(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024009844
(43)【公開日】2024-01-23
(54)【発明の名称】液体抗病原性農業用組成物
(51)【国際特許分類】
A01N 25/30 20060101AFI20240116BHJP
A01P 3/00 20060101ALI20240116BHJP
A01N 25/04 20060101ALI20240116BHJP
A01P 7/04 20060101ALI20240116BHJP
A01P 7/02 20060101ALI20240116BHJP
A01N 65/36 20090101ALI20240116BHJP
A01N 43/90 20060101ALI20240116BHJP
A01N 51/00 20060101ALI20240116BHJP
A01N 37/06 20060101ALI20240116BHJP
A01N 47/40 20060101ALI20240116BHJP
A01N 31/14 20060101ALI20240116BHJP
A01N 31/02 20060101ALI20240116BHJP
A01N 61/00 20060101ALI20240116BHJP
【FI】
A01N25/30
A01P3/00
A01N25/04 101
A01P7/04
A01P7/02
A01N65/36
A01N43/90 101
A01N51/00
A01N37/06
A01N47/40 Z
A01N31/14
A01N31/02
A01N61/00 D
【審査請求】有
【請求項の数】20
【出願形態】OL
【外国語出願】
(21)【出願番号】P 2023169996
(22)【出願日】2023-09-29
(62)【分割の表示】P 2021539960の分割
【原出願日】2020-01-08
(31)【優先権主張番号】62/789,649
(32)【優先日】2019-01-08
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(31)【優先権主張番号】62/789,656
(32)【優先日】2019-01-08
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(31)【優先権主張番号】62/789,657
(32)【優先日】2019-01-08
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(71)【出願人】
【識別番号】521300164
【氏名又は名称】オロ・アグリ・インコーポレイテッド
【氏名又は名称原語表記】ORO AGRI INC.
(74)【代理人】
【識別番号】110001195
【氏名又は名称】弁理士法人深見特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】ベルク,パウロ・セルジオ
(72)【発明者】
【氏名】プーレン,メルビン・ドノバン
(72)【発明者】
【氏名】バーナード,ダーク
(72)【発明者】
【氏名】バンダージル,ジャレッド
(57)【要約】 (修正有)
【課題】高い引火点およびエピクチクラワックス適合性を有することを特徴とする、典型的には殺虫剤、殺菌剤、殺線虫剤および/または殺ダニ剤としての使用のための安定で安全な相乗作用的液体抗病原性農業用組成物を提供する。
【解決手段】液体抗病原性農業用組成物は、アルキル(C
12~C
16)酸の少なくとも1種のアルキル(C
1~C
8)エステルと;少なくとも1種のアニオン性界面活性剤と;少なくとも1種の非イオン性界面活性剤とを含む。1種または複数種の抗病原性組成物を調製する方法、および作物、木、果実、野菜、葉、茎、根、種子、花、動物、機器、家畜飼育場、飼養場、納屋、動物飼育ユニット、農舎または保存エリアに塗布される、病原体を防除するための(希釈形態での)処理剤としてのこの組成物の使用もまた提供される。
【選択図】
図8
【特許請求の範囲】
【請求項1】
アルキル(C12-C16)酸の少なくとも1種のアルキル(C1-C8)エステルと;
少なくとも1種のアニオン性界面活性剤と;
少なくとも1種の非イオン性界面活性剤と;
を含む、液体抗病原性農業用組成物であって:
前記液体抗病原性農業用組成物が、100℃超の引火点を有し;
前記アルキル(C12-C16)酸の少なくとも1種のアルキル(C1-C8)エステルが、25℃で2から20重量%のパラフィンワックス溶解能力を有する、
液体抗病原性農業用組成物。
【請求項2】
前記アルキル(C12-C16)酸の少なくとも1種のアルキル(C1-C8)エステルがそれぞれ、メチルエステル、エチルエステル、プロピルエステル、ブチルエステル、イソプロピルエステル、イソブチルエステル、イソペンチルエステル、2-エチルヘキシルエステル、およびそれらの組合せを含む群から選択されるアルキルエステル基を有する、請求項1に記載の液体抗病原性農業用組成物。
【請求項3】
前記アルキル(C12-C16)酸の少なくとも1種のアルキル(C1-C8)エステルが、ラウリン酸、トリデシル酸、ミリスチン酸、ペンタデカン酸、パルミチン酸、およびそれらの組合せを含む群から選択されるアルキル酸から誘導される、請求項2に記載の液体抗病原性農業用組成物。
【請求項4】
前記アルキル(C12-C16)酸の少なくとも1種のアルキル(C1-C8)エステルが、ラウリン酸イソブチル、ラウリン酸イソペンチル、ラウリン酸メチル、ラウリン酸2-エチルヘキシル、パルミチン酸2-エチルヘキシル、ラウリン酸イソプロピル、ミリスチン酸イソプロピル、パルミチン酸イソプロピル、およびそれらの組合せを含む群から選択される、請求項3に記載の液体抗病原性農業用組成物。
【請求項5】
前記アルキル(C12-C16)酸の少なくとも1種のアルキル(C1-C8)エステルが、ミリスチン酸イソプロピルである、請求項4に記載の液体抗病原性農業用組成物。
【請求項6】
前記少なくとも1種のアニオン性界面活性剤が、(C6-C18)アルキルベンゼンスルホン酸塩、ドデシルベンゼンスルホン酸カルシウム、ドデシルベンゼンスルホン酸ナトリウム、アミン(C6-C18)アルキルベンゼンスルホネート、トリエタノールアミンドデシルベンゼンスルホネート、(C6-C18)アルキルエーテルスルフェート、(C6-C18)アルキルエトキシル化エーテルスルフェート、(C6-C18)アルキルスルフェート、ラウリルエーテルポリエトキシル化ナトリウムスルフェート、(C6-C8)アルキルホスフェートエステル、(C6-C18)アルコキシル化スルフェート、(C6-C18)アルコキシル化ホスフェートエステル、キシレンスルホネート塩、クメンスルホネート塩、およびそれらの組合せを含む群から選択される、請求項1から5のいずれか1項に記載の液体抗病原性農業用組成物。
【請求項7】
前記少なくとも1種の非イオン性界面活性剤が、(C8-C22)アルコキシル化脂肪アルコール、(C8-C22)エトキシル化脂肪アルコール、(C8-C22)プロポキシル化脂肪アルコール、(C8-C22)エトキシル化およびプロポキシル化脂肪アルコール、直鎖(C4-C10)アルキル(ポリ)グリコシド、分岐鎖(C4-C10)アルキル(ポリ)グリコシド;およびアルコキシル化ソルビタン脂肪エステル、アルコキシル化ソルビトール脂肪エステル、エトキシル化ソルビタン脂肪エステル、エトキシル化ソルビトール脂肪エステル、ポリオキシエチレンソルビタンモノラウレート、ポリオキシエチ
レンソルビタンモノパルミテート、ポリオキシエチレンソルビタンモノステアレート、ならびにそれらの組合せを含む群から選択される、請求項1から6のいずれか1項に記載の液体抗病原性農業用組成物。
【請求項8】
前記エトキシル化アルコールが、1から50のエトキシル化度を有する、請求項7に記載の液体抗病原性農業用組成物。
【請求項9】
保存剤、透明化剤、凍結防止剤、ヒドロトロープ、安定剤、酸化防止剤、酸性化剤、キレート、錯化剤、染料、レオロジー調整剤、消泡剤、抗ドリフト剤および水、油または他の溶媒、ならびにそれらの組合せを含む群から選択される添加剤をさらに含む、請求項1から8のいずれか1項に記載の液体抗病原性農業用組成物。
【請求項10】
前記アルキル(C12-C16)酸の少なくとも1種のアルキル(C1-C8)エステルが、0.1重量%から30重量%の量で存在し、前記少なくとも1種のアニオン性界面活性剤が、1重量%から50重量%の量で存在し、前記少なくとも1種の非イオン性界面活性剤が、1重量%から50重量%の量で存在し、液体濃縮物抗病原性農業用組成物を提供する、請求項1から9のいずれか1項に記載の液体抗病原性農業用組成物。
【請求項11】
前記アルキル(C12-C16)酸の少なくとも1種のアルキル(C1-C8)エステルが、2重量%から15重量%の量で存在し、前記少なくとも1種のアニオン性界面活性剤が、3重量%から20重量%の量で存在し、前記少なくとも1種の非イオン性界面活性剤が、5重量%から30重量%の量で存在し、液体濃縮物抗病原性農業用組成物を提供する、請求項10に記載の液体抗病原性農業用組成物。
【請求項12】
水または他の添加剤をさらに含み、0.1重量%から20重量%の前記アルキル(C12-C16)酸の少なくとも1種のアルキル(C1-C8)エステルと;1重量%から50重量%の前記少なくとも1種のアニオン性界面活性剤と、1重量%から50重量%の前記少なくとも1種の非イオン性界面活性剤と、2重量%から80重量%の前記水または他の添加剤とを含み、液体濃縮物抗病原性農業用組成物を提供する、請求項1から11のいずれか1項に記載の液体抗病原性農業用組成物。
【請求項13】
