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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024098447
(43)【公開日】2024-07-23
(54)【発明の名称】インナースペーサー
(51)【国際特許分類】
   A41D 13/015 20060101AFI20240716BHJP
   A41D 13/05 20060101ALI20240716BHJP
【FI】
A41D13/015
A41D13/05 118
A41D13/05 131
A41D13/05 112
【審査請求】未請求
【請求項の数】8
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023001993
(22)【出願日】2023-01-10
(71)【出願人】
【識別番号】391009372
【氏名又は名称】ミドリ安全株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】240000327
【弁護士】
【氏名又は名称】弁護士法人クレオ国際法律特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】堀田 修司
(72)【発明者】
【氏名】佐古 かがり
【テーマコード(参考)】
3B011
3B211
【Fターム(参考)】
3B011AA01
3B011AB01
3B011AC04
3B011AC17
3B011AC18
3B011AC22
3B211AA01
3B211AB01
3B211AC04
3B211AC17
3B211AC18
3B211AC22
(57)【要約】
【課題】フルハーネス型安全帯を装着した状態での落下時に生じる胸ベルトの位置ずれを抑制できるインナースペーサーを提供すること。
【解決手段】着用者Hの左右の肩に掛けられる一対の肩ベルト101同士を着用者Hの胸部の前で連結する胸ベルト103を有するフルハーネス型安全帯100を外側に装着した衣服の内側に着用されるインナースペーサー1であって、着用者Hの胸部を覆う前身頃10は、上部に配置される弾性変形可能な上側クッション部11と、下部に配置される弾性変形可能な下側クッション部12と、上側クッション部11と下側クッション部12の間に配置されてこれらを連結すると共に、身幅方向Wに延びた連結部13と、を有し、連結部13は、上側クッション部11及び下側クッション部12よりも剛性が低く、装着状態の胸ベルト103よりも上側に位置する構成とした。
【選択図】図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
着用者の左右の肩に掛けられる一対の肩ベルトと、前記着用者の左右の脚が挿入される一対の腿ベルトと、前記一対の肩ベルト同士を前記着用者の胸部の前で連結する胸ベルトと、を有するフルハーネス型安全帯を衣服の外側に装着する際、前記衣服の内側に着用されるインナースペーサーであって、
前記着用者の胸部を覆う前身頃と、前記着用者の背中を覆う後身頃と、を備え、
前記前身頃は、上部に配置される弾性変形可能な上側クッション部と、
下部に配置される弾性変形可能な下側クッション部と、
前記上側クッション部と前記下側クッション部の間に配置されてこれらを連結すると共に、身幅方向に延びた連結部と、を有し、
前記連結部は、前記上側クッション部及び前記下側クッション部よりも剛性が低く、装着状態の前記胸ベルトよりも上側に位置する
ことを特徴とするインナースペーサー。
【請求項2】
請求項1に記載されたインナースペーサーにおいて、
前記連結部は、襟ぐりよりも下側に位置している
ことを特徴とするインナースペーサー。
【請求項3】
請求項1又は請求項2に記載されたインナースペーサーにおいて、
前記下側クッション部の身丈方向の長さは、前記胸ベルトの幅よりも長い
ことを特徴とするインナースペーサー。
【請求項4】
請求項1又は請求項2に記載されたインナースペーサーにおいて、
前記連結部は、前記身幅方向の中央部よりも前記身幅方向の両側部の方が上側に位置している
ことを特徴とするインナースペーサー。
【請求項5】
請求項1又は請求項2に記載されたインナースペーサーにおいて、
前記連結部の厚さは、前記上側クッション部及び前記下側クッション部の厚さよりも薄い
ことを特徴とするインナースペーサー。
【請求項6】
請求項1又は請求項2に記載されたインナースペーサーにおいて、
前記前身頃の上端部と前記後身頃の上端部との連結位置は、前記着用者の肩の稜線に対して前側又は後側のいずれかにずれており、
前記前身頃又は前記後身頃は、少なくとも着用時に前記肩を覆う弾性変形可能なクッション部を有する
ことを特徴とするインナースペーサー。
【請求項7】
請求項1又は請求項2に記載されたインナースペーサーにおいて、
前記後身頃は、前記身幅方向の中央部に配置された中央連結部と、前記中央連結部の左側に位置すると共に身丈方向の全長にわたって延びる左背側クッション部と、前記中央連結部の右側に位置すると共に前記身丈方向の全長にわたって延びる右背側クッション部と、を有し、
