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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024098537
(43)【公開日】2024-07-24
(54)【発明の名称】安全性の高い核酸配列の設計法
(51)【国際特許分類】
   C12N 15/00 20060101AFI20240717BHJP
   C12N 15/113 20100101ALI20240717BHJP
   C12Q 1/6811 20180101ALN20240717BHJP
【FI】
C12N15/00 100Z
C12N15/113 Z ZNA
C12Q1/6811 Z
【審査請求】未請求
【請求項の数】6
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023002073
(22)【出願日】2023-01-11
(71)【出願人】
【識別番号】304021417
【氏名又は名称】国立大学法人東京工業大学
(74)【代理人】
【識別番号】100107870
【弁理士】
【氏名又は名称】野村 健一
(74)【代理人】
【識別番号】100098121
【弁理士】
【氏名又は名称】間山 世津子
(72)【発明者】
【氏名】正木 慶昭
【テーマコード(参考)】
4B063
【Fターム(参考)】
4B063QA08
4B063QQ41
4B063QR55
4B063QR66
4B063QS34
4B063QX02
(57)【要約】
【課題】 安全性の高い核酸配列をin silicoで設計する手段を提供する。
【解決手段】 以下の工程(1)~(4)を含むことを特徴とする核酸配列の設計方法、
(1)候補とする核酸配列から同じ長さの部分配列を選択する工程、
(2)一次転写産物における部分配列の相補配列の出現回数、又は一次転写産物における部分配列の相補配列の出現回数に、部分配列とその相補配列との二重鎖安定性を乗じた重みづけ出現回数を求める工程、
(3)候補とする核酸配列における下記のエンリッチメントスコア又は重みづけエンリッチメントスコアを算出する工程、
(4)候補とする核酸配列からエンリッチメントスコア又は重みづけエンリッチメントスコアの低い核酸配列を選択する工程。
【選択図】 なし
【特許請求の範囲】
【請求項1】
以下の工程(1)~(4)を含むことを特徴とする核酸配列の設計方法、
(1)候補とする核酸配列から同じ長さの部分配列を選択する工程、
(2)一次転写産物における部分配列の相補配列の出現回数、又は一次転写産物における部分配列の相補配列の出現回数に、部分配列とその相補配列との二重鎖安定性を乗じた重みづけ出現回数を求める工程、
(3)候補とする核酸配列における下記のエンリッチメントスコア又は重みづけエンリッチメントスコアを算出する工程、
【数1】
(4)候補とする核酸配列からエンリッチメントスコア又は重みづけエンリッチメントスコアの低い核酸配列を選択する工程。
【請求項2】
部分配列の長さが、3~10塩基であることを特徴とする請求項1に記載の核酸配列の設計法。
【請求項3】
部分配列の長さが、5~7塩基であることを特徴とする請求項1に記載の核酸配列の設計法。
【請求項4】
候補とする核酸配列が、DNAの配列又は化学修飾DNAの配列であることを特徴とする請求項1に記載の核酸配列の設計法。
【請求項5】
候補とする核酸配列が、アンチセンスオリゴヌクレオチドに含まれる核酸配列であることを特徴とする請求項4に記載の核酸配列の設計法。
【請求項6】
アンチセンスオリゴヌクレオチドがギャップマーであり、候補とする核酸配列がギャップマー領域の核酸配列であることを特徴とする請求項5に記載の核酸配列の設計法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、安全性の高い核酸配列の設計法に関する。本発明の設計法により設計された核酸配列を含むアンチセンスオリゴヌクレオチドは、安全性の高い核酸医薬として有用である。
【背景技術】
【0002】
RNase H依存性アンチセンスオリゴヌクレオチド(ASO)は、その配列によってRNAの標的が決定される情報薬として知られている(参考文献1、2)。RNase Hは、DNA/RNA二重鎖を認識してRNA鎖のみを切断する内因性エンドヌクレアーゼである。従って、連続したDNAストレッチを含むASOは、相補的な配列を持つRNAを消化するための触媒として使用することができる。化学修飾は、ASOの結合親和性、代謝、分布などを調節することができ、効力の増強や効果の持続時間の延長を可能にする。最適な化学修飾が見つかれば、原理的にはASOの配列を変えることで、同じ臓器の疾患関連遺伝子をターゲットにすることができる。ASOのこのような性質により、治療用オリゴヌクレオチドの迅速な開発が可能になる。その際、問題となるのが安全性への配慮である。ASOとRNAの結合は配列依存的であるため、ASOのオフターゲット結合はRNAの配列に依存することになる。RNAの配列は生物種によって異なるため、RNAとのオフターゲット結合によるオフターゲット効果を前臨床試験で評価することは困難である。従って、ASOの意図しない結合のリスクを評価するためのin silicoアプローチが強く推奨される(参考文献3)。
