(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024098636
(43)【公開日】2024-07-24
(54)【発明の名称】ヘッドユニット、液体吐出装置および制御方法
(51)【国際特許分類】
B41J 2/01 20060101AFI20240717BHJP
B41J 2/045 20060101ALI20240717BHJP
B41J 2/14 20060101ALI20240717BHJP
【FI】
B41J2/01 207
B41J2/045
B41J2/14 611
【審査請求】未請求
【請求項の数】8
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023002237
(22)【出願日】2023-01-11
(71)【出願人】
【識別番号】000002369
【氏名又は名称】セイコーエプソン株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100149548
【弁理士】
【氏名又は名称】松沼 泰史
(74)【代理人】
【識別番号】100140774
【弁理士】
【氏名又は名称】大浪 一徳
(74)【代理人】
【識別番号】100114937
【弁理士】
【氏名又は名称】松本 裕幸
(74)【代理人】
【識別番号】100196058
【弁理士】
【氏名又は名称】佐藤 彰雄
(72)【発明者】
【氏名】山田 慎一
【テーマコード(参考)】
2C056
2C057
【Fターム(参考)】
2C056EA14
2C056EB39
2C056EB40
2C056EC37
2C056EC53
2C056FA04
2C056FA10
2C057AF08
2C057AG15
2C057AL13
2C057AM31
2C057AN01
2C057AR09
2C057AR16
2C057BA04
2C057BA14
2C057DD09
(57)【要約】
【課題】残留振動の検出精度を高めるヘッドユニットを提供する。
【解決手段】駆動信号が供給されることにより変位する圧電素子により液体を吐出する吐出部と、圧電素子の変位に伴い生じる吐出部の残留振動により生じる残留振動信号を検出する残留振動検出部と、圧電素子に第1駆動信号を供給するか否かを切り替える第1スイッチと、残留振動信号を残留振動検出部に供給するか否かを切り替える第2スイッチと、第1スイッチおよび第2スイッチを制御する制御部と、を備え、制御部は、残留振動検出部により検出された残留振動信号の極点に基づいて検出開始タイミングを取得し、第1スイッチは検出開始タイミングで、第1駆動信号を圧電素子に供給しないように切り替えられ、第2スイッチは検出開始タイミングで、残留振動信号を残留振動検出部に供給するよう切り替えられる、ヘッドユニット。
【選択図】
図9
【特許請求の範囲】
【請求項1】
駆動信号が供給されることにより変位する圧電素子により液体を吐出する吐出部と、
前記圧電素子の変位に伴い生じる吐出部の残留振動により生じる残留振動信号を検出する残留振動検出部と、
前記圧電素子に第1駆動信号を供給するか否かを切り替える第1スイッチと、
前記残留振動信号を前記残留振動検出部に供給するか否かを切り替える第2スイッチと、
前記第1スイッチおよび前記第2スイッチを制御する制御部と、
を備え、
前記制御部は、前記残留振動検出部により検出された前記残留振動信号の極点に基づいて検出開始タイミングを取得し、
前記第1スイッチは前記検出開始タイミングで、前記第1駆動信号を前記圧電素子に供給しないように切り替えられ、
前記第2スイッチは前記検出開始タイミングで、前記残留振動信号を前記残留振動検出部に供給するよう切り替えられる、
ヘッドユニット。
【請求項2】
前記制御部によって取得された前記検出開始タイミングを記憶する記憶部を備える、
請求項1に記載のヘッドユニット。
【請求項3】
前記残留振動検出部は、ピークホールド回路を備える、
請求項1または請求項2に記載のヘッドユニット。
【請求項4】
前記残留振動検出部の前段に、ハイパスフィルターを備える、
請求項1または請求項2に記載のヘッドユニット。
【請求項5】
前記圧電素子は、媒体への前記液体の吐出に使用される、
請求項1または請求項2に記載のヘッドユニット。
【請求項6】
前記圧電素子は、媒体への前記液体の吐出に使用されない検査用の圧電素子である、
請求項1または請求項2に記載のヘッドユニット。
【請求項7】
搬送機構と、ヘッドユニットと、を有する液体吐出装置であって、
前記ヘッドユニットは、
駆動信号が供給されることにより変位する圧電素子により液体を吐出する吐出部と、
前記圧電素子の変位に伴い生じる吐出部の残留振動により生じる残留振動信号を検出する残留振動検出部と、
前記圧電素子に第1駆動信号を供給するか否かを切り替える第1スイッチと、
前記残留振動信号を前記残留振動検出部に供給するか否かを切り替える第2スイッチと、
前記第1スイッチおよび前記第2スイッチを制御する制御部と、
を備え、
前記制御部は、前記残留振動検出部により検出された前記残留振動信号の極点に基づいて検出開始タイミングを取得し、
前記第1スイッチは前記検出開始タイミングで、前記第1駆動信号を前記圧電素子に供給しないように切り替えられ、
前記第2スイッチは前記検出開始タイミングで、前記残留振動信号を前記残留振動検出部に供給するよう切り替えられる、
液体吐出装置。
【請求項8】
ヘッドユニットにおける制御方法であって、
前記ヘッドユニットは、
駆動信号が供給されることにより変位する圧電素子により液体を吐出する吐出部と、
前記圧電素子の変位に伴い生じる吐出部の残留振動により生じる残留振動信号を検出する残留振動検出部と、
前記圧電素子に第1駆動信号を供給するか否かを切り替える第1スイッチと、
前記残留振動信号を前記残留振動検出部に供給するか否かを切り替える第2スイッチと、
前記第1スイッチおよび前記第2スイッチを制御する制御部と、
を備え、
前記制御方法では、
前記制御部は、前記残留振動検出部により検出された前記残留振動信号の極点に基づいて検出開始タイミングを取得し、
前記第1スイッチは前記検出開始タイミングで、前記第1駆動信号を前記圧電素子に供給しないように切り替えられ、
前記第2スイッチは前記検出開始タイミングで、前記残留振動信号を前記残留振動検出部に供給するよう切り替えられる、
制御方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、ヘッドユニット、液体吐出装置および制御方法に関する。
【背景技術】
【0002】
例えば、インクジェット方式のプリンターでは、キャビティ内のインクを媒体に吐出することによって当該媒体に画像を印刷することが行われている。
このようなプリンターでは、圧電素子を用いて、ノズル内のインクの残留振動からノズル内のインクの状態に関する情報を取得することが可能である。
【0003】
特許文献1には、圧電素子を用いてキャビティ内のインクに振動を与え、その残留振動に対するインクの挙動を検知することによって吐出状態を判定することが記載されている。また、特許文献1には、インクに振動を与える工程では圧電素子に駆動信号を印加し、インクの残留振動を検査する工程では圧電素子の起電力の変化を検出する回路等が記載されている(特許文献1参照。)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、従来の技術では、インクに振動を与える工程とインクの残留振動を検出する工程とをスイッチで切り替えるタイミングについては十分に検討されてなく、残留振動の検出精度が劣化し、さらに、残留振動の検出結果に基づく判定等が行われる場合に精度が劣化する場合があった。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上記課題を解決するために一態様は、駆動信号が供給されることにより変位する圧電素子により液体を吐出する吐出部と、前記圧電素子の変位に伴い生じる吐出部の残留振動により生じる残留振動信号を検出する残留振動検出部と、前記圧電素子に第1駆動信号を供給するか否かを切り替える第1スイッチと、前記残留振動信号を前記残留振動検出部に供給するか否かを切り替える第2スイッチと、前記第1スイッチおよび前記第2スイッチを制御する制御部と、を備え、前記制御部は、前記残留振動検出部により検出された前記残留振動信号の極点に基づいて検出開始タイミングを取得し、前記第1スイッチは前記検出開始タイミングで、前記第1駆動信号を前記圧電素子に供給しないように切り替えられ、前記第2スイッチは前記検出開始タイミングで、前記残留振動信号を前記残留振動検出部に供給するよう切り替えられる、ヘッドユニットである。
【0007】
上記課題を解決するために一態様は、搬送機構と、ヘッドユニットと、を有する液体吐出装置であって、前記ヘッドユニットは、駆動信号が供給されることにより変位する圧電素子により液体を吐出する吐出部と、前記圧電素子の変位に伴い生じる吐出部の残留振動により生じる残留振動信号を検出する残留振動検出部と、前記圧電素子に第1駆動信号を供給するか否かを切り替える第1スイッチと、前記残留振動信号を前記残留振動検出部に供給するか否かを切り替える第2スイッチと、前記第1スイッチおよび前記第2スイッチを制御する制御部と、を備え、前記制御部は、前記残留振動検出部により検出された前記残留振動信号の極点に基づいて検出開始タイミングを取得し、前記第1スイッチは前記検出開始タイミングで、前記第1駆動信号を前記圧電素子に供給しないように切り替えられ、前記第2スイッチは前記検出開始タイミングで、前記残留振動信号を前記残留振動検出部に供給するよう切り替えられる、液体吐出装置である。
【0008】
上記課題を解決するために一態様は、ヘッドユニットにおける制御方法であって、前記ヘッドユニットは、駆動信号が供給されることにより変位する圧電素子により液体を吐出する吐出部と、前記圧電素子の変位に伴い生じる吐出部の残留振動により生じる残留振動信号を検出する残留振動検出部と、前記圧電素子に第1駆動信号を供給するか否かを切り替える第1スイッチと、前記残留振動信号を前記残留振動検出部に供給するか否かを切り替える第2スイッチと、前記第1スイッチおよび前記第2スイッチを制御する制御部と、を備え、前記制御方法では、前記制御部は、前記残留振動検出部により検出された前記残留振動信号の極点に基づいて検出開始タイミングを取得し、前記第1スイッチは前記検出開始タイミングで、前記第1駆動信号を前記圧電素子に供給しないように切り替えられ、前記第2スイッチは前記検出開始タイミングで、前記残留振動信号を前記残留振動検出部に供給するよう切り替えられる、制御方法である。
【図面の簡単な説明】
【0009】
【
図1】実施形態に係る液体吐出装置の一種であるインクジェットプリンターの構成を示す概略図である。
【
図2】実施形態に係る
図1に示すインクジェットプリンターにおけるヘッドユニット35の構成例を示す分解概略斜視図である。
【
図3】実施形態に係るインクジェットプリンターの主要部を概略的に示すブロック図である。
【
図4】実施形態に係る
図1に示すインクジェットプリンターにおけるヘッドユニットの一例を示す概略的な断面図である。
【
図5】実施形態に係る4色インクを用いるヘッドユニットのノズルプレートのノズル配置パターンの一例である。
【
図6】実施形態に係るヘッドユニットの他の例を示す概略的な断面図である。
【
図7】実施形態に係る駆動信号入力時のヘッドユニットの各状態を示す状態図である。
【
図8】実施形態に係る
図4の振動板の残留振動を想定した単振動の計算モデルを示す回路図である。
【
図9】実施形態に係る残留振動検出部を有するヘッドユニットの回路の一例を示す図である。
【
図10】実施形態に係る制御内容の一例を示す図である。
【
図11】ステートST1、ST5の期間におけるスイッチのオン状態およびオフ状態を示す説明図である。
【
図12】ステートST2、ST4の期間におけるスイッチのオン状態およびオフ状態を示す説明図である。
【
図13】ステートST3の期間におけるスイッチのオン状態およびオフ状態を示す説明図である。
【
図14】実施形態に係る信号TSIGのタイミングと出力信号NVTSとの対応の一例を示す図である。
【
図15】実施形態に係る制御部において行われる処理の手順の一例を示す図である。
【
図16】実施形態に係る残留振動信号の検出開始タイミングの決定の一例を示す図である。
【
