(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024098471
(43)【公開日】2024-07-23
(54)【発明の名称】工場化魚類・藻類循環水養殖システム及び方法
(51)【国際特許分類】
A01K 63/00 20170101AFI20240716BHJP
A01K 63/04 20060101ALI20240716BHJP
【FI】
A01K63/00 Z
A01K63/04 A
【審査請求】有
【請求項の数】10
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023036363
(22)【出願日】2023-03-09
(11)【特許番号】
(45)【特許公報発行日】2024-05-30
(31)【優先権主張番号】202310034381.4
(32)【優先日】2023-01-10
(33)【優先権主張国・地域又は機関】CN
(71)【出願人】
【識別番号】523087102
【氏名又は名称】青海光子生態有限公司
(74)【代理人】
【識別番号】110000383
【氏名又は名称】弁理士法人エビス国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】陳 稼瑞
(72)【発明者】
【氏名】李 立志
(72)【発明者】
【氏名】白 維俊
【テーマコード(参考)】
2B104
【Fターム(参考)】
2B104AA01
2B104CA01
2B104CB04
2B104CB22
2B104CB30
2B104EA01
2B104ED10
2B104ED12
2B104ED31
2B104ED36
2B104EE01
2B104EF01
(57)【要約】
【課題】工場化魚類・藻類循環水養殖システム及び方法を提供する。
【解決手段】本発明は、工場化魚類・藻類循環水養殖システム及び方法を提供し、循環水養殖の技術分野に属し、前記工場化魚類・藻類循環水養殖システムは、魚類・藻類養殖システム、繊維回転ディスクろ過システム及び磁気負荷凝集システムを含み、魚類・藻類養殖システムは魚類と藻類の同一空間での養殖を実現でき、藻類は魚の呼気中のCO
2、養殖水域中の窒素、リン等の栄養成分をタンパク質、多糖、ビタミン及び脂質等の藻類細胞自体の物質に変換し、酸素を放出して、養殖水質を迅速に改善でき、繊維回転ディスクろ過システム及び磁気負荷凝集システムは、養殖汚水中の浮遊粒子状物質、油脂、藻類、細菌、ウイルス等を効果的に除去し、養殖汚水の高度浄化を実現でき、浄化された水質は漁業養殖の基準に達し、直接循環して再利用でき、システム全体に汚水が排出されない。
【選択図】
図2
【特許請求の範囲】
【請求項1】
工場化魚類・藻類循環水養殖システムであって、魚類・藻類養殖システム、繊維回転ディスクろ過システム及び磁気負荷凝集システムを含み、
前記魚類・藻類養殖システムは養魚池本体、給水システム及び排水システムを含み、
前記繊維回転ディスクろ過システムは第1繊維回転ディスクろ過システム及び第2繊維回転ディスクろ過システムを含み、前記第1繊維回転ディスクろ過システムは第1ろ過池内に位置し、前記第2繊維回転ディスクろ過システムは第2ろ過池内に位置し、第1繊維回転ディスクろ過システム及び第2繊維回転ディスクろ過システムはそれぞれ、繊維回転ディスクフィルター、逆洗システム、排泥システム及び付帯電気制御システムを含み、前記第1繊維回転ディスクろ過システム及び第2繊維回転ディスクろ過システムは、同一の養殖汚水に対するろ過流束が等しく、第1繊維回転ディスクフィルターのろ布のろ過孔径は15~30μmであり、第2繊維回転ディスクフィルターのろ布のろ過孔径は1~5μmであり、前記第1ろ過池と第2ろ過池との間にろ過水収集槽が設置され、前記ろ過水収集槽にろ過水排出口が設置され、前記第1繊維回転ディスクろ過システム及び第2繊維回転ディスクろ過システムは、ろ過水収集槽、ろ過水排出口、逆吸引ポンプ及び汚水排出口を共有し、
前記魚類・藻類養殖システムの排水システムは、パイプを介してそれぞれ第1ろ過池及び第2ろ過池と連通し、
前記繊維回転ディスクろ過システムのろ過水排出口は、パイプを介して魚類・藻類養殖システムの給水システムと連通し、
前記繊維回転ディスクろ過システムの汚水排出口は、パイプを介して磁気負荷凝集システムの給水口と連通し、
前記磁気負荷凝集システムは、混合池、凝固池、凝集池、沈殿池、磁性粉回収装置及び汚泥脱水装置を含み、
前記磁気負荷凝集システムの沈殿池に清澄水排出口が設置され、前記清澄水排出口はパイプを介してそれぞれ第1ろ過池及び第2ろ過池と連通することを特徴とする工場化魚類・藻類循環水養殖システム。
【請求項2】
前記給水システムは複数の給水管を含み、前記給水管は養魚池本体の側壁に分布し、接線方向に養魚池給水口が等間隔に設置されることを特徴とする請求項1に記載の工場化魚類・藻類循環水養殖システム。
【請求項3】
前記繊維回転ディスクフィルターは中心回転ドラム及び回転ディスクを含み、前記回転ディスクは中心回転ドラムの周囲に固定され、連通孔を介して中心回転ドラムと連通し、前記回転ディスクの両側にろ布が取り付けられ、前記第1繊維回転ディスクろ過システム及び第2繊維回転ディスクろ過システムは、同一の養殖汚水に対するろ過流束が等しいことを特徴とする請求項1に記載の工場化魚類・藻類循環水養殖システム。
【請求項4】
前記排泥システムは前記第1ろ過池及び第2ろ過池の底部にそれぞれ設置された排泥管を含み、前記排泥管はパイプを介して逆吸引ポンプと連通し、前記第1ろ過池及び第2ろ過池の排泥管にそれぞれ電動弁が設置されることを特徴とする請求項1に記載の工場化魚類・藻類循環水養殖システム。
【請求項5】
前記磁気負荷凝集システムは、順次連通する混合池、凝固池、凝集池、沈殿池、磁性粉回収装置及び汚泥脱水装置を含むことを特徴とする請求項1に記載の工場化魚類・藻類循環水養殖システム。
