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  • 特開-ドライブサングラス 図1
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024098430
(43)【公開日】2024-07-23
(54)【発明の名称】ドライブサングラス
(51)【国際特許分類】
   G02C 7/10 20060101AFI20240716BHJP
【FI】
G02C7/10
【審査請求】未請求
【請求項の数】4
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023001953
(22)【出願日】2023-01-10
(71)【出願人】
【識別番号】508140280
【氏名又は名称】株式会社アイゾーンジャパン
(74)【代理人】
【識別番号】100163186
【弁理士】
【氏名又は名称】松永 裕吉
(72)【発明者】
【氏名】内田 賢
【テーマコード(参考)】
2H006
【Fターム(参考)】
2H006BE03
2H006CA00
(57)【要約】
【課題】普段使いおよび夜間運転の双方に対応したドライブサングラスを提供する。
【解決手段】ドライブサングラス100は、印加された電気信号に応じて視感透過率が変わる調光レンズ10L,10Rと、調光レンズ10L,10Rに電気信号を印加して調光レンズ10L,10Rの視感透過率を制御するマイコン101と、車両200内で該車両200と無線通信する通信モジュール102と、を備えている。マイコン101は、通信モジュール102を介して車両200の運転状況203を取得し、取得した運転状況に応じて調光レンズ10L,10Rの視感透過率を変更する。
【選択図】図2
【特許請求の範囲】
【請求項1】
印加された電気信号に応じて視感透過率が変わる調光レンズと、
前記調光レンズに電気信号を印加して前記調光レンズの視感透過率を制御するマイコンと、
車両内で該車両と無線通信する通信モジュールと、を備え、
前記マイコンが、前記通信モジュールを介して前記車両の運転状況を取得し、取得した運転状況に応じて前記調光レンズの視感透過率を変更する
ことを特徴とするドライブサングラス。
【請求項2】
前記マイコンが、前記車両が前照灯を点灯して運転中であるとき、前記調光レンズの視感透過率を規格で定められた夜間運転時に要求される値以上の所定値にする、請求項1に記載のドライブサングラス。
【請求項3】
前記マイコンが、前記車両が前照灯を点灯して運転中に対向車を検知したとき、前記調光レンズの視感透過率を前記所定値から下げる、請求項2に記載のドライブサングラス。
【請求項4】
前記マイコンが、前記調光レンズの視感透過率を前記所定値から下げている状態で、前記車両が前照灯を点灯して運転中に対向車を検知しなくなったとき、前記調光レンズの透過率を前記所定値に戻す、請求項3に記載のドライブサングラス。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、車両の運転時に着用するタイプのサングラスに関する。
【背景技術】
【0002】
サングラスの主たる目的は直射日光や紫外線から目を保護することにある。このため、サングラスに使用されるレンズは色の濃い、光の透過率が低いものが望ましいと言えるが、透過率が低いレンズのサングラスは薄暮や夜間時に使用したり、室内で使用したりすると逆に視界が暗くなり過ぎるという問題がある。
【0003】
そのような問題を解消するものとして、紫外線の量に応じて色が変わるレンズを備えたサングラスがある。また、センサーで検知した光の強さに応じてレンズの透過率を調整するサングラスが知られている(例えば、特許文献1および非特許文献1を参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】国際公開第2019/024333号
【非特許文献】
【0005】
【非特許文献1】WICUE 0.1秒瞬間調光サングラススポーツタイプ, [online], インターネット<URL:https://shop.wicue.jp/products/vr-1901>
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
自動車などの車両を運転する際、運転者は眩しさを和らげるためにサングラスを着用することがある。そのような運転時に着用するドライブサングラスに採用されるレンズについて規格により視感透過率が定められている。例えば、JIS T 7331(屈折補正用眼鏡レンズの基本的要求事項)において引用されるJIS T7333(屈折補正用眼鏡レンズの透過率の仕様及び試験方法)によると、視感透過率が8%以下のレンズは運転用又は道路での使用を目的としないとされ、さらに、視感透過率が75%未満のレンズは薄暮または夜間における路上および運転に使用してはならないとされている。このため、一般的なサングラスは視感透過率が低すぎて夜間運転に使用できず、逆に、夜間運転用のドライブサングラスは視感透過率が高すぎるため日中の普段使いのサングラスとして使用しにくいという問題がある。