前記中央連結部は、前記左背側クッション部と前記右背側クッション部とを連結すると共に、前記左背側クッション部及び前記右背側クッション部の厚さよりも薄い厚さに設定され、
前記中央連結部の前記身幅方向の長さは、前記一対の肩ベルトを前記着用者の背中側で交差した状態に保持する前記フルハーネス型安全帯のベルト通し環が接する位置では、前記ベルト通し環の前記身幅方向の幅よりも短い
ことを特徴とするインナースペーサー。
【請求項8】
請求項7に記載されたインナースペーサーにおいて、
前記中央連結部の前記身幅方向の長さは、前記身丈方向の下部よりも上部の方が短い
ことを特徴とするインナースペーサー。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、インナースペーサーに関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来、高所作業時の安全性を担保するため、フルハーネス型安全帯(フルハーネス型の墜落制止用器具)を装着することが求められている。フルハーネス型安全帯は、着用者の肩に掛けられる一対の肩ベルトと、着用者の腿に掛けられる一対の腿ベルトと、一対の肩ベルト同士を着用者の胸部の前で連結する胸ベルトと、を有し、身体の複数の部分を各ベルトで緊縛することで落下時の墜落を防止すると共に身体への負担を軽減する。一方、作業時等に着用する衣服として、送風機によって衣服内に外気を導入し、着用者の身体と衣服の間に外気を流通させることで汗を蒸発させて身体を冷却するファン付き衣服が知られている。そのため、高所作業時に、ファン付き衣服の上にフルハーネス型安全帯を装着したいというニーズが存在する。
【0003】
しかしながら、ファン付き衣服の外側にフルハーネス型安全帯を装着すると、着用者の身体が衣服ごと緊縛されるため、衣服内の外気の通路が安全帯の各ベルトによって塞がれ、冷却機能が低下する。そこで、衣服の内側にインナースペーサーを着用し、衣服の外側にフルハーネス型安全帯を装着することで、衣服と着用者との間に隙間を確保することが考えられている(例えば、特許文献1及び特許文献2参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特許第6704161号公報
【特許文献2】実用新案登録第3227120号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
ところで、フルハーネス型安全帯の背中側には、先端が建物の手摺り等の固定対象に引っ掛けられるランヤードの一端が連結されるため、フルハーネス型安全帯を装着した状態で落下すると、着用者はランヤードを介して前傾姿勢で宙づり状態になる。このとき、フルハーネス型安全帯の胸ベルトは、着用者の首元に向かって引っ張られる。ここで、衣服の内側にインナースペーサーを着用している場合、胸ベルトがインナースペーサーの上を滑り、着用者の首元に向かって位置ずれし、胸ベルトが着用者の首元に接触して、首元が圧迫されるおそれがあった。
【0006】
本発明は、上記問題に着目してなされたもので、フルハーネス型安全帯を装着した状態での落下時に生じる胸ベルトの位置ずれを抑制できるインナースペーサーを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上記目的を達成するため、本発明は、着用者の左右の肩に掛けられる一対の肩ベルトと、前記着用者の左右の脚が挿入される一対の腿ベルトと、前記一対の肩ベルト同士を前記着用者の胸部の前で連結する胸ベルトと、を有するフルハーネス型安全帯を衣服の外側に装着する際、前記衣服の内側に着用されるインナースペーサーであって、前記着用者の胸部を覆う前身頃と、前記着用者の背中を覆う後身頃と、を備えている。そして、前記前身頃は、上部に配置される弾性変形可能な上側クッション部と、下部に配置される弾性変形可能な下側クッション部と、前記上側クッション部と前記下側クッション部の間に配置されてこれらを連結すると共に、身幅方向に延びた連結部と、を有し、前記連結部は、前記上側クッション部及び前記下側クッション部よりも剛性が低く、装着状態の前記胸ベルトよりも上側に位置する構成とした。
【発明の効果】
【0008】
これにより、本発明のインナースペーサーは、フルハーネス型安全帯を装着した状態での落下時に生じる胸ベルトの位置ずれを抑制できる。
【図面の簡単な説明】
【0009】
図1】実施例1のインナースペーサーをフルハーネス型安全帯の内側に着用した状態を示す正面図である。
図2】実施例1のインナースペーサーをフルハーネス型安全帯の内側に着用した状態を示す背面図である。
図3】実施例1のインナースペーサーを示す正面図である。
図4】実施例1のインナースペーサーを示す背面図である。
図5図1に示す着用状態を側方から見たときの説明図である。
図6】実施例1のインナースペーサーの素材構成を示す説明図である。
図7】実施例1のインナースペーサーと胸ベルトとの位置関係を示す説明図である。
図8】落下時に胸ベルトに作用する引っ張り力を示す説明図である。
図9】落下時における実施例1のインナースペーサーと胸ベルトとの位置関係を示す説明図である。
図10】衣服内を流れる外気と実施例1のインナースペーサーとの位置関係を示す背面説明図である。