図17】実施形態に係る残留振動信号の検出開始タイミングの一例を示す図である。
【
図18】実施形態に係る残留振動信号の検出開始タイミングの調整の効果の一例を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0010】
以下、実施形態について、図面を参照して説明する。
【0011】
以下、本開示の液体吐出装置の実施形態を詳細に説明する。
本実施形態は例示として挙げるものであり、これにより本開示の内容を限定的に解釈すべきではない。
以下、本実施形態では、液体吐出装置の一例として、インクを吐出して記録用紙に画像をプリントするインクジェットプリンターを用いて説明する。インクは液状材料の一例である。記録用紙は液滴受容物の一例である。
【0012】
図1は、実施形態における液体吐出装置の一種であるインクジェットプリンター1の構成を示す概略図である。
なお、以下の説明では、
図1中、上側を上部、下側を下部という。まず、このインクジェットプリンター1の構成について説明する。
図1に示すインクジェットプリンター1は、装置本体2を備えており、上部後方に記録用紙Pを設置するトレイ21と、下部前方に記録用紙Pを排出する排紙口22と、上部面に操作パネル7とが設けられている。
【0013】
操作パネル7は、例えば、液晶ディスプレイ、有機EL(Electroluminescence)ディスプレイ、LED(Light Emitting Diode)ランプ等で構成され、エラーメッセージ等を表示する図示しない表示部と、各種スイッチ等で構成される図示しない操作部とを備えている。操作パネル7の表示部は、報知手段として機能する。
また、装置本体2の内部には、主に、往復動する移動体である印字部3を備える印刷装置4と、記録用紙Pを印刷装置4に対し供給および排出する給紙装置5と、印刷装置4および給紙装置5を制御する制御部6とを有している。
【0014】
制御部6の制御により、給紙装置5は、記録用紙Pを一枚ずつ間欠送りする。この記録用紙Pは、印字部3の下部近傍を通過する。このとき、印字部3が記録用紙Pの送り方向とほぼ直交する方向に往復移動して、記録用紙Pへの印刷が行われる。即ち、印字部3の往復動と記録用紙Pの間欠送りとが、印刷における主走査および副走査となって、インクジェット方式の印刷が行われる。
【0015】
印刷装置4は、印字部3と、印字部3を主走査方向に往復動させるように移動させる駆動源となるキャリッジモーター41と、キャリッジモーター41の回転を受けて、印字部3を往復動させる往復動機構42とを備えている。
印字部3は、複数のヘッドユニット35と、各ヘッドユニット35にインクを供給するインクカートリッジ(I/C)31と、各ヘッドユニット35およびインクカートリッジ31を搭載したキャリッジ32とを有している。なお、インクの消費量が多いインクジェットプリンターの場合には、インクカートリッジ31がキャリッジ32に搭載されず別な場所に設置され、チューブでヘッドユニット35と連通されインクが供給されるように構成してもよいが、図示を省略する。
【0016】
なお、インクカートリッジ31として、イエロー、シアン、マゼンタ、ブラックの4色のインクを充填したものを用いることにより、フルカラー印刷が可能となる。この場合、印字部3には、各色にそれぞれ対応したヘッドユニット35が設けられることになる。ここで、
図1では、4色のインクに対応した4つのインクカートリッジ31を示しているが、印字部3は、その他の色、例えば、ライトシアン、ライトマゼンタ、ダークイエロー、特色インクなどのインクカートリッジ31をさらに備えるように構成されてもよい。
【0017】
図2は、ヘッドユニット35の構成を示す分解概略斜視図である。
図2に示すように、実施形態におけるヘッドユニット35は、ノズルプレート240、流路基板25、共通液室基板26、コンプライアンス基板27等から概略構成され、これらの部材を積層した状態でユニットケース28に取り付けられている。
【0018】
ノズルプレート240は、ドット形成密度に対応したピッチで複数のノズル241を列状に開設した板状の部材である。例えば、300dpiに対応するピッチで300個のノズル241を列設することでノズル列が構成されている。実施形態においては、当該ノズルプレート240に2つのノズル列が形成されている。ここで、2つのノズル列は、ノズル241の並んだ方向にノズル241間のピッチの半分だけずれて形成されている。ノズルプレート240は、例えば、ガラスセラミックス、シリコン単結晶基板またはステンレス鋼等から形成できる。
【0019】
流路基板25は、その上面である共通液室基板26側の面に二酸化シリコンからなる極薄い弾性膜30が熱酸化によって形成されている。流路基板25には、異方性エッチング処理によって複数の隔壁で区画されたキャビティ245が各ノズル241に対応して複数形成されている。キャビティ245については
図4に示される。
したがって、キャビティ245も列状に形成され、ノズル241の並んだ方向にノズル241間のピッチの半分だけずれている。流路基板25におけるキャビティ245の列の外側には、連通空部251が形成されている。この連通空部251は、各キャビティ245と連通している。
【0020】
また、流路基板25におけるキャビティ245毎に、弾性膜30を変形させてキャビティ245のインクを加圧する圧電素子200が形成されている。
【0021】
圧電素子200が形成された流路基板25上には、厚さ方向に貫通した貫通空部26aを有する共通液室基板26が配置される。共通液室基板26の材料としては、例えば、ガラス、セラミックス材料、金属、樹脂等が挙げられ、例えば、流路基板25の熱膨張率と略同一の材料で形成されていてもよい。例えば、流路基板25がシリコン単結晶基板の場合と同一材料のシリコン単結晶基板を用いて、共通液室基板26が形成されてもよい。
【0022】
また、この共通液室基板26における貫通空部26aは、流路基板25の連通空部251と連通している。また、共通液室基板26において、隣り合う圧電素子列の間には、基板厚さ方向を貫通した配線空部26bが形成されている。
また、共通液室基板26の上面側には、コンプライアンス基板27が配置される。このコンプライアンス基板27における共通液室基板26の貫通空部26aに対向する領域には、インク導入針側からのインクを共通液室に供給するためのインク導入口27aが厚さ方向に貫通して形成されている。
また、このコンプライアンス基板27の貫通空部26aに対向する領域のインク導入口27aおよび貫通口27b以外の領域は、極薄く形成された可撓部27cとなっており、この可撓部27cによって貫通空部26aの上部開口が封止されることで共通液室が区画形成される。そして、この可撓部27cは、共通液室内のインクの圧力変動を吸収するコンプライアンス部として機能する。さらに、コンプライアンス基板27の中央部には、貫通口27bが形成されている。この貫通口27bは、ユニットケース28の空部28aと連通する。
【0023】
ユニットケース28は、インク導入口27aに連通してインク導入針側から導入されたインクを共通液室側に供給するためのインク導入路28bが形成されると共に、可撓部27cに対向する領域にこの可撓部27cの膨張を許容する凹部が形成された部材である。このユニットケース28の中心部には、厚さ方向に貫通した空部28aが開設されており、この空部28a内にフレキシブルケーブル29の一端側が白抜き矢印で示した挿入方向に挿通されて、圧電素子200から引き出された端子と接続され、接着剤によって固定されている。ユニットケース28の材料としては、例えば、ステンレス鋼等の金属材料が挙げられる。
【0024】
フレキシブルケーブル29は、ポリイミド等の矩形状のベースフィルムの一方の面に圧電素子200への駆動電圧の印加を制御するための制御IC(Integrated Circuit)29dが実装されると共に、この制御IC29dに接続される個別電極配線のパターンが形成されている。また、フレキシブルケーブル29の一端部には、図示しない接続端子が、圧電素子200から引き出された各外部電極248に対応して複数列設され、他端部には、インクジェットプリンター1本体側からの信号を中継する基板の基板端子部に接続される他端側接続端子が複数列設されている。そして、フレキシブルケーブル29は、両端部の接続端子以外の配線パターンおよび制御IC29dの表面がレジストで覆われている。外部電極248は
図4に示される。
【0025】
外部電極248および内部電極249と接続されるフレキシブルケーブル29の一端側29aは、凸になるように折り曲げられている。より詳しくは、フレキシブルケーブル29の本体29bから一端側29aの先端が稜線となるように山型に折り曲げられ、端29cがフレキシブルケーブル29の挿入方向とは逆方向に折り返されている。内部電極249は
図4に示される。
【0026】
ノズルプレート240、流路基板25、共通液室基板26、コンプライアンス基板27およびユニットケース28は、接着剤あるいは熱溶着フィルム等を間に配置して積層した状態で加熱することで相互に接合される。
【0027】
説明を
図1に戻す。往復動機構42は、その両端を図示しないフレームに支持されたキャリッジガイド軸422と、キャリッジガイド軸422と平行に延在するタイミングベルト421とを有している。
キャリッジ32は、往復動機構42のキャリッジガイド軸422に往復動自在に支持されるとともに、タイミングベルト421の一部に固定されている。
【0028】
キャリッジモーター41の作動により、プーリを介してタイミングベルト421を正逆走行させると、キャリッジガイド軸422に案内されて、印字部3が往復動する。そして、この往復動の際に、印刷されるイメージデータに対応して、ヘッドユニット35の各インクジェットヘッド100から適宜インク滴が吐出され、記録用紙Pへの印刷が行われる。なお、当該イメージデータは、印刷データなどと呼ばれてもよい。
【0029】
給紙装置5は、その駆動源となる給紙モーター51と、給紙モーター51の作動により回転する給紙ローラー52とを有している。
給紙ローラー52は、記録用紙Pの搬送経路を挟んで上下に対向して記録用紙Pを挟む従動ローラー52aと駆動ローラー52bとで構成され、駆動ローラー52bは給紙モーター51に連結されている。これにより、給紙ローラー52は、トレイ21に設置した多数枚の記録用紙Pを、印刷装置4に向かって1枚ずつ送り込んだり印刷装置4から1枚ずつ排出したりするようになっている。なお、トレイ21に代えて、記録用紙Pを収容する給紙カセットを着脱自在に装着し得るような構成であってもよい。
さらに給紙モーター51は、印字部3の往復動作と連動して、画像の解像度に応じた記録用紙Pの紙送りも行う。給紙動作と紙送り動作については、それぞれ別のモーターで行うことも可能であり、また、電磁クラッチなどのトルク伝達の切り替えを行う部品によって同じモーターで行うことも可能である。
本実施形態では、給紙モーター51および給紙ローラー52により、搬送機構L1が構成される。
【0030】
制御部6は、例えば、パーソナルコンピューターあるいはデジタルカメラ等のホストコンピューター8から入力された印刷データに基づいて、印刷装置4および給紙装置5等を制御することにより記録用紙Pに印刷処理を行う。また、制御部6は、操作パネル7の表示部にエラーメッセージ等を表示させ、あるいはLEDランプ等を点灯/点滅させるとともに、操作部から入力された各種スイッチの押下信号に基づいて、対応する処理を各部に実行させる。さらに、制御部6は、必要に応じてエラーメッセージあるいは吐出異常などの情報をホストコンピューター8に転送する。ホストコンピューター8は
図3に示される。
【0031】
図3は、本開示のインクジェットプリンターの主要部を概略的に示すブロック図である。この
図3において、本開示のインクジェットプリンター1は、ホストコンピューター8から入力された印刷データなどを受け取るインターフェイス部9と、制御部6と、キャリッジモーター41と、キャリッジモーター41を駆動制御するキャリッジモータードライバー43と、給紙モーター51と、給紙モーター51を駆動制御する給紙モータードライバー53と、ヘッドユニット35と、ヘッドユニット35を駆動制御する駆動信号生成部33と、吐出異常検出部10と、回復機構24と、操作パネル7とを備える。
