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特開2024-98516蓄電デバイス用封止フィルム及び蓄電デバイス
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024098516
(43)【公開日】2024-07-24
(54)【発明の名称】蓄電デバイス用封止フィルム及び蓄電デバイス
(51)【国際特許分類】
   H01M 50/198 20210101AFI20240717BHJP
   H01M 50/186 20210101ALI20240717BHJP
   H01M 50/193 20210101ALI20240717BHJP
   H01M 50/184 20210101ALI20240717BHJP
   H01M 10/04 20060101ALI20240717BHJP
   H01M 10/0585 20100101ALI20240717BHJP
【FI】
H01M50/198
H01M50/186
H01M50/193
H01M50/184 Z
H01M10/04 Z
H01M10/0585
【審査請求】未請求
【請求項の数】12
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023002038
(22)【出願日】2023-01-11
(71)【出願人】
【識別番号】000002897
【氏名又は名称】大日本印刷株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100124431
【弁理士】
【氏名又は名称】田中 順也
(74)【代理人】
【識別番号】100174160
【弁理士】
【氏名又は名称】水谷 馨也
(72)【発明者】
【氏名】加藤 萩真
(72)【発明者】
【氏名】佐伯 康佑
(72)【発明者】
【氏名】續木 淳朗
(72)【発明者】
【氏名】上野 滋弘
(72)【発明者】
【氏名】天野 真
【テーマコード(参考)】
5H011
5H028
5H029
【Fターム(参考)】
5H011AA09
5H011AA17
5H011FF02
5H011GG01
5H011HH02
5H011JJ25
5H011KK04
5H028AA05
5H028BB01
5H028BB05
5H028CC01
5H028CC19
5H028EE06
5H028HH08
5H029AJ15
5H029AM15
5H029BJ06
5H029BJ17
5H029DJ03
5H029EJ12
5H029HJ14
(57)【要約】      (修正有)
【課題】加熱によって優れた形状追従性が発揮される、蓄電デバイス用の封止フィルムを提供する。
【解決手段】蓄電デバイス用の封止フィルムであって、前記封止フィルムは、120℃以下に補外融解開始温度を有し、前記封止フィルムは、蓄電デバイス素子の集電体間に配置される、封止フィルム。
【選択図】なし
【特許請求の範囲】
【請求項1】
蓄電デバイス用の封止フィルムであって、
前記封止フィルムは、120℃以下に補外融解開始温度を有し、
前記封止フィルムは、蓄電デバイス素子の集電体間に配置される、封止フィルム。
【請求項2】
前記封止フィルムは、単層又は複層である、請求項1に記載の封止フィルム。
【請求項3】
前記封止フィルムは、50℃以上120℃以下の範囲に補外融解開始温度を有する、請求項1又は2に記載の封止フィルム。
【請求項4】
前記封止フィルムは、100℃以上120℃以下の範囲に補外融解開始温度を有する、請求項1又は2に記載の封止フィルム。
【請求項5】
前記封止フィルムは、80℃以上110℃以下に軟化点を有する、請求項1又は2に記載の封止フィルム。
【請求項6】
前記封止フィルムは、ポリオレフィン骨格を有する樹脂を含む、請求項1又は2に記載の封止フィルム。
【請求項7】
前記封止フィルムは、エチレンとα-オレフィンとの共重合体を含む、請求項1又は2に記載の封止フィルム。
【請求項8】
前記封止フィルムは、少なくとも1つの前記集電体に接触するようにして用いられる、請求項1又は2に記載の封止フィルム。
【請求項9】
前記封止フィルムの形状は、枠状である、請求項1又は2に記載の封止フィルム。
【請求項10】
前記蓄電デバイス素子の前記集電体間には、前記封止フィルムとは異なる封止部材がさらに配置されており、
前記集電体と前記封止部材との間に、前記封止フィルムが配置される、請求項1又は2に記載の封止フィルム。
【請求項11】
前記蓄電デバイスは、バイポーラ電池又は全固体電池である、請求項1又は2に記載の封止フィルム。
【請求項12】
蓄電デバイス素子の前記集電体間に、請求項1又は2に記載の封止フィルムが配置されている、蓄電デバイス。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、蓄電デバイス用封止フィルム及び蓄電デバイスに関する。
【背景技術】
【0002】
近年注目されている蓄電デバイスとして、バイポーラ電池が知られている。バイポーラ電池は、1枚の集電体の一方面には正極を設け他方面に負極を設けることで、1枚の集電体に2つの電極を有するバイポーラ電極を用い、バイポーラ電極の正極と負極の間に電解質を積層している。バイポーラ電池においては、各層の電解質に含まれる電解液が流出すると、各層同士が電気的に接続され、電池として機能が失われるという問題がある。そこで、電解液をゲル化させることで、各層の電解質の流動性を低下させ、電解質の流出を抑制させる技術が知られている(特許文献1を参照)。
【0003】
また、近年注目されている蓄電デバイスとして、全固体電池が知られている。例えば特許文献2に記載の全固体電池は、リチウム電池の単位セルと、単位セルと交互に積層される内部電極層とを含むバイポーラ型の積層電池(セルスタック)を複数有して構成されている。複数の積層電池は、正極集電箔および負極集電箔を介して積み重ねられて互いに並列接続されると共に、モールド樹脂によって封止されている。特許文献2では、電気的に並列に接続された各々のバイポーラ積層体を、モールド樹脂によって密着させて固定し、正極と負極との間を物理的に電気絶縁して短絡を防ぐことが提案されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2000-100471号公報
【特許文献2】特開2014-116156号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
蓄電デバイスでは、電解質の流出などを防ぐために、電解質層の周囲を封止するための封止材が使用されている。固体電解質を利用する全固体電池においても、封止材によって固体電解質の周囲が封止されている。
【0006】
このような封止材について、封止材の加熱による形状追従性を高めることにより、封止性を高めることができる。また、封止対象の形状は様々である。このため、封止材の加熱による形状追従性を高めれば、封止材の適用範囲を広げることも可能となる。
【0007】
このような状況下、本開示は、加熱による形状追従性に優れた、蓄電デバイス用の封止フィルムを提供することを主な目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本開示の発明者らは、上記のような課題を解決すべく鋭意検討を行った。その結果、120℃以下に補外融解開始温度を有するフィルムを、蓄電デバイス素子の集電体間に配置することで、加熱による優れた形状追従性が発揮され、蓄電デバイス用の封止フィルムとして好適に利用できることを見出した。
