(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024098503
(43)【公開日】2024-07-23
(54)【発明の名称】改善された安全システムを備える機械用工具保持具
(51)【国際特許分類】
E02F 3/40 20060101AFI20240716BHJP
【FI】
E02F3/40 E
【審査請求】未請求
【請求項の数】11
【出願形態】OL
【外国語出願】
(21)【出願番号】P 2024001501
(22)【出願日】2024-01-09
(31)【優先権主張番号】23151024
(32)【優先日】2023-01-10
(33)【優先権主張国・地域又は機関】EP
(71)【出願人】
【識別番号】505287254
【氏名又は名称】オイルクイック アーベー
【氏名又は名称原語表記】OILQUICK AB
(74)【代理人】
【識別番号】100105957
【弁理士】
【氏名又は名称】恩田 誠
(74)【代理人】
【識別番号】100068755
【弁理士】
【氏名又は名称】恩田 博宣
(74)【代理人】
【識別番号】100142907
【弁理士】
【氏名又は名称】本田 淳
(72)【発明者】
【氏名】エリック ニランデル
【テーマコード(参考)】
2D012
【Fターム(参考)】
2D012HA03
(57)【要約】 (修正有)
【課題】安全で、信頼性が高く、頑丈な工具保持具を提供する。
【解決手段】フレームと、後退状態から伸長状態に移動と戻りが可能なアクチュエータ2とを備える機械用の工具保持具であって、フレームは、開口24を有するフック形状の凹部と、フック形状の凹部から一定の距離に配置されている切欠16とを備え、工具100の前部ブラケットピン102が開口24に入って解放可能に接続でき、工具100の後部ブラケットピン104が切欠16に解放可能に接続できる。アクチュエータ2は、アクチュエータ2の伸長状態において切欠16の形状を変化させる係止要素20を備え、アクチュエータ2の後退状態においてフック形状の凹部の開口24のサイズを縮小する固定アセンブリ22を備え、後部ブラケットピン104は、アクチュエータ2の後退状態において切欠16に入り、前部ブラケットピン102は、アクチュエータの伸長状態においてフック形状の凹部に入る。
【選択図】
図2a
【特許請求の範囲】
【請求項1】
機械用の工具保持具であって、フレームと、後退状態から伸長状態に移動すること及び戻ることが可能であるアクチュエータとを備え、前記フレームは、開口を有するフック形状の凹部と、前記フック形状の凹部から一定の距離に配置されている切欠とを備え、それによって、工具の前部ブラケットピンが前記開口に入ることによって前記フック形状の凹部に解放可能に接続することが可能であり、前記工具の後部ブラケットピンが前記切欠に解放可能に接続することが可能であり、前記アクチュエータは、前記フレームに対し一端に固定的に接続されており、前記アクチュエータは、前記アクチュエータの前記伸長状態において前記切欠の形状を変化させるように設計されている係止要素をさらに備え、前記アクチュエータは、前記アクチュエータの前記後退状態において前記フック形状の凹部の前記開口のサイズを縮小するように設計されている固定アセンブリをさらに備え、前記後部ブラケットピンは、前記アクチュエータの前記後退状態において前記切欠に入ることが可能であり、前記前部ブラケットピンは、前記アクチュエータの前記伸長状態において前記フック形状の凹部に入ることが可能であり、前記固定アセンブリは、前記アクチュエータに固定的に接続されている固定フィンガを備える、工具保持具。
【請求項2】
前記係止要素は、前記工具保持具及び前記切欠を通る断面において、前記切欠の形状が切欠からフック形状の切欠へと変化して見えるように設計されており、前記断面は、前記工具の前記後部ブラケットピンが前記切欠にぴったりと埋め込まれているときに、前記後部ブラケットピンの長手方向軸に対して垂直に配向されている、請求項1に記載の工具保持具。
【請求項3】
前記開口は、前記アクチュエータが前記伸長状態にあるとき、前記工具の前記後部ブラケットピン又は前記前部ブラケットピンの直径以上であり、前記開口は、前記アクチュエータが前記後退状態にあるとき、前記工具の前記後部ブラケットピン又は前記前部ブラケットピンの直径よりも小さい、請求項1又は2に記載の工具保持具。
【請求項4】
