(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024098364
(43)【公開日】2024-07-23
(54)【発明の名称】サーバおよび方法
(51)【国際特許分類】
H04N 21/239 20110101AFI20240716BHJP
G06Q 50/10 20120101ALI20240716BHJP
G06Q 30/0207 20230101ALI20240716BHJP
A63F 13/86 20140101ALI20240716BHJP
H04N 21/27 20110101ALI20240716BHJP
【FI】
H04N21/239
G06Q50/10
G06Q30/0207 324
A63F13/86
H04N21/27
【審査請求】有
【請求項の数】9
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023001832
(22)【出願日】2023-01-10
(11)【特許番号】
(45)【特許公報発行日】2023-05-12
(71)【出願人】
【識別番号】517287224
【氏名又は名称】17LIVE株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100199277
【弁理士】
【氏名又は名称】西守 有人
(72)【発明者】
【氏名】増田 凌也
【テーマコード(参考)】
5C164
5L030
5L049
5L050
【Fターム(参考)】
5C164FA22
5C164SB29P
5C164SC11S
5C164SD00S
5C164YA08
5L030BB07
5L049BB07
5L049CC12
5L050CC12
(57)【要約】
【課題】所定の配信者やライブ配信をプロモートするかまたは所定の視聴者を優遇する。
【解決手段】サーバは、ライブ配信内でプレイ可能な、ポイントの得喪を伴うゲームを提供するよう構成されたサーバであって、配信者の端末から視聴者の端末へのライブ配信に係る動画データの伝送を中継する手段と、視聴者の端末からネットワークを介して、ゲームの開始要求を受信する手段と、開始要求の受信に応じて、ライブ配信の配信者に対応する得喪設定を有するゲームの、ライブ配信内における視聴者の端末への提供を開始する手段と、を備える。
【選択図】
図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
ライブ配信内でプレイ可能な、ポイントの得喪を伴うゲームを提供するよう構成されたサーバであって、
配信者の端末から視聴者の端末へのライブ配信に係る動画データの伝送を中継する手段と、
視聴者の端末からネットワークを介して、ゲームの開始要求を受信する手段と、
開始要求の受信に応じて、ライブ配信の配信者に対応する得喪設定を有するゲームの、ライブ配信内における視聴者の端末への提供を開始する手段と、を備えるサーバ。
【請求項2】
配信者と得喪設定との対応関係を保持する保持手段と、
開始要求の受信に応じて、前記保持手段を参照し、当該開始要求の送信元の視聴者が視聴するライブ配信の配信者に対応する得喪設定を特定する手段と、をさらに備え、
前記開始する手段は特定された得喪設定を有するゲームの提供を開始する請求項1に記載のサーバ。
【請求項3】
前記保持手段は、所定の配信者と、他の得喪設定よりもポイントの得喪に関して視聴者にとって有利な所定の得喪設定と、の対応関係を保持する請求項2に記載のサーバ。
【請求項4】
前記所定の配信者は、ライブ配信を始めてから所定の期間が経過していない配信者を含む請求項3に記載のサーバ。
【請求項5】
前記所定の配信者は、ライブ配信のイベントに関連して選択された配信者を含む請求項3に記載のサーバ。
【請求項6】
ポイントはライブ配信中に視聴者から配信者にギフトを贈るために用いられる請求項1に記載のサーバ。
【請求項7】
前記保持手段は、配信者と、ランダムに決定された異なる複数の得喪設定のうちのひとつと、の対応関係を保持する請求項2に記載のサーバ。
【請求項8】
ライブ配信内でプレイ可能な、ポイントの得喪を伴うゲームを提供するよう構成されたサーバで行われる方法あって、
配信者の端末から視聴者の端末へのライブ配信に係る動画データの伝送を中継することと、
視聴者の端末からネットワークを介して、ゲームの開始要求を受信することと、
開始要求の受信に応じて、ライブ配信の配信者に対応する得喪設定を有するゲームの、ライブ配信内における視聴者の端末への提供を開始することと、を含む方法。
【請求項9】
ライブ配信内でプレイ可能な、ポイントの得喪を伴うゲームを提供するよう構成されたサーバとネットワークを介して通信する機能と、
第1得喪設定を有するゲームに関連付けられた第1ライブ配信と、第1得喪設定とは異なる第2得喪設定を有するゲームに関連付けられた第2ライブ配信と、を含む視聴可能なライブ配信のリストを、前記サーバからネットワークを介して受信する機能と、
前記リストに含まれるライブ配信を表すオブジェクトをディスプレイに表示させる際、前記第1ライブ配信を表すオブジェクトの表示態様と前記第2ライブ配信を表すオブジェクトの表示態様とを異ならせる機能と、を端末に実現させるためのコンピュータプログラム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、サーバおよび方法に関する。
【背景技術】
【0002】
IT技術の発展と共に情報のやりとりの様も移り変わってきた。昭和の時代には新聞やテレビなどの一方通行の情報伝達が主であった。平成になると、ケータイやパソコンが普及し、インターネットの通信速度も大きく改善されたので、チャットサービスなどの即時双方向通信サービスが台頭し、また記憶コストの低減に伴ってオンデマンド型の動画配信サービスが受け入れられていった。そして、現在、令和の時代となり、スマートフォンの高機能化や5Gに代表されるネットワークの速度のさらなる向上を受けて、動画によるリアルタイムのコミュニケーションを実現するサービス、特にライブ配信(Live Streaming)サービスが急速に認知度を高めている。ライブ配信サービスは、離れた場所にいても皆が同じ楽しい時間を共有できるサービスとして、若者を中心に利用者が拡大している。
【0003】
ライブ配信の視聴を促進するためにライブ配信内でプレイ可能なゲームを提供することが知られている(例えば非特許文献1、2参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【非特許文献】
【0005】
【非特許文献1】FayBlog、「Uplive(アップライブ)のダイヤ獲得方法!ミニゲームについても解説!」、URL:https://fayevery.blog/uplive-diamond#index_id6
【非特許文献2】日経XTREND、「23年ブレイク必至「ライブゲーム」 ミラティブが掘り当てた新鉱脈」、2022年12月5日、URL:https://xtrend.nikkei.com/atcl/contents/18/00745/00002/
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
ライブ配信プラットフォームの運営上の施策として、所定の配信者やライブ配信をプロモートしたり、所定の視聴者を優遇することがある。そのための新たな仕組みが求められている。
【0007】
本開示はこうした課題に鑑みてなされたものであり、その目的は、所定の配信者やライブ配信をプロモートするかまたは所定の視聴者を優遇するための技術の提供にある。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明のある態様は、サーバに関する。このサーバは、ライブ配信内でプレイ可能な、ポイントの得喪を伴うゲームを提供するよう構成されたサーバであって、配信者の端末から視聴者の端末へのライブ配信に係る動画データの伝送を中継する手段と、視聴者の端末からネットワークを介して、ゲームの開始要求を受信する手段と、開始要求の受信に応じて、ライブ配信の配信者に対応する得喪設定を有するゲームの、ライブ配信内における視聴者の端末への提供を開始する手段と、を備える。
【0009】