【請求項6】
請求項1~5のいずれか一項に記載の工場化魚類・藻類循環水養殖システムに基づく工場化魚類・藻類循環水養殖方法であって、
前記養魚池本体に水を注入し、養殖水域中の藻類密度が50~1000mg/Lになるまで予め培養した高活性微細藻類を投与するステップ1)と、
稚魚を投与し、3~5hごとに養魚池に飼料を給餌するステップ2)と、
養殖過程で、微細藻類が成長安定期の末期にあり、衰亡期に入ろうとしているとき、微細藻類が養魚池に戻らないように第1繊維回転ディスクフィルターをオフにし、第2繊維回転ディスクフィルターをオンにし、遮断された微細藻類はさらなる処理のために逆洗システムを通って磁気負荷凝集システムに入り、養殖水域中の藻類密度が50~1000mg/Lになるように一定体積の予め培養した高活性微細藻類を投与し、150~200d後に魚を収穫するステップ3)とを含むことを特徴とする請求項1~5のいずれか一項に記載の工場化魚類・藻類循環水養殖システムに基づく工場化魚類・藻類循環水養殖方法。
【請求項7】
ステップ1)に記載の養殖密度は25~35kg/m3であることを特徴とする請求項6に記載の工場化魚類・藻類循環水養殖方法。
【請求項8】
水域中の養殖密度が30kg/m3以上60kg/m3未満の場合、給水量と排水量をそれぞれ35~45m3/hに設定し、水域中の養殖密度が60kg/m3以上100kg/m3未満の場合、給水量と排水量をそれぞれ55~65m3/hに設定し、水域中の養殖密度が100kg/m3以上200kg/m3未満の場合、給水量と排水量を70~90m3/hに設定することを特徴とする請求項6に記載の工場化魚類・藻類循環水養殖方法。
【請求項9】
養殖過程で、養殖水域中の溶存酸素量は5~12mg/Lであることを特徴とする請求項6に記載の工場化魚類・藻類循環水養殖方法。
【請求項10】
前記微細藻類は前記第1繊維回転ディスクフィルターのろ布を通過できるが、前記第2繊維回転ディスクフィルターのろ布を通過できず、前記微細藻類はクロレラ、ナンノクロロプシス、ドナリエラ、コナミドリムシのうちの1種以上を含むことを特徴とする請求項6に記載の工場化魚類・藻類循環水養殖方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、循環水養殖の技術分野に属し、特に工場化魚類・藻類循環水養殖システム及び方法に関する。
【背景技術】
【0002】
循環水養殖システムは、養殖汚水を一連の水処理ユニットで処理した後、再循環させて再利用する新型の養殖モードである。循環水養殖システムはエンジニアリング技術と施設によって水域中の有害汚染物質を除去し、水域環境を浄化し、水資源の利用率が低いという問題を解決するだけでなく、魚類養殖に安定した高品質の環境も提供し、高密度養殖に有益な条件を提供する。
【0003】
微細藻類は光合成によって汚水中のNH4
+-N、NH3-N、NO2
--N、NO3
--N、PO4
3--P等の無機形態の窒素、リンの栄養成分をタンパク質、多糖、脂肪、ビタミン及び核酸等の藻類細胞自体の物質に変換することができる。微細藻類培養に基づく汚水処理技術は汚水浄化、栄養成分の回収及び高付加価値のバイオマスの生産を同時に実現することができ、該技術は養殖汚水の処理に適用されている。例えば、特許文献1には微細藻類駆動型高密度集約化水産物の生態養殖システム及び方法並びに応用が開示されており、該方法では、魚類養殖領域で生成された汚水を受け、細菌及び微細藻類の培養に用い、培養して得られた微細藻類バイオマスに富む藻液を餌料として貝類の養殖に用いる。該方法では、魚の養殖から生成された汚水に対して微細藻類及び細菌の異所性浄化が行われるが、魚の養殖から生成された汚水は魚類養殖に再利用されない。
【0004】
厳密に言えば、システムの設計が十分に成熟しておらず、設備の安定性が低く、水域中のNH4
+-N、NH3-N、NO2
--Nの含有量を効果的に制御できず、大量の水換えによって解決しなければならず、排出は避けられない。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】中国特許出願公開第112931366号明細書
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
これに鑑み、本発明は、養殖汚水の循環利用を実現できる、工場化魚類・藻類循環水養殖システム及び方法を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上記発明の目的を達成するために、本発明は、以下の技術的解決手段を提供する。
【0008】
本発明は、工場化魚類・藻類循環水養殖システムを提供し、魚類・藻類養殖システム、繊維回転ディスクろ過システム及び磁気負荷凝集システムを含み、
前記魚類・藻類養殖システムは養魚池本体、給水システム及び排水システムを含み、
前記繊維回転ディスクろ過システムは第1繊維回転ディスクろ過システム及び第2繊維回転ディスクろ過システムを含み、前記第1繊維回転ディスクろ過システムは第1ろ過池内に位置し、前記第2繊維回転ディスクろ過システムは第2ろ過池内に位置し、第1繊維回転ディスクろ過システム及び第2繊維回転ディスクろ過システムはそれぞれ、繊維回転ディスクフィルター、逆洗システム、排泥システム及び付帯電気制御システムを含み、前記第1繊維回転ディスクろ過システム及び第2繊維回転ディスクろ過システムは、同一の養殖汚水に対するろ過流束が等しく、前記第1繊維回転ディスクフィルターのろ布のろ過孔径は15~30μmであり、前記第2繊維回転ディスクフィルターのろ布のろ過孔径は1~5μmであり、前記第1ろ過池と第2ろ過池との間にろ過水収集槽が設置され、前記ろ過水収集槽にろ過水排出口が設置され、前記第1繊維回転ディスクろ過システム及び第2繊維回転ディスクろ過システムは、ろ過水収集槽、ろ過水排出口、逆吸引ポンプ及び汚水吸引管を共有し、
