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特開2024-98620放射性廃棄物処分場の坑道の埋戻し構造と埋戻し方法
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  • 特開-放射性廃棄物処分場の坑道の埋戻し構造と埋戻し方法 図1
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024098620
(43)【公開日】2024-07-24
(54)【発明の名称】放射性廃棄物処分場の坑道の埋戻し構造と埋戻し方法
(51)【国際特許分類】
   G21F 9/34 20060101AFI20240717BHJP
   G21F 9/36 20060101ALI20240717BHJP
   G21F 9/24 20060101ALI20240717BHJP
【FI】
G21F9/34 C
G21F9/36 541D
G21F9/36 541M
G21F9/36 541Z
G21F9/36 541E
G21F9/24
【審査請求】未請求
【請求項の数】2
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023002217
(22)【出願日】2023-01-11
(71)【出願人】
【識別番号】000206211
【氏名又は名称】大成建設株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100107766
【弁理士】
【氏名又は名称】伊東 忠重
(74)【代理人】
【識別番号】100070150
【弁理士】
【氏名又は名称】伊東 忠彦
(72)【発明者】
【氏名】八木 啓介
(72)【発明者】
【氏名】白瀬 光泰
(72)【発明者】
【氏名】磯 さち恵
(57)【要約】
【課題】坑道の坑壁と埋戻し材との間に未埋戻し領域や未転圧領域が生じることを抑制できる、放射性廃棄物処分場の坑道の埋戻し構造と埋戻し方法を提供する。
【解決手段】放射性廃棄物が収容されている放射性廃棄物処分場の坑道の埋戻し構造50であり、坑道10の坑壁11に近接する外側領域30Cと、坑壁11から離れた内側領域40Aがあり、外側領域30Cは、ベントナイト含有材料により形成される複数のブロック31が積層されてなる、ブロック積層体30A,30Bにより形成され、内側領域40Aは、ベントナイト含有材料により形成される埋戻し材が転圧されてなる、複数の転圧層37が積層された、転圧層積層体により形成されており、坑道10に浸入した地下水により、少なくともブロック積層体30Cの一部もしくは全部が膨潤し、膨潤したブロック積層体30Cが坑壁11を押圧した状態で密着している。
【選択図】図4
【特許請求の範囲】
【請求項1】
放射性廃棄物が収容されている、放射性廃棄物処分場の坑道の埋戻し構造であって、
前記坑道の長手方向に直交する横断面において、該坑道の坑壁に近接する外側領域と、該坑壁から離れた内側領域があり、
前記外側領域は、ベントナイト含有材料により形成される複数のブロックが積層されてなる、ブロック積層体により形成され、
前記内側領域は、ベントナイト含有材料により形成される埋戻し材が転圧されてなる、複数の転圧層が積層された、転圧層積層体により形成されており、
前記坑道に浸入した地下水により、少なくとも前記ブロック積層体の一部もしくは全部が膨潤し、膨潤した該ブロック積層体が前記坑壁を押圧した状態で密着していることを特徴とする、放射性廃棄物処分場の坑道の埋戻し構造。
【請求項2】
放射性廃棄物が収容されている、放射性廃棄物処分場の坑道の埋戻し方法であって、
前記坑道の長手方向に直交する横断面において、該坑道の坑壁に近接する外側領域と、該坑壁から離れた内側領域があり、
前記内側領域に、ベントナイト含有材料により形成される埋戻し材を充填し、その側方の前記外側領域に、ベントナイト含有材料により形成されるブロックを配設し、該埋戻し材を転圧することにより、転圧層と、該転圧層の側方にあって該転圧層からの押圧力を受けて前記坑壁を押圧する該ブロックとからなる、層状分割層を形成し、該層状分割層を、前記埋戻し材の転圧が可能な転圧可能領域において順次施工して、層状分割層積層体を形成する、A工程と、