本発明の別の態様は、コンピュータプログラムである。このコンピュータプログラムは、ライブ配信内でプレイ可能な、ポイントの得喪を伴うゲームを提供するよう構成されたサーバとネットワークを介して通信する機能と、第1得喪設定を有するゲームに関連付けられた第1ライブ配信と、第1得喪設定とは異なる第2得喪設定を有するゲームに関連付けられた第2ライブ配信と、を含む視聴可能なライブ配信のリストを、サーバからネットワークを介して受信する機能と、リストに含まれるライブ配信を表すオブジェクトをディスプレイに表示させる際、第1ライブ配信を表すオブジェクトの表示態様と第2ライブ配信を表すオブジェクトの表示態様とを異ならせる機能と、を端末に実現させる。
【0010】
なお、以上の構成要素の任意の組み合わせや、本発明の構成要素や表現を装置、方法、システム、コンピュータプログラム、コンピュータプログラムを格納した記録媒体などの間で相互に置換したものもまた、本発明の態様として有効である。
【発明の効果】
【0011】
本発明によれば、所定の配信者やライブ配信をプロモートするかまたは所定の視聴者を優遇することができる。
【図面の簡単な説明】
【0012】
【
図1】本開示の実施の形態に係るライブ配信システムの構成を示す模式図である。
【
図2】
図1のユーザ端末の機能および構成を示すブロック図である。
【
図3】
図1のサーバの機能および構成を示すブロック図である。
【
図4】
図3のストリームDBの一例を示すデータ構造図である。
【
図5】
図3のユーザDBの一例を示すデータ構造図である。
【
図6】
図3のギフトDBの一例を示すデータ構造図である。
【
図7】
図3の割り当てDBの一例を示すデータ構造図である。
【
図8】ライブ配信中に視聴者によってゲームの開始の指示が入力されたときのライブ配信システムにおける一連の処理の流れを示すフローチャートである。
【
図9】アクティブユーザのユーザ端末のディスプレイに表示されるライブ配信選択画面の代表画面図である。
【
図10】視聴者のユーザ端末のディスプレイに表示されるライブ配信ルーム画面の代表画面図である。
【
図11】視聴者のユーザ端末のディスプレイに表示される、ゲーム領域が重畳表示されたライブ配信ルーム画面の代表画面図である。
【
図12】視聴者のユーザ端末のディスプレイに表示される、ゲーム領域が重畳表示されたライブ配信ルーム画面の代表画面図である。
【
図13】本実施の形態に係る情報処理装置のハードウェア構成例を示すブロック図である。
【
図14】
図14(a)~(e)は、ゲームインスタンス構成の例を示す模式図である。
【発明を実施するための形態】
【0013】
以下、各図面に示される同一または同等の構成要素、部材、処理、信号には、同一の符号を付するものとし、適宜重複した説明は省略する。また、各図面において説明上重要ではない部材の一部は省略して表示する。
【0014】
実施の形態に係るライブ配信システムでは、ライブ配信内でプレイ可能な、ポイントの得喪を伴うゲーム(以下、単にゲームという)がライブ配信の視聴者に提供される。このゲームは、ライブ配信の配信者に対応する得喪設定を有する。すなわち、視聴している配信者が異なれば、ゲームの得喪設定も異なりうる。得喪設定は倍率、勝率などを含み、ゲームの結果払い戻されるポイントの期待値により特徴付けられる。本実施の形態では、所定の配信者に対して、通常得喪設定よりもポイントの得喪に関して視聴者にとって有利な特別得喪設定を対応付ける。例えば、特別得喪設定の期待値を通常得喪設定の期待値よりも大きく設定する。このように配信者に応じてゲームの有利さを調整することで、ゲームに変化をもたせて興趣を向上させることができる。また、特定の配信者をプロモートすることができる。
【0015】
図1は、本開示の実施の形態に係るライブ配信システム1の構成を示す模式図である。ライブ配信システム1は、配信者(ライバー、ストリーマ(Streamer)ともいう)LVと視聴者(オーディエンスともいう)AU(AU1、AU2、…)とがリアルタイムでやりとりできる双方向型のライブ配信サービスを提供する。
図1に示すように、ライブ配信システム1は、サーバ10と、配信者側のユーザ端末20と、視聴者側のユーザ端末30(30a、30b、…)と、を備える。ライブ配信を配信している配信者、ライブ配信を視聴している視聴者の他に、ライブ配信プラットフォームにログインしたが配信も視聴もしていないユーザもいる。このようなユーザをアクティブユーザという。配信者、視聴者およびアクティブユーザをユーザと総称することがある。サーバ10は、ネットワークNWに接続された一または複数の情報処理装置によって構成されてもよい。ユーザ端末20、30は例えばスマートフォンやタブレット型端末やラップトップPCやレコーダや携帯型ゲーム機やウェアラブル装置などの携帯端末であってもよいし、デスクトップPCなどの据え置き型の装置であってもよい。サーバ10、ユーザ端末20およびユーザ端末30は、有線または無線の各種ネットワークNWにより互いに通信可能に接続される。本実施の形態では、サーバ10はゲームを視聴者のユーザ端末に提供するよう構成される。
【0016】
ライブ配信システム1には、配信者LVと、視聴者AUと、サーバ10を管理する管理者(不図示)と、が関与する。配信者LVは、自分の歌や、トーク、パフォーマンス、占い、ゲーム実況などのコンテンツを自身のユーザ端末20で録音・録画してそのままサーバ10にアップロードすることで、リアルタイムにコンテンツを発信する者である。管理者は、サーバ10においてコンテンツのライブ配信のためのプラットフォームを提供し、また、配信者LVと視聴者AUとのリアルタイムのやりとりを仲介または管理する。視聴者AUは、ユーザ端末30でプラットフォームにアクセスして所望のコンテンツを選択し、視聴する。このコンテンツのライブ配信中に視聴者AUがユーザ端末30を介してコメントをしたり応援したりするための操作を行い、当該コンテンツを提供する配信者LVがそのようなコメントや応援や依頼に反応し、当該反応が映像および/または音声で視聴者AUに伝わることで、双方向のコミュニケーションが成立する。
【0017】
本明細書において「ライブ配信」は、配信者LVのユーザ端末20で録音・録画されたコンテンツが実質的にリアルタイムで視聴者AUのユーザ端末30で再生され視聴可能となる状態を実現するデータの伝送態様を意味するものであってもよく、またはそのような伝送態様により実現される配信そのものを意味してもよい。ライブ配信は、HTTP Live StreamingやCommon Media Application FormatやWeb Real-Time CommunicationsやReal-Time Messaging ProtocolやMPEG DASHなどの既存のライブ配信技術を用いて実現されてもよい。ライブ配信は、配信者LVがコンテンツを録音・録画しているときに、視聴者AUが所定の遅延をもって当該コンテンツを視聴可能な伝送態様を含む。遅延の大きさについて、少なくとも、配信者LVと視聴者AUとのやりとりが成立する程度の大きさの遅延は許される。ただし、ライブ配信は、コンテンツを録音・録画したデータ全体をいったんサーバに保存し、その後の任意のタイミングでユーザからの求めに応じて当該データをサーバからユーザに提供するいわゆるオンデマンド型の配信とは区別される。
【0018】
本明細書において「動画データ」は、ユーザ端末20、30の撮像機能により生成される画像データ(ビデオデータともいう)と、ユーザ端末20、30の音声入力機能により生成される音声データ(オーディオデータともいう)と、を含むデータである。動画データは、ユーザ端末20、30で再生されることで、ユーザによるコンテンツの視聴を可能とする。本実施の形態では、動画データが配信者のユーザ端末で生成されてから視聴者のユーザ端末で再生されるまでの間に、圧縮や伸張や符号化や復号やトランスコーディングなどの、データの形式やサイズや仕様を変更する処理が行われることが想定されている。このような処理の前後で動画データが表す内容(例えば、動画像や音声)は実質的に変わらないので、本実施の形態ではそのような処理が行われた後の動画データはそのような処理が行われる前の動画データと同じであるとして説明する。すなわち、動画データが配信者のユーザ端末で生成されてからサーバ10を経由して視聴者のユーザ端末で再生される場合、配信者のユーザ端末で生成された動画データと、サーバ10を通過する動画データと、視聴者のユーザ端末で受信されて再生される動画データと、は全て同じ動画データである。
【0019】
本明細書において「配信時間」は、ひとつのライブ配信に関連付けられたパラメータであって、当該ライブ配信が継続した期間の長さを指す。配信時間は、当該ライブ配信に視聴者がいるか否かとは無関係に算出される。
本明細書において「総配信時間」は、配信者に関連付けられたパラメータであって、所定の期間において対象の配信者が行ったライブ配信の配信時間を通算することで得られる時間である。
