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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024098490
(43)【公開日】2024-07-23
(54)【発明の名称】半透明化粧料組成物
(51)【国際特許分類】
   A61K 8/42 20060101AFI20240716BHJP
   A61K 8/06 20060101ALI20240716BHJP
   A61K 8/55 20060101ALI20240716BHJP
   A61K 8/34 20060101ALI20240716BHJP
   A61K 8/37 20060101ALI20240716BHJP
   A61K 8/73 20060101ALI20240716BHJP
   A61K 8/92 20060101ALI20240716BHJP
   A61Q 19/00 20060101ALI20240716BHJP
【FI】
A61K8/42
A61K8/06
A61K8/55
A61K8/34
A61K8/37
A61K8/73
A61K8/92
A61Q19/00
【審査請求】未請求
【請求項の数】12
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023194479
(22)【出願日】2023-11-15
(31)【優先権主張番号】10-2023-0003604
(32)【優先日】2023-01-10
(33)【優先権主張国・地域又は機関】KR
(71)【出願人】
【識別番号】506213681
【氏名又は名称】アモーレパシフィック コーポレーション
【氏名又は名称原語表記】AMOREPACIFIC CORPORATION
【住所又は居所原語表記】100, Hangang-daero, Yongsan-gu, Seoul, Republic of Korea
(74)【代理人】
【識別番号】110000556
【氏名又は名称】弁理士法人有古特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】ハ, ドンワン
(72)【発明者】
【氏名】パク, スンハン
【テーマコード(参考)】
4C083
【Fターム(参考)】
4C083AA121
4C083AA122
4C083AC091
4C083AC092
4C083AC112
4C083AC122
4C083AC172
4C083AC331
4C083AC332
4C083AC351
4C083AC352
4C083AC371
4C083AC372
4C083AC391
4C083AC392
4C083AC421
4C083AC422
4C083AC532
4C083AC542
4C083AC641
4C083AC642
4C083AC792
4C083AD092
4C083AD261
4C083AD262
4C083AD571
4C083AD572
4C083AD662
4C083BB11
4C083BB51
4C083CC02
4C083DD01
4C083DD31
4C083DD41
4C083EE01
4C083EE06
4C083FF05
(57)【要約】
【課題】セラミドおよび/またはその誘導体;ゲル化剤;レシチン;およびオイルを含む半透明化粧料組成物を提供すること。
【解決手段】本発明は、セラミドおよび/またはその誘導体;ゲル化剤;レシチン;およびオイルを含む半透明化粧料組成物に関する。
【選択図】図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
セラミドおよび/またはその誘導体;
ゲル化剤;
レシチン;および
オイル
を含む半透明化粧料組成物。
【請求項2】
前記セラミド誘導体は、セラミドNP、セラミドNS、セラミドNH、セラミドAP、セラミドAS、セラミドEOP、セラミドEOS、またはこれらの組み合わせを含む、請求項1に記載の半透明化粧料組成物。
【請求項3】
前記セラミドおよび/またはその誘導体は、前記半透明化粧料組成物の総量に対して0.5重量%~1重量%含まれる、請求項1に記載の半透明化粧料組成物。
【請求項4】
前記ゲル化剤は、前記半透明化粧料組成物の総量に対して1重量%以上で含まれる、請求項1に記載の半透明化粧料組成物。
【請求項5】