図11図10におけるA-A断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0010】
本発明のインナースペーサーを実施するための形態は、図面に示す実施例1に基づいて以下のように説明される。なお、以下の説明では、インナースペーサー1を着用する着用者Hを基準として「上下」「左右」「前後」等の用語が用いられる。
【0011】
実施例1のインナースペーサー1は、着用者Hが衣服(上衣)の外側にフルハーネス型安全帯(フルハーネス型の墜落制止用器具)100を装着するとき、衣服の内側に着用される。図1図2図5図7図11の各図では、インナースペーサー1とフルハーネス型安全帯100との間に着用される衣服が省略して示されている。
【0012】
なお、衣服は、送風機が取り付けられて、衣服内に外気を導入可能なファン付き衣服であってもよいし、送風機が取り付けられていない一般的な作業服であってもよい。ファン付き衣服を着用した場合、インナースペーサー1は、フルハーネス型安全帯100の身体への食い込みや、摩擦等を緩和すると共に、衣服と身体との間に隙間を生じさせる。これにより、インナースペーサー1は、衣服内の外気の通路を確保して、冷却機能の低下を抑制することができる。また、一般的な作業服が衣服として着用される場合には、インナースペーサー1は、フルハーネス型安全帯100の身体への食い込みや、摩擦等を緩和する。
【0013】
また、図1及び図2に示されたフルハーネス型安全帯100は、従来周知のものであり、いわゆるX型と呼ばれるタイプである。すなわち、フルハーネス型安全帯100は、左右一対の肩ベルト101と、左右一対の腿ベルト102と、胸ベルト103と、を備えている。
【0014】
一対の肩ベルト101は、着用者Hの両肩にそれぞれ掛けられるベルトである。肩ベルト101は、図2に示されたように、着用者Hの背中側でベルト通し環104を介して交差した状態で保持されている。なお、肩ベルト101の交差部にはランヤード(図示省略)の取り付け手段としてのD環105が設けられている。
【0015】
一対の腿ベルト102は、着用者Hの左右の脚がそれぞれ挿入されるベルトである。腿ベルト102は、装着を容易にするため、バックル106を介して連結・分離が可能となっている。また、一対の腿ベルト102は、着用者Hの背面側において尻当ベルト107(図2参照)によって連結されている。
【0016】
胸ベルト103は、一対の肩ベルト101同士を着用者Hの胸部の前で連結するベルトである。胸ベルト103は、装着を容易にするため、バックル108を介して連結・分離が可能となっている。
【0017】
実施例1のインナースペーサー1は、図3及び図4に示されたように、着用者Hの胸部を覆う前身頃10と、着用者Hの背中を覆う後身頃20と、を備え、着用者Hの上半身に着用される。
【0018】
ここで、インナースペーサー1の前身頃10と後身頃20は、図5に示されたように、互いの上端部10a、20aが直接連結されている。また、前身頃10の身幅方向Wの両側部10b、10cは、伸縮可能な複数(実施例1では二本)のゴムベルト30を介して、後身頃20の身幅方向Wの両側部20b、20cにそれぞれ連結されている。さらに、前身頃10は、身丈方向Lの長さが、後身頃20の身丈方向Lの長さよりも短くなっている。しかも、各ゴムベルト30は、インナースペーサー1の裾から前身頃10に接続された一方の端部30aまでの長さと、インナースペーサー1の裾から後身頃20に接続された他方の端部30bまでの長さが同じ長さに設定されている。
【0019】
このため、図5に示されたように、着用者Hがインナースペーサー1を着用した際、前身頃10の上端部10aと後身頃20の上端部20aとの連結位置Rは、着用者Hの肩の稜線rよりも前側に位置する。そして、着用者Hは、インナースペーサー1の着用時に、後身頃20の後述する背側クッション部21によって肩が覆われる。
【0020】
また、インナースペーサー1は、図6に示されたように、通気性を有するインナー生地2によって、通気性を有するクッション材3を適宜挟み込んだ素材Sによって形成されている。
【0021】
インナー生地2は、ポリエステルやナイロン等からなるメッシュ生地2aを複数重ね合わせて形成されている。なお「メッシュ生地2a」とは、縦糸と横糸とを粗く編み込んで形成され、一般的な布地と比べて目が粗く通気性が高い生地である。インナー生地2の厚さT1は、1mm~8mmに設定されることが好ましく、実施例1では約4mmに設定されている。インナー生地2の厚さT1が1mm未満の場合、必要な生地強度を保持することが難しい。また、インナー生地2の厚さT1が8mm超過の場合、縫製が困難、柔軟性が低下して着心地が悪化し動作しにくくなる、通気性が低下する等の問題が生じる。
【0022】
また、インナー生地2は、目の粗さが異なるメッシュ生地2aが複数重ねられて形成されてもよいし、目の粗さが同一のメッシュ生地2aが複数重ねられて形成されてもよい。
【0023】