本明細書において「視聴時間」は、視聴者と配信者とのペアに関連付けられたパラメータであって、当該視聴者が当該配信者のライブ配信を視聴した期間の長さ(view duration)を指す。
本明細書において「被視聴時間」は、配信者に関連付けられたパラメータであって、当該配信者のライブ配信が視聴者に視聴された期間の長さ(viewed duration)を指す。この場合の視聴者はランダムに選択された一名であってもよいし、ランダムに選択された視聴者の部分集合であってもよいし、全ての視聴者であってもよい。あるいはまた、被視聴時間は視聴者に亘って算出された平均値であってもよい。被視聴時間は、配信者のライブ配信が視聴者側でどの程度視聴されているかを示す指標である。
本明細書において「総被視聴時間」は、被視聴時間の一態様であって、所定の期間において対象の配信者のライブ配信を視聴した全ての視聴者について、その視聴時間を通算することで得られる時間である。
【0020】
例えば、所定の期間において配信者Aのライブ配信を視聴者Bが2時間、視聴者Cが3時間、視聴者Dが4時間、視聴した場合、以下のようになる。
視聴者Bの視聴時間=2時間
視聴者Cの視聴時間=3時間
視聴者Dの視聴時間=4時間
配信者Aのライブ配信の総被視聴時間=2+3+4=9時間
配信者Aのライブ配信の平均被視聴時間=9/3=3時間
配信者Aのライブ配信の被視聴時間:総被視聴時間でもよいし、平均被視聴時間でもよい。
【0021】
図1の例では、配信者LVがトークをライブ配信している。配信者LVのユーザ端末20はトークを行っている配信者LVの像および音声を録画・録音することで動画データを生成し、ネットワークNWを介してサーバ10に送信する。併せてユーザ端末20は、録画された配信者LVの動画像VDをユーザ端末20のディスプレイに表示させることで、配信者LVによる配信内容の確認を可能とする。
【0022】
配信者LVのライブ配信の視聴をプラットフォームに要求した視聴者AU1、AU2のユーザ端末30a、30bはそれぞれ、ネットワークNWを介してライブ配信に係る動画データを受信し、受信した動画データを再生することでディスプレイに動画像VD1、VD2を表示させると共にスピーカーから音声を出力する。各ユーザ端末30a、30bで表示される動画像VD1、VD2は配信者LVのユーザ端末20が撮像した動画像VDと実質的に同一であり、各ユーザ端末30a、30bで出力される音声も配信者LVのユーザ端末20が録音した音声と実質的に同一である。
【0023】
配信者LVのユーザ端末20における録音・録画と、視聴者AU1、AU2のユーザ端末30a、30bにおける動画データの再生と、は実質的に同時に行われる。配信者LVのトークの内容についてひとりの視聴者AU1がコメントをユーザ端末30aに入力すると、サーバ10は当該コメントをリアルタイムで配信者LVのユーザ端末20に表示させると共に各視聴者AU1、AU2のユーザ端末30a、30bにも表示させる。当該コメントを読んだ配信者LVがその内容に被せたトークを展開すると、そのトークの動画像と音声が各視聴者AU1、AU2のユーザ端末30a、30bで出力され、これにより配信者LVと視聴者AU1との会話が成立したと認識される。このように、ライブ配信システム1では、一方通行でない双方向のコミュニケーションを可能とするライブ配信が実現される。
【0024】
図2は、
図1のユーザ端末20の機能および構成を示すブロック図である。ユーザ端末30はユーザ端末20と同様の機能および構成を有する。
図2および以後のブロック図に示す各ブロックは、ハードウェア的には、コンピュータのCPUをはじめとする素子や機械装置で実現でき、ソフトウェア的にはコンピュータプログラム等によって実現されるが、ここでは、それらの連携によって実現される機能ブロックを描いている。したがって、これらの機能ブロックはハードウェア、ソフトウェアの組み合せによっていろいろなかたちで実現できることは、本明細書に触れた当業者には理解されるところである。
【0025】
配信者LVおよび視聴者AUは、ダウンロードサイトからネットワークNWを介して、本実施の形態に係るライブ配信アプリケーションプログラム(以下、ライブ配信アプリという)をユーザ端末20、30にダウンロードし、インストールする。あるいはまた、ライブ配信アプリはユーザ端末20、30にプリインストールされていてもよい。ライブ配信アプリがユーザ端末20、30により実行されることにより、ユーザ端末20、30はネットワークNWを介してサーバ10と通信し、各種機能を実現する。以下、ユーザ端末20、30(のCPUなどのプロセッサ)がライブ配信アプリを実行することにより実現する機能をユーザ端末20、30の機能として説明する。それらの機能は実際はライブ配信アプリがユーザ端末20、30に実現させる機能である。なお、他の実施の形態では、これらの機能は、サーバ10からユーザ端末20、30のウェブブラウザにネットワークNWを介して送信され、そのウェブブラウザによって実行される、HTML(HyperText Markup Language)などのプログラミング言語により記述されたコンピュータプログラムにより実現されてもよい。
【0026】
ユーザ端末20は、ユーザの像および音声を記録した動画データを生成してサーバ10に提供する配信部100と、サーバ10から動画データを取得して再生する視聴部200と、アクティブユーザによる要求を処理する配信外処理部400と、を備える。ユーザは、配信を行う場合は配信部100を、視聴を行う場合は視聴部200を、視たいライブ配信を探したり配信者のプロフィールを視たりアーカイブを視たりする場合は配信外処理部400を、それぞれ起動する。配信部100がアクティブとなっているユーザ端末は配信者側、つまり動画データの生成側のユーザ端末であり、視聴部200がアクティブとなっているユーザ端末は視聴者側、つまり動画データの再生側のユーザ端末であり、配信外処理部400がアクティブとなっているユーザ端末はアクティブユーザのユーザ端末である。
【0027】
配信部100は、撮像制御部102と、音声制御部104と、動画送信部106と、配信側UI制御部108と、配信側通信部110と、を含む。撮像制御部102は
図2では不図示のカメラと接続され、カメラによる撮像を制御する。撮像制御部102はカメラから画像データを取得する。音声制御部104は
図2では不図示のマイクロフォンと接続され、マイクロフォンによる音声入力を制御する。音声制御部104は、マイクロフォンから音声データを取得する。動画送信部106は、撮像制御部102により取得された画像データおよび音声制御部104により取得された音声データを含む動画データを、ネットワークNWを介してサーバ10に送信する。動画送信部106による動画データの送信はリアルタイムで行われる。すなわち、撮像制御部102および音声制御部104による動画データの生成と、生成された動画データの動画送信部106による送信と、は実質的に同時に行われる。
【0028】
配信側UI制御部108は、配信者向けのUIを制御する。配信側UI制御部108は、
図2では不図示のディスプレイと接続され、動画送信部106による送信対象となっている動画データを再生することにより動画像をディスプレイに表示させる。配信側UI制御部108は、
図2では不図示のタッチパネルやキーボードやディスプレイなどの入力手段と接続され、それら入力手段を介して配信者による入力を取得する。配信側UI制御部108は、動画像に所定のフレーム画像を重畳させる。フレーム画像は、配信者から入力を受け付けるための様々なユーザインタフェースオブジェクト(以下、単にオブジェクトという)と、視聴者により入力されたコメントと、サーバ10から取得した情報と、を含む。配信側UI制御部108は例えば配信者によるオブジェクトに対するタップ入力を受け付ける。
【0029】
配信側通信部110は、ライブ配信中のサーバ10との間の通信を制御する。配信側通信部110は、配信側UI制御部108が取得した配信者による入力の内容を、サーバ10にネットワークNWを介して送信する。配信側通信部110は、ライブ配信に関連付けられた各種の情報をサーバ10からネットワークNWを介して受信する。
【0030】
視聴部200は、視聴側UI制御部202と、視聴側通信部204と、を含む。視聴側通信部204は、ライブ配信中にサーバ10とネットワークNWを介して通信する。視聴側通信部204は、ネットワークNWを介してサーバ10から、配信者と視聴者とが参加するライブ配信に係る動画データを受信する。
