(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024009836
(43)【公開日】2024-01-23
(54)【発明の名称】農業用組成物
(51)【国際特許分類】
A01N 37/06 20060101AFI20240116BHJP
A01P 3/00 20060101ALI20240116BHJP
【FI】
A01N37/06
A01P3/00
【審査請求】有
【請求項の数】19
【出願形態】OL
【外国語出願】
(21)【出願番号】P 2023168339
(22)【出願日】2023-09-28
(62)【分割の表示】P 2021539961の分割
【原出願日】2020-01-08
(31)【優先権主張番号】62/789,649
(32)【優先日】2019-01-08
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(31)【優先権主張番号】62/789,656
(32)【優先日】2019-01-08
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(31)【優先権主張番号】62/789,657
(32)【優先日】2019-01-08
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
【公序良俗違反の表示】
(特許庁注:以下のものは登録商標)
1.TWEEN
(71)【出願人】
【識別番号】521300164
【氏名又は名称】オロ・アグリ・インコーポレイテッド
【氏名又は名称原語表記】ORO AGRI INC.
(74)【代理人】
【識別番号】110001195
【氏名又は名称】弁理士法人深見特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】ベルク,パウロ・セルジオ
(72)【発明者】
【氏名】プーレン,メルビン・ドノバン
(72)【発明者】
【氏名】バーナード,ダーク
(72)【発明者】
【氏名】バンダージル,ジャレッド
(57)【要約】 (修正有)
【課題】安定で抗病原性の環境に優しい農業用組成物を提供する。
【解決手段】ソルビン酸カリウムを含む抗病原性化合物と;酸および(C12~C16)アルキル酸の少なくとも1種の(C1~C8)アルキルエステルを含む化学活性剤とを含む農業用組成物であって、抗病原性化合物と化学活性剤が、植物作物、木、果実、野菜、葉、茎、根、種子、花、動物、機器、家畜飼育場、飼養場、納屋、動物飼育ユニット、農具、農舎、保存エリア、または食品接触エリアにおいて典型的に見られる病原体の防除において相乗的相互作用を提供する、農業用組成物である。
【選択図】
図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
ソルビン酸カリウムを含む抗病原性化合物と;
酸および(C12~C16)アルキル酸の少なくとも1種の(C1~C8)アルキルエステルを含む化学活性剤と
を含む農業用組成物。
【請求項2】
前記化学活性剤が、アニオン性界面活性剤および/または非イオン性界面活性剤をさらに含む、請求項1に記載の農業用組成物。
【請求項3】
前記少なくとも1種の(C1~C8)アルキルエステルが、メチルエステル、エチルエステル、プロピルエステル、ブチルエステル、イソプロピルエステル、イソブチルエステル、イソペンチルエステル、2-エチルヘキシルエステル、およびそれらの組合せからなる群から選択される、請求項1に記載の農業用組成物。
【請求項4】
前記(C12~C16)アルキル酸の少なくとも1種の(C1~C8)アルキルエステルが、ラウリン酸イソブチル、ラウリン酸イソペンチル、ラウリン酸メチル、ラウリン酸2-エチルヘキシル、パルミチン酸2-エチルヘキシル、ラウリン酸イソプロピル、ミリスチン酸イソプロピル、パルミチン酸イソプロピル、およびそれらの組合せからなる群から選択される、請求項3に記載の農業用組成物。
【請求項5】
前記アニオン性界面活性剤が、(C6~C18)アルキルベンゼンスルホン酸塩、ドデシルベンゼンスルホン酸カルシウム、ドデシルベンゼンスルホン酸ナトリウム、ドデシルベンゼンスルホン酸トリエタノールアミン、(C6~C18)アルキルエーテルスルフェート、(C6~C18)アルキルエトキシル化エーテルスルフェート、ラウリルエーテル硫酸ナトリウム、ラウリルポリオキシエチレンエーテル硫酸ナトリウム、(C6~C18)アルキルスルフェート、(C6~C18)アルキルホスフェートエステル、(C6~C18)アルコキシル化スルフェート、(C6~C18)アルコキシル化ホスフェートエステル、キシレンスルホネート塩、クメンスルホネート塩、ナフタレンスルホネート、アルキルナフタレンスルホネート、縮合アルキルナフタレンスルホネート、およびそれらの組合せからなる群から選択される、請求項2に記載の農業用組成物。
【請求項6】
前記非イオン性界面活性剤が、天然または合成アルコキシル化アルコール、好ましくはエトキシル化および/またはプロポキシル化アルコール、さらに好ましくはエトキシレート化および/またはプロポキシル化脂肪アルコールまたは脂肪酸、さらに好ましくは8から22個の炭素原子を含むもの;短鎖エトキシル化および/またはプロポキシル化アルコール、好ましくは短鎖エトキシル化および/またはプロポキシル化脂肪アルコール;エトキシル化脂肪酸;アルコキシル化ソルビタン脂肪エステル、エトキシル化ソルビタン脂肪エステル;アルコキシル化ソルビトール脂肪エステル、エトキシル化ソルビトール脂肪エステル、ポリオキシエチレンソルビタンモノラウレート、ポリオキシエチレンソルビタンモノパルミテート、ポリオキシエチレンソルビタンモノステアレート;(C8~C22)アルコキシル化脂肪アルコール、(C8~C22)エトキシル化脂肪アルコール、(C8~C22)プロポキシル化脂肪アルコール、(C8~C22)エトキシル化およびプロポキシル化脂肪アルコール、アルキル(ポリ)グリコシド、直鎖(C4~C10)アルキル(ポリ)グリコシド、分岐鎖(C4~C10)アルキル(ポリ)グリコシド;ならびにそれらの組合せからなる群から選択される、請求項2に記載の農業用組成物。
【請求項7】
前記非イオン性界面活性剤が、1から50のエトキシル化度を有するエトキシル化アルコールである、請求項6に記載の農業用組成物。
【請求項8】
前記化学活性剤の前記酸が、1から99パーセントのクエン酸、好ましくは50%のクエン酸溶液のクエン酸水溶液である、請求項1に記載の農業用組成物。
【請求項9】
前記抗病原性化合物が、前記ソルビン酸カリウムが前記抗病原性化合物の35から55重量%を構成するように希釈剤としての水を含む濃縮形態であり、前記化学活性剤が、前記酸が前記化学活性剤の30から55重量%を構成し、前記(C12~C16)アルキル酸の少なくとも1種の(C1~C8)アルキルエステルが前記化学活性剤の0.5から5重量%を構成し、前記アニオン性界面活性剤が前記化学活性剤の1から5重量%を構成し、前記非イオン性界面活性剤が前記化学活性剤の3から10重量%を構成するように希釈剤としての水を含む濃縮形態である、請求項2に記載の農業用組成物。
【請求項10】
前記抗病原性化合物が、尿素が前記抗病原性化合物の1から5重量%であるように前記尿素をさらに含む、請求項9に記載の農業用組成物。
【請求項11】
使用時に、前記濃縮物抗病原性化合物および前記濃縮物化学活性剤が混合および/または希釈されて、4から6のpHを提供する希釈農業用組成物の安定なタンク混合物を提供するように、前記濃縮物抗病原性化合物が7.0から10.0のpH範囲を有し、前記濃縮物化学活性剤が0.0から3.0のpH範囲を有する、請求項9に記載の農業用組成物。
【請求項12】
栄養素、刺激剤、生長剤、糖、アミノ酸、微量栄養素(肥料およびホルモンを含む)、保存剤、透明化剤、凍結防止剤、ヒドロトロープ、安定剤、酸化防止剤、酸性化剤、キレート、錯化剤、染料、レオロジー調整剤、消泡剤、抗ドリフト剤、水、油、他の溶媒およびそれらの組合せからなる群から選択される少なくとも1種の添加剤をさらに含む、請求項1に記載の農業用組成物。
【請求項13】
前記抗病原性化合物が、前記ソルビン酸カリウムが前記抗病原性化合物の35から55重量%を構成し、尿素が前記抗病原性化合物の1から5重量%を構成するように希釈剤としての水および前記尿素を含む濃縮形態であり、前記濃縮物抗病原性化合物が、7.0から10.0のpH範囲を有し、
前記化学活性剤が、希釈剤としての水を含む濃縮形態であり、
前記酸が、クエン酸が前記化学活性剤の30から55重量%を構成するような前記クエン酸であり、
前記(C12~C16)アルキル酸の少なくとも1種の(C1~C8)アルキルエステルが、ミリスチン酸イソプロピルおよび/またはラウリン酸イソプロピルが前記化学活性剤の0.5から5重量%を構成するような前記ミリスチン酸イソプロピルおよび/またはラウリン酸イソプロピルであり、
前記アニオン性界面活性剤が、ラウリルエーテル硫酸ナトリウムが前記化学活性剤の1から5重量%を構成するような前記ラウリルエーテル硫酸ナトリウムであり、
前記非イオン性界面活性剤が、エトキシル化脂肪アルコールが前記化学活性剤の3から10重量%を構成するような前記エトキシル化脂肪アルコールであり、
使用時に、前記濃縮物抗病原性化合物および前記濃縮物化学活性剤が混合および/または希釈されて、4から6のpHを提供する希釈農業用組成物の安定なタンク混合物を提供するように、前記濃縮物化学活性剤が0.0から3.0のpH範囲を有する、
請求項2に記載の農業用組成物。
【請求項14】
請求項1に記載の農業用組成物を製造する方法であって、請求項1に記載の抗病原性化合物および化学活性剤を水中で混合するステップを含む、方法。
【請求項15】
混合するステップが、
(i)請求項1に記載の抗病原性化合物を、約1:100から約1:10の抗病原性化合物対水の重量比で水で希釈し、非活性化抗病原性化合物の安定な希釈溶液を生成することと;その後、
(ii)前記化学活性剤を、約1:0.4から約1:2の抗病原性化合物対前記化学活性剤の重量比で前記非活性化抗病原性化合物の安定な希釈溶液で希釈し、4.0から6.0のpH範囲を有する希釈農業用組成物の安定なタンク混合物を生成することと
をさらに含む、請求項14に記載の方法。
【請求項16】
農業病原体の防除および/または前記農業病原体により引き起こされる病気の処理に使用するための、請求項1に記載の農業用組成物および/または請求項11に記載の希釈農業用組成物。
【請求項17】
農業病原体を防除する方法であって、請求項1に記載の農業用組成物および/または請求項11に記載の希釈農業用組成物を、収穫前もしくは収穫後の木、植物、果実、花、根もしくは種子の上に、またはその近くに塗布するステップを含む、方法。
【請求項18】
木、植物、果実、花、根もしくは種子の上への、またはその近くへの前記塗布が、空気補助噴霧器、従来の噴霧器、例えば空中散布、静電噴霧、フォガーおよびミスト噴霧機器等の超低容積機器、ケミゲーションシステム、ピボット、スプリンクラー、ならびにそれらの組合せの群から選択される装置による、請求項17に記載の方法。
【請求項19】
