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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024098499
(43)【公開日】2024-07-23
(54)【発明の名称】内視鏡
(51)【国際特許分類】
   A61B 1/00 20060101AFI20240716BHJP
   A61B 1/05 20060101ALI20240716BHJP
【FI】
A61B1/00 715
A61B1/05
【審査請求】未請求
【請求項の数】9
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2024000628
(22)【出願日】2024-01-05
(31)【優先権主張番号】P 2023001802
(32)【優先日】2023-01-10
(33)【優先権主張国・地域又は機関】JP
(71)【出願人】
【識別番号】390029676
【氏名又は名称】株式会社トップ
(74)【代理人】
【識別番号】110000800
【氏名又は名称】デロイトトーマツ弁理士法人
(72)【発明者】
【氏名】間中 勇輝
【テーマコード(参考)】
4C161
【Fターム(参考)】
4C161CC06
4C161DD03
4C161FF35
4C161HH32
4C161JJ03
4C161LL02
4C161QQ06
(57)【要約】
【課題】本発明は、カメラ等の部品を所定位置に配置でき、容易に組み立てられる内視鏡の先端部分のフレームを提供することができる。
【解決手段】本発明に係るフレーム(10)は、フレーム(10)の先端部分に備えられているフレーム先端部(11)を有しており、フレーム先端部(11)は、カメラ(61)を支持するカメラ支持部(25)、及びフレーム先端部(11)の外周面から内部に、フレーム中心軸線Xに対して垂直方向に切り欠かれている切り欠き部(42)を備え、切り欠き部(42)は、フレーム中心軸線Xに垂直な断面において、フレーム中心軸線Xを中心として、前面視でカメラから最も遠いフレーム先端部(11)の外周面上の位置から円周方向の両方向に所定角度範囲内のフレーム先端部(11)を切り欠かれて形成されている。
【選択図】図2
【特許請求の範囲】
【請求項1】
内視鏡が備えるフレームであって、
前記フレームは、前記フレームの先端部分に備えられ、少なくともカメラを収容する空間が内部に設けられているフレーム先端部を有しており、
前記フレーム先端部は、前記カメラを支持するカメラ支持部、前記フレーム先端部の外周面から内部に、フレーム中心軸線に対して垂直方向に切り欠かれている切り欠き部を備え、
前記切り欠き部は、前記フレーム中心軸線に垂直な断面において、前記フレーム中心軸線を中心として、前面視でカメラから最も遠い前記フレーム先端部の外周面上の位置から円周方向の両方向に所定角度範囲内の前記フレーム先端部を切り欠かれて形成されている、内視鏡のフレーム。
【請求項2】
前記切り欠き部は、フレーム中心軸線方向における前記カメラ支持部の後端側に隣接した部位を含んでいる、請求項1に記載の内視鏡のフレーム。
【請求項3】
前記フレームは、前記切り欠き部の周方向の両端部の間に存在する接続部の内面上、かつ前記カメラ支持部の前記フレームの後端部側に隣接して設けられている案内部を有している、請求項2に記載の内視鏡のフレーム。
【請求項4】
前記案内部は、前記フレーム中心軸線の方向における両端部である先端側端部、及び前記先端側端部を通り前記フレーム中心軸線に平行な水平面より、前記フレーム中心軸線の側に位置する後端側端部を有しており、
前記案内部は、前記先端側端部と、前記後端側端部とを通り、前記フレーム中心軸線に対して傾斜している平面と、前記水平面とを含む空間内に形成されており、
前記案内部は、前記先端側端部から形成されている、請求項3に記載の内視鏡のフレーム。
【請求項5】
前記フレームは、カメラ、及び光源装置が備えられており、
前記カメラと、前記光源装置とが配置されているそれぞれの空間は、前記フレーム中心軸線の方向に対する垂直断面において連通している、請求項1~4の何れか一項に記載の内視鏡のフレーム。
【請求項6】
前記フレーム先端部は、前記カメラが挿入または篏合される貫通孔であって、前記カメラに対して当接することにより当該カメラを支持する前記カメラ支持部を構成する当接面により画定された収容空間を備えており、
前記収容空間は、前記フレーム中心軸線を通り、前記フレーム先端部を二分割する分割面の一方側において、前記フレーム先端部に形成されていることを特徴とする、請求項1~4の何れか一項に記載の内視鏡のフレーム。
【請求項7】
前記フレーム中心軸線に垂直な方向に前記収容空間と連通する、前記フレーム中心軸線に平行な方向に端面から局所的に窪んだ凹部および前記フレーム中心軸線に平行な方向に貫通する貫通孔のうち少なくとも一方により構成されている欠落部が前記フレーム先端部に形成されていることを特徴とする請求項6に記載の内視鏡のフレーム。
【請求項8】
前記欠落部は、前記フレーム中心軸線に垂直でありかつ前記分割面に平行な方向について、前記収容空間の両側に形成されていることを特徴とする請求項7に記載の内視鏡のフレーム。
【請求項9】
前記欠落部は、前記分割面の一方側および他方側に延在するように、前記フレーム先端部に形成されていることを特徴とする請求項7に記載の内視鏡のフレーム。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、内視鏡に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、医療分野において、特許文献1に記載されたような内視鏡と、鉗子等の処置具とを体腔内へ挿入して治療を行う手技が行われている。このような手技では、備えられているチューブにより送水して患部を洗浄し、カメラの近傍に備えられている光源装置が患部を照らし、カメラが患部を撮像する。医師は、カメラからの画像を見ながら、チューブにより患部に処置具をアプローチして治療が行われる。
【0003】
