(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024098630
(43)【公開日】2024-07-24
(54)【発明の名称】廃プラスチックのリサイクルシステム
(51)【国際特許分類】
B29B 17/00 20060101AFI20240717BHJP
B29B 17/04 20060101ALI20240717BHJP
B29B 17/02 20060101ALI20240717BHJP
B29B 9/14 20060101ALI20240717BHJP
【FI】
B29B17/00 ZAB
B29B17/04
B29B17/02
B29B9/14
【審査請求】有
【請求項の数】4
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023002230
(22)【出願日】2023-01-11
(11)【特許番号】
(45)【特許公報発行日】2023-06-01
(71)【出願人】
【識別番号】521082008
【氏名又は名称】株式会社日本選別化工
(74)【代理人】
【識別番号】110000051
【氏名又は名称】弁理士法人共生国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】尾野 令奈
【テーマコード(参考)】
4F201
4F401
【Fターム(参考)】
4F201AA50
4F201AB25
4F201AD16
4F201AP19
4F201AQ02
4F201AQ03
4F201BA01
4F201BA02
4F201BC02
4F201BC17
4F201BC25
4F201BD05
4F201BK02
4F201BK40
4F201BL44
4F201BL47
4F201BP12
4F201BP16
4F401AD08
4F401CA14
4F401CA23
4F401CA38
4F401CA42
4F401CA58
4F401CA78
(57)【要約】
【課題】ガラス繊維の含有量でペレットを選別することができる廃プラスチックのリサイクルシステムを提供する。
【解決手段】ガラス繊維を含有した廃プラスチックを溶融混練した後、同形同大のペレット片に造粒する造粒装置と、ペレット片を永久磁石の磁力によって選別し、磁性体含有のペレット片を除去する磁力選別装置と、発信コイルと受信コイルの間にペレット片を通過させ、受信コイルの電圧の変化によって非磁性体含有のペレット片を除去する金属探知装置と、ペレット片のX線透過量の閾値が設定可能となっており、磁力選別装置及び金属探知装置の下流側に配置され、ペレット片のX線透過量が閾値以上のペレット片と、閾値未満のペレット片とを選別するX線検査装置と、を備え、閾値未満のペレット片をプラスチックの再生原料に用いる。
【選択図】
図2
【特許請求の範囲】
【請求項1】
ガラス繊維を含有した廃プラスチックを溶融混練した後、同形同大のペレット片に造粒する造粒装置と、
前記ペレット片が供給され、磁性体含有のペレット片と磁性体非含有のペレット片とを永久磁石の磁力によって選別し、磁性体含有のペレット片を除去する磁力選別装置と、
発信コイルと受信コイルの間に前記ペレット片を通過させ、受信コイルの電圧の変化によって非磁性体含有のペレット片を除去する金属探知装置と、
前記ペレット片のX線透過量の閾値が設定可能となっており、前記磁力選別装置及び前記金属探知装置の下流側に配置され、前記ペレット片にX線を照射したときのX線透過量が前記閾値以上のペレット片と、閾値未満のペレット片とを選別するX線検査装置と、を備え、
前記閾値未満のペレット片をプラスチックの再生原料に用いることを特徴とする廃プラスチックのリサイクルシステム。
【請求項2】
前記廃プラスチックを破砕及び粉砕する破砕粉砕装置が前記造粒装置の上流側に配置されていることを特徴とする請求項1に記載の廃プラスチックのリサイクルシステム。
【請求項3】
前記磁力選別装置が前記金属探知装置の上流側に配置されていることを特徴とする請求項1又は2に記載の廃プラスチックのリサイクルシステム。
【請求項4】