前記ゲル化剤は、前記セラミドおよび/またはその誘導体と同一であるか、より多い含有量で含まれる、請求項1に記載の半透明化粧料組成物。
【請求項6】
前記ゲル化剤は、前記オイルと同一であるか、より多い含有量で含まれる、請求項1に記載の半透明化粧料組成物。
【請求項7】
前記ゲル化剤は、イソステアリルアルコール*ブチレングリコールココエート*エチルセルロース(ISOSTEARYL ALCOHOL*BUTYLENE GLYCOL COCOATE*ETHYLCELLULOSE)を含む、請求項1に記載の半透明化粧料組成物。
【請求項8】
前記レシチンは、前記セラミドおよび/またはその誘導体と同一であるか、より少ない含有量で含まれる、請求項1に記載の半透明化粧料組成物。
【請求項9】
前記レシチンは、水添レシチンを含む、請求項1に記載の半透明化粧料組成物。
【請求項10】
前記オイルは、前記半透明化粧料組成物の総量に対して1重量%以下で含まれる、請求項1に記載の半透明化粧料組成物。
【請求項11】
前記オイルは、グリセリド、ジエステル、カーボネート、カプリリック/カプリックトリグリセリド、カプリリック/カプリック/ミリスチック/ステアリックトリグリセリド、ジカプリリルカーボネート、ジイソステアリルマレート、エチルヘキシルパルミテート、エチルヘキシルステアレート、エチルヘキシルココエート、セチルエチルヘキサノエート、オクチルドデシルミリステート、ペンタエリスリチルテトラエチルヘキサノエート、ホホバオイル、マカデミアナッツオイル、オリーブオイル、アボカドオイル、またはこれらの組み合わせを含む、請求項1に記載の半透明化粧料組成物。
【請求項12】
前記半透明化粧料組成物は、乳化(emulsified)ゲルクリーム剤形である、請求項1に記載の半透明化粧料組成物。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本記載は、半透明化粧料組成物に関する。
【背景技術】
【0002】
人体皮膚の表面は、基底層から分化して成熟した角質形成細胞が退化した角質細胞からなる。これらの角質細胞は角質層に多量存在するセラミドの二重鎖ラメラ構造によって結合していて、滑らかで弾力のある皮膚を維持させる。
【0003】
セラミドは、スフィンゴシン(Sphingosine)またはフィトスフィンゴシン(Phytosphingosine)に脂肪酸が連結されている構造を有するスフィンゴ脂質の一種であって、セラミドは、皮膚角質層を構成する角質細胞間脂質中の約40%以上を占め、角質層の構造形成や機能を示すのに必須の成分である。このようなセラミドは、皮膚角質層の主要成分としての特性以外に様々な生理学的機能が報告されている。
【0004】
セラミドは、内外部のストレス(stress)によって細胞が損傷する場合、損傷した細胞を除去することによって、ストレスから個体を保護する機能を行う。このような角質層内のセラミドは皮膚老化の進行とともに角質層内の含有量が減少し、それによって皮膚水分の損失、紫外線や化学物質などの外部刺激への露出および角質細胞の剥離現象が発生して皮膚表面は荒くなる。
【0005】
前述のような症状は、外部からのセラミド供給、例えば、化粧品による供給によって改善できるが、セラミド類は難溶性で化粧品剤形に多量含有される場合、剤形の安定度が低下し、析出現象が発生するなどの問題がある。
【0006】
したがって、セラミド類を化粧品剤形に含めて使用する場合、大部分硬いカプセル形態であるため、使用時に異物感を発生し、使用感が重いしかない。そこで、本発明者らは、セラミド類を含みながらも軽い使用感を提供できる剤形の化粧料組成物を開発するために弛まぬ努力をして、ついに本発明を完成するに至った。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0007】
【特許文献1】欧州特許出願公開第3922235号明細書
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
一実施形態は、軽い使用感を有するセラミド類を含む乳化ゲルクリーム剤形の化粧料組成物を提供する。
【課題を解決するための手段】
【0009】
一実施形態によれば、セラミドおよび/またはその誘導体;ゲル化剤;レシチン;およびオイルを含む半透明化粧料組成物を提供する。
【0010】
前記セラミド誘導体は、セラミドNP、セラミドNS、セラミドNH、セラミドAP、セラミドAS、セラミドEOP、セラミドEOS、またはこれらの組み合わせを含むことができる。