処置は、撮像された画像を見ながら行われるため、できるだけ見やすい画像が得られるように、カメラ、光源装置、及びチューブは、位置関係が考慮されて配置される。カメラと、光源装置との位置関係が変わると、撮像される画像に映る患部への光のあたり方が変化する。また、カメラと、チューブとの位置関係が変わると、チューブから突出される処置具の画像上の表示位置が変化する。したがって、カメラ等は所定の位置に取り付けられる必要がある。一方、内視鏡をリユースする場合、洗浄に手間がかかること、繰り返し使用により破損する場合があること、感染症対策が重視されてきていることなどから、近年、使い捨て式内視鏡の需要が高まってきている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特表2012-511357号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、使い捨て式内視鏡では、毎回新たな内視鏡が使われるため、個々の内視鏡においてカメラ等の取り付け位置のばらつきがあると、内視鏡ごとにモニタ上の患部の映り方が変わってくることとなる。使い捨て式内視鏡では、必要な内視鏡の個体数は処置回数と同数となる。そのため、モニタ上の患部の映り方は、毎回新しい内視鏡を用いる使い捨て式の方がリユース式より、違いを感じる可能性が高いと考えられる。したがって、使い捨て式内視鏡は、リユース式内視鏡より、カメラ等の取り付けばらつきを少なくして一定の位置に取り付けられる必要がある。また、使い捨て式内視鏡では、製造コストも抑えて容易に組み立てられる必要がある。
【0006】
本発明は、上記問題を解消するためになされたものであり、カメラ等の部品を所定位置に配置でき、容易に組み立てられる内視鏡の先端部分のフレームを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明に係る内視鏡が備えるフレームであって、フレームの先端部分に備えられ、少なくともカメラを収容する空間が内部に設けられているフレーム先端部を有しており、フレーム先端部は、カメラを支持するカメラ支持部、及びフレーム先端部の外周面から内部に、フレーム中心軸線に対して垂直方向に切り欠かれている切り欠き部を備え、切り欠き部は、フレーム中心軸線に垂直な断面において、フレーム中心軸線を中心として、前面視でカメラから最も遠いフレーム先端部の外周面上の位置から円周方向の両方向に所定角度範囲内のフレーム先端部を切り欠いて形成されている。
【0008】
本発明に係る内視鏡のフレーム先端部は、フレーム先端部の外周面から内部に、フレーム中心軸線に対して垂直方向に切り欠いて設けられている切り欠き部を備えている。そのため、カメラをフレームの取り付ける際に、切り欠かれていない残りの部分を弾性変形させて曲げやすく構成されている。それにより、切り欠かれていない部分を弾性変形させて、カメラの挿入方向にカメラ支持部が位置するように合わせて、容易に挿入することができる。したがって、カメラを所定位置に配置でき、容易に組み立てられる内視鏡とすることができる。
【0009】
本発明に係る内視鏡のフレーム先端部の切り欠き部は、フレーム中心軸線方向におけるカメラ支持部の後端側に隣接した部位を含んでいることが好ましい。
【0010】
本発明に係る内視鏡のフレーム先端部の切り欠き部は、フレーム中心軸線方向におけるカメラ支持部の後端側に隣接した部位を含んでいる。そのため、カメラをカメラ支持部に挿入する際に、カメラ支持部に隣接した部位を弾性変形させることができる。したがって、カメラをカメラ支持部により容易に挿入することができる。
【0011】
また、本発明に係る内視鏡のフレームは、切り欠き部の周方向の両端部の間に存在する接続部の内面上、かつカメラ支持部のフレームの後端部側に隣接して設けられている案内部を有していることが好ましい。
【0012】
本発明に係る内視鏡のフレームは、カメラ支持部のフレームの後端部側に隣接して設けられている案内部を有している。そのため、カメラをフレーム中心軸線の方向に移動させてカメラ支持部に取り付ける際に、作業者は案内部とカメラとの接触状態により、カメラのフレーム中心軸線方向の位置を認識することができる。
【0013】
また、本発明に係る内視鏡のフレームの案内部は、フレーム中心軸線の方向における両端部である先端側端部、及び先端側端部を通りフレーム中心軸線に平行な水平面より、フレーム中心軸線の側に位置する後端側端部を有しており、案内部は、先端側端部と、後端側端部とを通り、フレーム中心軸線に対して傾斜している平面と、水平面とを含む空間内に形成されており、案内部は、先端側端部から形成されていることが好ましい。
【0014】
本発明に係る内視鏡のフレームの案内部は、フレーム中心軸線の方向における両端部である先端側端部、及び後端側端部を有しており、案内部は、先端側端部を通り、フレーム中心軸線に平行な水平面よりフレーム中心軸線の側に突出して形成されている部分であり、案内部は、先端側端部から形成されている。そのため、カメラは、フレームに対してフレーム中心軸線の方向のどちら側から挿入してもカメラ取り付け位置に取り付けることができる。したがって、カメラを容易に組み立てられる内視鏡とすることができる。
【0015】
また、本発明に係る内視鏡のフレームは、光源装置、及びカメラが備えられており、光源装置と、カメラとが配置されているそれぞれの空間は、フレーム中心軸線の方向に対する垂直断面において連通していることが好ましい。
【0016】
本発明に係る内視鏡のフレームは、光源装置、及びカメラを備えられており、光源装置と、カメラとが配置されているそれぞれの空間は、フレーム中心軸線の方向に対する垂直断面において連通している。そのため、光源装置と、カメラとが配置されているそれぞれの空間が個々に設けられる場合に比べ、組み立てに有利である大きな内部空間を得ることができる。したがって、容易に組み立てることができる。
【0017】
また、本発明に係る内視鏡のフレーム先端部は、カメラが挿入または篏合される貫通孔であって、カメラに対して当接することにより当該カメラを支持するカメラ支持部を構成する当接面により画定された収容空間を備えており、収容空間は、フレーム中心軸線を通り、当該フレーム先端部を二分割する分割面の一方側において、当該フレーム先端部に形成されていることが好ましい。
【0018】