前記造粒装置の上流側で前記破砕粉砕装置の下流側に、前記廃プラスチックの塗膜を除去する塗膜除去装置が配置されていることを特徴とする請求項2に記載の廃プラスチックのリサイクルシステム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、バンパー、インストルメントパネルなどの自動車部品、運搬用パレット、通い箱やビールケースなどの運搬部品、ドア、ベッドなどの家具に用いたプラスチックを再利用するためのリサイクルシステムに関し、特に強度保持のためにガラス繊維を含有したプラスチックを再利用するためのリサイクルシステムに関する。
【背景技術】
【0002】
自動車部品である樹脂製バンパーは自動車の廃車時に自動車から取り外されて再生される。この樹脂製のバンパーを再生樹脂材として用いるための方法が特許文献1に開示されている。この方法は、バンパーの粗破砕物を風力選抜方式及び水比重選別方式を用いた選別工程で異物を除去した後、二軸押し出し機内で溶融混錬しながら押し出し成形し、押し出した成形品を切断機で切断してペレット化するものである。
【0003】
しかしながら、特許文献1に記載された方法で得られたペレットをバンパーの再生に用いるのには困難が生じる問題点がある。バンパーには、強度保持のためにPP(ポリプロピレン)やポリアミド等の母材樹脂にガラス繊維が含有されている。強度はガラス繊維の含有量に左右されるものであり、バンパーとしての強度を保持するため、再生バンパーの原料であるペレットはガラス繊維を一定量含有したペレットを用いる必要がある。特許文献1の方法では、材料を溶融混錬してペレットに成形するだけであり、得られたペレットにどのくらいのガラス繊維が含有されているかが不明となっている。このため、特許文献1の方法で得られたペレットを用いて再生したバンパーでは、所定の強度を保持することができないことがある。
【0004】
このため、個々のペレット内のガラス繊維の含有量を測定し、含有量に合わせてペレットを分別することも考えられるが、個々のペレットに対するガラス繊維の含有量の測定は非常に面倒であり、大量処理ができない新たな問題が発生する。以上のことは、自動車用バンパーだけでなく、車両のインストルメントパネル、運搬用パレット、通い箱やビールケースなどの運搬部材、ドアやベッドなどの家具、ペットボトルや包装用プラスチック袋などの廃プラスチックでも同様な問題となっている。
【0005】
本出願人は特許文献2に示すように、同形同大のペレット片を比重選別機で選別するシステムを提案した。これによれば、選別された一定重量のペレット片だけを再生原料に使用でき、元の部品と同様の強度を備えた部品を再生することができる。本発明では、ペレット片の比重選別機とは異なる別の選別システムを提案するものである。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【特許文献1】特開2011-20298号公報
【特許文献2】特許第7152083号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
本発明の目的は、廃自動車のバンパー等をはじめとした廃プラスチックを元の部品に再生する際に、廃プラスチック内のガラス繊維の含有量に合わせて合格品、不合格品を選別することができ、これにより元の部品と同様な強度を有した部品に確実に再生することができる廃プラスチックのリサイクスシステムを提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明による廃プラスチックのリサイクルシステムは、ガラス繊維を含有した廃プラスチックを溶融混練した後、同形同大のペレット片に造粒する造粒装置と、前記ペレット片が供給され、磁性体含有のペレット片と磁性体非含有のペレット片とを永久磁石の磁力によって選別し、磁性体含有のペレット片を除去する磁力選別装置と、発信コイルと受信コイルの間に前記ペレット片を通過させ、受信コイルの電圧の変化によって非磁性体含有のペレット片を除去する金属探知装置と、前記ペレット片のX線透過量の閾値が設定可能となっており、前記磁力選別装置及び前記金属探知装置の下流側に配置され、前記ペレット片にX線を照射したときのX線透過量が前記閾値以上のペレット片と、閾値未満のペレット片とを選別するX線検査装置と、を備え、前記閾値未満のペレット片をプラスチックの再生原料に用いることを特徴とする。
【0009】
前記廃プラスチックを破砕及び粉砕する破砕粉砕装置が前記造粒装置の上流側に配置されていることを特徴とする。
【0010】
前記磁力選別装置が前記金属探知装置の上流側に配置されていることを特徴とする。
【0011】