【0031】
視聴側UI制御部202は、視聴者向けのUIを制御する。視聴側UI制御部202は、
図2では不図示のディスプレイおよびスピーカと接続され、受信された動画データを再生することにより動画像をディスプレイに表示させると共に音声をスピーカから出力させる。ディスプレイに画像が出力されると共にスピーカから音声が出力されることを、合わせて「動画データが再生」されていると言うことができる。視聴側UI制御部202は、
図2では不図示のタッチパネルやキーボードやディスプレイなどの入力手段と接続され、それら入力手段を介して視聴者による入力を取得する。視聴側UI制御部202は、サーバ10から取得された動画データの画像に所定のフレーム画像を重畳させる。フレーム画像は、視聴者から入力を受け付けるための様々なオブジェクトと、視聴者により入力されたコメントと、サーバ10から取得した情報と、ライブ配信内で提供されるゲームに関するオブジェクトと、を含む。視聴側通信部204は、視聴側UI制御部202が取得した視聴者による入力の内容を、ネットワークNWを介してサーバ10に送信する。
【0032】
配信外処理部400は、配信外UI制御部402と、配信外通信部404と、を含む。配信外UI制御部402は、アクティブユーザ向けのUIを制御する。例えば、配信外UI制御部402は、現在参加可能なライブ配信のリストを表示してアクティブユーザによるライブ配信の選択を受け付けるライブ配信選択画面を生成し、ディスプレイに表示させる。配信外UI制御部402は、任意のユーザのプロフィール画面を生成し、ディスプレイに表示させる。配信外UI制御部402は、過去のライブ配信を録音・録画することにより生成されたアーカイブを再生する。
【0033】
配信外通信部404は、ライブ配信外でのサーバ10との間の通信を制御する。配信外通信部404は、ネットワークNWを介してサーバ10から、ライブ配信選択画面を生成するための情報や、プロフィール画面を生成するための情報や、アーカイブのデータを受信する。配信外通信部404は、アクティブユーザによる入力の内容を、ネットワークNWを介してサーバ10に送信する。
【0034】
図3は、
図1のサーバ10の機能および構成を示すブロック図である。サーバ10は、配信情報提供部302と、中継部304と、ギフト処理部308と、支払い処理部310と、ゲーム処理部330と、ストリームDB314と、ユーザDB318と、ギフトDB320と、を備える。
【0035】
図4は、
図3のストリームDB314の一例を示すデータ構造図である。ストリームDB314は現在行われているライブ配信の情報を保持する。ストリームDB314は、ライブ配信システム1が提供するライブ配信プラットフォームにおいてライブ配信を特定するストリームIDと、当該ライブ配信の配信者を特定するユーザIDである配信者IDと、当該ライブ配信の視聴者を特定するユーザIDである視聴者IDと、を対応付けて保持する。
【0036】
本実施の形態に係るライブ配信システム1が提供するライブ配信プラットフォームでは、ユーザがライブ配信を行う場合そのユーザは配信者となり、また同じユーザが他のユーザが配信するライブ配信を視聴する場合は視聴者となる。したがって、配信者・視聴者の別は固定的なものではなく、あるとき配信者IDとして登録されていたユーザIDが別のタイミングでは視聴者IDとして登録されることもある。
【0037】
図5は、
図3のユーザDB318の一例を示すデータ構造図である。ユーザDB318は、ユーザに関する情報を保持する。ユーザDB318は、ユーザを特定するユーザIDと、当該ユーザが有しているポイントと、当該ユーザに付与された報酬と、を対応付けて保持する。
【0038】
ポイントは、ライブ配信プラットフォーム内で流通する電子的価値である。ユーザはクレジットカードや他の決済手段によりポイントを購入する。報酬はライブ配信プラットフォーム内で定義される電子的価値であり、配信者がライブ配信プラットフォームの管理者から受け取る金銭の額を決めるための指標である。ライブ配信プラットフォームでは、ライブ配信内やライブ配信外で視聴者が配信者にギフトを贈ると、視聴者のポイントが消費され、併せて配信者の報酬が相応分だけ増加する。
【0039】
図6は、
図3のギフトDB320の一例を示すデータ構造図である。ギフトDB320は、ライブ配信において視聴者が使用可能なギフトに関する情報を保持する。ギフトは、以下の特徴を有する電子データである。
・ポイントや金銭を対価として購入可能、または無料で付与可能。
・視聴者が配信者に贈ることができるもの。配信者にギフトを贈ることを、ギフトを使用する、またはギフトを投げるともいう。
・ギフトの購入と使用とがセットで同時に発生するタイプのものもあれば、購入した後、視聴者が任意のタイミングで使用可能なタイプのものもある。
・視聴者が配信者にギフトを贈ると、その配信者に相応の報酬が付与される。
・ギフトが使用された場合、ギフトに関連付けられた効果が生じることがある。例えば、ギフトに対応するエフェクトがライブ配信ルーム画面に表れる。
【0040】
ギフトDB320は、ギフトを特定するギフトIDと、当該ギフトを配信者に贈った場合に当該配信者に付与される報酬である付与報酬と、当該ギフトを使用する際に支払うべき対価である対価ポイントと、を対応付けて保持する。視聴者は、ライブ配信の視聴中に、所望のギフトの対価ポイントを支払うことで配信者に当該ギフトを贈ることができる。この対価ポイントの支払いは適宜の電子的決済手段により行われてもよく、例えば対価ポイントを視聴者が管理者に支払うことで行われてもよい。あるいはまた、銀行振込やクレジットカードによる支払いが用いられてもよい。付与報酬と対価ポイントとの関係は管理者が任意に設定可能である。例えば、付与報酬=対価ポイントに設定してもよい。または付与報酬に1.2などの所定の係数を乗じて得られるポイントを対価ポイントに設定してもよいし、付与報酬に所定の手数料ポイントを加算して得られるポイントを対価ポイントに設定してもよい。
【0041】
図3に戻り、配信情報提供部302は、ネットワークNWを介して、配信者のユーザ端末20からライブ配信を開始する旨の通知を受けると、当該ライブ配信を特定するストリームIDと、当該ライブ配信の配信者の配信者IDと、をストリームDB314に登録する。配信情報提供部302は、ネットワークNWを介して、アクティブユーザのユーザ端末の配信外通信部404からライブ配信に関する情報の提供要求を受けると、ストリームDB314を参照して現在視聴可能なライブ配信のリストを生成する。配信情報提供部302は、割り当てDB338(後述)を参照し、リストに含まれる各ライブ配信の配信者に対応付けられた得喪設定を特定する。配信情報提供部302は、特定された得喪設定を示す情報、例えば通常得喪設定か特別得喪設定かを示すフラグ、をリストに含める。配信情報提供部302は、ネットワークNWを介して、生成されたリストを要求元のユーザ端末に送信する。要求元のユーザ端末の配信外UI制御部402は、受信したリストに基づいてライブ配信選択画面を生成し、ユーザ端末のディスプレイに表示させる。
【0042】
ユーザ端末の配信外UI制御部402は、ライブ配信選択画面におけるアクティブユーザによるライブ配信の選択を受け付けると、選択されたライブ配信のストリームIDを含む配信要求を生成し、ネットワークNWを介してサーバ10に送信する。配信情報提供部302は、受信した配信要求に含まれるストリームIDにより特定されるライブ配信の、要求元のユーザ端末への提供を開始する。配信情報提供部302は、当該ストリームIDの視聴者IDに要求元のユーザ端末のアクティブユーザのユーザIDが含まれるようにストリームDB314を更新する。これにより、アクティブユーザは選択されたライブ配信の視聴者となる。
【0043】
中継部304は、配信情報提供部302によって開始されたライブ配信において、配信者のユーザ端末20から視聴者のユーザ端末30への動画データの伝送を中継する。中継部304は、ライブ配信中すなわち動画データの再生中における視聴者によるユーザ入力を示す信号を視聴側通信部204から受信する。ユーザ入力を示す信号は、ユーザ端末30のディスプレイに表示されたオブジェクトの指定を示すオブジェクト指定信号であってもよく、当該オブジェクト指定信号は、視聴者の視聴者IDと、視聴者が視聴しているライブ配信を行っている配信者の配信者IDと、オブジェクトを特定するオブジェクトIDと、を含む。オブジェクトがギフトアイコンである場合、オブジェクトIDはギフトIDとなる。その場合のオブジェクト指定信号は、視聴者による配信者に対するギフトの使用を示すギフト使用信号となる。同様に、中継部304は、動画データの再生中における配信者によるユーザ入力を示す信号、例えばオブジェクト指定信号をユーザ端末20の配信部100の配信側通信部110から受信する。