回復機構24は、ヘッドユニット35からインク滴を吐出不能となった場合に、ヘッドユニット35が正常に動作するように機能を回復させるための機構である。具体的には、回復機構24はフラッシング動作およびワイピング動作を実行する。フラッシング動作は、ヘッドユニット35のキャップの装着時、あるいは、記録用紙にインク滴がかからない場所において、ヘッドユニット35のすべてのあるいは対象となるノズル241からインク滴を吐出するヘッドクリーニング動作である。また、ワイピング動作では、ノズルプレートをクリーニングするためにヘッド面に付着している紙粉あるいはごみなどの付着物を、ワイパで拭き取る。このときノズル241内が負圧になって、他の色のインクを引き込んでしまう可能性がある。そこで、ワイピング動作後に、ヘッドユニット35のすべてのノズル241から一定量のインク滴を吐出させフラッシング動作が実施される。
なお、吐出異常検出部10および駆動信号生成部33については、詳細を後述する。
【0032】
この
図3において、制御部6は、印刷処理および吐出異常検出処理などの各種処理を実行するCPU(Central Processing Unit)61と記憶部62とを備える。記憶部62は、ホストコンピューター8からインターフェイス部9を介して入力される印刷データを図示しないデータ格納領域に格納する不揮発性半導体メモリーの一種であるEEPROM(Electrically Erasable Programmable Read-Only Memory)と、吐出異常検出処理などを実行する際に各種データを一時的に格納し、あるいは印刷処理などのアプリケーションプログラムを一時的に展開するRAM(Random Access Memory)と、各部を制御する制御プログラム等を格納する不揮発性半導体メモリーの一種であるPROMとを備えている。なお、制御部6の各構成要素は、図示しないバスを介して電気的に接続されている。
【0033】
上述のように、印字部3は、各色のインクに対応した複数のヘッドユニット35を備える。また、各ヘッドユニット35は、複数のノズル241と、これらの各ノズル241にそれぞれ対応する圧電素子200とを備える。即ち、ヘッドユニット35は、1組のノズル241および圧電素子200を有してなるインクジェットヘッド100を複数個備えた構成になっている。インクジェットヘッド100は、液滴吐出ヘッドである。
【0034】
また、制御部6には、図示しないが、例えば、インクカートリッジ31のインク残量、印字部3の位置、温度、湿度等の印刷環境等を検出可能な各種センサーが、それぞれ電気的に接続されている。
制御部6は、インターフェイス部9を介して、ホストコンピューター8から印刷データを入手すると、その印刷データを記憶部62に格納する。そして、CPU61は、この印刷データに所定の処理を実行して、この処理データおよび各種センサーからの入力データに基づいて、駆動信号生成部33、キャリッジモータードライバー43と給紙モータードライバー53の各ドライバーおよびヘッドユニット35に制御信号を出力する。キャリッジモータードライバー43および給紙モータードライバー53を介してこれらの制御信号が入力されると、印刷装置4のキャリッジモーター41および給紙装置5がそれぞれ作動する。これにより、記録用紙Pに印刷処理が実行される。
【0035】
次に、各ヘッドユニット35の構造を説明する。
図4は、
図1に示すヘッドユニット35の概略的な断面図である。ヘッドユニット35は、インクジェットヘッド100に相当する。
図4に示される構成部により、吐出部W1が構成される。
図5は、
図4に示すヘッドユニット35を適用した印字部3のノズル面の一例を示す平面図である。
【0036】
図4に示すヘッドユニット35は、圧電素子200の駆動によりキャビティ245内の液体であるインクがノズル241から吐出するものである。このヘッドユニット35は、ノズル241が形成されたノズルプレート240と、キャビティプレート242と、振動板243と、複数の圧電素子200を積層してなる積層圧電素子201とを備えている。
【0037】
キャビティプレート242は、所定の形状に成形され、これにより、キャビティ245およびリザーバ246が形成される。当該所定の形状は、凹部が形成されるような形状である。
キャビティ245とリザーバ246とは、インク供給口247を介して連通している。また、リザーバ246は、インク供給チューブ431を介してインクカートリッジ31と連通している。
【0038】
積層圧電素子201の
図4中下端は、中間層244を介して振動板243と接合されている。積層圧電素子201には、複数の外部電極248および内部電極249が接合されている。即ち、積層圧電素子201の外表面には、外部電極248が接合され、積層圧電素子201を構成する各圧電素子200同士の間または各圧電素子の内部には、内部電極249が設置されている。この場合、外部電極248と内部電極249の一部が、交互に、圧電素子200の厚さ方向に重なるように配置される。
【0039】
そして、外部電極248と内部電極249との間に駆動信号生成部33より駆動電圧波形を印加することにより、積層圧電素子201が
図4中の矢印で示すように変形して
図4上下方向に伸縮して振動し、この振動により振動板243が振動する。この振動板243の振動によりキャビティ245の容積が変化しキャビティ245内の圧力が変化し、キャビティ245内に充填された液体のインクがノズル241より液滴として吐出する。
液滴の吐出によりキャビティ245内で減少した液量は、リザーバ246からインクが供給されて補給される。また、リザーバ246へは、インクカートリッジ31からインク供給チューブ431を介してインクが供給される。
【0040】
なお、
図4に示すノズルプレート240に形成されたノズル241の配列パターンは、例えば、
図5に示すノズル配置パターンのように、段をずらして配置される。また、このノズル241間のピッチは、印刷解像度(dpi:dot per inch)に応じて適宜設定され得る。
図6では、4色のインクのインクカートリッジ31を適用した場合におけるノズル241の配置パターンを示している。
【0041】
次に、ヘッドユニット35の他の例について説明する。
図6に示す第Aヘッドユニット35Aは、圧電素子200の駆動により第A振動板262が振動し、第Aキャビティ258内の液体のインクが第Aノズル253から吐出する。孔である第Aノズル253が形成されたステンレス鋼製の第Aノズルプレート252には、ステンレス鋼製の金属プレート254が接着フィルム255を介して接合されており、さらにその上に同様のステンレス鋼製の金属プレート254が接着フィルム255を介して接合されている。そして、その上には、連通口形成プレート256および第Aキャビティプレート257が順次接合されている。
【0042】
第Aノズルプレート252、金属プレート254、接着フィルム255、連通口形成プレート256および第Aキャビティプレート257は、それぞれ所定の形状に成形され、これらを重ねることにより、第Aキャビティ258および第Aリザーバ259が形成される。当該所定の形状は、凹部が形成されるような形状である。第Aキャビティ258と第Aリザーバ259とは、第Aインク供給口260を介して連通している。また、第Aリザーバ259は、インク取り入れ口261に連通している。
【0043】
第Aキャビティプレート257の上面開口部には、第A振動板262が設置され、この第A振動板262には、下部電極263を介して圧電素子200が接合されている。また、圧電素子200の下部電極263と反対側には、上部電極264が接合されている。駆動信号生成部33は、上部電極264と下部電極263との間に駆動電圧波形を印加して供給することにより、圧電素子200が振動し、それに接合された第A振動板262が振動する。この第A振動板262の振動により第Aキャビティ258の容積が変化して第Aキャビティ258内の圧力が変化し、第Aキャビティ258内に充填された液体のインクが第Aノズル253より液滴として吐出する。
【0044】
液滴の吐出により第Aキャビティ258内で減少した液量は、第Aリザーバ259からインクが供給されて補給される。また、第Aリザーバ259へは、インク取り入れ口261からインクが供給される。
【0045】
次に、インク滴の吐出について、
図7を参照しながら説明する。
図7は、実施形態に係る駆動信号入力時のヘッドユニットの各状態を示す状態図である。
駆動信号生成部33から
図4または
図6に示す圧電素子200に駆動電圧が印加されると、圧電素子200において伸縮あるいはそりなどの機械力が発生する。このため、振動板243または第A振動板262は、
図7(a)に示す初期状態に対して、
図4または
図6中の上方向へ撓み、
図7(b)に示すようにキャビティ245または第Aキャビティ258の容積が拡大する。この状態において、駆動信号生成部33の制御により、駆動電圧を変化させると、振動板243または第A振動板262は、その弾性復元力によって復元し、初期状態における振動板243または第A振動板262の位置を越えて下方向に移動し、
図7(c)に示すようにキャビティ245または第Aキャビティ258の容積が急激に収縮する。このときキャビティ245または第Aキャビティ258内に発生する圧縮圧力により、キャビティ245または第Aキャビティ258を満たす液状材料であるインクの一部が、このキャビティ245または第Aキャビティ258に連通しているノズル241または第Aノズル253からインク滴として吐出される。
【0046】
各キャビティ245の振動板243は、この一連の動作である駆動信号生成部33の駆動信号によるインク吐出動作により、次の駆動信号により駆動電圧が入力されて再びインク滴を吐出するまでの間、減衰振動をしている。以下、この減衰振動を残留振動とも称する。振動板243の残留振動は、ノズル241およびインク供給口247の形状、あるいはインク粘度等による音響抵抗rと、流路内のインク重量によるイナータンスmと、振動板243のコンプライアンスCmとによって決定される固有振動周波数を有するものと想定される。
【0047】
上記想定に基づく振動板243の残留振動の計算モデルについて説明する。
図8は、振動板243の残留振動を想定した単振動の計算モデルを示す回路図である。
このように、振動板243の残留振動の計算モデルは、音圧pと、上述のイナータンスm、コンプライアンスCmおよび音響抵抗rとで表せる。そして、
図8の回路に音圧pを与えた時のステップ応答を体積速度uについて計算すると、次式が得られる。
u={p/(ω・m)}e
-ωt・sinωt
ω={1/(m・Cm)-α
2}
1/2
α=r/2m
【0048】
図9は、実施形態に係る残留振動検出部を有する第1ヘッドユニット301の回路の一例を示す図である。
なお、
図9には、第1制御部2011と、第1駆動信号生成部2021と、駆動制御部2031と、定電圧信号生成部2041と、A/D(Analog to Digital)変換器391を示してあり、これらは第1ヘッドユニット301の内部に備えられている。他の例として、第1駆動信号生成部2021は第1ヘッドユニット301の外部に備えられており、第1制御部2011、駆動制御部2031、定電圧信号生成部2041およびA/D変換器391は第1ヘッドユニット301の内部に備えられていてもよい。
ここで、本実施形態では、第1制御部2011は、残留振動検出部の一例である。つまり、本実施形態では、第1制御部2011は残留振動信号を検出する機能を有している。残留振動検出部は、さらに、A/D変換器391を含んでいてもよい。
なお、残留振動検出部の機能は、第1制御部2011以外の構成部に備えられてもよい。例えば、本実施形態では、第1制御部2011が残留振動検出部の機能と制御部の機能との両方を備える場合を示すが、これらの機能は別々の構成部に備えられてもよい。
【0049】
第1制御部2011は、第1CPU2111と、第1記憶部2112と、を備える。
第1記憶部2112は、例えば、各種のメモリーを含んでもよい。
なお、第1制御部2011は、例えば、マイクロコンピューターを用いて構成されてもよい。
定電圧信号生成部2041は、定電圧を有する信号を生成して供給する。本実施形態では、当該定電圧は、固定電位VBSに相当する。
本実施形態では、電気回路におけるスイッチが導通する状態をオンとも呼び、当該スイッチが非導通な状態をオフとも呼ぶ。
【0050】
なお、
図9に示される第1制御部2011、第1CPU2111、第1記憶部2112、第1駆動信号生成部2021、および、第1ヘッドユニット301は、それぞれ、