クッション材3は、ポリエチレン樹脂等の熱可塑性の線状樹脂をランダムに絡ませ、三次元的に熱溶着させて形成された立体形状部材である。すなわち、クッション材3は、いわゆる3Dメッシュ材(合成樹脂素材の繊維を三次元網目状に形成したもの)である。クッション材3は、表面と裏面の間に厚さ方向に貫通する孔と、表面或いは裏面と平行(ほぼ平行)に延びる空隙(又は孔)とをそれぞれ多数有しており、内部に有する空隙や孔を介して多方向に通気を行うことが可能である。さらに、クッション材3は、所定の剛性を有する線状樹脂が使用されたことで高反発のクッション性及び柔軟性を有しており、弾性変形が可能である。
【0024】
また、クッション材3の厚さT2は、10mm~30mmに設定されることが好ましく、実施例1では約20mmに設定されている。クッション材3の厚さT2が10mm未満の場合、必要なクッション性能を得ることが難しい。また、クッション材3の厚さT2が30mm超過の場合、着心地が悪化して動きにくくなる、通気性が低下する等の問題が生じる。
【0025】
そして、インナースペーサー1の前身頃10は、図3に示されたように、身幅方向Wの中央部から左右に分かれる左前身頃10x及び右前身頃10yと、左前身頃10xと右前身頃10yの間を開閉自在に係止する線ファスナー10zと、を備えている。また、左前身頃10xと右前身頃10yは、インナースペーサー1の身幅方向Wの中央を通って身丈方向Lに延びる中心線O(線ファスナー10zの延在方向)を対称線として、線対称の形状をなしている。
【0026】
さらに、前身頃10は、上側クッション部11と、下側クッション部12と、連結部13と、を有している。なお、実施例1では、前身頃10が、身幅方向Wの中央部から左前身頃10xと右前身頃10yに分かれるため、上側クッション部11、下側クッション部12、連結部13についても、それぞれ前身頃10の身幅方向Wの中央部から左右に分かれている。
【0027】
上側クッション部11は、前身頃10の上部に配置され、インナースペーサー1の襟ぐり4を区画する。また、上側クッション部11は、インナー生地2の内側にクッション材3が挟み込まれ、クッション材3の周縁に沿ってインナー生地2を縫製することによって構成されている。そして、上側クッション部11は、クッション材3を有することから、弾性変形可能となっている。
【0028】
なお、実施例1では、縫製を容易にするため、クッション材3は、インナー生地2の厚さ方向の中央に配置されている。つまり、上側クッション部11では、クッション材3の表面を覆うメッシュ生地2aの厚さと、クッション材3の裏面を覆うメッシュ生地2aの厚さは同じ厚さに設定されている。
【0029】
下側クッション部12は、前身頃10の下部に配置され、フルハーネス型安全帯100の胸ベルト103を支持する。また、下側クッション部12は、インナー生地2の内側にクッション材3が挟み込まれ、クッション材3の周縁に沿ってインナー生地2を縫製することによって構成されている。そして、下側クッション部12は、クッション材3を有することから、弾性変形可能となっている。
【0030】
なお、実施例1では、縫製を容易にするため、下側クッション部12においても、クッション材3は、インナー生地2の厚さ方向の中央に配置されている。
【0031】
そして、下側クッション部12は、身丈方向Lの最小長さL1が、フルハーネス型安全帯100の胸ベルト103の幅W1(図1参照)よりも長くなるように設定されている。なお、最小長さL1は、幅W1よりも少なくとも15mm以上長いことが好ましい。ここで、「胸ベルト103の幅W1」は、胸ベルト103の身丈方向Lの長さである。実施例1では、胸ベルト103の幅W1が42mmであるため、下側クッション部12の身丈方向Lの最小長さL1は、57mm以上に設定されている。
【0032】
最小長さL1と幅W1との差が小さい場合、つまり、最小長さL1が幅W1とほぼ同じ或いは最小長さL1の方が幅W1よりも僅かに大きい場合では、胸ベルト103の装着位置が下側クッション部12に対して安定的に対向しない。そのため、胸ベルト103によって連結部13が緊縛され、衣服と着用者Hの身体との間に十分な隙間を生じさせることが難しくなる。また、最小長さL1が幅W1よりも短い場合、胸ベルト103は、下側クッション部12からはみ出してしまい、胸ベルト103によって連結部13或いは上側クッション部11が緊縛されてしまう。
【0033】
さらに、下側クッション部12の身丈方向Lの最小長さL1は、インナースペーサー1とフルハーネス型安全帯100との間に着用される衣服の前身頃の身丈方向Lの長さの1/2程度の長さを上限とすることが好ましい。最小長さL1が長すぎると、インナースペーサー1によって覆われる着用者Hの体表面が広くなり、放熱性が悪化するおそれがある。
【0034】
連結部13は、上側クッション部11と下側クッション部12との間に配置され、前身頃10の身幅方向Wの全長にわたって延びている。そして、連結部13は、インナースペーサー1の襟ぐり4よりも下側に形成されると共に、フルハーネス型安全帯100が装着された際、装着状態の胸ベルト103よりも上側に位置する。つまり、連結部13は、図1に示されたように、インナースペーサー1の襟ぐり4と、胸ベルト103の装着位置との間に位置する。
【0035】
