(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024098573
(43)【公開日】2024-07-24
(54)【発明の名称】遊技機
(51)【国際特許分類】
A63F 7/02 20060101AFI20240717BHJP
【FI】
A63F7/02 315A
【審査請求】未請求
【請求項の数】4
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023002133
(22)【出願日】2023-01-11
(71)【出願人】
【識別番号】599104196
【氏名又は名称】株式会社サンセイアールアンドディ
(74)【代理人】
【識別番号】110000291
【氏名又は名称】弁理士法人コスモス国際特許商標事務所
(72)【発明者】
【氏名】青木 優太郎
【テーマコード(参考)】
2C088
【Fターム(参考)】
2C088AA02
2C088AA11
2C088AA35
2C088AA36
2C088AA42
(57)【要約】
【課題】簡易な構成によって特典の振分率が異なる抽選が交互に繰り返されるゲーム性を実現すること。
【解決手段】パチンコ遊技機1は、所定の抽選(特
図1の抽選)の結果が特定の結果(大当たり)になった場合に、複数種類の特典の何れかを付与可能であり、第1の遊技状態(非時短状態)と、第1の遊技状態とは特定の結果になった場合に付与される特典の振分率が異なる第2の遊技状態(微時短状態)とに設定可能である。パチンコ遊技機1は、第1の遊技状態において特
図1の変動が第1回数(1回)行われる第1遊技と、第2の遊技状態において特
図1の変動が第1回数と同じ又は異なる第2回数(1回)行われる第2遊技とが交互に繰り返されるよう構成されている。
【選択図】
図38
【特許請求の範囲】
【請求項1】
所定の識別図柄を変動表示したあと、所定の抽選の結果を示す態様で停止表示する図柄表示手段と、
前記所定の抽選の結果が特定の結果になった場合に、複数種類の特典の何れかを付与可能な特典付与手段と、
第1の遊技状態と、前記第1の遊技状態とは前記特定の結果になった場合に付与される前記特典の振分率が異なる第2の遊技状態とを含む複数の遊技状態の何れかに設定可能な遊技状態設定手段と、を備え、
前記第1の遊技状態において前記識別図柄の変動表示が第1回数行われる第1遊技と、前記第2の遊技状態において前記識別図柄の変動表示が前記第1回数と同じ又は異なる第2回数行われる第2遊技とが交互に繰り返されるよう構成されていることを特徴とする遊技機。
【請求項2】
請求項1に記載の遊技機であって、
前記遊技状態設定手段は、可変始動口に遊技球が入球し易い入球サポート状態と、前記入球サポート状態よりも前記可変始動口に遊技球が入球し難い非入球サポート状態とに設定可能であり、
前記非入球サポート状態には、前記第1の遊技状態と、前記第1の遊技状態とは前記可変始動口への入球し易さに関する設定が異なる前記第2の遊技状態とが含まれ、
前記所定の抽選の結果には、遊技者に有利な特別遊技の実行契機となる前記特定の結果と、前記特別遊技を行うことなく前記第2の遊技状態に設定する契機となる非特定の結果とを含み、前記特別遊技の実行契機にも前記第2の遊技状態の設定契機にもならないハズレを含まないことを特徴とする遊技機。
【請求項3】
請求項2に記載の遊技機であって、
前記遊技状態設定手段は、前記第2の遊技状態における前記識別図柄の変動表示の実行回数が前記第2回数に至ると当該第2の遊技状態を終了して前記第1の遊技状態に設定することが可能であり、
前記第2回数と前記第1回数とは共に1回であることを特徴とする遊技機。
【請求項4】
請求項1から請求項3までの何れかに記載の遊技機であって、
前記第1の遊技状態であるときも前記第2の遊技状態であるときも同じ演出モードに設定されることを特徴とする遊技機。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、パチンコ遊技機等の遊技機に関する。
【背景技術】
【0002】
従来より、遊技機の一例であるパチンコ遊技機として、例えば下記特許文献1に記載されているように、第1特図に係る第1始動口と第2特図に係る第2始動口とに交互に遊技球を振り分ける振分装置(所謂8チャッカ―)を有し、第1始動口への入球に基づく大当たりよりも第2始動口への入球に基づく大当たりの方が賞球の獲得に関して有利になっている遊技機が知られている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、上記特許文献1に記載されている遊技機では、賞球の獲得に関する有利さが異なる抽選を交互に繰り返すために所謂8チャッカ―のような専用の装置を必要としており、この点に改良の余地があった。
【課題を解決するための手段】
【0005】
本発明の遊技機は、
所定の識別図柄を変動表示したあと、所定の抽選の結果を示す態様で停止表示する図柄表示手段と、
前記所定の抽選の結果が特定の結果になった場合に、複数種類の特典の何れかを付与可能な特典付与手段と、
第1の遊技状態と、前記第1の遊技状態とは前記特定の結果になった場合に付与される前記特典の振分率が異なる第2の遊技状態とを含む複数の遊技状態の何れかに設定可能な遊技状態設定手段と、を備え、
前記第1の遊技状態において前記識別図柄の変動表示が第1回数行われる第1遊技と、前記第2の遊技状態において前記識別図柄の変動表示が前記第1回数と同じ又は異なる第2回数行われる第2遊技とが交互に繰り返されるよう構成されていることを特徴とする遊技機である。
【発明の効果】
【0006】
本発明の遊技機によれば、遊技球を振り分ける装置を設けることなく、特定の結果になった場合の特典の振分率が異なる抽選が交互に繰り返されるゲーム性を実現することが可能である。
【図面の簡単な説明】
【0007】
【
図1】本発明の一実施形態に係る遊技機の正面図である。
【
図2】同遊技機が備える第2大入賞装置等を示す概略正面図である。
【
図3】同遊技機が備える第1大入賞装置を備えたユニット部品と始動入賞ユニットとの縦断面を示す斜視図である。
【
図4】
図1に示すA部分の拡大図であり、同遊技機が備える表示器類を示す図である。
【
図5】同遊技機の主制御基板側の電気的な構成を示すブロック図である。
【
図6】同遊技機のサブ制御基板側の電気的な構成を示すブロック図である。
【
図7】遊技制御用マイコンが取得する各種乱数を示す表である。
【
図8】(A)大当たり判定テーブルである。(B)大当たり図柄種別判定テーブルである。(C)小当たり図柄種別判定テーブルである。(D)ハズレ図柄種別判定テーブルである。(E)リーチ判定テーブルである。
【
図9】大当たり図柄種別及び小当たり図柄種別の判定テーブルであり、大当たり及び小当たりの種類を説明する表である。
【
図10】ハズレ図柄種別の判定テーブルであり、ハズレの種類を説明する表である。
【
図11】(A)普通図柄当たり判定テーブルである。(B)普通図柄変動パターン判定テーブルである。(C)電チューの開放パターン決定テーブルである。
【
図12】(A)非時短状態用の特図変動パターン判定テーブルである。(B)微時短状態用の特図変動パターン判定テーブルである。(C)通常時短状態用の特図変動パターン判定テーブルである。
【
図14】主制御メイン処理のフローチャートである。
【
図16】メイン側タイマ割り込み処理のフローチャートである。
【
図21】特別図柄待機処理のフローチャートである。
【
図22】大当たり判定処理のフローチャートである。
【
図23】変動パターン選択処理のフローチャートである。
【
図24】特別図柄変動中処理のフローチャートである。
【
図25】特別図柄確定処理のフローチャートである。
【
図26】遊技状態管理処理のフローチャートである。
【
図27】特別電動役物処理1(大当たり遊技)のフローチャートである。
【
図28】遊技状態設定処理のフローチャートである。
【
図29】特別電動役物処理2(小当たり遊技)のフローチャートである。
【
図30】特別電動役物処理2(小当たり遊技)のフローチャートである。
【
図31】振分部材制御処理のフローチャートである。
【
図32】特定領域センサ検出処理のフローチャートである。
【
図33】サブ制御メイン処理のフローチャートである。
【
図34】1msタイマ割り込み処理のフローチャートである。
【
図35】10msタイマ割り込み処理のフローチャートである。
【
図36】受信コマンド解析処理のフローチャートである。
【
図37】小当たり遊技における第2大入賞口の開放パターン及び振分部材の作動パターンを示すタイミングチャートである。
【
図38】実施形態に係る遊技機の遊技フローの概略を説明する図である。
【
図39】(A)通常演出モードの表示画面を示す図である。(B)RUSH演出モードの表示画面を示す図である。
【
図40】変動演出における通常変動の具体例を示す説明図である。
【
図41】変動演出におけるNリーチ(ノーマルリーチ)の具体例を示す説明図である。
【
図42】変動演出におけるSPリーチの具体例を示す説明図である。
【
図43】変更例に係る遊技機における演出保留(保留アイコン、保留表示)の具体例を示す説明図である。
【
図44】別の変更例に係るハズレ図柄種別の判定テーブルである。
【発明を実施するための形態】
【0008】
1.遊技機の構造
本発明の一実施形態であるパチンコ遊技機について、図面に基づいて説明する。
図1に示すように、実施形態のパチンコ遊技機1は、遊技機枠50と、遊技機枠50内に取り付けられた遊技盤2とを備えている。遊技機枠50のうちの前面枠51には、回転角度に応じた発射強度で遊技球を発射させるためのハンドル60、遊技球を貯留する打球供給皿(上皿)61、及び打球供給皿61に収容しきれない遊技球を貯留する余剰球受皿(下皿)62が設けられている。また前面枠51には、遊技の進行に伴って実行される演出時などに遊技者が操作し得る演出ボタン63およびセレクトボタン(図示せず)が設けられている。また前面枠51には、装飾用の枠ランプ66およびスピーカ67が設けられている。
【0009】
遊技盤2には、ハンドル60の操作により発射された遊技球が流下する遊技領域3が、レール部材4で囲まれて形成されている。また遊技盤2には、装飾用の盤ランプ5(
図6参照)が設けられている。遊技領域3には、遊技球を誘導する複数の遊技くぎ(図示せず)が突設されている。
【0010】
また遊技領域3の中央付近には、液晶表示装置である画像表示装置7(表示手段)が設けられている。画像表示装置7の表示画面7a(表示部)には、後述の第1特別図柄および第2特別図柄の変動表示(可変表示)に同期した演出図柄(装飾図柄)8L,8C,8Rの変動表示を行う演出図柄表示領域がある。演出図柄表示領域は、例えば「左」「中」「右」の3つの表示領域からなる。左の表示領域には左演出図柄8Lが表示され、中の表示領域には中演出図柄8Cが表示され、右の表示領域には右演出図柄8Rが表示される。演出図柄はそれぞれ、例えば「1」~「9」までの数字をあらわした複数の図柄からなる。画像表示装置7は、左、中、右の演出図柄の組み合わせによって、後述の第1特別図柄表示器41aおよび第2特別図柄表示器41b(
図4参照)にて表示される第1特別図柄および第2特別図柄の変動表示の結果(つまりは大当たり抽選の結果)を、わかりやすく表示する。
【0011】
例えば大当たりに当選した場合には「777」などのゾロ目で演出図柄を停止表示する。また小当たりに当選した場合には「246」などの予め定めたチャンス目で演出図柄を停止表示する。また、はずれ(通常ハズレ)であった場合には「263」などのバラケ目で演出図柄を停止表示する。これにより、遊技者にとっては遊技の進行状況の把握が容易となる。つまり遊技者は、一般的には大当たり抽選の結果を第1特別図柄表示器41aや第2特別図柄表示器41bにより把握するのではなく、画像表示装置7にて把握する。なお、演出図柄8L,8C,8Rの表示領域の位置は固定的でなくてもよい。また、演出図柄の変動表示の態様としては、例えば上下方向にスクロールする態様がある。また、各抽選結果に応じてどのような演出図柄の組み合わせを停止表示するかは任意に変更可能であり、小当たり当選時にゾロ目で演出図柄を停止表示するようにしてもよい。
【0012】
画像表示装置7は、上記のような演出図柄を用いた演出図柄変動演出(「装飾図柄変動演出」や単に「変動演出」とも言う)のほか、大当たり遊技に並行して行われる大当たり演出や、客待ち用のデモ演出などを表示画面7aに表示する。なお演出図柄変動演出では、数字等の演出図柄のほか、背景画像やキャラクタ画像などの演出図柄以外の演出画像も表示される。
【0013】
また画像表示装置7の表示画面7aには、後述の第1特図保留の記憶数に応じて演出保留9Aを表示する第1演出保留表示エリアと、後述の第2特図保留の記憶数に応じて演出保留9Bを表示する第2演出保留表示エリアとがある。演出保留の表示により、後述の第1特図保留表示器43aにて表示される第1特図保留の記憶数および第2特図保留表示器43b(
図4参照)にて表示される第2特図保留の記憶数を、遊技者にわかりやすく示すことが可能となっている。
【0014】
遊技領域3の中央付近であって画像表示装置7の前方には、センター装飾体10が配されている。センター装飾体10の下部には、上面を転動する遊技球を、後述の第1始動口20へと誘導可能なステージ部11が形成されている。またセンター装飾体10の左部には、入口から遊技球を流入させ、出口からステージ部11へ遊技球を流出させるワープ部12が設けられている。さらにセンター装飾体10の上部には、文字や図形等を表した装飾部材13が配されている。
【0015】
遊技領域3における画像表示装置7の下方には、遊技球の入球し易さが常に変わらない第1始動口20を備える固定入賞装置19が設けられている。第1始動口20を、第1始動入賞口や固定始動口、固定入球口、第1入球口ともいう。第1始動口20への遊技球の入賞は、第1特別図柄の抽選(大当たり抽選、すなわち大当たり乱数等の取得と判定)の契機となっている。
【0016】
また第1始動口20の下方には、第2始動口21を備える普通可変入賞装置(いわゆる電チュー)22が設けられている。第2始動口21を第2始動入賞口や可変始動口、可変入球口、第2入球口ともいう。第2始動口21への遊技球の入賞は、第2特別図柄の抽選(大当たり抽選、すなわち大当たり乱数等の取得と判定)の契機となっている。
【0017】
電チュー22は、前後に進退可能な可動部材(入球口開閉部材)23を備え、可動部材23の作動によって第2始動口21を開閉するものである。可動部材23は、電チューソレノイド24(
図5参照)により駆動される。第2始動口21は、可動部材23が開いているとき(つまり可動部材23が開状態(第1状態)をとっているとき)だけ遊技球が入球可能となる。すなわち、可動部材23が閉じているとき(つまり可動部材23が閉状態(第2状態)をとっているとき)には遊技球が入球不可能となっている。なお、第2始動口21は、可動部材23が閉じているときには開いているときよりも遊技球が入球困難となるものであれば、可動部材23が閉じているときに完全に入球不可能となるものでなくてもよい。なお本形態では、固定入賞装置19と電チュー22とはユニット化されており、1つの構造体として遊技盤2に対して着脱可能となっている。この構造体を始動入賞ユニットSUと称する。始動入賞ユニットSUの詳細については後述する。
【0018】
また、遊技領域3における第1始動口20の右方には、第1大入賞口30を備えた第1大入賞装置31が設けられている。第1大入賞装置31を、第1特別可変入賞装置や、第1特別入賞手段ともいい、第1大入賞口30を第1特別入賞口ともいう。第1大入賞装置31は、開状態(第1状態)と閉状態(第2状態)とをとる開閉部材(第1特別入賞口開閉部材)32を備え、開閉部材32の作動により第1大入賞口30を開閉するものである。開閉部材32は、第1大入賞口ソレノイド33(
図5参照)により駆動される。第1大入賞口30は、開閉部材32が開いているとき(つまり開状態のとき)だけ遊技球が入球可能となる。
【0019】
また、遊技領域3における第1大入賞口30の上方には、第2大入賞口35を備えた第2大入賞装置36が設けられている。第2大入賞装置36を、第2特別可変入賞装置、第2特別入賞手段ともいい、第2大入賞口35を第2特別入賞口ともいう。第2大入賞装置36は、開状態(第1状態)と閉状態(第2状態)とをとる開閉部材(第2特別入賞口開閉部材)37を備え、開閉部材37の作動により第2大入賞口35を開閉するものである。開閉部材37は、第2大入賞口ソレノイド38(
図5参照)により駆動される。第2大入賞口35は、開閉部材37が開いているとき(つまり開状態のとき)だけ遊技球が入球可能となる。
【0020】
より詳細には、
図2に示すように、第2大入賞装置36の内部には、第2大入賞口35を通過した遊技球が通過可能な特定領域(V領域)39および非特定領域70が形成されている。なお、第2大入賞装置36において、特定領域39および非特定領域70の上流には、第2大入賞口35への遊技球の入賞を検知する第2大入賞口センサ35aが配されている。また、特定領域39には、特定領域39への遊技球の通過を検知する特定領域センサ39aが配されている。また、非特定領域70には、非特定領域70への遊技球の通過を検知する非特定領域センサ70aが配されている。また、第2大入賞装置36は、第2大入賞口35を通過した遊技球を特定領域39または非特定領域70のいずれかに振り分ける振分部材71と、振分部材71を駆動する振分部材ソレノイド73(
図5参照)とを備えている。なお、振分部材71は、振分部材ソレノイド73の通電時には、遊技球を特定領域39に振り分ける第1の状態(通過許容状態)をとり、振分部材ソレノイド73の非通電時には、遊技球を非特定領域70に振り分ける第2の状態(通過阻止状態)をとる。
【0021】
振分部材71は、
図2に二点鎖線で示すように、振分部材ソレノイド73の通電時には、特定領域39への遊技球の通過を許容する通過許容状態にある。振分部材71が通過許容状態にあるときは、第2大入賞口35に入賞した遊技球は、第2大入賞口センサ35aを通過したあと特定領域39を通過する。この遊技球のルートを第1のルートという。
【0022】
また振分部材71は、
図2に破線で示すように、振分部材ソレノイド73の非通電時には、特定領域39への遊技球の通過を妨げる通過阻止状態にある。振分部材71が通過阻止状態にあるときは、第2大入賞口35に入賞した遊技球は、第2大入賞口センサ35aを通過したあと振分部材71上を転動して非特定領域70を通過する。この遊技球のルートを第2のルートという。
【0023】
なお本パチンコ遊技機1では、特定領域39への遊技球の通過は、後述の大当たり遊技の実行契機となっている。つまり本形態では、特定領域39への遊技球の通過の有無によっても大当たり抽選を行っている。上述の第1特別図柄の抽選又は第2特別図柄の抽選により当選する大当たりを1種大当たりといい、特定領域39への遊技球の通過によって当選する大当たりを2種大当たりという。また、1種大当たりに当選して実行される大当たり遊技を1種大当たり遊技といい、2種大当たりに当選して実行される大当たり遊技を2種大当たり遊技という。また、1種大当たりを直撃大当たりともいう。
【0024】
また
図1に示すように、遊技領域3におけるセンター装飾体10の右方には、遊技球が通過可能なゲート28が設けられている。ゲート28への遊技球の通過は、電チュー22を開放するか否かを決める普通図柄抽選(すなわち普通図柄乱数(当たり乱数)の取得と判定)の実行契機となっている。
【0025】
さらに遊技領域3の左下部、及び第2始動口21の右方には、普通入賞口27が設けられている。また遊技領域3の最下部には、遊技領域3へ打ち込まれたもののいずれの入賞口にも入賞しなかった遊技球を遊技領域3外へ排出するアウト口6が設けられている。
【0026】
このように各種の入賞口等が配されている遊技領域3には、左右方向の中央より左側の左遊技領域(第1遊技領域)3Aと、右側の右遊技領域(第2遊技領域)3Bとがある。左遊技領域3Aを遊技球が流下するように遊技球を発射する打方を、左打ちという。一方、右遊技領域3Bを遊技球が流下するように遊技球を発射する打方を、右打ちという。本形態のパチンコ遊技機1では、左打ちにて遊技したときに遊技球が流下し得る流路を、第1流路R1といい、右打ちにて遊技したときに遊技球が流下し得る流路を、第2流路R2という。
【0027】
第1流路R1上には、第1始動口20と、第2始動口21と、アウト口6とが設けられている。遊技者は第1流路R1を流下するように遊技球を打ち込むことで、第1始動口20への入賞を狙う。なお、第1流路R1を流下した遊技球が第2始動口21へ入賞することは、ほぼない。この点については後述する。
【0028】
一方、第2流路R2上には、ゲート28と、第2大入賞装置36と、第1大入賞装置31と、電チュー22と、アウト口6とが設けられている。遊技者は第2流路R2を流下するように遊技球を打ち込むことで、ゲート28への通過、電チュー22に係る第2始動口21への入賞、第2大入賞口35への入賞(特定領域39への通過)、又は、第1大入賞口30への入賞を狙う。
【0029】
ところで本形態では、固定入賞装置19と電チュー22とは始動入賞ユニットSUを構成している。
図3に示すように、始動入賞ユニットSUにおける第1始動口20と第2始動口21との間には、第1流路R1を流下した遊技球が第2始動口21へ入賞するのを抑制するための入球抑制部ECが設けられている。入球抑制部ECは、第1始動口20と第2始動口21とを隔てるように、遊技盤2の前面2a(
図1参照)に対してほぼ垂直に配された壁部である。
【0030】
入球抑制部ECの左右方向の幅寸法(横幅)は、第1始動口20の横幅および第2始動口21の横幅よりも長く、入球抑制部ECの上面ECaは、右から左にかけて下方に傾斜している。よって、入球抑制部ECの上面ECaは、第1始動口20の右側を流下する遊技球B1を、第1始動口20の左下方に誘導する誘導面として機能する。入球抑制部ECの上面ECaに誘導された遊技球は、入球抑制部ECの近傍に配されたアウト口6(
図1参照)へ入球する。また、第1始動口20の左側を流下する遊技球B2も、入球抑制部ECの上面ECaに至ると、その上面ECaを転動してアウト口6へ入球する。このように本パチンコ遊技機1は、第1流路R1を流下した遊技球が基本的には第2始動口21へ入球することがないようになっている。なお入球抑制部ECは、第1流路R1を流下した遊技球が第2始動口21へ入球しないように誘導する第1の誘導路GP1を形成していると言える。
【0031】
但し極稀に、第1流路R1を流下する遊技球が入球抑制部ECの右端部よりも右方に跳ね、始動入賞ユニットSUと、第1大入賞装置31を備えたユニット部品DUとの間の通路TPを流下することがある。この通路TPを流下する遊技球B3については、第2始動口21へ入賞する可能性が生じる。第2流路R2を流下する遊技球B4が、第1大入賞装置31の開閉部材32の上面を転動してユニット部品DUの出口部DUaから排出された場合と、同じ個所に至ることになるからである。つまり本形態では、始動入賞ユニットSUに入球抑制部ECを設けているものの、第1流路R1を流下する遊技球が第2始動口21へ入賞する可能性を完全になくしているわけではない。
【0032】
