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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024098500
(43)【公開日】2024-07-23
(54)【発明の名称】生分解性マーカーペン
(51)【国際特許分類】
   B43K 8/02 20060101AFI20240716BHJP
   B43K 8/03 20060101ALI20240716BHJP
   B43K 8/00 20060101ALI20240716BHJP
   C08L 23/12 20060101ALI20240716BHJP
   C08L 23/06 20060101ALI20240716BHJP
   C08L 67/00 20060101ALI20240716BHJP
   C08K 5/09 20060101ALI20240716BHJP
   C08K 3/08 20060101ALI20240716BHJP
   B43K 1/12 20060101ALI20240716BHJP
【FI】
B43K8/02
B43K8/03
B43K8/00 100
C08L23/12
C08L23/06
C08L67/00
C08K5/09
C08K3/08
B43K1/12 B
【審査請求】有
【請求項の数】10
【出願形態】OL
【外国語出願】
(21)【出願番号】P 2024000931
(22)【出願日】2024-01-08
(31)【優先権主張番号】63/479,203
(32)【優先日】2023-01-10
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(71)【出願人】
【識別番号】524010527
【氏名又は名称】▲ケン▼瓏實業股▲分▼有限公司
【氏名又は名称原語表記】Sunny Pro Co.,Ltd.
【住所又は居所原語表記】5F.,No.56,Ln.31,Minzu Rd.,Tamsui Dist.,New Taipei City 25167,Taiwan
(74)【代理人】
【識別番号】100185694
【弁理士】
【氏名又は名称】山下 隆志
(72)【発明者】
【氏名】謝其庭
(72)【発明者】
【氏名】▲黄▼容珊
(72)【発明者】
【氏名】方舜芝
(72)【発明者】
【氏名】▲黄▼昭翰
(72)【発明者】
【氏名】蔡兆曦
【テーマコード(参考)】
2C350
4J002
【Fターム(参考)】
2C350GA04
2C350HA15
2C350NC04
2C350NC05
2C350NC10
2C350NC23
4J002BB033
4J002BB121
4J002BN154
4J002CF002
4J002DA086
4J002DA106
4J002DA116
4J002EF056
4J002EF076
4J002GC00
(57)【要約】
【課題】優れた密封力を有する生分解性マーカーペンを提供する。
【解決手段】
生分解性マーカーペンは、バレル、キャップ及びインク貯蔵管を含む。前記バレルは、柱状中空構造であり、前記インク貯蔵管を収容するために使用され、前記キャップは、前記バレルに着脱可能かつ気密に接合され、前記バレル、前記キャップ及び前記インク貯蔵管は、それぞれ2~10質量%の生分解性助剤を含む。生分解性助剤は、炭素数10~30の一価不飽和カルボン酸または炭素数10~30の多価不飽和カルボン酸を含み、且つ遷移金属化合物も含むことが好ましい。
【選択図】図2
【特許請求の範囲】
【請求項1】
バレル、キャップ及びインク貯蔵管を含み、
前記バレルは、柱状中空構造であり、前記インク貯蔵管を収容するために使用され、前記キャップは、前記バレルと着脱可能に気密に接合され、
前記バレル、前記キャップ及び前記インク貯蔵管は、それぞれ2~10質量%の生分解性助剤を含む、生分解性マーカーペン。
【請求項2】
