(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024098387
(43)【公開日】2024-07-23
(54)【発明の名称】回転機
(51)【国際特許分類】
H02K 9/19 20060101AFI20240716BHJP
【FI】
H02K9/19 A
【審査請求】未請求
【請求項の数】6
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023001870
(22)【出願日】2023-01-10
(71)【出願人】
【識別番号】000006105
【氏名又は名称】株式会社明電舎
(74)【代理人】
【識別番号】100114775
【弁理士】
【氏名又は名称】高岡 亮一
(74)【代理人】
【識別番号】100121511
【弁理士】
【氏名又は名称】小田 直
(74)【代理人】
【識別番号】100116001
【弁理士】
【氏名又は名称】森 俊秀
(74)【代理人】
【識別番号】100208580
【弁理士】
【氏名又は名称】三好 玲奈
(72)【発明者】
【氏名】三瀬 大海
【テーマコード(参考)】
5H609
【Fターム(参考)】
5H609PP02
5H609PP05
5H609PP06
5H609PP09
5H609QQ05
5H609QQ10
5H609RR37
5H609RR42
(57)【要約】
【課題】回転機の冷却構造を改善することである。
【解決手段】シャフトと、前記シャフトが固定されたロータと、前記ロータの径方向外側にギャップを介して対向配置されたステータと、前記ステータの鉛直方向上側に配置され、少なくとも前記ステータを冷却する冷却油を供給する配管と、を有し、前記配管は、該配管の中心軸を通る水平線に対し鉛直方向上向きに所定角度の位置に、該配管の管壁を該配管の径方向に貫通する第1貫通孔を有する。
【選択図】
図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
シャフトと、
前記シャフトが固定されたロータと、
前記ロータの径方向外側にギャップを介して対向配置されたステータと、
前記ステータの鉛直方向上側に配置され、少なくとも前記ステータを冷却する冷却油を供給する配管と、
を有し、
前記配管は、該配管の中心軸を通る水平線に対し鉛直方向上向きに所定角度の位置に、該配管の管壁を該配管の径方向に貫通する第1貫通孔を有する、
ことを特徴とする回転機。
【請求項2】
前記配管は、該配管の中心軸を通る水平線に対する角度が鉛直方向上向きに45°以上且つ90°以下の位置に、前記第1貫通孔を有する、
ことを特徴とする請求項1に記載の回転機。
【請求項3】
前記配管は、該配管の中心軸を通る水平線よりも鉛直方向下側に、該配管の管壁を該配管の径方向に貫通する第2貫通孔をさらに有する、
ことを特徴とする請求項2に記載の回転機。
【請求項4】
前記第1貫通孔の孔径は、前記第2貫通孔の孔径よりも小さい、
ことを特徴とする請求項3に記載の回転機。
【請求項5】
前記配管は、前記第1貫通孔を軸方向に複数有する、
ことを特徴とする請求項2に記載の回転機。
【請求項6】
前記配管は、軸方向の所定位置の内周面が、軸方向の他の位置の内周面よりも鉛直方向で上側に位置する形状であり、
前記配管は、前記所定位置に、前記第1貫通孔を有する、
ことを特徴とする請求項2に記載の回転機。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、回転機に関する。
【背景技術】
【0002】
回転機では、発熱によって効率が低下することから、ステータの冷却が行われる。例えば特許文献1では、冷却油を供給する冷却油パイプをステータの上部に設け、この冷却油パイプに、ステータのステータコアやコイルエンドに向けた吐出穴を設けた構成を開示している。ステータは冷却油パイプの吐出穴から吐出された冷却油によって冷却される。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、特許文献1に記載の構成では、冷却油パイプ内の空気による空気溜まりができやすく、溜まった空気が冷却油パイプ内の圧力を下げてしまう。このため、冷却油パイプ内では空気溜まりの有無や量に応じて圧力が変動してしまい、吐出穴から吐出する冷却油の量を制御することが難しく、油路設計を困難にしていた。
【0005】
このように、従来、回転機の冷却構造に改善の余地があった。
【0006】