ここで、始動入賞ユニットSUは、詳細には次のように構成されている。まず、始動入賞ユニットSUにおける入球抑制部ECの下方には、右側に開口した開口部SUaが設けられている。この開口部SUaは、第2始動口21へ遊技球を誘導する第2の誘導路GP2の入口となっている。遊技球B3あるいは遊技球B4がこの開口部SUaに入球した場合には、第2の誘導路GP2を通って第2始動口21へ誘導される。このときに可動部材23が前方に進出していれば、つまり第2始動口21が開放されていれば、遊技球B3あるいは遊技球B4は第2始動口21に入球する。なお、第2始動口21が閉塞されていればアウト口6(
図1参照)に入球する。
【0033】
また、始動入賞ユニットSUにおける開口部SUaの下方には、普通入賞口27が設けられている。よって、遊技球B3あるいは遊技球B4は、開口部SUaに入球しなかった場合には、この普通入賞口27に入賞する可能性がある。なお、遊技球B3あるいは遊技球B4が始動入賞ユニットSUの開口部SUaにも普通入賞口27にも入球しなかった場合には、アウト口6(
図1参照)へ入球することとなる。
【0034】
このように本形態では、第1流路R1と第2流路R2とは、それぞれの下流部で合流している。第1流路R1と第2流路R2とに共通している流路を合流部GRと称することとする。本形態ではこの合流部GRに、第2始動口21(電チュー22)、普通入賞口27、およびアウト口6が配されていることとなる。
【0035】
また
図1および
図4に示すように、遊技盤2の右下部には表示器類40が配置されている。表示器類40には、第1特別図柄(特
図1、識別図柄の一例)を可変表示する第1特別図柄表示器41a、第2特別図柄(特
図2、識別図柄の一例)を可変表示する第2特別図柄表示器41b、及び、普通図柄を可変表示する普通図柄表示器42が含まれている。また表示器類40には、第1特別図柄表示器41aの作動保留(第1特図保留)の記憶数を表示する第1特図保留表示器43a、及び、第2特別図柄表示器41bの作動保留(第2特図保留)の記憶数を表示する第2特図保留表示器43bが含まれている。第1特図保留を特
図1保留ともいい、第2特図保留を特
図2保留ともいう。
【0036】
第1特別図柄の可変表示は、第1始動口20への遊技球の入賞を契機として行われる。第2特別図柄の可変表示は、第2始動口21への遊技球の入賞を契機として行われる。なお以下の説明では、第1特別図柄および第2特別図柄を総称して特別図柄(特図)ということがある。また、第1特別図柄表示器41aおよび第2特別図柄表示器41bを総称して特別図柄表示器41ということがある。また、第1特図保留表示器43aおよび第2特図保留表示器43bを総称して特図保留表示器43ということがある。
【0037】
特別図柄表示器41では、特別図柄(識別情報)を可変表示(変動表示)したあと停止表示することにより、第1始動口20又は第2始動口21への入賞に基づく抽選(特別図柄抽選、大当たり抽選)の結果を報知する。停止表示される特別図柄(停止図柄、可変表示の表示結果として導出表示される特別図柄)は、特別図柄抽選によって複数種類の特別図柄の中から選択された一つの特別図柄である。停止図柄が予め定めた大当たり停止態様の特別図柄(大当たり図柄)である場合には、停止表示された大当たり図柄の種別(つまり当選した大当たりの種類)に応じた開放パターンにて第1大入賞口30を開放させる大当たり遊技が行われる。また、停止図柄が予め定めた小当たり停止態様の特別図柄(小当たり図柄)である場合には、停止表示された小当たり図柄の種別(つまり当選した小当たりの種類)に応じた開放パターンにて第2大入賞口35を開放させる小当たり遊技が行われる。なお、大当たり遊技及び小当たり遊技における大入賞口(第1大入賞口30及び第2大入賞口35)の開放パターンについては後述する。
【0038】
具体的には特別図柄表示器41は、例えば横並びに配された8個のLEDから構成されており、その点灯態様によって大当たり抽選の結果に応じた特別図柄を表示するものである。例えば大当たり(後述の複数種類の大当たりのうちの一つ)に当選した場合には、「○○●●○○●●」(○:点灯、●:消灯)というように左から1,2,5,6番目にあるLEDが点灯した大当たり図柄を表示する。また、小当たり(後述の複数種類の小当たりのうちの一つ)に当選した場合には、「●●●●○○●●」というように左から5,6番目にあるLEDが点灯した小当たり図柄を表示する。また、ハズレである場合には、「●●●●●●●○」というように一番右にあるLEDのみが点灯したハズレ図柄を表示する。なお、ハズレ図柄の一つとして全てのLEDを消灯させる態様を採用してもよい。また、特別図柄が停止表示される前には所定の変動時間にわたって特別図柄の変動表示(可変表示)がなされるが、その変動表示の態様は、例えば左から右へ光が繰り返し流れるように各LEDが点灯するという態様である。なお変動表示の態様は、各LEDが停止表示(特定の態様での点灯表示)されていなければ、全LEDが一斉に点滅するなど、適宜変更可能である。
【0039】
本パチンコ遊技機1では、第1始動口20または第2始動口21への遊技球の入賞があると、その入賞に対して取得した大当たり乱数等の各種乱数の値(判定情報)は、特図保留記憶部85(
図5参照)に一旦記憶される。詳細には、第1始動口20への入賞であれば第1特図保留として第1特図保留記憶部85a(
図5参照)に記憶され、第2始動口21への入賞であれば第2特図保留として第2特図保留記憶部85b(
図5参照)に記憶される。各々の特図保留記憶部85に記憶可能な特図保留の数には上限があり、本形態における上限値(上限記憶数、上限保留数)は第1特図保留記憶部85aが「4」、第2特図保留記憶部85bが「1」となっている。
【0040】
特図保留記憶部85に記憶された特図保留は、その特図保留に基づく特別図柄の可変表示が可能となったときに消化される。特図保留の消化とは、その特図保留に対応する大当たり乱数等を判定して、その判定結果を示すための特別図柄の可変表示を実行することをいう。従って本パチンコ遊技機1では、第1始動口20または第2始動口21への遊技球の入賞に基づく特別図柄の可変表示がその入賞後にすぐに行えない場合、すなわち特別図柄の可変表示の実行中や特別遊技(大当たり遊技又は小当たり遊技)の実行中に入賞があった場合であっても、所定個数を上限として、その入賞に対する大当たり抽選の権利を留保することができるようになっている。つまり本形態のパチンコ遊技機1は、第1始動口20(固定始動口)への入球に基づく大当たり判定処理(所定の判定処理)の実行を保留可能な保留手段と、第2始動口21(可変始動口)への入球に基づく大当たり判定処理(所定の判定処理)の実行を保留可能な保留手段とを備えている。
【0041】
そしてこのような特図保留の数は、特図保留表示器43に表示される。具体的には第1特図保留表示器43aは4個のLEDで構成されており、第2特図保留表示器43bは1個のLEDで構成されている。各特図保留表示器43は、特図保留の数だけLEDを点灯させることにより特図保留の数を表示する。
【0042】
普通図柄の可変表示は、ゲート28への遊技球の通過を契機として行われる。普通図柄表示器42では、普通図柄を可変表示(変動表示)したあと停止表示することにより、ゲート28への遊技球の通過に基づく普通図柄抽選の結果を報知する。停止表示される普通図柄(普図停止図柄、可変表示の表示結果として導出表示される普通図柄)は、普通図柄抽選によって複数種類の普通図柄の中から選択された一つの普通図柄である。停止表示された普通図柄が予め定めた特定普通図柄(普通当たり図柄)である場合には、現在の遊技状態に応じた開放パターンにて第2始動口21を開放させる補助遊技が行われる。なお、第2始動口21の開放パターンについては後述する。
【0043】
具体的には普通図柄表示器42は、例えば2個のLEDから構成されており(
図4参照)、その点灯態様によって普通図柄抽選の結果に応じた普通図柄を表示するものである。例えば抽選結果が当たり(後述の複数種類の普通当たり図柄の一つ)である場合には、「○○」(○:点灯、●:消灯)というように両LEDが点灯した普通当たり図柄を表示する。また抽選結果がハズレである場合には、「●○」というように右のLEDのみが点灯した普通ハズレ図柄を表示する。普通ハズレ図柄として全てのLEDを消灯させる態様を採用してもよい。普通図柄が停止表示される前には所定の変動時間にわたって普通図柄の変動表示(可変表示)がなされるが、その変動表示の態様は、例えば両LEDが交互に点灯するという態様である。なお変動表示の態様は、各LEDが停止表示(特定の態様での点灯表示)されていなければ、全LEDが一斉に点滅するなど、適宜変更可能である。
【0044】
なお本パチンコ遊技機1は、ゲート28への遊技球の通過に基づく普通図柄の可変表示がその通過後にすぐに行えない場合、すなわち普通図柄の可変表示の実行中や補助遊技の実行中にゲート28への通過があった場合には、その通過に基づく普通図柄乱数の取得を行わない構成である。すなわち、普通図柄表示器42の作動保留(普図保留)を記憶しない構成である。なお、普図保留をRAM84(
図5参照)内の所定の記憶領域に所定の上限数(例えば「4」)まで記憶可能な構成としてもよい。この場合、RAM84に記憶された普図保留は、その普図保留に基づく普通図柄の可変表示が可能となったときに消化される。普図保留の消化とは、その普図保留に対応する普通図柄乱数を判定して、その判定結果を示すための普通図柄の可変表示を実行することをいう。またこの場合、普図保留の記憶数を表示する普図保留表示器を設けるとよい。
【0045】
2.遊技機の電気的構成
次に
図5及び
図6に基づいて、本パチンコ遊技機1における電気的な構成を説明する。
図5及び
図6に示すようにパチンコ遊技機1は、大当たり抽選や遊技状態の移行などの遊技利益に関する制御を行う主制御基板(遊技制御基板)80、遊技の進行に伴って実行する演出に関する制御を行うサブ制御基板(演出制御基板)90、遊技球の払い出しに関する制御を行う払出制御基板110等を備えている。主制御基板80は、メイン制御部を構成し、サブ制御基板90は、後述する画像制御基板100、ランプ制御基板107、および音声制御基板106とともにサブ制御部99を構成する。なお、サブ制御部99は、少なくともサブ制御基板90を備え、演出手段(画像表示装置7や盤ランプ5、枠ランプ66、スピーカ67、盤可動体15等)を用いた各種の演出を制御可能であればよい。
【0046】
またパチンコ遊技機1は、電源基板150を備えている。電源基板150は、主制御基板80、サブ制御基板90、及び払出制御基板110に対して電力を供給するとともに、これらの基板を介してその他の機器に対して必要な電力を供給する。電源基板150には、バックアップ電源回路151が設けられている。バックアップ電源回路151は、本パチンコ遊技機1に対して電力が供給されていない場合に、後述する主制御基板80のRAM84やサブ制御基板90のRAM94に対して電力を供給する。従って、主制御基板80のRAM84やサブ制御基板90のRAM94に記憶されている情報は、パチンコ遊技機1の電断時であっても保持される。また、電源基板150には、電源スイッチ155が接続されている。電源スイッチ155のON/OFF操作により、電源の投入/遮断が切替えられる。なお、主制御基板80のRAM84に対するバックアップ電源回路を主制御基板80に設けたり、サブ制御基板90のRAM94に対するバックアップ電源回路をサブ制御基板90に設けたりしてもよい。
【0047】
また電源基板150には、後述する遊技制御用マイコン81のRAM84に記憶されている情報をCPU82にクリアさせるためのRAMクリアスイッチ(RAMクリア操作手段)152が設けられている。なお、RAMクリアスイッチ152は、本パチンコ遊技機1の裏側に配置された電源基板150上に設けられている。そのため、遊技機枠50を開放可能な遊技場の従業員等でなければ、RAMクリアスイッチ152を操作することはできない。即ち、RAMクリアスイッチ152は、実質的に遊技者による操作が不可能な操作手段といえる。なお、RAMクリアスイッチ152は、タクトスイッチであり、RAMクリアスイッチ152が押下操作されると、RAMクリアスイッチ152がONであることを示す検出信号が遊技制御用マイコン81に入力される。RAMクリアスイッチ152が押されている状態をRAMクリアスイッチ152のON状態といい、RAMクリアスイッチ152が押されていない状態をRAMクリアスイッチ152のOFF状態という。RAM84のクリア(RAMクリア)を行う場合には、RAMクリアスイッチ152を押しながら電源スイッチ155のON操作を行う。RAM84をクリアするための操作を、RAMクリア操作と言う。RAMクリア操作は、所定の状態設定操作の一例である。また、RAMクリアを伴う電源投入を、特定条件を満たした電源投入と言い、RAMクリアは特定条件にあたる。
【0048】
図5に示すように、主制御基板80には、プログラムに従ってパチンコ遊技機1の遊技の進行を制御する遊技制御用ワンチップマイコン(以下「遊技制御用マイコン」)81が実装されている。遊技制御用マイコン81には、遊技の進行を制御するためのプログラム等を記憶したROM83、ワークメモリとして使用されるRAM84、ROM83に記憶されたプログラムを実行するCPU82、データや信号の入出力を行うためのI/Oポート部(入出力回路)87が含まれている。なお、ROM83は外付けであってもよい。RAM84には、上述した特図保留記憶部85(第1特図保留記憶部85a及び第2特図保留記憶部85b)が設けられている。
【0049】
また主制御基板80には、
図5に示すように、中継基板88を介して各種センサやソレノイドが接続されている。そのため、主制御基板80には各センサから信号が入力され、各ソレノイドには主制御基板80から信号が出力される。具体的にはセンサ類としては、第1始動口センサ20a、第2始動口センサ21a、ゲートセンサ28a、第1大入賞口センサ30a、第2大入賞口センサ35a、特定領域センサ39a、非特定領域センサ70a、および普通入賞口センサ27aが接続されている。
【0050】
第1始動口センサ20aは、第1始動口20内に設けられて第1始動口20に入賞した遊技球を検出するものである。第2始動口センサ21aは、第2始動口21内に設けられて第2始動口21に入賞した遊技球を検出するものである。ゲートセンサ28aは、ゲート28内に設けられてゲート28を通過した遊技球を検出するものである。第1大入賞口センサ30aは、第1大入賞口30内に設けられて第1大入賞口30に入賞した遊技球を検出するものである。第2大入賞口センサ35aは、第2大入賞口35内に設けられて第2大入賞口35に入賞した遊技球を検出するものである。特定領域センサ39aは、第2大入賞口35内の特定領域39に設けられて特定領域39を通過した遊技球を検出するものである。非特定領域センサ70aは、第2大入賞口35内の非特定領域70に設けられて非特定領域70を通過した遊技球を検出するものである。普通入賞口センサ27aは、普通入賞口27内にそれぞれ設けられて普通入賞口27に入賞した遊技球を検出するものである。
【0051】
またソレノイド類としては、電チューソレノイド24、第1大入賞口ソレノイド33、第2大入賞口ソレノイド38、および振分部材ソレノイド73が接続されている。電チューソレノイド24は、電チュー22の可動部材23を駆動するものである。第1大入賞口ソレノイド33は、第1大入賞装置31の開閉部材32を駆動するものである。第2大入賞口ソレノイド38は、第2大入賞装置36の開閉部材37を駆動するものである。振分部材ソレノイド73は、第2大入賞装置36の振分部材71を駆動するものである。
【0052】
さらに主制御基板80には、第1特別図柄表示器41a、第2特別図柄表示器41b、普通図柄表示器42、第1特図保留表示器43a、および第2特図保留表示器43bが接続されている。すなわち、これらの表示器類40の表示制御は、遊技制御用マイコン81によりなされる。
【0053】
また主制御基板80は、払出制御基板110に各種コマンドを送信するとともに、払い出し監視のために払出制御基板110から信号を受信する。払出制御基板110には、賞球払出装置120およびカードユニット135(パチンコ遊技機1に隣接して設置され、挿入されたプリペイドカード等の情報に基づいて球貸しを可能にするもの)が接続されているとともに、発射制御回路111を介して発射装置112が接続されている。発射装置112には、ハンドル60(
図1参照)が含まれる。
【0054】
払出制御基板110は、遊技制御用マイコン81からの信号や、パチンコ遊技機1に接続されたカードユニット135からの信号に基づいて、賞球払出装置120の賞球モータ121を駆動して賞球の払い出しを行ったり、貸球の払い出しを行ったりする。払い出される賞球や貸球は、その計数のため賞球センサ122により検知される。なお遊技者による発射装置112のハンドル60(
図1参照)の操作があった場合には、タッチスイッチ114がハンドル60への接触を検知し、発射ボリューム115がハンドル60の回転量を検知する。そして、発射ボリューム115の検知信号の大きさに応じた強さで遊技球が発射されるよう発射モータ113が駆動されることとなる。なお本パチンコ遊技機1においては、0.6秒程度で一発の遊技球が発射されるようになっている。
【0055】
また主制御基板80は、サブ制御基板90に対し各種コマンドを送信する。主制御基板80とサブ制御基板90との接続は、主制御基板80からサブ制御基板90への信号の送信のみが可能な単方向通信接続となっている。すなわち、主制御基板80とサブ制御基板90との間には、通信方向規制手段としての図示しない単方向性回路(例えばダイオードを用いた回路)が介在している。
【0056】
図6に示すように、サブ制御基板90には、プログラムに従ってパチンコ遊技機1の演出を制御する演出制御用ワンチップマイコン(以下「演出制御用マイコン」)91が実装されている。演出制御用マイコン91には、遊技の進行に伴って演出を制御するためのプログラム等を記憶したROM93、ワークメモリとして使用されるRAM94、ROM93に記憶されたプログラムを実行するCPU92、データや信号の入出力を行うためのI/Oポート部(入出力回路)97が含まれている。なお、ROM93は外付けであってもよい。
【0057】
また
図6に示すように、サブ制御基板90には、画像制御基板100、音声制御基板106、ランプ制御基板107が接続されている。サブ制御基板90の演出制御用マイコン91は、主制御基板80から受信したコマンドに基づいて、画像制御基板100のCPU102に画像表示装置7の表示制御を行わせる。画像制御基板100のRAM104は、画像データを展開するためのメモリである。画像制御基板100のROM103には、画像表示装置7に表示される静止画データや動画データ、具体的にはキャラクタ、アイテム、図形、文字、数字および記号等(演出図柄を含む)や背景画像等の画像データが格納されている。画像制御基板100のCPU102は、演出制御用マイコン91からの指令に基づいてROM103から画像データを読み出す。そして、読み出した画像データに基づいて表示制御を実行する。
【0058】
また演出制御用マイコン91は、主制御基板80から受信したコマンドに基づいて、音声制御基板106を介してスピーカ67から音声、楽曲、効果音等を出力する。スピーカ67から出力する音声等の音響データは、サブ制御基板90のROM93に格納されている。なお、音声制御基板106にCPUを実装してもよく、その場合、そのCPUに音声制御を実行させてもよい。さらにこの場合、音声制御基板106にROMを実装してもよく、そのROMに音響データを格納してもよい。また、スピーカ67を画像制御基板100に接続し、画像制御基板100のCPU102に音声制御を実行させてもよい。さらにこの場合、画像制御基板100のROM103に音響データを格納してもよい。
【0059】
また演出制御用マイコン91は、主制御基板80から受信したコマンドに基づいて、ランプ制御基板107を介して枠ランプ66や盤ランプ5等のランプの点灯制御を行う。詳細には演出制御用マイコン91は、枠ランプ66や盤ランプ5等のランプの発光態様を決める発光データ(点灯/消灯や発光色等を決めるデータ、ランプデータともいう)を作成し、発光データに従って枠ランプ66や盤ランプ5などのランプの発光を制御する。なお、発光データの作成にはサブ制御基板90のROM93に格納されているデータを用いる。
【0060】
さらに演出制御用マイコン91は、主制御基板80から受信したコマンドに基づいて、ランプ制御基板107に中継基板108を介して接続された盤可動体15を動作させる。なお盤可動体15は、
図1では図示を省略したが、センター装飾体10に設けられた可動式のいわゆるギミックのことである。詳細には演出制御用マイコン91は、盤可動体15の動作態様を決める動作パターンデータ(駆動データともいう)を作成し、動作パターンデータに従って盤可動体15の動作を制御する。動作パターンデータの作成にはサブ制御基板90のROM93に格納されているデータを用いる。なお、ランプ制御基板107にCPUを実装してもよく、その場合、そのCPUにランプの点灯制御や盤可動体15の動作制御を実行させてもよい。さらにこの場合、ランプ制御基板107にROMを実装してもよく、そのROMに発光パターンや動作パターンに関するデータを格納してもよい。
【0061】
またサブ制御基板90には、演出ボタン検出スイッチ(SW)63a及びセレクトボタン検出スイッチ64aが接続されている。演出ボタン検出スイッチ63aは、演出ボタン63(
図1参照)が押下操作されたことを検出するものである。演出ボタン63が押されると演出ボタン検出スイッチ63aからサブ制御基板90に対して検知信号が出力される。また、セレクトボタン検出スイッチ64aは、セレクトボタンが押下操作されたことを検出するものである。セレクトボタンが押されるとセレクトボタン検出スイッチ64aからサブ制御基板90に対して検知信号が出力される。
【0062】
なお
図5及び
図6は、あくまで本パチンコ遊技機1における電気的な構成を説明するための機能ブロック図であり、
図5及び
図6に示す基板だけが設けられているわけではない。主制御基板80を除いて、
図5及び
図6に示す何れか複数の基板を1つの基板として構成しても良く、
図5及び
図6に示す1つの基板を複数の基板として構成しても良い。
【0063】
3.遊技機における主な遊技
次に、パチンコ遊技機1により行われる主な遊技について説明する。パチンコ遊技機1は、第1始動口20又は第2始動口21への入賞に基づいて、特図関係乱数を取得する。特図関係乱数には、
図7(A)に示すように、大当たり乱数、図柄種別乱数、リーチ乱数、及び変動パターン乱数がある。大当たり乱数は、大当たりの当否判定や小当たりの当否判定に用いられる。大当たり乱数は、0~65535までの範囲で値をとる。図柄種別乱数は、大当たり図柄の種別判定や小当たり図柄の種別判定、ハズレ図柄の種別判定に用いられる。図柄種別乱数は、0~199までの範囲で値をとる。
【0064】
また、リーチ乱数は、当否判定の結果がはずれである場合に、その結果を示す変動演出においてリーチを発生させるか否かを決める乱数である。リーチとは、複数の演出図柄のうち変動表示されている演出図柄が残り一つとなっている状態であって、変動表示されている演出図柄がどの図柄で停止表示されるか次第で大当たり当選を示す演出図柄の組み合わせとなる状態(例えば「7↓7」の状態)のことである。なお、リーチ状態において停止表示されている演出図柄は、表示画面7a内で多少揺れているように表示されていたり、拡大と縮小を繰り返すように表示されていたりしてもよい。リーチ乱数は、0~255までの範囲で値をとる。
