IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

知財求人 - 知財ポータルサイト「IP Force」

▶ 山東成武易信▲環▼保科技有限公司の特許一覧 ▶ ▲し▼博▲頤▼康▲環▼保科技有限公司の特許一覧

特開2024-98506三フッ化ホウ素錯体の分解装置及び方法
<>
  • 特開-三フッ化ホウ素錯体の分解装置及び方法 図1
  • 特開-三フッ化ホウ素錯体の分解装置及び方法 図2
  • 特開-三フッ化ホウ素錯体の分解装置及び方法 図3
< >
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024098506
(43)【公開日】2024-07-23
(54)【発明の名称】三フッ化ホウ素錯体の分解装置及び方法
(51)【国際特許分類】
   C07C 41/18 20060101AFI20240716BHJP
   C07C 43/205 20060101ALI20240716BHJP
   C01B 35/06 20060101ALI20240716BHJP
   B01D 59/32 20060101ALI20240716BHJP
   C07F 5/02 20060101ALN20240716BHJP
【FI】
C07C41/18
C07C43/205 A
C01B35/06
B01D59/32
C07F5/02 B
【審査請求】有
【請求項の数】10
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2024002063
(22)【出願日】2024-01-10
(31)【優先権主張番号】202310030546.0
(32)【優先日】2023-01-10
(33)【優先権主張国・地域又は機関】CN
(71)【出願人】
【識別番号】524013975
【氏名又は名称】山東成武易信▲環▼保科技有限公司
(71)【出願人】
【識別番号】524013986
【氏名又は名称】▲し▼博▲頤▼康▲環▼保科技有限公司
(74)【代理人】
【識別番号】100114627
【弁理士】
【氏名又は名称】有吉 修一朗
(74)【代理人】
【識別番号】100182501
【弁理士】
【氏名又は名称】森田 靖之
(74)【代理人】
【識別番号】100175271
【弁理士】
【氏名又は名称】筒井 宣圭
(74)【代理人】
【識別番号】100190975
【弁理士】
【氏名又は名称】遠藤 聡子
(72)【発明者】
【氏名】▲孫▼献沖
(72)【発明者】
【氏名】鄒志勇
(72)【発明者】
【氏名】馮興標
(72)【発明者】
【氏名】魏建設
(72)【発明者】
【氏名】▲房▼濤
【テーマコード(参考)】
4H006
4H048
【Fターム(参考)】
4H006AA02
4H006AB90
4H006AD11
4H006BD80
4H006GP03
4H048AA01
4H048AB28
4H048AB90
4H048AD11
4H048BD80
4H048VB10
(57)【要約】      (修正有)
【課題】分解効率を高め、コストを下げ、生産安全性を高める、三フッ化ホウ素-アニソール錯体の分解に適した装置及び方法を提供する。
【解決手段】本発明はホウ素同位体分離の技術分野に関し、具体的には三フッ化ホウ素錯体の分解装置及び方法に関する。ここで、前記三フッ化ホウ素錯体の分解装置は、連続式供給システム、上昇膜予熱器4、落下膜予熱器5、三フッ化ホウ素ガス循環配管12,13、分離室6、分解塔1、気液分離器6、不純物除去塔9及びベンゾエーテル貯蔵タンクを含む。前記三フッ化ホウ素錯体の分解装置は連続供給法を採用し、三フッ化ホウ素-アニソール錯体分解率を保証すると同時に、ベンゾエーテルの高温段階での滞留時間を短縮し、アニソール自体の熱分解の程度を低下させ、アニソールの利用率及び生産安全性を大幅に向上させ、生産が連続的に安定して行えることを保証する。
【選択図】図3
【特許請求の範囲】
【請求項1】
連続式供給システム(11)、上昇膜予熱器(4)、落下膜予熱器(5)、分離室(6)、分解塔(1)、及び気液分離器(14))を含み、
前記連続式供給システム(11)は前記上昇膜予熱器(4)に接続され、前記上昇膜予熱器(4)は前記落下膜予熱器(5)に接続され、前記落下膜予熱器(5)は前記分離室(6)と前記分解塔(1)に順次的に接続され、前記分解塔(1)は前記気液分離器(14)に接続されることを特徴とする
三フッ化ホウ素錯体の分解装置。
【請求項2】
前記上昇膜予熱器(4)は、熱交換式排列管の内径が10~15mm、熱交換式排列管の長さが3~5mであり、及び/又は前記落下膜予熱器(5)は、熱交換式排列管の内径が10~15mm、熱交換式排列管の長さが3~5mである
