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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024098622
(43)【公開日】2024-07-24
(54)【発明の名称】管理システム
(51)【国際特許分類】
   G06Q 10/0639 20230101AFI20240717BHJP
   G06Q 50/08 20120101ALI20240717BHJP
【FI】
G06Q10/0639
G06Q50/08
【審査請求】未請求
【請求項の数】7
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023002220
(22)【出願日】2023-01-11
(71)【出願人】
【識別番号】505194686
【氏名又は名称】株式会社日立ソリューションズ西日本
(74)【代理人】
【識別番号】110000176
【氏名又は名称】弁理士法人一色国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】野口 明宏
(72)【発明者】
【氏名】陣内 佳宗
(72)【発明者】
【氏名】相田 理恵子
(72)【発明者】
【氏名】大串 博
(72)【発明者】
【氏名】伊藤 和宏
(72)【発明者】
【氏名】宮地 孝夫
【テーマコード(参考)】
5L010
5L049
5L050
【Fターム(参考)】
5L010AA10
5L049AA10
5L049CC07
5L050CC07
(57)【要約】      (修正有)
【課題】作業員の労務をより正確に管理する管理システムを提供する。
【解決手段】ユーザが所持する携帯端末に付帯させた1又は複数のセンサを備えるIoTデバイス10と、労務管理サーバ30と、が通信ネットワークにより通信可能に接続される労務管理システム1であって、デバイスは、センサ17が計測したセンサ値のデータであるセンサ値データを労務管理サーバに送信するセンサ値データ送信部101を備える。労務管理サーバは、プロセッサ及びメモリを有し、センサ値データを受信し、受信したセンサ値データに基づいて、ユーザが行っている勤務の種類を分析する勤務状況分析部401を備える。
【選択図】図2
【特許請求の範囲】
【請求項1】
ユーザが所持する携帯端末に付帯させた1又は複数のセンサを備えるデバイスと、管理
サーバとを備える管理システムであって、
前記デバイスは、前記センサが計測したセンサ値のデータであるセンサ値データを前記
管理サーバに送信するセンサ値データ送信部を備え、
前記管理サーバは、
プロセッサ及びメモリを有し、
前記センサ値データを受信し、受信した前記センサ値データに基づいて、前記ユーザが
行っている勤務の種類を分析する分析部を備える
管理システム。
【請求項2】
ユーザが所持する携帯端末に付帯させた1又は複数のセンサを備えるデバイスと、管理
サーバとを備える管理システムであって、
前記デバイスは、前記デバイスと前記携帯端末との間の通信の状況を示す通信状況デー
タを取得し、取得した通信状況データを、前記管理サーバに送信する通信状況データ送信
部を備え、
前記管理サーバは、
プロセッサ及びメモリを有し、
前記通信状況データを受信し、受信した前記通信状況データに基づいて、前記デバイス
が前記ユーザに付帯されているか否かを判定する判定部を備える
管理システム。
【請求項3】
前記管理サーバは、前記センサ値の範囲を示す範囲データを記憶し、
前記分析部は、前記センサ値データが示すセンサ値が、前記範囲データが示す範囲内で
ある場合に、前記ユーザが所定の種類の勤務を行っていると判定する
請求項1に記載の管理システム。
【請求項4】
前記分析部は、高度センサ、放射線センサ、気圧センサ、光センサ、又は、圧力センサ
が計測したセンサ値が、前記範囲データが示す範囲内にあるか否かを判定して勤務の種類
を判定する
請求項3に記載の管理システム。
【請求項5】
前記分析部は、前記ユーザによる所定の種類の勤務の勤務時間の合計と、前記所定の種
類の勤務に設けられた制限時間との差が所定の時間以下になると、前記ユーザにアラート
を通知する
請求項1に記載の管理システム。
【請求項6】
前記通信状況データ送信部は、前記通信状況データとして、前記携帯端末に対する通信
の応答時間、前記携帯端末からの受信電波強度、又は前記携帯端末との距離のデータを取
得し、
前記判定部は、前記携帯端末に対する通信の応答時間、前記携帯端末からの受信電波強
度、又は、前記携帯端末との距離が、所定の範囲外である場合に、前記デバイスが前記ユ
ーザに付帯されていないと判定する
請求項2に記載の管理システム。
【請求項7】
前記通信状況データ送信部は、ランダムな時間間隔で前記通信状況データを取得し、取
得した通信状況データを前記管理サーバに送信する
請求項2に記載の管理システム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、管理システムに関する。
【背景技術】
【0002】
建設業を始めとする、現場での作業が多い業種では、作業員の作業時間を裏付ける客観
的なデータが不足しているため、作業員の申告に基づいて労務の管理を行っている。一方
で、危険や困難を伴うことで身体的又は精神的な負担が大きい特殊勤務は、日単位の勤務
時間の制限が法律で定められている場合がある。また、特殊勤務は、特殊勤務手当の支給
対象にもなるため、より厳密に労務管理を行う必要がある。しかしながら、上述したよう
に、作業員の作業時間を裏付ける客観的なデータが不足しているため、実施した特殊勤務
の種類又は作業時間帯の把握等を厳密に行うことが困難である。
【0003】
このような問題に対し、特許文献1には、作業員がビーコンを着用し、ビーコンが発信
したデータを活用して、各作業員の作業実績を管理する技術が開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】国際公開第2019/130479号
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、特許文献1に記載の技術では、例えば、1人の作業員が複数のビーコン
を着用して作業する等の、作業員によるデバイス(ビーコン又はセンサ等)の不正利用が
あった場合には、誤った勤怠の情報が登録されるおそれがある、という問題がある。
【0006】
本発明は、このような事情に鑑みてなされたものであり、その目的は、作業員の労務を
より正確に管理することができる管理システムを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上記課題を解決するための本発明の一つは、ユーザが所持する携帯端末に付帯させた1
又は複数のセンサを備えるデバイスと、管理サーバとを備える管理システムであって、前
記デバイスは、前記センサが計測したセンサ値のデータであるセンサ値データを前記管理
サーバに送信するセンサ値データ送信部を備え、前記管理サーバは、プロセッサ及びメモ