【0065】
また、変動パターン乱数は、変動時間を含む変動パターンを決めるための乱数である。変動パターン乱数は、0~99までの範囲で値をとる。なお、乱数を判定情報とも言う。
【0066】
また、パチンコ遊技機1は、ゲート28への遊技球の通過に基づいて、普図関係乱数を取得する。普図関係乱数には、
図7(B)に示すように、普通図柄乱数(当たり乱数)がある。普通図柄乱数は、電チュー22を開放させる補助遊技を行うか否かの抽選(普通図柄抽選)に用いられる。普通図柄乱数は、0~65535までの範囲で値をとる。
【0067】
パチンコ遊技機1は、第1始動口20又は第2始動口21への入賞に基づいて取得した大当たり乱数を、
図8(A)に示す大当たり判定テーブルに従って判定することにより、大当たり(特定の結果の一例)か否か、及び、小当たりか否かを決定する。
図8(A)に示すように、第1始動口20への入賞に基づく第1特別図柄(特
図1)の抽選では、所定の確率で大当たり(1種大当たり)に当選するが、小当たりに当選することはない。一方、第2始動口21への入賞に基づく第2特別図柄(特
図2)の抽選では、必ず小当たりに当選する。すなわち、特
図2の抽選では、大当たり(1種大当たり)に当選することはなく、またハズレとなることもない。
【0068】
パチンコ遊技機1は、大当たり当選と判定した場合、図柄種別乱数を、
図8(B)に示す大当たり図柄種別判定テーブルに従って判定することにより、大当たり図柄の種別を決定する。特
図1の抽選では、40%の割合で、「特
図1_大当たり図柄A」に決定し、20%の割合で、「特
図1_大当たり図柄B」に決定し、40%の割合で、「特
図1_大当たり図柄C」に決定する。なお、特
図2の抽選の結果に大当たり(1種大当たり)は含まれない。当選した大当たり図柄の種別が異なると、1種大当たり遊技における大入賞口の開放パターン及び大当たり遊技後の遊技状態に関する設定の少なくとも1つが異なる(
図9参照)。この点については後述する。
【0069】
またパチンコ遊技機1は、小当たり当選と判定した場合、図柄種別乱数を、
図8(C)に示す小当たり図柄種別判定テーブルに従って判定することにより、小当たり図柄の種別を決定する。具体的には特
図2の抽選では、80%の割合で、「特
図2_小当たり図柄a」に決定し、20%の割合で、「特
図2_小当たり図柄b」に決定する。当選した小当たり図柄の種別が異なると、小当たり遊技や2種大当たり遊技における大入賞口の開放パターン及び大当たり遊技後の遊技状態に関する設定の少なくとも1つが異なる(
図9参照)。この点については後述する。
【0070】
またパチンコ遊技機1は、大当たりにも小当たりにも当選していないと判定した場合(つまりハズレと判定した場合)、図柄種別乱数を、
図8(D)に示すハズレ図柄種別判定テーブルに従って判定することにより、ハズレ図柄の種別を決定する。特
図1の抽選では、100%の割合で、「特
図1_ハズレ図柄A」に決定する。つまり本形態では、ハズレ図柄の種別は1種類のみとなっている。なお、特
図2の抽選の結果にハズレは含まれない。
【0071】
またパチンコ遊技機1は、ハズレと判定した場合、リーチ乱数を、
図8(E)に示すリーチ判定テーブルに従って判定することにより、変動演出において演出図柄8L,8C,8Rをリーチにするか否かを決定することが可能である。リーチ有りと判定される確率は、遊技状態が後述の通常時短状態であるか否かによって異なっている。通常時短状態でないときの方が、通常時短状態であるときよりも、リーチ有りと判定される確率が高い。
【0072】
次に、大当たりの種類、小当たりの種類、ハズレの種類について、
図9及び
図10に基づいて詳細に説明する。上述したように、特別図柄抽選(特
図1の抽選や特
図2の抽選)の結果には、「大当たり」、「小当たり」、「はずれ」がある。「大当たり」のときには、特別図柄表示器41に「大当たり図柄」が停止表示される。大当たり図柄には、「特
図1_大当たり図柄A」、「特
図1_大当たり図柄B」、「特
図1_大当たり図柄C」がある。また、「小当たり」のときには、特別図柄表示器41に「小当たり図柄」が停止表示される。小当たり図柄には、「特
図2_小当たり図柄a」、「特
図2_小当たり図柄b」がある。「はずれ」のときには、特別図柄表示器41に「ハズレ図柄」が停止表示される。ハズレ図柄には、「特
図1_ハズレ図柄A」がある。
【0073】
特別図柄抽選にて大当たりに当選すると、停止表示された大当たり図柄の種別に応じた開放パターンにて第1大入賞口30を開放させる「大当たり遊技」が実行される。小当たりに当選すると、停止表示された小当たり図柄の種別に応じた開放パターンにて第2大入賞口35を開放させる「小当たり遊技」が実行される。そして、小当たり遊技の実行中に第2大入賞口35内の特定領域39に遊技球が進入すると、当選している小当たり図柄の種別に応じた開放パターンにて第1大入賞口30を開放させる「大当たり遊技」が実行される。特別図柄抽選の結果が大当たり当選であることに基づいて実行される大当たり遊技を1種大当たり遊技と称し、特定領域39への通過に基づいて実行される大当たり遊技を2種大当たり遊技と称する。
【0074】
大当たり遊技は、本形態では、複数回のラウンド遊技(単位開放遊技)と、初回のラウンド遊技が開始される前のオープニング(OPとも表記する)と、最終回のラウンド遊技が終了した後のエンディング(EDとも表記する)とを含んでいる。各ラウンド遊技は、OPの終了又は前のラウンド遊技の終了によって開始し、次のラウンド遊技の開始又はEDの開始によって終了する。ラウンド遊技間の大入賞口の閉鎖の時間(インターバル時間)は、その閉鎖前の開放のラウンド遊技に含まれる。
【0075】
また小当たり遊技は、本形態では、第2大入賞口35を開放する小当たり開放遊技と、小当たり開放遊技が開始される前のオープニング(開放前インターバル)と、小当たり開放遊技が終了した後のエンディング(閉鎖後インターバル)とを含んでいる。
【0076】
特別図柄抽選の結果、大当たりに当選すると(つまり1種大当たりに当選すると)、第1大入賞口30を開放させる大当たり遊技(1種大当たり遊技)が実行される。本形態では
図9に示すように、第1特別図柄(特
図1)の抽選で当選可能な大当たり図柄(第1特別図柄表示器41aに停止表示される大当たり図柄)の種別には3種類ある。具体的には特
図1の抽選では、「特
図1_大当たり図柄A」、「特
図1_大当たり図柄B」、「特
図1_大当たり図柄C」に当選する可能性がある。
【0077】
図9に示すように、「特
図1_大当たり図柄A」、「特
図1_大当たり図柄B」及び「特
図1_大当たり図柄C」は、4R(ラウンド)大当たりであり、1Rあたりの第1大入賞口30の開放回数は1回であり、その最大開放時間は29.5秒である。「大当たり図柄A」に当選した場合の大当たり遊技後の遊技状態は、当選時の遊技状態が「非時短状態」、後述の「微時短状態」(複数種類ある時短状態のうちの1つ)、後述の「通常時短状態」(複数種類ある時短状態のうちの1つ)の何れであっても、「通常時短状態」である。また、「大当たり図柄B」に当選した場合の大当たり遊技後の遊技状態は、当選時の遊技状態が「非時短状態」であれば「非時短状態」であり、当選時の遊技状態が「微時短状態」あるいは「通常時短状態」であれば「通常時短状態」である。また、「大当たり図柄C」に当選した場合の大当たり遊技後の遊技状態は、当選時の遊技状態が「非時短状態」あるいは「微時短状態」であれば「非時短状態」であり、当選時の遊技状態が「通常時短状態」であれば「通常時短状態」である。このように本形態では、非時短状態において特
図1の抽選に基づいて大当たりに当選した場合には40%の割合で通常時短状態に設定され、60%の割合で非時短状態に設定される。また、微時短状態において特
図1の抽選に基づいて大当たりに当選した場合には60%の割合で通常時短状態に設定され、40%の割合で非時短状態に設定される。また、通常時短状態において特
図1の抽選に基づいて大当たりに当選した場合には100%の割合で通常時短状態に設定される。なお、何れの大当たり図柄を契機として通常時短状態に設定された場合でも、時短回数は100回に設定される。また、通常時短状態は小当たりを1回引くことによっても終了する。
【0078】
ここで、本形態の遊技状態について簡単に説明する。本形態のパチンコ遊技機1は、遊技状態として、非時短状態と、非時短状態とは第2始動口21への入球し易さに関する設定が異なる時短状態とに制御可能である。時短状態には、第2始動口21に遊技球が入球し易い設定の通常時短状態と、通常時短状態よりも第2始動口21に遊技球が入球し難い設定の微時短状態(非通常時短状態)とがある。なお、遊技状態の詳細については後述する。
【0079】
また特別図柄抽選の結果、小当たりに当選すると、第2大入賞口35を1回開放させる小当たり遊技が実行される。小当たり遊技によって開放された第2大入賞口35へ遊技球が入賞し、その遊技球が第2大入賞装置36内の特定領域39を通過した場合には、大当たり当選となり、続けて第1大入賞口30を開放させる大当たり遊技(2種大当たり遊技)が実行される。この大当たり遊技(特定領域39への通過を契機とする大当たり遊技)が実行された場合には、小当たり遊技としての第2大入賞口35の開放が1R目に相当することになる。なお、小当たり遊技において特定領域39への遊技球の通過がなければ、大当たり遊技は実行されない。本明細書では、大当たり遊技や小当たり遊技を特別遊技と称することもある。なお、特別遊技においては1ラウンド中に複数回大入賞口を開放させるラウンドがあってもよい。
【0080】
本形態では
図9に示すように、特
図2の抽選で当選可能な小当たり図柄(第2特別図柄表示器41bに停止表示される小当たり図柄)の種別は2種類である。具体的には特
図2の抽選では、「特
図2_小当たり図柄a」及び「特
図2_小当たり図柄b」に当選する可能性がある。
【0081】
「小当たり図柄a」及び「小当たり図柄b」は、正しく遊技する限り、特定領域39への通過(V通過ともいう)が必ず可能な小当たりである。つまり本形態では、特
図2の抽選に基づく小当たり当選は、実質的には大当たり当選と同じ意味をもつ。
【0082】
各種別の小当たり図柄に基づく小当たり遊技では、第2大入賞口35の1.6秒開放が1回行われる。また、各小当たり遊技におけるオープニングの時間は、0.008秒である。また、特定領域39への遊技球の通過に基づいて実行される大当たり遊技(2種大当たり遊技)では、「小当たり図柄a」に基づく2種大当たり遊技でも、「小当たり図柄b」に基づく2種大当たり遊技でも、2R目から10R目まで1Rあたり1回、最大開放時間を29.5秒として第1大入賞口30を開放させる。つまり実質的に9Rの2種大当たり遊技が実行される。
【0083】
「小当たり図柄a」に基づく2種大当たり遊技の終了後の遊技状態は、当選時の遊技状態が「非時短状態」、「微時短状態」、「通常時短状態」の何れであっても、「通常時短状態」である。通常時短状態では時短回数が100回に設定される。また、通常時短状態は小当たりを1回引くことによっても終了する。これに対して、「小当たり図柄b」に基づく2種大当たり遊技の終了後の遊技状態は、当選時の遊技状態が「非時短状態」、「微時短状態」、「通常時短状態」の何れであっても、「非時短状態」である。なお本形態では、特
図2の抽選における小当たり当選確率は1/1であるため、通常時短状態に制御された場合には、次の大当たり遊技の実行が実質的に確定する。
【0084】
また特別図柄抽選の結果、ハズレと判定されると、ハズレ図柄の種別が決定される。
図10に示すように、特
図1の抽選で決定されるハズレ図柄(第1特別図柄表示器41aに停止表示されるハズレ図柄)の種別は1種類だけである。具体的には特
図1の抽選では、「特
図1_ハズレ図柄A」に決定される。なお、特
図2の抽選でハズレと判定されることはない。
【0085】
「特
図1_ハズレ図柄A」は、特殊ハズレ(非特定の結果の一例)である。特殊ハズレは、時短状態の制御契機となるハズレである。つまり特別図柄抽選の結果が特殊ハズレ(時短ハズレとも言う)である場合、遊技制御用マイコン81は、ハズレ図柄の停止表示後の遊技状態を、時短状態に制御する。但し、時短状態(通常時短状態又は微時短状態)中に特殊ハズレが停止表示されても、特殊ハズレに基づく時短状態の設定を行わない。
【0086】
より具体的には、非時短状態における「ハズレ図柄A」の停止表示後の遊技状態は、微時短状態であり、時短回数は1回に設定される。時短回数が1回に設定されているのは、1変動毎に微時短状態と非時短状態とを切り替えるためである。この点については後述する。
【0087】
ここで、本形態のパチンコ遊技機1の遊技状態について説明する。本形態では、遊技状態として、非時短状態と時短状態とがある。非時短状態を通常遊技状態とも称する。工場出荷後に初めてパチンコ遊技機1の電源が投入されたとき(電源スイッチ155のON操作をしたとき)の遊技状態は、非時短状態(通常遊技状態)である。その後は、電源が遮断されたとき(電源スイッチ155のOFF操作をしたとき)の遊技状態が、次回の電源投入時の遊技状態となる。電源投入に際してRAMクリアスイッチ152が押されている場合(すなわちRAMクリア操作がなされた場合)は、RAM84の情報がクリアされるため、遊技状態が非時短状態に設定される。
【0088】
時短状態は、非時短状態と比べて、電チュー22に遊技球が入賞し易い設定の遊技状態である。時短状態の種類には、大別して、通常時短状態、微時短状態の2つがある。通常時短状態は、上述したように、大当たり当選に基づく大当たり遊技の終了後や、小当たり経由の大当たり遊技の終了後に移行し得る時短状態である(
図9参照)。一方、微時短状態は、「ハズレ図柄A」が停止表示されたことに応じて移行し得る時短状態である(
図10参照)。
【0089】
時短状態の種類が異なると、普通図柄の変動パターン(普通図柄変動パターン)や電チュー22の開放パターン等、電チュー22への入賞し易さに関わる各種パラメータの設定が異なる。詳細には、本形態では
図11(A)に示すように、時短状態(通常時短状態、微時短状態)における普通図柄抽選の当選確率は、非時短状態における普通図柄の当選確率と同じである。具体的には本形態では、非時短状態、通常時短状態、微時短状態のいずれの遊技状態においても、普通図柄抽選で当たりと判定される確率は、65535/65536に設定されている。つまり、いずれの遊技状態においても普通図柄抽選では、ほぼ当たりと判定される。なお、大当たり遊技の終了後の時短状態では、普通図柄抽選の当選確率が非時短状態よりも高くなる構成(言い換えれば時短状態では普通図柄表示器42の確率変動機能が作動する構成)としてもよい。
【0090】
また時短状態(通常時短状態、微時短状態)では、
図11(B)に示すように、普通図柄の変動時間が、非時短状態よりも短くなる。具体的には本形態では、普通図柄の変動時間は、非時短状態では60秒であるが、通常時短状態では1秒であり、微時短状態では35秒である。すなわち時短状態では、普通図柄表示器42の変動時間短縮機能が作動する。なお、普通図柄の停止時間は、いずれの遊技状態であっても0.5秒である。
【0091】
また時短状態(通常時短状態、微時短状態)では、
図11(C)に示すように、補助遊技における電チュー22の開放時間が、非時短状態よりも長くなる。具体的には本形態では、電チュー22の開放時間は、非時短状態では1回あたり0.05秒であるが、通常時短状態では2.5秒であり、微時短状態では0.1秒である。すなわち時短状態では、電チュー22の開放時間延長機能が作動する。
【0092】
また時短状態では、
図11(C)に示すように、補助遊技における電チュー22の開放回数が、非時短状態よりも多くなることがある。具体的には本形態では、電チュー22の開放回数は、非時短状態、微時短状態では1回であるが、通常時短状態では2回である。すなわち通常時短状態では、電チュー22の開放回数増加機能が作動する。
【0093】
ここで非時短状態では、普通図柄抽選が実行されればほぼ当たりとなるものの、普通図柄の変動時間が60秒と長く、補助遊技における電チュー22の開放は0.05秒の開放が1回と極短時間である。よって非時短状態では、電チュー22が開放されてもそのタイミングで第2始動口21に遊技球が入球することは難しい。
【0094】
これに対して通常時短状態では、普通図柄抽選が実行されればほぼ当たりとなり、普通図柄の変動時間も1秒と短く、また、補助遊技における電チュー22の開放は2.5秒の開放が2回と十分に長い。よって通常時短状態では、右打ち(ゲート28への通過が見込める打方)にて遊技を行うことで、電チュー22への入賞が頻繁に生じ得る。すなわち通常時短状態は、非時短状態と比べて、電チュー22への入賞が容易な設定の遊技状態であると言える。
【0095】
一方、微時短状態では、普通図柄抽選が実行されればほぼ当たりとなるものの、普通図柄の変動時間は35秒と長く、また、補助遊技における電チュー22の開放は0.1秒の開放が1回と短い。よって微時短状態では、電チュー22への入賞し易さに関係する各種のパラメータ(普通図柄抽選の当選確率、普通図柄の変動時間や停止時間、電チュー22の開放パターン)が非時短状態に比べれば、電チュー22へ入賞し易い設定となっているものの、第2始動口21への入賞し易さは実質的には非時短状態と変わらない。つまり、微時短状態では、電チュー22が開放されてもそのタイミングで第2始動口21に遊技球が入球することは難しい。よって、微時短状態は概ね、通常時短状態よりも非時短状態に近い性質の遊技状態であると言える。よって、微時短状態を特殊通常遊技状態とも称する。
【0096】
ここで本形態のパチンコ遊技機1は、非時短状態あるいは微時短状態である場合には、電チュー22が頻繁に開放されないため、第1始動口20に遊技球が入球可能な左打ちで遊技が行われることを前提としており、通常時短状態である場合には、電チュー22が頻繁に開放されるため、電チュー22に係る第2始動口21に遊技球が入球可能な右打ちで遊技が行われることを前提としている。言い換えれば、本形態のパチンコ遊技機1は、非時短状態及び微時短状態では左打ちでの遊技が推奨され、通常時短状態では右打ちでの遊技が推奨される。なお本パチンコ遊技機1では、大当たり遊技中も右打ちにて遊技を行う。
【0097】
ちなみに、通常時短状態では、非時短状態と比べて、発射球数に対する賞球数の割合であるベースが高くなる。よって、通常時短状態を「高ベース状態」ともいい、非時短状態を「低ベース状態」ともいう。高ベース状態では、手持ちの遊技球を大きく減らすことなく大当たりを狙うことができる。微時短状態も低ベース状態である。なお、高ベース状態とは、いわゆる電サポ制御(電チュー22の作動により第2始動口21への入賞をサポートする制御)が実行されている状態である。そのため、高ベース状態を電サポ制御状態ともいう。また低ベース状態を非電サポ制御状態ともいう。また、通常時短状態は入球サポート状態に相当し、非時短状態および微時短状態は非入球サポート状態に相当する。また、非時短状態は第1の遊技状態の一例であり、微時短状態は第2の遊技状態の一例である。
【0098】
次に、特別図柄の変動パターン(特図変動パターン)の決定について説明する。パチンコ遊技機1は、遊技状態に応じて異なる特図変動パターン判定テーブルに従って特図変動パターンを決定する(
図12参照)。具体的には、パチンコ遊技機1は、非時短状態では
図12(A)に示す特図変動パターン判定テーブルに基づいて特図変動パターンを選択し、微時短状態では
図12(B)に示す特図変動パターン判定テーブルに基づいて特図変動パターンを選択し、通常時短状態では
図12(C)に示す特図変動パターン判定テーブルに基づいて特図変動パターンを選択する。
【0099】
各遊技状態毎の特図変動パターン判定テーブルについて具体的に説明する。まず、
図12(A)に基づいて非時短状態における特図変動パターン判定テーブルについて説明する。非時短状態では、左打ちにて遊技が進行されるため、主に特
図1の抽選が行われる。特
図1の抽選結果には大当たりとハズレとがあり、ハズレ図柄は、微時短状態の制御契機となるハズレ図柄A(特殊ハズレ)である(
図10参照)。
【0100】
図12(A)に示すように、非時短状態において特
図1の抽選がなされると、大当たり判定の結果やリーチ判定の結果、保留球数等に応じて、特
図1の変動パターンが選択される(特図変動パターンP1~P6)。なおイレギュラーなケースであるが、非時短状態において特
図2の抽選がなされた場合には、10秒の変動時間の変動パターン(P51)が選択される。
【0101】
次に、
図12(B)に基づいて微時短状態における特図変動パターン判定テーブルについて説明する。微時短状態では、非時短状態と同様、左打ちにて遊技が進行されるため、主に特
図1の抽選が行われる。なお、微時短状態中の特殊ハズレは、単なる通常ハズレとして機能する。
【0102】
図12(B)に示すように、微時短状態において特
図1の抽選がなされると、大当たり判定の結果やリーチ判定の結果、保留球数等に応じて、特
図1の変動パターンが選択される(特図変動パターンP11~P16)。なお、微時短状態において特
図2の抽選がなされた場合には、10秒の変動時間の変動パターン(P61)が選択される。
【0103】
次に、
図12(C)に基づいて通常時短状態における特図変動パターン判定テーブルについて説明する。本形態では、通常時短状態では、右打ちにて遊技が進行されるため、主に特
図2の抽選が行われる。なお、通常時短状態中の特殊ハズレは、単なる通常ハズレとして機能する。
【0104】
図12(C)に示すように、通常時短状態において特
図2の抽選がなされると、小当たり当選に応じた特
図2の変動パターンが選択される(特図変動パターンP71)。特図変動パターンP71が選択された場合、5秒の変動時間を使って即当たり演出(演出図柄8L,8C,8Rがリーチに至る過程を見せることなく小当たり当選を示す態様で変動開始から直ぐに停止する演出)が実行される。なお、通常時短状態において特
図1の抽選がなされた場合には、大当たりであれば、70秒の変動時間の変動パターン(P21)が選択され、ハズレであれば、13秒の変動時間の変動パターン(P22)が選択される。
【0105】
4.始動入賞コマンドについて
本形態のパチンコ遊技機1は、所謂先読み演出を実行可能である。先読み演出とは、始動入賞によって取得された判定情報(大当たり乱数等の乱数値)に基づいて特定された始動入賞コマンドを利用して、その始動入賞に基づく特図変動(特別図柄の変動表示)の開始直前の当否判定よりも前にその始動入賞に対する当選期待度を示唆する演出である。
【0106】
図13に示すように、本形態において生成される始動入賞コマンドには、大当たりであるか、小当たりであるか、ハズレであるかの抽選結果情報が含まれている。この抽選結果情報には、ハズレ図柄の種別の情報も含まれている。また、本形態の始動入賞コマンドには、第1始動口20と第2始動口21とのどちらの始動口に入賞したのかの始動口情報が含まれている。なお、始動入賞コマンドには抽選結果情報が含まれていればよく、抽選結果情報の他に、始動入賞コマンドにどのような情報を含ませるかは適宜変更可能である。
【0107】
5.遊技制御用マイコン81の動作
[主制御メイン処理]次に
図14~
