(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024098431
(43)【公開日】2024-07-23
(54)【発明の名称】キャスター装置
(51)【国際特許分類】
B60B 33/00 20060101AFI20240716BHJP
【FI】
B60B33/00 501D
B60B33/00 F
B60B33/00 J
B60B33/00 U
【審査請求】未請求
【請求項の数】4
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023001955
(22)【出願日】2023-01-10
(71)【出願人】
【識別番号】597122921
【氏名又は名称】株式会社ライズ
(71)【出願人】
【識別番号】390010951
【氏名又は名称】コーエイ産業株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100107593
【弁理士】
【氏名又は名称】村上 太郎
(74)【代理人】
【識別番号】100104444
【弁理士】
【氏名又は名称】上羽 秀敏
(72)【発明者】
【氏名】峪口 廣
(72)【発明者】
【氏名】澤田 裕
(57)【要約】
【課題】車輪を円滑にロック可能なキャスター装置を提供する。
【解決手段】車輪13L,13Rをロックするよう車輪13L,13Rに係合可能な係合部材14と、ロック操作位置とロック解除位置とに変更可能なロック操作部材15と、係合部材14を解除位置へ向けて付勢する第1の弾性体16と、係合部材14とロック操作部材15との間に設けられた第2の弾性体17とを備え、ロック操作部材15がロック解除位置にあるとき、第1の弾性体16の付勢力によって係合部材14が車輪から離脱し、ロック操作部材15がロック操作位置にあるとき、第2の弾性体17の付勢力によって第1の弾性体の付勢力16に抗して係合部材14が車輪をロックする係合位置に位置付けられるよう構成する。
【選択図】
図4
【特許請求の範囲】
【請求項1】
第1の車輪(13L)と、
転動を阻止するように第1の車輪(13L)に係合する係合位置と、転動を許容するように第1の車輪(13L)から離脱する解除位置とに位置変更可能な係合部材(14)と、
ロック操作位置とロック解除位置とに位置変更可能なロック操作部材(15)と、
前記係合部材(14)を解除位置へ向けて付勢する第1の弾性体(16)と、
前記係合部材(14)と前記ロック操作部材(15)との間に設けられた第2の弾性体(17)とを備え、
前記ロック操作部材(15)がロック解除位置にあるとき、第1の弾性体(16)の付勢力によって前記係合部材(14)が解除位置に向けて付勢され、
前記ロック操作部材(15)がロック操作位置にあるとき、第2の弾性体(17)の付勢力によって第1の弾性体(16)の付勢力に抗して前記係合部材(14)が係合位置に向けて付勢される、
キャスター装置。
【請求項2】
請求項1に記載のキャスター装置において、
第1の車輪(13L)とは独立して転動可能な第2の車輪(13R)をさらに備え、
第1及び第2の車輪(13L,13R)の内周には前記係合部材(14)が係合する係合凹部(13a)がそれぞれ設けられ、
前記係合部材(14)は、第1の車輪(13L)の前記係合凹部(13a)に係合する第1の係合部(14L)と、第2の車輪(13R)の前記係合凹部(13a)に係合する第2の係合部(14R)と、第1及び第2の係合部(14L,14R)の間に設けられた中間部(14M)とを備え、
前記ロック操作部材(15)がロック操作位置にあるとき、前記中間部(14M)の一側面に第1の弾性体(16)の付勢力が作用し、その反対側側面に第2の弾性体(17)の付勢力が作用し、第1及び第2の係合部(14L,14R)のいずれか一方が前記係合凹部(13a)に係合していなくとも他方が前記係合凹部(13a)に係合するよう傾倒可能に前記係合部材(14)が第1及び第2の弾性体(16,17)の付勢力によって弾性的に支持される、
キャスター装置。
【請求項3】
請求項2に記載のキャスター装置において、
前記係合部材(14)と第2の弾性体(17)との間に設けられたクランク(18)をさらに備え、該クランク(18)は、第2の弾性体(17)の付勢力が作用する入力部と、該入力部に入力される付勢力を前記係合部材(14)の中間部(14M)の前記反対側側面に伝達するための出力部とを有する、
