(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024009847
(43)【公開日】2024-01-23
(54)【発明の名称】高光安定性を有する被覆粉末
(51)【国際特許分類】
A61K 8/27 20060101AFI20240116BHJP
C09C 1/04 20060101ALI20240116BHJP
C09C 1/36 20060101ALI20240116BHJP
C09C 3/08 20060101ALI20240116BHJP
C09C 1/24 20060101ALI20240116BHJP
A61K 8/25 20060101ALI20240116BHJP
A61K 8/89 20060101ALI20240116BHJP
A61K 8/29 20060101ALI20240116BHJP
A61K 8/19 20060101ALI20240116BHJP
A61Q 19/00 20060101ALI20240116BHJP
A61Q 17/04 20060101ALI20240116BHJP
【FI】
A61K8/27
C09C1/04
C09C1/36
C09C3/08
C09C1/24
A61K8/25
A61K8/89
A61K8/29
A61K8/19
A61Q19/00
A61Q17/04
【審査請求】有
【請求項の数】10
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023171088
(22)【出願日】2023-10-02
(62)【分割の表示】P 2022109267の分割
【原出願日】2018-04-10
(31)【優先権主張番号】15/483,669
(32)【優先日】2017-04-10
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
【公序良俗違反の表示】
(特許庁注:以下のものは登録商標)
1.テフロン
(71)【出願人】
【識別番号】518040194
【氏名又は名称】ナノフェーズ テクノロジーズ コーポレーション
【氏名又は名称原語表記】Nanophase Technologies Corporation
【住所又は居所原語表記】1319 Marquette Drive Romeoville, Illinois 60446 USA
(74)【代理人】
【識別番号】100107984
【弁理士】
【氏名又は名称】廣田 雅紀
(74)【代理人】
【識別番号】100096482
【弁理士】
【氏名又は名称】東海 裕作
(74)【代理人】
【識別番号】100131093
【弁理士】
【氏名又は名称】堀内 真
(74)【代理人】
【識別番号】100150902
【弁理士】
【氏名又は名称】山内 正子
(74)【代理人】
【識別番号】100141391
【弁理士】
【氏名又は名称】園元 修一
(72)【発明者】
【氏名】サーカス ハリー ダブリュ.
(72)【発明者】
【氏名】フーパー アビゲイル アール.
(72)【発明者】
【氏名】ホフマン ネイサン エイチ.
(57)【要約】 (修正有)
【課題】高光安定性を有する被覆粉末、該被覆粉末を含む分散液及び組成物、並びに被覆粉末の製造方法提供する。
【解決手段】被覆粉末は、(a)粒子と、(b)(1)シリカ部分、(2)モノ-オルガノオキシシラン部分、ビ-オルガノオキシシラン部分及びトリ-オルガノオキシシラン部分からなる群から選択されるオルガノオキシシラン部分、並びに(3)ポリ(ジアルキル)シロキサン部分を含む、粒子の表面上の被膜とを含む。オルガノオキシシラン部分及びシリカ部分の、SiO2当量の重量による量は、被覆される粒子の比表面積のm2/gあたり、被覆粉末の総重量の少なくとも0.0625%である。
【選択図】なし
【特許請求の範囲】
【請求項1】
(a)粒子と、
(b)(1)シリカ部分、
(2)モノ-オルガノオキシシラン部分、ビ-オルガノオキシシラン部分及びトリ-オルガノオキシシラン部分からなる群から選択されるオルガノオキシシラン部分、並びに
(3)ポリ(ジアルキル)シロキサン部分
を含む、前記粒子の表面上の被膜と
を含む被覆粉末であって、前記オルガノオキシシラン部分及び前記シリカ部分の、SiO2相当量の重量による量が、被覆される前記粒子の比表面積のm2/gあたり、前記被覆粉末の総重量の少なくとも0.0625%であり、前記粒子が10~500nmの平均粒径を有する、前記被覆粉末。
【請求項2】
粒子が、ZnO、TiO2及びこれらの混合物からなる群から選択される少なくとも1つの酸化物を含む、請求項1に記載の被覆粉末。
【請求項3】
粒子が酸化鉄を含む、請求項1に記載の被覆粉末。
【請求項4】
(1)請求項1~3のいずれかに記載の被覆粉末、
(2)流動体、及び
(3)任意に、抗酸化剤
を含む、分散液であって、
25℃において0.1秒-1~100秒-1の範囲の剪断速度で測定した場合、最大で50,000cPの粘度を有し、及び/若しくは25℃において0.1秒-1~100秒-1の範囲の剪断速度で測定した場合、最大で10,000cPの粘度を有し、並びに/又は
分散助剤をさらに含み、及び/若しくは前記分散助剤が、ステアリン酸、ステアレート、パルミチン酸、パルミテート、オレイン酸、オレエート、ポリヒドロキシステアリン酸、リン酸エステル、直鎖状アルキル置換アミン、トリグリセリンエステル、ポリエチレングリセリンエステル及びこれらの混合物からなる群から選択される、前記分散液。
【請求項5】
請求項1~3のいずれかに記載の被覆粉末及び液体担体を含む、油中水型若しくは水中油型の乳液であって、前記液体担体が化粧用に許容されるものであってよく、並びに/又は
前記液体担体が、安息香酸アルキル、脂肪酸エステル、天然産油、シリコーン油及びこれらの混合物からなる群から選択されるメンバーを含み、並びに/又は
前記液体担体が、安息香酸エチル、直鎖状安息香酸アルキル、カプリン酸/カプリル酸トリグリセリド及びこれらの混合物からなる群から選択されるメンバーを含む、前記油中水型若しくは水中油型の乳液。
【請求項6】
請求項1~3のいずれかに記載の被覆粉末を含む組成物であって、
化粧用/皮膚科用組成物であるか、又は
抗酸化剤を含む、
前記組成物。
【請求項7】
以下の方法における使用のための、請求項6に記載の組成物、請求項4に記載の分散液、若しくは請求項5に記載の乳液:
前記組成物、分散液、若しくは乳液で皮膚を被覆することを含む、皮膚を光から保護する方法;
前記組成物、分散液、若しくは乳液でケラチン性材料を被覆することを含む、ケラチン性材料を保護する方法;
前記組成物、分散液、若しくは乳液で皮膚を被覆することを含む、ヒト皮膚を保護する方法;又は
前記組成物、分散液、若しくは乳液を皮膚に塗布することを含む、脂質過酸化を抑制する方法。
【請求項8】
請求項6に記載の組成物、請求項4に記載の分散液、又は請求項5に記載の乳液を皮膚に塗布することを含む、
皮膚上の小じわ及びしわを妨ぐか若しくは低減する;
皮膚の弾力性の消失を妨ぐ;又は
皮膚の薄化を妨ぐ
方法。
【請求項9】
被覆粉末の製造方法であって、
(i)粒子、
(ii)テトラ-アルコキシシラン、ポリ(テトラ-アルコキシシラン)、及びこれらの混合物からなる群から選択される第1のアルコキシシラン、
(iii)モノ-オルガノアルコキシシラン、ビ-オルガノアルコキシシラン、トリ-オルガノアルコキシシラン及びこれらの混合物からなる群から選択されるオルガノアルコキシシラン、並びに
(iv)ポリ(ジアルキル)シロキサン及びこれらの混合物からなる群から選択される第2のアルコキシシラン
を含む組成物を重合することにより、ポリマーで前記粒子を被覆することを含み、
前記オルガノオキシシラン部分及びシリカ部分の、SiO2相当量の重量による量が、被覆される前記粒子の比表面積のm2/gあたり、前記被覆粉末の総重量の少なくとも0.0625%であり、前記粒子が10~500nmの平均粒径を有する、前記製造方法。
【請求項10】
請求項9に記載の被覆粉末の製造方法であって、
オルガノオキシシラン部分が、それぞれ、式R1
nSiO((4-n)/2)(式中、n=1、2又は3であり、各R1基は、アルキル、アルケニル、アルキニル、アリール及び複素環ラジカルからなる群から独立して選択され、及び/又は各R1基は、1~18個の炭素原子を有し且つアルキル、アルケニル及びアリールからなる群から独立して選択され、及び/又は各R1基は、アルキル、アリール、ビニル、グリシドキシアルキル、メタクリロキシアルキル、アミノアルキル、及びメルカプトアルキルからなる群から独立して選択される)を有し;
ポリ(ジアルキル)シロキサン部分が、それぞれ、式O(R2
2SiO)n(SiR2
2)O又はO(R2
2SiO)n(SiR2
2)ORc(式中、nは、2~14の整数であり、各R2基は、アルキルであり、Rcは、H、メチル、エチル及びプロピルからなる群から選択される)を有し、及び/又はオルガノオキシシランがプロピルシラン部分を含有し、前記ポリ(ジアルキル)シロキサンがポリジメチルシロキサンを含み;及び/又は
ポリ(ジアルキル)シロキサンが、式RcO(R2
2SiO)n(SiR2
2)ORc(式中、mは、2~14の整数であり、各R2基は、アルキル基であり、各Rc基は、アルキル基又はHである)を有し、及び/又は前記ポリ(ジアルキル)シロキサンが、ポリジメチルシロキサン又はポリジエチルシロキサンであり、及び/又は前記ポリ(ジアルキル)シロキサンが、直鎖状である、前記製造方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
[背景技術]
粒子は、多くの異なる種類の組成物及び生成物の特性を向上させ且つ修正するために添加される。例には、紫外線(UV,ultra-violet)光吸収性粒子、顔料、着色剤、充填剤、艶消剤、光散乱性粒子、耐摩耗性粒子、粘度調整剤、磁性粒子及び反射性粒子が含まれる。
【0002】
酸化物を含む粒子は、特に酸化亜鉛、酸化チタン、酸化ケイ素、酸化アルミニウム、酸化鉄及び/又は希土類金属酸化物を含有する粒子は、添加剤として特に適切である。これらの酸化物は、熱力学的に安定であり、典型的には、環境上広範に分布する酸素と反応することができず、且つ水との反応性が多くの他の酸化物及び非酸化物材料より低い傾向がある。これらの酸化物材料は、顔料及び研磨材として何世紀にもわたり使用されてきた。
