(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024098627
(43)【公開日】2024-07-24
(54)【発明の名称】空気入りタイヤ
(51)【国際特許分類】
B60C 13/00 20060101AFI20240717BHJP
【FI】
B60C13/00 D
【審査請求】未請求
【請求項の数】7
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023002227
(22)【出願日】2023-01-11
(71)【出願人】
【識別番号】000003148
【氏名又は名称】TOYO TIRE株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100145403
【弁理士】
【氏名又は名称】山尾 憲人
(74)【代理人】
【識別番号】100184343
【弁理士】
【氏名又は名称】川崎 茂雄
(74)【代理人】
【識別番号】100111039
【弁理士】
【氏名又は名称】前堀 義之
(72)【発明者】
【氏名】新濱 猛司
【テーマコード(参考)】
3D131
【Fターム(参考)】
3D131BB03
3D131BC22
3D131BC35
3D131BC47
3D131EB11V
3D131EB11X
3D131EB27V
3D131EC01V
3D131EC01X
3D131GA03
(57)【要約】
【課題】皺と割れが外径側サイドウォール基本面に生じることを抑制し易い、空気入りタイヤを提供する。
【解決手段】空気入りタイヤ1は、タイヤ径方向の外端に位置しており、タイヤ周方向に延びている、トレッド11と、トレッド11のタイヤ軸方向の外端からタイヤ径方向の内側に延びている、サイドウォール12と、トレッド11とサイドウォール12との間において、タイヤ周方向に延びている、トレッド勘合線24と、トレッド勘合線24とサイドウォール12のタイヤ軸方向の幅が最大となるタイヤ幅最大位置26との間でタイヤ径方向に拡がる外径側サイドウォール基本面25と、外径側サイドウォール基本面25からタイヤ軸方向の外側に突出しており、ハニカム状に配置されている、複数の六角形ブロック27aであって、複数の六角形ブロック27aの間には、無負荷のとき、0.2mm以上0.5mm以下の幅の隙間L3が設けられている、複数の六角形ブロック27aと、を備えている。
【選択図】
図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
タイヤ径方向の外端に位置しており、タイヤ周方向に延びている、トレッドと、
前記トレッドのタイヤ軸方向の外端からタイヤ径方向の内側に延びている、サイドウォールと、
前記トレッドと前記サイドウォールとの間において、タイヤ周方向に延びている、トレッド勘合線と、
前記トレッド勘合線と前記サイドウォールのタイヤ軸方向の幅が最大となるタイヤ幅最大位置との間でタイヤ径方向に拡がる外径側サイドウォール基本面と、
前記外径側サイドウォール基本面からタイヤ軸方向の外側に突出しており、ハニカム状に配置されている、複数の六角形ブロックであって、前記複数の六角形ブロックの間には、無負荷のとき、0.2mm以上0.5mm以下の幅の隙間が設けられている、前記複数の六角形ブロックと、を備えている、空気入りタイヤ。
【請求項2】
前記複数の六角形ブロックはそれぞれ、前記外径側サイドウォール基本面から前記隙間の幅に対して2.5倍以上4.0倍以下の間で突出している、請求項1に記載の空気入りタイヤ。
【請求項3】
前記複数の六角形ブロックはそれぞれ、前記外径側サイドウォール基本面から0.5mm以上2.0mm以下の間で突出している、請求項2に記載の空気入りタイヤ。
【請求項4】
前記複数の六角形ブロックのタイヤ径方向の寸法はそれぞれ、タイヤ周方向の寸法に対して0.5倍以上2.0倍以下である、請求項1に記載の空気入りタイヤ。
【請求項5】
前記複数の六角形ブロックと前記外径側サイドウォール基本面との間には、0.1mm以上0.25mm以下の曲率半径を有する隅R部分が設けられている、請求項1に記載の空気入りタイヤ。
【請求項6】
前記外径側サイドウォール基本面における前記複数の六角形ブロックの占有率は、70%以上である、請求項1に記載の空気入りタイヤ。
【請求項7】
平面視において、前記複数の六角形ブロックの角にはそれぞれ、0.1mm以上1.0mm以下の曲率半径を有する曲げ部分が設けられている、請求項1に記載の空気入りタイヤ。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、空気入りタイヤに関する。
【背景技術】
【0002】
特許文献1には、タイヤの転がり抵抗を低減すること、及びサイドウォールの耐外傷性を確保することを目的とした空気入りタイヤが開示されている。この空気入りタイヤは、サイドウォールの外面において、複数の溝と、該複数の溝によって区画された複数の六角形ブロックとを備えている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
特許文献1によれば、複数の溝がサイドウォールの外面に設けられていることにより、溝底からサイドウォールの内面までの厚みが薄くなるため、サイドウォールの変形に起因するエネルギーロスを抑えて、タイヤの転がり抵抗を低減できる。また、溝によって区画された複数の六角形ブロックがサイドウォールの外面に設けられていることにより、例えばサイドウォールが車道の縁石に接触するとき、縁石は溝底よりも六角形ブロックの外面に接触し易いため、サイドウォールの耐外傷性が確保される。