前記生分解性助剤は、炭素数10~30の一価不飽和カルボン酸または炭素数10~30の多価不飽和カルボン酸を含み、且つ遷移金属化合物も含む請求項1に記載の生分解性マーカーペン。
【請求項3】
前記生分解性助剤は、オレイン酸を含む請求項2に記載の生分解性マーカーペン。
【請求項4】
前記遷移金属化合物は、鉄、コバルト、チタン、マンガン、銅、亜鉛、またはそれらの組み合わせを有する化合物を含む請求項2に記載の生分解性マーカーペン。
【請求項5】
前記生分解性マーカーペンの成分には、質量%でポリプロピレン60~98%、ポリエチレン0~10%、ポリエステル5~35%、および前記生分解性助剤2~10%を含む請求項1~4の何れか一項に記載の生分解性マーカーペン。
【請求項6】
前記バレルは、開放管であり、前記生分解性マーカーペンは、前記バレルに継ぎ目なく嵌め込まれ、前記バレルの一端を気密に封止するペン裏蓋を更に含む請求項5に記載の生分解性マーカーペン。
【請求項7】
前記生分解性マーカーペンは、ペン芯ホルダを含み、前記ペン芯ホルダは、前記バレル内に配置され、前記インク貯蔵管を固定する請求項5に記載の生分解性マーカーペン。
【請求項8】
カバーフィルムが、前記インク貯蔵管の形状を維持するように前記インク貯蔵管の外周を覆い、且つ前記インク貯蔵管及び前記カバーフィルムの成分は、重量%でプラスチック90%~98%と前記生分解性助剤2%~10%とを含み、前記プラスチックは、ポリプロピレン、ポリエチレン、ポリエステル、アクリロニトリルブタジエンスチレン共重合体又は上記の物質の組み合わせを含む請求項1~4の何れか一項に記載の生分解性マーカーペン。
【請求項9】
前記バレルと前記キャップを分離するために使用される力の大きさは、2.0~13.0kgfである請求項1~4の何れか一項に記載の生分解性マーカーペン。
【請求項10】
前記インク貯蔵管の密度は、0.13~0.24グラム/立方センチメートルである請求項1~4の何れか一項に記載の生分解性マーカーペン。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、筆記用具または描画用具、特に生分解性の筆記用具または描画用具に関する。
【背景技術】
【0002】
マーカーペンは、その使いやすさ、携帯性、鮮やかなインク色により、さまざまな分野で広く使用されている多機能な筆記用具及び描画用具である。ただし、マーカーペンは強力で多機能な筆記用具及び描画用具であるが、マーカーペン内のインクは揮発しやすいため、マーカーペンの密閉性は非常に重要である。マーカーペンのインクは発色が良く、速乾性があるため創作には非常に便利であるが、密着性が不十分だとインクが揮発又は乾燥しやすくなることがある。
【0003】
マーカーペンは、多機能性と筆記用具および描画用具としての有効性で知られているが、インクの揮発性により、ペンの密封能力の重要性が強調されている。マーカーペンのインクの鮮やかで速乾である特性は、創作用途に最適であるが、ペンの密封が不十分である場合、インクが容易に揮発又は乾燥しやすくなる可能性がある。
【0004】
インクの鮮やかな色を維持し、インクがすぐに乾燥せずに随時使用できるように確保するため、多くのマーカーペンは、気密性の高いパッケージデザインとシール材を使用している。ただし、マーカーペンは、通常、効果的なシールを実現するためにプラスチックや金属の部材を使用しており、これらの材料の選択により、環境問題の可能性についていくつかの懸念が生じる。マーカーペンのプラスチック及び金属部品の製造及び廃棄は、環境汚染、資源の枯渇、リサイクルの困難などの環境問題を引き起こす可能性がある。これらの材料は、廃棄された後も長期間環境中に残るため、長期的な影響を及ぼす。
【0005】