前記開口の前記サイズは、前記工具保持具及び前記フック形状の凹部を通る断面において測定され、前記断面は、工具の前記前部ブラケットピンが前記フック形状の凹部にぴったりと埋め込まれているときに、前記前部ブラケットピンの長手方向軸に対して垂直に配向されている、請求項3に記載の工具保持具。
【請求項5】
前記アクチュエータは、ロッドと、前記ロッドがその中に後退可能であり、且つ、前記ロッドがそこから伸長可能であるハウジングとをさらに備え、前記ロッドは、前記フレームに対し接続されており、前記ハウジングは、前記アクチュエータが前記後退状態と前記伸長状態との間で移動しているときに、前記フレームに対して移動しており、前記固定アセンブリ及び前記係止要素は、前記ハウジングに対し固定的に接続されている、請求項1~4のいずれか一項に記載の工具保持具。
【請求項6】
前記固定アセンブリ及び前記係止要素は、前記ハウジングから反対方向に延在しており、前記反対方向は、前記アクチュエータによって形成される移動の経路に平行である、請求項5に記載の工具保持具。
【請求項7】
前記フレームは、2つ以上のサイドプレートと、1つのウェブとを備え、前記ウェブは、前記2つ以上のサイドプレートを相互接続し、前記サイドプレートは、互いに平行に配置されており、前記2つ以上のサイドプレートの各々は、前記切欠と、前記フック形状の凹部とを備える、請求項1~6のいずれか一項に記載の工具保持具。
【請求項8】
前記アクチュエータは前記ウェブに対し接続されており、前記フレームは、前記アクチュエータが伸長及び後退するときに前記ハウジングの前記移動を制御するために、前記ハウジングの一部が係合されているモーションリンクをさらに備える、請求項5に記載の工具保持具。
【請求項9】
前記アクチュエータの前記ハウジングは、H字形状であり、前記H字形状の各脚が、1つの油圧シリンダ又は空気圧シリンダを備える、請求項5に記載の工具保持具。
【請求項10】
前記固定アセンブリは、ラッチと、前記固定フィンガとを備え、前記固定フィンガは、前記アクチュエータに対し固定的に接続されており、前記ラッチは、前記アクチュエータが前記後退状態にあるとき、前記開口の前記サイズを変更するために前記固定フィンガによって移動されるように設計されている、請求項1~9のいずれか一項に記載の工具保持具。
【請求項11】
前記固定フィンガは、その自由端において傾斜部を備える、請求項9又は10に記載の工具保持具。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、工具保持具及びクイックカップリング(連結)ユニットの分野に関し、特に、掘削機、林業機械、建設機械、クレーン等の機械用の工具保持具に関する。本発明は、特に、そうした工具保持具及びクイックカップリングユニットに関する事故のリスクを実質的に低減する改良された安全機構に関する。
【背景技術】
【0002】
ショベル、ハンマー、バイブレータ、クローアーム、カッターなどの様々な工具を掘削機、林業機械又はロボット機械に接続するために、工具保持具が広く使用されている。それによって、工具保持具は、典型的には一対のブラケットピンを備える標準化された工具アダプタ上に嵌合するように構成されており、工具アダプタは工具に対して堅く接続されている。工具保持具は、典型的には、ブラケットピンの一方に係合することが可能であるフック形状の切欠と、アクチュエータに対し接続されている係止要素と相互作用する切欠とを備え、それによって、ブラケットピンの他方を前記切欠に配置し、アクチュエータを介して係止要素を伸長させることによって係止することが可能である。この接続は有用であることが分かっており、その変形形態は、建設産業、林業、及び多くの他の重工業において広く使用されている。発生し得る問題は、2つのブラケットピンのうちの1つが典型的にはオペレータの視界から隠されているということと、フック形状の切欠がブラケットピンを係止せず、単にフックがするようにブラケットピンを開口に係合するだけであるということとに関する。機械アームが傾けられた場合や工具保持具上において工具が過度に振動する場合、理論的には、この開口を通ってブラケットピンが離脱することが依然として可能である。
【0003】
典型的には、工具を工具保持具に連結するプロセスは、以下の係止シーケンス又はステップを備える。すなわち、
a)工具の前部ブラケットピンを工具保持具のフック形状の凹部に掛止するステップと、
b)後部ブラケットピンが工具保持具の切れ目にぴったりと埋め込まれるように工具保持具を傾けるステップと、
