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  • 特開-GLP-1分泌促進用の剤又は組成物 図1
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024098641
(43)【公開日】2024-07-24
(54)【発明の名称】GLP-1分泌促進用の剤又は組成物
(51)【国際特許分類】
   A61K 31/7004 20060101AFI20240717BHJP
   A61P 3/10 20060101ALI20240717BHJP
   A61P 5/00 20060101ALI20240717BHJP
   A61K 31/197 20060101ALI20240717BHJP
   A61P 43/00 20060101ALI20240717BHJP
【FI】
A61K31/7004
A61P3/10
A61P5/00
A61K31/197
A61P43/00 121
【審査請求】未請求
【請求項の数】8
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023002242
(22)【出願日】2023-01-11
(71)【出願人】
【識別番号】000188227
【氏名又は名称】松谷化学工業株式会社
(71)【出願人】
【識別番号】509349141
【氏名又は名称】京都府公立大学法人
(74)【上記1名の代理人】
【識別番号】000188227
【氏名又は名称】松谷化学工業株式会社
(72)【発明者】
【氏名】山田 貴子
(72)【発明者】
【氏名】飯田 哲郎
(72)【発明者】
【氏名】岩崎 有作
【テーマコード(参考)】
4C086
4C206
【Fターム(参考)】
4C086AA01
4C086AA02
4C086EA01
4C086MA02
4C086MA04
4C086NA05
4C086ZC19
4C086ZC35
4C086ZC75
4C206FA45
4C206MA02
4C206MA04
4C206NA05
4C206ZC19
4C206ZC35
4C206ZC75
(57)【要約】
【課題】 本発明の目的は、効率的かつ簡便にGLP-1の分泌を促進することができる、GLP-1分泌剤及び組成物を提供することを課題とする。より具体的には、D-アルロースは、マウスでは3g/kg用量でGLP-1分泌の効果を発揮することが知られる一方、1g/kg用量ではその効果は小さい。そこで、本発明の課題は、D-アルロースが少量でもGLP-1分泌の効果が発揮できる新たな手段を提供することにある。
【解決手段】 D-アルロースに少量のγアミノ酪酸(GABA)を組み合わせることにより、効率的にGLP-1分泌を促進することができる。より詳細には、D-アルロース1質量部に対してγアミノ酪酸を0.04質量部以上の比で併存させ、これを含んでなる組成物又は剤として提供すれば、上記課題は解決される。
【選択図】図5
【特許請求の範囲】
【請求項1】
D-アルロース及びγアミノ酪酸を含む、GLP-1分泌促進用の組成物。
【請求項2】
D-アルロース1質量部に対してγアミノ酪酸を0.04質量部以上で含む、GLP-1分泌促進用の組成物。
【請求項3】
1回又は1日用量として、体重1kg当たりD-アルロース8~400mgに対してγアミノ酪酸を0.8~40mgで含む、GLP-1分泌促進用の組成物。
【請求項4】
D-アルロース及びγアミノ酪酸を含む、GLP-1分泌促進剤。
【請求項5】
D-アルロース1質量部に対してγアミノ酪酸を0.04質量部以上で含む、GLP-1分泌促進剤。
【請求項6】
1回又は1日用量として、体重1kg当たりD-アルロース8~400mgに対してγアミノ酪酸を0.8~40mgで含む、GLP-1分泌促進剤。
【請求項7】
食前に投与される、請求項1~3のいずれか一項に記載の組成物。
【請求項8】
食前に投与される、請求項4~6のいずれか一項に記載の剤。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、耐糖能異常の治療又は糖尿病の予防などに有用な、インクレチンホルモンで あるGLP-1の分泌又は促進用の剤及び組成物に関する。
【背景技術】
【0002】
グルカゴン様ペプチド-1(以降、「GLP-1」という。)は、食事摂取に伴い消化管から分泌され、膵β細胞に作用してインスリン分泌を促進するホルモンであって、インクレチンのひとつである。GLP-1には種々の作用が認められており、例えば、血糖値を上昇させるホルモンのグルカゴンの分泌を抑制する作用、心拍出量を増加させる作用、高血圧の改善作用、炎症性免疫応答を弱める作用、摂取した食物の胃からの排出を遅らせる作用などがある。
【0003】
しかし、インクレチンは、インクレチン分解酵素(DPP-4)によって速やかに分解される欠点があるため、その分解を抑制する「DPP-4阻害剤」やDPP-4の作用を受けない「インクレチンアナログ」が開発され、副作用の少ないものとして期待されている。しかし、いずれも自然界に存在するものでなく、その製造コストは安価でない。また、これらのほか、アカルボース、ボグリボース、ミグリトールなどの二糖類分解酵素阻害薬(α-GI剤)もインクレチン分解の抑制作用を有するが、同様に安価でなく、医師の処方が必要であるとの煩雑さもある。