【0009】
本開示は、このような新規な知見に基づいて、更に検討を重ねることにより完成したものである。即ち、本開示は、下記に掲げる態様の発明を提供する。
蓄電デバイス用の封止フィルムであって、
前記封止フィルムは、120℃以下に補外融解開始温度を有し、
前記封止フィルムは、蓄電デバイス素子の集電体間に配置される、封止フィルム。
【発明の効果】
【0010】
本開示によれば、加熱によって優れた形状追従性が発揮される、蓄電デバイス用の封止フィルムを提供することができる。また、本開示によれば、当該封止フィルムを利用した蓄電デバイスを提供することもできる。
【図面の簡単な説明】
【0011】
図1】本開示の封止フィルムの断面構造の一例を示す模式図である。
図2】本開示の封止フィルムの断面構造の一例を示す模式図である。
図3】本開示の封止フィルムの模式的平面図の一例である。
図4】本開示の封止フィルムが蓄電デバイス素子(全固体電池素子)の集電体間に配置される様子を説明するための模式図である。
図5】本開示の封止フィルムが蓄電デバイス素子(全固体電池素子)の集電体間に配置される様子を説明するための模式図である。
図6】本開示の封止フィルムが蓄電デバイス素子(全固体電池素子)の集電体間に配置される様子を説明するための模式図である。
図7】本開示の封止フィルムが蓄電デバイス素子(全固体電池素子)の集電体間に配置される様子を説明するための模式図である。
図8】本開示の封止フィルムが蓄電デバイス素子(バイポーラ電池素子)の集電体間に配置される様子を説明するための模式図である。
図9】補外融解開始温度を説明するための模式図である。
図10】実施例における、はみ出し量の測定方法を説明するための模式図である。
【発明を実施するための形態】
【0012】
本開示の封止フィルムは、蓄電デバイス用の封止フィルムであって、封止フィルムは、120℃以下に補外融解開始温度を有し、蓄電デバイス素子の集電体間に配置されるものである。本開示の封止フィルムは、加熱によって優れた形状追従性を発揮することから、蓄電デバイス素子の集電体間に配置することで、集電体間の隙間を好適に封止することができる。
【0013】
本開示の封止フィルムは、後述の通り、蓄電デバイス素子の集電体間に配置される封止フィルムであり、例えばバイポーラ電池、全固体電池、リチウムイオン電池などの幅広い蓄電デバイスに適用することができる。
【0014】
以下、本開示の封止フィルムについて詳述する。なお、本明細書において、「~」で示される数値範囲は「以上」、「以下」を意味する。例えば、2~15mmとの表記は、2mm以上15mm以下を意味する。例えば、2~15mmとの表記は、2mm以上15mm以下を意味する。本開示に段階的に記載されている数値範囲において、ある数値範囲で記載された上限値又は下限値は、他の段階的な記載の数値範囲の上限値又は下限値に置き換えてもよい。また、別個に記載された、上限値と上限値、上限値と下限値、又は下限値と下限値を組み合わせて、それぞれ、数値範囲としてもよい。また、本開示に記載されている数値範囲において、ある数値範囲で記載された上限値又は下限値は、実施例に示されている値に置き換えてもよい。
【0015】
本開示の封止フィルム10(以下、封止フィルム10と表記することがある)は、例えば図1に示すように単層により構成されていてもよいし、図2のように複層により構成されていてもよい。本開示の封止フィルム10が複層により構成されている場合、封止フィルム10は、好ましくは2~6層構成、より好ましくは2~5層構成、さらに好ましくは2~4層構成、さらに好ましくは2~3層構成、さらに好ましくは3層構成である。各層構成は特に限定されないが、1層構成の場合は、例えば、後述する基材層で挙げた材料により構成、後述する接着層で挙げた材料により構成されていることが挙げられる。2層構成の場合は、例えば、接着層/基材層、接着層/接着層、基材層/基材層などにより構成されていることが挙げられる。3層構成の場合は、例えば、接着層/基材層/基材層、接着層/基材層/接着層、接着層/接着層/基材層、接着層/接着層/接着層などにより構成されていることが挙げられる。5層構成の場合は、例えば、接着層/接着剤層/基材層/接着剤層/接着層など、上述した3層構成の各層間を公知の接着剤を用いて接着する構成などが挙げられる。
【0016】
図2には、基材層1と、基材層1の両面側に配置された接着層2とを備える積層体から構成されている図を示している。すなわち、図2の封止フィルム10は、接着層2、基材層1、接着層2がこの順に積層された3層構成の積層体から構成されている。図2において、封止フィルム10の両側の接着層2は、それぞれ、封止フィルム10の最外層を構成している。図2の封止フィルム10の少なくとも一方側の接着層2は、例えば、集電体(図4から図6の正極集電体21又は負極集電体22、図8の集電体32など)と接触するようにして用いることができる。
【0017】
本開示の封止フィルム10は、蓄電デバイス素子の集電体間に配置される。より具体的には、蓄電デバイス素子の集電体間であって、かつ、集電体と電解質との間、電解質と電解質との間、封止部材間、集電体と封止部材との間などに配置される。集電体間とは、バイポーラ電池が備える、正極集電体21と負極集電体22との間、端部集電体31間(電極間)を意味している(図4から図8を参照)。後述の通り、例えば、封止フィルム10の形状を枠状(矩形環状)とし、電解質の周囲を囲むように設置することができる。このような封止フィルム10は、電解質の周囲を囲むための開口部10aを備えている(図3参照)。なお、矩形環状は、角が直角でない形状も含む。
【0018】
封止フィルム10の厚み(総厚み)としては、集電体間の隙間の大きさなどに応じて調整され、特に制限されないが、例えば約600μm以下、約500μm以下、約400μm以下、約300μm以下、約200μm以下、または、例えば約1μm以上、約30μm以上、約50μm以上、約80μm以上、約100μm以上が挙げられる。封止フィルム10を構成する積層体の厚み(総厚み)の好ましい範囲としては、1~600μm程度、1~500μm程度、1~400μm程度、1~300μm程度、1~200μm程度、30~600μm程度、30~500μm程度、30~400μm程度、30~300μm程度、30~200μm程度、50~600μm程度、50~500μm程度、50~400μm程度、50~300μm程度、50~200μm程度、80~600μm程度、80~500μm程度、80~400μm程度、80~300μm程度、80~200μm程度、100~600μm程度、100~500μm程度、100~400μm程度、100~300μm程度、100~200μm程度が挙げられる。
【0019】
