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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024098634
(43)【公開日】2024-07-24
(54)【発明の名称】建築物
(51)【国際特許分類】
   E04H 1/02 20060101AFI20240717BHJP
【FI】
E04H1/02
【審査請求】未請求
【請求項の数】12
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023002234
(22)【出願日】2023-01-11
(71)【出願人】
【識別番号】000198787
【氏名又は名称】積水ハウス株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100105957
【弁理士】
【氏名又は名称】恩田 誠
(74)【代理人】
【識別番号】100068755
【弁理士】
【氏名又は名称】恩田 博宣
(72)【発明者】
【氏名】末澤 貴大
(72)【発明者】
【氏名】漆崎 純子
(72)【発明者】
【氏名】一針 建支
(72)【発明者】
【氏名】松本 武真
【テーマコード(参考)】
2E025
【Fターム(参考)】
2E025AA14
(57)【要約】
【課題】窓辺を含む空間について利用を図った建築物を提供する。
【解決手段】建築物1は、第1壁11と、第1壁11に設けられて窓が設けられる第1開口部31と、第1開口部31を介して室外と繋がる第1室8と、第1室8に設けられる第1床21と、第1室8に設けられる第2床22と、室外に設けられる第3床23とを備える。第1開口部31の下端31Aは、第1床21よりも高い位置に設けられる。第2床22は、第1開口部31の下端31Aと同じ高さで第1開口部31に沿うように設けられる。第3床23は、第2床22よりも低い位置で第1壁11に沿うように設けられる。第2床22の高さは、人が室内に向いて第1床21に足をつけて腰掛けることができるとともに室外に向いて第3床23に足をつけて腰掛けることができる高さに設定される。
【選択図】図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
室内と室外とを仕切る第1壁と、前記第1壁に設けられて窓が設けられる第1開口部と、前記第1開口部を介して前記室外と繋がる第1室と、前記第1室に設けられる第1床と、前記第1室に設けられる第2床と、前記室外に設けられる第3床とを備え、
前記第1開口部の下端は、前記第1床よりも高い位置に設けられ、
前記第2床は、前記第1開口部の下端と同じ高さで前記第1開口部に沿うように設けられ、
前記第3床は、前記第2床よりも低い位置で前記第1壁に沿うように設けられ、
前記第2床の高さは、人が室内に向いて前記第1床に足をつけて腰掛けることができるとともに室外に向いて前記第3床に足をつけて腰掛けることができる高さに設定される、
建築物。
【請求項2】
前記室外に設けられる第4床を備え、
前記第4床は、前記第2床と同じ高さで前記第1開口部に沿うように設けられる、
請求項1の記載の建築物。
【請求項3】
前記第1壁に平行に構成される第1追加壁と、前記第1壁と前記第1追加壁とを繋ぐ第2追加壁と、をさらに備え、
前記第1壁および前記第1追加壁は、平面視において、同じ方向を向くように配置され、
前記第1壁は、前記第1追加壁よりも外側に位置し、
前記第1壁に沿う第1方向において前記第2床の第1端は、前記第2追加壁に接触する、
請求項1または2に記載の建築物。
【請求項4】
前記第1壁に直交する第3追加壁をさらに備え、
前記第2床において前記第1端と反対側の第2端は、前記第3追加壁に対向する、
請求項3に記載の建築物。
【請求項5】
前記第1方向に直交する第2方向における前記第2床の第3端は、前記第1開口部に面し、
前記第2床において前記第3端と反対側の第4端は、前記第2方向において、前記第1追加壁と同じ位置に位置する、
請求項3に記載の建築物。
【請求項6】
庇をさらに備え、
前記庇は、前記第3床において前記第1開口部に沿う部分を覆い、
前記庇の裏面の高さと、前記第1開口部の上端の高さと、前記第1室の天井の高さとは、互いに等しい高さに設定される、
請求項1または2に記載の建築物。
【請求項7】
前記第1壁と交差する第2壁と、前記第2壁に設けられて窓が設けられる第2開口部と、前記第2床と同じ高さの第5床をさらに備え、
前記第5床は、前記第2開口部の下端と同じ高さで前記第2開口部に沿うように設けられる、
請求項2に記載の建築物。
【請求項8】
前記室外に設けられる第6床をさらに備え、
前記第6床は、前記第5床と同じ高さで前記第2開口部に沿うように設けられる、
請求項7に記載の建築物。
【請求項9】
前記第1室に設けられる仕切部を、備え、
前記仕切部は、前記第1壁の前記第1開口部に対向し、かつ、前記第1開口部から1500mm以内の位置に設けられ、
前記仕切部は、家具または仕切壁によって構成される、
請求項1または2に記載の建築物。
【請求項10】
前記第1床が基準階の床として定義され、
前記基準階よりも上階を構成する上階床をさらに備え、
前記第1室において前記第2床に沿う部分が窓辺領域として定義され、
前記上階床は、平面視で、少なくとも前記窓辺領域が含む領域が吹き抜け空間となるように構成される、
請求項1または2に記載の建築物。
【請求項11】
前記第1壁は、さらに、前記第1開口部の上に位置する上開口部を備える、
請求項10に記載の建築物。
【請求項12】
前記第2床は、段差壁を介して前記第1床に繋がる、
請求項1、2、7、および8のいずれか一項に記載の建築物。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、建築物に関する。