また、連結部13は、インナー生地2のみによって構成され、クッション材3が挟み込まれていない。このため、連結部13は、上側クッション部11及び下側クッション部12よりも剛性が低い。すなわち、連結部13は、上側クッション部11及び下側クッション部12よりも、容易に変形可能である。
【0036】
また、連結部13の厚さは、クッション材3が挟み込まれていない分、上側クッション部11及び下側クッション部12の厚さよりも薄い。このため、前身頃10は、連結部13において、上側クッション部11或いは下側クッション部12と連結部13との厚さ差分だけインナースペーサー1の表面及び裏面に対してへこんでいる(図7参照)。なお、実施例1では、上側クッション部11及び下側クッション部12のいずれにおいても、クッション材3がインナー生地2の厚さ方向の中央に配置されている。そのため、これらの間に配置された連結部13は、インナースペーサー1の表面及び裏面のそれぞれに対してへこむことになる。しかしながら、連結部13におけるインナースペーサー1のへこみは、クッション材3の周縁に沿ってインナー生地2を縫製する際の縫製位置を調整することで、インナースペーサー1の表側のみ又は裏側のみに設定することが可能である。
【0037】
さらに、連結部13を構成するインナー生地2は、図7に示されたように、上側クッション部11を構成するインナー生地2及び下側クッション部12を構成するインナー生地2と連続している。そのため、連結部13は、上側クッション部11と下側クッション部12とを連結する。
【0038】
また、実施例1の連結部13は、身幅方向Wの中央部13aよりも、身幅方向Wの両端部13b、13cの方が上側に位置している。そして、連結部13の傾斜角度θ(図3参照)は、約10°に設定されている。ここで、「傾斜角度θ」は、前身頃10の身幅方向Wの中央部を通り身幅方向Wに沿って延びる水平線と、連結部13の延在方向とでなす角度である。傾斜角度θがマイナスの値の場合、連結部13は、身幅方向Wの中央部13aよりも、身幅方向Wの両端部13b、13cの方が下側に位置する。なお、傾斜角度θは、上側クッション部11及び下側クッション部12の大きさや、インナー生地2或いはクッション材3の厚さや硬さ等に応じて任意に設定することができる。
【0039】
また、連結部13の幅W2(図3参照)は、身幅方向Wの全長にわたって一定であり、10mm~60mmに設定されることが好ましい。なお、「連結部13の幅W2」は、連結部13の身丈方向Lの長さである。実施例1では、連結部13の幅W2は、約40mmに設定されている。連結部13の幅W2が10mm未満の場合、上側クッション部11と下側クッション部12が近づき、落下時に生じる連結部13の変形に伴う胸ベルト103の位置ずれ抑制の効果が低下するおそれがある。また、連結部13の幅W2が60mm超過の場合、胸ベルト103が連結部13に食い込みやすくなり、胸ベルト103によって連結部13が緊縛されて、衣服と着用者Hの身体との間に十分な隙間を生じさせることが難しくなる。
【0040】
後身頃20は、図4に示されたように、背側クッション部21と、中央連結部22と、左補助クッション部23と、右補助クッション部24と、左連結部25と、右連結部26と、を有している。また、後身頃20は、中心線Oを対称線として、線対称の形状をなしている。
【0041】
背側クッション部21は、インナースペーサー1の着用時に少なくとも着用者Hの肩を覆う部分である。背側クッション部21は、中央連結部22の左側に配置された左背側クッション部21aと、中央連結部22の右側に配置された右背側クッション部21bと、に分割されている。
【0042】
左背側クッション部21aは、前身頃10との連結位置Rから後身頃20の裾まで延びている。また、左背側クッション部21aは、インナー生地2の内側にクッション材3が挟み込まれ、クッション材3の周縁に沿ってインナー生地2を縫製することによって構成されている。そして、左背側クッション部21aは、クッション材3を有することから、弾性変形可能となっている。なお、実施例1では、縫製を容易にするため、左背側クッション部21aにおいても、クッション材3は、インナー生地2の厚さ方向の中央に配置されている。
【0043】
右背側クッション部21bは、前身頃10との連結位置Rから後身頃20の裾まで延びている。また、右背側クッション部21bは、インナー生地2の内側にクッション材3が挟み込まれ、クッション材3の周縁に沿ってインナー生地2を縫製することによって構成されている。そして、右背側クッション部21bは、クッション材3を有することから、弾性変形可能となっている。なお、実施例1では、縫製を容易にするため、右背側クッション部21bにおいても、クッション材3は、インナー生地2の厚さ方向の中央に配置されている。
【0044】
中央連結部22は、後身頃20の身幅方向Wの中央部に配置され、左背側クッション部21aと右背側クッション部21bとの間に挟まれている。また、中央連結部22は、後身頃20の身丈方向Lの全長(インナースペーサー1の襟ぐり4から裾までの間)にわたって延びている。そして、中央連結部22は、インナー生地2のみによって構成され、クッション材3が挟み込まれていない。このため、中央連結部22は、上側クッション部11及び下側クッション部12よりも剛性が低く、厚さが薄くなっている。
【0045】