本発明に係る内視鏡のフレーム中の収容空間は、フレーム中心軸線を通り、当該フレーム先端部を二分割する分割面の一方側において、当該フレーム先端部に形成されている。そのため、収容空間が当該フレーム先端部を二分割する分割面の一方側から他方側にかけて形成されている場合と比べ、チャンネルチューブを通す通路の直径を大きくすることができ、チャンネルチューブによる送水可能量を増やすことができる。また、チャンネルチューブを通す通路の直径を維持したまま、フレームの直径を小さくすることができる。これにより、全体としてコンパクトで、体内の狭い部分にも適用可能な内視鏡を提供することができる。
【0019】
また、本発明に係る内視鏡フレームにおいて、フレーム中心軸線に垂直な方向に収容空間と連通する、当該フレーム中心軸線に平行な方向に端面から局所的に窪んだ凹部および当該フレーム中心軸線に平行な方向に貫通する貫通孔のうち少なくとも一方により構成されている欠落部が当該フレーム先端部に形成されていることが好ましい。
【0020】
本発明に係る内視鏡のフレームは、フレーム中心軸線に垂直な方向に収容空間と連通する、当該フレーム中心軸線に平行な方向に端面から局所的に窪んだ凹部および当該フレーム中心軸線に平行な方向に貫通する貫通孔のうち少なくとも一方により構成されている欠落部が当該フレーム先端部に形成されていることにより、収容空間の変形性が向上し、カメラの収容空間への挿入の容易が図られる。
【0021】
また、本発明に係る内視鏡フレームにおいて、欠落部は、フレーム中心軸線に垂直でありかつ分割面に平行な方向について、収容空間の両側に形成されていることが好ましい。
【0022】
本発明に係る内視鏡のフレームは、欠落部が、フレーム中心軸線に垂直でありかつ分割面に平行な方向について、収容空間の両側に形成されていることにより、収容空間の変形性がより向上し、カメラの収容空間への挿入の容易が図られる。
【0023】
また、本発明に係る内視鏡フレームにおいて、欠落部が、前記分割面の一方側および多方側に延在するように、前記フレーム先端部に形成されていることが好ましい。
【0024】
本発明に係る内視鏡のフレームは、欠落部が、前記分割面の一方側および他方側に延在するように、前記フレーム先端部に形成されていることにより、収容空間の柔軟性がより向上し、カメラの収容空間への挿入の容易が図られる。
【図面の簡単な説明】
【0025】
図1】本発明の実施の形態に係るフレームを備える内視鏡を示す斜視図である。
図2図1のフレームの外装フィルムを省略した状態の側面図である。
図3図2のフレームの上面図である。
図4図2のIV-IV前面断面図である。
図5図4において、機能部品を取り除いて示した前面断面図である。
図6図2のVI-VI前面断面図である。
図7図2のVII-VII前面断面図である。
図8図2のE部拡大図である。
図9図1のフレームの先端部分のフレーム中心軸線に平行な平面による側面断面図である。
図10図9のフレームの先端部分の組み立て状態を示す側面断面図である。
図11】別の実施形態における図2のIV-IV前面断面図である。
図12図11において、すべての取り付け部品を省略して示した前面断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0026】
<実施の形態>
図1図3を参照して、本発明の実施の形態に係る内視鏡100を説明する。図1は、使用状態における内視鏡100の先端部分を示す斜視図である。図2は、図1の内視鏡100の先端部分に含まれるフレーム10について、外装フィルム73を省略して示した側面図である。図3は、図2のフレーム10の上面と、フレーム10に接続されている操作部80とを示している。
【0027】
図1に示されているように、内視鏡100は、体腔内に挿入される先端部分であるフレーム10、フレーム10に接続されている外装チューブ71、フレーム10と外装チューブ71とを接続している継ぎパイプ72、及びフレーム10の一部、継ぎパイプ72、及び外装チューブ71の一部にわたって外面を包んでいる外装フィルム73を備えている。
【0028】
フレーム10は、内部に中空部分が設けられた円筒形状に形成されており、フレーム中心軸線Xを有している。フレーム10は、フレーム先端部11、フレーム中間部12、及びフレーム後端部13を有している。フレーム10には、機能部材60が収容されている。機能部材60は、カメラ61、カメラ用配線62、光源装置63、光源装置用配線64、チャンネルチューブ65、及びフレーム10の向きを操作する操作部材66を含んでいる。フレーム10は、熱可塑性樹脂材、例えばポロプロピレン、ポリエチレン、等で一体的に形成され、屈曲可能な構造に形成されている。
【0029】
フレーム先端部11には、カメラ61、及び光源装置63が配置されており、カメラ用配線62、及び光源装置用配線64がそれぞれ接続されている。チャンネルチューブ65の先端部分は、フレーム先端部11に配置されており、フレーム先端部11のフレーム先端面21に開口している。フレーム先端部11の機能部材60の隙間には、充填剤69、例えばエポキシ樹脂、UV硬化樹脂、等の接着剤が充填されている。充填剤69は、機能部材60を固定するとともに、フレーム先端部11のフレーム先端面21を封止している。フレーム先端面21には、機能部材60のうち、チャンネルチューブ65の開口部のみが露出して、平坦面に形成されている。フレーム先端部11の後端部側における両側の側部には、凹部15がそれぞれ設けられている。また、フレーム後端部13側の端部における上部、及び下部には、連結部14がそれぞれ設けられている。フレーム10の内部構造については後述する。
【0030】
図2に示されているように、フレーム中間部12は、複数の屈曲部16を含んで構成されている。それぞれの屈曲部16は、屈曲部16のフレーム10のフレーム中心軸線X方向におけるフレーム先端部11側端部と、フレーム後端部13側端部とにおける、両側の側部に凹部15がそれぞれ設けられている。また、フレーム中心軸線X方向におけるフレーム後端部13側の端部における上部、及び下部には、連結部14がそれぞれ設けられている。1つの屈曲部16に設けられている上下1組の連結部14は、当該屈曲部16のフレーム後端部13側に隣接している屈曲部16のフレーム先端部11側端部にそれぞれ接続されており、複数の屈曲部16が直線状にフレーム中心軸線X方向に連結されている。
【0031】