【0003】
特定の金属酸化物で最も注目すべき酸化チタンからなる粒子は、通常は可視光に対して無色で透明であり、UV光への曝露に対する保護をもたらすため、特に興味深い;しかしながら、これらの酸化物の光触媒性挙動が原因となり、光安定性は乏しい傾向がある。UV放射に曝露された金属酸化物は、フリーラジカルの増加をもたらす。これらのフリーラジカルは、製剤自体の不安定化をもたらすことがある。さらに、フリーラジカルは、接触皮膚炎及び重度のアレルギー反応を誘起することで知られるヒドロ過酸化物及び他の過酸化フリーラジカルの形成をもたらす場合がある。これらのフリーラジカルはまた、結果的に活性酸素種(ROS,reactive oxygen species)となる連鎖反応の引き金ともなる。
これらの高反応性誘導体は、脂質膜を含む細胞構成成分と反応し、生存後期に現れる光老化及び皮膚がんの原因と考えられる。ROSは、非酵素的且つ酵素的な抗酸化防御系を枯渇させ且つ損傷を与え、永続する遺伝的損傷を引き起こす。化粧用組成物中の他の構成成分もまた低光安定性を有し、皮膚表面に付加的なフリーラジカルを生成することがある。
【0004】
粒子を被覆することにより、粒子の光安定性を改善することが見出された。被覆粉末は、UV放射から皮膚を保護するための組成物(例えば、日焼け止め剤)等の、皮膚塗布用の化粧用組成物を調製するために使用される。
【0005】
粒子を被覆して、化学的安定性、光安定性、及び低粘度を伴う高重量負荷の分散液の形成能を有する被覆粉末を生成することができる。例えば、化学的安定性、光安定性を生み出す被膜が見出され、そのような被覆粒子は、低粘度を伴う高重量負荷の分散液を形成するために使用され得る。被膜は、(1)シリカ部分、(2)モノ-オルガノオキシシラン部分、ビ-オルガノオキシシラン部分及びトリ-オルガノオキシシラン部分からなる群から選択されるオルガノオキシシラン部分、並びに(3)ポリ(ジアルキル)シロキサン部分を含む。例えば、米国特許第9,139,737号明細書を参照されたい。
【0006】
抗酸化剤は、化粧用スキンケア製品に使用されることが多く、UV放射下で酸化過程を経てその効力を失う。UV放射を遮断し且つ吸収する被覆粉末の添加により、UV放射により引き起こされる抗酸化剤の酸化を低減し得る。しかしながら、酸化亜鉛及び酸化チタン等の多くのUV遮断粒子は光触媒活性を示し、化粧用組成物内に過酸化フリーラジカルの発生をもたらすことがある。これは、抗酸化剤とフリーラジカルの間の即時の反応又はフリーラジカルにより生み出される生成物に起因して、抗酸化剤の安定性及び有効性を損なう恐れがある。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0007】
【特許文献1】米国特許第9,139,737号明細書
【発明の概要】
【課題を解決するための手段】
【0008】
第1の態様では、本発明は、(a)粒子と、(b)(1)シリカ部分、(2)モノ-オルガノオキシシラン部分、ビ-オルガノオキシシラン部分及びトリ-オルガノオキシシラン部分からなる群から選択されるオルガノオキシシラン部分、並びに(3)ポリ(ジアルキル)シロキサン部分を含む、粒子の表面上の被膜とを含む被覆粉末である。オルガノオキシシラン部分及びシリカ部分の、SiO2相当量の重量による量は、被覆される粒子の比表面積のm2/gあたり、被覆粉末の総重量の少なくとも0.0625%である。
【0009】
第2の態様では、本発明は、(1)被覆粉末、(2)流動体、及び(3)抗酸化剤を含む分散液である。
【0010】
第3の態様では、本発明は、被覆粉末の製造方法であって、(i)粒子、(ii)テトラ-アルコキシシラン、ポリ(テトラ-アルコキシシラン)、及びこれらの混合物からなる群から選択される第1のアルコキシシラン、(iii)モノ-オルガノアルコキシシラン、
ビ-オルガノアルコキシシラン、トリ-オルガノアルコキシシラン、及びこれらの混合物からなる群から選択されるオルガノアルコキシシラン、並びに(iv)ポリ(ジアルキル)シロキサン、及びこれらの混合物からなる群から選択される第2のアルコキシシランを含む組成物を重合することにより、ポリマーで粒子を被覆することを含む、製造方法である。オルガノオキシシラン部分及びシリカ部分の、SiO2相当量の重量による量は、被覆される粒子の比表面積のm2/gあたり、被覆粉末の総重量の少なくとも0.0625%である。
【0011】
第4の態様では、本発明は、超光安定性である被覆粉末である。
【0012】
第5の態様では、本発明は、被覆粉末を含む組成物で皮膚を被覆することを含む、皮膚を光から保護する方法である。
【0013】
第6の態様では、本発明は、被覆粉末を含む組成物でケラチン性材料を被覆することを含む、ケラチン性材料を保護する方法である。
【0014】
第7の態様では、本発明は、皮膚を分散液で被覆することを含む、皮膚を光から保護する方法である。
【0015】
第8の態様では、本発明は、被覆粉末を含む組成物を皮膚に塗布することを含む、脂質過酸化を抑制する方法である。
【0016】
第9の態様では、本発明は、被覆粉末を含む組成物を皮膚に塗布することを含む、皮膚上の小じわ及びしわを妨げるか又は低減する方法である。
【0017】
第10の態様では、本発明は、被覆粉末を含む組成物を皮膚に塗布することを含む、皮膚の弾力性の消失を妨げる方法である。
【0018】
第11の態様では、本発明は、被覆粉末を含む組成物を皮膚に塗布することを含む、皮膚の薄化を妨げる方法である。
【0019】
定義
用語「ナノ粒子」とは、最大で999nmの粒径を有する粒子を意味する。ナノ粒子は、10nm~500nmの粒径を有することが好ましい。
【0020】
用語「ミクロ粒子」とは、1μm~100μmの粒径を有する粒子を意味する。
【0021】
用語「粒径」とは、特に明記されない限り、電子顕微鏡で見た場合の粒子の画像の平均直径を意味する。用語「平均粒径」とは、粒子集合の粒径の平均を意味する。
【0022】
「高固形分含有(High solids content)」又は「高重量負荷(high weight loading)」とは、言及された組成物が、少なくとも50重量%の固体粒子を有することを意味する。
【0023】
「アルキル」(又はアルキル-又はアルキ-)は、置換又は非置換、直鎖状、分岐状又は環式の炭化水素鎖を表し、好ましくは1~22個の炭素原子を含有する。より好ましいアルキル基は、例えば、1~10個の炭素原子を含有するアルキル基のような低級アルキル基である。好ましいシクロアルキルは、3~10個、好ましくは3~6個の炭素原子をその環構造中に有する。非置換アルキル基の適切な例には、メチル、エチル、プロピル、イソプロピル、シクロプロピル、ブチル、イソ-ブチル、tert-ブチル、sec-ブチル、シクロブチル、ペンチル、シクロペンチル、ヘキシル、及びシクロヘキシルが含まれる。
【0024】
「アルケニル」は、少なくとも1個の二重結合を含有する、置換又は非置換、直鎖状、分岐状又は環式、不飽和の炭化水素鎖を表し、好ましくは2~22個、より好ましくは2~6個の炭素原子を有する。例示的な非置換アルケニル基には、エテニル(又はビニル)(-CH=CH2)、1-プロペニル、2-プロペニル(又はアリル)(-CH2-CH=CH2)、1、3-ブタジエニル(-CH=CHCH=CH2)、1-ブテニル(-CH=CHCH2CH3)、ヘキセニル、ペンテニル、及び1、3、5-ヘキサトリエニルが含まれる。好ましいシクロアルケニル基は、5~8個の炭素原子及び少なくとも1個の二重結合を含有する。シクロアルケニル基の例には、シクロヘキサジエニル、シクロヘキセニル、シクロペンテニル、シクロヘプテニル、シクロオクテニル、シクロヘキサジエニル、シクロヘプタジエニル、及びシクロオクタトリエニルが含まれる。
【0025】
「アルキニル」は、少なくとも1個の三重結合を含有する、置換又は非置換、直鎖状、分岐状又は環式、不飽和の炭化水素鎖を表し、好ましくは2~22個、より好ましくは2~6個の炭素原子を有する。
【0026】
「アリール」は、いかなる芳香族炭素環又は芳香族複素環基も表し、好ましくは3~10個の炭素原子を有する。アリール基は、環式(フェニル(又はPh)等)又は多環式(ナフチル等)であり得、且つ非置換又は置換であり得る。好ましいアリール基には、フェニル、ナフチル、フリル、チエニル、ピリジル、インドリル、キノリニル又はイソキノリニルが含まれる。
【0027】
「複素環ラジカル」は、安定な、飽和の、部分的に不飽和の、又は芳香環を表し、好ましくは5~10個、より好ましくは5又は6個の原子を含有する。上記環は、1又は2回以上(好ましくは1、2、3、4又は5回)、置換基で置換され得る。上記環は、モノ-、ビ-又は多環式であり得る。複素環基は、炭素原子並びに窒素、酸素、及び硫黄からなる群から独立して選択される1~3個のヘテロ原子からなる。ヘテロ原子は、保護されていても又は保護されていなくてもよい。有用な複素環基の例には、置換又は非置換のアクリジン、ベンザチアゾリン、ベンゾイミダゾール、ベンゾフラン、ベンゾチオフェン、ベンズチアゾール、ベンゾチオフェニル、カルバゾール、シンノリン、フラン、イミダゾー
ル、1H-インダゾール、インドール、イソインドール、イソキノリン、イソチアゾール、モルホリン、オキサゾール、フェナジン、フェノチアジン、フェノキサジン、フタラジン、ピペラジン、プテリジン、プリン、ピラジン、ピラゾール、ピリダジン、ピリジン、ピリミジン、ピロール、キナゾリン、キノリン、キノキサリン、チアゾール、1、3、4-チアジアゾール、チオフェン、1、3、5-トリアジン、及びトリアゾールが含まれる。
【0028】
「置換」とは、その部分が少なくとも1個、好ましくは1~3個の置換基を含有することを意味する。適切な置換基には、水素(H)及びヒドロキシル(-OH)、アミノ(-NH2)、オキシ(-O-)、カルボニル(-CO-)、チオール、アルキル、アルケニル、アルキニル、アルコキシ、ハロ、ニトリル、ニトロ、アリール、及び複素環基が含まれる。
【0029】
二酸化チタン(TiO2)の光安定性を、以下に記載の試験を使用して測定する。本試験は「TiO2光安定性試験」と表される。第1に、エタノール中の25%のレゾルシノールの保存溶液を調製する。8.9g(±0.01g)のFinsolv TN及び0.1g(±0.005g)のHostaphat KW 340Dを、ガラス製シンチレーションバイアルに入れる。次
