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特開2024-98470グルコサミン誘導体ナノ粒子およびその製造方法と用途
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024098470
(43)【公開日】2024-07-23
(54)【発明の名称】グルコサミン誘導体ナノ粒子およびその製造方法と用途
(51)【国際特許分類】
   C07K 7/06 20060101AFI20240716BHJP
【FI】
C07K7/06 ZNA
【審査請求】有
【請求項の数】10
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023025620
(22)【出願日】2023-02-21
(31)【優先権主張番号】112101111
(32)【優先日】2023-01-10
(33)【優先権主張国・地域又は機関】TW
(71)【出願人】
【識別番号】523063069
【氏名又は名称】シーピーシー コーポレーション,タイワン
(74)【代理人】
【識別番号】100107766
【弁理士】
【氏名又は名称】伊東 忠重
(74)【代理人】
【識別番号】100107515
【弁理士】
【氏名又は名称】廣田 浩一
(74)【代理人】
【識別番号】100070150
【弁理士】
【氏名又は名称】伊東 忠彦
(72)【発明者】
【氏名】シャオ-ピン リ
(72)【発明者】
【氏名】チェン-チュン チェン
(72)【発明者】
【氏名】ジーン-クアン チェン
(72)【発明者】
【氏名】シン-イー リ
【テーマコード(参考)】
4H045
【Fターム(参考)】
4H045AA10
4H045AA20
4H045AA30
4H045BA13
4H045BA14
4H045BA50
4H045BA53
4H045EA01
4H045EA20
4H045EA34
4H045FA33
4H045GA05
4H045GA15
(57)【要約】
【課題】本発明はグルコサミン誘導体ナノ粒子およびその製造方法と用途に関する。
【解決手段】グルコサミン誘導体とエタノールを自己組織化によってナノ粒子の形態にすることで、グルコサミンの皮膚浸透率および細胞吸収率を高めるとともに、細胞および生物に対する毒性を低減する。また、グルコサミン誘導体ナノ粒子によって、従来のグルコサミンの吸収率が低いという問題を改善する。さらに、前記グルコサミン誘導体ナノ粒子をデリバリーキャリアとして利用し、指定成分を包むとともに、細胞又は角質層に運び込むことにより、指定成分の皮膚浸透率および細胞吸収率を高める。
【選択図】図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
グルコサミン誘導体ナノ粒子の製造方法であって、
グルコサミン誘導体を脱イオン水に溶解させて、グルコサミン誘導体水溶液を形成するステップと、
エタノールと前記グルコサミン誘導体水溶液を混合した後、超音波振動機を用いて、40Wから50Wのパワーの条件において5から10分間振動させることにより、グルコサミン誘導体ナノ粒子を形成するステップとを含み、
前記グルコサミン誘導体は、無水コハク酸がグルコサミンのアミノ基端とペプチドのアミノ基端に結合、反応することで形成され、前記グルコサミン誘導体の化学式が
【化1】
であり、
Aは5から6個のアミノ酸によって組成される前記ペプチドであり、かつ、前記ペプチドはKTTKS、CRGDSおよびRRRRRRで構成されるグループから選択される一つである、製造方法。
【請求項2】
前記グルコサミン誘導体を脱イオン水に溶解させるステップの前に、さらに、
室温において、前記グルコサミンと前記無水コハク酸をN,N-ジメチルホルムアミド水溶液およびN-メチルモルホリン中に加えて反応させ、反応の後に吸引ろ過によってグルコサミン-無水コハク酸を形成するステップと、
前記グルコサミン-無水コハク酸と前記ペプチドをそれぞれN,N-ジメチルホルムアミドに加えた後、室温において混合、反応させて、黄色沈殿物を形成するステップと、
前記黄色沈殿物に対し吸引ろ過、遠心処理を行った後、前記グルコサミン誘導体を取得するステップとを含む、請求項1に記載の製造方法。
【請求項3】
前記グルコサミン誘導体を脱イオン水中に溶解させるステップにおいて、さらに、前記脱イオン水中に予めグルコサミン塩を加えるステップを含む、請求項1に記載の製造方法。
【請求項4】
グルコサミン誘導体とエタノールが自己組織化して形成するグルコサミン誘導体ナノ粒子であって、
前記グルコサミン誘導体ナノ粒子の製造方法は、
前記グルコサミン誘導体を脱イオン水に溶解させて、グルコサミン誘導体水溶液を形成するステップと、
前記エタノールを前記グルコサミン誘導体水溶液に注射した後、超音波振動機を用いてパワー40から50Wの条件において5から10分間振動させることにより、前記グルコサミン誘導体ナノ粒子を形成するステップとを含み、
前記グルコサミン誘導体は、無水コハク酸がグルコサミンのアミノ基端とペプチドのアミノ基端に結合、反応することで形成され、