【背景技術】
【0002】
室内にベンチがある建築物が知られている(例えば、特許文献1)。特許文献1に記載の建築物では、バルコニーと室内の部屋との間に窓が設けられる。室内の部屋において窓に沿うようにベンチが設けられる。バルコニーには、ベンチと同じ高さのデッキが設けられる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2013-253475号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
ところで、従来、窓辺を含む空間について利用を図った建築物は知られていない。窓辺を含む空間について改善の余地がある。
【課題を解決するための手段】
【0005】
(1)上記課題を解決する建築物は、室内と室外とを仕切る第1壁と、前記第1壁に設けられて窓が設けられる第1開口部と、前記第1開口部を介して前記室外と繋がる第1室と、前記第1室に設けられる第1床と、前記第1室に設けられる第2床と、前記室外に設けられる第3床とを備え、前記第1開口部の下端は、前記第1床よりも高い位置に設けられ、前記第2床は、前記第1開口部の下端と同じ高さで前記第1開口部に沿うように設けられ、前記第3床は、前記第2床よりも低い位置で前記第1壁に沿うように設けられ、前記第2床の高さは、人が室内に向いて前記第1床に足をつけて腰掛けることができるとともに室外に向いて前記第3床に足をつけて腰掛けることができる高さに設定される。
【0006】
この構成によれば、第1開口部付近の空間を利用し易くなる。例えば、人は第1開口部の近くで室内に向かって座ることができ、また、室外に向かって座ることもできる。これによって、第1開口部の付近で寛ぐことができる。
【0007】
(2)上記(1)の建築物において、さらに、前記室外に設けられる第4床を備え、前記第4床は、前記第2床と同じ高さで前記第1開口部に沿うように設けられる。この構成によれば、室外において第1開口部付近の空間を利用し易くなる。
【0008】
(3)上記(1)または(2)に記載の建築物において、前記第1壁に平行に構成される第1追加壁と、前記第1壁と前記第1追加壁とを繋ぐ第2追加壁と、をさらに備え、前記第1壁および前記第1追加壁は、平面視において、同じ方向を向くように配置され、前記第1壁は、前記第1追加壁よりも外側に位置し、前記第1壁に沿う第1方向において前記第2床の第1端は、前記第2追加壁に接触する。この構成によれば、第1壁、第1追加壁、および第2追加壁によって構成される壁の段差に第2床の第1端が収まる。このため、第1室の壁の段差付近の外観を、整った印象を与えるものとすることができる。
【0009】
(4)上記(3)に記載の建築物において、前記第1壁に直交する第3追加壁をさらに備え、前記第2床において前記第1端と反対側の第2端は、前記第3追加壁に対向する。この構成によれば、第2床と第1壁に直交する第3追加壁との間の空間に物を置くことができる。
【0010】
(5)上記(3)に記載の建築物において、前記第1方向に直交する第2方向における前記第2床の第3端は、前記第1開口部に面し、前記第2床において前記第3端と反対側の第4端は、前記第2方向において、前記第1追加壁と同じ位置に位置する。この構成によれば、平面視において、第1室を凹凸のないスマートな空間に構成できる。
【0011】
(6)上記(1)または(2)に記載の建築物において、庇をさらに備え、前記庇は、前記第3床において前記第1開口部に沿う部分を覆い、前記庇の裏面の高さと、前記第1開口部の上端の高さと、前記第1室の天井の高さとは、互いに等しい高さに設定される。この構成によれば、室内に居るような感覚で、外に向いて第2床に座ることができる。
【0012】
(7)上記(2)に記載の建築物において、前記第1壁と交差する第2壁と、前記第2壁に設けられて窓が設けられる第2開口部と、前記第2床と同じ高さの第5床をさらに備え、前記第5床は、前記第2開口部の下端と同じ高さで前記第2開口部に沿うように設けられる。この構成によれば、建築物の室内における入隅または出隅において、第1開口部付近または第2開口部付近の空間を利用し易くなる。
【0013】
(8)上記(7)の建築物において、さらに、前記室外に設けられる第6床を備え、前記第6床は、前記第5床と同じ高さで前記第2開口部に沿うように設けられる。この構成によれば、建築物の室外における入隅または出隅において、第1開口部付近または第2開口部付近の空間を利用し易くなる。
【0014】
(9)上記(1)~(8)のいずれか1つの建築物において、前記第1室に設けられる仕切部を、備え、前記仕切部は、前記第1壁の前記第1開口部に対向し、かつ、前記第1開口部から1500mm以内の位置に設けられ、前記仕切部は、家具または仕切壁によって構成される。この構成によれば、騒音または喧噪を避けて、窓辺に座って静かに休息できる窓辺部屋を提供できる。
【0015】
(10)上記(1)~(9)のいずれか1つの建築物において、前記第1床が基準階の床として定義され、前記基準階よりも上階を構成する上階床をさらに備え、前記第1室において前記第2床に沿う部分が窓辺領域として定義され、前記上階床は、平面視で、少なくとも前記窓辺領域が含む領域が吹き抜け空間となるように構成される。この構成によれば、窓辺に座って、上階に居る人とコミュニケーションできる空間を提供できる。
【0016】
(11)上記(10)の建築物において、前記第1壁は、さらに、前記第1開口部の上に位置する上開口部を備える。この構成によれば、吹き抜け空間に上開口部から光を導くことができる。これによって、自然光によって第1室を明るくできる。
【0017】