例えば図4又は図8に示されるように、1つの封止フィルム10を用いて集電体間の隙間を封止するように設置される場合、封止フィルム10の厚み(総厚み)としては、好ましくは約600μm以下、より好ましくは約500μm以下であり、また、好ましくは約1μm以上、約30μm以上、より好ましくは約50μm以上、さらに好ましくは50μm超、さらに好ましくは約100μm以上であり、好ましい範囲としては、1~600μm程度、1~500μm程度、1~400μm程度、1~300μm程度、1~200μm程度、30~600μm程度、30~500μm程度、30~400μm程度、30~300μm程度、30~200μm程度、50~600μm程度、50~500μm程度、50~400μm程度、50~300μm程度、50~200μm程度、50μm超600μm以下程度、50μm超500μm以下程度、50μm超400μm以下程度、50μm超300μm以下程度、50μm超200μm以下程度、100~600μm程度、100~500μm程度、100~400μm程度、100~300μm程度、100~200μm程度が挙げられる。さらに、封止フィルムが、基材層1と、基材層1の両面側に配置された接着層2とを備える積層体から構成されている場合、基材層1の厚みとしては、好ましくは約500μm以下、より好ましくは約400μm以下であり、また、好ましくは約1μm以上、約20μm以上、より好ましくは約30μm以上、さらに好ましくは50μm以上であり、好ましい範囲としては、1~500μm程度、1~400μm程度、20~500μm程度、20~400μm程度、30~500μm程度、30~400μm程度、50~500μm程度、50~400μm程度が挙げられる。また、接着層2の厚みとしては、それぞれ、好ましくは約300μm以下、より好ましくは約200μm以下であり、また、好ましくは約1μm以上、より好ましくは約10μm以上であり、好ましい範囲としては、1~300μm程度、1~200μm程度、10~300μm程度、10~200μm程度が挙げられる。
【0020】
また、例えば図5から図7に示されるように、蓄電デバイス素子20,30の集電体間に、本開示の封止フィルム10とは異なる封止部材11を配置する場合には、封止フィルム10の厚み(総厚み)としては、好ましくは約600μm以下、より好ましくは約500μm以下、さらに好ましくは約400μm以下であり、また、好ましくは約1μm以上、25μm以上、より好ましくは約50μm以上であり、好ましい範囲としては、1~600μm程度、1~500μm程度、1~400μm程度、25~600μm程度、25~500μm程度、25~400μm程度、50~600μm程度、50~500μm程度、50~400μm程度が挙げられる。封止フィルムが、基材層1と、基材層1の両面側に配置された接着層2とを備える積層体から構成されている場合、基材層1の厚みとしては、好ましくは約500μm以下、より好ましくは約400μm以下であり、また、好ましくは約1μm以上、10μm以上、より好ましくは約15μm以上であり、好ましい範囲としては、1~500μm程度、1~400μm程度、10~500μm程度、10~400μm程度、15~500μm程度、15~400μm程度が挙げられる。また、接着層2の厚みとしては、好ましくは約300μm以下、より好ましくは約200μm以下であり、また、好ましくは約1μm以上、より好ましくは約10μm以上であり、好ましい範囲としては、1~300μm程度、1~200μm程度、10~300μm程度、10~200μm程度が挙げられる。
【0021】
本開示において、集電体間を封止フィルム10のみで封止するか、さらに封止フィルム10とは異なる封止部材11を配置するかは、蓄電デバイス素子の仕様などによって適宜選択すればよい。また、封止フィルム10の総厚や各層の厚みについても、集電体間の隙間の大きさに応じて適宜選択すればよい。
【0022】
封止フィルム10が、少なくとも、基材層1と、基材層1の両面側に配置された接着層2とを備える積層体から構成されている場合、封止フィルム10を構成する積層体の厚み(総厚み)に対する、基材層1、接着層2の合計厚みの割合は、好ましくは90%以上であり、より好ましくは95%以上であり、さらに好ましくは98%以上、さらには100%である。
【0023】
本開示の封止フィルム10は、120℃以下に補外融解開始温度を有する。本開示の封止フィルム10の加熱による形状追従性を高めつつ、さらには、加熱及び加圧された際の厚み(残膜量)の低下を抑制し、集電体間からのはみ出しを抑制する観点から、本開示の封止フィルム10が有する補外融解開始温度は、好ましくは約20℃以上、より好ましくは約35℃以上、さらに好ましくは約50℃以上であり、また、好ましくは約119℃以下、さらに好ましくは118℃以下である。本開示の封止フィルム10は、20~120℃程度、20~119℃程度、20~118℃程度、35~120℃程度、35~119℃程度、35~118℃程度、35~120℃程度、35~119℃程度、又は35~118℃程度の範囲に、補外融解開始温度を有することがさらに好ましい。なお、本開示の封止フィルム10は、120℃以下に補外融解開始温度を有していれば、120℃を超える補外融解開始温度をさらに有していてもよく、有していないことが好ましい。
【0024】
本開示の封止フィルム10の補外融解開始温度の測定方法は、以下の通りである。
【0025】
(補外融解開始温度の測定)
JIS K7121:1987およびJIS K7121:2012(プラスチックの転移温度測定方法(JIS K7121:2012はJIS K7121:1987の追補1))(3.(2)による状態調節後、8.6DTA又はDSC曲線の測定)の規定に準拠した方法により、封止フィルムの補外融解開始温度を測定する。補外融解開始温度は、融解ピーク温度の開始点を意味し、低温側のベースラインを高温側に延長した直線と、融解熱が最大となる融解ピークの低温側の曲線に、勾配が最大になる点で引いた接線との交点の温度である(図9を参照)。装置として市販の示差走査熱量計(DSC)を用い、測定条件は、窒素雰囲気下で5mgの試料を10℃/分の速度で0℃から200℃まで昇温して10分間保持した後に、10℃/分の速度で0℃まで降温し10分間保持することで状態調節した後、再度10℃/分の速度で200℃まで昇温し測定することにより得られた状態調節後のDSC曲線から補外融解開始温度を求めた。なお、窒素ガスのガス流量は10ml/分である。
【0026】
また、本開示の効果をより好適に発揮する観点から、本開示の封止フィルム10は、約110℃以下に軟化点を有することが好ましい。当該軟化点は、より好ましくは約109℃以下、さらに好ましくは約108℃以下であり、また、好ましくは約60℃以上、より好ましくは約70℃以上、さらに好ましくは約80℃以上であり、好ましい範囲としては、60~110℃程度、60~109℃程度、60~108℃程度、70~110℃程度、70~109℃程度、70~108℃程度、80~110℃程度、80~109℃程度、80~108℃程度が挙げられる。なお、本開示の封止フィルム10は、110℃を超える軟化点を有していてもよく、有していないことが好ましい。
【0027】
(軟化点の測定)
封止フィルムの軟化点は、以下の手順により測定する。熱機械分析装置(TMA)を用い、試験荷重78.5mN、昇温速度5℃/min、先端針φ1.0mmの条件で封止フィルムの軟化点を測定する。なお、封止フィルムの軟化点測定箇所は、封止フィルムの中心位置を測定対象とする。
【0028】
本開示の効果をより一層好適に発揮する観点から、本開示の封止フィルム10は、下記の方法によって測定されるアルミニウム板に対する接着強度(N/10mm)が、好ましくは約1N/10mm以上、より好ましくは約3N/10mm以上であり、上限については特に限定されないが、例えば約30N/10mm以下が挙げられる。