病気を引き起こす真菌および/または細菌性病原体を防除するために、請求項1に記載の農業用組成物および/または請求項11に記載の希釈農業用組成物を、動物、機器、家畜飼育場、飼養場、納屋、動物飼育ユニット、道具、建物、保存エリア、もしくは食品接触エリアの上に、またはその近くに塗布するステップをさらに含む、請求項18に記載の方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
開示の分野
本開示は、抗病原性化合物と化学活性剤とを含む農業用組成物であって、抗病原性化合物および化学活性剤が、植物病原体の防除において相乗的相互作用を提供する、農業用組成物に関する。特に、本開示による農業用組成物は、真菌および/または細菌集団の防除に使用される。
【背景技術】
【0002】
発明の背景
植物作物および家畜の商業的農業は、病気を引き起こす病原体の影響を非常に受けやすくなり得、これは、防除されないままだと(作物および/もしくは家畜を死滅させることにより)食料不足をもたらす、ならびに/または消費者に健康上のリスクをもたらす可能性がある。病原体は、典型的には、殺真菌剤および殺細菌剤を含むが、これらに限定されない。病原体は、多くの場合、不適切な農作業および/もしくは畜産作業に起因して、ならびに/または急速な微生物繁殖を促進する高温および高湿度等の環境要因に起因して増殖する。農業および畜産において病原体の効果的な防除を提供することは、継続的な食料安全保障を確保するために必要不可欠である。病原体の効果的な防除は、従来の殺細菌剤または殺真菌剤を使用した通常の防除対策または処理に対する耐性の増加により妨げられている。そのような殺細菌剤および/または殺真菌剤耐性は、農産物からの病原体の防除および/または処理および/または除去において大きな問題をもたらす。
【0003】
また近年では、植物作物および動物から病原体の集団を防除および/または処理および/または低減および/または除去し得る、環境に優しい農業用組成物を提供する動きがみられる。消費者は、典型的には有機ならびに/または生分解性ならびに/または人間および動物に安全な生産物を利用することにより、環境に優しい様式で飼育、耕作または生産された食品の購入をより意識するようになっている。したがって、農業従事者および農薬部門は、種子および/もしくは植物および/もしくは動物、またはそれらの一部に投与された場合に安定であり、抗病原性を提供する環境に優しい農業用組成物を開発することが必要であった。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
病原体集団を防除するために、新しい革新的な農業用組成物を提供することが依然として必要であり、ならびに/または、前記病原体により引き起こされる病気を防除および/もしくは処理することが依然として必要である。広範には、先行技術において知られている欠点を少なくとも改善することが依然として必要である。
【課題を解決するための手段】
【0005】
発明の概要
広範には、本開示の第1の態様によれば、
ソルビン酸カリウムを含む抗病原性化合物と;
酸および(C12~C16)アルキル酸の少なくとも1種の(C1~C8)アルキルエステルを含む化学活性剤と
を含む農業用組成物が提供される。
【0006】
化学活性剤は、アニオン性界面活性剤および/または非イオン性界面活性剤をさらに含んでもよい。
【0007】
抗病原性化合物は、殺真菌剤、殺細菌剤、殺虫剤、殺有害生物剤またはそれらの組合せであってもよい。典型的には、抗病原性化合物は、殺菌剤であってもよい。抗病原性化合物は、それ自体で1種または複数種の個々の化学化合物を含む組成物を提供し得る。
【0008】
農業用組成物は、濃縮物として提供されてもよい。抗病原性化合物および化学活性剤は、互いに混合されて、使用時に塗布を容易にするために水でさらに希釈され得る農業用組成物(濃縮形態)を提供し得る。
【0009】
代替的に、または追加的に、抗病原性化合物および/または化学活性剤はそれぞれ水に希釈されて、抗病原性化合物および化学活性剤の水溶液を提供してから、前記水溶液を混合して本開示による希釈農業用組成物を提供し得る。典型的には、ソルビン酸カリウムは、希釈および使用時にソルビン酸形態で解離したままである。
【0010】
代替的に、または追加的に、抗病原性化合物は、水で希釈されて非活性化抗病原性化合物の安定な希釈溶液を生成し得、その後、化学活性剤が非活性化抗病原性化合物の安定な希釈溶液に希釈されて、本開示による希釈農業用組成物を提供し得る。
【0011】
水を利用する代わりに、またはそれに加えて、他の希釈化学が使用されてもよいことが理解されるべきである。例えば、可能な希釈剤は、これらに限定されないが、グリコール、メタノール、エタノール、モノエチレングリコール、およびプロピレングリコール等の群の少なくとも1つであってもよい。
【0012】
(C12~C16)アルキル酸の少なくとも1種の(C1~C8)アルキルエステルは、これらに限定されないが、合成、直鎖または分岐状、飽和または不飽和、修飾または非修飾を含む群から選択され得、アルキルエステルは、これらに限定されないが、メチルエステル、エチルエステル、プロピルエステル、ブチルエステル、イソプロピルエステル、イソブチルエステル、イソペンチルエステル、2-エチルヘキシルエステル、またはそれらの構成成分を含む群から選択され得る。
【0013】
(C12~C16)アルキル酸の少なくとも1種の(C1~C8)アルキルエステルは、これらに限定されないが、ラウリン酸イソブチル、ラウリン酸イソペンチル、ラウリン酸メチル、ラウリン酸2-エチルヘキシル、パルミチン酸2-エチルヘキシル、ラウリン酸イソプロピル、ミリスチン酸イソプロピル、パルミチン酸イソプロピル、およびそれらの組合せを含む群から選択され得る。
【0014】
少なくとも1種の(C1~C8)アルキルエステルは、(C12~C16)アルキル酸、例えばこれらに限定されないが、アルカン酸、例えばラウリン酸、トリデシル酸、ミリスチン酸、ペンタデカン酸、パルミチン酸およびそれらの組合せを含む群から誘導され得る。
【0015】
アニオン性界面活性剤は、これらに限定されないが、(C6~C18)アルキルベンゼンスルホン酸塩、ドデシルベンゼンスルホン酸カルシウム、ドデシルベンゼンスルホン酸ナトリウム、ドデシルベンゼンスルホン酸トリエタノールアミン、(C6~C18)アルキルエーテルスルフェート、(C6~C18)アルキルエトキシル化エーテルスルフェート、ラウリルポリオキシエチレンエーテル硫酸ナトリウム、(C6~C18)アルキルスルフェート、(C6~C18)アルキルホスフェートエステル、(C6~C18)アルコキシル化スルフェート、(C6~C18)アルコキシル化ホスフェートエステル、キシレンスルホネート塩、クメンスルホネート塩、ナフタレンスルホネート、アルキルナフタレンスルホネート、縮合アルキルナフタレンスルホネート、およびそれらの組合せを含む群
から選択される少なくとも1つであってもよい。
【0016】
非イオン性界面活性剤は、これらに限定されないが、天然または合成アルコキシル化アルコール、好ましくはエトキシル化および/またはプロポキシル化アルコール、さらに好ましくはエトキシル化および/またはプロポキシル化脂肪アルコールまたは脂肪酸、さらに好ましくは8~22個の炭素原子を含むもの;短鎖エトキシル化および/またはプロポキシル化アルコール、好ましくは短鎖エトキシル化および/またはプロポキシル化脂肪アルコール;エトキシル化脂肪酸;アルコキシル化ソルビタン脂肪エステル、エトキシル化ソルビタン脂肪エステル;アルコキシル化ソルビトール脂肪エステル、エトキシル化ソルビトール脂肪エステル、ポリオキシエチレンソルビタンモノラウレート、ポリオキシエチレンソルビタンモノパルミテート、ポリオキシエチレンソルビタンモノステアレート;(C8~C22)アルコキシル化脂肪アルコール、(C8~C22)エトキシル化脂肪アルコール、(C8~C22)プロポキシル化脂肪アルコール、(C8~C22)エトキシル化およびプロポキシル化脂肪アルコール、アルキル(ポリ)グリコシド、直鎖(C4~C10)アルキル(ポリ)グリコシド、分岐鎖(C4~C10)アルキル(ポリ)グリコシド;ならびにそれらの組合せを含む群から選択される少なくとも1つであってもよい。
【0017】
使用に企図されるいくつかのアルコキシル化アルコールは、分岐状アルコール、例えばGuerbetアルコール、例えば2-プロピルヘプタノールおよび2-エチルヘキサノール、ならびにC10-オキソ-アルコールまたはC13オキソ-アルコール、すなわち主成分が少なくとも1種の分岐状C10-アルコールまたはC13-アルコールにより形成されたアルコール混合物、ならびにExxon Mobile ChemicalsからExxalアルコールとして、およびShell ChemicalsからNeodol アルコールとして市販されているアルコールをベースとしたものを含む。
【0018】
非イオン性界面活性剤は、1から50、好ましくは2から30のエトキシル化度を有するエトキシル化アルコールであってもよい。
【0019】
化学活性剤の酸は、農薬技術において使用される様々な酸の少なくとも1種であってもよい。好ましくは、酸は、クエン酸が約1から約99パーセントの水性クエン酸溶液、好ましくは約50%のクエン酸溶液であってもよい。
【0020】
抗病原性化合物(濃縮形態)は、約7.0から約10.0のpH範囲を有してもよく、化学活性剤(濃縮形態)は、0.0から約3.0のpH範囲を有してもよい。使用中、抗病原性化合物(濃縮物形態)および化学活性剤(濃縮物形態)は、混合および/または希釈されてもよく、希釈農業用組成物の得られる安定なタンク混合物は、約4から約6のpHを提供する。
【0021】
農業用組成物の濃縮形態において、抗病原性化合物(典型的には殺菌剤)は、典型的には、ソルビン酸カリウムが抗病原性化合物(典型的には殺菌剤)の35から55重量%を構成し得るように希釈剤としての水を含み、化学活性剤は、典型的には、クエン酸が化学活性剤の30から55重量%を構成し得、(C12~C16)アルキル酸の少なくとも1種の(C1~C8)アルキルエステルが化学活性剤の0.5から5重量%を構成し得、アニオン性界面活性剤が化学活性剤の1から5重量%を構成し得、非イオン性界面活性剤が化学活性剤の3から10重量%を構成し得るように希釈剤としての水をさらに含む。
【0022】
抗病原性化合物(濃縮形態)は、尿素をさらに含んでもよく、尿素は、抗病原性化合物の1から5重量%である。化学活性剤もまた、ある特定の実施形態において尿素をさらに含んでもよいことが理解されるべきである。
【0023】
農業用組成物は、殺虫剤、殺真菌剤、除草剤、乾燥剤、枯葉剤、ダニ駆除剤、栄養素、殺ダニ剤、殺細菌剤、殺生物剤、殺卵剤、殺線虫剤、昆虫成長調節剤、植物成長調節剤、およびそれらの組合せの群から選択される少なくとも1種の化合物をさらに含んでもよい。
【0024】
農業用組成物は、これらに限定されないが、栄養素、刺激剤、生長剤、糖、アミノ酸、微量栄養素(肥料およびホルモンを含む)、保存剤、透明化剤、凍結防止剤、ヒドロトロープ、安定剤、酸化防止剤、酸性化剤、キレート、錯化剤、染料、レオロジー調整剤、消泡剤、抗ドリフト剤、水、油、他の溶媒およびそれらの組合せの群から選択される少なくとも1種の添加剤をさらに含んでもよい。
【0025】