【0005】
一方、サイドウォールは、厚みが薄くなることによって、剛性が低下するため、変形し易くなる。特に、空気入りタイヤが、ライトトラック又はトラックバス用の重荷重用タイヤであって、許容できる最大荷重、すなわち正規荷重を受けるとき、サイドウォールの外面であって、溝などの凹部と突起などの凸部を含まないサイドウォール基本面の内、外径側に位置する部分において、皺と割れが生じることがある。本明細書では、サイドウォール基本面の内、外径側に位置する部分を外径側サイドウォール基本面と呼称する。具体的には、外径側サイドウォール基本面は、タイヤを成形する加硫工程における、トレッドを成形するためのトレッドモールドとサイドウォールを成形するためのサイドモールドとの間のパーティングライン、すなわちトレッド勘合線と、サイドウォールのタイヤ軸方向の幅が最大となるタイヤ幅最大位置との間でタイヤ径方向に拡がっている。
【0006】
そこで、本発明は、皺と割れが外径側サイドウォール基本面に生じることを抑制し易い、空気入りタイヤを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
まず、本発明の態様は、タイヤ径方向の外端に位置しており、タイヤ周方向に延びている、トレッドと、
前記トレッドのタイヤ軸方向の外端からタイヤ径方向の内側に延びている、サイドウォールと、
前記トレッドと前記サイドウォールとの間において、タイヤ周方向に延びている、トレッド勘合線と、
前記トレッド勘合線と前記サイドウォールのタイヤ軸方向の幅が最大となるタイヤ幅最大位置との間でタイヤ径方向に拡がる外径側サイドウォール基本面と、
前記外径側サイドウォール基本面からタイヤ軸方向の外側に突出しており、ハニカム状に配置されている、複数の六角形ブロックであって、前記複数の六角形ブロックの間には、無負荷のとき、0.2mm以上0.5mm以下の幅の隙間が設けられている、前記複数の六角形ブロックと、を備えている、空気入りタイヤを提供する。
【0008】
本発明によれば、複数の六角形ブロックの間には、無負荷のとき、0.2mm以上0.5mm以下の幅の隙間が設けられているため、少なくとも正規荷重が与えられるとき、複数の六角形ブロックが互いに接触して、タイヤサイドにかかる荷重が複数の六角形ブロックに分散されることにより、皺と割れが外径側サイドウォール基本面に生じることを抑制し易い。複数の六角形ブロックの間の隙間の幅が、無負荷のとき、0.2mm未満である場合、隙間が狭いため、正規荷重が与えられる前に、複数の六角形ブロックが互いに接触し易くなることにより、正規荷重が与えられるとき、タイヤサイドにかかる荷重が複数の六角形ブロックに分散され難くなる。複数の六角形ブロックの間の隙間の幅が、無負荷のとき、0.5mmより大きい場合、隙間が広いため、正規荷重が与えられたとしても、複数の六角形ブロックが互いに接触し難くなることにより、タイヤサイドにかかる荷重が複数の六角形ブロックに分散され難くなる。したがって、複数の六角形ブロックの間には、無負荷の時、0.2mm以上0.5mm以下の幅の隙間が設けられている必要がある。
【0009】
また、複数の六角形ブロックが外径側サイドウォール基本面から突出するように設けられていることにより、外径側サイドウォール基本面の剛性が低下し難くなると共に、車道の縁石が外径側サイドウォール基本面に接触することによって生じる損傷が低減される。
【0010】
さらに、平面視において、複数の六角形ブロックが視認できる位置にあるため、タイヤのデザイン性が向上する。
【0011】
また、前記複数の六角形ブロックはそれぞれ、前記外径側サイドウォール基本面から前記隙間の幅に対して2.5倍以上4.0倍以下の間で突出していてもよい。
【0012】
本構成によれば、複数の六角形ブロックはそれぞれ、外径側サイドウォール基本面から隙間の幅に対して2.5倍以上4.0倍以下の間で突出しているため、少なくとも正規荷重が与えられるとき、複数の六角形ブロックが互いに漸近するように傾くことによって、複数の六角形ブロックが互いに接触して、タイヤサイドにかかる荷重が複数の六角形ブロックに分散されることにより、皺と割れが外径側サイドウォール基本面に生じることを抑制し易い。複数の六角形ブロックがそれぞれ、外径側サイドウォール基本面から隙間の幅に対して2.5倍未満で突出している場合、複数の六角形ブロックの突出が小さいため、正規荷重が与えられるとき、複数の六角形ブロックが互いに漸近するように傾いたとしても、複数の六角形ブロックが互いに接触し難くなることにより、タイヤサイドにかかる荷重が複数の六角形ブロックに分散され難くなる。複数の六角形ブロックがそれぞれ、外径側サイドウォール基本面から隙間の幅に対して4.0倍より大きく突出している場合、複数の六角形ブロックの突出が大きいため、外径側サイドウォール基本面の剛性の向上代が大きくなることにより、車両の乗り心地が硬くなり易い。したがって、複数の六角形ブロックはそれぞれ、外径側サイドウォール基本面から隙間の幅に対して2.5倍以上4.0倍以下の間で突出していることが好ましい。
【0013】
また、前記複数の六角形ブロックはそれぞれ、前記外径側サイドウォール基本面から0.5mm以上2.0mm以下の間で突出していてもよい。
【0014】