図32に基づいて遊技制御用マイコン81の動作について説明する。なお、遊技制御用マイコン81の動作説明にて登場するカウンタ、タイマ、フラグ、ステータス、バッファ等は、RAM84に設けられている。主制御基板80に備えられた遊技制御用マイコン81は、パチンコ遊技機1の電源がオンされると、ROM83から
図14に示した主制御メイン処理のプログラムを読み出して実行する。同図に示すように、主制御メイン処理では、まず後述する電源投入時処理を行う(ステップS001)。電源投入時処理では例えば、RAM84へのアクセスの許可設定、CPU82の設定、SIO、PIO、CTC(割り込み時間の管理のための回路)の設定や、各種のフラグ、ステータス及びカウンタ等のリセット等を行う。特段の記載がない場合、基本的には、フラグの初期値は「0」つまり「OFF」であり、ステータスの初期値は「1」であり、カウンタの初期値は「0」である。なお電源投入時処理(S001)は、電源投入後に一度だけ実行され、それ以降は実行されない。
【0108】
電源投入時処理(S001)に次いで、割り込みを禁止し(S002)、普通図柄・特別図柄主要乱数更新処理(S003)を実行する。この普通図柄・特別図柄主要乱数更新処理(S003)では、
図7に示した種々の乱数カウンタ値を1加算して更新する。各乱数カウンタ値は上限値に至ると「0」に戻って再び加算される。なお各乱数カウンタの周期初期値は「0」以外の値であってもよく、ランダムに変更されるものであってもよい。また各乱数は、カウンタIC等からなる公知の乱数生成回路を利用して生成される所謂ハードウェア乱数であってもよい。
【0109】
普通図柄・特別図柄主要乱数更新処理(S003)が終了すると、割り込みを許可する(S004)。割り込み許可中は、メイン側タイマ割り込み処理(S005)の実行が可能となる。メイン側タイマ割り込み処理(S005)は、例えば4msec周期でCPU82に繰り返し入力される割り込みパルスに基づいて実行される。すなわち、例えば4msec周期で実行される。そして、メイン側タイマ割り込み処理(S005)が終了してから、次にメイン側タイマ割り込み処理(S005)が開始されるまでの間に、普通図柄・特別図柄主要乱数更新処理(S003)による各種カウンタ値の更新処理が繰り返し実行される。なお、割り込み禁止状態のときにCPU82に割り込みパルスが入力された場合は、メイン側タイマ割り込み処理(S005)はすぐには開始されず、割り込み許可(S004)がされてから開始される。
【0110】
[電源投入時処理]
図15に示すように電源投入時処理(S001)では、まずRAM84へのアクセスの許可設定を行う(S011)。これにより、RAM84に対する情報の書き込みや読み出しが可能になる。続いて、遊技制御用マイコン81は、RAMクリアスイッチ152が操作されたか否か(ONか否か)を判定する(S012)。RAMクリアスイッチ152がONであれば(S012でYES)、ステップS018に進む。これに対して、ONでなければ(S012でNO)、続いて電源断フラグがONであるか否かを判定する(S013)。電源断フラグは、電断の発生に応じてONにされるフラグである。
【0111】
電源断フラグがONでなければ(S013でNO)、正常に電源が遮断されていない可能性があるため、ステップS018に進む。一方、電源断フラグがONであれば(S013でYES)、チェックサムを算出して(S014)、これを電断時に算出しておいたチェックサムと比較する(S015)。チェックサムの値が一致しなければ(S015でNO)、RAM84の記憶内容が正常ではないため、ステップS018に進む。これに対して、チェックサムの値が一致すれば(S015でYES)、RAM84の記憶内容が正常であると判断し、ステップS016に進む。
【0112】
ステップS016では、復電時におけるRAM84の作業領域の設定処理を行う。この設定処理では、ROM83から復電時情報を読み出し、この復電時情報をRAM84の作業領域にセットする。その後、遊技制御用マイコン81は、電源断フラグをOFFして(S017)、ステップS021に進む。
【0113】
また、ステップS018では、RAM84に記憶されている全ての遊技情報をクリアする(S018)。その後、遊技制御用マイコン81は、RAM84の作業領域の初期設定を行う(S019)。この初期設定の処理では、ROM83から読み出された初期設定情報がRAM84の作業領域にセットされる。ステップS018及びS019が行われた場合の遊技状態は非時短状態となる。一方、ステップS018及びS019が行われなかった場合の遊技状態は、電源遮断時の遊技状態となる。
【0114】
続いて遊技制御用マイコン81は、RAMクリアを行ったことを通知するためのRAMクリア通知コマンドをサブ制御基板90に対して出力する(S020)。そして、ステップS021に進む。ステップS021ではその他の初期設定として、例えば、CPU82の設定、SIO、PIO、CTC(割り込み時間の管理のための回路)の設定等を行う。
【0115】
[メイン側タイマ割り込み処理]次に、メイン側タイマ割り込み処理(S005)について説明する。
図16に示すように、メイン側タイマ割り込み処理(S005)では、まず出力処理(S101)を実行する。出力処理(S101)では、以下に説明する各処理において主制御基板80のRAM84に設けられた出力バッファにセットされたコマンド等を、サブ制御基板90や払出制御基板110等に出力する。
【0116】
出力処理(S101)に次いで行われる入力処理(S102)では、主にパチンコ遊技機1に取り付けられている各種センサ(第1始動口センサ20a、第2始動口センサ21a、第1大入賞口センサ30a、第2大入賞口センサ35a、普通入賞口センサ27a等(
図5参照))が検知した検出信号を読み込み、賞球情報としてRAM84の出力バッファに記憶する。また、下皿62の満杯を検出する下皿満杯スイッチからの検出信号も取り込み、下皿満杯データとしてRAM84の出力バッファに記憶する。なお、各入賞口への入賞に応じた賞球数は、例えば第2始動口21であれば2球など、所定の値に設定されているものとする。但し、各入賞口への入賞に応じた賞球数を何球に設定するかは適宜変更可能である。
【0117】
次に行われる普通図柄・特別図柄主要乱数更新処理(S103)は、
図14の主制御メイン処理で行う普通図柄・特別図柄主要乱数更新処理(S003)と同じである。即ち、
図7に示した各種乱数カウンタ値の更新処理は、メイン側タイマ割り込み処理(S005)の実行期間と、それ以外の期間(メイン側タイマ割り込み処理(S005)の終了後、次のメイン側タイマ割り込み処理(S005)が開始されるまでの期間)との両方で行われている。
【0118】
普通図柄・特別図柄主要乱数更新処理(S103)に次いで、後述するセンサ検出処理(S104)、普通動作処理(S105)、特別動作処理(S106)、振分部材制御処理(S107)、および特定領域センサ検出処理(S108)を実行する。その後、その他の処理(S109)を実行して、メイン側タイマ割り込み処理(S005)を終了する。その他の処理(S109)としては、後述の特
図2保留球数に基づいて第2特図保留表示器43bをその数を示す表示態様に制御したり、後述の特
図1保留球数に基づいて第1特図保留表示器43aをその数を示す表示態様に制御したりする。そして、次にCPU82に割り込みパルスが入力されるまでは主制御メイン処理のステップS002~S004の処理が繰り返し実行され(
図14参照)、割り込みパルスが入力されると(約4msec後)、再びメイン側タイマ割り込み処理(S005)が実行される。再び実行されたメイン側タイマ割り込み処理(S005)の出力処理(S101)においては、前回のメイン側タイマ割り込み処理(S005)にてRAM84の出力バッファにセットされたコマンド等が出力される。
【0119】
[センサ検出処理]
図17に示すように、センサ検出処理(S104)ではまず、ゲート28に遊技球が通過したか否か、即ち、ゲートセンサ28aによって遊技球が検出されたか否か判定する(S201)。ゲート28を遊技球が通過していれば(S201でYES)、後述のゲート通過処理(S202)を行う。一方、遊技球がゲート28を通過していなければ(S201でNO)、ゲート通過処理(S202)をパスしてステップS203に進む。
【0120】
ステップS203では、第2始動口21に遊技球が入賞したか否か、即ち、第2始動口センサ21aによって遊技球が検出されたか否か判定する(S203)。第2始動口21に遊技球が入賞していない場合(S203でNO)にはステップS209に進むが、第2始動口21に遊技球が入賞した場合には(S203でYES)、特
図2保留球数(第2特図保留の数、具体的にはRAM84に設けた第2特図保留の数をカウントするカウンタの数値)が「1」(上限記憶数)に達しているか否か判定する(S204)。そして、特
図2保留球数が「1」に達している場合(S204でYES)には、ステップS209に進むが、特
図2保留球数が「1」未満である場合には(S204でNO)、特
図2保留球数に「1」を加算する(S205)。
【0121】
続いて特
図2関係乱数取得処理(S206)を行う。特
図2関係乱数取得処理(S206)では、大当たり乱数カウンタ値(ラベル-TRND-A)、図柄種別乱数カウンタ値(ラベル-TRND-AS)、リーチ乱数カウンタ値(ラベル-TRND-RC)及び変動パターン乱数カウンタ値(ラベル-TRND-T1)を取得し(つまり
図7(A)に示す乱数値群を取得し)、それら取得乱数値を第2特図保留記憶部85b(
図5)に格納する。
【0122】
続いて第2始動入賞コマンド特定処理(S207)を行う。第2始動入賞コマンド特定処理(S207)では、ステップS206で格納した乱数値群に基づき、
図13に示す始動入賞コマンド特定テーブルを用いて第2始動入賞コマンド(入賞情報の一例)を特定する。具体的には、大当たり乱数が「65535」であり、図柄種別乱数が「199」であれば、
図13の始動入賞コマンド特定テーブルにおける第2始動口の箇所を参照して、第2始動入賞コマンドとして「E2H08H」というコマンドを特定する。なおコマンドは、2バイトの情報(1バイトの上位コマンド(例えばE2H)と1バイトの下位コマンド(例えば08H))からなっている。
【0123】
図13に示すテーブルにおける大当たり乱数の区分けは、大当たり判定テーブル(
図8(A)参照)における区分けと対応している。詳細には、特
図2の抽選では大当たり乱数値がいくつであっても小当たりと判定されるため、そのこと(つまり取得した判定情報が小当たり当選と判定される予定の小当たり当選情報であること)を示す第2始動入賞コマンド(下位コマンドの値が08H)が特定される。
【0124】
なお本形態の始動入賞コマンドでは、16進数で二桁の上位コマンドのうち上の桁の値は、コマンドの種類(始動入賞コマンドであること)を指定する情報である。また、上位コマンドのうち下の桁の値は、始動口の種類(第1始動口20への入賞か第2始動口21への入賞か)を指定する始動口情報である。また、16進数で二桁の下位コマンドは、抽選結果情報である。なお、このような始動入賞コマンドの生成に関するルールは、一例であり、任意に変更可能である。
【0125】
続いて遊技制御用マイコン81は、ステップS207で特定した第2始動入賞コマンドをRAM84の出力バッファにセットする(S208)。
【0126】
続いてセンサ検出処理(S104)では、第1始動口20に遊技球が入賞したか否か、即ち、第1始動口センサ20aによって遊技球が検出されたか否かを判定する(S209)。第1始動口20に遊技球が入賞していない場合(S209でNO)には処理を終えるが、第1始動口20に遊技球が入賞した場合には(S209でYES)、特
図1保留球数(第1特図保留の数、具体的にはRAM84に設けた第1特図保留の数をカウントするカウンタの数値)が「4」に達しているか否か判定する(S210)。そして、特
図1保留球数が「4」に達している場合(S210でYES)には、処理を終えるが、特
図1保留球数が「4」未満である場合には(S210でNO)、特
図1保留球数に「1」を加算する(S211)。
【0127】
続いて特
図1関係乱数取得処理(S212)を行う。特
図1関係乱数取得処理(S212)では、特
図2関係乱数取得処理(S206)と同様に、大当たり乱数カウンタ値(ラベル-TRND-A)、図柄種別乱数カウンタ値(ラベル-TRND-AS)、リーチ乱数カウンタ値(ラベル-TRND-RC)及び変動パターン乱数カウンタ値(ラベル-TRND-T1)を取得し(つまり
図7(A)に示す乱数値群を取得し)、それら取得乱数値を第1特図保留記憶部85a(
図5)のうち現在の特
図1保留球数に応じた第1特図保留記憶部85aの記憶領域に格納する。
【0128】
続いて第1始動入賞コマンド特定処理(S213)を行う。第1始動入賞コマンド特定処理(S213)では、ステップS212で格納した乱数値群に基づき、
図13に示す始動入賞コマンド特定テーブルを用いて第1始動入賞コマンド(入賞情報の一例)を特定する。具体的には、大当たり乱数が「65535」であり、図柄種別乱数が「199」であれば、
図13の始動入賞コマンド特定テーブルにおける第1始動口の箇所を参照して、第1始動入賞コマンドとして「E1H01H」というコマンドを特定する。特定された第1始動入賞コマンドには、抽選結果情報が含まれている。
【0129】
上述の第2始動入賞コマンドの場合と同様、
図13に示すテーブルにおける大当たり乱数の区分けは、大当たり判定テーブル(
図8(A)参照)における区分けと対応している。また、図柄種別乱数の区分けは、ハズレ図柄の種別を区別できるようになっている(
図8(D)参照)。詳細には、大当たり乱数値が65250~65535であれば大当たりと判定されるため、そのこと(つまり取得した判定情報が大当たり当選と判定される予定の大当たり当選情報であること)を示す第1始動入賞コマンド(下位コマンドの値が01H)が特定される。また、大当たり乱数値が0~65249であり、図柄種別乱数値が0~199であればハズレ図柄Aと判定されるため、そのこと(つまり取得した判定情報がハズレ図柄Aと判定される予定のハズレ情報であること)を示す第1始動入賞コマンド(下位コマンドの値が06H)が特定される。
【0130】
続いて遊技制御用マイコン81は、ステップS213で特定した第1始動入賞コマンドをRAM84の出力バッファにセットして(S214)、処理を終える。
【0131】
[ゲート通過処理]
図18に示すようにゲート通過処理(S202)ではまず、普通図柄の変動待機中か否かを判定する(S221)。普通図柄の変動待機中とは、普通図柄の変動表示の実行中でも補助遊技の実行中でもない状態である。普通図柄の変動待機中でなければ(S221でNO)、直ちに本処理を終えるが、普通図柄の変動待機中であれば(S221でYES)、普図関係乱数取得処理(S222)を行う。普図関係乱数取得処理(S222)では、普通図柄乱数カウンタ値(ラベル-TRND-H)を取得し(つまり
図7(B)に示す乱数値を取得し)、それら取得乱数値をRAM84の所定の記憶領域に格納する。
【0132】
[普通動作処理]遊技制御用マイコン81は、センサ検出処理(S104)に次いで、
図19に示す普通動作処理(S105)を行う。普通動作処理(S105)ではまず、電チュー22の作動中か否かを判定する(S301)。電チューの作動中でなければ(S301でNO)、続いて、普通図柄の停止表示中(普通図柄の停止時間の開始から終了まで)か否かを判定する(S302)。普通図柄の停止表示中でなければ(S302でNO)、続いて、普通図柄の変動表示中か否かを判定する(S303)。普通図柄の変動表示中でなければ(S303でNO)、続いて、上述のステップS222で取得した判定前の普図関係乱数の記憶があるか否かを判定する(S304)。普図関係乱数の記憶がなければ(S304でNO)、本処理を終える。
【0133】
ステップS304において普図関係乱数の記憶があれば(S304でYES)、当たり判定処理(S305)を行う。当たり判定処理(S305)では、非時短状態であれば、非時短状態用の普通図柄当たり判定テーブル(
図11(A)に示すテーブルの非時短状態の欄参照)に基づいて当たりか否か判定し、通常時短状態であれば、通常時短状態用の普通図柄当たり判定テーブル(
図11(A)に示すテーブルの通常時短状態の欄参照)に基づいて当たりか否か判定し、微時短状態であれば、微時短状態用の普通図柄当たり判定テーブル(
図11(A)に示すテーブルの微時短状態の欄参照)に基づいて当たりか否か判定する。そして、図柄決定処理(S306)を行う。図柄決定処理(S306)では、当たり判定処理(S305)の結果がハズレであれば、「普通ハズレ図柄」に応じた普図停止図柄データをRAM84の所定の記憶領域にセットし、当たり判定処理(S305)の結果が当たりであれば、「普通当たり図柄」に応じた普図停止図柄データをRAM84の所定の記憶領域にセットする。なお、本形態では、非時短状態であっても時短状態(通常時短状態、微時短状態)であっても普通図柄抽選の当選確率は同じである。
【0134】
続いて遊技制御用マイコン81は、普通図柄変動時間決定処理(S307)を行う。普通図柄変動時間決定処理(S307)では、
図11(B)に示す普通図柄変動パターン判定テーブルを参照して、遊技状態に応じたて、普通図柄の変動時間(つまり普通図柄変動パターン)を決定する。なお本形態では、遊技状態の種類は、後述する遊技状態フラグの値を参照して判定する(
図26中の表参照)。
【0135】
その後、遊技制御用マイコン81は、ステップS307で選択した普通図柄変動パターンにて普通図柄の変動表示を開始する(S310)。なおこれに伴い、サブ制御基板90に普通図柄の変動開始を知らせるため、普通図柄変動開始コマンドをセットする。普通図柄変動開始コマンドには、普通図柄変動パターンの情報が含まれている。
【0136】
上述のステップS303にて普通図柄の変動表示中であれば(S303でYES)、続いて、普通図柄の変動時間が経過したか否か判定し(S311)、経過していなければ処理を終える。一方、経過していれば(S311でYES)、普通図柄の変動表示を、普図関係乱数の判定結果に応じた表示結果(普通当たり図柄又は普通ハズレ図柄)で停止させる(S312)。そして、サブ制御基板90に普通図柄の変動停止を知らせるための普通図柄変動停止コマンドをセットするとともに(S313)、普通図柄の停止時間(本形態では500ms、
図11(B)参照)をセットして(S314)本処理を終える。
【0137】
また、上述のステップS302にて普通図柄の停止表示中であれば(S302でYES)、続いて、ステップS314でセットした普通図柄の停止時間が経過したか否か判定し(S315)、経過していなければ処理を終える。一方、経過していれば(S315でYES)、普通当たり図柄の普図停止図柄データがセットされているか否かを判定し(S316)、普通当たり図柄のデータでなければ(つまり当たりでなければ(S316でNO))、本処理を終える。一方、普通当たり図柄のデータであれば(つまり当たりであれば(S316でYES))、
図11(C)に示す電チューの開放パターン決定テーブルを参照して、遊技状態に応じて、電チュー22の開放パターンを決定してセットする(S317)。そして、ステップS317でセットした開放パターンに従って、電チュー22を作動させる(S318)。
【0138】
また、上述のステップS301にて電チュー22の作動中であれば(S301でYES)、続いて、電チュー22の作動時間が経過したか否かを判定し(S319)、経過していなければ処理を終える。一方、経過していれば(S319でYES)、電チュー22の作動を終了させる(S320)。
【0139】
[特別動作処理]遊技制御用マイコン81は、普通動作処理(S105)に次いで、
図20に示す特別動作処理(S106)を行う。特別動作処理(S106)では、特別図柄表示器41および大入賞装置(第1大入賞装置31および第2大入賞装置36)に関する処理を5つの段階に分け、それらの各段階に「特別動作ステータス1,2,3,4,5」を割り当てている。そして、「特別動作ステータス」が「1」である場合には(S901でYES)、特別図柄待機処理(S902)を行い、「特別動作ステータス」が「2」である場合には(S901でNO、S903でYES)、特別図柄変動中処理(S904)を行い、「特別動作ステータス」が「3」である場合には(S901,S903で共にNO、S905でYES)、特別図柄確定処理(S906)を行い、「特別動作ステータス」が「4」である場合には(S901,S903,S905で共にNO、S907でYES)、大当たり遊技としての特別電動役物処理1(S908)を行い、「特別動作ステータス」が「5」である場合には(S901,S903,S905,S907の全てがNO)、小当たり遊技としての特別電動役物処理2(S909)を行う。なお特別動作ステータスは、初期設定では「1」である。
【0140】
[特別図柄待機処理]
図21に示すように、特別図柄待機処理(S902)ではまず、第2始動口21の保留球数(即ち特
図2保留球数)が「0」であるか否かを判定する(S1001)。特
図2保留球数が「0」である場合(S1001でYES)、即ち、第2始動口21への入賞に起因して取得した乱数カウンタ値群の記憶がない場合には、第1始動口20の保留球数(即ち特
図1保留球数)が「0」であるか否かを判定する(S1007)。そして、特
図1保留球数も「0」である場合(S1007でYES)、即ち、第1始動口20への入賞に起因して取得した乱数カウンタ値群の記憶もない場合には、既に画像表示装置7の表示画面7aを待機画面(客待ち用のデモ画面、客待ち演出の画面)としたか否かを判定し(S1013)、そうであれば(S1013でYES)処理を終え、そうでなければ(S1013でNO)、待機画面設定処理(S1014)を行う。待機画面設定処理(S1014)では、所定の待機時間の経過を待って、待機画面を表示させるための客待ち待機コマンドをセットする。
【0141】
ステップS1001において特
図2保留球数が「0」でない場合(S1001でNO)、即ち、第2始動口21への入賞に起因して取得した乱数カウンタ値群の記憶(特
図2の保留情報)がある場合には、後述の特
図2大当たり判定処理(S1002)及び特
図2変動パターン選択処理(S1003)を行う。その後、遊技制御用マイコン81は、特
図2保留球数を1ディクリメントする(S1004-1)。そして、第2特図保留記憶部85bをクリアする(S1004-2)。続いて遊技制御用マイコン81は、特
図2変動開始処理(S1005)を実行する。特
図2変動開始処理(S1005)では、特別動作ステータスを「2」にセットするとともに変動開始コマンドをRAM84の出力バッファにセットして、第2特別図柄の変動表示を開始する。なお、特
図2変動開始処理(S1005)でセットされる変動開始コマンド(特
図2変動開始コマンドともいう)には、特
図2大当たり判定処理(S1002)でセットされた特図停止図柄データの情報や特
図2変動パターン選択処理(S1003)でセットされた変動パターンの情報(変動時間の情報を含む情報)が含まれている。
【0142】
ステップS1005に続いて、遊技制御用マイコン81は、小当たりフラグがONであるか否かを判定する(S1006-1)。小当たりフラグは、小当たりに当選しているか否かを示すフラグであり、特