本発明は、回転機の冷却構造を改善することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明の一態様に係る回転機は、シャフトと、前記シャフトが固定されたロータと、前記ロータの径方向外側にギャップを介して対向配置されたステータと、前記ステータの鉛直方向上側に配置され、少なくとも前記ステータを冷却する冷却油を供給する配管と、を有し、前記配管は、該配管の中心軸を通る水平線に対し鉛直方向上向きに所定角度の位置に、該配管の管壁を該配管の径方向に貫通する第1貫通孔を有する。
【0008】
上記の一態様の回転機において、前記配管は、該配管の中心軸を通る水平線に対する角度が鉛直方向上向きに45°以上且つ90°以下の位置に、前記第1貫通孔を有する。
【0009】
上記の一態様の回転機において、前記配管は、該配管の中心軸を通る水平線よりも鉛直方向下側に、該配管の管壁を該配管の径方向に貫通する第2貫通孔をさらに有する。
【0010】
上記の一態様の回転機において、前記第1貫通孔の孔径は、前記第2貫通孔の孔径よりも小さい。
【0011】
上記の一態様の回転機において、前記配管は、前記第1貫通孔を軸方向に複数有する。
【0012】
上記の一態様の回転機において、前記配管は、軸方向の所定位置の内周面が、軸方向の他の位置の内周面よりも鉛直方向で上側に位置する形状であり、前記配管は、前記所定位置に、前記第1貫通孔を有する。
【発明の効果】
【0013】
本発明の一態様によれば、回転機の冷却構造を改善することが出来る。
【図面の簡単な説明】
【0014】
【
図1】本発明の第1実施形態に係るモータの側断面図である。
【
図2】本発明の第1実施形態に係る配管160の近傍を示す側断面図である。
【
図3】本発明の第2実施形態に係る配管1160の近傍を示す側断面図である。
【
図4】本発明の第3実施形態に係るモータの側断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0015】
以下、図面を参照しながら、本発明の実施形態に係るモータについて説明する。なお、以下の図面においては、各構成をわかり易くするために、実際の構造と各構造における縮尺及び数等を異ならせる場合がある。
【0016】
また、図面においては、適宜3次元直交座標系としてXYZ座標系を示す。XYZ座標系において、Z軸方向は、
図1に示す中心軸Jの軸方向すなわち中心軸Jが延びる方向と平行な方向とする。Y軸方向は、中心軸Jに対する径方向のうち
図1の上下方向とする。X軸方向は、Z軸方向及びY軸方向の両方と直交する方向とする。X軸方向、Y軸方向、及びZ軸方向のいずれにおいても、図中に示す矢印が指す側を+側、反対側を-側とする。
【0017】
また、以下の説明においては、Z軸方向の正の側(+Z側)を「一方側」と呼び、Z軸方向の負の側(-Z側)を「他方側」と呼ぶ。なお、一方側及び他方側とは、単に説明のために用いられる名称であって、実際の位置関係及び方向を限定しない。また、特に断りのない限り、中心軸Jに平行な方向(Z軸方向)を単に「軸方向」と呼び、中心軸Jを中心とする径方向を単に「径方向」と呼び、中心軸Jを中心とする周方向、すなわち、中心軸Jの軸周りを単に「周方向」と呼ぶ。径方向において中心軸Jに近づく側を「径方向内側」と呼び、中心軸Jから遠ざかる側を「径方向外側」と呼ぶ。周方向において、+Z側から-Z側を見たときの時計回りの側を「周方向一方側」と呼び、反時計回りの側を「周方向他方側」と呼ぶ。
【0018】
なお、本明細書において、「軸方向に延びる」とは、厳密に軸方向(Z軸方向)に延びる場合に加えて、軸方向に対して、45°未満の範囲で傾いた方向に延びる場合も含む。また、本明細書において、「径方向に延びる」とは、厳密に径方向、すなわち、軸方向(Z軸方向)に対して垂直な方向に延びる場合に加えて、径方向に対して、45°未満の範囲で傾いた方向に延びる場合も含む。また「平行」とは、厳密に平行な場合に加えて、互いに成す角が45°未満の範囲で傾いた場合も含む。また「軸方向と直交する方向に拡がる」とは、厳密に軸方向(Z軸方向)と直交する方向に拡がる場合に加えて、軸方向(Z軸方向)と直交する方向に対して、45°未満の範囲で傾いた方向に拡がる場合も含む。
【0019】
なお、以下に説明する各実施形態においては、Y軸方向は鉛直方向であり、-Y側は鉛直方向上側であり、+Y側は鉛直方向下側である。また、各実施形態で説明するモータは、EV(Electric Vehicle)用モータである。この各実施形態で説明するモータは、-Y側が鉛直方向上側、+Y側が鉛直方向下側となるように、自動車に固定される。なお、本発明に係るモータは、EV用モータに限定されるものではなく、モータ自体が鉛直方向に対してほぼ固定して用いられるあらゆるモータに適用することができる。本発明に係るモータは、例えば、自動車以外の移動体用のモータであってもよく、そのほか固定設置される如何なるモータであってもよい。