前記魚類・藻類養殖システムの排水システムは、パイプを介してそれぞれ第1ろ過池及び第2ろ過池と連通し、
前記繊維回転ディスクろ過システムのろ過水排出口は、パイプを介して魚類・藻類養殖システムの給水システムと連通し、
前記繊維回転ディスクろ過システムの汚水排出口は、パイプを介して磁気負荷凝集システムの給水口と連通し、
前記磁気負荷凝集システムは、混合池、凝固池、凝集池、沈殿池、磁性粉回収装置及び汚泥脱水装置を含み、
前記磁気負荷凝集システムの沈殿池に清澄水排出口が設置され、前記清澄水排出口はパイプを介してそれぞれ第1ろ過池及び第2ろ過池と連通する。
【0009】
好ましくは、前記給水システムは複数の給水管を含み、前記給水管は養魚池本体の側壁に分布し、接線方向に養魚池給水口が等間隔に設置される。
【0010】
好ましくは、前記繊維回転ディスクフィルターは中心回転ドラム及び回転ディスクを含み、前記回転ディスクは中心回転ドラムの周囲に固定され、連通孔を介して中心回転ドラムと連通し、前記回転ディスクの両側にろ布が取り付けられ、前記第1繊維回転ディスクろ過システム及び第2繊維回転ディスクろ過システムは、同一の養殖汚水に対するろ過流束が等しい。
【0011】
好ましくは、前記排泥システムは前記第1ろ過池及び第2ろ過池の底部にそれぞれ設置された排泥管を含み、前記排泥管はパイプを介して逆吸引ポンプと連通し、前記第1ろ過池及び第2ろ過池の排泥管にそれぞれ電動弁が設置される。
【0012】
好ましくは、前記磁気負荷凝集システムは、順次連通する混合池、凝固池、凝集池、沈殿池、磁性粉回収装置及び汚泥脱水装置を含む。
【0013】
本発明はまた、上記解決手段に記載の工場化魚類・藻類循環水養殖システムに基づく工場化魚類・藻類循環水養殖方法を提供し、
前記養魚池本体に水を注入し、養殖水域中の藻類密度が50~1000mg/Lになるまで予め培養した高活性微細藻類を投与するステップ1と、
稚魚を投与し、3~5hごとに養魚池に飼料を給餌するステップ2と、
養殖過程で、微細藻類が成長安定期の末期にあり、衰亡期に入ろうとしているとき、微細藻類が養魚池に戻らないように第1繊維回転ディスクフィルターをオフにし、第2繊維回転ディスクフィルターをオンにし、遮断された微細藻類はさらなる処理のために逆洗システムを通って磁気負荷凝集システムに入り、養殖水域中の藻類密度が50~1000mg/Lになるように一定体積の予め培養した高活性微細藻類を投与し、150~200d後に魚を収穫するステップ3とを含む。
【0014】
好ましくは、ステップ1における前記稚魚の投与密度は25~35kg/m3である。
【0015】
好ましくは、水域中の養殖密度が30kg/m3以上60kg/m3未満の場合、給水量と排水量をそれぞれ35~45m3/hに設定し、水域中の養殖密度が60kg/m3以上100kg/m3未満の場合、給水量と排水量をそれぞれ55~65m3/hに設定し、水域中の養殖密度が100kg/m3以上200kg/m3未満の場合、給水量と排水量を70~90m3/hに設定する。
【0016】
好ましくは、養殖過程で、養殖水域中の溶存酸素量は5~12mg/Lである。
【0017】
好ましくは、前記微細藻類は前記第1繊維回転ディスクフィルターのろ布を通過できるが、前記第2繊維回転ディスクフィルターのろ布を通過できず、前記微細藻類はクロレラ、ナンノクロロプシス、ドナリエラ、コナミドリムシのうちの1種以上を含む。
【発明の効果】
【0018】
本発明が提供する工場化魚類・藻類循環水養殖システムは、魚類・藻類養殖システム、繊維回転ディスクろ過システム及び磁気負荷凝集システムを含み、前記繊維回転ディスクろ過システムは第1繊維回転ディスクろ過システム及び第2繊維回転ディスクろ過システムを含み、前記第1繊維回転ディスクろ過システム及び第2繊維回転ディスクろ過システムは、同一の養殖汚水に対するろ過流束が等しく、前記第1繊維回転ディスクフィルターのろ布のろ過孔径は15~30μmであり、前記第2繊維回転ディスクフィルターのろ布のろ過孔径は1~5μmであり、前記魚類・藻類養殖システムの排水システムは、パイプ、電動弁を介してそれぞれ第1ろ過池及び第2ろ過池と連通し、前記繊維回転ディスクろ過システムのろ過水排出口は、パイプ、ポンプを介して魚類・藻類養殖システムの給水システムと連通し、前記繊維回転ディスクろ過システムの汚水排出口はパイプを介して磁気負荷凝集システムの給水口と連通し、前記磁気負荷凝集システムの沈殿池の清澄水排出口は、パイプ、電動弁を介してそれぞれ第1ろ過池及び第2ろ過池と連通する。正常な水循環期間に、ろ過孔径15~30μmの第1繊維回転ディスクフィルターをオンにすると、微細藻類は第1繊維回転ディスクフィルターを通過して養魚池に戻り、繰り返し使用でき、魚の糞や残餌等の粒径の大きい浮遊物は、ろ過池の底部に直接沈下するか、又は第1繊維回転ディスクフィルターのろ布によって遮断され、最後に、さらなる高度浄化処理のために排泥システム又は逆洗システムを通って磁気負荷凝集システムに入る。養殖水域中の微細藻類を除去する必要がある場合、ろ過孔径1~5μmの第2繊維回転ディスクフィルターをオンにして遮断することで、微細藻類は養魚池に戻ることができず、さらなる浄化処理のために逆洗システムを通って磁気負荷凝集システムに入る。本発明では、前記繊維回転ディスクろ過システムは、ろ過を行うだけでなく、沈殿機能も有する。粒径の大きい浮遊物は直接沈下するため、ろ布の汚泥量が大幅に減少し、逆洗水量も大幅に減少する。本発明では、前記磁気負荷凝集システムは、繊維回転ディスクろ過システムから排出された汚水中の粒径の大きい浮遊物、高分子タンパク質、油脂等の物質を効果的に除去することができ、粒径の小さい微細藻類、細菌及びウイルス等を十分に除去することもでき、清澄水の総固形物含有量は2mg/Lより小さく、濁度は1.0NTUより小さく、汚水1トン当たりの処理費用は約0.1元である。浄化された水質は漁業養殖の基準に達し、直接循環して再利用することができる。システム全体に汚水が排出されず、養魚池に日常の蒸発及び脱水機から排出された固形物が持ち出した水分を定期的に補充すればよい。