前記アルキル(C12-C16)酸の少なくとも1種のアルキル(C1-C8)エステルが、0.1重量%から20重量%、好ましくは2重量%から15重量%の量で存在し;前記少なくとも1種のアニオン性界面活性剤が、3重量%から20重量%の量で存在し;前記少なくとも1種の非イオン性界面活性剤が、5重量%から30重量%の量で存在し、
前記アルキル(C12-C16)酸の少なくとも1種のアルキル(C1-C8)エステルが、ラウリン酸イソブチル、ラウリン酸イソペンチル、ラウリン酸メチル、ラウリン酸2-エチルヘキシル、パルミチン酸2-エチルヘキシル、ラウリン酸イソプロピル、ミリスチン酸イソプロピル、パルミチン酸イソプロピル、およびそれらの組合せを含む群から選択され;
前記少なくとも1種のアニオン性界面活性剤が、(C6-18)アルキルベンゼンスルホン酸塩、ドデシルベンゼンスルホン酸カルシウム、ドデシルベンゼンスルホン酸ナトリウム、アミン(C6-C18)アルキルベンゼンスルホネート、トリエタノールアミンドデシルベンゼンスルホネート、(C6-C18)アルキルエーテルスルフェート、(C6-C18)アルキルエトキシル化エーテルスルフェート、(C6-C18)アルキルスルフェート、ラウリルエーテルポリエトキシル化ナトリウムスルフェート、(C6-C18)アルキルホスフェートエステル、(C6-C18)アルコキシル化スルフェート、(C6-C18)アルコキシル化ホスフェートエステル、キシレンスルホネート塩、クメンスルホネート塩、およびそれらの組合せを含む群から選択され;
前記少なくとも1種の非イオン性界面活性剤が、(C8-C22)アルコキシル化脂肪
アルコール、(C8-C22)エトキシル化脂肪アルコール、(C8-C22)プロポキシル化脂肪アルコール、(C8-C22)エトキシル化およびプロポキシル化脂肪アルコール、直鎖(C4-C10)アルキル(ポリ)グリコシド、分岐鎖(C4-C10)アルキル(ポリ)グリコシド;およびアルコキシル化ソルビタン脂肪エステル、アルコキシル化ソルビトール脂肪エステル、エトキシル化ソルビタン脂肪エステル、エトキシル化ソルビトール脂肪エステル、ポリオキシエチレンソルビタンモノラウレート、ポリオキシエチレンソルビタンモノパルミテート、ポリオキシエチレンソルビタンモノステアレート、およびそれらの組合せを含む群から選択され、
液体濃縮物抗病原性農業用組成物を提供する、
請求項1に記載の液体抗病原性農業用組成物。
【請求項14】
前記アルキル(C12-C16)酸の少なくとも1種のアルキル(C1-C8)エステルが、ミリスチン酸イソプロピルである、請求項13に記載の液体抗病原性農業用組成物。
【請求項15】
水および/または他の添加剤をさらに含み、0.1重量%から20重量%の前記アルキル(C12-C16)酸の少なくとも1種のアルキル(C1-C8)エステルと;1重量%から50重量%の前記少なくとも1種のアニオン性界面活性剤と、1重量%から50重量%の前記少なくとも1種の非イオン性界面活性剤と、2から80重量%の前記水または他の添加剤とを含み、液体濃縮物抗病原性農業用組成物を提供する、請求項13または14に記載の液体抗病原性農業用組成物。
【請求項16】
保存剤、透明化剤、凍結防止剤、ヒドロトロープ、安定剤、酸化防止剤、酸性化剤、キレート、錯化剤、染料、レオロジー調整剤、消泡剤、抗ドリフト剤および水、油または他の溶媒、ならびにそれらの組合せを含む群から選択される添加剤をさらに含む、請求項13から15のいずれか1項に記載の液体抗病原性農業用組成物。
【請求項17】
液体抗病原性農業用組成物を希釈する方法であって、
請求項1から17のいずれか1項に従って調製された濃縮形態の前記液体抗病原性農業用組成物を、1:5000から1:10の液体農業用アジュバント対水の重量比で水で希釈して、安定な希釈エマルジョンおよび/またはマイクロエマルジョンとして提供される希釈液体抗病原性農業用組成物を生成するステップ
を含む、方法。
【請求項18】
前記水が、アジュバント、殺虫剤、殺真菌剤、ダニ駆除剤、栄養素、殺ダニ剤、殺細菌剤、殺生物剤、殺卵剤、殺線虫剤、昆虫成長調節剤、植物成長調節剤、およびそれらの組合せを含む群から選択される少なくとも1種の農業用化合物をさらに含む、請求項17に記載の方法。
【請求項19】
前記液体抗病原性農業用組成物が、混合タンク、噴霧タンク、容器、またはインライン灌水システムで希釈される、請求項18に記載の方法。
【請求項20】
前記安定な希釈エマルジョンおよび/またはマイクロエマルジョンが、植物、雑草、種子、土壌、都市空間および森林を含む群の少なくとも1つのメンバーに、空気補助噴霧器、従来の噴霧器、例えば空中散布、静電噴霧、フォガーおよびミスト噴霧機器等の超低容積機器、ケミゲーションシステム、ピボット、スプリンクラー、ならびにそれらの組合せを含む群から選択される装置により塗布される、請求項19に記載の方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
開示の分野
本開示は、抗病原性農業用組成物、好ましくは濃縮物または希釈形態で提供され得る液体に関する。特に、本開示は、約100℃超の引火点を有する液体抗病原性農業用組成物に関する。組成物は、典型的には、アルキル(C12~C16)酸の少なくとも1種のアルキル(C1~C8)エステルと、アニオン性界面活性剤と、非イオン性界面活性剤とを含み、アルキル(C1~C16)酸の少なくとも1種のアルキル(C1~C8)エステルは、人間および/または動物への使用に安全である。
【背景技術】
【0002】
開示の背景
植物作物および家畜の商業的農業は、病気を引き起こす病原体の影響を非常に受けやすくなり得、これは、防除されないままだと(作物および/もしくは家畜を死滅させることにより)食料不足をもたらす、ならびに/または消費者に健康上のリスクをもたらす可能性がある。病原体は微生物の場合もあり、典型的には、真菌、細菌およびウイルスを含み得るが、これらに限定されない。病原体は、多くの場合、不適切な農作業および/もしくは畜産作業に起因して、ならびに/または急速な微生物繁殖を促進する高温および高湿度等の環境要因に起因して増殖する。農業および畜産において病原体の効果的な防除を提供することは、継続的な食料安全保障を確保するために必要不可欠である。病原体の効果的な防除は、従来の殺細菌剤または殺真菌剤を使用した通常の防除対策または処理に対する耐性の増加により妨げられている。そのような殺細菌剤および/または殺真菌剤耐性は、農産物からの病原体の防除および/または処理および/または除去において大きな問題をもたらす。
【0003】
同様に、不適切な農作業に起因して、昆虫および/または他の有害生物が大きな問題および/または健康上のリスクをもたらす場合が多い。いくつかの昆虫および/または有害生物はまた、野生環境から耕作地に移動することが知られており、さらに、典型的な防除手段は、遺伝子突然変異から発達した耐性によって妨げられている。耕作地内では、これらの昆虫および/または他の有害生物に天敵がいないことが多く、その集団を防除することは難しい課題である。
【0004】
また近年では、植物作物および動物から病原体の集団を防除および/または処理および/または低減および/または除去し得る、環境に優しい農業用組成物を提供する動きがみられる。消費者は、典型的には有機ならびに/または生分解性ならびに/または人間および動物に安全な生産物を利用することにより、環境に優しい様式で飼育、耕作または生産された食品の購入をより意識するようになっている。したがって、農業従事者および農薬部門は、種子および/もしくは植物および/もしくは動物、またはそれらの一部に投与された場合に安定であり、抗病原性を提供する環境に優しい農業用組成物を開発することが必要であった。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
病原体集団を防除するために、新しい革新的な農業用組成物を提供することが依然として必要であり、ならびに/または、前記病原体により引き起こされる病気を防除および/もしくは処理することが依然として必要である。広範には、先行技術において知られている欠点を少なくとも改善することが依然として必要である。
【課題を解決するための手段】
【0006】
開示の概要
広範には、本開示の第1の態様によれば、
(C12~C16)アルキル酸の少なくとも1種の(C1~C8)アルキルエステルと;
少なくとも1種のアニオン性界面活性剤と;
少なくとも1種の非イオン性界面活性剤と
を含む、液体抗病原性農業用組成物であって、
液体抗病原性農業用組成物が、約100℃超の引火点を有し;
アルキル(C12~C16)酸の少なくとも1種のアルキル(C1~C8)エステルが、25℃で約2重量%から約20重量%のパラフィンワックス溶解能力を有する、
液体抗病原性農業用組成物が提供される。
【0007】
抗病原性農業用組成物は、殺真菌剤、殺細菌剤、殺虫剤、殺ダニ剤、殺線虫剤、殺有害生物剤またはそれらの組合せを提供し得る。典型的には、抗病原性農業用組成物は、殺菌剤および殺虫剤を提供し得る。病原体は、Aspergillus niger、Botrytis cinereal、Colletotrichum fioriniae、Fusarium moniliforme、Fusarium oxysporum、Macrophomina phaseolina、Verticillium dahlia、およびXanthomonas arboricola pv.Juglandisを含む群を含み得るが、これらに限定されない。
【0008】
抗病原性農業用組成物は、液体濃縮物抗病原性農業用組成物を提供する濃縮物形態であってもよいことが理解されるべきである。液体濃縮物抗病原性農業用組成物は、水および/または他の溶媒で希釈されて、希釈液体抗病原性農業用組成物を提供し得る。液体濃縮物抗病原性農業用組成物は、乳化性またはマイクロエマルジョン化濃縮物として配合され得る。