【0044】
ギフト処理部308は、ギフト使用信号に含まれるギフトIDで特定されるギフトの付与報酬に応じて配信者の報酬を増加させるようにユーザDB318を更新する。ギフト処理部308は、ギフトDB320を参照し、受信したギフト使用信号に含まれるギフトIDに対応する付与報酬を特定する。ギフト処理部308は、ギフト使用信号に含まれる配信者IDに対応する報酬に、特定された付与報酬を加えるようユーザDB318を更新する。
【0045】
支払い処理部310は、ギフト使用信号の受信に応じて、視聴者によるギフトの対価の支払いを処理する。支払い処理部310は、ギフトDB320を参照し、ギフト使用信号に含まれるギフトIDで特定されるギフトの対価ポイントを特定する。支払い処理部310は、ギフト使用信号に含まれる視聴者IDで特定される視聴者のポイントから特定された対価ポイントを差し引くようユーザDB318を更新する。
【0046】
ゲーム処理部330は、ライブ配信内におけるゲームの提供に係る処理を行う。ゲーム処理部330は、開始要求受付部332と、通常インスタンス334と、特別インスタンス336と、割り当てDB338と、インスタンス制御部340と、を含む。
【0047】
本実施の形態では、ゲームはシングルプレイヤーゲームであって、そのゲームではまず視聴者は複数の要素のなかからひとつの要素を選択してポイントを供出する。ゲーム処理部330のゲームインスタンスは所定の確率に従う抽選を行い、複数の要素のなかから当たりの要素を決める。視聴者が選択した要素が抽選に当たれば視聴者は勝利し、そうでなければ視聴者は敗北する。各要素は対応するオッズ(倍率)に関連付けられている。視聴者が勝利すれば供出したポイント×オッズ分のポイントが払い戻され、敗北すれば払い戻しはない。要素のオッズが高いほど、その要素が抽選で選ばれる確率は低くなる。このようなライブ配信内ゲームは、例えば非特許文献1に記載される技術により実現されてもよい。
【0048】
インスタンス制御部340は、得喪設定の異なる複数のゲームインスタンスを生成し、それらを制御する。本実施の形態では、通常得喪設定を有する通常インスタンス334と、特別得喪設定を有する特別インスタンス336と、が生成される。以下にゲームの例を示す。
(ゲーム甲)
ルール
・視聴者が要素Aおよび要素Bのうちからひとつの要素を選択する
・ゲームインスタンスが要素Aおよび要素Bのうちから抽選でひとつの要素を当たりの要素として選択する
・要素Aが抽選で選択される確率を0.7、要素Bが抽選で選択される確率を0.3に設定する
・要素Aが視聴者に選択される確率と要素Bが視聴者に選択される確率は等しい、すなわちそれぞれ0.5と仮定する
通常得喪設定
・要素Aのオッズを1.2倍、要素Bのオッズを3倍に設定する。従って期待値は
0.5×0.7×1.2 + 0.5×0.3×3 = 0.87
特別得喪設定
・要素Aのオッズを1.4倍、要素Bのオッズを3.2倍に設定する。従って期待値は
0.5×0.7×1.4 + 0.5×0.3×3.2 = 0.97
ゲーム甲の場合、オッズを調整することにより、特別得喪設定の期待値(0.97)は通常得喪設定の期待値(0.87)よりも大きく設定されている。したがって、特別得喪設定のほうが通常得喪設定よりも視聴者にとって有利であると言える。
(ゲーム乙)
ルール
・視聴者が要素Cおよび要素Dのうちからひとつの要素を選択する
・ゲームインスタンスが要素Cおよび要素Dのうちから抽選でひとつの要素を当たりの要素として選択する
・要素Cのオッズを1.1倍、要素Dのオッズを4倍に設定する。
・要素Cが視聴者に選択される確率と要素Dが視聴者に選択される確率は等しい、すなわちそれぞれ0.5と仮定する
通常得喪設定
・要素Cが抽選で選択される確率を0.9、要素Bが抽選で選択される確率を0.1に設定する。従って期待値は
0.5×0.9×1.1 + 0.5×0.1×4 = 0.695
特別得喪設定
・要素Cが抽選で選択される確率を0.8、要素Bが抽選で選択される確率を0.2に設定する。従って期待値は
0.5×0.8×1.1 + 0.5×0.2×4 = 0.84
ゲーム乙の場合、抽選で選択される確率を調整することにより、特別得喪設定の期待値(0.84)は通常得喪設定の期待値(0.695)よりも大きく設定されている。したがって、特別得喪設定のほうが通常得喪設定よりも視聴者にとって有利であると言える。
他の例として得喪設定によりオッズおよび抽選確率の両方を調整するゲームがあってもよい。
【0049】
通常インスタンス334、特別インスタンス336などのゲームインスタンスは、例えば特許文献1に開示されるゲームインスタンス化の技術を用いて実現されてもよい。本実施の形態におけるゲームインスタンスは共通のゲームロジックおよび共通のユーザインタフェースを有しつつ、オッズや確率などのパラメータが異なるよう設定される。このパラメータはライブ配信プラットフォームの管理者により設定されてもよい。
【0050】
図7は、
図3の割り当てDB338の一例を示すデータ構造図である。割り当てDB338は、配信者と得喪設定との対応関係を保持する。割り当てDB338は、配信者の配信者IDと、当該配信者に対応付けられている得喪設定を示す情報と、を対応付けて保持する。
図7の例では、得喪設定を示す情報は、通常得喪設定であれば「通常」、特別得喪設定であれば「特別」、となる。
【0051】
割り当てDB338はライブ配信プラットフォームの管理者により更新されてもよい。管理者は、ライブ配信プラットフォームでライブ配信を始めてから所定の期間、例えば1週間、が経過していない新規配信者に特別得喪設定が対応付けられるように割り当てDB338の内容を更新してもよい。その結果、割り当てDB338は、新規配信者と特別得喪設定を示す情報とを対応付けて保持することとなる。この場合、より有利な得喪設定を求めて新規配信者のライブ配信に視聴者が集まりやすくなるので、新規配信者をプロモートすることができる。あるいはまた、管理者は、ライブ配信のイベントに関連して選択されたイベント配信者に特別得喪設定が対応付けられるように割り当てDB338の内容を更新してもよい。その結果、割り当てDB338は、イベント配信者と特別得喪設定を示す情報とを対応付けて保持することとなる。この場合、より有利な得喪設定を求めてイベント配信者のライブ配信に視聴者が集まりやすくなるので、イベントを盛り上げることができ、またイベント配信者をプロモートすることができる。
【0052】
図7の例では割り当てDB338は配信者IDを保持する場合を説明したが、これに限られず、例えば配信者IDに代えてストリームIDを保持してもよい。この場合、割り当てDB338は、ストリームIDを介して、当該ストリームIDで特定されるライブ配信を行っている配信者の配信者IDと、得喪設定の種別と、を間接的に対応付ける。
【0053】
図3に戻り、開始要求受付部332は、視聴者のユーザ端末30からネットワークNWを介して、ゲームの開始要求(以下、ゲーム開始要求という)を受信する。視聴者はライブ配信の視聴を開始してライブ配信を視聴しているときに、ゲームの開始の指示をユーザ端末30に入力する。ユーザ端末30の視聴側通信部204は、その指示を受け付けると、視聴者が視聴しているライブ配信の配信者の配信者IDを含むゲーム開始要求を生成し、ネットワークNWを介してサーバ10に送信する。開始要求受付部332はそのように送信されたゲーム開始要求を受信する。
【0054】
インスタンス制御部340、通常インスタンス334、特別インスタンス336は合わせて、開始要求受付部332によるゲーム開始要求の受信に応じて、視聴者が視聴しているライブ配信の配信者に対応する得喪設定を有するゲームの、当該ライブ配信内における当該視聴者のユーザ端末30への提供を開始する手段を構成する。
【0055】
インスタンス制御部340は、開始要求受付部332によるゲーム開始要求の受信に応じて、割り当てDB338を参照し、当該ゲーム開始要求の送信元の視聴者が視聴するライブ配信の配信者に対応する得喪設定を特定する。インスタンス制御部340は、受信したゲーム開始要求から配信者IDを抽出する。インスタンス制御部340は、抽出された配信者IDに対応する得喪設定の種別を、割り当てDB338を参照することで特定する。
【0056】