【0029】
<アルミニウム板に対する接着強度>
以下の測定条件によって、集電体に見立てたアルミニウム板に対する接着強度(N)を測定する。JIS K7127:1999の規定に準拠して、25℃環境の剥離強度を次のようにして測定する。封止フィルムからTDの方向10mm幅の短冊状にサンプルを切り出し、厚み400μmアルミニウム板と封止フィルムを熱プレスにより接着し測定用サンプルを作製する。次に、測定用サンプルを引張試験機に取り付け、引張速度10mm/min、標線間距離50mmの条件で、アルミニウム板-封止フィルム間の接着強度(剥離強度)を測定し、剥離時の最大強度(N/10mm)を採用する。3回測定した平均値とする。熱プレス条件は、温度170℃、面圧を1MPa、プレス時間を20秒(s)に固定する。剥離方向は180°方向とし、測定用サンプルにおけるアルミニウム板の接着部の大きさは幅10mm、長さ30mmである。
【0030】
なお、封止フィルムのMDの確認方法として、封止フィルムの断面(例えば、基材層や接着層の断面)を電子顕微鏡で観察し海島構造を確認する方法がある。当該方法においては、封止フィルムの厚み方向に対して垂直な方向の島の形状の径の平均が最大であった断面と平行な方向を、MDと判断することができる。具体的には、封止フィルムの長さ方向の断面と、当該長さ方向の断面と平行な方向から10度ずつ角度を変更し、長さ方向の断面に対して垂直な方向までの各断面(合計10の断面)について、それぞれ、電子顕微鏡写真で観察して海島構造を確認する。次に、各断面において、それぞれ、個々の島の形状を観察する。個々の島の形状について、封止フィルムの厚み方向に対して垂直方向の最左端と、当該垂直方向の最右端とを結ぶ直線距離を径yとする。各断面において、島の形状の当該径yが大きい順に上位20個の径yの平均を算出する。島の形状の当該径yの平均が最も大きかった断面と平行な方向をMDと判断する。
【0031】
封止フィルム10は、樹脂フィルムにより構成することができる。封止フィルム10に含まれる樹脂としては、熱可塑性樹脂が好ましい。本開示の効果を好適に発揮する観点から、封止フィルム10は、ポリオレフィン系樹脂を含むことが好ましく、ポリオレフィン系樹脂により形成されていることがより好ましい。
【0032】
ポリオレフィン系樹脂としては、具体的には、低密度ポリエチレン、中密度ポリエチレン、高密度ポリエチレン、線状低密度ポリエチレン等のポリエチレン;エチレン-αオレフィン共重合体;ホモポリプロピレン、ポリプロピレンのブロックコポリマー(例えば、プロピレンとエチレンのブロックコポリマー)、ポリプロピレンのランダムコポリマー(例えば、プロピレンとエチレンのランダムコポリマー)等のポリプロピレン;プロピレン-αオレフィン共重合体;エチレン-ブテン-プロピレンのターポリマー等のポリオレフィンが挙げられる。これらの中でも、ポリエチレンが好ましい。共重合体である場合のポリオレフィン系樹脂は、ブロック共重合体であってもよく、ランダム共重合体であってもよい。封止フィルム10にポリオレフィン系樹脂が含まれる場合、封止フィルム10に含まれるポリオレフィンは、1種類のみであってもよいし、2種類以上であってもよい。
【0033】
ポリオレフィン系樹脂は、変性ポリオレフィンであってもよい。本開示の効果を好適に発揮する観点から、変性ポリオレフィンとしては、酸変性ポリオレフィン、シラン変性ポリオレフィンなどが挙げられる。変性ポリオレフィンは、金属材料に対する熱融着性を備えているため、封止フィルム10が金属製の集電体に接触されるようにして使用される場合に特に好適である。
【0034】
酸変性ポリオレフィンとは、ポリオレフィンを酸成分でブロック重合又はグラフト重合することにより変性したポリマーである。酸変性されるポリオレフィンとしては、前記のポリオレフィンや、前記のポリオレフィンにアクリル酸若しくはメタクリル酸等の極性分子を共重合させた共重合体、又は、架橋ポリオレフィン等の重合体等も使用できる。また、酸変性に使用される酸成分としては、例えば、マレイン酸、アクリル酸、イタコン酸、クロトン酸、無水マレイン酸、無水イタコン酸等のカルボン酸またはその無水物が挙げられる。好ましい酸変性ポリオレフィンとしては、カルボン酸またはその無水物で変性されたポリオレフィン、カルボン酸またはその無水物で変性されたポリエチレン、無水マレイン酸変性ポリオレフィン、無水マレイン酸変性ポリエチレンが挙げられる。封止フィルム10に酸変性ポリオレフィンが含まれる場合、封止フィルム10に含まれる酸変性ポリオレフィンは、1種類のみであってもよいし、2種類以上であってもよい。
【0035】
また、シラン変性ポリオレフィンは、α-オレフィンとエチレン性不飽和シラン化合物とをコモノマーとして共重合してなるシラン共重合体、該共重合体の変性体ないし縮合体が好ましい。具体的には、例えば、α-オレフィンの1種ないし2種以上と、エチレン性不飽和シラン化合物の1種ないし2種以上と、必要ならば、その他の不飽和モノマーの1種ないし2種以上とを、所望の反応容器を使用し、例えば、圧力500~4000Kg/cm2位、好ましくは、1000~4000Kg/cm2位、温度100~400℃位、好ましくは、150~350℃位の条件下で、ラジカル重合開始剤及び必要ならば連鎖移動剤の存在下で、同時に或いは段階的にランダム共重合させ、更には、必要に応じて、その共重合によって生成するランダム共重合体を構成するシラン化合物の部分を変性ないし縮合させて、α-オレフィンとエチレン性不飽和シラン化合物との共重合体又はその変性ないし縮合体を製造することができる。α-オレフィンとしては、例えば、エチレン、プロピレン、1-ブテン、イソブチレン、1-ペンテン、2-メチル-1-ブテン、3-メチル-1-ブテン、1-ヘキセン、1-ヘプテン、1-オクテン、1-ノネン、1-デセンより選択される1種以上を使用することができる。エチレン性不飽和シラン化合物としては、例えば、ビニルトリメトキシシラン、ビニルトリエトキシシラン、ビニルトリプロポキシシラン、ビニルトリイソプロポキシシラン、ビニルトリブトキシシラン、ビニルトリペンチロキシシラン、ビニルトリフェノキシシラン、ビニルトリベンジルオキシシラン、ビニルトリメチレンジオキシシラン、ビニルトリエチレンジオキシシラン、ビニルプロピオニルオキシシラン、ビニルトリアセトキシシラン、ビニルトリカルボキシシランより選択される1種以上を使用することができる。その他の不飽和モノマーとしては、例えば、酢酸ビニル、アクリル酸、メタクリル酸、メチルアクリレート、メチルメタクリレート、エチルアクリレート、ビニルアルコールより選択される1種以上を使用することができる。ラジカル重合開始剤としては、例えば、ラウロイルパーオキシド、ジプロピオニルパーオキシド、ベンゾイルパーオキシド、ジ-t-ブチルパーオキシド、t-ブチルヒドロパーオキシド、t-ブチルパーオキシイソブチレート等の有機過酸化物、分子状酸素、アゾビスイソブチロニトリルアゾイソブチルバレロニトリル等のアゾ化合物等を使用することができる。連鎖移動剤としては、例えば、メタン、エタン、プロパン、ブタン、ペンタン等のパラフィン系炭化水素、プロピレン、1-ブテン、1-ヘキセン等のα-オレフィン、ホルムアルデヒド、アセトアルデヒド、n-ブチルアルデヒド等のアルデヒド、アセトン、メチルエチルケトン、シクロヘキサノン等のケトン、芳香族炭化水素、塩素化炭化水素等を使用することができる。