前記造粒装置の上流側で前記破砕粉砕装置の下流側に、前記廃プラスチックの塗膜を除去する塗膜除去装置が配置されていることを特徴とする。
【発明の効果】
【0012】
本発明の廃プラスチックのリサイクルシステムによれば、造粒装置により同形同大のペレット片に造粒し、次に磁力選別装置により、磁性体の金属が含有されているペレット片を除去し、さらに金属探知装置により、非磁性体の金属が含有されているペレット片を除去し、最後にX線検査装置により、ペレット片のX線透過量が閾値以上のペレット片と、閾値未満のペレット片とを選別し、閾値未満のペレット片だけを元の部品の再生原料に用いるので、元の部品と同様な強度を有した部品を確実に再生することができる。すなわち、磁力選別装置と金属探知装置により、磁性体と非磁性体の金属が混入したペレット片を除去するので、金属の混入がないペレット片として後、ペレット片に含まれるガラス繊維の量をX線検査装置で判定するので、より正確な選抜ができる。
【0013】
廃プラスチックを破砕及び粉砕する破砕粉砕装置が、造粒装置の上流側に配置されているので、破砕されてから造粒装置で溶融できるため、廃プラスチックの造粒を容易にできる。
【0014】
磁力選別装置が金属探知装置の上流側に配置されているので、磁性体の金属片が多数混入しても、磁性体の金属片をあらかじめ除去することで、金属探知装置の負荷が軽減できる。すなわち、金属探知装置が磁性体の金属片に邪魔されることなく、非磁性の金属の除去ができる。
【0015】
造粒装置の上流側で破砕粉砕装置の下流側に、廃プラスチックの塗膜を除去する塗膜除去装置を配置したので、望ましくない塗料片を除去できる。
【図面の簡単な説明】
【0016】
【
図1】本発明による廃プラスチックのリサイクルシステムの処理を示す流れ図である。
【
図2】本発明による廃プラスチックのリサイクルシステムの全体構成図である。
【発明を実施するための形態】
【0017】
図面を参照して、本発明による廃プラスチックのリサイクルシステムを説明する。以下の実施形態では、廃プラスチックとして廃車から分離されたバンパーを例に説明する。
【0018】
図1は、本発明による廃プラスチックのリサイクルシステムの処理を示すフローチャートであり、
図2及び
図3は、フローチャートに沿ったリサイクルシステムの具体的な構造をそれぞれ示している。
図1に示すように、リサイクルシステムは、破砕粉砕段階100と、塗膜除去段階110と、造粒段階120と、磁性体含有ペレットの除去段階130と、非磁性体含体有のペレット片を除去する段階140と、ガラス繊維含有量に応じたペレット片の選別段階150と、を備える。
【0019】
破砕粉砕段階100では、破砕粉砕装置50を使用する(
図2参照)。破砕粉砕装置50では、廃バンパー1を所定の大きさに切断する破砕と、破砕に続いてさらに小さな細片とする粉砕とを行って、廃バンパー片(廃プラスチック片)2とする。
【0020】
造粒段階120では、造粒装置53が用いられる(
図2参照)。造粒装置51では、廃バンパー片2を溶融及び押し出しにより同形同大のペレット片3に造粒する。造粒段階120では、例えば、ヒータ4を有するスクリュー型押し出し機5により、廃バンパー片2を溶融して押し出すことによりペレット片3を造粒する。この形態では、スクリュー型押し出し機5の取り出し口から取り出すときにカッター6によって同じ長さに切断する。このことにより、取り出し口の形状に沿った同じ外形を有し、且つ同じ長さを有した同形同大のペレット片3を連続的に造粒することができる。
【0021】
磁性体含有ペレットの除去段階130では、磁力選別装置90によりペレット片3に磁性体の金属が含有されているものを除去し、非磁性体含有のペレット片の除去段階140では、金属探知装置91によりペレット片3に非磁性体の金属が含有されているものを除去する。
【0022】
ガラス繊維含有量に応じたペレット片の選別段階150では、X線検査装置92を用いる(
図2参照)。X線検査装置92は磁力選別装置90及び金属探知装置91の下流側に配置される。X線検査装置92は、ペレット片3のX線透過量の閾値が設定可能となっている。そして、ペレット片3にX線を照射したときのX線透過量が閾値以上のペレット片3と、閾値未満のペレット片3とを選別し、閾値未満のペレット片をプラスチックの再生原料に用いる。
【0023】