【0003】
ASOの毒性は広く研究されている。ASOの毒性の重要なクラスの1つは、ASOが肝臓に蓄積されることが多いため、肝毒性である。BurelらやKasuyaらは、RNase Hをノックダウンする前処理により、ASOの肝毒性が著しく軽減されることを報告している(参考文献4、5)。さらに、Kasuyaらは、RNase HとASOの結合を阻害するためのDNAストレッチの化学修飾も肝毒性を軽減することを示し、RNase HとASOの相互作用が肝毒性を引き起こす主要因子であると示唆している。これまで、ASOの肝毒性を推定するための様々な実験指標が報告されている。Sewingらは、初代細胞を用いた細胞内ATP及び分泌LDHが、ASOの肝毒性能とよく相関することを報告した(参考文献6)。Dieckmannらは、カスパーゼの活性化と肝毒性の相関を報告した(参考文献7)。さらに、彼らは、肝毒性と ASO と相補的 RNA との親和性(Tm 値)の関連性を示した。Shen らは、毒性のある ASO では、カスパーゼ活性化の前にP54nrb の核小体局在が起こることを報告した。Bruelらは、毒性のあるASOは非常に長いpre-mRNAの発現抑制を示す傾向があることを報告した(参考文献4)。(非特許文献1)in silicoアプローチでは、Kamola らは、16 mer ASO においてミスマッチが2つ以下の推定オフターゲット遺伝子の数が肝毒性と関連していると報告した(参考文献8)(非特許文献2)。Burdickらは、肝毒性に関連する配列モチーフを報告した(参考文献9)(非特許文献3)。Hagedornらは、ASOのジヌクレオチドユニットを用いたランダムフォレスト分類法によって、毒性のあるASOとその他のASOをうまく分類できたと報告した(参考文献10)(非特許文献4)。しかし、ASOの毒性におけるRNase Hの重要性にもかかわらず、本発明者の知る限りでは、RNase Hの特性を考慮したアルゴリズムは存在しなかった。
【先行技術文献】
【非特許文献】
【0004】
【非特許文献1】Burel, S.A., Hart, C.E., Cauntay, P., Hsiao, J., Machemer, T., Katz, M., Watt, A., Bui, H.-H., Younis, H., Sabripour, M., et al. (2016). Hepatotoxicity of high affinity gapmer antisense oligonucleotides is mediated by RNase H1 dependent promiscuous reduction of very long pre-mRNA transcripts. Nucleic Acids Res. 44, 2093-2109.
【非特許文献2】Kamola, P.J., Maratou, K., Wilson, P.A., Rush, K., Mullaney, T., McKevitt, T., Evans, P., Ridings, J., Chowdhury, P., Roulois, A., et al. (2017). Strategies for In Vivo Screening and Mitigation of Hepatotoxicity Associated with Antisense Drugs. Mol. Ther. Nucleic Acids 8, 383-394.
【非特許文献3】Burdick, A.D., Sciabola, S., Mantena, S.R., Hollingshead, B.D., Stanton, R., Warneke, J.A., Zeng, M., Martsen, E., Medvedev, A., Makarov, S.S., et al. (2014). Sequence motifs associated with hepatotoxicity of locked nucleic acid-modified antisense oligonucleotides. Nucleic Acids Res. 42, 4882-4891.
【非特許文献4】Hagedorn, P.H., Yakimov, V., Ottosen, S., Kammler, S., Nielsen, N.F., Hog, A.M., Hedtjarn, M., Meldgaard, M., Moller, M.R., Orum, H., et al. (2013). Hepatotoxic potential of therapeutic oligonucleotides can be predicted from their sequence and modification pattern. Nucleic Acid Ther. 23, 302-310.