請求項1に記載の三フッ化ホウ素錯体の分解装置。
【請求項3】
前記気液分離器(14)における循環冷媒の温度は5~25℃である
請求項1に記載の三フッ化ホウ素錯体の分解装置。
【請求項4】
前記分解塔(1)の頂部には、コンデンサー(3)が取り付けられ、前記分解塔(1)の底部には、常温冷却器(8)が接続され、前記常温冷却器(8)には、低温冷却器(9)が接続され、前記低温冷却器(9)には、不純物除去塔(10)が接続され、前記不純物除去塔(10)には、アニソール貯蔵タンク(15)が接続されている
請求項1に記載の三フッ化ホウ素錯体の分解装置。
【請求項5】
前記上昇膜予熱器(4)の頂部、前記落下膜予熱器(5)の頂部と前記分離室(6)の頂部とが三フッ化ホウ素ガス循環配管A(12)を介して接続され、
分解塔頂部コンデンサー(3)の頂部と前記気液分離器(14)の頂部は三フッ化ホウ素ガス循環配管B(13)を介して接続され、
前記三フッ化ホウ素ガス循環配管A(12)と前記三フッ化ホウ素ガス循環配管B(13)は互いに接続されている
請求項1に記載の三フッ化ホウ素錯体の分解装置。
【請求項6】
前記分解塔(1)が充填塔、オリフィスコラム塔、又は気泡塔である
請求項1に記載の三フッ化ホウ素錯体の分解装置。
【請求項7】
前記連続式供給システム(11)は三フッ化ホウ素錯体貯蔵システムを含む
請求項1に記載の三フッ化ホウ素錯体の分解装置。
【請求項8】
請求項1~7のいずれか1項に記載の三フッ化ホウ素錯体の分解装置を用いて三フッ化ホウ素錯体を分解する方法であって、
(1)三フッ化ホウ素錯体を前記上昇膜予熱器(4)にポンプし、さらに前記落下膜予熱器(5)を通して、三フッ化ホウ素錯体に対して予備加熱と前期分解を完成し、分解された三フッ化ホウ素ガスは前記気液分離器(14)に入るステップと、
(2)未分解の三フッ化ホウ素錯体と微量の三フッ化ホウ素ガスが前記分離室(6)に入り、気液を十分に分離し、三フッ化ホウ素ガスが前記気液分離器(14)に入るステップと、
(3)未分解の三フッ化ホウ素錯体が前記分解塔(1)に入り、分解して三フッ化ホウ素ガスとアニソールを得て、三フッ化ホウ素ガスは分解塔頂部のコンデンサー(3)を経て冷却された後、前記気液分離器(14)に入り、アニソールは前記分解塔(1)の底部から排出され、降温し精製された後、最後にアニソール貯蔵タンク(15)に入るステップと、
(4)前記気液分離器(14)に入った三フッ化ホウ素ガスは三フッ化ホウ素-10ガス貯蔵タンク(7)に入るステップとを含む
三フッ化ホウ素錯体の分解方法。
【請求項9】
前記上昇膜予熱器(4)の温度は110~130℃、
及び/又は、前記落下膜予熱器(5)の温度は130~150℃、
及び/又は、前記分解塔(1)の温度は150~160℃、
及び/又は、前記分解塔(1)の圧力は0.6~1.2barである
請求項8に記載の三フッ化ホウ素錯体の分解方法。
【請求項10】
前記上昇膜予熱器(4)の熱交換式排列管における三フッ化ホウ素-アニソール錯体の流量は30~100L/h、流動時間は30~100s、
及び/又は、前記落下膜予熱器(5)の熱交換式排列管の流量は30~100L/h、流動時間は30~100sである
請求項8に記載の三フッ化ホウ素錯体の分解方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明はホウ素同位体分離の技術分野に関し、具体的には三フッ化ホウ素錯体の分解装置及び方法に関する。
【背景技術】
【0002】
自然界のホウ素には2種類の安定な同位体ホウ素-10とホウ素-11があり、その天然存在度はそれぞれ19.8%と80.2%である。ホウ素-10の熱中性子捕捉断面積はホウ素-11よりはるかに大きく、強い中性子吸収機能と放射線防止機能を有し、原子力発電分野の核放射線遮蔽、国防工業分野のエネルギー供給と中性子防護が大量に応用されている。そのため、原子力産業においてホウ素-10は熱中性子計数管、原子炉制御棒及び熱中性子遮蔽材料の製造に広く応用され、医学的に神経膠腫及びメラノーマの治療に用いられ、三フッ化ホウ素-11電子ガスは工業生産において多くの方面の応用があり、電子工業と光ファイバー工業に用いることができ、半導体製造過程において三フッ化ホウ素-11は重要なイオン注入ガスであり、同時にホウ素ドーパントとしてケイ素イオン注入に用いることができ、生産されたチップは高集積、高密度特徴を持ち、しかも体積が小さく、性能が優れている。核異型度ホウ素-10酸と三フッ化ホウ素-11電子ガスはいずれも工業・情報化部が発表した「重点新材料の第1次応用モデル指導目録」(2021年版)に登録されている。国内の高存在量ホウ素同位体は主に輸入に依存し、中国のハイテク技術の発展を制限し、現代科学技術の進歩に伴い、世界範囲内で高存在量ホウ素-10、ホウ素-11に対する需要量はますます大きくなっているため、ホウ素同位体分離技術の改善は極めて高い経済価値と社会価値を持っている。