【0011】
前記セラミドおよび/またはその誘導体は、前記半透明化粧料組成物の総量に対して0.5重量%~1重量%含まれる。
【0012】
前記ゲル化剤は、前記半透明化粧料組成物の総量に対して1重量%以上で含まれる。
【0013】
前記ゲル化剤は、前記セラミドおよび/またはその誘導体と同一であるか、より多い含有量で含まれる。
【0014】
前記ゲル化剤は、前記オイルと同一であるか、より多い含有量で含まれる。
【0015】
前記ゲル化剤は、イソステアリルアルコール*ブチレングリコールココエート*エチルセルロース(ISOSTEARYL ALCOHOL*BUTYLENE GLYCOL COCOATE*ETHYLCELLULOSE)を含むことができる。
【0016】
前記レシチンは、前記セラミドおよび/またはその誘導体と同一であるか、より少ない含有量で含まれる。
【0017】
前記レシチンは、水添レシチンを含むことができる。
【0018】
前記オイルは、前記半透明化粧料組成物の総量に対して1重量%以下で含まれる。
【0019】
前記オイルは、グリセリド、ジエステル、カーボネート、カプリリック/カプリックトリグリセリド、カプリリック/カプリック/ミリスチック/ステアリックトリグリセリド、ジカプリリルカーボネート、ジイソステアリルマレート、エチルヘキシルパルミテート、エチルヘキシルステアレート、エチルヘキシルココエート、セチルエチルヘキサノエート、オクチルドデシルミリステート、ペンタエリスリチルテトラエチルヘキサノエート、ホホバオイル、マカデミアナッツオイル、オリーブオイル、アボカドオイル、またはこれらの組み合わせを含むことができる。
【0020】
前記半透明化粧料組成物は、乳化(emulsified)ゲルクリーム剤形であってもよい。
【発明の効果】
【0021】
一実施形態による化粧料組成物は、セラミド類を含むにもかかわらず、異物感なしに軽い使用感を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0022】
図1】実施例1による化粧料組成物の顕微鏡写真である。
図2】比較例1による化粧料組成物の顕微鏡写真である。
図3】比較例2による化粧料組成物の顕微鏡写真である。
図4】比較例3による化粧料組成物の顕微鏡写真である。
図5】無塗布の場合、実施例1および比較例4による化粧料組成物をそれぞれ100μmの厚さに塗布した時の写真である。
【発明を実施するための形態】
【0023】
以下、本発明の実施形態について、本発明の属する技術分野における通常の知識を有する者が容易に実施できるように詳細に説明する。しかし、本発明は種々の異なる形態で実現可能であり、ここで説明する実施形態に限定されない。
【0024】
本明細書においてある部分がある構成要素を「含む」とする時、これは特に反対の記載がない限り、他の構成要素を除くのではなく、他の構成要素をさらに包含できることを意味する。
【0025】
以下、一実施形態による化粧料組成物について説明する。
【0026】
一実施形態による化粧料組成物は、半透明な化粧料組成物であって、セラミドおよび/またはその誘導体;ゲル化剤;レシチン;およびオイルを含む。
【0027】
用語、「半透明(translucent)」とは、媒質を通して物体を見る時、その形と色が一部変化して見える状態を意味し、「透明(transparent)」とは、媒質を通してみる時、その形と色が変化せずに見える状態を意味する。本発明の一実施形態による化粧料組成物は、半透明化粧料組成物であると表現したことは、一実施形態による化粧料組成物を通して物体を見る時、その形と色が一部変化して見えるからであり、よって、一実施形態による化粧料組成物は、透明な化粧料組成物とは相互交換的に使用されない。一方、「不透明(opacity)」とは、媒質を通して物体を見る時、その形と色が全く見えない状態を意味し、よって、一実施形態による化粧料組成物は、透明な化粧料組成物と相互交換的に使用されないのと同じく、不透明な化粧料組成物とも相互交換的に使用されない。
【0028】
セラミドやその誘導体などを含むカプセルは硬い剤形であるので、使用時に異物感が感じられるというのが最も大きな問題点であり、最近は、これを粘度のある、例えば5000cps以上の粘度を有するゲル状に剤形化して使用しようとする試みもあったが、いかなる場合にも異物感なしに軽い使用感を提供する剤形化技術は未だに知られていない。
【0029】