本構成によれば、複数の六角形ブロックはそれぞれ、外径側サイドウォール基本面から0.5mm以上2.0mm以下の間で突出しているため、少なくとも正規荷重が与えられるとき、複数の六角形ブロックが互いに漸近するように傾くことによって、複数の六角形ブロックが互いに接触して、タイヤサイドにかかる荷重が複数の六角形ブロックに分散されることにより、皺と割れが外径側サイドウォール基本面に生じることを抑制し易い。複数の六角形ブロックがそれぞれ、外径側サイドウォール基本面から0.5mm未満で突出している場合、複数の六角形ブロックの突出が小さいため、正規荷重が与えられるとき、複数の六角形ブロックが互いに漸近するように傾いたとしても、複数の六角形ブロックが互いに接触し難くなることにより、タイヤサイドにかかる荷重が複数の六角形ブロックに分散され難くなる。複数の六角形ブロックがそれぞれ、外径側サイドウォール基本面から2.0mmより大きく突出している場合、複数の六角形ブロックの突出が大きいため、外径側サイドウォール基本面の剛性の向上代が大きくなることにより、車両の乗り心地が硬くなり易い。したがって、複数の六角形ブロックはそれぞれ、外径側サイドウォール基本面から0.5mm以上2.0mm以下の間で突出していることが好ましい。
【0015】
また、前記複数の六角形ブロックのタイヤ径方向の寸法はそれぞれ、タイヤ周方向の寸法に対して0.5倍以上2.0倍以下であってもよい。
【0016】
本構成によれば、複数の六角形ブロックのタイヤ径方向の寸法はそれぞれ、タイヤ周方向の寸法に対して0.5倍以上2.0倍以下であるため、タイヤ径方向の剛性が確保される。よって、少なくとも正規荷重が与えられるとき、外径側サイドウォール基本面はタイヤ径方向に変形し難くなり、皺と割れが外径側サイドウォール基本面に生じることを抑制し易い。複数の六角形ブロックのタイヤ径方向の寸法がそれぞれ、タイヤ周方向の寸法に対して0.5倍未満である場合、六角形ブロックのタイヤ周方向の剛性が高くなり、サイド剛性が高くなるため、正規荷重が与えられるとき、乗り心地が硬くなりやすい。複数の六角形ブロックのタイヤ径方向の寸法がそれぞれ、タイヤ周方向の寸法に対して2.0倍より大きい場合、六角形ブロックのタイヤ径方向の剛性が大きいため、正規荷重が与えられるとき、複数の六角形ブロックが互いに接触したとしても、タイヤサイドにかかる荷重が複数の六角形ブロックに分散され難くなる。したがって、複数の六角形ブロックのタイヤ径方向の寸法はそれぞれ、タイヤ周方向の寸法に対して0.5倍以上2.0倍以下であることが好ましい。
【0017】
また、前記複数の六角形ブロックと前記外径側サイドウォール基本面との間には、0.1mm以上0.25mm以下の曲率半径を有する隅R部分が設けられていてもよい。
【0018】
本構成によれば、複数の六角形ブロックと外径側サイドウォール基本面との間には、0.1mm以上0.25mm以下の曲率半径を有する隅R部分が設けられているため、少なくとも正規荷重が与えられるとき、六角形ブロックと外径側サイドウォール基本面との間にかかる荷重が分散し易くなることにより、皺と割れが生じることを抑制し易い。隅R部分が0.1mm未満の曲率半径を有する場合、正規荷重が与えられるとき、荷重が六角形ブロックと外径側サイドウォール基本面との間に集中して、皺と割れが生じるおそれがある。隅R部分が0.25mmより大きい曲率半径を有する場合、正規荷重が与えられるとき、繰り返しひずみにより、六角形ブロックと外径側サイドウォール基本面との間において、皺と割れが生じるおそれがある。したがって、複数の六角形ブロックと外径側サイドウォール基本面との間には、0.1mm以上0.25mm以下の曲率半径を有する隅R部分が設けられていることが好ましい。
【0019】
また、前記外径側サイドウォール基本面における前記複数の六角形ブロックの占有率は、70%以上であってもよい。
【0020】
本構成によれば、外径側サイドウォール基本面における複数の六角形ブロックの占有率は、70%以上であるため、外径側サイドウォール基本面の剛性が大きくなる。よって、少なくとも正規荷重が与えられるとき、外径側サイドウォール基本面はタイヤ径方向に変形し難くなり、皺と割れが外径側サイドウォール基本面に生じることを抑制し易い。外径側サイドウォール基本面における複数の六角形ブロックの占有率が70%未満である場合、外径側サイドウォール基本面の剛性の向上代が小さくなるため、外径側サイドウォール基本面はタイヤ径方向に変形し易くなり、皺と割れが生じるおそれがある。したがって、外径側サイドウォール基本面における複数の六角形ブロックの占有率は、70%以上であることが好ましい。
【0021】
また、平面視において、前記複数の六角形ブロックの角にはそれぞれ、0.1mm以上1.0mm以下の曲率半径を有する曲げ部分が設けられていてもよい。
【0022】
本構成によれば、平面視において、複数の六角形ブロックの角にはそれぞれ、0.1mm以上1.0mm以下の曲率半径を有する曲げ部分が設けられているため、複数の六角形ブロックが互いに接触するとき、複数の六角形ブロックのそれぞれの角の損傷が低減される。曲げ部分が0.1mm未満の曲率半径を有する場合、曲げ部分の曲率半径が小さいため、複数の六角形ブロックが互いに接触するとき、それぞれの角が損傷しやすい。曲げ部分が1.0mmより大きい曲率半径を有する場合、曲げ部分の曲率半径が大きいため、正規荷重が与えられるとき、複数の六角形ブロックが互いに接触したとしても、タイヤサイドにかかる荷重が複数の六角形ブロックに分散され難くなる。したがって、平面視において、複数の六角形ブロックの角にはそれぞれ、0.1mm以上1.0mm以下の曲率半径を有する曲げ部分が設けられていることが好ましい。
【発明の効果】
【0023】
したがって、本発明に係る空気入りタイヤによれば、皺と割れが外径側サイドウォール基本面に生じることを抑制し易い。
【図面の簡単な説明】
【0024】
【
図1】本発明の一実施形態に係る空気入りタイヤの子午線断面の斜視図である。
【
図2】