油は、アルキル脂肪酸エステル、例えばメチルエステル、エチルエステル、プロピルエステル、ブチルエステル、2-エチルヘキシルエステルまたはドデシルエステル等のエステル化またはエステル交換により修飾された天然化合物であってもよく、好ましくはグリコールまたはグリセロール脂肪酸、例えば(C10~C22)脂肪酸エステル、例えば植物油、好ましくは油生成植物種、例えば中でも純粋な、または1種もしくは複数種の油と組み合わされた、様々な植物もしくは植物の部分、例えば木、低木、葉、花、草、流体、草本、果実および種子から抽出された精油もしくは食用油と混合された、または互いに混合された大豆、トウモロコシ、ヒマワリ、菜種油、綿実油、亜麻仁油、パーム油、ベニバナ、ココナツ油、ヒマシ油、オリーブ油、キャノーラ油からのものである。
【0026】
さらなる実施形態において、油は、天然化合物、例えば精油、柑橘油、柑橘油の成分、テルペン油(テルペン油はD-リモネンを含む)または1種もしくは複数種のテルペン含有天然油(1種もしくは複数種のテルペン含有天然油は、少なくとも50%のテルペンを含み、純粋な、他の油と組み合わされた、もしくは組合せとしてのオレンジ油、グレープフルーツ油、レモン油、ライム油、タンジェリン油、パイン油を含む群から選択される)であってもよい。
【0027】
代替的に、または追加的に、油は、天然油、合成油、直鎖化合物、分岐状化合物、飽和油、不飽和油、脂肪族化合物、環式化合物、改質油、非改質油、アルキル化植物油、精油、食用油、植物から抽出された油、植物の一部から抽出された油、木から抽出された油、低木から抽出された油、葉から抽出された油、花から抽出された油、草から抽出された油、植物液から抽出された油、ハーブから抽出された油、果実から抽出された油、種子から抽出された油、純粋な油、油の混合物、およびそれらの組合せであってもよい。
【0028】
抗病原性化合物および化学活性剤が、1:0.4(抗病原性化合物:化学活性剤)から1:2.0(抗病原性化合物:化学活性剤)の重量比で水中で混合されてもよい、農業用組成物。本開示のある特定の実施形態において、抗病原性化合物は水と混合され、その後化学活性剤がそれに混合される。
【0029】
本開示の好ましい例示的実施形態において、
ソルビン酸カリウムを含む抗病原性化合物と;
酸、(C12~C16)アルキル酸の少なくとも1種の(C1~C8)アルキルエステル、アニオン性界面活性剤および非イオン性界面活性剤を含む化学活性剤と
を含む農業用組成物(濃縮形態)であって、
抗病原性化合物が、ソルビン酸カリウムが抗病原性化合物の35から55重量%を構成するように希釈剤としての水をさらに含み、抗病原性化合物が、約7.0から約10.0のpH範囲を有し、
化学活性剤が、酸が化学活性剤の30から55重量%を構成し、(C12~C16)アルキル酸の少なくとも1種の(C1~C8)アルキルエステルが化学活性剤の0.5から
5重量%を構成し、アニオン性界面活性剤が化学活性剤の1~5重量%を構成し、非イオン性界面活性剤が化学活性剤の3から10重量%を構成するように希釈剤としての水をさらに含み、化学活性剤が、0.0から約3.0のpH範囲を有する、
農業用組成物が提供される。
【0030】
農業用組成物のこの好ましい例示的実施形態は濃縮形態であり、抗病原性化合物および化学活性剤の両方が濃縮形態で提供されることが理解されるべきである。これらの濃縮形態は、使用中塗布される前に水または他の溶媒化学でさらに希釈されてもよい。
【0031】
使用中、抗病原性化合物(濃縮物形態)および化学活性剤(濃縮物形態)は、混合および/または希釈されてもよく、希釈農業用組成物の得られる安定なタンク混合物は、約4から約6のpHを提供する。次いで、タンク混合物は、植物またはその一部上に、またはその近くに塗布される。
【0032】
本開示の特定の好ましい例示的実施形態において、
ソルビン酸カリウムを含む抗病原性化合物と;
酸、(C12~C16)アルキル酸の少なくとも1種の(C1~C8)アルキルエステル、アニオン性界面活性剤および非イオン性界面活性剤を含む化学活性剤と
を含む農業用組成物であって、
抗病原性化合物が、ソルビン酸カリウムが抗病原性化合物の35~55重量%を構成し、尿素が抗病原性化合物の1から5重量%を構成するように希釈剤としての水および尿素をさらに含んでもよく、抗病原性化合物が、約7.0から約10.0のpH範囲を有し、
化学活性剤が、希釈剤としての水をさらに含んでもよく、
酸が、クエン酸が化学活性剤の30から55重量%を構成するようなクエン酸であり、(C12~C16)アルキル酸の少なくとも1種の(C1~C8)アルキルエステルが、ミリスチン酸イソプロピルおよび/またはラウリン酸イソプロピルが化学活性剤の0.5から5重量%を構成するようなミリスチン酸イソプロピルおよび/またはラウリン酸イソプロピルであり、
アニオン性界面活性剤が、ラウリルエーテル硫酸ナトリウムが化学活性剤の1から5重量%を構成するようなラウリルエーテル硫酸ナトリウムであり、
非イオン性界面活性剤が、エトキシル化脂肪アルコールが化学活性剤の3から10重量%を構成するようなエトキシル化脂肪アルコールであり、化学活性剤が、0.0から約3.0のpH範囲を有する、農業用組成物が提供される。
【0033】
農業用組成物のこの特定の好ましい例示的実施形態は濃縮形態であり、抗病原性化合物および化学活性剤の両方が濃縮形態で提供されることが理解されるべきである。これらの濃縮形態は、使用中塗布される前に水または他の溶媒化学でさらに希釈されてもよい。
【0034】
使用中、抗病原性化合物(濃縮物形態)および化学活性剤(濃縮物形態)は、混合および/または希釈されてもよく、希釈農業用組成物の得られる安定なタンク混合物は、約4から約6のpHを提供する。次いで、タンク混合物は、植物またはその一部上に、またはその近くに塗布される。
【0035】
本開示による組成物は、濃縮形態の抗病原性化合物および化学活性剤の両方を含む単一容器内に包装および販売されてもよいことが理解されるべきである。使用中、使用者は、農作物への塗布前に組成物を希釈してもよい。
【0036】
代替的に、または追加的に、本開示による組成物は、濃縮形態の抗病原性化合物用の第1の容器、および濃縮形態の化学活性剤用の第2の容器の2つの別個の容器内に包装および販売されてもよい。第1の容器および第2の容器の抗病原性化合物および化学活性剤は
、次いでそれぞれ農作物への塗布前に希釈されてもよい。
【0037】
本開示の第2の態様によれば、本明細書で上述された本開示の第1の態様の農業用組成物を製造する方法であって、抗病原性化合物および化学活性剤を混合して、本開示の第1の態様の農業用組成物を提供するステップを含む、方法が提供される。
【0038】
混合するステップは、抗病原性化合物(濃縮形態)および化学活性剤(濃縮形態)のそれぞれを水に希釈してから、希釈抗病原性化合物および希釈化学活性剤を混合することを含んでもよい。
【0039】
代替的に、または追加的に、混合するステップは、抗病原性化合物(濃縮形態)を化学活性剤(濃縮形態)と混合し、その後混合物を水で希釈して希釈農業用組成物を提供することを含んでもよい。
【0040】
代替的に、または追加的に、混合するステップは、抗病原性化合物を水で希釈して非活性化抗病原性化合物の安定な希釈溶液を生成し、その後化学活性剤を非活性化抗病原性化合物の安定な希釈溶液に希釈して、希釈農業用組成物を提供することを含んでもよい。
【0041】
方法の特定の例示的実施形態において、混合するステップは、
(i)抗病原性化合物を、約1:100から約1:10の抗病原性化合物対水の重量比で水で希釈し、非活性化抗病原性化合物の安定な希釈溶液を生成することと;その後、
(ii)化学活性剤を、約1:0.4から約1:2の抗病原性化合物対化学活性剤の重量比で非活性化抗病原性化合物の希釈溶液を含む水で希釈し、約4.0から約6.0のpH範囲を有する安定なタンク混合物を生成し、
希釈農業用組成物を提供することと
を含んでもよい。
【0042】
本開示の第3の態様によれば、病原体の防除および/または前記病原体により引き起こされる病気の処理に使用するための、本明細書で上述された本開示の第1の態様の農業用組成物が提供される。病原体は、Aspergillus niger、Botrytis cinerea、Colletotrichum fioriniae、Fusarium moniliforme、Fusarium oxysporum、Macrophomina phaseolina、Verticillium dahlia、Xanthomonas arboricola pv.、Plasmopara viticola、Acetobacter spp.、Erysiphe necator、およびGuignardia bidwelliiの群から選択される少なくとも1種であってもよい。
【0043】
本開示の第4の態様によれば、病原体を防除および/もしくは処理する方法、ならびに/または前記病原体により引き起こされる病気を処理する方法であって、本明細書で上述された本開示の第1の態様の農業用組成物を、植物または種子上に、またはその近くに塗布するステップを含む、方法が提供される。病原体は、Aspergillus niger、Botrytis cinerea、Colletotrichum fioriniae、Fusarium moniliforme、Fusarium oxysporum、Macrophomina phaseolina、Verticillium dahlia、Xanthomonas arboricola pv.、Plasmopara viticola、Acetobacter spp.、Erysiphe necator、およびGuignardia bidwelliiの群から選択される少なくとも1種であってもよい。
【0044】
植物または種子上への、またはその近くへの塗布前に組成物が希釈されて、好ましくは水に希釈された、希釈農業用組成物が提供される方法。
【0045】
植物または種子上への、またはその近くへの塗布が、空気補助噴霧器、従来の噴霧器、例えば空中散布、静電噴霧、フォガーおよびミスト噴霧機器等の超低容積機器、ケミゲーションシステム、ピボット、スプリンクラー、ならびにそれらの組合せを含む群から選択される少なくとも1つの装置による方法。
【0046】
使用中病気を引き起こす真菌および/または細菌性病原体が防除されるように、塗布が、これらに限定されないが、植物、木、果実、野菜、葉、茎、根、種子もしくは花を含む群から選択される収穫前もしくは収穫後の植物、動物、機器、家畜飼育場、飼養場、納屋、動物飼育ユニット、農具、農舎、保存エリア、または食品接触エリアに対するものであってもよい方法。
【0047】
方法は、病気を引き起こす真菌および/または細菌性病原体を防除するための、農業用組成物、好ましくは希釈農業用組成物の動物への塗布にも及ぶ。
【0048】
方法はさらに、病気を引き起こす真菌および/または細菌性病原体を防除するための、農業組成物、好ましくは希釈農業用組成物の機器、家畜飼育場、飼養場、納屋、動物飼育ユニット、道具、建物、保存エリア、または食品接触エリアへの塗布にも及ぶ。
【0049】
方法のある特定の実施形態において、農業用組成物、好ましくは希釈農業用組成物は、塗布および/または使用前に、混合タンク、噴霧タンク、容器、またはインライン灌水システムにおいて調製されてもよい。