【0020】
<第1実施形態>
図1は、本発明の第1実施形態に係るモータの側断面図である。
図1は、中心軸Jを通りX軸と直交する面で切断して示す図である。
図1のモータ100は、回転機の一例である。モータ100は、中心軸Jに沿って延びるシャフト130と、シャフト130が固定されたロータ110と、ロータ110の径方向外側にギャップを介して対向配置されたステータ120と、を有する。シャフト130とロータ110とステータ120とは同軸に配置される。ステータ120は、ステータコア121と、ステータコア121に巻かれたコイルがステータコア121の軸方向両側に露出したコイルエンド122と、を有する。
【0021】
モータ100は、フレーム140を有する。フレーム140は、円筒形状の部材であって、シャフト130、ロータ110及びステータ120等を収容する。ステータ120は、フレーム140に固定される。
【0022】
モータ100は、ブラケット142及び143を有する。ブラケット142は、フレーム140の軸方向一方側の開口を塞ぐように配置される。ブラケット143は、フレーム140の軸方向他方側の開口を塞ぐように配置される。ブラケット142及び143は、フレーム140に固定される。
【0023】
モータ100は、軸受144及び145を有する。軸受144は、その外輪をブラケット142に固定され、その内輪をシャフト130に固定されることで、シャフト130の軸方向一方側を軸支する。軸受145は、その外輪をブラケット143に固定され、その内輪をシャフト130に固定されることで、シャフト130の軸方向他方側を軸支する。
【0024】
モータ100は、配管160を有する。配管160は、冷却油146を供給する配管である。フレーム140は、保持部材170を有する。保持部材170は、ステータコア121の-Y側(上側)に配置される。配管160は、保持部材170に保持される。配管160は、保持部材170の-Y側に配置される。配管160は、軸方向に貫通する管孔からなる油路161を有する。配管160は、詳しくは
図2を参照して後述するように、管壁を貫通する貫通孔を有する。
【0025】
モータ100は、フレーム140、ブラケット142及びブラケット143で囲まれた収容室140aを有する。収容室140aは、シャフト130、ロータ110、ステータ120、軸受144及び軸受145を収容する。配管160を流れる冷却油146は、配管160の管壁の貫通孔から収容室140aに吐出され、収容室140aに収容されたステータ120等を冷却する。
【0026】
配管160の軸方向一方側端は、油路142aに繋がる。油路142aは、配管160の軸方向一方側端から収容室140aへと繋がる。油路142aから収容室140aへ吐出された冷却油146は、主に軸受144の近傍に供給される。
【0027】
配管160は、軸方向の位置160aで管壁を貫通する貫通孔を有する。この位置160aの貫通孔は、配管160の内周面から外周面に向かうにつれて、軸方向一方側から軸方向他方側へと傾斜する。位置160aの貫通孔から収容室140aへ吐出された冷却油146は、主に軸受145の近傍に供給される。
【0028】
配管160は、軸方向の位置160bで管壁を貫通する貫通孔を有する。この位置160bの貫通孔は、配管160の内周面から外周面にかけて、軸方向位置が一定である。位置160bの貫通孔から収容室140aへ吐出された冷却油146は、主に、コイルエンド122のうち軸方向他方側且つ-Y側の箇所に供給される。
【0029】
配管160は、軸方向の位置160cで管壁を貫通する貫通孔を有する。この位置160cの貫通孔は、配管160の内周面から外周面にかけて、軸方向位置が一定である。位置160cの貫通孔から収容室140aへ吐出された冷却油146は、主に、ステータコア121のうち-Y側の箇所に供給される。
【0030】
配管160は、軸方向の位置160dで管壁を貫通する貫通孔を有する。この位置160dの貫通孔は、配管160の内周面から外周面にかけて、軸方向位置が一定である。位置160dの貫通孔から収容室140aへ吐出された冷却油146は、主に、コイルエンド122のうち軸方向一方側且つ-Y側の箇所に供給される。上述のようにして配管160から収容室140aへ吐出された冷却油146は、収容室140aの底に溜まる。
【0031】