インスタンス制御部340は、特定された種別の得喪設定に対応するゲームインスタンスに、ゲーム開始要求の送信元の視聴者のユーザ端末30へのゲームの提供を開始させる。インスタンス制御部340は、通常得喪設定が特定された場合は通常インスタンス334を選択し、特別得喪設定が特定された場合は特別インスタンス336を選択する。インスタンス制御部340は、選択されたゲームインスタンスにゲームの提供を開始させる。
【0057】
図7の例では、配信者「ABC」のライブ配信において視聴者「USR1」からゲーム開始要求が送信された場合、インスタンス制御部340は配信者「ABC」に対応する通常得喪設定を特定し、したがって通常インスタンス334を選択する。通常インスタンス334は、配信者「ABC」のライブ配信のなかで視聴者「USR1」のユーザ端末への、通常得喪設定を有するゲームの提供を開始する。また、配信者「DEF」のライブ配信において視聴者「USR1」からゲーム開始要求が送信された場合、インスタンス制御部340は配信者「DEF」に対応する特別得喪設定を特定し、したがって特別インスタンス336を選択する。特別インスタンス336は、配信者「DEF」のライブ配信のなかで視聴者「USR1」のユーザ端末への、特別得喪設定を有するゲームの提供を開始する。このように同じ視聴者「USR1」がプレイするゲームであっても、ライブ配信の配信者が異なると提供元のインスタンスも異なることとなり、ゲームの有利さも異なることとなる。
【0058】
以上の構成によるライブ配信システム1の動作を説明する。
図8は、ライブ配信中に視聴者によってゲームの開始の指示が入力されたときのライブ配信システム1における一連の処理の流れを示すフローチャートである。サーバ10は、ゲーム開始要求を待ち受ける(S202)。ゲーム開始要求が受信された場合(S202のY)、サーバ10はゲーム開始要求に含まれる配信者IDを、要求元の視聴者が視聴しているライブ配信の配信者の配信者IDとして特定する(S204)。サーバ10は、特定された配信者IDに対応するゲームインスタンスを特定する(S206)。通常インスタンス334が特定された場合(S206の「通常」)、サーバ10は要求元の視聴者のユーザ端末30と通常インスタンス334とを接続することで、通常得喪設定を有するゲームの提供を開始する(S210)。特別インスタンス336が特定された場合(S206の「特別」)、サーバ10は要求元の視聴者のユーザ端末30と特別インスタンス336とを接続することで、特別得喪設定を有するゲームの提供を開始する(S212)。
【0059】
図9は、アクティブユーザのユーザ端末のディスプレイに表示されるライブ配信選択画面600の代表画面図である。ライブ配信選択画面600は、サーバ10から受信した現在視聴可能なライブ配信のリストにある各ライブ配信を示すサムネイル602、604を含む。配信外UI制御部402は、サーバ10から取得したライブ配信のリストに基づいてライブ配信選択画面600を生成し、ディスプレイに表示させる。
図9の例では、配信外通信部404は、特別得喪設定を有するゲームに関連付けられた第1ライブ配信と、特別得喪設定とは異なる通常得喪設定を有するゲームに関連付けられた第2ライブ配信と、を含む視聴可能なライブ配信のリストを、サーバ10からネットワークNWを介して受信する。配信外UI制御部402は、受信したリストに含まれるライブ配信を表すサムネイルをディスプレイに表示させる際、第1ライブ配信を表すサムネイル602の表示態様と第2ライブ配信を表すサムネイル604の表示態様とを異ならせる。より具体的には、配信外UI制御部402は、リストに含まれるライブ配信に対応付けられたフラグが特別得喪設定を示す場合は、そのライブ配信のサムネイル602に特別設定バッジ606を付加する。フラグが通常得喪設定を示す場合は特別設定バッジ606は付加されない(サムネイル604参照)。
【0060】
このように、特別得喪設定を有するゲームを提供する第1ライブ配信のサムネイル602を、通常得喪設定を有するゲームを提供する第2ライブ配信のサムネイル604よりも目立たせることで、アクティブユーザが第1ライブ配信を見つけやすくなる。これにより、特別得喪設定による配信者のプロモートの効果を高めることができる。
【0061】
なお、特別設定バッジ606の付与に代えてまたは加えて、ライブ配信選択画面600において、第1ライブ配信のサムネイル602は、第2ライブ配信のサムネイル604よりも目立つ位置、例えば画面の上部、に配置されてもよい。この場合、ライブ配信プラットフォームにおいて、特別得喪設定を有するゲームを提供可能な配信者をさらにプロモートすることができる。
【0062】
図10は、視聴者のユーザ端末30のディスプレイに表示されるライブ配信ルーム画面608の代表画面図である。
図9のライブ配信選択画面600において視聴者がサムネイル602をタップすると、
図10のライブ配信ルーム画面608がディスプレイに表示される。ライブ配信ルーム画面608は、配信者のユーザ端末20で生成された動画像をリアルタイムで表示する。ライブ配信ルーム画面608は、サーバ10から受信した動画データを再生することにより得られる配信者の動画像610と、ギフトオブジェクト612と、コメント入力領域616と、コメント表示領域618と、視聴終了ボタン620と、ゲームオブジェクト609と、特別設定インジケータ611と、を有する。視聴側UI制御部202は、動画データを再生することにより得られる動画像610に、他のオブジェクト、すなわちギフトオブジェクト612、コメント入力領域616、コメント表示領域618、視聴終了ボタン620、ゲームオブジェクト609、特別設定インジケータ611を重畳表示することによりライブ配信ルーム画面608を生成する。
【0063】
コメント表示領域618は、視聴者により入力されたコメントと、他の視聴者により入力されたコメントと、システムからの通知と、を含みうる。システムからの通知は、配信者に誰がどのギフトを贈ったかを示す情報を含む。視聴側UI制御部202はサーバ10から受信した他の視聴者のコメントおよびシステムからの通知を含むコメント表示領域618を生成し、生成されたコメント表示領域618をライブ配信ルーム画面608に含める。
【0064】
コメント入力領域616は視聴者によるコメントの入力を受け付ける。視聴側通信部204は、コメント入力領域616に入力されたコメントを含むコメント入力信号を生成し、ネットワークNWを介してサーバ10に送信する。併せて視聴側UI制御部202は、コメント入力領域616に入力されたコメントを表示するようにコメント表示領域618を更新する。
【0065】
視聴終了ボタン620は、ライブ配信の視聴を止めるための指示を視聴者から受け付けるためのオブジェクトである。
【0066】
ゲームオブジェクト609は、視聴者がライブ配信を視聴しているときに、ゲームの開始の指示を当該視聴者から受け付けるためのオブジェクトである。
【0067】
特別設定インジケータ611は、ライブ配信の配信者が特別得喪設定に対応付けられている場合に表示される。ライブ配信の配信者が通常得喪設定に対応付けられている場合、特別設定インジケータ611は表示されない。視聴者は、特別設定インジケータ611の有無により、現在視聴しているライブ配信を通じてプレイ可能なゲームが特別得喪設定を有するかそれとも通常得喪設定を有するかを容易に判別することができる。
【0068】
視聴者はライブ配信を視聴しているときに、ゲームオブジェクト609をタップする。ユーザ端末30の視聴側UI制御部202は、ゲームオブジェクト609へのタップを検出すると、それをゲームの開始の指示として受け付ける。ユーザ端末30の視聴側通信部204は、その指示を受け付けると上述のゲーム開始要求を生成し、ネットワークNWを介してサーバ10に送信する。サーバ10のインスタンス制御部340は、ゲーム開始要求の受信に応じて、特別インスタンス336に、視聴者のユーザ端末30へのゲームの提供を開始させる。ユーザ端末30の視聴側UI制御部202は、特別インスタンス336から受信したゲームデータに基づきゲーム622を生成する。視聴側UI制御部202は生成されたゲーム領域622をライブ配信ルーム画面608に重畳表示させる。
【0069】
図11は、視聴者のユーザ端末30のディスプレイに表示される、ゲーム領域622が重畳表示されたライブ配信ルーム画面608の代表画面図である。ゲーム領域622はライブ配信ルーム画面608の上に重畳表示されたポップアップダイアログである。ゲーム領域622は、現在のゲームラウンドの残り時間を示す残り時間領域624と、それぞれが対応するオッズに関連付けられた三つの異なる要素626、628、630と、低ベットオブジェクト632と、高ベットオブジェクト634と、プレイヤーたる視聴者が現在有しているポイントの量および当該視聴者の現在の総利益/損失を示すポイント表示領域636と、を有する。