(12)上記(1)~(11)のいずれか1つに記載の建築物において、前記第2床は、段差壁を介して前記第1床に繋がる。この構成によれば、第1床から第2床にかけて連続した面を構成できるため、第1床から第2床にかけての外観をシンプルできる。
【発明の効果】
【0018】
本開示によれば、建築物の開口部付近の空間を利用し易くできる。
【図面の簡単な説明】
【0019】
図1】第1実施形態の建築物の断面図である。
図2図1の建築物の1階のレイアウトの模式図である。
図3】第2実施形態の建築物の断面図である。
図4】第1例の建築物の1階のレイアウトの模式図である。
図5】第2例の建築物の1階のレイアウトの模式図である。
図6】第3例の建築物の1階のレイアウトの模式図である。
図7】第4例の建築物の1階のレイアウトの模式図である。
図8】第5例の建築物の1階のレイアウトの模式図である。
図9】第6例の建築物を室内からみた模式図である。
図10図9の建築物の1階のレイアウトの模式図である。
図11】第7例の建築物を室内からみた模式図である。
図12図11の建築物の1階のレイアウトの模式図である。
図13】第8例の建築物を室内からみた模式図である。
【発明を実施するための形態】
【0020】
<第1実施形態>
図1および図2を参照して、第1実施形態に係る建築物1を説明する。本実施形態において、上下方向DZは、鉛直に沿う方向を示す。第1方向DXは、水平面において第1壁11に沿う方向を示す。第2方向DYは、水平面において第1方向DXに直交する方向を示す。本実施形態において、対象物の高さを床の高さと比較する場合、対象物は、床の床面に対して比較される。床材に取り外し可能な敷物またはクッションが敷かれている場合、床面は、敷物を除いた状態における床の上面と定義される。床材に取り外し困難なシート材、タイル、板が貼り付けられている場合、床面は、シートの上面と定義される。
【0021】
建築物1は、室内に設けられる第1室8と、室内と室外とを仕切る第1壁11、第1壁11に設けられる第1開口部31と、第1床21と、第2床22と、第3床23と、を備える。さらに建築物1は、庇5を備えてもよい。第1壁11は、1階の外壁であってもよく、2階以上の外壁であってもよい。
【0022】
本実施形態では、建築物1は、さらに、第1壁11に平行に構成される第1追加壁13を有する。第1壁11および第1追加壁13は、平面視において、同じ方向を向くように配置される。具体的には、第1壁11の室内側面(室内に向く面)および第1追加壁13の室内側面はともの同じ方向に向く。第1壁11および第1追加壁13は、第1室8を構成する壁である。図2の紙面において、第1壁11および第1追加壁13は、第1室8における下側に配置される。第1壁11は、第2方向DYにおいて第1追加壁13よりも外側に位置する。具体的には、第1壁11は、第1追加壁13よりも第1室8の中央から遠い位置に配置される。第1追加壁13は、第1壁11に直交する第2追加壁14を介して第1壁11に繋がる。第2追加壁14は、平面視において第2方向DYに延びる。このように第1室8は、第2方向DYにおいて第1追加壁13から突出する突出領域Aを有する。
【0023】
第1追加壁13は、窓18を有してもよい。第1追加壁13に設けられる窓18は、第1追加壁13の全範囲にわたる大きさに構成されてもよい。第1追加壁13は、窓18を有しなくてもよい。
【0024】
第1室8は、第1開口部31を介して室外と繋がる。第1室8は、1階にあってもよく、2階以上の階に設けられてもよい。第1室8は、リビング、ダイニング、キッチン、寝室、または、作業室として構成される。作業室は、勉強部屋、仕事部屋、趣味の部屋、等であって、作業を行う部屋である。
【0025】
第1開口部31には、窓18が設けられる。窓18は、第1開口部31を通って人が出入りし易い構造に構成される。例えば、窓18は、引違い窓によって構成される。第1開口部31の下端31Aは、第1床21よりも高い位置に設けられる。第1開口部31の下端31Aの高さは、第1床21を基準として1m以下である。第1開口部31の上端31Bは、第1室8の天井9の近く設けられる。第1開口部31の上端31Bの高さは、天井9の高さと等しくてもよい。
【0026】
(第1床)
第1床21は、第1室8に設けられる床である。第1室8がリビングである場合、第1床21は、リビングの床である。第1床21の高さは、所定の階の床の高さと等しい。第1室8がピットリビングとして構成される場合、第1床21は、建築物1の所定の階の床よりも低い位置にある。本実施形態では、第1室8は1階に設けられる。第1床21の高さは1階の床の高さと等しい。
【0027】
(第2床)
第2床22は、第1室8に設けられる。第2床22の高さは、第1床21の高さよりも大きい。第2床22は、第1開口部31の下端31Aと同じ高さに設定される。第2床22の高さは、人が室内に向いて第1床21に足をつけて腰掛けることができるとともに室外に向いて第3床23に足をつけて腰掛けることができる高さに設定される。一例では、第1床21に対する第2床22の高さは、300mm以上450mm以下の範囲の所定の値に設定される。
【0028】
第2床22は、第1開口部31に沿うように設けられる。具体的には、第2床22は、第1方向DXにおいて第1開口部31の第1縁31Sから第2縁31Tまでにわたるように設けられる。第1方向DXにおける第2床22の長さは、第1方向DXにおいて第2開口部32の長さよりも大きくてもよい。
【0029】
第2床22の幅は、人が腰掛けることができる長さに設定される。第2床22の幅は、第2方向DYにおける長さと定義される。一例では、第2床22の幅は、150mm以上1500mm以下の範囲の所定の値に設定される。第2床22の幅が150mm未満の場合、人が腰掛け難く、また、物を置き難くなる。第2床22の幅が1500mmを超える場合、第1室8が狭くなる虞がある。第2床22の幅は、第1室8の用途目的に応じて適切な寸法に設定される。