【0007】
上述のセンサーで検知した光の強さに応じてレンズの透過率を調整するサングラスであれば、日中はセンサーが周囲の明るさを検知してレンズの視感透過率を自動的に下げ、夜間運転ではセンサーが周囲の暗さを検知してレンズの視感透過率を自動的に上げる(例えば、75%以上)ことができる。しかし、サングラスの内蔵センサーでは周囲光の明るさは検知できても対向車の前照灯などのスポット光は検知できないおそれがある。このように内蔵センサーが敏感でないため、夜間運転時に対向車から光を浴びてもレンズの透過率を一時的に下げることができないことで、運転者は対向車の前照灯によるグレアを回避できないおそれがある。
【0008】
上記問題に鑑み、本発明は、普段使いおよび夜間運転の双方に対応したドライブサングラスを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0009】
本発明の一局面に従うと、印加された電気信号に応じて視感透過率が変わる調光レンズと、前記調光レンズに電気信号を印加して前記調光レンズの視感透過率を制御するマイコンと、車両内で該車両と無線通信する通信モジュールと、を備え、前記マイコンが、前記通信モジュールを介して前記車両の運転状況を取得し、取得した運転状況に応じて前記調光レンズの視感透過率を変更することを特徴とするドライブサングラスが提供される。
【0010】
好ましくは、前記マイコンが、前記車両が前照灯を点灯して運転中であるとき、前記調光レンズの視感透過率を規格で定められた夜間運転時に要求される値以上の所定値にする。
【0011】
より好ましくは、前記マイコンが、前記車両が前照灯を点灯して運転中に対向車を検知したとき、前記調光レンズの視感透過率を前記所定値から下げる。
【0012】
より好ましくは、前記マイコンが、前記調光レンズの視感透過率を前記所定値から下げている状態で、前記車両が前照灯を点灯して運転中に対向車を検知しなくなったとき、前記調光レンズの透過率を前記所定値に戻す。
【発明の効果】
【0013】
本発明によると、車両を運転していないときは普通のサングラスとして使用でき、車両を運転する場合には車両の運転状況に応じて調光レンズの視感透過率が変更されるため、特に夜間運転における対向車の前照灯などによるグレアを回避することができる。
【図面の簡単な説明】
【0014】
図1】本発明の一実施形態に係るドライブサングラスの外観図である。
図2】本発明の一実施形態に係るドライブサングラスの機能ブロック図である。
図3】夜間運転時のドライブサングラスの状態を示す模式図である。
図4】夜間運転時に対向車を検知した場合のドライブサングラスの状態を示す模式図である。
【発明を実施するための形態】
【0015】
以下、適宜図面を参照しながら、本発明の実施の形態を詳細に説明する。ただし、必要以上に詳細な説明は省略する場合がある。例えば、既によく知られた事項の詳細説明や実質的に同一の構成に対する重複説明を省略する場合がある。これは、以下の説明が不必要に冗長になるのを避け、当業者の理解を容易にするためである。なお、発明者は、当業者が本発明を十分に理解するために添付図面および以下の説明を提供するのであって、これらによって特許請求の範囲に記載の主題を限定することを意図するものではない。また、図面に描かれた各部材の寸法、細部の詳細形状などは実際のものとは異なることがある。
【0016】
≪実施形態≫
図1は、本発明の一実施形態に係るドライブサングラスの外観図である。本実施形態に係る眼鏡100は、左右一対の調光レンズ10L,10Rと、調光レンズ10L,10Rを固定するフロント20と、左右一対のテンプル30L,30Rと、テンプル30L,30Rの先の左右一対のモダン40L,40Rとを備えている。テンプル30L,30Rは、フロント20の左右両端に設けられたヒンジ50L,50Rのそれぞれを介してフロント20に接続されており、フロント20側に折りたたむことができるようになっている。
【0017】
調光レンズ10L,10Rは、印加された電気信号に応じて視感透過率が変わるものである。具体的には、調光レンズ10L,10Rは液晶デバイスでできており、印加された電気信号により液晶分子の動きを制御して光の透過量をコントロールすることができるようになっている。
【0018】
図2は、本発明の一実施形態に係るドライブサングラスの機能ブロック図である。本実施形態に係るドライブサングラス100は、マイコン101および通信モジュール102といった電子デバイスを備えている。これら電子デバイスは例えばテンプル30L,30Rやフロント20の内部に設けられている。
【0019】
マイコン101は、調光レンズ10L,10Rに電気信号を印加して調光レンズ10L,10Rの視感透過率を制御する。具体的には、マイコン101は、調光レンズ10L,10Rの視感透過率が目標値となるように調光レンズ10L,10Rに電気信号を印加する。
【0020】