【0003】
既存のホウ素同位体の製造方法は主に三フッ化ホウ素低温蒸留法、三フッ化ホウ素化学交換精留法、イオン交換樹脂法、レーザー分離法、電磁法という5種類ある。三フッ化ホウ素化学交換精留法は現在の世界でホウ素同位体を生産する主要な方法であり、比較的に高い一級ホウ素同位体分留係数(1.03前後)を持ち、現在すでに工業化生産規模に達している。
【0004】
従来技術において、三フッ化ホウ素-アニソール錯体(三フッ化ホウ素錯体と略称する)の分解方法は:三フッ化ホウ素-アニソール錯体が分解塔の供給口にポンプされ、分解塔内の落下過程において塔体の下部の加熱領域に加熱され、一部の三フッ化ホウ素-アニソール錯体が分解され、残りの大部分の三フッ化ホウ素-アニソール錯体が分解されたアニソールとともに塔底の再沸器に落下し、錯体は再沸器内で長時間に加熱されて分解する。分解ステップの主な分解要素は再沸器であり、分解したアニソールは再沸器からタイムリー排出できず、高温条件下で長時間に不均一に加熱され、アニソールがフェノールとエチレンに分解しやすくなり、アニソールの純度を低下させ、ホウ素同位体分離効果に影響する。フェノールは通常の温度で固体であり、ホウ素同位体分離システムの配管の閉塞をもたらしやすく、さらに生産システム全体の停止を招き、工業生産に大きな損失をもたらした。そのため、三フッ化ホウ素-アニソール錯体の分解に適した装置及び方法を探して、分解効率を高め、コストを下げ、生産安全性を高める必要がある。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
本発明の解決の課題は、従来技術において、三フッ化ホウ素-アニソール錯体の分解要素が再沸器であるため、分解したアニソールは再沸器からタイムリー排出できず、高温条件下で長時間に不均一に加熱され、アニソールはフェノールとエチレンに分解しやすくなり、アニソールの純度が低下し、ホウ素同位体分離効果に影響し、且つ、ホウ素同位体分離システムの配管の閉塞をもたらしやすく、さらに生産システム全体の停止を招き、工業生産に大きな損失をもたらしやすいことである。
【0006】
本発明は、上記課題に対して、三フッ化ホウ素-アニソール錯体に基づく分解装置及び方法を提供する。本発明は連続供給法を採用し、三フッ化ホウ素-アニソール錯体の分解率を保証すると同時に、アニソールの高温段階での滞留時間を短縮し、アニソール自体の熱分解程度を下げ、アニソールの純度を保持し、アニソールの利用率及び生産安全性を大幅に高め、生産が連続的に安定して行うことを保証する。
【課題を解決するための手段】
【0007】
具体的には、本発明は、以下の技術方案を提供する。
【0008】
第一の局面で、本発明は連続式供給システム11、上昇膜予熱器4、落下膜予熱器5、分離室6、分解塔1、及び気液分離器14を含み、
前記連続式供給システム11は上昇膜予熱器4に接続され、上昇膜予熱器4は落下膜予熱器5に接続され、落下膜予熱器5は分離室6と分解塔1に順次的に接続され、分解塔1は不純物除去塔10とアニソール貯蔵タンク15に順次的に接続され、分解塔1は気液分離器14に接続される三フッ化ホウ素錯体の分解装置を提供する。
いくつかの実施形態では、上昇膜予熱器4の熱交換式排列管の内径は10~15mmである。
いくつかの実施形態では、上昇膜予熱器4の熱交換式排列管の長さは3~5mである。
いくつかの実施形態では、落下膜予熱器5の熱交換式排列管の内径は10~15mmである。
いくつかの実施形態では、落下膜予熱器5の熱交換式排列管の長さは3~5mである。
いくつかの実施形態では、気液分離器14における循環冷媒の温度は5~25℃である。
いくつかの実施形態では、分解塔1の頂部にコンデンサー3が取り付けられ、分解塔1の底部には、常温冷却器8が接続され、常温冷却器8には、低温冷却器9が接続され、低温冷却器9には、不純物除去塔10が接続され、不純物除去塔10には、アニソール貯蔵タンク15が接続されている。
いくつかの実施形態では、上昇膜予熱器4の頂部、落下膜予熱器5の頂部及び分離室6の頂部は三フッ化ホウ素ガス循環配管A12を介して接続され、分解塔頂部コンデンサー3の頂部と気液分離器14の頂部は三フッ化ホウ素ガス循環配管B13を介して接続され、三フッ化ホウ素ガス循環配管A12と三フッ化ホウ素ガス循環配管B13は互いに接続されている。
いくつかの実施形態では、分解塔1は、充填塔、オリフィスコラム塔、又は気泡塔である。