【0030】
図2では、第1方向DXにおける第2床22の第1端22Aは、第2追加壁14に接触する。第1方向DXにおける第2床22の第2端22Bは、第1壁11に直交する第3追加壁15に対向する。第2床22の第2端22Bは、第1端22Aと反対側の端である。第2床22の第2端22Bは第3追加壁15に接触してもよい。
【0031】
図2に示されるように、一例では、第2床22は、突出領域Aに設けられる。第2方向DYにおける第2床22の第3端22Cは、第1開口部31に面する。第3端22Cは、第1壁11および第1追加壁13に平行に延びる。第2方向DYにおいて第3端22Cと反対側の第4端22Dは、第2方向DYにおいて、第1追加壁13と同じ位置に位置する。第2床22は、第2方向DYにおいて、第1追加壁13から第1室8の中央に向かって突出しないように構成される。
【0032】
第2床22は、段差壁29を介して第1床21に繋がる。段差壁29は、第2床22の第4端22Dから下方に延びる。段差壁29は、第1追加壁13と平行に構成される。第2方向DYにおいて、段差壁29は、第1追加壁13と同じ位置に配置される。段差壁29は、第1追加壁13の延長として構成されてもよい。
【0033】
(第3床)
第3床23は、室外に設けられる。第1室8が1階に設けられている場合、第3床23はデッキまたはテラスとして構成される。第3床23は、地面Gよりも高い位置にある。
【0034】
第1室8が2階以上の階に設けられる場合、第3床23はバルコニーまたはベランダに設けられる。バルコニーまたはベランダの床は、第1室8の第1床21よりも低い位置にある。第3床23は、バルコニーの床またはベランダの床よりも高い位置にある。一例では、バルコニーまたはベランダに設けられる第3床23の高さは、第1床21の高さと等しい。
【0035】
第3床23は、第2床22よりも低い位置にある。第3床23は、第1壁11に沿うように設けられる。具体的には、第3床23は、第1方向DXにおいて第1開口部31の第1縁31Sから第2縁31Tまでにわたるように設けられる。第1方向DXにおける第3床23の長さは、第1方向DXにおいて第1開口部31の長さよりも大きくてもよい。
【0036】
(庇)
庇5は、第3床23を覆うように設けられる。建築物1の平面視において、庇5は、第3床23において少なくとも第1開口部31付近の部分を覆う。建築物1の平面視において、庇5は、第3床23の全部を覆うように構成されてもよい。
【0037】
庇5の裏面5A(軒裏ともいう)は、水平に構成されてもよい。庇5の裏面5Aが水平に構成される場合、庇5の裏面5Aの高さと、第1開口部31の上端31Bの高さと、第1室8の天井9の高さとは、互いに等しい高さに設定されてもよい。庇5の裏面5Aの高さと、第1室8の天井9の高さと、第1開口部31の上端31Bの高さとが等しい構成を、以下では、天井フラット構造という。この天井フラット構造によって、第1室8の天井9が庇5の裏面5Aに連続するように繋がるため、第1室8を室外に拡張したように見せることができる。第1開口部31の窓18を開いたとき、第1室8の天井9が庇5の裏面5Aに連続する。
【0038】
本実施形態の作用を説明する。
窓辺の近くの空間は、その活用が限られていた。例えば、窓辺の近くに観葉植物が置かれる。また、窓辺の近くに台が設けられて、その台に物が置かれる。しかし、窓辺の近くの空間を人が直接に利用することは少ない。例えば、窓18にもたれて本を読むことがある。しかしながら、窓辺の空間を積極的に使うことはあまりない。
【0039】
本実施形態では、第2床22の高さは、人が室内に向いて腰掛けることができるとともに室外に向いて腰掛けることができる高さに設定される。これによって、第1開口部31付近の空間を利用し易くなる。人は、第2床22に座ったり、寝転がったりできる。第2床22は、動物が寝る場所にもなる。人は、第2床22に物を置くこともできるし、洗濯物や買い出しの食品を仮置きできる。また、人は、第2床22に、観葉植物、置物、雑貨を置くことができる。人は、外に向いて第2床22に腰掛けて、庭または景色を眺めながら寛ぐこともできる。第3床23に椅子など配置しなくても、人は、何気に、外を見ながら寛ぐことができる。第3床23にテーブルを置けば、第2床22に座って、食事をとることもできるし、本を読むこともできる。第2床22は、第3床23に置かれる椅子の替わりになるため、第3床23の広さを有効に活用できる。このように、第2床22によって、窓辺の空間を様々なことに使うことができる。
【0040】
本実施形態の効果を説明する。
(1)建築物1は、第1開口部31と、第1室8に設けられる第1床21と、第1室8に設けられる第2床22と、室外に設けられる第3床23とを備える。第2床22は、第1開口部31の下端31Aと同じ高さで、第1開口部31に沿うように設けられる。第3床23は、第2床22よりも低い位置で第1壁11に沿うように設けられる。第2床22の高さは、人が室内に向いて腰掛けることができるとともに室外に向いて腰掛けることができる高さに設定される。
【0041】
この構成によれば、第1開口部31付近の空間を利用し易くなる。例えば、人は第1開口部31の近くで室内に向かって座ることができ、また、室外に向かって座ることもできる。これによって、第1開口部31の付近で寛ぐことができる。
【0042】
(2)建築物1において、第2床22の第1端22Aは、第1壁11と第1追加壁13とを繋ぐ第2追加壁14に接触する。この構成によれば、第1壁11、第1追加壁13、および第2追加壁14によって構成される壁の段差に第2床22の第1端22Aが収まる。このため、第1室8の壁の段差付近の外観を、整った印象を与えるものとすることができる。
