であっても当該払戻額を現金で出金可能な券処理装置を利用者に案内することができ、係員が介在することなく利用者の操作による現金の払戻を促すことができる。
【0069】
また、第1の実施形態に係る券処理装置は、他の券処理装置に払戻額の現金が出金可能か否かを問い合わせ、利用者が提示する券に対する払戻額の現金を出金可能な他の券処理装置を特定する。これにより、券処理装置は、払戻額を現金で出金可能な券処理装置を簡単に特定することができ、利用者に対する案内を迅速に行うことができる。
【0070】
また、第1の実施形態に係る券処理装置は、他の券処理装置から出金可能な現金を示す現金情報を取得し、他の券処理装置から取得した現金情報に基づいて払戻額の現金を出金可能な他の券処理装置を特定する。これにより、券処理装置は、各券処理装置が出金可能な現金の残額を特定することができるため、払戻額を現金で出金可能な券処理装置を案内できるだけでなく、各券処理装置が出金可能な現金の残額に応じた案内を行うことなども可能となる。
【0071】
(第2の実施形態)
図7は、第2の実施形態に係る自動券売機(券処理装置)1を含む種々の駅務機器で構成される駅務システム(券処理システム)の構成例を示す図である。
図7に示すように、第2の実施形態に係る駅務システムは、自動券売機1(1A、1B、…、1N)、自動改札機2(2A、2B、…、2N)、係員処理機3、および、定期券発行機5などを有し、さらに、図1に示す第1の実施形態に係る駅務システムにサーバ6が追加された構成を有する。
【0072】
サーバ6は、たとえば、一般的なサーバ装置として用いられるコンピュータなどにより構成される。サーバ6は、各駅務機器との通信機能を有する。サーバ6は、各駅務機器に対して情報を配信したり、各駅務機器からの情報を収集したりする。サーバ6は、駅ごとに設け、各駅の各駅務機器を接続する。また、サーバ6は、複数の駅に対して1つ設け、複数の駅の各駅務機器を接続しても良い。
【0073】
なお、図7に示す自動券売機1、自動改札機2、係員処理機3、および、定期券発行機5の構成については、第1の実施形態で説明したもので実現できるため、詳細な説明は省略する。また、券処理装置としての自動券売機1および定期券発行機5の構成は、図2に示す構成と同様なものであるものとして説明する。ただし、自動券売機1および定期券発行機5は、通信部によりサーバ6とも通信可能な構成を備えるものとする。
【0074】
図8は、第2の実施形態に係る駅務システムにおけるサーバ6の構成例を示すブロック図である。
図8に示すように、サーバ6は、制御部60、データメモリ61、および、通信部62などを有する。
制御部60は、サーバ6の制御を司る。制御部60は、プロセッサ60a、メモリ60b、および各種インターフェースなどを有する。プロセッサ60aは、CPUなどである。メモリ60bは、RAM、ROM、および、書換え可能な不揮発性メモリ(たとえば、EEPORM、FROM等)などである。メモリ60bは、データを一時的に格納するバッファメモリ、および、プロセッサ60aが実行する種々のプログラムや制御データなどを記憶するプログラムメモリなどを含む。制御部60では、プロセッサ60aがメモリ60bに記憶したプログラムを実行することにより種々の機能を実現する。
【0075】
データメモリ61は、データを記憶する記憶装置である。データメモリ61は、たとえば、各機器から取得する情報を記憶する。たとえば、制御部10は、券処理装置としての自動券売機1および定期券発行機5から払い出し可能な現金(収納している現金)を示す現金情報を取得し、各自動券売機1および定期券発行機5の現金情報をデータメモリ61に、記憶する。
通信部62は、各駅務機器とのデータ通信を行うための通信インターフェースである。たとえば、通信部62は、ネットワークを介して各駅務機器と通信するネットワークインターフェースである。
【0076】
次に、第2の実施形態に係る券処理システムにおける券処理装置としての自動券売機1の動作について説明する。
図9は、第2の実施形態に係る券処理システムにおける券処理装置としての自動券売機1による払戻処理の第3の動作例を説明するためのフローチャートである。
自動券売機1の制御部10は、利用者の操作に応じて発券処理あるいは払戻処理などの処理を行う。制御部10は、乗車券媒体に対する払戻が指示されたことを検知すると、接客用表示部11に払戻の対象となる乗車券媒体(払戻券)の提示を案内する案内画面を表示する。制御部10は、払戻券の提示を案内するとともに、利用者が提示する払戻券に記録されている情報を券処理部19により読み取る処理を行う(ST12)。