連結部14は弾性変形可能であり、フレーム中間部12は、複数の連結部14により、図3による上面視で左右方向に曲がることが可能に構成されている。屈曲部16に設けられている凹部15は隙間空間であり、屈曲部16が互いに干渉することなく曲がることを可能にする。屈曲部16は、数が多いほど、また連結部14のフレーム中心軸線X方向の長さが長いほど、図3の上面視での曲げ角度を大きくすることができる。屈曲部16の数は6つ以上であり、例えば8つ設けられる。屈曲部16の数は、多いほど、屈曲可能な長さを長く、曲がる角度を大きくできる。
【0032】
フレーム後端部13は、継ぎパイプ72に挿入されて、外装チューブ71と接続される部分である。フレーム後端部13の後端側の外周面19の上面、及び下面には、溝部17がそれぞれ設けられている。溝部17は、挿入される継ぎパイプ72と接着する接着剤を保持する。フレーム後端部13のフレーム先端部11側は、隣接する屈曲部16の上下1組の連結部14がそれぞれ接続されている。
【0033】
フレーム先端部11、フレーム中間部12、及びフレーム後端部13を有するフレーム10は、樹脂を射出成型して一体的に形成されている。フレーム10を形成する樹脂は複数の射出口から射出され、複数の射出口により形成されている射出部18が上記各部に形成されている。射出部18は、フレーム先端部11、及びフレーム後端部13に各1つ、及びフレーム中間部12には、2つの屈曲部16に1つ以上の割合で略等間隔に形成されている。
【0034】
外装チューブ71は、フレーム10と、内視鏡100の操作部80との間をつないでいる中空管である。外装チューブ71の内部には、全長にわたってカメラ用配線62、光源装置用配線64、チャンネルチューブ65、及び操作部材66が通されている。操作部材66は、操作ワイヤ67、及び操作ワイヤ67を内部に収容しているスプリングチューブ68を有している。外装チューブ71は、可撓性を有する屈曲可能な樹脂材で形成されている。
【0035】
カメラ用配線62は、カメラ61に供給する電力の電源線、及びカメラ61が撮像した画像を出力する信号線を含んでいる。光源装置用配線64は、光源装置63に供給する電力の電源線を含んでいる。光源装置63が複数、例えば2つ設けられており、光源装置用配線64はそれぞれに設けられている。
【0036】
継ぎパイプ72は、フレーム10、及び外装チューブ71のそれぞれの端部が挿入され、両者を接続している中空管である。フレーム10、及び外装チューブ71の外径は、ほぼ同じである。また、継ぎパイプ72の内径は、フレーム10の外径、及び外装チューブ71の外径に対し、わずかな隙間を有する大きさである。すなわち、フレーム10、及び外装チューブ71は、継ぎパイプ72に対してすきま嵌めで嵌合している。継ぎパイプ72は、薄い板厚の中空管であり、例えばSUS材で形成されている。
【0037】
外装フィルム73は、継ぎパイプ72に挿入されたフレーム10、及び外装チューブ71の外面を覆って両者の接続状態を維持するとともに、体腔内に挿入される当該部分を密封する部材である。外装フィルム73は、薄く、かつフレーム10より小さい内径で筒状に形成されており、径方向に伸ばして内径を広げられ、接続された状態のフレーム10、外装チューブ71、及び継ぎパイプ72が挿入されて、密着装着される。外装フィルム73は、伸びが良い樹脂材、例えばポリウレタンで形成されている。
【0038】
図3を参照して、フレーム先端部11の向きを操作する構造を説明する。フレーム先端部11の向きは、操作部材66で操作される。操作ワイヤ67は、例えば2本の撚り線で形成されており、図1に破線で示されているように、両者のフレーム先端部11側の一端部はフレーム先端部11においてU字状に接続されている。前記U字状に接続されている操作ワイヤ67の先端部は、フレーム先端部11に固定されている。操作ワイヤ67の他端部は、2本の撚り線が接続されて、操作部80内に接続されている。操作ワイヤ67は、例えばSUS材のワイヤで形成されている。操作ワイヤ67は、フレーム10内では、各屈曲部16、及びフレーム後端部13にそれぞれ設けられている第3通路37に通されている。操作部80内には、中心部を回転可能に支持されている滑車機構81が設けられており、操作ワイヤ67の他端部は、滑車機構81にかけられている。なお、操作部80は、カメラ61の画像の操作、チャンネルチューブ65の送水等の操作、等を行う各種スイッチが一体的に設けられていてもよい。
【0039】
操作ワイヤ67は、フレーム後端部13から操作部80まで、スプリングチューブ68の内部に収容されている。スプリングチューブ68は、ワイヤが長手方向にらせん状に巻かれて円筒形状に形成されている。スプリングチューブ68は、例えばSUS材のワイヤで形成されている。操作ワイヤ67がスプリングチューブ68の内部に収容されていることで、外装チューブ71の内面に操作ワイヤ67が直接接触することが避けられる。そのため、操作ワイヤ67の動きが摩擦抵抗で阻害されることが防止され、外装チューブ71が曲がった状態でもフレーム先端部11の向きを軽快に操作することができる。したがって、操作ワイヤ67がスプリングチューブ68に収容されていることで、フレーム先端部11の向きを常に軽く操作することができる。
【0040】
図3において、操作部80で操作ワイヤ67をC1方向に動かすと、フレーム10の右側を通っている操作ワイヤ67が引かれて、フレーム先端部11はC2方向に向く。また、操作ワイヤ67をD1方向に動かすと、フレーム10の左側を通っている操作ワイヤ67が引かれて、フレーム先端部11はD2方向に向く。内視鏡100がこのように操作されて、体腔内において、患部を観察、及び処置することができる。なお、スプリングチューブ68は、操作ワイヤ67がスムーズに動けば設けなくてもよい。
【0041】
図4、及び図5を参照して、フレーム先端部11の内部構造について、説明する。図4は、図2のIV-IV断面図であり、フレーム先端部11のフレーム先端面21に隣接した断面を示している。図5は、図4において、カメラ61等の全ての取り付け部品を省いた状態を示している。
【0042】