リを有し、前記センサ値データを受信し、受信した前記センサ値データに基づいて、前記
ユーザが行っている勤務の種類を分析する分析部を備える管理システムである。
【発明の効果】
【0008】
本発明によれば、作業員の労務をより正確に管理することができる。
上記した以外の構成及び効果等は、以下の実施形態の説明により明らかにされる。
【図面の簡単な説明】
【0009】
図1】本実施形態における労務管理システムの構成例を示す図である。
図2】本実施形態における労務管理システムが備えるIoTデバイス及び労務管理サーバの機能の一例を示すブロック図である。
図3】特殊勤務手当一覧テーブルの一例を示す図である。
図4】勤務地データテーブルの一例を示す図である。
図5】範囲データテーブルの一例を示す図である。
図6】通信閾値テーブルの一例を示す図である。
図7】勤怠管理テーブルの一例を示す図である。
図8】センサ値データテーブルの一例を示す図である。
図9】通信状況データテーブルの一例を示す図である。
図10】勤務状況分析処理の詳細を説明する処理フロー図である。
図11】通信状況データ送信処理の詳細を説明する処理フロー図である。
図12】不正利用判定処理の詳細を説明する処理フロー図である。
【発明を実施するための形態】
【0010】
以下、図面を参照して、本発明の実施形態について詳細に説明する。以下の記載および
図面は、本発明を説明するための例示であって、説明の明確化のため、適宜、省略および
簡略化がなされている。本発明は、他の種々の形態でも実施する事が可能である。特に限
定しない限り、各構成要素は単数でも複数でも構わない。
図面において示す各構成要素の位置、大きさ、形状、範囲などは、発明の理解を容易に
するため、実際の位置、大きさ、形状、範囲などを表していない場合がある。このため、
本発明は、必ずしも、図面に開示された位置、大きさ、形状、範囲などに限定されない。
以下の説明では、「テーブル」、「リスト」、「キュー」等の表現にて各種情報を説明
することがあるが、各種情報は、これら以外のデータ構造で表現されていてもよい。デー
タ構造に依存しないことを示すために「XXテーブル」、「XXリスト」等を「XX情報
」と呼ぶことがある。識別情報について説明する際に、「識別情報」、「識別子」、「名
」、「ID」、「番号」等の表現を用いるが、これらについてはお互いに置換が可能であ
る。
同一あるいは同様な機能を有する構成要素が複数ある場合には、同一の符号に異なる添
字を付して説明する場合がある。ただし、これらの複数の構成要素を区別する必要がない
場合には、添字を省略して説明する場合がある。
また、以下の説明では、プログラムを実行して行う処理を説明する場合があるが、プロ
グラムは、プロセッサ(例えばCPU、GPU)によって実行されることで、定められた
処理を、適宜に記憶資源(例えばメモリ)および/またはインターフェースデバイス(例
えば通信ポート)等を用いながら行うため、処理の主体がプロセッサとされてもよい。同
様に、プログラムを実行して行う処理の主体が、プロセッサを有するコントローラ、装置
、システム、計算機、ノードであってもよい。プログラムを実行して行う処理の主体は、
演算部であれば良く、特定の処理を行う専用回路(例えばFPGAやASIC)を含んで
いてもよい。
プログラムは、プログラムソースから計算機のような装置にインストールされてもよい
。プログラムソースは、例えば、プログラム配布サーバまたは計算機が読み取り可能な記
憶メディアであってもよい。プログラムソースがプログラム配布サーバの場合、プログラ
ム配布サーバはプロセッサと配布対象のプログラムを記憶する記憶資源を含み、プログラ
ム配布サーバのプロセッサが配布対象のプログラムを他の計算機に配布してもよい。また
、以下の説明において、2以上のプログラムが1つのプログラムとして実現されてもよい
し、1つのプログラムが2以上のプログラムとして実現されてもよい。
【0011】
<システム構成>
図1は、本実施形態における労務管理システム1の構成例を示す図である。労務管理シ
ステム1(管理システム)は、現場(例えば、建設現場等)で作業する作業員U(ユーザ
)の勤務状況を自動的に特定するシステムである。労務管理システム1は、ユーザが所持
する携帯端末20に付帯させたIoT(Internet of Things)デバイス10(デバイス)
、及び、労務管理サーバ30(管理サーバ)を含んで構成される。
【0012】
IoTデバイス10及び携帯端末20の間は、例えば、LPWA(Low Power Wide Are
a)又はBluetooth(登録商標)等の無線通信により通信可能に接続される。ま
た、携帯端末20及び労務管理サーバ30の間は、例えば、携帯電話網、インターネット
、LAN(Local Area Network)、WAN(Wide Area Network)、又は専用線等の有線
又は無線の通信ネットワークNにより通信可能に接続される。
【0013】
携帯端末20は、例えば、スマートフォン又は携帯電話機等の、作業員Uが勤務中に携
帯可能な形状又は重量等を有する通信端末である。携帯端末20は、作業員Uが行う勤務
に関する情報を送受信する。作業員Uは、勤務規定等で、勤務中に携帯端末20を所持す
ることが義務づけられている。
【0014】
IoTデバイス10は、従業員Uが所定の特殊勤務中であることを特定するための、1
又は複数のセンサを備える電子機器である。作業員Uは、この特殊勤務の特定のために、
IoTデバイス10の所持を義務づけられている。本実施形態では、特殊勤務とは、法令
で定める特殊勤務手当の支給対象となる勤務である。
【0015】
IoTデバイス10は、一例として、CPU(Central Processing Unit)等の処理装
置11と、RAM(Random Access Memory)、ROM(Read Only Memory)等のメモリ1
2と、HDD(Hard Disk Drive)、SSD(Solid State Drive)等の記憶装置13と、
操作ボタン等の入力装置14と、ディスプレイ等の出力装置15と、NIC(Network Int
erface Card)、又は無線通信モジュール等で構成される通信装置16と、1又は複数のセ
ンサ17等を備える。
【0016】
労務管理サーバ30は、作業者Uの勤務状況を管理するための各種機能を実行する情報
処理装置である。労務管理サーバ30は、1又は複数のコンピュータから構成される。
【0017】
労務管理サーバ30は、一例として、CPU等の処理装置31と、RAM、ROM等の
メモリ32と、HDD、SSD等の記憶装置33と、キーボード、マウス、又はタッチパ
ネル等の入力装置34と、ディスプレイ又はプリンタ等の出力装置35と、NIC(Netwo
rk Interface Card)、無線通信モジュール、USB (Universal Serial Interface)モジ
ュール、又はシリアル通信モジュール等で構成される通信装置36等を備える。
【0018】
続いて、労務管理システム1の機能構成について説明する。
図2は、労務管理システム1が備えるIoTデバイス10及び労務管理サーバ30の機