に蓋をしたバイアルを、Hostaphat KW 340Dが溶解し溶液が均質となるまで(およそ15
分間)、50℃のオーブン中に置く。オーブンからバイアルを取り出した後、1.0g(±0.01g)の被覆二酸化チタン粉末を溶液に添加する。上記溶液を超音波処理浴に入れて、15分間超音波処理をする。第1のステップからのエタノール中の1.0g(±0.01g)の25%レゾルシノールをシンチレーションバイアルに添加し、均質となるまで手動で十分に混合する。石英キュベットをこの混合物で満たし、テフロン蓋で蓋をする。次に、Milton Roy Color Mate Colorimeter又は適切な同等の比色計を使用して、上記
混合物の試験を行う。上記混合物の試験を行う前に、白色タイル較正標準を使用して比色計を較正する。「事前照射試料」の結果を記録した後、試料を含有するキュベットをQUV
ウェザロメーター中に置く。次に、上記混合物を、Q-Labs QUVウェザロメーターにおいて、UVB電球を1.23Wm-2秒-1で50℃の一定温度において使用して、正確に15分間UV光に曝露する。次に、被検混合物を、比色計での即時色測定のために取り出す。光安定性は、記述されたUV曝露時間に関して、標準と比較した総色変化(total color change)として表され得る(L*a*b*色空間におけるΔE)。ΔEは、CIE76定義に従って、以下の式から計算される:
【0030】
【0031】
式中、
【0032】
【0033】
は照射後の被検混合物の色座標であり、
【0034】
【0035】
=99.47、
【0036】
【0037】
=-0.16、及び
【0038】
【0039】
=-0.17で、白色対照タイルの色座標に相当する。被覆TiO2粒子は、上述の光安定性試験においてΔEが15以下である場合、「超光安定性」である。
【0040】
酸化亜鉛(ZnO)等のTiO2以外の主要な組成物の光安定性を試験するために、以下の試験が使用され得る。本試験は「DPPH光安定性試験」と表される。第1に、0.025g±0.001gの被覆ZnO粉末を、4個の50mL使い捨てプラスチックビーカーに入れる。0.0125%のDPPH(ジ(フェニル)-(2,4,6-トリニトロフェニル)イミノアザニウム、ジフェニルピクリルヒドラジルとも表される;CAS番号1898-66-4)を、BCS(エチレングリコールブチルエーテル)溶液中で調製する。BC
S溶液中の19.975g±0.001の0.0125%DPPHを、被覆粉末を含有する各ビーカーに添加する。これをガラス撹拌ロッドで十分に混合し、各ビーカーを20秒間超音波処理して、確実に粉末を溶液全体に良好に分散させる。超音波処理後、試料を、ラベルを貼ったシンチレーションバイアルに移す。較正したMilton Roy Color Mate Colorimeter又は適切な同等の比色計で、事前照射試料を測定する。測定を行った後、試料を
照射する。次に、被検混合物を、Q-Labs QUVウェザロメーターにおいて、UVA又はUVB電球を0.35Wm-2秒-1で50℃の一定温度において使用して、正確に10分間UV光に曝露する。UVA電球はUVA放射のフィルターとなる粒子を試験するために使用され、且つUVB電球は、UVB放射のフィルターとなる粒子を試験するために使用される。最終的に、照射後試料を比色計で測定する。この場合、UV曝露後の光安定性は、520nmにおける色素の吸収帯に起因する紫色の持続性により示される。光安定性は、記述されたUV曝露時間に関して、標準と比較した総色変化として表され得る(L*a*b*色空間におけるΔE)。ΔEは、CIE76定義に従って、以下の式から計算される:
【0041】
【0042】
式中、
【0043】
【0044】
は、照射後の被検混合物の色座標であり、且つ
【0045】
【0046】
は、照射前の被検混合物の最初の色座標である。データを、4つの試料の平均ΔE値として報告する。被覆粒子は、上述の光安定性試験においてΔEが4.5以下である場合、「超光安定性」である。
【0047】
被覆効果顔料の光安定性を、前述の試験の修正バージョンを使用して測定する。本試験は「効果顔料光安定性試験」と表される。試料中の干渉性顔料自体の反射率により誘起される、比色分析測定におけるノイズを除去するために修正が必要であった。試験を以下に記載する。0.0125%のDPPH(ジ(フェニル)-(2,4,6-トリニトロフェニル)イミノアザニウム、ジフェニルピクリルヒドラジルとも表される;CAS番号1898-66-4)を、BCS(エチレングリコールブチルエーテル)溶液中で調製する。20ml
アリコートのDPPH溶液を、ラベルを貼ったシンチレーションバイアルに移す。この試料を、較正したMiltonRoy Color Mate Colorimeter又は適切な同等の比色計で測定する
。次に、0.025g±0.001gの被覆効果顔料粉末を、4個の50mL使い捨てプラスチックビーカーに入れる。BCS溶液中の19.975g±0.001の0.0125%のDPPHを、被覆粉末を含有する各ビーカーに添加する。これをガラス撹拌ロッドで十分に混合し、各ビーカーを20秒間超音波処理して、確実に粉末を溶液全体に良好に分散させる。超音波処理後、各試料を、ラベルを貼ったシンチレーションバイアルに移す。次に、被検混合物を、Q-Labs QUVウェザロメーターにおいて、UVB電球を0.35Wm-2秒-1で50℃の一定温度において使用して、正確に10分間UV光に曝露する。次に、照射後試料を、適切な1μmフィルターを通して濾過し、色測定と干渉し得る効果顔料を除去する。最終的に、濾過した放射後試料を比色計で測定する。前述のように、UV曝露後の光安定性は、520nmにおける色素の吸収帯に起因する紫色の持続性により示される。光安定性は、記述されたUV曝露時間に関して、標準と比較した総色変化として表され得る(L*a*b*色空間におけるΔE)。ΔEは、CIE76定義に従って、以下の式から計算される:
【0048】
【0049】
式中、
【0050】
【0051】
は、照射後の被検混合物の色座標であり、且つ
【0052】
【0053】
は、作製されたままのDPPH溶液の最初の色座標である。データを、4つの試料の平均ΔE値として報告する。被覆粒子は、上述の光安定性試験においてΔEが1.15以下である場合、これはCIE76に基づいて容認された丁度可知差異値(just noticeable difference value)の半分を表し、「超光安定性」である。
【0054】
化学反応性を、以下の化学反応性試験を使用して測定する。20gのガラス製バイアルを、イソプロピルアルコール中の5%の没食子酸n-プロピル(3,4,5-トリヒドロキシ安息香酸プロピル、Aldrich社製)の4.5gの保存溶液で満たす。評価される粉末
のグラム数の2分の1を、ガラス製バイアルに入れる。次に、浴型超音波処理機に入れることによる等でガラス製バイアルを30秒間激しくかき回す。この混合物を30分間放置しておく。次に、ピペットを使用して試料を静かに混合し、1cmの経路長を有するキュベット(ポリカーボネート、ポリスチレン、又はガラス)に移す。次に、工場白色標準(factory white color standard)に対して、DataColor-International Spectraflash SF3000比色計を使用して総色変化(ΔE)を測定する。化学反応性は総色変化(ΔE)として表される。粉末は、化学反応性試験が、20より大きいΔE値を伴い、日焼けした褐色の外観という結果をもたらした場合、適用時に化学反応性であると考えられる。
【0055】
疎水性を、以下の疎水性試験(本試験は、化粧品産業において一般的に使用される視認性水浮揚試験(visiblewater floatation test)であり、米国特許第4,454,28
8号明細書に記載されている)を使用して測定する。およそ30mlの脱イオン水をガラス製ジャーに入れる。試験されるおよそ3.0g±0.30gの粉末を、ガラス製ジャーに添加する。ガラス製ジャーをしっかりと密封し、試料を4~5回かき混ぜ、4~5回強く振盪して、水と粉末との間の密接な接触を達成する。粉末が浮揚性であり(水の表面に浮遊する)、且つ水が15分後に透明である場合、粉末は疎水性であると考えられる。粉末が浮揚性ではなく水が15分後に透明である場合、又は粉末が浮揚性であるが水が15分後に透明でない場合、試料はわずかに疎水性である。
【0056】
粉末の分散液の流動性を、以下の流出距離試験(run-off distance test)を使用して
測定する。分散液は、安息香酸エチルヘキシル(Finsolv(登録商標)EB、Innospec社製
)中の50%の固形分で生成される。3滴(75mg)の分散液を、ピペットから清浄なガラス板基材上に、表面が水平である間に載せる。次に、ガラス板基材を120秒間90°の角度で垂直に保ち、分散液を流動させる。分散液の流動性は、分散液が起点から流動した距離で表される。(本試験は、最初のスクリーニング中にのみ使用された;起点から測定された164±10mm(標準誤差として報告)の流出距離は、20秒-1の剪断速度における145±25cP(標準誤差として報告)の粘度に相当する)。被覆粉末は、安息香酸エチルヘキシル中の50%の固形分の分散液において100mmを超える流出距離を示す場合、注入可能な分散液を生成すると考えられる。
【0057】
粉末の分散液の粘度を、以下の粘度試験を使用して測定する。粉末の分散液は、カプリン酸/カプリル酸トリグリセリド(ALDO(登録商標)MCT Special KFG、Lonza社製、CAS番号73398-61-5)、安息香酸エチルヘキシル(Finsolv(登録商標)EB、Innospec社製
)、及び直鎖状安息香酸アルキル(Finsolv(登録商標)TN C12-15Alkyl Benzoate C
AS番号:68411-27-8)中で、特に指示がない限り、50重量%の固形分で調製される。粘度を、各分散液に関して、CP52スピンドルを備えるBrookfield社製DVIII+Ultra Rheometerを使用して25℃において測定する。測定は、0.1秒-1~100秒-1の範囲の剪断速度で行われる。
【0058】
粒子の比表面積をm2/gにおいて測定し、ブルナウアー-エメット-テラー(BET,Brunauer-Emmett-Teller)法を使用して決定する。