c)切欠の形状が変化するように係止要素を伸長させて、切欠において後部ブラケットピンの係止をもたらすことで、形状制限によって前部ブラケットピンの係止をもたらすステップ。
【0004】
工具保持具からの工具の典型的な係止解除シーケンスすなわち解放は、典型的には以下のステップを含む。すなわち、
d)工具を安定的に地面に置くステップと、
e)切欠が開かれて、後部ブラケットピンが切欠から脱係合されることが可能となるように、係止要素を後退させるステップと、
f)後部ブラケットピンが切欠から自由になるように、工具保持具を傾けるステップと、
g)フック形状の凹部が前部ブラケットピンから脱係合され、さらに工具が工具保持具又はクイックカップリングユニットから完全に自由になるように、機械のアーム及びさらに工具保持具を持ち上げるステップ。
【0005】
係る係止シーケンスと共に生じる問題は、ステップa),b),d),e)及び部分的にf)中に、工具が工具保持具に対し100%固定されず、それにより、特に、オペレータが誤った手法で機械アームを傾けた場合や、機械が動いている場合や、工具が揺動している場合に、工具が落下する事故につながる可能性があることである。固定されていない工具又は落下する工具による事故は、負傷又は死亡及び/又は材料の損傷につながる可能性があるので、なんとしても防止しなければならない。
【0006】
特許文献1は、上述の連結及び脱連結シーケンスが使用されている工具保持具を開示している。
起こり得る別の問題は、例えば、後部ブラケットピンの詰まり(ジャミング)又は誤った配置のせいで、そうではない場合に後部ブラケットピンが適切に係止されているとオペレータが誤って想定することである。これによりまた、工具が適切に係止されているかのようにオペレータが機械を動作させ始め得るので、危険な状況及び潜在的な事故につながる可能性もある。これによりまた、潜在的な危険を引き起こす工具の落下につながる可能性もある。
【0007】
上記のリスク及び問題に鑑みて、上述の係止及び係止解除シーケンスa)~f)をより安全にすることを可能にする、工具保持具用の新しい係止機構が本明細書において開示される。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0008】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0009】
本発明の目的は、安全で、信頼性が高く、頑丈な工具保持具を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0010】
本発明の発明者は、工具の前部ブラケットピン又は後部ブラケットピンが形状嵌合式に妨げられることなく脱係合することが可能であるように、工具保持具における切欠又はフック形状の凹部のいずれかが開くことを防止する係止機構を設計することが可能であることに想到した。特に、本発明者は、工具の後部ブラケットピンを切欠に係止するために典型的に使用されるアクチュエータ(国際公開第2004/067855号)を使用して、また、前部ブラケットピンをフック形状の凹部に形状嵌合式に確実に係止することが可能でもあることと、これを特に連続して行うことが可能であることとに想到した。本発明者によって提示された解決策は、工具が工具保持具に連結されるか、部分的に連結されるときはいつでも、工具のブラケットピンのうちの1つを係止する。
【0011】
本明細書に開示されるのは、機械用の工具保持具であって、フレームと、後退状態から伸長状態に移動すること及び戻ることが可能であるアクチュエータとを備える、機械用の工具保持具である。フレームは、開口を有するフック形状の凹部と、フック形状の凹部から一定の距離に配置されている切欠とを備え、それによって、工具の前部ブラケットピンは、開口を介して入ることによってフック形状の凹部に解放可能に接続することが可能であり、工具の後部ブラケットピンは、切欠に解放可能に接続することが可能である。アクチュエータは、フレームに対し一端に固定的に接続されており、アクチュエータは、アクチュエータの伸長状態において切欠の形状を変化させるように設計されている係止要素をさらに備える。アクチュエータは、アクチュエータの後退状態においてフック形状の凹部の開口のサイズを縮小するように設計されている固定アセンブリをさらに備え、それにより、後部ブラケットピンは、アクチュエータの後退状態において切欠に入ることが可能であり、前部ブラケットピンは、アクチュエータの伸長状態においてフック形状の凹部に入ることが可能である。