能の一例を示すブロック図である。
【0019】
<IoTデバイス>
本実施形態では、IoTデバイス10は、センサ17の一例として、高度センサ171
、放射線センサ172、気圧センサ173、光センサ174、及び圧力センサ175を備
える。以下、説明の便宜を図るため、高度センサ171、放射線センサ172、気圧セン
サ173、光センサ174、及び圧力センサ175を総称して「センサ17」と記す。
【0020】
また、IoTデバイス10は、通信装置16を構成する無線通信モジュールとして、第
1の無線通信方式で無線通信する第1通信部161、及び、第1の無線通信方式と異なる
第2の無線通信方式で無線通信する第2通信部162を備える。第1の無線通信方式は、
例えば、LPWA等の低消費電力な、IoTデバイス10に適した通信方式である。第2
の無線通信方式は、例えば、Bluetooth(登録商標)等の、デバイス間の距離が
測定可能な近距離無線通信方式である。
【0021】
また、IoTデバイス10は、センサ値データ送信部101、及び通信状況データ送信
部102のそれぞれを実現するプログラムを予め記憶装置13に記憶している。IoTデ
バイス10は、予め記憶装置13に記憶されるプログラムを処理装置11がメモリ12に
ロードして実行することにより、センサ値データ送信部101、及び通信状況データ送信
部102のそれぞれの各機能を実現する。
【0022】
センサ値データ送信部101は、第1の時間間隔(例えば、1分毎)で、高度センサ1
71、放射線センサ172、気圧センサ173、光センサ174、及び圧力センサ175
のそれぞれから、各センサ17が計測したセンサ値を取得する。そして、センサ値データ
送信部101は、取得した各センサ値を、取得した日時に対応付けて、センサ値データと
してメモリ12又は記憶装置13に書き込んで蓄積する。また、センサ値データ送信部1
01は、第1の時間間隔より長い第2の時間間隔(例えば、30分毎)で、蓄積したセン
サ値データに自装置のデバイスIDを付加し、携帯端末20を介して、労務管理サーバ3
0に送信する。デバイスIDは、各IoTデバイス10を識別する識別情報である。
【0023】
また、例えば、センサ値データ送信部101は、通信装置16を介して、蓄積したセン
サ値データを携帯端末20に送信する。ここで送信するセンサ値データは、第2の時間間
隔の間に蓄積したデータである。例えば、第1の時間間隔が1分であり、第2の時間間隔
が30分である場合、センサ値データ送信部101は、直近30分間に蓄積した、各セン
サ17それぞれの1分毎のセンサ値(すなわち、各センサ17それぞれ30個分のセンサ
値)を含むセンサ値データを送信する。このように、センサ値データの送信間隔(第2の
時間間隔)をセンサ値の取得間隔(第1の時間間隔)よりも長くすることで、IoTデバ
イス10の通信負荷を低減することができる。
【0024】
通信状況データ送信部102は、ランダムな時間間隔(例えば、15分前後のランダム
な時間間隔)で、第1通信部161及び第2通信部162を介して携帯端末20と無線通
信し、当該無線通信の状況(携帯端末20に対する通信の応答時間、及び携帯端末20と
の間の距離)を取得する。具体的には、通信状況データ送信部102は、第1通信部16
1を介して第1の無線通信方式で携帯端末20に所定のリクエスト(例えば、接続要求等
)を送信し、リクエスト(要求)を送信してからそのレスポンス(応答)を受信するまで
の応答時間(以下、「通信時間」とする。)を計測する。また、通信状況データ送信部1
02は、第2通信部162を介して第2の無線通信方式で携帯端末20と無線通信し、携
帯端末20からの受信電波強度に基づいて、IoTデバイス10と携帯端末20との間の
距離を計測する。なお、通信状況データ送信部102は、例えば、HTTP(Hypertext
Transfer Protocol)又はCoAP(Constrained Application Protocol)等の任意のプロト
コルにより携帯端末20と無線通信する。そして、通信状況データ送信部102は、自装
置のデバイスID、計測した通信時間及び距離を含む通信状況データを、携帯端末20を
介して、労務管理サーバ30に送信する。
【0025】
なお、センサ値データ送信部101は、携帯端末20を介さずに各種のデータを直接労
務管理サーバ30に送信してもよい。
【0026】
<労務管理サーバ>
労務管理サーバ30は、勤務状況分析装置40、及び勤怠管理システム50を備える。
【0027】
勤務状況分析装置40は、センサ値データに基づいて作業員Uの勤務状況を分析する勤
務状況分析処理、及び、通信状況データに基づいて作業員UによるIoTデバイス10の
不正利用の可能性の有無を判定する不正利用判定処理を実行する。IoTデバイス10の
不正利用とは、作業員UがIoTデバイス10を利用して勤務状況を改ざんする行為であ
る。例えば、1人の作業員Uが、他の作業員UのIoTデバイス10を含めた複数のIo
Tデバイス10を所持して特殊勤務を行い、他の作業員Uも特殊勤務を実施しているかの
ように偽装する行為が、IoTデバイス10の不正利用に該当する。
【0028】
勤務状況分析装置40は、勤務状況分析部401(分析部)、及び不正利用判定部40
2(判定部)のそれぞれを実現するプログラムを予め記憶装置33に記憶している。勤務
状況分析装置40は、予め記憶装置33に記憶されるプログラムを処理装置31がメモリ
32にロードして実行することにより勤務状況分析部401、及び不正利用判定部402
のそれぞれの各機能を実現する。
【0029】
勤務状況分析部401は、携帯端末20を介してIoTデバイス10からセンサ値デー
タを受信し、受信したセンサ値データ、後述する特殊勤務手当一覧テーブル511、後述
する勤務地データテーブル512、後述する範囲データテーブル513、及び後述する通
信閾値テーブル514に基づいて、作業員Uの勤務状況を分析する。例えば、勤務状況分
析部401は、勤務状況として、作業員Uが特殊勤務を行っているか否かを判定し、特殊
勤務を行っていると判定した場合にはその種類及び勤務時間帯(開始時刻及び終了時刻)
を分析する。
【0030】
また、勤務状況分析部401は、作業員Uによる特殊勤務の1日の勤務時間の合計が、
当該特殊勤務に設けられている所定の制限時間に近づいた場合には、作業員Uの携帯端末
20にアラートを通知する。所定の制限時間は、法令等で定められている1日の勤務時間
の制限に基づき、特殊勤務の種類毎にユーザが勤務状況分析装置40に予め設定する。
【0031】
また、勤務状況分析部401は、作業員Uの勤務状況を分析した結果を示す勤怠情報を
、後述する勤怠管理テーブル515に書き込む。また、勤務状況分析部401は、受信し
たセンサ値データを、後述するセンサ値データテーブル516に書き込む。
【0032】
不正利用判定部402は、携帯端末20を介してIoTデバイス10から通信状況デー
タを受信すると、受信した通信状況データ、及び後述する通信閾値テーブル514に基づ
いて、IoTデバイス10が作業者Uに付帯されているか否かを判定する。そして、不正