図2大当たり判定処理(S1002)においてONにされることがある。ステップS1006-1で小当たりフラグがONでないと判定した場合には、本処理を終えるが、小当たりフラグがONであると判定した場合には、時短フラグをOFFにして(S1006-2)、本処理を終える。このように本形態では、小当たりに当選した場合には、その抽選結果に基づく特図変動の開始に際して時短フラグをOFFするようにしている。本形態における小当たりは実質的に大当たりとして機能するため、小当たり変動中に新たな第2特図保留を生じさせないためである。なお、このことを考慮しなければ、小当たりに当選しても時短状態を終了させない(時短フラグをOFFしない)構成としてもよい。
【0143】
また、特
図2保留球数が「0」であるが特
図1保留球数が「0」でない場合(S1001でYES且つS1007でNO)、即ち、特
図2の保留情報はないが、第1始動口20への入賞に起因して取得した乱数カウンタ値群の記憶(特
図1の保留情報)が1つ以上ある場合には、後述の特
図1大当たり判定処理(S1008)及び特
図1変動パターン選択処理(S1009)を行う。その後、遊技制御用マイコン81は、特
図1保留球数を1ディクリメントする(S1010)。そして、第1特図保留記憶部85aにおける各種カウンタ値の格納場所(記憶領域)を、現在の位置から読み出される側に一つシフトするとともに、第1特図保留記憶部85aにおける保留4個目に対応する記憶領域(読み出される側から最も遠い記憶領域)をクリアする(S1011)。このようにして、第1特図保留が保留された順に消化されるようにしている。続いて遊技制御用マイコン81は、特
図1変動開始処理(S1012)を実行する。特
図1変動開始処理(S1012)では、特別動作ステータスを「2」にセットするとともに変動開始コマンドをRAM84の出力バッファにセットして、第1特別図柄の変動表示を開始する。なお、特
図1変動開始処理(S1012)でセットされる変動開始コマンド(特
図1変動開始コマンドともいう)には、特
図1大当たり判定処理(S1008)でセットされた特図停止図柄データの情報や特
図1変動パターン選択処理(S1009)でセットされた変動パターンの情報(変動時間の情報を含む情報)が含まれている。
【0144】
上記のように本形態では、第1特図保留に基づく特別図柄の変動表示は、第2特図保留が「0」の場合(S1001でYESの場合)に限って行われる。すなわち第2特図保留の消化は、第1特図保留の消化に優先して実行される。そして本形態では、第2特図保留に基づく抽選では必ず小当たり当選となり、その小当たり遊技では必ず特定領域39を通過することができるようになっている(すなわち実質大当たりとなっている)。つまり、特
図2の抽選は、特
図1の抽選に比べて遊技者にとって有利に構成されている。
【0145】
[特
図2大当たり判定処理(特
図1大当たり判定処理)]特
図2大当たり判定処理(S1002)と特
図1大当たり判定処理(S1008)とは、処理の流れが同じであるため
図22に基づいてまとめて説明する。
図22に示すように、特
図2大当たり判定処理(S1002)又は特
図1大当たり判定処理(S1008)ではまず、判定値として、大当たり乱数カウンタ値(ラベル-TRND-Aの値)を読み出す(S1101)。詳細には、特
図2大当たり判定処理(S1002)では、RAM84の第2特図保留記憶部85bに記憶されている大当たり乱数カウンタ値を読み出す。また特
図1大当たり判定処理(S1008)では、RAM84の第1特図保留記憶部85a(詳しくは第1特図保留の1個目に対応する記憶領域)に記憶されている大当たり乱数カウンタ値を読み出す。
【0146】
次に、大当たり判定テーブル(
図8(A))をセットする(S1102)。次いで、セットした大当たり判定テーブルに基づいて大当たりか否かを判定する(S1103)。すなわち、大当たり乱数カウンタ値(ラベル-TRND-A)が、大当たり判定値である「65250」~「65535」の何れかと一致するか否か判定する(
図8(A)参照)。大当たり判定(S1103)の結果が「大当たり」であれば、大当たりフラグをONするとともに(S1104)、図柄種別乱数カウンタ値(ラベル-TRND-ASの値)を読み出して、
図8(B)に示す大当たり図柄種別判定テーブルに基づいて大当たり図柄種別(大当たりの種類)を判定する(S1105)。大当たり図柄種別を判定(S1105)した後は、大当たり図柄種別に応じた特図停止図柄データ(
図8(B)参照)をRAM84に設けた特図種別バッファにセットして(S1106)処理を終える。
【0147】
一方、大当たり判定(S1103)の結果が「大当たり」でなければ、小当たりか否かを判定する(S1107)。詳細には、特
図2大当たり判定処理(S1002)では、大当たり乱数カウンタ値がいくつであっても小当たり当選と判定する(
図8(A)の特
図2の欄参照)。また特
図1大当たり判定処理(S1008)では、大当たり乱数カウンタ値がいくつであっても小当たりでないと判定する(
図8(A)の特
図1の欄参照)。
【0148】
小当たり判定(S1107)の結果が「小当たり」であれば、小当たりフラグをONするとともに(S1108)、図柄種別乱数カウンタ値(ラベル-TRND-ASの値)を読み出して、
図8(C)に示す小当たり図柄種別判定テーブルに基づいて小当たり図柄種別(小当たりの種類)を判定する(S1109)。小当たり図柄種別を判定(S1109)した後は、小当たり図柄種別に応じた特図停止図柄データ(
図8(C)参照)をRAM84に設けた特図種別バッファにセットして(S1110)処理を終える。なお、小当たりか否かを決める乱数を、大当たり乱数とは別に設けてもよい。
【0149】
また、大当たりでなく(S1103でNO)、小当たりでもなければ(S1107でNO)、「ハズレ」であるので、図柄種別乱数カウンタ値(ラベル-TRND-ASの値)を読み出して、
図8(D)に示すハズレ図柄種別判定テーブルに基づいてハズレ図柄種別(ハズレの種類)を判定する(S1112)。ハズレ図柄種別を判定(S1112)した後は、ハズレ図柄種別に応じた特図停止図柄データ(
図8(D)参照)をRAM84に設けた特図種別バッファにセットして(S1113)処理を終える。
【0150】
[特
図2変動パターン選択処理(特
図1変動パターン選択処理)]特
図2変動パターン選択処理(S1003)と特
図1変動パターン選択処理(S1009)とは、処理の流れが同じであるため
図23に基づいてまとめて説明する。
図23に示すように、特
図2変動パターン選択処理(S1003)又は特
図1変動パターン選択処理(S1009)ではまず、遊技状態が非時短状態であるか否かを判定する(S1301)。
【0151】
非時短状態であれば(S1301でYES)、非時短状態用の特図変動パターン判定テーブル(
図12(A)参照)に従って、変動パターン乱数カウンタ値(ラベル-TRND-T1の値)を判定して変動パターンを選択して(S1302)、ステップS1320に進む。具体的には、特
図1変動パターン選択処理であれば変動パターンP1~P6の何れかを選択し、特
図2変動パターン選択処理であれば変動パターンP51を選択する。
【0152】
なお、
図12に示すように、変動パターンが決まれば変動時間も決まる。また、変動パターンには変動演出が関連付けられており、変動パターンが決定されると、その変動パターンに応じた変動演出が実行される。具体的には例えば、変動パターンP1やP3に基づく変動演出では、SPリーチ(スーパーリーチ)に発展する変動演出が実行され、変動パターンP2やP4に基づく変動演出では、Nリーチ(ノーマルリーチ)が行われるがSPリーチには発展しない変動演出が実行される(
図12(A)に示すテーブルの備考欄参照)。また、変動パターンP5やP6に基づく変動演出では、リーチが成立することなくハズレが示される変動演出が実行される。なお、SPリーチとは、Nリーチよりもリーチ後の変動時間が長いリーチであり、当選期待度(大当たり当選に対する期待度)がNリーチよりも高くなるようにテーブルの振分率が設定されている。本形態では、SPリーチはNリーチを経て発展的に実行される。
【0153】
ステップS1301において、非時短状態でなければ(S1301でNO)、続いて、微時短状態であるか否かを判定する(S1303)。微時短状態であれば(S1303でYES)、微時短状態用の特図変動パターン判定テーブル(
図12(B)参照)に従って、変動パターン乱数カウンタ値を判定して変動パターンを選択して(S1304)、ステップS1320に進む。ここで、微時短状態用の特図変動パターン判定テーブルに従って選択され得るP11~P16及びP61は、非時短状態用の特図変動パターン判定テーブルに従って選択され得る変動パターンP1~P6及びP51にそれぞれ対応しており、対応する変動パターン同士の変動時間や、選択される演出の種類は同じとなっている。
【0154】
またステップS1303において、微時短状態でなければ(S1303でNO)、通常時短状態であるため、通常時短状態用の特図変動パターン判定テーブル(
図12(C)参照)に従って、変動パターン乱数カウンタ値を判定して変動パターンを選択して(S1304)、ステップS1320に進む。通常時短状態用の特図変動パターン判定テーブルでは、特
図2に係る小当たり変動(小当たり当選に基づく変動)の変動時間が5秒と短く設定されており、この5秒の変動時間を使って、演出図柄8L,8C,8Rを変動した後でリーチにすることなく直ぐに小当たり当選を示す態様で停止する即当たり演出が行われるようになっている。
【0155】
上記のようにして変動パターンの選択を行った後は、選択した変動パターンをセットして(S1320)、本処理を終える。ステップS1320でセットした変動パターンの情報は、特別図柄待機処理(S902)におけるステップS1005又はS1012でセットされる変動開始コマンドに含められる。
【0156】
[特別図柄変動中処理]
図24に示すように、特別図柄変動中処理(S904)ではまず、特別図柄の変動時間(ステップS1003又はS1009で選択された変動パターンに応じて決まる変動時間、
図12参照)が経過したか否かを判定する(S1501)。経過していなければ(S1501でNO)、直ちにこの処理を終える。これにより特別図柄の変動表示が継続される。
【0157】
一方、変動時間が経過していれば(S1501でYES)、変動停止コマンドをセットするとともに(S1502)、特別動作ステータスを「3」にセットする(S1503)。そして、特別図柄の変動表示を、セットされている特図停止図柄データ(
図8(B)~(D)参照)に応じた図柄(大当たり図柄、小当たり図柄又はハズレ図柄)で停止させる等のその他の処理を行ってから(S1504)、この処理を終える。
【0158】
[特別図柄確定処理]
図25に示すように、特別図柄確定処理(S906)ではまず、特別図柄の停止時間(
図12参照)が経過したか否かを判定する(S1601)。経過していなければ(S1601でNO)、直ちにこの処理を終える。一方、停止時間が経過していれば(S1601でYES)、後述の遊技状態管理処理を行う(S1602)。
【0159】
次に、大当たりフラグがONであるか否かを判定する(S1603)。大当たりフラグがONであれば(S1603でYES)、特別動作ステータスを「4」にセットする(S1604)。そして、遊技制御用マイコン81は、時短フラグがONか否かを判定し(S1605)、ONでなければステップS1607に進むが、ONであれば時短フラグをOFFして(S1606)ステップS1607に進む。これにより、大当たり遊技の実行中は非時短状態(低ベース状態)に制御される。なお、本形態における低ベース状態とは、電チュー22が頻繁に開放されることによる入賞サポートがないという意味での低ベース状態であり、大入賞装置の作動に基づくベースアップを考慮したものではない。
【0160】
ステップS1607では、遊技制御用マイコン81は、大当たり遊技を開始するべく、大当たりのオープニングコマンドをセットする。そして、大当たり遊技のオープニングを開始する(S1608)。ステップS1608に続いて、遊技制御用マイコン81は、当選した大当たり図柄の種別に応じた開放パターン(詳しくは
図9を参照)をセットする(S1609)。このときに、特別遊技中の大入賞口の開放回数をカウントする大入賞口開放カウンタの値を、当選した大当たり図柄の種別に応じた値にセットする。なお、開放パターンのセット(開放パターンに応じたデータのセット)は、ラウンド毎に行うようにしてもよい。
【0161】
一方、ステップS1603において大当たりフラグがONでなければ(S1603でNO)、続いて小当たりフラグがONであるか否かを判定する(S1610)。小当たりフラグがONであれば(S1610でYES)、特別動作ステータスを「5」にセットする(S1611)。その後、小当たり遊技を開始するべく、小当たりのオープニングコマンドをセットして(S1612)、小当たり遊技のオープニングを開始する(S1613)。
【0162】
ステップS1613に続いて、遊技制御用マイコン81は、当選した小当たり図柄の種別に応じた開放パターン(詳しくは
図9を参照)をセットする(S1614)。なおこのときに、大入賞口開放カウンタの値を、当選した小当たり図柄の種別に応じた値にセットする。その後遊技制御用マイコン81は、振分部材作動フラグをONにして(S1615)、本処理を終える。振分部材作動フラグは、振分部材71を作動させる期間であることを示すフラグである。つまり本形態では、振分部材71の作動は小当たり遊技のオープニングとともに開始される。なお、振分部材の作動パターンについては後に詳述する。
【0163】
ステップS1610において小当たりフラグがONでなければ(S1610でNO)、大当たり遊技も小当たり遊技も開始しないため、特別動作ステータスを「1」にセットして(S1616)、本処理を終える。
【0164】
[遊技状態管理処理]
図26に示すように、遊技状態管理処理(S1602)ではまず、時短フラグがONか否か判定する(S1701)。時短フラグがONであれば、時短状態中に実行した特図変動(特別図柄の変動表示)の回数をカウントする時短カウンタの値を1ディクリメントするとともに(S1702)、時短カウンタの値が「0」であるか否かを判定する(S1703)。そして、「0」でなければステップS1720に進み、「0」であれば、時短フラグをOFFするとともに(S1704)、遊技状態フラグ更新処理(S1705)を行って、ステップS1720に進む。
【0165】
遊技状態フラグ更新処理(S1705)では、遊技状態フラグの値を、現在の遊技状態に応じた値にセットする。
図26中の表に示すように、遊技状態フラグの値は、非時短状態であれば「0」にセットされ、微時短状態であれば「1」にセットされ、通常時短状態であれば「2」にセットされる。この遊技状態フラグ更新処理(S1705)では、時短フラグをOFFしたところであるため、遊技状態フラグの値を、非時短状態に対応する値「0」にセットする。
【0166】
ステップS1701において時短フラグがONでないと判定した場合(S1701でNO)、続いて、停止表示されている特別図柄が、特殊ハズレ(ハズレ図柄A)であるか否かを判定する(S1711)。そして、特殊ハズレ(ハズレ図柄A)でなければステップS1720に進むが、特殊ハズレであれば、時短フラグをONするとともに(S1712)、ハズレ図柄の種別に応じた時短回数(ハズレ図柄Aに応じた「1」)を時短カウンタにセットし(S1713)、遊技状態フラグ更新処理(S1714)を行って、ステップS1720に進む。
【0167】
この遊技状態フラグ更新処理(S1714)では、ハズレ図柄Aに基づいて時短フラグをONにしたところであるため、遊技状態フラグの値を微時短状態に対応する値「1」にセットする。遊技状態フラグの値が「1」にセットされることにより遊技状態は微時短状態に制御される。なお、本形態における各時短状態は、所定の上限実行回数(時短回数)の特図変動が行われること、次の大当たり遊技が実行されること、又は、小当たりに当選することのいずれかの終了条件の成立により終了する。
【0168】
なお本形態では、特殊ハズレに基づいて時短状態に制御されるのは、非時短状態であるとき(ステップS1701でNOのとき)に限られる。すなわち、1変動しかない微時短状態において特殊ハズレを引いても、新たな時短状態の設定はなされず、その次の非時短状態での変動で特殊ハズレを引いたことにより微時短状態に設定される。このように本形態では、非時短状態での特図変動と微時短状態での特図変動とが1変動ずつ交互に実行される。
【0169】
ステップS1720では、遊技制御用マイコン81は、遊技状態フラグの情報(すなわち現在の遊技状態の情報)を含む遊技状態指定コマンドを、RAM84の出力バッファにセットする。このコマンドが出力されることにより、サブ制御基板90に現在の遊技状態の情報が通知される。
【0170】
[特別電動役物処理1(大当たり遊技)]特別電動役物処理1は、1種大当たり遊技や2種大当たり遊技といった大当たり遊技の実行のための処理である。
図27に示すように、特別電動役物処理1(S908)ではまず、大当たり終了フラグがONであるか否かを判定する(S2001)。大当たり終了フラグは、当選した大当たり遊技において第1大入賞装置31の開放が全て終了したことを示すフラグである。
【0171】
大当たり終了フラグがONでなければ(S2001でNO)、第1大入賞口30の開放中か否か(すなわち第1大入賞装置31の開放中か否か)を判定する(S2002)。開放中でなければ(S2002でNO)、第1大入賞口30を開放させる時間に至ったか否か、すなわち大当たりのオープニングの時間が経過して第1大入賞口30の開放を開始する時間に至ったか、又は、開放間のインターバルの時間が経過して次の開放を開始する時間に至ったか否かを判定する(S2003)。
【0172】
ステップS2003の判定結果がNOであれば、そのまま処理を終える。一方、ステップS2003の判定結果がYESであれば、セットされている開放パターンに従って第1大入賞口30を開放させる(S2004)。
【0173】
ステップS2002において第1大入賞口30の開放中であれば(S2002でYES)、その単位開放遊技における第1大入賞口30への入賞個数が規定の最大入賞個数(本形態では10個)に達しているか否かを判定する(S2005)。規定入賞個数に達していなければ(S2005でNO)、第1大入賞口30を閉鎖させる時間に至ったか否か(すなわち第1大入賞口30を開放してから所定の開放時間(
図9参照)が経過したか否か)を判定する(S2006)。そして、第1大入賞口30の開放時間が経過していなければ(S2006でNO)、本処理を終える。
【0174】
これに対して、規定入賞個数に達している場合(S2005でYES)又は第1大入賞口30の開放時間が経過した場合(S2006でYES)、すなわち2つの開放終了条件のうちのいずれかが満たされている場合には、第1大入賞口30を閉鎖(閉塞)する(S2007)。そして、大入賞口開放カウンタの値を1ディクリメントし(S2008)、大入賞口開放カウンタの値が「0」であるか否か判定する(S2009)。「0」でなければ(S2009でNO)、次の開放を開始するためにそのまま処理を終える。
【0175】
一方「0」であれば(S2009でYES)、大当たり遊技を終了させるべく、大当たりのエンディングコマンドをセットするとともに(S2010)、大当たりのエンディングを開始する(S2011)。そして、大当たり終了フラグをセットして処理を終える(S2012)。
【0176】
またステップS2001において大当たり終了フラグがONであれば(S2001でYES)、大当たり遊技における第1大入賞口30の開放が全て終了しているので、大当たりのエンディングの時間が経過したか否かを判定し(S2013)、エンディング時間が経過していなければ(S2013でNO)処理を終える。一方、エンディング時間が経過していれば(S2013でYES)、大当たり終了フラグをOFFするとともに(S2014)、大当たりフラグをOFFする(S2015)。そして、特別動作ステータスを「1」にセットした後(S2016)、後述の遊技状態設定処理(S2017)を行って、本処理を終える。
【0177】
[遊技状態設定処理]
図28に示すように、遊技状態設定処理(S2017)ではまず、今回の大当たり遊技の実行契機となった当たり図柄(大当たり図柄又は小当たり図柄)が、当選時の遊技状態との組み合わせにおいて、時短状態への制御契機となる図柄(
図9参照)であるか否かを判定する(S2101)。この判定結果がNOであればステップS2104に進むが、判定結果がYESであれば、時短フラグをONするとともに(S2102)、当たり図柄の種別に応じた時短回数(
図9参照)を時短カウンタにセットして(S2103)、ステップS2104に進む。
【0178】
ステップS2104では、遊技制御用マイコン81は、遊技状態フラグ更新処理(S2104)を行う。遊技状態フラグ更新処理(S2104)では、遊技状態フラグの値を、現在の遊技状態に応じた値にセットする。具体的には、この遊技状態フラグ更新処理(S2104)では、大当たり遊技の終了に際して時短フラグをONにしたところであれば、遊技状態フラグの値を、通常時短状態に対応する値「2」にセットし、時短フラグをONにしていなければ、遊技状態フラグの値を、非時短状態に対応する値「0」にセットする(
図26中の表参照)。遊技状態フラグの値が「2」にセットされることにより遊技状態は通常時短状態に制御される。
【0179】
続いて遊技制御用マイコン81は、遊技状態フラグの情報(すなわち現在の遊技状態の情報)を含む遊技状態指定コマンドを、RAM84の出力バッファにセットして(S2105)、本処理を終える。このコマンドが出力されることにより、サブ制御基板90に現在の遊技状態の情報が通知される。
【0180】
[特別電動役物処理2(小当たり遊技)]特別電動役物処理2は、特定領域39を備えた第2大入賞装置36を開放させる小当たり遊技の実行のための処理である。
図29及び
図30に示すように、特別電動役物処理2(S909)ではまず、小当たり終了フラグがONであるか否かを判定する(S2301)。小当たり終了フラグは、小当たり遊技において第2大入賞装置36の開放が終了したことを示すフラグである。
【0181】
小当たり終了フラグがONでなければ(S2301でNO)、第2大入賞口35の開放中か否か(すなわち第2大入賞装置36の開放中か否か)を判定する(S2302)。開放中でなければ(S2302でNO)、第2大入賞口35を開放させる時間に至ったか否か、すなわち所定の開放前インターバル(小当たりのオープニング)の時間が経過して第2大入賞口35の開放を開始する時間に至ったか否かを判定する(S2303)。
【0182】
ステップS2303の判定結果がNOであれば、そのまま処理を終える。一方、ステップS2303の判定結果がYESであれば、当選している小当たり図柄の種別に応じた開放パターン(
図9参照)に従って第2大入賞口35を開放させる(S2304)。
【0183】
ステップS2302において第2大入賞口35の開放中であれば(S2302でYES)、第2大入賞口35への入賞個数が規定の最大入賞個数(本形態では10個)に達しているか否かを判定する(S2305)。規定入賞個数に達していなければ(S2305でNO)、第2大入賞口35を閉鎖させる時間に至ったか否か(すなわち第2大入賞口35を開放してから所定の開放時間(
図9に示すように本形態では1.6秒)が経過したか否か)を判定する(S2306)。そして、第2大入賞口35の開放時間が経過していなければ(S2306でNO)、本処理を終える。
【0184】