【0012】
上述したように、典型的には、工具を工具保持具に連結するプロセスは、以下の係止シーケンス又はステップを備える。
i)工具の前部ブラケットピンを工具保持具のフック形状の凹部に掛止して、アクチュエータを伸長状態から後退状態に移動させ、それにより、前部ブラケットピンをフック形状の凹部に固定すると同時に、後部ブラケットピンが切欠に受け入れられることが可能であるように前記切欠を開くステップと、
ii)後部ブラケットピンが工具保持具の切れ目にぴったりと埋め込まれるように工具保持具を傾けるステップと、
iii)係止要素が切欠の形状を変化させるようにアクチュエータを伸長させて、切欠において後部ブラケットピンの係止をもたらすことで、形状嵌合すなわち形状制限によって前部ブラケットピンを係止するステップ。
【0013】
工具保持具の工具の典型的な係止解除シーケンスすなわち解放は、以下のステップを備える。すなわち、
iv)工具を安定的に地面に置くステップと、
v)アクチュエータを伸長状態から後退状態に移動させ、それによって、後部ブラケットピンが切欠から脱係合可能となるように、切欠を開くとともに固定アセンブリを介して前部ブラケットピンを係止するステップと、
vi)後部ブラケットピンが切欠から脱係合されるように、工具保持具を傾けるステップと、
vii)アクチュエータを後退状態/後退位置から伸長状態/伸長位置に移動させ、それによって、機械のアームを持ち上げることによって前部ブラケットピンを脱係合可能となるように、フック形状の凹部の開口を拡大するステップ。
【0014】
上記及び本明細書に開示された工具保持具により、以下の理由により、ステップi),ii),v),vi),及び部分的にvii)中の安全性が高められる。
ステップi)を実行する前に、アクチュエータは、フック形状の凹部の開口が工具の前部ブラケットピン及び後部ブラケットピンの直径以上であるように伸長される必要があり、これは、前部ブラケットピンがフック形状の凹部に係合することが可能であることを意味する。アクチュエータのこの伸長状態中、係止要素は、後部ブラケットピンが切欠に入るのを阻止しており、これは、ステップii)に入る前にアクチュエータを後退させる必要があることを意味し、それにより、固定アセンブリを介して開口のサイズを前部ブラケットピンの直径よりも小さく変更することによって、必然的に前部ブラケットピンをフック形状の凹部に固定する。ここで、後部ブラケットピンが切欠にぴったりと係合されると、ステップii)を実行することが可能であり、係止要素は、後部ブラケットピンを切欠に固定し、前部ブラケットピンをフック形状の凹部に固定できる。
【0015】
さらに、提示された解決策によって、ステップi),ii)中、特にステップi)中の安全性が高められる。
例えば、ステップi)中に機械アーム又は機械全体が持ち上がるのを防止し、ステップi)が完了すると、したがって、アクチュエータが後退し、前部ブラケットピンが固定アセンブリによってフック形状の凹部に固定されると、機械アームの動作を単に可能にすることがさらに可能であってよい。
【0016】
本発明による工具保持具によってまた、特に工具保持具からの工具の脱連結中、さらに特に上記において提示されているステップv),vi)及びvii)中の工具操作の安全性が改善もされる。工具は、iv)からvii)までの脱連結シーケンス全体中、アクチュエータが後退状態から伸長状態に移動され、それによって前部ブラケットピンがフック形状の凹部から脱係合することが可能であるように、固定アセンブリを介してフック形状の凹部の開口を拡大するまで工具保持具に安全に固定される。
【0017】
本発明に開示されている工具保持具によって、安全性が実質的に高められる。
なお、アクチュエータの後退位置すなわち後退状態及び伸長位置すなわち伸長状態は、入れ替えられてもよい。同様に、後部ブラケットピン及び前部ブラケットピンの位置と、さらにフック形状の凹部及び切欠の位置とは、入れ替えられてもよい。
【0018】
本明細書に開示される一実施形態では、係止要素は、工具保持具及び切欠を通る断面において、切欠の形状が切欠からフック形状の切欠へと変化して見えるように設計されており、前記断面は、工具の前記後部ブラケットピンが切欠にぴったりと埋め込まれているときに、後部ブラケットピンの長手方向軸に対して垂直に配向されている。
【0019】
切欠の形状がフック形状の切欠に変化することにより、フック形状の凹部と現在のフック形状の切欠との間の形状嵌合接続がもたらされる。