ランダム共重合体を構成するシラン化合物の部分を変性ないし縮合させる方法、或いは、グラフト共重合体を構成するシラン化合物の部分を変性ないし縮合させる方法としては、例えば、錫、亜鉛、鉄、鉛、コバルト等の金属のカルボン酸塩、チタン酸エステル及びキレート化物等の有金属化合物、有機塩基、無機酸、及び、有機酸等のシラノール縮合触媒等を使用し、α-オレフィンとエチレン性不飽和シラン化合物とのランダム共重合体或いはグラフト共重合体を構成するシラン化合物の部分のシラノール間の脱水縮合反応等を行うことにより、α-オレフィンとエチレン性不飽和シラン化合物との共重合体の変性ないし縮合体を製造する方法が挙げられる。シラン共重合体としては、ランダム共重合体、交互共重合体、ブロック共重合体、及びグラフト共重合体のいずれであっても好ましく使用することができるが、グラフト共重合体であることがより好ましく、重合用ポリエチレンを主鎖とし、エチレン性不飽和シラン化合物が側鎖として重合したグラフト共重合体が更に好ましい。このようなグラフト共重合体は、接着力に寄与するシラノール基の自由度が高くなるため、太陽電池モジュールにおける他の部材への太陽電池モジュール用封止材シートの接着性を向上することができる。α-オレフィンとエチレン性不飽和シラン化合物との共重合体を構成する際のエチレン性不飽和シラン化合物の含量としては、全共重合体質量に対して、例えば、0.001~15質量%位、好ましくは、0.01~5質量%位、特に好ましくは、0.05~2質量%位が望ましいものである。本発明において、α-オレフィンとエチレン性不飽和シラン化合物との共重合体を構成するエチレン性不飽和シラン化合物の含量が多い場合には、機械的強度及び耐熱性等に優れるが、含量が過度になると、引っ張り伸び及び熱融性等に劣る傾向にある。
【0036】
封止フィルム10にシラン変性ポリオレフィンが含まれる場合、封止フィルム10に含まれるシラン変性ポリオレフィンは、1種類のみであってもよいし、2種類以上であってもよい。
【0037】
前記の通り、封止フィルム10は、単層であってもよいし、複層であってもよい。封止フィルム10が単層である場合、封止フィルム10に金属部材(集電体など)に対する熱融着性を付与する観点から、封止フィルム10は変性ポリオレフィンにより形成されていることが好ましく、変性ポリエチレンにより形成されていることがより好ましく、シラン変性ポリエチレン及び酸変性ポリオレフィンの少なくとも一方により形成されていることがさらに好ましい。
【0038】
また、封止フィルム10が複層である場合、封止フィルム10の少なくとも一方側の表面を構成する層を接着層2とし、接着層2を、変性ポリオレフィンにより形成することが好ましく、変性ポリエチレンにより形成することがより好ましく、シラン変性ポリエチレン及び酸変性ポリオレフィンの少なくとも一方により形成することがさらに好ましい。図2に示されるように、封止フィルム10が、基材層1と、基材層1の両面側に配置された接着層2とを備える積層体から構成されている場合には、最外層を構成する接着層2が変性ポリオレフィンにより形成されていることが好ましい。以下、封止フィルム10が、基材層1と接着層2を備える場合の基材層1、接着層2について詳述する。
【0039】
[基材層1]
本開示において、基材層1は、封止フィルム10の基材としての機能を発揮させることなどを目的として、必要に応じて設けられる層である。基材層1は、例えば、2つの接着層2の間に配置することができる。
【0040】
基材層1は、従来公知の素材を用いることができ、例えば、ポリフェニレンエーテル、シンジオタクチックポリスチレン、ポリイミド、フェノール樹脂、エポキシ樹脂、アクリル樹脂、ポリケトン、環状オレフィン、ポリメチルペンテン、ポリスルホン、ポリエーテルスルホン、ポリフェニルスルホン、ポリアリレート、ポリオレフィン系樹脂、ポリエステル、ポリアミド、ポリイミド、ポリエーテルエーテルケトン、ポリメチルテンペン、ポリフェニレンオキサイド、ポリフェニレンサルファイド、フッ素樹脂、金属などが挙げられるが、耐加水分解性に優れた素材により形成されることが好ましく、ポリスルホン、ポリエーテルスルホン、ポリフェニルスルホン、ポリアリレート、ポリオレフィン系樹脂、ポリエステル、ポリアミド、ポリイミド、ポリエーテルエーテルケトン、ポリメチルテンペン、ポリフェニレンオキサイド、ポリフェニレンサルファイド、フッ素樹脂などを含むことが好ましい。基材層1の形成にこれらの素材を用いる場合、基材層1に含まれるこれらの素材は、1種類であってもよいし、2種類以上であってもよい。
【0041】
ポリオレフィン系樹脂としては、具体的には、低密度ポリエチレン、中密度ポリエチレン、高密度ポリエチレン、線状低密度ポリエチレン等のポリエチレン;エチレン-αオレフィン共重合体;ホモポリプロピレン、ポリプロピレンのブロックコポリマー(例えば、プロピレンとエチレンのブロックコポリマー)、ポリプロピレンのランダムコポリマー(例えば、プロピレンとエチレンのランダムコポリマー)等のポリプロピレン;プロピレン-αオレフィン共重合体;エチレン-ブテン-プロピレンのターポリマー等が挙げられる。これらの中でも、ポリプロピレンが好ましい。共重合体である場合のポリオレフィン樹脂は、ブロック共重合体であってもよく、ランダム共重合体であってもよい。また、ポリオレフィン系樹脂は、酸変性ポリオレフィン及びシラン変性ポリオレフィンの少なくとも一方であってもよい。基材層1にポリオレフィン系樹脂が含まれる場合、基材層1に含まれるポリオレフィンは、1種類のみであってもよいし、2種類以上であってもよい。酸変性ポリオレフィン及びシラン変性ポリオレフィンについては、前記の通りである。
【0042】
ポリエステルとしては、具体的には、ポリエチレンテレフタレート、ポリブチレンテレフタレート、ポリエチレンナフタレート、ポリブチレンナフタレート、ポリエチレンイソフタレート、共重合ポリエステル等が挙げられる。また、共重合ポリエステルとしては、エチレンテレフタレートを繰り返し単位の主体とした共重合ポリエステル等が挙げられる。具体的には、エチレンテレフタレートを繰り返し単位の主体としてエチレンイソフタレートと重合する共重合体ポリエステル(以下、ポリエチレン(テレフタレート/イソフタレート)にならって略す)、ポリエチレン(テレフタレート/アジペート)、ポリエチレン(テレフタレート/ナトリウムスルホイソフタレート)、ポリエチレン(テレフタレート/ナトリウムイソフタレート)、ポリエチレン(テレフタレート/フェニル-ジカルボキシレート)、ポリエチレン(テレフタレート/デカンジカルボキシレート)等が挙げられる。これらのポリエステルは、1種単独で使用してもよく、また2種以上を組み合わせて使用してもよい。
【0043】