図4、及び図5に示されているように、フレーム先端部11は、収容空間22、及び第4通路23を有して、円筒形状に形成されている。収容空間22は、図5において破線Fで示している領域であり、図5の断面図のほぼ上側半分の全体にわたって存在し、全体としてフレーム中心軸線Xを中心とする略円弧形状の空間である。収容空間22は、図5において破線Gで示している領域のカメラ61を収容するカメラ空間24、及びカメラ空間24の両側面に配置され、図5において破線Hで示している領域の光源装置空間31を有しており、両者は、図4、及び図5の断面図において互いに連通している。また、第4通路23は、チャンネルチューブ65を収容する略円形の空間であり、第4通路23の中心はフレーム中心軸線Xから外周側にずらして配置されている。第4通路23の内径は、チャンネルチューブ65の外径よりわずかに大きく形成されており、チャンネルチューブ65は第4通路23に対し、隙を有して挿入されている。カメラ61と、チャンネルチューブ65とのそれぞれの中心は、ほぼフレーム10の外径円の直径を含む平面A上に位置しており、フレーム中心軸線Xを挟んで互いに反対側に配置されている。
【0043】
図4、及び図5を参照して、カメラ61を支持しているカメラ支持部25を説明する。カメラ支持部25は、カメラ支持面27、27、及びカメラ支持面28、29を有している。図4に示されているように、カメラ61は長方形状に形成されており、カメラ61の中心は前記長方形の中心位置である。カメラ空間24において、カメラ61は、カメラ61の一方の1組の対辺を含む両面が、カメラ61の中心を通り平面Aに垂直な直径を含む平面Bに平行となるように配置されており、フレーム先端部11が有するカメラ支持部25に支持されている。前記1組の対辺を含む両面は、カメラ空間24を画定している内面の一部であるカメラ支持面28、29に挟まれて支持されている。カメラ支持面28、29間の寸法は、支持されるカメラ61の上下面間の寸法に対し、若干大きく形成されている。このように上下方向に隙間を有することで、カメラ61を取り付けやすくしている。
【0044】
また、カメラ61の他方の1組の対辺を含む両面は、突出部26が有するカメラ支持面27、27に挟まれて支持されている。突出部26は、カメラ61の両側において、フレーム先端部11の外周部側からフレーム中心軸線Xに向かって突出してそれぞれ設けられている。カメラ支持面27、27間の寸法は、支持されるカメラ61の左右面間の寸法とほぼ同じ大きさに形成されている。両側の突出部26が有するカメラ支持面27、27、及びカメラ支持面28、29は、ほぼフレーム先端部11の先端である図4の断面位置から、図7、及び図8に示され、後述する切り欠き部42の直前まで設けられている。
【0045】
すなわち、カメラ61の外面は、上下面がカメラ支持面28、29、両側面がカメラ支持面27、27により支持されている。カメラ空間24は、カメラ支持面28を含む平面と、カメラ支持面27、27を含み平面Aに平行なそれぞれの平面と、カメラ支持面29を含む平面と、で囲まれる空間である。前記各支持面は、フレーム中心軸線X方向に垂直、かつ互いに垂直である2方向軸に対してカメラ61を支持している。なお、カメラ61の上下面間の寸法に対するカメラ支持面28、29間の寸法、カメラ61の左右面間の寸法に対するカメラ支持面27、27間の寸法は、適宜変更してもよい。例えば、カメラ支持面28、29間の寸法は、カメラ61の上下面間の寸法とほぼ同じで会ってよい。又は、カメラ支持面27、27間の寸法は、カメラ61の左右面間の寸法に対し、若干大きく形成されていてもよい。カメラ61と各支持面間の寸法は、取り付け誤差を許容できる範囲内であれば、隙間があった方が組み立てやすい。
【0046】
図4、及び図5を参照して、光源装置63の固定構造を説明する。図4に示されているフレーム先端部11の前面視において、光源装置63は長方形状に形成されている。光源装置63は内視鏡100に組み込める程度の十分小型の光源装置63であり、例えばLED、レーザ発光器、発光源からの光を誘導する光ファイバ、等である。
【0047】
収容空間22が有する光源装置空間31は、フレーム中心軸線Xに対し垂直なフレーム先端部11の断面において、両者の間にあるカメラ空間24に連通している。言い換えれば、光源装置空間31は、カメラ空間24からそれぞれ円周方向に延びて形成されている。光源装置空間31は、軸方向面32、33、34、及び突出部26に囲まれている空間である。各光源装置空間31は、光源装置空間31において、軸方向面32、33、34に対して隙間を有して配置され、フレーム中心軸線Xに対して垂直な面である光源装置支持面38上に、各光源装置空間31の後面を接して固定されている。光源装置63は、平面Bが通る位置に配置されている。
【0048】
図6は、図2のVI-VI断面図であり、図4に示す断面よりフレーム後端部13側の断面を示している。図6の断面においては、光源装置63の後面から延びている光源装置用配線64の配置状態が示されている。図6の断面では、第2通路36がカメラ空間24につながって両側にそれぞれ形成されている。第2通路36は、光源装置63の光源装置用配線64が有するプラス線、及びアース線の何れか一方を通すための通路である。また、各第2通路36の円周方向には、第3通路37がそれぞれ配置されている。第3通路37は、光源装置用配線64が有するプラス線、及びアース線の何れか他方を通すための通路である。光源装置用配線64が有するプラス線と、アース線とは、光源装置63の後面部周辺において、同じ通路内に配置されておらず、離れた通路を通されていることで、ショートの発生を防いでいる。図6に示す断面の面部材は、各配線をそれぞれ支持している。なお、図6の断面の前記面部材に替えて、カメラ用配線62、及び光源装置用配線64が接続される基板を配置してもよい。
【0049】
図7、及び図8を参照して、切り欠き部42の構造を説明する。図7は、図2におけるVII-VII断面図、図8図7の断面位置における側面図であり、図2のE部の拡大図である。図8に示すように、切り欠き部42は、図7、及び図8に示されている接続部41のみを残して切り欠かれて形成されている部分である。切り欠き部42により、接続部41を除くフレーム先端部11の該当位置の外周部分のほとんど、及びその内側が切り欠かれている。
【0050】