【0019】
本発明が提供する工場化魚類・藻類循環水養殖方法では、養殖汚水は第1繊維回転ディスクフィルター又は第2繊維回転ディスクフィルターを選択的に通過することができ、そのうち、第1繊維回転ディスクフィルターのろ布の孔径の大きさは、微細藻類が通過でき、大粒径の浮遊物が通過できないことを満たし、第2繊維回転ディスクフィルターのろ布の孔径の大きさは、微細藻類が通過できないことを満たし、それにより粒径が第1繊維回転ディスクフィルターのろ布の孔径より大きい魚糞や残餌等の浮遊物は養魚池から迅速に取り出されるが、微細藻類は養魚池に戻り、魚と共に養魚池で養殖されることを実現でき、微細藻類は光合成によって魚が吐き出すCO2、水に溶けた窒素、リン等の栄養成分をタンパク質、多糖、脂質、ビタミン等の藻類細胞自体の物質に変換し、酸素を放出し、養殖水質を迅速に改善し、人工酸素供給の需要を大幅に低下させる。本発明では、養殖汚水は貴重な資源と見なされる。魚類、微細藻類は養殖池で共に養殖される過程で、養殖汚水の浄化及び栄養成分の回収を実現するだけでなく、高付加価値の微細藻類バイオマスを生産することもできる。
【0020】
本発明では、前記繊維回転ディスクろ過システムは成長安定期の末期にある微細藻類を養魚池から迅速に取り出し、微細藻類の問題による水質の悪化が回避される。繊維回転ディスクろ過システムのろ過精度は1μmに達し、養殖汚水中の99%以上の浮遊物をろ過でき、ろ過水の総固形物含有量は5mg/Lより低い。
【0021】
本発明では、前記繊維回転ディスクろ過システムは、ろ過を行うだけでなく、沈殿機能も有する。養殖汚水中の大粒径の浮遊物は直接沈下するため、破砕による水質の悪化が効果的に回避され、ろ布上の汚泥量が大幅に減少し、逆洗水量が減少する。本発明では、養殖汚水が繊維回転ディスクシステムによって処理された後、毎日、養殖体積の2%~3%を占める汚水のみは磁気負荷凝集システムによってさらに高度に浄化処理される必要がある。本発明では、磁気負荷凝集システムは汚水中の大粒径浮遊物、高分子タンパク質、油脂、微細藻類、細菌及びウイルス等の物質を十分に除去することができ、清澄水の総固形物含有量は2mg/Lより小さく、濁度は1.0NTUより小さく、水質は漁業養殖の基準に達する。得られた固形物は有機肥料として使用でき、汚水1トン当たりの処理費用は約0.1元である。
【0022】
本発明では、絶対的な優位性の微細藻類は養殖水域中の有害菌の迅速な増殖を抑制し、養殖過程における魚薬の使用を大幅に減少させ、真の意味での環境にやさしい養殖を実現することができる。また、微細藻類表面の活性官能基は非常に小さな浮遊物の凝集を促進し、養殖水域の透明度を大幅に向上させることができる。本発明では、養殖汚水の再利用率は99.8%に達し、低エネルギー消費及び高い安定性で魚の高密度養殖を実現することができる。
【図面の簡単な説明】
【0023】
【
図2】繊維回転ディスクろ過システム及び付帯電気制御システムの概略図である。
【
図4】磁気負荷凝集システムの動作原理の概略図である。
【発明を実施するための形態】
【0024】
本発明は、工場化魚類・藻類循環水養殖システムを提供し、前記魚類・藻類養殖システムは養魚池本体、給水システム及び排水システムを含み、前記繊維回転ディスクろ過システムは第1繊維回転ディスクろ過システム及び第2繊維回転ディスクろ過システムを含み、前記第1繊維回転ディスクろ過システムは第1ろ過池内に位置し、前記第2繊維回転ディスクろ過システムは第2ろ過池内に位置し、第1繊維回転ディスクろ過システム及び第2繊維回転ディスクろ過システムはそれぞれ、繊維回転ディスクフィルター、逆洗システム、排泥システム及び付帯電気制御システムを含み、前記第1繊維回転ディスクろ過システム及び第2繊維回転ディスクろ過システムは、同一の養殖汚水に対するろ過流束が等しく、前記第1繊維回転ディスクフィルターのろ布のろ過孔径は15~30μmであり、前記第2繊維回転ディスクフィルターのろ布のろ過孔径は1~5μmである。
【0025】
本発明では、第1ろ過池と第2ろ過池との間にろ過水収集槽が配置され、前記ろ過水収集槽にろ過水排出口が設置され、前記第1繊維回転ディスクろ過システム及び第2繊維回転ディスクろ過システムは、ろ過水収集槽、ろ過水排出口、逆吸引ポンプ及び汚水排出口を共有し、前記魚類・藻類養殖システムの排水システムは、パイプを介してそれぞれ第1ろ過池及び第2ろ過池と連通し、前記繊維回転ディスクろ過システムのろ過水排出口は、パイプを介して魚類・藻類養殖システムの給水システムと連通し、前記繊維回転ディスクろ過システムの汚水排出口はパイプを介して磁気負荷凝集システムの給水口と連通し、前記磁気負荷凝集システムは、混合池、凝固池、凝集池、沈殿池、磁性粉回収装置及び汚泥脱水装置を含み、前記磁気負荷凝集システムの沈殿池に清澄水排出口が設置され、前記清澄水排出口はパイプを介してそれぞれ第1ろ過池及び第2ろ過池と連通する。
【0026】
本発明では、前記魚類・藻類養殖システム、繊維回転ディスクろ過システム及び磁気負荷凝集システムは協働して、ゼロ排出の循環水養殖を実現する。
【0027】
本発明では、前記魚類・藻類養殖システムの前記魚類養殖システムは養魚池本体、給水システム及び排水システムを含む。
【0028】
本発明では、前記養魚池本体の形状は円柱形である。前記養魚池本体の直径と高さの比は、好ましくは(9~10):(1~2)であり、より好ましくは9.5:1.5である。本発明は、前記養魚池本体の具体的な直径及び高さを特に限定するものではなく、実際の養殖ニーズに応じて設定することが好ましい。