モータ100は、オイルポンプ160、配管141及びオイルクーラ150を有する。収容室140aの底に溜まった冷却油146は、オイルポンプ160、配管141及びオイルクーラ150を介して、配管160の軸方向他方側端に達する。本実施形態では、収容室140aの底に溜まった冷却油146は、ブラケット143を軸方向に貫通する貫通孔を通ってオイルポンプ160に達するようにしたが、本発明はこれに限られず、収容室140aの底とオイルポンプ160を繋ぐ配管を設けるようにしてもよい。
【0032】
オイルポンプ160は、収容室140aの底に溜まった冷却油146を吸い込み、油路180を介して吐出することで、冷却油146をモータ100内に循環させる。配管141は、冷却油146が通る油路141aを有し、オイルポンプ160から吐出された冷却油146をオイルクーラ150へ送る。オイルクーラ150は、冷却管151を流れる低温流体と冷却油146との熱交換を行い、冷却油146を冷却する。オイルクーラ150で冷却された冷却油146は配管160の軸方向他方側端から配管160内に供給される。
【0033】
図2は、本発明の第1実施形態に係る配管160の近傍を示す側断面図である。
図2は、軸方向が位置160cで、中心軸Jと直交する面で切断して示す図である。第1実施形態において、配管160は、位置160cにおいて、配管160の中心軸を通る水平線に対する角度が上向きにθ°の位置に、管壁を配管160の径方向に貫通する貫通孔162及び163を有する。貫通孔162及び163は、配管160の内周側よりも外周側が上側に位置する。オイルポンプ160によって冷却油146を配管160に供給すると、配管160内の空気は貫通孔162及び163から排出される。さらに、配管160に供給された冷却油146は、貫通孔162及び163から収容室140aに吐出される。θ°は、例えば45°以上且つ90°以下である。このようにすることで、配管160内の空気が、配管160内の油路161に溜まらずに排出されやすい。
【0034】
図2では、位置160cに設けられた貫通孔162及び163を示した。配管160は、位置160a、160b及び160dにおいても、貫通孔162及び163と同様の貫通孔を有する。本実施形態では、配管160は、位置160a、160b、160c及び160dに、貫通孔162及び163のように上方に向いた貫通孔を有するが、本発明はこれに限られるものではなく、位置160a、160b、160c及び160dのいずれか一カ所または複数カ所に、上方に向いた貫通孔を有する場合を含む。本実施形態では、貫通孔162及び163の二つの貫通孔を設けたが、貫通孔の数は一つ以上であればよい。
【0035】
このように配管160内の空気を排出することができる上方に向いた貫通孔を有することで、本実施形態によれば、配管160内の空気による空気溜まりができず、配管160内の圧力を下げずに済み、回転機の冷却構造を改善することができる。
【0036】
<第2実施形態>
本発明の第2実施形態に係るモータの側断面図は、
図1とほぼ同様であるので、以下の第2実施形態の説明では、
図1を参照して説明する。第2実施形態において、
図1と相違する点は、
図1の配管160に代えて配管1160を有する点にある。配管1160は、油路161に代えて油路1161を有する。油路1161は、油路161と同様であるので説明を省略する。配管1160は、貫通孔162及び163に代えて貫通孔1162及び1163を有する。以下、配管1160について、
図3を参照して説明する。
【0037】
図3は、本発明の第2実施形態に係る配管1160の近傍を示す側断面図である。配管1160の配置位置は、
図1の配管160と同じである。
図3は、軸方向が位置160cで、中心軸Jと直交する面で切断して示す図である。
【0038】
第2実施形態において、配管1160は、位置160cにおいて、配管160の中心軸を通る水平線に対する角度が上向きにθ°の位置に、管壁を配管1160の径方向に貫通する貫通孔1162及び1163を有する。θ°は、例えば45°以上且つ90°以下である。貫通孔1162及び1163は、配管1160の内周側よりも外周側が上側に位置する。本実施形態では、配管1160の中心軸を通る水平線よりも上方には、貫通孔1162及び1163の二つの貫通孔を設けたが、この貫通孔の数は一つ以上であればよい。
【0039】