【0043】
(3)建築物1において、第2床22の第2端22Bは、第1壁11に直交する第3追加壁15に対向する。この構成によれば、第2床22と第1壁11に直交する第3追加壁15との間の空間に物を置くことができる。
【0044】
(4)建築物1において、第2床22の第4端22Dは、第2方向DYにおいて、第1追加壁13と同じ位置に位置する。この構成によれば、平面視において、第1室8を凹凸のないスマートな空間に構成できる。
【0045】
(5)建築物1において、庇5は、第3床23において第1開口部31に沿う部分を覆う。庇5の裏面5Aの高さと、第1開口部31の上端31Bの高さと、第1室8の天井9の高さとは、互いに等しい高さに設定される。この構成によれば、室内に居るような感覚で、外に向いて第2床22に座ることができる。
【0046】
(6)建築物1において、第2床22は、段差壁29を介して第1床21に繋がる。の構成によれば、第1床21から第2床22にかけて連続した面を構成できるため、第1床21から第2床22にかけての外観をシンプルできる。
【0047】
<第2実施形態>
図3図13を参照して、第2実施形態に係る建築物1を説明する。本実施形態において、第1実施形態と共通する構成については、第1実施形態の構成と同一の符号を付し、重複する構成についてはその説明を省略する。
【0048】
建築物1は、第1室8と、室内と室外とを仕切る第1壁11、第1壁11に設けられる第1開口部31と、第1床21と、第2床22と、第3床23と、を備える。さらに、建築物1は、庇5を備えてもよい。本実施形態では、建築物1は、これらの構成に加えて、さらに、室外に設けられる第4床24を備える。
【0049】
(第4床)
図3に示されるように、一例では、第3床23および第4床24は、一体に組み立てられるデッキとして構成される。例えば、第3床23を構成する第1床材23Xは、所定長さの第1束柱27によって支持される。第4床24を構成する第2床材24Xは、第1束柱27よりも長い第2束柱28によって支持される。建築物1の平面視において、第3床23は、第2方向DYにおいて第1開口部31から第4床24よりも遠い位置に設けられる。
【0050】
第4床24は、第3床23の上に設置されてもよい。具体的には、第3床23を有するデッキまたはテラスの上に第4床24を有するステージが設けられる。第4床24を有するステージは、第3床23に対して分離可能に構成されてもよい。
【0051】
第4床24は、第2床22と同じ高さに構成される。第4床24は、第1開口部31に沿うように設けられる。具体的には、第4床24は、第1方向DXにおいて第1開口部31の第1縁31Sから第2縁31Tまでにわたるように設けられる(図4参照)。第1方向DXにおける第4床24の長さは、第1方向DXにおいて第1開口部31の長さよりも大きくてもよい。
【0052】
第4床24の幅は、人が腰掛けることができる長さに設定される。第4床24の幅は、第2方向DYにおける長さと定義される。一例では、第4床24の幅は、150mm以上1500mm以下の範囲の所定の値に設定される。第4床24の幅が150mm未満の場合、人が腰掛け難く、また、物を置き難くなる。第4床24の幅が1500mmを超える場合、第3床23が狭くなる虞がある。
【0053】
(庇)
庇5は、第4床24を覆うように設けられる。建築物1の平面視において、庇5は、第4床24において、少なくとも第1開口部31付近に沿う部分を覆う。建築物1の平面視において、庇5は、第4床24の全部を覆うように構成されてもよい。
【0054】
図4図12を参照して、本実施形態の幾つかの例を挙げる。本実施形態のいずれの例でも、建築物1は、少なくとも第1床21と、第2床22と、第3床23と、第4床24と、第1開口部31と、を備える。第4床24は、第1開口部31の下端31Aを介して第2床22に繋がる。
【0055】
(第1例)
図4には、第1例が示される。第1例では、第2床22は、第1壁11に沿うように設けられる。第2床22は、第1方向DXにおいて第1開口部31の全体にわたって設けられる。第4床24は、第1壁11に沿うように設けられる。第4床24は、第1方向DXにおいて第1開口部31の全体にわたって設けられる。第4床24は、第2床22と同じ長さを有する。
【0056】
(第2例)
図5には、第2例が示される。建築物1は、第1壁11と、第1追加壁13とを有する。第1追加壁13には窓18が設けられる。窓18は、第1追加壁13の全範囲にわたる大きさを有する。第2床22は、第1室8の突出領域Aに設けられる。第2床22の第1端22Aは第2追加壁14に接触する。第2床22の第2端22Bは、第1壁11に直交する第3追加壁15に対向する。第2床22の第3端22Cは、第1開口部31に面する。第2床22の第4端22Dは、第2方向DYにおいて、第1追加壁13よりも第1開口部31の近くに位置する。
【0057】
第3床23は、第1壁11および第1追加壁13にわたように設けられる。第4床24は、第1方向DXにおいて、第1開口部31にわたるように設けられる。第4床24は、第1方向DXにおいて、第1開口部31および第2床22よりも長い。
【0058】
(第3例)
図6には、第3例が示される。第3例は次の点で第2例と異なる。第3例では、建築物1は、第2追加壁14に対向する追加仕切壁19を有する。追加仕切壁19は、第1壁11に直交して第1室8側に延びる。第2床22は、第2追加壁14と追加仕切壁19との間に丁度、収まるように設けられる。追加仕切壁19は、第2床22に腰掛ける人に向けられる横からの視線を遮る。
【0059】
