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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024009842
(43)【公開日】2024-01-23
(54)【発明の名称】液体農業用アジュバント
(51)【国際特許分類】
   A01N 25/30 20060101AFI20240116BHJP
   A01N 57/20 20060101ALI20240116BHJP
   A01P 13/00 20060101ALI20240116BHJP
【FI】
A01N25/30
A01N57/20 G
A01P13/00
【審査請求】有
【請求項の数】18
【出願形態】OL
【外国語出願】
(21)【出願番号】P 2023169730
(22)【出願日】2023-09-29
(62)【分割の表示】P 2021539957の分割
【原出願日】2020-01-08
(31)【優先権主張番号】62/789,649
(32)【優先日】2019-01-08
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(31)【優先権主張番号】62/789,656
(32)【優先日】2019-01-08
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(31)【優先権主張番号】62/789,657
(32)【優先日】2019-01-08
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(71)【出願人】
【識別番号】521300164
【氏名又は名称】オロ・アグリ・インコーポレイテッド
【氏名又は名称原語表記】ORO AGRI INC.
(74)【代理人】
【識別番号】110001195
【氏名又は名称】弁理士法人深見特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】ベルク,パウロ・セルジオ
(72)【発明者】
【氏名】プーレン,メルビン・ドノバン
(72)【発明者】
【氏名】バーナード,ダーク
(72)【発明者】
【氏名】バンダージル,ジャレッド
(57)【要約】      (修正有)
【課題】環境に優しいと同時に、使用時に低い引火点および/または低い蒸発速度を提供する、液体農業用アジュバントを提供する。
【解決手段】アルキル(C12~C16)酸の少なくとも1種のアルキル(C~C)エステルと;少なくとも1種のアニオン性界面活性剤と;少なくとも1種の非イオン性界面活性剤とを含む液体農業用アジュバントを提供する。液体農業用アジュバントは、約100℃超の引火点を有し、アルキル(C12~C16)酸の少なくとも1種のアルキル(C~C)エステルは、25℃で2重量%から20重量%のパラフィンワックス溶解能力を有する。
【選択図】なし
【特許請求の範囲】
【請求項1】
アルキル(C12~C16)酸の少なくとも1種のアルキル(C~C)エステルと;
少なくとも1種のアニオン性界面活性剤と;
少なくとも1種の非イオン性界面活性剤と
を含む、液体農業用アジュバントであって;
前記液体農業用アジュバントが、約100℃超の引火点を有し;
前記アルキル(C12~C16)酸の少なくとも1種のアルキル(C~C)エステルが、25℃で2から20重量%のパラフィンワックス溶解能力を有する、
液体農業用アジュバント。
【請求項2】
前記アルキル(C12~C16)酸の少なくとも1種のアルキル(C~C)エステルがそれぞれ、メチルエステル、エチルエステル、プロピルエステル、ブチルエステル、イソプロピルエステル、イソブチルエステル、イソペンチルエステル、2~エチルヘキシルエステル、およびそれらの組合せからなる群から選択されるアルキルエステル基を有する、請求項1に記載の液体農業用アジュバント。
【請求項3】
前記アルキル(C12~C16)酸の少なくとも1種のアルキル(C~C)エステルが、ラウリン酸、トリデシル酸、ミリスチン酸、ペンタデカン酸、パルミチン酸、およびそれらの組合せからなる群から選択されるアルキル酸に由来する、請求項2に記載の液体農業用アジュバント。
【請求項4】
前記アルキル(C12~C16)酸の少なくとも1種のアルキル(C~C)エステルが、ラウリン酸イソブチル、ラウリン酸イソペンチル、ラウリン酸メチル、ラウリン酸2~エチルヘキシル、パルミチン酸2~エチルヘキシル、ラウリン酸イソプロピル、ミリスチン酸イソプロピル、パルミチン酸イソプロピル、およびそれらの組合せからなる群から選択される、請求項3に記載の液体農業用アジュバント。
【請求項5】
前記少なくとも1種のアニオン性界面活性剤が、(C~C18)アルキルベンゼンスルホン酸塩、ドデシルベンゼンスルホン酸カルシウム、ドデシルベンゼンスルホン酸ナトリウム、アミン(C~C18)アルキルベンゼンスルホネート、トリエタノールアミンドデシルベンゼンスルホネート、(C~C18)アルキルエーテルスルフェート、(C~C18)アルキルエトキシル化エーテルスルフェート、(C~C18)アルキルスルフェート、ラウリルエーテルポリエトキシル化ナトリウムスルフェート、(C~C)アルキルホスフェートエステル、(C~C18)アルコキシル化スルフェート、(C~C18)アルコキシル化ホスフェートエステル、キシレンスルホネート塩、クメンスルホネート塩、およびそれらの組合せからなる群から選択される、請求項1に記載の液体農業用アジュバント。
【請求項6】
前記少なくとも1種の非イオン性界面活性剤が、(C~C22)アルコキシル化脂肪アルコール、(C~C22)エトキシル化脂肪アルコール、(C~C22)プロポキシル化脂肪アルコール、(C~C22)エトキシル化およびプロポキシル化脂肪アルコール、直鎖(C~C10)アルキル(ポリ)グリコシド、分岐鎖(C~C10)アルキル(ポリ)グリコシド;およびアルコキシル化ソルビタン脂肪エステル、アルコキシル化ソルビトール脂肪エステル、エトキシル化ソルビタン脂肪エステル、エトキシル化ソルビトール脂肪エステル、ポリオキシエチレンソルビタンモノラウレート、ポリオキシエチレンソルビタンモノパルミテート、ポリオキシエチレンソルビタンモノステアレート、ならびにそれらの組合せからなる群から選択される、請求項1に記載の液体農業用アジュバント。
【請求項7】
前記エトキシル化アルコールが、1から50のエトキシル化度を有する、請求項6に記載の液体農業用アジュバント。
【請求項8】
保存剤、透明化剤、凍結防止剤、ヒドロトロープ、安定剤、酸化防止剤、酸性化剤、キレート、錯化剤、染料、レオロジー調整剤、消泡剤、抗ドリフト剤および水、油または他の溶媒、ならびにそれらの組合せからなる群から選択される添加剤をさらに含む、請求項1に記載の液体農業用アジュバント。
【請求項9】
前記アルキル(C12~C16)酸の少なくとも1種のアルキル(C~C)エステルが約0.1重量%から約30重量%の量で存在し、前記少なくとも1種のアニオン性界面活性剤が約1重量%から約50重量%の量で存在し、前記少なくとも1種の非イオン性界面活性剤が約1重量%から約50重量%の量で存在する、請求項1に記載の液体農業用アジュバント。
【請求項10】
前記アルキル(C12~C16)酸の少なくとも1種のアルキル(C~C)エステルが約2重量%から約15重量%の量で存在し、前記少なくとも1種のアニオン性界面活性剤が約3重量%から約20重量%の量で存在し、前記少なくとも1種の非イオン性界面活性剤が約5重量%から約30重量%の量で存在する、請求項9に記載の液体農業用アジュバント。
【請求項11】
水および/または他の添加剤をさらに含み、約0.1重量%から20重量%の前記アルキル(C12~C16)酸の少なくとも1種のアルキル(C~C)エステルと;約1重量%から50重量%の前記少なくとも1種のアニオン性界面活性剤と、約1重量%から50重量%の前記少なくとも1種の非イオン性界面活性剤と、2重量%から80重量%の前記水および/または他の添加剤とを含む、請求項1に記載の液体農業用アジュバント。
【請求項12】