【図面の簡単な説明】
【0050】
【
図1】本開示の組成物および他の化合物への曝露(またはそれらによる処理)後のAspergillus nigerの阻害パーセンテージを示すグラフである。
【
図2】本開示の組成物および他の化合物への曝露(またはそれらによる処理)後のBotrytis cinereaの阻害パーセンテージを示すグラフである。
【
図3】本開示の組成物および他の化合物への曝露(またはそれらによる処理)後のColletotrichum fioriniaeの阻害パーセンテージを示すグラフである。
【
図4】本開示の組成物および他の化合物への曝露(またはそれらによる処理)後のFusarium moniliformeの阻害パーセンテージを示すグラフである。
【
図5】本開示の組成物および他の化合物への曝露(またはそれらによる処理)後のFusarium oxysporumの阻害パーセンテージを示すグラフである。
【
図6】本開示の組成物および他の化合物への曝露(またはそれらによる処理)後のMacrophomina phaseolinaの阻害パーセンテージを示すグラフである。
【
図7】本開示の組成物および他の化合物への曝露(またはそれらによる処理)後のVerticillium dahliaの阻害パーセンテージを示すグラフである。
【
図8】本開示の組成物および他の化合物への曝露(またはそれらによる処理)後のXanthomonas arboricola pv. juglandisの阻害パーセンテージを示すグラフである。
【
図9】評価日での各処理剤の葉に対する平均重症度パーセントを示すグラフである。各カテゴリ内で、同じ文字を伴う数値は、ANOVA(α=0.10)により決定されるように有意な差がないことを示す。ORO-159殺菌剤は、OR-278-Cを使用することによりpH5~5.2にした(すなわち殺菌剤および化学活性剤を混合して本開示による農業用組成物を提供した)。
【
図10】評価日での各処理剤の房に対する平均発生率および重症度パーセントを示すグラフである。各カテゴリ内で、同じ文字を伴う数値は、ANOVA(α=0.10)により決定されるように有意な差がないことを示す。
【
図11】各処理剤のエーカー当たりのトンでの収率を示すグラフである。同じ文字を伴う数値は、ANOVA(α=0.10)により決定されるように有意な差がないことを示す。
【
図12】各処理剤のブリックス、pH、および滴定酸度を示すグラフである。
【発明を実施するための形態】
【0051】
詳細な説明
本明細書における上記の発明の概要の内容は、専ら参照を目的として繰り返され、反復を避けるために繰り返されない。
【0052】
抗病原性化合物(典型的にはソルビン酸カリウム)および化学活性剤アジュバントを含む農業用組成物の生成および使用が提供される。典型的には、抗病原性化合物および化学活性剤は濃縮物として製造され、これらは次いで混合されて農業用組成物を提供する。抗病原性化合物および/または化学活性剤は、混合前に希釈されてもよい。代替的に、抗病原性化合物および化学活性剤は混合され、その後に希釈されてもよい。農業用組成物は、病原体集団を防除するために、ならびに/または前記病原体に関連する病気を防除および/もしくは処理するために農作物上に、またはその近くに使用および塗布する前に、典型的には水で希釈され、希釈農業用組成物の安定なタンク混合物を提供する。本開示は、動物、建物、機器等への、またはその近くへの農業用組成物の塗布にも及ぶ。本開示による農業用組成物は、使用前および使用時に安定である。
【0053】
本開示による抗病原性化合物は、典型的には、水に溶解したソルビン酸カリウムを含み、濃縮物として安定であり、またタンク混合物中で安定である。抗病原性化合物は、2種以上の化学化合物を含む組成物として提供される。濃縮された安定な有機抗病原性化合物は、35.0から50.0重量%の量のソルビン酸カリウム;1.0から3.0重量%の量の尿素;および100重量%までの希釈剤としての水を含んでもよく、有機抗病原性化合物濃縮物は、7.0から10.0のpH範囲を有する。
【0054】
本開示による化学活性剤(使用時にはpH調整剤およびアジュバント)は、典型的には、(C1~C8)アルキルエステル(典型的には(C12~C16)アルキル酸から誘導される)の群からのエステルファミリーからの少なくとも1種の溶媒;1種または複数種のアニオン性界面活性剤;1種または複数種の非イオン性界面活性剤、クエン酸水溶液および水を組み合わせることを含む。ある特定の実施形態において、油および/または他の添加剤がさらに添加されてもよい。化学活性剤は、濃縮物として安定であり、またタンク混合物中で安定である。化学活性剤アジュバント濃縮物は、3.0未満のpHを有する。
【0055】
抗病原性化合物(濃縮物形態)および化学活性剤(濃縮物形態)が混合および希釈される場合、希釈農業用組成物の得られるタンク混合物は、約4から約6のpHを提供する。次いで、タンク混合物は、植物またはその一部上に、またはその近くに塗布される。
【0056】
定義
「アジュバント」という用語は、本明細書で使用される場合、広義の用語であり、当業者には通常の慣例的な意味が付与され(また特殊または特別な意味に限定されない)、限定されることなく、他の薬剤の効果を調整し、より具体的には、殺有害生物剤、例えば除草剤、殺虫剤、殺菌剤および他の薬剤の有効性を高めるために使用される薬剤を指す。
【0057】
「安定」という用語は、本明細書で使用される場合、「エマルジョン」という用語と組
み合わされる、またはそれに関連する広義の用語であり、当業者には通常の慣例的な意味が付与され(また特殊または特別な意味に限定されない)、限定されることなく、エマルジョン安定性を指し、すなわちエマルジョン中の液滴のサイズが経時的に、より具体的には水と混合された標的に塗布される期間に大幅に変化しないような、その性質の経時的な変化に抵抗するエマルジョンの能力を指し、したがってこれには当業者には慣例的な通常の意味が付与される。「安定」という用語は、本明細書で使用される場合、「加速貯蔵安定性」という用語と組み合わされる、またはそれに関連する広義の用語であり、試料が室温(約20℃)、低温(0℃または5℃)、高温(54℃)の少なくとも3つの条件で15日間貯蔵された後に、配合物が物理化学的性質に関して同様の性能を維持することを意味する。貯蔵安定性試験は、CIPAC MT 36法に従って行われた。
【0058】
「溶媒」という用語は、本明細書で使用される場合、広義の用語であり、当業者には通常の慣例的な意味が付与され(また特殊または特別な意味に限定されない)、限定されることなく、極性または非極性、直鎖または分岐状、環状または脂肪族、芳香族、ナフテン系であってもよく、また中でもアルコール、エステル、ジエステル、ケトン、アセテート、テルペン、スルホキシド、グリコール、パラフィン、炭化水素、無水物、ヘテロ環式を含むがこれらに限定されない他の化合物または手段に対する溶解性のいくつかの特徴を有する化合物を指す。
【0059】
基が「任意選択で置換された」と説明されている場合、その基は、置換されていなくてもよく、または示された置換基の1つもしくは複数で置換されていてもよい。同様に、基が「置換されていない、または置換された」と説明され、置換されている場合には、置換基は1種または複数種の示された置換基から選択され得る。置換基が示されていない場合、示された「任意選択で置換された」または「置換された」基は、アルキル、アルケニル、アルキニル、シクロアルキル、シクロアルケニル、シクロアルキニル、アリール、ヘテロアリール、ヘテロアリシクリル、アラルキル、ヘテロアラルキル、(ヘテロアリシクリル)アルキル、ヒドロキシ、保護ヒドロキシル、アルコキシ、アリールオキシ、アシル、メルカプト、アルキルチオ、アリールチオ、シアノ、ハロゲン、チオカルボニル、O-カルバミル、N-カルバミル、O-チオカルバミル、N-チオカルバミル、C-アミド、N-アミド、S-スルホンアミド、N-スルホンアミド、C-カルボキシ、保護C-カルボキシ、O-カルボキシ、イソシアナト、チオシアナト、イソチオシアナト、ニトロ、シリル、スルフェニル、スルフィニル、スルホニル、ハロアルキル、ハロアルコキシ、トリハロメタンスルホニル、トリハロメタンスルホンアミド、アミノ、一置換アミノおよび二置換アミノ基、ならびにそれらの保護誘導体から個々に独立して選択される1つまたは複数の基で置換されていてもよいことを意味している。
【0060】
「アルキル」という用語は、本明細書で使用される場合、広義の用語であり、当業者には通常の慣例的な意味が付与され(また特殊または特別な意味に限定されない)、限定されることなく、1個、2個、3個、4個、5個、6個、7個、8個、9個、10個、11個、12個、13個、14個、15個、16個、17個、18個、19個、20個、21個、22個、23個、24個、25個、26個、27個、28個、29,30個、31個、32個、33個、34個、35個、36個またはそれより多くの炭素原子を含む、直鎖または分岐状、非環式または環式、不飽和または飽和脂肪族炭化水素を指し、「低級アルキル」という用語は、アルキルと同じ意味を有するが、1個、2個、3個、4個、5個または6個の炭素原子を含む。代表的な飽和直鎖アルキルは、メチル、エチル、n-プロピル、n-ブチル、n-ペンチル、n-ヘキシル等を含み、一方飽和分岐状アルキルは、イソプロピル、sec-ブチル、イソブチル、tert-ブチル、イソペンチル等を含む。不飽和アルキルは、隣接炭素原子間に少なくとも1つの二重または三重結合を含む(それぞれ「アルケニル」または「アルキニル」と呼ばれる)。代表的な直鎖および分岐状アルケニルは、エチレニル、プロピレニル、1-ブテニル、2-ブテニル、イソブチレニル、
1-ペンテニル、2-ペンテニル、3-メチル-1-ブテニル、2-メチル-2-ブテニル、2,3-ジメチル-2-ブテニル等を含み、一方代表的な直鎖および分岐状アルキニルは、アセチレニル、プロピニル、1-ブチニル、2-ブチニル、1-ペンチニル、2-ペンチニル、3-メチル-1ブチニル等を含む。典型的なアルキル基は、メチル、エチル、プロピル、イソプロピル、ブチル、イソブチル、tert-ブチル、ペンチル、ヘキシル、ヘプチル、オクチル、ノニル、デシル、ウンデシル、ドデシル、トリデシル、テトラデシル、ペンタデシル、ヘキサデシル、ヘプタデシル、オクタデシル、ノナデシル、エイコシル、ヘンエイコシル、ドコシル、トリコシル、テトラコシル、ペンタコシル、ヘキサコシル、ヘプタコシル、オクタコシル、ノナコシル、トリアコンチル、ヘナトリアコンチル、ドトリアコンチル、トリトリアコンチル、テトラトリアコンチル、ペンタトリアコンタニル、およびヘキサトリアコンタンを含むが、これらに限定されない。アルキル基は、置換されていてもよく、または置換されていなくてもよい。
【0061】
「アルコキシ」という用語は、本明細書で使用される場合、広義の用語であり、当業者には通常の慣例的な意味が付与され(また特殊または特別な意味に限定されない)、限定されることなく、酸素架橋(すなわち-O-アルキル)を介して結合したアルキル部分、例えばメトキシ、エトキシ等を指す。
【0062】