さらに、第1室8には、第1室8を複数の領域に区画する仕切部38が設けられる。仕切部38は、家具、または仕切壁によって構成される。仕切部38は、天井に接触するように構成されてもよい。仕切部38は、第2床22に腰掛ける人に対面する位置に他人が立つことを妨げる。仕切部38と天井との間に隙間が設けられてもよい。仕切部38は、第1壁11の第1開口部31に対向するように設けられる。第1開口部31と仕切部38との間の距離は、人が通れる程度の幅に設定される。一例では、仕切部38における第1壁11に対向する面38Aは、第1開口部31から1500mm以内の位置に配置される。仕切部38の一例として、システムキッチン39が挙げられる。システムキッチン39は、システムキッチン39の縦壁39Aの背面39Bが第1壁11に対向するように配置される。縦壁39Aには、採光用の開口部39Cが設けられてもよい。一例では、開口部39Cは、人の目線よりも高い位置に設けられる。開口部39Cには、曇りガラスが配置されてもよい。
【0060】
(第4例)
図7には、第4例が示される。第4例は次の点で第2例と異なる。第4例では、第1追加壁13には窓18が設けられない。また、第4例では、第1追加壁13には、第1追加壁13から第1方向DXに延びる第1延長壁13Aが設けられる。また、第2床22の第1端22Aは、第2追加壁14に接触するとともに、第2床22の第2端22Bは、第1壁11に直交する第3追加壁15に接触する。すなわち、第2床22は、第2追加壁14と第3追加壁15との間に丁度、収まるように設けられる。
【0061】
第3追加壁15には、第3追加壁15に直交して第1方向DXに延びる第2延長壁15Aが設けられる。第1延長壁13Aおよび第2延長壁15Aは、第2床22の第4端22Dに沿って延びる。第1方向DXにおいて、第2延長壁15Aは、第1延長壁13Aに対して間隔をあけて配置される。
【0062】
第2方向DYにおいて第1延長壁13Aと第1壁11との間の空間には、棚が設けられてもよい。同様に、第2方向DYにおいて第2延長壁15Aと第1壁11との間の空間には、棚が設けられてもよい。
【0063】
第4床24は、第1壁11の第1開口部31に沿う第1部分24Aと、第2追加壁14に沿う第2部分24Bとを有する。第4床24は、平面視で、L字状に構成される。第3床23は、第1壁11、第1追加壁13、および第2追加壁14とともに第4床24を囲むように構成される。
【0064】
第1室8には、1階から2階に延びる吹き抜け空間Sが設けられる。第2床22は、吹き抜け空間Sに面するように設けられる。第2床22の上の空間は、2階まで吹き抜けるように構成されてもよい。また、第2床22の上には、第2床22を覆うように1階の天井と同じ高さの天井壁が設けられてもよい。
【0065】
(第5例)
図8には、第5例が示される。第5例は次の点で第2例と異なる。第5例では、建築物1は、さらに、第1壁11に平行に構成される第5追加壁35を有する。第1壁11および第5追加壁35は、平面視において、同じ方向を向くように配置される。具体的には、第1壁11の室内側面(室内に向く面)および第5追加壁35の室内側面はともの同じ方向に向く。第1壁11は、第2方向DYにおいて第5追加壁35よりも内側に位置する。第5追加壁35は、第1壁11に直交する第6追加壁36を介して第1壁11に繋がる。第6追加壁36は、平面視において第2方向DYに延びる。第1壁11には、第1開口部31が設けられる。第6追加壁36には、第2開口部32が設けられる。第2床22は、第1開口部31に沿う第3部分22Rと、第3部分22Rに繋がる第4部分22Sとを有する。第4部分22Sは、第1壁11に直交する第3追加壁15に沿うように設けられる。第3追加壁15は、第1壁11において第6追加壁36が繋がる端と反対側の端に繋がる。第2床22は、平面視でL字に構成される。第2床22は、室内から見て入隅に設けられる。第4床24は、第1開口部31に沿うように設けられる。第3床23は、平面視において矩形に構成される。第3床23は、平面視において第1壁11および第6追加壁36とともに第4床24を囲むように構成される。
【0066】
(第6例)
図9および図10には、第6例が示される。第6例では、室内における出隅に第2床22および第5床25が設けられる。第4床24は、第2床22に対応するように室外に設けられる。第6床26は、第5床25に対応するように室外に設けられる。以下、第6例の具体例を説明する。
【0067】
建築物1は、第1壁11と、第1壁11と交差する第2壁12とを備える。室内からみて、第1壁11および第2壁12は、出隅を構成する。第1壁11には第1開口部31が設けられる。第2壁12には第2開口部32が設けられる。
【0068】
第1開口部31には、第1開口部31の全範囲にわたる大きさの窓18が設けられる。第1開口部31の窓18は、引違い窓によって構成される。第2開口部32には、第2開口部32の全範囲にわたる大きさの窓18が設けられる。第2開口部32の窓18は、固定窓によって構成される。
【0069】
第2床22は、第1開口部31にわたって設けられる。第2床22は、第1開口部31の下端31Aと同じ高さで第1開口部31に沿うように設けられる。
建築物1は、さらに、室内において第2床22と同じ高さの第5床25を備える。第5床25は、第2床22に繋がる。第5床25は、第2開口部32の下端32Aと同じ高さで第2開口部32に沿うように設けられる。第2床22と第5床25とによって構成される床は、平面視でL字状に構成される。
【0070】
建築物1は、さらに、室外に設けられる第4床24を備える。第4床24は、第1開口部31にわたって設けられる。第4床24は、第1開口部31の下端31Aと同じ高さで第1開口部31に沿うように設けられる。
【0071】
建築物1は、さらに、室外において第4床24と同じ高さの第6床26を備える。第6床26は、第4床24に繋がる。第6床26は、第2開口部32の下端32Aと同じ高さで第2開口部32に沿うように設けられる。第4床24と第6床26とによって構成される床は、平面視でL字状に構成される。
