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特開2024-98632通信装置、通信方法、及び、プログラム
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024098632
(43)【公開日】2024-07-24
(54)【発明の名称】通信装置、通信方法、及び、プログラム
(51)【国際特許分類】
   H04W 52/02 20090101AFI20240717BHJP
【FI】
H04W52/02
【審査請求】有
【請求項の数】8
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023002232
(22)【出願日】2023-01-11
(71)【出願人】
【識別番号】000227205
【氏名又は名称】NECプラットフォームズ株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100080816
【弁理士】
【氏名又は名称】加藤 朝道
(74)【代理人】
【識別番号】100098648
【弁理士】
【氏名又は名称】内田 潔人
(72)【発明者】
【氏名】山口 智輝
【テーマコード(参考)】
5K067
【Fターム(参考)】
5K067CC21
5K067EE02
5K067EE10
(57)【要約】
【課題】親機に帰属している省電力機能を有する子機が存在する環境下において、親機の省電力化を図る。
【解決手段】通信装置は、メイン制御部を含み、メイン制御部は、帰属する省電力機能を有する全ての子機が通信機能を停止しているか否かを判定し、前記全ての子機が通信機能を停止している期間に、通信機能を停止するように制御する。
【選択図】図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
メイン制御部を含む通信装置であって、
前記メイン制御部は、
帰属する省電力機能を有する全ての子機が通信機能を停止しているか否かを判定し、
前記全ての子機が通信機能を停止している期間に、通信機能を停止するように制御する、通信装置。
【請求項2】
前記全ての子機が帰属する親機である、請求項1に記載の通信装置。
【請求項3】
前記親機は、モバイルルータである、請求項2に記載の通信装置。
【請求項4】
前記メイン制御部は、前記子機の通信機能の停止の解除を、帰属する他の子機の通信機能の解除と一致するように遅延させる、請求項1に記載の通信装置。
【請求項5】
前記メイン制御部は、前記通信機能の停止に加えて、前記通信機能以外の機能も停止するように制御する、請求項1に記載の通信装置。
【請求項6】
前記全ての子機の前記通信機能を停止している前記期間が、同一の期間である、請求項1に記載の通信装置。
【請求項7】
通信装置のコンピュータが、
帰属する省電力機能を有する全ての子機が通信機能を停止しているか否かを判定するステップと、
前記全ての子機が通信機能を停止している期間に、通信機能を停止するように制御するステップを含む、通信方法。
【請求項8】
通信装置のコンピュータに、
帰属する省電力機能を有する全ての子機が通信機能を停止しているか否かを判定する処理と、
前記全ての子機が通信機能を停止している期間に、通信機能を停止するように制御する処理を実行させるプログラム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、通信装置、通信方法、及び、プログラムに関する。
【背景技術】
【0002】
親機と子機の省電力化を図る通信システムについては、以下のような文献がある。
【0003】
特許文献1は、基地局から子機に一時休止期間を通知し、基地局の一時休止期間に、子機も機能一時休止状態に入る、通信システムに関するものである。
【0004】
特許文献2は、モバイル端末が、モバイルルータを省電力モードに切り換える指示をモバイルルータに送信し、モバイルルータが指示に従って省電力モードに切り換える、モバイルルータ制御システムに関するものである。
【0005】
特許文献3は、無線チャネルが空き状態でない場合でも、データ送信を制御して休止時間を創出し、自装置を省電力状態に遷移させる、無線通信装置に関するものである。
【0006】
特許文献4は、無線端末から受信する動作モード移行通知により把握した無線端末の第2動作モードに対応させて、自己の動作モードである第1動作モードを設定する無線中継装置に関するものである。
【0007】