【0009】
「マイクロエマルジョン化」という用語は、本明細書で使用される場合、等方性および熱力学的に安定な系である水および/または油および/または界面活性剤で作製された分散体を指す。液体濃縮物抗病原性農業用組成物(好ましくは液体濃縮物殺菌剤および殺虫剤農業用組成物)は、使用のために、水または他の化学物質、例えば、水、グリコールおよびアルコールまたは他の水混和性液体、例えばメタノール、エタノール、モノエチレングリコール、プロピレングリコール等の溶液に希釈され、希釈液体抗病原性農業用組成物を提供し得る。
【0010】
アルキル(C12~C16)酸の少なくとも1種のアルキル(C1~C8)エステルは、これらに限定されないが、天然または合成、直鎖または分岐状、飽和または不飽和、修飾または非修飾を含む群から選択され得、アルキルエステルは、これらに限定されないが、メチルエステル、エチルエステル、プロピルエステル、ブチルエステル、イソプロピルエステル、イソブチルエステル、イソペンチルエステル、2~エチルヘキシルエステル、またはそれらの構成成分もしくは組合せの群から選択される化合物であってもよい。
【0011】
アルキル(C12~C16)酸の少なくとも1種のアルキル(C1~C8)エステルは、これらに限定されないが、ラウリン酸、トリデシル酸、ミリスチン酸、ペンタデカン酸、パルミチン酸、およびそれらの組合せを含む群から選択されるアルキル酸から誘導され得る。
【0012】
アルキル(C12~C16)酸の少なくとも1種のアルキル(C1~C8)エステルは、これらに限定されないが、ラウリン酸イソブチル、ラウリン酸イソペンチル、ラウリン
酸メチル、ラウリン酸2~エチルヘキシル、パルミチン酸2~エチルヘキシル、ラウリン酸イソプロピル、ミリスチン酸イソプロピル、パルミチン酸イソプロピル、およびそれらの組合せを含む群から選択され得る。好ましい実施形態において、アルキル(C12~C16)酸の少なくとも1種のアルキル(C1~C8)エステルは、ミリスチン酸イソプロピルおよび/またはラウリン酸イソプロピルであってもよい。
【0013】
少なくとも1種のアニオン性界面活性剤は、これらに限定されないが、(C6~C18)アルキルベンゼンスルホン酸塩、ドデシルベンゼンスルホン酸カルシウム、ドデシルベンゼンスルホン酸ナトリウム、アミン(C6~C18)アルキルベンゼンスルホネート、トリエタノールアミンドデシルベンゼンスルホネート、(C6~C18)アルキルエーテルスルフェート、(C6~C18)アルキルエトキシル化エーテルスルフェート、(C6~C18)アルキルスルフェート、ラウリルエーテルポリエトキシル化ナトリウムスルフェート、(C6~C18)アルキルホスフェートエステル、(C6~C18)アルコキシル化スルフェート、(C6~C18)アルコキシル化ホスフェートエステル、キシレンスルホネート塩、クメンスルホネート塩、およびそれらの組合せを含む群から選択され得る。
【0014】
少なくとも1種の非イオン性界面活性剤は、これらに限定されないが、天然および/または合成(C8~C22)アルコキシル化脂肪アルコール、(C8~C22)エトキシル化脂肪アルコール、(C8~C22)プロポキシル化脂肪アルコール、(C8~C22)エトキシル化およびプロポキシル化脂肪アルコール、直鎖(C4~C10)アルキル(ポリ)グリコシド、分岐鎖(C4~C10)アルキル(ポリ)グリコシド;およびアルコキシル化ソルビタン脂肪エステル、アルコキシル化ソルビトール脂肪エステル、エトキシル化ソルビタン脂肪エステル、エトキシル化ソルビトール脂肪エステル、ポリオキシエチレンソルビタンモノラウレート、ポリオキシエチレンソルビタンモノパルミテート、ポリオキシエチレンソルビタンモノステアレート、およびそれらの組合せを含む群から選択され得る。
【0015】
脂肪酸のエトキシル化脂肪アルコールは、1から50、より好ましくは2から30、最も好ましくは3から10のエトキシル化度を有し得る。
【0016】
使用に企図されるいくつかのアルコキシル化アルコールは、分岐状アルコール、例えばGuerbetアルコール、例えば2~プロピルヘプタノールおよび2~エチルヘキサノール、ならびにC10~オキソ~アルコールまたはC13オキソ~アルコール、すなわち主成分が少なくとも1種の分岐状C10~アルコールまたはC13~アルコールにより形成されたアルコール混合物、ならびにExxon Mobile ChemicalsからExxalアルコールとして、およびShell ChemicalsからNeodol アルコールとして市販されているアルコールをベースとしたものを含む。
【0017】
液体濃縮物抗病原性農業用組成物は、これらに限定されないが、保存剤、透明化剤、凍結防止剤、ヒドロトロープ、安定剤、酸化防止剤、酸性化剤、キレート、錯化剤、染料、レオロジー調整剤、消泡剤、抗ドリフト剤および水、油、テルペン、テルペン含有油、または他の溶媒、ならびにそれらの組合せを含む群から選択される添加剤をさらに含んでもよい。
【0018】
液体濃縮物抗病原性農業用組成物(好ましくは液体濃縮物殺菌剤および殺虫剤農業用組成物)のある特定の実施形態において、アルキル(C12~C16)酸の少なくとも1種のアルキル(C1~C8)エステルは、約0.1重量%から約30重量%の量で存在してもよく、少なくとも1種のアニオン性界面活性剤は、約1重量%から約50重量%の量で存在してもよく、少なくとも1種の非イオン性界面活性剤は、約1重量%~約50重量%
の量で存在してもよい。液体濃縮物抗病原性農業用組成物は、さらに水または他の溶媒で希釈されて、希釈液体抗病原性農業用組成物を提供し得ることが理解されるべきである。
【0019】
液体濃縮物抗病原性農業用組成物(好ましくは液体濃縮物殺菌剤および殺虫剤農業用組成物)の他の実施形態において、アルキル(C12~C16)酸の少なくとも1種のアルキル(C1~C8)エステルは、約0.1重量%から約20重量%、好ましくは約2重量%から約15重量%の量で存在してもよく、少なくとも1種のアニオン性界面活性剤は、約3重量%から約20重量%の量で存在してもよく、少なくとも1種の非イオン性界面活性剤は、約5重量%から約30重量%の量で存在する。液体濃縮物抗病原性農業用組成物は、さらに水または他の溶媒で希釈されて、希釈液体抗病原性農業用組成物を提供し得ることが理解されるべきである。
【0020】
液体濃縮物抗病原性農業用組成物(好ましくは液体濃縮物殺菌剤および殺虫剤農業用組成物)は、典型的には液体農業用殺菌剤および殺虫剤が、約0.1から約20重量%のアルキル(C12~C16)酸の少なくとも1種のアルキル(C1~C8)エステルと;約1から約50重量%の少なくとも1種のアニオン性界面活性剤と、約1から約50重量%の少なくとも1種の非イオン性界面活性剤と、約2から約80重量%の水および/または他の添加剤とを含むように、水および/または他の添加剤をさらに含んでもよい。この実施形態は、それでも濃縮物形態の組成物であってもよい。水または他の化学物質によるさらなる希釈は、希釈液体抗病原性農業用組成物を提供し得る。
【0021】
本開示の例示的実施形態において、約0.1重量%から約30重量%、好ましくは約2重量%から約15重量%の量で存在するアルキル(C12~C16)酸の少なくとも1種のアルキル(C1~C8)エステルと;約3重量%から約20重量%の量で存在する少なくとも1種のアニオン性界面活性剤と;約5重量%から約30重量%の量で存在する少なくとも1種の非イオン性界面活性剤とを含む、液体濃縮物殺菌剤および殺虫剤農業用組成物が提供され;
アルキル(C12~C16)酸の少なくとも1種のアルキル(C1~C8)エステルは、これらに限定されないが、ラウリン酸イソブチル、ラウリン酸イソペンチル、ラウリン酸メチル、ラウリン酸2~エチルヘキシル、パルミチン酸2~エチルヘキシル、ラウリン酸イソプロピル、ミリスチン酸イソプロピル、パルミチン酸イソプロピル、およびそれらの組合せを含む群から選択され;
少なくとも1種のアニオン性界面活性剤は、これらに限定されないが、(C6~C18)アルキルベンゼンスルホン酸塩、ドデシルベンゼンスルホン酸カルシウム、ドデシルベンゼンスルホン酸ナトリウム、アミン(C6~C18)アルキルベンゼンスルホネート、トリエタノールアミンドデシルベンゼンスルホネート、(C6~C18)アルキルエーテルスルフェート、(C6~C18)アルキルエトキシル化エーテルスルフェート、(C6~C18)アルキルスルフェート、ラウリルエーテルポリエトキシル化ナトリウムスルフェート、(C6~C18)アルキルホスフェートエステル、(C6~C18)アルコキシル化スルフェート、(C6~C18)アルコキシル化ホスフェートエステル、キシレンスルホネート塩、クメンスルホネート塩、およびそれらの組合せを含む群から選択され;
少なくとも1種の非イオン性界面活性剤は、これらに限定されないが、(C8~C22)アルコキシル化脂肪アルコール、(C8~C22)エトキシル化脂肪アルコール、(C8~C22)プロポキシル化脂肪アルコール、(C8~C22)エトキシル化およびプロポキシル化脂肪アルコール、直鎖(C4~C10)アルキル(ポリ)グリコシド、分岐鎖(C4~C10)アルキル(ポリ)グリコシド;およびアルコキシル化ソルビタン脂肪エステル、アルコキシル化ソルビトール脂肪エステル、エトキシル化ソルビタン脂肪エステル、エトキシル化ソルビトール脂肪エステル、ポリオキシエチレンソルビタンモノラウレート、ポリオキシエチレンソルビタンモノパルミテート、ポリオキシエチレンソルビタンモノステアレート、ならびにそれらの組合せを含む群から選択される。
【0022】