【0072】
建築物1は、庇5を備える。庇5は、第1開口部31に沿って第4床24の上に設けられる。庇5の裏面5A(軒裏ともいう)は、水平に構成されてもよい。庇5の裏面5Aの高さと、第1開口部31の上端31Bの高さと、第1室8の天井9の高さとは、互いに等しい高さに設定される。
【0073】
(第7例)
図11および図12には、第7例が示される。第7例では、室内における入隅に第2床22および第5床25が設けられる。第4床24は、第2床22に対応するように室外に設けられる。第6床26は、第5床25に対応するように室外に設けられる。以下、第7例の具体例を説明する。
【0074】
建築物1は、第1壁11と、第1壁11と交差する第2壁12とを備える。室内からみて、第1壁11および第2壁12は、入隅を構成する。建築物1は、さらに、第1壁11と対向する第3壁16を備える。また、建築物1は、第1壁11から突出して第2壁12に対向する第4壁17を備える。
【0075】
第1壁11には第1開口部31が設けられる。第2壁12には第2開口部32が設けられる。第1開口部31には窓18が設けられる。第1開口部31の窓18は、引違い窓によって構成される。第2開口部32には窓18が設けられる。第2開口部32の窓18は、固定窓によって構成される。第1開口部31の窓18と第2開口部32の窓18とは、柱を介して隣接する。
【0076】
第2床22は、第1開口部31にわたって設けられる。第2床22は、第4壁17まで延びる。第2床22は、第1開口部31の下端31Aと同じ高さで第1開口部31に沿うように設けられる。
【0077】
建築物1は、さらに、室内において第2床22と同じ高さの第5床25を備える。第5床25は、第2床22に繋がる。第5床25は、第3壁16まで延びる。第5床25は、第2開口部32の下端32Aと同じ高さで第2開口部32に沿うように設けられる。第2床22と第5床25とによって構成される床は、平面視でL字状に構成される。
【0078】
建築物1は、さらに、室外に設けられる第4床24を備える。第4床24は、第1開口部31にわたって設けられる。第4床24は、第1開口部31の下端31Aと同じ高さで第1開口部31に沿うように設けられる。
【0079】
建築物1は、さらに、室外において第4床24と同じ高さの第6床26を備える。第6床26は、第4床24に繋がる。第6床26は、第2開口部32の下端32Aと同じ高さで第2開口部32に沿うように設けられる。第4床24と第6床26とによって構成される床は、平面視でL字状に構成される。
【0080】
建築物1は、庇5を備える。庇5は、第1開口部31に沿って第4床24の上に設けられる。庇5の裏面5A(軒裏ともいう)は、水平に構成されてもよい。庇5の裏面5Aの高さと、第1開口部31の上端31Bの高さと、第1室8の天井9の高さとは、互いに等しい高さに設定される。
【0081】
(第8例)
図13には、第8例が示される。第8例は次の点で第2例と異なる。第8例では、第1床21が基準階の床として定義される。第8例では、建築物1は、基準階よりも上階を構成する上階床40を備える。第1室8において第2床22に沿う部分が窓辺領域WAとして定義される。
【0082】
建築物1は、第1開口部31を有する第1壁11と、第1壁11に直交する第2追加壁14と、を備える。さらに、建築物1は、第2追加壁14に対向する突出縦壁20を備える。突出縦壁20は、第1壁11に直交して、かつ、外側に突出する。第2床22は、第2追加壁14と突出縦壁20との間に丁度、収まるように設けられる。第2床22は、第1壁11よりも外側に位置する。第2追加壁14には、棚が設けられてもよい。
【0083】
上階床40は、平面視で、少なくとも窓辺領域WAが含む領域が吹き抜け空間S1となるように構成される。吹き抜け空間S1は、第1壁11に沿うように設けられる。第1壁11は、第1開口部31に加えて、第1開口部31の上に位置する上開口部33を備える。第1開口部31および上開口部33は、吹き抜け空間S1に面する。上開口部33には、窓18が設けられる。上開口部33は格子窓に構成されてよい。
【0084】
本実施形態の効果を説明する。
(1)建築物1は、第1床21、第2床22、第3床23に加えて、室外に設けられる第4床24を備える。第4床24は、第2床22と同じ高さで第1開口部31に沿うように設けられる。この構成によれば、室外において第1開口部31付近の空間を利用し易くなる。
【0085】
(2)建築物1は、第1壁11と交差する第2壁12と、第2壁12に設けられて窓18が設けられる第2開口部32と、第2床22と同じ高さの第5床25をさらに備える。第5床25は、第2開口部32の下端32Aと同じ高さで第2開口部32に沿うように設けられる。この構成によれば、建築物1の室内における入隅または出隅において、第1開口部31付近または第2開口部32付近の空間を利用し易くなる。
【0086】
(3)建築物1は、さらに、室外に設けられる第6床26を備えてもよい。第6床26は、第5床25と同じ高さで第2開口部32に沿うように設けられる。この構成によれば、建築物1の室外における入隅または出隅において、第1開口部31付近または第2開口部32付近の空間を利用し易くなる。
【0087】
(4)建築物1は、第1室8に設けられる仕切部38を備えてもよい。仕切部38は、第1壁11の第1開口部31に対向し、かつ、第1開口部31から1500mm以内の位置に設けられる。仕切部38は、家具または仕切壁によって構成される。この構成によれば、騒音または喧噪を避けて、窓辺に座って静かに休息できる窓辺部屋WRを提供できる。これによって、窓辺に沿うところに籠り感のある部屋を提供できる。
【0088】