さらに、中央連結部22を構成するインナー生地2は、左背側クッション部21aを構成するインナー生地2及び右背側クッション部21bを構成するインナー生地2と連続している。そのため、中央連結部22は、左背側クッション部21aと右背側クッション部21bとを連結する。
【0046】
また、中央連結部22の幅W3は、少なくともフルハーネス型安全帯100のベルト通し環104が接する位置では、ベルト通し環104の最大幅W4(図2参照)よりも短くなるように設定されている。しかも、中央連結部22の幅W3は、身丈方向Lの下部よりも上部の方が短く(狭く)なっている。実施例1では、ベルト通し環104の最大幅W4が82mmであり、中央連結部22の幅W3は、身丈方向Lの下部において100mmに設定され、身丈方向Lの上部において80mmに設定されている。
【0047】
なお、実施例1では、図4に示されたように、中央連結部22の幅W3は、身丈方向Lの中間部で段階的に変化しているが、身丈方向Lに沿って連続的に徐々に変化してもよい。また、中央連結部22の幅W3は、中央連結部22の全長にわたって一定の長さであってもよい。なお、「中央連結部22の幅W3」は、中央連結部22の身幅方向Wの長さである。「ベルト通し環104の最大幅W4」は、ベルト通し環104の身幅方向Wの最大の長さである。
【0048】
左補助クッション部23は、左背側クッション部21aよりも左側に配置され、左連結部25を介して左背側クッション部21aに連結されている。右補助クッション部24は、右背側クッション部21bよりも右側に配置され、右連結部26を介して右背側クッション部21bに連結されている。
【0049】
左補助クッション部23及び右補助クッション部24は、いずれもインナー生地2の内側にクッション材3が挟み込まれ、クッション材3の周縁に沿ってインナー生地2を縫製することによって構成されている。そして、左補助クッション部23及び右補助クッション部24は、クッション材3を有することから、弾性変形可能となっている。なお、実施例1では、縫製を容易にするため、左補助クッション部23及び右補助クッション部24においても、クッション材3は、インナー生地2の厚さ方向の中央に配置されている。
【0050】
また、左補助クッション部23及び右補助クッション部24は、左背側クッション部21a及び右背側クッション部21bに対して裾の位置が一致すると共に、左背側クッション部21a及び右背側クッション部21bよりも身丈方向Lの長さが短くされている。さらに、左補助クッション部23及び右補助クッション部24では、クッション材3の上縁が、それぞれ身幅方向Wの中央を頂点とした円弧状に湾曲している(図5参照)。なお、左補助クッション部23及び右補助クッション部24におけるクッション材3は、上縁が円弧状に湾曲していなくてもよく、例えば、直方体形状であってもよい。
【0051】
左連結部25及び右連結部26は、インナー生地2のみによって構成され、クッション材3が挟み込まれていない。このため、左連結部25及び右連結部26は、上側クッション部11及び下側クッション部12よりも剛性が低く、厚さが薄くなっている。また、左連結部25は、左背側クッション部21aの左側縁に沿って身丈方向Lに延びている。右連結部26は、右背側クッション部21bの右側縁に沿って身丈方向Lに延びている。さらに、左連結部25の幅(身幅方向Wの長さ)及び右連結部26の幅(身幅方向Wの長さ)は、いずれも任意に設定可能である。
【0052】
実施例1のインナースペーサー1の作用は、図8図10に基づいて以下のように説明される。
【0053】
実施例1のインナースペーサー1は、着用者Hがフルハーネス型安全帯100を衣服(不図示)の外側に装着する際、予め衣服の内側に着用される。つまり、着用者Hは、まずインナースペーサー1を着用し、次に衣服を着用し、その後、フルハーネス型安全帯100を装着する。また、フルハーネス型安全帯100のD環105には、先端が建物の手摺り等の固定対象に引っ掛けられるランヤード(不図示)の一端が連結される。
【0054】
そして、着用者Hが落下したときには、ランヤードを介して着用者Hは宙づり状態となり、フルハーネス型安全帯100がD環105を中心にして上方に引っ張られることで、着用者Hは前傾姿勢となる。このため、図8に示されたように、胸ベルト103には、着用者Hの首元に向かう方向に引っ張り力Fが作用する。
【0055】
これに対し、実施例1のインナースペーサー1は、着用者Hの胸部を覆う前身頃10が、上部に配置される弾性変形可能な上側クッション部11と、下部に配置される弾性変形可能な下側クッション部12と、上側クッション部11と下側クッション部12の間に配置されてこれらを連結すると共に、身幅方向Wに延びた連結部13と、を有している。そして、連結部13が、上側クッション部11及び下側クッション部12よりも剛性が低く、さらに装着状態のフルハーネス型安全帯100の胸ベルト103よりも上側に位置している。
【0056】
そのため、胸ベルト103に着用者Hの首元に向かう方向の引っ張り力Fが作用すると、インナースペーサー1のうち剛性の低い連結部13が変形し、着用者Hが落下して前傾姿勢になっていることも影響して、胸ベルト103は、図9に示されたように、下側クッション部12に食い込む。しかも、下側クッション部12に胸ベルト103が食い込むため、引っ張り力Fの作用方向が変化して、着用者Hの胸部に向かう方向になる。