【0004】
一方、D-アルロース(D-プシコースに同じ)は、食品エネルギー値0kcal/kgであることに加えて、蔗糖やでんぷんと同時に経口摂取したときに血糖上昇抑制効果があることが知られ(特許文献1)、GLP-1分泌促進剤として利用できることも開示されている(特許文献2)。また、γアミノ酪酸(GABAともいう)は、生体内において抑制系の神経伝達物質としての働きを有し、脳や脊髄等の中枢神経系に特に多く存在することが知られている(特許文献3)。しかし、GABAについては空腹時のGLP-1分泌促進の効果が確認されたことはなく、また、D-アルロースに対してGABAを組み合わせたときに、GLP-1の分泌促進の相乗的効果も確認されていなかった。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開2005-213227号公報
【特許文献2】国際公開第WO2017/018500号
【特許文献3】特開2003-252756号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
本発明は、安価かつ簡便に入手することができる、GLP-1の分泌促進の剤及び組成物を提供することを課題とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明者らは、D-アルロースとGABAを組み合わせることにより、効率的にGLP-1の分泌を促進する、特に食前の空腹時に摂取することで効率的にGLP-1の分泌を促進することを見出し、本発明を完成するに至った。
【0008】
すなわち、本発明は、以下から構成される。
[1]D-アルロース及びγアミノ酪酸を含む、GLP-1分泌促進用の組成物。
[2]D-アルロース1質量部に対してγアミノ酪酸を0.04質量部以上で含む、GLP-1分泌促進用の組成物。
[3]1回又は1日用量として、体重1kg当たりD-アルロース8~400mgに対してγアミノ酪酸を0.8~40mgで含む、GLP-1分泌促進用の組成物。
[4]D-アルロース及びγアミノ酪酸を含む、GLP-1分泌促進剤。
[5]D-アルロース1質量部に対してγアミノ酪酸を0.04質量部以上で含む、GLP-1分泌促進剤。
[6]1回又は1日用量として、体重1kg当たりD-アルロース8~400mgに対してγアミノ酪酸を0.8~40mgで含む、GLP-1分泌促進剤。
[7]食前に投与される、[1]~[3]のいずれかに記載の組成物。
[8]食前に投与される、[4]~[6]のいずれかに記載の剤。
【発明の効果】
【0009】
本発明によれば、低用量で大きな効果を発揮することができるため、また、D-アルロースとGABAにはヒト食経験が豊富であるため、安全性の高いGLP-1の分泌剤又は組成物を低コストで提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0010】
図1】アルロース1g/kg、GABA200mg/kg、アルロース1g/kgとGABA200mg/kg、又は生理食塩水をマウスに投与したときの摂食量の変化を示す図である。
図2】アルロース0.5g/kg、GABA20mg/kg、アルロース0.5g/kgとGABA20mg/kg、又は生理食塩水をマウスに投与したときの摂食量の変化を示す図である。
図3】アルロース0.5g/kg、GABA10mg/kg、アルロース0.5g/kgとGABA10mg/kg、又は生理食塩水をマウスに投与したときの摂食量の変化を示す図である。
図4】アルロース1g/kg、GABA200mg/kg、アルロース1g/kgとGABA200mg/kg、又は生理食塩水をマウスに投与したときの門脈血漿中のトータルGLP-1(pM)を示す図である。
図5】アルロース0.5g/kg、GABA20mg/kg、アルロース0.5g/kgとGABA20mg/kg、又は生理食塩水をマウスに投与したときの門脈血漿中のトータルGLP-1(pM)を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0011】
以下、本発明について具体的に詳述するが、本発明はこれらに限定されるものでない。
【0012】
本発明の剤又は組成物は、GLP-1の分泌を促進するものであるから、耐糖能異常の治療や糖尿病に対する予防・治療など、GLP-1の機能を介した様々な生理機能及び疾病・症状の改善に極めて有用なものとなる。
【0013】
「D-アルロース」は、別名D-プシコースともいい、ズイナ等植物から抽出したもの、アルカリ異性化法によりD-グルコースやD-フラクトースを原料に異性化したもの(例えば、松谷化学工業株式会社の製品「レアシュガースウィート」)、微生物又はその組換体から得られる酵素(イソメラーゼやエピメラーゼ等)を利用する酵素法により、D-グルコースやD-フラクトースを原料として異性化したもの(例えば、松谷化学工業株式会社の製品「Astraea」)などがある。