利用判定部402は、作業員Uが規定に沿って勤務中にIoTデバイス10及び携帯端末
20の両方を所持している(IoTデバイス10が作業者Uに付帯されている)と判定し
た場合には、作業員UがIoTデバイス10を不正利用している可能性は無いと判定する
。一方、不正利用判定部402は、通信状況データに基づいて、作業員Uが規定に反して
勤務中にIoTデバイス10又は携帯端末20のいずれか一方でも所持していないと判定
した場合には、作業員UがIoTデバイス10を不正利用している可能性が有ると判定す
る。そして、不正利用判定部402は、作業員UがIoTデバイス10を不正利用してい
る可能性が有ると判定した場合、その旨を管理者Mに通知する。また、不正利用判定部4
02は、受信した通信状況データを、後述する通信状況データテーブル517に書き込む
【0033】
勤怠管理システム50は、作業員Uの勤怠を管理するためのシステムである。勤怠管理
システム50は、労務管理データベース51を備える。
【0034】
労務管理データベース51は、各作業員Uの勤怠を管理するための各種データを格納す
るデータベースである。労務管理データベース51は、特殊勤務手当一覧テーブル511
(対応情報)、勤務地データテーブル512、範囲データテーブル513(範囲データ)
、通信閾値テーブル514、勤怠管理テーブル515、センサ値データテーブル516、
及び通信状況データテーブル517を記憶している。
【0035】
(特殊勤務手当一覧テーブル)
図3は、特殊勤務手当一覧テーブル511の一例を示す図である。
特殊勤務手当一覧テーブル511は、各特殊勤務と、各作業員Uが特殊勤務を行ってい
るか否かを判定するために用いるセンサ17とを対応付ける表形式のデータである。特殊
勤務手当一覧テーブル511は、ユーザが予め設定する。特殊勤務手当一覧テーブル51
1は、特殊勤務の種類が設定される特殊勤務手当5111、及び、センサ17の種類が設
定されるセンサ種別5112の各データ項目を有する。図示する例では、特殊勤務手当「
高所作業手当」に対応するセンサ17は高度センサ171であり、特殊勤務手当「坑内作
業手当」に対応するセンサ17は光センサ174であり、特殊勤務手当「放射線取扱手当
」に対応するセンサ17は放射線センサ172であり、特殊勤務手当「山上等作業手当」
に対応するセンサ17は気圧センサ173である。
【0036】
(勤務地データテーブル)
図4は、勤務地データテーブル512の一例を示す図である。
勤務地データテーブル512は、作業員Uの勤務地に関する情報を格納した表形式のデ
ータである。勤務地データテーブル512は、ユーザが予め設定する。勤務地データテー
ブル512は、勤務地を識別する勤務地IDが設定される勤務地ID5121、勤務地の
名称が設定される勤務場所5122、及び、勤務地の区分が設定される区分5123の各
データ項目を有する。図示する例では、勤務場所「Aビル」及び「Bビル」の区分は「高
層ビル」であり、勤務場所「Cトンネル」及び「D鉱山」の区分は「トンネル・坑道」で
あり、勤務場所「Eビル」、「F発電所」及び「Gビル」の区分は「原子力発電所」であ
り、勤務場所「H山」及び「I山」の区分は「山地」である。
【0037】
(範囲データテーブル)
図5は、範囲データテーブル513の一例を示す図である。
範囲データテーブル513は、作業者Uが各特殊勤務を行っていると判定するための条
件であるセンサ値の範囲を、勤務地毎に格納した表形式のデータである。範囲データテー
ブル513は、各勤務地において各センサ17が過去に計測したセンサ値(実績値)から
、労務管理サーバ30が自動的に生成してもよいし、ユーザが手動で設定してもよい。
【0038】
範囲データテーブル513は、勤務地IDが設定される勤務地ID5131、センサ1
7の種類が設定されるセンサ種別5132、基準となるセンサ値が設定される基準センサ
値5133、及び、計測したセンサ値と基準センサ値との差の閾値が設定される閾値51
34の各データ項目を有する。基準センサ値5133及び閾値5134によって、特殊勤
務を行っていると判定するセンサ値の範囲が特定される。例えば、図に例示する1行目の
データは、勤務地ID「1001」では、高度センサ171のセンサ値が、基準センサ値
「150」との差が閾値「20」以下、すなわち、130~170の範囲内である場合に
、特殊勤務を実施していると判定することを示す。基準センサ値5133及び閾値513
4には、対応する勤務地IDの勤務地において実際に計測されたセンサ値を統計処理した
値(例えば、平均値等)が設定される。
【0039】
(通信閾値テーブル)
図6は、通信閾値テーブル514の一例を示す図である。
通信閾値テーブル514は、各作業者Uが所有するIoTデバイス10及び携帯端末2
0の不正利用の判定に用いる情報を格納する表形式のデータである。通信閾値テーブル5
14は、ユーザが予め設定する。通信閾値テーブル514は、各作業者Uを識別するユー
ザIDが設定されるユーザID5141、IoTデバイスIDが設定されるIoTデバイ
スID5142、各携帯端末20を識別する携帯端末IDが設定される携帯端末ID51
43、作業員Uによる不正利用の可能性を判定するための閾値が設定される閾値5144
の各データ項目を有する。IoTデバイスID5142には、作業員Uが勤務中に所有す
るIoTデバイス10のデバイスIDが設定される。携帯端末ID5143には、作業員
Uが勤務中に所有する携帯端末20の携帯端末IDが設定される。また、閾値5144に
は、IoTデバイス10と携帯端末20との通信時間(単位は、秒)の閾値、及び、Io
Tデバイス10と携帯端末20との間の距離(単位は、m(メートル))の閾値が設定さ
れる。閾値5144に設定される値は、IoTデバイス10又は携帯端末20の機種、オ
ペレーティングシステム或いはアプリケーションの種類或いはバージョン、又は各種設定
等に応じて、労務管理サーバ30が自動的に設定してもよいし、ユーザが手動で設定して
もよい。
【0040】
また、各IoTデバイス10は、通信閾値テーブル514で対応付けられている携帯端
末20(IoTデバイスIDに対応する携帯端末IDの携帯端末20)と無線通信するよ
う予め設定されている。すなわち、各IoTデバイス10は、通信閾値テーブル514で
対応付けられている携帯端末20以外の携帯端末20とは、不正利用判定のための無線通
信を行わない。
【0041】
(勤怠管理テーブル)
図7は、勤怠管理テーブル515の一例を示す図である。
勤怠管理テーブル515は、各作業員Uの勤怠に関する情報を格納する表形式のデータ
である。勤怠管理テーブル515は、勤務状況分析部401が分析した勤怠情報に基づい
て更新される。勤怠管理テーブル515は、作業員UのユーザIDが設定されるユーザI
D5151、作業員Uの勤務日が設定される勤務日5152、作業員Uが勤務を開始した
時刻が設定される勤務開始時刻5153、作業員Uが勤務を終了した時刻が設定される勤
務終了時刻5154、作業員Uが行った特殊勤務の種類が設定される特殊勤務手当515