前記グルコサミン誘導体の化学式は
【化2】
であり、
Aは5から6個のアミノ酸によって組成される前記ペプチドであり、前記ペプチドはKTTKS、CRGDSおよびRRRRRRで構成されるグループから選択された一つである、グルコサミン誘導体ナノ粒子。
【請求項5】
グルコサミン塩である指定成分をさらに被覆する、請求項4に記載のグルコサミン誘導体ナノ粒子。
【請求項6】
前記グルコサミン誘導体ナノ粒子の粒子径は400から1,000 nmの間にある、請求項4に記載のグルコサミン誘導体ナノ粒子。
【請求項7】
グルコサミン誘導体ナノ粒子を用いて指定成分を細胞又は角質層に運び込む用途であり、
前記グルコサミン誘導体ナノ粒子の製造方法は、
グルコサミン誘導体を脱イオン水に溶解させて、グルコサミン誘導体水溶液を形成し、
エタノールと前記グルコサミン誘導体水溶液を混合した後、超音波振動機を用いてパワー40から50Wの条件において5から10分間振動させることにより、前記グルコサミン誘導体ナノ粒子を形成するものであり、
前記グルコサミン誘導体は、無水コハク酸がグルコサミンのアミノ基端とペプチドのアミノ基端に結合、反応することで形成され、
前記グルコサミン誘導体の化学式は
【化3】
であり、
Aは5から6個のアミノ酸によって組成される前記ペプチドであり、かつ、前記ペプチドはKTTKS、CRGDSおよびRRRRRRで構成されるグループから選択される一つである、用途。
【請求項8】
前記グルコサミン誘導体ナノ粒子は、前記グルコサミン誘導体中の前記ペプチドが前記細胞の表面の特定受容体を識別し、電荷吸引力又は親疎水性を変えること等の方法によって、前記細胞に進入する、請求項7に記載の用途。
【請求項9】
前記グルコサミン誘導体ナノ粒子は、親疎水性を変えることで前記角質層に進入する、請求項7に記載の用途。
【請求項10】
前記指定成分はグルコサミン塩である、請求項7に記載の用途。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明はグルコサミン誘導体ナノ粒子に関し、特に、ペプチド修飾されたグルコサミン誘導体ナノ粒子およびその製造方法と用途に関する。
【背景技術】
【0002】
グルコサミンは一種の天然アミノ酸の単糖であり、人体の結合組織、軟骨、靭帯とその他の構造中に存在し、体内でグリコサミノグリカン(Glycosaminoglycan)およびプロテオグリカン(proteoglycan)を合成する原料となる。グリコサミノグリカンとプロテオグリカンは細胞間物質の成分の一つであるとともに、ヒアルロン酸を形成する必須成分であり、皮膚の水分量、弾性の維持および関節軟骨の健康に深く関わっており、これらの部位の強靭性、柔軟性と弾性の維持に有利であり、人体結合組織の健全を保つものである。
【0003】
しかし、グルコサミンを経口摂取する従来の方法は、必ず肝臓代謝および血液循環などの作用を経てから結合組織に到達して細胞に利用されるため、利用効率が極めて低くなっている(約19~26%程度)。
【0004】
また、皮膚に塗布して吸収させる方法は、角質層の影響によりその吸収効果が悪く、グルコサミンの濃度を高めることで改善を図れるが、高濃度により細胞に対し毒性が生じてしまう。そのため、グルコサミンの使用分量および関連方法には制限が設けられている。
【0005】
従って、如何にして細胞に対する毒性を生じさせることなく、グルコサミンの吸収率を高めるかは、当業者が解決したい課題である。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
本発明の主な目的は、グルコサミン誘導体ナノ粒子およびその製造方法と用途を提供し、グルコサミン誘導体とエタノールを自己組織化させてナノ粒子の形態にすることにより、グルコサミンの皮膚浸透率および細胞吸収率を高めると同時に、細胞に対する毒性を低減させる。
【課題を解決するための手段】
【0007】
前記目的を達成するために、本発明が開示するグルコサミン誘導体ナノ粒子の製造方法は、グルコサミン誘導体を脱イオン水に溶解させて、グルコサミン誘導体水溶液を形成するステップと、エタノールと前記グルコサミン誘導体水溶液を混合した後、超音波振動機を用いてパワー40Wから50Wの条件において5から10分間振動させて、グルコサミン誘導体ナノ粒子を形成するステップとを含み、前記グルコサミン誘導体は無水コハク酸がグルコサミンのアミノ基端とペプチドのアミノ基端に結合、反応することで形成され、前記グルコサミン誘導体の化学式は、
【化1】
であり、Aは5から6個のアミノ酸によって組成される前記ペプチドであり、かつ、前記ペプチドはKTTKS、CRGDSおよびRRRRRRで構成されるグループから選択される一つである。
【0008】
また、本発明はグルコサミン誘導体ナノ粒子を用いて指定成分(例えば、グルコサミン塩)を運んで細胞または角質層に進入する用途を開示し、前記グルコサミン誘導体ナノ粒子は、グルコサミン誘導体中のペプチドが前記細胞(例えば、皮膚細胞)の表面の特定受容体を識別することにより(または、電荷吸引力、親疎水性を変えるなどの方法により)、前記細胞または前記角質層に進入し、かつ、これによりグルコサミン塩の皮膚浸透率および細胞吸収率を高めるものである。
