(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024098540
(43)【公開日】2024-07-24
(54)【発明の名称】四方切換弁
(51)【国際特許分類】
F16K 11/072 20060101AFI20240717BHJP
【FI】
F16K11/072 Z
【審査請求】未請求
【請求項の数】3
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023002082
(22)【出願日】2023-01-11
(71)【出願人】
【識別番号】594126953
【氏名又は名称】株式会社白川製作所
(74)【代理人】
【識別番号】100108947
【弁理士】
【氏名又は名称】涌井 謙一
(74)【代理人】
【識別番号】100117086
【弁理士】
【氏名又は名称】山本 典弘
(74)【代理人】
【識別番号】100124383
【弁理士】
【氏名又は名称】鈴木 一永
(74)【代理人】
【識別番号】100173392
【弁理士】
【氏名又は名称】工藤 貴宏
(74)【代理人】
【識別番号】100189290
【弁理士】
【氏名又は名称】三井 直人
(72)【発明者】
【氏名】白川 大地
【テーマコード(参考)】
3H067
【Fターム(参考)】
3H067AA12
3H067CC02
3H067DD03
3H067EA02
3H067EA14
3H067EA26
3H067EB05
3H067EB10
3H067EB15
3H067EB24
3H067EC15
3H067FF11
(57)【要約】 (修正有)
【課題】弁体の回転によって弁体側流体流出入口と弁箱側流体流出入口とが対向する位置関係になっているときに、この部分から流体の漏洩が生じにくい四方切換弁を提供すること。
【解決手段】弁体を弁箱内で円周方向に回転させる駆動部からの回転駆動力を弁体に伝える弁棒と弁体とが一体成形されている。4個の弁箱側流体流出入口における弁箱の内部側にそれぞれ配備されていて、弁体周壁に摺接し、弁箱側流体流出入口と弁体側流体流出入口とが対向する位置関係になったときに、対向している弁箱側流体流出入口と弁体側流体流出入口との間の部分を囲んでシールする4個の環状シール部材と、4個の環状シール部材のそれぞれを、弁箱側流体流出入口の側から弁体周壁の側に向けて押圧している4個の押圧手段とを備えている。
【選択図】
図2
【特許請求の範囲】
【請求項1】
弁箱周壁に円周方向で90度ずつ間隔をあけて4個の弁箱側流体流出入口を備えている弁箱と、
前記弁箱内に摺動自在に密封収容されていて、内部が中空で、前記弁箱に前記弁箱側流体流出入口が形成されている位置に対応する弁体周壁の位置に、4個の前記弁箱側流体流出入口それぞれの大きさに対応するそれぞれの大きさになっている4個の弁体側流体流出入口を備えている弁体と、
前記弁体を前記弁箱内で前記円周方向に回転させる駆動部と、
前記駆動部からの回転駆動力を前記弁体に伝える弁棒と、
4個の前記弁箱側流体流出入口における前記弁箱の内部側にそれぞれ配備されていて、前記弁体周壁に摺接し、前記弁箱側流体流出入口と前記弁体側流体流出入口とが対向する位置関係になったときに、対向している前記弁箱側流体流出入口と前記弁体側流体流出入口との間の部分を囲んでシールする4個の環状シール部材と、
4個の前記環状シール部材のそれぞれを前記弁箱側流体流出入口の側から前記弁体周壁の側に向けて押圧している4個の押圧手段と
を備えていて、
前記弁棒と前記弁体とが一体成形されている
四方切換弁。
【請求項2】
前記弁体が金属製で、前記環状シール部材がテフロン(登録商標)製である請求項1記載の四方切換弁。
【請求項3】
前記押圧手段が、前記環状シール部材を前記弁体周壁の側に向けて押圧する皿バネである請求項1又は2記載の四方切換弁。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
この発明は、4個の流体流出入口を備えている弁箱で4方向の流路を切り替える四方切換弁に関する。
【背景技術】
【0002】
4個の流体流出入口を備えている弁箱で4方向の流路を切り替える四方切換弁については従来から種々の提案が行われている(特許文献1)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