図1のタイヤの外径側サイドウォール基本面の側面図である。
【
図4】正規荷重が与えられたときの外径側サイドウォール基本面の側面図である。
【発明を実施するための形態】
【0025】
以下、本発明の一実施形態について添付図面を参照しながら説明する。
【0026】
図1は、本発明の一実施形態に係る空気入りタイヤ(以下、単に「タイヤ」という)1の子午線断面図であって、タイヤ赤道CLから一方側のみを示している。本実施形態のタイヤ1は、ライトトラック用、又はトラックバス用のゴム製のタイヤとして構成されている。本実施形態において、タイヤ軸方向において、タイヤ赤道CLへ向かう方向を内側と呼称して、タイヤ赤道CLから離れる方向を外側と呼称する。
【0027】
[タイヤの構造]
タイヤ1は、
図1における左右方向で示すタイヤ軸方向に延びているトレッド11、トレッド11のタイヤ軸方向の両端から
図1における上下方向で示すタイヤ径方向の内側にそれぞれ延びている一対のサイドウォール12、及び一対のサイドウォール12のタイヤ径方向の内端に配置されている一対のビード13を備える。
【0028】
トレッド11は、タイヤ1の軸心周りに円筒状に延びるように、
図1における裏表方向で示すタイヤ周方向に延びている。トレッド11は、タイヤ径方向の外端に配置されており、転動時に接地する接地面である踏面14を有する。本実施形態では、踏面14のタイヤ軸方向の両端の間の距離をトレッド幅W1と呼称する。
【0029】
ビード13は、タイヤ径方向の内側に配置されているビードコア15、及びビードコア15よりタイヤ径方向の外側に配置されているビードフィラー16を備える。ビードコア15は、リング状に束ねられた多数の鋼線を備える。ビードフィラー16は、リング状であり、トレッド11とサイドウォール12を構成するゴムよりも硬質のゴムからなる。また、ビードフィラー16は、ビードコア15から、タイヤ径方向の外側へ向けてタイヤ軸方向の外側へ傾斜した方向に延びている。
【0030】
タイヤ1は、トレッド11のタイヤ径方向の内端、サイドウォール12のタイヤ軸方向の内端、及びビード13のタイヤ軸方向の内端にかけて延びているインナーライナー17を備える。このインナーライナー17の外側には、一対のビード13間にトロイダル状に掛け渡されたカーカス18が積層されている。
【0031】
カーカス18は、ビードコア15の周りでタイヤ外面側に折り返されて、巻き掛けられている。
【0032】
トレッド11の踏面14とカーカス18との間には、タイヤ周方向に延びるベルト層19が配置されている。
【0033】
ベルト層19は、タイヤ径方向に積層されている複数のベルトプライを有する。本実施形態において、ベルト層19は、4つのベルトプライ、すなわち、最もタイヤ径方向の内側に配置されている第1ベルトプライ19a、第1ベルトプライ19aよりタイヤ径方向の外側に配置されている第2ベルトプライ19b、第2ベルトプライ19bよりタイヤ径方向の外側に配置されている第3ベルトプライ19c、第3ベルトプライ19cよりタイヤ径方向の外側に配置されている第4ベルトプライ19dを有する。
【0034】
第1ベルトプライ19a、第2ベルトプライ19b、及び第3ベルトプライ19cは、タイヤ軸方向において、トレッド幅W1の75%以上の幅を有する幅広ベルトである。一方、第4ベルトプライ19dは、タイヤ軸方向において、トレッド幅W1の75%未満の幅を有する幅狭ベルトである。特に、第3ベルトプライ19cは、幅広ベルトの最外層ベルトと呼称する。
【0035】
本実施形態では、ベルト層19は、4つのベルトプライを有するが、異なる数のベルトプライ、例えば2つ又は3つのベルトプライを有してもよい。また、本実施形態では、ベルト層19は、幅広ベルトと幅狭ベルトを有するが、幅狭ベルトを有していなくてもよい。
【0036】
トレッド11には、複数の周溝21が、タイヤ軸方向に間隔をあけて、タイヤ周方向に延びている。本実施形態において、複数の周溝21のうち、タイヤ軸方向の内側に配置されている周溝21を内側周溝21aと呼称して、内側周溝21aよりタイヤ軸方向の外側に配置されている周溝21を外側周溝21bと呼称する。
【0037】
トレッド11には、内側周溝21aと外側周溝21bによって、タイヤ周方向に延びる複数の陸22が区画されている。陸22は、それぞれ、インナーライナー17の面直方向において、インナーライナー17からトレッド11の外端まで拡がるゴム層である。
図1において、2列の陸22が区画されているが、周溝21の数と陸22の数は必要に応じて変更が可能である。
【0038】
複数の陸22のうち、内側周溝21aと外側周溝21bとの間をクォーター陸22a、外側周溝21bの外側をショルダー陸22bと呼称する。
【0039】
トレッド11とサイドウォール12との間には、タイヤ1を成形する加硫工程における、トレッド11を成形するためのトレッドモールドとサイドウォール12を成形するためのサイドモールドとの間のパーティングラインであるトレッド勘合線24がタイヤ周方向に延びている。本実施形態では、トレッド勘合線24は、タイヤ1の側面における、ショルダー陸22bの内径側端部であって、トレッド11とサイドウォール12との間の境界である。
【0040】
サイドウォール12は、サイドウォール12の外面であって、溝などの部分的な凹みと部分的な突出部分を含まないサイドウォール基本面12aを有する。サイドウォール基本面12aの内、外径側に位置する部分を外径側サイドウォール基本面25と呼称する。具体的には、外径側サイドウォール基本面25は、トレッド勘合線24と、サイドウォール12のタイヤ軸方向の幅が最大となるタイヤ幅最大位置26との間でタイヤ径方向に拡がっている。