【図面の簡単な説明】
【0009】
図1】本発明のグルコサミン誘導体ナノ粒子のステップのフローチャート。
図2A】本発明のグルコサミン誘導体(KTTKS)のH-NMRスペクトル。
図2B】本発明のグルコサミン誘導体ナノ粒子(KTTKS)のTEM図。
図3A】本発明のグルコサミン誘導体(CRGDS)のH-NMRスペクトル。
図3B】本発明のグルコサミン誘導体ナノ粒子(CRGDS)のTEM図。
図4A】本発明のグルコサミン誘導体(RRRRRR)のH-NMRスペクトル。
図4B】本発明のグルコサミン誘導体ナノ粒子(RRRRRR)のTEM図。
図5A】本発明のグルコサミン誘導体ナノ粒子(KTTKS)の透過率実験図。
図5B】本発明のグルコサミン誘導体ナノ粒子(CRGDS)の透過率実験図。
図5C】本発明のグルコサミン誘導体ナノ粒子(RRRRRR)の透過率実験図。
図6】本発明の細胞毒性検査の実験結果図。
図7】本発明の生物毒性検査の実験結果図。
【発明を実施するための形態】
【0010】
審査官が本発明の特徴および達成する効果をより明確に把握できるよう、以下は実施例を通して説明する。
【0011】
グルコサミンの皮膚浸透率および細胞吸収率を高めるために、本発明はグルコサミン誘導体およびその製造方法、グルコサミン誘導体を含むナノ粒子およびその製造方法と用途を提供し、従来技術によって発生する問題を解決する。
【0012】
以下、本発明に含まれる特性、組み合わせる構造および方法についてさらに説明する。
【0013】
まず、図1は本発明のグルコサミン誘導体ナノ粒子の製造ステップのフローチャートである。図1が示すように、本発明のグルコサミン誘導体ナノ粒子の製造方法は以下のステップを含む。
【0014】
S1:グルコサミン誘導体を脱イオン水に溶解させて、グルコサミン誘導体水溶液を形成する。
【0015】
S2:エタノールとグルコサミン誘導体水溶液を混合した後、超音波振動機を用いて、パワー40Wから50Wの条件において5から10分間振動させ、グルコサミン誘導体ナノ粒子を形成する。
【0016】
また、ステップS1の前にさらに以下のグルコサミン誘導体の製造方法を含む。
【0017】
S11:室温において、グルコサミンと無水コハク酸をN,N-ジメチルホルムアミド水溶液およびN-メチルモルホリン中に加えて反応させ、反応の後吸引ろ過してグルコサミン-無水コハク酸を形成する。
【0018】
S12:グルコサミン-無水コハク酸とペプチドをそれぞれN,N-ジメチルホルムアミドに加えた後、室温において混合、反応させて、黄色沈殿物を形成する。
【0019】
S13:黄色沈殿物に対し吸引、ろ過、遠心処理を行った後、グルコサミン誘導体を取得する。
【0020】
ここで、本発明のグルコサミン誘導体は無水コハク酸がグルコサミンのアミノ基端とペプチドのアミノ基端に結合、反応することで形成され、このように製造された前記グルコサミン誘導体の化学式は、
【化2】
であり、Aは5から6個のアミノ酸で組成される前記ペプチドであり、かつ、固相合成法で製造され、本発明における前記ペプチドはKTTKS、CRGDSおよびRRRRRRで構成されるグループから選択された一つであるが、前記ペプチドは前記KTTKS、前記CRGDSおよび前記RRRRRRに限定されず、前記ペプチドは透過性を有するペプチドを一般的に意味し、5から6個のアミノ酸によって組成される。
【0021】
かつ、ステップS1において、さらに、脱イオン水にグルコサミン塩を加えるステップを含む。本発明のグルコサミン誘導体ナノ粒子(粒子径が400-1000nmの間)が前記グルコサミン塩をより多く運べるようにする。
【0022】
以下は本発明の実施例である(それぞれ前記KTTKS、前記CRGDSおよび前記RRRRRRの例):
実施例1:前記グルコサミン誘導体ナノ粒子(前記KTTKS)を製造する
まず、モル比1:1の前記グルコサミンと前記無水コハク酸(何れも1mmol使用)を、磁石攪拌子を含むダブルネックフラスコ中に投入し、10mlのN,N-ジメチルホルムアミド水溶液(N,N-ジメチルホルムアミド:水(V/V)=9:1)を加えた後、さらに0.2mlのN-メチルモルホリンを加えて、室温において12時間反応させ、高真空システムを利用して前記水および大部分の前記N,N-ジメチルホルムアミドを除去した後、残りの部分に酢酸を加えて沈殿させ、4°Cの冷蔵庫に一夜放置する。沈殿物を吸引ろ過し、氷エーテルで洗浄脱液した後、得られる白色の個体はグルコサミン-無水コハク酸である(収率は約85%)。
【0023】
