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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024098483
(43)【公開日】2024-07-23
(54)【発明の名称】熱交換器および冷凍サイクル装置
(51)【国際特許分類】
   F28D 9/02 20060101AFI20240716BHJP
   F28F 3/00 20060101ALI20240716BHJP
   F28F 3/08 20060101ALI20240716BHJP
【FI】
F28D9/02
F28F3/00 311
F28F3/08 311
【審査請求】有
【請求項の数】18
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023167658
(22)【出願日】2023-09-28
(31)【優先権主張番号】P 2023001787
(32)【優先日】2023-01-10
(33)【優先権主張国・地域又は機関】JP
(71)【出願人】
【識別番号】000002853
【氏名又は名称】ダイキン工業株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110000202
【氏名又は名称】弁理士法人新樹グローバル・アイピー
(72)【発明者】
【氏名】小島 誠
(72)【発明者】
【氏名】寺井 航
(72)【発明者】
【氏名】江村 知恵
(72)【発明者】
【氏名】馬場 大介
【テーマコード(参考)】
3L103
【Fターム(参考)】
3L103AA27
3L103CC02
3L103CC17
3L103DD12
3L103DD55
3L103DD57
(57)【要約】
【課題】隔壁の間の隙間を確保することが容易な熱交換器および冷凍サイクル装置を提供する。
【解決手段】冷媒と水を熱交換させるプレート熱交換器30であって、第1板状部材50と、第2板状部材60と、第2冷媒隔壁72と、第1水隔壁81と、を備える。第2冷媒隔壁72は、第1板状部材50と第2板状部材60との間に位置する。第1水隔壁81は、第2冷媒隔壁72と第2板状部材60との間に位置する。第1板状部材50は、第1流路51を有している。冷媒は、第1板状部材50の板厚方向である第1板厚方向と交差する方向に第1流路51を流れる。第2板状部材60は、第2流路61を有する。水は、第2板状部材60の板厚方向である第2板厚方向と交差する方向に第2流路61を流れる。プレート熱交換器30は、第1水隔壁81が、平坦部82aと、第2板厚方向に突出した複数の凸部81yと、を有し、凸部81yの先端が第2冷媒隔壁72に接している。
【選択図】図5
【特許請求の範囲】
【請求項1】
第1流体と第2流体を熱交換させる熱交換器(30)であって、
前記第1流体が流れる第1流路(51、251)と、
前記第2流体が流れる第2流路(61、261、261a)と、
前記第1流路と前記第2流路との間に位置する第1壁部(71、72、171、172、257)と、
前記第1壁部と前記第2流路との間に位置する第2壁部(81、82、181、182、267、267a)と、
を備え、
前記第1流路は、前記第1壁部と前記第2壁部とが重なる方向である積層方向と交差する方向に前記第1流体が流れ、
前記第2流路は、前記積層方向と交差する方向に前記第2流体が流れ、
前記第1壁部が、第1平坦部(171a、172a)と、前記積層方向に突出した複数の第1凸部(171y、172y、281y)と、を有し、前記第1凸部の先端が前記第2壁部(181、182、267、268)に接しているか、
または、
前記第2壁部が、第2平坦部(81a、82a)と、前記積層方向に突出した複数の第2凸部(81y、82y、181y、269y、271y)と、を有し、前記第2凸部の先端が前記第1壁部(71、72、257、258、280a、281a)に接しているか、
の少なくともいずれかである、
熱交換器(30)。
【請求項2】
前記第1流路を有する第1板状部材(250)と、
前記第2流路と前記第2壁部とを有する第2板状部材(260、260a、260b)と、
を備え、
前記第2流路と前記第2壁部は、前記第2板状部材の板厚方向である第2板厚方向に並んで設けられている、
請求項1に記載の熱交換器。
【請求項3】
前記第1壁部を有する第1隔壁(280)をさらに備え、
前記第1隔壁は、前記第1板状部材と前記第2板状部材との間に位置しており、
前記第1隔壁が、前記第1平坦部と、複数の前記第1凸部(281y)と、を有し、前記第1凸部の先端が前記第2壁部(267、267a、268)に接しているか、
または、
前記第2壁部が、前記第2平坦部と、複数の前記第2凸部(269y)と、を有し、前記第2凸部の先端が前記第1隔壁(280a、281a)に接しているか、
の少なくともいずれかである、
請求項2に記載の熱交換器。
【請求項4】
前記第1隔壁と前記第2壁部の間に液体(L)を有している、
請求項3に記載の熱交換器。
【請求項5】
前記第1隔壁と前記第2壁部の間を、前記積層方向に対する周囲から覆う封止部(31)をさらに備えた、
請求項4に記載の熱交換器。
【請求項6】
前記第1隔壁は前記第1平坦部に対して前記積層方向に窪んだ第1凹み部を有しており、前記第1凸部の先端は前記積層方向において前記第1凹み部よりも前記第2壁部側に位置しているか、
または、
前記第2壁部は前記第2平坦部に対して前記積層方向に窪んだ第2凹み部を有しており、前記第2凸部の先端は前記積層方向において前記第2凹み部よりも前記第1隔壁側に位置しているか、
の少なくともいずれかである、
請求項3から5のいずれか1項に記載の熱交換器。
【請求項7】
前記第2壁部は、複数の前記第2凸部を含む第2領域を有しており、
前記第1隔壁は、前記積層方向に沿って見た場合に前記第2領域と対向する第1領域を有しており、
前記第2領域の方が前記第1領域よりも表面積が大きい、
請求項3から5のいずれか1項に記載の熱交換器。
【請求項8】
前記第1隔壁は、第1開口(71b、71c、72b、72c)を有し、
前記第2壁部は、前記積層方向において前記第1開口と重なる位置に設けられた第2開口(81b、81c、82b、82c)を有し、
前記第1開口と前記第2開口は、前記第1流体または前記第2流体を前記積層方向に通過させ、
前記第1隔壁と前記第2壁部とは、前記第1開口の周囲の前記第1平坦部と前記第2開口の周囲の前記第2平坦部とが互いに面接触している部分(71a、72a、81a、82a)を含んでいる、
請求項3から5のいずれか1項に記載の熱交換器。
【請求項9】
前記第1板状部材(250)は、さらに前記第1壁部(257)を有しており、
前記第1流路と前記第1壁部とは、前記第1板状部材の板厚方向である第1板厚方向に並んで設けられている、
請求項2に記載の熱交換器。
【請求項10】
前記第1流路を有する第1板状部材(50)と、
前記第2流路を有する第2板状部材(60)と、
前記第1板状部材と前記第2板状部材との間に位置する前記第1壁部である第1隔壁(71、72、171、172)と、
前記第1隔壁と前記第2板状部材との間に位置する前記第2壁部である第2隔壁(81、82、181、182)と、
を備え、
前記第1隔壁が、前記第1平坦部(171a、172a)と、複数の前記第1凸部(171y、172y)と、を有し、前記第1凸部の先端が前記第2隔壁(181、182)に接しているか、
または、
前記第2隔壁が、前記第2平坦部(81a、82a)と、複数の前記第2凸部(81y、82y、181y)と、を有し、前記第2凸部の先端が前記第1隔壁(71、72)に接しているか、
の少なくともいずれかである、
請求項1に記載の熱交換器(30)。
【請求項11】
前記第1隔壁と前記第2隔壁の間に液体(L)を有している、
請求項10に記載の熱交換器。
【請求項12】
前記第1隔壁と前記第2隔壁の間を、前記積層方向に対する周囲から覆う封止部(31)をさらに備えた、
請求項11に記載の熱交換器。
【請求項13】
前記第1隔壁は前記第1平坦部に対して前記積層方向に窪んだ第1凹み部を有しており、前記第1凸部の先端は前記積層方向において前記第1凹み部よりも前記第2隔壁側に位置しているか、
または、
前記第2隔壁は前記第2平坦部に対して前記積層方向に窪んだ第2凹み部(181z)を有しており、前記第2凸部の先端は前記積層方向において前記第2凹み部よりも前記第1隔壁側に位置しているか、
の少なくともいずれかである、
請求項10から12のいずれか1項に記載の熱交換器。
【請求項14】
前記第2隔壁は、複数の前記第2凸部を含む第2領域(81x、82x)を有しており、
前記第1隔壁は、前記積層方向に沿って見た場合に前記第2領域と対向する第1領域を有しており、
前記第2領域の方が前記第1領域よりも表面積が大きい、
請求項10から12のいずれか1項に記載の熱交換器。
【請求項15】
前記第1隔壁は、第1開口(71b、71c、72b、72c)を有し、
前記第2隔壁は、前記積層方向において前記第1開口と重なる位置に設けられた第2開口(81b、81c、82b、82c)を有し、
前記第1開口と前記第2開口は、前記第1流体または前記第2流体を前記積層方向に通過させ、
前記第1隔壁と前記第2隔壁とは、前記第1開口の周囲の前記第1平坦部と前記第2開口の周囲の前記第2平坦部とが互いに面接触している部分(71a、72a、81a、82a)を含んでいる、
請求項10から12のいずれか1項に記載の熱交換器。
【請求項16】
前記第2流体が水である、
請求項1から5のいずれか1項に記載の熱交換器。
【請求項17】
前記第1流体が燃焼性を有する冷媒である、
請求項1から5のいずれか1項に記載の熱交換器。
【請求項18】
請求項1から5のいずれか1項に記載の熱交換器(30)を含み、前記第1流体が流れる冷媒回路(10)を備えた、
冷凍サイクル装置(1)。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、熱交換器および冷凍サイクル装置に関する。
【背景技術】
【0002】
従来より、複数の伝熱プレートを積層し、互いに接合させることにより構成されたプレート式熱交換器が知られている。この熱交換器では、第1流体が流れる伝熱プレートで挟まれた空間と、第2流体が流れる伝熱プレートに挟まれた空間と、を交互に積層させることで、第1流体と第2流体との間で熱交換を行わせる。
【0003】
このようなプレート式熱交換器においては、例えば、特許文献1(特開2002-107089号公報)に記載のように、各伝熱プレートが2枚の隔壁により構成されたダブルウォール式の伝熱プレートが採用されるものがある。このダブルウォール式の伝熱プレートは、互いに重ね合わされた2枚の隔壁の間に隙間が介在した構造を有している。この熱交換器によれば、腐食などの要因により伝熱プレートのいずれかの隔壁に亀裂が発生した場合であっても、伝熱プレートがダブルウォール構造となっているため、亀裂から漏れ出した流体を当該隙間に導くことができ、熱交換を行わせる流体同士の混合が抑制される。
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
上述の特許文献1に記載のダブルウォール式の伝熱プレートの熱交換器では、隔壁に亀裂が発生した場合に流体を導くための隙間が確保された構造となっているため、熱交換器の製造時において複数の伝熱プレートを板厚方向に加圧して接合させようとすると、ダブルウォール構造に含まれる隙間が潰れてしまうおそれがある。
【課題を解決するための手段】
【0005】
第1観点に係る熱交換器は、第1流体と第2流体を熱交換させる熱交換器であって、第1流路と、第2流路と、第1壁部と、第2壁部と、を備える。第1流路は、第1流体が流れる。第2流路は、第2流体が流れる。第1隔壁は、第1流路と第2流路との間に位置する。第2隔壁は、第1壁部と第2流路との間に位置する。第1流路は、第1壁部と第2壁部とが重なる方向である積層方向と交差する方向に第1流体が流れる。第2流路は、積層方向と交差する方向に第2流体が流れる。熱交換器は、第1壁部が、第1平坦部と、積層方向に突出した複数の第1凸部と、を有し、第1凸部の先端が第2壁部に接しているか、または、第2壁部が、第2平坦部と、積層方向に突出した複数の第2凸部と、を有し、第2凸部の先端が第1壁部に接しているか、の少なくともいずれかである。
【0006】
この熱交換器では、第1流体が流れる第1流路と、第2流体が流れる第2流路との間に、第1壁部と第2壁部が介在している。これによりダブルウォール構造を構成することができている。ここで、第1壁部複数の第1凸部の先端が第2壁部に接しているか、または、第2壁部の複数の第2凸部の先端が第1壁部に接していることで、第1壁部と第2壁部の間に隙間を確保しつつ、第1壁部と第2壁部との間の隙間を複数の接触部分で支えることが可能となっている。これにより、第1壁部と第2壁部を有する熱交換器が積層方向に加圧されたとしても、第1壁部と第2壁部との間の隙間の積層方向における長さが小さくなることが抑制される。
【0007】
第2観点に係る熱交換器は、第1観点の熱交換器であって、第1板状部材と、第2板状部材と、を備えてる。第1板状部材は、第1流路を有する。第2板状部材は、第2流路と第2壁部とを有する。第2流路と第2壁部は、第2板状部材の板厚方向である第2板厚方向に並んで設けられている。
【0008】
この熱交換器では、第2流路と第2壁部とを、1つの部材である第2板状部材に設けることで、ダブルウォール構造を維持しつつ部品点数を削減させることが可能になっている。