切り欠き部42は、カメラ支持部25の後端側に隣接した部位を含んで、フレーム先端部11の外周面19から内部に、フレーム中心軸線Xに対して垂直方向に切り欠かれている。具体的には、図7において、切り欠き部42は、カメラ支持部25の後端側に隣接した部位を通るフレーム中心軸線Xに垂直な断面において、フレーム中心軸線Xを中心として、前面視でカメラから最も遠いフレーム先端部11の外周面19上の位置から円周方向の両方向に所定角度Lの範囲内のフレーム先端部11を切り欠いて形成されている。前記所定角度は、図7に示されているように、フレーム中心軸線Xを通り、接続部41の周方向の両端部47にそれぞれ接する平面Jと平面Kとがなす角度Lであり、接続部41が存在しない側の角度範囲である。切り欠き部42が存在する外周面19の周方向の所定角度Lは180度から300度である。また、所定角度Lは、180度から300度が好ましい。さらに、所定角度Lは、より好ましくは240度から300度、さらに好ましくは270度から300度である。
【0051】
また、図8に示されているように、切り欠き部42は、カメラ支持部25の後端側に隣接した部位を含んで形成されている。切り欠き部42は、フレーム中心軸線X方向における前端側の切り欠き前端部48、及び後端側の切り欠き後端部49により画定されている。切り欠き前端部48と、切り欠き後端部49とは、全周においてフレーム中心軸線X方向に対して垂直に切り欠いて設けられており、両者の間隔は全周において一定である。両者の間隔、すなわち接続部41のフレーム中心軸線X方向の寸法は適宜決定し得るが、例えばフレーム先端部11のフレーム中心軸線X方向寸法の20%~60%である。なお、切り欠き前端部48、及び切り欠き後端部49は、フレーム中心軸線X方向に対して垂直に形成されていなくてもよい。切り欠き前端部48、及び切り欠き後端部49は、それぞれフレーム中心軸線X方向に垂直以外の角度、例えばフレーム中心軸線Xに対し切り欠き部42の開口部側が開いているようにフレーム中心軸線Xに垂直面に対してそれぞれ0度から30度の何れかの角度を有して形成されていてもよい。又、両者は、それぞれ曲線を含んで形成されていてもよい。
【0052】
切り欠き部42は、切り欠き空間43を形成している。切り欠き空間43が設けられていることで、カメラ61、カメラ用配線62、光源装置63、及び光源装置用配線64を取り付ける際の作業空間を確保している。切り欠き空間43は、フレーム先端部11に機能部材60が取り付けられた後、フレーム先端部11の他の空間とともに、充填剤が充填されている。充填剤の充填後、切り欠き空間43の開口部分はフレーム先端部11の外周面19と段差なくつながった外面が形成されている。
【0053】
図7に示されている断面よりフレーム後端部13では、光源装置用配線64は、第3通路37に通されずに、共に第2通路36内を通されている。第3通路37は、フレーム先端部11の後端部、各屈曲部16、及びフレーム後端部13にも、図5と同様の位置に設けられており、操作部材66が通されている。図7に示されている断面位置、及びその位置よりさらにフレーム後端部13側においては、第1通路35が存在している。第1通路35は、後述するように、カメラ61をフレーム10のフレーム後端部13側から挿入する時にカメラ61を通す空間である。また、第1通路35の両側には、第2通路36が第1通路35につながってそれぞれ形成されている。
【0054】
図9を参照して、接続部41の構造を説明する。図9は、フレーム先端部11のフレーム中心軸線Xに平行な側面断面図である。カメラ61が固定されている位置よりフレーム中心軸線X方向のフレーム後端部13側は、フレーム先端部11の上部の接続部41と、切り欠き部42とが設けられている。接続部41の周方向長さは、前面視において、カメラ支持面28分の幅と、その両側のわずかな部分を含む長さ分を有している。接続部41は、フレーム中心軸線X方向におけるフレーム先端部11のフレーム先端部11側とフレーム後端部13側とを接続している。接続部41は、カメラ61等の取り付け時の際に、弾性変形させて曲げることができる。したがって、カメラ61等をフレーム中心軸線X方向に沿ってカメラ支持部25に挿入する場合に、容易に挿入することができる。
【0055】
カメラ61のフレーム後端部13側に隣接して配置されている接続部41は、内面に案内部44を有している。案内部44は、フレーム先端部11に挿入したカメラ61をフレーム中心軸線X方向の前方、又は後方にスライドさせる際に、カメラ61が正規取り付け位置に到達したことを作業者に認識させることを可能とする部分、すなわち作業者にカメラ61のスライド終了を案内することが可能な部分である。図9に示されているように、案内部44は、カメラ61が取り付けられるカメラ空間24に隣接して配置されている。案内部44は、フレーム中心軸線X方向における両端部である先端側端部45、及び前記先端側端部を通り前記フレーム中心軸線に平行な水平面Mより、前記フレーム中心軸線の側に位置する後端側端部46を有しており、両者をつなぐ案内部内面により構成されている。案内部44は、先端側端部45と、後端側端部46とを通り、フレーム中心軸線Xに対して傾斜している平面と、水平面Mとを含む空間内に形成されている部分であり、案内部44は、先端側端部45から形成されている。
【0056】
後端側端部46のフレーム中心軸線Xからの距離は、先端側端部45のフレーム中心軸線Xからの距離より小さく形成されている。案内部44は、例えば先端側端部45から後端側端部46まで連続的に平坦に形成されている傾斜面である。カメラ61を取り付ける際に、フレーム先端部11側からと、フレーム後端部13側との何れの方向から挿入されても、案内部44は、案内部44とカメラ61との接触状態により、カメラ61のフレーム中心軸線X方向のカメラ61の位置を作業者が認識できるように案内することができる。
【0057】
カメラ61をフレーム先端部11側から取り付ける場合には、カメラ61がカメラ固定位置であるカメラ空間24に到達し、さらにフレーム後端部13側に押されると、カメラ61の後端面が先端側端部45側に当接する。そのため、作業者は挿入力が増えることでカメラ61が正規取り付け位置であるカメラ空間24に到達したことを認識できる。また、カメラ61をフレーム後端部13側から取り付ける場合には、カメラ61の後端部が案内部44を接触しながら通り過ぎて離れる時に認識できる。カメラ61と案内部44とが離れるとカメラ61の挿入力が変化する。それにより作業者は、カメラ61が正規取り付け位置であるカメラ空間24に到達したことを認識することができる。作業者は、カメラ61を第1通路35に通し、フレーム後端部13側からカメラ61の前端部がカメラ空間24を画定しているカメラ支持面29の後端部と当接するまで挿入する。作業者は、図10に示されているように、案内部44、すなわち接続部41を中心にフレーム先端部11を上下方向に折るように曲げて弾性変形させ、カメラ61をカメラ空間24にスライドさせて挿入する。