ポリアミドとしては、具体的には、ナイロン6、ナイロン66、ナイロン610、ナイロン12、ナイロン46、ナイロン6とナイロン66との共重合体等の脂肪族ポリアミド;テレフタル酸及び/又はイソフタル酸に由来する構成単位を含むナイロン6I、ナイロン6T、ナイロン6IT、ナイロン6I6T(Iはイソフタル酸、Tはテレフタル酸を表す)等のヘキサメチレンジアミン-イソフタル酸-テレフタル酸共重合ポリアミド、ポリアミドMXD6(ポリメタキシリレンアジパミド)等の芳香族を含むポリアミド;ポリアミドPACM6(ポリビス(4-アミノシクロヘキシル)メタンアジパミド)等の脂環式ポリアミド;さらにラクタム成分や、4,4’-ジフェニルメタン-ジイソシアネート等のイソシアネート成分を共重合させたポリアミド、共重合ポリアミドとポリエステルやポリアルキレンエーテルグリコールとの共重合体であるポリエステルアミド共重合体やポリエーテルエステルアミド共重合体;これらの共重合体等のポリアミドが挙げられる。基材層1にポリアミドが含まれる場合、基材層1に含まれるポリアミドは、1種類のみであってもよいし、2種類以上であってもよい。
【0044】
ポリアミドとしては、特に、α晶を有するものであることが好ましく、具体的には、ナイロン6、ナイロン66、ナイロン46、ナイロン6とナイロン66との共重合体等の脂肪族ポリアミド等が挙げられる。
【0045】
本開示の効果を好適に発揮する観点から、基材層1は、ポリオレフィンにより形成されていることが好ましく、ポリエチレンにより形成されていることがより好ましい。
【0046】
また、基材層1を形成する樹脂の補外融解開始温度としては、好ましくは約20℃以上、より好ましくは約35℃以上、さらに好ましくは約50℃以上であり、また、好ましくは約120℃以下、より好ましくは約119℃以下、さらに好ましくは約118℃以下であり、好ましい範囲としては、20~120℃程度、20~119℃程度、20~118℃程度、35~120℃程度、35~119℃程度、35~118℃程度、35~120℃程度、35~119℃程度、又は35~118℃程度が挙げられる。補外融解開始温度は、示差走査熱量計(DSC)によって測定される値である。
【0047】
また、基材層1を形成する樹脂の軟化点としては、好ましくは約60℃以上、より好ましくは約70℃以上、さらに好ましくは約80℃以上であり、また、好ましくは約110℃以下、より好ましくは約109℃以下、さらに好ましくは約108℃以下であり、好ましい範囲としては、60~110℃程度、60~109℃程度、60~108℃程度、70~110℃程度、70~109℃程度、70~108℃程度、80~110℃程度、80~109℃程度、80~108℃程度が挙げられる。軟化点は、前記(軟化点の測定)の方法(熱機械分析装置(TMA)を用いた方法)によって測定される値である。
【0048】
基材層1は、単層であってもよいし、2層以上により構成されていてもよい。基材層1が2層以上により構成されている場合、各層を構成する素材や厚みについては、同一であってもよいし、異なっていてもよい。
【0049】
また、基材層1の表面及び内部の少なくとも一方には、フィラー、難燃剤、アンチブロッキング剤、酸化防止剤、光安定剤、粘着付与剤、耐電防止剤等の添加剤が存在していてもよい。添加剤は、1種類のみを用いてもよいし、2種類以上を混合して用いてもよい。
【0050】
本開示において、基材層1の厚みは、蓄電デバイス素子の仕様、集電体間の隙間の大きさなどに応じて適宜選択されるが、本開示の効果を好適に発揮する観点から、好ましくは約1μm以上、20μm以上、より好ましくは約30μm以上、さらに好ましくは約50μm以上であり、また、好ましくは約500μm以下、より好ましくは約400μm以下、さらに好ましくは約300μm以下である。基材層1の厚みの好ましい範囲としては、1~500μm程度、1~400μm程度、1~300μm程度、20~500μm程度、20~400μm程度、20~300μm程度、30~500μm程度、30~400μm程度、30~300μm程度、50~500μm程度、50~400μm程度、50~300μm程度が挙げられる。
【0051】
[接着層2]
封止フィルム10において、接着層2は、例えば、基材層1の少なくとも一方側に配置することができる。接着層2は、封止フィルム10の最外層を構成している。例えば、封止フィルム10の少なくとも一方側の接着層2を、集電体側に配置し、接着層2と集電体とを熱融着させて、集電体間を封止フィルム10で封止するように使用できる。接着層2は、基材層1の両面側に配置することが好ましい。
【0052】
接着層2は、前述した変性ポリオレフィンにより形成することが好ましく、変性ポリエチレンにより形成することがより好ましく、シラン変性ポリエチレン及び酸変性ポリオレフィンの少なくとも一方により形成することがさらに好ましい。図2に示されるように、封止フィルム10が、基材層1と、基材層1の両面側に配置された接着層2とを備える積層体から構成されている場合には、最外層を構成する接着層2が前記の変性ポリオレフィンにより形成されていることが好ましい。このような構成を採用することにより、封止フィルム10の基材層1と接着層2のそれぞれに所望の機能(例えば、基材層1には支持体としての機能、接着層2には対象物に接着する機能)を付与し、加熱による形状追従性に加えて、金属材料(集電体など)に対する接着性(熱融着性)を好適に発揮することができる。
【0053】
また、接着層2を形成する樹脂の補外融解開始温度としては、好ましくは約20℃以上、より好ましくは約35℃以上、さらに好ましくは約50℃以上であり、また、好ましくは約120℃以下、より好ましくは約119℃以下、さらに好ましくは約118℃以下であり、好ましい範囲としては、20~120℃程度、20~119℃程度、20~118℃程度、35~120℃程度、35~119℃程度、35~118℃程度、50~120℃程度、50~119℃程度、又は50~118℃程度が挙げられる。補外融解開始温度は、示差走査熱量計(DSC)によって測定される値である。
【0054】
また、接着層2を形成する樹脂の軟化点としては、好ましくは約60℃以上、より好ましくは約70℃以上、さらに好ましくは約80℃以上であり、また、好ましくは約110℃以下、より好ましくは約109℃以下、さらに好ましくは約108℃以下であり、好ましい範囲としては、60~110℃程度、60~109℃程度、60~108℃程度、70~110℃程度、70~109℃程度、70~108℃程度、80~110℃程度、80~109℃程度、80~108℃程度が挙げられる。軟化点は、前記(軟化点の測定)の方法(熱機械分析装置(TMA)を用いた方法)によって測定される値である。
【0055】
また、接着層2の表面及び内部の少なくとも一方には、エラストマー、フィラー、難燃剤、アンチブロッキング剤、光安定剤、粘着付与剤、帯電防止剤、金属不活性化剤等の添加剤が存在していてもよい。添加剤は、1種類のみを用いてもよいし、2種類以上を混合して用いてもよい。
【0056】
接着層2は、単層であってもよいし、2層以上により構成されていてもよい。接着層2が2層以上により構成されている場合、各層を構成する素材や厚みについては、同一であってもよいし、異なっていてもよい。
【0057】
接着層2の厚みは、それぞれ、蓄電デバイス素子の仕様、集電体間の隙間の大きさなどに応じて適宜選択されるが、本開示の効果を好適に発揮しつつ、金属材料(集電体など)に対する接着性(熱融着性)を好適に発揮する観点から、好ましくは約1μm以上、より好ましくは約10μm以上、さらに好ましくは約20μm以上であり、また、好ましくは約300μm以下、より好ましくは約200μm以下、さらに好ましくは約150μm以下である。接着層2の厚みの好ましい範囲としては、1~300μm程度、1~200μm程度、1~150μm程度、10~300μm程度、10~200μm程度、10~150μm程度、20~300μm程度、20~200μm程度、20~150μm程度が挙げられる。