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
RNAを標的とする核酸医薬品は、迅速な医薬品開発が可能であることから次世代のモダリティとして期待されている。その一方で、従来の医薬品とは異なり、標的外のRNAに相互作用することでおこるオフターゲット毒性を、RNA配列がヒトとは異なる動物試験で評価することが困難である。そのため安全性を予測するin silico技術の開発が強く求められている。本発明は、このような背景の下になされたもので、安全性の高い核酸配列をin silicoで設計する手段を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明者は、核酸医薬品に含まれる配列におけるタンパク質が認識可能な短鎖二重鎖形成の出現頻度に着目し、標的外RNAに含まれる短鎖二重鎖形成可能な配列の濃縮度を表すエンリッチメントスコアを用いることで、安全性の高い核酸配列をin silicoで選択できることを見出した。また、本発明者は、このエンリッチメントスコアに二重鎖安定性を重みづけした値(重みづけエンリッチメントスコア)を用いることで、安全性の高い核酸配列を更に高い精度で選択できることも見出した。本発明は、以上の知見に基づいて完成されたものである。即ち、本発明は、以下の〔1〕~〔6〕を提供するものである。
【0007】
〔1〕以下の工程(1)~(4)を含むことを特徴とする核酸配列の設計方法、
(1)候補とする核酸配列から同じ長さの部分配列を選択する工程、
(2)一次転写産物における部分配列の相補配列の出現回数、又は一次転写産物における部分配列の相補配列の出現回数に、部分配列とその相補配列との二重鎖安定性を乗じた重みづけ出現回数を求める工程、
(3)候補とする核酸配列における下記のエンリッチメントスコア又は重みづけエンリッチメントスコアを算出する工程、
【数1】
(4)候補とする核酸配列からエンリッチメントスコア又は重みづけエンリッチメントスコアの低い核酸配列を選択する工程。
【0008】
〔2〕部分配列の長さが、3~10塩基であることを特徴とする〔1〕に記載の核酸配列の設計法。
【0009】
〔3〕部分配列の長さが、5~7塩基であることを特徴とする〔1〕に記載の核酸配列の設計法。
【0010】
〔4〕候補とする核酸配列が、DNAの配列又は化学修飾DNAの配列であることを特徴とする〔1〕に記載の核酸配列の設計法。
【0011】
〔5〕候補とする核酸配列が、アンチセンスオリゴヌクレオチドに含まれる核酸配列であることを特徴とする〔4〕に記載の核酸配列の設計法。
【0012】
〔6〕アンチセンスオリゴヌクレオチドがギャップマーであり、候補とする核酸配列がギャップマー領域の核酸配列であることを特徴とする〔5〕に記載の核酸配列の設計法。
【発明の効果】
【0013】
本発明は、安全性の高い核酸配列の新規な設計法を提供する。この設計法により、核酸医薬品の開発のリスクを低減することが可能になる。
【図面の簡単な説明】
【0014】
図1】P001データセットにおけるダウンレギュレート遺伝子と各種指標との関係。A) P001データセットのMAプロット。濃い灰色の点はオフターゲット遺伝子(log2FC < -1 and adj. p-value < 0.05)、薄い灰色の点はそれ以外を表す。B) オフターゲット遺伝子とそれ以外の遺伝子のΔΔG値の累積分布図。ミスマッチ(ミスマッチ塩基対、挿入、欠失の合計)が3つ以下の遺伝子についてのみΔΔG値を算出した。C) オフターゲット遺伝子とそれ以外の遺伝子における一次転写産物の長さの累積分布プロット。D)ΔΔG 値と一次転写産物の長さの関係。濃い灰色の丸はオフターゲット遺伝子、薄い灰色の丸はそれ以外を表す。
図2】結合部位の数によるオフターゲット遺伝子の分類。A) 各データセットにおける異なる基準でのオフターゲット遺伝子分類のAUC値。B) P001データセットにおける、一次転写産物の長さと結合部位の数の相関。濃い灰色の点はオフターゲット遺伝子、薄い灰色の点はそれ以外を表す。
図3】オフターゲット遺伝子とそれ以外におけるエンリッチメントスコア(E score)。濃い灰色の点はオフターゲット遺伝子、薄い灰色の点はそれ以外を表す。A) E scoreの定義。B) 一次転写産物の長さとE scoreの関係。C)長い一次転写産物(>105 mer)におけるE scoreの分布。
図4】細胞毒性ASOのそれ以外からの分類。A) 平均E score、重みづけE score、及び4つ以下のミスマッチでカウントされた推定オフターゲット遺伝子の数を用いたROC解析。B)重みづけE scoreと推定オフターゲット遺伝子の数の関係。濃い灰色の点は毒性ASOを、薄い灰色の点はそれ以外を表す。
図5】肝毒性ASOのそれ以外からの分類。A)カスパーゼ活性化値を用いたROC解析。B)平均重みづけE scoreを用いたROC解析。