次に、0.3976mmolの前記KTTKSを含む樹脂(固相合成法で製造)をフラスコに投入し、2mlの前記N,N-ジメチルホルムアミドを加えて、フラスコをシェーカーに30分間設置する。同時に、1.394mmolの前記グルコサミン-無水コハク酸を別のサンプルバイアルに入れ、かつ2mlの前記N,N-ジメチルホルムアミドを加えて溶解させ、さらにサンプルバイアル中の溶液をフラスコに注入する。2時間反応させた後、ninhydrin testを行い、樹脂が黄色沈殿物であれば、反応完了を確認したとする。また、前記グルコサミン誘導体(前記KTTKS)を含む前記黄色沈殿物をフラスコから取り出し、ガラスフィルターを用いて吸引ろ過を行い、かつ、エタノールおよびジクロロメタンで洗浄し、樹脂を収集し、かつ脱液する。切断試薬(Trifluroacetic acid:Triisopropylsilane:水=95:2.5:2.5)を脱液された樹脂に加えて、シェーカーに設置し、150rpmで20分間反応させる。ガラスフィルターを用いて吸引ろ過を行い、ろ過液を収集した後、氷エーテルで結晶沈殿を行い、溶液を遠心管に移して遠心処理により固体を収集し、上層のエーテルを除去してから、再度エーテルを加えて繰り返し洗浄と沈殿物の遠心処理を行い、このステップを合計3回行う。固体を高真空システムで脱液させて、前記グルコサミン誘導体(Glu-SA-(KTTKS)であり、白色固体産物、収率94%)を得る。
【0024】
H-NMRで鑑定を行い、Glu-SA-(KTTKS)の生成に成功したことを確定:
H-NMR(300MHz,DO):4.33-4.17(m,4H),4.16-4.01(m,3H),3.78-3.69(m,2H),3.69-3.26(m,6H),2.84(t,4H),2.46(m,2H),1.81-1.46(m,8H),1.40-1.21(m,4H),1.05(d,6H),0.67(t,J=6.2Hz,3H)。
【0025】
かつ、2.5ppm位置が前記グルコサミン誘導体のethylene group linkageで、前記グルコサミンが共有結合によって特定アミノ基の前記ペプチドと結合していることを確認。14Cおよび15CにおけるHは元々アミノ基(-NH2)と結合していたが、前記グルコサミン誘導体と結合することでペプチド結合(-CONH-)が形成され、化学シフトが発生し、共有結合の発生により一層有利である(図2Aが示す)。
【0026】
最後に、1mgの前記グルコサミン誘導体を4mlの前記脱イオン水中に溶解させ、かつ、18Gの注射器を用いて1mlのエタノール(95%)を注入した後、超音波振動機(プローブ式超音波)を用いて、パワー42Wにして10分間振動させることで、前記グルコサミン誘導体ナノ粒子(前記KTTKS、粒子径は約700-950nm)を完成する。先に光学顕微鏡を利用して初歩評価を行った後、TEMによってその生成を検証し、観察結果は図2Bが示す通りである。
【0027】
実施例2:グルコサミン誘導体ナノ粒子(前記CRGDS)を製造する
0.1568mmolの前記CRGDSを含む樹脂(固相合成法で製造)をフラスコ中に入れ、3mlの前記N,N-ジメチルホルムアミドを加えた後、フラスコをシェーカーに30分間置く。同時に、0.6633mmolの前記グルコサミン-無水コハク酸(同実施例1)を別のサンプルバイアル中に入れ、4mlの前記N,N-ジメチルホルムアミドを加えて溶解させ、そしてサンプルバイアル中の溶液をフラスコ中に注入する。2時間反応させた後、ninhydrin testを行い、樹脂が前記黄色沈殿物であれば反応完了と確認する。
【0028】
続いて、前記グルコサミン誘導体(前記CRGDS)を含む前記黄色沈殿物をフラスコから取り出し、かつ吸引ろ過、遠心処理行う(振動を2時間にするほかは前記実施例1と同じ)。固体を高真空システムで脱液させ、前記グルコサミン誘導体を得る(Glu-SA-(CRGDS)であり、白色固体産物、収率81%)。
【0029】
H-NMRで鑑定を行い、Glu-SA-(CRGDS)の生成成功を確定する:
H-NMR(300MHz,DO)δ4.56(s,1H),4.33(t,1H),4.25(t,1H),4.17(t,1H),3.79(s,2H),3.72(t,2H),3.04(t,2H),2.75(t,2H),2.46(dd,2H),1.72(m,2H),1.51(m,2H)(図3Aが示す通り)。
【0030】
最後に、1mgの前記グルコサミン誘導体を4mlの前記脱イオン水中に溶解させ、かつ18Gの注射器チューブで1mlの前記エタノール(95%)を注入した後、前記超音波振動機(プローブ式超音波)を用いて、パワー42Wにして5分間振動させることで、前記グルコサミン誘導体ナノ粒子(前記CRGDS、粒子径が約740-820nm)を完成する。先に光学顕微鏡を利用して初歩評価を行った後、TEMによってその生成を検証し、観察結果は図3Bが示す通りである。
【0031】
実施例3:グルコサミン誘導体ナノ粒子(前記RRRRRR)を作製する
0.2026mmolの前記RRRRRRの樹脂(固相合成法で製造)をフラスコ中に入れ、2mlの前記N,N-ジメチルホルムアミドを加えて、その後フラスコをシェーカー上に30分間置く。同時に、0.249mmolの前記グルコサミン-無水コハク酸(同実施例1)を別のサンプルバイアル中に入れて、かつ2mlの前記N,N-ジメチルホルムアミドを加えて溶解させ、その後サンプルバイアル中の溶液をフラスコ中に注入する。2時間反応させた後、ninhydrin testを行い、樹脂が前記黄色沈殿物であれば、反応が完成したと確認する。