そこで、本発明者らは、セラミドおよび/またはその誘導体を含みながらも軽い使用感実現のための剤形に関する研究を数年間進めながら数回の試行錯誤を経た末に、ついに本発明を完成するに至った。
【0030】
従来は、カルボマーのような増粘剤を用いて異物感を無くそうとする試みもあったが、本発明者らは、セラミドおよび/またはその誘導体をゲル化剤、レシチンおよびオイルと共に使用して半透明な乳化ゲルクリーム剤形に組成物を剤形化することによって、軽い使用感を有する半透明化粧料組成物を発明した。一実施形態による化粧料組成物が不透明な組成を有する場合、使用感が重くなる問題があり、透明な組成を有する場合、セラミドおよび/またはその誘導体が析出しやすかったり、使用時に異物感が感じられやすかったりして、一実施形態による化粧料組成物は、不透明な組成で剤形化されることが最も好ましい。
【0031】
一実施形態による化粧料組成物が半透明というのは、具体的には、一実施形態による乳化ゲルクリーム剤形の半透明化粧料組成物を100μmの厚さに文字の刻まれた白紙上に均等に塗布した時、前記文字が明確に識別可能であるが(一部の文字などがつぶれたり重なって見えず、きれいに見える)、一実施形態による乳化ゲルクリーム剤形の半透明化粧料組成物を200μmの厚さに文字の刻まれた白紙上に均等に塗布した時、前記文字の識別が不可能であったり、識別が非常に難しい場合、または識別は可能であるが、一部の文字などがつぶれたり重なって見えたりする場合を意味することができる。
【0032】
前記セラミド誘導体は、例えば、セラミドNP、セラミドNS、セラミドNH、セラミドAP、セラミドAS、セラミドEOP、セラミドEOS、またはこれらの組み合わせなどを含むことができるが、その種類が必ずしもこれに限定されるものではない。
【0033】
前記セラミドおよび/またはその誘導体は、組成物の総重量に対して0.5重量%~1重量%含まれる。例えば、前記セラミドおよび/またはその誘導体は、一実施形態による半透明化粧料組成物の総重量に対して0.5重量%~1.5重量%、0.5重量%~1.4重量%、0.5重量%~1.3重量%、0.5重量%~1.2重量%、0.5重量%~1.1重量%、0.5重量%~1重量%、0.5重量%~0.9重量%、0.5重量%~0.8重量%、0.5重量%~0.7重量%、0.5重量%~0.6重量%含まれる。この時、セラミドおよび/またはその誘導体の含有量が前記範囲未満の場合、半透明な乳化ゲルクリームの形態に剤形化しにくいという問題点があり、前記範囲を超える場合、剤形の安定化が難しいという問題点がある。
【0034】
しかし、セラミドおよび/またはその誘導体は、その特性上、カプセル剤形ではないゲルクリーム剤形に剤形化させる場合、その含有量を制御するとしても安定化が容易でないという問題がある。特に、セラミドおよび/またはその誘導体を含む乳化ゲルクリーム剤形の化粧料組成物の場合、前記セラミドおよび/またはその誘導体の安定化の有無が軽い使用感の実現に大きな影響を与えるので、乳化ゲルクリーム剤形中に前記セラミドおよび/またはその誘導体を容易に安定化させることが非常に重要である。
【0035】
一実施形態によれば、前記セラミドおよび/またはその誘導体を、乳化補助機能を有するゲル化剤およびオイルと共に使用することによって、ゲルクリーム剤形においても前記セラミドおよび/またはその誘導体の安定化を容易に達成することができる。具体的には、前記ゲル化剤の種類、前記ゲル化剤およびオイル間の含有量範囲などを制御することによって、乳化ゲルクリーム剤形中のセラミドおよび/またはその誘導体の安定化を容易に達成することができる。
【0036】
例えば、前記ゲル化剤は、イソステアリルアルコール*ブチレングリコールココエート*エチルセルロース(ISOSTEARYL ALCOHOL*BUTYLENE GLYCOL COCOATE*ETHYLCELLULOSE)を含むことができる。前記イソステアリルアルコール*ブチレングリコールココエート*エチルセルロース(ISOSTEARYL ALCOHOL*BUTYLENE GLYCOL COCOATE*ETHYLCELLULOSE)は、積極的な乳化剤としての機能を行うことはできないが、乳化を補助する役割をある程度果たすゲル化剤であるので、前記オイルと共に使用する時、乳化ゲルクリーム剤形中のセラミドおよび/またはその誘導体の安定化に大きく寄与することができる。前記ゲル化剤がイソステアリルアルコール*ブチレングリコールココエート*エチルセルロース(ISOSTEARYL ALCOHOL*BUTYLENE GLYCOL COCOATE*ETHYLCELLULOSE)を含まない場合、セラミドおよび/またはその誘導体の析出現象が起こることがあるので好ましくない。