図6】P002及びP003データセットにおけるダウンレギュレーション遺伝子と各種指標との関係。上段はP002のデータセット、下段はP003のデータセット。
図7】Nowotnyらによって報告されたRNase H-DNA/RNA複合体のX線構造(PDB: 2QK9)。DNA鎖の近傍原子(RNase Hから4Å以下)は濃い灰色で表示されている。核酸塩基を含むと、RNase Hに隣接するヌクレオチドは7個ある。核酸塩基を除いた場合、RNase Hに隣接するヌクレオチドは5個(2番~6番)である。
【発明を実施するための形態】
【0015】
以下、本発明を詳細に説明する。
本発明の核酸配列の設計法は、下記の工程(1)~(4)を含むことを特徴とするものである。
【0016】
工程(1)では、候補とする核酸配列から同じ長さの部分配列を選択する。
【0017】
候補とする核酸配列は、DNAの配列又は化学修飾DNAの配列であることが好ましい。化学修飾DNAの具体例としては、2'-C-修飾、3'-C-修飾、4'-C-修飾、5'-C-修飾を含んでいてよく、例えばアルキル基、アルケニル基、アラルキル基、アルキニル基、アリール基、アミノ基、アルコキシ基、ニトリル基、アミノアルキル基などが挙げられる。これらの修飾は5'-デオキシ-5'-ヒドロキシメチル修飾、3'-デオキシ-3'-ヒドロキシメチル修飾などの修飾と組み合わせてもよい。また糖部はビシクロ[3.2.0]ヘプタン骨格やビシクロ[3.3.0]オクタン骨格などの架橋構造をもつヌクレオチド誘導体でもよい。ヌクレオシド間結合としては、例えば、ホスホジエステル結合、ホスホロチオエート結合、ホスホロジチオエート結合、ホスホトリエステル結合、およびメチルホスホネート結合、メチルチオホスホネート結合、ボラノホスフェート結合、ホスホロアミデート結合などでもよく、例えば、メシルホスホロアミデート結合やメトキシプロピルホスホネート結合、ホスホリルグアニジン時エステル結合などを含んでいてもよい。
【0018】
候補とする核酸配列は、DNAや化学修飾DNAの配列以外の配列であってもよく、例えば、RNAの配列でもよく、2'修飾核酸、例えば2'-O-メチルリボヌクレオチド、2'-O-メトキシエチルリボヌクレオチドや2'-フルオロデオキシヌクレオチド、LNA(Locked Nucleic Acid)、cET、AmNAなどの人工核酸を含んだ配列でもよい。
【0019】
候補とする核酸配列において同じ長さの部分配列は、〔候補とする核酸配列の長さ-部分配列の長さ+1〕個存在する。本発明においては、通常、これらすべての部分配列を選択するが、一部の部分配列だけを選択してもよい。
【0020】
部分配列の長さは、候補とする核酸配列の長さ以下であればよいが、3~10塩基であることが好ましく、5~7塩基であることがより好ましく、6塩基であることが更に好ましい。なお、部分配列が、候補とする核酸配列と同じ長さの場合、「部分配列」ではなく、「全配列」になるが、本発明においては、この場合も「部分配列」ということにする。
【0021】
候補とする核酸配列は、アンチセンスオリゴヌクレオチドに含まれる核酸配列であることが好ましい。また、アンチセンスオリゴヌクレオチドは、ギャップマーであることが好ましい。この場合、候補とする核酸配列はギャップマーのギャップマー領域の核酸配列であることが好ましい。
【0022】
工程(2)では、一次転写産物における部分配列の相補配列の出現回数、又は一次転写産物における部分配列の相補配列の出現回数に、部分配列とその相補配列との二重鎖安定性を乗じた重みづけ出現回数を求める。
【0023】
「一次転写産物における部分配列の相補配列の出現回数」は、データベース(例えば、Ensembl)上の一次転写産物の配列情報を参照し、公知のプログラムを用いて算出することができる。「部分配列とその相補配列との二重鎖安定性(ΔG)」は、公知の方法(例えば、参考文献11に記載の方法)に従って算出することができる。
【0024】
工程(3)では、候補とする核酸配列におけるエンリッチメントスコア又は重みづけエンリッチメントスコアを算出する。
【0025】
エンリッチメントスコア及び重みづけエンリッチメントスコアは、下記の式で定義される。
【数2】
「一次転写産物の鎖長から期待される部分配列の相補配列の出現回数」は、「一次転写産物における部分配列の相補配列の出現回数」を求めるために用いた一次転写産物の鎖長を、4n(nは部分配列の長さ)で割ることにより、算出することができる。
【0026】
工程(4)では、候補とする核酸配列からエンリッチメントスコア又は重みづけエンリッチメントスコアの低い核酸配列を選択する。
【0027】