図3の例では、制御部6、CPU61、記憶部62、駆動信号生成部33、および、ヘッドユニット35に対応する。
【0051】
第1ヘッドユニット301は、第1a圧電素子311aと、第1b圧電素子311bと、第1a圧電素子311aの上下に配置された第1a電極312aおよび第2a電極313aと、第1b圧電素子311bの上下に配置された第1b電極312bおよび第2b電極313bと、を備える。
第2a電極313aおよび第2b電極313bは、定電圧信号生成部2041によって生成される固定電位VBSと接続されている。
ここで、本実施形態では、2個の圧電素子を並列させて用いる場合を示すが、このような圧電素子の数は任意であってもよい。
【0052】
第1ヘッドユニット301は、駆動信号COMA、駆動信号COMB、駆動信号COMCのそれぞれに対応して、駆動スイッチ321aと、駆動スイッチ321bと、駆動スイッチ321cと、を備える。
【0053】
ここで、本実施形態では、駆動信号として、それぞれ異なる波形を有する駆動信号COMA、駆動信号COMB、駆動信号COMCを切り替えて使用することが可能な構成を示すが、切り替え可能な駆動信号の数は特に限定はなく、例えば、1種類の駆動信号が用いられてもよい。つまり、本実施形態では、駆動スイッチ321a、駆動スイッチ321b、駆動スイッチ321cといった3個のスイッチを示すが、これらのうちの1個または2個が用いられてもよい。
【0054】
駆動スイッチ321aの一端は駆動信号COMAの端子と接続されている。
駆動スイッチ321bの一端は駆動信号COMBの端子と接続されている。
駆動スイッチ321cの一端は駆動信号COMCの端子と接続されている。
駆動スイッチ321aの他端と、駆動スイッチ321bの他端と、駆動スイッチ321cの他端と、検出ノズル選択スイッチ321sの一端と、第1a電極312aと、第1b電極312bとは、第1ノードN1において電気的に接続されている。
【0055】
バイアススイッチ322aの一端は駆動信号COMAの端子と接続されている。
バイアススイッチ322bの一端は駆動信号COMBの端子と接続されている。
バイアススイッチ322cの一端は駆動信号COMCの端子と接続されている。
検出ノズル選択スイッチ321sの他端と、第1抵抗331の一端と、第1キャパシター341の一端とは、第3ノードN3において電気的に接続されている。
第1抵抗331の他端と、バイアススイッチ322aの他端と、バイアススイッチ322bの他端と、バイアススイッチ322cの他端とは、第2ノードN2において電気的に接続されている。
【0056】
駆動スイッチ321aは、駆動信号COMAと第1ノードN1との接続状態をオンとオフとで切り替える。
駆動スイッチ321bは、駆動信号COMBと第1ノードN1との接続状態をオンとオフとで切り替える。
駆動スイッチ321cは、駆動信号COMCと第1ノードN1との接続状態をオンとオフとで切り替える。
ここで、3個の駆動信号COMA~COMCは、第1駆動信号生成部2021によって生成される。第1駆動信号生成部2021は、第1制御部2011によって制御される。
【0057】
第1ヘッドユニット301は、検出ノズル選択スイッチ321sを備える。
検出ノズル選択スイッチ321sは、第1ノードN1と第3ノードN3との接続状態をオンとオフとで切り替える。
ここで、駆動スイッチ321a、駆動スイッチ321b、駆動スイッチ321c、検出ノズル選択スイッチ321sは、駆動制御部2031によって制御される。駆動制御部2031は、第1制御部2011によって制御される。
【0058】
ここで、駆動スイッチ321a、駆動スイッチ321b、駆動スイッチ321c、および、検出ノズル選択スイッチ321sは、例えば、トランスファーゲート(TG:Transfer Gate)を用いて構成されてもよい。
なお、トランスファーゲートは、例えば、並列に接続されたPチャネルトランジスターとNチャネルトランジスターを備えるが、いずれか一方のチャネルのトランジスターで構成されてもよい。
【0059】
第1ヘッドユニット301は、駆動信号COMA、駆動信号COMB、駆動信号COMCのそれぞれに対応して、バイアススイッチ322aと、バイアススイッチ322bと、バイアススイッチ322cと、を備える。
【0060】
ここで、バイアススイッチ322a、バイアススイッチ322b、および、バイアススイッチ322cは、それぞれ、駆動スイッチ321a、駆動スイッチ321b、および、駆動スイッチ321cに対応しており、駆動スイッチ321a、駆動スイッチ321b、および、駆動スイッチ321cのうちの一部が備えられない場合には、同様に、備えられない。
【0061】
バイアススイッチ322aは、ノードN3と駆動信号COMAとの接続状態をオンとオフとで切り替える。
バイアススイッチ322bは、ノードN3と駆動信号COMBとの接続状態をオンとオフとで切り替える。
バイアススイッチ322cは、ノードN3と駆動信号COMCとの接続状態をオンとオフとで切り替える。
ここで、バイアススイッチ322a、バイアススイッチ322b、バイアススイッチ322cは、駆動制御部2031によって制御される。駆動制御部2031は、第1制御部2011によって制御される。
【0062】
ここで、バイアススイッチ322a、バイアススイッチ322b、および、バイアススイッチ322cは、例えば、トランスファーゲートを用いて構成されてもよい。
【0063】
第1ヘッドユニット301は、第1抵抗331と、ハイパスフィルター(HPF:High Pass Filter)411と、ゲイン調整部412と、バッファ部413と、第3sスイッチ371と、を備える。
本実施形態では、ハイパスフィルター411とゲイン調整部412とバッファ部413から、残留振動の波形を取得する残留振動波形取得部414が構成されている。
ハイパスフィルター411は、第1キャパシター341と、第2抵抗342と、検出スイッチ343と、を備える。
ゲイン調整部412は、第1オペアンプ351と、第3抵抗352と、第4抵抗353と、を備える。
【0064】
バッファ部413は、第2オペアンプ361と、ピークホールド回路362と、を備える。
本実施形態では、第2オペアンプ361によって検出された信号について、ピークホールド回路362によって当該信号のピークを保持して出力することが可能である。当該ピークは、例えば、当該信号の極大点または極小点である。
ここで、本実施形態では、ピークホールドを行うピークホールド回路362をバッファ部413に備える場合を示すが、他の例として、バッファ部413にピークホールド回路362を備えずに、ピークホールド回路の機能を第1制御部2011に備える構成が用いられてもよい。この場合、ピークホールド回路の機能は、例えば、プロセッサーが所定のプログラムを実行することで実現されてもよい。このように、第1制御部2011などによって信号のピークを検出する処理が行われてもよい。
【0065】
ここで、本実施形態では、ゲイン調整部412は、第1オペアンプ351を用いた負帰還型のアンプから構成されており、その出力信号を分圧する可変抵抗器となる第3抵抗352および第4抵抗353の中点を調整することによって、出力信号の振幅を調整することができる。
また、バッファ部413の第2オペアンプ361は、インピーダンスを変換してローインピーダンスの検出信号を出力する。本実施形態では、バッファとして機能する第2オペアンプ361は、ボルテージフォロアで構成されている。
【0066】
なお、例えば、ゲイン調整部412とバッファ部413との間に、ローパスフィルターが備えられてもよい。
当該ローパスフィルターは、信号の高域周波数成分を減衰させる。当該ローパスフィルターは、例えば、オペアンプを用いた多重帰還型であってもよく、残留振動の周波数帯域よりも高域周波数成分を減衰させる。当該ローパスフィルターによって、検出する周波数範囲を限定することでノイズ成分を除去することが可能となる。
【0067】
第1抵抗331は、駆動信号COMA、駆動信号COMB、または、駆動信号COMCの電圧を供給するバイアス抵抗として機能する。
【0068】
第1キャパシター341の他端は、第1オペアンプ351の+入力端子と接続されている。
第1キャパシター341の他端と、第1オペアンプ351の+入力端子と、第2抵抗342の一端と、検出スイッチ343の一端とは、第4ノードN4において電気的に接続されている。
第2抵抗の他端および検出スイッチ343の他端は、アナロググランドAGNDと接続されている。
検出スイッチ343は、駆動制御部2031によって制御される。駆動制御部2031は、第1制御部2011によって制御される。
【0069】
ここで、アナロググランドAGNDの電位は、例えば、バッファ部413の高電源電位と低電源電位との中心電位に設定されている。
検出スイッチ343は、例えば、トランスファーゲートを用いて構成されてもよい。
【0070】
第1オペアンプ351の出力端子と、第2オペアンプ361の+入力端子と、が接続されている。
第1オペアンプ351の出力端子と第2オペアンプ361の+入力端子との間の点と、アナロググランドAGNDと、の間に、第3抵抗352と第4抵抗353が直列に接続されている。
第1オペアンプ351の-入力端子と、第3抵抗352の一端と、第4抵抗353の一端とは、第5ノードN5において電気的に接続されている。
【0071】
第2オペアンプ361の-入力端子と出力端子とは接続されている。
第2オペアンプ361の出力端子と、第3sスイッチ371の一端と、が接続されている。
第3sスイッチ371の他端は、残留振動信号の出力端子と接続されている。
第3sスイッチ371は、駆動制御部2031によって制御される。駆動制御部2031は、第1制御部2011によって制御される。
第3sスイッチ371は、例えば、トランスファーゲートを用いて構成されてもよい。
【0072】
残留振動波形取得部414によって波形が取得された残留振動信号は、バッファ部413から第3sスイッチ371を介して、出力端子から出力される。
当該出力端子からの出力であるNVTS端子出力は、A/D変換器391を介して、第1制御部2011に入力される。
A/D変換器391は、当該出力端子から出力されるアナログ信号である残留振動信号をA/D変換して、その結果であるデジタル信号を第1制御部2011に出力する。
なお、A/D変換器391の機能は、他の箇所に備えられてもよく、例えば、第1制御部2011の内部に備えられてもよい。
【0073】
図9の例において、駆動スイッチ321a、駆動スイッチ321b、駆動スイッチ321cは、それぞれ、駆動信号COMA、駆動信号COMB、駆動信号COMCを選択的に第1ノードN1に印加するためのスイッチである。
また、検出ノズル選択スイッチ321sは、第1ノードN1と第3ノードN3との接続状態をオンとオフとで切り替えることで、残留振動信号検出部に残留振動信号が供給可能な状態と供給不可な状態とを切り替えるためのスイッチである。
また、バイアススイッチ322a、バイアススイッチ322b、バイアススイッチ322cは、それぞれ、駆動信号COMA、駆動信号COMB、駆動信号COMCを選択的に第2ノードN2に印加するためのスイッチである。
また、検出スイッチ343は、第4ノードN4とAGNDとの接続状態をオンとオフとで切り替えることで、残留振動信号検出部に残留振動信号が供給不可な状態と供給可能な状態とを切り替えるためのスイッチである。
また、第3sスイッチ371は、ピークホールド回路362と出力端子であるNVTS端子との接続状態をオンとオフとで切り替えることで、残留振動信号検出部に残留振動信号が供給可能な状態と供給不可な状態とを切り替えるためのスイッチである。
【0074】
ここで、本実施形態では、印字動作中にテスト用の駆動信号を第1a圧電素子311aおよび第1b圧電素子311bに印加し、これによって発生するキャビティ内の圧力変化である残留振動を第1a圧電素子311aおよび第1b圧電素子311bの起電力の変化として残留振動検出部で検出する。駆動制御部2031は、制御信号に基づいて、テスト用の駆動信号を第1a圧電素子311aおよび第1b圧電素子311bに供給する一方、残留振動の検出時において第1a圧電素子311aおよび第1b圧電素子311bの起電力を残留振動検出部に供給する。
残留振動検出部は、第1a圧電素子311aおよび第1b圧電素子311bの起電力の変化を示す信号を残留振動信号として検出する。
【0075】
図9の例では詳しい図示を省略してあるが、第1ヘッドユニット301は複数のノズルのそれぞれに対応して複数の圧電素子部を備える。当該圧電素子部は、1個以上の圧電素子から構成される。