【0029】
本発明の具体的な実施過程では、前記養魚池本体の直径は、好ましくは9~10mであり、前記養魚池本体の高さは、好ましくは1.45~1.78mであり、前記養魚池本体は、好ましくはポリプロピレン材料で作られる。
【0030】
本発明では、前記養魚池本体の側壁の頂部から30~50cm離れた位置に複数の貫通孔が設けられることが好ましく、前記貫通孔は油汚れ等の水域表面の浮遊物をオーバーフローさせる役割を果たす。
【0031】
本発明では、前記魚類養殖システムは、好ましくは複数の養魚池本体を含み、前記養魚池本体の具体的な数は養殖ニーズ及び場所に応じて決定され、前記複数の養魚池本体は並列接続され、前記複数の養魚池本体は給水システム及び排水システムを共有する。
【0032】
本発明では、前記魚類養殖システムは給水システムを含み、前記給水システムは複数の給水管を含み、前記給水管は水ポンプと連通し、各給水管に養魚池本体の側壁の接線に沿って養魚池給水口が設置され、前記養魚池給水口の数は好ましくは3~4個であり、前記養魚池給水口は、好ましくは等間隔に設置され、養魚池の中心での渦の形成及び液面の安定に役立つ。
【0033】
本発明では、前記魚藻養殖システムは排水システムを含み、前記排水システムは、好ましくは前記養魚池本体の底部に位置し、前記排水システムは養魚池排水口及び養魚池排水管を含み、前記養魚池排水管に排水弁が設けられることが好ましい。
【0034】
本発明では、前記魚類養殖システムは、酸素供給システムをさらに含むことが好ましく、前記酸素供給システムは、酸素供給コーンを含むことが好ましい。
【0035】
本発明では、前記魚類養殖システムは、温度、溶存酸素、pH値、アンモニア態窒素及び亜硝酸態窒素を検出するためのオンライン検出システムをさらに含むことが好ましい。
【0036】
本発明の一実施例では、前記魚類養殖システムの概略図は
図1を参照する。そのうち、1は酸素供給コーン、2は養魚池給水口、3はオンライン検出アセンブリ、4は水ポンプ、5は養魚池本体、6は養魚池排水口、7は排水弁、8は養魚池排水管、9は給水管である。
【0037】
本発明では、前記繊維回転ディスクろ過システムは第1繊維回転ディスクろ過システム及び第2繊維回転ディスクろ過システムを含み、前記第1繊維回転ディスクろ過システムは第1ろ過池内に位置し、前記第2繊維回転ディスクろ過システムは第2ろ過池内に位置し、本発明では、前記魚類・藻類養殖システムの排水システムはパイプを介して重力によって第1ろ過池又は第2ろ過池に流入し、前記パイプに電動弁が設置されることが好ましい。
【0038】
本発明では、前記第1ろ過池の池壁に第1ろ過池給水口が設置されることが好ましく、前記第2ろ過池の池壁に第2ろ過池給水口が設置されることが好ましく、前記第1ろ過池と第2ろ過池との間にろ過水収集槽が設置されることが好ましく、前記ろ過水収集槽の底部にろ過水排出口が設置される。
【0039】
本発明では、前記第1繊維回転ディスクろ過システム及び第2繊維回転ディスクろ過システムはそれぞれ、繊維回転ディスクフィルター、逆洗システム、排泥システム及び付帯電気制御システムを含む。本発明では、前記繊維回転ディスクフィルターは中心回転ドラム及び回転ディスクを含むことが好ましく、前記回転ディスクは中心回転ドラムの周囲に固定され、連通孔を介して中心回転ドラムと連通し、前記回転ディスクの両側にろ布が取り付けられ、前記ろ布の基布は、好ましくはポリエステル繊維であり、基布上の毛羽は、好ましくはポリアミド繊維である。
【0040】
本発明では、前記第1繊維回転ディスクろ過システム及び第2繊維回転ディスクろ過システムは、同一の養殖汚水に対するろ過流束が等しく、養魚池の液面を一定に維持する。前記第1繊維回転ディスクフィルター及び第2繊維回転ディスクフィルターの回転ディスクの数は、処理する必要がある養殖汚水の量に応じて決定される。
【0041】
本発明では、前記第1繊維回転ディスクフィルターのろ布のろ過孔径は1~5μmであり、好ましくは1μmであり、前記第2繊維回転ディスクフィルターのろ布のろ過孔径は15~30μmであり、好ましくは30μmである。
【0042】
本発明では、前記第1ろ過池と第2ろ過池との間にろ過水収集槽が設置され、前記ろ過水収集槽にろ過水排出口が設置され、前記第1繊維回転ディスクろ過システム及び第2繊維回転ディスクろ過システムは、ろ過水収集槽、ろ過水排出口、逆吸引ポンプ及び汚水排出口を共有する。
【0043】
本発明では、前記魚類・藻類養殖システムの排水システムは、パイプを介してそれぞれ第1ろ過池及び第2ろ過池と連通する。
【0044】
本発明では、前記繊維回転ディスクろ過システムのろ過水排出口は、パイプを介して魚類・藻類養殖システムの給水システムと連通し、前記パイプに水ポンプが設置されることが好ましい。
【0045】
本発明の一実施例では、前記繊維回転ディスクろ過システム及び付帯電気制御システムの概略図は
図2に示すとおりである。そのうち、10は第1ろ過池給水口、11は第2ろ過池給水口、12は第1ろ過池、13は第2ろ過池、14は第1繊維回転ディスクろ過システム、15は第2繊維回転ディスクろ過システム、16はろ過水収集槽、17はろ過水排出口、18は付帯電気制御システムである。
【0046】
本発明では、前記第1繊維回転ディスクろ過システム及び第2繊維回転ディスクろ過システムは独立して動作できるが、同期してオンにすることはできず、前記第1繊維回転ディスクろ過システム及び第2繊維回転ディスクろ過システムの給水はそれぞれ電動弁によって制御される。正常な水循環期間に、ろ過孔径15~30μmの第1繊維回転ディスクろ過システムをオンにすると、微細藻類は第1繊維回転ディスクろ過システムを通過して養魚池に戻り、繰り返し使用でき、魚の糞や残餌等の粒径の大きい浮遊物は、底部に直接沈下するか、又は第1繊維回転ディスクフィルターのろ布によって遮断され、さらなる高度浄化処理のために逆洗システム又は排泥システムを通って磁気負荷凝集システムに入る。養殖水域中の微細藻類を除去する必要がある場合、ろ過孔径1~5μmの第2繊維回転ディスクろ過システムをオンにして遮断を行い、微細藻類はさらなる高度浄化処理のために逆洗システムを通って磁気負荷凝集システムに入る。水域中の微細藻類が除去された後、予め培養した高活性微細藻類を再び添加する必要がある。