本開示の例示的実施形態は、組成物が約0.1重量%から約20重量%のアルキル(C12~C16)酸の少なくとも1種のアルキル(C1~C8)エステルと;約1重量%から約50重量%の少なくとも1種のアニオン性界面活性剤と、約1重量%から約50重量%の少なくとも1種の非イオン性界面活性剤と、約2重量%から約80重量%の水および/または他の添加剤とを含むように、希釈剤としての水および/または他の添加剤をさらに含んでもよい。この実施形態は、それでも濃縮物形態の組成物であってもよい。水または他の化学物質によるさらなる希釈は、希釈液体抗病原性農業用組成物を提供し得る。
【0023】
添加剤は、これらに限定されないが、保存剤、透明化剤、凍結防止剤、ヒドロトロープ、安定剤、酸化防止剤、酸性化剤、キレート、錯化剤、染料、レオロジー調整剤、消泡剤、抗ドリフト剤および水、油または他の溶媒、ならびにそれらの組合せを含む群から選択される少なくとも1種であってもよい。
【0024】
油は、アルキル脂肪酸エステル、例えばメチルエステル、エチルエステル、プロピルエステル、ブチルエステル、2~エチルヘキシルエステルまたはドデシルエステル等のエステル化またはエステル交換により修飾された天然化合物であってもよく、好ましくはグリコールまたはグリセロール脂肪酸、例えば(C10~C22)脂肪酸エステル、例えば植物油、好ましくは油生成植物種、例えば中でも純粋な、または1種もしくは複数種の油と組み合わされた、様々な植物もしくは植物の部分、例えば木、低木、葉、花、草、流体、草本、果実および種子から抽出された精油もしくは食用油と混合された、または互いに混合された大豆、トウモロコシ、ヒマワリ、菜種油、綿実油、亜麻仁油、パーム油、ベニバナ、ココナツ油、ヒマシ油、オリーブ油、キャノーラ油からのものである。
【0025】
液体濃縮物抗病原性農業用組成物は、クローズドカップデバイスで測定される約100℃超の引火点を有してもよく、アルキル(C12~C16)酸の少なくとも1種のアルキル(C1~C8)エステルは、25℃で少なくとも2重量%のパラフィンワックス(CAS番号8002~74~2)溶解能力を有してもよく、乳化性またはマイクロエマルジョン化液体濃縮物抗病原性農業用組成物は、1:5000から1:10の割合で水または他の化学物質と混合されたタンク混合物または灌水システムで塗布されるように希釈され、空気補助噴霧器、従来の噴霧器、例えば空中散布、静電噴霧、フォガーおよびミスト噴霧機器等の超低容積機器、ならびにピボットおよびスプリンクラー等のケミゲーションシステムにより塗布される希釈液体抗病原性農業用組成物を提供し得る。
【0026】
本開示の第1の態様による液体濃縮物抗病原性農業用組成物は、高い引火点(約100℃超)、ならびに工業、芝地、装飾品、園芸および農業の努力傾注分野での使用のための生物有効性を促進するエピクチクラワックス適合性を有する、安定な乳化性またはマイクロエマルジョン化液体を提供する。抗病原性組成物は、人間および/または動物に安全である。液体濃縮物抗病原性農業用組成物は、特に希釈液体抗病原性農業用組成物として使用された場合、標的作物または有害生物のエピクチクラを通した活性成分(追加的に殺菌剤および殺虫剤を含む)の浸透の改善を提供する。これは、塗布または使用された場合にエンドユーザに有利である、安定な乳化性またはマイクロエマルジョン化可能な液体を提供する本開示の独特の化学配合物である。
【0027】
本開示の第2の態様によれば、本開示の第1の態様による液体抗病原性農業用組成物を希釈する方法であって、
上記の本開示の第1の態様による液体濃縮物抗病原性農業用組成物を、約1:5000から約1:10の液体濃縮物抗病原性農業用組成物対水の重量比で水で希釈して、希釈液体抗病原性農業用組成物を生成するステップを含む、方法が提供される。希釈液体抗病原性農業用組成物は、安定な希釈エマルジョンおよび/またはマイクロエマルジョンとして
提供され得る。水は、これらに限定されないが、アジュバント、殺虫剤、殺真菌剤、ダニ駆除剤、栄養素、殺ダニ剤、殺細菌剤、殺生物剤、殺卵剤、殺線虫剤、昆虫成長調節剤、植物成長調節剤およびそれらの組合せを含む群から選択される少なくとも1種の農業用化学化合物をさらに含んでもよいことが理解されるべきである。
【0028】
本開示の第3の態様によれば、病原体の防除および/または前記病原体により引き起こされる病気の処理に使用するための、本明細書で上述された本開示の第1の態様の液体抗病原性農業用組成物(濃縮物形態および/または希釈形態)が提供される。
【0029】
本開示の第4の態様によれば、病原体を防除および/もしくは処理する方法、ならびに/または前記病原体により引き起こされる病気を処理する方法であって、本明細書で上述された本開示の第1の態様の液体抗病原性農業用組成物を、植物または種子上に、またはその近くに塗布するステップを含む、方法が提供される。
【0030】
液体抗病原性農業用組成物が液体濃縮物抗病原性農業用組成物であり、これらに限定されないが、混合タンク、噴霧タンク、容器、またはインライン灌水システムの群の少なくとも1つで希釈され、例えばアジュバントのワックス溶解能力による、植物内への加速された取込み、または病気を引き起こす昆虫もしくは菌類もしくは他の病原体との相互作用によって耐雨性を促進する安定な希釈エマルジョンまたはマイクロエマルジョンであってもよい希釈液体抗病原性農業用組成物を提供し得る方法。
【0031】
安定な希釈エマルジョンおよび/またはマイクロエマルジョンが、これらに限定されないが植物、雑草、種子、土壌、都市空間および森林を含む群の少なくとも1つのメンバーに、これらに限定されないが空気補助噴霧器、従来の噴霧器、例えば空中散布、静電噴霧、フォガーおよびミスト噴霧機器等の超低容積機器、ケミゲーションシステム、ピボット、スプリンクラー、ならびにそれらの組合せを含む群から選択される装置により塗布され得る方法。本開示は、液体農業用殺菌剤および殺虫剤の使用にも及ぶ。
【図面の簡単な説明】
【0032】
【
図1】本開示の組成物および他の化合物への曝露(またはそれらによる処理)後のAspergillus nigerの阻害パーセンテージを示すグラフである。
【
図2】本開示の組成物および他の化合物への曝露(またはそれらによる処理)後のBotrytis cinereaの阻害パーセンテージを示すグラフである。
【
図3】本開示の組成物および他の化合物への曝露(またはそれらによる処理)後のColletotrichum fioriniaeの阻害パーセンテージを示すグラフである。
【
図4】本開示の組成物および他の化合物への曝露(またはそれらによる処理)後のFusarium moniliformeの阻害パーセンテージを示すグラフである。
【
図5】本開示の組成物および他の化合物への曝露(またはそれらによる処理)後のFusarium oxysporumの阻害パーセンテージを示すグラフである。
【
図6】本開示の組成物および他の化合物への曝露(またはそれらによる処理)後のMacrophomina phaseolinaの阻害パーセンテージを示すグラフである。
【
図7】本開示の組成物および他の化合物への曝露(またはそれらによる処理)後のVerticillium dahliaの阻害パーセンテージを示すグラフである。
【
図8】本開示の組成物および他の化合物への曝露(またはそれらによる処理)後のXanthomonas arboricola pv. juglandisの阻害パーセンテージを示すグラフである。
【発明を実施するための形態】
【0033】
開示の詳細な説明
開示の概要の内容は、本明細書において反復を避けるために参照目的で繰り返される。概して、生物有効性を促進し、標的作物または有害生物のエピクチクラを通した活性成分(栄養素、殺有害生物剤等)の浸透の改善を提供するエピクチクラワックス適合性を有する、約100℃超の高い引火点を有する安定な乳化性および/またはマイクロエマルジョン化液体殺菌剤および殺虫剤(濃縮物形態および希釈形態)が提供される。より高い引火点は、植物表面から蒸発し得る化学物質(活性成分、アジュバント、界面活性剤等)の量を制限するため有利である。多くの場合、1つの物理化学的性質の改善(例えば引火点の増加)は、別の物理化学的性質(安定性、溶解度、揮発性、分散性、粘度、粒子サイズ、有効性等)に悪影響を及ぼし得る。出願人は、驚くべきことに、本明細書に記載の開示が、業界標準を上回る安定な乳化性および/またはマイクロエマルジョン化液体抗病原性農業用組成物を提供することを見出した。
【0034】
概して、本開示の第1の態様は、アルキル(C12~C16)酸の少なくとも1種のアルキル(C1~C8)エステルと;少なくとも1種のアニオン性界面活性剤と;少なくとも1種の非イオン性界面活性剤とを含む液体抗病原性(好ましくは殺菌剤および殺虫剤)農業用組成物(濃縮物形態)を提供する。組成物は、約100℃超の引火点を有し、アルキル(C12~C16)酸の少なくとも1種のアルキル(C1~C8)エステルは、25℃で2重量%から20重量%のパラフィンワックス(CAS番号8002-74-2)溶解能力を有する。濃縮物組成物は、水または他の溶媒で希釈されて、典型的には農業において植物またはその一部に塗布される希釈液体抗病原性農業用組成物を提供し得る。
【0035】
本開示は、第1の態様による液体抗病原性農業用組成物を製造する方法、および典型的には農業の努力傾注分野における使用方法に及ぶ。
【0036】
定義
「アジュバント」という用語は、本明細書で使用される場合、広義の用語であり、当業者には通常の慣例的な意味が付与され(また特殊または特別な意味に限定されない)、限定されることなく、他の薬剤の効果を調整し、より具体的には、殺有害生物剤、例えば除草剤、殺虫剤、殺菌剤および他の薬剤の有効性を高めるために使用される薬剤を指す。