一実施形態では、フック形状の凹部及びフック形状の切欠は、互いに面しているか、互いから離れて面している開口を有してよい。
【0020】
このようにして、形状嵌合接続が達成されてよい。
さらなる実施形態では、開口は、アクチュエータが伸長状態にあるとき、工具の後部ブラケットピン又は前部ブラケットピンの直径以上であり、開口は、アクチュエータが後退状態にあるとき、工具の後部ブラケットピン又は前部ブラケットピンの直径よりも小さい。
【0021】
これにより、開口のサイズを変更するために固定アセンブリを使用してアクチュエータが後退又は伸長されると、上記の係止効果がもたらされてよい。
別の実施形態では、開口のサイズは、工具保持具及びフック形状の凹部を通る断面において測定され、前記断面は、工具の前記前部ブラケットピンがフック形状の凹部にぴったりと埋め込まれているときに、前部ブラケットピンの長手方向軸に対して垂直に配向されている。
【0022】
上記は、固定アセンブリ及びフック形状の凹部が同じ平面又は断面平面に配置されないことを意味する場合がある。しかしながら、本発明は、任意の断面に見られる固定アセンブリ及びフック形状の凹部の深さ位置によらず依然として機能する。
【0023】
さらなる実施形態では、アクチュエータは、ロッドと、ロッドがその中に後退可能であり、且つ、ロッドがそこから伸長可能であるハウジングとを備えてよく、ロッドは、フレームに対し接続されており、ハウジングは、アクチュエータが後退状態と伸長状態との間で移動しているとき、フレームに対して移動しており、固定アセンブリ及び係止要素は、ハウジングに対し固定的に接続されている。
【0024】
ロッド及びハウジングは、空気圧シリンダ又は油圧シリンダの解決策、コルクねじの解決策、又は誘導又は磁気を使用する電気モータ構成などの任意の他の適当な解決策の一部であってよい。
【0025】
一実施形態では、固定アセンブリ及び係止要素は、ハウジングから反対方向に延在しており、前記反対方向は、アクチュエータによって形成される移動の経路に平行であってよい。
【0026】
これは、工具保持具の効率的かつ単純な設計をもたらすことができる。
さらなる実施形態では、フレームは、2つ以上のサイドプレートと、1つのウェブとを備えてよく、ウェブは、2つ以上のサイドプレートを相互接続しており、前記サイドプレートは、互いに平行に配列されており、2つ以上のサイドプレートの各々は、切欠と、フック形状の凹部とを備える。
【0027】
上記の設計は、工具保持具における前部ブラケットピン及び後部ブラケットピンの安定した埋め込みをもたらすことができる。
アクチュエータは、ウェブに対し接続されていてよく、フレームは、アクチュエータが伸長及び後退するときにハウジングの移動を制御するためにハウジングの一部が係合されているモーションリンクをさらに備えてよい。
【0028】
一実施形態では、アクチュエータのハウジングは、H字形状であってよく、H字形状の各脚は、1つの油圧シリンダ又は空気圧シリンダを備える。
工具保持具は、工具アダプタ、チルトローテータ、ローテータ、タイル張りデバイス又はクイックカップリングユニットであってよい。
【0029】
本明細書に開示されるのはまた、工具の連結及び/又は脱連結中に不安全な状態が存在する限り、機械が移動することを防止する方法でもある。該方法は、特に上述のステップi),v),及びvi)中、ならびに前部ブラケットピンがフック形状の凹部に係合されてアクチュエータが後退状態すなわち後退位置にあることが感知されたとき、工具保持具が移動することを単に可能にする工程を備えてよい。該方法は、ステップvii)中に前部ブラケットピンが脱係合していることが検出されたとき、及び後部ブラケットピンが切欠に係合されておらず、固定されていないことが感知されたときに、機械を移動させることを可能にすることが可能である。
【0030】
ここで、例示的な目的のために、実施形態によって、及び添付の図面を参照して、本発明をより詳細に説明する。
【図面の簡単な説明】
【0031】
【
図1】本発明の第1の実施形態による工具保持具の概略図。
【
図2a】断面視において示されている
図1の工具保持具と、工具ならびにその前部ブラケットピン及び後部ブラケットピンとの間の連結シーケンスを例示的な目的のために概略的に示す図。
【
図2b】断面視において示されている
図1の工具保持具と、工具ならびにその前部ブラケットピン及び後部ブラケットピンとの間の連結シーケンスを例示的な目的のために概略的に示す図。