【0037】
例えば、前記ゲル化剤は、前記半透明化粧料組成物の総量に対して1重量%以上で含まれる。前記ゲル化剤が一実施形態による半透明化粧料組成物の総量に対して1重量%未満で含まれる場合、前記セラミドおよび/またはその誘導体の安定化に寄与する程度が大きく低下しうる。
【0038】
例えば、前記ゲル化剤は、前記セラミドおよび/またはその誘導体と同一であるか、より多い含有量で含まれる。例えば、前記ゲル化剤は、前記セラミドおよび/またはその誘導体の含有量の1倍~2倍の含有量で含まれる。前記ゲル化剤および前記セラミドおよび/またはその誘導体の含有量を前記のように制御する場合、前記セラミドおよび/またはその誘導体を含む乳化ゲルクリーム剤形の安定化が容易であり得る。
【0039】
例えば、前記ゲル化剤は、前記オイルと同一であるか、より多い含有量で含まれる。例えば、前記オイルは、前記半透明化粧料組成物の総量に対して1重量%以下で含まれる。前記オイルが一実施形態による半透明化粧料組成物の総量に対して1重量%超過で含まれる場合、前記セラミドおよび/またはその誘導体の安定化に寄与する程度が大きく低下しうる。特に、前記オイルの含有量が前記ゲル化剤の含有量を超える場合、半透明な乳化ゲルクリームの形態に剤形化しにくいという問題点がある。
【0040】
例えば、前記オイルは、グリセリド、ジエステル、カーボネート、カプリリック/カプリックトリグリセリド、カプリリック/カプリック/ミリスチック/ステアリックトリグリセリド、ジカプリリルカーボネート、ジイソステアリルマレート、エチルヘキシルパルミテート、エチルヘキシルステアレート、エチルヘキシルココエート、セチルエチルヘキサノエート、オクチルドデシルミリステート、ペンタエリスリチルテトラエチルヘキサノエート、ホホバオイル、マカデミアナッツオイル、オリーブオイル、アボカドオイル、またはこれらの組み合わせを含むことができるが、その種類が必ずしもこれに限定されるものではない。
【0041】
例えば、一実施形態による半透明化粧料組成物が前記オイルを含まない場合、セラミドおよび/またはその誘導体の析出現象などは発生しないが、セラミドおよび/またはその誘導体の安定化が難しいので、一実施形態による半透明化粧料組成物は、セラミドおよび/またはその誘導体の安定化のために前記ゲル化剤と共にオイルも必ず含まなければならない。
【0042】
一方、一実施形態による半透明化粧料組成物は、レシチンも必須構成として含む。前記レシチンが含まれない場合、前記ゲル化剤がイソステアリルアルコール*ブチレングリコールココエート*エチルセルロース(ISOSTEARYL ALCOHOL*BUTYLENE GLYCOL COCOATE*ETHYLCELLULOSE)を含まない場合と同様に、セラミドおよび/またはその誘導体の析出現象が起こることがあるので好ましくない。
【0043】
例えば、前記レシチンは、前記セラミドおよび/またはその誘導体と同一であるか、より少ない含有量で含まれる。例えば、前記レシチンは、前記セラミドおよび/またはその誘導体100重量部を基準として25重量部~50重量部含まれる。この場合、前記レシチンが前記範囲に含まれる場合、前記セラミドおよび/またはその誘導体の析出現象を抑制すると同時に、乳化ゲルクリーム剤形の安定化に寄与することができる。
【0044】
例えば、前記レシチンは、水添レシチンを含むことができる。
【0045】
例えば、前記半透明化粧料組成物は、乳化(emulsified)ゲルクリーム剤形であってもよい。特に、一実施形態による半透明化粧料組成物は、粘度がそれほど低くはないので、スキン、ローションまたはエッセンス剤形の組成物として使用するよりは、ゲルクリーム剤形の組成物として使用することが好ましい。
【0046】
例えば、一実施形態による半透明化粧料組成物は、前述した成分のほか、基本的な物性および品質を維持するための通常の任意成分として当該分野の専門家に幅広く公知で使用される成分を含むことができ、例えば、乳脂成分、保湿剤、エモリエント剤、界面活性剤、有機または無機顔料、有機粉体、紫外線吸収剤、防腐剤、殺菌剤、酸化防止剤、植物抽出物、アルコール、色素、香料、血行促進剤、冷感剤、制汗剤、賦形剤、安定化剤、溶解化剤、ビタミンなどが追加的に含有されてもよい。