「安定」という用語は、本明細書で使用される場合、「エマルジョン」という用語と組み合わされる、またはそれに関連する広義の用語であり、当業者には通常の慣例的な意味が付与され(また特殊または特別な意味に限定されない)、限定されることなく、エマルジョン安定性を指し、すなわちエマルジョン中の液滴のサイズが経時的に、より具体的には水と混合された標的に塗布される期間に大幅に変化しないような、その性質の経時的な変化に抵抗するエマルジョンの能力を指し、したがってこれには当業者には慣例的な通常の意味が付与される。「安定」という用語は、本明細書で使用される場合、「加速貯蔵安定性」という用語と組み合わされる、またはそれに関連する広義の用語であり、試料が室温(約20℃)、低温(0℃または5℃)、高温(54℃)の少なくとも3つの条件で15日間貯蔵された後に、配合物が物理化学的性質に関して同様の性能を維持することを意味する。貯蔵安定性試験は、CIPAC MT 36法に従って行われた。
【0037】
「溶媒」という用語は、本明細書で使用される場合、広義の用語であり、当業者には通常の慣例的な意味が付与され(また特殊または特別な意味に限定されない)、限定されることなく、極性または非極性、直鎖または分岐状、環状または脂肪族、芳香族、ナフテン系であってもよく、また中でもアルコール、エステル、ジエステル、ケトン、アセテート、テルペン、スルホキシド、グリコール、パラフィン、炭化水素、無水物、ヘテロ環式を含むがこれらに限定されない他の化合物または手段に対する溶解性のいくつかの特徴を有する化合物を指す。
【0038】
基が「任意選択で置換された」と説明されている場合、その基は、置換されていなくてもよく、または示された置換基の1つもしくは複数で置換されていてもよい。同様に、基が「置換されていない、または置換された」と説明され、置換されている場合には、置換基は1種または複数種の示された置換基から選択され得る。置換基が示されていない場合、示された「任意選択で置換された」または「置換された」基は、アルキル、アルケニル、アルキニル、シクロアルキル、シクロアルケニル、シクロアルキニル、アリール、ヘテロアリール、ヘテロアリシクリル、アラルキル、ヘテロアラルキル、(ヘテロアリシクリル)アルキル、ヒドロキシ、保護ヒドロキシル、アルコキシ、アリールオキシ、アシル、メルカプト、アルキルチオ、アリールチオ、シアノ、ハロゲン、チオカルボニル、O~カルバミル、N~カルバミル、O~チオカルバミル、N~チオカルバミル、C~アミド、N~アミド、S~スルホンアミド、N~スルホンアミド、C~カルボキシ、保護C~カルボキシ、O~カルボキシ、イソシアナト、チオシアナト、イソチオシアナト、ニトロ、シリル、スルフェニル、スルフィニル、スルホニル、ハロアルキル、ハロアルコキシ、トリハロメタンスルホニル、トリハロメタンスルホンアミド、アミノ、一置換アミノおよび二置換アミノ基、ならびにそれらの保護誘導体から個々に独立して選択される1つまたは複数の基で置換されていてもよいことを意味している。
【0039】
「アルキル」という用語は、本明細書で使用される場合、広義の用語であり、当業者には通常の慣例的な意味が付与され(また特殊または特別な意味に限定されない)、限定されることなく、1個、2個、3個、4個、5個、6個、7個、8個、9個、10個、11個、12個、13個、14個、15個、16個、17個、18個、19個、20個、21個、22個、23個、24個、25個、26個、27個、28個、29,30個、31個、32個、33個、34個、35個、36個またはそれより多くの炭素原子を含む、直鎖または分岐状、非環式または環式、不飽和または飽和脂肪族炭化水素を指し、「低級アルキル」という用語は、アルキルと同じ意味を有するが、1個、2個、3個、4個、5個または6個の炭素原子を含む。代表的な飽和直鎖アルキルは、メチル、エチル、n~プロピル、n~ブチル、n~ペンチル、n~ヘキシル等を含み、一方飽和分岐状アルキルは、イソプロピル、sec~ブチル、イソブチル、tert~ブチル、イソペンチル等を含む。不飽和アルキルは、隣接炭素原子間に少なくとも1つの二重または三重結合を含む(それぞれ「アルケニル」または「アルキニル」と呼ばれる)。代表的な直鎖および分岐状アルケニルは、エチレニル、プロピレニル、1~ブテニル、2~ブテニル、イソブチレニル、1~ペンテニル、2~ペンテニル、3~メチル~1~ブテニル、2~メチル~2~ブテニル、2,3~ジメチル~2~ブテニル等を含み、一方代表的な直鎖および分岐状アルキニルは、アセチレニル、プロピニル、1~ブチニル、2~ブチニル、1~ペンチニル、2~ペンチニル、3~メチル~1ブチニル等を含む。典型的なアルキル基は、メチル、エチル、プロピル、イソプロピル、ブチル、イソブチル、tert~ブチル、ペンチル、ヘキシル、ヘプチル、オクチル、ノニル、デシル、ウンデシル、ドデシル、トリデシル、テトラデシル、ペンタデシル、ヘキサデシル、ヘプタデシル、オクタデシル、ノナデシル、エイコシル、ヘンエイコシル、ドコシル、トリコシル、テトラコシル、ペンタコシル、ヘキサコシル、ヘプタコシル、オクタコシル、ノナコシル、トリアコンチル、ヘナトリアコンチル、ドトリアコンチル、トリトリアコンチル、テトラトリアコンチル、ペンタトリアコンタニル、およびヘキサトリアコンタンを含むが、これらに限定されない。アルキル基は、置換されていてもよく、または置換されていなくてもよい。
【0040】
「アルコキシ」という用語は、本明細書で使用される場合、広義の用語であり、当業者には通常の慣例的な意味が付与され(また特殊または特別な意味に限定されない)、限定されることなく、酸素架橋(すなわち-O-アルキル)を介して結合したアルキル部分、例えばメトキシ、エトキシ等を指す。
【0041】
「チオアルキル」という用語は、本明細書で使用される場合、広義の用語であり、当業
者には通常の慣例的な意味が付与され(また特殊または特別な意味に限定されない)、限定されることなく、硫黄架橋(すなわち-S-アルキル)を介して結合したアルキル部分、例えばメチルチオ、エチルチオ等を指す。
【0042】
「アルコール」という用語は、本明細書で使用される場合、広義の用語であり、当業者には通常の慣例的な意味が付与され(また特殊または特別な意味に限定されない)、限定されることなく、1つもしくは複数のヒドロキシ基を組み込んだ、または1つもしくは複数のヒドロキシ基で置換もしくはそれを含むように官能化された本明細書に記載の任意の化合物を指す。
【0043】
「エステル」という用語は、本明細書で使用される場合、広義の用語であり、当業者には通常の慣例的な意味が付与され(また特殊または特別な意味に限定されない)、限定されることなく、モノエステル、ジエステル、トリエステルもしくはポリエステル等の1つもしくは複数のエステル基を組み込んだ、または1つもしくは複数のエステル基で置換もしくはそれを含むように官能化された本明細書に記載の任意の化合物を指す。エステルは、これに限定されないが、脂肪酸エステルを含む。
【0044】
「アセテート」という用語は、本明細書で使用される場合、広義の用語であり、当業者には通常の慣例的な意味が付与され(また特殊または特別な意味に限定されない)、限定されることなく、1つまたは複数のアセテート基を組み込んだ本明細書に記載の任意の化合物、例えばCH3COO~部分を組み込んだ塩、エステルまたは他の化合物を指す。
【0045】
「テルペン」という用語は、本明細書で使用される場合、広義の用語であり、当業者には通常の慣例的な意味が付与され(また特殊または特別な意味に限定されない)、限定されることなく、針葉樹等の植物の樹脂から誘導される任意の化合物、または植物誘導性テルペンと同じ構造を有する合成的に生成された化合物を指す。テルペンは、追加の官能基を含む炭化水素およびテルペノイド、ならびに精油を含み得る。テルペンは、式(C5H8)n(式中、nは、連結イソプレン単位の数(例えば1個、2個、3個、4個、5個、6個、7個、8個、9個、10個、またはそれより多い)である)を有する化合物を含み得る。
【0046】
「テルペン含有天然油」という用語は、本明細書で使用される場合、広義の用語であり、当業者には通常の慣例的な意味が付与され(また特殊または特別な意味に限定されない)、限定されることなく、オレンジ油、グレープフルーツ油、レモン油、ライム油、タンジェリン油およびパイン油、またはそれらの成分からなる群から選択されるがこれらだけではない、少なくとも50%のテルペンを含む天然油を指す。
【0047】
「スルホキシド」という用語は、本明細書で使用される場合、広義の用語であり、当業者には通常の慣例的な意味が付与され(また特殊または特別な意味に限定されない)、限定されることなく、1つもしくは複数のスルフィニル(SO)基を組み込んだ、または1つもしくは複数のスルフィニル基で置換もしくはそれを含むように官能化された本明細書に記載の任意の化合物を指す。
【0048】
「グリコール」という用語は、本明細書で使用される場合、広義の用語であり、当業者には通常の慣例的な意味が付与され(また特殊または特別な意味に限定されない)、ジオール、例えばポリアルキレングリコール、例えばポリエチレングリコール(式H(OCH2CH2)nOH(式中、nは3より大きい)を有するポリマー)、ポリプロピレングリコール、またはより長い炭化水素鎖を含むモノマーを組み込んだグリコールを含み得る。
【0049】
「パラフィン」という用語は、本明細書で使用される場合、広義の用語であり、当業者
には通常の慣例的な意味が付与され(また特殊または特別な意味に限定されない)、限定されることなく、より重質のアルカン、例えば室温で液体またはワックスを形成するアルカン、および官能化パラフィン、例えば塩素化パラフィン、ならびに炭化水素を含む鉱物油または合成油を指す。室温とは、本明細書で使用される場合、例えば温度と湿度が調節された建物内での周囲条件、例えばおよそ20℃を指す。
【0050】