【0059】
SiO2相当量とは、被膜中の全てのケイ素をSiO2に変換した後に存在するSiO2の重量を意味する。例えば、その部分の「SiO2相当量の重量による量」とは、被覆粉末中の各部分のパーセントを決定するために、被膜を形成する全てのケイ素がSiO2に変換され且つ測定されることを意味する。
【0060】
抗酸化力(AP,Antioxidative power)を、Gematria Laboratories(Berlin、DE)により開発されたAP法を使用して測定する。この方法は、有効成分、すなわち植物抽出物、ビタミン等の全般的抗酸化力を、電子スピン共鳴(ESR,Electron Spin Resonance)分光法を用いて、安定した試験ラジカル-DPPHに対する還元活性を観察すること
により決定する。AP法は、周知のDPPH法を利用し、主要な違いは抗酸化能及び抗酸化活性の両方を使用して、試験される抗酸化物質を特徴づけることである。この目的のために、異なる濃度の有効成分が、ESR分光法によりリアルタイムで分析され、被検ラジカルスピンの減少を各設定に基づいて追跡する。この革新的な技術を用いて、大部分の他の試験システムにより完全に放置されている重要な動力学的情報がさらに得られる。したがって、反応時間及び抗酸化物質の還元電位の両方が、APの計算に寄与する。
AP=(RA×Nスピン)/(wc×tr)
【0061】
APは、上述の計算式により示され得、式中、RAは一定還元振幅(constant reductionamplitude)(1/e2)であり、Nスピンは、DPPHの自由電子(スピン)により特徴付けられる還元されたフリーラジカルの量であり、wcは、抗酸化生成物の特徴重量であり、且つtrは、還元時間である(Jung K, Richter J, Kabrodt K, Lucke IM, Schellenberg I, HerrlingT.The antioxidative power AP--A new quantitative time dependent (2D) parameterforthe determination of the antioxidant capacity and reactivity ofdifferentplants. Spectrochim Acta A Mol BiomolSpectrosc. 63(2006):846-50
)。得られたAPは、抗酸化性単位(AU,antioxidative unit)で表され、1AU
は、ベンチマークとしての純粋ビタミンC(アスコルビン酸)の1ppm溶液の活性に相当する。この方法により、非常に様々なクラスの物質の範囲にわたり、APの測定に対する迅速で且つ一般に適用可能な技術が可能となる。
【図面の簡単な説明】
【0062】
【
図1】UV照射時間が変化する場合のフリーラジカルの相対的パーセントのグラフである。
【
図2】オクチルトリエチルオキシシラン被膜を有するZnO又は多機能性被膜を有するZnOのいずれかと組み合わせた場合の、UV照射後の様々な抗酸化物質に関する相対的AP値のグラフである。
【発明を実施するための形態】
【0063】
TiO2及び他の選択された金属酸化物の被覆粉末は、UV保護局所的皮膚用組成物、及び他のUV保護被膜における使用に望ましい。しかしながら、商業的に望ましくなるためには、そのような被覆粉末は、(a)UV光への曝露中に色が著しく変化することがないように、光安定性であり;(b)保管中に組成物と反応するか又は組成物を退色させることがないように、化学反応性ではなく;且つ(c)担体流動体の最小限の導入を伴い、且つコスト効率の良い輸送及び保管のため、高SPF値を可能にするが、消費者用組成物を調製する場合に容易に処理且つ混合できるのに十分なほど低い粘度を有する、高重量負荷の分散液に形成され得ることが必要である。
【0064】
米国特許第9,139,737号明細書に記載される多機能性被覆粉末及び高分散固形分は、他の既存の被覆粉末より著しく改善されているが、被覆粉末の光安定性を増加させることによりさらに改善され得る。さらに、抗酸化剤をUV保護組成物に添加することにより、UV放射曝露により引き起こされる誘起フリーラジカルの量を低減する。
【0065】
本出願は、化学的に安定であり且つ高重量負荷の分散液への形成能を有することに加えて、優れた光安定性を有する被覆粉末を利用する。該被覆粉末は超光安定性である。該被覆粉末は、抗酸化剤を含有する組成物を形成するために使用され得、光への曝露時に抗酸化剤の損失を低減する。
【0066】
該被覆粉末は、ポリマーで被覆された粒子であり、粒子及び少なくとも3つの構成成分:(A)テトラ-アルコキシシラン、ポリ(テトラ-アルコキシシラン)、及びこれらの混合物からなる群から選択される第1のアルコキシシラン、(B)モノ-オルガノアルコキシシラン、ビ-オルガノアルコキシシラン、トリ-オルガノアルコキシシラン、及びこれらの混合物からなる群から選択されるオルガノアルコキシシラン、並びに(C)ポリ(ジアルキル)シロキサン、及びこれらの混合物からなる群から選択される第2のアルコキシシランを含有する組成物を重合することにより調製される。
【0067】
形成された被膜は、3つの構成成分:(A)シリカ部分、(B)モノ-オルガノオキシシラン部分、ビ-オルガノオキシシラン部分及びトリ-オルガノオキシシラン部分からなる群から選択されるオルガノオキシシラン部分、並びに(C)ポリ(ジアルキル)シロキサン部分のそれぞれに相当する部分を含有する。被覆粉末は、高固形分及び低粘度を有する、化粧用に許容される流動体中の分散液を形成するために使用され得る。
【0068】
全てのシランからの少なくとも特定の量のSi(SiO2重量相当量として測定される)が被膜中に存在する場合、優れた光安定性を生じることが見出された。各構成成分に関する組成範囲は、SiO2相当量に基づく。全てのシラン部分、すなわち、シリカ部分及びオルガノオキシシラン部分に由来するSiO2は、被覆される粒子の比表面積のm2/gあたり、被覆粉末の総重量の0.0625%以上でなければならない。シラン部分は、一、二、三、及び四官能性であり得る。
【0069】
被覆粉末は、高固形分及び低粘度を有する流動体中の分散液を形成するために使用され得る。該分散液は、UV放射から肌を保護するための組成物(例えば、日焼け止め剤)等の、皮膚塗布用の化粧用組成物を調製するために使用され得る。化粧用に許容されると考えられる材料は、化粧品成分国際命名法(INCI,International Nomenclature of Cosmetic Ingredients)に列挙されているものである。化粧用に許容される流動体の例は、安息香酸エチルヘキシル(EB,ethylhexyl benzoate)、直鎖状安息香酸アルキル(L
AB,linear alkyl benzoate)、カプリル酸/カプリン酸トリグリセリド(CCT,caprylic/capric triglyceride)、スクアラン、天然産油、及び種々のシリコーン流動体で
ある。天然産油は、種子、マメ、果物、花、皮、葉等に由来する油であり、それらの派生物を含む。天然産油の例は、オリーブ油及びダイズ油である。
【0070】
被覆粉末は、被覆粉末の分散液も同様に、種々の製品に使用され得る。それらは、特にTiO2及びZnO含有の被覆粉末の場合、皮膚科用組成物に添加され、皮膚に対するUV保護を提供し得て;被覆粉末はまたそのような組成物に無機顔料として添加され得る。被覆粉末はまた、髪の洗浄、着色及びスタイルを整えるために、一方、髪に対するUV保護を提供するためにも、シャンプー、ローション、ゲル、ヘアスプレー、エアゾール発泡クリーム又は乳液に添加され得る。被覆粉末は、ペンキ、シール材並びに木材、プラスチック及び他の建築材料用の他のコーティング剤に添加され得て;TiO2及びZnO含有の被覆粉末の場合に、UV保護もまた提供される。被覆粉末はまた、樹脂、充填されたポリマー及びプラスチック、並びにインクに添加され得る。磁性流動体は、特定の鉄酸化物及び希土類酸化物の場合のように、金属酸化物が磁性体である場合に調製され得る。
【0071】
粒子は、好ましくは、例えば、酸化亜鉛、酸化チタン、酸化ケイ素、酸化アルミニウム
、酸化鉄、酸化ビスマス、酸化セリウム、希土類酸化物、赤外線吸収性の二元及び三元混合の金属酸化物のような金属酸化物、並びにこれらの混合物を含む。例には、ZnO、TiO2、SiO2、Al2O3、Fe2O3、CeO2、SnO2、ジルコニウム-セリウム酸化物、セリウムを含有する混合ジルコニウム-希土類酸化物、アルミノケイ酸塩(非晶質のアルミノケイ酸塩、結晶アルミノケイ酸塩、及び軽石を含む)並びに他のケイ酸塩、アルミナ、アルミノケイ酸塩、酸化アルミニウムマグネシウム(例えば、スピネル)を含む酸化アルミニウム、3価金属カチオンをドープした酸化亜鉛(アルミニウム-ドープしたZnOを含む)、アンチモン-スズ酸化物(ATO,antimony-tin oxide)、インジウム-スズ酸化物(ITO,indium-tinoxide)、フッ素ドープした酸化スズ及びドー
プした酸化タングステンが含まれる。マイカ及び天然ミネラル酸化物等の酸化ミネラルもまた使用され得る。金属、カーバイド及びニトリド並びにこれらの混合物を含む他のセラミック組成物、同様に酸化物との混合物もまた使用され得る。
【0072】
粒子は効果顔料であり得る。効果顔料は、典型的には、より高い屈折率を有する二次材料の薄層で被覆された平板又は平板様の顔料粒子である。下にある平板の組成物は、典型的には、マイカ、合成マイカ、シリカ、又はアルミナである。被膜は、典型的には、二酸化チタン(典型的には、アナターゼ形態)、酸化鉄、又はオキシ塩化ビスマスである。顔料の色は、被覆層の厚さにより制御される。効果顔料は、典型的には、1~100μmの大きさの範囲である。顔料はまた、真珠光沢性顔料及び干渉性顔料とも表される。これらの材料は、市販されている(XIRALLIC(登録商標)、PYRISMA(登録商標)、COLORSTREAM(登録商標)及びEMD Performance Materials社製のIRIODIN(登録商標)製品群、BASF社製のMEARLIN(登録商標)真珠光沢性顔料、並びにEckart社製のSYNCRYSTAL(登録商標)