スコアの低い核酸配列を選択する方法としては、予め基準となるスコア(例えば、0.8、1.0、1.2、1.4、1.6、1.8、2.0、2.2、2.4)を決定し、そのスコアよりも低い核酸配列を選択する方法、候補とする核酸配列をスコアの低い順に並べ、その上位の核酸配列(例えば、上位90%、80%、70%、60%、50%、40%、30%、20%、10%、5%、3%、1%)を選択する方法などを挙げることができる。
【0028】
選択された核酸配列は、安全性の高い核酸配列である。ここで、「安全性の高い核酸配列」とは、例えば、細胞毒性の低い核酸配列やオフターゲット遺伝子の数が少ない核酸配列を意味する。また、細胞毒性は、例えば、肝細胞や肺細胞に対する毒性である。
【実施例0029】
以下に、実施例により本発明を更に詳細に説明するが、本発明はこの実施例に限定されるものではない。
【0030】
〔材料と方法〕
データセット
マイクロアレイデータは、各種指標を評価するために使用した。P001、P002、P003の配列はそれぞれ5´-AGGgctgcctcagACA(配列番号1)、5´-TGTggcagcttctCCT(配列番号2)、5´-CTTttgcatagcaGCA(配列番号3)である(大文字と小文字はそれぞれLNAとDNAを意味する)。ASO合成のバックボーンとしてホスホロチオエートを用いた。オリゴヌクレオチドは、高速液体クロマトグラフィー精製グレードとしてGeneDesign社(https://www.genedesign.jp/e/)から購入し、さらに精製することなく使用した。
【0031】
ヒト癌細胞株A549の細胞は、L-グルタミン、HEPES、及び5%牛胎児血清を添加したダルベッコ改変イーグル培地:ハムズF12(1:1)を用いて、37℃の加湿5%二酸化炭素インキュベーター内で維持した(Cell Line Service; Eppelheim, Germany)。細胞は6-well plate (Corning; NY, USA) に1×105 cells/wellで植菌した。プレーティングから2日後、細胞が70-80%のコンフルエンスに達した時点で、Lipofectamine(登録商標) 3000 (Thermo Fisher; Waltham, MA, USA) を用いて、ASO(最終濃度10 nM)を製造者のプロトコルに従ってトランスフェクションさせた。トランスフェクションから24時間後に、RNeasy(登録商標) Plus Mini Kit (QIAGEN; Hilden, Germany)を用いて、製造元の指示に従ってtotal RNAを抽出した。これらの実験は独立して3回繰り返した。アッセイサービス、ASOのトランスフェクション、インキュベーション、RNAの抽出は、すべてCosmo Bio Co., Ltd.から提供された。
【0032】
遺伝子発現の変化は、Agilent 遺伝子発現マイクロアレイ SurePrint G3 Human Gene Expression 8x60K v3 (Agilent, Inc., Santa Clara, CA) を用いて測定された。マイクロアレイのサービスは、Macrogen Inc.から提供された。対数正規化及び分位正規化は、log2 fold-changeの計算前に行った。GENCODEが割り当てた、プレゼンスコールを持つプローブのみが選択された。同じENSG IDを持つプローブは、対照実験において最も大きなシグナルを持つプローブを選択し、要約した。オフターゲット転写産物は、log2 fold change ≦ -1 及び調整済み p 値 < 0.05 という基準に基づいて選択された。
【0033】
ミスマッチの解析
塩基配列の超高速検索エンジンGGGenome(https://gggenome.dbcls.jp/en/)を用いて、ミスマッチの塩基対、挿入(ASOにおけるadditional-nucleotide)、欠失(転写物におけるadditional-nucleotide)のカウントを行った。本実施例で参考としたデータベースは、「Human unspliced mRNA, GENCODE27 20170925 on hg38 (Apr. 2018)」である。20mer ASOについては、ミスマッチが4つ以下の転写産物を検索した。16mer ASOについては、3つ以下のミスマッチを用いた。そして、ENSG IDごとに転写産物をまとめた。ΔΔG 値は Vienna RNA v2.5.1 を用いて算出した。
【0034】
結合部位数、エンリッチメントスコア、重みづけエンリッチメントスコア