「炭化水素」という用語は、本明細書で使用される場合、広義の用語であり、当業者には通常の慣例的な意味が付与され(また特殊または特別な意味に限定されない)、限定されることなく、炭素原子および水素原子のみを含む任意の化合物を指す。官能化または置換炭化水素は、本明細書の別の箇所に記載の1つまたは複数の置換基を有する。
【0051】
「無水物」という用語は、本明細書で使用される場合、広義の用語であり、当業者には通常の慣例的な意味が付与され(また特殊または特別な意味に限定されない)、限定されることなく、1つもしくは複数の(式(RC(O))2Oの)無水物基を組み込んだ、または1つもしくは複数の無水物基で置換もしくはそれを含むように官能化された本明細書に記載の任意の化合物を指す。
【0052】
「スルホン酸」という用語は、本明細書で使用される場合、広義の用語であり、当業者には通常の慣例的な意味が付与され(また特殊または特別な意味に限定されない)、限定されることなく、例えばギ酸、酢酸、コハク酸、乳酸、リンゴ酸、酒石酸、クエン酸、アスコルビン酸、ニコチン酸、メタンスルホン酸、エタンスルホン酸、p~トルエンスルホン酸、サリチル酸またはナフタレンスルホン酸を指す。スルホン酸は、ヒドロカルビルスルホン酸、例えば中でもアリールスルホン酸、アルキルベンゼンスルホン酸を含み得る。
【0053】
「植物油」という用語は、本明細書で使用される場合、広義の用語であり、当業者には通常の慣例的な意味が付与され(また特殊または特別な意味に限定されない)、限定されることなく、植物性物質の油性脂肪酸構成成分、例えば飽和脂肪酸、一価不飽和脂肪酸、多価不飽和脂肪酸等を指す。植物油は、官能化、例えばアルコキシル化、ヒドロキシル化、アミン化等がなされていてもよい。官能化植物油は、植物油または他の脂肪性物質の誘導体、または物質の起源とは無関係の同様の組成を有する物質である。いくつかの実施形態において、官能化植物油は、エポキシ化不飽和トリグリセリドである。エポキシ化不飽和トリグリセリドは、グリセリンのトリ~エステルである。グリセリンは、3つの直鎖または分岐状カルボン酸に結合し、カルボン酸の少なくとも1つはエポキシド部分を含む。例えば、エポキシ化不飽和トリグリセリドは、植物または動物脂肪または油等の不飽和脂肪酸トリグリセリドの誘導体であってもよく、親不飽和脂肪酸トリグリセリドのC=C部分の少なくとも1つがエポキシド部分(すなわち酸素を含む三員環)で置き換えられている。親不飽和脂肪酸トリグリセリドが2つ以上のC=C部分を有する場合、C=C部分の1つ、一部または全てがエポキシド部分で置き換えられていてもよい。本明細書において「植物油」という用語が使用される場合、植物油と同じ化学構造を有する動物脂肪、または合成起源の油が含まれることが理解される。植物または動物脂肪または油の例は、ココナツ油、トウモロコシ油、綿実油、オリーブ油、パーム油、落花生油、菜種油、キャノーラ油、ベニバナ油、ゴマ油、大豆油、ヒマワリ油、ヒマシ油、タロウ油等を含む。
【0054】
本明細書で使用される場合、任意の化合物の略語は、別段に指定されない限り、その一般的な用法、認識されている略語、またはIUPAC-IUB生化学命名委員会に従う(Biochem. 11:942-944(1972)を参照されたい)。
【0055】
本明細書において言及されるパーセンテージ、比率またはその他の量はいずれも、別段に指定されない限り重量基準である。
【0056】
本明細書において言及される環系は、分離した単環式部分だけでなく、縮合環、架橋環、およびスピロ環部分を含む。
【実施例0057】
実施例
以下の例は、本開示を限定するものとみなされるべきではない。本明細書の上記の開示の概要および詳細な説明においてなされた広範な開示は、参照目的で繰り返される。出願人は、本明細書に記載の液体抗病原性農業用組成物およびその使用に関するさらなる実験プロトコルの実行を想定している。
【0058】
ワックス溶解度試験
パラフィンワックス溶解度試験の準備方法
パラフィンワックスを溶解する溶媒の能力を評価するための方法を開発したが、これは、ある特定の溶媒が植物または昆虫のエピクチクラ表面に塗布された場合にどのような性能を示すかを理解するのに役立つ。
【0059】
パラフィンワックス溶解度試験を準備するための方法は、溶媒が少なくとも24時間の期間中にパラフィンワックス(CAS番号8002-74-2)を溶解する速度を定義する。試験を行うためのステップは以下の通りである:a)98グラムの溶媒を8ozのガラス瓶に量り取る;b)溶媒を入れた瓶を実験室用天秤に置き、重量をゼロに補正する;c)2グラムの溶融(110°Fまたは43.3℃)パラフィンワックスを溶媒に添加し、その中に1インチの磁気撹拌棒を入れて蓋をする;d)溶媒およびパラフィンワックス試料を含む瓶を磁気撹拌プレートに置き、350rpmで撹拌を開始する-各試料に対して時計カウンタを開始する;e)パラフィンワックスの全量が溶解したかどうかを観察し、溶解したら時間を記録する。
【0060】
【0061】
本開示による生成物の例
殺菌剤および殺虫剤濃縮物の調製方法
例示を目的として、限定されない例において使用される液体抗病原性農業用組成物(好ましくは液体殺菌剤および殺虫剤農業用組成物)(濃縮物形態)を調製するための方法は、(i)水および/または油の一部と共に槽内で混合するステップと、(ii)少なくとも1種のアニオン性界面活性剤、例えばラウリルエーテル硫酸ナトリウムを添加するステップと、(iii)少なくとも1種の非イオン性界面活性剤、例えばエトキシル化脂肪アルコールを添加するステップと、(iv)アルキル(C12~C16)酸のアルキル(C
1~C8)エステルの群からの少なくとも1種の溶媒、例えばミリスチン酸イソプロピルおよび/またはラウリン酸イソプロピルを添加するステップとを含む。方法は、任意選択で、(v)少なくとも1種の添加剤、例えばこれらに限定されないが保存剤および/または着色剤を添加する追加的なさらなるステップを含んでもよい。典型的には、上記ステップは、ステップ(i)からステップ(iv)、およびさらなる任意選択のステップ(v)の順番で行われる。混合物は継続的に撹拌される。加熱は必ずしも必要ではないが、各化合物の物理状態に応じて有利に使用され得る。ある特定の成分に対してより低い温度またはより高い温度が使用されてもよい。温度は、成分の分解または望ましくない反応を回避しながら所望の期間内に混合を促進するように選択され得る。特定の目的のために、他の添加剤、例えばこれらに限定されないが透明化剤、消泡剤、凍結防止剤、ヒドロトロープ、UV安定剤、着色剤、栄養素、アミノ酸、海洋抽出物、抗ドリフト剤、凍結防止剤、および水、油、テルペン、テルペン含有油、または他の溶媒ならびにそれらの組合せ等もまた添加され得る。
【0062】
希釈液体抗病原性(殺菌剤および殺虫剤)農業用組成物は、様々な比率の成分、典型的にはその濃縮液体形態の殺菌剤および殺虫剤組成物を含み得、約1から約30%のアルキル(C12~C16)酸の少なくとも1種のアルキル(C1~C8)エステルと;約1から約30重量%の少なくとも1種のアニオン性界面活性剤と;約1から約40重量%の1種または複数種の非イオン性界面活性剤と;約2から約80%の水、油または他の添加剤とを含む。
【0063】
具体的には、液体濃縮物抗病原性(殺菌剤および殺虫剤)農業用組成物(すなわちその濃縮液体形態の液体抗病原性農業用組成物)は、1から30重量%、好ましくは3から12重量%のアルキル(C12~C16)酸の少なくとも1種のアルキル(C1~C8)エステルと;1から30重量%、好ましくは3から20重量%を構成する少なくとも1種のアニオン性界面活性剤と;1から40重量%、好ましくは5から30重量%の少なくとも1種の非イオン性界面活性剤とを含み;水、油または他の添加剤は、20から70重量%、好ましくは30から65重量%である。換言すれば、液体濃縮物抗病原性(殺菌剤および殺虫剤)農業用組成物は、100gの重量を有する場合、1から30g、好ましくは3から12gのアルキル(C12~C16)酸の少なくとも1種のアルキル(C1~C8)エステルと;1から30g、好ましくは3から20gの少なくとも1種のアニオン性界面活性剤と;1から40g、好ましくは5から30gの少なくとも1種の非イオン性界面活性剤とを含み;水、油または他の添加剤は、20から70g、好ましくは30から65gである。本明細書において言及されるいかなるパーセンテージ、比率またはその他の量も、別段に指定されない限りグラムでの重量基準である。
【0064】
本開示による液体濃縮物抗病原性(殺菌剤および殺虫剤)農業用組成物の調製
4種の異なる液体濃縮物抗病原性(殺菌剤および殺虫剤)農業用組成物(濃縮物形態)を、本開示の実施形態のいくつかに従って調製した。高い引火点およびエピクチクラワックス適合性を有する濃縮物殺菌剤および殺虫剤は、ORO-009-K、ORO-009-T、ORO-079-FBおよびORO-296-Aにより示される。特定の実施形態の詳細を、表2に示す。大豆メチルエステル-油;冷圧搾オレンジ油-油;ポリオキシエチレンソルビタンモノラウレート-アニオン性界面活性剤;アルコールエトキシル化POE-6-非イオン性界面活性剤;ドデシルベンゼンスルホン酸トリエタノールアミン-アニオン性界面活性剤;ドデシルベンゼンスルホン酸カルシウム-アニオン性界面活性剤;ドデシルベンゼンスルホン酸ナトリウム-アニオン性界面活性剤;ラウリルエーテル硫酸ナトリウム-アニオン性界面活性剤;アルコールエトキシル化およびプロポキシル化EOPO6/9-非イオン性界面活性剤;ミリスチン酸イソプロピル-油、ラウリン酸メチル-油、ラウリン酸イソプロピル-油を含む様々な成分を、異なる配合物中に使用した。
【0065】
【表2】
物理化学的および加速安定性試験
ある特定の実施形態の生成物の試料を市販の製品と比較し、参照により全内容が本明細書に組み込まれるCIPAC Handbook F - Collaborative