、SYNAFIL(登録商標)、MIRAGE(登録商標)、及びVISIONAIRE(登録商標)効果顔料)
。
【0073】
好ましくは、粒子は、最大で100、200、及び500nmの粒径を含む最大で999nmの粒径、より好ましくは10nm~500nmの粒径、最も好ましくは20、30、40、50、60、70、80、90、及び100nm等の15nm~250nmの粒径を有する。好ましくは、粒子は、最大で100、200、及び500nmの平均粒径を含む最大で999nmの平均粒径、より好ましくは10nm~500nmの平均粒径、最も好ましくは20、30、40、50、60、70、80、90、及び100nm等の15nm~250nmの平均粒径を有する。あるいは、粒子は1μm~100μmの粒径を有し得る。粒子は1~10μmの平均サイズを有することが好ましい。
【0074】
粒子は、好ましくは溶媒を用いず、且つ気相において少なくとも一部の組成物を用いて、組成物を重合することにより被覆され得る。組成物には、(A)テトラ-アルコキシシラン、ポリ(テトラ-アルコキシシラン)、及びこれらの混合物からなる群から選択される第1のアルコキシシラン、(B)モノ-オルガノアルコキシシラン、ビ-オルガノアルコキシシラン、トリ-オルガノアルコキシシラン、及びこれらの混合物からなる群から選択されるオルガノアルコキシシラン、並びに(C)ポリ(ジアルキル)シロキサン、及びこれらの混合物からなる群から選択される第2のアルコキシシランが含まれる。
【0075】
好ましくは、第1のアルコキシシランは、被覆粉末の0.1~8重量%、より好ましくは被覆粉末の0.5%~7重量%、最も好ましくは被覆粉末の1.5、2、2.5、3、3.5、4及び4.5%を含む1.0~5重量%の量で存在する。好ましくは、オルガノアルコキシシランは、被覆粒子の0.01~5重量%、より好ましくは被覆粉末の0.05~3重量%、最も好ましくは被覆粉末の0.1、0.2、0.3、0.4、0.5、0.6、0.7、0.8及び0.9%を含む0.1~1重量%の量で存在する。好ましくは、第2のアルコキシシランは、被覆粉末の0.1~10重量%、より好ましくは被覆粉末の0.5%~5重量%、最も好ましくは被覆粉末の1.0、1.25、1.5、1.75
、2.0及び2.25%を含む0.75~2.5重量%の量で存在する。
【0076】
第1のアルコキシシランは、テトラ-アルコキシシラン、ポリ(テトラ-アルコキシシラン)、又はこれらの混合物であり得る。テトラ-アルコキシシランは、式(RaO)4Siの化合物であり、式中、各Raは、同じか又は異なり得る有機基であり、各Raは、好ましくは、1~22個の炭素原子、より好ましくはメチル、エチル、及びプロピルを含む、2、3、4、5、6、7、8、及び9個の炭素原子を含む1~10個の炭素原子を有するアルキル基である。一例は、テトラエトキシシラン(TEOS,tetraethoxy silane)である。ポリ(テトラ-アルコキシシラン)は、部分加水分解により形成される、1つ又は2つ以上のテトラ-アルコキシシランのオリゴマーである。好ましくは、ポリ(テトラ-アルコキシシラン)は、2~14個のモノマー単位、より好ましくは5、6、7、8、及び9個を含む4~10個のモノマー単位を含有する。
【0077】
第1のアルコキシシランは、シリカ部分を含有し得る。シリカ部分は、4原子と結合するSi(O)4基であり、[OSi(O2)]nO等のクラスター中にも存在することができ、式中、nは2~14、より好ましくは5、6、7、8及び9を含む4~10である。
【0078】
オルガノアルコキシシランは、モノ-オルガノアルコキシシラン、ビ-オルガノアルコキシシラン、トリ-オルガノアルコキシシラン、及びこれらの混合物からなる群から選択される。オルガノアルコキシシランは、式R1
nSi(ORb)4-nの化合物であり、式中、nは1、2又は3である。R1は、アルキル(例えば、直鎖状アルキル、分岐状アルキル、環式アルキル、グリシドキシアルキル、メタンクリルオキシアルキル及びアミノアルキル)、アリール、ビニル及びヘテロアリール等の有機基である。R1の例には、メチル、エチル、プロピル、ブチル、ペンチル、ヘキシル、ヘプチル、オクチル、ノニル、デシル、ドデシル、トリデシル、テトラデシル、ペンタデシル、ヘキサデシル、ヘプタデシル、及びオクタデシルが含まれる。好ましくは、R1は、1~22個の炭素原子、より好ましくは2、3、4、5、6、7、8及び9個の炭素原子を含む1~10個の炭素原子を含有する。各Rbは、同じか又は異なり得る有機基であり、各Rbは、好ましくは、1~22個の炭素原子、より好ましくはメチル、エチル、及びプロピルを含む、2、3、4、5、6、7、8、及び9個の炭素原子を含む1~10個の炭素原子を有するアルキル基である。オルガノアルコキシシランの一例は、トリエトキシオクチルシランである。
【0079】
オルガノアルコキシシランは、オルガノオキシシラン部分を含有し得る。オルガノオキシシラン部分は、R1
nSi(O)(4-n)/2基であり、式中、nは1、2又は3の整数である。R1は、アルキル(例えば、直鎖状アルキル、分岐状アルキル、環式アルキル、グリシドキシアルキル、メタンクリルオキシアルキル及びアミノアルキル)、アリール、ビニル及びヘテロアリール等の有機基である。R1の例には、メチル、エチル、プロピル、ブチル、ペンチル、ヘキシル、ヘプチル、オクチル、ノニル、デシル、ドデシル、トリデシル、テトラデシル、ペンタデシル、ヘキサデシル、ヘプタデシル、及びオクタデシルが含まれる。好ましくは、R1は、1~22個の炭素原子、より好ましくは2、3、4、5、6、7、8及び9個の炭素原子を含む1~10個の炭素原子を含有する。オルガノオキシシラン部分の一例は、オクチルシランである。
【0080】
第2のアルコキシシランは、ポリ(ジアルキル)シロキサン、及びこれらの混合物からなる群から選択される。ポリ(ジアルキル)シロキサンは、好ましくは式RcO(R2
2SiO)n(SiR2
2)ORcのオリゴマーであり、式中、nは2~14、好ましくは5、6、7、8及び9を含む4~10の整数である。各R2は、メチル、エチル、又はフェニル等の有機基であり、各Rcは、アルキルオキシ基を形成するメチル、エチル、及びプロピルを含むアルキル等の末端ブロッキング基、又はヒドロキシル基を形成するHであ
り;ヒドロキシ及びアルキルオキシ基は両方とも反応性基である。1~3個のR2基が、ヒドロキシル及び/又はアルキルオキシ基であることも可能である。R2及びRcは、それぞれ独立して、好ましくは1~22個の炭素原子、より好ましくは2、3、4、5、6、7、8及び9個の炭素原子を含む1~10個の炭素原子を含有する。好ましくは、ポリ(ジアルキル)シロキサンは、ポリジメチルシロキサン又はポリジエチルシロキサンである。好ましくは、ポリ(ジアルキル)シロキサンは、200~10,000、より好ましくは500~5,000の重量平均分子量を有する。
【0081】
第2のアルコキシシランは、ポリ(ジアルキル)シロキサン部分を含有し得る。ポリ(ジアルキル)シロキサン部分は、他の原子に結合するO(R2
2SiO)n(SiR2
2)O又はO(R2
2SiO)n(SiR2
2)ORc基であり、式中、nは2~14、好ましくは5、6、7、8、及び9を含む4~10の整数である。各R2は、独立して、メチル、エチル、又はフェニル等の有機基であり、各Rcは、アルキルオキシ基を形成するメチル、エチル、及びプロピルを含むアルキル等の末端ブロッキング基、又はヒドロキシル基を形成するHであり;ヒドロキシ及びアルキルオキシ基は両方とも反応性基である。1~3個のR2基が、ヒドロキシル及び/又はアルキルオキシ基であることも可能である。R2及びRcは、それぞれ独立して、好ましくは1~22個の炭素原子、より好ましくは2、3、4、5、6、7、8及び9個の炭素原子を含む1~10個の炭素原子を含有する。好ましくは、ポリ(ジアルキル)シロキサン部分は、ポリジメチルシロキサン部分又はポリジエチルシロキサン部分である。
【0082】
典型的には、粒子及び組成物の3つの構成成分を十分に一緒に混合し、次に密封した容器に入れる。次に、該容器を真空引きし、少なくとも2つの構成成分が蒸気となる温度まで加熱する。温度を、好ましくは重合プロセス中に連続的に混合しながら、重合及び粒子上への被覆の形成を可能にするのに十分な時間維持する。重合反応をより長い持続時間実行することにより、粒子表面のより完全な被覆が可能となる。次に、容器に、アルコール等の揮発性の副生成物の除去を可能にする不活性ガス流を充満させ、続いて室温まで冷却させる。形成されたポリマー被膜は、それぞれの3つのシラン部分:(1)シリカ部分、(2)モノ-オルガノオキシシラン部分、ビ-オルガノオキシシラン部分及びトリ-オルガノオキシシラン部分からなる群から選択されるオルガノオキシシラン部分、並びに(3)ポリ(ジアルキル)シロキサン部分を含有する。
【0083】
好ましくは、重合温度は、80℃~120℃、より好ましくは、92、94、96、98、100、102、104、106、及び108℃を含む90℃~110℃である。好ましくは、重合のための時間量は、0.5~10時間、より好ましくは2、3、4、及び5時間を含む1~6時間である。
【0084】
重合プロセス後、いかなる揮発性化合物も蒸発させるために、被覆粉末を120℃まで加熱する。この乾燥により、非常にわずかな重量も除去される。被膜中のケイ素のSiO2相当量における量を決定する目的のために、被覆粉末を600℃~800℃の温度まで加熱する。本プロセスを、熱重量測定デバイス又は他のデバイスにおいて実行することができる。空気中での600℃又は800℃のいずれかまでの急激な酸化により、被覆粉末中の全てのケイ素含有部分がSiO2に変換される。強熱された粉末の組成は、種々のアッセイ方法により確認することができる。
【0085】
多様な技術が、本発明の被覆粉末を分析するために使用可能である。無機酸化物粒子を様々な酸で溶解し、ポリマー及び無機酸化物の相対量を決定することができ、次に、残りのポリマー被膜を、フーリエ変換赤外分光法(FTIR,Fourier Transform Infrared Spectroscopy)を使用して検討し、異なる部分の存在及び各部分の相対量を決定し得る。
質量分析、熱重量分析(TGA,Thermogravimetric Analysis)、又は誘導結合プラズマ
分光法(ICP,Inductively Coupled Plasma Spectroscopy)等の他の技術もまた使用