通信モジュール102は、車両200の車内で車両200と無線通信する電子デバイスである。具体的には、通信モジュール102は、Bluetooth(登録商標)、Wi-Fi(登録商標)、5G通信などで車両20側の通信モジュール202と無線通信することができる。
【0021】
車両200は、前照灯のハイ/ローを自動的に切り替える機能、例えば、オートハイビーム機能、アダプティブハイビーム機能、アダプティブドライビングビーム機能等を有する乗用車である。前照灯のハイ/ロー切り替えはECU(Electronic Control Unit)201により制御される。車両200には車両前方に光センサーやステレオカメラなどが搭載されており、ECU201は、車両200がハイビームを照射して走行中に前方に対向車などを検出すると、ロービームに切り替えたり、対向車に光が当たる部分だけを遮光したりする制御を行う。
【0022】
ECU201は通信モジュール202を介して無線信号203により外部に車両200の運転状況を出力できるようになっている。一例として、ドライブサングラス100のマイコン101は、通信モジュール102を介して車両200の通信モジュール202と無線通信して、車両200の運転状況を取得することができる。そして、マイコン101は、取得した車両200の運転状況に応じて調光レンズ10の視感透過率を変更する。
≪視線透過率の調整例≫
【0023】
ドライブサングラス100を車外で使用する場合や、車内であっても日中に使用する場合には調光レンズ10L,10Rの視線透過率は例えば15%程度の規定値に設定される。これにより、ドライブサングラス100は、運転時以外は普通のサングラスとして使用することができる。一方、自動車の運転中に着用する場合には、次のように車両200の運転状況に応じて調光レンズ10L,10Rの視線透過率が自動的に調整されるようになっている。
【0024】
図3は、夜間運転時のドライブサングラス100の状態を示す模式図である。車両200が前照灯を点灯して走行しているとき、すなわち、夜間運転時において、車両200からドライブサングラス100に、車両200が運転中、かつ、前照灯が点灯しているという情報が無線信号203により伝達される。ここで、車両200が運転中とは、車両200が現実に走行しているときに限らず、例えば、シフトレバーがドライブレンジに入っている、運転者がハンドルを握っているなどの運転操作中であるという広義の意味である。
【0025】
ドライブサングラス100のマイコン101は、車両200からそのような情報を取得した場合、調光レンズ10L,10Rの視線透過率を上記規定値から、規格で定められた夜間運転時に要求される値以上の所定値(例えば、75%)になるように調光レンズ10L,10Rの視線透過率を制御する。これにより、夜間運転時におけるドライブサングラス100の調光レンズ10L,10Rの視線透過率を規格で定められた安全な値にすることができる。
【0026】
図4は、夜間運転時に対向車を検知した場合のドライブサングラスの状態を示す模式図である。車両200が前照灯を点灯して走行しているときに対向車があると、すなわち、夜間運転時に対向車があると、車両200からドライブサングラス100に、車両200が運転中、かつ、前照灯が点灯、かつ、対向車を検知したという情報が無線信号203により伝達される。ドライブサングラス100のマイコン101は、車両200からそのような情報を取得した場合、調光レンズ10L,10Rの視線透過率を上記所定値(例えば、75%)から下げるように調光レンズ10L,10Rの視線透過率を制御する。そして、ドライブサングラス100のマイコン101は、調光レンズ10L,10Rの視感透過率を上記所定値から下げている状態で、車両200が前照灯を点灯して運転中に対向車を検知しなくなったとき、調光レンズ10L,10Rの透過率を上記所定値に戻す。これにより、夜間運転時に対向車がある場合にドライブサングラス100の調光レンズ10L,10Rの視線透過率を一時的に下げて対向車の前照灯によるグレアを回避することができる。
【0027】
≪変形例≫
ドライブサングラス100は車両200と直接通信するのではなく、例えばスマートフォンなどを介して車両200と通信するようにしてもよい。
【0028】
以上のように、本発明における技術の例示として、実施の形態を説明した。そのために、添付図面および詳細な説明を提供した。したがって、添付図面および詳細な説明に記載された構成要素の中には、課題解決のために必須な構成要素だけでなく、上記技術を例示するために、課題解決のためには必須でない構成要素も含まれ得る。そのため、それらの必須ではない構成要素が添付図面や詳細な説明に記載されていることをもって、直ちに、それらの必須ではない構成要素が必須であるとの認定をするべきではない。また、上述の実施の形態は、本発明における技術を例示するためのものであるから、特許請求の範囲またはその均等の範囲において種々の変更、置き換え、付加、省略などを行うことができる。
【符号の説明】
【0029】
100 ドライブサングラス
10 調光レンズ
101 マイコン
102 通信モジュール
200 車両
図1
図2
図3
図4