周壁に4個の弁箱側流体流出入口を備えている弁箱で4方向の流路を切り替える四方切換弁では、内部が中空で、周壁に前記弁箱の4個の弁箱側流体流出入口に対応する位置に弁体側流体流出入口を4個備えている弁体が、前記4方向への流路切り替えを行うべく前記弁箱内に摺動自在に密封収容されている構造が知られている。
【0005】
このような構造の四方切換弁では、前記弁体の周壁に摺接する弁座が弁箱内に設けられていて、弁箱の弁箱側流体流出入口と、弁体の弁体側流体流出入口とが対向する位置関係になったときに、対向している弁体側流体流出入口と弁箱側流体流出入口との間の部分から流体の漏洩が発生することを防止する目的で、対向している弁体側流体流出入口と弁箱側流体流出入口との間の部分をシールする環状のシール体が弁座側に配備されているのが一般的である。
【0006】
この発明は、上述した構造の四方切換弁において、弁体の回転によって弁体側流体流出入口と弁箱側流体流出入口とが対向する位置関係になっているときに、この部分から流体の漏洩が生じにくい四方切換弁を提供することを目的にしている。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上述した目的を達成する本発明は以下のように例示することができる。
[1]
弁箱周壁に円周方向で90度ずつ間隔をあけて4個の弁箱側流体流出入口を備えている弁箱と、
前記弁箱内に摺動自在に密封収容されていて、内部が中空で、前記弁箱に前記弁箱側流体流出入口が形成されている位置に対応する弁体周壁の位置に、4個の前記弁箱側流体流出入口それぞれの大きさに対応するそれぞれの大きさになっている4個の弁体側流体流出入口を備えている弁体と、
前記弁体を前記弁箱内で前記円周方向に回転させる駆動部と、
前記駆動部からの回転駆動力を前記弁体に伝える弁棒と、
4個の前記弁箱側流体流出入口における前記弁箱の内部側にそれぞれ配備されていて、前記弁体周壁に摺接し、前記弁箱側流体流出入口と前記弁体側流体流出入口とが対向する位置関係になったときに、対向している前記弁箱側流体流出入口と前記弁体側流体流出入口との間の部分を囲んでシールする4個の環状シール部材と、
4個の前記環状シール部材のそれぞれを、前記弁箱側流体流出入口の側から前記弁体周壁の側に向けて押圧している4個の押圧手段と
を備えていて、
前記弁棒と前記弁体とが一体成形されている
四方切換弁。
【0008】
[2]
前記弁体が金属製で、前記環状シール部材がテフロン(登録商標)製である[1]の四方切換弁。
【0009】
[3]
前記押圧手段が、前記環状シール部材を前記弁体周壁の側に向けて押圧する皿バネである[1]又は[2]の四方切換弁。
【発明の効果】
【0010】
この発明によれば、弁箱周壁に円周方向で90度ずつ間隔をあけて4個の弁箱側流体流出入口を備えている弁箱と、弁箱内に摺動自在に密封収容されていて、内部が中空で、弁箱に弁箱側流体流出入口が形成されている位置に対応する弁体周壁の位置に、4個の弁体側流体流出入口を備えている弁体と、弁体を弁箱内で円周方向に回転させる駆動部とを備えている四方切換弁において、弁体の回転によって弁体側流体流出入口と弁箱側流体流出入口とが対向する位置関係になっているときに、この部分から流体の漏洩が生じにくい四方切換弁を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0011】
【
図1】本発明の一実施形態に係る四方切換弁の分解斜視図。
【
図2】
図1図示の四方切換弁において、対向している弁体側流体流出入口と弁箱側流体流出入口との間の部分をシールする構造を説明する一部を省略した断面図。
【発明を実施するための形態】
【0012】
この実施形態の四方切換弁1は、弁箱2と、弁箱2内に摺動自在に密封収容されている弁体3を備えている。
【0013】
弁箱2は、弁箱周壁4に円周方向で90度ずつ間隔をあけて4個の弁箱側流体流出入口5a、5b、5c、5dを備えている。
図1では弁箱側流体流出入口5b、5cが図示され、
図2では弁箱側流体流出入口5a、5c、5dが図示されている。
【0014】
弁体3は、内側に中空部6を備えている(
図2)。中空部6を囲む弁体3の弁体周壁7には、円周方向で90度ずつ間隔をあけて4個の弁体側流体流出入口8a、8b、8c、8dが形成されている。
図1では弁体側流体流出入口8b、8cが図示され、
図2では、弁体側流体流出入口8a、8c、8dが図示されている。
【0015】