マーカーペンは、さまざまな気密パッケージやシール材が使用されることがよくある。しかし、マーカーペンを効果的に密封するにはプラスチック及び金属の部材が使用されることが多く、残念ながら環境上の一定の懸念が生じる。マーカーペンのプラスチック及び金属の部品の製造と廃棄は、汚染、資源の枯渇、リサイクルの困難などの環境問題を引き起こす可能性がある。これらの材料は環境中に存在するため、その影響は長期にわたる可能性がある。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
このため、優れた密封力を有する生分解性マーカーペンの開発が関連分野における急ぎの開発目標となっている。
【課題を解決するための手段】
【0007】
マーカーペンによる環境問題を解決するため、本発明は、バレル、キャップ及びインク貯蔵管を含み、前記バレルは、柱状中空構造であり、前記インク貯蔵管を収容するために使用され、前記キャップは、前記バレルと着脱可能に気密に接合され、前記バレル、前記キャップ及び前記インク貯蔵管は、それぞれ2~10質量%の生分解性助剤を含む、生分解性マーカーペンを提供する。
【0008】
本発明の生分解性マーカーペンにおいて、前記生分解性助剤は、炭素数10~30の一価不飽和カルボン酸または炭素数10~30の多価不飽和カルボン酸を含み、且つ遷移金属化合物も含む。
【0009】
本発明の生分解性マーカーペンにおいて、前記生分解性助剤は、オレイン酸を含む。
【0010】
本発明の生分解性マーカーペンにおいて、前記遷移金属化合物は、鉄、コバルト、チタン、マンガン、銅、亜鉛、またはそれらの組み合わせを有する化合物を含む。
【0011】
本発明の生分解性マーカーペンにおいて、前記生分解性マーカーペンの成分には、質量%でポリプロピレン60~98%、ポリエチレン0~10%、ポリエステル5~35%、および前記生分解性助剤2~10%を含む。
【0012】
本発明の生分解性マーカーペンにおいて、前記バレルは、開放管であり、前記生分解性マーカーペンは、前記バレルに継ぎ目なく嵌め込まれ、前記バレルの一端を気密に封止するペン裏蓋を更に含む。
【0013】
本発明の生分解性マーカーペンにおいて、前記生分解性マーカーペンは、ペン芯ホルダを含み、前記ペン芯ホルダは、前記バレル内に配置され、前記インク貯蔵管を固定する。
【0014】
本発明の生分解性マーカーペンにおいて、カバーフィルムが、前記インク貯蔵管の形状を維持するように前記インク貯蔵管の外周を覆い、且つ前記インク貯蔵管及び前記カバーフィルムの成分は、重量%でプラスチック90%~98%と前記生分解性助剤2%~10%とを含み、前記プラスチックは、ポリプロピレン、ポリエチレン、ポリエステル、アクリロニトリルブタジエンスチレン共重合体又は上記の物質の組み合わせを含む。
【0015】
本発明の生分解性マーカーペンにおいて、前記バレルと前記キャップを分離するために使用される力の大きさは、2.0~13.0kgfである。
【0016】
本発明の生分解性マーカーペンにおいて、前記インク貯蔵管の密度は、0.13~0.24グラム/立方センチメートルである。
【発明の効果】
【0017】
上記の説明から、本発明は次の効果を達成することが分かる。
本発明の前記生分解性マーカーペンは、環境保護と持続可能性において大きな利点を有する。プラスチック汚染を引き起こす従来のマーカーペンとは異なり、本発明の革新的な前記生分解性マーカーペンの各部材はすべて生分解性素材で作られ、前記生分解性マーカーペンに生産から廃棄まで環境への影響を最小限に抑えさせ、前記生分解性マーカーペンの品質に影響を与えることなく、極めて優れた密閉性を備える。
【図面の簡単な説明】
【0018】
図1】本発明の生分解性マーカーペンの第1好適実施例の立体外観図である。
図2】本発明の生分解性マーカーペンの第1好適実施例の立体分解図である。
図3】本発明の生分解性マーカーペンの第1好適実施例の縦断面図である。
図4】本発明の生分解性マーカーペンの第2好適実施例の立体外観図である。
図5】本発明の生分解性マーカーペンの第2好適実施例の立体分解図である。
図6】本発明の生分解性マーカーペンの第2好適実施例の縦断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0019】