前記アルキル(C12~C16)酸の少なくとも1種のアルキル(C~C)エステルが約0.1重量%から約20重量%、好ましくは約2重量%から約15重量%の量で存在し;前記少なくとも1種のアニオン性界面活性剤が、約3重量%から約20重量%の量で存在し;前記少なくとも1種の非イオン性界面活性剤が、約5重量%から約30重量%の量で存在し、
前記アルキル(C12~C16)酸の少なくとも1種のアルキル(C~C)エステルが、ラウリン酸イソブチル、ラウリン酸イソペンチル、ラウリン酸メチル、ラウリン酸2~エチルヘキシル、パルミチン酸2~エチルヘキシル、ラウリン酸イソプロピル、ミリスチン酸イソプロピル、パルミチン酸イソプロピル、およびそれらの組合せからなる群から選択され;
前記少なくとも1種のアニオン性界面活性剤が、(C6~18)アルキルベンゼンスルホン酸塩、ドデシルベンゼンスルホン酸カルシウム、ドデシルベンゼンスルホン酸ナトリウム、アミン(C~C18)アルキルベンゼンスルホネート、トリエタノールアミンドデシルベンゼンスルホネート、(C~C18)アルキルエーテルスルフェート、(C~C18)アルキルエトキシル化エーテルスルフェート、(C~C18)アルキルスルフェート、ラウリルエーテルポリエトキシル化ナトリウムスルフェート、(C~C18)アルキルホスフェートエステル、(C~C18)アルコキシル化スルフェート、(C~C18)アルコキシル化ホスフェートエステル、キシレンスルホネート塩、クメンスルホネート塩、およびそれらの組合せからなる群から選択され;
前記少なくとも1種の非イオン性界面活性剤が、(C~C22)アルコキシル化脂肪アルコール、(C~C22)エトキシル化脂肪アルコール、(C~C22)プロポキシル化脂肪アルコール、(C~C22)エトキシル化およびプロポキシル化脂肪アルコール、直鎖(C~C10)アルキル(ポリ)グリコシド、分岐鎖(C~C10)アル
キル(ポリ)グリコシド;およびアルコキシル化ソルビタン脂肪エステル、アルコキシル化ソルビトール脂肪エステル、エトキシル化ソルビタン脂肪エステル、エトキシル化ソルビトール脂肪エステル、ポリオキシエチレンソルビタンモノラウレート、ポリオキシエチレンソルビタンモノパルミテート、ポリオキシエチレンソルビタンモノステアレート、およびそれらの組合せからなる群から選択される、
請求項1に記載の液体農業用アジュバント。
【請求項13】
水および/または他の添加剤をさらに含み、約0.1重量%から20重量%の前記アルキル(C12~C16)酸の少なくとも1種のアルキル(C~C)エステルと;約1重量%から50重量%の前記少なくとも1種のアニオン性界面活性剤と、約1重量%から50重量%の前記少なくとも1種の非イオン性界面活性剤と、2から80重量%の前記水または他の添加剤とを含む、請求項12に記載の液体農業用アジュバント。
【請求項14】
保存剤、透明化剤、凍結防止剤、ヒドロトロープ、安定剤、酸化防止剤、酸性化剤、キレート、錯化剤、染料、レオロジー調整剤、消泡剤、抗ドリフト剤および水、油または他の溶媒、ならびにそれらの組合せからなる群から選択される添加剤をさらに含む、請求項13に記載の液体農業用アジュバント。
【請求項15】
液体農業用アジュバントを希釈する方法であって、
請求項1または請求項13に従って調製されたアジュバント濃縮物を、1:5000から1:10の液体農業用アジュバント対水の重量比で水で希釈して、安定な希釈エマルジョンおよび/またはマイクロエマルジョンを生成するステップ
を含む、方法。
【請求項16】
前記水が、殺虫剤、殺真菌剤、除草剤、乾燥剤、枯葉剤、ダニ駆除剤、栄養素、殺ダニ剤、殺細菌剤、殺生物剤、殺卵剤、殺線虫剤、昆虫成長調節剤、植物成長調節剤、およびそれらの組合せからなる群から選択される少なくとも1種の農業用化合物をさらに含む、請求項15に記載の方法。
【請求項17】
前記液体農業用アジュバントが、混合タンク、噴霧タンク、容器、またはインライン灌水システムで希釈される、請求項16に記載の方法。
【請求項18】
前記安定な希釈エマルジョンおよび/またはマイクロエマルジョンが、植物、雑草、種子、土壌、都市空間および森林からなる群の少なくとも1つのメンバーに、空気補助噴霧器、従来の噴霧器、例えば空中散布、静電噴霧、フォガーおよびミスト噴霧機器のような超低容積機器、ケミゲーションシステム、ピボット、スプリンクラー、ならびにそれらの組合せを含む群から選択される装置により塗布される、請求項17に記載の方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
発明の分野
本開示は、アジュバントに関し、特に、本開示は、約100℃超の引火点を有する液体農業用アジュバントに関する。アジュバントは、アルキル(C12~C16)酸の少なくとも1種のアルキル(C~C)エステルと、アニオン性界面活性剤と、非イオン性界面活性剤とを含み、アルキル(C12~C16)酸の少なくとも1種のアルキル(C~C)エステルは、人間および/または動物への使用に安全である。
【背景技術】
【0002】
発明の背景
アジュバントは、農業において殺有害生物剤の性能を改善するために一般的に使用され、塗布中の殺有害生物活性または特性を改善するために噴霧タンクに添加され得る。噴霧アジュバントは、一般に次の2つの大まかなカテゴリに分類される:(i)発芽後性能を高め、活性を増加させ、植物組織内への吸収、耐雨性を補助するために一般的に使用され、また界面活性剤、油料作物濃縮物、窒素肥料、展着-固着剤、湿潤剤および浸透剤を含
み得る活性剤アジュバント;ならびに(ii)特定の配合物が使用される条件の範囲を広げ、さらに噴霧溶液の物理的特性を改変し、相溶化剤、緩衝剤、pH調整剤、消泡剤およびドリフト制御剤を含み得る水質調整アジュバント。
【0003】
殺虫剤、殺菌剤、殺ダニ剤、殺線虫剤、除草剤、植物成長調節剤、虫成長調節剤、および栄養素は通常、健康改善剤もしくは病気の防除剤として、または昆虫の防除剤として、または雑草の防除剤として等、作物に対する使用のために様々な種類の農業用組成物に配合される。農業用組成物は、水ベースまたは溶媒ベースを含む液体として、代替的には可溶性または不溶性粉末として、さらに代替的には顆粒および/または他の固体形態として配合され得る。殺有害生物組成物が混合物のタンクまたは浴中に分散、溶解または乳化し、塗布前および塗布時に持続的な安定性を提供することを確実にするために、充填剤、詰め物、溶媒および共溶媒、乳化剤、分散剤ならびに湿潤剤が通常そのような組成物に組み込まれる。それらはまた、殺有害生物農業用組成物が使用される際に最適な送達を確実にし、殺有害生物活性成分の有効性を改善するように機能する。界面活性剤およびアジュバントは、利用される場合、可溶性、揮発性、分散性、粘度、粒子サイズ、有効性、ならびに凍結点および引火点等の農業用組成物の多くの性質に影響し得る。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
殺有害生物農業用組成物にしばしば組み込まれる界面活性剤は、タンク混合物が複数の成分を含む場合、そのようなタンク混合物の安定性が完全に保証されるほど十分ではないことが知られている。したがって、より良好な安定性のためにタンク混合物にアジュバントを添加することが必要となり得る。ある特定のアジュバントは、農業用組成物のある特定の物理化学的性質を改善し得るが、それに伴って他の物理化学的性質を悪化させる場合がある。例えば、理論に制限されないが、可溶性の改善は、それに伴って揮発性の増加、粘度の低下、粒子サイズの増加、有効性の低下、凍結点の変化および/または引火点の低下をもたらし得る。一例において、引火点は一般に液体が空気中で前記液体の表面近くで発火性混合物を形成し得る最低温度として知られているため、引火点が低下した場合、得られる組成物は結果的に使用時のリスクの増加をもたらす。引火点が低いほど、混合物および/または表面がより容易に発火し得る。さらに、引火点が低いほど蒸発速度がより速く、これは一方で農業用組成物が使用される際の効率を低下させる。
【0005】