して、相対的モノマー単位比を確定し得る。公知の組成物の標準を使用することにより、基準を確定し得る。
【0086】
被覆粉末はまた固体NMRにより分析してもよく、13C及び29SiのNMRシグナルを検討して、異なる部分の存在及び各部分の相対量を決定し得る。さらに、無機酸化物粒子を様々な酸で溶解することができ、残りのポリマー被膜をNMRにより分析してもよく、13C及び29SiのNMRシグナルを検討して、異なる部分の存在及び各部分の相対量を決定し得る。公知の組成物の標準を使用することにより、基準を確定し得る。
【0087】
被覆粉末を、特性に関して、光安定性試験、化学反応性試験及び疎水性試験を使用して検討し得る。被覆粉末は、TiO2光安定性試験において、被覆粉末が、15以下のΔE、好ましくはΔE=2、3、4、5、6、7、8、9、10、11、12及び13を含むΔE=1~14の光安定性を有する場合、超光安定性である。被覆粉末は、DPPH光安定性試験において、被覆粉末が、4.5以下のΔE、好ましくはΔE=4.0、3.5、3.0、2.5、2.0、1.5及び1.0を含むΔE=1~4の光安定性を有する場合、超光安定性である。被覆粉末は、効果顔料光安定性試験において、被覆粉末が、1.15以下のΔE、好ましくは1.05、0.95、0.85、0.75、0.65及び0.55を含むΔE=0.5~1.0の光安定性を有する場合、超光安定性である。好ましくは、被覆粉末は、ΔE=0~20、より好ましくはΔE=0~17、最も好ましくはΔE=0、1、2、3、4、5、6、7、8、9、10、11、12、13、14、15、又は16の化学反応性を有する。好ましくは、被覆粉末は、疎水性又はわずかに疎水性、最も好ましくは疎水性である。
【0088】
被覆粉末は、非極性液体、好ましくはカプリン酸/カプリル酸トリグリセリド、直鎖状安息香酸アルキル、安息香酸エチルヘキシル、天然産油、及びシリコーン油等の化粧料油を用いて、分散液を形成するために使用され得る。好ましくは、分散液は、少なくとも40重量%の被覆粉末(固形分)、より好ましくは、50~65重量%の被覆粉末(固形分)、及び55~60重量%の被覆粉末(固形分)等の、少なくとも55重量%の被覆粉末(固形分)、少なくとも60重量%の被覆粉末(固形分)、及び少なくとも65重量%の被覆粉末(固形分)を含む少なくとも50重量%の被覆粉末(固形分)を含有する。そのような分散液は、ロータステータ機、プラネタリ混合、高圧ホモジナイザー、超音波混合、及び媒体粉砕(media milling)を用いる混合を含む、多様な従来の混合プロセスによ
り作製され得る。付加乳化剤又は分散剤が分散液中に含まれ得る。例には、5~15重量%の固形分におけるトリセレアレス-4ホスフェート(Hostaphat KW 340 D;Clariant社
製)が含まれる。
【0089】
驚いたことに、被覆粉末の高固形分分散液は、相対的に低粘度を有する。好ましくは、粘度は、最大で60,000cP、より好ましくは最大で30,000cP、最も好ましくは最大で6,000cPである。例には、1,000~50,000cP、及び5,000~30,000cPの粘度が含まれる。
【0090】
本発明の好ましい一態様には、被覆粉末を含有する分散液への抗酸化剤の添加が含まれる。抗酸化剤は、UV放射に曝露されると酸化され、抗酸化力の低下がもたらされる。加えて、酸化亜鉛及び他の金属酸化物は光反応性であり、UV放射曝露時にフリーラジカルを生成する。金属酸化物は、抗酸化剤と組み合わせて、抗酸化剤単独よりも大きいAPの損失を有する。しかしながら、被覆粉末を抗酸化剤と組み合わせることにより、分散液の相対的AP値は、抗酸化剤単独の相対的AP値よりも高いままである。被覆粉末が超光安定性であるため、被覆粉末及び抗酸化剤の組成物は、共に相乗的効果を示す。抗酸化剤は、UV放射が粒子により遮断されるか又は吸収されてAP値が保持されるため、効果的で
あり得る。
【0091】
分散液は、1つ又は2つ以上の抗酸化剤を含有し得る。抗酸化剤には、ビタミン、抗酸化ミネラル、抗酸化タンパク質、抗酸化性の酵素及び補酵素、植物性栄養分、抗酸化ホルモン、マイコスポリン様アミノ酸(MAA,mycosporine-likeamino acid)、海藻に由
来する抗酸化剤、並びに他の種類の抗酸化剤が含まれ得る。抗酸化剤は、水溶性、脂溶性、又は脂溶性且つ水溶性であり得る。適切なビタミンには、ビタミンA(レチノイド及びカロチノイドを含む)、ビタミンC(アスコルビン酸)、ビタミンE(トコフェロール)、並びにビタミンKが含まれる。適切なレチノイドには、レチノール、レチノイン酸(トレチノイン)、レチナール及びパルミチン酸レチニルが含まれる。適切なミネラルには、銅、マンガン、ヨウ化物及び亜鉛が含まれる。適切な酵素及び補酵素には、メラトニン、スーパーオキシドジスムターゼ、カタラーゼ、及びグルタチオンペルオキシダーゼが含まれる。適切な植物性栄養分には、カロチノイド、フラボノイド、フェノール酸、及び非フラボノイドフェノール酸が含まれる。適切なカロチノイドには、アルファ-カロチン、レチノール、アスタキサンチン、ベータ-カロチン、カンタキサンチン、ルテイン、リコピン、及びゼアキサンチンが含まれる。適切なフラボノイドには、ヒンダードフェノール、アピゲニン、ルテオリン、タンゲレチン、イソハムネチン(isohamnetin)、ケンフェロ
ール、ミリセチン、プロアントシアニジン、ケルセチン、エリオジクチオール、ヘスペレチン、ナリンゲニン、カテキン、ガロカテキン、エピカテキン、エピガロカテキン、テアルビジン、ダイゼイン、ゲニステイン、グリシテイン、レスベラトロール、プテロスチルベン、シアニジン、デルフィニジン、マルビジン、ペラルゴニジン、及びペツニジンが含まれる。適切なフェノール酸には、フェノール、ポリフェノール、アルキル化フェノール、及びヒンダードフェノールが含まれる。適切なフェノールには、ブチル化ヒドロキシアニソール、ブチル化ヒドロキシトルエン、カンナビノイド、カプサイシン、カルバクロール、クレゾール、エストラジオール、オイゲノール、没食子酸、グアヤコール、チモール、チロシン、及びセサモールが含まれる。没食子酸には、ガレートとしても公知の没食子酸の塩及びエステルが含まれる。適切な非フラボノイドフェノール酸には、クルクミン、フラボノリグナン、キサントン、及びオイゲノールが含まれる。適切なマイコスポリン様アミノ酸(MAA)には、マイコスポリン-グリシン及びマイコスポリン-タウリン等のモノ-置換MAA、パリテン酸及びシノリン等のジ-置換MAA、並びにパリシン-スレオニン硫酸塩及びパリシン-スレオニングリコシド等の誘導体化MAAが含まれる。適切なMAAの例は、(Wada et al., Mycosporine-Like Amino Acidsand Their Derivatives
as Natural Antioxidants. Antioxidants 2015, 4, 603-646)に見出される。海藻に由
来する抗酸化剤には、アスコルビン酸塩、グルタチオン、フロロタンニン、エコール、エクストロノール、プレニルトルキノン、テトラプレニルトルキノール、サルゴサンベルゴールA(sargothunbergol A)、フコジフロレトール、テルペノイド、フィコシアニン、
フィコシアノビリン、フコキサンチン、フロロタンニン、及びルテインが含まれる。可能性がある他の有機抗酸化剤には、ビリルビン、クエン酸、シュウ酸、フィチン酸、n-アセチルシステイン、尿酸、緑茶、ヒドキシ-トリロソール、ジヒドロ-ケルセチン、ユビキノン、グルタチオン、アルファ-リポ酸、葉酸、エラグ酸、コーヒー酸、及びフィトエストロゲンが含まれる。上記の抗酸化剤はまた、抗酸化剤のいかなる塩、エステル又は酸の形態も含む。
【0092】
分散液は、1つ又は2つ以上のフィト抽出物を含有し得る。「フィト抽出物」は植物から得られる物質である。フィト抽出物は、色を付与することが好ましい。フィト抽出物は、非水性組成物;空気中で安定;皮膚に対して非汚染性;使用量において皮膚に対して非刺激性;且つ使用量において無毒性のものと適合性でなければならない。フィト抽出物は、少なくとも95%の純度レベルを有する。適切なフィト抽出物の例には、クルクミン、リコピン、ベータ-カロチン、ルテイン、ゼアキサンチン、メソ-ゼアキサンチン及びアントシアニンが含まれる。クルクミンの供給源には、ターメリックが含まれる。リコピン
の供給源には、ビート、サクランボ、クコの実、ピンクグレープフルーツ、ザクロ、ラズベリー、赤キャベツ、赤タマネギ、イチゴ、トマト及びスイカが含まれる。ベータ-カロチンの供給源には、アンズ、カンタループ、ニンジン、オレンジ、パパイヤ、モモ、カキ、カボチャ、ペポカボチャ、サツマイモ、冬カボチャ及びヤムイモが含まれる。ルテイン、ゼアキサンチン、及びメソ-ゼアキサンチンの供給源には、アボカド、ブロッコリ、芽キャベツ、キャベツ、サヤインゲン、葉緑野菜(leafy green)、オレンジトウガラシ、
エンドウ、ホウレンソウ、イエローコーン及びズッキーニが含まれる。アントシアニンの供給源には、ビート、カシス、ブルーベリー、サクランボ、ナス、イチジク、ブドウ、プラム、プルーン、赤キャベツ及びアカフサスグリが含まれる。フィト抽出物は、加水分解、水素化、エステル化又は鹸化により化学修飾され得る。通常は色を付与するフィト抽出物が化学修飾された場合、もはや色を付与しない場合がある。例えば、クルクミンは黄色を付与するが、水素化されたテトラ-ヒドロクルクミンは無色である。
【0093】
分散液は、1つ又は2つ以上の植物バイオ抽出物を含有し得る。「植物バイオ抽出物」は、芳香をもたらし、色も与え得る植物の天然抽出物である。植物バイオ抽出物は、非水性組成物;空気中で安定;皮膚に対して非汚染性;使用量において皮膚に対して非刺激性;且つ使用量において無毒性のものと適合性でなければならない。植物バイオ抽出物の合成バージョンは、用語「植物バイオ抽出物」の範囲外である。適切な植物バイオ抽出物の例には、アルニカ抽出物(アルニカ・モンタナ(Arnica montana))、バジル抽出物(スイートバジル(Ocimum basilicum))、ボスウェリア抽出物(ボスウェリア・サクラ(Boswelliasacra))、キンセンカ抽出物(カレンデュラ(Calendula officinalis))、カ