【0070】
視聴者は三つの要素626、628、630のうちのひとつをタップして、その要素にいくらかのポイントをベットする。あるいはまた、視聴者は低ベットオブジェクト632および高ベットオブジェクト634のうちのひとつをドラッグして所望の要素の上でドロップすることでベットしてもよい。現在のゲームラウンドの期間が満了すると、特別インスタンス336は抽選を行い、三つの要素626、628、630のなかから当たりの要素を決定する。
【0071】
図12は、視聴者のユーザ端末30のディスプレイに表示される、ゲーム領域622が重畳表示されたライブ配信ルーム画面608の代表画面図である。
図12は、
図11に示されるゲームラウンドにおいて視聴者が勝利した状況に対応する。視聴者は要素628(ぶどう)に低ベットオブジェクト632をドラッグアンドドロップすることでベットし、特別インスタンス336は抽選により要素628を当たりの要素として決定する。ゲーム領域622には、視聴者のベットを示すオブジェクト640と当たりの要素628を示す枠638とが表示される。特別インスタンス336は、視聴者が3倍のオッズで勝利したと判定し、視聴者に(-100)+(100×3)=+200ポイントを払い戻すための処理(例えば、ユーザDB318の更新)を行う。
図12のポイント表示領域636にはこの払い戻しの結果が反映されている。
【0072】
上述の実施の形態において、保持部の例は、ハードディスクや半導体メモリである。また、本明細書の記載に基づき、各部を、図示しないCPUや、インストールされたアプリケーションプログラムのモジュールや、システムプログラムのモジュールや、ハードディスクから読み出したデータの内容を一時的に記憶する半導体メモリなどにより実現できることは本明細書に触れた当業者には理解される。
【0073】
本実施の形態に係るライブ配信システム1によると、ライブ配信内でプレイ可能なゲームについて、所定の配信者を、通常得喪設定よりも視聴者にとって有利な特別得喪設定に対応付けることができる。したがって、そのような所定の配信者をプロモートすることができる。例えば、新規の配信者やイベントに参加した配信者に特別得喪設定を対応付けることで、新規の配信者に多くの視聴者を呼び込んでライブ配信を軌道に乗せたり、イベントを盛り上げたりすることができる。
【0074】
図13を参照して、本実施の形態に係る情報処理装置のハードウェア構成について説明する。
図13は、本実施の形態に係る情報処理装置のハードウェア構成例を示すブロック図である。図示された情報処理装置900は、例えば、本実施の形態におけるサーバ10およびユーザ端末20、30のそれぞれを実現しうる。
【0075】
情報処理装置900は、CPU901、ROM(Read Only Memory)902、およびRAM(Random Access Memory)903を含む。また、情報処理装置900は、ホストバス907、ブリッジ909、外部バス911、インタフェース913、入力装置915、出力装置917、ストレージ装置919、ドライブ921、接続ポート925、通信装置929を含んでもよい。さらに、情報処理装置900は、カメラなどの撮像装置(不図示)を含む。また、情報処理装置900は、CPU901に代えて、またはこれとともに、DSP(Digital Signal Processor)またはASIC(Application Specific Integrated Circuit)と呼ばれるような処理回路を有してもよい。
【0076】
CPU901は、演算処理装置および制御装置として機能し、ROM902、RAM903、ストレージ装置919、またはリムーバブル記録媒体923に記録された各種プログラムに従って、情報処理装置900内の動作全般またはその一部を制御する。例えば、CPU901は、本実施の形態におけるサーバ10およびユーザ端末20、30のそれぞれに含まれる各機能部の動作全般を制御する。ROM902は、CPU901が使用するプログラムや演算パラメータなどを記憶する。RAM903は、CPU901の実行において使用するプログラムや、その実行において適宜変化するパラメータなどを一次記憶する。CPU901、ROM902、およびRAM903は、CPUバスなどの内部バスにより構成されるホストバス907により相互に接続されている。さらに、ホストバス907は、ブリッジ909を介して、PCI(Peripheral Component Interconnect/Interface)バスなどの外部バス911に接続されている。
【0077】
入力装置915は、例えば、マウス、キーボード、タッチパネル、ボタン、スイッチおよびレバーなど、ユーザによって操作される装置であってもよいし、マイクロフォンなどの音センサ、加速度センサ、傾きセンサ、赤外線センサ、深度センサ、温度センサ、湿度センサなど物理量を電気信号に変換する装置であってもよい。入力装置915は、例えば、赤外線やその他の電波を利用したリモートコントロール装置であってもよいし、情報処理装置900の操作に対応した携帯電話などの外部接続機器927であってもよい。入力装置915は、ユーザが入力した情報または感知した物理量に基づいて入力信号を生成してCPU901に出力する入力制御回路を含む。ユーザは、この入力装置915を操作することによって、情報処理装置900に対して各種のデータを入力したり処理動作を指示したりする。
【0078】
出力装置917は、取得した情報をユーザに対して視覚的または聴覚的に通知することが可能な装置で構成される。出力装置917は、例えば、LCD、PDP、OELDなどのディスプレイ、スピーカおよびヘッドホンなどの音響出力装置、ならびにプリンタ装置などでありうる。出力装置917は、情報処理装置900の処理により得られた結果を、テキストまたは画像などの映像として出力したり、音響などの音として出力したりする。
【0079】
ストレージ装置919は、情報処理装置900の記憶部の一例として構成されたデータ格納用の装置である。ストレージ装置919は、例えば、HDD(Hard Disk Drive)などの磁気記憶部デバイス、半導体記憶デバイス、光記憶デバイス、または光磁気記憶デバイスなどにより構成される。このストレージ装置919は、CPU901が実行するプログラムや各種データ、および外部から取得した各種のデータなどを格納する。
【0080】
ドライブ921は、磁気ディスク、光ディスク、光磁気ディスク、または半導体メモリなどのリムーバブル記録媒体923のためのリーダライタであり、情報処理装置900に内蔵、あるいは外付けされる。ドライブ921は、装着されているリムーバブル記録媒体923に記録されている情報を読み出して、RAM903に出力する。また、ドライブ921は、装着されているリムーバブル記録媒体923に記録を書き込む。
【0081】
接続ポート925は、機器を情報処理装置900に直接接続するためのポートである。接続ポート925は、例えば、USB(Universal Serial Bus)ポート、IEEE1394ポート、SCSI(Small Computer System Interface)ポートなどでありうる。また、接続ポート925は、RS-232Cポート、光オーディオ端子、HDMI(登録商標)(High-Definition Multimedia Interface)ポートなどであってもよい。接続ポート925に外部接続機器927を接続することで、情報処理装置900と外部接続機器927との間で各種のデータが交換されうる。
【0082】
通信装置929は、例えば、ネットワークNWに接続するための通信デバイスなどで構成された通信インタフェースである。通信装置929は、例えば、有線または無線LAN(Local Area Network)、Bluetooth(登録商標)、またはWUSB(Wireless USB)用の通信カードなどでありうる。また、通信装置929は、光通信用のルータ、ADSL(Asymmetric Digital Subscriber Line)用のルータ、または、各種通信用のモデムなどであってもよい。通信装置929は、例えば、インターネットや他の通信機器との間で、TCP/IPなどの所定のプロトコルを用いて信号などを送受信する。また、通信装置929に接続される通信ネットワークNWは、有線または無線によって接続されたネットワークであり、例えば、インターネット、家庭内LAN、赤外線通信、ラジオ波通信または衛星通信などである。なお、通信装置929は、通信部としての機能を実現する。