界面活性剤は、殺有害生物剤と共に利用されるアジュバントまたは共配合物において重要であり、広く使用されている。タンク混合物への界面活性剤ベースアジュバントの添加は、殺有害生物農業用組成物の安定化を提供することが広く知られている。
【0006】
界面活性剤および油をベースとしたアジュバントはまた、水または他の溶媒媒体に溶解、乳化または分散した化学物質の性能を改善することが知られている。環境に優しいと同時に、使用時に低い引火点および/または低い蒸発速度を提供する、農業用組成物への新たな革新的アジュバントが必要とされている。さらに、先行技術において知られている欠点を少なくとも改善することが一般に必要である。
【課題を解決するための手段】
【0007】
発明の概要
本開示の第1の態様によれば、
アルキル(C12~C16)酸の少なくとも1種のアルキル(C~C)エステルと;少なくとも1種のアニオン性界面活性剤と;
少なくとも1種の非イオン性界面活性剤と
を含む、液体農業用アジュバントであって、
液体農業用アジュバントが、約100℃超の引火点を有し;
アルキル(C12~C16)酸の少なくとも1種のアルキル(C~C)エステルが、25℃で約2重量%から約20重量%のパラフィンワックス溶解能力を有する、
液体農業用アジュバントが提供される。
【0008】
液体農業用アジュバントは、水および/または他の溶媒で希釈され得る濃縮形態で提供されてもよいことが理解されるべきである。濃縮物は、乳化性および/またはマイクロエマルジョン化濃縮物として配合されてもよい。
【0009】
「マイクロエマルジョン化」という用語は、本明細書で使用される場合、等方性および熱力学的に安定な系である水および/または油および/または界面活性剤で作製された分散体を指す。アジュバントは、使用のために、水または他の化学物質、例えば、水、グリコールおよびアルコールまたは他の水混和性液体、例えばメタノール、エタノール、モノエチレングリコール、プロピレングリコール等の溶液に希釈され得る。
【0010】
アルキル(C12~C16)酸の少なくとも1種のアルキル(C~C)エステルは、これらに限定されないが、天然または合成、直鎖または分岐状、飽和または不飽和、修飾または非修飾を含む群から選択され得、アルキルエステルは、これらに限定されないが、メチルエステル、エチルエステル、プロピルエステル、ブチルエステル、イソプロピルエステル、イソブチルエステル、イソペンチルエステル、2-エチルヘキシルエステル、
またはそれらの構成成分もしくは組合せの群から選択される化合物であってもよい。
【0011】
アルキル(C12~C16)酸の少なくとも1種のアルキル(C~C)エステルは、これらに限定されないが、ラウリン酸、トリデシル酸、ミリスチン酸、ペンタデカン酸、パルミチン酸、およびそれらの組合せを含む群から選択されるアルキル酸から誘導され得る。
【0012】
アルキル(C12~C16)酸の少なくとも1種のアルキル(C~C)エステルは、これらに限定されないが、ラウリン酸イソブチル、ラウリン酸イソペンチル、ラウリン酸メチル、ラウリン酸2-エチルヘキシル、パルミチン酸2-エチルヘキシル、ラウリン酸イソプロピル、ミリスチン酸イソプロピル、パルミチン酸イソプロピル、およびそれらの組合せを含む群から選択され得る。
【0013】
少なくとも1種のアニオン性界面活性剤は、これらに限定されないが、(C~C18)アルキルベンゼンスルホン酸塩、ドデシルベンゼンスルホン酸カルシウム、ドデシルベンゼンスルホン酸ナトリウム、アミン(C~C18)アルキルベンゼンスルホネート、トリエタノールアミンドデシルベンゼンスルホネート、(C~C18)アルキルエーテルスルフェート、(C~C18)アルキルエトキシル化エーテルスルフェート、(C~C18)アルキルスルフェート、ラウリルエーテルポリエトキシル化ナトリウムスルフェート、(C~C18)アルキルホスフェートエステル、(C~C18)アルコキシル化スルフェート、(C~C18)アルコキシル化ホスフェートエステル、キシレンスルホネート塩、クメンスルホネート塩、およびそれらの組合せを含む群から選択され得る。
【0014】
少なくとも1種の非イオン性界面活性剤は、これらに限定されないが、天然および/または合成(C~C22)アルコキシル化脂肪アルコール、(C~C22)エトキシル化脂肪アルコール、(C~C22)プロポキシル化脂肪アルコール、(C~C22)エトキシル化およびプロポキシル化脂肪アルコール、直鎖(C~C10)アルキル(ポリ)グリコシド、分岐鎖(C~C10)アルキル(ポリ)グリコシド;およびアルコキシル化ソルビタン脂肪エステル、アルコキシル化ソルビトール脂肪エステル、エトキシル化ソルビタン脂肪エステル、エトキシル化ソルビトール脂肪エステル、ポリオキシエチレンソルビタンモノラウレート、ポリオキシエチレンソルビタンモノパルミテート、ポリオキシエチレンソルビタンモノステアレート、およびそれらの組合せを含む群から選択され得る。
【0015】
脂肪酸のエトキシル化脂肪アルコールは、1から50、より好ましくは2から30、最も好ましくは3から10のエトキシル化度を有し得る。
【0016】
使用に企図されるいくつかのアルコキシル化アルコールは、分岐状アルコール、例えばGuerbetアルコール、例えば2-プロピルヘプタノールおよび2-エチルヘキサノール、ならびにC10-オキソ-アルコールまたはC13オキソ-アルコール、すなわち主成
分が少なくとも1種の分岐状C10-アルコールまたはC13-アルコールにより形成されたアルコール混合物、ならびにExxon Mobile ChemicalsからExxalアルコールとして、およびShell ChemicalsからNeodol アルコールとして市販されているアルコールをベースとしたものを含む。
【0017】
液体農業用アジュバントは、これらに限定されないが、保存剤、透明化剤、凍結防止剤、ヒドロトロープ、安定剤、酸化防止剤、酸性化剤、キレート、錯化剤、染料、レオロジー調整剤、消泡剤、抗ドリフト剤および水、油、または他の溶媒、ならびにそれらの組合せを含む群から選択される添加剤をさらに含んでもよい。酸性化剤は、クエン酸および/またはクエン酸の誘導体であってもよい。
【0018】
本開示のある特定の実施形態において、アルキル(C12~C16)酸の少なくとも1種のアルキル(C~C)エステルは、約0.1重量%から約30重量%の量で存在してもよく、少なくとも1種のアニオン性界面活性剤は、約1重量%から約50重量%の量で存在してもよく、少なくとも1種の非イオン性界面活性剤は、約1重量%から約50重量%の量で存在してもよい。この実施形態は、濃縮物形態の液体農業用アジュバントを提供し得る。液体農業用アジュバントは、さらに水または他の溶媒で希釈され得ることが理解されるべきである。
【0019】
本開示の他の実施形態において、アルキル(C12~C16)酸の少なくとも1種のアルキル(C~C)エステルは、約0.1重量%から約20重量%、好ましくは約2重量%から約15重量%の量で存在してもよく、少なくとも1種のアニオン性界面活性剤は
、約3重量%から約20重量%の量で存在してもよく、少なくとも1種の非イオン性界面活性剤は、約5重量%から約30重量%の量で存在する。この実施形態は、濃縮物形態の液体農業用アジュバントを提供し得る。液体農業用アジュバントは、さらに水または他の溶媒で希釈され得ることが理解されるべきである。
【0020】
液体農業用アジュバントは、典型的には液体農業用アジュバントが、約0.1から約20重量%のアルキル(C12~C16)酸の少なくとも1種のアルキル(C~C)エステルと;約1~約50重量%の少なくとも1種のアニオン性界面活性剤と、約1から約50重量%の少なくとも1種の非イオン性界面活性剤と、約2から約80重量%の水および/または他の添加剤とを含むように、水および/または他の添加剤をさらに含んでもよい。この実施形態は、それでも濃縮物形態の液体農業用アジュバントを提供し得る。
【0021】
本開示の例示的実施形態において、約0.1重量%から約30重量%、好ましくは約2重量%から約15重量%の量で存在するアルキル(C12~C16)酸の少なくとも1種のアルキル(C~C)エステルと;約3重量%から約20重量%の量で存在する少なくとも1種のアニオン性界面活性剤と;約5重量%から約30重量%の量で存在する少なくとも1種の非イオン性界面活性剤とを含む、液体農業用アジュバントが提供され;