図9の例では、圧電素子部として2個の圧電素子である第1a圧電素子311aおよび第1b圧電素子311bの組み合わせが用いられる場合を示したが、これに限られず、例えば、1個ずつの圧電素子が単体で用いられてもよい。
【0076】
駆動スイッチ321a~駆動スイッチ321cは、それぞれの制御信号がハイレベルでオン状態となり、第1a圧電素子311aおよび第1b圧電素子311bに駆動信号を印加する一方、それぞれの制御信号がローレベルでオフ状態となり、第1a圧電素子311aおよび第1b圧電素子311bに駆動信号を印加しない。すなわち、駆動スイッチ321a~駆動スイッチ321cは、それぞれの駆動信号を第1a圧電素子311aおよび第1b圧電素子311bに印加するか否かを切替可能に配置されている。
【0077】
一方、検出ノズル選択スイッチ321sは、制御信号がハイレベルでオン状態となり、第1a圧電素子311aおよび第1b圧電素子311bの起電力変化を第3ノードN3に印加する一方、制御信号がローレベルでオフ状態となり、第1a圧電素子311aおよび第1b圧電素子311bの起電力変化を第3ノードN3に印加しない。すなわち、検出ノズル選択スイッチ321sは、第1a圧電素子311aおよび第1b圧電素子311bの起電力変化を第3ノードN3に印加するか否かを切り替え可能である。
このように、検出ノズル選択スイッチ321sは、オフ状態の時は残留振動信号検出部に信号が供給不可の状態とし、オン状態の時は残留振動信号検出部に信号が供給可能な状態とする。
【0078】
なお、本実施形態では、駆動スイッチ321a~駆動スイッチ321cがオンからオフに切り替えられるタイミングと、検出スイッチ343がオンからオフに切り替えられるタイミングとは、同じタイミングに設定される。
つまり、駆動スイッチ321a~駆動スイッチ321cがオンからオフに切り替えられて第1a圧電素子311aおよび第1b圧電素子311bへの駆動信号の供給が停止されるのと同時に、検出スイッチ343がオンからオフに切り替えられて第1a圧電素子311aおよび第1b圧電素子311bの起電力変化が第4ノードN4に印加されることで、残留振動信号検出部に信号が供給可能な状態となる。
【0079】
バイアススイッチ322a~バイアススイッチ322cは、それぞれの制御信号がハイレベルでオン状態となる一方、それぞれの制御信号がローレベルでオフ状態となる。
【0080】
検出スイッチ343は、制御信号がハイレベルでオン状態となり、ローレベルでオフ状態となる。
検出スイッチ343をオン状態とすることで、バッファ部413の入力端子の電位をアナロググランドAGNDにクランプすることが可能となる。
第3sスイッチ371は、制御信号がハイレベルでオン状態となる一方、制御信号がローレベルでオフ状態となる。
【0081】
ところで、本実施形態における駆動信号の最大電位は42Vであるのに対し、バッファ部413の高電源電位は3.3V、低電源電位は0Vである。これは、第1a圧電素子311aおよび第1b圧電素子311bを駆動するためには大振幅の駆動信号が必要となる一方、バッファ部413はアナログ信号の処理回路であり、大きなダイナミックレンジが不要であるためである。
【0082】
第1a圧電素子311aおよび第1b圧電素子311bの起電圧の変化は、キャビティ内部の圧力の変化を反映したものとなる。このため、残留振動の周波数帯域は、駆動信号の周波数帯域と比較して狭い。一方、残留振動の信号経路にはノイズが重畳することがある。ハイパスフィルター411は、残留振動の周波数帯域よりも低域の周波数成分を減衰させる。これにより、残留振動検出部で検出する残留振動の精度を向上させることができる。
【0083】
また、ハイパスフィルター411では、第1キャパシター341によって直流成分をカットしている。駆動信号の最大電位と比較して、残留振動の振幅の電位は低いため、直流結合には適さない。本実施形態では、ハイパスフィルター411で直流成分をカットすることによって、後段のバッファ部413を正常に動作させることが可能となる。
【0084】
さらに、検出スイッチ343は、残留振動を検出する期間を除いてオン状態となり、第4ノードN4はアナロググランドAGNDにクランプされる。
すなわち、第1キャパシター341の駆動信号および圧電素子の側の電位が大きく変化する期間において、検出スイッチ343はオン状態となる。第1キャパシター341によって直流成分がカットされても、当該電位が大きく変化すると、第4ノードN4の電位が大きく変化する。
【0085】
電子回路において、このようにダイナミックレンジを超える大振幅の信号が供給されると、回路要素の各部に電荷が充電され、正常に動作するまでに長時間を要することがある。また、電子回路を構成するトランジスターなどの部品の耐圧を高くする必要がある。
これに対して、本実施形態では、第1キャパシター341の駆動信号および圧電素子の側の電位が大きく変化する期間において検出スイッチ343をオン状態として、バッファ部413の入力端子の電位をアナロググランドAGNDにクランプすることで、検出期間において直ちに残留振動の検出を開始することができ、さらにバッファ部413を構成する部品の耐圧を下げることが可能となる。
【0086】
図10は、実施形態に係る制御内容の一例を示す図である。
図10には、制御内容テーブル3011と、LAT内部信号3021と、TSIG内部信号3022と、ステートST1~ST5と、駆動信号COMの圧電素子駆動信号3023と、を示してある。
【0087】
制御内容テーブル3011には、タイミングと、パルスエッジと、ステートと、動作と、検出状態と、を示してある。
動作としては、NVTS端子出力と、TG_A/B/Cと、TG_Nと、SW_A/B/Cと、SHT_SWと、が示されている。
【0088】
タイミングとしては、LAT立ち上がり後、TSIGの1パルス目、TSIGの2パルス目が示されている。
パルスエッジとしては、立ち上がり、立ち下がりが示されている。
ステートとしては、ステートST1~ST5が示されている。
【0089】
NVTS端子出力は、残留振動信号の出力端子の出力を表している。NVTS端子出力としては、ハイインピーダンスを表すHiZ、残留振動を検出する状態を表す検出状態が示されている。
TG_A/B/Cとしては、駆動スイッチ321a、駆動スイッチ321b、駆動スイッチ321cについて、オンとオフの切り替え状態が示されている。なお、
図10の例では、説明を簡易化するために、これら3個のスイッチについて、オン/オフをまとめて示してある。
【0090】
TG_Nとしては、検出ノズル選択スイッチ321sについて、オンとオフの切り替え状態が示されている。
SW_A/B/Cとしては、バイアススイッチ322a、バイアススイッチ322b、バイアススイッチ322cについて、オンとオフの切り替え状態が示されている。なお、
図10の例では、説明を簡易化するために、これら3個のスイッチについて、オン/オフをまとめて示してある。
【0091】
SHT_SWとしては、検出スイッチ343について、オンとオフの切り替え状態が示されている。
【0092】
次に、各スイッチの動作について説明する。
図10に示される各スイッチの動作を示すタイミングチャートを例として説明する。
図11は、ステートST1、ST5の期間におけるスイッチのオン状態およびオフ状態を示す説明図である。
図12は、ステートST2、ST4の期間におけるスイッチのオン状態およびオフ状態を示す説明図である。
図13は、ステートST3の期間におけるスイッチのオン状態およびオフ状態を示す説明図である。
なお、本例では、
図9に示される第1a圧電素子311aおよび第1b圧電素子311bに対応するノズル241について、インク滴の吐出状態を検出するものとする。
【0093】
また、本例では、駆動信号COMAによって駆動が行われる場合を示し、他の駆動信号である駆動信号COMBおよび駆動信号COMCについては、駆動スイッチ321bおよび駆動スイッチ321cが常時オフであり、バイアススイッチ322bおよびバイアススイッチ322cが常時オフである。
図11~
図13の例では、駆動信号COMAに関する回路部を示してあり、駆動信号COMBおよび駆動信号COMCに関する回路部については図示を省略してある。
なお、他の駆動信号である駆動信号COMBまたは駆動信号COMCによって駆動が行われる場合についても、駆動信号COMAによって駆動が行われる場合の動作と同様である。
【0094】
ステートST1の期間は、駆動信号COMAに検査パルスP1が含まれている。ステートST1の期間は、TG_Aがオンとなり、TG_Nがオフとなり、SW_Aがオフとなり、SHT_SWがオンとなる。従って、駆動スイッチ321a、検出ノズル選択スイッチ321s、検出スイッチ343の状態は、
図11に示すものとなる。
駆動スイッチ321aがオン状態となって検査パルスP1が第1a電極312aおよび第1b電極312bに印加されると、第1a圧電素子311aおよび第1b圧電素子311bは、検査パルスP1の立ち上がりに同期してインク滴をキャビティ内に引き込む方向に撓み、検査パルスP1の立ち下がりに同期してインク滴をキャビティから押し出す方向に撓む。
ここで、検査パルスP1は、インク滴がノズル241から吐出しないように振幅、位相および立ち下がり時間が調整されていてもよいし、あるいは、検査パルスP1によってインク滴がノズル241から吐出されてもよい。検査パルスP1が非吐出に対応する波形である場合には、通常の印刷中に残留振動を検出することができる。一方、検査パルスP1が吐出に対応する波形である場合には、ヘッドユニット35を記録用紙からはずれた位置に移動させ、インク滴を吐出させればよい。
【0095】
次に、ステートST2の期間においては、駆動信号COMAは、所定電位Vxとなっている。ステートST2の期間では、TG_A、TG_N、SW_A、SHT_SWがオンとなるので、駆動スイッチ321a、検出ノズル選択スイッチ321s、バイアススイッチ322a、および検出スイッチ343がオン状態となる。この結果、
図12に示すように第2ノードN2の電位は所定電位Vxとなり、また、第3ノードN3の電位も所定電位Vxとなる。
【0096】
次に、ステートST3の期間においては、駆動信号COMAは、所定電位Vxとなっている。ステートST3の期間では、TG_NおよびSW_Aがオンを維持するので、検出ノズル選択スイッチ321sがオン状態となる。一方、TG_AおよびSHT_SWがオフとなるので、駆動スイッチ321aおよび検出スイッチ343がオフ状態となる。この結果、
図13に示すように第2ノードN2の電位は所定電位Vxとなり、また、第3ノードN3の電位は第1抵抗331によってバイアスされた状態で、第1a圧電素子311aおよび第1b圧電素子311bに発生する起電力がハイパスフィルター411を介して第1出力信号OUT1として取り出される。
ここで、本例では、検出開始タイミングは、ステートST2からステートST3に切り替わるタイミングであり、TSIGパルスの立ち下がりのタイミングである。
【0097】
次に、ステートST4の期間において、駆動信号COMAは、所定電位Vxとなっている。ステートST4の期間では、ステートST2の期間と同様に、TG_A、TG_N、SW_A、SHT_SWがオンとなるので、駆動スイッチ321a、検出ノズル選択スイッチ321s、バイアススイッチ322a、および検出スイッチ343がオン状態となる。この結果、
図12に示すように第2ノードN2の電位は所定電位Vxとなり、また、第3ノードN3の電位も所定電位Vxとなる。
【0098】
次に、ステートST5の期間は、ステートST1の期間と同様に、TG_Aがオンとなり、SHT_SWがオンとなるので、駆動スイッチ321aおよび検出スイッチ343がオン状態となる。一方、TG_Nがオフとなるので、検出ノズル選択スイッチ321sがオフ状態となる。この結果、
図11に示すように駆動信号COMAが駆動スイッチ321aを介して第1a電極312aおよび第1b電極312bに印加される。また、SHT_SWがオン状態となるので、第4ノードN4の電位はアナロググランドAGNDにクランプされる。
【0099】