【0009】
なお、この熱交換器では、第1板状部材の第1流路と、第2板状部材において第2流体が流れる第2流路と、の間に、第1壁部と、第2板状部材の第2壁部と、が介在している。そして、第1壁部の複数の第1凸部の先端が第2板状部材に接しているか、または、第2板状部材の複数の第2凸部の先端が第1壁部に接していることで、第1壁部と第2板状部材の間に隙間を確保しつつ、第1壁部と第2板状部材との間の隙間を複数の接触部分で支えることが可能となっている。これにより、第1壁部と第2板状部材を有する熱交換器が積層方向に加圧されたとしても、第1壁部と第2板状部材との間の隙間の積層方向における長さが小さくなることが抑制される。
【0010】
第3観点に係る熱交換器は、第2観点の熱交換器であって、第1隔壁をさらに備える。第1隔壁は、第1壁部を有する。第1隔壁は、第1板状部材と第2板状部材との間に位置している。第1隔壁が、第1平坦部と、複数の第1凸部と、を有し、第1凸部の先端が第2壁部に接しているか、または、第2壁部が、第2平坦部と、複数の第2凸部と、を有し、第2凸部の先端が第1隔壁に接しているか、の少なくともいずれかである。
【0011】
この熱交換器では、第1板状部材の第1流路と、第2板状部材において第2流体が流れる第2流路と、の間に、第1隔壁と、第2板状部材の第2壁部と、が介在している。そして、第1隔壁の複数の第1凸部の先端が第2板状部材に接しているか、または、第2板状部材の複数の第2凸部の先端が第1隔壁に接していることで、第1隔壁と第2板状部材の間に隙間を確保しつつ、第1隔壁と第2板状部材との間の隙間を複数の接触部分で支えることが可能となっている。これにより、第1隔壁と第2板状部材を有する熱交換器が積層方向に加圧されたとしても、第1隔壁と第2板状部材との間の隙間の積層方向における長さが小さくなることが抑制される。
【0012】
第4観点に係る熱交換器は、第3観点の熱交換器であって、第1隔壁と第2壁部の間に液体を有している。
【0013】
この熱交換器では、第1隔壁と第2壁部の間が空気で満たされている場合と比べて、第1流体と第2流体との熱交換効率を向上させることができる。
【0014】
第5観点に係る熱交換器は、第4観点の熱交換器であって、封止部をさらに備えている。封止部は、第1隔壁と第2壁部の間を、積層方向に対する周囲から覆う。
【0015】
この熱交換器では、第1隔壁と第2壁部の間に位置する液体が熱交換器から外部に流出することを抑制することができる。
【0016】
第6観点に係る熱交換器は、第3観点から第5観点のいずれかの熱交換器であって、第1隔壁は第1平坦部に対して積層方向に窪んだ第1凹み部を有しており、第1凸部の先端は積層方向において第1凹み部よりも第2壁部側に位置しているか、または、第2壁部は、第2平坦部に対して積層方向に窪んだ第2凹み部を有しており、第2凸部の先端は積層方向において第2凹み部よりも第1隔壁側に位置しているか、の少なくともいずれかである。
【0017】
この熱交換器では、第1隔壁と第2壁部の間の隙間を確保しやすい。
【0018】
第7観点に係る熱交換器は、第3観点から第6観点のいずれかの熱交換器であって、第2壁部は、複数の第2凸部を含む第2領域を有している。第1隔壁は、積層方向に沿って見た場合に第2領域と対向する第1領域を有している。第2領域は、第1領域よりも表面積が大きい。
【0019】
この熱交換器では、第2領域よりも表面積が小さい第1領域を有する第1隔壁について、破損を抑制させやすい。これにより、第1隔壁が破損することによる第1流体の流出が抑制される。
【0020】
第8観点に係る熱交換器は、第3観点から第7観点のいずれかの熱交換器であって、第1隔壁は、第1開口を有している。第2壁部は、積層方向において第1開口と重なる位置に設けられた第2開口を有している。第1開口と第2開口は、第1流体または第2流体を積層方向に通過させる。第1隔壁と第2壁部とは、第1開口の周囲の第1平坦部と第2開口の周囲の第2平坦部とが互いに面接触している部分を含んでいる。
【0021】
この熱交換器では、第1隔壁と第2壁部とを、第1平坦部と第2平坦部の面接触部分を介して接合させることができる。
【0022】
第9観点に係る熱交換器は、第2観点の熱交換器であって、第1板状部材は、さらに第1壁部を有している。第1流路と第1壁部とは、第1板状部材の板厚方向である第1板厚方向に並んで設けられている。
【0023】
この熱交換器では、第1流路と第1壁部とを、1つの部材である第1板状部材に設けることで、ダブルウォール構造を維持しつつ部品点数を削減させることが可能になっている。
【0024】
なお、この熱交換器では、第1板状部材において第1流体が流れる第1流路と、第2板状部材において第2流体が流れる第2流路と、の間に、第1板状部材の第1壁部と第2板状部材の第2壁部とが介在している。そして、第1壁部の複数の第1凸部の先端が第2壁部に接しているか、または、第2壁部の複数の第2凸部の先端が第1壁部に接していることで、第1板状部材と第2板状部材の間に隙間を確保しつつ、第1板状部材と第2板状部材との間の隙間を複数の接触部分で支えることが可能となっている。これにより、第1板状部材と第2板状部材を有する熱交換器が積層方向に加圧されたとしても、第1板状部材と第2板状部材との間の隙間の積層方向における長さが小さくなることが抑制される。
【0025】
第10観点に係る熱交換器は、第1観点の熱交換器であって、第1板状部材と、第2板状部材と、第1隔壁と、第2隔壁と、を備える。第1板状部材は、第1流路を有している。第2板状部材は、第2流路を有している。第1隔壁は、第1板状部材と第2板状部材との間に位置する第1壁部である。第2隔壁は、第1隔壁と第2板状部材との間に位置する第2壁部である。熱交換器は、第1隔壁が、第1平坦部と、複数の第1凸部と、を有し、第1凸部の先端が第2隔壁に接しているか、または、第2隔壁が、第2平坦部と、複数の第2凸部と、を有し、第2凸部の先端が第1隔壁に接しているか、の少なくともいずれかである。
【0026】
なお、第1流路は、第1板状部材の板厚方向である第1板厚方向と交差する方向に第1流体を流すものであってよい。第2流路は、第2板状部材の板厚方向である第2板厚方向と交差する方向に第2流体を流すものであってよい。
【0027】
この熱交換器では、第1流体が流れる第1流路を有する第1板状部材と、第2流体が流れる第2流路を有する第2板状部材との間に、第1隔壁と第2隔壁が介在している。ここで、第1隔壁の複数の第1凸部の先端が第2隔壁に接しているか、または、第2隔壁の複数の第2凸部の先端が第1隔壁に接していることで、第1隔壁と第2隔壁の間に隙間を確保しつつ、第1隔壁と第2隔壁との間の隙間を複数の接触部分で支えることが可能となっている。これにより、第1隔壁と第2隔壁を有する熱交換器が積層方向に加圧されたとしても、第1隔壁と第2隔壁との間の隙間の積層方向における長さが小さくなることが抑制される。
【0028】
第11観点に係る熱交換器は、第10観点の熱交換器であって、第1隔壁と第2隔壁の間に液体を有している。
【0029】
この熱交換器では、第1隔壁と第2隔壁の間が空気で満たされている場合と比べて、第1流体と第2流体との熱交換効率を向上させることができる。
【0030】
第12観点に係る熱交換器は、第11観点の熱交換器であって、封止部をさらに備えている。封止部は、第1隔壁と第2隔壁の間を、積層方向に対する周囲から覆う。
【0031】
なお、封止部は、第1隔壁と第2隔壁の間を、第1板状部材の板厚方向である第1板厚方向に対する周囲から覆ってもよい。
【0032】
この熱交換器では、第1隔壁と第2隔壁の間に位置する液体が熱交換器から外部に流出することを抑制することができる。
【0033】
第13観点に係る熱交換器は、第10観点から第12観点のいずれかの熱交換器であって、第1隔壁は第1平坦部に対して積層方向に窪んだ第1凹み部を有しており、第1凸部の先端は積層方向において第1凹み部よりも第2隔壁側に位置しているか、または、第2隔壁は第2平坦部に対して積層方向に窪んだ第2凹み部を有しており、第2凸部の先端は積層方向において第2凹み部よりも第1隔壁側に位置しているか、の少なくともいずれかである。
【0034】
なお、第1隔壁は、第1平坦部に対して、第1板状部材の板厚方向である第1板厚方向に窪んだ第1凹み部を有していてもよい。第1凸部の先端は、第1板厚方向において第1凹み部よりも第2隔壁側に位置していてもよい。また、第2隔壁は、第2平坦部に対して第2板状部材の板厚方向である第2板厚方向に窪んだ第2凹み部を有していてもよい。また、第2凸部の先端は、第2板厚方向において第2凹み部よりも第1隔壁側に位置していてもよい。
【0035】
この熱交換器では、第1隔壁と第2隔壁の間の隙間を確保しやすい。
【0036】
第14観点に係る熱交換器は、第10観点から第13観点のいずれかの熱交換器であって、第2隔壁は、第2領域を有している。第2領域は、複数の第2凸部を含む。第1隔壁は、第1領域を有している。第1領域は、積層方向に沿って見た場合に第2領域と対向する。第2領域の表面積は、第1領域の表面積よりも大きい。
【0037】
なお、第1領域は、第1板状部材の板厚方向である第1板厚方向に沿って見た場合に第2領域と対向していてもよい。
【0038】
この熱交換器では、第2領域よりも表面積が小さい第1領域を有する第1隔壁について、破損を抑制させやすい。これにより、第1隔壁が破損することによる第1流体の流出が抑制される。
【0039】
第15観点に係る熱交換器は、第10観点から第14観点のいずれかの熱交換器であって、第1隔壁は、第1開口を有する。第2隔壁は、積層方向において第1開口と重なる位置に設けられた第2開口を有する。第1開口と第2開口は、第1流体または第2流体を積層方向に通過させる。第1隔壁と第2隔壁とは、第1開口の周囲の第1平坦部と第2開口の周囲の第2平坦部とが互いに面接触している部分を含んでいる。
【0040】
なお、第2隔壁は、第1板状部材の板厚方向である第1板厚方向において第1開口と重なる位置に設けられた第2開口を有していてもよい。第1開口と第2開口は、第1流体または第2流体を第1板厚方向に通過させてもよい。
【0041】
この熱交換器では、第1隔壁と第2隔壁とを、第1平坦部と第2平坦部の面接触部分を介して接合させることができる。
【0042】
第16観点に係る熱交換器は、第1観点から第15観点のいずれかの熱交換器であって、第2流体が水である。
【0043】
この熱交換器では、第2流体の凍結により第2隔壁が破損することがあっても、第1流体と第2流体の混合が抑制される。
【0044】
第17観点に係る熱交換器は、第1観点から第16観点のいずれかの熱交換器であって、第1流体が燃焼性を有する冷媒である。
【0045】
この熱交換器では、第1隔壁が設けられているため、燃焼性を有する冷媒の流出が抑制される。
【0046】
第18観点に係る冷凍サイクル装置は、冷媒回路を備えている。冷媒回路は、第1冷媒が流れる。冷媒回路は、第1観点から第17観点のいずれかの熱交換器を含む。
【0047】
この冷凍サイクル装置では、第1隔壁と第2隔壁との間の隙間が確保された熱交換器を用いて冷凍サイクルを行うことが可能となる。
【図面の簡単な説明】
【0048】
図1】本開示の一実施形態にかかるプレート熱交換器及びそれを備えたヒートポンプシステムの概略構成図である。
図2】プレート熱交換器の概略外観斜視図である。
図3】プレート熱交換器を前から見た場合の第1流路の配置を示す説明図である。
図4】プレート熱交換器を前から見た場合の第2流路の配置を示す説明図である。
図5】プレート熱交換器の熱交換部の要部を示す部分分解斜視図である。
図6】プレート熱交換器を左から見た場合の第1流路の入口近傍および出口近傍の配置を示す説明図である。
図7】プレート熱交換器を下から見た場合の第2流路の入口近傍の配置を示す説明図である。
図8】は、第1冷媒隔壁を前から見た概略構成図である。
図9】第1板状部材を前から見た概略構成図である。
図10】第2冷媒隔壁を前から見た概略構成図である。
図11】第1水隔壁を前から見た概略構成図である。
図12】第2板状部材を前から見た概略構成図である。
図13】第2水隔壁を前から見た概略構成図である。
図14】第2水隔壁を後ろから見た概略構成図である。
図15】他の実施形態Aに係るプレート熱交換器を左から見た場合の第1流路の入口近傍および出口近傍の配置を示す説明図である。
図16】他の実施形態Bに係る第1水隔壁の概略外観斜視図である。
図17】他の実施形態Bに係る第1水隔壁の断面形状の一例を示す断面図である。
図18】他の実施形態Bに係る第1水隔壁の断面形状の他の例を示す断面図である。
図19】他の実施形態Cに係るプレート熱交換器を左から見た場合の第1流路の入口近傍および出口近傍の配置を示す説明図である。
図20】他の実施形態Fに係るプレート熱交換器の熱交換部の要部を示す部分分解斜視図である。
図21】他の実施形態Gに係るプレート熱交換器の熱交換部の要部を示す部分分解斜視図である。
図22】他の実施形態Hに係るプレート熱交換器の熱交換部の要部を示す部分分解斜視図である。
図23】他の実施形態Iに係るプレート熱交換器の熱交換部の要部を示す部分分解斜視図である。
【発明を実施するための形態】
【0049】
以下、熱交換器およびそれを備えた冷凍サイクル装置としてのヒートポンプシステムについて、図面に基づいて説明する。
【0050】
(1)ヒートポンプシステム
図1は、本開示の一実施形態にかかる熱交換器としてのプレート熱交換器30およびそれを備えた冷凍サイクル装置としてのヒートポンプシステム1の概略構成図である。