キャスター装置。
【請求項4】
請求項1に記載のキャスター装置において、
本体部(11)をさらに備え、前記ロック操作部材(15)は、前記本体部(11)の表面から突出する前記ロック解除位置と、前記本体部(11)内に押し込まれた前記ロック操作位置とに位置変更可能に前記本体部(11)に取り付けられている、
キャスター装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、転がりロック機能を有するキャスター装置に関する。
【背景技術】
【0002】
台車や椅子などに取り付けられるキャスター装置として、転がりロック機能を有するものが従来より知られており、例えば下記の特許文献1に開示されている。この従来のキャスター装置は、車輪と、車輪を転がり可能且つ旋回可能に支持した取付部材と、車輪を転がり不能にロックするとともにロック解除する転がりロック部材と、転がりロック部材をロック状態及びロック解除状態に操作する操作部材とを備えている。
【0003】
車輪は、左右一対の車輪片から構成されており、これらの左右の車輪片が互いに対向するように合わされることにより、1つの車輪とされている。各車輪片の内周には、その全周に亘って、径外側に凹まされた複数の係合凹部が設けられている。また、左右の車輪片は互いに回転しないように結合されている。
【0004】
転がりロック部材は、車輪の係合凹部と係脱自在に係止する係止部材と、係止部材と操作部材とを連結するロッドとを備えている。ロッドはコイルばねによってロック解除方向に付勢されている。
【0005】
そして、操作部材を操作することによって、係止部材を車輪の係合凹部に係止させて転がりロックする状態と、ロック解除状態とに切替可能に構成されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
車輪の転がりをロックするために操作部を操作したときに、車輪の微妙な回転角によって係止部材と係合凹部の周方向位置がずれていると、係止部材が車輪の内周壁に引っかかってしまうため、係止部材に連結されている操作部をロック解除位置まで移動させることができない。
【0008】
その場合、車輪を少しずつ回転させながら操作部を操作する必要があり煩雑である。
【0009】
本発明は、車輪を円滑にロック可能な新たなキャスター装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0010】
本発明は、上記目的を達成するために次の技術的手段を講じた。
【0011】
すなわち、本発明に係るキャスター装置は、第1の車輪と、転動を阻止するように第1の車輪に係合する係合位置と、転動を許容するように第1の車輪から離脱する解除位置とに位置変更可能な係合部材と、ロック操作位置とロック解除位置とに位置変更可能なロック操作部材と、前記係合部材を解除位置へ向けて付勢する第1の弾性体と、前記係合部材と前記ロック操作部材との間に設けられた第2の弾性体とを備えている。前記ロック操作部材がロック解除位置にあるとき、第1の弾性体の付勢力によって前記係合部材が解除位置に向けて付勢され、前記ロック操作部材がロック操作位置にあるとき、第2の弾性体の付勢力によって第1の弾性体の付勢力に抗して前記係合部材が係合位置に向けて付勢される。
【0012】
かかる本発明のキャスター装置によれば、係合部材が車輪の内周に引っかかって係合位置まで移動できない状態でも、第2の弾性体を係合部材とロック操作部材との間に設けたので、ロック操作部材をロック解除位置からロック操作位置へ移動させることができる。その後、係合部材が係合位置まで移動可能となるまで車輪を転動させることで、第2の弾性体の付勢力によって係合部材が係合位置に移動して、車輪の転動をロックすることができる。
【0013】
好ましくは、第1の車輪とは独立して転動可能な第2の車輪をさらに備えていてよい。独立して転動可能な左右一対の車輪を備えることで、転動時の安定性を向上するとともに、カーブするよう転動させたときの各車輪の異なる周速を許容し、よりスムーズな転動を実現できる。
【0014】
第1及び第2の車輪の内周には前記係合部材が係合する係合凹部がそれぞれ設けられていてよい。