5、作業員Uが特殊勤務を開始した時刻が設定される特殊勤務開始時刻5156、及び、
作業員Uが特殊勤務を終了した時刻が設定される特殊勤務終了時刻5157の各データ項
目を有する。なお、図示する例では、特殊勤務手当5155、特殊勤務開始時刻5156
、及び特殊勤務終了時刻5157に「-」が設定されている場合、該当する勤務日に作業
員Uが特殊勤務を実施していないことを示す。
【0042】
(センサ値データテーブル)
図8は、センサ値データテーブル516の一例を示す図である。
センサ値データテーブル516は、IoTデバイス10から受信したセンサ値データを
蓄積する表形式のデータである。センサ値データテーブル516は、IoTデバイスID
が設定されるIoTデバイスID5161、作業員Uの勤務地を示す勤務地IDが設定さ
れる勤務地ID5162、センサ17がセンサ値を計測した日付が設定される取得日51
63、センサ17がセンサ値を計測した時刻が設定される取得時間5164、及び、各セ
ンサ17が計測したセンサ値が設定されるセンサ値5165の各データ項目を有する。
【0043】
センサ値データテーブル516に格納される各レコードのデータが、IoTデバイス1
0から労務管理サーバ30に送信されるセンサ値データである。各作業員Uが勤務する勤
務地の勤務地IDは、労務管理サーバ30に予め設定されている。勤務状況分析部401
は、通信閾値テーブル514を参照して、センサ値データの送信元のIoTデバイス10
を所有する作業員Uを特定し、特定した作業員Uの勤務地IDを、受信したセンサ値デー
タに付加する。又は、IoTデバイス10又は携帯端末20が、自装置の位置情報を計測
するセンサ(例えば、GPS(Global Positioning System)等)を備え、計測した位置
情報をセンサ値データに付加して労務管理サーバ30に送信してもよい。この場合、勤務
状況分析部401は、センサ値データに付加された位置情報に基づいて、作業者Uの勤務
地IDを特定する。或いは、IoTデバイス10又は携帯端末20に予め勤務地IDが設
定されていてもよい。この場合、IoTデバイス10又は携帯端末20は、予め設定され
ている勤務地IDをセンサ値データに付加して労務管理サーバ30に送信する。
【0044】
なお、労務管理サーバ30は、センサ値データテーブル516に格納されたデータを、
範囲データテーブル513に反映させてもよい。例えば、労務管理サーバ30は、所定の
タイミング(例えば、所定の時刻、所定の時間間隔、又はセンサ値データテーブル516
に所定量のデータが蓄積されたとき等)で、センサ値データテーブル516に格納された
データ、及び、範囲データテーブル513に設定されているデータを統計処理することに
より、範囲データテーブル513の基準センサ値及び閾値を更新してもよい。
【0045】
(通信状況データテーブル)
図9は、通信状況データテーブル517の一例を示す図である。
通信状況データテーブル517は、IoTデバイス10から受信した通信状況データを
蓄積する表形式のデータである。通信状況データテーブル517は、IoTデバイスID
が設定されるIoTデバイスID5171、IoTデバイス10が携帯端末20との通信
状況を取得した日付が設定される取得日5172、IoTデバイス10が携帯端末20と
の間の通信状況を取得した時刻が設定される取得時間5173、及び、IoTデバイス1
0が携帯端末20と無線通信して計測した通信時間(単位は、秒)が設定される通信時間
5174、IoTデバイス10が携帯端末20と無線通信して計測したIoTデバイス1
0と携帯端末20との間の距離(単位は、m(メートル))が設定される距離5175の
各データ項目を有する。図示する例では、通信時間5174又は距離5175に「-」が
設定されている場合、通信時間或いは距離が計測できなかった、又はIoTデバイス10
が携帯端末20と無線通信できなかったことを示す。
【0046】
次に、労務管理システム1で行われる処理について説明する。まず、作業員Uの勤務状
況を分析する勤務状況分析処理について説明する。
【0047】
<勤務状況分析処理>
図10は、勤務状況分析処理の詳細を説明する処理フロー図である。
勤務状況分析装置40の勤務状況分析部401は、例えば、センサ値データを受信した
ときに勤務状況分析処理を実行してもよいし、所定のタイミング(例えば、所定の時刻、
所定の時間間隔(例えば、30分毎))で勤務状況分析処理を実行してもよい。或いは、
勤務状況分析部401は、労務管理サーバ30にユーザから所定の入力がされた場合に、
勤務状況分析処理を実行してもよい。
【0048】
まず、勤務状況分析部401は、労務管理データベース51から特殊勤務手当一覧テー
ブル511に格納されている情報を取得する(S101)。
続いて、勤務状況分析部401は、労務管理データベース51から範囲データテーブル
513に格納されている情報を取得する(S102)。
【0049】
続いて、勤務状況分析部401は、携帯端末20を介して、IoTデバイス10からセ
ンサ値データを受信して取得する(S103)。例えば、勤務状況分析部401は、Io
Tデバイス10が第2の時間間隔で送信するセンサ値データを受信する。或いは、勤務状
況分析部401は、携帯端末20を介して、センサ値データを要求するデータをIoTデ
バイス10に送信し、その応答としてセンサ値データを受信してもよい。
【0050】
勤務状況分析部401は、取得したセンサ値データにおいて、全てのセンサ17につい
てセンサ値の確認が完了した(全てのセンサ17のセンサ値に対し、後述するS105~
S112の処理を行った)か否かを判定する(S104)。
【0051】
勤務状況分析部401は、全てのセンサ17についてセンサ値の確認が完了していない
と判定した場合(S104:NO)、センサ値の確認が完了していない1つのセンサ17
を対象のセンサ17とする。そして、勤務状況分析部401は、取得したセンサ値データ
において、対象のセンサ17の全ての取得時間についてセンサ値の確認が完了した(全て
の取得時間のセンサ値に対し、後述するS106の処理を行った)か否かを判定する(S
105)。
【0052】
勤務状況分析部401は、対象のセンサ17の全ての取得時間についてセンサ値の確認
が完了していないと判定した場合(S105:NO)、センサ値の確認が完了していない
取得時間を対象の取得時間とする。そして、勤務状況分析部401は、取得したセンサ値
データに含まれる勤務地ID及び対象のセンサ17の種類に対応する基準センサ値及び閾
値を範囲データテーブル513から読み出す。
【0053】
続いて、勤務状況分析部401は、対象のセンサ17における対象の取得時間のセンサ
値と、読み出した基準センサ値とを比較し、その差が読み出した閾値以下である場合に、
対象の取得時間に特殊勤務フラグ「1」を設定する(S106)。その後、勤務状況分析
部401は、S105の処理に戻る。
【0054】
一方、勤務状況分析部401は、全ての取得時間についてセンサ値の確認が完了したと
判定した場合(S105:YES)、対象のセンサ17において、特殊勤務フラグ「1」