【0051】
ヒートポンプシステム1は、主として、熱交換媒体である第1流体としての冷媒が循環する冷媒回路である第1回路10と、被加熱流体である第2流体としての水が循環する水回路である第2回路20と、を有している。ヒートポンプシステム1は、第1回路10における冷媒圧縮式のヒートポンプサイクルを利用して水を加熱し、加熱された水によって室内を暖房する等の利用側負荷を処理する装置である。
【0052】
なお、第1回路10を循環する冷媒としては、特に限定されないが、例えば、燃焼性を有する冷媒が用いることができる。なお、燃焼性を有する冷媒としては、ASHRAE Safety Groupにおける、クラスA3、B3の強燃性冷媒、クラスA2、B2の可燃性冷媒、クラスA2L、B2Lの微燃性冷媒等が挙げられる。燃焼性を有する冷媒としては、なかでも、R290、R600、および、R600aからなる群より選択される1種または2種以上であってよい。なお、第1回路10には、上述の冷媒と共に冷凍機油が充填される。
【0053】
(1-1)第1回路
第1回路10は、主として、圧縮機11と、プレート熱交換器30と、膨張機構13と、第1熱交換器14と、を有している。そして、第1回路10には、冷媒が充填されている。冷媒としては、特に限定されず、例えば、HFC系冷媒、HFO系冷媒、自然冷媒等を用いることができる。
【0054】
圧縮機11は、冷媒を圧縮する機器である。圧縮機11は、例えば、ロータリ型やスクロール型等の冷媒圧縮要素をモータ等の駆動機構によって駆動する圧縮機である。
【0055】
プレート熱交換器30は、第1回路を循環する冷媒と、第2回路20を循環する水と、を熱交換させる機器である。本実施形態では、プレート熱交換器30は、圧縮機11において圧縮された冷媒を、第2回路20を循環する水により冷却する。なお、プレート熱交換器30の詳細については後述する。また、圧縮機11の吐出口とプレート熱交換器30の冷媒側の入口である冷媒入口35とは、第1冷媒管15によって接続されている。
【0056】
膨張機構13は、プレート熱交換器30において冷却された冷媒を減圧する機器である。膨張機構13は、例えば、膨張弁やキャピラリーチューブである。また、プレート熱交換器30の冷媒側の出口である冷媒出口36と膨張機構13とは、第2冷媒管16によって接続されている。
【0057】
第1熱交換器14は、第1熱交換器14の内部を流れる冷媒と、第1熱交換器14の周囲を通過する空気等の流体との間で熱交換を行わせる機器である。本実施形態では、第1熱交換器14は、膨張機構13において減圧された冷媒を、送風ファン19により供給される空気と熱交換させることで蒸発させる。送風ファン19は、冷媒の加熱源となる空気の流れを生じさせる。このような第1熱交換器14としては、例えば、空気によって冷媒を加熱するフィンアンドチューブ式の熱交換器を用いることができる。送風ファン19は、プロペラ型等の送風要素をモータ等の駆動機構によって駆動するファンである。また、膨張機構13と第1熱交換器14の冷媒の入口とは、第3冷媒管17によって接続されている。第1熱交換器14の冷媒の出口と圧縮機11の吸入口とは、第4冷媒管18によって接続されている。
【0058】
(1-2)第2回路
第2回路20は、主として、プレート熱交換器30と、ポンプ21と、第2熱交換器22と、を有している。そして、第2回路20には、水が封入されている。
【0059】
プレート熱交換器30は、上記のように、第2回路20を循環する水によって圧縮機11において圧縮された冷媒を冷却する機器である。また、プレート熱交換器30は、第1回路10を循環する冷媒によって水を加熱する機器である。なお、プレート熱交換器30の詳細については後述する。
【0060】
ポンプ21は、第2回路20において水の流れを生じさせる機器であり、本実施形態では水を昇圧させる。ポンプ21は、例えば、遠心型や容積型のポンプ要素をモータ等の駆動機構によって駆動するポンプである。ここで、プレート熱交換器30の水側の出口である水出口34とポンプ21の吸込口とは、第2水管24によって接続されている。
【0061】
第2熱交換器22は、プレート熱交換器30によって加熱された水によって室内の暖房等を行う機器である。第2熱交換器22は、例えば、ラジエータや床暖房機である。また、ポンプ21の吐出口と第2熱交換器22の水の入口とは、第3水管25によって接続されている。第2熱交換器22の水の出口とプレート熱交換器30の水側の入口である水入口33とは、第1水管23によって接続されている。
【0062】
ヒートポンプシステム1の構成機器は、制御装置2によって制御される。制御装置2は、CPU(Central Processing Unit)等のプロセッサややROM、RAM等のメモリ等が実装された制御基板等によって構成されている。
【0063】
(2)運転動作
次に、ヒートポンプシステム1の動作の例について、図1を用いて説明する。
【0064】
ヒートポンプシステム1は、上記のように、第1回路10における冷媒圧縮式のヒートポンプサイクルを利用して水を加熱し、加熱された水によって室内を暖房する暖房運転等が可能である。なお、暖房運転の制御は、制御装置2によって行われる。
【0065】
第1回路10において、圧縮機11において圧縮されて吐出された冷媒は、プレート熱交換器30に送られる。プレート熱交換器30に送られた冷媒は、第2回路20を循環する水と熱交換を行って冷却されて凝縮する。プレート熱交換器30において放熱した冷媒は、膨張機構13によって減圧された後に、第1熱交換器14に送られる。第1熱交換器14に送られた冷媒は、送風ファン19によって第1熱交換器14を通過する空気と熱交換を行って加熱されることによって蒸発する。第1熱交換器14において蒸発した冷媒は、圧縮機11に吸入されて、再び、圧縮機11において圧縮されて吐出される。
【0066】
一方、第2回路20においては、プレート熱交換器30における冷媒の放熱によって水が加熱される。プレート熱交換器30において加熱された水は、ポンプ21によって昇圧されて吐出される。ポンプ21から吐出された水は、第2熱交換器22に送られる。第2熱交換器22に送られた水は、室内を暖房することによって冷却される。第2熱交換器22において冷却された水は、プレート熱交換器30に送られて、再び、プレート熱交換器30において加熱される。
【0067】
(3)プレート熱交換器の詳細
次に、水熱交換器としてのプレート熱交換器30の詳細について、図2図7を用いて説明する。
【0068】
ここで、図2は、プレート熱交換器30の外観概略斜視図である。図3は、プレート熱交換器30を前方向から見た場合の第1流路51の配置を示す説明図である。図4は、プレート熱交換器30を前方向から見た場合の第2流路61の配置を示す説明図である。図5は、熱交換部40の要部を示す部分分解斜視図である。図6は、熱交換部40の要部を左から見た場合の第1流路51の入口近傍および出口近傍の配置を示す説明図である。図7は、熱交換部40の要部を下から見た場合の第2流路61の入口近傍の配置を示す説明図である。
【0069】
また、以下の説明では、方向や位置関係を説明するために、「上」、「下」、「左」、「右」、「前」、「後」といった表現を用いる場合があるが、これらの表現が示す方向は、特にことわりのない限り、図面中に示された矢印の方向に従うものとする。なお、本実施形態では、プレート熱交換器30の姿勢の一例を示すものであり、上下、左右、前後の各方向が変えて用いても構わない。
【0070】
プレート熱交換器30は、主として、ケーシング31と、ケーシング31の内部に配置され、水と熱交換媒体としての冷媒との熱交換を行う熱交換部40と、を有している。
【0071】
(3-1)ケーシング
ケーシング31は、熱交換部40を内部に収容する。
【0072】
本実施形態では、ケーシング31は、略直方体形状を有している。
【0073】
本実施形態のケーシング31の各面部は、例えば、金属であることが好ましく、例えば、ステンレス鋼、アルミニウム合金、銅合金等を用いることができる。なお、ケーシング31と後述の熱交換部40とは同一の素材により構成されていることが好ましい。
【0074】
ケーシング31の下面部には、水の入口となる水入口33が形成されており、後述の熱交換部40が有する水入口ヘッダ43に連通している。水入口33には、第1水管23が接続されている。
【0075】
ケーシング31の上面部には、水の出口となる水出口34が形成されており、後述の熱交換部40が有する水出口ヘッダ44に連通している。水出口34には、第2水管24が接続されている。
【0076】
ケーシング31の左側面部の上部には、冷媒の入口となる冷媒入口35が形成されており、後述の熱交換部40が有する冷媒入口ヘッダ45に連通している。冷媒入口35には、第1冷媒管15が接続されている。
【0077】
ケーシング31の左側面部の下部には、冷媒の出口となる冷媒出口36が形成されており、後述の熱交換部40が有する冷媒出口ヘッダ46に連通している。冷媒出口36には、第2冷媒管16が接続されている。
【0078】
ケーシング31の各面部は、熱交換部40の各面を覆うように配置されて、熱交換部40と接合されている。熱交換部40とケーシング31との接合は、後述の、第1水隔壁81と第2板状部材60と第2水隔壁82と第1冷媒隔壁71と第1板状部材50と第2冷媒隔壁72と繰り返して所定数積層されたものをケーシング31の各面部で覆った状態で行われる。この接合方法は、特に限定されないが、例えば、拡散接合等が挙げられる。なお、接合状態を良好にすることができる観点から、熱交換部40を構成する各板状部材と隔壁の積層方向である板厚方向に、熱交換部40とケーシング31が加圧された状態で接合させることが好ましい。なお、熱交換部40の各板部材を互いに接合させることで熱交換部40を形成させた後に更にケーシング31を熱交換部40に接合するようにしてもよい。
【0079】
プレート熱交換器30では、ヒートポンプシステム1の運転時には、水入口33から後述の熱交換部40の水入口ヘッダ43に水が流入する。水入口ヘッダ43に流入した水は、複数の第2流路61の入口部分に分岐されて、各第2流路61内を下から上に向かって流れる。水は、複数の第2流路61を流れる際に、冷媒と熱交換を行うことで加熱され、複数の第2流路61の出口部分を介して後述の熱交換部40の水出口ヘッダ44において合流する。水出口ヘッダ44で合流した水は、水出口34から流出する。
【0080】
プレート熱交換器30では、ヒートポンプシステム1の運転時には、冷媒入口35から後述の熱交換部40の冷媒入口ヘッダ45に冷媒が流入する。冷媒入口ヘッダ45に流入した冷媒は、複数の第1流路51の入口部分に分岐されて、各第1流路51内を左右に折り返しながら上から下に向かって流れる。冷媒は、複数の第1流路51を流れる際に、水と熱交換を行うことで放熱し、複数の第1流路51の出口部分を介して後述の熱交換部40の冷媒出口ヘッダ46において合流する。冷媒出口ヘッダ46で合流した冷媒は、冷媒出口36から流出する。
【0081】
(3-2)熱交換部
熱交換部40は、複数の第1板状部材50と、複数の第2板状部材60と、複数の第1冷媒隔壁71と、複数の第2冷媒隔壁72と、複数の第1水隔壁81と、複数の第2水隔壁82と、が互いに板厚方向に積層されて構成されている。熱交換部40を構成する部材は、例えば、金属であることが好ましく、例えば、ステンレス鋼、アルミニウム合金、銅合金等を用いることができる。
【0082】
なお、第1板状部材50と、第2板状部材60と、第1冷媒隔壁71と、第2冷媒隔壁72と、第1水隔壁81と、第2水隔壁82が積層される方向を積層方向とし、本実施形態では前後方向に対応する。
【0083】
熱交換部40では、1枚の第1板状部材50の前側が、1枚の第1冷媒隔壁71の後側と、互いに部分的に面接触している。1枚の第1板状部材50の後側は、1枚の第2冷媒隔壁72の前側と、互いに部分的に面接触している。1枚の第2板状部材60の前側は、1枚の第1水隔壁81の後側と、互いに部分的に面接触している。1枚の第2板状部材60の後側は、1枚の第2水隔壁82の前側と、互いに部分的に面接触している。1枚の第1冷媒隔壁71の前側は、1枚の第2水隔壁82の後側と、互いに部分的に面接触している。1枚の第2冷媒隔壁72の後側は、1枚の第1水隔壁81の前側と、互いに部分的に面接触している。このようにして、前側から後側に向けて、第1冷媒隔壁71、第1板状部材50、第2冷媒隔壁72、第1水隔壁81、第2板状部材60、第2水隔壁82、第1冷媒隔壁71、第1板状部材50・・・のように繰り返して順に並ぶように板厚方向に積層されている。
【0084】
この熱交換部40は、これらの複数の第1板状部材50と、複数の第2板状部材60と、複数の第1冷媒隔壁71と、複数の第2冷媒隔壁72と、複数の第1水隔壁81と、複数の第2水隔壁82と、が互いに板厚方向に積層された状態で、互いに接合される。ここで、接合方法は、特に限定されないが、例えば、真空ロウ付けまたは拡散接合等が挙げられる。なお、接合状態を良好にすることができる観点から、板厚方向に加圧された状態で接合させることが好ましい。
【0085】
1枚の第1板状部材50は、板厚の範囲内で冷媒を流す第1流路51を複数有している。第1流路51は、第1板状部材50を板厚方向に貫通するように設けられており、隣接する第1冷媒隔壁71と第2冷媒隔壁72とによって前後方向から挟まれることで構成された流路である。本実施形態では、1枚の第1板状部材50において、複数の第1流路51は、上下方向に配列している。複数の第1流路51が並ぶ方向を第1流路51の配列方向とする。また、各第1流路51は左右方向に延びている。このように、第1流路51は、第2板状部材60および第1板状部材50の積層方向である前後方向に沿って第1板状部材50を見た際に、複数の第1流路51が配列している配列方向に交差する方向に沿って第1板状部材50を左右方向に延びている。