【0015】
前記係合部材は、第1の車輪の前記係合凹部に係合する第1の係合部と、第2の車輪の前記係合凹部に係合する第2の係合部と、第1及び第2の係合部の間に設けられた中間部とを備えていてよい。
【0016】
前記ロック操作部材がロック操作位置にあるとき、前記中間部の一側面に第1の弾性体の付勢力が作用し、その反対側側面に第2の弾性体の付勢力が作用し、第1及び第2の係合部のいずれか一方が前記係合凹部に係合していなくとも他方が前記係合凹部に係合するよう傾倒可能に前記係合部材が第1及び第2の弾性体の付勢力によって弾性的に支持されるよう構成することが好ましい。
【0017】
これによれば、左右の車輪の係合凹部が周方向にずれていても、まず一方の車輪に係合部材が係合することで一方の車輪の転動をロックし、その後他方の車輪を転動させることで他方の車輪にも係合部材を係合させることができ、相対回転する左右の車輪の転動ロックを円滑に行うことができる。
【0018】
なお、第1の弾性体はコイルスプリングであってよい。第1の弾性体は、係合部材の中間部に設けた収容凹部内に装填されていてよい。また、第1の弾性体は、本体部の内面と係合部材との間に圧縮状態で装填されていてよい。
【0019】
好ましくは、前記係合部材と第2の弾性体との間に設けられたクランクをさらに備え、該クランクは、第2の弾性体の付勢力が作用する入力部と、該入力部に入力される付勢力を前記係合部材の中間部の前記反対側側面に伝達する出力部とを有する。これによれば、クランクによって、ロック操作部材及び第2の弾性体の動作方向、並びに、係合部材の動作方向の設計の自由度が高くなり、ロック操作部材を例えばキャスター装置の上面に出没自在に配置することもできる。また、クランクの出力部を係合部材の中間部の前記反対側側面に当接させることもでき、これにより、係合部材を安定的に支持可能となる。
【0020】
本発明のキャスター装置は、本体部をさらに備えていてよい。前記ロック操作部材は、前記本体部の表面、例えば上面、から突出する前記ロック解除位置と、前記本体部内に押し込まれた前記ロック操作位置とに位置変更可能に前記本体部に取り付けられていてよい。これによれば、台車などに本発明のキャスター装置を複数取り付けた場合に、複数のキャスター装置のロック操作部材を一括して操作する共通のロック操作機構を簡単な構造で台車側に設けることも可能になる。
【0021】
好ましくは、本体部に上方開口状に設けた取付穴内にロック操作部材を取り付けることができる。さらに好ましくは、前記取付穴内に第2の弾性体としてコイルスプリングを装填することができる。
【発明の効果】
【0022】
本発明によれば、キャスター装置の車輪を円滑にロックすることができる。
【図面の簡単な説明】
【0023】
【
図1】本発明のキャスター装置の取付構造の一例を示す全体斜視図である。
【
図4】一実施形態に係るキャスター装置の縦断面図(車軸に直交する断面)である。
【
図5】同キャスター装置の縦断面図(車軸に沿う断面)である。
【
図6】同キャスター装置の内部機構(装置本体を省略)の斜視図である。
【
図7】取付構造の他の例を示す正面図であり、キャスターベースの内部構造を透視して示す。
【
図8】同取付構造の側面図であり、キャスターベース及びキャスター装置の内部構造を透視して示す。
【発明を実施するための形態】
【0024】
以下、本発明の好適な実施形態を図面に基づいて説明する。
【0025】
図1は、台車や移動可能な家具等の底面に複数(図示例では4つ)のキャスター装置1を取り付ける例を示す。底面には、各キャスター装置1を旋回動作可能に支持するキャスターベース2が固定される。
【0026】
図示例では、左右一対のキャスターベース2が前後二列に設けられている。左右一対のキャスターベース2間には、連動バー3がその軸心周りに回動可能に架設されている。前後の連動バー3,3は、リンク機構4によって同期回動するよう連結されている。なお、左右方向に3つ以上の複数のキャスターベース2及びキャスター装置1を取り付けてもよいし、また、前後方向に3列以上の複数のキャスターベース2及びキャスター装置1を取り付けてもよい。
【0027】
少なくとも一つの連動バー3には、作業者の足によって押し下げ操作可能なペダルバー5が設けられており、ペダルバー5を押し下げることによって全ての連動バー3,3を回動操作可能である。