が連続する時間帯(すなわち、作業員Uの勤務時間帯)が存在するか否かを判定する(S
107)。例えば、勤務状況分析部401は、特殊勤務フラグ「1」の設定された取得時
間が連続して所定数(例えば、10)以上ある場合に、特殊勤務フラグ「1」が連続する
時間帯が存在すると判定する。
【0055】
勤務状況分析部401は、特殊勤務フラグ「1」が連続する時間帯が存在しないと判定
した場合(S107:NO)、作業員Uは対象のセンサ17に対応した特殊勤務を実施し
ていないと判定し(S108)、S104の処理に戻る。
【0056】
一方、勤務状況分析部401は、特殊勤務フラグ「1」が連続する時間帯が存在すると
判定した場合(S107:YES)、作業員Uが対象のセンサ17に対応した特殊勤務を
実施していると判定する。そして、勤務状況分析部401は、作業員Uが実施している特
殊勤務の種類(特殊勤務手当)及びその勤務時間帯(特殊勤務開始時刻及び特殊勤務終了
時刻)を特定する(S109)。
【0057】
具体的には、勤務状況分析部401は、特殊勤務手当一覧テーブル511を参照して、
対象のセンサ17の種類に対応する特殊勤務手当を特定する。また、勤務状況分析部40
1は、特殊勤務フラグ「1」が連続する時間帯を、特殊勤務の勤務時間帯とする。例えば
、勤務状況分析部401は、特殊勤務フラグ「1」が連続する時間帯における最初の取得
時間を特殊勤務開始時刻とし、特殊勤務フラグ「1」が連続する時間帯における最後の取
得時間を特殊勤務終了時刻とする。
【0058】
図8に示すセンサ値データテーブル516のデータ例を用いて具体的に説明する。図示
する例では、勤務地ID「2001」において13:00から17:00までの時間帯で
、放射線センサ172のセンサ値が180前後の値に狭く集中している。これらセンサ値
は、図5に示す範囲データテーブル513における勤務地ID「2001」及びセンサ種
別「放射線センサ」に対応する基準センサ値「180」との差が閾値「20」以下である
。よって、勤務状況分析部401は、図3に示す特殊勤務手当一覧テーブル511を参照
して、作業員Uが、センサ種別「放射線センサ」に対応する特殊勤務手当「放射線取扱手
当」に該当する特殊勤務を、特殊勤務開始時刻「13:00」から特殊勤務終了時刻「1
7:00」までの時間帯に実施したと判定する。
【0059】
続いて、勤務状況分析部401は、作業員Uが実施している特殊勤務の勤務時間合計(
特殊勤務開始時刻からの経過時間)が、制限時間に近づいたか否かを判定する(S110
)。勤務状況分析部401は、例えば、特殊勤務開始時刻からの経過時間と制限時間との
差が、予め設定された所定の閾値(例えば、1時間)以下である場合に、制限時間に近づ
いたと判定し、特殊勤務開始時刻からの経過時間と制限時間との差が閾値より大きい場合
に、制限時間に近づいていないと判定する。勤務状況分析部401は、特殊勤務の勤務時
間合計が制限時間に近づいていないと判定した場合(S110:NO)、S112の処理
に進む。
【0060】
一方、勤務状況分析部401は、作業員Uによる特殊勤務の勤務時間合計が、その特殊
勤務の制限時間に近づいたと判定した場合、(S110:YES)、作業員Uの携帯端末
20に、制限時間が近付いたことをアラートで通知する。例えば、作業員Uが13時から
特殊勤務を実施しており、その特殊勤務の1日の制限時間が10時間である場合、23時
になると制限時間に抵触する。そのため、勤務状況分析部401は、本例の場合には、例
えば、23時の1時間前の22時になると、作業員Uの携帯端末20にアラートを通知す
る。なお、アラートの方法は、メッセージ、音声、振動、又は光等であり、特に限定され
ない。
【0061】
続いて、勤務状況分析部401は、特定した結果(作業員Uが実施している特殊勤務の
種類、及びその勤務時間帯)を勤怠管理システム50に反映し(S112)、S104の
処理に戻る。具体的には、勤務状況分析部401は、特定した結果を示す勤怠情報を勤怠
管理システム50に送信する。勤怠管理システム50は、勤怠情報を受信し、受信した勤
怠情報を勤怠管理テーブル515に書き込む。
【0062】
勤務状況分析部401は、全てのセンサ17についてセンサ値の確認が完了したと判定
した場合(S104:YES)、取得したセンサ値データを労務管理データベース51に
保存し(S113)、本勤務状況分析処理を終了する。具体的には、勤務状況分析部40
1は、取得したセンサ値データを勤怠管理システム50に送信する。勤怠管理システム5
0は、センサ値データを受信し、受信したセンサ値データをセンサ値データテーブル51
6に書き込む。
【0063】
なお、上述したフローでは、取得したセンサ値データの勤務地IDに対応する基準セン
サ値及び閾値が範囲データテーブル513に設定されている場合について説明したが、取
得したセンサ値データの勤務地IDに対応する基準センサ値及び閾値が範囲データテーブ
ル513に設定されていない場合がある。例えば、作業実績のない新たな勤務地で作業員
Uが勤務する場合等には、当該勤務地におけるセンサ値の実績値がないため、範囲データ
テーブル513に情報が設定されていないことがある。この場合には、勤務状況分析部4
01は、範囲データテーブル513に設定されている、他の勤務地における同一種類のセ
ンサ17の基準センサ値及び閾値それぞれの統計値(例えば、平均値等)を用いて作業員
Uの勤務状況を分析してもよい。
【0064】
また、上述したフローでは、勤務状況分析部401は、作業員Uが特殊勤務を実施した
時間帯のみを分析しているが、これに限らず、特殊勤務以外の勤務を含めたその日の作業
員Uの勤務時間帯(勤務開始時刻及び勤務終了時刻)を分析して勤怠管理テーブル515
に反映させてもよい。例えば、勤務状況分析部401は、勤務日におけるセンサ値データ
の最初の取得時間を勤務開始時刻とし、勤務日におけるセンサ値データの最後の取得時間
を勤務終了時刻としてもよい。
【0065】
続いて、作業員UによるIoTデバイス10の不正利用の可能性の有無を判定する処理
について説明する。
【0066】
<通信状況データ送信処理>
図11は、通信状況データ送信処理の詳細を説明する処理フロー図である。
IoTデバイス10の通信状況データ送信部102は、ランダムな時間間隔で、通信状
況データ送信処理を実行する。
【0067】
まず、通信状況データ送信部102は、携帯端末20と無線通信し、当該無線通信の通
信時間、及び携帯端末20とIoTデバイス10との間の距離を取得する(S201)。
具体的には、通信状況データ送信部102は、第1通信部161を介して第1の無線通信
方式で携帯端末20に所定のリクエストを送信し、リクエストを送信してからそのレスポ
ンスを受信するまでの応答時間を通信時間として計測する。また、通信状況データ送信部
102は、第2通信部162を介して第2の無線通信方式で携帯端末20と無線通信し、
携帯端末20からの受信電波強度に基づいて、IoTデバイス10と携帯端末20との間
の距離を計測する。
【0068】
続いて、通信状況データ送信部102は、携帯端末20を介して、取得した通信時間、