アルキル(C12~C16)酸の少なくとも1種のアルキル(C~C)エステルは、これらに限定されないが、ラウリン酸イソブチル、ラウリン酸イソペンチル、ラウリン酸メチル、ラウリン酸2-エチルヘキシル、パルミチン酸2-エチルヘキシル、ラウリン酸イソプロピル、ミリスチン酸イソプロピル、パルミチン酸イソプロピル、およびそれらの組合せを含む群から選択され;
少なくとも1種のアニオン性界面活性剤は、これらに限定されないが、(C~C18)アルキルベンゼンスルホン酸塩、ドデシルベンゼンスルホン酸カルシウム、ドデシルベンゼンスルホン酸ナトリウム、アミン(C~C18)アルキルベンゼンスルホネート、トリエタノールアミンドデシルベンゼンスルホネート、(C~C18)アルキルエーテルスルフェート、(C~C18)アルキルエトキシル化エーテルスルフェート、(C~C18)アルキルスルフェート、ラウリルエーテルポリエトキシル化ナトリウムスルフェート、(C~C18)アルキルホスフェートエステル、(C~C18)アルコキシル化スルフェート、(C~C18)アルコキシル化ホスフェートエステル、キシレンスルホネート塩、クメンスルホネート塩、およびそれらの組合せを含む群から選択され;
少なくとも1種の非イオン性界面活性剤は、これらに限定されないが、(C~C22)アルコキシル化脂肪アルコール、(C~C22)エトキシル化脂肪アルコール、(C~C22)プロポキシル化脂肪アルコール、(C~C22)エトキシル化およびプロポキシル化脂肪アルコール、直鎖(C~C10)アルキル(ポリ)グリコシド、分岐鎖(C~C10)アルキル(ポリ)グリコシド;およびアルコキシル化ソルビタン脂肪エステル、アルコキシル化ソルビトール脂肪エステル、エトキシル化ソルビタン脂肪エステル、エトキシル化ソルビトール脂肪エステル、ポリオキシエチレンソルビタンモノラウレート、ポリオキシエチレンソルビタンモノパルミテート、ポリオキシエチレンソルビタンモノステアレート、ならびにそれらの組合せを含む群から選択される。
【0022】
本開示の例示的実施形態は、希釈剤としての水および/または他の添加剤をさらに含んでもよく、液体農業用アジュバントが約0.1重量%から約20重量%のアルキル(C12~C16)酸の少なくとも1種のアルキル(C~C)エステルと;約1重量%から約50重量%の少なくとも1種のアニオン性界面活性剤と、約1重量%から約50重量%の少なくとも1種の非イオン性界面活性剤と、約2重量%から約80重量%の水および/または他の添加剤とを含む。この実施形態は、それでも濃縮物形態の液体農業用アジュバントを提供し得る。
【0023】
添加剤は、これらに限定されないが、保存剤、透明化剤、凍結防止剤、ヒドロトロープ
、安定剤、酸化防止剤、酸性化剤、キレート、錯化剤、染料、レオロジー調整剤、消泡剤、抗ドリフト剤および水、油または他の溶媒、ならびにそれらの組合せを含む群から選択される少なくとも1種であってもよい。酸性化剤は、クエン酸および/またはその誘導体であってもよい。
【0024】
油は、アルキル脂肪酸エステル、例えばメチルエステル、エチルエステル、プロピルエステル、ブチルエステル、2-エチルヘキシルエステルまたはドデシルエステル等のエス
テル化またはエステル交換により修飾された天然化合物であってもよく、好ましくはグリコールまたはグリセロール脂肪酸、例えば(C10~C22)脂肪酸エステル、例えば植物油、好ましくは油生成植物種、例えば中でも純粋な、または1種もしくは複数種の油と組み合わされた、様々な植物もしくは植物の部分、例えば木、低木、葉、花、草、流体、草本、果実および種子から抽出された精油もしくは食用油と混合された、または互いに混合された大豆、トウモロコシ、ヒマワリ、菜種油、綿実油、亜麻仁油、パーム油、ベニバナ、ココナツ油、ヒマシ油、オリーブ油、キャノーラ油からのものである。
【0025】
さらなる実施形態において、油は、天然化合物、例えば精油、柑橘油、柑橘油の成分、テルペン油(テルペン油はD-リモネンを含む)または1種もしくは複数種のテルペン含
有天然油(1種もしくは複数種のテルペン含有天然油は、少なくとも50%のテルペンを含み、純粋な、他の油と組み合わされた、もしくは組合せとしてのオレンジ油、グレープフルーツ油、レモン油、ライム油、タンジェリン油、パイン油からなる群から選択される)であってもよい。
【0026】
液体農業用アジュバント(濃縮物形態)は、クローズドカップデバイスで測定される100℃超の引火点を有してもよく、アルキル(C12~C16)酸の少なくとも1種のアルキル(C~C)エステルは、25℃で少なくとも2重量%のパラフィンワックス(CAS番号8002-74-2)溶解能力を有してもよく、乳化性および/またはマイクロエマルジョン化液体アジュバントは、1:5000から1:10の割合で水および/または他の化学物質と混合されたタンク混合物または灌水システムで塗布される希釈液体農業用アジュバントを提供するように希釈され、空気補助噴霧器、従来の噴霧器、例えば空中散布、静電噴霧、フォガーおよびミスト噴霧機器のような超低容積機器、ならびにピボットおよびスプリンクラー等のケミゲーションシステムにより塗布され得る。
【0027】
本開示の第1の態様による液体農業用アジュバントは、高い引火点(約100℃超)、ならびに工業、芝地、装飾品、園芸および農業の努力傾注分野での使用のための生物有効性を促進するエピクチクラワックス適合性を有する、安定な乳化性および/またはマイクロエマルジョン化液体安全アジュバント濃縮物を提供する。液体農業用アジュバントは、標的作物または有害生物のエピクチクラを通した活性成分(栄養素、殺有害生物剤等)の浸透の改善を提供する。
【0028】
本開示の第2の態様によれば、液体農業用アジュバントを希釈する方法であって、
上記の本開示の第1の態様に記載のように調製されたアジュバント濃縮物を、1:5000から1:10の液体農業用アジュバント対水の重量比で水で希釈して、安定な希釈エマルジョンおよび/またはマイクロエマルジョンを生成するステップを含む、方法が提供される。水は、これらに限定されないが、殺虫剤、殺真菌剤、除草剤、乾燥剤、枯葉剤、ダニ駆除剤、栄養素、殺ダニ剤、殺細菌剤、殺生物剤、殺卵剤、殺線虫剤、昆虫成長調節剤、植物成長調節剤およびそれらの組合せを含む群から選択される少なくとも1種の農業用化合物をさらに含んでもよいことが理解されるべきである。
【0029】
液体農業用アジュバントが、これらに限定されないが、混合タンク、噴霧タンク、容器、またはインライン灌水システムの群の少なくとも1つで希釈され、例えばアジュバント
のワックス溶解能力による、植物内への加速された取込みによって耐雨性を促進する安定な希釈エマルジョンまたはマイクロエマルジョンであってもよい希釈液体農業用アジュバントを提供し得る、方法。
【0030】
安定な希釈エマルジョンおよび/またはマイクロエマルジョンが、これらに限定されないが植物、雑草、種子、土壌、都市空間および森林を含む群の少なくとも1つのメンバーに、これらに限定されないが空気補助噴霧器、従来の噴霧器、例えば空中散布、静電噴霧、フォガーおよびミスト噴霧機器等の超低容積機器、ケミゲーションシステム、ピボット、スプリンクラー、ならびにそれらの組合せを含む群から選択される装置により塗布され得る方法。本開示は、液体農業用アジュバントの使用にも及ぶ。
【発明を実施するための形態】
【0031】
詳細な説明
開示の概要の内容は、本明細書において反復を避けるために参照目的で繰り返される。概して、生物有効性を促進し、標的作物または有害生物のエピクチクラを通した活性成分(栄養素、殺有害生物剤等)の浸透の改善を提供するエピクチクラワックス適合性を有する、100℃超の高い引火点を有する安定な乳化性および/またはマイクロエマルジョン化液体アジュバントが提供される。
【0032】