本発明の実施例の技術案をより明確に説明するために、以下では、各実施例の説明に使用する必要がある図面を簡単に紹介する。明らかに、以下の説明における図面は、本発明の一部の例示又は実施例にすぎず、当業者は、創造的な作業をすることなく、これらの図面に従って他の同様の場面に本発明を適用することもできる。文脈から明らかでない限り、又は別途説明がない限り、図中の同様の部材符号は同様の構造又は動作を表す。
【0020】
本発明及び特許請求の範囲に示すように、文脈が例外を明確に示していない限り、「一」、「1つ」、「1種」又は「前記」等の単語は、特に単数を指すものではなく、複数を含んでもよい。一般的に言えば、「備える」及び「含む」という用語は、明確に識別されたステップ及び要素を含むこと示すのみであり、これらのステップ及び要素は排他的なリストを構成するものではなく、方法又は装置は他のステップ又は要素も含んでもよい。
【0021】
図1図3は、本発明の生分解性マーカーペン10の第1好適実施例を示す。前記生分解性マーカーペン10は、キャップ11、インク貯蔵管14及びバレル15を含む。
【0022】
ここで、前記バレル15は、柱状中空構造であり、前記バレル15は、前記インク貯蔵管14を収容するために使用される。前記バレル15は、開放管又は半閉止管であってよい。本実施例では、前記バレル15は、開放管であり、ペン裏蓋12が前記バレル15の第1端にしっかりと固定される。前記ペン裏蓋12は、前記バレル15に継ぎ目なく嵌め込まれ、前記バレル15の前記第1端を気密に封止して、密封された相互接合を達成する。
【0023】
ここで、前記インク貯蔵管14は、前記バレル15内に配置される。本実施例では、前記インク貯蔵管14は、第2端に配置されたペン先142を含み、カバーフィルム141は、前記インク貯蔵管14の外周を覆ってインク貯蔵管14の形状を維持する。さらに、前記バレル15内にペン芯ホルダ13が配置され、前記ペン芯ホルダ13は、前記インク貯蔵管14を位置決め及び安定化し、前記バレル15内での前記インク貯蔵管14の不要な移動又は位置ずれを発生することを防ぐために使用される。
【0024】
図4図6は、本発明の生分解性マーカーペン10Aの第2好適実施例を示す。前記生分解性マーカーペン10Aは、キャップ11A、インク貯蔵管14A及びバレル15Aを含む。
【0025】
ここで、前記バレル15Aは、柱状中空構造であり、前記バレル15Aは、前記インク貯蔵管14Aを収容するために使用される。前記バレル15Aは、開放管又は半閉止管であってよい。本実施例では、前記バレル15Aは、開放管であり、ペン裏蓋A12は、前記バレル15Aの第1端にしっかりと固定される。前記ペン裏蓋12Aは、前記バレル15Aに継ぎ目なく嵌め込まれ、前記バレル15Aの前記第1端を気密に封止して、密封された相互接合を達成する。
【0026】
ここで、前記インク貯蔵管14Aは、前記バレル15A内に配置される。本実施例では、前記インク貯蔵管14Aは、第2端に配置されたペン先142Aを含み、カバーフィルム141Aは、前記インク貯蔵管14Aの外周を覆って前記インク貯蔵管14Aの形状を維持する。本実施例では、前記バレル15Aの前記第1端と相対する前記第2端がテーパーになっており、前記インク貯蔵管14Aの前記ペン先142Aを収容して固定する。前記バレル15Aの前記第2端の直径は徐々に小さくなり、前記バレル15A内での前記インク貯蔵管14Aの位置を維持し、前記バレル15A内での前記インク貯蔵管14Aの不必要な移動又は位置ずれを発生することを防ぐ。
【0027】
図1図6を合わせて参照し、本発明の第1好適実施例及び第2好適実施例では、前記生分解性マーカーペン10、10Aが閉じた状態にあるとき、前記キャップ11、11Aは、ロック機構を介して前記バレル15、15Aにしっかりと取り付けられ、密閉環境を生成し、インクの揮発又は漏れを防ぐ。前記ロック機構は、連動機構、ネジ機構又はスナップ機構等を含む。好ましくは、前記ロック機構は、前記スナップ機構である。