【0086】
なお、本実施形態では、複数の第1流路51は、上下方向に並ぶ複数の流路群に分かれており、以下に述べるように冷媒を流すように構成されている。具体的には、冷媒入口ヘッダ45に流入した冷媒は、複数の第1流路51からなる流路群を右に向けて流れて、第1折り返しヘッダ47に向けて流れる。第1折り返しヘッダ47に到達した冷媒は、複数の第1流路51からなる1群下方の流路群を左に向けて折り返すように流れて、第2折り返しヘッダ48に向けて流れる。第2折り返しヘッダ48に到達した冷媒は、複数の第1流路51からなるさらに1群下方の流路群を右に向けて折り返すように流れて、第3折り返しヘッダ49に向けて流れる。第3折り返しヘッダ49に到達した冷媒は、複数の第1流路51からなるさらに1群下方の流路群を右に向けて折り返すように流れて、冷媒出口ヘッダ46に向けて流れる。
【0087】
1枚の第2板状部材60は、板厚の範囲内で水を流す第2流路61を複数有している。第2流路61は、第2板状部材60を板厚方向に貫通するように設けられており、隣接する第1水隔壁81と第2水隔壁82とによって前後方向から挟まれることで構成された流路である。本実施形態では、1枚の第2板状部材60において、複数の第2流路61は、左右方向に配列している。複数の第2流路61が並ぶ方向を第2流路61の配列方向とする。また、各第2流路61は上下方向に延びている。このように、第2流路61は、第2板状部材60および第1板状部材50の積層方向である前後方向に沿って第2板状部材60を見た際に、複数の第2流路61が配列している配列方向に交差する方向に沿って第2板状部材60において上下方向に延びている。なお、本実施形態では、第2流路61は、積層方向に沿って第2板状部材60を見た際に、第2流路61が延びている方向に進むにつれて第2流路61の配列方向に蛇行した形状を有している。この蛇行形状により、伝熱性能を高めることが可能になっている。
【0088】
第1流路51および第2流路61は、例えば、流路断面積が非常に小さいマイクロ流路であり、相当直径で例えば1.5mm以下の流路によって構成される。プレート熱交換器30は、マイクロ流路熱交換器と称される場合がある。
【0089】
また、本実施形態のプレート熱交換器30では、第1流路51を流れる冷媒と、第2流路61を流れる水と、が互いに対向流となるように構成されている。また、本実施形態のプレート熱交換器30では、第1流路51を流れる冷媒と、第2流路61を流れる水と、が互いに直交して流れるように構成されている。当該流れの関係により、伝熱効率を高めることが可能となっている。
【0090】
(4)各板状部材と隔壁の詳細
以下、熱交換部40を構成する、第1冷媒隔壁71と、第1板状部材50と、第2冷媒隔壁72と、第1水隔壁81と、第2板状部材60と、第2水隔壁82と、を1枚ずつ順に説明する。
【0091】
(4-1)第1冷媒隔壁
図8は、第1冷媒隔壁71を前から見た概略構成図である。
【0092】
第1冷媒隔壁71は、平坦部71aと、水入口連通口71bと、水出口連通口71cと、冷媒入口連通口71dと、冷媒出口連通口71eと、を有している板状部材である。
【0093】
平坦部71aは、正面視において略矩形となるように構成されている。平坦部71aは、前側の面も後側の面もいずれも平坦な面で構成されている。水入口連通口71bは、第1冷媒隔壁71の下端部近傍において左右方向に全体的に広がって形成された開口であり、板厚方向に貫通している。水出口連通口71cは、第1冷媒隔壁71の上端部近傍において左右方向に全体的に広がって形成された開口であり、板厚方向に貫通している。冷媒入口連通口71dは、第1冷媒隔壁71の左上近傍において上下方向に部分的に広がって形成された開口であり、板厚方向に貫通している。冷媒出口連通口71eは、第1冷媒隔壁71の左下近傍において上下方向に部分的に広がって形成された開口であり、板厚方向に貫通している。
【0094】
(4-2)第1板状部材
図9は、第1板状部材50を前から見た概略構成図である。
【0095】
第1板状部材50は、複数の第1流路51と、平坦部52と、水入口連通口53と、水出口連通口54と、冷媒入口連通口55と、冷媒出口連通口56と、第1折り返し連通口57と、第2折り返し連通口58と、第3折り返し連通口59と、を有している板状部材である。
【0096】
平坦部52は、正面視において略矩形となるように構成されている。平坦部52は、前側の面も後側の面もいずれも平坦な面で構成されている。水入口連通口53は、第1板状部材50の下端部近傍において左右方向に全体的に広がって形成された開口であり、板厚方向に貫通している。水出口連通口54は、第1板状部材50の上端部近傍において左右方向に全体的に広がって形成された開口であり、板厚方向に貫通している。冷媒入口連通口55は、第1板状部材50の左上近傍において上下方向に部分的に広がって形成された開口であり、板厚方向に貫通している。冷媒出口連通口56は、第1板状部材50の左下近傍において上下方向に部分的に広がって形成された開口であり、板厚方向に貫通している。
【0097】
第1折り返し連通口57は、第1板状部材50の右上近傍において上下方向に部分的に広がって形成された開口であり、板厚方向に貫通している。第1折り返し連通口57の上半分は、冷媒入口連通口55に対応する位置で上下に広がっている。第3折り返し連通口59は、第1板状部材50の右下近傍において上下方向に部分的に広がって形成された開口であり、板厚方向に貫通している。第3折り返し連通口59の下半分は、冷媒出口連通口56に対応する位置で上下に広がっている。第2折り返し連通口58は、第1板状部材50の左側中央近傍において上下方向に部分的に広がって形成された開口であり、板厚方向に貫通している。第2折り返し連通口58の上半分は、第1折り返し連通口57の下半分に対応する位置で上下に広がっている。第2折り返し連通口58の下半分は、第3折り返し連通口59の上半分に対応する位置で上下に広がっている。
【0098】
複数の第1流路51は、左右方向に延びた第1流路51が複数上下方向に並ぶように設けられている。複数の第1流路51は、複数の流路群に分かれて構成されている。複数の第1流路51の第1流路群は、冷媒入口連通口55と第1折り返し連通口57を接続するように延びている。複数の第1流路51の第2流路群は、第1折り返し連通口57と第2折り返し連通口58を接続するように延びている。複数の第1流路51の第3流路群は、第2折り返し連通口58と第3折り返し連通口59とを接続するように延びている。複数の第1流路51の第4流路群は、第3折り返し連通口59と冷媒出口連通口56とを接続するように延びている。
【0099】
(4-3)第2冷媒隔壁
図10は、第2冷媒隔壁72を前から見た概略構成図である。
【0100】
第2冷媒隔壁72は、平坦部72aと、水入口連通口72bと、水出口連通口72cと、冷媒入口連通口72dと、冷媒出口連通口72eと、を有している板状部材である。
【0101】
平坦部72aは、正面視において略矩形となるように構成されている。平坦部72aは、前側の面も後側の面もいずれも平坦な面で構成されている。水入口連通口72bは、第2冷媒隔壁72の下端部近傍において左右方向に全体的に広がって形成された開口であり、板厚方向に貫通している。水出口連通口72cは、第2冷媒隔壁72の上端部近傍において左右方向に全体的に広がって形成された開口であり、板厚方向に貫通している。冷媒入口連通口72dは、第2冷媒隔壁72の左上近傍において上下方向に部分的に広がって形成された開口であり、板厚方向に貫通している。冷媒出口連通口72eは、第2冷媒隔壁72の左下近傍において上下方向に部分的に広がって形成された開口であり、板厚方向に貫通している。
【0102】
(4-4)第1水隔壁
図11は、第1水隔壁81を前から見た概略構成図である。
【0103】
第1水隔壁81は、平坦部81aと、粗面部81xと、水入口連通口81bと、水出口連通口81cと、冷媒入口連通口81dと、冷媒出口連通口81eと、を有している板状部材である。
【0104】
第1水隔壁81は、正面視において略矩形となるように構成されている。
【0105】
平坦部81aでは、後側の面が平坦な面で構成されている。また、平坦部81aでは、前側については、粗面部81x以外の部分が平坦な面で構成されている。
【0106】
粗面部81xは、第1水隔壁81の板厚方向に凹凸した形状を有している。粗面部81xは、第1水隔壁81の前側の面において、上下方向における水入口連通口81bと水出口連通口81cとの間であって、冷媒入口連通口81dおよび冷媒出口連通口81eの右側から右側端部に至るまで広がっている。
【0107】
水入口連通口81bは、第1水隔壁81の下端部近傍において左右方向に全体的に広がって形成された開口であり、板厚方向に貫通している。水出口連通口81cは、第1水隔壁81の上端部近傍において左右方向に全体的に広がって形成された開口であり、板厚方向に貫通している。冷媒入口連通口81dは、第1水隔壁81の左上近傍において上下方向に部分的に広がって形成された開口であり、板厚方向に貫通している。冷媒出口連通口81eは、第1水隔壁81の左下近傍において上下方向に部分的に広がって形成された開口であり、板厚方向に貫通している。
【0108】
粗面部81xは、平坦部81aの前側の平坦な面に対して、後側に部分的に窪むように削られた形状を有している。粗面部81xには、平坦部81aの前側の平坦な面と前後方向の位置が同じになるように吐出した部分である凸部81yが複数設けられている。なお、複数の凸部81yは、前後方向に沿って見た場合に、粗面部81xにおいて分散して設けられている。そして、複数の凸部81yの先端は、第2冷媒隔壁72の平坦部72aの後側の面に接している。なお、第1水隔壁81と第2冷媒隔壁72の積層方向に沿って見た場合に、粗面部81x全体の面積に対する、複数の凸部81yの先端が第2冷媒隔壁72の平坦部72aの後側の面に接触している箇所の合計の面積は、特に限定されないが、例えば、熱伝達を良好にする観点からは、5%以上であってよく、10%以上であることが好ましく、25%以上であることが好ましい。
【0109】
なお、第2冷媒隔壁72の平坦部72aの後側の面は、平坦面となっている。このため、第1水隔壁81と第2冷媒隔壁72の積層方向視において、単位面積当たりの表面積は、粗面部81xの方が、第2冷媒隔壁72の平坦部72aの後側の面よりも広い。
【0110】
(4-5)第2板状部材
図12は、第2板状部材60を前から見た概略構成図である。
【0111】
第2板状部材60は、複数の第2流路61と、平坦部62と、水入口連通口63と、水出口連通口64と、冷媒入口連通口65と、冷媒出口連通口66と、を有している板状部材である。
【0112】
平坦部62は、正面視において略矩形となるように構成されている。平坦部62は、前側の面も後側の面もいずれも平坦な面で構成されている。水入口連通口63は、第2板状部材60の下端部近傍において左右方向に全体的に広がって形成された開口であり、板厚方向に貫通している。水出口連通口64は、第2板状部材60の上端部近傍において左右方向に全体的に広がって形成された開口であり、板厚方向に貫通している。冷媒入口連通口65は、第2板状部材60の左上近傍において上下方向に部分的に広がって形成された開口であり、板厚方向に貫通している。冷媒出口連通口66は、第2板状部材60の左下近傍において上下方向に部分的に広がって形成された開口であり、板厚方向に貫通している。
【0113】
複数の第2流路61は、略上下方向に延びた第2流路61が複数左右方向に並ぶように設けられている。複数の第2流路61は、水入口連通口63と水出口連通口64とを接続するように延びている。ここで、本実施形態では、第2流路61は、伝熱性能を高めるために、左右に蛇行しながら上下方向に延びている。
【0114】
(4-6)第2水隔壁
図13は、第2水隔壁82を前から見た概略構成図である。
【0115】
第2水隔壁82は、平坦部82aと、粗面部82xと、水入口連通口82bと、水出口連通口82cと、冷媒入口連通口82dと、冷媒出口連通口82eと、を有している板状部材である。
【0116】
第2水隔壁82は、正面視において略矩形となるように構成されている。
【0117】
平坦部82aでは、前側の面が平坦な面で構成されている。また、平坦部82aでは、後側については、粗面部82x以外の部分が平坦な面で構成されている。
【0118】
粗面部82xは、第2水隔壁82の板厚方向に凹凸した形状を有している。粗面部82xは、第2水隔壁82の後側の面において、上下方向における水入口連通口82bと水出口連通口82cとの間であって、冷媒入口連通口82dおよび冷媒出口連通口82eの右側から右側端部に至るまで広がっている。
【0119】
水入口連通口82bは、第2水隔壁82の下端部近傍において左右方向に全体的に広がって形成された開口であり、板厚方向に貫通している。水出口連通口82cは、第2水隔壁82の上端部近傍において左右方向に全体的に広がって形成された開口であり、板厚方向に貫通している。冷媒入口連通口82dは、第2水隔壁82の左上近傍において上下方向に部分的に広がって形成された開口であり、板厚方向に貫通している。冷媒出口連通口82eは、第2水隔壁82の左下近傍において上下方向に部分的に広がって形成された開口であり、板厚方向に貫通している。