「チオアルキル」という用語は、本明細書で使用される場合、広義の用語であり、当業者には通常の慣例的な意味が付与され(また特殊または特別な意味に限定されない)、限定されることなく、硫黄架橋(すなわち-S-アルキル)を介して結合したアルキル部分、例えばメチルチオ、エチルチオ等を指す。
【0063】
「アルコール」という用語は、本明細書で使用される場合、広義の用語であり、当業者には通常の慣例的な意味が付与され(また特殊または特別な意味に限定されない)、限定されることなく、1つもしくは複数のヒドロキシ基を組み込んだ、または1つもしくは複数のヒドロキシ基で置換もしくはそれを含むように官能化された本明細書に記載の任意の化合物を指す。
【0064】
「エステル」という用語は、本明細書で使用される場合、広義の用語であり、当業者には通常の慣例的な意味が付与され(また特殊または特別な意味に限定されない)、限定されることなく、モノエステル、ジエステル、トリエステルもしくはポリエステル等の1つもしくは複数のエステル基を組み込んだ、または1つもしくは複数のエステル基で置換もしくはそれを含むように官能化された本明細書に記載の任意の化合物を指す。エステルは、これに限定されないが、脂肪酸エステルを含む。
【0065】
「アセテート」という用語は、本明細書で使用される場合、広義の用語であり、当業者には通常の慣例的な意味が付与され(また特殊または特別な意味に限定されない)、限定されることなく、1つまたは複数のアセテート基を組み込んだ本明細書に記載の任意の化合物、例えばCH3COO-部分を組み込んだ塩、エステルまたは他の化合物を指す。
【0066】
「テルペン」という用語は、本明細書で使用される場合、広義の用語であり、当業者には通常の慣例的な意味が付与され(また特殊または特別な意味に限定されない)、限定されることなく、針葉樹もしくは柑橘類等の植物の樹脂から誘導される任意の化合物、または植物誘導性テルペンと同じ構造を有する合成的に生成された化合物を指す。テルペンは、追加の官能基を含む炭化水素およびテルペノイド、ならびに精油を含み得る。テルペンは、式(C5H8)n(式中、nは、連結イソプレン単位の数(例えば1個、2個、3個、4個、5個、6個、7個、8個、9個、10個、またはそれより多い)である)を有する化合物を含み得る。
【0067】
「テルペン含有天然油」という用語は、本明細書で使用される場合、広義の用語であり、当業者には通常の慣例的な意味が付与され(また特殊または特別な意味に限定されない)、限定されることなく、柑橘油、オレンジ油、グレープフルーツ油、レモン油、ライム油、タンジェリン油およびパイン油、またはそれらの成分からなる群から選択されるがこれらだけではない、少なくとも50%のテルペンを含む天然油を指す。
【0068】
「スルホキシド」という用語は、本明細書で使用される場合、広義の用語であり、当業者には通常の慣例的な意味が付与され(また特殊または特別な意味に限定されない)、限定されることなく、1つもしくは複数のスルフィニル(SO)基を組み込んだ、または1つもしくは複数のスルフィニル基で置換もしくはそれを含むように官能化された本明細書に記載の任意の化合物を指す。
【0069】
「グリコール」という用語は、本明細書で使用される場合、広義の用語であり、当業者には通常の慣例的な意味が付与され(また特殊または特別な意味に限定されない)、ジオール、例えばポリアルキレングリコール、例えばポリエチレングリコール(式H(OCH2CH2)nOH(式中、nは3より大きい)を有するポリマー)、ポリプロピレングリコール、またはより長い炭化水素鎖を含むモノマーを組み込んだグリコールを含み得る。
【0070】
「パラフィン」という用語は、本明細書で使用される場合、広義の用語であり、当業者には通常の慣例的な意味が付与され(また特殊または特別な意味に限定されない)、限定されることなく、より重質のアルカン、例えば室温で液体またはワックスを形成するアルカン、および官能化パラフィン、例えば塩素化パラフィン、ならびに炭化水素を含む鉱物油または合成油を指す。室温とは、本明細書で使用される場合、例えば温度と湿度が調節された建物内での周囲条件、例えばおよそ20℃を指す。
【0071】
「炭化水素」という用語は、本明細書で使用される場合、広義の用語であり、当業者には通常の慣例的な意味が付与され(また特殊または特別な意味に限定されない)、限定されることなく、炭素原子および水素原子のみを含む任意の化合物を指す。官能化または置換炭化水素は、本明細書の別の箇所に記載の1つまたは複数の置換基を有する。
【0072】
「無水物」という用語は、本明細書で使用される場合、広義の用語であり、当業者には通常の慣例的な意味が付与され(また特殊または特別な意味に限定されない)、限定されることなく、1つもしくは複数の(式(RC(O))2Oの)無水物基を組み込んだ、または1つもしくは複数の無水物基で置換もしくはそれを含むように官能化された本明細書に記載の任意の化合物を指す。
【0073】
「スルホン酸」という用語は、本明細書で使用される場合、広義の用語であり、当業者には通常の慣例的な意味が付与され(また特殊または特別な意味に限定されない)、限定されることなく、例えばギ酸、酢酸、コハク酸、乳酸、リンゴ酸、酒石酸、クエン酸、アスコルビン酸、ニコチン酸、メタンスルホン酸、エタンスルホン酸、p-トルエンスルホン酸、サリチル酸またはナフタレンスルホン酸を指す。スルホン酸は、ヒドロカルビルスルホン酸、例えば中でもアリールスルホン酸、アルキルベンゼンスルホン酸を含み得る。
【0074】
「植物油」という用語は、本明細書で使用される場合、広義の用語であり、当業者には通常の慣例的な意味が付与され(また特殊または特別な意味に限定されない)、限定されることなく、植物性物質の油性脂肪酸構成成分、例えば飽和脂肪酸、一価不飽和脂肪酸、多価不飽和脂肪酸等を指す。植物油は、官能化、例えばアルコキシル化、ヒドロキシル化、アミン化等がなされていてもよい。官能化植物油は、植物油または他の脂肪性物質の誘導体、または物質の起源とは無関係の同様の組成を有する物質である。いくつかの実施形態において、官能化植物油は、エポキシ化不飽和トリグリセリドである。エポキシ化不飽
和トリグリセリドは、グリセリンのトリ-エステルである。グリセリンは、3つの直鎖または分岐状カルボン酸に結合し、カルボン酸の少なくとも1つはエポキシド部分を含む。例えば、エポキシ化不飽和トリグリセリドは、植物または動物脂肪または油等の不飽和脂肪酸トリグリセリドの誘導体であってもよく、親不飽和脂肪酸トリグリセリドのC=C部分の少なくとも1つがエポキシド部分(すなわち酸素を含む三員環)で置き換えられている。親不飽和脂肪酸トリグリセリドが2つ以上のC=C部分を有する場合、C=C部分の1つ、一部または全てがエポキシド部分で置き換えられていてもよい。本明細書において「植物油」という用語が使用される場合、植物油と同じ化学構造を有する動物脂肪、または合成起源の油が含まれることが理解される。植物または動物脂肪または油の例は、ココナツ油、トウモロコシ油、綿実油、オリーブ油、パーム油、落花生油、菜種油、キャノーラ油、ベニバナ油、ゴマ油、大豆油、ヒマワリ油、ヒマシ油、タロウ油等を含む。
【0075】
本明細書で使用される場合、任意の化合物の略語は、別段に指定されない限り、その一般的な用法、認識されている略語、またはIUPAC-IUB生化学命名委員会に従う(Biochem.11:942-944(1972)を参照されたい)。
【0076】
本明細書において言及されるパーセンテージ、比率またはその他の量はいずれも、別段に指定されない限り重量基準である。
【0077】
本明細書において言及される環系は、分離した単環式部分だけでなく、縮合環、架橋環、およびスピロ環部分を含む。
【実施例0078】
実施例
以下の例は、本開示を限定するものとみなされるべきではない。本明細書の上記の開示の概要および詳細な説明においてなされた広範な開示は、参照目的で繰り返される。
【0079】
有機抗病原性化合物液体濃縮物の調製方法
抗病原性化合物は、典型的にはソルビン酸カリウムの水溶液を含み、ある特定の実施形態において尿素をさらに含んでもよい。抗病原性化合物は、典型的には有機であり、化学活性剤に添加されて本開示による農業用組成物を提供する前の濃縮物形態で製造されてもよい。抗病原性化合物濃縮物および/または化学活性剤濃縮物は、希釈および/または混合されて希釈農業用組成物を提供し得る。例示のために、限定されない例において使用されるような有機抗病原性濃縮物を調製するための方法は、ソルビン酸カリウムが第1の溶液の約20.0重量%から約60重量%、好ましくは約35.0重量%から約50.0重量%であり、水が第1の溶液の約25重量%から約75重量%、好ましくは約50重量%から約65重量%であるように、槽内で顆粒形態のソルビン酸カリウムを水と混合して第1の溶液を形成するステップを含む。典型的な例示的実施形態において、誤解を防ぐために、約35.0gから約50.0gのソルビン酸カリウムが約50.0gから約65gの水に添加され、全てのソルビン酸カリウムが溶解して本開示による抗病原性化合物を提供するまで撹拌される。特定の実施形態において、方法は、尿素が第2の溶液の約0.1重量%から約10重量%、好ましくは約2.0重量%から約5.0重量%であるように、尿素(工業グレード)を第1の溶液に添加して第2の溶液を形成するステップをさらに含んでもよい。第1の溶液および/または第2の溶液は、ソルビン酸カリウムおよび/または尿素が水に完全に溶解して抗病原性化合物を提供するまで継続的に撹拌される。加熱は必ずしも必要ではないが、主に尿素は解離中吸熱性であることから、各化合物の物理状態および特性に応じて有利に使用され得る。特定の目的のために、透明化剤、消泡剤、凍結防止剤、ヒドロトロープ、UV安定剤、着色剤、栄養素、アミノ酸、海洋抽出物、抗ドリフト剤、凍結防止剤、およびさらには水もしくは他の溶媒等の他の添加剤、ならびに/または殺菌剤組成物において典型的に使用されるような他の添加剤が第2の溶液に添加されて
もよい。上述のこの調製方法は、本開示の第1の態様による抗病原性化合物の濃縮物形態を提供する。
【0080】
pH調整剤および活性剤アジュバント濃縮物の調製方法
本開示による化学活性剤はまた、使用時にpH調整剤および/またはアジュバントと呼ばれる場合もある。例示のために、限定されない例において使用されるような化学活性剤を調製するための方法は、水を含む槽内で約5重量%から30重量%、好ましくは約15.0から約25.0重量%のエトキシル化脂肪アルコール等の非イオン性界面活性剤を混合するステップと、次いで約1.0重量%から約15重量%、好ましくは約7.0から約10.0重量%のラウリルエーテル硫酸ナトリウム等の1種または複数種のアニオン性界面活性剤を添加するステップと、次いで約0.1重量%から約10重量%、好ましくは約0.5から約5.0重量%のミリスチン酸イソプロピル等の(C12~C16)アルキル酸の(C1~C8)アルキルエステルの群からの1種または複数種の溶媒を添加するステップと、次いで約20重量%から約60重量%、好ましくは約30.0から約55.0重量%のクエン酸50%水溶液を添加するステップとを含む。調製方法は、清浄な槽内で完全に溶解するまで混合物を撹拌することである。典型的な例示的実施形態において、誤解を防ぐために、15.0gから25.0gのエトキシル化脂肪アルコール等の1種または複数種の非イオン性界面活性剤、7.0gから10.0gのラウリルエーテル硫酸ナトリウム等の1種または複数種のアニオン性界面活性剤、0.5gから5.0gのミリスチン酸イソプロピル等の(C12~C16)アルキル酸の(C1~C8)アルキルエステルの群からの1種または複数種の溶媒、30.0gから55.0gのクエン酸50%水溶液が50gから65gの水と混合および撹拌されて化学活性剤を形成した。加熱は必ずしも必要ではないが、解離または乳化プロセス中に各化合物の物理状態および特性に応じて有利に使用され得る。特定の目的のために、透明化剤、消泡剤、凍結防止剤、ヒドロトロープ、UV安定剤、着色剤、栄養素、アミノ酸、海洋抽出物、抗ドリフト剤、凍結防止剤、およびさらには水もしくは他の溶媒等の他の添加剤、ならびに/またはアジュバント組成物において典型的に使用されるような他の添加剤が使用され得る。上述のこの調製方法は、本開示の第1の態様による化学活性剤の濃縮物形態を提供する。