【0032】
続いて、前記グルコサミン誘導体(前記RRRRRR)を含む前記黄色沈殿物をフラスコから取り出して、吸引ろ過、遠心処理を行う(振動を2時間に変更する以外は前記実施例1と同じ)。固体を高真空システムで脱液させて、前記グルコサミン誘導体を得る(Glu-SA-(RRRRRR)であり、白色固体産物、収率78%)。
【0033】
H-NMRで鑑定を行い、Glu-SA-(RRRRRR)の生成成功を確認する:
H-NMR(300MHz,DO)δ4.15(m,5H),δ3.05(t,12H),δ2.45(m,4H),δ1.68(m,12H),1.5(m,12H)(図4Aが示す通り)。
【0034】
最後に、1mgの前記グルコサミン誘導体を4mlの前記脱イオン水中に溶解させ、かつ18Gの注射器チューブを用いて1mlの前記エタノール(95%)を注入した後、前記超音波振動機(プローブ式超音波である)を用いて、パワー42Wにして10分間振動させることで、前記グルコサミン誘導体ナノ粒子(前記RRRRRR、粒子径が約480-610nm)を完成する。先に光学顕微鏡を利用して初歩評価を行った後、TEMによってその生成を検証し、観察結果は図4Bが示す通りである。
【0035】
また、本発明の前記グルコサミン誘導体ナノ粒子(前記KTTKS、前記CRGDSまたは前記RRRRRR)は単独で使用されるか、または指定成分を運んで皮膚の角質層を透過し、若しくは細胞に進入する用途に用いられる。
【0036】
前記細胞を例にすると、前記グルコサミン誘導体ナノ粒子は前記グルコサミン誘導体中の前記ペプチドによって、前記細胞と特定作用を行った後、例えば、表面の特定受容体と結合して(または電荷吸引若しくは親疎水性を変える・・・などの方法で)、前記グルコサミン誘導体ナノ粒子自身(または前記指定成分(例えば、前記グルコサミン塩)を持つ前記グルコサミン誘導体ナノ粒子)が前記細胞(例えば皮膚細胞であるが、前記皮膚細胞は本発明における一実施例であり、これに限定されることなく、ナノ粒子を吸収できる前記細胞全てを意味し、例えば、腸壁細胞)に進入可能になり、前記グルコサミンの細胞吸収率を高める。
【0037】
ここで、表面特定受容体との結合は、例えば、前記CRGDSはガン細胞表面の特定受容体を識別して結合することができる。一方、電荷吸引は、例えば、前記ペプチドが正電荷を帯びている時、例えばRRRRRRである。細胞膜は負電荷であることが多いため、正負電荷が引き合うことで、前記グルコサミン誘導体ナノ粒子が細胞膜の表面に吸着し、かつ、薬物が飲作用によって細胞に進入する確率が高くなる。最後に、親疎水性を変えることについて、周知の親水性薬物は透過し難いため(細胞膜はリン脂質であるため)、本発明で選択される前記ペプチド(親油性ペプチド)で修飾することによって、本発明の前記グルコサミン誘導体ナノ粒子は細胞膜と比較的に結合し易くする。
【0038】
前記角質層を例にすると、前記グルコサミン誘導体ナノ粒子は、自身の特性(前記ペプチド)によって親疎水性を変えた後、前記グルコサミン誘導体ナノ粒子自身(または前記指定成分(例えば、前記グルコサミン塩)を持つ前記グルコサミン誘導体ナノ粒子)は親油性の前記ペプチドで修飾されたものであるため、前記角質層を透過することができ、前記グルコサミンの皮膚浸透率を高めることができる。
【0039】
ここで、前記指定成分が油溶性寄りであれば、予め前記エタノールに溶解させた後、同じくステップS2で油溶性寄りの前記指定成分被覆の前記グルコサミン誘導体ナノ粒子を製造する。前記指定成分が水溶性であれば、ステップS1の通り、水溶性の前記指定成分と前記グルコサミン誘導体を一緒に前記脱イオン水中に溶解させた後、ステップS2で水溶性の前記指定成分被覆の前記グルコサミン誘導体ナノ粒子を製造する。
【0040】
関連する実験データは次の通りである:
1.前記グルコサミン塩を被覆する被覆率:
1mgの前記グルコサミン誘導体(前記KTTKS、前記CRGDSまたは前記RRRRRR)をそれぞれ0.25mg/mlの前記グルコサミン塩を含む4mlの水溶液中に溶解させ、かつ、サンプルバイアル内置き、そして18Gの注射器チューブを利用して1mlの前記エタノール(95%)を素早く注入し、超音波振動機(プローブ式超音波である)を用いて42Wのパワーで10分間振動させると(前記CRGDSの場合は5分間)、前記グルコサミン塩を被覆する前記グルコサミン誘導体ナノ粒子を完成する(前記KTTKS、前記CRGDS或前記RRRRRR)。
【0041】
また、この5mlの前記グルコサミン誘導体ナノ粒子溶液を遠心管内に置き、超高速遠心機を用いて6,000rpm、4°Cで30分間遠心処理を行い、その後上清液を採集し、HPLCのRIを合わせてグルコサミンを定量シ、かつナノ粒子の被覆率を算出する。
【0042】