【0120】
粗面部82xは、平坦部82aの後側の平坦な面に対して、前側に部分的に窪むように削られた形状を有している。粗面部82xには、平坦部82aの後側の平坦な面と前後方向の位置が同じになるように吐出した部分である凸部82yが複数設けられている。なお、複数の凸部82yは、前後方向に沿って見た場合に、粗面部82xにおいて分散して設けられている。そして、当該凸部82yの先端は、第1冷媒隔壁71の平坦部71aの前側の面に接している。なお、第2水隔壁82と第1冷媒隔壁71の積層方向に沿って見た場合に、粗面部82x全体の面積に対する、複数の凸部82yの先端が第1冷媒隔壁71の平坦部71aの前側の面に接触している箇所の合計の面積は、特に限定されないが、例えば、熱伝達を良好にする観点からは、5%以上であってよく、10%以上であることが好ましく、25%以上であることが好ましい。
【0121】
なお、第1冷媒隔壁71の平坦部71aの前側の面は、平坦面となっている。このため、第2水隔壁82と第1冷媒隔壁71の積層方向視において、単位面積当たりの表面積は、粗面部82xの方が、第1冷媒隔壁71の平坦部71aの後側の面よりも広い。
【0122】
(4-7)各貫通部分が形成するヘッダについて
上述のように、第1冷媒隔壁71と、第1板状部材50と、第2冷媒隔壁72と、第1水隔壁81と、第2板状部材60と、第2水隔壁82と、が板厚方向に並んで積層された状態では、熱交換部40の内部に位置する空間である、水入口ヘッダ43と、水出口ヘッダ44と、冷媒入口ヘッダ45と、冷媒出口ヘッダ46と、が形成される。
【0123】
水入口ヘッダ43は、第1冷媒隔壁71の水入口連通口71bと、第1板状部材50の水入口連通口53と、第2冷媒隔壁72の水入口連通口72bと、第1水隔壁81の水入口連通口81bと、第2板状部材60の水入口連通口63と、第2水隔壁82の水入口連通口82bと、が前後方向に重なり合うことで形成される内部空間である。
【0124】
水出口ヘッダ44は、第1冷媒隔壁71の水出口連通口71cと、第1板状部材50の水出口連通口54と、第2冷媒隔壁72の水出口連通口72cと、第1水隔壁81の水出口連通口81cと、第2板状部材60の水出口連通口64と、第2水隔壁82の水出口連通口82cと、が前後方向に重なり合うことで形成される内部空間である。
【0125】
冷媒入口ヘッダ45は、第1冷媒隔壁71の冷媒入口連通口71dと、第1板状部材50の冷媒入口連通口55と、第2冷媒隔壁72の冷媒入口連通口72dと、第1水隔壁81の冷媒入口連通口81dと、第2板状部材60の冷媒入口連通口65と、第2水隔壁82の冷媒入口連通口82dと、が前後方向に重なり合うことで形成される内部空間である。
【0126】
冷媒出口ヘッダ46は、第1冷媒隔壁71の冷媒出口連通口71eと、第1板状部材50の冷媒出口連通口56と、第2冷媒隔壁72の冷媒出口連通口72eと、第1水隔壁81の冷媒出口連通口81eと、第2板状部材60の冷媒出口連通口66と、第2水隔壁82の冷媒出口連通口82eと、が前後方向に重なり合うことで形成される内部空間である。
【0127】
なお、第1板状部材50が有する第1折り返し連通口57と、第2折り返し連通口58と、第3折り返し連通口59とは、隣接する第1冷媒隔壁71の平坦部71aと第2冷媒隔壁72の平坦部72aによって区切られる。
【0128】
また、水入口ヘッダ43を構成するための複数の開口の周囲である、第1冷媒隔壁71の水入口連通口71bの周囲と、第1板状部材50の水入口連通口53の周囲と、第2冷媒隔壁72の水入口連通口72bの周囲と、第1水隔壁81の水入口連通口81bの周囲と、第2板状部材60の水入口連通口63の周囲と、第2水隔壁82の水入口連通口82bの周囲と、には互いに積層方向に面接触する平坦な面の領域が設けられている。このため、水入口ヘッダ43を構成する各部材間の接合強度を良好にすることができている。
【0129】
また、水出口ヘッダ44を構成するための複数の開口の周囲である、第1冷媒隔壁71の水出口連通口71cの周囲と、第1板状部材50の水出口連通口54の周囲と、第2冷媒隔壁72の水出口連通口72cの周囲と、第1水隔壁81の水出口連通口81cの周囲と、第2板状部材60の水出口連通口64の周囲と、第2水隔壁82の水出口連通口82cの周囲と、には互いに積層方向に面接触する平坦な面の領域が設けられている。このため、水出口ヘッダ44を構成する各部材間の接合強度を良好にすることができている。
【0130】
また、冷媒入口ヘッダ45を構成するための複数の開口の周囲である、第1冷媒隔壁71の冷媒入口連通口71dの周囲と、第1板状部材50の冷媒入口連通口55の周囲と、第2冷媒隔壁72の冷媒入口連通口72dの周囲と、第1水隔壁81の冷媒入口連通口81dの周囲と、第2板状部材60の冷媒入口連通口65の周囲と、第2水隔壁82の冷媒入口連通口82dの周囲と、には互いに積層方向に面接触する平坦な面の領域が設けられている。このため、冷媒入口ヘッダ45を構成する各部材間の接合強度を良好にすることができている。
【0131】
また、冷媒出口ヘッダ46を構成するための複数の開口の周囲である、第1冷媒隔壁71の冷媒出口連通口71eの周囲と、第1板状部材50の冷媒出口連通口56の周囲と、第2冷媒隔壁72の冷媒出口連通口72eの周囲と、第1水隔壁81の冷媒出口連通口81eの周囲と、第2板状部材60の冷媒出口連通口66の周囲と、第2水隔壁82の冷媒出口連通口82eの周囲と、には互いに積層方向に面接触する平坦な面の領域が設けられている。このため、冷媒入口ヘッダ45を構成する各部材間の接合強度を良好にすることができている。
【0132】
(5)水隔壁と冷媒隔壁の間の隙間
上述のように、第1水隔壁81には、粗面部81xが設けられていることで、平坦部81aの前側の平坦な面よりも後側に窪んだ部分が存在している。このため、第1水隔壁81の粗面部81xのうち後側に窪んだ部分と、第2冷媒隔壁72の平坦部72aの後側の平坦な面と、の間には、厚み方向が前後方向となる第1隙間G1が生じている。この第1隙間G1は、上下左右方向に広がっている。
【0133】
また、第2水隔壁82には、粗面部82xが設けられていることで、平坦部82aの後側の平坦な面よりも前側に窪んだ部分が存在している。このため、第2水隔壁82の粗面部82xのうち前側に窪んだ部分と、第1冷媒隔壁71の平坦部71aの前側の平坦な面と、の間には、厚み方向が前後方向となる第2隙間G2が生じている。この第2隙間G2は、上下左右方向に広がっている。
【0134】
(6)実施形態の特徴
本実施形態のプレート熱交換器30では、冷媒が流れる第1板状部材50の第1流路51と、水が流れる第2板状部材60の第2流路61との間には、第1冷媒隔壁71と第2水隔壁82が設けられているか、第2冷媒隔壁72と第1水隔壁81が設けられている。このため、冷媒が流れる第1流路51と水が流れる第2流路61とは、2枚の隔壁により隔てられている。したがって、当該2枚の隔壁のうちのいずれか1枚が損傷したとしても、冷媒と水が混合することが抑制される。例えば、第1冷媒隔壁71と第2水隔壁82のうちの第2水隔壁82に損傷が生じた場合には、第2流路61を流れる水の一部が、第2水隔壁82の損傷部分を介して第1冷媒隔壁71と第2水隔壁82の間の第2隙間G2に流入することになるが、その場合であっても、冷媒と水の混合は抑制される。また、第2冷媒隔壁72と第1水隔壁81のうちの第1水隔壁81に損傷が生じた場合には、第2流路61を流れる水の一部が、第1水隔壁81の損傷部分を介して第2冷媒隔壁72と第1水隔壁81の間の第1隙間G1に流入することになるが、その場合であっても、冷媒と水の混合は抑制される。なお、ここでの第1水隔壁81や第2水隔壁82を損傷させる原因は、特に限定されないが、例えば、熱膨張や熱収縮による変形、経年劣化、第2流路61を流れる水が凍結することによる第2流路61の膨張等が考えられる。なお、第1冷媒隔壁71や第2冷媒隔壁72に損傷が生じた場合であっても、冷媒と水が混合することが抑制される。
【0135】
本実施形態のプレート熱交換器30では、第1冷媒隔壁71と第2水隔壁82の間に第2隙間G2が設けられており、第2冷媒隔壁72と第1水隔壁81の間に第1隙間G1が設けられている。このため、第1冷媒隔壁71と第2水隔壁82と第2冷媒隔壁72と第1水隔壁81のいずれかに破損が生じたとしても、第1流路51を流れる冷媒または第2流路61を流れる水を、第1隙間G1または第2隙間G2に導くことが可能になる。
【0136】
ここで、本実施形態のプレート熱交換器30では、漏れ出る水や冷媒を導くための、第1冷媒隔壁71と第2水隔壁82の第2隙間G2や、第2冷媒隔壁72と第1水隔壁81の間の第1隙間G1が設けられているが、第1水隔壁81には粗面部81xが設けられており、第2水隔壁82には粗面部82xが設けられている。この第1水隔壁81の粗面部81xは、粗面部81xの全体が第2冷媒隔壁72から離れる形状を有しているのではなく、粗面部81xには第2冷媒隔壁72と接するように第2冷媒隔壁72側に向けて突出した凸部81yが複数分散して設けられている。同様に、第2水隔壁82の粗面部82xは、粗面部82xの全体が第1冷媒隔壁71から離れる形状を有しているのではなく、粗面部82xには第1冷媒隔壁71と接するように第1冷媒隔壁71側に向けて突出した凸部82yが複数分散して設けられている。このため、プレート熱交換器30の製造時に、板状部材や隔壁を積層方向に加圧して高温下でプレスすることで拡散接合等の手法により接合させる場合であっても、第1隙間G1や第2隙間G2が潰れにくい。また、第1隙間G1や第2隙間G2が潰れることが抑制される形状を有しているため、板状部材や隔壁を積層方向に加圧して接合させる際の圧力を高めることができ、接合箇所における接合状体を良好にすることが可能になる。なお、板状部材や隔壁の接合方法としては、融解したロウ材が第1隙間G1や第2隙間G2を埋めてしまうことを避ける観点から、ロウ付けによる接合方法以外の接合方法を用いることが好ましい。粗面部81xや粗面部82xを設けることにより、第1隙間G1や第2隙間G2が確保されやすいため、板状部材や隔壁を積層方向に加圧して高温下でプレスすることで拡散接合したとしても、第1隙間G1が潰れることで第2冷媒隔壁72と第1水隔壁81が1つの板部材になってしまうことや、第2隙間G2が潰れることで第1冷媒隔壁71と第2水隔壁82が1つの板部材となってしまうことが抑制される。これにより、冷媒と水との間に2枚の隔壁が介在する状態を確保でき、冷媒と水を混合させないという点で熱交換器の信頼性が向上している。さらに、粗面部81xを設けることにより、第2冷媒隔壁72と第1水隔壁81との間に第1隙間G1を確保しつつ、粗面部81xの複数の凸部81yの先端が第2冷媒隔壁72と接触しているため、第2冷媒隔壁72と第1水隔壁81との熱伝達を良好にすることができる。また、粗面部82xを設けることにより、第1冷媒隔壁71と第2水隔壁82が1つの板部材の間に第2隙間G2を確保しつつ、粗面部82xの複数の凸部82yの先端が第1冷媒隔壁71と接触しているため、第1冷媒隔壁71と第2水隔壁82との熱伝達を良好にすることができる。
【0137】
本実施形態のプレート熱交換器30では、第1水隔壁81が粗面部81xを有し、第2水隔壁82が粗面部82xを有しており、第1冷媒隔壁71と第2冷媒隔壁72には対応するような粗面部が設けられていない。具体的には、第1冷媒隔壁71の領域のうち、第2水隔壁82の粗面部82xと対向する領域には、粗面部が設けられておらず、平坦な面となっている。また、第2冷媒隔壁72の領域のうち、第1水隔壁81の粗面部81xと対向する領域には、粗面部が設けられておらず、平坦な面となっている。このため、プレート熱交換器30に何らかの負荷がかかった場合には、第1冷媒隔壁71と第2冷媒隔壁72と第1水隔壁81と第2水隔壁82のうち、第1冷媒隔壁71および第2冷媒隔壁72に優先して、第1水隔壁81または第2水隔壁82に損傷が生じることになる。そして、第1冷媒隔壁71および第2冷媒隔壁72は、損傷が生じにくい。このため、第1回路10を流れる冷媒として燃焼性を有する冷媒を用いている場合には、当該燃焼性を有する冷媒の漏洩が抑制される。
【0138】
(7)他の実施形態
(7-1)他の実施形態A
上記実施形態のヒートポンプシステム1では、第1水隔壁81に粗面部81xが設けられ、第2水隔壁82に粗面部82xが設けられ、第1冷媒隔壁71と第2冷媒隔壁72とは粗面部が設けられずに平坦な形状である熱交換部40を例に挙げて説明した。
【0139】
これに対して、例えば、図15に示すように、上記実施形態の第1水隔壁81の代わりに第1水隔壁181が、第2水隔壁82の代わりに第2水隔壁182が、第1冷媒隔壁71の代わりに第1冷媒隔壁171が、第2冷媒隔壁72の代わりに第2冷媒隔壁172がそれぞれ設けられた熱交換部40であってもよい。
【0140】
第1水隔壁181は、上記実施形態の第1水隔壁81と同様の開口が設けられているが、上記実施形態のような粗面部81xが設けられておらず、平坦部181aとして板厚方向の両側が平坦な面を有している。
【0141】
第2水隔壁182は、上記実施形態の第2水隔壁82と同様の開口が設けられているが、上記実施形態のような粗面部82xが設けられておらず、平坦部182aとして板厚方向の両側が平坦な面を有している。
【0142】