特許文献5は、無線子機が、順番記憶手段に記憶された自局の順番に基づき求められる所定の時間、間欠キャリアセンスによる検知を禁止する、無線システムに関するものである。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0008】
【特許文献1】国際公開第2016/203810号
【特許文献2】特開2021-052356号公報
【特許文献3】特開2019-149677号公報
【特許文献4】特開2015-046679号公報
【特許文献5】特開2003-217067号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0009】
以下の分析は、本発明者によって与えられたものである。
【0010】
Wi-Fi(Wireless Fidelity)通信可能な親機とそこに帰属する複数の子機が存在するBSS(Basic Service Set)環境下において、既存技術としてTWT(Target Wake Time)というWi-Fi6(IEEE 802.11ax)で導入された子機用の省電力機能がある。これは親機がデータ通信頻度の整合を事前に各子機と行い、子機が通信不要な時間に子機の通信機能をオフにして省電力化を図るものである。
【0011】
一方、昨今の無線通信規格は、例として5G(第5世代移動通信システム)があげられるWAN回線も、先述のWi-Fi6があげられるWi-Fi回線も、共に、通信速度の増加、帰属子機数の増加の傾向がある。モバイルルータの様に可搬性のため電源をバッテリ駆動としている親機にとっては使用時間を可能な限り確保することが重要である。しかしながら、これらの規格の実装を想定した場合、消費電力量は増加傾向にあり、モバイルルータ(親機)としては課題となる。
【0012】
既存技術のTWTは、親機に帰属する子機の省電力化を図るものであり、親機についての省電力効果は無かった。
【0013】
本発明は、親機に帰属している省電力機能を有する子機が存在する環境下において、親機の省電力化を図ることを可能とすることに貢献する、通信装置、通信方法、及び、プログラムを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0014】
本発明の第1の視点によれば、メイン制御部を含む通信装置であって、
前記メイン制御部は、
帰属する省電力機能を有する全ての子機が通信機能を停止しているか否かを判定し、
前記全ての子機が通信機能を停止している期間に、通信機能を停止するように制御する、通信装置を、提供できる。
【0015】
本発明の第2の視点によれば、通信装置のコンピュータが、
帰属する省電力機能を有する全ての子機が通信機能を停止しているか否かを判定するステップと、
前記全ての子機が通信機能を停止している期間に、通信機能を停止するように制御するステップを含む、通信方法を、提供できる。本方法は、通信方法を行うコンピュータという、特定の機械に結びつけられている。
【0016】
本発明の第3の視点によれば、通信装置のコンピュータに、
帰属する省電力機能を有する全ての子機が通信機能を停止しているか否かを判定する処理と、
前記全ての子機が通信機能を停止している期間に、通信機能を停止するように制御する処理を実行させるプログラムを提供できる。
【0017】
なお、これらのプログラムは、コンピュータが読み取り可能な記憶媒体に記録することができる。記憶媒体は、半導体メモリ、ハードディスク、磁気記録媒体、光記録媒体等の非トランジェント(non-transient)なものとすることができる。本発明は、コンピュータプログラム製品として具現することも可能である。
【発明の効果】
【0018】
本発明によれば、親機に帰属している省電力機能を有する子機が存在する環境下において、親機の省電力化を図ることを可能とすることに貢献する、通信装置、通信方法、及び、プログラムを提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0019】
図1】本発明の一実施形態の通信装置の構成の一例を示す図である。
図2】親機と子機で構成されるBSS(Basic Service Set)環境の概念を示す図である。
図3】本発明の第1の実施形態の親機の構成の一例を示す図である。
図4】本発明の第1の実施形態の子機の構成の一例を示す図である。
図5】TWT(Target Wake Time)の概念を示す図である。
図6】本発明の第1の実施形態のモバイルルータの構成の一例を示す図である。
図7】本発明の第1の実施形態のモバイルルータと子機の動作の一例を示す図である。