まず、前記グルコサミン塩を0.03125mg/ml、0.0625mg/ml、0.125mg/ml、0.25mg/mlおよび0.5mg/mlの水溶液に調合し、移動相としてエタノールを利用し、分析条件を:移動相95%ethanol:HO=1:4;流速:1ml/minとし、微量注射器チューブで0.4mlの標準液を取ってHPLC中に注入する。また、微量注射器チューブで0.2m1の試料を取って(C2:遠心後の上清液内のグルコサミンの濃度)HPLC中に注入し、移動相として同じく95%ethanol:HO=1:4を使用し、この試料を分析して得られた積分面積値を検量線に代入し、かつ、ER(%)=(C1-C2)/C1*100%の式を用いて前記グルコサミン誘導体ナノ粒子の被覆率(ER)を算出し、その結果は表1の通りである。ここで、C1:被覆される前の試料溶液内のグルコサミンの原始濃度、C2:遠心処理後の上清液内のグルコサミンの濃度。
【表1】
その結果、本発明の前記グルコサミン誘導体ナノ粒子は何れもキャリアとして、より多くの前記グルコサミン塩を余分に運び込むことができ、そのうち、Glu-SA-RRRRRRの効果が最も良く、42.5%という高い値になった。
【0043】
また、本発明の前記グルコサミン誘導体ナノ粒子はそのグルコサミン端がかなり多くの-OH基を有するため、さらにMalvern Zetasizer Nano-ZS90粒子径分析装置を用いて、これらの-OH基が未修飾の前記グルコサミン塩との水素結合を形成することができるか否か検査し、これによって、より多くの前記グルコサミン塩を運び、その結果は表2の通りである。
【表2】
その結果、本発明の前記グルコサミン誘導体ナノ粒子(前記CRGDSおよび前記RRRRRR)は余分の前記グルコサミン塩を被覆した時、粒子径の大きさがそれぞれ782および545nmから881および784nmに増大し、粒子径自身の時間経過による変化を除き、本発明の前記グルコサミン誘導体ナノ粒子体は、修飾されていない前記グルコサミン塩と余分に結合できることが証明された。その粒径の大きさの変化は、前記グルコサミン誘導体ナノ粒子体が水素結合または非水素結合の分子間引力を利用して前記指定成分と結合し、一種の新しい構造を有する運搬キャリアを形成できることを裏付けている。
【0044】
2.細胞透過能力実験:
前記グルコサミン誘導体ナノ粒子を製造する過程において、まず、前記グルコサミン誘導体(1mg)を4ml毎に1mgのローダミンを含ませた蛍光染料(rhodamine)中に溶解させた後、前記グルコサミン誘導体ナノ粒子の製造を行う。
【0045】
細胞培養:ヒト皮膚角化細胞(HaCaT)を、10%のウシ胎児血清と1%のペニシリン/ストレプトマイシンを既に含むDMEM(Dulbecco’s modified Eagle’s medium high glucose)中に接種し、37°C、5%のCOの恒温培養器に24時間培養する。ペトリ皿中の培養液を吸出した後、リン酸塩緩衝液(PBS)で細胞を3回洗浄し、液体を除去した後、トリプシン-EDTAを加えて、37°C、5%のCOの恒温培養器中に3~5分間培養して、細胞を剥離させる。細胞懸濁液を15mlの遠心管中に移して、3,000rpmで3分間遠心処理を行い、上清液を除去した後、6mlのDMEMを加える。別途、6穴の細胞培養プレートを用意し、各穴にカバーガラスを設置し、それぞれに1mlの細胞液および2mlのDMEMを加えて、37°C、5%のCOの恒温培養器に置いて培養する。
【0046】
24時間継続した後、顕微鏡で細胞の増殖状況を観察し、カバーガラスの四隅および中心の細胞数が少なくとも70%に達したことを確認した後、各穴内の培養液を除去し、PBSで2回洗浄して、カバーガラスを別の清潔無菌の6穴のウェルプレートに移動させ、rhodamine被覆の前記グルコサミン誘導体ナノ粒子を投入し、恒温培養器に置いて4時間培養した後、ウェルプレート内の培養液を除去し、PBSで細胞を洗浄し、かつ、液体を取り除き、4%のparaformaldehydeを含むPBSを用いて細胞10を分間固定した後、液体を除去してPBSで洗浄し、さらに0.2%のtritonX-100を加えて5分間遮光反応させて、液体を除去し、PBSで細胞を洗浄した後、4’,6-diamidino-2-phenylindole(DAPI)を加えて、5分間の避光反応を経て、細胞核(青紫色の蛍光物質P)を染色し、液体を除去し、かつ、PBSで細胞を洗浄した後、カバーガラスをスライドガラス上に移して、蛍光顕微鏡で観察する。
【0047】
4時間共同培養した後、光学および蛍光顕微鏡で観察し、図5A図5Cは(拡大倍率10×20×0.45、スケール10μm)、それぞれ本発明のグルコサミン誘導体ナノ粒子(KTTKS)/(CRGDS)/(RRRRRR)の透過率の実験図である。なお、図5AはGlu-SA-KTTKS、図5BはGlu-SA-CRGDSおよび図5CはGlu-SA-RRRRRRである。また、本発明の前記グルコサミン誘導体ナノ粒子でrhodamineを被覆した後、rhodamineを効率よく細胞に進入させることができることが示され、細胞の細胞質領域に明らに赤色蛍光物質R(rhodamineである)が観察されたため、本発明の前記グルコサミン誘導体ナノ粒子は細胞内に進入できるだけではなく、キャリアとして前記指定成分(ナノ粒子で運ぶことができる薬物、機能性成分・・・などはすべて前記指定成分として運ばれ、かつ、本発明で例示した前記グルコサミン塩に限らず)を運んで前記細胞(例えば前記皮膚細胞であるが、前記皮膚細胞は本発明で例示された一実施例であり、これに限定されることなく、吸収ナノ粒子を吸収できる前記細胞であればよく、例えば腸壁細胞)に進入し、且つ蓄積されることが確認された。