概して、本開示の第1の態様は、アルキル(C12~C16)酸の少なくとも1種のアルキル(C~C)エステルと;少なくとも1種のアニオン性界面活性剤と;少なくとも1種の非イオン性界面活性剤とを含む液体農業用アジュバントを提供する。液体農業用アジュバントは、約100℃超の引火点を有し、アルキル(C12~C16)酸の少なくとも1種のアルキル(C~C)エステルは、25℃で2重量%から20重量%のパラフィンワックス(CAS番号8002-74-2)溶解能力を有する。
【0033】
本開示は、第1の態様による液体農業用アジュバントを製造する方法、および典型的には農業の努力傾注分野における、使用方法に及ぶ。
【0034】
定義
「アジュバント」という用語は、本明細書で使用される場合、広義の用語であり、当業者には通常の慣例的な意味が付与され(また特殊または特別な意味に限定されない)、限定されることなく、他の薬剤の効果を調整し、より具体的には、殺有害生物剤、例えば除草剤、殺虫剤、殺菌剤および他の薬剤の有効性を高めるために使用される薬剤を指す。
【0035】
「安定」という用語は、本明細書で使用される場合、「エマルジョン」という用語と組み合わされる、またはそれに関連する広義の用語であり、当業者には通常の慣例的な意味が付与され(また特殊または特別な意味に限定されない)、限定されることなく、エマルジョン安定性を指し、すなわちエマルジョン中の液滴のサイズが経時的に、より具体的には水と混合された標的に塗布される期間に大幅に変化しないような、その性質の経時的な変化に抵抗するエマルジョンの能力を指し、したがってこれには当業者には慣例的な通常の意味が付与される。「安定」という用語は、本明細書で使用される場合、「加速貯蔵安定性」という用語と組み合わされる、またはそれに関連する広義の用語であり、試料が室温(約20℃)、低温(0℃または5℃)、高温(54℃)の少なくとも3つの条件で15日間貯蔵された後に、配合物が物理化学的性質に関して同様の性能を維持することを意味する。貯蔵安定性試験は、CIPAC MT 36法に従って行われた。
【0036】
「溶媒」という用語は、本明細書で使用される場合、広義の用語であり、当業者には通常の慣例的な意味が付与され(また特殊または特別な意味に限定されない)、限定されることなく、極性または非極性、直鎖または分岐状、環状または脂肪族、芳香族、ナフテン
系であってもよく、また中でもアルコール、エステル、ジエステル、ケトン、アセテート、テルペン、スルホキシド、グリコール、パラフィン、炭化水素、無水物、ヘテロ環式を含むがこれらに限定されない他の化合物または手段に対する溶解性のいくつかの特徴を有する化合物を指す。
【0037】
基が「任意選択で置換された」と説明されている場合、その基は、置換されていなくてもよく、または示された置換基の1つもしくは複数で置換されていてもよい。同様に、基が「置換されていない、または置換された」と説明され、置換されている場合には、置換基は1種または複数種の示された置換基から選択され得る。置換基が示されていない場合、示された「任意選択で置換された」または「置換された」基は、アルキル、アルケニル、アルキニル、シクロアルキル、シクロアルケニル、シクロアルキニル、アリール、ヘテロアリール、ヘテロアリシクリル、アラルキル、ヘテロアラルキル、(ヘテロアリシクリル)アルキル、ヒドロキシ、保護ヒドロキシル、アルコキシ、アリールオキシ、アシル、メルカプト、アルキルチオ、アリールチオ、シアノ、ハロゲン、チオカルボニル、O-カ
ルバミル、N-カルバミル、O-チオカルバミル、N-チオカルバミル、C-アミド、N-ア
ミド、S-スルホンアミド、N-スルホンアミド、C-カルボキシ、保護C-カルボキシ、O-カルボキシ、イソシアナト、チオシアナト、イソチオシアナト、ニトロ、シリル、スル
フェニル、スルフィニル、スルホニル、ハロアルキル、ハロアルコキシ、トリハロメタンスルホニル、トリハロメタンスルホンアミド、アミノ、一置換アミノおよび二置換アミノ基、ならびにそれらの保護誘導体から個々に独立して選択される1つまたは複数の基で置換されていてもよいことを意味している。
【0038】
「アルキル」という用語は、本明細書で使用される場合、広義の用語であり、当業者には通常の慣例的な意味が付与され(また特殊または特別な意味に限定されない)、限定されることなく、1個、2個、3個、4個、5個、6個、7個、8個、9個、10個、11個、12個、13個、14個、15個、16個、17個、18個、19個、20個、21個、22個、23個、24個、25個、26個、27個、28個、29,30個、31個、32個、33個、34個、35個、36個またはそれより多くの炭素原子を含む、直鎖または分岐状、非環式または環式、不飽和または飽和脂肪族炭化水素を指し、「低級アルキル」という用語は、アルキルと同じ意味を有するが、1個、2個、3個、4個、5個または6個の炭素原子を含む。代表的な飽和直鎖アルキルは、メチル、エチル、n-プロピ
ル、n-ブチル、n-ペンチル、n-ヘキシル等を含み、一方飽和分岐状アルキルは、イソ
プロピル、sec-ブチル、イソブチル、tert-ブチル、イソペンチル等を含む。不飽和アルキルは、隣接炭素原子間に少なくとも1つの二重または三重結合を含む(それぞれ「アルケニル」または「アルキニル」と呼ばれる)。代表的な直鎖および分岐状アルケニルは、エチレニル、プロピレニル、1-ブテニル、2-ブテニル、イソブチレニル、1-ペ
ンテニル、2-ペンテニル、3-メチル-1-ブテニル、2-メチル-2-ブテニル、2,3-ジメチル-2-ブテニル等を含み、一方代表的な直鎖および分岐状アルキニルは、アセチレニル、プロピニル、1-ブチニル、2-ブチニル、1-ペンチニル、2-ペンチニル、3-メチ
ル-1ブチニル等を含む。典型的なアルキル基は、メチル、エチル、プロピル、イソプロ
ピル、ブチル、イソブチル、tert-ブチル、ペンチル、ヘキシル、ヘプチル、オクチ
ル、ノニル、デシル、ウンデシル、ドデシル、トリデシル、テトラデシル、ペンタデシル、ヘキサデシル、ヘプタデシル、オクタデシル、ノナデシル、エイコシル、ヘンエイコシル、ドコシル、トリコシル、テトラコシル、ペンタコシル、ヘキサコシル、ヘプタコシル、オクタコシル、ノナコシル、トリアコンチル、ヘナトリアコンチル、ドトリアコンチル、トリトリアコンチル、テトラトリアコンチル、ペンタトリアコンタニル、およびヘキサトリアコンタンを含むが、これらに限定されない。アルキル基は、置換されていてもよく、または置換されていなくてもよい。
【0039】
「アルコキシ」という用語は、本明細書で使用される場合、広義の用語であり、当業者
には通常の慣例的な意味が付与され(また特殊または特別な意味に限定されない)、限定されることなく、酸素架橋(すなわち-O-アルキル)を介して結合したアルキル部分、例えばメトキシ、エトキシ等を指す。
【0040】
「チオアルキル」という用語は、本明細書で使用される場合、広義の用語であり、当業者には通常の慣例的な意味が付与され(また特殊または特別な意味に限定されない)、限定されることなく、硫黄架橋(すなわち-S-アルキル)を介して結合したアルキル部分、例えばメチルチオ、エチルチオ等を指す。
【0041】
「アルコール」という用語は、本明細書で使用される場合、広義の用語であり、当業者には通常の慣例的な意味が付与され(また特殊または特別な意味に限定されない)、限定されることなく、1つもしくは複数のヒドロキシ基を組み込んだ、または1つもしくは複数のヒドロキシ基で置換もしくはそれを含むように官能化された本明細書に記載の任意の化合物を指す。
【0042】
「エステル」という用語は、本明細書で使用される場合、広義の用語であり、当業者には通常の慣例的な意味が付与され(また特殊または特別な意味に限定されない)、限定されることなく、モノエステル、ジエステル、トリエステルもしくはポリエステル等の1つもしくは複数のエステル基を組み込んだ、または1つもしくは複数のエステル基で置換もしくはそれを含むように官能化された本明細書に記載の任意の化合物を指す。エステルは、これに限定されないが、脂肪酸エステルを含む。
【0043】
「アセテート」という用語は、本明細書で使用される場合、広義の用語であり、当業者には通常の慣例的な意味が付与され(また特殊または特別な意味に限定されない)、限定されることなく、1つまたは複数のアセテート基を組み込んだ本明細書に記載の任意の化合物、例えばCHCOO-部分を組み込んだ塩、エステルまたは他の化合物を指す。