【
図2c】断面視において示されている
図1の工具保持具と、工具ならびにその前部ブラケットピン及び後部ブラケットピンとの間の連結シーケンスを例示的な目的のために概略的に示す図。
【
図2d】断面視において示されている
図1の工具保持具と、工具ならびにその前部ブラケットピン及び後部ブラケットピンとの間の連結シーケンスを例示的な目的のために概略的に示す図。
【
図3a】断面視において示されている
図1の工具保持具と、工具ならびに工具の前部ブラケットピン及び後部ブラケットピンとの間の脱連結シーケンスを例示的な目的のために概略的に示す図。
【
図3b】断面視において示されている
図1の工具保持具と、工具ならびに工具の前部ブラケットピン及び後部ブラケットピンとの間の脱連結シーケンスを例示的な目的のために概略的に示す図。
【
図3c】断面視において示されている
図1の工具保持具と、工具ならびに工具の前部ブラケットピン及び後部ブラケットピンとの間の脱連結シーケンスを例示的な目的のために概略的に示す図。
【
図3d】断面視において示されている
図1の工具保持具と、工具ならびに工具の前部ブラケットピン及び後部ブラケットピンとの間の脱連結シーケンスを例示的な目的のために概略的に示す図。
【
図4】本発明の第2の実施形態による工具保持具の概略図。
【発明を実施するための形態】
【0032】
ここで図を参照すると、2つの実施形態が、参照番号及び図を使用してより詳細に説明されている。本発明は多くの手法において適用可能であってよく、これは2つの実施形態が本発明を限定するものではないことを意味する。第1の実施形態が、
図1~
図3dを参照して示され、説明されている。第2の実施形態が、
図4~
図6を参照して示され、説明されている。
【0033】
図1は、本発明の第1の実施形態による工具保持具1を示す。工具保持具1は、2つのサイドプレート10と、ある種のウェブ12と、工具保持具1を機械アームに連結するためのコネクタ18とを有するフレーム4を備え、コネクタは、サイドプレート10の各々において2つのループの形態において示されている。フレーム4は、別の手法で設計されてもよく、例えば、鋼からなるブロックから切断されてもよく、略矩形の固体などとして設計されてもよい。
【0034】
フレーム4は、
図1に示すように、フレーム4の対向する角部において互いから一定の距離に配置されているフック形状の凹部14及び切欠16をさらに備える。フック形状の凹部14は、アクチュエータ2及び一対の係止フィンガ22の形態の固定アセンブリ22(
図2a~
図3dを参照)の位置に応じて、
図2a~
図3dに示すように、工具100の前部ブラケットピン102がフック形状の凹部14に入ることを可能にする開口24を備える。
図1において、固定アセンブリ22から延びている破線によって示されている開口24は、ブラケットピン(図示せず)がフック形状の凹部14から出ることも、フック形状の凹部14に入ることもできないように制限されている。それでもなお、
図1を参照すると、フック形状の凹部14は、
図1に示されるような水平面a)に対して見られるようにわずかに上方に曲げられている下部受け部26をさらに備える。下部受け部26はまた、フック形状の凹部14が適切なフックを形成するように、上方に曲げられていてもよい。
【0035】
図1から、固定アセンブリ22は、その位置に応じて開口のサイズを変化させることが分かる。固定アセンブリ22は、一対の固定フィンガすなわち係止フィンガの形態において示されている。これは、
図1に示されているような平面II-IIに沿って切断した断面図を示す
図2a~
図2dを参照してさらに説明され得る。
【0036】
図2a~
図2dは、前部ブラケットピン102及び後部ブラケットピン104を備える工具100と、本発明による工具保持具1との間の連結シーケンスを示す。
図2aは、i)フック形状の凹部14への前部ブラケットピン102の掛止を示す。アクチュエータ2は、固定アセンブリ22がフック形状の凹部14の開口24を変化させないように、伸長位置にある。
図2aにおいて、アクチュエータ2の係止要素20は、後部ブラケットピン104が切欠16の中に入るのを阻止している。前部ブラケットピン102がフック形状の凹部102にぴったりと埋め込まれると、
図2bに示すように、アクチュエータ2が後退し、これにより、固定アセンブリ22を介して前部ブラケットピン102がフック形状の凹部14に確実に係止される。アクチュエータ2が後退位置にあり、開口24’のサイズが固定アセンブリ22によって制限されると、前部ブラケットピン102はもはやフック形状の凹部14から出ることができず、