X線検査装置92には、同形同大のペレット片3が供給され、同形同大のペレット片3に対するX線透過量を測定する。また、バンパーの再生に用いることが可能なガラス繊維含有量に応じたX線透過量を基準として閾値が設定される。X線透過量が閾値以上のペレット片とは、X線透過量が多く、ガラス繊維をあまり含まないペレット片であり、バンパーの再生に適さないペレット片である。X線透過量が閾値未満のペレット片とは、X線透過量が少なく、ガラス繊維を多く含むペレット片であり、バンパーの再生に使用することができる。
【0024】
このような本発明は、同形同大に造粒されたペレット片の内、X線透過量が閾値未満のペレット片だけを用いて元のバンパーを再生することから元のバンパーと同程度の強度のバンパーに再生することができる。この発明では、ペレット片のガラス繊維の含有量を個々に測定する必要がないため大量処理が可能であり、しかも簡単に元のバンパーの強度を有したバンパーを再生することができる。
【0025】
塗膜除去段階110は、バンパー表面に塗料が塗布されている場合に、この塗膜を除去する段階である。塗膜の除去は、その塗料の溶解力を有した有機溶媒が使用される。なお、塗膜の量は、バンパー全体に対して極めて少なく、塗膜は造粒段階120の造粒で樹脂材に練り込まれることから、実用に支障がない場合もある。このため、塗膜除去段階130を省いても良い。
【0026】
図2は、本発明による廃プラスチックのリサイクルシステム200の全体構成図である。自動車から取り外された廃ダンパー1は、破砕粉砕装置50を使用して、粗に切断する破砕と、破砕に続いてさらに小さな細片とする粉砕を行って廃バンパー片(廃プラスチック片)2とする。詳しくは破砕機7で粗に切断し、略10cm程度のプラスチック片とし、続けて粉砕機8で細かく切断し、略1cm程度の廃バンパー片(廃プラスチック片)2とする。
【0027】
続いて、廃バンパー片(廃プラスチック片)2は、造粒装置52に投入される。造粒装置52は、ヒータ4を備えたスクリュー型押し出し機5によって、投入された廃バンパー(廃プラスチック片)2を溶融しながら、スクリューで
図2の右側方向に押し出す。取り出し口から棒状に押し出された部材をカッター6で一定長さに切断し、同形同大のペレット片3を作製する。ペレット片3は、続いて磁力選別装置90と、これに続く金属探知装置91に投入される。
【0028】
磁力選別装置90と金属探知装置91は、1つの筐体に収容されている。金属探知装置91は、磁力選別装置90の下流に配置される。磁力選別装置90は、シェル25を永久磁石24の周囲に回転させる構造である。ペレット片3を上方からシェル25に向かって落下させる。これに限らず、ベルトコンベアの一端に永久磁石24を組み込み、ペレット片3をベルトコンベアで搬送する構造でもよい。磁性体を含有するペレット片3が円筒状の薄い金属板からなるシェル25を通過する時、永久磁石24の磁力の影響を受けて飛行曲線が変わるので、進行方向に設けられた選別フラップ27の内側(左側)を通過して分離される。磁性体を含有しない良品のペレット片3は、永久磁石24の影響を受けないので、選別フラップ23の外側(右側)を通過して落下する。
【0029】
永久磁石24は、永久磁石となる円板とヨークが交互に積み重ねられたもので、各円板は、NとSが向い合せとなるように積み重ねられる。重ねた長さは約50cmである。この実施例では、永久磁石24をかまぼこ形とした。これにより、シェル25の右上方向の広い範囲に磁力線を出すことができる。永久磁石24は、中心軸26にバランサと共に右上方向を向くように装着され、回転はしない。中心軸26が回転すると、シェル25が回転する。
【0030】
シェル25の回転速度を任意に変更できる速度制御部21を設けた。また、
選別フラップ27は、角度を自在に変更できるだけでなく、スライド可能にするスライド機構22を設けた。これらにより、ペレット片3の飛ぶ軌道のどの位置に選別フラップ27の先端を位置させるかの微妙な調整を可能にした。
【0031】
金属探知装置91は、アルミニウム片等の非磁性体の金属片を含有したペレット片3を分離する。金属探知装置91には、発信コイル91aと受信コイル91bが設けられ、非磁性体を含有するペレット3が通過すると、受信コイル91bの電圧が変化するので、電圧の変化が一定の値を越えた時に選別フラップ28を作動させて角度を変更することにより、非磁性体を含有するペレット片3を分離する。
【0032】