【0047】
本発明では、前記繊維回転ディスクろ過システムのろ過過程で、汚水中の大粒径の浮遊物はろ布によって遮断され、清水はろ布を透過し、重力によって中心回転ドラム内に流入し、ろ過水排出口を通って繊維回転ディスクろ過システムから流出し、ろ布によって遮断された大粒径の浮遊物は、一部がろ布の表面に付着し、他部が池の底部に沈下し、ろ布上の付着物の増加に伴い、ろ過抵抗が増大し、ろ過池の水位が徐々に上昇し、液位が逆洗設定値に達すると、付帯電気制御システムが逆吸引ポンプを起動し、逆洗過程を開始する。正常にろ過する時、回転ディスクは静止状態であるため、養殖汚水浮遊物を直接沈下させることに有益である。
【0048】
本発明では、前記繊維回転ディスクろ過システムの逆洗過程で、回転ディスクは約1r/minの速度で回転し、付帯電気制御システムは逆吸引ポンプパイプに接続された電動弁を制御することにより、各組の回転ディスクを順次洗浄し、逆吸引ポンプはろ布の表面を負圧吸引し、ろ布を通過した浄水は内から外へろ布を洗浄し、ろ布に集められた汚泥が洗い流され、逆吸引ポンプ、汚水排出口を順次通過し、さらなる高度浄化処理のために磁気負荷凝集システムに入る。全ての回転ディスクの洗浄が完了すると、ろ過池内の液位が正常に回復する。逆洗期間にろ過は通常通り行われ、逆洗水量はろ過水量の約1%のみを占める。
【0049】
本発明では、前記排泥システムは前記第1ろ過池及び第2ろ過池の底部にそれぞれ設置された排泥管を含むことが好ましく、前記排泥管はパイプを介して逆吸引ポンプと連通し、前記第1ろ過池及び第2ろ過池の排泥管にそれぞれ電動弁が設置されることが好ましく、前記逆吸引ポンプは、作業条件に応じて排泥システムを起動できる電気制御システムを備えることが好ましい。
【0050】
本発明では、前記排泥システムの概略図は
図3に示すとおりである。そのうち、10は第1ろ過池給水口、11は第2ろ過池給水口、12は第1ろ過池、13は第2ろ過池、17はろ過水排出口、19は汚水吸引口、20は逆吸引ポンプ、21は汚水吸引管である。
【0051】
本発明では、前記汚泥排出アセンブリは汚泥を排出するために用いられ、汚泥が排出された後、さらなる高度浄化処理のために磁気負荷凝集システムに入る。
【0052】
本発明では、前記繊維回転ディスクろ過システムの汚水排出口はパイプを介して磁気負荷凝集システムの給水口と連通する。
【0053】
本発明では、前記工場化魚類・藻類循環水養殖システムは磁気負荷凝集システムを含み、前記磁気負荷凝集システムは、順次連通する混合池、凝固池、凝集池、沈殿池、磁性粉回収装置及び汚泥脱水装置を含む。
【0054】
本発明では、前記磁気負荷凝集システムの沈殿池の清澄水排出口は、パイプ、電動弁を介して第1ろ過池及び第2ろ過池と連通する。
【0055】
本発明では、前記繊維回転ディスクろ過システムの逆吸引ポンプから排出された汚水はパイプを通って混合池に入り、順に凝固池、凝集池及び沈殿池で処理され、磁性粉含有凝集物は沈殿池で沈殿し、清澄水はろ過池に流入し、磁性粉含有凝集物は汚泥ポンプを介して一部が凝固池に直接戻り、一部が磁気回収装置に入って磁性粉回収を行い、磁性粉は凝固池に直接入り、汚泥は脱水装置で処理された後、固形物は有機肥料として使用でき、排水は沈殿池に入る。
【0056】
本発明では、磁気負荷凝集システムの動作原理の概略図は
図4を参照する。そのうち、22は汚水給水口、23は混合池、24は凝固池、25は凝集池、26は沈殿池、27は浄化水排出口、28は磁性粉回収装置、29は汚泥脱水装置、30は汚泥ポンプである。
【0057】
本発明では、前記混合池、凝固池及び凝集池にそれぞれ撹拌装置が設置されることが好ましい。
【0058】
本発明では、前記磁性粉含有凝集物の搬送ポンプはスクリューポンプであり、沈殿池内の磁性粉含有凝集物を凝固池又は磁性粉回収装置に搬送する役割を果たす。
【0059】
本発明では、前記磁気負荷凝集システムの浄化水排出口はパイプを介して繊維回転ディスクろ過システムの第1ろ過池給水口及び第2ろ過池給水口と連通する。
【0060】
本発明では、前記工場化魚類・藻類循環水養殖システムは微細藻類培養システムをさらに含むことが好ましく、前記微細藻類培養システムは光発酵培養システムを用いることが好ましい。光発酵培養システムは従来の発酵システムに光強度、光質及び光周期を正確に調整できる照明施設を追加したものであり、該システムは発酵培養の優位性を保留し、暗所培養による微細藻類の色素含有量が低いという欠陥を克服し、色素含有量が高く、バイオマス濃度が高い微細藻類を大規模かつ高効率に得ることができる。本発明では、前記光発酵システムは、好ましくは、安徽賽徳奇瑞生物科技有限公司から購入したBio 5000全自動三段光発酵システムであり、100L、1000L、5000Lの3つの全自動ステンレス鋼製発酵タンク及び付帯する照明装置、供給タンク、対応するパイプ、弁、操作プラットフォーム、インテリジェント電気制御システム等で構成され、撹拌回転数、温度、pH、DO、タンク本体圧力、ガス流量、光強度、光質及び光周期等の動作パラメータをいずれも自動的に制御できる。
【0061】