前記層状分割層積層体の上方の転圧不可能領域である前記外側領域に、複数の前記ブロックを積層して、ブロック積層体を形成することにより、該ブロック積層体と前記転圧可能領域における前記ブロックとにより前記外側領域を形成し、積層した前記転圧層により前記内側領域を形成する、B工程と、
前記坑道に浸入した地下水により、少なくとも前記ブロック積層体と前記転圧可能領域における前記ブロックの一部もしくは全部を膨潤させ、前記坑壁に対して膨潤した該ブロック積層体と該ブロックを押圧した状態で密着させる、C工程とを有することを特徴とする、放射性廃棄物処分場の坑道の埋戻し方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、放射性廃棄物処分場の坑道の埋戻し構造と埋戻し方法に関する。
【背景技術】
【0002】
高レベル放射性廃棄物(以下、放射性廃棄物という)は、ガラス原料とともに溶解されてガラス固化体とされ、ガラス固化体は鋼製のオーバーパックに収容され、オーバーパックはPEM(Prefabricated Engineered Barrier System Module)と呼ばれる中空円柱状で鋼製の収容容器の内部を満たす緩衝材の内部に収容され、最終処分場を構成する地下深層(例えば地下300m以深)にある地下坑道(処分坑道もしくは坑道)にPEMが定置されることにより、地層処分されることが検討されている。
オーバーパックは、ガラス固化体に対する地下水の接触を抑制し、外圧からガラス固化体を保護する作用を有している。一方、緩衝材は、ベントナイトと珪砂の混合物を所定の密度に圧縮成形したものであり、ガラス固化体から地中へ放射性物質が溶出することを抑制し、地層変位の際には自身の物理的緩衝機能と化学的緩衝機能とによりガラス固化体を保護する作用を有している。
最終処分場では、地上から地下深層に延設する立坑が施工され、立坑から例えば水平方向に延設する複数の坑道が施工される。PEMが定置される坑道は、例えば岩盤を掘削することにより造成された天然バリアとして機能する。一方、オーバーパック、緩衝材及びPEMは人工バリアとして機能し、これら天然バリアと人工バリアの多重バリアの内部に放射性廃棄物が封入され、格納されることになる。
【0003】
坑道におけるPEMの定置に関しては、主として、横置き方式を前提に検討が進められている。ここで、横置き方式とは、坑道に台座を置き、各台座の上にそれぞれ複数のPEMを寝かせた状態で定置する定置方式である。
一方、竪置き方式では、例えば水平方向に数百m以上に亘って延設する坑道の長手方向において、間隔を置いて複数の竪孔(処分孔)を造成し、各処分孔にオーバーパック及びブロック状に成形した緩衝材を収容する定置方式として検討が進められている。
竪置きと横置きのいずれの定置方式であっても、定置後の人工バリアの品質が安定した定置姿勢を確保するべく、坑道(や処分孔)における孔壁との間の隙間は、埋戻し材(もしくは充填材)により閉塞されることが検討されている。この埋戻し材には、粒状ベントナイトや球体状ベントナイト等のペレット状のベントナイト(ベントナイトの単体、ベントナイトを主成分とした混合材)に代表される粘土系材料が一般に適用される計画として、検討が進められている。
【0004】
人工バリアが最終処分場において定置された後は、合理的な安全管理を継続する観点から、最終処分場の閉鎖までの間における放射性廃棄物を含む廃棄物の回収可能性の確保も国の方針として義務付けられている。従って、放射性廃棄物の地層処分においては、人工バリア定置後、坑道を埋戻して閉塞するステージと、坑道内に埋戻された埋戻し材を掘削除去して埋戻し材の内部にある廃棄体を回収するステージも想定されている。坑道内に埋戻された埋戻し材は、定置後に浸入する地下水によって膨潤し、坑道内が膨潤した埋戻し材によって密実に閉塞されることになる。
【0005】