図8】本発明の第2の実施形態と比較するための本発明の第1の実施形態の親機と子機の動作の他の一例を示す図である。
図9】本発明の第2の実施形態の親機と子機の動作の一例を示す図である。
図10】本発明の通信装置のメイン制御部を構成するコンピュータの構成を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0020】
はじめに、本発明の一実施形態の概要について図面を参照して説明する。なお、この概要に付記した図面参照符号は、理解を助けるための一例として各要素に便宜上付記したものであり、本発明を図示の態様に限定することを意図するものではない。また、以降の説明で参照する図面等のブロック間の接続線は、双方向及び単方向の双方を含む。一方向矢印については、主たる信号(データ)の流れを模式的に示すものであり、双方向性を排除するものではない。
【0021】
図1は、本発明の一実施形態の通信装置の構成の一例を示す図である。図1を参照すると、通信装置(以下、親機とも称する)10は、メイン制御部11を含む。メイン制御部11は、通信装置10に帰属する省電力機能を有する全ての子機が通信機能を停止しているか否かを判定する。また、メイン制御部11は、全ての子機が通信機能を停止している期間に、通信装置10の通信機能を停止するように制御する。
【0022】
なお、通信装置10は、全ての子機が帰属する親機であり、子機は、通信装置10がデータ通信頻度の整合を事前に各子機と行い、子機が通信不要な時間に子機の通信機能をオフにする、例えば、TWT等の子機用の省電力機能を有する。また、親機に帰属している省電力機能を有する子機が存在する環境は、例えば、Wi-Fi通信可能な親機とそこに帰属する複数の子機が存在するBSS(Basic Service Set)環境でもよい。
【0023】
従って、本発明の一実施形態によれば、親機に帰属している省電力機能を有する子機が存在する環境下において、親機の省電力化を図ることを可能とすることに貢献する、通信装置、通信方法、及び、プログラムを提供することができる。
【0024】
[第1の実施形態]
次に、本発明の第1の実施形態の通信装置について、図面を参照して説明する。
【0025】
図2は、親機と子機で構成されるBSS(Basic Service Set)環境の概念を示す図である。図3は、本発明の第1の実施形態の親機の構成の一例を示す図である。図4は、本発明の第1の実施形態の子機の構成の一例を示す図である。図5は、TWT(Target Wake Time)の概念を示す図である。図2から図5において、図1と同一の参照符号を付した構成要素は、同一の構成要素を示すものとする。
【0026】
図2は、本発明で想定される親機と子機で構成されるBSS環境の概念図を示す図である。親機10が有するWi-Fi通信機能によりn台の子機20A、子機20B、子機20nが、親機10に帰属している。このBSS環境は同様に親機10が有するWAN(Wide Area Network)通信機能によりWAN回線30に接続され、親機10に帰属している子機は、親機10を介してWAN回線30の利用が可能となる。
【0027】
図3に記載の親機10は、図2に記載の親機10に対応する。また、図4に記載の子機20は、図2に記載の子機20Aの構成の一例を記載したものである。子機20B、20nも、限定はされないが、図4に記載の子機20の構成を有するものとして、以下に説明する。
【0028】
図3は、本発明おいて、親機の動作に必要な最小単位の構成要素を含む親機10のブロック図の一例を示す図であり、親機10は、メモリ100、メイン制御部101、WAN通信モジュール102、アンテナ103、Wi-Fi通信モジュール104、アンテナ105、電源106を含む。メモリ100は、必要な情報を格納する。メイン制御部101は、親機10の全体を制御する。WAN通信モジュール102およびアンテナ103は、基地局を通してWAN回線30に接続可能な通信機能を有したモジュールおよびアンテナである。Wi-Fi通信モジュール104およびアンテナ105は、Wi-Fi接続可能な通信機能を有したモジュールおよびアンテナである。親機10の各ブロックの電力は電源106を介して供給される。
【0029】
図4は、本発明において、子機の動作に必要な最小単位の構成要素を含む子機20のブロック図の一例を示す図であり、子機20は、メモリ200、メイン制御部201、Wi-Fi通信モジュール204、アンテナ205、電源206を含む。メモリ200は必要な情報を格納する。メイン制御部201は子機20の全体を制御する。Wi-Fi通信モジュール204およびアンテナ205は、Wi-Fi接続可能な通信機能を有したモジュールおよびアンテナである。子機20の各ブロックの電力は電源206を介して供給される。