本発明では、前記工場化魚類・藻類循環水養殖システムは消毒殺菌システムをさらに含むことが好ましく、前記消毒殺菌システムはオゾン及び紫外線消毒殺菌装置を含む。本発明では、磁気負荷凝集システムの混合池にオゾン導入口が設けられ、オゾンは繊維回転ディスクろ過システムから排出された汚水を消毒殺菌し、前記オゾンの導入量は15~25g/hであり、好ましくは18~22g/hであり、より好ましくは20g/hである。本発明では、前記磁気負荷凝集システムの清澄水排出口に紫外線滅菌器が設置され、前記紫外線滅菌器内に複数の紫外線ランプが設置され、前記紫外線ランプの出力は好ましくは50~100wであり、より好ましくは75wであり、前記紫外線ランプのブランドはフィリップスを選択できる。
【0062】
本発明では、前記工場化魚類・藻類循環水養殖システムは水質オンライン監視システムをさらに含むことが好ましく、前記水質オンライン監視システムは養魚池の溶存酸素、pH、水温、残留塩素をオンラインでリアルタイムに検出する。
【0063】
本発明はまた、上記解決手段に記載の工場化魚類・藻類循環水養殖システムに基づく工場化魚類・藻類循環水養殖方法を提供し、
前記養魚池本体に水を注入し、予め馴化した微細藻類種を投与し、前記微細藻類種の投与量は50~1000mg/L水域であるステップ1と、
稚魚を投与し、3~5hごとに養魚池に飼料を給餌するステップ2と、
養殖過程で、微細藻類が成長安定期の末期にあり、衰亡期に入る入ろうとしているとき、微細藻類が養魚池に戻らないように第1繊維回転ディスクフィルターをオフにし、第2繊維回転ディスクフィルターをオンにし、遮断された微細藻類はさらなる処理のために逆洗システムを通って磁気負荷凝集システムに入り、養殖水域中の藻類密度が50~1000mg/Lになるように一定体積の予め培養した高活性微細藻類を投与し、150~200d後に魚を収穫するステップ3とを含む。
【0064】
本発明は、まず前記養魚池本体に水を注入し、養殖水域中の藻類密度が50~1000mg/Lになるまで予め馴化した微細藻類を投与する。
【0065】
本発明では、前記給水は好ましくは水道水であり、前記給水の給水速度は好ましくは60m2/hである。本発明では、前記養魚池における水面の高さが養魚池の頂部から15~25cm離れるとき、給水を完了させる。100m3容積の養魚池本体を例として、給水完了の時間は好ましくは1~2hであり、より好ましくは1.5hである。本発明は、前記給水が完了した後、養殖水域中の藻類密度が50~1000mg/Lになるまで予め培養した微細藻類を投与し、藻類密度は好ましくは100~500mg/Lであり、より好ましくは200mg/Lである。微細藻類の投与が完了した後、第1繊維回転ディスクろ過システムをオンにし、1~2h動作した後、養魚池に稚魚を投与する。本発明は、前記稚魚の種類を特に限定するものではなく、本分野の従来の養殖魚はいずれも可能であり、本発明の具体的な実施過程では、前記稚魚の品種はサーモン、雅魚、ニジマス、スジアラ、スズキ又はケツギョを含む。本発明では、前記稚魚の投与密度は、好ましくは25~35kg/m3であり、より好ましくは28~32kg/m3であり、最も好ましくは30kg/m3である。
【0066】
本発明では、前記微細藻類は前記第1繊維回転ディスクフィルターのろ布を通過できるが、前記第2繊維回転ディスクフィルターのろ布を通過できず、前記微細藻類種はクロレラ及びドナリエラのうちの1種以上を含む。
【0067】
本発明では、前記微細藻類は前記光発酵システムを用いて培養する。クロレラの光発酵培養を例として、滅菌培地を入れた100Lの発酵タンクに10Lのクロレラ種を接種し、光照射強度は細胞密度の変化に応じて200μmol/(m2.s)から500μmol/(m2・s)まで増加し続け、培地のpHは6.0であり、温度は30°Cであり、撹拌回転数は150r/minであり、通気量は200L/minであり、120h培養した後に培養を終了した。培養過程における供給流加方法は、培地中のグルコース濃度が20~25g/Lであることを保証するために、クロレラの成長状況に応じて、12hごとに一度に500g/Lのグルコース母液を数リットル添加することと、1mol/Lの濃硝酸を窒素源として自動的に追加することとである。
【0068】
本発明では、前記微細藻類種はクロレラ及びドナリエラのうちの1種以上を含むことが好ましい。
【0069】
予め馴化した微細藻類種を投与した後、本発明は稚魚を投与し、3.5~4.5hごとに養魚池に飼料を給餌する。
【0070】
本発明では、前記稚魚がサーモンである場合、80%以上の一匹の魚の体重が20gである場合、初期給水流速は、好ましくは30~35m3/hであり、より好ましくは35m3/hであり、80%以上の一匹の魚の体重が100gである場合、初期給水流速は、好ましくは35~40m3/hであり、より好ましくは40m3/hであり、80%以上の一匹の魚の体重が200~500gである場合、初期給水流速は、好ましくは45~50m3/hであり、より好ましくは50m3/hであり、80%以上の一匹の魚の体重が500~2000gである場合、初期給水流速は、好ましくは50~60m3/hであり、より好ましくは60m3/hであり、80%以上の一匹の魚の体重が2000~3500gである場合、初期給水流速は、好ましくは60~70m3/hであり、より好ましくは70m3/hである。前記稚魚が雅魚である場合、初期給水流速は、好ましくは28~32m3/h、より好ましくは30m3/hに制御され、初期排水流速は、好ましくは28~32m3/h、30m3/hに制御される。本発明では、養殖稚魚の成長に伴い、養殖魚体の密度に応じて異なる水域の給水と排水の流速を設定し、水域中の養殖密度が30kg/m3以上60kg/m3未満の場合、給水量と排水量をそれぞれ35~45m3/hに設定し、好ましくは38~42m3/hに設定し、より好ましくは40m3/hに設定し、水域中の養殖密度が60kg/m3以上100kg/m3未満の場合、給水量と排水量をそれぞれ55~65m3/hに設定し、好ましくは58~62m3/hに設定し、より好ましくは60m3/hに設定し、水域中の養殖密度が100kg/m3以上200kg/m3未満の場合、給水量と排水量をそれぞれ70~90m3/hに設定し、好ましくは75~85m3/hに設定し、より好ましくは80m3/hに設定する。