【0057】
このため、インナースペーサー1の上側クッション部11には胸ベルト103を引っ張る力(引っ張り力F)がほとんど作用せず、着用者Hの首元に向かう胸ベルト103の位置ずれを抑えることができる。すなわち、実施例1のインナースペーサー1は、フルハーネス型安全帯100を装着した状態での落下時に生じる胸ベルト103の位置ずれを抑制することができる。
【0058】
そして、実施例1のインナースペーサー1は、落下時に生じる胸ベルト103の位置ずれを抑制できるため、胸ベルト103が着用者Hの首元に接触することがなく、落下時に首元を圧迫することを防止できる。
【0059】
また、実施例1のインナースペーサー1では、連結部13は、身幅方向Wの中央部13aよりも、身幅方向Wの両端部13b、13cの方が上側に位置している。そのため、実施例1のインナースペーサー1は、落下時に胸ベルト103から下側クッション部12に伝達される引っ張り力Fを分散させることができる。これにより、実施例1のインナースペーサー1は、フルハーネス型安全帯100を装着した状態での落下時に生じる胸ベルト103の位置ずれをさらに抑制することができる。
【0060】
また、実施例1のインナースペーサー1では、下側クッション部12の身丈方向Lの最小長さL1が、フルハーネス型安全帯100の胸ベルト103の幅W1よりも長い。そのため、実施例1のインナースペーサー1は、胸ベルト103を下側クッション部12に対して安定的に対向させることができ、胸ベルト103によって連結部13が緊縛されることを防止できる。これにより、落下した際、胸ベルト103が下側クッション部12に適切に干渉し、胸ベルト103の位置ずれを抑えることができる。
【0061】
実施例1のインナースペーサー1では、連結部13が、インナースペーサー1の襟ぐり4よりも下側に位置している。そのため、実施例1のインナースペーサー1は、襟ぐり4よりも下側の位置で胸ベルト103を下側クッション部12に食い込ませることができる。これにより、実施例1のインナースペーサー1は、胸ベルト103の位置ずれを抑え、落下時の首元の圧迫を抑制することができる。
【0062】
また、実施例1のインナースペーサー1では、連結部13の厚さが、上側クッション部11及び下側クッション部12の厚さよりも薄くなっている。つまり、実施例1のインナースペーサー1は、連結部13が上側クッション部11及び下側クッション部12に対してへこんでいる。
【0063】
そのため、インナースペーサー1とフルハーネス型安全帯100の間に着用される衣服内に外気を導入した場合、衣服内に導入された外気は、連結部13に沿って流れることができる。すなわち、実施例1のインナースペーサー1は、衣服内に導入された外気を円滑に流通させ、衣服内に導入した外気による冷却機能の低下を抑制することができる。
【0064】
なお、実施例1のインナースペーサー1は、通気性を有するインナー生地2によって、通気性を有するクッション材3を適宜挟み込んだ素材Sによって形成されている。そのため、衣服内の外気は、インナースペーサー1自体を容易に通過することができ、実施例1のインナースペーサー1は、衣服内に導入された外気を円滑に流通させることが可能である。
【0065】
また、実施例1のインナースペーサー1では、前身頃10が身幅方向Wの中央部10dから左前身頃10xと右前身頃10yとに左右に分かれており、身幅方向Wの中央部10dには線ファスナー10zが配置されている。ここで、線ファスナー10zが配置された領域にはクッション材3が配置されておらず、上側クッション部11及び下側クッション部12の厚さよりも薄くなっている。そのため、衣服内に導入された外気は、線ファスナー10zに沿って流れることが可能であり、実施例1のインナースペーサー1は、衣服内に導入された外気をさらに円滑に流通させることができる。
【0066】
また、前身頃10と後身頃20の連結位置Rは、縫い目が重なり比較的硬く、厚さが薄くなっている。そのため、インナースペーサー1は、連結位置Rにおいて、フルハーネス型安全帯100の肩ベルト101の当たりを十分に緩衝することが難しい。これに対し、実施例1のインナースペーサー1では、前身頃10の上端部10aと後身頃20の上端部20aとの連結位置Rが、着用者Hの肩の稜線rに対して前側にずれている。そして、インナースペーサー1を着用した時に、着用者Hは、後身頃20の背側クッション部21によって両肩がそれぞれ覆われる。
【0067】
これにより、実施例1のインナースペーサー1は、着用者Hの肩に対する肩ベルト101の当たりを緩和し、着用者Hの負担を軽減することができる。
【0068】
また、実施例1のインナースペーサー1では、後身頃20が、身幅方向Wの中央部に配置された中央連結部22と、中央連結部22の左側に位置すると共に身丈方向Lの全長にわたって延びる左背側クッション部21aと、中央連結部22の右側に位置すると共に身丈方向Lの全長にわたって延びる右背側クッション部21bと、を有している。そして、中央連結部22は、左背側クッション部21aと右背側クッション部21bとを連結すると共に、左背側クッション部21a及び右背側クッション部21bの厚さよりも薄い厚さに設定されている。