【0041】
外径側サイドウォール基本面25には、外径側サイドウォール基本面25からタイヤ軸方向の外側に突出している、ハニカム状ブロック群27が配置されている。
【0042】
図2は、
図1のタイヤ1の外径側サイドウォール基本面25の側面図であって、ハニカム状ブロック群27の形状を示している。
【0043】
ハニカム状ブロック群27は、トレッド勘合線24とタイヤ幅最大位置26との間の中間に配置されている六角形ブロック27aを含む。
【0044】
本実施形態において、外径側サイドウォール基本面25における六角形ブロック27aよりタイヤ径方向の外側には、六角形ブロック27aの半分、すなわち六角形ブロック27aのタイヤ径方向の内側の形状だけを有している外径側五角形ブロック27bが配置されている。また、外径側サイドウォール基本面25における六角形ブロック27aよりタイヤ径方向の内側には、六角形ブロック27aの半分、すなわち六角形ブロック27aのタイヤ径方向の外側の形状だけを有している内径側五角形ブロック27cが配置されている。
【0045】
六角形ブロック27a、外径側五角形ブロック27b、及び内径側五角形ブロック27cは、それぞれ、角がタイヤ径方向の内側と外側に向かって突出するような姿勢で配置されている。
【0046】
本実施形態において、六角形ブロック27aの寸法やタイヤ幅最大位置26などは、タイヤ1を正規リムに装着して正規内圧を充填した無負荷状態で測定される値である。
【0047】
「正規リム」とは、タイヤが基づいている規格を含む規格体系において、当該規格がタイヤごとに定めるリムであり、例えばJATMAであれば「標準リム」、TRAとETRTOであれば「Measuring Rim」である。
【0048】
「正規内圧」とは、タイヤが基づいている規格を含む規格体系において、各規格がタイヤごとに定めている空気圧であり、JATMAであれば「最高空気圧」、TRAであれば表「TIRE LOAD LIMITS AT VARIOUS COLD INFLATION PRESSURES」に記載の最大値、ETRTOであれば「INFLATION PRESSURE」である。
【0049】
複数の六角形ブロック27aは、それぞれ、タイヤ径方向の寸法L1がタイヤ周方向の寸法L2よりも大きい形状を有している。具体的には、複数の六角形ブロック27aのタイヤ径方向の寸法L1は、それぞれ、タイヤ周方向の寸法L2に対して2.0倍であるように設定されている。
【0050】
本実施形態では、複数の六角形ブロック27aのタイヤ径方向の寸法L1は、それぞれ、タイヤ周方向の寸法L2に対して2.0倍であるが、タイヤ周方向の寸法L2に対して0.5倍以上2.0倍以下であれば、異なる大きさであってもよい。
【0051】
複数の六角形ブロック27aと外径側五角形ブロック27bと内径側五角形ブロック27cとの間にはそれぞれ、タイヤ1が正規内圧を充填された無負荷状態であるとき、0.2mm以上0.5mm以下の幅の隙間L3が設けられている。本実施形態では、この隙間L3が、外径側サイドウォール基本面25において、ハニカム状に拡がっている。
【0052】
隙間L3は、外径側サイドウォール基本面25の一部であって、六角形ブロック27a、外径側五角形ブロック27b、及び内径側五角形ブロック27cを含まない部分の幅である。
【0053】
図3は、
図2の線IIIから見た六角形ブロック27aの断面図である。
【0054】
複数の六角形ブロック27aはそれぞれ、外径側サイドウォール基本面25から隙間L3の幅に対して2.5倍以上4.0倍以下の間の範囲H1で突出している。好ましくは、範囲H1は、0.5mm以上2.0mm以下であってもよい。
【0055】
外径側サイドウォール基本面25における複数の六角形ブロック27a、外径側五角形ブロック27b、及び内径側五角形ブロック27cの占有率は、70%以上である。
【0056】
平面視において、複数の六角形ブロック27a、外径側五角形ブロック27b、及び内径側五角形ブロック27cの角にはそれぞれ、0.1mm以上1.0mm以下の曲率半径を有する曲げ部分R1が設けられている。
【0057】
図3に示すように、複数の六角形ブロック27a、外径側五角形ブロック27b、及び内径側五角形ブロック27cと外径側サイドウォール基本面25との間には、0.1mm以上0.25mm以下の曲率半径を有する隅R部分R2が設けられている。
【0058】
複数の六角形ブロック27aはそれぞれ、タイヤ1が径方向の荷重を受けるとき、サイドウォール12、特に外径側サイドウォール基本面25が、タイヤ軸方向の内側に向かって湾曲するように、タイヤ径方向に圧縮されることによって、互いに漸近する。
【0059】
図4は、正規荷重が与えられたときの外径側サイドウォール基本面25の側面図である。
【0060】
「正規荷重」とは、タイヤが基づいている規格を含む規格体系において、各規格がタイヤごとに定めている荷重であり、JATMAであれば「最大負荷能力」、TRAであれば表「TIRE LOAD LIMITS AT VARIOUS COLD INFLATION PRESSURES」に記載の最大値、ETRTOであれば「LOAD CAPACITY」である。
【0061】
図5は、
図4の線Vから見た六角形ブロック27aの断面図である。
【0062】
複数の六角形ブロック27aはそれぞれ、正規荷重、又は正規荷重よりも大きな荷重がタイヤ径方向に与えられるとき、互いにタイヤ径方向に漸近するように傾いて接触する。したがって、少なくとも正規荷重がタイヤ径方向に与えられるとき、複数の六角形ブロック27aが互いに接触して、タイヤサイドにかかる荷重が分散されることにより、皺と割れが外径側サイドウォール基本面25に生じることを抑制し易い。