【0047】
以下、実施例を通じて上述した本発明の実施形態をより詳細に説明する。ただし、下記の実施例は単に説明の目的のためのものであり、本発明の範囲を制限するものではない。
【0048】
ゲルクリーム剤形の化粧料組成物の製造
下記表1の組成により脂質状の原料を撹拌しながら50℃以上に加熱溶解し、水相、脂質相の原料を撹拌しながら50℃以上に加熱分散した。その後、水相に予め溶解した脂質相を投入して3分間乳化器(Homogenizer)で乳化した後、冷却して化粧料組成物を得た。
【0049】
下記表1中、上から下へ順に、Dipropylene glycolからIsostearyl alcoholまで混合(Dipropylene glycolパーツ)後、70~80℃加温溶解する。別途に、下記表1中、上から下へ順に、Waterから1,2-Hexandiolまで70~80℃加温溶解後、前記溶解したDipropylene glycolパーツを投入して乳化した後、下記表1中、Butylene glycolおよびHYDROXYETHYL ACRYLATE/SODIUM ACRYLOYLDIMETHYL TAURATE COPOLYMER*WATER/AQUA/EAU*SORBITAN ISOSTEARATEを投入して乳化する。乳化時、ホモミキシングは7000-9000rpmの間とした。
【0050】
【表1】
【0051】
評価1:化粧料組成物の半透明の有無の確認
実施例1および比較例1~比較例4によるゲルクリーム剤形の化粧料組成物を文字の刻まれた白紙上に1mmおよび2mmの厚さにそれぞれ塗布後、1mmの厚さおよび2mmの厚さともに前記文字が明確に認識されると透明、1mmの厚さでは前記文字が明確に認識されるが2mmの厚さでは前記文字が明確に認識されなければ半透明、1mmの厚さおよび2mmの厚さともに前記文字が明確に認識されなければ不透明と判断し、その結果を下記表2に示した。
【0052】
【表2】
【0053】
評価2:剤形安定度1
半透明化粧料組成物である実施例1および比較例1~比較例3によるゲルクリーム剤形の化粧料組成物それぞれに対して走査電子顕微鏡写真を撮り、その結果を図1図4に示した。
【0054】
図1図4から、比較例1および比較例2によるゲルクリーム剤形の化粧料組成物は、セラミドNPの析出が起こったことを確認することができ、比較例3によるゲルクリーム剤形の化粧料組成物は、このような析出現象が起こらなかったものの、セラミドNPが均一でなくて安定した剤形を形成できないことを確認することができる。これに対し、実施例1によるゲルクリーム剤形の化粧料組成物は、析出現象もなく、剤形安定度にも非常に優れていることを確認することができる。
【0055】
評価3:剤形安定度2
実施例1および比較例1~比較例3によるゲルクリーム剤形の化粧料組成物それぞれを4℃、25℃、40℃および50℃の恒温条件で2週間保管しながら組成物の剤形かたまり現象が発生するか否かを確認し、その結果を下記表3に示した。
【0056】
【表3】
【0057】
表3から、比較例の組成物は、常温または40℃でセラミドNPが析出して分離されたのに対し、実施例1の組成物は、4℃の低温から50℃の高温でも析出現象が全く発生しないことを確認することができる。
【0058】
評価4:使用感
実施例1および比較例1~比較例4による化粧料組成物それぞれに対して、アモーレパシフィック社内職員30人を対象に使用感評価(軽い/普通/重い)を実施し、平均点数を出して、その結果を下記表4に示した。
【0059】
【表4】
【0060】
前記表4から、一実施形態による半透明化粧料組成物は、セラミドおよび/またはその誘導体を含むにもかかわらず、軽い使用感を実現できることを確認することができる。
【0061】
評価5:透明性
図5は、同じハングル文字の上に、無塗布、実施例1の化粧料組成物(厚さ100μm)および比較例4の化粧料組成物(厚さ100μm)を塗布した場合の外観写真である。実施例1の化粧料組成物は半透明であるため、文字を明確に読み取ることが可能であったが、比較例4の化粧料組成物は不透明であるため、文字がぼやけて不鮮明となり、正確に読み取ることができなかった。
【0062】
以上、本発明の好ましい実施例について詳細に説明したが、本発明の権利範囲はこれに限定されるものではなく、以下の特許請求の範囲で定義している本発明の基本概念を利用した当業者の様々な変形および改良形態も本発明の権利範囲に属する。
図1
図2
図3
図4
図5