【0028】
リンク機構4には、ペダルバー5を押し下げたときに底面に当接するストッパー6が設けられており、連動バー3が過度に回動操作されることによりキャスターベース2の内部機構が破損することを防止している。
【0029】
図2は、キャスターベース2を連動バー3から取り外した状態の分解斜視図である。
図3は、キャスター装置1の旋回軸心に沿う断面図である。キャスターベース2は、台車等の底面にビス等によって固定される座板部21と、下方開口状の案内筒部22とを有する。キャスターベース2には左右方向に貫通する貫通孔23が設けられており、この貫通孔23に連動バー3が回動可能に挿通保持される。
【0030】
案内筒部22には、上下にスライド自在に筒状のスライダ7が装着されている。連動バー3には軸方向2箇所にカム31が取り付けられており、連動バー3を回動させることによってキャスターベース2に対してスライダ7を上下に所定量移動させることができるように構成されている。
図2はスライダ7を上昇させた状態を示している。ペダルバー5を押し下げると、連動バー3とともにカム31が回動して、スライダ7が僅かに下降する。スライダ7を確実に下降させるために、スライダ7を下方に付勢するコイルスプリング等の付勢部材8が、スライダ7とキャスターベース2との間に設けられている。
【0031】
このようにスライダ7を設けることで、キャスターベース2を上下動させることなく後述するように車輪の転動ロック及び解除を行うことができる。
【0032】
キャスター装置1は、上下方向に延びる旋回軸心周りに旋回可能にキャスターベース2に取り付けられている。好ましくは、キャスター装置1を旋回可能に保持するボス部24をキャスターベース2に設けることができる。付勢部材8は、ボス部24の軸方向中途部の外周に設けた段差と、スライダ7の底板との間に介装することができる。
【0033】
本実施形態に係るキャスター装置1は、
図4~
図6に示すように、装置本体11(本体部)と、左右一対の車輪13L,13Rと、両車輪13L,13Rの転動をロックするための係合部材14と、ロック操作部材15と、係合部材14を車輪13L,13Rから離脱する方向に向けて付勢する第1の弾性体16と、係合部材14とロック操作部材15との間に設けられた第2の弾性体17と、第2の弾性体17と係合部材14との機構学的な中間に設けられたクランク18とを備えている。
【0034】
装置本体11は、キャスターベース2に旋回可能に取り付けられている。
【0035】
左右一対の車輪13L,13Rは、装置本体11に車軸1Aを介して互いに独立して転動可能に取り付けられている。各車輪13L,13Rの内周には、周方向に並ぶ複数の係合凹部13aが設けられている。好ましくは、同一形状及び同一サイズの複数の係合凹部13aが周方向に所定間隔で設けられる。好ましくは、車輪13L,13Rの内周の全周にわたって複数の係合凹部13aが配設される。
【0036】
係合部材14は、各車輪13L,13Rの転動をロックするように各車輪13L,13Rのいずれか一の係合凹部13aに係合可能である。係合部材14の構造は適宜のものであってよいが、好ましくは、中間部14Mと、中間部14Mから一側方に延びて左側車輪13Lの係合凹部13aに径方向内方から嵌合可能な左係合部14L(第1の係合部)と、中間部14Mから他側方に延びて右側車輪13Rの係合凹部13aに径方向内方から嵌合可能な右係合部14Rとを備えている。中間部14Mの上面には、第1の弾性体16を収容する収容凹部14aが設けられている。また、中間部14Mの下面には、クランク18の出力端部が当接する案内溝14bが設けられている。
【0037】
ロック操作部材15は、装置本体11の上面に上方開口状に設けた取付穴11a内に出没自在に装着されている。ロック操作部材15は柱状部材であり、その上端にフランジが設けられている。また、ロック操作部材15には、取付孔11aの内周に設けた上下方向に延びる案内溝に係合する回転防止突起が設けられている。
【0038】
第1の弾性体16はコイルスプリングからなり、各係合部14L,14Rが車輪13L,13Rの係合凹部13aから径方向内方に離脱する方向に係合部材14を付勢するように、装置本体11の内周面と係合部材14の中間部14Mの収容凹部14a底面との間に介装されている。