【0077】
制御部10は、券処理部19によって払戻券に記録されている情報を読み取ると、読み取った情報に基づいて当該払戻券に対して払い戻すべき金額(払戻額)を算出する(ST13)。
【0078】
さらに、制御部10は、当該払戻券から読み取った情報に基づいて当該払戻券に対する払戻額の払戻方法を特定し、利用者が提示した払戻券に対する払戻が現金での払戻とするか否かを判断する(ST14)。払戻券に対する払戻方法が現金以外である場合(ST14、NO)、制御部10は、特定した現金以外の払戻方法による払戻処理を実行する(ST15)。
【0079】
払戻券に対する払戻方法が現金である場合(ST14、YES)、制御部10は、算出した払戻額の現金が払い出し可能であるか否かによって払戻用の現金が不足しているか否かを判断する(ST16)。制御部10は、払戻用の現金が不足していない場合(ST16、NO)、現金による払戻処理を実行する(ST17)。
【0080】
払戻用の現金が不足している場合(ST16、YES)、制御部10は、当該自動券売機1以外で現金による乗車券媒体の払戻機能を有する機器(券処理装置)を選出する(ST18)。
制御部10は、現金による払戻機能を有する機器を選出すると、通信部15によりサーバ6と通信し、サーバ6に各機器が当該払戻券に対する払戻額の現金の払い出し可能であるか否かを問い合わせる(ST41)。
【0081】
サーバ6は、通信部62により自動券売機1からの払戻の問い合わせを受信する。サーバ6の制御部60は、自動券売機1からの問い合わせに応じて当該払戻額の現金を払い出し可能な他の機器(券処理装置)を特定する。
【0082】
たとえば、サーバ6は、当該自動券売機1と同一のコーナーに存在する現金による払戻機能を備える各機器に対して払戻額を現金で払い出し可能かを問い合わせて、問い合わせに対する各機器からの応答から払戻額の現金の払い出しが可能な機器を特定する。また、サーバ6は、当該自動券売機1と同一のコーナーに存在する各機器から取得する現金情報に基づいて払戻額の現金の払い出しが可能な機器を特定するようにしても良い。
【0083】
サーバ6の制御部60は、問い合わせに応じて払戻額の現金を払い出し可能な他の機器(券処理装置)を特定すると、問い合わせ元の自動券売機1に対して払戻額の現金を払い出し可能な他の機器を示す情報を通知する。
【0084】
自動券売機1は、通信部15により問い合わせに対する応答として払戻額の現金が払い出し可能な機器を示す情報をサーバ6から取得する。自動券売機1の制御部10は、サーバ6から払戻額の現金が払い出し可能な機器を示す情報を取得すると、サーバ6からの情報に基づいて当該払戻券の払戻額を現金で出金可能な他の機器(券処理装置)が存在するか否かを判断する(ST20)。
【0085】
払戻額を現金で出金可能な他の機器がない場合(ST20、NO)、制御部10は、現金不足のために現金での払戻が不可である旨の案内、あるいは、係員対応による現金の払戻を案内する案内画面を接客用表示部11に表示する(ST21)。制御部10は、払戻不可の案内を接客用表示部11に表示すると、利用者が提示した払戻券を返却し(ST25)、当該自動券売機1における一連の処理を終了する。
【0086】
払戻額を現金で出金可能な他の機器が存在する場合(ST20、YES)、制御部10は、払戻額を現金で出金可能な機器を示す情報を接客用表示部11に表示する(ST22)。たとえば、制御部10は、図4に示すように、払戻額を現金で出金可能な他の機器(券処理装置)などを利用者が選択可能なアイコン(ボタン)などとして接客用表示部11に一覧表示する。
【0087】
払戻可能な他の機器を利用者が選択しなかった場合(ST23、NO)、制御部10は、現金による払戻の中止(取消)を案内する案内画面を接客用表示部11に表示する(ST21)。制御部10は、払戻の中止を案内する案内画面を表示すると、利用者が提示した払戻券を返却し(ST25)、当該自動券売機1による一連の処理を終了する。
【0088】
現金で払戻可能ないずれかの機器を利用者が選択した場合(ST23、YES)、制御部10は、選択された機器を案内する案内画面を接客用表示部11に表示する(ST24)。たとえば、制御部10は、図5に示すように、利用者が選択した機器の場所などを案内する案内画面を接客用表示部11に表示する。