モミール抽出物(ローマカミツレ(Anthemis nobilis))、ケイヒ油(セイロンニッケイ(Cinnamomumverum))、クローブ油(チョウジ(Syzygium aromaticum))、オウレン
抽出物(コプチス・アスプレニイフォリア(Coptis aspleniifolia))、エキナセア抽出物(エキナセア・パープレア(Echinacea purpurea))、ユーカリ油(ユーカリプタス・オクシデンタリス(Eucalyptus occidentalis))、根ショウガ抽出物(ジンジベール・
オフィシナーレ(Zingiber officinale))、ブドウ種子抽出物(ビチス・ビィネフェラ
(Vitis vinefera))、緑茶抽出物(カメリア・シネンシス(Camilia sinensis))、グッグル樹脂抽出物(コミフォラ・ウィッチ(Commiphora wightii))、セイヨウトチノキの実抽出物(アエスクルス・ヒッポカスタヌム(Aesculus hippocastanum))、イタドリ抽出物(ポリゴヌム・クスピダツム(Polygonum cuspidatum))、カンゾウ抽出物(グリシリザ・グラブラ(Glycyrrhiza glabra))、ニームの葉抽出物(アザディラクタ・インディカ(Azadirachta indica))、オリーブ果実及びオリーブの葉の抽出物(オリーブ(Olea europaea))、パパイヤ抽出物(パパイヤ(Carica papaya))、ペルーバルサム(ミロキシロン・バルサム(Myroxylon balsamum))、パイナップル抽出物(アナナス・コモスス(Ananas comosus))、ザクロ抽出物(プニカグラナツム L.(Punica granatum L.))、ローズマリー抽出物(ロスマリヌス・オッフィキナリス(Rosmarinus officinalis))、セージ抽出物(サルビア・オッフィキナリス(Salvia officinalis))、ビャクダン抽出物(サンタルム・アルブム(Santalum album))、ウコン抽出物(クルクマ・ロンガ(Curcuma longa))及びマンサク抽出物(ハマメリス・ジャポニカ(Hamamelis japonica))が含まれる。全ての上記例は、植物の同一属の異なる種を含み得る。例えば
、マンサク抽出物は、ハマメリス・ジャポニカ、ハマメリス・オバリス(Hamamelis ovalis)、ハマメリス・モリス(Hamamelis mollis)又はハマメリス・ビルギニアナ(Hamamelisvirginiana)から得ることができる。
【0094】
組成物は、フィト抽出物を含んでいてもよい。フィト抽出物は、色を与えるために選択され得る。色を付与しないフィト抽出物もまた組成物中に含まれ得る。フィト抽出物は、非水性組成物;空気中で安定;皮膚に対して非汚染性;使用量において皮膚に対して非刺激性;且つ使用量において無毒性のものと適合性でなければならない。フィト抽出物は、少なくとも95%の純度レベルを有する。適切なフィト抽出物の例には、クルクミン、リ
コピン、ベータ-カロチン、ルテイン、ゼアキサンチン、メソ-ゼアキサンチン及びアントシアニンが含まれる。クルクミンの供給源には、ターメリックが含まれる。リコピンの供給源には、ビート、サクランボ、クコの実、ピンクグレープフルーツ、ザクロ、ラズベリー、赤キャベツ、赤タマネギ、イチゴ、トマト及びスイカが含まれる。ベータ-カロチンの供給源には、アンズ、カンタループ、ニンジン、オレンジ、パパイヤ、モモ、カキ、カボチャ、ペポカボチャ、サツマイモ、冬カボチャ及びヤムイモが含まれる。ルテイン、ゼアキサンチン、及びメソ-ゼアキサンチンの供給源には、アボカド、ブロッコリ、芽キャベツ、キャベツ、サヤインゲン、葉緑野菜、オレンジトウガラシ、エンドウ、ホウレンソウ、イエローコーン及びズッキーニが含まれる。アントシアニンの供給源には、ビート、カシス、ブルーベリー、サクランボ、ナス、イチジク、ブドウ、プラム、プルーン、赤キャベツ及びアカフサスグリが含まれる。フィト抽出物は、加水分解、水素化、エステル化又は鹸化により化学修飾され得る。クルクミン等の通常は色を付与するフィト抽出物が、テトラ-ヒドロクルクミン等のように化学修飾された場合、もはや色を付与しない場合がある。組成物は、0.01%~5.0%のフィト抽出物、好ましくは0.02%、0.03%、0.04%、0.05%、0.06%、0.07%、0.08%、0.09%、0.10%、0.11%、0.12%、0.13%、0.14%、0.15%、0.16%、0.17%、0.18%、0.19%及び0.20%のフィト抽出物を含む0.01%~1.0%のフィト抽出物を含有し得る。
【0095】
組成物は、植物バイオ抽出物を含んでいてもよい。植物バイオ抽出物は、芳香をもたらし且つ色も与え得る。植物バイオ抽出物は、親油性又は疎水性である等の非水性組成物;空気中で安定;皮膚に対して非汚染性;使用量において皮膚に対して非刺激性;且つ使用量において無毒性のものと適合性でなければならない。適切な植物バイオ抽出物の例には、アルニカ抽出物(アルニカ・モンタナ)、バジル抽出物(スイートバジル)、ボスウェリア抽出物(ボスウェリア・サクラ)、キンセンカ抽出物(カレンデュラ)、カモミール抽出物(ローマカミツレ)、ケイヒ油(セイロンニッケイ)、クローブ油(チョウジ)、オウレン抽出物(コプチス・アスプレニイフォリア)、エキナセア抽出物(エキナセア・パープレア)、ユーカリ油(ユーカリプタス・オクシデンタリス)、根ショウガ抽出物(ジンジベール・オフィシナーレ)、ブドウ種子抽出物(ビチス・ビィネフェラ)、緑茶抽出物(カメリア・シネンシス)、グッグル樹脂抽出物(コミフォラ・ウィッチ)、セイヨウトチノキの実抽出物(アエスクルス・ヒッポカスタヌム)、イタドリ抽出物(ポリゴヌム・クスピダツム)、カンゾウ抽出物(グリシリザ・グラブラ)、ニームの葉抽出物(アザディラクタ・インディアカ)、オリーブ果実及びオリーブの葉の抽出物(オリーブ)、パパイヤ抽出物(パパイヤ)、ペルーバルサム(ミロキシロン・バルサム)、パイナップル抽出物(アナナス・コモスス)、ザクロ抽出物(プニカグラナツム L.)、ローズマリー抽出物(ロスマリヌス・オッフィキナリス)、セージ抽出物(サルビア・オッフィキナリス)、ビャクダン抽出物(サンタルム・アルブム)、ウコン抽出物(クルクマ・ロンガ)及びマンサク抽出物(ハマメリス・ジャポニカ)が含まれる。分散液は、藻類種からの抽出物を含んでいてもよい。これらの種には、ヒジキア・フシホルミス(Hijikia fusiformis)、スピルリナ・プラテンシス(Spirulina platensis)、アファニゾメノン(Aphanizomenon)、スピルリナ・マキシマ(Spirulina maxima)、サルガッスム・クジェラマニアヌム(Sargassum kjellamanianum)、S.シリクアストルム(S.siliquastrum)、ロドメラ・コンフェルボイデス(Rhodomela confervoides)、シンフジョクラジア・ラチウスクラ(Symphjocladia latiuscula)、カッパフィクス・アルバレッジ(Kappaphycus alvarezzi)、ボツリオコッカス・ブラウニー(Botryococcus braunii)、ドナリエラ・サリナ(Dunaliella salina)、シストセイラ・クリニテ(Cystoseira crinite)、ツルアラメ(Ecklonia stolonifera)、ウミトラノオ(Sargassum thunbergii)、S.サンベルギイ(S.thunbergii)、及びカジメ(Ecklonia cava)が含まれる。組成物は、0.10%~10.0%の植物バイオ抽出物、好ましくは2.1%、2.2%、2.3%、2.4%、2.5%、2.6%、2.7%、2.8%、2.9%、3.0%、3.1%、3.2%、3.3%、3.4%、3.5%、3.6%、3.7%、3.8%、3.9%及び4.0%の植物バイオ抽出物を含む2.0%~6.0%の植物バイオ抽出物を含有し得る。
【0096】
組成物は、油溶性抗酸化剤を含んでいてもよい。抗酸化剤が存在する場合、該抗酸化剤はフィト抽出物とは異なる。適切な抗酸化剤の例には、カロチン、カテキン、リコピン、レスベラトロール、ビタミンE又はビタミンAが含まれる。「ビタミンE」は、アルファ-トコフェロール及びガンマ-トコトリエノール等のビタミンE群の化合物を構成する、いかなるトコフェロール又はトコトリエノール化合物も表し得る。組成物は、0.01%~5.0%の抗酸化剤、好ましくは0.1%、0.2%、0.3%、0.4%、0.5%、0.6%、0.7%、0.8%、0.9%、1.0%、1.1%、1.2%、1.3%、1.4%、1.5%、1.6%、1.7%、1.8%、1.9%及び2.0%の抗酸化剤を含む0.1%~3.0%の抗酸化剤を含有し得る。
【0097】
分散液は、1つ又は2つ以上の原生生物抽出物を含有し得る。「原生生物抽出物」は、原生生物から得られる物質である。原生生物には、動物、植物又は菌類ではない真核生物が含まれる。原生生物抽出物は、アスタキサンチンが豊富な物質であることが好ましい。適切な原生生物抽出物の例には、プランクトン抽出物及び藻類抽出物、詳細には紅藻類抽出物が含まれる。
【0098】