これに対して、規定入賞個数に達している場合(S2305でYES)又は第2大入賞口35の開放時間が経過した場合(S2306でYES)、すなわち2つの開放終了条件のうちのいずれかが満たされている場合には、第2大入賞口35を閉鎖(閉塞)する(S2307)。そして、大入賞口開放カウンタの値を1ディクリメントするとともに(S2308)、小当たり終了フラグをセットして(S2309)、本処理を終える。
【0185】
またステップS2301において小当たり終了フラグがONであれば(S2301でYES)、
図30に示すように、小当たり遊技における第2大入賞口35の閉鎖後の所定時間(閉鎖後インターバルの時間)が経過したか否かを判定し(S2310)、閉鎖後インターバルの時間が経過していなければ(S2310でNO)処理を終える。なお、小当たり遊技の閉鎖後インターバルの時間については後述する。一方、閉鎖後インターバルの時間が経過していれば(S2310でYES)、小当たり終了フラグをOFFするとともに(S2311)、小当たりフラグをOFFして(S2312)、ステップS2313に進む。
【0186】
ステップS2313では、VフラグがONか否かを判定する。Vフラグは、小当たり遊技の実行中に特定領域39への遊技球の通過があったことを示すフラグであり、後述するステップS2603(
図32参照)でONされるフラグである。このVフラグがONでなければ(S2313でNO)、2種大当たり遊技を実行しないため、大入賞口開放カウンタの値を「0」にクリアするとともに(S2314)、特別動作ステータスを「1」にセットして(S2315)処理を終える。
【0187】
一方、VフラグがONであれば(S2313でYES)、2種大当たり遊技を実行するため、遊技制御用マイコン81は、VフラグをOFFするとともに(S2317)、大当たりフラグをONして(S2318)、特別動作ステータスを「4」にセットする(S2319)。続いて、時短フラグがONであれば(S2320でYES)時短フラグをOFFする(S2321)。その後、遊技制御用マイコン81は、大当たりのオープニングコマンドをセットするとともに(S2322)、大当たりのオープニングを開始する(S2323)。これにより、第2大入賞口35を短時間にわたって開放する小当たり遊技から2種大当たり遊技に移行する。
【0188】
[振分部材制御処理]遊技制御用マイコン81は、特別動作処理(S106)に次いで振分部材制御処理(S107)を行う(
図16参照)。振分部材制御処理(S107)では
図31に示すように、まず、振分部材作動フラグがONか否かを判定する(S2501)。振分部材作動フラグがONでなければ本処理を終える。一方、振分部材作動フラグがONであれば、小当たり遊技のオープニングが開始しているため(
図25参照)、振分部材71を所定の作動パターンにて作動させるべく振分部材作動処理(S2502)を行うとともに、V有効期間設定処理(S2503)を行う。
【0189】
振分部材作動処理(S2502)では、振分部材71の作動時間を計測するためのタイマをセットし、そのタイマを用いた計時に基づいて、振分部材71の開放タイミングになったら振分部材ソレノイド73をONし、振分部材71の閉鎖タイミングになったら振分部材ソレノイド73をOFFする。これにより、振分部材71は、小当たり遊技のオープニングの開始から一定の動作で動くこととなる。
【0190】
具体的には
図37(c)に示すように、振分部材71をまず、小当たり遊技のオープニングの開始から8msにわたって通過阻止状態(
図2に破線で示す状態)に制御する。これを開放前インターバルという。続いて、4600msにわたって通過許容状態(
図2に二点鎖線で示す状態)に制御する。これを、V開放という。次いで、3000msにわたって通過阻止状態に制御する。これを、閉鎖後インターバルという。このような、「開放前インターバル⇒V開放⇒閉鎖後インターバル」からなる一連の動作が振分部材71の一定動作である。
【0191】
また、V有効期間設定処理(S2503)では、上記のような振分部材71の一定動作に対してV有効期間を設定する。V有効期間とは、特定領域センサ39aによる検知があった場合にその検知を有効なものとみてVフラグをONにする期間である。
図37(d)に示すように、V有効期間は、特定領域39の開放開始(振分部材71を通過許容状態に制御した時点)から所定の時間が経過するまでである。所定の時間は、特定領域39の開放時間(振分部材71を通過許容状態に制御している時間)よりも長い時間に設定されている。これは、振分部材71の配置位置を通過した遊技球が特定領域39に至るまでのタイムラグを考慮してのことである。
【0192】
具体的にはV有効期間設定処理(S2503)では、V有効期間を計測するためのタイマをセットし、そのタイマを用いた計時に基づいて、特定領域39を有効にするタイミングになったらV有効フラグをONし、特定領域39を無効にするタイミングになったらV有効フラグをOFFする。なお、後述する特定領域センサ検出処理(S108)のステップS2602では、このV有効フラグがONか否かを判断することにより、V有効期間中か否かを判定する。
【0193】
V有効期間設定処理(S2503)に続いて遊技制御用マイコン81は、振分部材71の動作が終了したか否かを判定する(S2504)。具体的には、ステップS2502でセットした振分部材71の作動時間を計測するためのタイマに基づいて、振分部材71が一定動作を開始してから終了するまでの総作動時間(7608ms(
図37(c)参照))が経過したか否かを判定する。そして、振分部材71の動作が終了していなければそのまま本処理を終える。これに対して、振分部材71の動作が終了していれば、振分部材作動フラグをOFFしてから(S2505)本処理を終える。
【0194】
ここで
図37に基づいて、上記のような振分部材71の一定動作と、小当たり遊技における第2大入賞口35(開閉部材37)の開放パターンとの関係について説明する。本形態では、小当たり遊技における第2大入賞口35の開放パターンとして、
図37(b)に示す開放パターンがある。なお、
図37(a)は、小当たり遊技の開始のタイミングをわかりやすくするために、特別図柄の変動表示および停止表示のタイミングを示したものである。
【0195】
図37(b)に示す開放パターンは、特
図2の抽選にて小当たりに当選した場合に選択される開放パターンである。つまり、「特
図2_小当たり図柄a」や「特
図2_小当たり図柄b」(
図9参照)に当選した場合に選択される開放パターンである。この開放パターンは、特定領域39への通過が可能な通過用開放パターンである。
【0196】
より詳細には、この通過用開放パターンは、8msにわたって第2大入賞口35を閉塞した後に1600msにわたって第2大入賞口35を開放し、その後、6000msにわたって第2大入賞口35を閉塞する開放パターンである。言い換えれば、この開放パターンにて実行される小当たり遊技は、8msにわたって第2大入賞口35が閉塞されるオープニングと、1600msにわたって第2大入賞口35が開放される小当たり開放遊技と、6000msにわたって第2大入賞口35が閉塞される閉鎖後インターバルとを含んでいる。
【0197】
このような開放パターンで第2大入賞口35が開放された場合、1600msにわたる第2大入賞口35の開放期間中および第2大入賞口35の閉鎖後の3000msの期間中は、振分部材71のV開放にあたり、振分部材71が通過許容状態をとっている(
図37(b)及び(c)参照)。従って、どのような入賞タイミングで第2大入賞口35へ遊技球が入賞したとしても、その遊技球は特定領域39を通過することが可能である。なお本形態では、右打ちにて遊技球を連続的に発射し続けていれば、1.6秒にわたる開放期間中に必ず第2大入賞口35へ遊技球が入賞するように、第2大入賞装置36等の各装置が配されている。また、第2大入賞口35を通過した遊技球が振分部材71の配置位置に至るまでの所要時間は3000msよりも短い。つまり本形態では、小当たりは実質的には大当たりとして機能する。なお本明細書では、特
図2の抽選に基づく小当たりを、特2V通過小当たりと称することがある。
【0198】
また本形態では、小当たり遊技中は、第2大入賞装置36内に入球した遊技球の数を第2大入賞口センサ35aによる検知に基づいてカウントしているとともに、第2大入賞装置36外へ排出された遊技球の数を特定領域センサ39a又は非特定領域センサ70aによる検知に基づいてカウントしている。つまり本形態では、特定領域センサ39a及び非特定領域センサ70aは、第2大入賞装置36外へ排出された遊技球の数をカウントする排出口センサとしても機能している。そして、振分部材71の一定動作の終了時点で、両カウント値が一致していないときにはエラー報知を行うようにしている。なお第2大入賞口35の閉鎖後、両カウント値が一致したときに振分部材71の作動を停止するようにしてもよい。このようにすれば、第2大入賞口35の閉鎖後に特別図柄の変動表示をスムーズに開始することが可能となる。
【0199】
[特定領域センサ検出処理]遊技制御用マイコン81の動作の説明に戻る。遊技制御用マイコン81は、振分部材制御処理(S107)に次いで特定領域センサ検出処理(S108)を行う(
図16参照)。特定領域センサ検出処理(S108)では
図32に示すように、まず、特定領域センサ39aによる遊技球の検知があったか否かを判定する(S2601)。検知がなければ(S2601でNO)処理を終了するが、検知があれば(S2601でYES)V有効期間中か否かを判定する(S2602)。V有効期間は、前述の振分部材制御処理(
図31)におけるV有効期間設定処理(S2503)にて設定される期間である。具体的にはV有効期間は、
図37(d)に示す期間である。
【0200】
ステップS2602でV有効期間中であると判定した場合には(S2602でYES)、VフラグをONするとともに(S2603)、V通過コマンドをセットして(S2604)処理を終える。一方、ステップS2602でV有効期間中でないと判定した場合には(S2602でNO)、ステップS2603及びS2604の処理を行うことなく、特定領域センサ検出処理を終える。なお、V通過コマンドは、サブ制御基板90にV通過(特定領域39の通過)の報知を行わせるためのコマンドである。
【0201】
6.演出制御用マイコン91の動作
次に、
図33~
図36に基づいて演出制御用マイコン91の動作について説明する。なお、演出制御用マイコン91の動作の説明において登場するカウンタ、タイマ、フラグ、バッファ等は、RAM94に設けられている。
【0202】
[サブ制御メイン処理]演出制御用マイコン91は、パチンコ遊技機1が電源投入されると、
図33に示したサブ制御メイン処理のプログラムをROM93から読み出して実行する。同図に示すように、サブ制御メイン処理では、サブ側電源断フラグ(電断時にONされるフラグ)がONで且つRAM94の内容が正常であるか否かを判定する(S4001)。そしてこの判定結果がNOであれば、つまり、サブ側電源断フラグがONでない場合、又はサブ側電源断フラグがONであってもRAM94の内容が正常でない場合には、RAM94の初期化をして(S4002)、ステップS4003に進む。
【0203】
一方、ステップS4001の判定結果がYESであれば、つまり、電断によりサブ側電源断フラグがONとなったがRAM94の内容が正常に保たれている場合には、続いて、RAMクリア通知コマンドを受信しているか否かを判定する(S4004)。RAMクリア通知コマンドを受信していれば(S4004でYES)、主制御基板80のRAM84はクリアされている。そのため、サブ制御基板90のRAM94をクリアして(S4002)、ステップS4003に進む。これに対して、RAMクリア通知コマンドを受信していなければ(S4004でNO)、RAM94をクリアすることなく、ステップS4003に進む。
【0204】
ステップS4003では、その他の初期設定を行う。その他の初期設定では例えば、CPU92の設定、SIO、PIO、CTC(割り込み時間の管理のための回路)等の設定等を行う。また、サブ側電源断フラグがONであればOFFにする。
【0205】
次に、演出制御用マイコン91は、割り込みを禁止し(S4006)、乱数更新処理を実行する(S4007)。乱数更新処理(S4007)では、種々の演出に関する判定を行うための種々の演出判定用乱数カウンタの値を更新する。種々の演出についての演出判定用乱数カウンタの更新方法は、一例として、前述の主制御基板80が行う乱数更新処理と同様の方法をとることができる。更新に際して乱数値を1ずつ加算するのではなく、2ずつ加算するなどしてもよい。これは、前述の主制御基板80が行う乱数更新処理においても同様である。
【0206】
乱数更新処理が終了すると、コマンド送信処理を実行する(S4008)。コマンド送信処理(S4008)では、サブ制御基板90のRAM94内の出力バッファに格納されている各種のコマンドを、画像制御基板100に送信する。コマンドを受信した画像制御基板100は、受信したコマンドに従って、表示画面7a(表示部)に画像を表示する(画像による種々の演出を実行する)。なお、サブ制御基板90は、画像制御基板100によって行われる種々の演出とともに、音声制御基板106を介してスピーカ67から音声を出力させたり(音声による種々の音演出を実行したり)、ランプ制御基板107を介して盤ランプ5や枠ランプ66を発光させたり(発光による種々の発光演出を実行したり)、盤可動体15を作動させたり(動作による種々の可動体演出を実行したり)する。このようにして、各種の演出(変動演出、保留演出、可動体演出、操作演出、先読み演出、その他の予告演出、特別遊技に伴うオープニング演出、開放遊技演出、エンディング演出、客待ち演出、演出モードの制御など)が実現される。
【0207】
演出制御用マイコン91は続いて、割り込みを許可する(S4009)。以降、ステップS4006~S4009をループさせる。割り込み許可中においては、受信割り込み処理(S4010)、1msタイマ割り込み処理(S4011)、および10msタイマ割り込み処理(S4012)の実行が可能となる。
【0208】
受信割り込み処理(S4010)は、主制御基板80から送られた各種のコマンドが演出制御用マイコン91に入力される度に実行される。受信割り込み処理(S4010)では、演出制御用マイコン91は主制御基板80の出力処理(S101)により送信されてきて受信した各種のコマンドをRAM94の受信バッファに格納する。この受信割り込み処理は、他の割り込み処理(S4011,S4012)に優先して実行される。
【0209】
[1msタイマ割り込み処理]1msタイマ割り込み処理(S4011)は、サブ制御基板90に1msec周期の割り込みパルスが入力される度に実行される。1msタイマ割り込み処理(S4011)では、
図34に示すように、入力処理(S4101)、発光データ出力処理(S4102)、可動体制御処理(S4103)、ウォッチドッグタイマ処理(S4104)を順次行う。
【0210】
入力処理では、演出ボタン検出スイッチ63aやセレクトボタン検出スイッチ64aなどの遊技者が操作可能な操作部に対する操作を検出し、検出結果に応じてコマンドをセットしたり演出用データを作成したりする。発光データ出力処理では、入力処理や後述する演出データ作成処理等で作成された演出用データに基づいて、画像による演出等に合うタイミングなどで枠ランプ66、および盤ランプ5などのランプを発光させるべく、発光データ(ランプデータ)をランプ制御基板107に出力する。つまり、演出制御用マイコン91は、発光データに従って枠ランプ66、および盤ランプ5などを所定の発光態様で発光させる。可動体制御処理では、入力処理や後述する演出データ作成処理等で作成された演出用データに基づいて、所定のタイミングで盤可動体15などの可動体を動作させる可動体演出を行うべく、駆動データを出力する。つまり、演出制御用マイコン91は、駆動データに従って、盤可動体15などを所定の動作態様で動作させる可動体演出を行う。ウォッチドッグタイマ処理では、ウォッチドッグタイマのリセット設定を行う。
【0211】
[10msタイマ割り込み処理]10msタイマ割り込み処理(S4012)は、サブ制御基板90に10msec周期の割り込みパルスが入力される度に実行される。10msタイマ割り込み処理(S4012)では、
図35に示すように、後述する受信コマンド解析処理(S4201)、演出タイマ更新処理(S4202)、音声制御処理(S4203)、演出用データ作成処理(S4204)を順次行う。
【0212】
受信コマンド解析処理では、受信割り込み処理(S4010)によってRAM94の受信バッファに格納されたコマンドを解析し、そのコマンドに応じた処理(例えば演出の選択や演出モードの設定、コマンドのセット等)を行う。演出タイマ更新処理では、各演出に関する時間を計測するためのタイマを更新する。例えば、演出タイマ更新処理では、演出ボタン63やセレクトボタンといった操作部の操作有効期間の開始タイミングや終了タイミングを計測する。音声制御処理では、入力処理や受信コマンド解析処理の処理結果に基づいて、音声データ(スピーカ67からの音声の出力を制御するデータ)の作成と音声制御基板106への出力が行われる。演出用データ作成処理では、受信コマンド解析処理の処理結果に基づいて、演出用データの作成が行われる。
【0213】
ここで、演出制御用マイコン91が遊技制御用マイコン81からコマンドを受信した場合の処理の一例を説明する。演出制御用マイコン91が受信するコマンドは、変動開始コマンド(特
図1変動開始コマンド又は特
図2変動開始コマンド)とする。演出制御用マイコン91は、受信コマンド解析処理(S4201)において、変動開始コマンドを受信していると判定した場合、変動開始コマンド受信時処理として、そのコマンドが示す特図変動パターンに基づいて、変動演出の演出パターン(サブ変動パターン)を選択し、そのサブ変動パターンの情報をセットするとともに、そのサブ変動パターンの情報を含む変動演出開始コマンドを出力バッファにセットする。例えば、変動開始コマンドが示す特図変動パターンがSP変動(SPリーチに関連付けられた変動パターン)である場合、SPリーチを行うサブ変動パターンを選択し、そのサブ変動パターンに対応する変動演出開始コマンドを出力バッファにセットする。その後、各処理(コマンド送信処理(S4008)、発光データ出力処理(S4102)、可動体制御処理(S4103)、音声制御処理(S4203)など)が実行されることで、選択したサブ変動パターンに対応する変動演出が実現される。なお、このような演出の実現に関する処理の流れは、特別遊技に伴う演出や客待ち演出、先読み演出、所謂当該変動に伴う予告演出、演出モードの制御などの他の演出についても基本的には同じである。
【0214】
[受信コマンド解析処理]次に、受信コマンド解析処理(S4201)について、
図36に基づいて詳述する。受信コマンド解析処理(S4201)ではまず、
図36に示すように、演出制御用マイコン91は、主制御基板80から始動入賞コマンドを受信したか否か判定し(S4401)、受信していれば先読み演出判定処理(S4402)を行う。先読み演出判定処理(S4402)では、始動入賞コマンドを解析して、その解析結果に基づいて、所謂保留変化予告や連続予告などの先読み演出の抽選を行い、その抽選結果に応じた先読み演出開始コマンドをRAM94の出力バッファにセットする。
【0215】
続いて、演出制御用マイコン91は、遊技状態指定コマンドを受信したか否か判定し(S4403)、受信していれば演出モード更新処理(S4404)を行う。演出モード更新処理(S4404)では、遊技状態指定コマンドを解析して、その解析結果に基づいて、演出モードの選択を行い、その選択に応じた演出モードに設定するための演出モード設定コマンドをRAM94の出力バッファにセットする。
【0216】
ここで、本形態のパチンコ遊技機1では、RAM94の初期化(S4002)がなされた場合、すなわち、主制御基板80のRAM84がクリアされて遊技状態が「非時短状態」である場合には、演出モードは、「通常演出モード」に設定される。そして、
図36中の表に示すように、演出モード更新処理(S4404)では、演出制御用マイコン91は、遊技状態指定コマンドが示す遊技状態が「非時短状態」や「微時短状態」である場合には、「通常演出モード」に設定し、遊技状態指定コマンドが示す遊技状態が「通常時短状態」である場合には、「RUSH演出モード」に設定する。各演出モードについては、後に具体的に説明する。
【0217】
続いて、演出制御用マイコン91は、主制御基板80から変動開始コマンドを受信したか否か判定し(S4405)、受信していれば変動演出開始処理(S4406)を行う。変動演出開始処理(S4406)では、変動開始コマンドを解析して、その解析結果に基づいて、変動演出のパターン(内容)を選択する。そして、選択した変動演出パターンにて変動演出を開始するための変動演出開始コマンドをRAM94の出力バッファにセットする。変動演出の演出内容については、後に具体的に説明する。
【0218】
続いて、演出制御用マイコン91は、主制御基板80から変動停止コマンドを受信したか否か判定し(S4407)、受信していれば変動演出終了処理(S4408)を行う。変動演出終了処理(S4408)では、変動停止コマンドを解析して、その解析結果に基づいて、演出図柄8L,8C,8Rを確定的に停止表示させるための変動演出終了コマンドをRAM94の出力バッファにセットする。
【0219】
続いて、演出制御用マイコン91は、主制御基板80からオープニングコマンドを受信したか否か判定し(S4409)、受信していればオープニング演出選択処理(S4410)を行う。オープニング演出選択処理(S4410)では、オープニングコマンドを解析して、その解析結果に基づいて、特別遊技のオープニング中に実行するオープニング演出のパターン(内容)を選択する。そして、選択したオープニング演出パターンにてオープニング演出を開始するためのオープニング演出開始コマンドをRAM94の出力バッファにセットする。
【0220】
続いて、演出制御用マイコン91は、主制御基板80からエンディングコマンドを受信したか否か判定し(S4411)、受信していればエンディング演出選択処理(S4412)を行う。エンディング演出選択処理(S4412)では、エンディングコマンドを解析して、その解析結果に基づいて、大当たり遊技のエンディング中に実行するエンディング演出のパターン(内容)を選択する。そして、選択したエンディング演出パターンにてエンディング演出を開始するためのエンディング演出開始コマンドをRAM94の出力バッファにセットする。
【0221】
続いて、演出制御用マイコン91は、主制御基板80からV通過コマンドを受信したか否か判定し(S4413)、受信していればV通過報知演出開始処理(S4414)を行う。V通過報知演出開始処理(S4414)では、V通過報知演出を開始するためのV通過報知演出開始コマンドをRAM94の出力バッファにセットする。V通過報知演出とは、V通過(特定領域39への通過)があったことを遊技者に報知するための演出である。本形態では、所定のV通過報知画像(例えば「V」の文字を示す文字画像)を表示画面7aに表示する演出である。このV通過報知演出としての「V」の文字画像の表示は、特定領域39への通過に基づいて2種大当たり遊技を実行する本パチンコ遊技機1では、大当たり当選の報知としての意味ももつ。なお、V通過報知演出は、特別の効果音をスピーカ67から出力するなど、他の態様であってもよい。
【0222】