【0069】
そのため、図10に示されたように、インナースペーサー1とフルハーネス型安全帯100の間に着用される衣服内に外気を導入した場合、衣服内に導入された外気は、中央連結部22に沿って流れ、着用者Hの首に向かうことができる。
【0070】
しかも、実施例1のインナースペーサー1では、中央連結部22の幅W3が、一対の肩ベルト101を着用者Hの背中側で交差した状態に保持するベルト通し環104が接する位置において、ベルト通し環104の幅W4よりも短くなっている。これにより、図11に示されたように、実施例1のインナースペーサー1は、ベルト通し環104を左背側クッション部21a及び右背側クッション部21bによって支持することができ、中央連結部22とベルト通し環104との間に隙間を確保することができる。つまり、実施例1のインナースペーサー1は、中央連結部22に沿って流れる外気の通路を閉塞しない。
【0071】
この結果、中央連結部22に沿った外気の流れがベルト通し環104によって阻害されることがない。よって、実施例1のインナースペーサー1は、フルハーネス型安全帯100を装着した場合であっても、衣服内に導入された背中側の外気を着用者Hの首に向かって円滑に流通させ、衣服内に導入した外気による冷却効率を損なうことが防止される。
【0072】
さらに、実施例1のインナースペーサー1では、中央連結部22の幅W3は、身丈方向Lの下部よりも上部の方が短くなっている。そのため、実施例1のインナースペーサー1は、中央連結部22に沿って流れる外気の導入側を広くして、左背側クッション部21aと右背側クッション部21bとの間に多くの外気を多く取り込むことが可能となる。
【0073】
以上、本発明のインナースペーサーを実施例1に基づいて説明してきたが、具体的な構成については、実施例1に限られるものではなく、各請求項に係る発明の要旨を逸脱しない限り、設計の変更や追加等は許容される。
【0074】
実施例1のインナースペーサー1では、前身頃10の上端部10aと後身頃20の上端部20aとの連結位置Rが、着用者Hの肩の稜線rに対して前側にずれている例が示された。しかしながら、連結位置Rの位置はこれに限らない。連結位置Rが着用者Hの肩の稜線rと重ならなければよいので、連結位置Rは、肩の稜線rに対して後側にずれていてもよい。この場合、着用者Hの肩は、前身頃10の上側クッション部11によって覆われる。
【0075】
実施例1のインナースペーサー1では、連結部13が、身幅方向Wの中央部13aよりも、身幅方向Wの両端部13b、13cの方が上側に位置している例が示された。しかしながら、連結部13の延在方向はこれに限らず、例えば、身幅方向Wの中央部13aと身幅方向Wの両端部13b、13cとが同じ高さ(傾斜角度θ=ゼロ°)に設定されてもよい。さらに、連結部13は、身幅方向Wの中央部13aよりも、身幅方向Wの両端部13b、13cの方が下側に位置(傾斜角度θ=マイナスの値)してもよい。
【0076】
また、実施例1のインナースペーサー1では、前身頃10が身幅方向Wの中央部から左右に分かれる例が示された。しかしながら、インナースペーサー1は、前身頃10が左右に分かれていないプルオーバータイプであってもよい。
【0077】
また、実施例1のインナースペーサー1では、連結部13が上側クッション部11及び下側クッション部12よりも厚さが薄く、インナースペーサー1の表面及び裏面に対してへこんでいる例が示された。しかしながら、連結部13は、上側クッション部11及び下側クッション部12よりも剛性が低ければよいので、必ずしも厚さが薄くなくてもよい。すなわち、例えば、連結部13において、上側クッション部11及び下側クッション部12を構成するクッション材3よりも柔らかいクッション材3が配置されてもよい。
【0078】
また、実施例1のインナースペーサー1は、ファン付き衣服や一般的な作業服等の衣服に対して独立(分離)して着用される。つまり、着用者は、実施例1のインナースペーサー1を着用した後、その上から衣服を着用する。しかしながら、衣服の内側(例えば肩部の内側等)にベルトやスナップボタン等の係合具を設け、インナースペーサー1に、衣服に設けられた係合具に着脱可能に係合する被係合具を設けて、インナースペーサー1が衣服と連結できるようにしてもよい。インナースペーサー1を衣服に連結した場合、インナースペーサー1の位置が衣服に対して固定されるため、作業時や落下時に生じるインナースペーサー1の位置ずれをさらに抑制することができる。また、衣服の着用前に予めインナースペーサー1を衣服に連結することで、着用者は、衣服とインナースペーサー1とを同時に着脱することができる。
【符号の説明】
【0079】
1 インナースペーサー
4 襟ぐり
10 前身頃
11 上側クッション部
12 下側クッション部
13 連結部
20 後身頃
21 背側クッション部
22 中央連結部
100 フルハーネス型安全帯
101 肩ベルト
103 胸ベルト
104 ベルト通し環
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11