図2cに示すような次の連結のシーケンスを実行することが可能である。
図2cには、ii)工具保持具1の傾動が示されている。後部ブラケットピン104は、工具保持具1が傾けられると、切欠16にぴったりと埋め込まれる。後部ブラケットピン104が切欠16にぴったりと埋め込まれると、
図2dに示すように、iii)アクチュエータ2は伸長され、係止要素20は、後部ブラケットピン104を切欠16に係止する。切欠16と、フック形状の凹部14と、係止要素20と、フック形状の凹部14の下部受け部26とによる形状制限によって、後部ブラケットピン104及び前部ブラケットピン102は、工具保持具1に対し確実に接続されている。
【0037】
図3a~
図3dは、前部ブラケットピン102及び後部ブラケットピン104を有する工具100からの工具保持具1の脱連結シーケンスを示す。
図3aは、伸長位置にあるアクチュエータ2を有する工具保持具1を示しており、係止要素20が切欠16の形状を変化させたので、工具100の後部ブラケットピン104が工具保持具1から出ることは不可能である。開口24は、そのサイズが限定されていないが、下部受け部26は、それでもなお、前部ブラケットピン102が脱係合するのを阻止しており、一方、後部ブラケットピン104は、脱係合するのを係止要素20によって阻止されている。iv)工具100は、典型的には、この構成における安定した位置において地面に置かれている。工具100が地面に安全に置かれると、脱連結シーケンスは、v)アクチュエータ2を伸長位置から後退位置に移動させることによって開始することが可能であり、その結果、係止要素20は引っ込められるとともに切欠16の形状をもはや変化させず、このことは、
図3bに示すように、後部ブラケットピン104が切欠16から自由に脱係合すなわち脱連結されることを意味する。同時に、固定アセンブリ22すなわち一対の固定フィンガが、フック形状の凹部14の開口24’のサイズを制限するように移動され、それによりさらに開口24’は、前部ブラケットピン102がフック形状の凹部14から出ることを防止し、したがって、工具1の落下が基本的に不可能であるので、さらなる安全性が提供される。
【0038】
図3cは、アクチュエータ2が後退位置にあるとき、工具保持具1を傾けるステップvi)を示す。傾動vi)中、後部ブラケットピン104は切欠16から脱係合される。フック形状の凹部14における形状制限(形状制限は、固定アセンブリ22によって形成されている)により、前部ブラケットピン102は、フック形状の凹部14から出ることが不可能である。後部ブラケットピン104が切欠16から脱係合されると、アクチュエータ2は、
図3dに示すように伸長位置に移動される。アクチュエータ2を伸長位置に移動させると、固定アセンブリ22がフック形状の凹部14の近傍から出るように動くので、開口24が再び拡大する。アクチュエータ2が伸長位置にあると、工具保持具1は、前部ブラケットピン102から脱係合されることが可能であり、それによって、工具保持具1を後部ブラケットピン104に向かって後方に、かつ工具保持具100から離れて上方に移動させることによって、工具100を解放することが可能である。
【0039】
本発明の基本原理を、
図1~
図3dに示される第1の実施形態を参照して説明した。
図4~
図6を参照して本明細書に説明されている工具保持具1’の第2の実施形態を使用して、前述したものと同じシーケンス及び方法を達成し、実行することが可能である。同様の参照番号は同様の要素を示す。
図4による工具保持具1’は、
図1~
図3dに関連して説明したものと非常に類似した原理で動作する。
【0040】
図4は、フレーム4’及びフック形状の凹部14’を備える工具保持具1’を示す。フレーム4’は、その2つのサイドプレート10’と、サイドプレート10’を相互接続するウェブ12’とを備えて示されている。工具保持具1’は、ラッチ22a及び固定フィンガ22bの形態であり、アクチュエータ2が後退位置にあるときに開口240’を制限することが可能である固定アセンブリ22’を備える。固定フィンガすなわち係止フィンガ22bは、アクチュエータ2’が後退位置にあるときにラッチ22aを上方に押しており、これにより、さらに、開口240’のサイズが前部ブラケットピン102の直径よりも小さいサイズに制限される。これにより、前部ブラケットピンがフック形状の凹部14’から出ることが防止され得る。これは、