ここで、駆動スイッチ321aがオン状態且つ検出ノズル選択スイッチ321sがオフ状態となることを第1状態、駆動スイッチ321aがオン状態且つ検出ノズル選択スイッチ321sがオン状態となることを第2状態、駆動スイッチ321aがオフ状態且つ検出ノズル選択スイッチ321sがオン状態となることを第3状態とすると、駆動制御部2031は、第1状態であるステートST1→第2状態であるステートST2→第3状態であるステートST3の順に、駆動スイッチ321aおよび検出ノズル選択スイッチ321sを制御する。また、駆動制御部2031は、第3状態であるステートST3→第2状態であるステートST4→第1状態であるステートST5の順に、駆動スイッチ321aおよび検出ノズル選択スイッチ321sを制御する。
【0100】
このように、第1状態から第3状態へ遷移する途中および第3状態から第1状態へ遷移する途中に第2状態を設けたのは、駆動スイッチ321aのオン状態と検出ノズル選択スイッチ321sのオン状態が切り替わる時点で、第3ノードN3の電位が変化することによってスイッチングノイズが発生しないようにするためである。
【0101】
即ち、第2状態では、第3ノードN3には、駆動スイッチ321a→第1ノードN1→検出ノズル選択スイッチ321sの経路で駆動信号COMAの所定電位Vxが供給されると共に、第2ノードN2→第1抵抗331の経路で駆動信号COMAの所定電位Vxが供給される。
この第2状態から第3状態へ遷移すると、駆動スイッチ321aがオフ状態に遷移するが、第2ノードN2→第1抵抗331の経路は残され、第3ノードN3には第1抵抗331によって駆動信号COMAの所定電位Vxがバイアスされる。よって、第1状態から第3状態へ遷移する際に第3ノードN3の電位が大きく変化しないので、スイッチングノイズを低減できる。くわえて、第1状態→第2状態→第3状態といったシーケンスで駆動スイッチ321aおよび検出ノズル選択スイッチ321sを制御することにより、第1a圧電素子311aおよび第1b圧電素子311bからの電流を連続的に流すことができるので、コイルの逆起電力のような切替時のサージ電圧の発生を無くすことができる。この結果、ステートST3の期間が開始されると同時に残留振動の検出を行うことが可能となる。
【0102】
また、第2状態から第1状態へ遷移すると、検出ノズル選択スイッチ321sがオフ状態に遷移するが、第2状態においても駆動スイッチ321aを介して駆動信号COMAが第1a圧電素子311aおよび第1b圧電素子311bに印加されており、第2ノードN2の電位は駆動信号COMAの所定電位Vxとなっているので、第1a圧電素子311aおよび第1b圧電素子311bの印加電圧に重畳するノイズを低減することができる。
【0103】
くわえて、第1状態であるステートST1およびステートST5の期間並びに第2状態であるステートST2およびステートST4の期間において、検出スイッチ343はオン状態となるので、第4ノードN4の電位はアナロググランドAGNDにクランプされる。
図11~
図13に示されるように、駆動信号COMAが供給される供給ラインと第3ノードN3が接続され残留振動に基づく起電力が供給される供給ラインとの間には寄生容量Caが存在する。このため、ステートST1の期間において検出ノズル選択スイッチ321sがオフ状態になっても、大振幅の検査パルスP1が寄生容量Caを介して第3ノードN3に伝送される。本実施形態によれば、ステートST1の期間およびステートST2の期間において、検出スイッチ343がオン状態となり、第4ノードN4はアナロググランドAGNDにクランプされる。よって、検査パルスP1が残留振動検出部に干渉するのを防止することができる。
【0104】
図14は、実施形態に係る信号TSIGのタイミングと出力信号NVTSとの対応の一例を示す図である。
図14において、横軸は時間を表しており、縦軸はそれぞれの電圧レベルを表している。
図14には、単一タイミングの圧電素子駆動信号3023と、それに対しTSIG内部信号をそれぞれ異なるタイミングで入力する場合の10個の信号TSIG1~信号TSIG10と、10個の信号TSIG1~信号TSIG10のそれぞれによって発生する10個の出力信号NVTS1~出力信号NVTS10を示してある。
【0105】
ここで、圧電素子駆動信号3023は、
図9の例では、駆動信号COMA、駆動信号COMB、あるいは、駆動信号COMCの電圧の信号に対応する。
また、信号TSIG1~信号TSIG10のパルス立下りタイミングは異なるため、
図9の駆動スイッチ321a、321b、321cのオンからオフへのタイミング、及び検出スイッチ343のオンからオフへの切り替えのタイミングも対応したタイミングに変化する。
また、出力信号NVTS1~出力信号NVTS10は、
図9の例では、NVTS端子出力の信号に対応する信号である。
【0106】
以下、TSIG内部信号の入力を異なるタイミングで行った場合に生じる、NVTS端子出力の信号の変化について記載する。
一般に圧電素子は駆動信号等により電圧が印加されると変形し、その後電圧の印加を止めると元の形状に戻る性質を持つ。そして元の形状に戻る際に生じる機械的な減衰振動は圧電素子の逆起電力となることが知られている。本実施形態においては、変形している第1a圧電素子311a、第1b圧電素子311bが元の形状に戻る際に機械的な減衰振動に由来する、電気的な減衰振動をする逆起電力が第1a電極312aおよび第1b電極312bに現れる。仮に駆動スイッチ321a、321b、321cがオンに保持されている場合、圧電素子駆動信号3023の電位により第1a電極312aおよび第1b電極312bの電位は圧電素子駆動信号3023の電位固定された状態となるため、第1a電極312aおよび第1b電極312bには逆起電力が現れない。一方で駆動スイッチ321a、321b、321cがオンからオフに切り替えられる場合、そのタイミングで圧電素子駆動信号3023の電位による第1a電極312aおよび第1b電極312bの電位固定は開放されるため、圧電素子駆動信号3023の電位を起点として逆起電力が第1a電極312aおよび第1b電極312bに現れる。ここで逆起電力は検出スイッチ343がオンからオフに切り替えられたタイミングで、ハイパスフィルター411を通過しNVTS端子で残留振動信号として検知される。その信号がハイパスフィルター411を通過するため、所定の時定数でDCオフセットの差が吸収され
図14のように出力信号NVTS1~出力信号NVTS10のような波形となる。つまりハイパスフィルター411に入力される逆起電力の、駆動スイッチ321a、321b、321cがオンからオフに切り替えられるタイミングでの振幅が大きいほどハイパスフィルター411の過渡応答による影響が大きくなり、出力信号NVTSに現れる残留振動信号の波形に与える影響が大きくなる。
【0107】
残留振動信号は減衰振動しているため、早いタイミングで検出される波である程残留振動信号の振幅も大きく、その振幅絶対値をノズル状態判定に利用することの価値も大きいが、上記のような理由によりTSIG信号のタイミングによっては振幅絶対値は
図14の出力信号NVTS1~出力信号NVTS10のようにばらつき、誤った判定をしてしまう恐れが高まる。
【0108】
図15は、実施形態に係る第1制御部2011において行われる処理の手順の一例を示す図である。
ステップS1~ステップS7の処理について説明する。
【0109】
ステップS1において、第1制御部2011は、残留振動信号の検出開始の初期設定を行う。そして、ステップS2の処理へ移行する。
ここで、当該初期設定が行われるタイミングは、任意のタイミングであってもよく、例えば、可能な範囲で早いタイミングが用いられる。
【0110】
ステップS2において、第1制御部2011は、残留振動検出部の機能により残留振動信号を検出し、残留振動信号検出部によって検出された残留振動信号を取得する。そして、ステップS3の処理へ移行する。
【0111】
ステップS3において、第1制御部2011は、取得した残留振動信号に基づいて、残留振動信号の最初の極大点をサーチして、見つかった時間A1を保持する。そして、ステップS4の処理へ移行する。
【0112】
ステップS4において、第1制御部2011は、取得した残留振動信号に基づいて、残留振動信号の次の極大点をサーチして、見つかった時間A2を保持する。そして、ステップS5の処理へ移行する。
【0113】
ここで、ステップS4の処理およびステップS5の処理では、残留振動信号の極大点を用いる場合を示したが、他の例として、極大点の代わりに、極小点が用いられてもよい。
例えば、残留振動の波形について、隣り合う極大点と極大点との間の時間、隣り合う極小点と極小点との間の時間、あるいは、極大点とそれに続く隣り合う極小点との間の時間、または、極小点とそれに続く隣り合う極大点との間の時間、のうちの1以上に基づいて、当該残留振動の周期を判定する手法が用いられてもよい。
【0114】
ステップS5において、第1制御部2011は、時間A2から時間A1を減算した結果の値に基づいて残留振動信号の周期を算出し、当該周期の1/4倍の値を検出開始シフトタイミングとして算出する。そして、ステップS6の処理へ移行する。
【0115】
ステップS6において、第1制御部2011は、検出開始タイミングを、時間A1に検出開始シフトタイミングを加算した結果の値に設定する。そして、ステップS7の処理へ移行する。
【0116】
ステップS7において、第1制御部2011は、検出開始タイミングを記憶部に記憶する。
そして、本フローの処理が終了する。
【0117】
以上のように、本実施形態に係る第1ヘッドユニット301では、残留振動信号を取り出すタイミングがずれると検出結果に含まれるDCオフセットのレベルが変化することに対応して、キャリブレーション処理として、残留振動信号の少なくとも2点の情報に基づいて、残留振動波形の収束点のタイミングで圧電素子の駆動をオフにする制御を行う。当該情報としては、例えば、極大点または極小点の情報が用いられる。
これにより、本実施形態に係る第1ヘッドユニット301では、残留振動信号の検出精度を高めることができる。
【0118】
一構成例として、第1ヘッドユニット301は、駆動信号が供給されることにより変位する圧電素子により液体を吐出する吐出部W1と、圧電素子の変位に伴い生じる吐出部W1の残留振動により生じる残留振動信号を検出する残留振動検出部と、圧電素子に第1駆動信号を供給するか否かを切り替える第1スイッチと、残留振動信号を残留振動検出部に供給するか否かを切り替える第2スイッチと、第1スイッチおよび第2スイッチを制御する制御部と、を備える。
制御部は、残留振動検出部により検出された残留振動信号の極点に基づいて検出開始タイミングを取得する。
第1スイッチは検出開始タイミングで、第1駆動信号を圧電素子に供給しないように切り替えられる。
第2スイッチは検出開始タイミングで、残留振動信号を残留振動検出部に供給するよう切り替えられる。
【0119】
図9、
図10、
図15の例では、第1a圧電素子311aおよび第1b圧電素子311bが、圧電素子の一例である。
図9、
図10、
図15の例では、駆動信号COMA、駆動信号COMB、および、駆動信号COMCが、それぞれ、第1駆動信号の一例である。
図9、
図10、
図15の例では、駆動スイッチ321a、駆動スイッチ321b、および、駆動スイッチ321cが、それぞれ、第1スイッチの一例である。
図9、
図10、
図15の例では、検出スイッチ343が、第2スイッチの一例である。
図9、
図10、
図15の例では、第1制御部2011が、制御部の一例であり、残留振動検出部の一例である。
図9、
図10、
図15の例では、極大点および極小点が、極点の例である。
【0120】
一構成例として、第1ヘッドユニット301において、制御部によって取得された検出開始タイミングを記憶する記憶部を備える。
ここで、
図9、
図10、
図15の例では、第1記憶部2112が、記憶部の一例である。
なお、このような記憶部は、第1ヘッドユニット301の外部に備えられてもよい。
【0121】
一構成例として、第1ヘッドユニット301において、残留振動検出部は、ピークホールド回路を備える。
ここで、
図9、
図10、
図15の例では、ピークホールド回路362がピークホールド回路の一例であるが、ピークホールド回路の機能が第1制御部2011に備えられてもよい。この場合、ピークホールド回路の機能は残留振動検出部の機能と一体化されていてもよい。
なお、残留振動検出部は、ピークホールド回路を備えない、構成が用いられてもよい。
【0122】
一構成例として、第1ヘッドユニット301において、残留振動検出部の前段に、ハイパスフィルター411を備える。
なお、第1ヘッドユニット301は、ハイパスフィルター411を備えない、構成が用いられてもよい。