【0089】
制御部10は、選択された機器を案内する案内画面を接客用表示部11に表示すると、利用者が提示した払戻券を返却し(ST25)、当該自動券売機1における一連の処理を終了する。
【0090】
次に、第2の実施形態に係る券処理装置としての自動券売機1による第4の動作例について説明する。
上述した第3の動作例において、現金不足であった券処理装置としての自動券売機1は、払戻額を現金で払い出し可能な他の券処理装置としての機器をサーバに問い合わせるようにしたが、第4の動作例に係る自動券売機1は、他の券処理装置としての機器が払い出し可能な現金額(紙幣および硬貨の数)を示す現金情報をサーバ6から取得する。このような第4の動作例では、自動券売機1は、サーバ6から取得する他の機器における現金情報に基づいて払戻額を現金で払い出し可能な機器を特定するようにすれば良い。
【0091】
図10は、第2の実施形態に係る券処理システムにおける券処理装置としての自動券売機1による払戻処理の第4の動作例を説明するためのフローチャートである。
自動券売機1の制御部10は、利用者の操作に応じて発券処理あるいは払戻処理などの処理を行う。制御部10は、乗車券媒体の払戻が指示されたことを検知すると(ST11)、接客用表示部11に払戻の対象となる乗車券媒体(払戻券)の提示を案内する案内画面を表示し、利用者が提示する払戻券に記録されている情報を券処理部19により読み取る処理を行う(ST12)。
【0092】
制御部10は、券処理部19によって払戻券に記録されている情報を読み取ると、読み取った情報に基づいて払戻する金額(払戻額)を算出する(ST13)。さらに、制御部10は、払戻券から読み取った情報から払戻方法を特定し、当該払戻券に対する払戻が現金による払戻であるか否かを判断する(ST14)。払戻券に対する払戻が現金以外である場合(ST14、NO)、制御部10は、特定した現金以外の払戻方法による払戻処理を実行する(ST15)。
【0093】
払戻券に対する払戻が現金である場合(ST14、YES)、制御部10は、算出した払戻額の現金が払い出し可能な否かによって払戻用の現金が不足しているか否かを判断する(ST16)。払戻用の現金が不足していない場合(ST16、NO)、制御部10は、券処理部19により当該払戻券を回収し、紙幣処理部17および硬貨処理部18を含む現金処理部により払戻額の現金を放出することにより現金による払戻処理を実行する(ST17)。
【0094】
払戻用の現金が不足している場合(ST16、YES)、制御部10は、当該自動券売機1以外で現金による乗車券媒体の払戻機能を有する機器(券処理装置)を選出する(ST18)。
【0095】
制御部10は、現金による乗車券媒体の払戻機能を有する機器を選出すると、通信部15によりサーバ6と通信し、各機器が払い出し可能な現金を示す現金情報をサーバ6から取得する(ST51)。
【0096】
たとえば、制御部10は、当該自動券売機1と同一のコーナーに存在する現金による払戻機能を備える各機器の現金情報をサーバ6に要求する。サーバ6は、通信部62により自動券売機1からの各機器の現金情報に要求を受信する。サーバ6の制御部60は、自動券売機1からの要求に応じて各機器の現金情報を当該自動券売機1へ送信する。
【0097】
自動券売機1は、通信部15により各機器の現金情報をサーバ6から取得する。自動券売機1の制御部10は、サーバ6から取得する各機器の現金情報に基づいて、当該払戻券の払戻額を現金で出金可能な他の機器(券処理装置)が存在するか否かを判断する(ST20)。
【0098】
払戻額を現金で出金可能な他の機器がない場合(ST20、NO)、制御部10は、現金不足のために現金での払戻が不可である旨の案内、あるいは、係員対応による現金の払戻を案内する案内画面を接客用表示部11に表示する(ST21)。払戻不可の案内を接客用表示部11に表示した後、制御部10は、利用者が提示した払戻券を返却し(ST25)、一連の処理を終了する。
【0099】
払戻額を現金で出金可能な他の機器(券処理装置)がある場合(ST20、YES)、制御部10は、払戻額を現金で出金可能な機器を接客用表示部11に表示する(ST22)。たとえば、制御部10は、図4に示すうに、払戻額を現金で出金可能な他の機器(券処理装置)などを利用者が選択可能なアイコンなどを接客用表示部11に表示する。