及びIoTデバイス10と携帯端末20との間の距離を示す通信状況データを、労務管理
サーバ30に送信する(S202)。その後、通信状況データ送信部102は、本通信状
況データ送信処理を終了する。
【0069】
<不正利用判定処理>
図12は、不正利用判定処理の詳細を説明する処理フロー図である。
勤務状況分析装置40の不正利用判定部402は、携帯端末20を介して、IoTデバ
イス10から通信状況データを受信したときに、不正利用判定処理を実行する。
【0070】
まず、不正利用判定部402は、携帯端末20を介して、IoTデバイス10と携帯端
末20との間の通信時間及び距離を示す通信状況データをIoTデバイス10から受信し
て取得する(S301)。
【0071】
続いて、不正利用判定部402は、取得した通信状況データに含まれるIoTデバイス
IDに対応する通信時間の閾値及び距離の閾値を、通信閾値テーブル514から取得する
(S302)。
【0072】
そして、不正利用判定部402は、通信状況データに含まれる通信時間又は距離のいず
れかが、それぞれの閾値から乖離している(閾値との差が所定値以上ある、すなわち、所
定の範囲外である)か否かを判定する(S303)。不正利用判定部402は、通信時間
及び距離のいずれも閾値から乖離していないと判定した場合(S303:NO)、作業員
UによるIoTデバイス10の不正利用の可能性は無い(すなわち、作業員Uが規定に沿
ってIoTデバイス10及び携帯端末20の両方を所持している)と判定し、本不正判定
処理を終了する。
【0073】
一方、不正利用判定部402は、通信時間又は距離のいずれかが閾値から乖離している
と判定した場合(S303:YES)、作業員UによるIoTデバイス10の不正利用の
可能性が有る(すなわち、作業員Uが規定に反してIoTデバイス10又は携帯端末20
を所持していない)と判定し、その旨を作業員Uの管理者Mに通知する(S304)。例
えば、不正利用判定部402は、メール、メッセージ、又は管理者Mが使用する情報処理
装置にインストールされたアプリケーションによるプッシュ通知等により、作業員Uによ
るIoTデバイス10の不正利用の可能性を管理者Mに通知する。その後、不正利用判定
部402は、本不正利用判定処理を終了する。
【0074】
上述したフローでは、労務管理システム1は、IoTデバイス10と携帯端末20との
間の通信時間及び距離の両方を用いて作業員UによるIoTデバイス10の不正利用の可
能性の有無を判定している。通信時間及び距離の両方を用いることにより、作業員UがI
oTデバイス10を付帯しているか否かをより正確に判定することができる。しかし、上
述したフローに限らず、労務管理システム1は、IoTデバイス10と携帯端末20との
間の通信時間又は距離のいずれか一方のみを用いて、作業員UによるIoTデバイス10
の不正利用の可能性の有無を判定するようにしてもよい。或いは、第1の無線通信方式又
は第2の無線通信方式のいずれかでネットワークの通信障害等が発生した場合等を考慮し
、不正利用判定部402は、IoTデバイス10と携帯端末20との間の通信時間又は距
離のいずれか一方でも閾値から乖離していなければ、作業員UによるIoTデバイス10
の不正利用の可能性は無いと判定するようにしてもよい。
【0075】
また、上述したフローでは、不正利用判定部402は、通信時間又は距離のいずれかが
閾値から乖離している場合に、作業員UによるIoTデバイス10の不正利用の可能性が
有ると判定しているが、これに限らず、通信時間又は距離のいずれかが閾値より大きい場
合に、作業員UによるIoTデバイス10の不正利用の可能性が有ると判定してもよい。
【0076】
また、上述したフローでは、通信状況データに通信時間の値及び距離の値が含まれてい
る(IoTデバイス10が通信時間及び距離を計測できた)場合の処理について説明した
が、不正利用判定部402は、通信状況データに通信時間の値又は距離の値が設定されて
いない(IoTデバイス10が通信時間又は距離を計測できなかった)場合にも、作業員
UによるIoTデバイス10の不正利用の可能性が有ると判定してもよい。また、不正利
用判定部402は、予め設定された所定時間(例えば、30分)以上、IoTデバイス1
0から通信状況データを受信していない状態が継続した場合にも、作業員UによるIoT
デバイス10の不正利用の可能性があると判定してもよい。
【0077】
以上説明したように、本実施形態の労務管理システム1は、作業者Uが所持する携帯端
末20に付帯させた1又は複数のセンサ17を備えるIoTデバイス10と、労務管理サ
ーバ30とを備え、IoTデバイス10は、センサ17が計測したセンサ値のデータであ
るセンサ値データを労務管理サーバ30に送信するセンサ値データ送信部101を備え、
労務管理サーバ30は、センサ値データを受信し、受信したセンサ値データに基づいて、
作業者Uが行っている特殊勤務の種類を分析する勤務状況分析部401を備える。
【0078】
このような構成により、作業者Uが勤務中に所持する携帯端末20に付帯されたIoT
デバイス10が計測したセンサ値に基づいて、作業者Uが行っている特殊勤務の種類を分
析する。センサ値は、作業員Uが作業している場所(勤務地)の特性に応じた、作業員U
の勤務状況を表す客観的なデータである。そのため、作業員Uの勤務実態を裏付ける客観
的なデータ(センサ値)に基づいて作業者Uの勤務状況を自動的に特定することができる
。よって、作業員Uの自己申告のみに頼ることなく、客観的かつ厳密に作業員Uの労務管
理を行うことができる。
【0079】
また、本実施形態の労務管理システム1は、作業者Uが所持する携帯端末20に付帯さ
せた1又は複数のセンサ17を備えるIoTデバイス10と、労務管理サーバ30とを備
え、IoTデバイス10は、IoTデバイス10と携帯端末20との間の通信の状況を示
す通信状況データを取得し、取得した通信状況データを、労務管理サーバ30に送信する
通信状況データ送信部102を備え、労務管理サーバ30は、通信状況データを受信し、
受信した通信状況データに基づいて、IoTデバイス10が作業者Uに付帯されているか
否かを判定する不正利用判定部402を備える。
【0080】
このような構成により、IoTデバイスと携帯端末の間の通信状況を特定し(例えば、
IoTデバイス10が通信状況データを取得できる程度にIoTデバイス10と携帯端末
20との距離が近いかを特定し)、IoTデバイス10が作業者Uに付帯されているか否
かを判定する。作業員Uが規定に反したIoTデバイス10の利用をしている(IoTデ
バイス10を付帯していない)場合には、作業員UによるIoTデバイス10の不正利用
の可能性が有る。このため、IoTデバイス10が作業者Uに付帯されているか否かを判
定することにより、作業員UによるIoTデバイス10の不正利用を正確に検出すること
ができる。また、このような不正利用の判定を行っていることを作業員Uに周知すること
で、作業員UによるIoTデバイス10の不正利用を抑止し、IoTデバイス10が不正