【0014】
「GABA」は、γアミノ酪酸の略称であり、動植物界に広く分布するアミノ酸の一種であって、ほ乳動物の脳や脊髄の中枢神経系における抑制性神経伝達物質としてよく知られている。このGABAは、発酵法などにより商業生産され(例えば、特開2000-210075号公報)、近年では、血圧改善、ストレス緩和、疲労感の軽減、睡眠の改善、認知機能の改善の機能性関与成分として機能性表示食品に多く用いられるようになってきたことから、一般消費者にもその機能が広く知られるところとなっている。
【0015】
本発明のD-アルロースとGABAを含む組成物は、摂取したときにGLP-1分泌促進の効果を発揮するため、両成分は必須であるが、その組み合わせ比について特に限定はない。もっとも、効率よく当該効果を発揮するためには、D-アルロース1質量部に対してGABA0.04質量部以上の比率で用いるのがよい。また、具体的な投与量としては、後述のマウスの実験結果などから、体重1kg当たりD-アルロース0.1~5g、0.1~3g若しくは0.5~3gに対し、GABA10~500mg、20~300mg若しくは20~200mgであると考えられる。なお、これをJournal of Basic Clinical Pharmacy, March-May2016,7(2):27-31「A simple practice guide for dose conversion between animals and human」の表1及び数式2(ヒト用量=マウス用量×3/37)を参照し、ヒト用量に換算すると、ヒト体重1kg当たりD-アルロース8~400mg、8~240mg若しくは40~240mgに対し、GABA0.8~40mg、1.6~24mg若しくは1.6~16mgである。
【0016】
本発明の組成物は、GLP-1分泌の効果を発揮する有効量を含有すれば、粉末、顆粒、錠剤、液状、ゲル状など、どのような形状でもよい。また、一日の投与回数は問わず、上記有効量を1回で投与できる形態か、分割して投与できる形態のいずれであってもよい。さらに投与タイミングについては、特に問わないが、本発明の効果が如何なく発揮されるためには、食事と同時に摂取するのでなく、空腹時、例えば、食前2時間以上前、食前2時間~30分前、食前30分前~10分前、又は食前10分前から食直前に、摂取することが好ましい。
【0017】
本発明の組成物の投与対象は、哺乳類の動物であればよく、その個体の病態の程度はとくに問わないが、耐糖能異常の傾向にある個体、肥満傾向にある個体においてその効果が発揮されやすい。
【実施例0018】
以下に、本発明の組成物の優れた効果を実験結果によって具体的に示す。
【0019】
<実験動物の準備>
実験動物として、C57BL/6J雄性マウスを用いた。マウスは個別ケージ内であらかじめ1週間以上予備飼育し、実験者によるハンドリングをして、飼育・実験環境(12時間の明暗サイクル。7:30~19:30が明期。室温23±2℃。湿度55±10%。)に順化させた。餌は、日本クレア社のCE-2飼料(栄養バランスのとれた一般的なマウス用飼料、3.4kcal/kg)とし、水とともに自由摂取とした。動物実験は、京都府立大学の動物実験委員会のガイドラインに従い、承認を得て実施した。
【0020】
<被験試料>
D-アルロースは、松谷化学工業(株)の「Astraea」(結晶D-アルロース純度95%以上)を、GABAは、(株)ファーマフーズのラクトギャバン(γアミノ酪酸純度95%以上)を用いた。GABAのエネルギー量は3.95kcal/kgとして計算した。
【0021】
<GLP-1の測定>
トータルGLP-1の定量分析は、ELISAキット(ミリポア社製、EZGLP1T-36K)を用いて行った。
【0022】
<データ解析の方法>
以降の実験データは、平均値±標準誤差で表記する。実験1~3の結果については、各時間において一元配置分散分析により解析をし、有意な場合はTukey’s検定にて各群間の有意差を検定した。実験4~5は、一元配置分散分析により解析をし、有意な場合はTukey’s検定にて各群間の有意差を検定した。なお、有意水準は5%に設定した。実験1~3の結果である図1~3の*及び**は、それぞれp<0.05及びp<0.01を意味する。実験4~5の結果である図4~5の異なるアルファベットは、p<0.05を意味する。
【0023】
<被験物質投与後の摂食量変化(実験1)>