【0063】
このように構成したタイヤ1は、以下の特徴を有する。
【0064】
複数の六角形ブロック27a、外径側五角形ブロック27b、及び内径側五角形ブロック27cの間には、無負荷のとき、0.2mm以上0.5mm以下の幅の隙間L3が設けられているため、少なくとも正規荷重が与えられるとき、複数の六角形ブロック27a、外径側五角形ブロック27b、及び内径側五角形ブロック27cが互いに接触して、タイヤサイドにかかる荷重が複数の六角形ブロック27a、外径側五角形ブロック27b、及び内径側五角形ブロック27cに分散されることにより、皺と割れが外径側サイドウォール基本面25に生じることを抑制し易い。
【0065】
複数の六角形ブロック27a、外径側五角形ブロック27b、及び内径側五角形ブロック27cの間の隙間L3の幅が、無負荷のとき、0.2mm未満である場合、隙間L3が狭いため、正規荷重が与えられる前に、複数の六角形ブロック27a、外径側五角形ブロック27b、及び内径側五角形ブロック27cが互いに接触し易くなることにより、正規荷重が与えられるとき、タイヤサイドにかかる荷重が複数の六角形ブロック27a、外径側五角形ブロック27b、及び内径側五角形ブロック27cに分散され難くなる。複数の六角形ブロック27a、外径側五角形ブロック27b、及び内径側五角形ブロック27cの間の隙間L3の幅が、無負荷のとき、0.5mmより大きい場合、隙間L3が広いため、正規荷重が与えられたとしても、複数の六角形ブロック27a、外径側五角形ブロック27b、及び内径側五角形ブロック27cが互いに接触し難くなることにより、タイヤサイドにかかる荷重が複数の六角形ブロック27a、外径側五角形ブロック27b、及び内径側五角形ブロック27cに分散され難くなる。したがって、複数の六角形ブロック27a、外径側五角形ブロック27b、及び内径側五角形ブロック27cの間には、無負荷の時、0.2mm以上0.5mm以下の幅の隙間L3が設けられている必要がある。
【0066】
また、複数の六角形ブロック27a、外径側五角形ブロック27b、及び内径側五角形ブロック27cが外径側サイドウォール基本面25から突出するように設けられていることにより、外径側サイドウォール基本面25の剛性が低下し難くなると共に、車道の縁石が外径側サイドウォール基本面25に接触することによって生じる損傷が低減される。
【0067】
さらに、平面視において、複数の六角形ブロック27a、外径側五角形ブロック27b、及び内径側五角形ブロック27cが視認できる位置にあるため、タイヤ1のデザイン性が向上する。
【0068】
複数の六角形ブロック27a、外径側五角形ブロック27b、及び内径側五角形ブロック27cはそれぞれ、外径側サイドウォール基本面25から隙間L3の幅に対して2.5倍以上4.0倍以下の間で突出しているため、少なくとも正規荷重が与えられるとき、複数の六角形ブロック27a、外径側五角形ブロック27b、及び内径側五角形ブロック27cが互いに漸近するように傾くことによって、複数の六角形ブロック27a、外径側五角形ブロック27b、及び内径側五角形ブロック27cが互いに接触して、タイヤサイドにかかる荷重が複数の六角形ブロック27a、外径側五角形ブロック27b、及び内径側五角形ブロック27cに分散されることにより、皺と割れが外径側サイドウォール基本面25に生じることを抑制し易い。
【0069】
複数の六角形ブロック27a、外径側五角形ブロック27b、及び内径側五角形ブロック27cがそれぞれ、外径側サイドウォール基本面25から隙間L3の幅に対して2.5倍未満で突出している場合、複数の六角形ブロック27a、外径側五角形ブロック27b、及び内径側五角形ブロック27cの突出が小さいため、正規荷重が与えられるとき、複数の六角形ブロック27a、外径側五角形ブロック27b、及び内径側五角形ブロック27cが互いに漸近するように傾いたとしても、複数の六角形ブロック27a、外径側五角形ブロック27b、及び内径側五角形ブロック27cが互いに接触し難くなることにより、タイヤサイドにかかる荷重が複数の六角形ブロック27a、外径側五角形ブロック27b、及び内径側五角形ブロック27cに分散され難くなる。複数の六角形ブロック27a、外径側五角形ブロック27b、及び内径側五角形ブロック27cがそれぞれ、外径側サイドウォール基本面25から隙間L3の幅に対して4.0倍より大きく突出している場合、複数の六角形ブロック27a、外径側五角形ブロック27b、及び内径側五角形ブロック27cの突出が大きいため、外径側サイドウォール基本面25の剛性の向上代が大きくなることにより、車両の乗り心地が硬くなり易い。したがって、複数の六角形ブロック27a、外径側五角形ブロック27b、及び内径側五角形ブロック27cはそれぞれ、外径側サイドウォール基本面25から隙間L3の幅に対して2.5倍以上4.0倍以下の間で突出していることが好ましい。
【0070】
複数の六角形ブロック27a、外径側五角形ブロック27b、及び内径側五角形ブロック27cはそれぞれ、外径側サイドウォール基本面25から0.5mm以上2.0mm以下の間で突出しているため、少なくとも正規荷重が与えられるとき、複数の六角形ブロック27a、外径側五角形ブロック27b、及び内径側五角形ブロック27cが互いに漸近するように傾くことによって、複数の六角形ブロック27a、外径側五角形ブロック27b、及び内径側五角形ブロック27cが互いに接触して、タイヤサイドにかかる荷重が複数の六角形ブロック27a、外径側五角形ブロック27b、及び内径側五角形ブロック27cに分散されることにより、皺と割れが外径側サイドウォール基本面25に生じることを抑制し易い。