【0030】
次に、TWT(Target Wake Time)について説明する。図5は、TWTの概念を示す図である。図2で示したBSS環境における経過時間を時間軸400で示し、簡略化のために帰属台数は、子機20Aと子機20Bの2台として説明する。一定時間間隔で親機10、子機20A、子機20Bがそれぞれ、Beacon401、Beacon402、Beacon403を送信しており、親機10と子機20A間、親機と子機20B間における次に通信するタイミングの取り決めは時間軸400の開始前に完了していることを前提とする。
【0031】
図5に示す親機10と子機20A、20Bの動作は、図3に記載の親機10のメイン制御部101と、子機20A、20Bの各々の図4に示すメイン制御部201によって実行される。
【0032】
親機10と子機20A間においては、その取り決めに従って子機20Aは通信機能をオフとするSleep時間404に移行し、その後、子機20Aの通信機能の停止を解除するために、図3に記載の親機10のメイン制御部101の制御により、親機10からWake Up信号405が、子機20Aに送られ、これにより再度通信可能な状態に移行する。同様に親機10と子機20B間においても、取り決めに従って、子機20Bは、通信機能をオフとするSleep時間406に移行し、その後、子機20Bの通信機能の停止を解除するために、図3に記載の親機10のメイン制御部101の制御により、親機からWake Up信号407が、子機20Bに送られ、これにより、子機20Bは、再度通信可能な状態に移行する。このように通信不要なタイミングで子機をSleep Modeに移行させることで、子機は省電力効果を得ることができる。
【0033】
本発明の第1の実施形態では、上述のTWTによる子機用の省電力機能に、親機側の省電力機能を追加することで、親機の消費電力量の増加に対する省電力化を図るものである。
【0034】
図6は、本発明の第1の実施形態のモバイルルータの構成の一例を示す図である。図6に記載のモバイルルータ50は、図3に記載の親機10に対応する。図6は、本発明で想定されるモバイルルータ50の動作に必要な最小単位の構成要素を含むモバイルルータ50のブロック図を示す。モバイルルータ50は、メモリ500、メイン制御部501、WAN通信モジュール502、アンテナ503、Wi-Fi通信モジュール504、アンテナ505、電源506を含み、電源506は、バッテリ507と電源回路508を含む。メモリ500は必要な情報を格納する。メイン制御部501は、モバイルルータ50の全体を制御する。WAN通信モジュール502およびアンテナ503は、基地局を通してWAN回線30に接続可能な通信機能を有したモジュールおよびアンテナである。Wi-Fi通信モジュール504およびアンテナ505はWi-Fi接続可能な通信機能を有したモジュールおよびアンテナである。モバイルルータ50の各ブロックの電力は、電源506のバッテリ507から電源回路508を介して供給される。
【0035】
図7は、本発明の第1の実施形態のモバイルルータと子機の動作の一例を示す図である。図7に示すモバイルルータ50(親機)と子機20A、20Bの動作は、図6に記載のモバイルルータ50(親機)のメイン制御部501と、子機20A、20Bの、図4に示すそれぞれのメイン制御部201によって実行される。
【0036】
図5で説明したのと同様に、図2で示したBSS環境における経過時間を時間軸600で示し、簡略化のために、モバイルルータ50への帰属台数は、子機20Aと子機20Bの2台として、一定時間間隔でモバイルルータ50、子機20A、子機20BがそれぞれBeacon601、Beacon602、Beacon603を送信している。モバイルルータ50と子機20A間と、モバイルルータ50と子機20B間における、次に通信するタイミングの取り決めは、時間軸600の開始前に完了していることを前提とする。モバイルルータ50と各子機20A、20B間においては、その取り決めに従ってSleep時間604、Sleep時間606に移行するが、モバイルルータ50の各子機20A、20Bに対するWake Up信号605、Wake Up信号607により、子機は再度通信可能な状態に移行する。このように子機の省電力効果を得るのが既存技術のTWTである。
【0037】