いくつかの実施形態では、分解塔1内で使用される充填剤は、波形プレートパッキング、モネル規則充填剤、またはステンレス鋼316L規則充填剤である。
いくつかの実施形態では、連続供給システム11は三フッ化ホウ素錯体貯蔵システムを含む。
いくつかの実施形態では、上昇膜予熱器4、落下膜予熱器5及び分離室6にはそれぞれガス質量流量計が設けられる。
いくつかの実施形態では、分解塔頂部コンデンサー3は液体流量計を設置し、循環冷媒の流量を制御して、コンデンサーの温度をより正確に調整する。
【0009】
第2の局面では、本発明は、(1)三フッ化ホウ素錯体を上昇膜予熱器4にポンプし、さらに落下膜予熱器5を通して、三フッ化ホウ素錯体に対して予備加熱と前期分解を完成し、分解された三フッ化ホウ素ガスは気液分離器14に入るステップと、
(2)未分解の三フッ化ホウ素錯体と微量の三フッ化ホウ素ガスが分離室6に入り、気液を十分に分離し、三フッ化ホウ素ガスが気液分離器14に入るステップと、
(3)未分解の三フッ化ホウ素錯体が分解塔1に入り、分解して三フッ化ホウ素ガスとアニソールを得て、三フッ化ホウ素ガスは分解塔頂部のコンデンサー3を経て冷却された後、気液分離器14に入り、アニソールは分解塔1の底部から排出され、降温し精製された後、最後にアニソール貯蔵タンク15に入るステップと、
(4)気液分離器14に入った三フッ化ホウ素ガスは三フッ化ホウ素-10ガス貯蔵タンク7に入るステップとを含む前記三フッ化ホウ素錯体の分解装置を用いて三フッ化ホウ素錯体を分解する方法を提供する。
いくつかの実施形態では、上昇膜予熱器4の温度は110~130℃である。
いくつかの実施形態では、上昇膜予熱器4の温度は120~130℃である。
いくつかの実施形態では、落下膜予熱器5の温度は130~150℃である。
いくつかの実施形態では、落下膜予熱器5の温度は140~150℃である。
いくつかの実施形態では、分解塔1の温度は150~160℃である。
いくつかの実施形態では、分解塔1の温度は155~158℃である。
いくつかの実施形態では、分解塔1の圧力範囲は0.6~1.2barである。
いくつかの実施形態では、分解塔1の圧力範囲は0.8~1.0barである。
いくつかの実施形態では、三フッ化ホウ素-アニソール錯体の上昇膜予熱器4の熱交換式排列管の流量は30~100L/hである。
いくつかの実施形態では、三フッ化ホウ素-アニソール錯体の上昇膜予熱器4の熱交換式排列管の流量は60~100L/hである。
いくつかの実施形態では、上昇膜予熱器4の熱交換式排列管における三フッ化ホウ素-アニソール錯体の流動時間は30~100sである。
いくつかの実施形態では、上昇膜予熱器4の熱交換式排列管における三フッ化ホウ素-アニソール錯体の流動時間は50~80sである。
いくつかの実施形態では、落下膜予熱器5の熱交換式排列管の流量は30~100L/hである。
いくつかの実施形態では、落下膜予熱器5の熱交換式排列管の流量は60~100L/hである。
いくつかの実施形態では、落下膜予熱器5の熱交換式排列管内の流動時間は30~100sである。
いくつかの実施形態では、落下膜予熱器5の熱交換式排列管内の流動時間は50~80sである。
いくつかの実施形態では、アニソールは分解塔1の底部から排出され、常温冷却器8と低温冷却器9を順に通した後、冷却後に不純物除去塔10に入って精製され、最後にアニソール貯蔵タンク15に入る。
【発明の効果】
【0010】
本発明は連続式供給技術を用いて、三フッ化ホウ素-アニソール錯体を一度に比較的に高い熱交換係数の上昇膜予熱器、落下膜予熱器を通し、均一に加熱され、加熱の温度が低く、加熱の時間が短く、分解効率が高く、更に分解塔の二次加熱を経て、分解塔の底部に到達した錯体がすべて三フッ化ホウ素ガスとアニソールに分解することを保証する。本発明の三フッ化ホウ素錯体の分解装置は三フッ化ホウ素-アニソール錯体の完全な分解を保証すると同時に、アニソールの高温段階での滞留時間を短縮し、アニソール自体の熱分解の程度を下げ、アニソール純度を保持し、アニソールの利用率を大幅に高め、ホウ素同位体製品の連続安定生産を保障する。
【図面の簡単な説明】
【0011】
図1】ホウ素同位体分離プロセスの流れの概略図である。
図2】従来技術で一般的に用いられる錯体分解装置の概略図である。 ここで、1-分解塔、2-塔身加熱部位(熱伝導油加熱システム付き)、3-アニソール供給口、4-コンデンサー、5-三フッ化ホウ素管、6-気液分離器、7-三フッ化ホウ素管、8-再沸器、9-不純物除去塔、10-アニソール貯蔵タンク。