利用される可能性を低減することができる。
【0081】
また、本実施形態の労務管理サーバ30は、センサ値の範囲を示す範囲データテーブル
513を記憶し、センサ値データが示すセンサ値が、範囲データテーブル513が示す範
囲内である場合に、作業者Uが所定の種類の特殊勤務を行っていると判定する。
【0082】
このように、特殊勤務を特定するセンサ値の範囲を定めることにより、センサ17の測
定値に誤差がある場合や、特殊勤務の特性に応じて柔軟に対応することができる。これに
より、作業員Uの勤務実態をより正確に特定することができる。
【0083】
また、本実施形態の労務管理サーバ30は、高度センサ171、放射線センサ172、
気圧センサ173、光センサ174、又は、圧力センサ175が計測したセンサ値が、範
囲データテーブル513が示す範囲内にあるか否かを判定して勤務の種類を判定する。
【0084】
特殊勤務は、高度、放射線、気圧、光、又は、圧力が特殊な環境で行われることが多い
。そのため、特殊勤務のこういった特殊な環境の特性を表す値を計測可能なセンサを用い
て、特殊勤務の種類を特定することにより、作業員Uの勤務実態をより正確に特定するこ
とができる。
【0085】
また、本実施形態の労務管理サーバ30は、作業員Uによる特殊勤務の勤務時間の合計
と、当該特殊勤務に設けられた制限時間との差が所定の時間以下になると、作業員Uにア
ラートを通知する。
【0086】
このような構成により、作業員Uによる特殊勤務の勤務時間の合計が、制限時間に近づ
くと、作業員Uにアラートが通知される。これにより、作業員Uは、特殊勤務の制限時間
が近付いてきたことを知ることができるため、作業員Uは、制限時間内に特殊勤務を終了
することができ、また、作業員Uが制限時間を超えて特殊勤務を行うことを抑制すること
ができる。
【0087】
また、本実施形態のIoTデバイス10は、通信状況データとして、携帯端末20に対
する通信の応答時間、携帯端末20からの受信電波強度、又は携帯端末20との距離のデ
ータを取得し、労務管理サーバ30は、携帯端末20に対する通信の応答時間、携帯端末
20からの受信電波強度、又は、携帯端末20との距離が、所定の範囲外である場合に、
IoTデバイス10が作業者Uに付帯されていないと判定する。
【0088】
通信の応答時間が長い場合、電波強度が弱い場合、又は、IoTデバイス10と携帯端
末20との間の距離が遠い場合には、作業者UがIoTデバイス10又は携帯端末20の
いずれかを所持していない(IoTデバイス10及び携帯端末20の両方を所持していな
い)可能性が高い。よって、通信の応答時間、電波強度、又は、IoTデバイス10と携
帯端末20との距離に基づいて、作業者Uによる不正行為を判定することで、より効率よ
く作業者UによるIoTデバイス10の不正使用を検出することができる。
【0089】
また、本実施形態のIoTデバイス10は、ランダムな時間間隔で通信状況データを取
得し、取得した通信状況データを前記管理サーバに送信する。
【0090】
このような構成により、作業者UによるIoTデバイス10の不正利用の判定がランダ
ムな時間間隔で行われる。これにより、作業者Uは、いつ不正利用の判定が行われるかを
把握することが困難になるため、不正利用の判定が行われるタイミングのみに、不正行為
を避けるといった行動を取ることが難しくなる。これにより、作業員UによるIoTデバ
イス10の不正利用をより抑止する効果を得ることができる。
【0091】
本発明は、上記実施形態に限定されるものではなく、その要旨を逸脱しない範囲内で、
任意の構成要素を用いて実施可能である。以上説明した実施形態や変形例はあくまで一例
であり、発明の特徴が損なわれない限り、本発明はこれらの内容に限定されるものではな
い。また、上記では種々の実施形態や変形例を説明したが、本発明はこれらの内容に限定
されるものではない。本発明の技術的思想の範囲内で考えられるその他の態様も本発明の
範囲内に含まれる。
【0092】
例えば、本実施形態の各装置が備えるハードウェアの一部は、他の装置に設けてもよい
【0093】
また、労務管理サーバ30の各プログラムは他の装置に設けてもよいし、あるプログラ
ムを複数のプログラムからなるものとしてもよいし、複数のプログラムを一つのプログラ
ムに統合してもよい。
【0094】
また、上述した実施形態では、IoTデバイス10が、携帯端末20との通信の電波強
度に基づいて携帯端末20との間の距離を計測しているが、これに限らず、IoTデバイ
ス10は、通信状況データとして携帯端末20からの受信電波強度を労務管理サーバ30
に送信し、労務管理サーバ30が電波強度に基づいてIoTデバイス10と携帯端末20
との間の距離を計測してもよい。或いは、労務管理サーバ30は、通信状況データに含ま
れる電波強度が所定の範囲外である場合に、IoTデバイス10が作業者Uに付帯されて
いないと判定してもよい。
【0095】
また、上述した実施形態では、IoTデバイス10が携帯端末20との通信時間及び距
離を取得しているが、これ限らず、携帯端末20がランダムな時間間隔でIoTデバイス
10との通信時間及び距離を取得し、取得した通信時間及び距離を示す通信状況データを
労務管理サーバ30に送信してもよい。
【0096】
また、上述した実施形態では、IoTデバイス10は、能動的に第2の時間間隔でセン
サ値データを労務管理サーバ30に送信しているが、これに限らず、労務管理サーバ30
が第2の時間間隔で送信する要求に応じてセンサ値データを送信するようにしてもよい。
或いは、携帯端末20が、第2の時間間隔でIoTデバイス10からセンサ値データを取
得し、取得したセンサ値データを労務管理サーバ30に送信してもよい。
【0097】
また、上述した実施形態では、特殊勤務手当一覧テーブル511において各特殊勤務そ
れぞれに対応付けられているセンサ17が1種類である場合について説明したが、これに
限らず、勤務状況分析部401は、複数種類のセンサ17のセンサ値に基づいて、作業員
Uが各特殊勤務を行っているか否かを判定してもよい。例えば、勤務状況分析部401は
、高度センサ171のセンサ値及び気圧センサ173のセンサ値の両方が、範囲データテ
ーブル513が示す範囲内である場合に、特殊勤務手当「山上等作業手当」に該当する特
殊勤務を作業員Uが行っていると判定するようにしてもよい。
【符号の説明】
【0098】
1 労務管理システム、10 IoTデバイス、16 通信装置、17 センサ、101
センサ値データ送信部、102 通信状況データ送信部、20 携帯端末、30 労務
管理サーバ、40 勤務状況分析装置、401 勤務状況分析部、402 不正利用判定
部、50 勤怠管理システム 51 労務管理データベース 511 特殊勤務手当一覧
テーブル、512 勤務地データテーブル、513 範囲データテーブル、514 通信
閾値テーブル、515 勤怠管理テーブル、516 センサ値データテーブル、517
通信状況データテーブル
図1
図2
図3
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図12