【0044】
「テルペン」という用語は、本明細書で使用される場合、広義の用語であり、当業者には通常の慣例的な意味が付与され(また特殊または特別な意味に限定されない)、限定されることなく、針葉樹等の植物の樹脂から誘導される任意の化合物、または植物誘導性テルペンと同じ構造を有する合成的に生成された化合物を指す。テルペンは、追加の官能基を含む炭化水素およびテルペノイド、ならびに精油を含み得る。テルペンは、式(C(式中、nは、連結イソプレン単位の数(例えば1個、2個、3個、4個、5個、6個、7個、8個、9個、10個、またはそれより多い)である)を有する化合物を含み得る。
【0045】
「テルペン含有天然油」という用語は、本明細書で使用される場合、広義の用語であり、当業者には通常の慣例的な意味が付与され(また特殊または特別な意味に限定されない)、限定されることなく、オレンジ油、グレープフルーツ油、レモン油、ライム油、タンジェリン油およびパイン油、またはそれらの成分からなる群から選択されるがこれらだけではない、少なくとも50%のテルペンを含んでもよい天然油を指す。
【0046】
「スルホキシド」という用語は、本明細書で使用される場合、広義の用語であり、当業者には通常の慣例的な意味が付与され(また特殊または特別な意味に限定されない)、限定されることなく、1つもしくは複数のスルフィニル(SO)基を組み込んだ、または1つもしくは複数のスルフィニル基で置換もしくはそれを含むように官能化された本明細書に記載の任意の化合物を指す。
【0047】
「グリコール」という用語は、本明細書で使用される場合、広義の用語であり、当業者には通常の慣例的な意味が付与され(また特殊または特別な意味に限定されない)、ジオ
ール、例えばポリアルキレングリコール、例えばポリエチレングリコール(式H(OCHCHOH(式中、nは3より大きい)を有するポリマー)、ポリプロピレングリコール、またはより長い炭化水素鎖を含むモノマーを組み込んだグリコールを含み得る。
【0048】
「パラフィン」という用語は、本明細書で使用される場合、広義の用語であり、当業者には通常の慣例的な意味が付与され(また特殊または特別な意味に限定されない)、限定されることなく、より重質のアルカン、例えば室温で液体またはワックスを形成するアルカン、および官能化パラフィン、例えば塩素化パラフィン、ならびに炭化水素を含む鉱物油または合成油を指す。室温とは、本明細書で使用される場合、例えば温度と湿度が調節された建物内での周囲条件、例えばおよそ20℃を指す。
【0049】
「炭化水素」という用語は、本明細書で使用される場合、広義の用語であり、当業者には通常の慣例的な意味が付与され(また特殊または特別な意味に限定されない)、限定されることなく、炭素原子および水素原子のみを含む任意の化合物を指す。官能化または置換炭化水素は、本明細書の別の箇所に記載の1つまたは複数の置換基を有する。
【0050】
「無水物」という用語は、本明細書で使用される場合、広義の用語であり、当業者には通常の慣例的な意味が付与され(また特殊または特別な意味に限定されない)、限定されることなく、1つもしくは複数の(式(RC(O))Oの)無水物基を組み込んだ、または1つもしくは複数の無水物基で置換もしくはそれを含むように官能化された本明細書に記載の任意の化合物を指す。
【0051】
「スルホン酸」という用語は、本明細書で使用される場合、広義の用語であり、当業者には通常の慣例的な意味が付与され(また特殊または特別な意味に限定されない)、限定されることなく、例えばギ酸、酢酸、コハク酸、乳酸、リンゴ酸、酒石酸、クエン酸、アスコルビン酸、ニコチン酸、メタンスルホン酸、エタンスルホン酸、p-トルエンスルホ
ン酸、サリチル酸またはナフタレンスルホン酸を指す。スルホン酸は、ヒドロカルビルスルホン酸、例えば中でもアリールスルホン酸、アルキルベンゼンスルホン酸を含み得る。
【0052】
「植物油」という用語は、本明細書で使用される場合、広義の用語であり、当業者には通常の慣例的な意味が付与され(また特殊または特別な意味に限定されない)、限定されることなく、植物性物質の油性脂肪酸構成成分、例えば飽和脂肪酸、一価不飽和脂肪酸、多価不飽和脂肪酸等を指す。植物油は、官能化、例えばアルコキシル化、ヒドロキシル化、アミン化等がなされていてもよい。官能化植物油は、植物油または他の脂肪性物質の誘導体、または物質の起源とは無関係の同様の組成を有する物質である。いくつかの実施形態において、官能化植物油は、エポキシ化不飽和トリグリセリドである。エポキシ化不飽和トリグリセリドは、グリセリンのトリ-エステルである。グリセリンは、3つの直鎖ま
たは分岐状カルボン酸に結合し、カルボン酸の少なくとも1つはエポキシド部分を含む。例えば、エポキシ化不飽和トリグリセリドは、植物または動物脂肪または油等の不飽和脂肪酸トリグリセリドの誘導体であってもよく、親不飽和脂肪酸トリグリセリドのC=C部分の少なくとも1つがエポキシド部分(すなわち酸素を含む三員環)で置き換えられている。親不飽和脂肪酸トリグリセリドが2つ以上のC=C部分を有する場合、C=C部分の1つ、一部または全てがエポキシド部分で置き換えられていてもよい。本明細書において「植物油」という用語が使用される場合、植物油と同じ化学構造を有する動物脂肪、または合成起源の油が含まれることが理解される。植物または動物脂肪または油の例は、ココナツ油、トウモロコシ油、綿実油、オリーブ油、パーム油、落花生油、菜種油、キャノーラ油、ベニバナ油、ゴマ油、大豆油、ヒマワリ油、ヒマシ油、タロウ油等を含む。
【0053】
本明細書で使用される場合、任意の化合物の略語は、別段に指定されない限り、その一般的な用法、認識されている略語、またはIUPAC-IUB生化学命名委員会に従う(
Biochem. 11:942-944(1972)を参照されたい)。
【0054】
本明細書において言及されるパーセンテージ、比率またはその他の量はいずれも、別段に指定されない限り重量基準である。
【0055】
本明細書において言及される環系は、分離した単環式部分だけでなく、縮合環、架橋環、およびスピロ環部分を含む。
【実施例0056】
実施例
以下の例は、本開示を限定するものとみなされるべきではない。本明細書の上記の開示の概要および詳細な説明においてなされた広範な開示は、参照目的で繰り返される。
【0057】
ワックス溶解度試験
パラフィンワックス溶解度試験の準備方法
パラフィンワックスを溶解する溶媒の能力を評価するための方法を開発したが、これは、ある特定の溶媒が植物のエピクチクラ表面に塗布された場合にどのような性能を示すかを理解するのに役立つ。
【0058】
パラフィンワックス溶解度試験を準備するための方法は、溶媒が少なくとも24時間の期間中にパラフィンワックス(CAS番号8002-74-2)を溶解する速度を定義する。試験を行うためのステップは以下の通りである:a)98グラムの溶媒を8ozのガラス瓶に量り取る;b)溶媒を入れた瓶を実験室用天秤に置き、重量をゼロに補正する;c)2グラムの溶融(110°Fまたは43.3℃)パラフィンワックスを溶媒に添加し、その中に1インチの磁気撹拌棒を入れて蓋をする;d)溶媒およびパラフィンワックス試料を含む瓶を磁気撹拌プレートに置き、350rpmで撹拌を開始する-各試料に対して
時計カウンタを開始する;e)パラフィンワックスの全量が溶解したかどうかを観察し、溶解したら時間を記録する。
【0059】
【表1】
【0060】
本開示による生成物の例
アジュバント濃縮物の調製方法
例示を目的として、限定されない例において使用される液体農業用アジュバント(濃縮物形態)を調製するための方法は、(i)水および/または油の一部と共に槽内で混合するステップと、(ii)少なくとも1種のアニオン性界面活性剤、例えばラウリルエーテル硫酸ナトリウムを添加するステップと、(iii)少なくとも1種の非イオン性界面活性剤、例えばエトキシル化脂肪アルコールを添加するステップと、(iv)アルキル(C12~C16)酸のアルキル(C~C)エステルの群からの少なくとも1種の溶媒、例えばミリスチン酸イソプロピルおよび/またはラウリン酸イソプロピルを添加するステップとを含む。方法は、任意選択で、(v)少なくとも1種の添加剤、例えばこれらに限