【0071】
本発明では、水域中の養殖密度が30kg/m3以上60kg/m3未満の場合、給水量と排水量をそれぞれ35~45m3/hに設定し、水域中の養殖密度が60kg/m3以上100kg/m3未満の場合、給水量と排水量をそれぞれ55~65m3/hに設定し、水域中の養殖密度が100kg/m3以上200kg/m3未満の場合、給水量と排水量を70~90m3/hに設定する。
【0072】
本発明では、養殖過程で、養殖水域中の溶存酸素量は5~12mg/Lである。
【0073】
本発明では、4hごとに養魚池に飼料を給餌することが好ましい。本発明では、一匹の魚の体重が30~50gである場合、飼料の給餌量は、好ましくは養殖水域中の魚体の総重量の2.5%~3%であり、前記藻類種の投与量は、好ましくは800~1200L/100m3水域であり、一匹の魚の体重が200~500gである場合、飼料の給餌量は、好ましくは養殖水域中の魚体の総重量の2%~2.5%である。
【0074】
養殖過程で、微細藻類が成長安定期の末期にあり、衰亡期に入ろうとしているとき、微細藻類が養魚池に戻らないように第1繊維回転ディスクフィルターをオフにし、第2繊維回転ディスクフィルターをオンにし、遮断された微細藻類はさらなる処理のために逆洗システムを通って磁気負荷凝集システムに入り、養殖水域中の藻類密度が50~1000mg/Lになるように一定体積の予め培養した高活性微細藻類を投与し、150~200d後に魚を収穫する。
【0075】
本発明では、微細藻類の投与は多面的な効果を有し、一方では、微細藻類は水域中の窒素、リン等の可溶性汚染物質を効果的に除去でき、微細藻類を投与した後、微細藻類は水域中の窒素、リン等の可溶性汚染物質を栄養物質として使用して、水域中での微細藻類の成長と繁殖を実現でき、他方では、微細藻類の成長と繁殖は酸素を放出でき、放出された酸素は水域中の魚が利用できるため、人工酸素供給の需要量を低減させる。さらに、クロレラは抑制効果も有し、水域中の有害菌の成長を抑制し、水域環境を維持し、水域中の魚が有害菌に感染することを防止することができる。また、水域に投与された微細藻類は、魚が食べる魚の飼料としても使用できる。同時に、微細藻類の表面で生成された多糖は、近くの水に溶けない粒子汚染物質を凝集させてカプセル化することができ、粒子の粒径を増加させて粒子汚染物質の沈降を促進し、粒子汚染物質の迅速な分離に有益である。
【0076】
本発明は、養殖過程で、酸素供給コーンによって魚類・藻類養殖システムに酸素を供給し、本発明は溶存酸素の濃度に基づいて酸素を供給する必要があるか否かを決定する。前記魚類・藻類養殖システムの溶存酸素を7.0mg/L以上に維持する。魚類養殖システムの溶存酸素が7.0mg/Lより低い場合、酸素を供給する。
【0077】
本発明は魚を150~200d養殖した後に収穫する。本発明では、前記魚がニジマスである場合、投与した稚魚の重量は4.5~5.5gであり、好ましくは170~190d養殖した後に収穫し、収穫したニジマスの体重は450~550gである。前記魚がサーモンである場合、投与した稚魚の重量は4.5~5.5gであり、収穫したサーモンの体重は2000~3600gである。
【0078】
本発明において、前記養殖システムを用いて行われた工場化魚類・藻類循環水養殖は、養殖過程で、魚類・藻類養殖システムに微細藻類を定期的に投与することにより、微細藻類は水中のCO2、窒素、リン等の栄養成分を藻類細胞自体の物質に変換し、養魚池中の水質を浄化し、前記繊維回転ディスクろ過システム及び磁気負荷凝集システムを用いて、養殖水域中の浮遊物、高分子タンパク質、藻類、細菌及びウイルス等を迅速かつ十分に除去し、養殖汚水の循環使用を実現し、汚水排出量はゼロである。高密度、高安定性、低エネルギー消費の循環水養殖を真に実現できる。
【0079】
以下、実施例を参照しながら本発明が提供する技術的解決手段を詳細に説明するが、それらは本発明の保護範囲を限定するものと理解すべきではない。
【0080】
実施例1
【0081】
本システムは工場化魚類・藻類循環水養殖システムが用いられ、工場化魚類・藻類循環水養殖システムは、魚類養殖システム、藻類養殖システム及び水処理システムを含み、魚類養殖システムはポリプロピレン板を用いて100m3水域の養魚池を建設し、養殖生産量は15トンに達し、養殖密度は150kg/m3に達し、一匹の魚の重量は3kg以上に達し、現在実験している魚種はサーモンであり、1匹の重量は3.6kg/尾に達する。正常な循環水による100m3水域の養殖はエネルギーを20kw/h消費し、本発明の工場化魚類・藻類循環水養殖システムによる100m3水域の養殖はエネルギーを4kw/h消費し、詳細なデータを表1に示す。
【0082】
【0083】
以上は、本発明の好ましい実施形態にすぎず、当業者にとって、本発明の原理から逸脱することなく、若干の改良及び修飾を行うことができ、これらの改良及び修飾は保護範囲ともみなされるべきである。
【符号の説明】
【0084】
1 酸素供給コーン、2 養魚池給水口、3 オンライン検出アセンブリ、4 水ポンプ、5 養魚池本体、6 養魚池排水口、7 排水弁、8 養魚池排水管、9 給水管、10 第1ろ過池給水口、11 第2ろ過池給水口、12 第1ろ過池、13 第2ろ過池、14 第1繊維回転ディスクろ過システム、15 第2繊維回転ディスクろ過システム、16 ろ過水収集槽、17 ろ過水排出口、18 付帯電気制御システム、19 汚水吸引口、20 逆吸引ポンプ、21 汚水吸引管、22 汚水給水口、23 混合池、24 凝固池、25 凝集池、26 沈殿池、27 浄化水排出口、28 磁性粉回収装置、29 汚泥脱水装置、30 汚泥ポンプ。