【0039】
第2の弾性体17はコイルスプリングからなり、ロック操作部材15よりも奥側で取付孔11a内に挿入されている。また、コイルスプリング17よりも奥側で取付穴11a内には柱状のバネ受け部材17Aがスライド可能に挿入されており、バネ受け部材17Aとロック操作部材15との間にコイルスプリング17が介装されている。
【0040】
クランク18は、左右方向に延びる揺動軸18aを介して装置本体11に揺動可能に取付られており、バネ受け部材17Aの下端部に当接してコイルスプリング17の付勢力が作用する入力部18Aと、係合部材14の中間部14Mの下面に当接してコイルスプリング17の付勢力をコイルスプリング16の付勢力に抗する力として係合部材14に伝達する出力部18Bとを有する。
【0041】
コイルスプリング17は、ロック操作部材15が取付穴11a内に押し込まれたロック操作位置に位置付けられると、圧縮されて付勢力が発生し、この付勢力が、バネ受け部材17A及びクランク18を介して係合部材14の中間部14Mの下面に伝達される。このコイルスプリング17の付勢力は、コイルスプリング16の付勢力に抗して係合部材14を上方に付勢し、係合部材14の左右の係合部14L,14Rを両車輪13L,13Rの係合凹部13aに係合させる。
【0042】
ロック操作部材15の押し込み力が解除されると、コイルスプリング17の付勢力が消失し、コイルスプリング16の付勢力によって係合部材14が両車輪13L,13Rの係合凹部13aから径方向内方に離脱する。
【0043】
本実施形態では、ロック操作部材15の押し込み操作は、キャスターベース2に対して下降動作するスライダ7の底面によって行われる。すなわち、ペダルバー5を押し下げると、スライダ7が下降してロック操作部材15を押し込み、係合部材14が両車輪13L,13Rに係合して両車輪の転動をロックする。台車等を移動させる場合には、ペダルバー5を押し上げれば、スライダ7が持ち上げられてロック操作部材15の押し込みが解除され、係合部材14が両車輪13L,13Rから離脱して両車輪が転動可能となる。
【0044】
また、本実施形態では、ロック操作部材15が装置本体11の取付穴11a内に没入したロック操作位置にあるとき、中間部14Mの上面(上記実施形態では収容凹部14aの底面)にコイルスプリング16の付勢力が作用し、中間部14Mの下面にコイルスプリング17の付勢力が作用する。このように係合部材14の中間部14Mを上下から2つのコイルスプリング16,17の付勢力によって弾性的に支持することで、
図5に仮想線で示すように、左右の係合部14L,14Rのいずれか一方が対応する車輪13L,13Rの係合凹部13aに係合していなくとも他方が係合凹部13aに係合するよう傾倒可能になっている。
【0045】
本発明は上記実施形態に限定されるものではなく、適宜設計変更できる。例えば、上記実施形態では互いに独立して転動可能な左右一対の車輪を設けたが、左右の車輪を相対回転不能に連結したキャスターや、一つの車輪のみを有するキャスターにおいても、第1及び第2の弾性体による係合部材の弾性的な支持によって、円滑な車輪ロックを行わせることができる。また、ロック操作部材は、装置本体の上面のみならず、用途や要求される機能に応じて、前後左右側面や底面などの装置本体の表面の適宜の位置に設けることができる。
【0046】
また、
図7及び
図8に示すように、連動バー3の回動によってキャスター装置1がキャスターベース2’に対して所定量上下動するようにして、キャスターベース2’によってロック操作部材15を押し込み操作するよう構成することもできる。キャスターベース2’には、キャスター装置1の装置本体11が所定量上下動可能に取り付けられている。連動バー3は、キャスターベース2’に回動可能に保持されている。連動バー3の軸方向中途部には、周方向一部に切欠き部3Dが設けられていて、装置本体11の上に連動バー3の周方向一部が載置されている。連動バー3を回動させると、切欠き部3Dが装置本体11に接触しているか否かによって装置本体11にタイする連動バー3の高さが変動し、これによりキャスターベース2’によってロック操作部材15を押し込んだ状態と、ロック操作部材15の押し込みを解除した状態とに切り換えることができる。