第1冷媒隔壁171は、平坦部171aと、粗面部171xと、上記実施形態と同様の水入口連通口71bと、水出口連通口71cと、冷媒入口連通口71dと、冷媒出口連通口71eと、を有している。平坦部171aでは、後側の面が平坦な面で構成されている。また、平坦部171aでは、前側については、粗面部171x以外の部分が平坦な面で構成されている。粗面部171xは、第1冷媒隔壁171の前側である第2水隔壁182側の面において、上下方向における水入口連通口71bと水出口連通口71cとの間であって、冷媒入口連通口71dおよび冷媒出口連通口71eの右側から右側端部に至るまで広がっている粗面部171xを有している。なお、第1冷媒隔壁171の平坦部171aは、前側の面のうち、粗面部171x以外の部分は平坦な面で構成されている。粗面部171xは、平坦部171aの前側の平坦な面に対して、後側に部分的に窪むように削られた形状を有している。粗面部171xには、平坦部171aの前側の平坦な面と前後方向の位置が同じになるように吐出した部分である凸部171yが複数設けられている。なお、複数の凸部171yは、前後方向に沿って見た場合に、粗面部171xにおいて分散して設けられている。そして、複数の凸部171yの先端は、第2水隔壁182の平坦部182aの後側の面に接している。
【0143】
第2冷媒隔壁172は、平坦部172aと、粗面部172xと、上記実施形態と同様の水入口連通口72bと、水出口連通口72cと、冷媒入口連通口72dと、冷媒出口連通口72eと、を有している。平坦部172aでは、前側の面が平坦な面で構成されている。また、平坦部172aでは、後側については、粗面部172x以外の部分が平坦な面で構成されている。粗面部172xは、第2冷媒隔壁172の後側である第1水隔壁181側の面において、上下方向における水入口連通口72bと水出口連通口72cとの間であって、冷媒入口連通口72dおよび冷媒出口連通口72eの右側から右側端部に至るまで広がっている粗面部172xを有している。なお、第2冷媒隔壁172の平坦部172aは、後側の面のうち、粗面部172x以外の部分は平坦な面で構成されている。粗面部172xは、平坦部172aの前側の平坦な面に対して、前側に部分的に窪むように削られた形状を有している。粗面部172xには、平坦部172aの後側の平坦な面と前後方向の位置が同じになるように吐出した部分である凸部172yが複数設けられている。なお、複数の凸部172yは、前後方向に沿って見た場合に、粗面部172xにおいて分散して設けられている。そして、複数の凸部172yの先端は、第1水隔壁181の平坦部181aの後側の面に接している。
【0144】
なお、冷媒側の隔壁と水側の隔壁のうち、粗面部を有する隔壁の方が損傷が生じやすい観点から、粗面部を設けるのであれば、冷媒側以外の隔壁である水側の隔壁に設けることが好ましい。
【0145】
(7-2)他の実施形態B
上記実施形態では、第1水隔壁81が、第1水隔壁81の平坦部81aの前側の平坦面に対して後側に部分的に窪んで形成された粗面部81xを有する場合を例に挙げて説明した。
【0146】
これに対して、例えば、上記実施形態の第1水隔壁81の代わりに、図16に示すように、凹部平坦面181zと複数の凸部181yを含む凹凸部181xを有する第1水隔壁181を用いてもよい。凹部平坦面181zは、第1水隔壁181の平坦部81aの前側の平坦面と後側の平坦面との間において上下左右に広がっている。凸部181yは、凹部平坦面181zから前側に吐出するように設けられている。凸部181yは、前側に向かうにつれて先細りした形状となっており、先端が第2冷媒隔壁72の平坦部72aの後側の面に接触している。以上の構成によっても、上記実施形態と同様の効果が得られる。
【0147】
なお、第1水隔壁181は、図17に示すように、凸部181yの突出方向とは反対側の裏面側が、各凸部181yに対応するように窪んだ凹部181qで構成されていてもよい。また、第1水隔壁181は、図18に示すように、凸部181yの突出方向とは反対側の裏面側が平坦な面181pによって構成されていてもよい。
【0148】
(7-3)他の実施形態C
上記実施形態のプレート熱交換器30では、第2冷媒隔壁72と第1水隔壁81の間に空気が存在する空間である第1隙間G1が設けられ、第1冷媒隔壁71と第2水隔壁82の間に空気が存在する空間である第2隙間G2が設けられている場合を例に挙げて説明した。
【0149】
これに対して、例えば、図19に示すように、第1隙間G1および第2隙間G2には、空気よりも熱伝導性の高い液体Lが充填されていてもよい。
【0150】
ここで、液体Lとしては、例えば、シリコーンオイル、フルオロエーテルオイル、鉱物油、動植物性天然油、パラフィン、合成油等を用いることができる。
【0151】
このように、第1隙間G1および第2隙間G2において熱伝導性の高い液体Lが充填されることで、第2冷媒隔壁72と第1水隔壁81の熱伝達が良好になり、第1冷媒隔壁71と第2水隔壁82の熱伝達が良好になるため、第1流路51を流れる冷媒と第2流路61を流れる水との熱交換効率を良好にすることができる。
【0152】
なお、第1隙間G1および第2隙間G2に熱伝導性の高い液体Lを充填させた場合においても、第2冷媒隔壁72と第1水隔壁81の接合部分の端部、および、第1冷媒隔壁71と第2水隔壁82の接合部分の端部は、ケーシング31によって覆われているため、当該液体Lの漏洩が抑制される。なお、上記実施形態では、第2冷媒隔壁72と第1水隔壁81の接合部分の端部および第1冷媒隔壁71と第2水隔壁82の接合部分の端部を、金属であるケーシング31によって覆っているが、これに代えて、第2冷媒隔壁72と第1水隔壁81の接合部分の端部および第1冷媒隔壁71と第2水隔壁82の接合部分の端部を、樹脂塗料を塗布して得られる塗膜等のシール材によって覆うようにしてもよい。なお、上記実施形態のプレート熱交換器30においては、第1水隔壁81の粗面部81xと第2水隔壁82の粗面部82xが熱交換部40の右側面にまで広がっている。このため、シール材、ケーシング31、または、シール材とケーシング31の両方によって、熱交換部40の右側面を覆うようにすることが好ましい。
【0153】
(7-4)他の実施形態D
上記実施形態の第2回路20では、循環する流体として水が用いられる場合を例に挙げて説明した。
【0154】
これに対して、第2回路20を流れる流体は、水に限られるものではなく、例えば、不凍液やブライン等の熱媒体であってもよい。
【0155】
(7-5)他の実施形態E
上記実施形態のプレート熱交換器30では、複数の第1流路51は、第1板状部材50が有する複数の貫通口として形成させる場合を例に挙げて説明した。また、複数の第2流路61は、第2板状部材60が有する複数の貫通口として形成させる場合を例に挙げて説明した。
【0156】
これに対して、第1流路51または第2流路61は、これに限られるものではない。例えば、上記実施形態において複数の第1流路51が設けられている部分全体を貫通させつつ、当該貫通箇所に複数の流路を構成するための波形フィンを設けるようにしてもよい。この波形フィンは、第1流路51の長手方向に沿うように延びた複数の山折り部と複数の谷折部とを有し、第1流路51の長手方向と交差する方向に山折り部と谷折部が交互に設けられた形状を有している。第2流路61についても同様であり、上記実施形態において複数の第2流路61が設けられている部分全体を貫通させつつ、当該貫通箇所に複数の流路を構成するための波形フィンを設けるようにしてもよい。この波形フィンは、第2流路61の長手方向に沿うように延びた複数の山折り部と複数の谷折部とを有し、第2流路61の長手方向と交差する方向に山折り部と谷折部が交互に設けられた形状を有している。
【0157】
以上の構造によっても、上記実施形態と同様に冷媒と水を流すことができる。
【0158】
(7-6)他の実施形態F
上記実施形態のヒートポンプシステム1では、第1水隔壁81に粗面部81xが設けられ、第2水隔壁82に粗面部82xが設けられ、第1冷媒隔壁71と第2冷媒隔壁72とは粗面部が設けられずに平坦な形状である熱交換部40を例に挙げて説明した。
【0159】
これに対して、例えば、図20に示すような熱交換部40aを有するプレート熱交換器30であってもよい。なお、熱交換部40aの向きは特に限定されるものではない。
【0160】
熱交換部40aは、複数の板状部材が積層方向に積層されて構成されている。熱交換部40aは、図20に示すように、積層方向における第1側から第2側に向けて、第1板状部材250、第1冷媒水隔壁270、第2板状部材260、第2冷媒水隔壁280、第1板状部材250、第1冷媒水隔壁270、第2板状部材260、第2冷媒水隔壁280・・・のように繰り返して順に並ぶように板厚方向に積層されている。
【0161】
第1板状部材250は、複数の第1流路251と、複数の第1流路仕切り252と、第1壁部257と、第1平面258と、を有している。第1板状部材250は、積層方向を板厚方向とする板状部材である。第1平面258は、第1板状部材250の第2側において、積層方向を法線方向とするように広がった平面である。複数の第1流路251は、第1板状部材250の第1側において、積層方向と交差する方向に延びるようにして、互いに並列に並ぶように設けられている。第1流路仕切り252は、互いに隣り合う2つの第1流路251の間において第1流路251を仕切るように設けられている。複数の第1流路251は、例えば、第1板状部材250の第1側の面を部分的にエッチングすることにより設けられ、非エッチング部分が第1流路仕切り252となる。複数の第1流路251は、第1板状部材250の第1側の面から第2側に向けて板厚方向に窪んだ形状を有している。複数の第1流路251は、第1板状部材250の第2側の面である第1平面258には到達しておらず、第1板状部材250の板厚方向に貫通していない流路である。第1板状部材250の第1流路251は、第1側が解放されている。第1板状部材250の第1側の第1流路仕切り252に面接触するように別の部材が設けられることで、第1流路251の第1側が閉じられ、流路が完成する。具体的には、ここでは、第1板状部材250の第1流路仕切り252には、第2冷媒水隔壁280の隔壁平面282が面接触する。第1壁部257は、第1板状部材250の板厚方向において、複数の第1流路251の第2側端部と第1平面258との間において、積層方向が厚み方向となるように広がった板状部分である。第1壁部257は、第1流路251を流れる冷媒等の流体が、後述の第2流路261に到達してしまうことを防ぐ1枚の壁として機能する。
【0162】
第1冷媒水隔壁270は、第1側に設けられた粗面部271と、第2側に設けられた隔壁平面272と、を有している。第1冷媒水隔壁270は、積層方向を板厚方向とする板状部材である。粗面部271は、第1冷媒水隔壁270の第1側に設けられており、第1冷媒水隔壁270の板厚方向に突出した部分である凸部271yが複数設けられている。複数の凸部271yの第1側の先端は、第1板状部材250の第1平面258に接するように設けられている。これにより、第1冷媒水隔壁270と第1板状部材250との間には隙間が生じている。隔壁平面272は、第1冷媒水隔壁270の第2側において、積層方向を法線方向とするように広がった平面である。
【0163】
第2板状部材260は、複数の第2流路261と、複数の第2流路仕切り262と、第2壁部267と、第2平面268と、を有している。第2板状部材260は、積層方向を板厚方向とする板状部材である。第2平面268は、第2板状部材260の第2側において、積層方向を法線方向とするように広がった平面である。複数の第2流路261は、第2板状部材260の第1側において、積層方向と交差する方向に延びるようにして、互いに並列に並ぶように設けられている。なお、第2流路261が延びる方向と第1流路251が延びる方向とは、積層方向視において交差していることが好ましい。第2流路仕切り262は、互いに隣り合う2つの第2流路261の間において第2流路261を仕切るように設けられている。複数の第2流路261は、例えば、第2板状部材260の第1側の面を部分的にエッチングすることにより設けられ、非エッチング部分が第2流路仕切り262となる。複数の第2流路261は、第2板状部材260の第1側の面から第2側に向けて板厚方向に窪んだ形状を有している。複数の第2流路261は、第2板状部材260の第2側の面である第2平面268には到達しておらず、第2板状部材260の板厚方向に貫通していない流路である。第2板状部材260の第2流路261は、第1側が解放されている。第2板状部材260の第1側の第2流路仕切り262に面接触するように別の部材が設けられることで、第2流路261の第1側が閉じられ、流路が完成する。具体的には、ここでは、第2板状部材260の第2流路仕切り262には、第1冷媒水隔壁270の隔壁平面272が面接触する。第2壁部267は、第2板状部材260の板厚方向において、複数の第2流路261の第2側端部と第2平面268との間において、積層方向が厚み方向となるように広がった板状部分である。第2壁部267は、第2流路261を流れる水等の流体が、第1流路251に到達してしまうことを防ぐ1枚の壁として機能する。
【0164】
第2冷媒水隔壁280は、第1側に設けられた粗面部281と、第2側に設けられた隔壁平面282と、を有している。第2冷媒水隔壁280は、積層方向を板厚方向とする板状部材である。粗面部281は、第2冷媒水隔壁280の第1側に設けられており、第2冷媒水隔壁280の板厚方向に突出した部分である凸部281yが複数設けられている。複数の凸部281yの第1側の先端は、第2板状部材260の第2平面268に接するように設けられている。これにより、第2冷媒水隔壁280と第2板状部材260との間には隙間が生じている。隔壁平面282は、第2冷媒水隔壁280の第2側において、積層方向を法線方向とするように広がった平面である。