【0081】
農業用組成物の調製
2種の異なる液体有機抗病原性化合物および2種の異なる化学活性剤を、実施形態のいくつかに従って調製した。有機抗病原性化合物濃縮物は、ORO-159-A、ORO-159-BおよびORO-159-Gで示される。化学活性剤濃縮物は、ORO-097-V、ORO-278-C、ORO-278-Eで示される。それぞれの特定の実施形態の詳細を、表1および表2に記載する。抗病原性化合物の活性成分を提供する(また殺菌剤である)ソルビン酸カリウム顆粒;エトキシル化アルコール、POE-6-非イオン性界面活性剤;ドデシルベンゼンスルホン酸トリエタノールアミン-アニオン性界面活性剤;ラウリルエーテル硫酸ナトリウム-アニオン性界面活性剤;ポリオキシエチレンソルビタンモノラウレート-アニオン性界面活性剤;ミリスチン酸イソプロピル-アルキル酸のアルキルエステル;ラウリン酸イソプロピル-アルキル酸のアルキルエステル;ラウリン酸メチル-アルキル酸のアルキルエステル;クエン酸50%-酸性化剤;尿素プリル-安定剤;フミン酸-キレート剤を含む様々な成分を、異なる配合物中に使用した。
【0082】
【0083】
【0084】
物理化学的および加速安定性試験
ある特定の実施形態の生成物の試料を市販の製品と比較し、参照により全内容が本明細書に組み込まれるCIPAC Handbook F - Collaborative
International Pesticide Analytical Ltd、1994年、2007年再版に記載の、その物理化学的特性および水中に希釈した場合の挙動-pH、溶解度;ならびに純粋なアジュバントに希釈した場合の挙動、pH、溶解度、安定性を決定するために分析した。実施形態に従って調製された農業用組成物は、加速貯蔵安定性試験において安定性を示し、全ての試料が室温条件、低温条件(0℃で14日間)または高温条件(54℃で14日間)であっても安定であることが分析および確認された。
【0085】
【0086】
疾患生物有効性スクリーニング
University of California Davis/Kearney Agricultural Research and Extension Centerにおいて、ある特定の実施形態の農業用組成物の試料を疾患生物有効性スクリーニングで他の生成物および試料と比較して評価し、pH効果、アジュバント効果および最も一般的または該当する植物病原体に対するin vitroでの有効性を評価した。試料識別情報を表4および表5に示す。
【0087】
【0088】
【0089】
試験化合物で改変されたポテトデキストロース寒天(PDA)を使用して増殖阻害を測定し、いくつかの菌類のコロニー増殖を比較した。プレーンな(非改変)PDAプレートは対照として機能した。Aspergillus niger、Botrytis cinerea、Colletotrichum fioriniae、Fusarium moniliforme、F. oxysporum、Macrophomina phaseolina、Verticillium dahlia、およびXanthomonas arboricola pv. juglandisの培養物を、酸性化ポテトデキストロース寒天上で増殖させた。改変および対照プレートに菌糸プラグ(直径5mm)を植え付け、次いで対照におけるコロニーが各種に対してプレートの縁部に接近するまで25℃でインキュベートした。その時点でコロニー半径を測定し、対照プレートの半径と比較して、各試験化合物におけるパーセント阻害を計算した。
【0090】
【0091】
これらのin vitro試験の結果は、これらの化合物のいくつかが、試験された病原体のいくつかの増殖の阻害に非常に効果的であることを示した。例えば、処理0.25%のOR-278-Cと混合された0.5%のOR-159B、0.25%のOR-278-Cと混合された1%のOR-159-B(処理1および2)、ならびに0.25%のOR-097-Vと混合された0.5%のOR-159-B、および0.5%のOR-097-Vと混合された1%のOR-159-B(処理3および4)は、試験された8つ全ての植物病原体に対して有意により高い阻害を有していた。Fusarium moniliforme、F. oxysporum、Macrophomina phaseolina、Verticillium dahlia、およびXanthomonas arboricola pv. juglandisは完全に阻害された。
【0092】
0.5%のOR-159-G、1%の割合のOR-159-Gおよび2%の割合のOR-159-G、ならびに50%クエン酸と混合されたそれぞれ(処理8、9および10)は、A.nigerまたはC.fioriniaeに対しては阻害をほとんど示さなかった(処理9および10)が、B.cinerea、F.moniliforme、F.oxysporum、M.phaseolina、V.dahlia、およびX.arboricola pv.juglandisに対してはある程度の有意な阻害を示した。2%の割合のOR-159-G(処理10)は、M.phaseolinaおよびX.ar
boricola pv.juglandisの100%阻害をもたらした(表6)。
【0093】
1つまたは2つの例外を除いて、他の全ての処理(処理11~15および17および18)は、菌類の大多数を44%から100%阻害した。Exp.I、Exp.IIおよびExp.IIIは、揮発性天然油をベースとし、満足のいく性能を示さなかった。Exp.IVは市販の製品である。処理13および14は、オレンジ油および四水素化ホウ素ナトリウム十水和物をベースとした参照製品PREV-AM(登録商標)であり、本開示による生成物によって示されたもの(処理1~4)に劣る性能を有していた。
【0094】
ここで試験された化合物の大多数が深刻な植物病原体の多くを有意に阻害し得るため、この試験から得られた結果は非常に有望である。これは、これらの化合物の登録後、栽培者は複数の重要な病原体に対して効果的となり得る材料を有することを示す。病原体ごとの比較を、
図1~
図8に示す。
【0095】
OR-159殺菌剤と化学活性剤アジュバントとの間には、クエン酸で酸性化されただけのOR-159と比較して防除における有意な改善をもたらす相乗的関係が存在することは明確である。OR-278-Cと混合されたOR-159-B、およびOR-097-Vと混合されたOR-159-Bは、病気の防除に非常に役立ち得る、非常に相乗的で非常に有望な処理を示した。化学活性剤の含有は、殺菌剤に改善された抗病原性を示す。これは驚くべきことであり、予想外のことである。
【0096】
pH負荷試験
ある特定の実施形態の生成物の試料をpH負荷試験で評価し、蒸留水(DI水)、CIPAC A水(20ppmの硬度)、CIPAC D水(342ppmの硬度)および1000ppmのASTM水中に希釈した際のそれらの挙動を評価した-pHは、3つの特定のpH、4.00、7.00および9.00について、本開示に従う有機殺菌剤の添加前および化学活性剤(アジュバント/pH調整剤)の添加前に純水中で測定した。
【0097】
【0098】
本開示に従う農業用組成物の試料は、低pHから高pHの軟水および硬水に希釈されても安定な挙動を示した。本開示に従い作製された有機殺菌剤は、高い可溶性および安定性を示し、溶液は全て透明であった。有機殺菌剤を含む溶液に対して本開示に従い作製されたpH調整剤および活性剤アジュバントを添加した後、全ての試験は約4.30から4.56の非常に安定した同様の最終pHを示し、pHを調整するアジュバントによる高い能力を証明し、水の初期pHまたは品質を問題とせず、全ての溶液が生成物の明確で完全な可溶性を示したが、これは解離したソルビン酸アニオンの活性に寄与する。
【0099】
市販製品の試料は、Oro Agri(登録商標)からの以下の製品、エトキシル化アルコールおよびオレンジ油をベースとした(WETCIT(登録商標))アジュバント、エトキシル化アルコールをベースとした(OROBOOST(登録商標))有機アジュバント、ならびに処理の参照として使用される他の会社からの以下の製品、Bacillus subtilisのQST713株をベースとしたBayer(登録商標)からの殺真菌剤および殺細菌剤(SERENADE(登録商標)OPTI)を含んでいた。評価された試料は全て、CIPAC MT46試験に従い、室温条件、低温条件(0℃で14日間)または高温条件(54℃で14日間)であっても安定であった。
【0100】
【0101】
本発明に従って作製された生成物を評価するための野外試験
この試験の目的は、ワシントンのワイン用ブドウにおけるうどんこ病の防除に関していくつかのOro Agri製品およびアジュバントを評価することであった。うどんこ病の発生率および重症度が、植物毒性と共に測定変数であった。
【0102】
方法の概要:試験は、ワシントン州グランドビューにおいて、樹齢11年のシャルドネワイン用ブドウのブロックで達成された。土壌統は、黄土母材を含む肥沃な土壌であるShanoシルト質壌土である。試験エリアは、栽培業者の標準的手法に従って点滴灌水され、肥料および殺有害生物剤が維持された。区画は、5つのつるからなり、1つのつるは緩衝用であった。処理は4回反復し、無作為化完全ブロックデザインで配置した。処理は、未処理の基準と共に、蒸留水中での8種の殺菌剤タンク混合物を含んでいた(表9)。
【0103】
【0104】
その季節の期間中10日間隔で、合計10回塗布を行った。Stihl SR200バックパックミストブロワを使用して、生成物を塗布した。噴霧体積は、1回目が50gal/ac、2回目が100gal/ac、その季節の残りが150gal/acであった。
【0105】
うどんこ病の増殖を促進するために、開花から2週間後に試験エリアに分生子植菌材料を植え付けた。約10マイル離れた場所から収集した感染葉を切り取り、次いで0.1%のTween 20を含む蒸留水中で洗浄した。この懸濁液をStihl SR200バックパックミストブロワで全ての区画に塗布し、被覆されるまで噴霧した。
【0106】