Ensemblから一次転写産物の配列をダウンロードした(GRCh38.p13とGRCm39)。結合部位数のカウントには、ASO中のDNAストレッチの相補配列を用いた。例えば、P001の場合、DNAストレッチの配列はgctgcctcag(配列番号4)であった。6ntを基準とした場合、転写産物と6nt連続二重鎖を形成しうるのは、gctgcc、ctgcct、tgcctc、gcctca、cctcagの5つの結合候補配列であった。これらの潜在的な結合配列の相補的な配列のすべての位置を数えた。結合部位の数のカウントは、研究室内のPythonスクリプトを使用して行った。エンリッチメントスコア(E score)は、同じ長さのランダム配列に含まれる結合部位の予想数を割って算出した。例えば、6ntを基準とした場合、その相補配列が見つかる確率は4096nt(46)あたり1個である。従って、転写産物の長さを4096で割れば、予想される結合部位の数を推定することができる。結合候補配列は5つあるので、得られた値をさらに5で割ってE scoreを算出した。
【0035】
重みづけしたE scoreについては、各結合候補配列のDNA/RNA二重鎖安定性(-ΔG)をE scoreの計算における重みとして掛けた。DNA/RNA二重鎖の安定性のΔGは、DNA/RNA二重鎖の最近接パラメータを用いて推定した(参考文献11)。
【0036】
〔結果及び考察〕
短い結合部位の数は、ダウンレギュレーション遺伝子と一次転写産物の長さの相関の背後にある隠れた要因である
ASOの毒性に関する新しい指標を見つけるために、本発明者はまず、ダウンレギュレートされた遺伝子の解析に注目した。Burelらは、観測されたオフターゲット遺伝子のlog2-fold変化とミスマッチの数の相関を報告している(参考文献4)。興味深いことに、彼らは、観測されたオフターゲット遺伝子のlog2-fold変化と対応するプレmRNAの長さの相関も示している。プレmRNAの長さはASOの独立した因子であるが、プレmRNAの長さは連続したマッチング(7~16塩基長)の総数と正の相関があり、長いプレmRNAは有効な結合部位を含んでいる可能性が高いことが示唆された。さらに、Watt らは、オフターゲット対オンターゲットの転写産物の相対的な効力と予測されるハイブリダイゼーションの自由エネルギー(ΔΔG)との間に強い相関関係を報告している(参考文献13)。これらの要因の重要性を評価するために、3つのASO (P001 (AGGgctgcctcagACA)、P002 (TGTggcagcttctCCT)、P003 (CTTttgcatagcaGCA)、ここで大文字はLNAを、小文字はDNAを表している。)を用いてトランスクリプトーム解析を行った。これらのASOの配列は、もともとオンターゲットmRNAが明らかでないコントロールASOとして設計された細胞毒性ギャップマーから取られた(参考文献14)。オリジナルの20 mer ASOの代わりに、ロックされた核酸(LNA)を用いることで16mer ASOを使用した。ASOの細胞毒性効果がもともと観察されていたA549細胞株を使用した。RNA抽出は、標的外mRNAの切断による二次的影響を最小限にするため、トランスフェクション後24時間後に行った。
【0037】
P001 ASO処理では、652のオフターゲット遺伝子が観察された(log2 fold-change < -1 & adj. p-value < 0.05、図1A)。予測されるハイブリダイゼーションの自由エネルギー(ΔΔG)の重要性を評価するために、ミスマッチの塩基対、挿入、欠失の合計が3つ以下の遺伝子を選択した。選択された遺伝子は、オフターゲット遺伝子とその他に分けられた。それらの累積分布は図1Bに示した。オフターゲット遺伝子のΔΔGは、その他の遺伝子のΔΔGとよく分離していた。同様に、オフターゲット遺伝子とそれ以外の遺伝子における一次転写産物の長さの累積分布もよく分離していた(図1C)。さらに、P002又はP003のASOを用いたデータセットにおけるΔΔGと一次転写産物長の累積分布は、P001のASOを用いたデータセットで観察されたのと同様の分離を示した(図6)。これらの結果は、これまでの報告と同様、ΔΔGと一次転写産物の長さが、オフターゲット遺伝子を他と区別するための良い指標になる可能性を示している。興味深いことに、ΔΔGと一次転写産物の長さにはあまり相関がなく、これらの指標は独立した要因によって反映されていることが示唆された(図1D)。
【0038】