【0028】
前記生分解性マーカーペン10、10Aが閉状態の場合、前記キャップ11、11Aを前記バレル15、15Aから取り外すには力を加える必要がある。好ましくは、キャップ11、11Aとバレル15、15Aを分離するのに必要な力は、2.0~13.0kgf(kilogram-force)である。より好ましくは、前記力は、3.0~10.0kgf(kilogram-force)である。好適実施例では、前記力の大きさは4.5kgfである。
【0029】
前記生分解性マーカーペン10、10Aの成分は、質量パーセントで88~98%のプラスチックと、2~10%の生分解性助剤を含む。好ましくは、プラスチックは、ポリプロピレン(polypropylene)、ポリエチレン(polyethylene)、ポリエステル(polyester)、アクリロニトリルブタジエンスチレン(acrylonitrile butadiene styrene)又は上記物質の組み合わせを含む。
【0030】
前記生分解性マーカーペン10、10Aのすべての部材は、何れも前記生分解性助剤を含む。本発明の第1好適実施例又は第2好適実施例では、2質量%の前記生分解性助剤は、前記生分解性マーカーペン10、10Aの全ての部材に均一かつ均質に分布する。
【0031】
好ましくは、前記生分解性マーカーペン10、10Aの成分は、質量%でポリプロピレン60~98%、ポリエチレン0~10%、ポリエステル5~35%、および前記生分解性助剤2~10%を含む。
【0032】
いくつかの好適実施例では、前記キャップ11、11Aの成分は、質量%でポリプロピレン90~98%、および前記生分解性助剤2~10%を含む。
【0033】
いくつかの好適実施例では、前記ペン裏蓋12、12Aの成分は、質量%でポリプロピレン90~98%、および前記生分解性助剤2~10%を含む。
【0034】
いくつかの好適実施例では、前記バレル15、15Aの成分は、質量%でポリプロピレン90~98%、および前記生分解性助剤2~10%を含む。
【0035】
いくつかの好適実施例では、前記インク貯蔵管14、14Aおよび前記ペン先142、142Aは、ポリエステル繊維で構成され、前記インク貯蔵管14、14Aおよび前記ペン先142、142Aの成分は、質量%でポリエステル90~98%、および前記生分解性助剤2~10%である。前記インク貯蔵管14、14A及びペン先142、142Aの製造完成後にインクを加える。好ましくは、前記ポリエステルは、ポリエチレンテレフタレート(polyethylene terephthalate)である。好ましくは、前記インク貯蔵管14、14Aの密度は、0.13~0.24グラム/立方センチメートルである。より好ましくは、前記インク貯蔵管14、14Aの密度は、0.17~0.21グラム/立方センチメートルである。
【0036】
いくつかの好適実施例では、カバーフィルム141、141Aの成分は、質量%でポリエチレン90~98%、および前記生分解性助剤2~10%を含む。好ましくは、ポリエチレンは、低密度ポリエチレンである。
【0037】
前記生分解性助剤は、炭素数10~30の一価不飽和カルボン酸または炭素数10~30の多価不飽和カルボン酸を含み、遷移金属化合物も含む。
【0038】
好ましくは、前記生分解性助剤中の不飽和カルボン酸はオレイン酸(oleic acid)である。好ましくは、前記遷移金属化合物には、鉄、コバルト、チタン、マンガン、銅、亜鉛、またはそれらの組み合わせの化合物を含む。
【0039】
好ましくは、前記生分解性助剤は、2種以上の前記遷移金属化合物を含む。一実施例では、前記生分解性助剤は、鉄及びマンガンを含む前記遷移金属化合物を含む。
【0040】