定されないが保存剤および/または着色剤を添加する追加的なさらなるステップを含んでもよい。典型的には、上記ステップは、ステップ(i)からステップ(iv)、およびさらなる任意選択のステップ(v)の順番で行われる。混合物は継続的に撹拌される。加熱は必ずしも必要ではないが、各化合物の物理状態に応じて有利に使用され得る。ある特定の成分に対してより低い温度またはより高い温度が使用されてもよい。温度は、成分の分解または望ましくない反応を回避しながら所望の期間内に混合を促進するように選択され得る。特定の目的のために、他の添加剤、例えばこれらに限定されないが透明化剤、消泡剤、凍結防止剤、ヒドロトロープ、酸性化剤、UV安定剤、着色剤、栄養素、アミノ酸、海洋抽出物、抗ドリフト剤、凍結防止剤、および水、油、または他の溶媒ならびにそれらの組合せ等もまた添加され得る。
【0061】
農業用アジュバント組成物は、様々な比率の成分、典型的にはその濃縮液体形態のアジュバントを含み得、約1から約30%のアルキル(C12~C16)酸の少なくとも1種のアルキル(C~C)エステルと;約1から約30重量%の少なくとも1種のアニオン性界面活性剤と;約1から約40重量%の1種または複数種の非イオン性界面活性剤と;約2から約80%の水、油または他の添加剤とを含む。
【0062】
より具体的には、その濃縮液体形態の農業用アジュバント組成物は、1から30重量%、好ましくは3から12重量%のアルキル(C12~C16)酸の少なくとも1種のアルキル(C~C)エステルと;1から30重量%、好ましくは3から20重量%を構成する少なくとも1種のアニオン性界面活性剤と;1から40重量%、好ましくは5から30重量%の少なくとも1種の非イオン性界面活性剤とを含み;水、油または他の添加剤は、20から70重量%、好ましくは30から65重量%である。換言すれば、農業用アジュバント組成物は、100gの重量を有する場合、1から30g、好ましくは3から12gのアルキル(C12~C16)酸の少なくとも1種のアルキル(C~C)エステルと;1から30g、好ましくは3から20gの少なくとも1種のアニオン性界面活性剤と;1から40g、好ましくは5から30gの少なくとも1種の非イオン性界面活性剤とを含み;水、油または他の添加剤は、20から70g、好ましくは30から65gである。本明細書において言及されるいかなるパーセンテージ、比率またはその他の量も、別段に指定されない限りグラムでの重量基準である。
【0063】
アジュバントの調製
濃縮物形態の4種の異なる農業用アジュバント組成物を、本開示の実施形態のいくつかに従って調製した。高い引火点およびエピクチクラワックス適合性を有する濃縮物アジュバントは、ORO-009-K、ORO-009-T、ORO-079-FBおよびORO-3
40により示される。特定の実施形態の詳細を、表2に示す。大豆メチルエステル-油;
冷圧搾オレンジ油-油;ポリオキシエチレンソルビタンモノラウレート-アニオン性界面活性剤;アルコールエトキシル化POE-6-非イオン性界面活性剤;ドデシルベンゼンスルホン酸トリエタノールアミン-アニオン性界面活性剤;ドデシルベンゼンスルホン酸カル
シウム-アニオン性界面活性剤;ドデシルベンゼンスルホン酸ナトリウム-アニオン性界面活性剤;ラウリルエーテル硫酸ナトリウム-アニオン性界面活性剤;アルコールエトキシ
ル化およびプロポキシル化EOPO6/9-非イオン性界面活性剤;ミリスチン酸イソプ
ロピル-油、ラウリン酸メチル-油、ラウリン酸イソプロピル-油を含む様々な成分を、異
なる配合物中に使用した。
【0064】
【表2】
【0065】
物理化学的および加速安定性試験
ある特定の実施形態の農業用アジュバント組成物の試料を市販の製品と比較し、水中に希釈した場合のそれらの物理化学的特性およびそれらの性質、例えばpHおよび形成されたエマルジョンの安定性を決定するために分析した。さらに、純粋な(濃縮物)アジュバントに関する調査、例えば参照により全内容が本明細書に組み込まれるCIPAC Handbook F - Collaborative International P
esticide Analytical Ltd、1994年、2007年再版に記載のクローズドカップ法を使用した引火点の決定を行った。これらの市販の製品は、Oro
Agri(登録商標)からの以下の製品、WETCIT(登録商標)(エトキシル化アルコールおよびオレンジ油をベースとしたアジュバント)、ORO-HSMSO(登録商
標)(高界面活性剤メチル化種子油をベースとしたアジュバント)、TRANSFORMER(登録商標)(二級エトキシル化アルコールをベースとしたアジュバント土壌調整剤);ならびにLoveland ProductsからのLI7X1:LI700-大豆
油由来非イオン性浸透界面活性剤;ならびにHelena ChemicalsからのD
NX1:Dyne-Amic-特殊有機シリコーンベース非イオン性界面活性剤と組み合わせた高精製メチル化種子油のブレンド;ならびにWinfield(登録商標)UnitedからのCXU1:Succeed Ultra-入手可能な高界面活性剤メチル化種
子油アジュバントを含んでいた。実施形態に従って調製された農業用アジュバント組成物は、加速貯蔵安定性試験において安定性を示し、全ての試料が低温条件(0℃で14日間)または高温条件(54℃で14日間)であっても安定であることが決定された。安定性の結果を表3、表4および表5に示す。
【0066】
【表3】
【0067】
【表4】
【0068】
【表5】
【0069】
本開示に従って作製された農業用アジュバント組成物を評価するための野外試験、および既存の製品との比較
試験1。完全分げつ期におけるグリホセートによる小麦被覆作物枯死(burndown)に対するアジュバント×アジュバント割合の効果。
【0070】
方法の概要:10種のアジュバント(因子A)および2つのアジュバント割合(因子B)の組合せ、ならびに3つの参照処理を含む29の処理からなる二因子(bifactorial)試験を行った(表6)。
【0071】
小麦の高さおよび植物当たりの分げつ数を記録するために、処理剤塗布の前にブロックあたり2つの区画を選択した。各区画において、最も高い植物および最も低い植物の高さを測定し、分げつをカウントした。
【0072】
除草剤の塗布は、バックパックCO加圧システムに接続された単一ノズルブームを使用して行った。各区画は3ft×20ftであった。塗布の14日および28日後、0から100%のスケールを使用して小麦の乾燥を視覚的に評価したが、0は損傷の症状がないことに対応し、100%は植物の死滅に対応する。除草剤の塗布および他の変数に関する追加の情報を、表6から表10に示す。
【0073】
【表6】
【0074】
【表7】
【0075】
【表8】
【0076】
【表9】
【0077】
【表10】
【0078】
相互作用効果は有意ではなかったため、主要な効果を別個に分析したが、その平均を表11および12に示す。
【0079】
【表11】
【0080】
【表12】
【0081】
結論-この試験は、最適以下の除草剤薬量でのアジュバント配合物間の差を検出するた
めに、半分の割合のグリホセートを使用して行われた。これらの条件下では、以下のように結論付けることができる。本開示に従って作製された3種のアジュバントは、市販の標準Dyne-Amic(登録商標)およびSucceed Ultra(登録商標)なら
びにOro Agriの製品より数値上良好な性能を示したが、それらはOR-079-FB;OR-009-K;およびOR-340である。他の市販製品と同様の性能を示した本
開示によるアジュバントは、OR-009-Tである。アジュバント濃度に関しては、0.125体積%が0.25体積%より概ね良好であった。これは非常に有利である。
【0082】