【0058】
なお、案内部44と、切り欠き部42とのフレーム中心軸線X方向の位置のそれぞれの存在範囲は全く同じ範囲でよいが、一部が重なっているように設けられていてもよい。例えば、切り欠き部42のフレーム中心軸線X方向の範囲は、案内部44のフレーム中心軸線X方向の位置の一部分であってもよい。
【0059】
図6に示されているように、切り欠き空間43には、操作部材66の操作ワイヤ67の先端部分が配置されている。操作ワイヤ67の先端部は切り欠き空間43において、フレーム先端部11に固定されている。
【0060】
[カメラ61、及び光源装置63の取り付け方法]
図9を参照して、カメラ61、及び光源装置63のフレーム10への取り付け方法を説明する。何れの場合にも、光源装置用配線はフレーム先端部11側から通される。しかし、カメラ用配線62は、カメラ用配線62の後端側端部に設けられている図示しない接続コネクタの大きさによっては、第1通路35を通すことができない。そのため、カメラ61は、カメラ用配線62をフレーム先端部11からフレーム後端部13側に通す方法、及びカメラ用配線62をフレーム後端部13からフレーム先端部11側に通す方法の2通りの何れかで取り付け可能である。以下に、カメラ61と、光源装置63との取り付け方法について説明する。何れの方法でも、カメラの撮像面の傷つきを避けるために、光源装置63がカメラ61より先に取り付けられる。
【0061】
1.カメラ61をフレーム先端部11側から取り付ける方法
以下の(1-1)から(1-3)の手順により、フレーム先端部11側からカメラ61、及び光源装置63を取り付ける。
【0062】
(1-1)光源装置63の取り付け
光源装置用配線64のプラス線、及びアース線を、図5に示されている第2通路36、及び第3通路37にそれぞれ通す。第3通路37を通した配線は、図8に示されている切り欠き空間43を通した後、もう一方の配線とともに、フレーム先端部11のフレーム後端部13側の端部、及び屈曲部16の第1通路35を通す。光源装置用配線64をフレーム後端部13側に引きながら、光源装置63を図5に示されている光源装置空間31に収容し、光源装置支持面38に取り付ける。
【0063】
(1-2)カメラ61の取り付け
カメラ用配線62を、フレーム先端部11側から図5に示されている第1通路35を通す。カメラ用配線62をフレーム後端部13側に引きながら、カメラ61を図5に示されているカメラ支持面27、28、29の間に嵌め込む。カメラ61が案内部44の先端側端部45に当接するまでカメラ61を挿入して、カメラ61をカメラ空間24に収容する。
【0064】
(1-3)充填剤の充填
カメラ61、及び光源装置63の取り付け前、又は後に、チャンネルチューブ65を第4通路23に挿入する。チャンネルチューブ65の先端の開口部に充填材侵入防止部材(キャップ)を取り付け後、フレーム先端部11の隙間に充填剤を充填する。フレーム先端面21は充填剤により平滑面となり、カメラ61、及び光源装置63は充填剤の内部に埋め込まれて固定される。
【0065】
2.カメラ61をフレーム後端部13側から取り付ける方法
以下の(2-1)から(2-3)の手順により、フレーム先端部11側から光源装置63、及びフレーム後端部13側からカメラ61を取り付ける。
【0066】
(2-1)光源装置63の取り付け
光源装置63と、光源装置用配線64との取り付けは、上記(1-1)と同じ方法で行う。
【0067】
(2-2)カメラ61の取り付け
図10を参照して、説明する。図10は、図9のフレーム先端部11のカメラ取り付け状態を示した側面断面図である。図10に破線で示されているカメラ61のように、フレーム後端部13側から第1通路35をフレーム先端部11側に通す。図10に実線で示されているカメラ61のように、カメラ61がカメラ空間24に接すると、カメラ61の前端面がカメラ空間24を画定しているカメラ支持面29の後端部と当接する。その後、図10に示されているように、案内部44、すなわち接続部41を中心にフレーム先端部11を上下方向に折るように曲げて弾性変形させ、第1通路35と、カメラ空間24とが、ほぼ平行になるようにする。具体的には、例えばフレーム先端部11を保持し、フレーム後端部13側を持って、切り欠き部42の間隔を縮める方向、すなわち図10中で接続部41を下方向に曲げる。その状態でカメラ61をカメラ空間24にスライドさせ、カメラ61が案内部44から離れるまで挿入する。カメラ61がカメラ空間24に対してわずかに傾斜している案内部44から離れて接触しなくなると、作業者は、カメラ61の挿入方向の抵抗感が少なくなる等の変化を感じる。この時点でカメラ61のスライドをやめる。このようにして、カメラ61をカメラ空間24に収容する。
【0068】
(1-3)充填剤の充填
充填剤の充填は、上記(1-1)と同じ方法で行う。
【0069】
以上の何れかの方法により、機能部材60が取り付けられる。
【0070】
また、本発明の別の実施形態として、カメラ61および光源装置63が一体となった一体型カメラ61Aを収容できるフレーム先端部11を形成してもよい。なお、フレーム先端部11には一体型カメラ61Aだけでなく、カメラ61のみが収容されてもよく、カメラ61および光源装置63のそれぞれが個別に収容されてもよい。
【0071】
図11、及び図12を参照して、別の実施形態におけるフレーム先端部11の内部構造について説明する。図11は、別の実施形態における図2のIV-IV断面図であり、フレーム先端部11のフレーム先端面21に隣接した断面を示している。図12は、図11においてすべての取り付け部品を省略して示した前面断面図である。
【0072】
図11、及び図12に示されているように、フレーム先端部11は、収容空間22、欠落部39、及び第4通路23を有して円筒形状に形成されている。収容空間22は、図12において破線Iで示している領域であり、図12の断面図において、フレーム中心軸線Xを通り、フレーム先端部を分割する分割面である平面Bの一方側(図12の上側)にのみ形成されている。収容空間22は、平面Bの他方側(図12の下側)にのみ形成されていてもよく、平面Aの一方側(図12の右側または左側)に形成されていてもよい。また、収容空間22の両側面に配置されており、図12において破線Jで表されている領域の欠落部39を有している。なお、本実施形態の上記以外の構成は図4、及び図5のフレーム先端部11と同じであるので、図4、及び5と同様の符号を付して説明を省略する。