本発明の第1の実施形態では、モバイルルータ50(親機)のメイン制御部501は、取り決めに従って、帰属する省電力機能を有する全ての子機が通信機能を停止しているか否かを判定する。そして、メイン制御部501は、全ての子機が通信機能を停止している期間に、モバイルルータ50(親機)の通信機能を停止するように制御する。この結果、Sleep時間604とSleep時間606の重なる時間、つまり子機20Aも子機20Bも通信が共に不要となるタイミングで、モバイルルータ50に帰属している子機20A、20Bに対するモバイルルータ50の通信機能をオフにしてSleep時間608に移行することで、モバイルルータ50も省電力効果を得ることが可能となる。
【0038】
以上説明したように、本発明の第1の実施形態によれば、モバイルルータ(親機)に帰属している省電力機能を有する子機が存在する環境下において、親機の省電力化を図ることを可能とすることに貢献する、通信装置、通信方法、及び、プログラムを提供することができる。
【0039】
また、本発明の第1の実施形態では、既存技術であるTWTを元にしており、子機の通信不要なタイミングで親機の通信機能をオフにするため、子機の通信機能を制限することなく、また、子機の帰属台数に関わらず、親機の省電力効果を実現できる。
【0040】
さらに、本発明の第1の実施形態では、TWTで使用されている各子機のSleep時間のみを利用するために、モバイルルータ(親機)の省電力化の機能の実装が容易である。
【0041】
さらに、本発明の第1の実施形態では、モバイルルータ(親機)の省電力効果に付随して、削減した分の消費電力量をその他の機能、例えば通信速度増加を実現する機能等に割くことで、モバイルルータ(親機)の使用時間を変えずに通信性能の向上を図ることが可能である。
【0042】
[第2の実施形態]
次に、本発明の第2の実施形態について、図面を参照して説明する。本発明の第2の実施形態の親機の構成の一例は、図3に示す親機10の構成の一例と同一であるので、その構成の説明を省略する。なお、図3に示す親機10は、図6に記載のモバイルルータ50でもよい。
【0043】
本発明の第2の実施形態の親機10と子機20A、20Bの動作は、図3に記載の親機10のメイン制御部101と、子機20A、20Bの、図4に示すそれぞれのメイン制御部201によって実行される。図3に示す親機10が、図6に記載のモバイルルータ50の場合には、モバイルルータ50のメイン制御部501によって実行される。
【0044】
本発明の第2の実施形態では、子機のSleep時間の終了即ちWake Upの時点を、遅延させて親機の省電力効果を高めるものである。
【0045】
図8は、本発明の第2の実施形態と比較するための本発明の第1の実施形態のモバイルルータ50(親機)と子機の動作の他の一例を示す図である。図8に示す動作は、図7に示す動作と同様に、BSS環境における経過時間を時間軸700で示し、簡略化のために、親機10への帰属台数は、子機20Aと子機20Bの2台として、一定時間間隔で親機10、子機20A、子機20Bがそれぞれ、Beacon701、Beacon702、Beacon703を送信している。親機10と子機20A間及び、親機10と子機20B間においては、その取り決めに従ってSleep時間704、Sleep時間706に移行するが、親機10の各子機20A、20Bに対するWake Up信号705、Wake Up信号707により子機20A、20Bは、再度通信可能な状態に移行する。親機10は、Sleep時間704とSleep時間706からSleep時間708を決定し、Sleep状態に移行する。
【0046】
図9は、本発明の第2の実施形態の親機と子機の動作の一例を示す図である。図9において、図8を同じ参照符号を付した要素は、同じ要素を示すものとする。子機20Bの動作は図8に示した動作と同じあるが、親機10のSleep時間808を、より長く確保するため、子機20AのSleep時間804を、子機20Bの通信再開のタイミングまで延長している。なお、図9において、破線で示されたBeaconは、送信しないBeaconを示すものとする。すなわち、図3に記載の親機10のメイン制御部101の制御により、図8に示す、Wake Up信号705とWake Up信号707の遅い方のWake Up信号707が、親機10から子機20Aに送られ、これにより、子機20Aを、再度通信可能な状態に移行する。すなわち、メイン制御部201は、子機20Aの通信機能の停止の解除を、帰属する他の子機20Bの通信機能の解除と一致するように遅延させるように制御する。これにより、子機20Aの通信再開は、図8の場合と比較して、Beacon送信の4回分だけ遅延するが、全ての子機20A、20BがSleep状態の時間の親機10のSleep時間808は、子機20Aの通信再開が遅延した分だけ長くなり、省電力効果を高めることができる。例えばBeaconが100ミリ秒間隔で送信されている場合、子機20Aの通信再開は、400ミリ秒遅くなるが、親機のSleep時間808は、図8に示す親機のSleep時間708よりも、400ミリ秒長く確保できる結果となる。