【0048】
3.細胞に対する毒性影響(HaCaTを例にする):
HaCaT cellsを10cells/wellの密度で96ウェルプレート中に植え付けて、一夜付着させた後、培養液を除去する。凍結乾燥の前記ペプチド(peptide、前記KTTKS、前記CRGDSおよび前記RRRRRRである)と前記グルコサミン誘導体ナノ粒子(Glu-SA-KTTKS、Glu-SA-CRGDS、Glu-SA-RRRRRR)をそれぞれ無血清培地中(最終濃度1,000ppm)に再溶解させ、無血清培地を利用してシーケンス希釈して、500、250および125ppmを得る。その後、各濃度の試料100μlをウェルプレート内に投入し(4回繰り返し行い、その無血清培地を添加したグループを対象グループとする)。24時間培養した後、培地を除去し、各穴に10μlのCCK-8および100μlのPBSを加えて、37°Cにおいて2~3時間反応させ、続いて、波長450nmにおいて吸光値を読み取る。細胞生存率は各実験グループの吸光値が対照グループの吸光値に対するパーセンテージである。ここで、対照グループの細胞生存率を100%とする。
【0049】
図6から分かるように、前記グルコサミンの濃度が単純に高くなるにつれて、細胞生存率は若干低下する傾向がある。しかし、本発明の前記グルコサミン誘導体ナノ粒子(前記KTTKS、前記CRGDSまたは前記RRRRRR)の細胞生存率は添加濃度(ppm)が増えるのにつれて高くなり、前記ペプチドで前記グルコサミンを修飾することで、前記グルコサミンの特性および細胞に対する影響が変化したことを示している。
【0050】
4.生物に対する毒性影響(ゼブラフィッシュ胚胎を例にする):
ゼブラフィッシュを低温恒温培養器(28°C)フィッシュタンク中に飼育し、光周期を光照射14時間、黒闇10時間とし、朝と晩で1回ずつ餌を与え、ゼブラフィッシュの受精卵の収集が必要になった時、前日を光照射周期とし、2時間毎に稚魚飼料と殻無しのブラインシュリンプの卵の粉末を交互に与えて、ゼブラフィッシュの栄養を十分なものにする。
【0051】
実験では、0hpf(hours post-fertilization)ゼブラフィッシュの稚魚を選んで投薬実験を行う。稚魚を6ウェルの培養プレート中に置く(30匹の稚魚/孔、3回繰り返す)。6穴の培養プレート内の懸垂水(suspended water)を除去し、前記グルコサミン塩(Glu)、前記ペプチド(peptideであり、前記KTTKS、前記CRGDSおよび前記RRRRRR)、前記グルコサミン誘導体(Glu-SA-(KTTKS)、Glu-SA-(CRGDS)、Glu-SA-(RRRRRR))および前記グルコサミン誘導体ナノ粒子(Glu-SA-KTTKS、Glu-SA-CRGDS、Glu-SA-RRRRRR)などを粉末状に凍結乾燥させて、脱イオン水で再溶解させた後、3mlを培養プレート内に投入し、遮光状態で低温恒温培養器中に培養し、24時間後ウェルプレート内の液体を取り除き、かつ、清潔な懸垂水を直ちに注入し、稚魚の生存率を計算し、そのテスト結果は図7が示す通りである。
【0052】
ナノ粒子を形成した後、前記グルコサミンを被覆できるため、一部露出されている前記ペプチドは細胞を透過するうえで有利に働き、同じ濃度においても、ゼブラフィッシュ胚胎の生存率が81%(100ppm)、86%(50ppm)および88%(50ppm)までと高くなり、本発明の前記グルコサミン誘導体ナノ粒子は生物に対する毒性を低減できることを裏付けている。
【0053】
前記各種実験データから分かるように、本発明はグルコサミン誘導体(グルコサミンが無水コハク酸によって修飾された後、透過性を有するペプチドと結合)とエタノールを自己組織化によってナノ粒子形態にした後、そのナノ粒子形態および透過性ペプチドによって、グルコサミン誘導体ナノ粒子は皮膚の角質層に簡単に吸収されるほか、細胞に進入して吸収される。グルコサミン吸収不良の問題をさらに解消できる。
【0054】
かつ、本発明のグルコサミン誘導体ナノ粒子はキャリアとして、必要な指定成分(例えば、グルコサミン塩)をより多く運ぶこともでき、細胞および生物に毒性を及ぼすことなく、指定成分を細胞または角質層に送り込み、吸収することができる。
【0055】
このように、市販のグルコサミンに比較すると、本発明のグルコサミン誘導体ナノ粒子は生物/細胞に対し毒性を及ぼすことなく、より優れた吸収効果をもたらし、経口または皮膚塗布の何れの方法でも、良好なグルコサミン吸収率を果たせる。
【0056】
従って、本発明は実に新規性、進歩性及び産業上の利用可能性を有し、我が国の特許法に定める特許出願の要件を満たすものであり、法律に従って特許出願をし、早期の権利化を願う。