分散液は、原生生物抽出物を含んでいてもよい。原生生物抽出物は、アスタキサンチンが豊富な物質であることが好ましい。適切な原生生物抽出物の例には、プランクトン抽出物及び藻類抽出物、詳細には紅藻類抽出物が含まれる。分散液は、0.01%~5.0%の原生生物抽出物、好ましくは0.1%、0.2%、0.3%、0.4%、0.5%、0.6%、0.7%、0.8%、0.9%、1.0%、1.1%、1.2%、1.3%、1.4%、1.5%、1.6%、1.7%、1.8%、1.9%及び2.0%の原生生物抽出物を含む0.1%~3.0%の原生生物抽出物を含有し得る。化粧用及び皮膚科用調製物は、化粧用成分、補助剤及び/又は添加剤、例えば、共乳化剤、脂肪及びワックス、安定剤、増粘剤、生体有効成分、皮膜形成剤、香料、色素、パール化剤、防腐剤、顔料、電解液、及びpH調節剤を含み得る。適切な共乳化剤は、好ましくは、例えばポリグリセロールエステル、ソルビタンエステル又は部分的にエステル化されたグリセリドのような、公知のW/O及びO/Wでもある乳化剤である。脂肪の典型的な例は、グリセリド;蜜蝋、パラフィンワックス又は微細結晶性ワックス等のワックスであり、親水性ワックスとの組み合わせであってもよい。安定剤は、例えば、ステアリン酸マグネシウム、ステアリン酸アルミニウム及び/又はステアリン酸亜鉛のような脂肪酸の金属塩を含む。増粘剤の例には、架橋ポリアクリル酸及びその誘導体、キサンタンガム、グアーガム、寒天、アルギン酸塩及びチロース、カルボキシメチルセルロース及びヒドロキシエチルセルロース等の多糖類、並びに脂肪アルコール、モノグリセリド及び脂肪酸、ポリアクリレート、ポリビニルアルコール及びポリビニルピロリドンが含まれる。生体有効成分には、植物抽出物、タンパク加水分解物及びビタミン複合体が含まれる。通例の皮膜形成剤には、例えば、キトサン、微細結晶性キトサン又は4級化キトサン、ポリビニルピロリドン、ビニルピロリドン/酢酸ビニルコポリマー、アクリル酸系のポリマー、及び第4級セルロース誘導体等の親水コロイドが含まれる。防腐剤の例には、パラベン、ジアゾリジニル尿素、ブチルカルバミン酸ヨードプロピニル、及びソルビン酸が含まれる。パール化剤の例には、ジステアリン酸エチレングリコール等のグリコールジステアリン酸エステル、脂肪酸及び脂肪酸モノグリコールエステルが含まれる。使用され得る色素は、化粧用目的に適切で且つ承認された物質である。アミノ酸、レチノール、フラボノイド、ポリフェノール、ビタミンC及びトコフェロール等の抗酸化剤もまた、含まれ得る。
【0099】
化粧用及び皮膚科用調製物は、溶液、分散液又は乳液の形態であり得て;例えば、日焼け防止調製物は、例えば、油中水型クリーム、水中油型クリーム及びローション、エアゾ
ール発泡クリーム、ゲル、油脂、マーキング用ペンシル、粉末、スプレー又はアルコール-水性ローションとして、液体、ペースト又は固体の形態であり得る。これらの組成物用の溶媒には、水;カプリン酸又はカプリル酸のトリグルセリド、同様にヒマシ油等の油脂;脂肪、ワックス及び他の天然及び合成の脂肪物質、例えばイソプロパノール、プロピレングリコール又はグリセリンのような低炭素数のアルコールとの脂肪酸のエステル、又は低炭素数のアルカン酸との、若しくは脂肪酸との、脂肪アルコールのエステル;低炭素数のアルコール、ジオール又はポリオール、及びそれらのエーテル、好ましくはエタノール、イソプロパノール、プロピレングリコール、グリセリン、エチレングリコール、エチレングリコールモノエチル又はモノブチルエーテル、プロピレングリコールモノメチル、モノエチル又はモノブチルエーテル、ジエチレングリコールモノメチル又はモノエチルエーテルが含まれる。他の例には、ミリスチン酸イソプロピル、パルミチン酸イソプロピル、ステアリン酸イソプロピル、オレイン酸イソプロピル、ステアリン酸n-ブチル、アジピン酸ジイソプロピル、ラウリン酸n-ヘキシル、オレイン酸n-デシル、ステアリン酸グリセリル、ステアリン酸イソオクチル、ステアリン酸イソノニル、イソノナン酸イソノニル、パルミチン酸2-エチルヘキシル、ラウリン酸2-エチルヘキシル、ステアリン酸2-ヘキシルデシル、パルミチン酸2-オクチルドデシル、オレイン酸オレイル、エルカ酸オレイル、オレイン酸エルシル、及びエルカ酸エルシルが含まれる。
【0100】
化粧用及び皮膚科用調製物は、固形スティック状の形態であり得、且つ天然又は合成のワックス、脂肪アルコール又は脂肪酸エステル、例えばパラフィン油、ヒマシ油のような液体油脂、ミリスチン酸イソプロピル、例えば黄色ワセリン、ラノリンのような半固体構成要素、蜜蝋、セレシン及び微細結晶性ワックス、並びに臭蝋等の固体構成要素、並びにカルナウバ蝋及びキャンデリア蝋を含む高融点ワックスを含み得る。
【0101】
化粧用調製物は、ゲルの形態であり得、好ましくは、水、例えばアラビアガム、キサンタンガム、アルギン酸ナトリウム、例えばメチルセルロース、ヒドロキシメチルセルロース、ヒドロキシエチルセルロース、ヒドロキシプロピルセルロース、ヒドロキシプロピルメチルセルロース等のセルロース誘導体のような有機増粘剤、及び例えばベントナイトのようなケイ酸アルミニウム等の無機増粘剤、又はポリエチレングリコール及びステアリン酸ポリエチレングリコール若しくはジステアリン酸ポリエチレングリコールの混合物を含む。
【0102】
被覆粉末及び分散液はまた、ペンキ、シール材及び他のコーティング剤にも含まれ得、ポリアクリレート、ポリウレタン、ポリアルキド、ポリエポキシド、ポリシロキサン、ポリアクリロニトリル及び/又はポリエステル等の結合剤もまた含有し得る。有機溶媒もまた、エタノール、酢酸ブチル、酢酸エチル、アセトン、ブタノール、アルカン、メタノール、プロパノール、及びペンタノール;テトラヒドロフラン及び1,4-ジオキサン等のエーテル/アセタール;ジアセトンアルコール、及びメチルエチルケトン等のケトン;並びにエチレングリコール、プロピレングリコール、及びジエチレングリコール等の多価アルコール誘導体又はこれらの混合物を含み、存在し得る。これらの組成物は、木材、ポリ塩化ビニル(PVC,polyvinyl chloride)、プラスチック、鋼鉄、アルミニウム、亜鉛、銅、中質繊維板(MDF,medium density fiberboard)、ガラス及びコンクリートを
含む、多様な基材を被覆するために使用され得る。どの被覆粉末が含まれるかに応じて、組成物は、透明、UV耐性であり得、及び/又はより大きい耐擦傷性をもたらす被膜を基材に提供する。
【0103】
被覆粉末及び分散液を樹脂とブレンドして、有機ポリマー複合材が提供され得る。樹脂の例には、ポリエチレン、ポリプロピレン、ポリスチレン、ポリエチレンテレフタレート、アクリロニトリルスチレン(AS,acrylonitrile styrene)樹脂、アクリロニトリル
ブタジエンスチレン(ABS,acrylonitrile butadiene styrene)樹脂、アクリロニト
リルエチレンスチレン(AES,acrylonitrile ethylene styrene)樹脂、ポリ塩化ビニリデン、メタクリル酸樹脂、ポリ塩化ビニル、ポリアミド、ポリカルボネート、ポリアリルエステル、ポリイミド、ポリアセタール、ポリエーテルケトン、ポリエーテルスルホン、酸化ポリフェニル及び硫化ポリフェニレン、同様にこれらの混合物が含まれる。これらの組成物中に、着色剤、蛍光剤、並びに抗酸化剤、老化防止剤、UV吸収剤、潤滑剤、帯電防止剤、界面活性剤、充填剤(被覆粉末及び分散液も充填剤として作用し得る)、可塑剤、安定剤、発泡剤、膨張剤、電気伝導性粉末、電気伝導性短繊維、消臭剤、軟化剤、増粘剤、粘度降下剤、希釈剤、撥水剤、撥油剤、架橋剤及び硬化剤等の添加剤もまた存在し得る。これらの有機ポリマー組成物は、射出成形、吹込成形、押出成形、カレンダー成形、流動成形、圧縮成形、メルトブロー成形、及びスパンボンド法を含む多様な技術により成形され得、それにより繊維、糸、薄膜、シート、テープ、及び射出成形製品等の形状付与製品並びに中空糸、パイプ、及び瓶等の成形体が生成され得る。あるいは、組成物に、真空形成、空気圧形成、及び積層成形等の、熱可塑性樹脂に一般に適用される第2の成形方法を施すことができる。
[実施例]
【0104】
TiO2、DPPH及び効果顔料の光安定性試験は、カスタマイズされた試験である。異なる比色計光安定性試験を設計して、様々な材料に対する高レベルの感度を提供する。各材料は、異なる吸収帯及び反応性を有し、そのため、UV放射曝露時に結果として生じる色変化を正確に測定するために、異なる試験が必要とされる。例えば、TiO2は、DPPHと非常に反応性であるため、典型的には、TiO2はDPPHを使用して試験しない。3つの比色計試験は、試料における色変化を標準と比較することにより、迅速且つ容易に実施することができる。試験結果は、電子スピン共鳴(ESR)分光法等の他の試験方法を使用することにより、検証することができる。
【実施例0105】
被覆粉末の改善された光安定性を、上述のTiO2光安定性試験を使用して測定することができる。本試験では、合格条件は、選択された抗酸化剤及びESRに基づく方法を含む分光測光試験についての経験に基づいて、ΔEが15以下であることである。以下の表1のデータは、一定の40m2/g(35nm)ルチル相TiO2粒子に基づいた。被膜表面の被覆度は表面積に基づいているため、被膜構成成分の質量分率は、基部粒子の比表面積に応じて求めるべきである。応答のモデル化により、以下の場合に関してA+Bが2.5%を超える場合、合格/不合格条件が妨害されることが示唆される。この場合、一般的な基部粒子は40m2/gであるため、合格/不合格境界は、全ての粒子種に対するm2/gによって、0.0625%と表される。以下の表1に示されるように、基準を満たす全ての組成物は、15以下のΔEを有する。
【0106】
【0107】
被覆は架橋ポリマー残基から構成されるのみであるため、被膜構成成分は、反応物量とは対照的に、総粉末(無機基材プラス被膜)の各部分の重量%で表される。全ての構成成分材料が粒子表面と反応するわけではないため、強熱後の被膜中の各部分から得られるSiO2の重量パーセントを測定することがより正確である。
物理的UVフィルター(150nmの酸化亜鉛)を含有するW/O配合物を、UV誘導性フリーラジカルの量に関して、以下のラジカル電位(RP,radical potential)法を
使用して分析した。
準安定スピンプローブPCA(2,2,5,5-テトラメチルピロリジンN-オキシル)を被検生成物に添加し、試料をキャピラリー石英管に挿入し、規定されたUV放射をする前及び後に、スピンマーカーの濃度をESR分光法により監視する。PCAスピンプローブは、光安定性且つ抗酸化剤に抵抗性であるが、UV発生したフリーラジカルと試料内で即時に反応する(主に脂質過酸化物及び脂質ラジカル)。UV発生したフリーラジカルの量を、検量線から定量的に検出することができる。
試料のUV照射を、UVソーラシミュレータ300 W Oriel(Newport社製)を用いて実施した。スペクトル範囲にわたる積分値としての照射量は、E(UVB=280~320)=23.5W/m2及びE(UVA=320~400nm)=180W/m2であった。異なるUV線量の効果を試験するために、照射時間を変化させた。各測定前に、放射強度を制御する。市販の高感度X-バンドベンチトップElectron Spin Resonance Spectrometer MiniScopeMS300(Magnettech GmbH社製、ベルリン、ドイツ)を使用して測定を実施
した。