【0058】
基材層1とその両側の接着層2の積層体は、例えば、予め用意した基材層1の両面側に接着層2を形成する樹脂を押し出して製造することもできるし、基材層1を形成する樹脂と、接着層2を形成する樹脂を同時に押し出して製造することもできる。あるいは、予め用意した接着層2の間に基材層1を押し出して製造することもできる。なお、樹脂の押出・積層方法としては、特に限定されないが、押出ラミネート法、Tダイ法、インフレーション法、サーマルラミネート法などの公知の方法を適用できる。
【0059】
本開示の蓄電デバイスは、本開示の封止フィルム10を利用した蓄電デバイスである。すなわち、本開示の蓄電デバイスにおいて、蓄電デバイス素子の集電体間に、前述した本開示の封止フィルム10が配置されている。
【0060】
例えば図4から図7には、全固体電池に含まれる全固体電池素子の集電体間に、本開示の封止フィルムが配置される様子を示している。
【0061】
図4では、全固体電池素子20の正極集電体21と負極集電体22との間を封止フィルム10のみで封止している(埋めている)様子を示している。封止フィルム10は、正極集電体21及び負極集電体22と接触しており、全固体電解質25とも接触している。図4に示されるように、全固体電池素子20の構成によっては、封止フィルム10は、さらに正極層23及び負極層24とも接触していてもよい。
【0062】
図5から図7では、全固体電池素子20の正極集電体21と負極集電体22との間を、封止フィルム10と封止部材11で封止している(埋めている)様子を示している。図5から図7においても、封止フィルム10は、正極集電体21及び負極集電体22の少なくとも一方と接触している。図5において封止フィルム10は、正極集電体21及び封止部材11と接触している。図6において封止フィルム10は、負極集電体22及び封止部材11と接触している。図7において、1つの封止フィルム10は、正極集電体21及び封止部材11と接触しており、もう1つの封止フィルムは、負極集電体22及び封止部材11と接触している。封止部材11を用いる場合にも、封止フィルム10は、全固体電解質25、正極層23、負極層24などとも接触していてもよい。
【0063】
また、例えば図8には、バイポーラ電池に含まれるバイポーラ電池素子30の集電体(端部集電体31、集電体32)間に、本開示の封止フィルム10が配置される様子を示している。図8では、バイポーラ電池素子30の集電体(端部集電体31、集電体32)の間を封止フィルム10で封止している(埋めている)。封止フィルム10は、端部集電体31または集電体32と接触している。全固体電池素子20と同様、バイポーラ電池素子30の構成によっては、封止フィルム10は、電解質、正極層33、負極層34などとも接触していてもよい。
【0064】
封止フィルム10とは異なる部材である封止部材11は、集電体間の隙間の一部を埋めるスペーサーとして機能する部材であり、例えば樹脂製のブロックにより構成できる。封止部材11としては、全固体電池などに用いられる公知の樹脂ブロックを本開示でも使用できる。封止部材11は、絶縁性の樹脂により構成することができる。封止部材11を構成する樹脂の具体例としては、ポリプロピレン、ポリエチレン、ポリウレタン、ポリアミド系樹脂、ナイロン系樹脂、ポリテトラフルオロエチレン、ポリフッ化ビニリデン、ポリスチレン、シリコーンゴムなどが挙げられる。
【実施例0065】
以下に実施例及び比較例を示して本開示を詳細に説明する。但し本開示は実施例に限定されるものではない。
【0066】
<封止フィルムの製造>
(実施例1)
1種類以上の樹脂ペレットを任意の割合で混合し、東洋精機社製のラボプラストミルを用い、温度150℃、回転数50rpmで3分間混練した。その後、取り出してAS ONE社製の熱プレス機にて温度150℃でプレスすることで無水マレイン酸変性ポリエチレンフィルム(単層、厚み120μm)を得た。得られた封止フィルムの補外融解開始温度、軟化点及び融解ピーク温度は表1に記載の通りである。
【0067】
(実施例2)
共押出成型により、基材層としてのポリエチレンフィルム(厚み88μm)の両面に、それぞれ、接着層としてのシラン酸変性ポリエチレン(厚み16μm)を積層して、接着層/基材層/接着層が順に積層された3層構成の封止フィルムを得た。得られた封止フィルムの補外融解開始温度、軟化点及び融解ピーク温度は表1に記載の通りである。
【0068】
(実施例3)
押出成型によりシラン変性ポリエチレンフィルム(厚み180μm)を単層の封止フィルムを得た。得られた封止フィルムの補外融解開始温度、軟化点及び融解ピーク温度は表1に記載の通りである。
【0069】
(実施例4)
共押出成型により、基材層としてのポリエチレンフィルム(厚み80μm)の両面に、それぞれ、接着層としての無水マレイン酸変性ポリエチレン(厚み20μm)を積層して、接着層/基材層/接着層が順に積層された3層構成の封止フィルを得た。得られた封止フィルムの補外融解開始温度、軟化点及び融解ピーク温度は表1に記載の通りである。
【0070】
(実施例5)
共押出成型により、基材層としてのポリエチレンフィルム(厚み80μm)の両面に、それぞれ、接着層としての無水マレイン酸変性ポリエチレン(厚み20μm)を積層して、接着層/基材層/接着層が順に積層された3層構成の封止フィルムを得た。得られた封止フィルムの補外融解開始温度、軟化点及び融解ピーク温度は表1に記載の通りである。
【0071】
(実施例6)
共押出成型により、基材層としてのポリエチレンフィルム(厚み80μm、融解ピーク温度122℃)の両面に、それぞれ、接着層としての無水マレイン酸変性ポリエチレン(厚み20μm)を積層して、接着層/基材層/接着層が順に積層された3層構成の封止フィルムを得た。得られた封止フィルムの補外融解開始温度、軟化点及び融解ピーク温度は表1に記載の通りである。
【0072】
(実施例7)
1種類以上の樹脂ペレットを任意の割合で混合し、東洋精機社製のラボプラストミルを用い、温度150℃、回転数50rpmで3分間混練。その後、取り出してAS ONE社製の熱プレス機にて温度150℃でプレスすることで無水マレイン酸変性ポリエチレンフィルム(単層、厚み120μm)を得た。得られた封止フィルムの補外融解開始温度、軟化点及び融解ピーク温度は表1に記載の通りである。
【0073】
(比較例1)
1種類以上の樹脂ペレットを任意の割合で混合し、東洋精機社製のラボプラストミルを用い、温度150℃、回転数50rpmで3分間混練。その後、取り出してAS ONE社製の熱プレス機にて温度150℃でプレスすることで無水マレイン酸変性ポリエチレンフィルム(単層、厚み120μm)を得た。得られた封止フィルムの補外融解開始温度、軟化点及び融解ピーク温度は表1に記載の通りである。
【0074】
(補外融解開始温度の測定)