図5においてよく見える。ラッチ22aの枢動点はフレーム4’に固定されている。固定フィンガ22bは、アクチュエータ2が後退位置に移動するときにラッチ22aを容易にすくい上げることが可能であるように、その自由端において傾斜部(ランプ)などを備えてよい。各ラッチ22a及び固定フィンガ22bは、固定フィンガ22bがラッチ22aと相互作用し、ラッチ22aをすくい上げるか、ラッチ22aを解放することが可能であるように、少なくとも略同じ移動平面内において移動する。
図5に示されている位置又は状況では、工具100は、
図6に示されているようにアクチュエータ2’を伸長位置に移動させることによって係止されることが可能であるか、工具保持具1’は、工具保持具1の第1の実施形態を参照して
図3a~
図3dにおいて説明されたように、後部ブラケットピン104を切欠16’から脱係合することによって脱連結シーケンスを開始するために傾けられてよい。
【0041】
最後に、
図6は、工具保持具1’における工具100の形状嵌合による係止を示す。後部ブラケットピン104は、アクチュエータ2’の伸長位置によって係止要素20’が切欠16’の形状を変化させているので、切欠16’に係止されている。係止要素20’及び固定フィンガ22bは、アクチュエータ2’に対し接続されている。係止要素20’及び固定フィンガ22bは、アクチュエータ2’の移動経路の方向に沿ってアクチュエータ2’から対向して延在している。
【0042】
フック形状の凹部14’はまた、工具100を工具保持具1’から脱係合することを不可能にする下部受け部26’も備える。
図2a~
図2dに関連して説明した、工具100を工具保持具1に連結するための方法の工程は、
図4~
図6に示した工具保持具1’と同様に適用及び使用されることが可能である。同様に、脱連結のためのシーケンス3a~3dはまた、第2の実施形態による工具保持具1’にも適用又は使用されることも可能である。
【0043】
本発明を
図1~
図6に従って説明した。第1及び第2の実施形態による工具保持具1,1’は、後部ブラケットピン104がフック形状の凹部14,14’にぴったりと埋め込まれたときに前部ブラケットピン102が典型的には確実に係止されるので、安全性を著しく向上させる。これにより、先に説明したように、工具100の操作、脱連結、及び連結中に、とりわけ安全性が高められる。
【0044】
連結中に係止要素20,20’による後部ブラケットピン104の詰まりが生じているとしても、工具100は、説明したように固定アセンブリ22,22’によって工具保持具1,1’にそれでもなお固定されている。係止要素20,20’が詰まっているときでも、アクチュエータ2,2’は依然として後退位置にあるから、またそれによって、前部ブラケットピン102がフック形状の凹部14,14’から離れることがないように、すなわち脱係合可能でないように、開口24,24’,240,240’が依然として制限されているからである。
【0045】
図2a及び
図5を参照すると、アクチュエータ2,2’は、ロッド8,8’と、ロッド8,8’がその中に後退可能であるハウジング6,6’とを備えてよい。アクチュエータ2,2’は、油圧シリンダ又は空気圧シリンダであってよい。係止要素20,20’、及び固定フィンガすなわち固定要素22a,22’は、それらがハウジングから反対方向に延在するように、ハウジング6,6’に対し固定的に接続されていてよい。ハウジング6,6’及びロッド8,8’は、
図2a及び
図5に示されている。ハウジング6,6’は、アクチュエータ2,2’が伸長及び後退されるときに、フレーム4,4’におけるモーションリンクにおいて移動するように構成されていてよい。
【0046】
両方の実施形態による固定アセンブリ22は、例えばH字形のシリンダハウジングの各脚から延在している一対の固定フィンガ22を備えてよい。さらに、第2の実施形態は、一対のラッチ22aを備えてよい。係止要素20,20’はまた、両方の実施形態において一対の係止要素として設計されていてもよい。一対の固定フィンガ22,22b及び/又は一対のラッチ22a、ならびに一対の係止フィンガ20,20’は、フレーム4,4’の2つの側部10,10’に近接して配置されているか、そこに配置されていてよい。しかしながら、本発明はまた、一対の固定フィンガ、一対のラッチ、又は一対の係止要素を設けることなく機能し、各々のうちの少なくとも1つを用いて機能もする。
【外国語明細書】