一次転写産物の長さの相関を引き起こす要因を解明するために、RNase H の特性に注目した。ASO によるオフターゲット効果は、RNase H の活性に大きく依存していることが報告されている。RNase HをノックダウンすることによりASOの肝毒性を緩和することができる。また、DNAストレッチ領域に修飾ヌクレオシドを導入することで、ASOとRNase Hの相互作用を阻害し、肝毒性を緩和することも可能であった。これらの報告から、RNase HとASOの相互作用がオフターゲット作用の重要な要因である可能性が示唆された。Moniaらは、RNase Hによる切断を誘発するためには、ASOのDNAストレッチ領域が 5 nt以上必要であると報告している(参考文献15)。Kurreck らは、別の配列を用いてASOの最小DNAストレッチ領域は 6 nt であると報告している(参考文献16)。これらの報告は、Nowotny らによって報告された RNase H-DNA/RNA 複合体の X 線結晶構造によってさらに裏付けられた(参考文献17)。その構造では、DNA鎖の5~7ヌクレオチドが RNase H に近接している(図7)。これらのデータから、短いDNA/RNAの連続した一致でも、潜在的な結合部位が多数存在すれば、RNase Hの結合を誘導できると仮定した。この仮定では、短い結合部位の数がオフターゲット効果を誘発する要因になる可能性がある。
【0039】
結合部位の最適な長さを決定するために、本発明者は受信者動作特性(ROC)分析による分類性能を使用した。あるDNAストレッチにおいて、ある長さの可能性のあるDNA配列をすべて抽出し、一次転写産物におけるその相補的な部位を数えた。各一次転写産物の相補的部位の合計を、オフターゲット遺伝子を分類するためのスコアとして使用した。長さは1 ntから10 ntを使用した。P001、P002、P003のデータセットでは、それぞれ結合部位の長さが5 nt (0.840)、7 nt (0.837)、6 nt (0.816) で曲線下面積(AUC)が最大となった(図2A)。また、結合部位の数は、一次転写産物の長さよりもわずかに優れた分類性能を示した(P001、P002、P003でそれぞれ0.818、0.805、0.804)。これらの結合部位の長さの中で、6 ntという基準は一貫して良い性能を示した。従って、6 ntを結合部位の最適な長さとすることにした。結合部位の数(6nt)と一次転写産物の長さとの関係を図2Bに示した。これら2つのパラメータは予想通りよく相関していた(r > 0.93)。
【0040】
オフターゲット遺伝子数の指標となるエンリッチメントスコア
一次転写産物の長さは、オフターゲット遺伝子を予測する上で重要な因子であるが、ASO配列間のオフターゲット遺伝子の差の予測には使用できない。そこで、結合部位数に対する一次転写産物の長さの影響を排除するために、ランダム配列の同じ長さのものと比較して、一次転写産物の結合部位の濃縮度を示すエンリッチメントスコア(E score)を定義した(図3A)。
【0041】
P001データセットでは、オフターゲット遺伝子のほとんどが長い一次転写産物を有していた。長い一次転写産物(>105 mer)を持つ遺伝子の中で、オフターゲット遺伝子はE scoreが大きい傾向があった(図3B、C、p値 < 0.001, Mann-Whitney U Test)。この傾向はP002とP003のデータセットと一致しており、より長い一次転写物を持ち、E scoreがより大きい遺伝子はオフターゲット遺伝子である傾向があることが示唆された。これらの結果から、E scoreが大きいASOほど、オフターゲット遺伝子の数が多い可能性があると考えた。E scoreの分布の指標として、各データセットのE scoreの平均値を算出した。P001のE scoreの平均値は2.41であり、P002(1.68)、P003(0.74)よりも大きいことが分かった。P001で観測されたオフターゲット遺伝子は、P002、P003で観測されたオフターゲット遺伝子より多い。平均E scoreが最も大きいASOが最も多くのオフターゲット遺伝子を示していることがわかった。この結果から、平均E scoreはASO間のオフターゲット遺伝子数の指標として使用できる可能性が示唆された。
【0042】
毒性ポテンシャルの指標となる重みづけエンリッチメントスコア
毒性予測では、オフターゲット転写産物の数が多いほど、毒性作用を示す確率が高いと仮定した。Fedorovらは、siRNAによる細胞毒性は、ほとんどの場合オフターゲット転写物の数と関連していると報告している(参考文献18)。さらに彼らは、siRNAによる細胞毒性は、単一の遺伝子のノックダウンと関連するのではなく、累積した細胞ストレス因子の全体的なアンバランスから生じることを示唆した。さらに、ASOの毒性は、隔離されたRNA断片の量や、RNA監視プロセスの質を維持するために重要な活性化因子との関連も示唆されている(参考文献7)。また、オフターゲット転写物の数が多ければ、機能的に重要な遺伝子をノックダウンする確率が高くなると考えられるという報告もある(参考文献7)。いずれにせよ、これらの報告は、オフターゲット遺伝子の数がその毒性ポテンシャルの指標として使用できることを示唆するものであった。平均E scoreはオフターゲット遺伝子の数を示唆することから、平均E scoreのアプローチはASOの毒性ポテンシャルの指標として使用できると想定された。
【0043】