JIS K 7121:1987およびJIS K 7121:2012((プラスチックの転移温度測定方法(JIS K7121:2012はJIS K7121:1987の追補1))(3.(2)により状態調節後、8.6DTA又はDSC曲線の測定)の規定に準拠した方法により、封止フィルムの補外融解開始温度を測定した。補外融解開始温度は、融解ピーク温度の開始点を意味し、低温側のベースラインを高温側に延長した直線と、融解熱が最大となる融解ピークの低温側の曲線に、勾配が最大になる点で引いた接線との交点の温度である。装置として日立ハイテクサイエンス社製のDSC6220を用い、窒素雰囲気下で5mgの試料を10℃/分の速度で0℃から200℃まで昇温して10分間保持した後に、10℃/分の速度で0℃まで降温し10分間保持することで状態調節し、再度10℃/分の速度で200℃まで昇温し測定することにより得られた状態調節後のDSC曲線から補外融解開始温度を求めた。窒素ガスのガス流量は10ml/分である。
【0075】
(軟化点の測定)
封止フィルムの軟化点を以下の手順により測定した。結果を表1に示す。装置としては日立ハイテクサイエンス社製TMA7100Cを用い、試験荷重78.5mN、昇温速度5℃/min、先端針φ1.0mmの条件で封止フィルムの軟化点を測定した。なお、封止フィルムの軟化点測定箇所は、封止フィルムの表面から針を厚み方向に針入させて封止フィルムの厚み方向に対して半分の所で停止させ測定した。
【0076】
<加熱による形状追従性の評価>
封止フィルムの加熱による形状追従性を以下の手順により評価した。結果を表1に示す。アルミニウム板(横50mm×縦75mm、厚み400μm)の上に金属線(幅6mm、長さ75mm、厚み380μm)を置き、さらにその上に、封止フィルム(横50mm×縦75mm)を3枚重ねて、下から順に、アルミニウム板、金属線、3枚の封止フィルムからなる積層体とした。このとき、アルミニウム板、金属線、及び3枚の封止フィルムの縦横方向を揃え、中心位置を一致させた。インパルスシーラーを用い、積層体の上下からシールバーで垂直方向に熱シール(加熱・加圧)した。シール条件は温度180℃、圧力200kPa、10秒間である。シール後の封止フィルムを目視で観察して、以下の基準により加熱による形状追従性を評価した。
A:封止フィルムと金属線との間に気泡が存在せず、金属線の形状に封止フィルムの形状が非常に良好に追従している。
B:封止フィルムと金属線との間に気泡が少し存在するが、金属線の形状に封止フィルムの形状が良好に追従している。
C:封止フィルムと金属線との間に気泡が多く存在しており、金属線の形状に封止フィルムの形状が良好に追従しているとはいえない。
【0077】
(残膜量の評価)
前記<加熱による形状追従性の評価>によって得られた加熱後の積層体について、アルミニウム板と金属線及び金属線上の封止フィルム3枚の合計厚みを測定して下記計算式を用いて残膜率(%)を算出した。また、以下の基準(A~C)で評価した。結果を表1に示す。計算式は以下の通りである。
[(加熱後のアルミニウム板の厚みと金属線の厚みと金属線上の封止フィルム3枚の厚みの合計厚み)]/[加熱前のアルミニウム板の厚みと金属線の厚みと金属線上の封止フィルム3枚の厚みの合計厚み]×100(%)
それぞれの厚みは、Mitsutoyo社製のABSデジタルチックインジケータID-SXを用いて測定した。
A:残膜率が90%以上であり、残膜量が非常に大きい
B:残膜率が85%以上90%未満であり、残膜量が大きい
C:残膜率が85%未満である
【0078】
(はみ出し量の測定)
前記<加熱による形状追従性の評価>によって得られた加熱後の積層体について、図10に示すように、封止フィルム10がアルミニウム板40から横方向にはみ出した部分(最もはみ出し量が多い部分)について、アルミニウム板40の端部から封止フィルム10のはみ出した部分の端部との垂直距離を測定してはみ出し量S(mm)とし、以下の基準で評価した。結果を表1に示す。装置としては、大山光学社製のガラススケールを用いて測定した。
A:はみ出し量が1.0mm以下であり、はみ出し量が非常に小さい
B:はみ出し量が1.0mm超2.0m以下であり、はみ出し量が小さい
C:はみ出し量が2.0mm以上である
【0079】
<アルミニウム板に対する接着強度>
以下の測定条件によって、集電体に見立てたアルミニウム板に対する各実施例及び比較例に記載の封止フィルムの接着強度(N)を測定した。結果を表1に示す。JIS K7127:1999の規定に準拠して、25℃環境の剥離強度を次のようにして測定した。封止フィルムからTDの方向10mm幅、長さ50mmの短冊状にサンプルを切り出し、アルミニウム板(横75mm×縦50mm、厚み400μm)と封止フィルムの一方の先端部7mmを熱プレスにより接着し測定用サンプルを作製した。次に、測定用サンプルを引張試験機(エー・アンド・デイ社製、製品名テンシロン)に取り付け、引張速度10mm/min、標線間距離50mmの条件で、アルミニウム板-封止フィルム間の接着強度(剥離強度)を測定し、剥離時の最大強度(N/10mm)を採用した。3回測定した平均値とした。熱プレス条件は、温度170℃、面圧を1MPa、プレス時間を20秒(s)に固定し、温度を変更して測定した。剥離方向は180°方向とし、測定用サンプルにおけるアルミニウム板の接着部の大きさは幅10mm、長さ7mmである。
【0080】
【表1】
【0081】
以上の通り、本開示は、以下に示す態様の発明を提供する。
項1. 蓄電デバイス用の封止フィルムであって、
前記封止フィルムは、120℃以下に補外融解開始温度を有し、
前記封止フィルムは、蓄電デバイス素子の集電体間に配置される、封止フィルム。
項2. 前記封止フィルムは、単層又は複層である、項1に記載の封止フィルム。
項3. 前記封止フィルムは、50℃以上120℃以下の範囲に補外融解開始温度を有する、項1又は2に記載の封止フィルム。
項4. 前記封止フィルムは、100℃以上120℃以下の範囲に補外融解開始温度を有する、項1~3のいずれか1項に記載の封止フィルム。
項5. 前記封止フィルムは、80℃以上110℃以下に軟化点を有する、項1~4のいずれか1項に記載の封止フィルム。
項6. 前記封止フィルムは、ポリオレフィン骨格を有する樹脂を含む、項1~5のいずれか1項に記載の封止フィルム。
項7. 前記封止フィルムは、エチレンとα-オレフィンとの共重合体を含む、項1~6のいずれか1項に記載の封止フィルム。
項8. 前記封止フィルムは、少なくとも1つの前記集電体に接触するようにして用いられる、項1~7のいずれか1項に記載の封止フィルム。
項9. 前記封止フィルムの形状は、枠状である、項1~8のいずれか1項に記載の封止フィルム。
項10. 前記蓄電デバイス素子の前記集電体間には、前記封止フィルムとは異なる封止部材がさらに配置されており、
前記集電体と前記封止部材との間に、前記封止フィルムが配置される、項1~9のいずれか1項に記載の封止フィルム。
項11. 前記蓄電デバイスは、バイポーラ電池又は全固体電池である、項1~10のいずれか1項に記載の封止フィルム。
項12. 蓄電デバイス素子の前記集電体間に、項1~11のいずれか1項に記載の封止フィルムが配置されている、蓄電デバイス。
【符号の説明】
【0082】
1 基材層
2 接着層
10 封止フィルム
10a 開口部
11 封止部材
20 蓄電デバイス素子(全固体電池素子)
21 正極集電体
22 負極集電体
23 正極層
24 負極層
25 電解質(全固体電解質)
30 蓄電デバイス素子(バイポーラ電池素子)
31 端部集電体
32 集電体
33 正極層
34 負極層
35 電解質
40 アルミニウム板
50 金属線
S はみ出し量
T 補外融解開始温度
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10