弁体周壁7に4個の弁体側流体流出入口8a、8b、8c、8dが形成されている位置は、弁体3を摺動自在に密封収容している弁箱2の弁箱周壁4に4個の弁箱側流体流出入口5a、5b、5c、5dが形成されている位置に対応している。また、弁体側流体流出入口8a、8b、8c、8dそれぞれの大きさは、弁箱側流体流出入口5a、5b、5c、5dそれぞれの大きさに対応する大きさになっている(
図2)。
【0016】
四方切換弁1は、更に、不図示の駆動部を備えている。弁体3は、この駆動部に駆動されることで、弁箱2内で矢印30(
図2)で示す上述の円周方向に回転するようになっている。
【0017】
図1図示の実施形態では、駆動部(不図示)の先端に配備されている弁棒9の下部先端に弁体3が配備されている。駆動部(不図示)からの回転駆動力は弁棒9を介して弁体3に伝えられる。
【0018】
図示の実施形態では、弁棒9と弁体3とは一体成形されている。
【0019】
弁棒9と弁体3とがそれぞれ別個の部材として成形されていて、両者の間での結合が図られている構造の場合では、駆動部(不図示)からの回転駆動力を弁棒9を介して弁体3に伝える動作が長年にわたって繰り返されると、駆動部(不図示)からの回転駆動力を弁棒9を介して弁体3に伝えることで弁箱2の4個の弁箱流体流出入口5a、5b、5c、5dと、弁体3の弁体流体流出入口8a、8b、8c、8dとを対向する位置関係にするときにズレが生じるようになる。このようなズレが生じると、対向している弁体流体流出入口8a~8dと弁箱流体流出入口5a~5dとの間の部分から流体の漏洩が発生してしまう。
【0020】
この実施形態の四方切換弁1では上述したように駆動部(不図示)からの回転駆動力を弁体3に伝える弁棒9と弁体3とは一体に成形されている。これによって、駆動部(不図示)からの回転駆動力を弁棒9を介して弁体3に伝える動作を長年にわたって繰り返しても、上述したズレが発生することがない。駆動部(不図示)からの回転駆動力を弁棒9を介して弁体3に伝えることで弁箱2の4個の弁箱流体流出入口5a~5dと、弁体3の弁体流体流出入口8a~8dとを対向する位置関係にするときに上述したズレが生じることがないことから、切換の安定性を高め、対向している弁体流体流出入口8a~8dと弁箱流体流出入口5a~5dとの間の部分から流体の漏洩が発生するおそれを未然に防止できる構造になっている。
【0021】
更に、この実施形態では、弁体3が弁箱2内で矢印30(
図2)で示す円周方向に回転することで、
図2図示のように、弁箱2の4個の弁箱流体流出入口5a~5dと、弁体3の弁体流体流出入口8a~8dとが対向する位置関係になったときに、対向している弁体流体流出入口8a~8dと弁箱流体流出入口5a~5dとの間の部分から流体の漏洩が発生することを防止する目的で、対向している弁体流体流出入口8a~8dと弁箱流体流出入口5a~5dとの間の部分をシールする環状のシール体が四方切換弁1における弁座側になるところに配備されている。
【0022】
図示の実施形態では、環状シール部材12a、12b、12c、12dが、上述した、弁箱2の4個の弁箱流体流出入口5a~5dと、弁体3の弁体流体流出入口8a~8dとが対向する位置関係になったときに、対向している弁体流体流出入口8a~8dと弁箱流体流出入口5a~5dとの間の部分から流体の漏洩が発生することを防止する目的で、対向している弁体流体流出入口8a~8dと弁箱流体流出入口5a~5dとの間の部分をシールすべく、四方切換弁1における弁座側になるところに配備されている環状のシール体になっている。
【0023】
図示の実施形態では、弁箱流体流出入口5a、5b、5c、5dそれぞれの位置でカバー部10a、10b、10c、10dが弁箱2に対して、弁箱2の外側から、固定的に取り付けられる構造になっている。カバー部10a、10b、10c、10dは、このように固定的に弁箱2に対して取り付けられた際に、それぞれ、弁箱流体流出入口5a、5b、5c、5d内を弁箱2の内部に向かって延びる筒状部11a、11b、11c、11dを備えている。
【0024】
筒状部11a、11b、11c、11dの先端が、それぞれ、弁体3の弁体周壁7に当接している環状シール部材12a、12b、12c、12dを、弁箱流体流出入口5a、5b、5c、5dの側から弁体3の弁体周壁7に向かう方向で支持している構造になっている。
【0025】
環状シール部材12a、12b、12c、12dは、4個の弁箱側流体流出入口5a、5b、5c、5dにおける弁箱2の内部側にそれぞれ配備されていて、弁体周壁7に摺接し、弁箱側流体流出入口5a、5b、5c、5dと弁体側流体流出入口8a、8b、8c、8dとが、