【0073】
図11、及び図12に示されているように、収容空間22は、横長の略矩形と、当該略矩形の一方の長辺(上辺)を下底とする略等脚台形とが組み合わせられたような断面形状を有するカメラ支持部25を有する。収容空間22の断面形状は、当該略矩形の他方の長辺の中央部分において内側に窪んでいる。カメラ支持部25は、カメラ支持面27、27、およびカメラ支持面28、28A、28A、29、29A、29Aを有している。
【0074】
カメラ支持面27は収容空間22の左右を画定する当該矩形の一対の短辺に相当する一対の平面である。カメラ支持面28Aはそれぞれ、収容空間22の上側左右部分を画定する当該略等脚台形の一対の対辺に相当する平面である。カメラ支持面28は、収容空間22の上側中央部分を画定する当該略等脚台形の上底に相当する平面である。カメラ支持面29Aはそれぞれ、収容空間22の下側左右部分を画定する当該略矩形の他方の長辺の左右部分に相当する平面である。カメラ支持面29は、収容空間22の下側中央部分を画定する当該略矩形の他方の長辺中央部分(内側に凹んでいる部分)に相当する曲面である。図11に示されているフレーム先端部11の横断面では、カメラ支持面28がカメラ支持面29よりも長く形成されているが、カメラ支持面29がカメラ支持面28より長く形成されていてもよい。
【0075】
図11に示されているように、一体型カメラ61Aまたはそのハウジングは、カメラ支持部25と略同じ断面形状を有するように形成されている。すなわち、当該断面形状は、略矩形と、当該略矩形の一方の長辺を下底とする略等脚台形とが組み合わせられたような形状である。一体型カメラ61Aのカメラ部分61Bまたはそのハウジングは、略直方体形状に(略矩形状の横断面を有するように)形成されている。一体型カメラ61Aの左右一対の光源装置部分61Cまたはそのハウジングのそれぞれは、略台形柱状に(左右を上底および下底とする略不等脚台形状の横断面を有するように)形成されている。左右一対の光源装置部分61Cは、カメラ部分61Bの両側に、カメラ部分61Bの中心を通り、平面Bに垂直な平面を基準として鏡映対称となるように形成かつ配置されている。カメラ部分61Bは、カメラ支持面28および29により上下から挟まれて支持されている。光源装置部分61Cは、それぞれカメラ支持面27、28Aおよび29Aに当接した状態で支持されている。カメラ支持面28、29間の寸法は、支持される一体型カメラ61Aの上下の寸法に対し、若干大きく形成されている。図11から明らかなように、カメラ支持面29と一体型カメラ61Aとの間に、隙間ができるように収容空間22が形成されている。これにより、一体型カメラ61Aの収容空間22への挿入の容易が図られている。
【0076】
収容空間22の横断面形状は、一体型カメラ61Aの外形に合わせてさまざまに変更されてもよい。例えば、収容空間22の横断面形状は、横長の略矩形状であってもよい。収容空間22の横断面形状は、横長の略矩形と当該略矩形の一方の長辺を下底とする略等脚台形とが組み合わせられたような形状であってもよい。収容空間22の横断面形状は、横長の略矩形と当該略矩形の左右一対の短辺を弦、径または長軸もしくは短軸とする左右一対の円弧もしくは楕円弧、半円形または楕円形とが組み合わせられたような形状であってもよい。
【0077】
一体型カメラ61Aを構成するカメラ部分61Bおよび光源装置部分61Cの相対配置態様はさまざまに変更されてもよい。一体型カメラ61Aは、光源装置部分61Cを中心に配置し、カメラ部分61Bを光源装置の両側に一対に配置してもよい。また、光源装置部分61Cがカメラ部分61Bの左右どちらか一方側にのみ配置されてもよい。
【0078】
図11、及び図12を参照して、欠落部39について説明する。欠落部39は、中心軸線に平行な方向にフレーム10の先端側から、後端側に向けて局所的に薄肉になるよう形成されている。左右一対の欠落部39のそれぞれは、図12に示されているように、収容空間22に連続して左右それぞれの外側に広がるように、略周方向または斜め下方に延びて形成されている。フレーム軸線Xを通り、フレーム先端部11を二分割(図11では上下に分割)する平面Bを超えるまで延びて形成されている。欠落部39は、当該平面Bを超えないように形成されていてもよい。
【0079】
欠落部39は、収容空間22と同様に、切り欠き部42に連通するように、フレーム中心軸線に平行な方向に貫通するよう形成されていてもよい。欠落部39の断面形状または正面視形状は、さまざまに変更されてもよい。例えば、欠落部39の断面形状は、楕円形状であってもよく、三角形状または矩形状であってもよい。また、収容空間22における欠落部39との連通箇所の位置はさまざまに変更されてもよい。また、欠落部39は、収容空間22と連通しないように形成されていてもよい。欠落部39を設けることで収容空間22の変形性が向上し、一体型カメラ61Aの当該収容空間22への挿入の容易が図られる。
【0080】
[一体型カメラ61Aの取り付け]
一体型カメラ61Aのフレーム先端部11に対する取り付けは、上記(1-2)または(2-2)と同じ方法で行う。一体型カメラ61Aを取り付ける場合、カメラ61と光源装置63をそれぞれ取り付ける場合には必要な光源装置63を取り付ける工程を省略できるため、より容易に内視鏡を組み立てることができる。
【0081】
本発明により、カメラ等の部品を所定位置に配置でき、容易に組み立てられる内視鏡の先端部分のフレームを提供することができる。
【符号の説明】
【0082】
10 フレーム、11 フレーム先端部、22 収容空間、
24 カメラ空間、25 カメラ支持部、31 光源装置空間、
39 欠落部、41 接続部、42 切り欠き部、
44 案内部、45 先端側端部、
46 後端側端部、61 カメラ、61A 一体型カメラ、
61B カメラ部分、61C 光源装置部分、63 光源装置。
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11
図12