図3】本発明におけるホウ素同位体分離のための三フッ化ホウ素-アニソール錯体の分解装置の概略図である。 ここで、1-分解塔、2-塔身加熱部位(熱伝導油加熱システム付き)、3-コンデンサー、4-上昇膜予熱器、5-落下膜予熱器、6-分離室、7-三フッ化ホウ素-10ガス貯蔵タンク、8-常温冷却器、9-低温冷却器、10-不純物除去塔、11-三フッ化ホウ素錯体の供給口、12-三フッ化ホウ素ガス循環配管A、13-三フッ化ホウ素ガス循環配管B、14-気液分離器(低温冷却システムを含む)、15-アニソール貯蔵タンク、16-冷却器、17-圧縮機。
【発明を実施するための形態】
【0012】
国内外の報道によると、従来の三フッ化ホウ素-アニソール錯体の分解方法は:三フッ化ホウ素-アニソール錯体が分解塔の供給口にポンプし、分解塔内の落下において、塔身の下部の加熱領域に加熱され、一部の三フッ化ホウ素-アニソール錯体が分解され、残りの大部分の三フッ化ホウ素-アニソール錯体が分解されたアニソールと共に塔底の再沸器に落下し、錯体が再沸器内で長時間に加熱されて分解する。
【0013】
上記装置では、分解塔の加熱領域の自体の伝熱係数に制限されているため、塔内の三フッ化ホウ素-アニソール錯体の分解率は低く、上記分解ステップにおける主な分解要素は再沸器であり、分解したアニソールは再沸器からタイムリー排出できず、高温条件下で長時間に不均一に加熱され、アニソールがフェノールとエチレンに分解しやすくなり、アニソールを錯化剤としてホウ素同位体分離システム内で長期にわたって循環使用し、高温条件下でアニソールをフェノールとエチレンに分解すると、アニソールの純度が低下し、ホウ素同位体分離効果に影響する。また、フェノールは通常温度で固体であり、ホウ素同位体分離システムの配管の閉塞をもたらしやすく、さらに生産システム全体の停止を招き、工業生産に大きな損失をもたらしやすくなる。再沸器の加熱温度を下げてアニソールの熱分解を保護すると、加熱時間が明らかに延長され、三フッ化ホウ素-アニソール錯体が完全に分解できない可能性があり、完全に分解されていない三フッ化ホウ素-アニソール錯体は次のアニソール除去ステップに入り、三フッ化ホウ素ガスの浪費をもたらし、さらに不純物除去ステップに高圧の危険をもたらす。そのため、三フッ化ホウ素-アニソール錯体の分解に適した装置及び方法を探して、分解効率を高め、コストを下げ、生産安全性を高める必要がある。
【0014】
以上のように、本発明の目的は、三フッ化ホウ素-アニソール錯体の分解率を保証するとともに、アニソールの高温段階での滞留時間を短縮し、アニソール自体の熱分解の程度を低下させ、アニソール純度を保持し、アニソールの利用率及び生産安全性を大幅に向上させ、生産が連続的に安定して行えることを保証する三フッ化ホウ素錯体の分解装置及び方法を提供することにある。
【0015】
本発明にかかる錯体、三フッ化ホウ素錯体及び三フッ化ホウ素-アニソール錯体はいずれも三フッ化ホウ素-アニソール錯体を指す。
【0016】
ホウ素同位体分離のプロセスフローチャートは、図1に示すように、具体的には、以下のステップを含む。アニソール-三フッ化ホウ素錯体の化学交換精留法は、主に錯体化塔、交換塔、分解塔、アニソールの不純物除去塔、アニソール乾燥塔という5つのステップからなる。錯体形成塔内では、天然存在比の三フッ化ホウ素-11ガスが錯体化剤のアニソールと逆流接触し、フィラー表面で錯体反応を起こし、三フッ化ホウ素-11-アニソール錯体を生成し、三フッ化ホウ素-11-アニソール錯体は交換塔に入って三フッ化ホウ素-10ガスと化学交換反応を続け、三フッ化ホウ素-10は気相から徐々に液相に移行し、最後に三フッ化ホウ素-10-アニソール錯体は交換塔底液相中で徐々に豊富になり、三フッ化ホウ素-11ガスは交換塔頂部で豊富になり、ホウ素同位体分離の目的を達成し、豊富になった三フッ化ホウ素-10アニソール錯体は分解塔に入って分解反応を起こし、三フッ化ホウ素-10ガスは分離され、製品収集を行い、分解後のアニソールはさらに不純物除去と乾燥を行い、処理後のアニソールは再びリサイクルされる。
【0017】
第一の態様では、本発明は図3に示すように、連続式供給システム11、上昇膜予熱器4、落下膜予熱器5、分離室6、分解塔1、気液分離器14、及び三フッ化ホウ素-10ガス貯蔵タンク7を含む三フッ化ホウ素錯体の分解装置を提供する。前記連続式供給システム11は上昇膜予熱器4の下部に接続され、上昇膜予熱器4の上部は落下膜予熱器5に接続され、落下膜予熱器5は分離室6と分解塔1に順次的に接続され、分解塔1は不純物除去塔10とアニソール貯蔵タンク15に順次的に接続され、分解塔1は気液分離器14に接続され、気液分離器14の上部は三フッ化ホウ素-10ガスタンク7に接続されている。前記分解塔1の頂部にはコンデンサー3が取り付けられ、分解塔1の底部には、常温冷却器8が接続され、常温冷却器8には、低温冷却器9が接続され、低温冷却器9には、不純物除去塔10が接続されている。上昇膜予熱器4の頂部、落下膜予熱器5の頂部、分離室6の頂部、分解塔コンデンサー3の頂部及び気液分離器14の頂部には三フッ化ホウ素ガス循環配管が設けられ、ガス配管は互いに接続されている。