【0047】
上記のように、本発明の第2の実施形態により、親機の省電力効果をさらに高めることができる。
【0048】
[第3の実施形態]
次に、本発明の第3の実施形態について、説明する。本発明の第3の実施形態の親機の構成の一例は、図3に示す親機10の構成の一例と同一であるので、その構成の説明を省略する。なお、図3に示す親機10は、図6に記載のモバイルルータ50でもよい。
【0049】
本発明の第3の実施形態の親機10と子機20A、20Bの動作は、図3に記載の親機10のメイン制御部101と、子機20A、20Bの、図4に示すそれぞれのメイン制御部201によって実行される。図3に示す親機10が、図6に記載のモバイルルータ50の場合には、モバイルルータ50のメイン制御部501によって実行される。
【0050】
本発明の第3の実施形態は、親機10のSleep時間中にオフする機能を拡張して親機10の省電力効果を高める構成である。
【0051】
本発明の第1及び第2の実施形態では、親機10のSleep時間中は、帰属している子機との通信に使用する機能をオフにする構成としている。これに対して、WAN通信、Wi-Fi通信を含めて、親機10の全ての通信機能をオフにすれば、省電力効果をさらに高めることができる。この場合、親機のSleep時間中は、子機のWAN通信が使用不可となり、Wi-Fi通信においては、Beaconの送信及び、外部からの信号を受信する機能も停止するため、BSS環境外からの新規子機の帰属はできなくなる。
【0052】
上記のように、本発明の第3の実施形態により、親機の省電力効果をさらに高めることができる。
【0053】
[第4の実施形態]
次に、本発明の第4の実施形態について、説明する。本発明の第3の実施形態の親機の構成の一例は、図3に示す親機10の構成の一例と同一であるので、その構成の説明を省略する。なお、図3に示す親機10は、図6に記載のモバイルルータ50でもよい。
【0054】
本発明の第4の実施形態は、上述のWi-Fi6、またはTWTに非対応の子機の場合であっても、親機の省電力化に対応することを可能とする実施形態である。
【0055】
Wi-Fi6より前のIEEE規定には、DTIM(Delivery Traffic Indication Message)という子機の省電力化のための項目がある。これはTWTが子機ごとにSleep時間を調整するのとは違い、DTIMでは、親機に帰属している子機全てのSleep時間を、共通の一意の値に設定する。本発明の第1から第3の実施形態では、Wi-Fi6のTWT機能に対応した子機を想定していたが、Wi-Fi6またはTWT非対応の子機であっても、DTIM機能が実装された子機であればその子機のSleep時間を親機が把握している。このため、本発明の省電力化手法を適用し、全ての子機20A、20BがSleep状態の時間に、親機10をSleep状態にすることが可能となる。
【0056】
本発明の第4の実施形態により、親機に帰属している子機全てのSleep時間を、共通の一意の値に設定する場合においても、親機の省電力効果を高めることができる。
【0057】
なお、TWTで改善されたが、DTIMを使用する場合、子機ごとにSleep時間を調整しないため、共通の設定値によっては省電力効果を得られない子機が発生するという既存の課題が存在する。
【0058】
なお、第2の実施形態では子機の通信再開の遅延が発生し、第3の実施形態では全ての通信機能停止による機能制限が発生し、第4の実施形態ではDTIMが抱える既存の課題、と各実施形態において弊害となる部分が存在し、その程度によってはユーザの実際の使用感に影響が出る場合が想定される。従って、第2から第4の実施形態の機能を製品に実装する際は、この影響をどの程度許容するかで設定値等を事前に検討する必要がある。
【0059】
以上、本発明の各実施形態を説明したが、本発明は、上記した実施形態に限定されるものではなく、本発明の基本的技術的思想を逸脱しない範囲で、更なる変形・置換・調整を加えることができる。例えば、各図面に示したネットワーク構成、各要素の構成、メッセージの表現形態は、本発明の理解を助けるための一例であり、これらの図面に示した構成に限定されるものではない。また、「A及び/又はB」は、A又はBの少なくともいずれかという意味で用いる。