続いて、その他の処理(S4415)として、上記のコマンド以外の受信コマンドに基づく処理を行って、受信コマンド解析処理を終える。
【0223】
7.本形態における遊技の流れ
次に、本形態のパチンコ遊技機1における遊技の進行の流れについて、
図38に基づいて説明する。パチンコ遊技機1は、RAMクリアスイッチ152の操作を伴う電源入力がなされることで、フラグ等が初期設定の状態で起動する。つまり、
図38に示すように、電源投入に応じてRAMクリアがなされた場合においては、遊技状態は非時短状態(通常遊技状態)である。そして、非時短状態では、左打ちを行って第1始動口20への入賞を狙う。
【0224】
非時短状態において第1始動口20に遊技球が入球すると、特
図1の抽選がなされる。特
図1の抽選の結果が大当たりでない場合、必ず特殊ハズレ(ハズレ図柄A)となる。よって、非時短状態での遊技は特
図1の変動1回(第1回数の一例)で終了し、ハズレ図柄Aに基づく微時短状態に移行する。
【0225】
微時短状態でも、非時短状態と同様、左打ちを行って第1始動口20への入賞を狙う。微時短状態において第1始動口20に遊技球が入球すると、特
図1の抽選がなされる。微時短状態の時短回数は1回であるため、特
図1の変動が1回終了すると、この変動に係る抽選の結果が大当たりでなければ、微時短状態が終了して非時短状態に戻る。すなわち、微時短状態での遊技は特
図1の変動1回(第2回数の一例)で終了し、非時短状態に戻る。なお、微時短状態において特殊ハズレ(ハズレ図柄A)が停止されても、その特殊ハズレに基づく微時短状態の設定はなされない。
【0226】
このようにして本形態では、特
図1の抽選の結果が大当たりとならない限り、1変動毎に非時短状態と微時短状態とが切り替わる。ここで本形態では、非時短状態において特
図1の抽選にて大当たりに当選した場合、大当たり遊技後の遊技状態は、40%の割合で通常時短状態に設定され、60%の割合で非時短状態に設定される(
図9参照)。一方、微時短状態において特
図1の抽選にて大当たりに当選した場合、大当たり遊技後の遊技状態は、60%の割合で通常時短状態に設定され、40%の割合で非時短状態に設定される(
図9参照)。つまり、微時短状態で大当たりに当選した方が、非時短状態で大当たりに当選するよりも、大当たり当選に基づく特典として、有利な特典(ここでは、大当たり遊技の実行と通常時短状態の設定)が付与される割合が高くなっている。
【0227】
このように本形態では、遊技者は左打ちにて第1始動口20への入球に基づく特
図1の抽選を受け続けているだけであるにもかかわらず、複数種類の特典のうち遊技者に有利な特典が付与される割合が互いに異なる第1の遊技(非時短状態での遊技)と第2の遊技(微時短状態での遊技)とが所定の変動回数毎に切り替わるという斬新な遊技性が提供されている。なお、非時短状態は第1の遊技状態の一例であり、微時短状態は第2の遊技状態の一例である。
【0228】
また本形態では、
図38に示すように、非時短状態であるときも微時短状態であるときも演出モードが通常演出モードに設定される。通常演出モードでは、
図39(A)に示す昼の背景画像が表示画面7aに表示され、演出図柄8L,8C,8Rのデザインも昼の背景画像に応じたものになる。よって本形態では、遊技者が演出内容から非時短状態であるのか微時短状態であるのかを判別することはできないようになっている。
【0229】
通常演出モード(非時短状態あるいは微時短状態)において大当たりに当選して、大当たり遊技の終了後に通常時短状態に設定された場合、通常時短状態では右打ちにて遊技を進行し、電チュー22に係る第2始動口21への入賞に応じた特
図2の抽選に基づく小当たり当選を狙う。本形態では、特
図2の抽選の結果は必ず小当たり当選となり、その当選に基づく小当たり遊技では、必ず特定領域39に遊技球を通過させることが可能である。よって、通常時短状態に制御された場合には1回目の特
図2の抽選に基づいて、大当たり遊技を実行させることが可能である。
【0230】
特
図2の抽選にて小当たりに当選して特定領域39の通過に基づく大当たり遊技を実行した場合、その大当たり遊技の終了後の遊技状態は、80%の割合で再び通常時短状態に設定され、20%の割合で非時短状態に設定される(
図9参照)。なお、通常時短状態では特
図1の抽選は実行されないことを前提としているが、仮に特
図1の抽選がなされて大当たりに当選した場合には、100%の割合で再び通常時短状態に設定されるようになっている(
図9参照)。
【0231】
また、通常時短状態では、演出モードがRUSH演出モードに設定される。RUSH演出モードでは、
図39(B)に示す宇宙の背景画像が表示画面7aに表示され、演出図柄8L,8C,8Rのデザインも宇宙の背景画像に応じたものになる。
【0232】
8.本形態における演出例
8-1.演出モード
次に、本形態のパチンコ遊技機1における演出例について、
図39~
図42に基づいて説明する。まず、演出モードについて説明する。演出モードとは、画像表示装置7、スピーカ67、盤ランプ5、及び枠ランプ66等を用いた演出の態様であり、演出モードが異なると、例えば画像表示装置7に表示されるキャラクタやアイテム、背景画像等が異なり、演出図柄8L,8C,8Rを用いた変動演出も演出モードに応じた態様で実行される。
【0233】
本形態の演出モードには、
図39(A)に示す昼の背景画像が表示画面7aに表示される「通常演出モード」、
図39(B)に示す宇宙の背景画像が表示画面7aに表示される「RUSH演出モード」が含まれている。
【0234】
通常演出モード(
図39(A))は、非時短状態(通常遊技状態)である場合、及び、微時短状態である場合に設定される演出モードである。本形態では、非時短状態と微時短状態とが1変動毎に切り替わる遊技性であるため、非時短状態だけでなく、微時短状態も実質的には通常の遊技状態として機能する。通常演出モードの設定(言い換えれば、昼の背景画像の表示)は、非時短状態か微時短状態の何れかであることの示唆として機能する。
【0235】
RUSH演出モード(
図39(B))は、通常時短状態である場合に設定される演出モードである。通常時短状態に制御されると、特
図2の抽選に基づく2種大当たり遊技の実行が確定するため、RUSH演出モードの設定(言い換えれば、宇宙の背景画像の表示)は、通常時短状態であることの示唆としてだけでなく、大当たり遊技の実行確定の示唆としても機能する。なお、通常時短状態では、右打ちにて第2始動口21への入賞を狙って遊技を進行させるため、RUSH演出モードに制御されると、演出制御用マイコン91は、右打ちにて遊技を行うべき旨を報知する右打ち報知画像RIを表示画面7aの右上部に表示する。
【0236】
8-2.変動演出
次に、変動演出について説明する。パチンコ遊技機1は、特別図柄の変動表示が開始されると、特別図柄の変動表示に係る変動パターンおよび特別図柄抽選の結果(大当たり判定や小当たり判定の結果、図柄種別判定の結果、リーチ判定の結果、および、変動パターン判定の結果)などに基づいて、変動演出を実行する。変動演出では、表示画面7aにおいて、所定の背景画像に重畳的に、演出図柄8L,8C,8Rの変動表示が行われる。演出図柄8L,8C,8Rの変動表示では、演出図柄8L,8C,8Rが変動した後に停止する。すなわち、特別図柄の変動時間にわたって、演出図柄8L,8C,8Rの変動表示が行われた後に、当該変動が停止して、演出図柄8L,8C,8Rの停止表示が行われる。そして、演出図柄8L,8C,8Rの停止表示によって特別図柄抽選の結果が報知される。
【0237】
8-2-1.演出図柄表示領域
画像表示装置7の表示画面7aには、
図40(A)に示すように、表示画面7aを水平方向に3つに略均等に分けた左側、中央および右側それぞれに、左演出図柄領域50b1、中演出図柄領域50b2、および右演出図柄領域50b3が設けられている。左演出図柄領域50b1は、変動演出における演出図柄8L,8C,8Rの停止表示のときに、左演出図柄8Lを表示する領域である。同様に、中演出図柄領域50b2および右演出図柄領域50b3は、中演出図柄8Cおよび右演出図柄8Rを表示する領域である。
【0238】
また、
図40(A)に示すように、表示画面7aの上端部の左端の一区画(左上部)には、小図柄領域50cが設けられている。小図柄領域50cは、特別図柄の変動表示が行われているときに小図柄KZ1,KZ2,KZ3を変動表示する領域である。なお、演出図柄8L,8C,8Rは、変動演出中に非表示となることがあるのに対して、小図柄KZ1,KZ2,KZ3は非表示となることがない。この点において、小図柄KZ1,KZ2,KZ3は演出図柄8L,8C,8Rの役割を補う図柄として機能する。
【0239】
なお、
図40(A)において、左演出図柄領域50b1、中演出図柄領域50b2、右演出図柄領域50b3、および小図柄領域50cは二点鎖線で明示されているが、これは左演出図柄領域50b1、中演出図柄領域50b2、右演出図柄領域50b3、および小図柄領域50cの範囲を表すために記載したものであり、実際には表示されていない。また、各領域の範囲は適宜に変更可能である。
【0240】
8-2-2.通常変動
パチンコ遊技機1は、変動演出において、先ず通常変動を行うことが可能である。通常変動は、特別図柄の変動表示が開始されたことを示唆する演出として機能する。
【0241】
特別図柄の変動表示が開始されると、例えば、
図40(A)に示すように、表示画面7aにおいて、左演出図柄8L、中演出図柄8Cおよび右演出図柄8Rが停止表示されていると共に、左小図柄KZ1、中小図柄KZ2および右小図柄KZ3が停止表示されており、特別図柄の変動表示が行われておらず、特別図柄の変動表示を待機している状態から、
図40(B)に示すように、その開始に伴って演出図柄8L,8C,8Rの変動表示が開始されると共に、小図柄KZ1,KZ2,KZ3の変動表示が開始される。そして、この特別図柄の変動表示の変動パターンが、例えば「通常ハズレ変動」(リーチ無しハズレの変動)の場合には、
図40(C―1)に示すように、左演出図柄8Lと右演出図柄8Rとが異なる停止態様で仮停止してから、
図40(D)に示すように、ハズレを示唆する停止態様(所謂バラケ目)で演出図柄8L,8C,8Rが停止表示する。このとき、小図柄KZ1,KZ2,KZ3もハズレを示唆する停止態様で一斉に停止表示する。一方、特別図柄の変動表示の変動パターンが、例えば「Nハズレ変動」(ノーマルリーチによってハズレが示されるリーチ有りハズレの変動)などのリーチ有りの変動パターンの場合には、
図40(C―2)に示すように、左演出図柄8Lと右演出図柄8Rとが同じ停止態様で仮停止して、リーチが成立する。このとき、小図柄KZ1,KZ2,KZ3の変動表示は継続して行われ、変動パターンに応じたリーチ演出が行われる。なお、演出図柄8L,8C,8Rの停止順序や停止態様は、適宜に変更することが可能である。
【0242】
8-2-3.Nリーチ(ノーマルリーチ)
パチンコ遊技機1は、通常変動においてリーチが成立するとNリーチを行うことが可能である。Nリーチは、特別図柄抽選の結果が「大当たり」であった可能性があることを示唆する演出であり、遊技者に大当たりを期待させるための演出として機能する。
【0243】
Nリーチでは、
図41(A)に示すように、リーチが成立した状態が所定時間(例えば、10秒)維持され、
図41(B)に示すように、中演出図柄8Cの変動速度が徐々に減速していく。そして、特別図柄の変動表示の変動パターンが、例えば「Nハズレ変動」の場合には、
図41(C―1)に示すように、ハズレを示唆する停止態様(所謂バラケ目)で演出図柄8L,8C,8Rが停止表示する。このとき、小図柄KZ1,KZ2,KZ3もハズレを示唆する停止態様で一斉に停止表示する。一方、特別図柄の変動表示の変動パターンが、例えば「N大当たり変動」(ノーマルリーチによって大当たり当選が示される大当たり変動)の場合には、
図41(C-2)に示すように、大当たりを示唆する停止態様(所謂ゾロ目)で停止表示する。このとき、小図柄KZ1,KZ2,KZ3も大当たりを示唆する停止態様で一斉に停止表示する。なお、Nリーチの演出内容は、中演出図柄8Cが徐々に減速することに限られず、適宜に変更または追加することが可能である。
【0244】
また、ハズレを示唆する演出図柄8L,8C,8Rの停止態様に関して、リーチが成立しない場合のバラケ目を「非リーチバラケ目」や「非リーチハズレ目」と称し、リーチが成立する場合のバラケ目を「リーチバラケ目」や「リーチハズレ目」と称する。非リーチバラケ目を構成する各演出図柄8L,8C,8Rの組み合わせをどのようにするか(例えば「2・3・1」や「5・8・6」等)、および、リーチバラケ目を構成する各演出図柄8L,8C,8Rの組み合わせをどのようにするか(例えば「2・1・2」や「5・4・5」等)は、演出制御用マイコン91によって選択される。また、大当たりを示唆する停止態様(ゾロ目)を構成する各演出図柄8L,8C,8Rの組み合わせをどのようにするか(例えば「2・2・2」や「7・7・7」等)は、当選した大当たり図柄の種別に基づいて、演出制御用マイコン91によって選択される。
【0245】
8-2-4.SPリーチ
パチンコ遊技機1は、Nリーチの後にSPリーチを行うことが可能である。SPリーチは、特別図柄抽選の結果が「大当たり」であった可能性が、Nリーチよりも高いことを示唆する演出であり、遊技者に大当たりを期待させるための演出として機能する。
【0246】
SPリーチでは、Nリーチの後に、例えば、
図42(A)に示すように、表示画面7aにSPリーチ専用の背景画像(SPリーチ用背景画像G113)が表示され、表示画面7aの中央にSPリーチが開始されたことを表す画像(SPリーチ開始タイトル画像)G1が表示される。その後、
図42(B)に示すように、SPリーチ専用演出(例えば味方キャラクタと敵キャラクタAとがバトルを行うバトル演出)が行われる。そして、SPリーチ専用演出の最終局面を迎えると、特別図柄の変動表示の変動パターンが、例えば「SP大当たり変動」(SPリーチによって大当たり当選が示される大当たり変動)の場合には、
図42(C―1)に示すように、表示画面7aに、大当たりを示唆する成功演出(例えば、味方キャラクタがバトルに勝利して仁王立ちしている表示、勝利演出)が行われるとともに、演出図柄8L,8C,8Rが大当たりを示唆する停止態様(所謂ゾロ目)で停止表示する。このとき、小図柄KZ1,KZ2,KZ3も大当たりを示唆する停止態様で一斉に停止表示する。一方、特別図柄の変動表示の変動パターンが、例えば「SPハズレ変動」(SPリーチによってハズレが示されるリーチ有りハズレの変動)の場合には、
図42(C―2)に示すように、ハズレを示唆する失敗演出(例えば、敵キャラクタAがバトルに勝利して仁王立ちしている表示、敗北演出)が行われるとともに、演出図柄8L,8C,8Rがハズレを示唆する停止態様(所謂バラケ目)で停止表示する。このとき、小図柄KZ1,KZ2,KZ3もハズレを示唆する停止態様で一斉に停止表示する。なお、SPリーチの演出内容は、適宜に変更または追加することが可能である。本形態では、特
図1の抽選に基づくSPリーチとして、
図42に示す演出が実行されるものとする。
【0247】
なお、通常時短状態における特
図2の小当たり変動に係る変動演出としては、即当たり演出が実行される。即当たり演出では、演出図柄8L,8C,8Rの変動が開始すると直ぐにゾロ目で停止表示される(
図40(B)に示す状態からリーチの成立を見せることなく
図41(C-2)に示す状態になる)。
【0248】
9.本形態の効果
以上詳細に説明したように本形態のパチンコ遊技機1によれば、非時短状態と微時短状態とが予定された変動回数(1変動ずつ)で交互に切り替わるため(
図38参照)、複数の始動口に遊技球を振り分ける装置を特段設けることなく、大当たりになった場合の特典の振分率(通常時短状態への移行確率)が異なる抽選が交互に繰り返されるゲーム性を実現することが可能である。
【0249】
また本形態のパチンコ遊技機1によれば、特
図1の抽選の結果に通常のハズレ(時短状態の制御契機にもならないハズレ)を含まないため(
図8(A)、
図10)、非時短状態における1回目の特
図1の抽選で大当たりとならなかった場合には、必ず特殊ハズレ(ハズレ図柄A)に基づいて微時短状態に設定されることになる。よって、非時短状態で特
図1の変動表示が1回行われると微時短状態にスムーズに移行するテンポの良いゲーム性を実現することができ、遊技興趣の向上が見込める。
【0250】
また本形態のパチンコ遊技機1によれば、微時短状態において特
図1の変動表示が1回行われると微時短状態が終了して非時短状態に設定されるため(
図10、
図38)、1変動毎に非時短状態と微時短状態とが入れ替わることとなる。よって、大当たりとなったときの特典の振分率(通常時短状態への移行確率)が1変動毎に変わるゲーム性を、所謂8チャッカ―のような均等振分装置(特
図1に係る始動口と特
図2に係る始動口とに1球ずつ遊技球を振り分ける装置)を用いることなく実現することが可能である。
【0251】
また本形態のパチンコ遊技機1によれば、内部的に非時短状態と微時短状態とが入れ替わっていても、演出モードは通常演出モード(
図39(A))のまま変わらないため、遊技者には同じ遊技状態のまま遊技が進行しているように思わせることが可能である。
【0252】
10.変更例
以下、変更例について説明する。なお、変更例の説明において、上記形態のパチンコ遊技機1と同様の構成については、同じ符号を付して説明を省略する。勿論、変更例に係る構成同士を適宜組み合わせて構成してもよい。また、上記形態および下記変更例中の技術的特徴は、本明細書において必須なものとして説明されていなければ、適宜、削除することが可能である。
【0253】
上記形態では、現在の遊技状態が非時短状態であるのか微時短状態であるのか演出上判別できないよう構成したが、非時短状態における特
図1の抽選に係る変動であるのか、微時短状態における特
図1の抽選に係る変動であるのかを、変動演出や予告演出、演出保留の表示などの各種の演出によって判別できるように構成してもよい。具体的には例えば、
図43に示すように、特
図1に係る演出保留9Aについて、非時短状態での変動となる予定のものは第1態様(〇の態様)の演出保留9Aaを表示し、微時短状態での変動となる予定のものは第2態様(△の態様)の演出保留9Abを表示するようにしてもよい。このように構成すれば、当選時の特典の振分が遊技者に有利な微時短状態での変動のときに遊技者の期待感や高揚感を高めることが可能となり、興趣の向上が見込める。また、非時短状態と微時短状態とで演出モードが切り替わる構成としてもよい。ただし、当選時の特典の振分が遊技者に不利な非時短状態での変動のときに遊技者の心理が盛り上がらなくなることも考えられるため、上記形態のように遊技状態を判別不可能にしておくことにも一定の効果がある。
【0254】
また上記形態では、特
図1の抽選でハズレとなった場合には必ずハズレ図柄Aが選択される構成としたが、特
図1の抽選でハズレとなった場合のハズレ図柄の種類に、複数の種類がある構成としてもよい。具体的には例えば、
図44に示すように、特
図1の抽選でハズレとなった場合には、99.9%の割合で「特
図1_ハズレ図柄A」が選択され、0.1%の割合で「特
図1_ハズレ図柄B」が選択される構成としてもよい。ハズレ図柄Aは、上記形態と同様、時短回数1回の微時短状態の制御契機となる特殊ハズレであり、ハズレ図柄Bは、時短回数100回の通常時短状態の制御契機となる特殊ハズレである。なお、ハズレ図柄Bに基づく通常時短状態は小当たり当選1回でも終了する。また、ハズレ図柄Bに基づく通常時短状態では、RUSH演出モードに設定されるものとする。このように構成すれば、非時短状態や微時短状態において特
図1の抽選で大当たりに当選しなくても、通常時短状態に設定されることがある遊技性となるため、遊技興趣の向上が見込める。
【0255】
また上記形態では、特
図1の抽選を主とする遊技において非時短状態と微時短状態とが1変動ずつ切り替わる構成としたが、特
図2の保留を例えば4個まで可能とし、特
図2の抽選の結果に微時短状態の制御契機となる特殊ハズレと小当たり(小当たり当選確率は例えば1/7)とが含まれる構成として、通常時短状態から非時短状態に移行したときの特
図2の残保留に基づく遊技において非時短状態と微時短状態とが1変動ずつ切り替わり、小当たり当選時の遊技状態に応じて特典の振分率が異なる構成としてもよい。このような構成とすれば、特
図2の残保留に基づく遊技に特別感を出すことができ、遊技興趣の向上が見込める。なお、このような構成とした場合、特
図2の抽選が所定の抽選の一例であり、小当たりが特定の結果の一例である。
【0256】
また上記形態では、特
図1の抽選の結果に、時短状態の制御契機とならない通常のハズレを含まない構成としたが、通常のハズレを含む構成としてもよい。このように構成した場合、非時短状態における変動回数(第1回数)は不定となる。
【0257】
また上記形態では、微時短状態の時短回数を1回に設定したが、時短回数は、遊技に支障をきたさない範囲で適宜変更可能である。具体的には例えば、微時短状態の時短回数を2回に設定し、非時短状態での特
図1の変動1回(第1回数の一例)と微時短状態での特
図1の変動2回(第2回数の一例)が交互に繰り返される構成としてもよい。
【0258】
また上記形態では、第2大入賞口35内の特定領域39への遊技球の通過に基づいて大当たり遊技を実行可能な所謂1種2種混合機として構成したが、所謂「ST機」や「確変ループ機」など、1種2種混合機以外のタイプの遊技機としてもよい。ST機や確変ループ機とする場合、当選した特別図柄の種類に基づいて大当たり当選確率が高い高確率状態への移行が決定される所謂「図柄確変機」としてもよいし、Vアタッカー(特定領域を有する大入賞装置)内の特定領域への通過に基づいて高確率状態への移行が決定される所謂「V確変機」としてもよい。なお、「ST機」や「確変ループ機」として構成する場合には、特
図1の抽選でも特
図2の抽選でも大当たりに当選するよう構成し、特
図1の抽選よりも特
図2の抽選の方が、獲得可能な賞球数の多い大当たり遊技が実行され易かったり、大当たり遊技の終了後の遊技状態が高確率状態に制御され易かったりする点において有利となっているとよい。また、「ST機」や「確変ループ機」として構成する場合には、高確率状態において特殊ハズレを引いても、遊技状態の設定を変更しない構成としてもよい。なお、高確率状態に設定可能な構成とした場合、低確非時短状態が第1の遊技状態の一例であり、低確微時短状態が第2の遊技状態の一例である。
【0259】
また本発明を、下皿62等の構成を有さず遊技機内に封入された遊技球が循環するタイプの遊技機(所謂封入式遊技機、循環式遊技機、管理遊技機、スマートパチンコ)に適用してもよい。封入式遊技機として構成した場合、電源投入時に当該遊技機内に封入されている遊技球数をカウントし、所定の基準数(例えば45球)に満たない場合には不足分の遊技球数を表示画面7aに表示し、所定の基準数を超える場合には超過分の遊技球を表示画面7aに表示する等して、遊技店の従業員に知らせるように構成するとよい。このように構成すれば、封入された遊技球の数が所定の基準数とは異なる場合には遊技店の従業員が封入された遊技球の数を即座に調整することが可能となるため、封入された遊技球の数が所定の基準数とは異なる状態で遊技される事態を防止することが可能である。
【0260】