X線検査装置92では、ペレット片3がベルトコンベヤ30に送り込まれる。ベルトコンベヤ30上のペレット片3が所定の閾値の画像のものかX線管31とラインセンサ32で判定する。これによりX線透過量が閾値以上のペレット片3と、閾値未満のペレット片3とを選別する。X線透過量が閾値以上のペレット片、すなわちガラス繊維をあまり含まないペレット片と、X線透過量が閾値未満のペレット片3、すなわちガラス繊維を多く含むペレット片3とに分けることができる。そして、閾値未満のペレット片3をプラスチックの再生原料に用いる。ここでペレット片3に含まれるガラス繊維の量はX線検査装置92で撮像した画像の濃度で判定する。この判定に基づいて、選別フラップ29を作動させて角度を変更することにより、ガラス繊維を多く含むペレット片3と、ガラス繊維をあまり含まないペレット片3に分離する。排出箱9は、閾値以上のペレット片3を収容し、排出箱10は閾値未満のペレット片3を収容する。
【0033】
図3は、金属探知装置91の信号例を示す図である。
図3に示すように、ペレット片3を、磁力選別装置90を通さずに通過させると、多数の信号が出て、非磁性体含有のペレット片を検知する性能が低下する。ペレット片3を、磁力選別装置90を通過させた後に金属探知装置91に通した場合、非磁性体含有のペレット片を示す信号を的確に検知できる。
【0034】
図4は、X線検査装置95の信号例を示す図である。
図4に示すように、ペレット片3を磁力選別装置90と金属探知機91を通さずに通過させると、異物による多数の信号が出てX線検査装置95の性能が低下する。ペレット片3を磁力選別装置90と金属探知装置91を通した後に、X線検査装置95に投入すると、ノイズとなる信号が減少し、撮像した画像を的確に判定できる。
【0035】
図5は、廃バンパー1の一例の断面図である。バンパーの基材18は、一般に熱可塑性のポリプロピレンにガラス繊維を混入したものが使用される。基材18の表面には、熱可塑性樹脂のプライマ17を塗布し、その上に熱硬化樹脂の塗膜16を形成している。例として、基材18の厚さが5mmの場合、プライマ17の厚さは10μm、塗膜16の厚さは40μmとすることができる。ガラス繊維は基材18に混合される。
【0036】
図6は、塗膜除去装置51を組み込んだ場合の構造図である。塗膜除去装置51は、破砕粉砕装置50と造粒装置52の間に配置する。塗膜は粉砕してもペレット片3の品質に影響する場合があり、塗膜除去装置51で除去することができる。塗膜除去装置51はドラム19の内部に攪拌棒20を備えて、廃バンパー片(廃プラスチック片)2を投入して攪拌する。塗膜剥離剤もドラム19に投入し、塗膜の剥離を促進する。
【0037】
以上の実施例では、自動車のバンパーの廃プラスチックを用いたリサイクルシステムについて説明したが、本発明では、これに限らず自動車のインストルメントパネル、運搬用パレット、通い箱やビールケースなどの運搬部材、ドアやベッドなどの家具、ペットボトルや包装用プラスチック袋などの廃プラスチックに対しても同様に適用することができる。
【産業上の利用可能性】
【0038】
本発明は、同形同大のペレット片を作製し、同形同大のペレット片のX線透過量が閾値未満のペレット片ペレット片だけをプラスチックの再生原料とするため、再生プラスチックの強度を保持することができる。このためガラス繊維を含有したプラスチックを再利用するためのリサイクルシステムとして好適である。
【符号の説明】
【0039】
1 廃バンパー
2 廃プラスチック片(廃バンパー片)
3 ペレット片
4 ヒータ
5 スクリュー型押し出し機
6 カッター
7 破砕機
8 粉砕機
9 排出箱(一定重量以上にある物)
10 排出箱(一定重量未満にある物)
16 塗膜
17 プライマ
18 基材
19 ドラム
20 攪拌棒
21 速度制御部
22 スライド機構
23 ガイド
24 永久磁石
25 シェル
26 中心軸
27 選別フラップ
28 選別フラップ
29 選別フラップ
30 ベルトコンベア
31 X線管
32 ラインセンサ
33 フィーダ
50 破砕粉砕装置
51 塗膜除去装置
52 造粒装置
90 磁力選別装置
91 金属探知機
92 X線検査装置
200 廃プラスチックのリサイクルシステム
S100 破砕粉砕段階
S110 造粒段階
S120 塗膜除去段階
S130 磁性体含有のペレット片の除去段階
S140 非磁性体含有のペレット片の除去段階
S150 ガラス繊維含有量に応じたペレット片の選別段階