好適実施例では、前記キャップ11、11A、前記ペン裏蓋12、12A、前記ペン芯ホルダ13及び前記バレル15、15Aは、射出成形機を使用して製造される。まず、複数のポリプロピレン粒子と複数の前記生分解性助剤の粒子が、質量%でポリプロピレン90~98%及び前記生分解性助剤2~10%の割合で均一に混合し、溶融して溶融混合物を形成する。前記射出成形機は、溶融混合物を金型に射出して、前記キャップ11、11A、前記ペン裏蓋12、12A、前記ペン芯ホルダ13および前記バレル15、15Aをそれぞれ製造する。
【0041】
前記インク貯蔵管14、14Aの製造プロセスでは、まず複数のポリエステル粒子と複数の前記生分解性助剤の粒子を、質量%でポリエステル90~98%及び前記生分解性助剤2~10%の割合で均一に混合及び溶解し、複数の紡糸口金を通して押し出して複数の糸を形成する。前記糸を冷却し、一緒に丸め、編み込み又は圧縮して前記インク貯蔵管14、14Aを形成する。好ましくは、前記インク貯蔵管14、14Aは、前記カバーフィルム141、141Aで覆って、前記インク貯蔵管14、14Aの形状を維持し、より良好なインク保存特性を有する。
【0042】
他の好適実施例では、前記生分解性マーカーペン10の前記バレル15が押出成形によって製造される。まず、複数のポリプロピレン粒子と複数の前記生分解性助剤の粒子を、質量%でポリプロピレン90~98質量%及び前記生分解性助剤2~10質量%の割合で均一に混合し、溶融して溶融混合物を形成する。次に、溶融した混合物を金型で押し出し、急冷して固化させた後、前記バレル15に切断する。
【0043】
好ましくは、前記生分解性マーカーペン10、10Aの製造プロセスは、従来のマーカーペンの製造プロセスに若干の変更を加えて従来のマーカーペンの製造プロセスに統合することができる。本発明は、前記生分解性マーカーペン10、10Aの組成成分の配合を変更し、質量%で2~10%の前記生分解性助剤を原料組成物に混合し、前記生分解性マーカーペン10、10A全体に、バレル15、15Aからペン裏蓋12、12Aまでの生分解性マーカーペン10、10Aのすべての部材について完全に生分解性の効果を実現させる。
【0044】
本発明の前記生分解性マーカーペン10、10Aの測定
本発明の前記生分解性マーカーペン10、10Aの精度をテストする。同じ金型と製造プロセスを使用するが、生分解性助剤を添加しないマーカーペンのいくつかの比較例を、本発明の前記生分解性マーカーペン10、10Aの好適実施例の幾つかの範例と比較した。
【0045】
表1では、範例1の前記生分解性マーカーペン10Aの前記キャップ11Aの特定の直径長さと、比較例1のマーカーペンのキャップの対応する直径長さとを比較している。両者は何れも射出成形プロセスを使用して同じ金型から作られている。
【0046】
【表1】
【0047】
表2では、範例2の前記生分解性マーカーペン10Aの前記バレル15Aの特定の直径長さと、比較例2のマーカーペンのバレルの対応する直径長さとを比較している。両者は何れも射出成形プロセスを使用して同じ金型から作られている。
【0048】
【表2】
【0049】
表3では、範例3の前記生分解性マーカーペン10Aの前記ペン裏蓋12Aの特定の直径長さと、比較例3のマーカーペンのペン裏蓋の対応する直径長さとを比較している。両者は何れも射出成形プロセスを使用して同じ金型から作られている。
【0050】
【表3】
【0051】
表4では、範例4の前記生分解性マーカーペン10の前記キャップ11の特定の直径長さと、比較例4のマーカーペンのキャップの対応する直径長さとを比較している。両者は何れも射出成形プロセスを使用して同じ金型から作られている。
【0052】
【表4】
【0053】
表5では、範例5の前記生分解性マーカーペン10の前記ペン芯ホルダ13の特定の直径長さと、比較例5のマーカーペンのペン芯ホルダの対応する直径長さとを比較している。両者は何れも射出成形プロセスを使用して同じ金型から作られている。
【0054】
【表5】
【0055】
表6では、範例6の前記生分解性マーカーペン10の前記バレル15の特定の直径長さと、比較例6のマーカーペンのバレルの対応する直径長さとを比較している。両者は何れも射出成形プロセスを使用して同じ金型から作られている。