International Pesticide Analytical Ltd、1994年、2007年再版に記載の方法を使用して、その物理化学的特性および水中に希釈した場合の挙動~pHおよびエマルジョンの安定性;ならびに純粋な殺菌剤および殺虫剤に希釈した場合の挙動、クローズドカップを使用した引火点を決定するために分析した。これらの市販の製品は、Oro Agri(登録商標)からの以下の製品、PREV-AM(登録商標)(四水素化ホウ素ナトリウム十水和物およびオレンジ油をベースとした殺虫剤および/または殺菌剤および/または殺ダニ剤);ならびに他の会社からのABACUS(商標)(Rotam North America Inc.から入手可能なアバメクチンをベースとした殺虫剤および/または殺ダニ剤;Valent U.S.A. Corporatedから入手可能なジノテフランをベースとした殺虫剤であるSAFARI(商標)20SG Insecticide;およびCAPSIL(商標)(Aquatrols Corporation of Americaから入手可能なジメ
チルシロキサンをベースとした非イオン性アジュバントを含んでいた。本開示の実施形態に従って調製された生成物は、加速貯蔵安定性試験において安定性を示し、全ての試料が低温条件(0℃で14日間)または高温条件(54℃で14日間)であっても安定であることが決定された。安定性の結果を表3および表4に示す。
【0066】
【0067】
【0068】
疾患生物有効性スクリーニング
University of California Davis/Kearney Agricultural Research and Extension Centerにおいて、ある特定の実施形態の生成物の試料を疾患生物有効性スクリーニングで他の生成物および試料と比較して評価し、pH効果、アジュバント効果および最も一般的または該当する植物病原体に対するin vitroでの有効性を評価した。試料識別情報を表5および表6に示す。
【0069】
【0070】
【0071】
試験化合物で改変されたポテトデキストロース寒天(PDA)を使用して増殖阻害を測定し、いくつかの菌類のコロニー増殖を比較した。プレーンな(非改変)PDAプレートは対照として機能した。Aspergillus niger、Botrytis cinerea、Colletotrichum fioriniae、Fusarium moniliforme、F. oxysporum、Macrophomina phaseolina、Verticillium dahlia、およびXanthomonas arboricola pv. juglandisの培養物を、酸性化ポテトデキストロース寒天上で増殖させた。改変および対照プレートに菌糸プラグ(直径5mm)を植え付け、次いで対照におけるコロニーが各種に対してプレートの縁部に接近するま
で25℃でインキュベートした。その時点でコロニー半径を測定し、対照プレートの半径と比較して、各試験化合物におけるパーセント阻害を計算した。
【0072】
【0073】
これらのin vitro試験の結果は、これらの化合物のいくつかが、試験された病原体のいくつかの増殖の阻害に非常に効果的であることを示した。例えば、処理OR-2
96-A(処理17および18)、0.25%のADJV.Iと混合された0.5%のFUNG.Iおよび0.5%のADJV.Iと混合された1%のFUNG.I(処理1および2)、ならびに0.25%のADJV.IIと混合された0.5%、0.25%のFUNG.Iおよび0.5%のADJV.IIと混合された1%のFUNG.I(処理3および4)は、試験された8つ全ての植物病原体に対して有意により高い阻害を有していた。Fusarium moniliforme、F. oxysporum、Macrophomina phaseolina、およびXanthomonas arboricola pv. juglandisは完全に阻害された。Verticillium dahliaは、0.5%のOR-296-Aについては外れ値の結果を示しており、再試験されるべき人為的エラーの可能性がある。
【0074】
一部の例外を除いて、参照処理(処理11から15)は、菌類の大多数を44%から100%阻害した。Exp.I、Exp.IIおよびExp.IIIは、揮発性天然油をベースとし、満足のいく性能を示さなかった。処理13および14は、四水素化ホウ素ナトリウム十水和物およびオレンジ油をベースとした参照製品PREV-AM(登録商標)であり、本開示による生成物によって示されたもの(処理17および18)に劣る性能を有していた。
【0075】
ここで試験された化合物の大多数が深刻な植物病原体の多くを有意に阻害し得るため、この試験から得られた結果は非常に有望である。これは、これらの化合物の登録後、栽培者は複数の重要な病原体に対して効果的となり得る材料を有することを示す。病原体ごとの比較を、
図1~
図8に示す。
【0076】
本発明に従って作製された生成物を評価するための実施試験、ならびに既存の製品および標準的処理との比較
試験1。グリーンハウス内で行われる、ポインセチアにおけるシルバーリーフコナジラミ(Bemesia argentifolii)の防除に関する安全で優しい殺虫剤の配合物の有効性を比較した様々な殺虫剤配合物の評価。
【0077】
方法の概要:3種の殺虫剤(因子A)および3つの処理割合(因子B)の組合せ、ならびに1つの参照処理を含む10の処理からなる二因子(bifactorial)試験を行ったが、これを表8に示す。
【0078】
殺虫剤の塗布は、バックパックCO2(二酸化炭素)加圧システムに接続された単一ノズルタイプTXVK-4を使用して行った。各プロットは4ft×1.5ftであった。成虫および幼虫の防除は、回収して各段階を計数することにより行った。Aから4日後、Bから6日後および17日後に植物毒性評価を行い、0-10スケールを使用してポインセチアを視覚的に評価したが、0は損傷の症状がないことに対応し、10は植物の死滅に対応する。デザインされた野外試験の塗布および他の変数に関する追加の情報を、表9に示す。
【0079】
【0080】
【0081】
収集方法
生きた成虫:単一の葉を優しく裏返し、プロット当たりの1つの葉全体における生きた成虫を全てカウントすることにより、リーフターン法(Leaf turn method)を行った。葉の選択は、成虫が最も活発であると見られる植物の上部層(より若い)である。
【0082】
幼虫:それぞれ5.64cm2、合計11.28cm2の面積の合計2つのディスク(各植物から1つ)を、初期の齢期の幼虫が活発な植物の中間層から採取する。次いで試料ディスクを実験室に持ち帰り、次いで立体鏡を使用してカウントする。2つのディスクからの幼虫の総数を、単一のサブサンプルとして記録する。
【0083】
【0084】
【0085】
【0086】
【0087】
【0088】
【0089】
結論a)これらのグリーンハウス試験の結果は、OR-296-Aがシルバーリーフコナジラミの成虫の防除に非常に効果的であり、標準的な処理剤SAFARI(商標)20SGと同様の性能、ならびに比較処理剤ABACUS(商標)およびPREV-AM(登録商標)の両方よりも若干良好な性能を示すことを示した。幼虫の防除に関する結果は、標準的なSAFARI(商標)より若干劣り、比較処理剤ABACUS(商標)およびPREV-AM(登録商標)の両方と同様であった。
【0090】
結論b)任意のOro-Agri製品塗布による植物毒性は、処理中のいずれの時点でも観察されず、高薬量(推奨量の2倍の薬量)のOR-296-Aにおいて初期症状が生じたが、有意ではなかった。
【0091】
結論c)これらのグリーンハウス試験の結果は、OR-296-Aがシルバーリーフコナジラミの成虫の防除に非常に有望であることを示したが、この革新的で人間および環境
に安全な組成物が従来の先行技術と同様の性能を示すことを考慮すると、本発明は農産物市場への安全な選択肢となる高い可能性を示す。
【0092】
本発明を裏付けるより多くのデータを得るために、他の野外試験およびグリーンハウス試験が進行中である。
【0093】
試験2。グリーンハウス内で行われる、萱草(Hemerocallis sp.)におけるナミハダニ(Tetranychus urticae)の防除に関する安全で優しい殺虫剤の配合物の有効性を比較した様々な殺虫剤配合物の評価。野外試験は、2019年の1月および2月に行った。
【0094】
方法の概要:3種の殺虫剤(因子A)および3つの処理割合(因子B)の組合せ、ならびに1つの参照処理を含む10の処理からなる二因子試験を行ったが、これを表16に示す。
【0095】
プロットデザイン:各プロットは、試験の開始前に標的有害生物を植え付けた2つのHemerocallis植物からなっていた。プロットを、グリーンハウス環境でRCB-無作為化完全ブロックデザインで配置した。24”センター上で離間したワイヤメッシュベンチ上に植物を設置した。植物材料:試験に使用されるデータ植物を、1ガロンのポットに植えた。使用した培地は、ピートモス/パーライトミックスであるSunshine#4 Mixであった。灌水:各容器に設置された低容量スポットスプリッタを使用して、噴霧を土壌表面に向けてプロットを灌水した。栄養素:植物に、4から6カ月制御放出肥料を追肥した。試験期間中、それ以上の栄養素は施さなかった。塗布:中空ノズルを50psiで用いたCO2駆動バックパック噴霧器を使用して、処理剤を塗布した。処理中は、隣接するプロットへの汚染を回避するために、各プロットにドリフトフードを設置した。噴霧塗布体積は150gal/acであったが、これはおよそ80mL/プロットに等しい。デザインされた野外試験の塗布および他の変数に関する追加の情報を、表16に示す。