【0071】
複数の六角形ブロック27a、外径側五角形ブロック27b、及び内径側五角形ブロック27cがそれぞれ、外径側サイドウォール基本面25から0.5mm未満で突出している場合、複数の六角形ブロック27a、外径側五角形ブロック27b、及び内径側五角形ブロック27cの突出が小さいため、正規荷重が与えられるとき、複数の六角形ブロック27a、外径側五角形ブロック27b、及び内径側五角形ブロック27cが互いに漸近するように傾いたとしても、複数の六角形ブロック27a、外径側五角形ブロック27b、及び内径側五角形ブロック27cが互いに接触し難くなることにより、タイヤサイドにかかる荷重が複数の六角形ブロック27a、外径側五角形ブロック27b、及び内径側五角形ブロック27cに分散され難くなる。複数の六角形ブロック27a、外径側五角形ブロック27b、及び内径側五角形ブロック27cがそれぞれ、外径側サイドウォール基本面25から2.0mmより大きく突出している場合、複数の六角形ブロック27a、外径側五角形ブロック27b、及び内径側五角形ブロック27cの突出が大きいため、外径側サイドウォール基本面25の剛性の向上代が大きくなることにより、車両の乗り心地が硬くなり易い。したがって、複数の六角形ブロック27a、外径側五角形ブロック27b、及び内径側五角形ブロック27cはそれぞれ、外径側サイドウォール基本面25から0.5mm以上2.0mm以下の間で突出していることが好ましい。
【0072】
複数の六角形ブロック27aのタイヤ径方向の寸法L1はそれぞれ、タイヤ周方向の寸法L2に対して0.5倍以上2.0倍以下であるため、タイヤ径方向の剛性が確保される。よって、少なくとも正規荷重が与えられるとき、外径側サイドウォール基本面25はタイヤ径方向に変形し難くなり、皺と割れが外径側サイドウォール基本面25に生じることを抑制し易い。
【0073】
複数の六角形ブロック27aのタイヤ径方向の寸法L1がそれぞれ、タイヤ周方向の寸法L2に対して0.5倍未満である場合、六角形ブロック27aのタイヤ径方向の剛性が小さいため、正規荷重が与えられるとき、複数の六角形ブロック27a、外径側五角形ブロック27b、及び内径側五角形ブロック27cが互いに接触したとしても、タイヤサイドにかかる荷重が複数の六角形ブロック27a、外径側五角形ブロック27b、及び内径側五角形ブロック27cに分散され難くなる。複数の六角形ブロック27aのタイヤ径方向の寸法L1がそれぞれ、タイヤ周方向の寸法L2に対して2.0倍より大きい場合、六角形ブロック27aのタイヤ径方向の剛性が大きいため、正規荷重が与えられるとき、複数の六角形ブロック27a、外径側五角形ブロック27b、及び内径側五角形ブロック27cが互いに接触したとしても、タイヤサイドにかかる荷重が複数の六角形ブロック27a、外径側五角形ブロック27b、及び内径側五角形ブロック27cに分散され難くなる。したがって、複数の六角形ブロック27aのタイヤ径方向の寸法L1はそれぞれ、タイヤ周方向の寸法L2に対して0.5倍以上2.0倍以下であることが好ましい。
【0074】
複数の六角形ブロック27a、外径側五角形ブロック27b、及び内径側五角形ブロック27cと外径側サイドウォール基本面25との間には、0.1mm以上0.25mm以下の曲率半径を有する隅R部分R2が設けられているため、少なくとも正規荷重が与えられるとき、六角形ブロック27a、外径側五角形ブロック27b、及び内径側五角形ブロック27cと外径側サイドウォール基本面25との間にかかる荷重が分散し易くなることにより、皺と割れが生じることを抑制し易い。
【0075】
隅R部分R2が0.1mm未満の曲率半径を有する場合、正規荷重が与えられるとき、荷重が六角形ブロック27a、外径側五角形ブロック27b、及び内径側五角形ブロック27cと外径側サイドウォール基本面25との間に集中して、皺と割れが生じるおそれがある。隅R部分R2が0.25mmより大きい曲率半径を有する場合、正規荷重が与えられるとき、繰り返しひずみにより、六角形ブロック27a、外径側五角形ブロック27b、及び内径側五角形ブロック27cと外径側サイドウォール基本面25との間において、皺と割れが生じるおそれがある。したがって、複数の六角形ブロック27a、外径側五角形ブロック27b、及び内径側五角形ブロック27cと外径側サイドウォール基本面25との間には、0.1mm以上0.25mm以下の曲率半径を有する隅R部分R2が設けられていることが好ましい。
【0076】
外径側サイドウォール基本面25における複数の六角形ブロック27a、外径側五角形ブロック27b、及び内径側五角形ブロック27cの占有率は、70%以上であるため、外径側サイドウォール基本面25の剛性が大きくなる。よって、少なくとも正規荷重が与えられるとき、外径側サイドウォール基本面25はタイヤ径方向に変形し難くなり、皺と割れが外径側サイドウォール基本面25に生じることを抑制し易い。
【0077】
外径側サイドウォール基本面25における複数の六角形ブロック27a、外径側五角形ブロック27b、及び内径側五角形ブロック27cの占有率が70%未満である場合、外径側サイドウォール基本面25の剛性の向上代が小さくなるため、外径側サイドウォール基本面25はタイヤ径方向に変形し易くなり、皺と割れが生じるおそれがある。したがって、外径側サイドウォール基本面25における複数の六角形ブロック27a、外径側五角形ブロック27b、及び内径側五角形ブロック27cの占有率は、70%以上であることが好ましい。
【0078】