上記するPEMの定置方式のうち、横置きの定置方式は、竪置きの定置方式のように坑道とは別の処分孔の造成を不要にできることから、より効率的な品質管理の実現を可能にする。この横置き方式において、延長が数百m以上に亘る坑道に対して、一基のPEMの横置きと、孔壁とPEMの間の隙間への埋戻し材の埋戻しを一つの施工ユニットとして、この施工ユニットを坑道の切羽側(奥側)から坑道の孔口(立坑との連結口)に向かって順次繰り返す方法が実施され得る。
【0006】
ところで、坑道の横断面形状は一般に、馬蹄形や円形であるが、このような横断面形状の坑道にPEMを横置きし、坑道とPEMの間に埋戻し材を埋戻す方法では、坑道の坑壁の近傍への埋戻し材の十分な埋戻しや、その十分な転圧を図り難いことから、坑壁の近傍に埋戻し材の未埋戻し領域や未転圧領域が生じ易くなる。このように、坑道に埋戻し材の未埋戻し領域や未転圧領域が生じると、地下水流動による放射性核種の移行経路となり得ることから好ましくない。
以上のことから、坑道の坑壁と埋戻し材との間に未埋戻し領域や未転圧領域が生じることを抑制できる、放射性廃棄物処分場の坑道の埋戻し構造と埋戻し方法が望まれる。
【0007】
ここで、特許文献1には、坑道とPEMの間の隙間に隙間充填材を充填する方法が提案されている。具体的には、隙間充填材を隙間に充填する前に、隙間の内面を乾燥又は凍結させる方法であり、その具体的な方法として、乾燥もしくは冷却された気体を隙間に送入し、循環させることによって、隙間の内面を乾燥もしくは凍結させることにしている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0008】
【特許文献1】特開2012-132867号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0009】
特許文献1に記載の隙間充填材の充填方法によれば、岩盤から坑道に地下水が浸出するような場合であっても、ペレット状のベントナイト系材料からなる隙間充填材を地下水の影響を受けることなしに隙間の全体に確実に送り込み、充填することができるとしている。
しかしながら、特許文献1に記載の充填方法には、上記する課題、すなわち、坑道の坑壁と埋戻し材との間に未埋戻し領域や未転圧領域が生じることを抑制する手段の開示はない。
【0010】
本発明は、坑道の坑壁と埋戻し材との間に未埋戻し領域や未転圧領域が生じることを抑制できる、放射性廃棄物処分場の坑道の埋戻し構造と埋戻し方法を提供することを目的としている。
【課題を解決するための手段】
【0011】
前記目的を達成すべく、本発明による放射性廃棄物処分場の坑道の埋戻し構造の一態様は、
放射性廃棄物が収容されている、放射性廃棄物処分場の坑道の埋戻し構造であって、
前記坑道の長手方向に直交する横断面において、該坑道の坑壁に近接する外側領域と、該坑壁から離れた内側領域があり、
前記外側領域は、ベントナイト含有材料により形成される複数のブロックが積層されてなる、ブロック積層体により形成され、
前記内側領域は、ベントナイト含有材料により形成される埋戻し材が転圧されてなる、複数の転圧層が積層された、転圧層積層体により形成されており、
前記坑道に浸入した地下水により、少なくとも前記ブロック積層体の一部もしくは全部が膨潤し、膨潤した該ブロック積層体が前記坑壁を押圧した状態で密着していることを特徴とする。
【0012】
本態様によれば、内側領域が、ブロック積層体でなく、ベントナイト含有材料により形成される埋戻し材が転圧されてなる、複数の転圧層が積層された、転圧層積層体により形成されていることで、坑壁と膨潤したブロック積層体との密着姿勢を形成することができる。また、転圧層積層体の形成においては、中央側にある埋戻し材の転圧により、坑壁側にあるブロックが側方へ押し出されて坑壁と密着することから、埋戻し材の転圧が難しい坑壁側における施工を解消することができ、施工性が向上する。
【0013】
ここで、「坑道に浸入した地下水により、少なくともブロック積層体の一部もしくは全部が膨潤する」とは、坑壁側に形成されるブロック積層体の一部が膨潤する形態、ブロック積層体の全体が膨潤する形態、ブロック積層体の全体と転圧層積層体の一部が膨潤する形態、ブロック積層体と転圧層積層体の全体が膨潤する形態の全てを含んでいる。