【0096】
【0097】
【0098】
収集方法
長さ5”×幅1”の2つの葉を各プロットから収集した。次いで、ダニ払い落とし機を使用して葉をブラッシングし、立体鏡下で観察した。有害生物の幼虫(NYMLIV P)および成虫(ADULIV P)を別個にカウントし、個々に、および全運動型(motile)の合計カウント(MOTILE P)として報告した。
【0099】
【0100】
【0101】
【0102】
【0103】
【0104】
【0105】
【0106】
【0107】
【0108】
結論および試験中の考慮事項-試験の開始時に、ハダニの集団は非常に活発であり、ほ
とんどのプロットの運動型は平均して約250から350であった。6DA-Aでは、未処理の基準を含め、全ての処理で全運動型の減少が見られた。次の3DA-Bでの評価までに、ダニの集団は増加し始めた。Abacus(業界標準)での処理は、試験のこの時点では最も優れた処理であった。13DA-Bでの最終評価では、幼虫および成虫の両方の集団が、特に未処理プロット内で急増した。圧力の増加にもかかわらず、処理#20(0.4%v/vでのOR-295)は、およそ80%の防除を保持した最も良好な処理の1つであった。
【0109】
結論a)これらのグリーンハウス試験の結果は、OR-296-AおよびOR-009-Kがナミハダニの成虫および幼虫の防除に非常に効果的であり、比較処理剤ABACUS(商標)およびPREV-AM(登録商標)の両方と同様の、および時にはそれらよりも若干良好な性能を示すことを示した。0.4%v/vでのOR-009-Kは、主に幼虫の防除において、より高い薬量であってもOR-296-Aより若干良好であった。
【0110】
結論c)これらのグリーンハウス試験の結果は、OR-296-AおよびOR-009-Kの両方がナミハダニの幼虫および成虫の防除に非常に有望であることを示したが、この革新的で人間および環境に安全な組成物が従来の先行技術と同様またはそれより良好な性能を示すことを考慮すると、本発明は農産物市場への安全な選択肢となる高い可能性を示す。
【0111】
別段に指定されない限り、全ての用語(技術的および科学的用語を含む)は、当業者には通常の慣例的な意味が付与され、本明細書で明示的に定義されない限り、特殊または特別な意味に限定されない。本開示のある特定の特徴または態様を説明する際の特定の専門用語の使用は、その専門用語が本明細書において、その専門用語が関連する本開示の特徴または態様の任意の特定の特性を含むように制限されるように再定義されることを示唆すると解釈されるべきでないことに留意されたい。本出願において、特に添付の特許請求の範囲において使用される用語および句、ならびにそれらの変化形は、別段に明示的に指定されない限り、限定的ではなく非限定的に解釈されるべきである。上記の例として、「含む(including)」という用語は、「限定されることなく含む(including without limitation)」、「含むがこれに限定されない「including but not limited to」等を意味するように読解されるべきであり;「備える」という用語は、本明細書で使用される場合、「含む」、「含有する」または「~で特徴付けられる」と同義であり、包含的または非限定的であり、追加の列挙されていない要素または方法ステップを除外せず;「有する」という用語は、「~を少なくとも有する」として解釈されるべきであり;「含む(includes)」という用語は、「含むがこれに限定されない(includes but not limited to)」と解釈されるべきであり;「例」という用語は、議論されている項目の例示的な事例を提供するように使用され、その列挙を網羅する、または限定するものではなく;「既知の」、「標準の」、「標準的」等の形容詞および同様の意味の用語は、記載された項目を所与の期間または所与の時点で利用可能な項目に限定するものとして解釈されるべきではなく、代わりに現在または将来の任意の時点で利用可能となり得るまたは知られ得る、既知の、標準の、または標準的技術を包含するものとして読解されるべきであり;「好ましくは」、「好ましい」、「所望の」、または「望ましい」等の用語、および同様の意味の単語の使用は、ある特定の特徴が本発明の構造または機能に決定的である、必須である、またはさらには重要であることを示唆するように理解されるべきではなく、代わりに本発明の特定の実施形態において利用されてもよい、または利用されなくてもよい代替または追加の特徴を強調することを単に意図すると理解されるべきである。同様に、接続詞「および」で連結された項目の群は、それらの項目の1つ1つが群内に存在することを必要とするものとして読解されるべきではなく、別段に明示的に指定されない限りむしろ「および/または」として読解されるべきである。同様に、接続詞「または」で連
結された項目の群は、その群の間で相互排他的であることを必要とするものとして読解されるべきではなく、別段に明示的に指定されない限りむしろ「および/または」として読解されるべきである。
【0112】
値の範囲が示されている場合、その範囲の上限および下限、ならびに上限と下限との間の各介在値が実施形態に包含されることが理解される。
【0113】
本明細書における実質的に全ての複数形および/または単数形の用語の使用に対して、当業者は、状況および/または用途に適切なように、複数形から単数形に、および/または単数形から複数形に変換することができる。様々な単数形/複数形の置き換えは、明確性のために本明細書で明示的に記載され得る。不定冠詞「a」または「an」は、複数を除外しない。単一のプロセッサまたは他のユニットが、特許請求の範囲において列挙されるいくつかの項目の機能を満たし得る。互いに異なる従属請求項においてある特定の対策が列挙されるということだけでは、これらの対策の組合せが有利に使用され得ないことは示されない。特許請求の範囲におけるいかなる参照記号も、範囲を限定するものとして解釈されるべきではない。
【0114】
導入される請求項で具体的な数の記載が意図される場合、そのような意図は、当該請求項において明示的に記載されることになり、そのような記載がない場合、そのような意図は存在しないことが、当業者にはさらに理解されよう。例えば、理解の一助として、以下の添付の特許請求の範囲は、導入句「少なくとも1つの」および「1つまたは複数の」を使用して請求項の記載を導くことを含む場合がある。しかし、そのような句の使用は、同一の請求項が、導入句「1つまたは複数の」または「少なくとも1つの」および「a」または「an」等の不定冠詞を含む場合であっても、不定冠詞「a」または「an」による請求項の記載の導入が、そのように導入される請求項の記載を含む任意の特定の請求項を、単に1つのそのような記載を含む実施形態に限定する、ということを示唆していると解釈されるべきではなく(例えば、「a」および/または「an」は、典型的には「少なくとも1つの」または「1つまたは複数の」を意味すると解釈されるべきである)、同じことが、請求項の記載を導入するのに使用される定冠詞の使用にも当てはまる。また、導入される請求項の記載で具体的な数が明示的に記載されている場合でも、そのような記載は、典型的には少なくとも記載された数を意味すると解釈されるべきであることが、当業者には理解されよう(例えば、他の修飾語なしでの「2つの記載」の単なる記載は、典型的には少なくとも2つの記載、または2つ以上の記載を意味する)。さらに、「A、B、およびC等の少なくとも1つ」に類似する慣例表現が使用されている事例では、通常、そのような構文は、当業者がその慣例表現を理解するであろう意味で意図されている(例えば、「A、B、およびCの少なくとも1つを有するシステム」は、Aのみ、Bのみ、Cのみ、AおよびBを共に、AおよびCを共に、BおよびCを共に、ならびに/またはA、B、およびCを共に、等を有するシステムを含むが、これに限定されない)。「A、B、またはC等の少なくとも1つ」に類似する慣例表現が使用されている事例では、通常、そのような構文は、当業者がその慣例表現を理解するであろう意味で意図されている(例えば、「A、B、またはCの少なくとも1つを有するシステム」は、Aのみ、Bのみ、Cのみ、AおよびBを共に、AおよびCを共に、BおよびCを共に、ならびに/またはA、B、およびCを共に、等を有するシステムを含むが、これに限定されない)。2つ以上の代替用語を提示する事実上いかなる離接する語および/または句も、明細書、特許請求の範囲、または図面のどこにあっても、当該用語の一方、当該用語のいずれか、または両方の用語を含む可能性を企図すると理解されるべきであることが、当業者にはさらに理解されよう。例えば、句「AまたはB」は、「A」または「B」あるいは「AおよびB」の可能性を含むことが理解されよう。
【0115】
本明細書において使用される成分の量、反応条件等を表現する全ての数字は、全ての事
例において「約」という用語により修飾されているものとして理解されたい。したがって、逆の意味が指定されない限り、本明細書に記載される数値パラメーターは、得ようとしている所望の性質に応じて変動し得る概数である。少なくとも、本出願に対する優先権を主張する任意の出願における任意の特許請求の範囲の均等論の適用を制限する意図はないが、各数値パラメーターは、有効桁数および通常の丸め手法に照らして解釈されるべきである。
【0116】
さらに、上記は、明確性および理解を目的として図示および例示によりある程度詳細に説明されたが、ある特定の変更および修正が行われてもよいことが当業者には明らかである。したがって、説明および例は、本発明の範囲を本明細書に記載の特定の実施形態および例に限定するものとして解釈されるべきではなく、むしろ本発明の真の範囲および精神を伴う全ての修正および代替も包含すると解釈されるべきである。