【0056】
【表6】
【0057】
表7では、範例7の前記生分解性マーカーペン10の前記ペン裏蓋12の特定の直径長さと、比較例7のマーカーペンのペン裏蓋の対応する直径長さとを比較している。両者は何れも射出成形プロセスを使用して同じ金型から作られている。
【0058】
【表7】
【0059】
表1~表7より、本発明の前記生分解性マーカーペン10、10Aの好適実施例の複数の範例は、極めて高い精度を示していることがわかる。これらの範例は、前記生分解性マーカーペン10、10Aの各部材が何れも高度な一致性と精度を達成できることを示している。
【0060】
また、本発明の前記生分解性マーカーペン10、10Aは、EN13432、ASTMD6400、AS5810、NFT51‐800、OECD208、およびPAS9017:2020によって制定された規格に準拠している。前記生分解性マーカーペン10、10Aは、180日以内に90%の分解率、84日以内に90%の崩壊度の条件、堆肥が植物毒性を有さず、重金属を含まない、苗が発芽できるなどの条件を満たし、OECD208、222及び211の規格並びにPAS9017:2020の生態毒性の要求に応じて行う苗の出芽および苗の成長試験、ミジンコの繁殖試験、ミミズの繁殖試験、および土壌生分解試験に合格する。
【0061】
これと同時に、本発明の前記生分解性マーカーペン10、10Aは、優れたシール能力を維持するとともに、使用過程における材質と構造の耐久性を維持する。前記生分解性マーカーペン10、10Aは厳しい気密試験を通過し、1平方センチメートルあたり0.5kgの圧力で30秒間の圧力をかけても漏れがなかった。好適実施例では、前記生分解性マーカーペン10、10Aの前記インク貯蔵管14、14Aに1.2グラムのインクが含まれる場合、前記ペン先142、142Aを下向きに24時間放置してもインク漏れがなく、インク漏れ検査を通過する。
【0062】
上記の説明から、本発明は次の効果を達成することが分かる。
本発明の前記生分解性マーカーペン10、10Aは、環境保護と持続可能性において大きな利点を有する。プラスチック汚染を引き起こす従来のマーカーペンとは異なり、本発明の革新的な前記生分解性マーカーペン10、10Aの各部材はすべて生分解性素材で作られ、前記生分解性マーカーペン10、10Aに生産から廃棄まで環境への影響を最小限に抑えさせ、前記生分解性マーカーペン10、10Aの品質に影響を与えることなく、極めて優れた密閉性を備える。
【0063】
また、本発明の前記生分解性マーカーペン10、10Aの製造過程は、従来のマーカーペン製造プロセス標準にシームレスに統合でき、わずかな変更を要するのみである。この互換性により、メーカーが環境に優しい代替品の生産に切り替える障壁を大幅に軽減させ、コスト効率の高い移行を促進する。
【0064】
上記の明細書の説明及び詳述に基づき、当業者は、上記の実施形態に変更及び修正を加えることもできることに留意されたい。従って、本開示は、上で開示及び説明した具体的実施形態に限定するものではなく、本開示に対するいくつかの均等の修正及び変更も、本開示の特許請求の範囲の保護範囲内にあるべきである。また、本明細書では一連の特定の用語を使用しているが、これらの用語は説明の便宜のためのみであり、本発明を限定するものではない。
【符号の説明】
【0065】
10 生物性マーカーペン
10A 生物性マーカーペン
11 キャップ
11A キャップ
12 ペン裏蓋
12A ペン裏蓋
13 ペン芯ホルダ
13A ペン芯ホルダ
14 インク貯蔵管
14A インク貯蔵管
141 カバーフィルム
141A カバーフィルム
142 ペン先
142A ペン先
15 バレル
15A バレル
図1
図2
図3
図4
図5
図6
【外国語明細書】










図1

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