第2実施形態において、配管1160は、位置160cにおいて、配管1160の中心軸を通る水平線よりも鉛直方向下側に、管壁を配管1160の径方向に貫通する貫通孔1164及び1165を有する。貫通孔1164及び1165は、配管1160の内周側よりも外周側が下側に位置する。第2実施形態において、貫通孔1162及び1163の孔径は、貫通孔1164及び1165の孔径よりも小さい。本実施形態では、配管1160の中心軸を通る水平線よりも下方には、貫通孔1164及び1165の二つの貫通孔を設けたが、この貫通孔の数は一つ以上であればよい。
【0040】
オイルポンプ160によって冷却油146を配管1160に供給すると、配管1160内の空気は貫通孔1162及び1163から排出される。配管1160に供給された冷却油146は、貫通孔1164及び1165から収容室140aに吐出される。このようにすることで、配管1160内の空気が、配管1160内の油路1161に溜まらずに排出されやすい。貫通孔1162及び1163の孔径は、貫通孔1164及び1165の孔径よりも小さい。このようにすることで、配管1160内の冷却油146は、貫通孔1164及び1165から収容室140aに吐出されやすい。
【0041】
図3では、位置160cに設けられた貫通孔1162、1163、1164及び1165を示した。配管1160は、位置160a、160b及び160dにおいても、貫通孔1162、1163、1164及び1165と同様の貫通孔を有する。本実施形態では、配管1160は、位置160a、160b、160c及び160dに、貫通孔1162、1163、1164及び1165と同様の貫通孔を有するが、本発明はこれに限られるものではなく、位置160a、160b、160c及び160dのいずれか一カ所または複数カ所に、これらの貫通孔を有する場合を含む。
【0042】
このように配管1160内の空気を排出することができる上方に向いた貫通孔を有することで、本実施形態によれば、配管1160内の空気による空気溜まりができず、配管1160内の圧力を下げずに済み、回転機の冷却構造を改善することができる。
【0043】
<第3実施形態>
図4は、本発明の第3実施形態に係るモータの側断面図である。
図4は、中心軸Jを通りX軸と直交する面で切断して示す図である。
図1と同じ構成には同じ参照番号を付し、説明を省略する。
【0044】
図4のモータ2100は、
図1のモータ100の配管160に代えて配管2160を有する。配管260は、冷却油146を供給する配管である。配管2160は、保持部材170の-Y側(上側)に配置される。配管2160は、軸方向に貫通する管孔からなる油路2161を有する。配管2160を流れる冷却油146は、配管2160の管壁の貫通孔から収容室140aに吐出され、収容室140aに収容されたステータ120等を冷却する。配管2160の軸方向一方側端は、油路142aに繋がる。
【0045】
配管2160は、軸方向の位置2160cの内周面が、軸方向の他の位置の内周面よりも鉛直方向で上側に位置する形状である。配管2160は、位置2160cに、上向きに管壁を貫通する貫通孔1162及び1163を有する。位置2160cは、例えば、ステータコア121の軸方向一方側端と軸方向他方側端との間の中間の位置である。貫通孔1162及び1163は、
図3の第2実施形態と同様である。配管2160は、
図1の位置160a、160b及び160dに対応する位置2160a、2160b及び2160dで、上向きに管壁を貫通する貫通孔を有しなくてもよい。
【0046】
位置2160cは、配管2160の軸方向の中央でもよいし、中央以外の位置であってもよい。また、他よりも高く、上向きの貫通孔を有する位置2160cは、配管2160の軸方向の複数の位置に設けてもよい。
【0047】
配管2160は、
図1の位置160a、160b及び160dに対応する位置2160a、2160b及び2160dに、第2実施形態と同様に、貫通孔1164及び1165を有する。配管2160は、貫通孔1164及び1165から収容室140aへ冷却油146を吐出する。
【0048】
本実施形態によれば、位置2160cが軸方向の他の位置よりも上側であるため、位置2160cに空気が集まり、位置2160cの貫通孔1162及び1163によって、効果的に空気を排出することができる。
【0049】
本発明は、上記実施形態に限定されることなく、本発明の趣旨を逸脱しない範囲において、種々の改良並びに設計の変更を行ってもよい。加えて、今回開示された実施形態は、全ての点で例示であって制限的なものではないと考えられるべきである。本発明の範囲は、上記した説明ではなくて特許請求の範囲によって示され、特許請求の範囲と均等の意味及び範囲内での全ての変更が含まれることが意図される。
【符号の説明】
【0050】
100…モータ、110…ロータ、120…ステータ、130…シャフト