【0100】
なお、第4の動作例では各機器の現金情報を取得するため、制御部10は、払戻額を現金で出金可能な他の機器(券処理装置)が複数存在する場合、各機器が出金可能な金額(現金情報)に応じた案内を行うようにしても良い。たとえば、制御部10は、出金可能な現金の残高(紙幣および硬貨の量)が多い順番に、払戻額を現金で出金可能な各機器を案内するようにしても良い。
【0101】
払戻可能な他の機器を利用者が選択しなかった場合(ST23、NO)、制御部10は、現金による払戻の不可を案内する案内画面を接客用表示部11に表示し(ST21)、利用者が提示した払戻券を返却し(ST25)、当該自動券売機1による一連の処理を終了する。
【0102】
現金で払戻可能ないずれかの機器を利用者が選択した場合(ST23、YES)、制御部10は、利用者によって選択された機器を案内する案内画面を接客用表示部11に表示する(ST24)。制御部10は、選択された機器を案内する案内画面を接客用表示部11に表示すると、利用者が提示した払戻券を返却し(ST25)、当該自動券売機1における一連の処理を終了する。
【0103】
なお、上述した第3および第4の動作例において、現金で払戻可能な他の機器が選択された場合、制御部10は、利用者が選択した機器に対して当該利用者が提示した払戻券の払戻に関する情報を通知するようにしても良い。これにより、利用者が現金による払戻を実行する機器として選択した機器(他の券処理装置)では、待機画面などにおいて事前に現金による払戻が可能な状態であることを示す案内を接客用表示部に表示したり、当該払戻券に対する現金による払戻処理の準備(たとえば、払戻額の現金の確保など)を行ったりするようにしても良い。
【0104】
上記のような第2の実施形態によれば、券処理装置は、利用者が提示する券に対する払戻額を現金で出金できない場合、サーバから取得する情報に基づいて払戻額の現金を出金可能な他の券処理装置を特定し、払戻額の現金を出金可能な他の券処理装置を示す案内を接客用表示部に表示する。
【0105】
これにより、第2の実施形態によれば、券処理装置が利用者により提示された券の払戻額を現金で出金できない場合であっても当該払戻額を現金で出金可能な券処理装置を利用者に案内することができ、係員が介在することなく利用者の操作による現金の払戻を促すことができる。
【0106】
また、第2の実施形態に係る券処理装置は、サーバに払戻額の現金が出金可能な他の券処理装置を問い合わせ、払戻額を現金で出金可能な他の券処理装置を特定する。これにより、実施形態に係る券処理装置は、払戻額を現金で出金可能な券処理装置を簡単に特定することができ、利用者に対する案内を迅速に行うことができる。
【0107】
また、第2の実施形態に係る券処理装置は、サーバに他の券処理装置における出金可能な現金を示す現金情報を取得し、他の券処理装置の現金情報に基づいて払戻額の現金を出金可能な他の券処理装置を特定する。これにより、券処理装置は、各券処理装置が出金可能な現金の残額を特定することができるため、払戻額を現金で出金可能な券処理装置を案内できるだけでなく、各券処理装置が出金可能な現金の残額に応じた案内を行うことなども可能となる。
【0108】
本発明のいくつかの実施形態を説明したが、これらの実施形態は、例として提示したものであり、発明の範囲を限定することは意図していない。これら新規な実施形態は、その他の様々な形態で実施されることが可能であり、発明の要旨を逸脱しない範囲で、種々の省略、置き換え、変更を行うことができる。これら実施形態やその変形は、発明の範囲や要旨に含まれるとともに、特許請求の範囲に記載された発明とその均等の範囲に含まれる。
【符号の説明】
【0109】
1…自動券売機(券処理装置)、5…定期券発行機(券処理装置)、6…サーバ、10…制御部、10a…プロセッサ、10b…メモリ、11…接客用表示部、11a…タッチパネル、12…係員用表示部、12a…タッチパネル、14…データメモリ、15…通信部、16…カード処理部、17…紙幣処理部(現金処理部)、18…硬貨処理部(現金処理部)、19…券処理部、60…制御部(第2の制御部)、60a…プロセッサ、60b…メモリ、61…データメモリ、62…通信部(第2の通信部)。
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10