【0018】
いくつかの実施形態では、上昇膜予熱器4及び落下膜予熱器5の熱交換式排列管の内径は10~15mmである。内径が小さすぎると、液体のスムーズな流動に影響し、圧力が大きすぎることになり、内径が大きすぎると、排列管の総表面積が減少し、加熱効果に影響する。すなわち、熱交換式排列管の内径が小さすぎることでも、大きすぎることでも、錯体の分解効率に影響を与えることがある。
【0019】
いくつかの実施形態では、上昇膜予熱器4及び落下膜予熱器5の熱交換式排列管の長さは3~5メートルである。排列管が長すぎると、錯体は上昇膜予熱器と落下膜予熱器で滞留時間が長くなり、加熱時間を延長し、錯体の分解程度を高め、大量の三フッ化ホウ素ガスが分解され、上昇膜予熱器と落下膜予熱器の上部に冷却効果を有せず、気液分離器に入る三フッ化ホウ素ガスの温度が高すぎ、気液分離効果に影響する。排列管が短すぎると、錯体は上昇膜予熱器と落下膜予熱器で滞留時間が短くなり、加熱時間が短くなり、上昇膜予熱器の予熱効果と落下膜予熱器の分解効果を発揮することができない。すなわち、排列管が長すぎることでも、短すぎることでも、錯体の分解効率に影響を与えることがある。
【0020】
第2の態様において、本発明は、上記三フッ化ホウ素錯体の分解装置を用いて、
(1)三フッ化ホウ素錯体を上昇膜予熱器4にポンプし、さらに落下膜予熱器5を通して、三フッ化ホウ素錯体に対して予備加熱と前期分解を完成し、分解された三フッ化ホウ素ガスは気液分離器14に入るステップと、
(2)未分解の三フッ化ホウ素錯体と微量の三フッ化ホウ素ガスが分離室6に入り、気液を十分に分離し、三フッ化ホウ素ガスが気液分離器14に入るステップと、
(3)未分解の三フッ化ホウ素錯体が分解塔1に入り、分解して三フッ化ホウ素ガスとアニソールを得て、三フッ化ホウ素ガスは分解塔頂部コンデンサー3を経て冷却された後、気液分離器14に入り、アニソールは分解塔1の底部から排出され、降温し精製された後、最後にアニソール貯蔵タンク15に入るステップと、
(4)気液分離器14に入った三フッ化ホウ素ガスは三フッ化ホウ素-10ガス貯蔵タンク7に入るステップとを含む三フッ化ホウ素錯体を分解する方法を提供する。
【0021】
いくつかの実施形態では、落下膜予熱器5から排出された未分解の三フッ化ホウ素錯体が分離室6に入り、微量の三フッ化ホウ素ガスが錯体に混合され、加熱装置を有しない分離室6を通じて、気液の分離が行われる。また、分離室を増設するもう1つの目的は、緩衝と圧力の平衡の役割を果たし、分解塔1に液体をスムーズに入れることである。
【0022】
いくつかの実施形態では、分解された三フッ化ホウ素ガスは、三フッ化ホウ素ガス循環配管を通して気液分離器14に入り、気液分離器は低温冷媒循環装置を有し、三フッ化ホウ素ガスが携帯する微量の蒸気を液化させ、気液分離を完了し、液体は気液分離器14の底部配管を経て分解塔1に入り、測定された不合格の三フッ化ホウ素ガスは、気液分離器14の上部のサイド管を経て次ステップ(交換塔)に入り、次ステップの交換反応に参与する。測定された合格(存在量60以上の三フッ化ホウ素-10ガスが基準として合格とする)の三フッ化ホウ素-10ガスは気液分離器の上部のサイド管を経て圧縮機で圧縮された後、三フッ化ホウ素-10ガス貯蔵タンク7に入り、図3に示すようになる。
【0023】
本発明の実施例と比較例で使用される各種試薬/機器は、特に説明しない限り、従来の市販品である。
【0024】
本発明で用いられる三フッ化ホウ素-アニソール錯体の合成方法は、図1の一部の装置を用い、具体的には、以下のステップを含む。
(1)錯体化塔の塔本体の体冷媒循環システムを起動し、錯体化塔の温度を低下させる。
(2)循環アニソールは不純物除去塔と乾燥塔により順次的に処理され、含有量と含有水分がいずれも合格したアニソール(含有量が99.5%以上であり、水分が50ppm以内である。)を得て、アニソール貯蔵タンク内に貯蔵する。
(3)処理が合格した後のアニソールを錯体化塔の頂部の給液口に通するとともに、錯体化塔底部の吸気口に三フッ化ホウ素-11ガスを通する。
(4)冷媒システムを調節し、錯体化塔の塔本体の温度を10~30℃に保証し、一定の錯体化度の三フッ化ホウ素-11-アニソール錯体を得る。