本開示による農業用アジュバント組成物のいくつかの利点は、高い引火点および低い蒸発速度を含み、これによって使用中表面を覆う葉または根のエピクチクラワックスが可溶化される。これは一方で、殺虫剤、殺菌剤、殺ダニ剤、殺線虫剤、除草剤、植物成長調節剤、虫成長調節剤(insecticide growth regulator)、栄養素および他の農薬の生物学的性能を実質的に向上させる。
【0083】
別段に指定されない限り、全ての用語(技術的および科学的用語を含む)は、当業者には通常の慣例的な意味が付与され、本明細書で明示的に定義されない限り、特殊または特別な意味に限定されない。本開示のある特定の特徴または態様を説明する際の特定の専門用語の使用は、その専門用語が本明細書において、その専門用語が関連する本開示の特徴または態様の任意の特定の特性を含むように制限されるように再定義されることを示唆すると解釈されるべきでないことに留意されたい。本出願において、特に添付の特許請求の範囲において使用される用語および句、ならびにそれらの変化形は、別段に明示的に指定されない限り、限定的ではなく非限定的に解釈されるべきである。上記の例として、「含む(including)」という用語は、「限定されることなく含む(including without limitation)」、「含むがこれに限定されない(including but not limited to)」等を意味するように読解されるべきであり;「備える」という用語は、本明細書で使用される場合、「含む」、「含有する」または「~で特徴付けられる」と同義であり、包含的または非限定的であり、追加の列挙されていない要素または方法ステップを除外せず;「有する」という用語は、「~を少なくとも有する」として解釈されるべきであり;「含む(includes)」という用語は、「含むがこれに限定されない(includes but not limited to)」と解釈されるべきであり;「例」という用語は、議論されている項目の例示的な事例を提供するように使用され、その列挙を網羅する、または限定するものではなく;「既知の」、「標準の」、「標準的」等の形容詞および同様の意味の用語は、記載された項目を所与の期間または所与の時点で利用可能な項目に限定するものとして解釈されるべきではなく、代わりに現在または将来の任意の時点で利用可能となり得るまたは
知られ得る、既知の、標準の、または標準的技術を包含するものとして読解されるべきであり;「好ましくは」、「好ましい」、「所望の」、または「望ましい」等の用語、および同様の意味の単語の使用は、ある特定の特徴が本発明の構造または機能に決定的である、必須である、またはさらには重要であることを示唆するように理解されるべきではなく、代わりに本発明の特定の実施形態において利用されてもよい、または利用されなくてもよい代替または追加の特徴を強調することを単に意図すると理解されるべきである。同様に、接続詞「および」で連結された項目の群は、それらの項目の1つ1つが群内に存在することを必要とするものとして読解されるべきではなく、別段に明示的に指定されない限りむしろ「および/または」として読解されるべきである。同様に、接続詞「または」で連結された項目の群は、その群の間で相互排他的であることを必要とするものとして読解されるべきではなく、別段に明示的に指定されない限りむしろ「および/または」として読解されるべきである。
【0084】
値の範囲が示されている場合、その範囲の上限および下限、ならびに上限と下限との間の各介在値が実施形態に包含されることが理解される。
【0085】
本明細書における実質的に全ての複数形および/または単数形の用語の使用に対して、当業者は、状況および/または用途に適切なように、複数形から単数形に、および/または単数形から複数形に変換することができる。様々な単数形/複数形の置き換えは、明確性のために本明細書で明示的に記載され得る。不定冠詞「a」または「an」は、複数を除外しない。単一のプロセッサまたは他のユニットが、特許請求の範囲において列挙されるいくつかの項目の機能を満たし得る。互いに異なる従属請求項においてある特定の対策が列挙されるということだけでは、これらの対策の組合せが有利に使用され得ないことは示されない。特許請求の範囲におけるいかなる参照記号も、範囲を限定するものとして解釈されるべきではない。
【0086】
導入される請求項で具体的な数の記載が意図される場合、そのような意図は、当該請求項において明示的に記載されることになり、そのような記載がない場合、そのような意図は存在しないことが、当業者にはさらに理解されよう。例えば、理解の一助として、以下の添付の特許請求の範囲は、導入句「少なくとも1つの」および「1つまたは複数の」を使用して請求項の記載を導くことを含む場合がある。しかし、そのような句の使用は、同一の請求項が、導入句「1つまたは複数の」または「少なくとも1つの」および「a」または「an」等の不定冠詞を含む場合であっても、不定冠詞「a」または「an」による請求項の記載の導入が、そのように導入される請求項の記載を含む任意の特定の請求項を、単に1つのそのような記載を含む実施形態に限定する、ということを示唆していると解釈されるべきではなく(例えば、「a」および/または「an」は、典型的には「少なくとも1つの」または「1つまたは複数の」を意味すると解釈されるべきである)、同じことが、請求項の記載を導入するのに使用される定冠詞の使用にも当てはまる。また、導入される請求項の記載で具体的な数が明示的に記載されている場合でも、そのような記載は、典型的には少なくとも記載された数を意味すると解釈されるべきであることが、当業者には理解されよう(例えば、他の修飾語なしでの「2つの記載」の単なる記載は、典型的には少なくとも2つの記載、または2つ以上の記載を意味する)。さらに、「A、B、およびC等の少なくとも1つ」に類似する慣例表現が使用されている事例では、通常、そのような構文は、当業者がその慣例表現を理解するであろう意味で意図されている(例えば、「A、B、およびCの少なくとも1つを有するシステム」は、Aのみ、Bのみ、Cのみ、AおよびBを共に、AおよびCを共に、BおよびCを共に、ならびに/またはA、B、およびCを共に、等を有するシステムを含むが、これに限定されない)。「A、B、またはC等の少なくとも1つ」に類似する慣例表現が使用されている事例では、通常、そのような構文は、当業者がその慣例表現を理解するであろう意味で意図されている(例えば、「A、B、またはCの少なくとも1つを有するシステム」は、Aのみ、Bのみ、Cのみ、
AおよびBを共に、AおよびCを共に、BおよびCを共に、ならびに/またはA、B、およびCを共に、等を有するシステムを含むが、これに限定されない)。2つ以上の代替用語を提示する事実上いかなる離接する語および/または句も、明細書、特許請求の範囲、または図面のどこにあっても、当該用語の一方、当該用語のいずれか、または両方の用語を含む可能性を企図すると理解されるべきであることが、当業者にはさらに理解されよう。例えば、句「AまたはB」は、「A」または「B」あるいは「AおよびB」の可能性を含むことが理解されよう。
【0087】
本明細書において使用される成分、試薬の量、反応条件等を表現する全ての数字は、全ての事例において「約」という用語により修飾されているものとして理解されたい。したがって、逆の意味が指定されない限り、本明細書に記載される数値パラメーターは、得ようとしている所望の性質に応じて変動し得る概数である。少なくとも、本出願に対する優先権を主張する任意の出願における任意の特許請求の範囲の均等論の適用を制限する意図はないが、各数値パラメーターは、有効桁数および通常の丸め手法に照らして解釈されるべきである。
【0088】
さらに、上記は、明確性および理解を目的として図示および例示によりある程度詳細に説明されたが、ある特定の変更および修正が行われてもよいことが当業者には明らかである。したがって、説明および例は、本発明の範囲を本明細書に記載の特定の実施形態および例に限定するものとして解釈されるべきではなく、むしろ本発明の真の範囲および精神を伴う全ての修正および代替も包含すると解釈されるべきである。
【外国語明細書】