尚、外側領域ブロック積層体を配設した後、例えば横断面形状が馬蹄形の坑壁と複数のブロックとの間には、僅かに隙間が生じ得る。この隙間には、ペレット状のベントナイトを間詰めしてもよいし、間詰めしなくてもよい。仮に、僅かな隙間が残った状態でも、本態様においては、ブロック積層体が地下水の浸入によって膨潤し、隙間を閉塞しながら、さらに坑壁を押圧して密着することができる。
【0014】
また、本発明による放射性廃棄物処分場の坑道の埋戻し方法の一態様は、
放射性廃棄物が収容されている、放射性廃棄物処分場の坑道の埋戻し方法であって、
前記坑道の長手方向に直交する横断面において、該坑道の坑壁に近接する外側領域と、該坑壁から離れた内側領域があり、
前記内側領域に、ベントナイト含有材料により形成される埋戻し材を充填し、その側方の前記外側領域に、ベントナイト含有材料により形成されるブロックを配設し、該埋戻し材を転圧することにより、転圧層と、該転圧層の側方にあって該転圧層からの押圧力を受けて前記坑壁を押圧する該ブロックとからなる、層状分割層を形成し、該層状分割層を、前記埋戻し材の転圧が可能な転圧可能領域において順次施工して、層状分割層積層体を形成する、A工程と、
前記層状分割層積層体の上方の転圧不可能領域である前記外側領域に、複数の前記ブロックを積層して、ブロック積層体を形成することにより、該ブロック積層体と前記転圧可能領域における前記ブロックとにより前記外側領域を形成し、積層した前記転圧層により前記内側領域を形成する、B工程と、
前記坑道に浸入した地下水により、少なくとも前記ブロック積層体と前記転圧可能領域における前記ブロックの一部もしくは全部を膨潤させ、前記坑壁に対して膨潤した該ブロック積層体と該ブロックを押圧した状態で密着させる、C工程とを有することを特徴とする。
【0015】
本態様によれば、内側領域を、ブロック積層体でなく、ベントナイト含有材料により形成される埋戻し材が転圧されてなる、複数の転圧層が積層された、転圧層積層体により形成することで、坑壁と膨潤したブロック積層体との密着姿勢を形成することができる。また、転圧層積層体の形成においては、中央側にある埋戻し材の転圧により、坑壁側にあるブロックが側方へ押し出されて坑壁と密着することから、埋戻し材の転圧が難しい坑壁側における施工を解消することができ、施工性を向上させることができる。
【発明の効果】
【0016】
本発明の放射性廃棄物処分場の坑道の埋戻し構造と埋戻し方法によれば、坑道の坑壁と埋戻し材との間に未埋戻し領域や未転圧領域が生じることを抑制できる。
【図面の簡単な説明】
【0017】
図1】実施形態に係る放射性廃棄物処分場の坑道の埋戻し方法の一例を説明する工程図である。
図2図1に続いて、実施形態に係る放射性廃棄物処分場の坑道の埋戻し方法の一例を説明する工程図である。
図3図2に続いて、実施形態に係る放射性廃棄物処分場の坑道の埋戻し方法の一例を説明する工程図である。
図4図3に続いて、実施形態に係る放射性廃棄物処分場の坑道の埋戻し方法の一例を説明する工程図であって、かつ、実施形態に係る坑道の埋戻し構造の一例を示す縦断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0018】
以下、実施形態に係る放射性廃棄物処分場の坑道の埋戻し構造と埋戻し方法について、添付の図面を参照しながら説明する。尚、本明細書及び図面において、実質的に同一の構成要素については、同一の符号を付することにより重複した説明を省く場合がある。
【0019】
[実施形態に係る放射性廃棄物処分場の坑道の埋戻し構造と埋戻し方法]
図1乃至図4を参照して、実施形態に係る放射性廃棄物処分場の坑道の埋戻し構造と埋戻し方法の一例について説明する。ここで、図1乃至図4は順に、実施形態に係る放射性廃棄物処分場の坑道の埋戻し方法の一例を説明する工程図であり、図4はさらに、実施形態に係る放射性廃棄物処分場の坑道の埋戻し構造の一例を示す縦断面図である。
【0020】
最終処分場においては、地下深層の岩盤層Gに通じる複数の立坑(図示略)が造成され、立坑を起点として、地下深層の岩盤層Gには例えば水平方向に延設する延長が数百mにも及ぶ放射性廃棄物処分場の坑道10が施工される。この坑道10は、岩盤Gを掘削して造成された孔壁に対して吹付けコンクリートからなる坑壁11が施工され、必要に応じて不図示の鋼製支保工やロックボルトを施工することにより構築される。