(5)三フッ化ホウ素-11-アニソール錯体は交換塔に入って引き続き三フッ化ホウ素-10ガスと化学交換反応を起こし、三フッ化ホウ素-11ガスは交換塔の塔頂部に豊富になり、三フッ化ホウ素-10は気相から徐々に液相中に移動し(三フッ化ホウ素-10と三フッ化ホウ素-11ガスとは、微小な分離係数(1.033)及びアニソールの結合度が異なり、三フッ化ホウ素-10ガスはアニソールと錯化し錯体を合成しやすく、錯体が液体の形で存在し、三フッ化ホウ素-11はガスの形で単独で存在する。)、最後に本発明に用いられる原料である三フッ化ホウ素-アニソール錯体である三フッ化ホウ素-10-アニソール錯体は、交換塔の底部の液相中でゆっくりと豊富になる。
【0025】
本発明の技術的態様をよりよく理解するために、以下に具体的な実施例を参照して本発明の技術的態様を詳細に説明する。
実施例1
【0026】
上昇膜予熱器における熱交換式排列管の内径は10mm、長さは3mである、落下膜予熱器における熱交換式排列管の内径は10mm、長さは3mであり、上昇膜予熱器の温度を120℃に制御するように、落下膜予熱器の温度を140℃に制御するように、熱伝導油バルブを調製した。気液分離器における循環冷媒の温度は5℃であった。また、分解塔の加熱領域の温度を150℃に制御するように、熱伝導油バルブを調製して、分解塔の圧力は0.8barであり、三フッ化ホウ素-アニソール錯体の流量を60L/時間に調製し、上昇膜予熱器を通過する時間を50秒に、落下膜予熱器の時間を50秒になるように、材料計量ポンプの動作周波数を設定して、次に、液相三フッ化ホウ素-アニソール錯体が自体の重力作用によって分解塔内に流入し、連続安定運転30分後、上昇膜予熱器、分離室及び分解塔底部でそれぞれサンプリングを連続に3回行い、検査結果は以下の表1に示す。
【0027】
(表1)三フッ化ホウ素-アニソールの分解率測定結果
【0028】
上表からわかるように、三フッ化ホウ素-アニソール錯体は分解塔底部で完全分解に達し、アニソール含有量が99.996%、フェノール含有量が3.4ppmを測定し、三フッ化ホウ素-アニソール錯体の分解効率は60L/時間であった。
【0029】
アニソール含有量の測定はいずれも分解塔の底部でサンプリングし、水素炎イオン化検出器(FID)によるガスクロマトグラフィーで測定した。
【0030】
分解率の計算:
上昇膜予熱器、落下膜予熱器と分離室の上部には三フッ化ホウ素ガス循環配管があり、いずれもガス質量流量計が設置され、各部位において、分解された三フッ化ホウ素ガスの量が錯体の錯体化度および錯体の量を組み合わせて三フッ化ホウ素-アニソールの分解率を計算することができる。
【0031】
三フッ化ホウ素ガスは水に非常に溶けやすく、ホウ酸とフッ化水素酸を生産し、さらにアニソールの酸価に影響を与え、アニソール中のフェノールもアニソールの酸価に影響を与え、かつアニソール中のフェノール含有量が10ppm以下の場合、酸価の影響は0.1mg・KOH/g程度である。分解塔の底部のサンプルの酸価が0.1mg・KOH/g程度であるかどうかを測定することにより、酸価が0.1mg・KOH/g未満であれば、錯体が完全に分解したと判断することができ、この時の錯体の上昇膜予熱器に入る流量は相応の分解効率に対応する。
実施例2
【0032】
上昇膜予熱器における熱交換式排列管の内径は15mm、長さは4mであり、落下膜予熱器における熱交換式排列管の内径は15mm、長さは4mであり、上昇膜予熱器の温度を130℃に制御し、落下膜予熱器の温度を150℃に制御するように、熱伝導油バルブを調製した。気液分離器における循環冷媒の温度は5℃であった。また、分解塔の加熱領域の温度を155℃に制御するように、熱伝導油バルブを調製して、分解塔の圧力は1.0barであり、三フッ化ホウ素-アニソール錯体の流量を80L/時間に調節して、上昇膜予熱器を通過する時間が50秒に、落下膜予熱器を通過する時間が50秒になるように、材料計量ポンプの動作周波数を設定して、次に液相三フッ化ホウ素-アニソール錯体は自体の重力作用によって分解塔内に流入し、連続安定運転60分後、上昇膜予熱器、分離室、分解塔底部でそれぞれサンプリングを連続に3回行い、検査結果は以下の表2に示す。
【0033】
(表2)三フッ化ホウ素-アニソールの分解率測定結果
【0034】
上表から明らかなように、三フッ化ホウ素-アニソール錯体は分解塔の底部で完全分解に達し、アニソール含有量99.994%、フェノール含有量4.2ppmを測定し、三フッ化ホウ素-アニソール錯体の分解効率は80L/時間であった。
実施例3
【0035】