図2図示のように、対向する位置関係になったときに、対向している弁箱側流体流出入口5a、5b、5c、5dと弁体側流体流出入口8a、8b、8c、8dとの間の部分を囲んでシールする環状シール部材である。
【0026】
図示の実施形態では、弁体3が、矢印30方向に、弁箱2内で回転して、弁箱流体流出入口5a、5b、5c、5dのそれぞれと、弁体流体流出入口8a、8b、8c、8dのそれぞれとが、
図2図示のように、対向する位置関係になったときに、弁体流体流出入口8a、8b、8c、8dそれぞれに対して半径方向外側になる位置関係及び、大きさで環状シール部材12a、12b、12c、12dが配備されている。
【0027】
図示の実施形態では、筒状部11a、11b、11c、11dの先端に装着されているシール部材押さえ13a、13b、13c、13dを介在させる配置関係で、環状シール部材12a、12b、12c、12dが、筒状部11a、11b、11c、11dの先端によって、弁箱流体流出入口5a、5b、5c、5dの側から弁体周壁面7に向かう方向で支持されている。
【0028】
この実施形態では、カバー部10a、10b、10c、10dの筒状部11a、11b、11c、11d先端とシール部材押さえ13a、13b、13c、13dとの間には、それぞれ、皿バネ(環状で薄板状のスプリング)14a、14b、14c、14dが介装されている。
【0029】
皿バネ14a、14b、14c、14dが、筒状部11a、11b、11c、11d先端とシール部材押さえ13a、13b、13c、13dとの間に介装されていることによって、シール部材押さえ13a、13b、13c、13dは、常に、弁体3の弁体周壁7の側に向けて一定の圧力で押圧されており、これによって、環状シール部材12a、12b、12c、12dも、常に、弁体3の弁体周壁7の側に向けて一定の圧力で押圧されている構造になっている。
【0030】
このように、図示の実施形態では、皿バネ(環状で薄板状のスプリング)14a、14b、14c、14dが、環状シール部材12a、12b、12c、12dを、弁体3の弁体周壁7の側に向けて常に一定の圧力で押圧する押圧手段としての役割を果たしている。
【0031】
弁体3の弁体周壁7は金属製で、この実施形態では、環状シール部材12a、12b、12c、12dは、テフロン(登録商標)製になっている。
【0032】
図2図示のように、この実施形態では、弁体3の金属製の弁体周壁7に摺接する部分は、テフロン(登録商標)製の環状シール部材12a、12b、12c、12dだけである。
【0033】
上述している構造の従来の四方切換弁で、金属製の弁体周壁7に摺接する部分が金属製であると、この部分が摩耗する等して経年劣化し、対向している弁箱側流体流出入口5a~5dと弁体側流体流出入口8a~8dとの間の部分から漏洩が発生するおそれがある。
【0034】
この実施形態では、上述したように、弁体3の金属製の弁体周壁7に摺接する部分は、テフロン(登録商標)製の環状シール部材12a、12b、12c、12dであることから、金属製の弁体周壁7と環状シール部材12a、12b、12c、12dとの間の摺接がソフトタッチで、なおかつ、皿バネ(環状で薄板状のスプリング)14a、14b、14c、14dによって、環状シール部材12a、12b、12c、12dは、弁体3の弁体周壁7の側に向けて常に一定の圧力で押圧されている。これによって、テフロン(登録商標)製の環状シール部材12a、12b、12c、12dが経年使用によって摩耗しても、対向している弁箱側流体流出入口5a~5dと弁体側流体流出入口8a~8dとの間の部分から漏洩が発生するおそれを抑制することができる。
【0035】
以上、本発明の実施形態を説明したが、本発明は上述した実施形態に限られることなく特許請求の範囲の記載から把握される技術的範囲において種々に変更可能である。
【符号の説明】
【0036】
1 四方切換弁
2 弁箱
3 弁体
4 弁箱周壁
5a、5b、5c、5d 弁箱側流体流出入口
6 弁体の内部に形成されている中空部
7 弁体周壁
8a、8b、8c、8d 弁体側流体流出入口
9 弁棒
10a、10b、10c、10d カバー部
11a、11b、11c、11d 筒状部
12a、12b、12c、12d 環状シール部材
13a、13b、13c、13d シール部材押さえ
14a、14b、14c、14d 皿バネ(環状で薄板状のスプリング)
15a、15b、15c、15d Oリング
16 ベアリング
17 ワッシャー
18 ワッシャー
19 ベアリング
20 ガスケット
21 上カバー
22 ボルト
23a、23b、23c、23d Oリング