【0060】
また、上記した第1から第4の実施形態に示した手順は、本発明の通信装置又は通信装置のメイン制御部として機能するコンピュータ(図10の9000)に、通信装置又は通信装置のメイン制御部としての機能を実現させるプログラムにより実現可能である。このようなコンピュータは、図10のCPU(Central Processing Unit)9010、通信インタフェース9020、メモリ9030、補助記憶装置9040を備える構成に例示される。すなわち、図10のCPU9010にて、通信装置又は通信装置のメイン制御部の制御プログラムを実行し、その補助記憶装置9040等に保持された各計算パラメータの更新処理を実施させればよい。
【0061】
メモリ9030は、RAM(Random Access Memory)、ROM(Read Only Memory)等である。
【0062】
即ち、上記した第1から第4の実施形態に示した通信装置又は通信装置のメイン制御部の各部(処理手段、機能)は、上記コンピュータのプロセッサに、そのハードウェアを用いて、上記した各処理を実行させるコンピュータプログラムにより実現することができる。
【0063】
最後に、本発明の好ましい形態を要約する。
[第1の形態]
(上記第1の視点による通信装置を参照)
[第2の形態]
第1の視点の通信装置は、前記全ての子機が帰属する親機である、ことが好ましい。
[第3の形態]
第2の視点の通信装置は、前記親機は、モバイルルータである、ことが好ましい。
[第4の形態]
第1の視点の通信装置は、前記メイン制御部は、前記子機の通信機能の停止の解除を、帰属する他の子機の通信機能の解除と一致するように遅延させる、ことが好ましい。
[第5の形態]
第1の視点の通信装置は、前記メイン制御部は、前記通信機能の停止に加えて、前記通信機能以外の機能も停止するように制御する、ことが好ましい。
[第6の形態]
第1の視点の通信装置は、前記全ての子機の前記通信機能を停止している前記期間が、同一の期間である、ことが好ましい。
[第7の形態]
(上記第2の視点による通信方法を参照)
[第8の形態]
(上記第3の視点によるプログラムを参照)
なお、上記第7と8の形態は、第1の形態と同様に、第2から第6の形態に展開することが可能である。
【0064】
なお、上記の特許文献の各開示を、本書に引用をもって繰り込むものとする。本発明の全開示(請求の範囲を含む)の枠内において、さらにその基本的技術思想に基づいて、実施形態ないし実施例の変更・調整が可能である。また、本発明の開示の枠内において種々の開示要素(各請求項の各要素、各実施形態ないし実施例の各要素、各図面の各要素等を含む)の多様な組み合わせ、ないし選択が可能である。すなわち、本発明は、請求の範囲を含む全開示、技術的思想にしたがって当業者であればなし得るであろう各種変形、修正を含むことは勿論である。特に、本書に記載した数値範囲については、当該範囲内に含まれる任意の数値ないし小範囲が、別段の記載のない場合でも具体的に記載されているものと解釈されるべきである。さらに、上記引用した文献の各開示事項は、必要に応じ、本発明の趣旨に則り、本発明の開示の一部として、その一部又は全部を、本書の記載事項と組み合わせて用いることも、本願の開示事項に含まれるものと、みなされる。
【符号の説明】
【0065】
10 通信装置(親機)
11 メイン制御部
20、20A、20B、20n 子機
30 WAN回線
50 モバイルルータ
100、200、500 メモリ
101、201、501 メイン制御部
102、502 WAN通信モジュール
103、105、205、503、505 アンテナ
104、204、504 Wi-Fi通信モジュール
106、206、506 電源
400、600、700 時間軸
401、402、403、601、602、603、701、702、703 Beacon
404、406、604、606、608、704、706、708、804、808 Sleep時間
405、407、605、607、705、707 Wake Up信号
507 バッテリ
508 電源回路
9000 コンピュータ
9010 CPU
9020 通信インタフェース
9030 メモリ
9040 補助記憶装置
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10