植物毒性評価を、その季節中の各塗布前に行った。各区画からの25の房を、発生率および重症度に関して同様に評価した。各区画からの中間のつるを収穫した。房を秤量した。各区画からの束のサブサンプルをアイスパックと共にクーラー内に梱包し、さらなる品質分析のために一晩かけてFresno State Universityのブドウ栽培研究所に輸送した。pH、ブリックス、および滴定酸度を測定した。SAS9.4でTukey-Kramer補正を伴う0.10のアルファでのANOVAで統計分析を行った。
【0107】
記録された葉のうどんこ病発生率は、全区画において平均99~100%であった。未処理の葉におけるうどんこ病重症度もまた高く、ほぼ75%であった。全ての生成物による処理は、未処理に比べて重症度を統計的に低減した(
図9)。栽培業者の標準であるSerenade Optiは葉のうどんこ病重症度を十分に制御せず、平均して葉のほぼ半分が症状を示した。界面活性剤の添加は有効性を改善し、Oroboost(登録商標)は25%低い重症度をもたらした。OR-159-Bの塗布は、割合応答性を示したが、例外として1%は数値上2%より有効であった。2%のOR-159-B、1%のOR-159-BおよびSerenade(登録商標)Opti+Wetcit(登録商標)は統計的に区別されず、低減された葉の病気の重症度の点で、試験された最も効果的な生
成物であった。
【0108】
ベリーのうどんこ病発生率は、評価の時点で非常に高かった。未処理の区画における重症度は平均37%であり、全ての処理が房のうどんこ病重症度を統計的に低減した(
図10)。OR-159-B処理における葉の病気重症度において観察されたのと同じ傾向が房の病気においても見られ、割合応答性が明確であるが、例外として1%の割合は数値上2%の割合より有効であった。Serenade Opti処理を受けた房は、高いうどんこ病重症度評価を有しており、Oroboost(登録商標)の添加は役に立たないようであった。しかしながら、Wetcit(登録商標)は効果的なアジュバントとして作用し、栽培業者の標準単独と比較して房の重症度を31%低減した。全体的に、1%および2%のOR-159-B、続いてSerenade(登録商標)Opti+Wetcit(登録商標)が、房の病気重症度の低下において明らかに最も効果的な処理であった。
【0109】
収率は、ワイン用のブドウの場合には中程度であり、ベリー品質を維持するには十分低かった(
図11)。OR-159-Bの割合の増加はより高いブドウトン数に対応し、2%の割合は試験において最も高い平均収率をもたらした。Serenade(登録商標)Opti単独は、アジュバントと組み合わせた場合よりも低い収率をもたらした。最も低収率の区画は、5.5ton/acの未処理区画であった。これらの結果はうどんこ病重症度の結果を厳密に反映していなかったため、結実等の他の要因が疾病圧力よりも収率においてより大きな役割を果たした可能性がある。さらに、処理収率間に差がないことが統計的に有意であった。反復3および4は、他の2つのブロックより高収率であった。
【0110】
結論a)植菌材料噴霧から約10日後に視認され得る兆候が現れることから、植え付けはうどんこ病感染の誘発に効果的であることが分かった。次いで、病気は十分に進行し、うどんこ病が葉およびベリーと共に茎およびつる上に視認された。10日噴霧間隔プログラム全体を通して優れた噴霧被覆が達成された。任意のOro-Agri製品の塗布に起因する植物毒性は、その季節の間いかなる時点でも観察されなかったが、OR-159-BはpH調整剤アジュバントOR-278-Cを使用して塗布され、これはOR-159-Bとの約1:1の比率でpHを低減する一貫性を示したことに留意されたい。
【0111】
結論b)葉のうどんこ病の圧力は高く、未処理の区画は100%の発生率および平均して74%の重症度と評価された。全ての生成物が、葉のうどんこ病重症度を減少させた。1%および2%のOR-159-B(常に活性剤OR-278-Cを伴う)、Serenade(登録商標)Opti+Wetcit(登録商標)は統計的に区別されず、最も低い葉の重症度パーセンテージ(約34%)をもたらした。
【0112】
結論c)全ての処理が、房におけるほぼ100%の病気発生率を封じ込めた。予測通り、重症度は未処理対照区画で最も高く、36%を超えていた。葉と同様に、どの処理も房のうどんこ病重症度を減少させた。ここでも、1%のOR-159-Bは数値上最も高い性能を示し、2%のOR-159-B(これは一方でSerenade(登録商標)Opti+Wetcit(登録商標)から統計的に区別されなかった)と有意差がなかった。
【0113】
結論d)未処理と比べたパーセント防除の点では、処理は統計的に異ならなかった。数値上、1%のOR-159-Bは、葉では54%、房では68%の最も高い防除を提供し、2%のOR-159-Bはそれに近かった。全体的に、OR-159-Bは、1%またはさらには2%でうどんこ病防除剤としての有望性を示した。しかしながら、この処理での重症度評価(葉では33%、ベリーでは10%)は、商業的に許容されるには十分高くない可能性がある。Wetcit(登録商標)は、アジュバントとして明らかに効果的であり、栽培業者の標準であるSerenade(登録商標)Optiの性能を統計的に増加させた。
【0114】
結論e)処理収率間での統計的な差は見られなかった。収率はOR-159-Bの割合の増加と共に増加し、2%のOR-159-Bで試験において高い8.3ton/acに達した。Serenade(登録商標)Opti単独に対して、Serenade Opti+アジュバントにおいて収率がより高かった。しかしながら、収率は、うどんこ病評価に対応しなかった。ブドウ品質は許容範囲内であり、処理間に統計的な差は見られなかった(
図12)。
【0115】
野外試験-ワイン用ブドウ(Chancellor-Vitis lambrusca)(2019)の葉および果実の病気を防除するための殺菌剤の評価-フェンビルのTrevor Nichols Research Center-Michigan State University、ミシガン州イーストランシング
ミシガン州フェンビルのTrevor Nichols Research Centerの成熟した「Chancellor」(Vitis lambrusca)のブドウ園において実験を行った。つるは6×10ft間隔で、コルドン仕立てで手で剪定された。処理剤を3つのつるの区画に塗布し、無作為化完全ブロックデザインで4回反復した。6つの5galタンク、55psiに設定された12ボルト3.8gpmダイヤフラムポンプ、および5ft噴霧ブーム上のXR TeeJet 8002VSノズルを装備した研究用噴霧器を使用して噴霧塗布した。噴霧体積は、7月23日までは40gpa、次いでその季節の残りは50gpaであった。
【0116】
噴霧日および近似的な生物季節学的段階は、以下の通りであった:2019年6月1日(新芽3in.)、2019年6月15日(新芽6~12in.)、6月25日(開花)、2019年7月1日(開花後1回目)、2019年7月9日(開花後2回目)、2019年7月16日(開花後3回目)、および2019年7月23日(開花後4回目)、2019年8月6日(開花後5回目)、2019年8月20日(収穫前、ブリックス値14.3)。噴霧日間の降雨量は、それぞれ2.51、1.63、0.07、0、0.09、1.77、1.13、および1.44in.であった。葉のべと病を2019年9月13日に評価し、房の腐敗を2019年9月14日に評価し、葉および房のうどんこ病を2019年9月16日に評価した。
【0117】
全ての場合において、病気は、各区画の中央のつるからの25の無作為に選択された葉および/または房に対して視覚的に評価した。発生率は病気を有する葉または房の%として計算し、重症度は病気の植物の部分のみの症状のある%面積として計算した。全体的重症度は、(発生率×重症度)/100として計算した。括弧内の値は、未処理の基準と比べたパーセント防除を指す。植物毒性の兆候についてその季節全体にわたり区画を監視したが、いずれにも観察されなかった。報告された結果を以下の表10~12に示す。
【0118】
【0119】
【0120】
【0121】
結論:評価した3つの病気について、殺菌処理剤と、3つの病気の全てにわたり最も高い防除を提供した業界標準であるManzate/Sovran/Rovral/Vangard/Fracture/Mustang Maxとの間に、いくつかの差が見られた。
【0122】
結論a)酸敗(Acetobacter spp.)の圧力は、2019年の気候条件に起因して非常に高かった。全ての殺菌処理剤がUTCと比較して62から97%の防除を提供し、いくつかの処理剤は相互に有意差があった。
【0123】
結論b)酸敗(Acetobacter spp.)の防除において最も効果的な処理剤は、業界標準の他に、Manzate/Sovran/Rovral/Vangard/OR-159-B 2%+OR-278-C 2%およびPristine/OR-159-B 2%+OR-278-C 2%であった。
【0124】
結論c)葉に対するべと病(Plasmopara viticola)の疾病圧力もまた高かった。ここでも、全ての殺菌処理剤が葉の病気を76~95%有意に低減した。業界標準であるManzate/Sovran/Rovral/Vangard/Fracture/Mustang MaxおよびManzate/Sovran/Rovral/Vangard/OR-159-B 2%+OR-278-C 2%は、他の処理よりも幾分良好な性能を示した。
【0125】
結論d)うどんこ病(Erysiphe necator)もまた、葉および房において評価した。全ての処理剤が病気を十分効果的に防除し、酸敗およびべと病の評価と同等であり、UTCと比較して有意な防除を提供した(すなわち葉では85から98%、房では90から99%)。
【0126】
野外試験-Niagara(Vitis種間雑種「Niagara」)ブドウ(2019)の葉および果実の病気を防除するための殺菌剤の評価-クラークスビルのClarksville Research Center-Michigan State University、ミシガン州イーストランシング
クラークスビルのClarksville Research Centerの成熟ブドウ園において実験を行った。つるは7×9ft間隔で、2つのワイヤのトレリス上のコルドン仕立てで手で剪定された。処理剤を4つのつるの区画に塗布し、無作為化完全ブロックデザインで4回反復した。6つの5galタンク、55psiに設定された12ボルト3.8gpmダイヤフラム電動ポンプ、および5ft噴霧ブーム上のXR TeeJet 8002VSノズルを装備した研究用噴霧器を使用して噴霧塗布した。噴霧体積は40gpaであった。
【0127】
噴霧日および近似的な生物季節学的段階は、以下の通りであった:2019年6月8日(新芽4~6in.)、2019年6月19日(新芽12~16in.)、6月26日(開花)、7月3日(開花後1回目)、2019年7月10日(開花後2回目)、2019年7月24日(開花後3回目)、2019年8月7日(開花後4回目)、2019年8月21日(開花後5回目)。噴霧間の総降雨量は、それぞれ:1.63、2.66、0.68、0.21、1.36、0.97、および1.45in.であった。
【0128】