【0057】
以上の説明は本発明の好ましい実施例に過ぎず、かつ、本発明の実施の範囲を限定するためのものでもなく、本発明の請求の範囲に記載の形状、構造、特徴および趣旨を等価に変更および修飾したものは、すべて本発明の請求の範囲に属するとする。
【符号の説明】
【0058】
S1~S2 ステップ
P 青紫色の蛍光物質
R 赤色蛍光物質
図1
図2A
図2B
図3A
図3B
図4A
図4B
図5A
図5B
図5C
図6
図7
【手続補正書】
【提出日】2024-05-02
【手続補正1】
【補正対象書類名】特許請求の範囲
【補正対象項目名】全文
【補正方法】変更
【補正の内容】
【特許請求の範囲】
【請求項1】
グルコサミン誘導体ナノ粒子の製造方法であって、
グルコサミン誘導体を脱イオン水に溶解させて、グルコサミン誘導体水溶液を形成するステップと、
エタノールと前記グルコサミン誘導体水溶液を混合した後、超音波振動機を用いて、40Wから50Wのパワーの条件において5から10分間振動させることにより、グルコサミン誘導体ナノ粒子を形成するステップとを含み、
前記グルコサミン誘導体は、無水コハク酸がグルコサミンのアミノ基端とペプチドのアミノ基端に結合、反応することで形成され、前記グルコサミン誘導体の化学式が
【化1】
であり、
Aは5から6個のアミノ酸によって組成される前記ペプチドであり、かつ、前記ペプチドはKTTKS、CRGDSおよびRRRRRRで構成されるグループから選択される一つである、製造方法。
【請求項2】
前記グルコサミン誘導体を脱イオン水に溶解させるステップの前に、さらに、
室温において、前記グルコサミンと前記無水コハク酸をN,N-ジメチルホルムアミド水溶液およびN-メチルモルホリン中に加えて反応させ、反応の後に吸引ろ過によってグルコサミン-無水コハク酸を形成するステップと、
前記グルコサミン-無水コハク酸と前記ペプチドをそれぞれN,N-ジメチルホルムアミドに加えた後、室温において混合、反応させて、黄色沈殿物を形成するステップと、
前記黄色沈殿物に対し吸引ろ過、遠心処理を行った後、前記グルコサミン誘導体を取得するステップとを含む、請求項1に記載の製造方法。
【請求項3】
前記グルコサミン誘導体を脱イオン水中に溶解させるステップにおいて、さらに、前記脱イオン水中に予めグルコサミン塩を加えるステップを含む、請求項1に記載の製造方法。
【請求項4】
グルコサミン誘導体とエタノールが自己組織化して形成するグルコサミン誘導体ナノ粒子であって、
前記グルコサミン誘導体ナノ粒子の製造方法は、
前記グルコサミン誘導体を脱イオン水に溶解させて、グルコサミン誘導体水溶液を形成するステップと、
前記エタノールを前記グルコサミン誘導体水溶液に注射した後、超音波振動機を用いてパワー40から50Wの条件において5から10分間振動させることにより、前記グルコサミン誘導体ナノ粒子を形成するステップとを含み、
前記グルコサミン誘導体は、無水コハク酸がグルコサミンのアミノ基端とペプチドのアミノ基端に結合、反応することで形成され、
前記グルコサミン誘導体の化学式は
【化2】
であり、
Aは5から6個のアミノ酸によって組成される前記ペプチドであり、前記ペプチドはKTTKS、CRGDSおよびRRRRRRで構成されるグループから選択された一つである、グルコサミン誘導体ナノ粒子。
【請求項5】
グルコサミン塩である指定成分をさらに被覆する、請求項4に記載のグルコサミン誘導体ナノ粒子。
【請求項6】
前記グルコサミン誘導体ナノ粒子の粒子径は400から1,000 nmの間にある、請求項4に記載のグルコサミン誘導体ナノ粒子。
【請求項7】
グルコサミン誘導体ナノ粒子を用いて指定成分を細胞又は角質層に運び込むキャリアを形成するための用途であり、
前記指定成分は親油性又は親水性の機能性成分であり、
前記グルコサミン誘導体ナノ粒子の製造方法は、
グルコサミン誘導体を脱イオン水に溶解させて、グルコサミン誘導体水溶液を形成し、
エタノールと前記グルコサミン誘導体水溶液を混合した後、超音波振動機を用いてパワー40から50Wの条件において5から10分間振動させることにより、前記グルコサミン誘導体ナノ粒子を形成するものであり、
前記グルコサミン誘導体は、無水コハク酸がグルコサミンのアミノ基端とペプチドのアミノ基端に結合、反応することで形成され、
前記グルコサミン誘導体の化学式は
【化3】
であり、
Aは5から6個のアミノ酸によって組成される前記ペプチドであり、かつ、前記ペプチドはKTTKS、CRGDSおよびRRRRRRで構成されるグループから選択される一つである、用途。
【請求項8】
前記グルコサミン誘導体ナノ粒子は、前記グルコサミン誘導体中の前記ペプチドが前記細胞の表面の特定受容体を識別し、電荷吸引力又は親疎水性を変える方法によって、前記細胞に進入する、請求項7に記載の用途。
【請求項9】
前記グルコサミン誘導体ナノ粒子は、親疎水性を変えることで前記角質層に進入する、請求項7に記載の用途。
【請求項10】
前記指定成分はグルコサミン塩である、請求項7に記載の用途。