【0123】
一構成例として、第1ヘッドユニット301において、圧電素子は、媒体への液体の吐出に使用される。
【0124】
一構成例として、第1ヘッドユニット301において、圧電素子は、媒体への液体の吐出に使用されない検査用の圧電素子である。
【0125】
一構成例として、液体吐出装置は、搬送機構L1と、ヘッドユニットと、を有する。
【0126】
一構成例として、第1ヘッドユニット301における制御方法であって、本実施形態のような制御を行う。
【0127】
図16~
図18を参照して、検出開始タイミングを決定する処理の具体例を示す。
図16は、実施形態に係る残留振動信号の検出開始タイミングの決定の一例を示す図である。
図16において、横軸は時間を表しており、縦軸はレベルを表している。
図16には、第1残留振動信号511を示してある。
第1残留振動信号511において、第1極大点521と、その隣の第2極大点522との間の時間が、差分時間Tcが求められる。
そして、差分時間Tcの1/4倍の時間が、第1シフト時間Tsに求められる。
第1極大点521に第1シフト時間Tsを加算した結果の時間が、第1検出開始タイミング531として設定される。
【0128】
図17は、実施形態に係る残留振動信号の検出開始タイミングの一例を示す図である。
図17において、横軸は時間を表しており、縦軸はレベルを表している。
図17には、第1a残留振動信号511aと、その第1a検出開始タイミング531aを示してある。
【0129】
図18は、実施形態に係る残留振動信号の検出開始タイミングの調整の効果の一例を示す図である。
図18において、横軸は時間を表しており、縦軸はレベルを表している。
図18には、オフセットあり残留振動信号611と、オフセットなし残留振動信号612と、オフセット621と、閾値631を示してある。
時間が経過していくとオフセットあり残留振動信号611のオフセット成分が小さくなっていき、十分な時間が経過するとオフセットあり残留振動信号611とオフセットなし残留振動信号612とが重なる。
【0130】
オフセットあり残留振動信号611について閾値631を用いた2値化の判定の結果と、オフセットなし残留振動信号612について閾値631を用いた2値化の判定の結果と、には、誤差641が発生する。
これに対して、本実施形態では、残留振動信号の検出開始タイミングを調整することにより、このような誤差の問題を解消することができる。
【0131】
通常、残留振動を圧電変換することで得られる波形を解析する際に、ノイズを除去する必要があり、DC成分を低減するためにハイパスフィルターが用いられる。
しかし、残留振動の波形から吐出関連情報を分析する場合、ハイパスフィルターの過渡応答の影響で最初の波形については動作が不安定となり当該波形が歪むことが生じる。このため、例えば、最初の波形に対してはマスクするなどして、それ以外の2番目以降の波形を用いて判定等が行われていた。
【0132】
これに対して、本実施形態に係る第1ヘッドユニット301では、DC成分除去用のハイパスフィルター411の過渡応答による波形歪みを、残留振動波形の収束点のタイミングに持ってくることで、その影響を低減する。
ここで、残留振動波形の収束点は、振幅の方向に変動するレベルが±0となる点である。
【0133】
このためのキャリブレーション処理として、いったん残留振動を検出して極大と極大との間の時間差から残留振動の周期を割り出し、残留振動の検出開始タイミングで、圧電素子の駆動をオフにし、残留振動検出部に残留振動信号を供給する。これにより、本実施形態では、残留振動の最初の波形を分析に使用することが可能である。
【0134】
このように、本実施形態に係る第1ヘッドユニット301では、残留振動検出部の前段にハイパスフィルター411が備えられる場合においても、ハイパスフィルター411の過渡応答の影響を低減することができ、ハイパスフィルター411の過渡応答による波形歪みを低減した残留振動波形を得ることができる。これにより、本実施形態に係る第1ヘッドユニット301では、残留振動の最初の波形が歪まず、吐出関連情報を精度良く取得することができる。
【0135】
具体例として、アクチュエーターの駆動後における残留振動信号について、当該残留振動信号のセンシングを開始するタイミングを最適化する処理の例を説明する。
例えば、残留振動信号の主要周波数成分以外のノイズを除去する電気回路の一種として、オペアンプを用いたアクティブバンドパスフィルター(Act.BPF)の回路が用いられる場合がある。この場合、当該回路の入力段のハイパスフィルターの特性上、入力電圧にDC段差が生じると過渡応答が発生する。
【0136】
また、アクティブバンドパスフィルターの後段の回路として、アナログ量の残留振動信号をコンパレーターにより2値化パルスへ変換し、当該残留振動信号の周期および位相の計測を行う回路が用いられる場合がある。2値化パルスへの変換手法としては、例えば、1または複数の閾値電圧を用いて、1または複数の2値化パルスへ変換する手法が用いられる。
この場合、残留振動信号の振幅は、例えば、残留振動信号が減衰する正弦波であることを前提として、複数のパルスのパルス幅に基づいて換算により演算される。
【0137】
しかし、このような構成では、DCオフセットの過渡応答成分が周期計測の精度に影響する。
例えば、コンパレーターによる2値化パルスの情報のみが用いられる場合には、過渡応答成分を最小にするセンシングタイミングを算出しても、極大点および極小点の時間を特定する精度が不十分であり、残留振動信号の検出開始タイミングの最適化精度が低くなってしまう。
【0138】
これに対して、本実施形態では、このような過渡応答成分を小さくすることができ、理想的には最小にすることができる。
本実施形態では、例えば、インクジェットヘッドの個体ごとに、残留振動信号の検出開始タイミングの情報を記憶することで、残留振動信号の処理の後段における周期計測等の誤差を低減することが可能である。
【0139】
具体的には、
図16の例において、残留振動信号の周期は、ピエゾ素子(Piezoelectric element)からなる圧電素子の固有振動に近い値となる。
そして、
図17の例のように、当該圧電素子に対する駆動信号の印加状態を切り替えるスイッチをオフにするタイミングを、残留振動波形の収束点のタイミングに調整する。
【0140】
ここで、残留振動波形の収束点のタイミングとしては、例えば、当該波形の極大点から周期の1/4進んだ点のタイミングが用いられてもよい。
なお、極大点の代わりに極小点が用いられてもよい。
【0141】
このように、例えば、残留振動信号がアクティブバンドパスフィルターを通過することで、当該残留振動信号のセンシング開始タイミングでDCオフセット過渡応答により、本来のアクチュエーター起電信号に対して歪みが発生する場合においても、本実施形態では、当該センシング開始タイミングを調整することで当該歪みを小さくすることができ、理想的には最小にすることができる。
これにより、本実施形態では、PZTアクチュエーターの駆動後の残留振動による逆起電信号のセンシングによって、ノズル状態の推定等が可能である。
【0142】
本実施形態では、アクティブバンドパスフィルターのDCオフセット過渡応答の影響を小さくすることで、本来のアクチュエーター駆動に起因する残留振動信号の成分を検出することが可能である。
これにより、本実施形態では、例えば、
図18の例のように、残留振動信号の振幅中心レベルを閾値として、残留振動信号のレベルが当該閾値よりも小さい値から大きい値へ変わるとき、あるいは、残留振動信号のレベルが当該閾値よりも大きい値から小さい値へ変わるとき、のように残留振動信号のレベルが当該閾値を通過するときの時間に基づいて周期を求める場合に、誤差を小さくすることができ、理想的には最小にすることができる。
【0143】
また、本実施形態では、例えば、残留振動信号に関し、余分な過渡応答成分をセンシングの初期から十分に小さくすることができるため、減衰波形の初期における振幅が大きいタイミングから、精度の高い振幅測定を行うことが可能である。
例えば、吐出液体の粘度あるいは他の物性値によって残留振動信号の振幅が変化するような場合においても、本実施形態では、精度の高い振幅情報を使用することができ、各種の判定等の精度が向上する。
【0144】
例えば、インクジェット方式のヘッドの出荷検査の工程において、それぞれのヘッドの個体ごとに、本実施形態の技術により、残留振動信号のセンシングの最適なタイミングの情報を取得し、当該情報をヘッドに内蔵されたメモリーに記憶する処理が行われてもよい。これにより、ヘッドが組み込まれたプリンターでは、当該メモリーから当該情報を読み出し、残留振動信号のセンシング時に、当該情報をセンシングのタイミング情報として使用することができる。
【0145】
例えば、ヘッドが組み込まれたプリンターでは、残留振動信号のセンシング結果に基づいてノズル抜けの判定などを行う前に、本実施形態の技術により、残留振動信号のセンシングの最適なタイミングの情報を取得し、当該タイミングの情報を当該ヘッドに紐づける情報の一つとして記憶する処理が行われてもよい。これにより、当該プリンターでは、実際にノズル抜けの判定などを行う際に、残留振動信号のセンシング時に、当該タイミングの情報をセンシングのタイミング情報として使用することができる。
【0146】
例えば、本実施形態の技術により残留振動信号のセンシング開始タイミングを最適化することにより、減衰波形のうちの第1番目の波形の振幅を精度良く取得することができる。これにより、アクチュエーターの変位特性あるいは経時劣化に起因する残留振動の変化を検出または判定する精度を高めることができ、また、吐出液体の粘度変化に起因する残留振動の減衰比変化を検出または判定する精度を高めることができる。
【0147】
ここで、検出開始タイミングを判定するために残留振動の検出に使用される圧電素子と、これにより判定された検出開始タイミングを用いて残留振動の検出が行われる圧電素子としては、例えば、同じ圧電素子が用いられてもよく、あるいは、異なる圧電素子が用いられてもよい。
例えば、実際に吐出に用いる圧電素子を検出開始タイミングの検出に用いる構成では、ヘッドユニットの部品を増やさなくても良いという効果がある。
他の例として、実際に吐出に用いる圧電素子とは別に、検出開始タイミングの検出に用いる圧電素子を備える構成が用いられてもよい。
【0148】
また、本実施形態では、残留振動が減衰していく複数の波形を有するときに、残留振動の1番目の波形を検出することで検出精度を高め、その検出結果に基づいて吐出関連情報を取得することでその情報の精度を高める場合を示したが、他の例として、残留振動の2番目以降の波形を検出する構成が用いられてもよい。
また、残留振動が減衰していく複数の波形を有するときに、これら複数のうちの任意の2個以上の波形を検出する構成が用いられてもよい。
【0149】
また、本実施形態では、残留振動の極大点または極小点から1/4周期がずれた点を残留振動波形の収束点とみなして、残留振動の検出開始タイミングとしたが、他の例として、1/4周期の代わりに、3/4周期、または、5/4周期などのように、1/2周期の1倍以上の整数倍数を1/4周期に加算した結果の周期が用いられてもよい。
また、残留振動波形の収束点としては、必ずしも厳密な収束点の位置が用いられなくてもよく、誤差を含んでもよい。
当該誤差は、例えば、1周期の1/8であってもよく、1周期が360度に相当することから±45度であってもよい。
【0150】
本実施形態では、それぞれ圧電素子が用いられている複数のノズルが存在する場合、残留振動の検出開始タイミングの検出および検出された検出開始タイミングの適用の制御は、例えば、それぞれのノズルごとに行われてもよく、所定数のノズルからなるノズル列ごとに行われてもよい。
例えば、複数のノズルのそれぞれについて検出開始タイミングを検出して、これらの検出結果の平均値または中央値などを、これら複数のノズルに適用してもよい。
例えば、代表的な1以上のノズルについて検出開始タイミングを検出して、その検出結果に基づく検出開始タイミングを、他の1以上のノズルに適用してもよい。
例えば、同じ1以上のノズルについて検出開始タイミングを検出する処理を複数回行って、これら複数回の検出結果の平均値または中央値などを適用してもよい。
【0151】
本実施形態では、残留振動の検出開始タイミングを検出する処理は、少なくとも1回行われればよいが、2回以上行われてもよい。