【0083】
カメラなどの撮像装置(不図示)は、例えばCCD(Charge Coupled Device)またはCMOS(Complementary Metal Oxide Semiconductor)などの撮像素子、および撮像素子への被写体像の結像を制御するためのレンズなどの各種の部材を用いて実空間を撮像し、撮像画像を生成する装置である。当該撮像装置は、静止画を撮像するものであってもよいし、または動画を撮像するものであってもよい。
【0084】
以上、実施の形態に係るライブ配信システム1の構成と動作について説明した。この実施の形態は例示であり、各構成要素や各処理の組み合わせにいろいろな変形例が可能なこと、またそうした変形例も本開示の範囲にあることは当業者に理解される。
【0085】
実施の形態では、通常得喪設定を有する通常インスタンス334と特別得喪設定を有する特別インスタンス336とがある場合を説明したが、これに限られず、得喪設定の異なる3つ以上のゲームインスタンスを設けてもよい。また、実施の形態では配信者と得喪設定とを対応付ける場合を説明したが、これに限られない。
図14(a)~(e)は、ゲームインスタンス構成の例を示す模式図である。
図14(a)は実施の形態に係るゲームインスタンス構成を示す。通常インスタンス334と特別インスタンス336の二つのゲームインスタンスが予め設定され、各配信者はそれら二つのゲームインスタンスのうちの一つに対応付けられる。ゲームインスタンスの種別と視聴者とに関係はなく、視聴者は視聴しているライブ配信の配信者に対応付けられたゲームインスタンスを通じてゲームをプレイすることとなる。
【0086】
図14(b)はゲームインスタンス構成の第1変形例を示す。第1変形例では配信者ごとにゲームインスタンスが設定される。この例では配信者とゲームインスタンスとは一対一の対応関係を有する。この場合、配信者の数が増えるほどゲームインスタンスの数も増え、サーバの負担が増大する懸念があるものの、配信者ごとに独自の得喪設定を用いることが可能となり、ゲーム設定の自由度が向上する。また、配信者ごとにゲームをパーソナライズすることができ、配信者の特徴を視聴者に訴求しやすくなる。
【0087】
図14(c)はゲームインスタンス構成の第2変形例を示す。第2変形例では配信者と視聴者とのペアごとにゲームインスタンスが設定される。
【0088】
図14(d)はゲームインスタンス構成の第3変形例を示す。第3変形例では通常インスタンスと特別インスタンスの二つのゲームインスタンスが予め設定され、各視聴者はそれら二つのゲームインスタンスのうちの一つに対応付けられる。ゲームインスタンスの種別と配信者とに関係はなく、視聴者は視聴しているライブ配信の配信者に依らず、自分に対応付けられたゲームインスタンスを通じてゲームをプレイすることとなる。この場合、特定の視聴者、例えば新規の視聴者、をゲームの上で優遇することが可能となり、そのような視聴者のサービス利用継続率を高めることができる。
図14(c)の場合も同様の作用効果が奏される。
【0089】
図14(e)はゲームインスタンス構成の第4変形例を示す。第4変形例ではゲームインスタンスは通常インスタンスのひとつのみ設けられる。システムは優遇アルゴリズムとその優遇アルゴリズムの適用対象の配信者のリストとを有する。
図14(e)の例では「配信者C」が適用対象であり、「配信者C」のライブ配信の視聴者(「視聴者7」、「視聴者8」、「視聴者9」)が当該ライブ配信内でプレイするゲームには優遇アルゴリズムが適用される。優遇アルゴリズムは、例えば、視聴者がゲームで勝利した場合におまけのポイントを提供する、視聴者のベットにシステムが半額の補助を出す、などであってもよい。
【0090】
実施の形態では、ライブ配信内でシングルプレイヤーゲームがプレイされる場合を説明したが、これに限られず、他のタイプのゲームがプレイされる場合にも実施の形態に係る技術的思想を適用できる。例えば、対戦ゲームやマルチプレイヤーゲームがライブ配信内で提供される場合に、そのようなゲームの得喪設定を配信者に応じて調整してもよい。そのようなゲームの例は、複数の視聴者が競い合うゲームや、一人以上の視聴者が配信者と競うゲーム(ブラックジャック、ポーカー、じゃんけん等)や、複数の配信者が競い合うゲームや、複数の配信者と複数の視聴者とが競い合うゲームである。
【0091】
実施の形態では、視聴者がまずライブ配信に参加し、次いで当該ライブ配信内でゲームの開始要求を行う場合を説明したが、これに限られない。例えば、非特許文献2に記載されるライブゲームなどのゲームライブ配信では、視聴者によるライブ配信への参加の要求が当該視聴者によるゲームの開始要求を兼ねる。このような場合にも、実施の形態に係る技術的思想を適用できる。
【0092】
実施の形態において、ゲームで視聴者が供出したポイントの総量が、返戻されるポイントの総量よりも多い場合、その差分のポイントの価値に相当するデジタルアイテムが当該視聴者に提供されてもよい。
【0093】
実施の形態では、管理者が通常得喪設定や特別得喪設定を生成する場合を説明したが、これに限られず、例えばそれらの設定は配信者の属性や実績に応じて自動で調整されてもよい。例えば、配信者のレベル、配信時間、総配信時間、被視聴時間、獲得ポイント数、コメントされた数、イベント参加の有無、のうちの少なくともひとつを変数とする関数により特別得喪設定を算出してもよい。あるいはまた、配信者ごとにゲームインスタンスが生成される変形例では、当該ゲームインスタンスの得喪設定を、そのときの配信者の属性や実績に応じて可変としてもよい。あるいはまた、視聴者に応じたゲームインスタンスが生成される変形例では、視聴者の属性や実績に応じて得喪設定を自動で調整してもよい。
【0094】
実施の形態では、管理者が配信者と得喪設定との対応関係を決める場合を説明したが、これに限られず、例えば特別得喪設定に対応付ける配信者をランダムに選んでもよいし、配信者ごとに得喪設定をランダムに決定してもよい。この場合、割り当てDB338は、配信者と、ランダムに決定された異なる複数の得喪設定のうちのひとつと、の対応関係を保持する。この例では視聴者はより有利な得喪設定を求めて多くのライブ配信を視聴するので、視聴者の回遊行動を促進できる。
【0095】
実施の形態において、配信者を特別得喪設定に対応付ける効果を有する特別ギフト、あるいは得喪設定を視聴者により有利な設定に変更する効果を有する特別ギフトが設けられてもよい。熱心な視聴者が推しの配信者のライブ配信を盛り上げるためにその特別ギフトを用いることが想定される。この例では、インスタンス制御部340は、視聴者のユーザ端末30から特別ギフトの使用に対応するギフト使用信号を受信する。支払い処理部310は、ギフト使用信号の受信に応じて、贈り主の視聴者による支払い処理を完了させる。インスタンス制御部340は、支払い処理が完了すると、ギフトの贈り先の配信者に特別得喪設定が対応付けられるように割り当てDB338を更新する。インスタンス制御部340は、ギフトの贈り先の配信者のライブ配信において、特別インスタンス336によるゲームの提供を開始させる。
【0096】
実施の形態におけるギフトの対価ポイントから付与報酬への換算率は一例であって、これらは例えばライブ配信システムの管理者により適宜設定されてもよい。
【0097】
実施の形態に係る技術的思想を、配信者の画像の代わりに配信者の動きと同期した動きをするアバターを用いるバーチャルライブ配信や、ライブコマースに適用してもよい。
【0098】
本明細書において説明された処理手順、特にフロー図、フローチャートを用いて説明された処理手順においては、その処理手順を構成する工程(ステップ)の一部を省略すること、その処理手順を構成する工程として明示されていない工程を追加すること、及び/又は当該工程の順序を入れ替えることが可能であり、このような省略、追加、順序の変更がなされた処理手順も本開示の趣旨を逸脱しない限り本開示の範囲に含まれる。
【0099】
サーバ10により実現される機能の少なくとも一部は、サーバ10以外の装置、例えばユーザ端末20、30により実現されてもよい。ユーザ端末20、30により実現される機能の少なくとも一部は、ユーザ端末20、30以外の装置、例えば、サーバ10により実現されてもよい。例えば、視聴者のユーザ端末で行われる動画データの画像への所定のフレーム画像の重畳は、サーバ10で行われてもよいし、配信者のユーザ端末で行われてもよい。