【0165】
以上の熱交換部40aにおいても、冷媒等の第1流体が流れる第1流路251と、水等の第2流体が流れる第2流路261と、は、第1板状部材250の第1壁部257と第1冷媒水隔壁270との2つにより仕切られているため、ダブルウォール構造を構成することができている。このため、これら2つのうちのいずれか1つが損傷したとしても、冷媒等の第1流体と水等の第2流体とが混合することが抑制される。そして、第1冷媒水隔壁270と第1板状部材250との間の隙間、または、第2冷媒水隔壁280と第2板状部材260との間の隙間を介して、漏洩した流体を排出することができる。また、プレート熱交換器30の製造時に、板状部材や隔壁を積層方向に加圧して高温下でプレスすることで拡散接合等の手法により接合させる場合であっても、これらの隙間が潰れにくい。そして、板状部材や隔壁を積層方向に加圧して接合させる際の圧力を高めることができ、接合箇所における接合状体を良好にすることが可能になる。
【0166】
また、以上の熱交換部40aによれば、第1流路251が形成されている部材である第1板状部材250と、第2流路261が形成されている部材である第2板状部材260と、の間の板状の部材が1つだけであっても、ダブルウォール構造を構成することができている。このため、部品点数を削減させることが可能になっている。
【0167】
なお、この熱交換部40aにおいても、他の実施形態Bと同様に、平坦面に対して部分的に窪んで形成された粗面部271、281を設ける代わりに、凹部平坦面と複数の凸部を含む凹凸部を設けてもよい。
【0168】
なお、この熱交換部40aにおいても、他の実施形態Cと同様に、隙間には、空気よりも熱伝導性の高い液体Lが充填されていてもよい。そして、当該液体Lの漏洩を抑制するために、周囲からケーシング31によって覆われた構造としてもよいし、樹脂塗料を塗布して得られる塗膜等のシール材によって周囲を覆うようにしてもよい。
【0169】
(7-7)他の実施形態G
上記実施形態のヒートポンプシステム1では、他の実施形態Fの熱交換部40aに代えて、図21に示すような熱交換部40bを有するプレート熱交換器30であってもよい。なお、熱交換部40bの向きは特に限定されるものではない。
【0170】
熱交換部40bは、複数の板状部材が積層方向に積層されて構成されている。熱交換部40bは、図21に示すように、積層方向における第1側から第2側に向けて、第1板状部材250、第1冷媒水隔壁270、第2板状部材260a、第2冷媒水隔壁280a、第1板状部材250、第1冷媒水隔壁270、第2板状部材260、第2冷媒水隔壁280・・・のように繰り返して順に並ぶように板厚方向に積層されている。
【0171】
第1板状部材250、第1冷媒水隔壁270については、他の実施形態Fと同様である。なお、ここでは、第1板状部材250の第1流路仕切り252には、第2冷媒水隔壁280aの隔壁平面282が面接触する。
【0172】
第2板状部材260aは、複数の第2流路261と、複数の第2流路仕切り262と、第2壁部267と、粗面部269と、を有している。第2板状部材260aは、積層方向を板厚方向とする板状部材である。粗面部269は、第2板状部材260aの第2側において、積層方向を法線方向とするように広がった凹凸面である。粗面部269は、第2板状部材260aの板厚方向に突出した部分である凸部269yが複数設けられている。複数の凸部269yの第2側の先端は、第2冷媒水隔壁280aの隔壁平面281aに接するように設けられている。これにより、第2板状部材260aと第2冷媒水隔壁280aとの間には隙間が生じている。複数の第2流路261および第2流路仕切り262は、他の実施形態Fと同様である。第2板状部材260aの第2流路仕切り262には、第1冷媒水隔壁270の隔壁平面272が面接触する。
【0173】
第2冷媒水隔壁280aは、第1側に設けられた隔壁平面281aと、第2側に設けられた隔壁平面282と、を有している。第2冷媒水隔壁280aは、積層方向を板厚方向とする板状部材である。隔壁平面281aは、第2冷媒水隔壁280aの第1側に設けられており、積層方向を法線方向とするように広がった平面である。隔壁平面282は、第2冷媒水隔壁280aの第2側において、積層方向を法線方向とするように広がった平面である。
【0174】
以上の熱交換部40bにおいても、他の実施形態Fの熱交換部40aと同様の作用効果を奏することができる。しかも、熱交換部40bでは、第1冷媒水隔壁270の粗面部271も、第2板状部材260aの粗面部269も、いずれも、冷媒等の第1流体を流す第1流路251よりも水等の第2流体を流す第2流路261に近い側に設けられている。そして、第1流路251の第1側に設けられる第2冷媒水隔壁280aは、第1側の面の隔壁平面281aが平坦面となっており、亀裂等が生じにくい。さらに、第1流路251の第2側に位置する第1板状部材250の第2側の面である第1平面258も平坦面となっており、亀裂等が生じにくい。したがって、冷媒等の第1流体の漏洩が生じにくい。
【0175】
なお、この熱交換部40bにおいても、他の実施形態Bと同様に、平坦面に対して部分的に窪んで形成された粗面部271、269を設ける代わりに、凹部平坦面と複数の凸部を含む凹凸部を設けてもよい。
【0176】
なお、この熱交換部40bにおいても、他の実施形態Cと同様に、隙間には、空気よりも熱伝導性の高い液体Lが充填されていてもよい。そして、当該液体Lの漏洩を抑制するために、周囲からケーシング31によって覆われた構造としてもよいし、樹脂塗料を塗布して得られる塗膜等のシール材によって周囲を覆うようにしてもよい。
【0177】
(7-8)他の実施形態H
上記実施形態のヒートポンプシステム1では、他の実施形態Fの熱交換部40aに代えて、図22に示すような熱交換部40cを有するプレート熱交換器30であってもよい。なお、熱交換部40cの向きは特に限定されるものではない。
【0178】
熱交換部40cは、複数の板状部材が積層方向に積層されて構成されている。熱交換部40cは、図22に示すように、積層方向における第1側から第2側に向けて、第1板状部材250、第2板状部材260b、第2隔壁370、第1隔壁380、第1板状部材250、第2板状部材260b、第2隔壁370、第1隔壁380・・・のように繰り返して順に並ぶように板厚方向に積層されている。
【0179】
第1板状部材250については、他の実施形態Fと同様である。なお、ここでは、第1板状部材250の第1流路仕切り252には、第1隔壁380の隔壁平面382が面接触する。第2板状部材260bの第2流路仕切り262aには、第2隔壁370の隔壁平面371が面接触する。
【0180】
第2板状部材260bは、複数の第2流路261aと、複数の第2流路仕切り262aと、第2壁部267aと、粗面部269aと、を有している。第2板状部材260bは、積層方向を板厚方向とする板状部材である。粗面部269aは、第2板状部材260bの第1側に設けられており、第2板状部材260bの板厚方向に突出した部分である凸部269yが複数設けられている。複数の凸部269yの第1側の先端は、第1板状部材250の第1平面258に接するように設けられている。これにより、第1板状部材250と第2板状部材260bとの間には隙間が生じている。複数の第2流路261aは、第2板状部材260bの第2側において、積層方向と交差する方向に延びるようにして、互いに並列に並ぶように設けられている。なお、第2流路261aが延びる方向と第1流路251が延びる方向とは、積層方向視において交差していることが好ましい。第2流路仕切り262aは、互いに隣り合う2つの第2流路261aの間において第2流路261aを仕切るように設けられている。複数の第2流路261aは、例えば、第2板状部材260bの第2側の面を部分的にエッチングすることにより設けられ、非エッチング部分が第2流路仕切り262aとなる。複数の第2流路261aは、第2板状部材260bの第2側の面から第1側に向けて板厚方向に窪んだ形状を有している。複数の第2流路261aは、第2板状部材260bの第1側の面である粗面部269aには到達しておらず、第2板状部材260bの板厚方向に貫通していない流路である。第2板状部材260bの第2流路261aは、第2側が解放されている。第2板状部材260bの第2側の第2流路仕切り262aに面接触するように別の部材が設けられることで、第2流路261aの第2側が閉じられ、流路が完成する。具体的には、ここでは、第2板状部材260bの第2流路仕切り262aには、第2隔壁370の隔壁平面371が面接触する。第2壁部267aは、第2板状部材260bの板厚方向において、複数の第2流路261aの第1側端部と粗面部269aとの間において、積層方向が厚み方向となるように広がった板状部分である。第2壁部267aは、第2流路261aを流れる水等の流体が、第1流路251に到達してしまうことを防ぐ1枚の壁として機能する。
【0181】
第2隔壁370は、第1側に設けられた隔壁平面371と、第2側に設けられた隔壁平面372と、を有している。第2隔壁370は、積層方向を板厚方向とする板状部材である。隔壁平面371は、第2隔壁370の第1側において、積層方向を法線方向とするように広がった平面である。隔壁平面372は、第2隔壁370の第2側において、積層方向を法線方向とするように広がった平面である。
【0182】
第1隔壁380は、第1側に設けられた粗面部381と、第2側に設けられた隔壁平面382と、を有している。第1隔壁380は、積層方向を板厚方向とする板状部材である。粗面部381は、第1隔壁380の第1側に設けられており、第1隔壁380の板厚方向に突出した部分である凸部381yが複数設けられている。複数の凸部381yの第1側の先端は、第2隔壁370の隔壁平面372に接するように設けられている。これにより、第1隔壁380と第2隔壁370との間には隙間が生じている。隔壁平面382は、第1隔壁380の第2側において、積層方向を法線方向とするように広がった平面である。
【0183】
以上の熱交換部40cにおいても、他の実施形態Fの熱交換部40aと同様の作用効果を奏することができる。しかも、熱交換部40cでは、第1流路251が形成されている部材である第1板状部材250と、第2流路261aが形成されている部材である第2板状部材260bと、の間に他の板状の部材が設けられていない部分を有している。このため、第1流路251を流れる第1流体と第2流路261aを流れる第2流体の熱交換効率を高めることが可能になっている。
【0184】
なお、この熱交換部40cにおいても、他の実施形態Bと同様に、平坦面に対して部分的に窪んで形成された粗面部381、269aを設ける代わりに、凹部平坦面と複数の凸部を含む凹凸部を設けてもよい。
【0185】
なお、この熱交換部40cにおいても、他の実施形態Cと同様に、隙間には、空気よりも熱伝導性の高い液体Lが充填されていてもよい。そして、当該液体Lの漏洩を抑制するために、周囲からケーシング31によって覆われた構造としてもよいし、樹脂塗料を塗布して得られる塗膜等のシール材によって周囲を覆うようにしてもよい。
【0186】
(7-9)他の実施形態I
上記実施形態のヒートポンプシステム1では、他の実施形態Fの熱交換部40aに代えて、図23に示すような熱交換部40dを有するプレート熱交換器30であってもよい。なお、熱交換部40dの向きは特に限定されるものではない。
【0187】
熱交換部40dは、複数の板状部材が積層方向に積層されて構成されている。熱交換部40dは、図23に示すように、積層方向における第1側から第2側に向けて、第1板状部材250、第2板状部材260b、第2隔壁370a、第1隔壁380a、第1板状部材250、第2板状部材260b、第2隔壁370a、第1隔壁380a・・・のように繰り返して順に並ぶように板厚方向に積層されている。
【0188】
第1板状部材250と第2板状部材260bについては、他の実施形態Hと同様である。なお、ここでは、第1板状部材250の第1流路仕切り252には、第1隔壁380aの隔壁平面382が面接触する。第2板状部材260bの第2流路仕切り262aには、第2隔壁370aの隔壁平面371が面接触する。
【0189】
第2隔壁370aは、第1側に設けられた隔壁平面371と、第2側に設けられた粗面部372aと、を有している。第2隔壁370aは、積層方向を板厚方向とする板状部材である。隔壁平面371は、第2隔壁370aの第1側において、積層方向を法線方向とするように広がった平面である。粗面部372aは、第2隔壁370aの第2側に設けられており、第2隔壁370aの板厚方向に突出した部分である凸部372yが複数設けられている。複数の凸部372yの第2側の先端は、第1隔壁380aの隔壁平面381aに接するように設けられている。これにより、第2隔壁370aと第1隔壁380aとの間には隙間が生じている。隔壁平面371は、第2隔壁370aの第1側において、積層方向を法線方向とするように広がった平面である。
【0190】
第1隔壁380aは、第1側に設けられた隔壁平面381aと、第2側に設けられた隔壁平面382と、を有している。第1隔壁380aは、積層方向を板厚方向とする板状部材である。隔壁平面381aは、第1隔壁380aの第1側において、積層方向を法線方向とするように広がった平面である。隔壁平面382は、第1隔壁380aの第2側において、積層方向を法線方向とするように広がった平面である。