【0021】
図示例の坑道10は、その軸方向に直交する軸直交方向の横断面形状が馬蹄形を呈しており、下方には鉄筋コンクリート製のインバート12が施工されている。ここで、坑道10の断面形状は、図示例以外にも、円形や楕円形、矩形等、様々な形状が適用できる。
【0022】
インバート12の上には、不図示の収容容器が、坑道10の軸直交方向の断面において横断面の中央位置もしくは略中央位置に位置決めされ、坑道10の軸方向に間隔を置いて間欠的に横置きされる。ここで、各収容容器が間隔を置くことなく、連続的に横置きされてもよい。この収容容器は放射性廃棄物を収容したPEMであり、複数のPEMが横置き方式にて地層処分される処分形態である。中空円柱状で鋼製のPEMの内部には、緩衝材が充填されており、放射性廃棄物がガラス原料とともに溶解されてできたガラス固化体を封入する鋼製のオーバーパックが、緩衝材の内部に収容されている。
【0023】
まず、図1に示すように、インバート12の上方の内側に、ペレット状のベントナイト含有材料により形成される埋戻し材を充填し、埋戻し材の側方に、ベントナイト含有材料により形成される複数のブロック31を配設する。
【0024】
次に、中央に配設されている埋戻し材を上方から転圧力Qにて転圧することにより、転圧層37を形成する。この転圧層37の形成により、転圧層37の側方にある複数のブロック31は、転圧層37から側方へX1'方向に押圧力を受け、坑壁11をX1方向に押圧して密着する。そして、転圧層37と、左右のブロック31とにより、層状分割層42が形成される。
【0025】
図2に示すように、層状分割層42の形成を鉛直方向へX2方向に順次行う。より詳細には、坑道10内において転圧が可能な転圧可能領域の範囲で複数の層状分割層42を順次形成することにより、中央にある転圧層積層体40Aと、その左右にあるブロック積層体30Aとにより構成される、層状分割層積層体45を形成する(以上、A工程)。
【0026】
次に、図3に示すように、転圧層積層体40Aの上方であって、転圧が不可能な転圧不可能領域において、複数のブロック31を積層してブロック積層体30Bを形成する。ここで、各工程におけるブロック31の積層施工は、例えば不図示のフォークリフトを適用する。ここで、ブロック31と坑壁11との間には僅かな隙間Sが生じ得る。
【0027】
この施工により、転圧可能領域におけるブロック積層体30Aと転圧不可能領域におけるブロック積層体30Bとにより、外側領域30Cを形成し、転圧層積層体40Aにより内側領域を形成する(以上、B工程)。
【0028】
A工程とB工程により、実際の施工は終了する。その後、図4に示すように、時間の経過とともに地下水が坑壁11の内部へX3方向に浸入することにより、外側領域30Cを形成するブロック積層体30A,30Bと、例えば転圧層積層体40Aの一部が膨潤する。この膨潤により、ブロック積層体30A,30Bが隙間Sを閉塞し、さらに坑壁11を押圧した状態で密着し、坑道の埋戻し構造50が形成される(以上、C工程)。
【0029】
図示する坑道の埋戻し方法によれば、転圧可能領域であっても転圧が難しい坑壁11側の領域においては、ブロック31が転圧層37からの押圧力を受けて坑壁11を押圧しながら密着できることから、地下水の浸入によってより強固な密着状態を形成することができる。
【0030】
尚、上記実施形態に挙げた構成等に対し、その他の構成要素が組み合わされるなどした他の実施形態であってもよく、ここで示した構成に本発明が何等限定されるものではない。この点に関しては、本発明の趣旨を逸脱しない範囲で変更することが可能であり、その応用形態に応じて適切に定めることができる。
【符号の説明】
【0031】
10:坑道
11:坑壁
12:インバート
30A,30B:ブロック積層体
30C:ブロック積層体(外側領域)
30D:ブロック積層体(転圧不可能領域)
31:ブロック
37:転圧層
40A:転圧層積層体(内側領域)
42:層状分割層
45:層状分割層積層体
50:坑道の埋戻し構造(埋戻し構造)
S:隙間
G:岩盤層(岩盤)
図1
図2
図3
図4