平面視において、複数の六角形ブロック27a、外径側五角形ブロック27b、及び内径側五角形ブロック27cの角にはそれぞれ、0.1mm以上1.0mm以下の曲率半径を有する曲げ部分R1が設けられているため、複数の六角形ブロック27a、外径側五角形ブロック27b、及び内径側五角形ブロック27cが互いに接触するとき、複数の六角形ブロック27a、外径側五角形ブロック27b、及び内径側五角形ブロック27cのそれぞれの角の損傷が低減される。
【0079】
曲げ部分R1が0.1mm未満の曲率半径を有する場合、曲げ部分R1の曲率半径が小さいため、複数の六角形ブロック27a、外径側五角形ブロック27b、及び内径側五角形ブロック27cが互いに接触するとき、それぞれの角が損傷しやすい。曲げ部分R1が1.0mmより大きい曲率半径を有する場合、曲げ部分R1の曲率半径が大きいため、正規荷重が与えられるとき、複数の六角形ブロック27a、外径側五角形ブロック27b、及び内径側五角形ブロック27cが互いに接触したとしても、タイヤサイドにかかる荷重が複数の六角形ブロック27a、外径側五角形ブロック27b、及び内径側五角形ブロック27cに分散され難くなる。したがって、平面視において、複数の六角形ブロック27a、外径側五角形ブロック27b、及び内径側五角形ブロック27cの角にはそれぞれ、0.1mm以上1.0mm以下の曲率半径を有する曲げ部分R1が設けられていることが好ましい。
【0080】
[他の実施形態]
なお、本発明は、上述の実施形態の構成に限定されず、種々の変更が可能である。
【0081】
上述の実施形態では、複数の六角形ブロック27aは、それぞれ、角がタイヤ径方向の内側と外側に向かって突出するような姿勢で配置されているが、辺がタイヤ径方向の内端と外端に位置するような姿勢で配置されてもよい。
【0082】
上述の実施形態では、外径側サイドウォール基本面25には、複数の六角形ブロック27a、外径側五角形ブロック27b、及び内径側五角形ブロック27cが設けられているが、外径側サイドウォール基本面25における六角形ブロック27aよりタイヤ径方向の外側には、外径側六角形ブロックが配置されてもよく、及び、又は外径側サイドウォール基本面25における六角形ブロック27aよりタイヤ径方向の内側には、内径側六角形ブロックが配置されていてもよい。
【0083】
また、上述の実施形態では、タイヤ1は、リブパターンであるが、それぞれの陸がタイヤ周方向に区画されているブロックパターンであってもよい。
【0084】
本発明の第1の態様は、タイヤ径方向の外端に位置しており、タイヤ周方向に延びている、トレッドと、
前記トレッドのタイヤ軸方向の外端からタイヤ径方向の内側に延びている、サイドウォールと、
前記トレッドと前記サイドウォールとの間において、タイヤ周方向に延びている、トレッド勘合線と、
前記トレッド勘合線と前記サイドウォールのタイヤ軸方向の幅が最大となるタイヤ幅最大位置との間でタイヤ径方向に拡がる外径側サイドウォール基本面と、
前記外径側サイドウォール基本面からタイヤ軸方向の外側に突出しており、ハニカム状に配置されている、複数の六角形ブロックであって、前記複数の六角形ブロックの間には、無負荷のとき、0.2mm以上0.5mm以下の幅の隙間が設けられている、前記複数の六角形ブロックと、を備えている、空気入りタイヤを提供する。
【0085】
本発明の第2の態様は、前記複数の六角形ブロックはそれぞれ、前記外径側サイドウォール基本面から前記隙間の幅に対して2.5倍以上4.0倍以下の間で突出している、第1の態様に記載の空気入りタイヤを提供する。
【0086】
本発明の第3の態様は、前記複数の六角形ブロックはそれぞれ、前記外径側サイドウォール基本面から0.5mm以上2.0mm以下の間で突出している、第2の態様に記載の空気入りタイヤを提供する。
【0087】
本発明の第4の態様は、前記複数の六角形ブロックのタイヤ径方向の寸法はそれぞれ、タイヤ周方向の寸法に対して0.5倍以上2.0倍以下である、第1の態様から第3の態様のいずれかに記載の空気入りタイヤを提供する。
【0088】
本発明の第5の態様は、前記複数の六角形ブロックと前記外径側サイドウォール基本面との間には、0.1mm以上0.25mm以下の曲率半径を有する隅R部分が設けられている、第1の態様から第4の態様のいずれかに記載の空気入りタイヤを提供する。
【0089】
本発明の第6の態様は、前記外径側サイドウォール基本面における前記複数の六角形ブロックの占有率は、70%以上である、第1の態様から第5の態様のいずれかに記載の空気入りタイヤを提供する。
【0090】
本発明の第7の態様は、平面視において、前記複数の六角形ブロックの角にはそれぞれ、0.1mm以上1.0mm以下の曲率半径を有する曲げ部分が設けられている、第1の態様から第6の態様のいずれかに記載の空気入りタイヤを提供する。
【符号の説明】
【0091】
1 空気入りタイヤ
11 トレッド
12 サイドウォール
12a サイドウォール基本面
13 ビード
14 踏面
15 ビードコア
16 ビードフィラー
17 インナーライナー
18 カーカス
19 ベルト層
19a 第1ベルトプライ
19b 第2ベルトプライ
19c 第3ベルトプライ
19d 第4ベルトプライ
21 周溝
21a 内側周溝
21b 外側周溝
22 陸
22a クォーター陸
22b ショルダー陸
24 トレッド勘合線
25 外径側サイドウォール基本面
26 タイヤ幅最大位置
27 ハニカム状ブロック群
27a 六角形ブロック
27b 外径側五角形ブロック
27c 内径側五角形ブロック
CL タイヤ赤道
H1 範囲
L1 寸法
L2 寸法
L3 隙間
R1 曲げ部分
R2 隅R部分