2019年9月19日に黒腐病(Guignardia bidwellii)を房において評価し、2019年9月19日にべと病(Plasmopara viticola)を葉において評価し、2019年10月1日にフォモプシス腐敗病(Phosmopsis viticola)を房において評価し、2019年10月1日にうどんこ病(Erysiphe necator)を葉および房において評価した。それぞれの場合において、各区画の中央のつるからの25の無作為に選択された葉または房を評価に使用した。病気の評価は、発生率(感染した葉または房の%)および重症度(病気を有する試料のみの感染面積%)であった。それぞれの場合における全体的重症度は、(発生率×重症度)/100として計算した。その季節全体にわたり、植物毒性の兆候についてつるを監視した。
【0129】
報告された結果を以下の表13~16に示す。
【0130】
【0131】
【0132】
【0133】
【0134】
【0135】
結論:この試験における房に対するフォモプシス腐敗病(Phosmopsis viticola)および黒腐病(Guignardia bidwellii)の疾病圧力は高かった。うどんこ病(Erysiphe necator)およびべと病(Plasmopara viticola)の疾病圧力は、この試験においてそれぞれ中程度から高程度であった。
【0136】
結論a)フォモプシス腐敗病(Phosmopsis viticola)および黒腐病(Guignardia bidwellii)-全ての処理剤が未処理対照と比較して病気を有意に低減した。
【0137】
結論b)Manzate/Abound/Revus Top/Pristineの業界標準は、統計的に最も良好な処理剤であり、病気を96から97%低減した。
【0138】
結論c)2%のOR-159-B、1%のOR-159-B、0.5%のOR-159-Bおよび0.4%のPrev-amの処理剤もまた、病気の防除に非常に効果的であった。Microthiol disperssおよびKaligreenは、病気の防除において最も効果が低かった(19から58%の防除)。
【0139】
結論d)うどんこ病およびべと病は、処理剤のいくつかを使用して有意に低減された。最も効果的な処理剤は、Manzate/Abound/Revus Top/Pristineであり、うどんこ病を100%、およびべと病を99%低減した。
【0140】
結論e)KaligreenおよびMicrothiol disperss処理剤ではうどんこ病およびべと病の両方に対してほとんど防除が観察されなかった。
【0141】
結論f)2%のOR-159-B、1%のOR-159-B、0.5%のOR-159-Bおよび0.4%のPrev-Am(登録商標)の処理剤もまた、うどんこ病およびべと病の両方の防除に非常に効果的であった。
【0142】
結論g)Microthiol Disperss処理剤においてのみ、葉焼けの形態での植物毒性が観察された。
【0143】
別段に指定されない限り、全ての用語(技術的および科学的用語を含む)は、当業者には通常の慣例的な意味が付与され、本明細書で明示的に定義されない限り、特殊または特別な意味に限定されない。本開示のある特定の特徴または態様を説明する際の特定の専門用語の使用は、その専門用語が本明細書において、その専門用語が関連する本開示の特徴または態様の任意の特定の特性を含むように制限されるように再定義されることを示唆すると解釈されるべきでないことに留意されたい。本出願において、特に添付の特許請求の範囲において使用される用語および句、ならびにそれらの変化形は、別段に明示的に指定されない限り、限定的ではなく非限定的に解釈されるべきである。上記の例として、「含む(including)」という用語は、「限定されることなく含む(including without limitation)」、「含むがこれに限定されない(including but not limited to)」等を意味するように読解されるべきであり;「備える」という用語は、本明細書で使用される場合、「含む」、「含有する」または「~で特徴付けられる」と同義であり、包含的または非限定的であり、追加の列挙されていない要素または方法ステップを除外せず;「有する」という用語は、「~を少なくとも有する」として解釈されるべきであり;「含む(includes)」という用語は、「含むがこれに限定されない(includes but not limited to)」と解釈されるべきであり;「例」という用語は、議論されている項目の例示的な事例を提供するように使用され、その列挙を網羅する、または限定するものではなく;「既知の」、「標準の」、「標準的」等の形容詞および同様の意味の用語は、記載された項目を所与の期間または所与の時点で利用可能な項目に限定するものとして解釈されるべきではなく、代わりに現在または将来の任意の時点で利用可能となり得るまたは知られ得る、既知の、標準の、または標準的技術を包含するものとして読解されるべきであり;「好ましくは」、「好ましい」、「所望の」、または「望ましい」等の用語、および同様の意味の単語の使用は、ある特定の特徴が本発明の構造または機能に決定的である、必須である、またはさらには重要であることを示唆するように理解されるべきではなく、代わりに本発明の特定の実施形態において利用されてもよい、または利用されなくてもよい代替または追加の特徴を強調することを単に意図すると理解されるべきである。同様に、接続詞「および」で連結された項目の群は、それらの項目の1つ1つが群内に存在することを必要とするものとして読解されるべきではなく、別段に明示的に指定されない限りむしろ「および/または」として読解されるべきである。同様に、接続詞「または」で連結された項目の群は、その群の間で相互排他的であることを必要とするものとして読解されるべきではなく、別段に明示的に指定されない限りむしろ「および/または」として読解されるべきである。
【0144】
値の範囲が示されている場合、その範囲の上限および下限、ならびに上限と下限との間
の各介在値が実施形態に包含されることが理解される。
【0145】
本明細書における実質的に全ての複数形および/または単数形の用語の使用に対して、当業者は、状況および/または用途に適切なように、複数形から単数形に、および/または単数形から複数形に変換することができる。様々な単数形/複数形の置き換えは、明確性のために本明細書で明示的に記載され得る。不定冠詞「a」または「an」は、複数を除外しない。単一のプロセッサまたは他のユニットが、特許請求の範囲において列挙されるいくつかの項目の機能を満たし得る。互いに異なる従属請求項においてある特定の対策が列挙されるということだけでは、これらの対策の組合せが有利に使用され得ないことは示されない。特許請求の範囲におけるいかなる参照記号も、範囲を限定するものとして解釈されるべきではない。
【0146】
導入される請求項で具体的な数の記載が意図される場合、そのような意図は、当該請求項において明示的に記載されることになり、そのような記載がない場合、そのような意図は存在しないことが、当業者にはさらに理解されよう。例えば、理解の一助として、以下の添付の特許請求の範囲は、導入句「少なくとも1つの」および「1つまたは複数の」を使用して請求項の記載を導くことを含む場合がある。しかし、そのような句の使用は、同一の請求項が、導入句「1つまたは複数の」または「少なくとも1つの」および「a」または「an」等の不定冠詞を含む場合であっても、不定冠詞「a」または「an」による請求項の記載の導入が、そのように導入される請求項の記載を含む任意の特定の請求項を、単に1つのそのような記載を含む実施形態に限定する、ということを示唆していると解釈されるべきではなく(例えば、「a」および/または「an」は、典型的には「少なくとも1つの」または「1つまたは複数の」を意味すると解釈されるべきである)、同じことが、請求項の記載を導入するのに使用される定冠詞の使用にも当てはまる。また、導入される請求項の記載で具体的な数が明示的に記載されている場合でも、そのような記載は、典型的には少なくとも記載された数を意味すると解釈されるべきであることが、当業者には理解されよう(例えば、他の修飾語なしでの「2つの記載」の単なる記載は、典型的には少なくとも2つの記載、または2つ以上の記載を意味する)。さらに、「A、B、およびC等の少なくとも1つ」に類似する慣例表現が使用されている事例では、通常、そのような構文は、当業者がその慣例表現を理解するであろう意味で意図されている(例えば、「A、B、およびCの少なくとも1つを有するシステム」は、Aのみ、Bのみ、Cのみ、AおよびBを共に、AおよびCを共に、BおよびCを共に、ならびに/またはA、B、およびCを共に、等を有するシステムを含むが、これに限定されない)。「A、B、またはC等の少なくとも1つ」に類似する慣例表現が使用されている事例では、通常、そのような構文は、当業者がその慣例表現を理解するであろう意味で意図されている(例えば、「A、B、またはCの少なくとも1つを有するシステム」は、Aのみ、Bのみ、Cのみ、AおよびBを共に、AおよびCを共に、BおよびCを共に、ならびに/またはA、B、およびCを共に、等を有するシステムを含むが、これに限定されない)。2つ以上の代替用語を提示する事実上いかなる離接する語および/または句も、明細書、特許請求の範囲、または図面のどこにあっても、当該用語の一方、当該用語のいずれか、または両方の用語を含む可能性を企図すると理解されるべきであることが、当業者にはさらに理解されよう。例えば、句「AまたはB」は、「A」または「B」あるいは「AおよびB」の可能性を含むことが理解されよう。
【0147】
本明細書において使用される成分、試薬の量、反応条件等を表現する全ての数字は、全ての事例において「約」という用語により修飾されているものとして理解されたい。したがって、逆の意味が指定されない限り、本明細書に記載される数値パラメーターは、得ようとしている所望の性質に応じて変動し得る概数である。少なくとも、本出願に対する優先権を主張する任意の出願における任意の特許請求の範囲の均等論の適用を制限する意図はないが、各数値パラメーターは、有効桁数および通常の丸め手法に照らして解釈される
べきである。
【0148】
本開示による農業用組成物は、環境に優しく安定で効果的な抗病原体を提供する。農業用組成物の抗病原性化合物(本明細書において殺菌剤として例示される)と化学活性剤との間の相乗的相互作用は、予想外の驚くべき作用であった。農業用組成物は、酸性またはアルカリ性の軟水または硬水のいずれのタイプでも容易な投薬および容易な使用を可能にし、有機的処理を可能にする。さらに、組成物は、収穫前または収穫後の植物作物、種子、花、果実、野菜、木、動物、機器、清掃道具、グリーンハウス、農場の他の空間または工業設備における、単独での、または他の病原体処理プロトコルと組み合わせた使用を可能にする。
【0149】
さらに、上記は、明確性および理解を目的として図示および例示によりある程度詳細に説明されたが、ある特定の変更および修正が行われてもよいことが当業者には明らかである。したがって、説明および例は、本発明の範囲を本明細書に記載の特定の実施形態および例に限定するものとして解釈されるべきではなく、むしろ本発明の真の範囲および精神を伴う全ての修正および代替も包含すると解釈されるべきである。