【0191】
以上の熱交換部40dにおいても、他の実施形態Fの熱交換部40aと同様の作用効果を奏することができる。しかも、熱交換部40dでは、第1流路251が形成されている部材である第1板状部材250と、第2流路261aが形成されている部材である第2板状部材260bと、の間に他の板状の部材が設けられていない部分を有している。このため、第1流路251を流れる第1流体と第2流路261aを流れる第2流体の熱交換効率を高めることが可能になっている。しかも、熱交換部40dでは、第2隔壁370aの粗面部372aも、第2板状部材260bの粗面部269aも、いずれも、冷媒等の第1流体を流す第1流路251よりも水等の第2流体を流す第2流路261aに近い側に設けられている。そして、第1流路251の第1側に設けられる第1隔壁380aは、第1側の面の隔壁平面381aが平坦面となっており、亀裂等が生じにくい。さらに、第1流路251の第2側に位置する第1板状部材250の第2側の面である第1平面258も平坦面となっており、亀裂等が生じにくい。したがって、冷媒等の第1流体の漏洩が生じにくい。
【0192】
なお、この熱交換部40dにおいても、他の実施形態Bと同様に、平坦面に対して部分的に窪んで形成された粗面部372a、269aを設ける代わりに、凹部平坦面と複数の凸部を含む凹凸部を設けてもよい。
【0193】
なお、この熱交換部40dにおいても、他の実施形態Cと同様に、隙間には、空気よりも熱伝導性の高い液体Lが充填されていてもよい。そして、当該液体Lの漏洩を抑制するために、周囲からケーシング31によって覆われた構造としてもよいし、樹脂塗料を塗布して得られる塗膜等のシール材によって周囲を覆うようにしてもよい。
【0194】
(7-10)他の実施形態J
上記他の実施形態F、G、H、Iでは、第1流路251、第2流路261、261aについて、第1板状部材250や第2板状部材260、260aを厚み方向に貫通させない流路を用いる場合を例に挙げて説明した。これに対して、熱交換部としては、第1流路、第2流路としては、上記実施形態に記載のように板状部材の厚み方向に貫通するようにして設けられたものと、他の実施形態F、G、H、Iのように板状部材の厚み方向に貫通させないようにして設けられたものと、を両方含むようなものであってもよい。
【0195】
(付記)
以上、本開示の実施形態を説明したが、特許請求の範囲に記載された本開示の趣旨及び範囲から逸脱することなく、形態や詳細の多様な変更が可能なことが理解されるであろう。
【符号の説明】
【0196】
1 :ヒートポンプシステム(冷凍サイクル装置)
2 :制御装置
10 :第1回路(冷媒回路)
11 :圧縮機
13 :膨張機構
14 :第1熱交換器
20 :第2回路
21 :ポンプ
22 :第2熱交換器
23 :第1水管
24 :第2水管
25 :第3水管
30 :プレート熱交換器(熱交換器)
31 :ケーシング(封止部)
40 :熱交換部
43 :水入口ヘッダ
44 :水出口ヘッダ
45 :冷媒入口ヘッダ
46 :冷媒出口ヘッダ
47 :第1折り返しヘッダ
48 :第2折り返しヘッダ
49 :第3折り返しヘッダ
50 :第1板状部材
51 :第1流路
52 :平坦部
53 :水入口連通口
54 :水出口連通口
55 :冷媒入口連通口
56 :冷媒出口連通口
57 :第1折り返し連通口
58 :第2折り返し連通口
59 :第3折り返し連通口
60 :第2板状部材
61 :第2流路
62 :平坦部
63 :水入口連通口
64 :水出口連通口
65 :冷媒入口連通口
66 :冷媒出口連通口
71 :第1冷媒隔壁(第1隔壁、第1壁部)
71a :平坦部(面接触している部分)
71b :水入口連通口(第1開口)
71c :水出口連通口(第1開口)
71d :冷媒入口連通口
71e :冷媒出口連通口
72 :第2冷媒隔壁(第1隔壁、第1壁部)
72a :平坦部(面接触している部分)
72b :水入口連通口(第1開口)
72c :水出口連通口(第1開口)
72d :冷媒入口連通口
72e :冷媒出口連通口
81 :第1水隔壁(第2隔壁、第2壁部)
81a :平坦部(第2平坦部、面接触している部分)
81b :水入口連通口(第2開口)
81c :水出口連通口(第2開口)
81d :冷媒入口連通口
81e :冷媒出口連通口
81x :粗面部(第2領域)
81y :凸部(第2凸部)
82 :第2水隔壁(第2隔壁、第2壁部)
82a :平坦部(第2平坦部、面接触している部分)
82b :水入口連通口(第2開口)
82c :水出口連通口(第2開口)
82d :冷媒入口連通口
82e :冷媒出口連通口
82x :粗面部(第2領域)
82y :凸部(第2凸部)
171 :第1冷媒隔壁(第1隔壁、第1壁部)
171a :平坦部(第1平坦部)
171x :粗面部
171y :凸部(第1凸部)
172 :第2冷媒隔壁(第1隔壁、第1壁部)
172a :平坦部(第1平坦部)
172x :粗面部
172y :凸部(第1凸部)
181 :第1水隔壁(第2隔壁、第2壁部)
181a :平坦部
181p :面
181q :凹部
181x :凹凸部
181y :凸部(第2凸部)
181z :凹部平坦面(第2凹み部)
182 :第2水隔壁(第2隔壁、第2壁部)
182a :平坦部
250 :第1板状部材
251 :第1流路
257 :第1壁部
258 :第1平面(第1壁部)
260 :第2板状部材
260a :第2板状部材
260b :第2板状部材
261 :第2流路
261a :第2流路
267 :第2壁部
267a :第2壁部
268 :第2平面(第2壁部)
269y :凸部(第2凸部)
271y :凸部(第2凸部)
280 :第1隔壁
280a :第2冷媒水隔壁(第1壁部、第1隔壁)
281a :隔壁平面(第1壁部、第1隔壁)
281y :凸部(第1凸部)
G1 :第1隙間
G2 :第2隙間
L :液体
【先行技術文献】
【特許文献】
【0197】
【特許文献1】特開2002-107089号公報
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11
図12
図13
図14
図15
図16
図17
図18
図19
図20
図21
図22
図23
【手続補正書】
【提出日】2024-04-08
【手続補正1】
【補正対象書類名】特許請求の範囲
【補正対象項目名】全文
【補正方法】変更
【補正の内容】
【特許請求の範囲】
【請求項1】
第1流体と第2流体を熱交換させる熱交換器(30)であって、
前記第1流体が流れる第1流路(51、251)と、
前記第2流体が流れる第2流路(61、261、261a)と、
前記第1流路と前記第2流路との間に位置する第1壁部(71、72、171、172、257)と、
前記第1壁部と前記第2流路との間に位置する第2壁部(81、82、181、182、267、267a)と、
を備え、
前記第1流路は、前記第1壁部と前記第2壁部とが重なる方向である積層方向と交差する方向に前記第1流体が流れ、
前記第2流路は、前記積層方向と交差する方向に前記第2流体が流れ、
前記第1壁部と前記第2壁部が拡散接合により接合されており、
前記第1壁部が、第1平坦部(171a、172a)と、前記積層方向に突出した複数の第1凸部(171y、172y、281y)と、を有し、前記第1凸部の先端が前記第2壁部(181、182、267、268)に接しているか、
または、
前記第2壁部が、第2平坦部(81a、82a)と、前記積層方向に突出した複数の第2凸部(81y、82y、181y、269y、271y)と、を有し、前記第2凸部の先端が前記第1壁部(71、72、257、258、280a、281a)に接しているか、
の少なくともいずれかである、
熱交換器(30)。
【請求項2】
前記第1流路を有する第1板状部材(250)と、
前記第2流路と前記第2壁部とを有する第2板状部材(260、260a、260b)と、
を備え、
前記第2流路と前記第2壁部は、前記第2板状部材の板厚方向である第2板厚方向に並んで設けられている、
請求項1に記載の熱交換器。
【請求項3】
前記第1壁部を有する第1隔壁(280)をさらに備え、
前記第1隔壁は、前記第1板状部材と前記第2板状部材との間に位置しており、
前記第1隔壁が、前記第1平坦部と、複数の前記第1凸部(281y)と、を有し、前記第1凸部の先端が前記第2壁部(267、267a、268)に接しているか、
または、
前記第2壁部が、前記第2平坦部と、複数の前記第2凸部(269y)と、を有し、前記第2凸部の先端が前記第1隔壁(280a、281a)に接しているか、
の少なくともいずれかである、
請求項2に記載の熱交換器。
【請求項4】
前記第1隔壁と前記第2壁部の間に液体(L)を有している、
請求項3に記載の熱交換器。
【請求項5】
前記第1隔壁と前記第2壁部の間を、前記積層方向に対する周囲から覆う封止部(31)をさらに備えた、
請求項4に記載の熱交換器。
【請求項6】
前記第1隔壁は前記第1平坦部に対して前記積層方向に窪んだ第1凹み部を有しており、前記第1凸部の先端は前記積層方向において前記第1凹み部よりも前記第2壁部側に位置しているか、
または、
前記第2壁部は前記第2平坦部に対して前記積層方向に窪んだ第2凹み部を有しており、前記第2凸部の先端は前記積層方向において前記第2凹み部よりも前記第1隔壁側に位置しているか、
の少なくともいずれかである、
請求項3から5のいずれか1項に記載の熱交換器。
【請求項7】
前記第2壁部は、複数の前記第2凸部を含む第2領域を有しており、
前記第1隔壁は、前記積層方向に沿って見た場合に前記第2領域と対向する第1領域を有しており、
前記第2領域の方が前記第1領域よりも表面積が大きい、
請求項3から5のいずれか1項に記載の熱交換器。
【請求項8】
前記第1隔壁は、第1開口(71b、71c、72b、72c)を有し、
前記第2壁部は、前記積層方向において前記第1開口と重なる位置に設けられた第2開口(81b、81c、82b、82c)を有し、
前記第1開口と前記第2開口は、前記第1流体または前記第2流体を前記積層方向に通過させ、
前記第1隔壁と前記第2壁部とは、前記第1開口の周囲の前記第1平坦部と前記第2開口の周囲の前記第2平坦部とが互いに面接触している部分(71a、72a、81a、82a)を含んでいる、
請求項3から5のいずれか1項に記載の熱交換器。
【請求項9】
前記第1板状部材(250)は、さらに前記第1壁部(257)を有しており、
前記第1流路と前記第1壁部とは、前記第1板状部材の板厚方向である第1板厚方向に並んで設けられている、
請求項2に記載の熱交換器。
【請求項10】
前記第1流路を有する第1板状部材(50)と、
前記第2流路を有する第2板状部材(60)と、
前記第1板状部材と前記第2板状部材との間に位置する前記第1壁部である第1隔壁(71、72、171、172)と、
前記第1隔壁と前記第2板状部材との間に位置する前記第2壁部である第2隔壁(81、82、181、182)と、
を備え、
前記第1隔壁が、前記第1平坦部(171a、172a)と、複数の前記第1凸部(171y、172y)と、を有し、前記第1凸部の先端が前記第2隔壁(181、182)に接しているか、
または、
前記第2隔壁が、前記第2平坦部(81a、82a)と、複数の前記第2凸部(81y、82y、181y)と、を有し、前記第2凸部の先端が前記第1隔壁(71、72)に接しているか、
の少なくともいずれかである、
請求項1に記載の熱交換器(30)。
【請求項11】
前記第1隔壁と前記第2隔壁の間に液体(L)を有している、
請求項10に記載の熱交換器。
【請求項12】
前記第1隔壁と前記第2隔壁の間を、前記積層方向に対する周囲から覆う封止部(31)をさらに備えた、
請求項11に記載の熱交換器。
【請求項13】
前記第1隔壁は前記第1平坦部に対して前記積層方向に窪んだ第1凹み部を有しており、前記第1凸部の先端は前記積層方向において前記第1凹み部よりも前記第2隔壁側に位置しているか、
または、
前記第2隔壁は前記第2平坦部に対して前記積層方向に窪んだ第2凹み部(181z)を有しており、前記第2凸部の先端は前記積層方向において前記第2凹み部よりも前記第1隔壁側に位置しているか、
の少なくともいずれかである、
請求項10から12のいずれか1項に記載の熱交換器。
【請求項14】
前記第2隔壁は、複数の前記第2凸部を含む第2領域(81x、82x)を有しており、
前記第1隔壁は、前記積層方向に沿って見た場合に前記第2領域と対向する第1領域を有しており、
前記第2領域の方が前記第1領域よりも表面積が大きい、
請求項10から12のいずれか1項に記載の熱交換器。
【請求項15】
前記第1隔壁は、第1開口(71b、71c、72b、72c)を有し、
前記第2隔壁は、前記積層方向において前記第1開口と重なる位置に設けられた第2開口(81b、81c、82b、82c)を有し、
前記第1開口と前記第2開口は、前記第1流体または前記第2流体を前記積層方向に通過させ、
前記第1隔壁と前記第2隔壁とは、前記第1開口の周囲の前記第1平坦部と前記第2開口の周囲の前記第2平坦部とが互いに面接触している部分(71a、72a、81a、82a)を含んでいる、
請求項10から12のいずれか1項に記載の熱交換器。
【請求項16】
前記第2流体が水である、
請求項1から5のいずれか1項に記載の熱交換器。
【請求項17】
前記第1流体が燃焼性を有する冷媒である、
請求項1から5のいずれか1項に記載の熱交換器。
【請求項18】
請求項1から5のいずれか1項に記載の熱交換器(30)を含み、前記第1流体が流れる冷媒回路(10)を備えた、
冷凍サイクル装置(1)。