上昇膜予熱器における熱交換式排列管の内径は12mm、長さは5mであり、落下膜予熱器における熱交換式排列管の内径は12mm、長さは5mであり、上昇膜予熱器の温度を110℃に制御し、制御落下膜予熱器の温度を130℃に制御するように、熱伝導油バルブを制御した。気液分離器における循環冷媒の温度は15℃であった。また、分解塔の加熱領域の温度が158℃になるように、熱伝導油バルブを制御し、分解塔の圧力は0.6barであり、三フッ化ホウ素-アニソール錯体の流量を30L/時間に調整して、上昇膜予熱器を通過する時間が100秒に、落下膜予熱器を通過する時間が100秒になるように、材料計量ポンプの動作周波数を設定して、次に液相三フッ化ホウ素-アニソール錯体は自体の重力作用によって分解塔内に流入し、連続安定運転60分後、上昇膜予熱器、分離室、分解塔底部でそれぞれサンプリングを連続に3回行い、検査結果は以下の表3に示す。
【0036】
(表3)三フッ化ホウ素-アニソールの分解率測定結果
【0037】
上表から明らかなように、三フッ化ホウ素-アニソール錯体は分解塔底部で完全分解に達し、アニソール含有量99.996%、フェノール含有量3.5ppmを測定し、三フッ化ホウ素-アニソール錯体の分解効率は30L/時間であった。
実施例4
【0038】
上昇膜予熱器における熱交換式排列管の内径は15mm、長さは5mであり、落下膜予熱器における熱交換式排列管の内径は15mm、長さは4mであり、上昇膜予熱器の温度を110℃に制御し、制御落下膜予熱器の温度を130℃に制御するように、熱伝導油バルブを調整した。気液分離器における循環冷媒の温度は25℃であった。また、分解塔の加熱領域の温度を160℃に制御するように、熱伝導油バルブを調整し、分解塔の圧力は1.2barであり、三フッ化ホウ素-アニソール錯体の流量を100L/時間に調整し、上昇膜予熱器を通過する時間が38秒に、落下膜予熱器の時間が30秒になるように、材料計量ポンプの動作周波数を設定して、次に、液相三フッ化ホウ素-アニソール錯体が自体の重力作用によって分解塔内に流入し、連続安定運転60分後、上昇膜予熱器、分離室、分解塔底部でそれぞれサンプリングを連続に3回行い、検査結果は以下の表4に示す。
【0039】
(表4)三フッ化ホウ素-アニソールの分解率測定結果
【0040】
上表から明らかなように、三フッ化ホウ素-アニソール錯体は分解塔底部で完全分解に達し、アニソール含有量99.994%、フェノール含有量3.3ppmを測定し、三フッ化ホウ素-アニソール錯体の分解効率は100L/時間であった。
比較例1
【0041】
比較例1は図2の装置を用いた。溶解塔の加熱領域の温度を155℃に制御するように、熱伝導油バルブを調整し、また、溶解塔底部の再沸器の加熱温度を160℃に制御するように、熱伝導油バルブを調節し、三フッ化ホウ素-アニソール錯体の流量が60L/1時間になるように、材料計量ポンプの動作周波数を調製し、三フッ化ホウ素-アニソール錯体を溶解塔の給液口まで輸送し、120分後に再沸器内の液体が70%~80%の液位高さに達した時、材料計量ポンプの動作を一時停止し、三フッ化ホウ素-アニソール錯体の輸送を停止し、再沸器を0分、30分、60分、80分、100分、110分、120分加熱し続けた後、再沸器内でそれぞれサンプリングを行い、検査結果は以下の表5に示す。
【0042】
(表5)三フッ化ホウ素-アニソールの分解率の測定結果
【0043】
上表から分かるように、120分後、三フッ化ホウ素-アニソール錯体は完全に分解し、アニソール含有量99.91%、フェノール含有量26ppmを測定し、三フッ化ホウ素-アニソール錯体の分解効率は30L/時間であった。
【0044】
上記では、本発明の具体的な実施形態について説明したが、本発明の保護範囲を限定するものではなく、本発明の請求項に基づいて、当業者が創造的な労働を必要とせずに行うことができる様々な修正または変形は、本発明の保護範囲内にある。
【符号の説明】
【0045】
図2の)1 分解塔
図2の)2 塔身加熱部位(熱伝導油加熱システム付き)
図2の)3 アニソール供給口
図2の)4 コンデンサー
図2の)5 三フッ化ホウ素管
図2の)6 気液分離器
図2の)7 三フッ化ホウ素管
図2の)8 再沸器
図2の)9 不純物除去塔
図2の)10 アニソール貯蔵タンク
図3の)1 分解塔
図3の)2 塔身加熱部位(熱伝導油加熱システム付き)
図3の)3 コンデンサー
図3の)4 上昇膜予熱器
図3の)5 落下膜予熱器
図3の)6 分離室
図3の)7 三フッ化ホウ素-10ガス貯蔵タンク
図3の)8 常温冷却器
図3の)9 低温冷却器
図3の)10 不純物除去塔
図3の)11 三フッ化ホウ素錯体の供給口
図3の)12 三フッ化ホウ素ガス循環配管A
図3の)13 三フッ化ホウ素ガス循環配管B
図3の)14 気液分離器(低温冷却システムを含む)
図3の)15 アニソール貯蔵タンク
図3の)16 冷却器
図3の)17 圧縮機
図1
図2
図3