この可能性を検証するために、Dryginらによって報告されたデータを使用した(参考文献14)。彼らは42のコントロールASOを報告し、それらは明らかなターゲット転写物を持たなかったが、そのうちのいくつかは予想外の細胞毒性を示した。その中から、300 nMのASOをトランスフェクションして48時間後の細胞生存率が50%未満となった11種類のASOを、毒性ASOとして選択した。各ASOの平均E scoreを算出するために、全遺伝子の中で最も長い一次転写物(GRCh38.p13、68,324遺伝子)を使用した。そして、平均E scoreを、毒性のあるASOを他から分類するためのスコアとして使用した。分類性能はROC解析により評価した。図4に示すように、各ASOの平均E scoreにより、毒性ASOはよく分離された(AUC = 0.815)。
【0044】
短い結合部位は配列によって安定性が大きく異なるため、その結合エネルギー(ΔG)を平均E scoreに取り込むことで、分類性能が向上すると期待した。ΔGを組み込むために、各サイトのΔGを重みとして使用した。つまり、結合部位の数に-ΔGを乗じたものを、ランダム配列における結合部位の予想数で割ったものを重みづけE scoreとして算出した。
ΔGはDNA/RNA二重鎖の最近接塩基対パラメータから算出した(参考文献11)。平均重みづけE scoreは、平均E scoreよりも優れた分類性能を示した(AUC=0.842)。ASOの毒性は、しばしば推定オフターゲット遺伝子の数によって評価される。16 merのASOでオフターゲットとなる遺伝子を決定する場合、2つのミスマッチを閾値とすることが多かった。しかし、このデータセットでは、ASOの長さが20merであったため、4つのミスマッチを閾値とした。そこで、4ミスマッチ以下の相補配列について、対応する遺伝子を推定オフターゲット遺伝子としてカウントした。推定オフターゲット遺伝子の数は、平均重みづけE scoreよりも低い分類性能を示した(AUC=0.698)。また、平均重みづけE scoreと推定オフターゲット遺伝子数との相関を確認した(r=0.53、図4B)。中程度の正の相関はあるものの、平均重みづけE scoreは、推定オフターゲット遺伝子の数よりも正確に細胞毒性効果を予測することができた。
【0045】
Kamola らは、 ハイブリダイゼーションを介したオフターゲット効果と肝毒性との相関を報告している(参考文献19)。Burel らは、 非常に長い一次転写物の発現抑制は、 肝毒性と強い相関があると報告している(参考文献4)。従って、より長い一次転写産物は、より多くの結合部位を持つことが予想されるため、本発明者のアプローチは、肝毒性の可能性の予測に適用できると考えた。この可能性を検証するために、Shenらによって報告されたデータを使用した(参考文献20)。彼らは、47種類のASOの毒性を、ALT(U/L、150 mg/kg, s.c., 72 h)とカスパーゼ活性化(%Mock, 3T3L1 cells, 20μM, electroporation, 16 h)の数値で報告している。ASOのうち、ALT > 1000の基準で21種類のASOを毒性ASOとして分類した。in vitro実験で決定されたASOによるカスパーゼ活性化は、in vivo実験で観察された肝毒性と相関することが多いと言われている。しかし、カスパーゼ活性化による肝毒性ASOの分類性能は、わずか0.686であった(図5A)。各ASOの平均E scoreを算出するために、全遺伝子の中で最も長い一次転写産物を使用した(GRCm39、56,748遺伝子)。平均加重E scoreは、カスパーゼ活性化値よりも優れた分類性能を示した(AUC=0.749、図5B)。このデータから、平均加重E scoreは、ASOの毒性ポテンシャルを予測するための有用な指標となり得ることが示唆された。
【0046】
以上、オフターゲット遺伝子とそれに対応する一次転写産物の長さの相関から、短い結合部位の濃縮度を表すエンリッチメントスコア(E score)を導入した。E scoreが高い長いRNAほど、オフターゲットになる確率が高いことが示唆された。さらに、E scoreの平均値を用いて、毒性のあるASOを他のASOからうまく分類することができた。E scoreは、ASOの毒性ポテンシャルを推定するための有用な指標になると考えられる。
【0047】
〔参考文献〕
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【産業上の利用可能性】
【0048】
本発明は、核酸医薬品に関連する産業分野において利用可能である。
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
【配列表】
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