(5)建築物1において、上階床40は、平面視で、少なくとも窓辺領域WAを含む領域が吹き抜け空間S1となるように構成される。この構成によれば、窓辺に座って、上階に居る人とコミュニケーションできる空間を提供できる。
【0089】
(6)建築物1において、第1壁11は、さらに、第1開口部31の上に位置する上開口部33を備える。この構成によれば、吹き抜け空間S1に上開口部33から光を導くことができる。これによって、自然光によって第1室8を明るくできる。
【0090】
<変形例>
上記実施形態は、建築物1が取り得る形態の例示であり、その形態を制限することを意図していない。建築物1は、上記実施形態に例示された形態とは異なる形態を取り得る。その例は、実施形態の構成の一部を置換、変更、省略した形態、または、実施形態に新たな構成を付加した形態である。以下に実施形態の変形例を示す。
【0091】
・第2実施形態の建築物1において、第1実施形態に示した(1)~(6)の構成を適用できる。この場合、第1実施形態に示した(1)~(6)の効果を奏する。
【0092】
・第1実施形態および第2実施形態において、第2床22の上面部を構成する部材は、限定されない。例えば、第2床22の上面部は、木材で構成されてもよく、絨毯またはクッションが付いた板材によって構成されてもよい。第4床24の上面部を構成する部材は、限定されない。例えば、第4床24の上面部は、木材で構成されてもよく、樹脂シートが付いた板材によって構成されてもよい。
【0093】
本明細書は、次の技術を開示する。
[付記1]
建築物は、室内と室外とを仕切る第1壁と、前記第1壁に設けられて窓が設けられる第1開口部と、前記第1開口部を介して前記室外と繋がる第1室と、前記第1室に設けられる第1床と、前記第1室に設けられる第2床と、前記室外に設けられる第3床とを備える。前記第1開口部の下端は、前記第1床よりも高い位置に設けられる。前記第2床は、前記第1開口部の下端と同じ高さで前記第1開口部に沿うように設けられる。前記第3床は、前記第2床よりも低い位置で前記第1壁に沿うように設けられる。前記第2床の高さは、人が室内に向いて前記第1床に足をつけて腰掛けることができるとともに室外に向いて前記第3床に足をつけて腰掛けることができる高さに設定される。
【0094】
[付記2]
付記1の建築物において、前記建築物は、前記室外に設けられる第4床を備える。前記第4床は、前記第2床と同じ高さで前記第1開口部に沿うように設けられる。
【0095】
[付記3]
付記1または2の建築物において、前記建築物は、前記第1壁に平行に構成される第1追加壁と、前記第1壁と前記第1追加壁とを繋ぐ第2追加壁とをさらに備え、前記第1壁および前記第1追加壁は、平面視において、同じ方向を向くように配置され、前記第1壁は、前記第1追加壁よりも外側に位置し、前記第1壁に沿う第1方向において前記第2床の第1端は、前記第2追加壁に接触する。
【0096】
[付記4]
付記3の建築物において、前記建築物は、前記第1壁に直交する第3追加壁をさらに備え、前記第2床において前記第1端と反対側の第2端は、前記第3追加壁に対向する。
[付記5]
付記3の建築物において、前記第1方向に直交する第2方向における前記第2床の第3端は、前記第1開口部に面する。前記第2床において前記第3端と反対側の第4端は、前記第2方向において、前記第1追加壁と同じ位置に位置する。
[付記6]
付記1または2の建築物において、前記建築物は、庇をさらに備え、前記庇は、前記第3床において前記第1開口部に沿う部分を覆い、前記庇の裏面の高さと、前記第1開口部の上端の高さと、前記第1室の天井の高さとは、互いに等しい高さに設定される。
【0097】
[付記7]
付記2の建築物において、前記建築物は、前記第1壁と交差する第2壁と、前記第2壁に設けられて窓が設けられる第2開口部と、前記第2床と同じ高さの第5床をさらに備える。前記第5床は、前記第2開口部の下端と同じ高さで前記第2開口部に沿うように設けられる。
【0098】
[付記8]
付記7の建築物において、前記室外に設けられる第6床をさらに備える。前記第6床は、前記第5床と同じ高さで前記第2開口部に沿うように設けられる。
【0099】
[付記9]
付記1または2の建築物において、前記建築物は、前記第1室に設けられる仕切部を、備え、前記仕切部は、前記第1壁の前記第1開口部に対向し、かつ、前記第1開口部から1000mm以内の位置に設けられ、前記仕切部は、家具または仕切壁によって構成される。
【0100】
[付記10]
付記1または2の建築物において、前記建築物は、前記第1床が基準階の床として定義され、前記基準階よりも上階を構成する上階床をさらに備え、前記第1室において前記第2床に沿う部分が窓辺領域として定義され、前記上階床は、平面視で、少なくとも前記窓辺領域が含む領域が吹き抜け空間となるように構成される。
【0101】
[付記11]
付記10の建築物において、前記第1壁は、さらに、前記第1開口部の上に位置する上開口部を備える。
【0102】
[付記12]
付記1、2、7、および8のいずれか一項に記載の建築物において、前記第2床は、段差壁を介して前記第1床に繋がる。
【符号の説明】
【0103】
DX…第1方向、DY…第2方向、1…建築物、5…庇、5A…裏面、8…第1室、9…天井、11…第1壁、12…第2壁、13…第1追加壁、14…第2追加壁、15…第3追加壁、18…窓、21…第1床、22…第2床、22A…第1端、22B…第2端、22C…第3端、22D…第4端、23…第3床、24…第4床、25…第5床、26…第6床、29…段差壁、31…第1開口部、31A…下端、31B…上端、32…第2開口部、32A…下端。
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11
図12
図13