また上記形態において、各種の時短状態における時短回数は、遊技に支障をきたさない範囲で適宜変更可能である。また上記形態において、各種の時短状態におけるパラメータ(普通図柄の変動時間や停止時間、電チューの開放パターンなど)は、遊技に支障をきたさない範囲で適宜変更可能である。また上記形態において、各大当たり図柄、各小当たり図柄、各ハズレ図柄の種類や振分率は、遊技に支障をきたさない範囲で適宜変更可能である。
【0261】
また上記形態では、所謂1種2種混合機として構成したが、実現したい遊技性によっては、1種大当たりのない所謂ハネモノ(2種機)としてもよい。すなわち、特
図1の抽選でも特
図2の抽選でも所謂「直撃大当たり」に当選し得ない構成としてもよい。この場合、小当たりが特定の結果の一例である。
【0262】
また上記形態では、特
図2保留(第2特図保留)の上限記憶数を「1」としたが、特
図2保留の上限記憶数は適宜変更可能である。また、遊技に支障をきたさなければ、特
図2保留の無い構成、すなわち、特
図2保留の上限記憶数が「0」である構成としてもよい。
【0263】
また上記形態では、非時短状態における特
図1の抽選に基づいて大当たり遊技が実行された場合よりも、微時短状態における特
図1の抽選に基づいて大当たり遊技が実行された場合の方が、遊技者が獲得可能な特典が大きくなり易い構成としたが、逆であってもよい。なお、遊技者が獲得可能な特典には、大当たり遊技において獲得可能な賞球の量や、大当たり遊技後の遊技状態に関する各種の設定(時短状態に制御されるか否かや、時短状態に制御された場合の時短回数など)が含まれる。
【0264】
また上記形態では、特
図2の抽選に基づく小当たり遊技では、必ずV通過が発生するように第2大入賞口35(開閉部材37)の開放制御や振分部材71の作動制御が行われる構成とした。これに対して、特
図2の抽選に基づく小当たり遊技では、V通過することもあるがV通過しないこともあるような第2大入賞口35の開放制御や振分部材71の作動制御が行われる構成(つまり振分部材71が通過許容状態をとっているタイミングと第2大入賞口35への入賞タイミングがうまく合えば特定領域39への通過が生じるが、合わなければ特定領域39への通過が生じない構成)としてもよい。
【0265】
また上記形態では、特
図2の抽選に基づく小当たり遊技の開放パターンを、第2大入賞口35に入賞した遊技球がその入賞タイミングにかかわらず特定領域39を通過する開放パターン(
図37(b)及び(c)参照)とした。しかしながら、正しく遊技している限り(右打ちを継続している限り)小当たり遊技中に必ず特定領域39への通過を生じさせることができるのであれば、第2大入賞口35に入賞した遊技球の全てが特定領域39を通過することができる開放パターンでなくてもよい。具体的には例えば、0.1秒開放を12回繰り返す開放パターンとし、1回~9回までの開放時に入賞した遊技球は特定領域39を通過するが、10回~12回までの開放時に入賞した遊技球は非特定領域70を通過するように構成してもよい。つまり通過用開放パターンは、第2大入賞口35への入賞が可能であって第2大入賞口35へ入賞した遊技球の少なくとも1球が特定領域39を通過する開放パターンであればよい。なお、この変更例のような開放パターンとする場合には、各開放時に第2大入賞口35に遊技球が入賞し易くなるように、第2大入賞装置の開閉部材を次のようなものにするとよい。即ち、前後に進退可能であり、前方に出ているときには第2大入賞口を閉塞し、後方に退いているときには第2大入賞口を開放する進退式のものとするとよい。そして第2流路R2を流下する遊技球が開閉部材の上面を転動するように配置するとよい。その上で、開閉部材の上面の摩擦係数を高くして(例えばゴムのような弾性力の高い部材を利用した面として)、遊技球が開閉部材の上面をゆっくりと転動するようにしておくとよい。若しくは、開閉部材の上面を床面とする遊技球の通路上に、遊技球の転動速度を遅くするための突起を設けておいてもよい。
【0266】
また上記形態では、小当たり遊技の開始時点を基準に、時間で管理された所定の作動パターンに従って、特定領域39が開放されるように構成した(
図37参照)。これに対して、第2大入賞口35への入賞球数が予め定められた作動契機入賞球数(例えば1球)になったときに、特定領域39を開放させる(通過許容状態にする)構成としてもよい。この場合、特2V通過小当たりでは、作動契機入賞球数を例えば「1」とするとよい。このようにすれば、特2V通過小当たり時には、第2大入賞口35への入賞球を特定領域39に通過させることができる。なお、作動契機入賞球数に基づいて振分部材71が作動する構成であっても、特定領域39が予め定められたタイミングで通過の可否が切り替えられていることにかわりはない。
【0267】
また上記形態では、時短状態における特別図柄の変動表示の上限実行回数(時短回数)は、特
図1の変動表示が実行されても特
図2の変動表示が実行されてもカウントされる合算上限実行回数としたが、この合算上限実行回数とは別に、特
図1の変動表示だけをカウント対象とした特
図1上限実行回数や、特
図2の変動表示だけをカウント対象とした特
図2上限実行回数を設け、いずれかの回数が満たされると時短状態が終了するように構成してもよい。なお、特
図1上限実行回数や特
図2上限実行回数は、合算上限実行回数とは異なる値に設定することができる。また、合算上限実行回数を設けることなく、特
図1上限実行回数と特
図2上限実行回数とを設け、いずれかの回数が満たされると時短状態が終了するように構成してもよい。
【0268】
また上記形態では、変動演出を行う表示部を、1つの表示装置の表示画面(画像表示装置7の表示画面7a)によって構成したが、2つ以上の表示装置の各表示画面によって構成してもよい。例えば、メイン表示装置としての画像表示装置7の他に、サブ表示装置を備えている構成では、メイン表示装置の表示画面にて演出図柄8L,8C,8Rの変動演出を行い、サブ表示装置の表示画面にて小図柄KZ1,KZ2,KZ3の変動演出を行うように構成してもよい。なお、タッチセンサと液晶表示装置からなるタッチパネルを遊技機枠50に搭載し、このタッチパネルにおける液晶表示装置をサブ表示装置としてもよい。
【0269】
また上記形態では、第1始動口20又は第2始動口21への入賞に基づいて取得する乱数(判定情報)として、大当たり乱数等の4つの乱数を取得することとしたが、一つの乱数を取得してその乱数に基づいて、大当たり又は小当たりか否か、大当たり図柄、小当たり図柄、ハズレ図柄の種別、リーチの有無、及び変動パターンの種類を決めるようにしてもよい。すなわち、始動入賞に基づいて取得する乱数の個数および各乱数において何を決定するようにするかは任意に設定可能である。
【0270】
また上記形態では、大当たり乱数を用いた判定の結果がハズレであり、図柄種別乱数を用いた判定の結果が特殊ハズレである場合に、大当たり遊技を実行することなく時短状態に制御し得る構成とした。これに対して、時短状態に制御するか否かの抽選(時短抽選)のための乱数(時短乱数)を別途取得することとし、特別図柄の変動表示の開始前に、時短乱数を用いて時短抽選(時短状態にするか否かの判定)を行う構成としてもよい。この場合、時短抽選は、大当たりであるか否かの判定の前に行ってもよいし、後に行ってもよい。また時短抽選を行う構成とする場合、時短乱数に代えて、大当たり乱数や図柄種別乱数を用いて時短抽選を行う構成としてもよい。
【0271】
また上記形態では、RAMクリアスイッチ152を用いたRAMクリア操作を、非時短状態に設定するための状態設定操作としたが、状態設定操作は、RAMクリアスイッチ152を用いない操作(RAMクリアを伴わない操作)であってもよい。たとえば、非時短状態に設定するための専用スイッチを設け、当該専用スイッチを押すことによって、非時短状態に設定される構成としてもよい。この場合、専用スイッチを有効に操作できる期間が、電源投入時以外の期間であってもよい。具体的には例えば、客待ち状態(客待ち演出を行っている状態)中に、専用スイッチが押されたことによって、非時短状態に設定される構成としてもよい。なお、専用スイッチは、主制御基板80上に実装するなど、遊技者が任意に操作できない位置に設けることが好ましい。つまり専用スイッチは、RAMクリアスイッチ152と同様、遊技機枠50を開放しなければ操作できない位置に設けることが好ましい。
【0272】
また上記形態において、遊技制御用マイコン81が電源投入からの総賞球数および総発射数をカウントし、これらの総賞球数と総発射数との差玉が一定数(例えば+10万球)となった場合には、所定の発動タイミングで、遊技停止とする(第1始動口センサ20aや第2始動口センサ21a等の各種の遊技球の検知センサが遊技球を検知しても無効とし、一切の抽選や賞球を行わないようにする)構成としてもよい。この場合、遊技停止の発動タイミングは、総賞球数と総発射数との差玉が一定数に到達した大当たり遊技の終了時とするのが好ましい。また、遊技停止とするのに代えて、発射停止とする(ハンドル60が操作されても遊技球を発射しないようにする)構成としたり、遊技停止と発射停止の両方を行う構成としたりしてもよい。なお、電源投入からの総発射数は、遊技領域3に発射されて各種の入賞口(第1始動口20、第2始動口21、第1大入賞口30、第2大入賞口35、普通入賞口27)やアウト口6を通過した遊技球が最終的に通過する1つの通路上に設けられたアウト口センサの検知に基づいてカウントされるものとする。なお、各種の入賞口(第1始動口20、第2始動口21、第1大入賞口30、第2大入賞口35、普通入賞口27)への入賞を検知するセンサ、アウト口6への通過を検知するセンサの各々の検知をカウントすることで、総発射数を求めてもよい。或いは、レール部材4の端部に戻り球防止部が設けられていて、この戻り球防止部に遊技球を検知可能なセンサが設けられている場合に、このセンサの検知をカウントすることで、総発射数を求めてもよい。また、総賞球数と総発射数との差玉のカウントは、電源投入に基づいて(すなわち電源スイッチ155のON操作に基づいて)、クリアされるものとする。また、遊技停止や発射停止となった場合には、電源を遮断した後、RAMクリア操作(RAMクリアスイッチ152を押しながらの電源スイッチ155のON操作)がなされたことに応じて、遊技可能な状態に復帰されるものとする。このような電源投入からの総賞球数と総発射数との差玉が一定数(例えば+10万球)となった場合に遊技停止や発射停止とする構成を、過賞球防止手段と称する。過賞球防止手段は、パチンコ遊技機1が一日の遊技において過剰な賞球を行ってしまう不都合を防止するための機能である。なお、遊技停止や発射停止の発動条件となる総賞球数と総発射数との差玉数は、適宜変更可能である。
【0273】
ここで、遊技制御用マイコン81が過賞球防止手段を備える場合には、次のような構成を付帯させるとよい。例えば、電源投入からの総賞球数と総発射数との差玉(以下「特定差玉」と言う)が一定数(例えば+10万球)に到達した場合には、そのことを示す所定の信号を外部端子板からホールコンピュータに向けて出力する構成とするとよい。外部端子板は、パチンコ遊技機1から、遊技場に設置されているホールコンピュータ等の外部に向けて種々の信号を出力するための基板であり、パチンコ遊技機1は、遊技制御用マイコン81がセットした信号を、外部端子板を介して、当該パチンコ遊技機1の外部に出力することが可能であるとする。このような構成とすれば、特定差玉が一定数に到達したことを、遊技場の従業員等がホールコンピュータによって確認することが可能となる。なお、このような構成に代えて、若しくは、このような構成と共に、特定差玉が一定数(例えば+10万球)よりも小さい所定数(例えば+9万球)に到達したタイミングで、そのことを示す外端信号(外部端子板から外部に出力される信号)を出力する構成としてもよい。この外端信号は、特定差玉が一定数に到達しそうであることを示す信号として機能する。
【0274】
また、過賞球防止手段によって遊技停止や発射停止が行われた場合には、その旨を示す画像を画像表示装置7に表示したり、その旨を示す発光態様で枠ランプ66や盤ランプ5を発光させたり、その旨を示す音声をスピーカ67から出力したりする構成とするとよい。このような報知によって、遊技場の従業員や遊技者等が状況(特定差玉が一定数に到達したこと)を把握できるからである。
【0275】
また、電源投入からの総賞球数と総発射数との差玉が一定数に到達すると遊技停止や発射停止となる旨の報知を、遊技中の演出として行ったり(例えば変動演出に伴う予告演出の1つとして行ったり)、客待ち演出において行ったりするとよい。遊技停止や発射停止になる場合があることを、遊技者に事前に知らせることができるからである。
【0276】
また、電源投入に基づいて(すなわち電源スイッチ155のON操作に基づいて)、総賞球数と総発射数との差玉(特定差玉)のカウントがクリアされた場合には、その旨を示す画像を画像表示装置7に表示したり、その旨を示す発光態様で枠ランプ66や盤ランプ5を発光させたり、その旨を示す音声をスピーカ67から出力したりするとよい。特定差玉のカウントのクリアを、遊技場の従業員や遊技者等に知らせることができるからである。
【0277】
なお、総賞球数と総発射数との差玉(特定差玉)のカウントのクリアは、単なる電源投入では行われず、電源投入に際してRAMクリアスイッチ152を操作したときに行われる構成としたり、RAMクリアスイッチ152とは異なる特定差玉のカウントのクリア用のスイッチを設けて、このスイッチを電源投入に際して操作したときに行われる構成としたりしてもよい。又は、電源投入に際して主制御基板80に設けられている設定キーシリンダを操作すると、特定差玉のカウントがクリアされるようにしてもよい。或いは、電源投入時に拘わらず、特定差玉のカウントのクリア用のスイッチを操作するだけで、特定差玉のカウントがクリアされるようにしてもよい。また、総賞球数と総発射数との差玉のカウントのクリアが、客待ち状態(特別遊技(大当たり遊技、小当たり遊技)も特図変動も行われておらず特図保留が1つも無い状態)になってから所定時間(例えば15分)が経過したタイミングで行われる構成としてもよい。また、総賞球数と総発射数との差玉のカウントのクリアが、通常遊技状態以外の遊技状態から通常遊技状態に変更されたタイミングで行われる構成としてもよい。又は、通常遊技状態が所定時間(例えば1時間)継続したり、通常遊技状態にて遊技球が発射されない状態が特定時間(例えば1時間)継続することで、総賞球数と総発射数との差玉のカウントがクリアされるようにしてもよい。なお、RAMクリア操作以外の手法で特定差玉のカウントのクリアを行う構成の場合には、RAMクリア操作時には特定差玉のカウントのクリアは行われない構成としてもよい。この場合、特定差玉の記憶情報は、不揮発性の記憶手段(例えばFRAM(登録商標))に記憶されるようにしたり、RAM84の記憶領域うちRAMクリア操作時に消去されない非消去記憶領域に記憶されるようにしてもよい。
【0278】
なお、過賞球防止手段を備える構成とした場合、総賞球数と総発射数との差玉(特定差玉)のカウントの始期を、所謂初当たり(通常の遊技状態における当選に基づく大当たり)からとしてもよい。このような構成とすれば、初当たりに至るまでの特定差玉のマイナス分がカウントされないこととなり、遊技停止の契機となる特定差玉の数を、初当たり以降に増えた持ち球の数と同じにすることが可能である。
【0279】
また、過賞球防止手段を備える構成とした場合、遊技停止や発射停止の発動タイミングを、総賞球数と総発射数との差玉(特定差玉)が一定数に到達した連荘期間の終了時としてもよい。連荘期間とは、通常の遊技状態における当選に基づく大当たり遊技の開始から再び通常の遊技状態に戻るまで(若しくは通常の遊技状態に戻って特
図2の保留が無くなるまで)の遊技期間である。このような構成とした場合、連荘期間中に特定差玉が一定数を越えたときには、当該連荘期間が終了すると、遊技停止や発射停止となる旨の報知を、表示画面7aでの画像表示やランプ(枠ランプ66、盤ランプ5)の発光、スピーカ67からの音声出力によって行う構成とするとよい。
【0280】
なお上記では、総賞球数と総発射数との差玉(特定差玉)が一定数に到達したことに基づいて、遊技停止や発射停止を行ったが、その他の特定計測値に基づいて、遊技停止や発射停止を行うようにしてもよい。例えば、特定計測値は、総賞球数と総発射数との割合であるベース(例えば連荘期間中のベース)や、単に総賞球数(連荘期間中の総賞球数)としてもよく、総賞球数に基づく計測値であれば、適宜変更可能である。
【0281】
なお、「遊技者に有利な状態(有利遊技状態、有利状態、又は、特別遊技状態)」と言う場合、全ての大当たり遊技状態がこれに該当する構成でなくてもよい。例えば、その後に高確率状態に制御される予定の大当たり遊技状態が「遊技者に有利な状態」に該当する構成としたり、実質10R等の相対的に多くの賞球を獲得可能な大当たり遊技状態が「遊技者に有利な状態」に該当する構成としたりしてもよい。また、「遊技者に有利な状態」は、大当たり遊技状態のことではなく、小当たり遊技状態(小当たり遊技を実行している状態)のことであってもよく、また、高確率状態や高ベース状態(時短状態)のことであってもよい。2種大当たりを搭載している遊技機では、小当たり遊技状態と当該小当たり遊技状態における特定領域39への遊技球の通過に基づく大当たり遊技状態との一連の遊技状態を、遊技者に有利な状態としてもよい。また、「遊技者に有利な状態」を高確率状態や高ベース状態(時短状態)のこととする場合には、「遊技者に有利な状態」になることに期待させる種々の演出は、特別図柄の変動表示中の演出に限らず、大当たり遊技中の演出など、他のタイミングで行われる演出であってもよい。
【0282】
11.本明細書に開示されている発明
この[発明を実施するための形態]における前段落までには、以下の発明が開示されている。以下の説明では、実施形態における対応する構成の名称や表現、図面に使用した符号を参考のためにかっこ書きで付記している。但し、各発明の構成要素はこの付記に限定されるものではない。なお、発明Aは、以下の発明A1~A4の総称である。
【0283】
発明A1:
所定の識別図柄(特
図1)を変動表示したあと、所定の抽選(特
図1の抽選)の結果を示す態様で停止表示する図柄表示手段と、
前記所定の抽選の結果が特定の結果(大当たり)になった場合に、複数種類の特典の何れかを付与可能な特典付与手段と、
第1の遊技状態(非時短状態(通常遊技状態))と、前記第1の遊技状態とは前記特定の結果になった場合に付与される前記特典の振分率が異なる第2の遊技状態(微時短状態)とを含む複数の遊技状態の何れかに設定可能な遊技状態設定手段と、を備え、
前記第1の遊技状態において前記識別図柄の変動表示が第1回数(1回)行われる第1遊技と、前記第2の遊技状態において前記識別図柄の変動表示が前記第1回数と同じ又は異なる第2回数(1回)行われる第2遊技とが交互に繰り返されるよう構成されている(
図38参照)ことを特徴とする遊技機。
【0284】
この構成の遊技機によれば、第1の遊技状態と第2の遊技状態とが予定された変動回数で交互に切り替わるため、複数の始動口に遊技球を振り分ける装置を特段設けることなく、特定の結果になった場合の特典の振分率が異なる抽選が交互に繰り返されるゲーム性を実現することが可能である。
【0285】
発明A2:
発明A1に記載の遊技機であって、
前記遊技状態設定手段は、可変始動口(第2始動口21)に遊技球が入球し易い入球サポート状態(通常時短状態)と、前記入球サポート状態よりも前記可変始動口に遊技球が入球し難い非入球サポート状態(非時短状態、微時短状態)とに設定可能であり、
前記非入球サポート状態には、前記第1の遊技状態(非時短状態)と、前記第1の遊技状態とは前記可変始動口への入球し易さに関する設定が異なる前記第2の遊技状態(微時短状態)とが含まれ(
図11参照)、
前記所定の抽選の結果には、遊技者に有利な特別遊技(大当たり遊技)の実行契機となる前記特定の結果(大当たり)と、前記特別遊技を行うことなく前記第2の遊技状態に設定する契機となる非特定の結果(特殊ハズレ(ハズレ図柄A))とを含み、前記特別遊技の実行契機にも前記第2の遊技状態の設定契機にもならないハズレを含まない(
図8(A)、
図10参照)ことを特徴とする遊技機。
【0286】
この構成の遊技機によれば、所定の抽選の結果に通常のハズレを含まないため、第1の遊技状態における1回目の所定の抽選で特定の結果とならなかった場合には、必ず非特定の結果に基づいて第2の遊技状態に設定されることになる。よって、第1の遊技状態で識別図柄の変動表示が1回行われると第2の遊技状態にスムーズに移行するテンポの良いゲーム性を実現することができ、遊技興趣の向上が見込める。
【0287】
発明A3:
発明A2に記載の遊技機であって、
前記遊技状態設定手段は、前記第2の遊技状態(微時短状態)における前記識別図柄の変動表示の実行回数が前記第2回数に至ると当該第2の遊技状態を終了して前記第1の遊技状態(非時短状態)に設定することが可能であり、
前記第2回数と前記第1回数とは共に1回である(
図38参照)ことを特徴とする遊技機。
【0288】
この構成の遊技機によれば、第2の遊技状態において識別図柄の変動表示が1回行われると第2の遊技状態が終了して第1の遊技状態に設定されるため、1変動毎に第1の遊技状態と第2の遊技状態とが入れ替わることとなる。よって、特定の結果となったときの特典の振分率が1変動毎に変わるゲーム性を、所謂8チャッカ―のような均等振分装置(特
図1に係る始動口と特
図2に係る始動口とに1球ずつ遊技球を振り分ける装置)を用いることなく実現することが可能である。
【0289】
発明A4:
発明A1から発明A3までの何れかに記載の遊技機であって、
前記第1の遊技状態であるときも前記第2の遊技状態であるときも同じ演出モード(通常演出モード、
図39(A)参照)に設定されることを特徴とする遊技機。
【0290】
この構成の遊技機によれば、内部的に第1の遊技状態と第2の遊技状態とが入れ替わっていても同じ演出モードに設定されたままであるため、遊技者には同じ遊技状態のまま遊技が進行しているように思わせることが可能である。
【0291】
ところで従来より、遊技機の一例であるパチンコ遊技機として、例えば特許第6458219号公報に記載されているように、第1特図に係る第1始動口と第2特図に係る第2始動口とに交互に遊技球を振り分ける振分装置(所謂8チャッカ―)を有し、第1始動口への入球に基づく大当たりよりも第2始動口への入球に基づく大当たりの方が賞球の獲得に関して有利になっている遊技機が知られている。しかしながら、特許第6458219号公報に記載されている遊技機では、賞球の獲得に関する有利さが異なる抽選を交互に繰り返すために所謂8チャッカ―のような専用の装置を必要としており、この点に改良の余地があった。
【0292】
上記した発明Aは、特許第6458219号公報に記載の遊技機に対して、「第1の遊技状態において識別図柄の変動表示が第1回数行われる第1遊技と、第1の遊技状態とは特定の結果になった場合に付与される特典の振分率が異なる第2の遊技状態において識別図柄の変動表示が第1回数と同じ又は異なる第2回数行われる第2遊技とが交互に繰り返されるよう構成されている」という点で相違している。これにより、発明Aは、遊技球を振り分ける装置を設けることなく、特定の結果になった場合の特典の振分率が異なる抽選が交互に繰り返されるゲーム性を実現することが可能である。
【符号の説明】
【0293】
1…パチンコ遊技機
7…画像表示装置
20…第1始動口
21…第2始動口(可変始動口)
81…遊技制御用マイコン
91…演出制御用マイコン