例えば、ヘッドユニットでは、ノズルを使用するときに、毎回、残留振動の検出開始タイミングを検出して更新する処理を行ってもよい。
例えば、ヘッドユニットでは、所定の期間ごとに、残留振動の検出開始タイミングを検出して更新する処理を行ってもよい。当該所定の期間は、定期的な期間であってもよい。
例えば、ヘッドユニットでは、使用されるインクまたは使用時の気圧などが変化した場合に、残留振動の検出開始タイミングを検出して更新する処理を行ってもよい。
【0152】
本実施形態では、残留振動の検出開始タイミングを検出して記憶する処理は、例えば、ヘッドユニットまたはヘッドユニットを備えた液体吐出装置などの出荷前に行われてもよく、あるいは、これらの出荷後に行われてもよい。
例えば、インクジェット方式のプリンターにおいて、出荷後に、任意のタイミングで、残留振動の検出開始タイミングを検出して記憶する処理が行われてもよい。
【0153】
ヘッドユニットまたはヘッドユニットを備えた液体吐出装置などにおいて、残留振動の検出開始タイミングを検出して記憶する処理を行うモードが設けられてもよい。当該モードは、キャリブレーションモードなどと呼ばれてもよい。
ヘッドユニットまたはヘッドユニットを備えた液体吐出装置などでは、例えば、電源がオンにされたタイミング、または、リセットが行われたタイミングで、キャリブレーションモードの処理が行われてもよい。
ヘッドユニットまたはヘッドユニットを備えた液体吐出装置などでは、キャリブレーションモードと、キャリブレーションモードにおいて検出された検出開始タイミングを適用するモードと、を切り替えることが可能であってもよい。当該モードは、例えば、センシングモードなどと呼ばれてもよい。
【0154】
以上に説明した任意の装置における任意の構成部の機能を実現するためのプログラムを、コンピューター読み取り可能な記録媒体に記録し、そのプログラムをコンピューターシステムに読み込ませて実行するようにしてもよい。ここでいう「コンピューターシステム」は、オペレーティングシステムあるいは周辺機器等のハードウェアを含むものとする。「コンピューター読み取り可能な記録媒体」は、フレキシブルディスク、光磁気ディスク、ROM(Read Only Memory)、CD(Compact Disc)-ROM等の可搬媒体、コンピューターシステムに内蔵されるハードディスク等の記憶装置である。「コンピューター読み取り可能な記録媒体」は、インターネット等のネットワークあるいは電話回線等の通信回線を介してプログラムが送信された場合のサーバーあるいはクライアントとなるコンピューターシステム内部の揮発性メモリーのように、一定時間プログラムを保持しているものも含むものとする。当該揮発性メモリーは、RAMであってもよい。記録媒体は、非一時的記録媒体であってもよい。
【0155】
上記のプログラムは、このプログラムを記憶装置等に格納したコンピューターシステムから、伝送媒体を介して、あるいは、伝送媒体中の伝送波により他のコンピューターシステムに伝送されてもよい。プログラムを伝送する「伝送媒体」は、インターネット等のネットワークあるいは電話回線等の通信回線のように情報を伝送する機能を有する媒体のことをいう。
上記のプログラムは、前述した機能の一部を実現するためのものであってもよい。上記のプログラムは、前述した機能をコンピューターシステムにすでに記録されているプログラムとの組み合わせで実現できるもの、いわゆる差分ファイルであってもよい。差分ファイルは、差分プログラムと呼ばれてもよい。
【0156】
以上に説明した任意の装置における任意の構成部の機能は、プロセッサーにより実現されてもよい。実施形態における各処理は、プログラム等の情報に基づき動作するプロセッサーと、プログラム等の情報を記憶するコンピューター読み取り可能な記録媒体により実現されてもよい。プロセッサーは、各部の機能が個別のハードウェアで実現されてもよく、あるいは、各部の機能が一体のハードウェアで実現されてもよい。プロセッサーはハードウェアを含み、当該ハードウェアは、デジタル信号を処理する回路およびアナログ信号を処理する回路のうちの少なくとも一方を含んでもよい。プロセッサーは、回路基板に実装された1または複数の回路装置、あるいは、1または複数の回路素子のうちの一方または両方を用いて、構成されてもよい。回路装置としてはICなどが用いられてもよく、回路素子としては抵抗あるいはキャパシターなどが用いられてもよい。
【0157】
プロセッサーは、CPUであってもよい。ただし、プロセッサーは、CPUに限定されるものではなく、GPU(Graphics Processing Unit)、あるいは、DSP(Digital Signal Processor)等のような、各種のプロセッサーが用いられてもよい。プロセッサーは、ASIC(Application Specific Integrated Circuit)によるハードウェア回路であってもよい。プロセッサーは、複数のCPUにより構成されていてもよく、あるいは、複数のASICによるハードウェア回路により構成されていてもよい。プロセッサーは、複数のCPUと、複数のASICによるハードウェア回路と、の組み合わせにより構成されていてもよい。プロセッサーは、アナログ信号を処理するアンプ回路あるいはフィルター回路等のうちの1以上を含んでもよい。
【0158】
以上、実施形態について図面を参照して詳述してきたが、具体的な構成はこの実施形態に限られるものではなく、この開示の要旨を逸脱しない範囲の設計等も含まれる。
【0159】
<付記>
[構成例1]
駆動信号が供給されることにより変位する圧電素子により液体を吐出する吐出部と、
前記圧電素子の変位に伴い生じる吐出部の残留振動により生じる残留振動信号を検出する残留振動検出部と、
前記圧電素子に第1駆動信号を供給するか否かを切り替える第1スイッチと、
前記残留振動信号を前記残留振動検出部に供給するか否かを切り替える第2スイッチと、
前記第1スイッチおよび前記第2スイッチを制御する制御部と、
を備え、
前記制御部は、前記残留振動検出部により検出された前記残留振動信号の極点に基づいて検出開始タイミングを取得し、
前記第1スイッチは前記検出開始タイミングで、前記第1駆動信号を前記圧電素子に供給しないように切り替えられ、
前記第2スイッチは前記検出開始タイミングで、前記残留振動信号を前記残留振動検出部に供給するよう切り替えられる、
ヘッドユニット。
【0160】
[構成例2]
前記制御部によって取得された前記検出開始タイミングを記憶する記憶部を備える、
[構成例1]に記載のヘッドユニット。
【0161】
[構成例3]
前記残留振動検出部は、ピークホールド回路を備える、
[構成例1]または[構成例2]に記載のヘッドユニット。
【0162】
[構成例4]
前記残留振動検出部の前段に、ハイパスフィルターを備える、
[構成例1]から[構成例3]のいずれか1項に記載のヘッドユニット。
【0163】
[構成例5]
前記圧電素子は、媒体への前記液体の吐出に使用される、
[構成例1]から[構成例4]のいずれか1項に記載のヘッドユニット。
【0164】
[構成例6]
前記圧電素子は、媒体への前記液体の吐出に使用されない検査用の圧電素子である、
[構成例1]から[構成例4]のいずれか1項に記載のヘッドユニット。
【0165】
[構成例7]
搬送機構と、ヘッドユニットと、を有する液体吐出装置であって、
前記ヘッドユニットは、
駆動信号が供給されることにより変位する圧電素子により液体を吐出する吐出部と、
前記圧電素子の変位に伴い生じる吐出部の残留振動により生じる残留振動信号を検出する残留振動検出部と、
前記圧電素子に第1駆動信号を供給するか否かを切り替える第1スイッチと、
前記残留振動信号を前記残留振動検出部に供給するか否かを切り替える第2スイッチと、
前記第1スイッチおよび前記第2スイッチを制御する制御部と、
を備え、
前記制御部は、前記残留振動検出部により検出された前記残留振動信号の極点に基づいて検出開始タイミングを取得し、
前記第1スイッチは前記検出開始タイミングで、前記第1駆動信号を前記圧電素子に供給しないように切り替えられ、
前記第2スイッチは前記検出開始タイミングで、前記残留振動信号を前記残留振動検出部に供給するよう切り替えられる、
液体吐出装置。
【0166】
[構成例8]
ヘッドユニットにおける制御方法であって、
前記ヘッドユニットは、
駆動信号が供給されることにより変位する圧電素子により液体を吐出する吐出部と、
前記圧電素子の変位に伴い生じる吐出部の残留振動により生じる残留振動信号を検出する残留振動検出部と、
前記圧電素子に第1駆動信号を供給するか否かを切り替える第1スイッチと、
前記残留振動信号を前記残留振動検出部に供給するか否かを切り替える第2スイッチと、
前記第1スイッチおよび前記第2スイッチを制御する制御部と、
を備え、
前記制御方法では、
前記制御部は、前記残留振動検出部により検出された前記残留振動信号の極点に基づいて検出開始タイミングを取得し、
前記第1スイッチは前記検出開始タイミングで、前記第1駆動信号を前記圧電素子に供給しないように切り替えられ、
前記第2スイッチは前記検出開始タイミングで、前記残留振動信号を前記残留振動検出部に供給するよう切り替えられる、
制御方法。
【符号の説明】
【0167】
1…インクジェットプリンター、2…装置本体、3…印字部、4…印刷装置、5…給紙装置、6…制御部、7…操作パネル、8…ホストコンピューター、9…インターフェイス部、10…吐出異常検出部、21…トレイ、22…排紙口、24…回復機構、25…流路基板、26…共通液室基板、26a…貫通空部、26b…配線空部、27…コンプライアンス基板、27a…インク導入口、27b…貫通口、27c…可撓部、28…ユニットケース、28a…空部、28b…インク導入路、29…フレキシブルケーブル、29a…一端側、29b…本体、29c…端、29d…制御IC、30…弾性膜、31…インクカートリッジ、32…キャリッジ、33…駆動信号生成部、35…ヘッドユニット、35A…第Aヘッドユニット、41…キャリッジモーター、42…往復動機構、43…キャリッジモータードライバー、51…給紙モーター、52…給紙ローラー、52a…従動ローラー、52b…駆動ローラー、53…給紙モータードライバー、61…CPU、62…記憶部、200…圧電素子、201…積層圧電素子、240…ノズルプレート、241…ノズル、242…キャビティプレート、243…振動板、244…中間層、245…キャビティ、246…リザーバ、247…インク供給口、248…外部電極、249…内部電極、251…連通空部、252…第Aノズルプレート、253…第Aノズル、254…金属プレート、255…接着フィルム、256…連通口形成プレート、257…第Aキャビティプレート、258…第Aキャビティ、259…第Aリザーバ、260…第Aインク供給口、261…インク取り入れ口、262…第A振動板、263…下部電極、264…上部電極、301…第1ヘッドユニット、311a…第1a圧電素子、311b…第1b圧電素子、312a…第1a電極、312b…第1b電極、313a…第2a電極、313b…第2b電極、321a、321b、321c…駆動スイッチ、321s…検出ノズル選択スイッチ、322a、322b、322c…バイアススイッチ、331…第1抵抗、341…第1キャパシター、342…第2抵抗、343…検出スイッチ、351…第1オペアンプ、352…第3抵抗、353…第4抵抗、361…第2オペアンプ、362…ピークホールド回路、371…第3sスイッチ、391…A/D変換器、411…ハイパスフィルター、412…ゲイン調整部、413…バッファ部、414…残留振動波形取得部、421…タイミングベルト、422…キャリッジガイド軸、431…インク供給チューブ、511…第1残留振動信号、511a…第1a残留振動信号、521…第1極大点、522…第2極大点、531…第1検出開始タイミング、531a…第1a検出開始タイミング、611…オフセットあり残留振動信号、612…オフセットなし残留振動信号、621…オフセット、631…閾値、641…誤差、2011…第1制御部、2021…第1駆動信号生成部、2111…第1CPU、2112…第1記憶部、2031…駆動制御部、2041…定電圧信号生成部、3011…制御内容テーブル、3023…圧電素子駆動信号、Ca…寄生容量、L1…搬送機構、N1…第1ノード、N2…第2ノード、N3…第3ノード、N4…第4ノード、N5…第5ノード、P…記録用紙、P1…検査パルス、Vx…所定電位、W1…吐出部、S1~S7…処理ステップ