実験前日の18時から当日9時45分までの約16時間、上の手順で順化させたマウス(10週齢、5匹×4群)を絶食させておき、D-アルロース(1g/kg)、GABA(200mg/kg)、[D-アルロース(1g/kg)+GABA(200mg/kg)]のいずれかの水溶液、又は生理食塩水を、各々10ml/kgの容量で単回経口胃内投与した。経口投与直後となる10時00分にCE-2飼料を含む餌鉢をケージ内に再設置し、餌の摂食量を0.5、1、2、3、6、24時間後まで経時的に測定した(図1)。摂取した餌の量は累積摂食量(kcal)とし、これには投与したGABAのエネルギー(3.95kcal/g)も含まれる。その結果、0.5~6時間後の[D-アルロース(1g/kg)+GABA(200mg/kg)]投与群における摂食量は、ほかの群における摂食量より格段に低減していた。0.5時間の結果において、D-アルロース(1g/kg)もしくはGABA(200mg/kg)の単独投与においても、生理食塩水投与群と比較すると優位な摂食低減作用が認められたが、[D-アルロース(1g/kg)+GABA(200mg/kg)]投与群においては、D-アルロース(1g/kg)もしくはGABA(200mg/kg)単独投与群よりも有意に摂食量は低減した。そして、2~6時間後の[D-アルロース(1g/kg)+GABA(200mg/kg)]投与群における摂食量も、D-アルロース(1g/kg)もしくはGABA(200mg/kg)単独投与群よりも有意に低減した。一方、24時間後には投与群間に摂食量の差は認められなかった。
【0024】
<被験物質投与後の摂食量変化(実験2)>
被験物質の効果が発揮される適切な用量を検討するため、D-アルロース(0.5g/kg)、GABA(20mg/kg)、[D-アルロース(0.5g/kg)+GABA(20mg/kg)]のいずれかの水溶液、又は生理食塩水を、各々10ml/kgの容量で投与する実験を、実験1と同様の手順で行った(但し、マウスは9週齢、6匹×4群)。その結果(図2)、0.5~6時間後の[D-アルロース(0.5g/kg)+GABA(20mg/kg)]投与群における摂食量は、ほかの群における摂食量より格段に低減していた。D-アルロース(0.5g/kg)はいずれの時間帯においても有意な摂食低減作用は観察されなかった。GABA(20mg/kg)は、投与0.5~1時間後の摂食量を有意に低減させたが、この作用は短期的な作用であった。[D-アルロース(0.5g/kg)+GABA(20mg/kg)]投与群は、投与6時間後まで比較的長期間、有意に摂食量を低減させた。一方、24時間後には投与群間に摂食量の差は認められなかった。
【0025】
<被験物質投与後の摂食量変化(実験3)>
引き続き、被験物質の効果が発揮される適切な用量を検討するため、D-アルロース(0.5g/kg)、GABA(10mg/kg)、[D-アルロース(0.5g/kg)+GABA(10mg/kg)]のいずれかの水溶液、又は生理食塩水を、各々10ml/kgの容量で投与する実験を、実験1と同様の手順で行った(但し、マウスは11週齢、6匹×4群)。その結果(図3)、0.5時間後の[D-アルロース(0.5g/kg)+GABA(10mg/kg)]投与群における摂食量は、ほかの群における摂食量より低減していたが、1時間後以降は、投与群間に摂食量の差は認められなかった。
【0026】
<被験物質投与後の門脈血漿中トータルGLP-1濃度(実験4)>
実験当日9時から14時までの5時間(=明期の5時間)、上の手順で順化させたマウス(20~22週齢、9匹×4群)を絶食させておき、D-アルロース(1g/kg)、GABA(200mg/kg)、D-アルロース(1g/kg)+GABA(200mg/kg)のいずれかの水溶液、又は生理食塩水を、各々10ml/kgの容量で単回経口胃内投与した。絶食を継続したまま、投与1時間後にイソフルラン麻酔をかけ、門脈から採血してその血漿GLP-1を測定した(図4)。その結果、生理食塩水群と比較して、D-アルロース単独投与群(1g/kg)の血漿トータルGLP-1濃度は有意に高値であった。そして、[D-アルロース(1g/kg)+GABA(200mg/kg)]投与群の血漿トータルGLP-1濃度は、D-アルロース単独投与群(1g/kg)の値よりも有意に高値を示した。
【0027】
<被験物質投与後の門脈血漿中トータルGLP-1濃度(実験5)>
実験前日18時から当日9時までの16時間(=一晩)、上の手順で順化させたマウス(15週齢、6匹×4群)を絶食させておき、D-アルロース(0.5g/kg)、GABA(20mg/kg)、[D-アルロース(0.5g/kg)+GABA(20mg/kg)]のいずれかの水溶液、又は生理食塩水を、各々10ml/kgの容量で単回経口胃内投与した。絶食を継続したまま、投与1時間後にイソフルラン麻酔をかけ、門脈から採血してその血漿GLP-1を測定した(図5)。その結果、他群との比較において、[D-アルロース(0.5g/kg)+GABA(20mg/kg)]投与群でのみ有意にトータルGLP-1量が増加した。
【0028】
<考察>
D-アルロース0.5g/kg、GABA20mg/kg又は200mg/kgの各単独投与群において、有意なトータルGLP-1量の増加は認められなかった。一方、[D-アルロース(1g/kg)+GABA(200mg/kg)]、[D-アルロース(0.5g/kg)+GABA(20mg/kg)]の各併用投与群においては、有意なトータルGLP-1量の増加が認められた。
【0029】
以上より、本発明のD-アルロースとGABAが併存する組成物又は剤は、GLP-1分泌促進の組成物又は剤として有利に利用できる。
図1
図2
図3
図4
図5